説明

電池パック、蓄電システム、電子機器、電動車両および電力システム

【課題】例えば、電池セルに対する浸水を防止する。
【解決手段】電池パックは、例えば、1または複数の孔部が形成される外装ケースと、一端面に正極端子部が形成されるとともに、他端面に負極端子部が形成される電池セルと、電池セルが収納される電池セル収納部が複数形成される電池ホルダと、電池ホルダに接合され、端子接触部が形成される金属板とを有し、電池セル収納部の一端が開放されるとともに、電池セル収納部の他端に、開口を有する端部が形成され、電池セルの一端面と、電池セル収納部の端部との間に、開口を有する弾性体が配され、弾性体の所定の部分が、正極端子部付近の端面と端部の内面とにより狭着されるとともに、電池セル収納部の開口から露出する弾性体の部分が、正極端子部と端子接触部付近の金属板とによって狭着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子機器、電動車両、電動工具などに適用可能な電池パックに関する。また、電池パックが適用される蓄電システム、電子機器、電動車両および電力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオンのドープ・脱ドープを利用したリチウムイオン二次電池が使用されている。リチウムイオン二次電池の電池セル(単電池やセルとも称される。)が複数個接続されることで、電池セル群が形成される。電池セル群を構成する電池セルが相互に接続され、電池モジュールが形成される。1または複数の電池モジュールが外装ケースに収納されることで電池パックが形成される。リチウムイオン二次電池の電池パックは、パーソナルコンピュータ、携帯電話などの電子機器、電動車両、電動工具など幅広く使用されている。
【0003】
このような電池パック内に水分などが浸入すると電池セルの故障の原因となる。したがって、電池パックの防水性を向上させることが望ましい。下記特許文献1には、電池セルが収納されるケースを密閉し、外部から水分が浸入することを防止するようにした電池パックが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−164655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電池パックの使用時には、電池セルが発熱する。このため、ケースに孔部を設け、孔部を介して外部から空気を取り込むことが望ましい。外部から取り込まれた空気により、電池セルを冷却することができる。しかしながら、特許文献1に記載の電池パックでは、防水性を向上させるためケースによる密閉構造を採用している。このため、空気を取り込む孔部をケースに設けることができない。
【0006】
したがって、本開示の目的の一つは、防水性を向上させた電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本開示は、例えば、
1または複数の孔部が形成される外装ケースと、
一端面に正極端子部が形成されるとともに、他端面に負極端子部が形成される電池セルと、
電池セルが収納される電池セル収納部が複数形成される電池ホルダと、
電池ホルダに接合され、端子接触部が形成される金属板と
を有し、
電池セル収納部の一端が開放されるとともに、電池セル収納部の他端に、開口を有する端部が形成され、
電池セルの一端面と、電池セル収納部の端部との間に、開口を有する弾性体が配され、
弾性体の所定の部分が、正極端子部付近の端面と端部の内面とにより狭着されるとともに、
電池セル収納部の開口から露出する弾性体の部分が、正極端子部と端子接触部付近の金属板とによって狭着される電池パックである。
この電池パックが、再生可能なエネルギーから発電を行う発電装置によって充電される蓄電システムでもよい。
この電池パックに接続される電子機器に電力を供給する蓄電システムでもよい。
この電池パックから電力の供給を受ける電子機器でもよい。
この電池パックから電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、電池パックに関する情報に基づいて、車両制御に関する情報処理を行う制御装置とを有する電動車両でもよい。
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部とを備え、電力情報送受信部が受信した情報に基づき、この電池パックの充放電制御を行う電力システムでもよい。
この電池パックから電力の供給を受け、または、発電装置または電力網から蓄電システムに電力を供給する電力システムでもよい。
【発明の効果】
【0008】
少なくとも一つの実施形態によれば、電池パックの防水性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】電池パックの構成の一例を説明するための分解斜視図である。
【図2】電池ホルダの構成の一例を示す斜視図である。
【図3】電池ブロックの構成の一例を示す斜視図である。
【図4】金属板の構成の一例を示す斜視図である。
【図5】ゴムリングの構成の一例を示す斜視図である。
【図6】ゴムリングの断面の一例を示す略線図である。
【図7】電池セルの内部構成の一例を示す略線図である。
【図8】電池セルの正極端子部付近の一例を、拡大して示した図である。
【図9】ゴムリング等を組み立てる工程の一例を説明するための略線図である。
【図10】ゴムリングが変形する状態を説明するための部分拡大図である。
【図11】ゴムリングが変形する状態を説明するための部分拡大図である。
【図12】電池ホルダの変形例を示す略線図である。
【図13】変形例における電池ホルダの断面の一例を示す部分拡大図である。
【図14】ゴムリングの変形例と、変形例におけるゴムリングを電池セルに取り付けた状態とを説明するための略線図である。
【図15】電池セルの変形例を示す略線図である。
【図16】電池パックの応用例を説明するためのブロック図である。
【図17】電池パックの他の応用例を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
<1.一実施形態>
<2.変形例>
<3.応用例>
なお、本開示は、以下に説明する実施の形態等に限定されないものとする。以下の説明において、説明の便宜を考慮して前後左右、上下等の方向を示すが、本開示の内容は当該方向に限定されるものではない。
【0011】
<1.一実施形態>
「電池パックの構成」
始めに電池パックの構成の概略について説明する。電池パックの構成の概略は、以下の通りである。電池パックは、複数の電池セルからなる電池セル群を有する。電池セル群の個々の電池セルが電池ホルダの電池セル収納部に挿入される。電池セルの正極端子部または負極端子部と、金属板の端子接触部とが接合され、金属板により各電池セルが電気的に接続される。各電池セルが電気的に接続されることで、電池ブロックが形成される。1または複数の電池ブロックと基板とが接続されて電気回路が形成される。そして、電池ブロックおよび基板等が外装ケースに収納され、電池パックが形成される。なお、1または複数の電池ブロックが接続されたものが電池モジュールなどと称されることもある。
【0012】
電池パックは、例えば、電動工具に使用される。もちろん、電池パックは、パーソナルコンピュータ等の各種の電子機器、掃除機や冷蔵庫などの家庭用の電気機器、電動車両、バックアップ用や緊急時用の電源装置などに対して使用できる。このように、電池パックは幅広い用途に使用される。電池パックの構成、例えば、電池セルの個数や接続態様、外装ケースの形状は、例示した電池パックの用途に応じて適宜、変更することができる。以下、本開示において例示する電池パックの詳細について説明する。
【0013】
図1は、第1の実施形態における電池パックの構成例を説明するための分解斜視図である。電池パック1は、例えば、樹脂からなる外装上ケース10aおよび外装下ケース10bを有する。外装上ケース10aは、略矩形状の上面板11aを有する。上面板11aの周囲からは、側面板11b、側面板11c、側面板11dおよび側面板11eが下方に向かって立設されている。側面板11b、側面板11c、側面板11dおよび側面板11eはやや浅く形成されている。
【0014】
電池セルの放熱性を良好とするために、例えば、外装上ケース10aに放熱用の孔部12が形成されている。孔部12から取り込まれる空気によって、電池セルを空冷することができる。外装下ケース10bに孔部12が形成されてもよい。さらに、外装上ケース10aおよび外装下ケース10bに孔部12が形成されてもよい。孔部12が複数個、形成されるようにしてもよい。
【0015】
孔部12を設けることで、外部から電池パック1の内部に水分や他の液体などが浸水し易くなる。しかしながら、後述するように、電池パック1内の電池セルへの浸水が防止できる。これにより、孔部12から浸水した水分によって、電池パック1が故障や劣化してしまうことを防止できる。
【0016】
外装下ケース10bは、略矩形状の底面板13aを有する。底面板13aの周囲から、側面板13b、側面板13c、側面板13dおよび側面板13eが上方に向かって立設されている。側面板13b、側面板13c、側面板13dおよび側面板13eはやや深く形成されている。底面板13aの内面には、後述する電池セルの長手方向に整列するようにして、突起14が複数、形成されている。突起14は無くてもよい。
【0017】
外装上ケース10aおよび外装下ケース10bには、図示しないネジ締め用の孔部が形成されている。外装下ケース10bの孔部に対して、ネジ15a、ネジ15b、ネジ15cおよびネジ15dが挿入されて回転される。ネジ15a、ネジ15b、ネジ15cおよびネジ15dは外装下ケース10bの孔部を貫通して、外装上ケース10aの孔部に達する。さらに、それぞれのネジが回転されることでネジ締めがなされ、外装上ケース10aと外装下ケース10bとが固定される。
【0018】
外装上ケース10aおよび外装下ケース10bには、複数の電池セル16から構成される電池セル群17などが収納される。電池セル16は、例えば、円筒形状のリチウムイオン二次電池である。電池セル16は、リチウムイオンポリマー二次電池などの他の二次電池でもよい。さらに、電池セル16の形状は円筒形状に限られることはなく、角型形状など他の形状でもよい。電池セル16の一端面には正極端子部が形成され、電池セル16の他端面には負極端子部が形成されている。
【0019】
複数の電池セル16は、1または複数の列をなすように配置される。図1に示す例では、8本の電池セル16a、電池セル16b、電池セル16c・・・電池セル16h(電池セルを区別する必要がないときは、電池セル16と称する)が4本ずつ、2列をなすように配置される。図1では、図示を簡単にするために、電池セル16aおよび電池セル16bにのみ符号を付している。
【0020】
電池セル群17の端部には、電池セル16aと電池セル16bとが積層して配置されている。電池セル16aおよび電池セル16bに隣接して、電池セル16cと電池セル16dとが積層して配置されている。電池セル16cおよび電池セル16dに隣接して、電池セル16eと電池セル16fとが積層して配置されている。電池セル16eおよび電池セル16fに隣接して、電池セル16gと電池セル16hとが積層して配置されている。
【0021】
上下方向に隣接する電池セルは、正極端子部および負極端子部が同一方向に揃うにようにそれぞれ配置される。例えば、電池セル16aの正極端子部と電池セル16bの正極端子部とが同一方向に揃うように配置される。左右方向に隣接する電池セルは、正極端子部および負極端子部が異なる方向を向くように配置される。例えば、電池セル16aの正極端子部と電池セル16cの正極端子部とが異なる方向を向くように配置される。なお、電池セルの配置態様は一例であり、例示した配置態様に限られない。例えば、全ての電池セルの正極端子部が同一方向に揃うように、電池セルが配置されてもよい。
【0022】
電池セル群17が電池ホルダ18aおよび電池ホルダ18bによって固定される。電池ホルダ18aおよび電池ホルダ18bは、例えば、互いに略同一形状とされる。電池ホルダ18aおよび電池ホルダ18bは、互いに異なる形状とされてもよい。
【0023】
電池ホルダ18aおよび電池ホルダ18bには、電池セル収納部がそれぞれ形成されている。電池ホルダ18aには、例えば、電池セル収納部19a、電池セル収納部19b、電池セル収納部19c・・・電池セル収納部19hが形成されている。電池ホルダ18bには、例えば、電池セル収納部19i、電池セル収納部19j、電池セル収納部19k・・・電池セル収納部19pが形成されている。なお、図1では、図示を簡単にするために、電池セル収納部19a、電池セル収納部19b、電池セル収納部19i、電池セル収納部19jにのみ符号を付している。個々の電池セル収納部を区別する必要がないときは、電池セル収納部19と称する。
【0024】
電池セル収納部19は、例えば、中空の円筒形状である。電池セル収納部19の一端側は開放されており、電池セル収納部19に対して一個の電池セル16が挿入可能とされている。電池セル収納部19の他端には、例えば、略円形の端部が形成されている。端部の中空側の面が端部の内面とされ、反対側の面が端部の外面とされる。電池セル収納部19の開放端から挿入された電池セル16は、電池セル16の端面と電池セル収納部19の内面とが当接することにより位置決めされる。
【0025】
電池セル収納部19の端部には、例えば、略円形状の開口が形成されている。端部に形成された開口から電池セル16の正極端子部または負極端子部が露出する。各電池セル収納部19は、所定の間隔をもって形成されている。これにより、各電池セル収納部19に挿入される電池セル16間を絶縁することができる。
【0026】
電池ホルダ18aおよび電池ホルダ18bの材料としては、例えば、プラスチックなどの絶縁材料が挙げられる。電池ホルダ18aおよび電池ホルダ18bの材料は、金属粉または炭素を含有し、熱伝導性が高い熱伝導性材料でもよい、このような材料を使用することにより、電池セル16からの発熱を効率よく外部に放熱できる。電池ホルダ18aおよび電池ホルダ18bの材料は、ガラス繊維または炭素繊維を含有し、機械的強度に優れる強化プラスチックでもよい。このような材料を使用することにより、外部からの衝撃に対する電池ホルダ18aおよび電池ホルダ18bの機械的な強度を高めることができる。
【0027】
電池ホルダ18aには、例えば、2個の孔部25aおよび孔部25bが形成されている。電池ホルダ18bには、2個の孔部25cおよび孔部25dが形成されている。孔部25aおよび孔部25cにネジ20aが挿入回転される。孔部25bおよび孔部25dにネジ20bが挿入回転される。電池ホルダ18aと電池ホルダ18bとが、例えば、ネジを使用して締結固定される。
【0028】
電池ホルダを使用することで電池セル間を確実に絶縁できる。このため、貼り付け位置のずれが生じやすい絶縁テープ等を使用する従来の構造に比べて、高い安全性を得ることができる。さらに、電池ホルダの電池セル収納部に電池セルが安定して固定されるため、外部からの衝撃によって電池セルの位置がずれてしまうことを防止できる。
【0029】
電池セル16の正極端子部と電池セル収納部19との間にゴムリング21が配される。電池セル16aの正極端子部と電池セル収納部19aとの間にゴムリング21aが配される。電池セル16bの正極端子部と電池セル収納部19bとの間にゴムリング21bが配される。電池セル16cの正極端子部と電池セル収納部19kとの間にゴムリング21cが配される。電池セル16dの正極端子部と電池セル収納部19lとの間にゴムリング21dが配される。
【0030】
電池セル16eの正極端子部と電池セル収納部19eとの間にゴムリング21eが配される。電池セル16fの正極端子部と電池セル収納部19fとの間にゴムリング21fが配される。電池セル16gの正極端子部と電池セル収納部19oとの間にゴムリング21gが配される。電池セル16fの正極端子部と電池セル収納部19pとの間にゴムリング21fが配される。なお、個々のゴムリングを区別する必要がないときはゴムリング21と称する。
【0031】
ゴムリング21は、例えば、略円形の穴部が形成された円盤形状のものである。矩形などの他の形状でもよい。ゴムリング21の大きさ、例えば径は、電池セル収納部19の径よりやや小さく設定されている。これにより、ゴムリング21を電池セル収納部19に挿入できる。ゴムリング21の穴部の径は、電池セル収納部19の端部の開口の径に比してより小とされている。これにより、電池セル収納部19の端部の開口からゴムリング21の一部が露出する。電池セル収納部19に電池セル16が挿入されると、電池セル16の正極端子部がゴムリング21の穴部を介して露出する。露出した正極端子部に、後述する金属板の端子接触部が接合される。
【0032】
例えば、ゴムリング21aが電池セル収納部19aに収納される。ゴムリング21aは、電池セル収納部19aの内面によって規制され、位置決めされる。このとき、電池セル収納部19aの端部の開口から、ゴムリング21aの一部および正極端子部が露出する。そして、電池セル収納部19aに電池セル16aが挿入される。電池セル16aの正極端子部付近の端面と電池セル収納部19aの内面とによって、ゴムリング21aの所定箇所が押し潰された状態で狭着(挟みこまれるようにして支持される)される。後述する金属板の端子接触部が電池セル収納部19aの開口から挿入される。挿入された端子接触部が正極端子部に接合される。このとき、正極端子部の周辺箇所と端子接触部付近の金属板とによって、ゴムリング21aの一部が押し潰された状態で狭着される。
【0033】
ゴムリング21は弾性を有し、外部からの圧力に応じて変形する。ゴムリング21の材料としては、シリコン、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンゴム、ブチルゴム、エチレン・プロレンゴムなどのゴム系材料が使用される。弾性を有し、圧力によって変形するものであれば、ゴム系材料に限られることはない。
【0034】
各電池セル収納部19の開口から露出する正極端子部または負極端子部と、各金属板に形成された端子接触部とが接合される。例えば、抵抗溶接またはレーザ光加熱による溶接により接合される。金属板23aは、例えば、略矩形であり、上下方向に2個の端子接触部が形成されている。端子接触部は、例えば、金属板23aを絞り加工することで形成される。
【0035】
電池セル収納部19aの端部の開口からは、電池セル16aの正極端子部が露出する。電池セル収納部19bの端部の開口からは、電池セル16bの正極端子部が露出する。よって、金属板23aの上側の端子接触部が電池セル16aの正極端子部と接合される。金属板23aの下側の端子接触部が電池セル16bの正極端子部と接合される。
【0036】
金属板23bは、例えば、略矩形であり、コーナー付近に4個の端子接触部が形成されている。端子接触部は、例えば、金属板23bを絞り加工することで形成される。電池セル収納部19cの端部の開口からは、電池セル16cの負極端子部が露出する。電池セル収納部19dの端部の開口からは、電池セル16dの負極端子部が露出する。電池セル収納部19eの端部の開口からは、電池セル16eの正極端子部が露出する。電池セル収納部19fの端部の開口からは、電池セル16fの正極端子部が露出する。
【0037】
金属板23bの(図面に向かって)右上のコーナー付近に形成される端子接触部が、電池セル16cの負極端子部に接合される。その下の端子接触部が、電池セル16dの負極端子部に接合される。金属板23bの左上のコーナー付近に形成される端子接触部が、電池セル16eの正極端子部に接合される。その下の端子接触部が、電池セル16fの正極端子部に接合される。
【0038】
金属板23cは、例えば、略矩形であり、上下方向に2個の端子接触部が形成されている。端子接触部は、例えば、金属板23cを絞り加工することで形成される。電池セル収納部19gの端部の開口からは、電池セル16gの負極端子部が露出する。電池セル収納部19hの端部の開口からは、電池セル16hの負極端子部が露出する。よって、金属板23cの上側の端子接触部が電池セル16gの負極端子部に接合される。金属板23cの下側の端子接触部が電池セル16hの負極端子部に接合される。
【0039】
金属板23dは、例えば、略矩形であり、コーナー付近に4個の端子接触部が形成されている。金属板23dの略中央には、ネジ20aが貫通する貫通孔26aが形成されている。端子接触部は、例えば、金属板23dを絞り加工することで形成される。電池セル収納部19iの端部の開口からは、電池セル16aの負極端子部が露出する。電池セル収納部19jの端部の開口からは、電池セル16bの負極端子部が露出する。電池セル収納部19kの端部の開口からは、電池セル16cの正極端子部が露出する。電池セル収納部19lの端部の開口からは、電池セル16dの正極端子部が露出する。
【0040】
金属板23dの右上のコーナー付近に形成される端子接触部が、電池セル16aの負極端子部に接合される。その下の端子接触部が、電池セル16bの負極端子部に接合される。金属板23dの左上のコーナー付近に形成される端子接触部が、電池セル16cの正極端子部に接合される。その下の端子接触部が、電池セル16dの正極端子部に接合される。
【0041】
金属板23eは、例えば、略矩形であり、コーナー付近に4個の端子接触部が形成されている。金属板23eの略中央には、ネジ20bが貫通する貫通孔26bが形成されている。端子接触部は、例えば、金属板23eを絞り加工することで形成される。電池セル収納部19mの端部の開口からは、電池セル16eの負極端子部が露出する。電池セル収納部19nの端部の開口からは、電池セル16fの負極端子部が露出する。電池セル収納部19oの端部の開口からは、電池セル16gの正極端子部が露出する。電池セル収納部19pの端部の開口からは、電池セル16hの正極端子部が露出する。
【0042】
金属板23eの右上のコーナー付近に形成される端子接触部が、電池セル16eの負極端子部に接合される。その下の端子接触部が、電池セル16fの負極端子部に接合される。金属板23dの左上のコーナー付近に形成される端子接触部が、電池セル16gの正極端子部に接合される。その下の端子接触部が、電池セル16hの正極端子部に接合される。
【0043】
金属板23a、金属板23b・・金属板23e(以下、区別する必要がないときは、金属板23と称する)は、銅合金またはそれに類する材料によって構成されることが好ましい。これにより、低抵抗で配電することが可能となる。金属板23は、例えば、ニッケルまたはニッケル合金で構成される。これにより、金属板23に形成される端子接触部と、正極端子部または負極端子部との溶接性が良好になる。金属板23の表面が錫またはニッケルでメッキされていてもよい。これにより、金属板23の表面が酸化して錆びが発生することを防止できる。
【0044】
それぞれの電池セル16が、金属板23によって電気的に接続される。図1に例示する接続によって、2個の電池セル16が並列に接続され、並列に接続された2個の電池セル16が4個、直列に接続されることになる。フレキシブル基板24には、所定の配線パターンが形成されている。フレキシブル基板24の配線パターンの所定箇所に金属板23がそれぞれ接続される。例えば、フレキシブル基板24の所定箇所に対して、金属板23の所定箇所がそれぞれはんだ付けされる。
【0045】
「電池ホルダ」
次に、電池ホルダについて説明する。電池ホルダ18aおよび電池ホルダ18bは、略同一形状とされる。以下、電池ホルダ18aについて説明する。
【0046】
図2は、電池ホルダ18aの斜視図である。電池ホルダ18aには、上面部30a、底面部30b、側面部30cおよび側面部30dが連続的に形成されている。電池ホルダ18aには、所定の間隔をもって、例えば8個の電池セル収納部19(電池セル収納部19a〜電池セル収納部19h)が形成されている。電池セル収納部19は、例えば、円筒形状とされ、各電池セル収納部19に対して電池セル16を挿入できる。電池セル収納部19の周面に、曲面形状とされ抜き勾配が0度とされる局所的な箇所を設けてもよい。これにより、クリアランスを少なくして、電池セル16を電池セル収納部19に挿入できる。
【0047】
電池セル収納部19の一端側は、電池セル16を挿入できるように開放されている。電池セル収納部19の他端側には、略円形の端部が形成されている。電池セル収納部19aの端部には、外面31aおよび内面32aが形成されている。電池セル収納部19bの端部には、外面31bおよび内面32bが形成されている。電池セル収納部19cの端部には、外面31cおよび内面32cが形成されている。電池セル収納部19dの端部には、外面31dおよび内面32dが形成されている。
【0048】
電池セル収納部19eの端部には、外面31eおよび内面32eが形成されている。電池セル収納部19fの端部には、外面31fおよび内面32fが形成されている。電池セル収納部19gの端部には、外面31gおよび内面32gが形成されている。電池セル収納部19hの端部には、外面31hおよび内面32hが形成されている。各外面によって同一平面が形成される。なお、それぞれの端面を区別する必要がないときは、適宜、外面31または内面32と称する。内面32は、電池セル収納部19の中空側の面であり、反対側の面が外面31とされる。
【0049】
電池セル収納部19の端部には、例えば、略円形状の開口が形成されている。例えば、電池セル収納部19aの端部には開口33aが形成されている。電池セル収納部19bの端部には開口33bが形成されている。他の電池セル収納部19の端部にも同様に開口が形成されている。個々の開口を区別する必要がないときは、開口33と称する。なお、図2では、図示を簡単にするために開口33aおよび開口33bにのみ符号を付している。開口33からは、電池セル16の正極端子部または負極端子部が露出する。開口33の正極端子部が露出する部分の周辺で、さらに、ゴムリング21の一部が露出する。
【0050】
なお、外面31には、金属板23を位置決めするための凹部が形成されてもよい。例えば、外面31aおよび外面31bには、金属板23aの形状に対応して凹部27aが形成される。外面31c、外面31d、外面31eおよび外面31fには、金属板23bの形状に対応して凹部27bが形成される。外面31gおよび外面31hには、金属板23cの形状に対応して凹部27cが形成される。
【0051】
電池セル収納部19は、例えば、曲面状の周面を有する。電池セル収納部19aの周面の一部と、電池セル収納部19cの周面と、電池セル収納部19eの周面と、電池セル収納部19gの周面の一部とによって上面部30aが構成される。電池セル収納部19bの周面の一部と、電池セル収納部19dの周面と、電池セル収納部19fの周面と、電池セル収納部19hの周面の一部とによって底面部30bが構成される。電池セル収納部19aの周面の一部と、電池セル収納部19bの周面の一部とによって側面部30cが構成される。電池セル収納部19gの周面の一部と、電池セル収納部19hの周面の一部とによって側面部30dが構成される。
【0052】
電池ホルダ18aには、孔部25aおよび孔部25bが形成されている。孔部25aおよび孔部25bに、ネジが挿入回転されることで、電池ホルダ18aおよび電池ホルダ18bが固定される。
【0053】
「電池ブロックの形状」
図3Aは、電池ブロックの外観の一例を示す斜視図であり、図3Bは、上下方向を反転させた電池ブロックの外観の一例を示す斜視図である。電池ホルダ18aおよび電池ホルダ18bのそれぞれの電池セル収納部19に電池セル16が挿入されている。電池ホルダ18aおよび電池ホルダ18bが、例えば、ネジによって締結固定され、電池ブロックが形成される。
【0054】
電池ブロックにおける電池セル16の中央付近が、電池セル収納部19に挿入されずに外部に露出している。電池セル16の一部が外部に露出することにより、電池セル16の放熱性を良好にすることができる。電池セル16の一部が露出することで、電池セル16に対して浸水する可能性が大きくなるが、本開示では、後述するようにして電池セル16への浸水を防止できる。このため、電池セル16の放熱性を確保しながら、電池セル16の正極端子部付近への浸水を防止できる。
【0055】
「金属板の形状」
図4Aは、金属板23aの外観の一例を示す。金属板23aは、例えば、平板状であり、上下方向に、2個の端子接触部36aおよび端子接触部36bが形成されている。金属板23aに形成される端子接触部の個数は、適宜、変更できる。端子接触部36aおよび端子接触部36bは、金属板23aを絞り加工することで形成される絞り形状である。絞り形状とすることで、電池セル16の正極端子部に対する端子接触部の接合を容易にできる。金属板23aの端部付近から延出された金属板が屈曲されることで、屈曲部37が形成されている。例えば、屈曲部37の先端がフレキシブル基板24に接合される。なお、金属板23cは、金属板23aと略同一の構成とされる。
【0056】
図4Bは、金属板23bの外観の一例を示す。金属板23bは、例えば、平板状であり、4個の端子接触部が形成されている。金属板23bに形成される端子接触部の個数は、適宜、変更できる。図面に向かって右上のコーナー付近に端子接触部38aが形成されている。端子接触部38aの下に端子接触部38bが形成されている。左上のコーナー付近に端子接触部38cが形成されている。端子接触部38cの下に端子接触部38dが形成されている。金属板23bの略中央には、ネジなどが貫通する貫通孔26cが形成されている。なお、金属板23dおよび金属板23eは、金属板23bと略同一の構成とされる。
【0057】
端子接触部38a、端子接触部38b、端子接触部38cおよび端子接触部38dは、金属板23bを絞り加工することで形成される絞り形状である。絞り形状とすることで、電池セル16の正極端子部または負極端子部に対する端子接触部の接合を容易にできる。金属板23bの端部付近から延出された金属板が屈曲されることで、屈曲部39が形成されている。例えば、屈曲部39の先端がフレキシブル基板24に接合される。
【0058】
「ゴムリングの形状」
図5は、ゴムリング21の形状の一例を拡大して示した斜視図である。ここでは、ゴムリング21aを例にして説明するが、他のゴムリングについても同様の形状である。ゴムリング21aの径は、電池セル収納部19aの中空の径よりやや小とされる。これにより、ゴムリング21aを電池セル収納部19aに挿入することができる。ゴムリング21aは、略中央に略円形の穴部41が形成されている。
【0059】
ゴムリング21aの一面には1または複数の突部が形成されている。ゴムリング21aには、例えば、穴部41の近傍に突部42aおよび突部42bが隣接して形成されている。ゴムリング21aの周辺部の近傍には突部42cが形成されている。ゴムリング21aの外周部には、突部42cに隣接して突部42dが形成されている。図5では、それぞれの突部を太線で示している。突部42a、突部42b、突部42cおよび突部42d(以下、区別する必要がない場合は、突部42と称する)は、例えば、同心円状に形成されている。各突部は、同一形状でもよく異なる形状でもよい。例えば、突部の高さや幅が、互いに異なるようにしてもよい。突部の個数などは、適宜、変更できる。
【0060】
図6は、ゴムリング21aの断面の一例を示す。ゴムリング21aに、突部42a、突部42b、突部42cが形成され、ゴムリング21aの外周部に突部42dが形成されている。図6に示す例では、突部42aおよび突部42bの高さが、突部42cおよび突部42dの高さよりも高く設定されている。
【0061】
穴部41は、例えば、穴部41aと、穴部41aと連通し、略円形とされる穴部41bとからなる。穴部41aの形状は、端子接触部の径と略同一の径とされる開口を有する。穴部41aのエッジには、端子接触部の絞り形状に対応して傾斜面が形成されている。穴部41bは、電池セル16の正極端子部と略同一の径とされる開口を有する。穴部41bの周辺箇所が突部42aの下側に配されている。穴部41bに正極端子部が挿入されると、正極端子部の周辺箇所が突部42aの一面側(下側)に配されるとともに、正極端子部の中央付近の箇所が穴部41bから露出する。穴部41aの開口から端子接触部が挿入され、穴部41aと穴部41bとが連通する箇所で、端子接触部と正極端子部の露出箇所とが接合される。
【0062】
「電池セルの構成」
電池セルの一例について説明する。電池セル16は、例えば、円筒形状のリチウムイオン二次電池である。図7を参照して、リチウムイオン二次電池の一例について説明する。発電要素50が円筒状の電池容器(電池缶とも称される)60の内部に収納されている。
【0063】
発電要素50は、帯状の正極51と負極52とがセパレータ53を介してセンターピン55を中心として巻回され、セパレータ53に液状の電解質である電解液が含浸されたものである。正極51は、例えばアルミニウム箔等からなる正極集電体51aの両面(または片面)に正極活物質としてリチウム(Li)をドープおよび脱ドープが可能な正極材料を含む正極合剤層51bが設けられた構造を有している。正極集電体51aには、アルミニウム等からなる正極リード54が取り付けられ、発電要素50の外部に導出されている。
【0064】
負極52は、例えば銅箔からなる負極集電体52aの両面(または片面)に負極活物質としてリチウムをドープおよび脱ドープが可能な負極材料を含む負極合剤層52bが設けられた構造を有している。負極集電体52aには、銅からなる負極リード56が取り付けられ、発電要素50の外部に導出されている。
【0065】
セパレータ53は、例えば合成樹脂製あるいはセラミック製の多孔質膜から構成されている。電解液は、例えば有機溶剤等の溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩であるリチウム塩とを含んでいる。発電要素50の巻回周面には、一対の絶縁板61、62が配置されている。
【0066】
電池容器60は、例えばニッケル(Ni)のめっきがされた鉄(Fe)あるいはステンレス鋼から構成され、一端面(負極)側が閉塞され、他端面(正極)側が開放されている。電池容器60は、負極と接続されており、負極端子として機能するようになされている。また、電池容器60の開放端面部には、安全機構63とトップカバー(電池蓋ともの称される)70とがガスケット71を介してかしめられることによって取り付けられており、電池容器60の内部が密閉されている。
【0067】
安全機構63の一例について説明する。アルミニウム等からなる金属材料からなる安全弁66と、アルミニウム等の金属材料からなる支持ホルダ67とが絶縁ホルダ68を介して嵌合されている。安全弁66は、底部の中心に発電要素50側に突出した突出部66aを有しており、突出部66aが支持ホルダ67の底部の中心に形成された開口に挿入される。安全弁66の外周には、PTC素子を介在させてトップカバー70との電気的接続を確保するためのフランジ部が設けられ、支持ホルダ67には、側壁に複数の通気孔としての開口が形成されている。安全弁66の突出部66aに対して正極リード54が溶接されている。
【0068】
安全機構63では、内部短絡あるいは外部などの加熱等によって電池の内圧が上昇して所定値に達すると、支持ホルダ67の開口を通じて上昇した内圧が安全弁66に伝えられる。安全弁66は、その内圧によりトップカバー70側に変形する。その結果、電池内圧が緩和されると共に、安全弁66と正極リード54との電気的接続が遮断され、トップカバー70と発電要素50との電気的接続が断たれる。
【0069】
トップカバー70は、電池の正極端子として機能する正極端子部である。トップカバー70は、例えば電池容器60と同様にニッケルめっきがされたステンレス鋼により構成される。トップカバー70は、周囲にフランジ部72を有し、上部に複数の切欠きを有する。トップカバー70のフランジ部72は、安全弁66のフランジ部とPTC素子74を介して電気的に接続されている。PTC素子74は、温度が上昇すると抵抗値が増大し、大電流による異常な発熱を防止する。
【0070】
上述した2次電池は、例えば以下のように製造される。
【0071】
まず、リチウムをドープおよび脱ドープ可能な正極材料と導電剤と結着剤とを混合して正極合剤を調製し、この正極合剤を混合溶媒に分散させて正極合剤スラリーとする。次に、正極合剤スラリーを正極集電体51aに塗布して乾燥させた後圧縮成型して正極合剤層51bを形成し、正極51を作製する。その後、正極集電体51aに超音波溶接あるいはスポット溶接等により正極リード54を接続する。
【0072】
また、リチウムをドープおよび脱ドープ可能な負極材料と結着剤とを混合して負極合剤を調製し、この負極合剤を混合溶媒に分散させて負極合剤スラリーとする。次に、負極合剤スラリーを負極集電体52aに塗布して乾燥させた後圧縮成型して負極合剤層32bを形成し、負極52を作製する。その後、負極集電体51aに超音波溶接あるいはスポット溶接等により負極リード56を接続する。
【0073】
そして、正極51と負極52とをセパレータ53を介して多数回巻回し、巻回電極体を作製する。その後、巻回電極体を一対の絶縁板61、62で挟み、電池容器60の内部に収納し、正極リード54を安全機構63の安全弁66に溶接すると共に、負極リード56を電池容器60に溶接する。
【0074】
また、溶媒に電解質塩を溶解させて電解液を調製する。その後、電解液を電池容器60の内部に注入し、セパレータ53に含浸させる。続いて、電池容器60の開放部に安全機構63およびトップカバー70を、ガスケット71を介してかしめることによって固定する。なお、図示は省略しているが、トップカバー70に対して樹脂製のリングワッシャが装着され、そして、電池の周囲全体が樹脂チューブで被覆される。樹脂チューブは、例えば、熱によって収縮する熱収縮チューブである。
【0075】
図8は、電池セル16の正極端子部の近傍を拡大して示した図である。なお、図8では、説明を容易にするための、電池セル16の図示を一部簡略化している。トップカバー70に対してリングワッシャ77が装着されている。そして、電池容器60の周囲が樹脂チューブ78によって被覆されている。リングワッシャ77および樹脂チューブ78によって、トップカバー70の周辺に端面が形成されている。
【0076】
ここで、電池セル16の、例えば、フランジ部72付近が浸水すると電池セル16の性能に影響を与える。したがって、フランジ部72周辺の空間S1に対して、水分などが浸水しないようにすることが必要である。なお、空間S1の付近において、電池容器60がかしめられる箇所は、クリンプ部と称される。空間S1に水分が侵入する経路の一つは、トップカバー70とリングワッシャ77との間に形成される僅かな間隙を介して浸水する経路である。他の経路は、負極端子部付近に付着した水分が、毛細管現象によって樹脂チューブ78と電池容器60との間の僅かな間隙を流路として流れ、流れた水分がクリンプ部付近から浸水する経路である。したがって、これらの経路からの浸水を防止することが必要となる。
【0077】
そこで、本開示では、これらの経路からの浸水を、ゴムリング21を使用して防止している。図9Aに示すように、ゴムリング21aが電池セル収納部19aに挿入される。ゴムリング21aは、突部42が形成された面が、電池セル収納部19aの内面32aと対向するようにして挿入される。電池セル16aの正極端子部側が、電池セル収納部19aに挿入される。電池セル16aの負極端子側が、電池ホルダ18bの電池セル収納部19iに挿入される。電池ホルダ18aおよび電池ホルダ18bが固定されることで、電池セル16aが電池セル収納部19aに固定されるとともに、ゴムリング21aを押し潰す。すなわち、ゴムリング21aの周辺部分(例えば、突部42cおよび突部42dなどが形成される箇所の近傍)が、トップカバー70の周辺付近の端面と内面32aとによって挟まれることにより押し潰される。
【0078】
トップカバー70がゴムリング21aの穴部41bに挿入され、トップカバー70の略中央付近が穴部41aから露出する。さらに、ゴムリング21aの穴部41aの周辺箇所(例えば、突部42aおよび突部42b付近の箇所)が開口33aから露出する。開口33aから端子接触部36aが挿入される。そして、トップカバー70の露出部分に対して端子接触部36aが接合される。トップカバー70の周辺箇所と端子接触部36aの周辺の金属板23aとによって、開口33aから露出するゴムリング21aの部分が挟まれて押し潰される。
【0079】
トップカバー70に端子接触部36aが接合された状態の一例を図9Bに示す。トップカバー70の周辺付近の間隙がゴムリング21aによって封止されている。これにより、トップカバー70の周辺の間隙からの浸水を防止できる。さらに、トップカバー70の周囲の端面と内面32aとによってゴムリング21aが狭着される。これにより、クリンプ部付近の電池容器60と樹脂チューブ78との間の間隙が圧迫され封止される。電池容器60と樹脂チューブ78との間の間隙を伝わってくる水分の流路が遮断され、クリンプ部付近から浸水することを防止できる。
【0080】
さらに、防水性を向上させるだけでなく、耐衝撃性を向上させることができる。ゴムリング21aは、弾性を有する。このため、電池パック1の落下等に起因して衝撃が加わった場合でも、ゴムリング21aが緩衝材として機能し、外部からの衝撃を緩和することができる。電池パック1に緩衝材等を挿入する必要がないため、コストの低減を図ることができる。
【0081】
なお、図9Aおよび図9Bでは、電池セル収納部19aにおける組み立て工程の一例にについて説明したが、他の電池セル収納部19においても同様にして組み立てがなされる。以上のようにして、電池セルの防水性を向上させることができる。電池ホルダ18bにおける電池セル収納部19の、電池セル16の正極端子部が挿入される箇所も同様にして組み立てられる。
【0082】
電池セルに対して、防水性を有する防水シートを貼り付けることも考えられる。しかしながら、防水シートを使用する方法では、以下の問題がある。電池セルに対する防水シートの位置決めが容易でないという問題がある。電池パックの落下等に起因する外部からの衝撃や防水シートが剥離してしまう問題がある。経年変化や外部環境によって防水シートの粘着強度が変化し、防水性能が低下する問題がある。負極端子部側からの浸水を防止するために、負極端子部付近に対して防水シートを貼り付ける必要がある。
【0083】
しかしながら、本開示では、例えばゴムリングを使用することで、ゴムリングを電池セル収納部に挿入して押し潰すだけでよく、ゴムリングの位置決めが容易である。ゴムリングは、経年変化が生じにくい。ゴムリングが押し潰されるようにして狭着されるため、外部からの衝撃に伴ってゴムリングの位置がずれてしまうことがない。このため、ゴムリングの位置がずれることによる防水性能の低下を防止できる。さらに、正極端子部側にのみゴムリングが配されればよく、コストを低減できる。
【0084】
なお、上述したように、ゴムリング21の一面には、突部42が形成されている。突部42は必ずしも形成される必要がないが、以下に例示する効果を考慮して、突部42が形成されることが好ましい。
【0085】
例えば、突部42cおよび突部42dを形成することで、内面32aに対する接触面積を小さくすることができる。接触面積が小さくなることで圧力が増加する。これにより、外部から印加される圧力が小さい場合でもゴムリング21aを効果的に押し潰すことができる。さらに、複数の突起42によって沿面距離を長くすることができる。ここで、沿面距離とは、例えば、開口33a付近から浸水した水分が流れる距離である。
【0086】
例えば、金属板23aを溶接後に、電池ホルダ18aに形成された凹部27a付近から水分が浸入することがある。浸入した水分がゴムリング21aの表面を伝わり、クリンプ部付近に達し、浸水するおそれがある。しかしながら、突部42を設けることで水分の沿面距離を長くすることができ、浸入した水分がクリンプ部付近に達することを防止できる。
【0087】
突部42aと突部42bの厚みを異なるようにしてもよい。突部42aの端部には穴部41bの周辺箇所が配されていることから、突部42aの厚みは、突部42bの厚みより小さい。このため、突部42aは、押し潰されることにより変形し易い。突部42aが形成される箇所は、金属板23aとの密着性が重要となる。このため、突部42aの厚みを薄くして変形し易くしている。これに対して、突部42bは、例えば、電池セル収納部19aに対するゴムリング21aの位置を位置決めするために形成される。突部42bの厚みを厚くして剛性を確保し、位置決め用の突部としての機能を得られるようにしている。
【0088】
突部42aおよび突部42bを近接させて形成することにより、突部42aと突部42bとの間に僅かな空間が形成される。この空間が突部42aおよび突部42bが変形する際の逃げとして使用されることで、突部42aおよび突部42bが変形し易くなる。このため、小さい圧力でゴムリング21aを押し潰すことができる。
【0089】
突部42aおよび突部42bに対して、金属板23aが所定の圧力で押し当てられた状態で、トップカバー70と端子接触部36aとが例えば、抵抗溶接される。突部42aおよび突部42bを押し潰すために大きな圧力を必要とすると、トップカバー70と端子接触部36aとかゴムリング21aの反発力により離隔し、接合不良の原因となるおそれがある。しかしながら、突部42aおよび突部42bの逃げの空間を設けることで、突部42aおよび突部42bを小さい圧力で押し潰すことができ、接合不良が生じることを防止できる。
【0090】
さらに、図10Aの部分拡大図に模式的に示すように、突部42bの側面と開口33aの周面との間の間隙を小さくしてもよい。突部42bの側面と開口33aの周面とを当接するようにしてもよい。例えば、電池セル16aが電池セル収納部19aに挿入されると、トップカバー70の周辺部によってゴムリング21aが押し出される。
【0091】
このとき、図10Bの部分拡大図に模式的に示すように、突部42bの側面が開口33aの周面によって規制されながら、ゴムリング21aが押し出される。これにより、ゴムリング21aが不必要に変形することを防止できる。さらに、トップカバー70と金属板23aの間の間隙にゴムリング21aが配され、ゴムリング21aが適切な位置に配されるように位置決めの補正がなされる。ゴムリング21aが適切な位置に配されるため、トップカバー70と金属板23aとの間に適切な干渉量(ゴムの厚み)を配することができる。適切な干渉量により、トップカバー70と金属板23aとの間でゴムリング21aが押し潰された際に、防水性を確保できる。
【0092】
電池ホルダ18aが存在せず、開口33aの周面が形成されない場合には、金属板23aからの圧力によりゴムリング21aがトップカバー70上を滑り、ゴムリング21aがトップカバー70から脱落するおそれがある。この状態を図11Aに模式的に示す。しかしながら、図11Bに示すように、ゴムリング21aの突部42bの周面が開口33aの周面に規制される。このため、金属板23aが押し当てられた際に、トップカバー70から離隔する方向へのゴムリング21aの動きが規制される。これにより、ゴムリング21aがトップカバー70から脱落してしまうことを防止できる。なお、開口33aの周面の端部に面取り加工が施されるようにしてもよい。
【0093】
<2.変形例>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示の内容は、上述した実施形態に限定されるものではない。以下、変形例について説明する。
【0094】
電池ホルダ18aおよび電池ホルダ18bにおいて、電池セル収納部19の内面に突部が形成されてもよい。図12に示すように、例えば、電池セル16の正極端子部が挿入される電池セル収納部19aの内面32aに突部81aが形成されている。電池セル収納部19bの内面32bに突部81bが形成されている。電池セル収納部19eの内面32eに突部81eが形成されている。電池セル収納部19fの内面32fに突部81fが形成されている。個々の突部を区別する必要がないときは、突部81と称する。突部81は、例えば、略円形状に形成される。電池セル収納部19の端部の内面32に、複数の突部が形成されるようにしてもよい。
【0095】
図13Aおよび図13Bの部分拡大図に示すように、例えば、突部81aによってゴムリング21aが押し潰される。なお、図13Aおよび図13Bでは、説明を簡単にするために構成の図示を一部簡略化している。突部81aによって押し潰されることで、特に、突部81aとゴムリング21aとの密着性が向上し、不要な間隙が形成されることを防止できる。内面32aが全面にわたってゴムリング21aを押し潰すことに比べて、ゴムリング21aを押し潰す圧力を局所的に強くすることができる。このため、ゴムリング21aが変形し易くなり、突部81aの周辺とゴムリング21aとの密着性を向上させることができる。
【0096】
ゴムリング21を、電池セル16の正極端子部近傍に着脱自在可能としてもよい。図14Aに例示するように、変形例におけるゴムリング21の穴部41の周辺に、位置決め用のリブが形成される。例えば、3個のリブ85a、リブ85bおよびリブ85cが形成される。ゴムリング21の周囲には壁部86が植立されている。壁部86の先端には、突出部が形成されている。
【0097】
ゴムリング21は、図14Bに例示するようにして電池セル16に装着される。すなわち、リブ85a、リブ85bおよびリブ85cが、トップカバー70の周辺の間隙に挿しこまれる。これにより、ゴムリング21の位置決めがなされる。ゴムリング21の壁部86の先端に形成された突出部が、電池容器60の凹部60aに取り付けられる。壁部86の先端の突出部と、凹部60aとによりアンダーカットが形成されている。電池セル16のトップカバー70の周辺が、ゴムリング21によって密閉されるため、トップカバー70の周辺の間隙からの浸水を防止できる。
【0098】
負極端子部からの樹脂チューブ78を介した浸水を防止するために、正極端子部付近の樹脂チューブを除去してもよい。例えば、図15Aに示すように、正極端子部付近の樹脂チューブがカットされる。ショート防止のために、電池容器60の中央部付近の周面には、樹脂チューブ78が被覆されている。樹脂チューブがカットされることから、リングワッシャが不要なる。このため、電池セルのコストを低減できる。図15Bに示すように、負極端子部付近の樹脂チューブをカットするようにしてもよい。樹脂チューブがカットされるため、電池セル全体の大きさを小さくできる。
【0099】
なお、上述した実施形態および変形例における構成および処理は、技術的矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせることができる。上述した材料、数値、組み立て方法などは一例であり、これらに限定されるものではない。
【0100】
本開示は、以下の構成をとることもできる。
(1)
1または複数の孔部が形成される外装ケースと、
一端面に正極端子部が形成されるとともに、他端面に負極端子部が形成される電池セルと、
前記電池セルが収納される電池セル収納部が複数形成される電池ホルダと、
前記電池ホルダに接合され、端子接触部が形成される金属板と
を有し、
前記電池セル収納部の一端が開放されるとともに、前記電池セル収納部の他端に、開口を有する端部が形成され、
前記電池セルの一端面と、前記電池セル収納部の端部との間に、開口を有する弾性体が配され、
前記弾性体の所定の部分が、前記正極端子部付近の端面と前記端部の内面とにより狭着されるとともに、
前記電池セル収納部の開口から露出する前記弾性体の部分が、前記正極端子部と前記端子接触部付近の前記金属板とによって狭着される電池パック。
(2)
前記端子接触部が、前記金属板を絞り加工することで形成される絞り形状である(1)に記載の電池パック。
(3)
前記弾性体の一面に1または複数の突部が形成される(1)または(2)に記載の電池パック。
(4)
前記弾性体における前記内面と圧接する面およびに前記弾性体における前記金属板と圧接する面に、厚みの異なる複数の突部が形成される(3)に記載の電池パック。
(5)
前記電池セル収納部の内面に、1または複数の突部が形成される(1)乃至(4)のいずれか1に記載の電池パック。
(6)
前記弾性体の開口は、前記端部の開口の大きさに比して小とされるとともに、前記端子接触部の大きさと略等しくされる(1)乃至(5)のいずれか1に記載の電池パック。
(7)
前記弾性体の開口は、第1の開口と、前記第1の開口に連通され、前記第1の開口の大きさに比して小とされる第2の開口とからなり、前記第1の開口の大きさが前記端子接触部と略同一の大きさに設定され、前記第2の開口が前記正極端子部と略同一の大きさに設定される(1)乃至(6)のいずれか1に記載の電池パック。
(8)
(1)乃至(7)のいずれか1に記載の電池パックが再生可能なエネルギーから発電を行う発電装置によって充電される蓄電システム。
(9)
(1)乃至(7)のいずれか1に記載の電池パックに接続される電子機器に、前記電池パックから電力が供給される蓄電システム。
(10)
(1)乃至(7)のいずれか1に記載の電池パックから電力の供給を受ける電子機器。
(11)
(1)乃至(7)のいずれか1に記載の電池パックから電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、前記蓄電システムに関する情報に基づいて、車両制御に関する情報処理を行う制御装置とを有する電動車両。
(12)
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部とを備え、
前記電力情報送受信部が受信した情報に基づき、(1)乃至(7)のいずれか1に記載の電池パックの充放電制御を行う電力システム。
(13)
(1)乃至(7)のいずれか1に記載の電池パックから電力の供給を受け、または、発電装置または電力網から前記電池パックに電力を供給する電力システム。
【0101】
<3.応用例>
以下、蓄電システムの応用例について説明する。なお、蓄電システムの応用例は、以下に説明する応用例に限られることはない。
【0102】
「応用例としての住宅における蓄電システム」
本開示を住宅用の蓄電システムに適用した例について、図16を参照して説明する。例えば住宅101用の蓄電システム100においては、火力発電102a、原子力発電102b、水力発電102c等の集中型電力系統102から電力網109、情報網112、スマートメータ107、パワーハブ108等を介し、電力が蓄電装置103に供給される。これと共に、家庭内発電装置104等の独立電源から電力が蓄電装置103に供給される。蓄電装置103に供給された電力が蓄電される。蓄電装置103を使用して、住宅101で使用する電力が給電される。住宅101に限らずビルに関しても同様の蓄電システムを使用できる。
【0103】
住宅101には、発電装置104、電力消費装置105、蓄電装置103、各装置を制御する制御装置110、スマートメータ107、各種情報を取得するセンサ111が設けられている。各装置は、電力網109および情報網112によって接続されている。発電装置104として、太陽電池、燃料電池、風車等が利用され、発電した電力が電力消費装置105および/または蓄電装置103に供給される。電力消費装置105は、冷蔵庫105a、空調装置105b、テレビジョン受信機105c、風呂105d等である。さらに、電力消費装置105には、電動車両106が含まれる。電動車両106は、電気自動車106a、ハイブリッドカー106b、電気バイク106cである。電動車両106は、電動アシスト自転車等でもよい。
【0104】
蓄電装置103は、二次電池又はキャパシタから構成されている。例えば、リチウムイオン二次電池によって構成されている。リチウムイオン二次電池は、定置型であっても、電動車両106で使用されるものでも良い。この蓄電装置103に対して、上述した本開示の電池パックが適用可能とされる。スマートメータ107は、商用電力の使用量を検出し、検出された使用量を、電力会社に送信する機能を備えている。電力網109は、直流給電、交流給電、非接触給電の何れか一つまたは複数を組み合わせても良い。
【0105】
各種のセンサ111は、例えば人感センサ、照度センサ、物体検知センサ、消費電力センサ、振動センサ、接触センサ、温度センサ、赤外線センサ等である。各種センサ111により取得された情報は、制御装置110に送信される。センサ111からの情報によって、気象の状態、人の状態等が把握されて電力消費装置105を自動的に制御してエネルギー消費を最小とすることができる。さらに、制御装置110は、住宅101に関する情報を、インターネットを介して外部の電力会社等に送信することができる。
【0106】
パワーハブ108によって、電力線の分岐、直流交流変換等の処理がなされる。制御装置110と接続される情報網112の通信方式としては、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter:非同期シリアル通信用送受信回路)等の通信インタフェースを使う方法、Bluetooth(登録商標)、ZigBee、Wi−Fi等の無線通信規格によるセンサネットワークを利用する方法がある。Bluetooth方式は、マルチメディア通信に適用され、一対多接続の通信を行うことができる。ZigBeeは、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers) 802.15.4の物理層を使用するものである。IEEE802.15.4は、PAN(Personal Area Network) またはW(Wireless)PANと呼ばれる短距離無線ネットワーク規格の名称である。
【0107】
制御装置110は、外部のサーバ113と接続されている。このサーバ113は、住宅101、電力会社、サービスプロバイダーの何れかによって管理されていても良い。サーバ113が送受信する情報は、たとえば、消費電力情報、生活パターン情報、電力料金、天気情報、天災情報、電力取引に関する情報である。これらの情報は、家庭内の電力消費装置(たとえばテレビジョン受信機)から送受信しても良いが、家庭外の装置(たとえば、携帯電話機等)から送受信しても良い。これらの情報は、表示機能を持つ機器、たとえば、テレビジョン受信機、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)等に、表示されても良い。
【0108】
各部を制御する制御装置110は、CPU、RAM、ROM等で構成され、この例では、蓄電装置103に格納されている。制御装置110は、蓄電装置103、家庭内発電装置104、電力消費装置105、各種センサ111、サーバ113と情報網112により接続され、例えば、商用電力の使用量と、発電量とを調整する機能を有している。なお、その他にも、電力市場で電力取引を行う機能等を備えていても良い。
【0109】
以上のように、電力が火力102a、原子力102b、水力102c等の集中型電力系統102のみならず、家庭内発電装置104(太陽光発電、風力発電)の発電電力を蓄電装置103に蓄えることができる。したがって、家庭内発電装置104の発電電力が変動しても、外部に送出する電力量を一定にしたり、または、必要なだけ放電するといった制御を行うことができる。例えば、太陽光発電で得られた電力を蓄電装置103に蓄えると共に、夜間は料金が安い深夜電力を蓄電装置103に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電装置103によって蓄電した電力を放電して利用するといった使い方もできる。
【0110】
なお、この例では、制御装置110が蓄電装置103内に格納される例を説明したが、スマートメータ107内に格納されても良いし、単独で構成されていても良い。さらに、蓄電システム100は、集合住宅における複数の家庭を対象として用いられてもよいし、複数の戸建て住宅を対象として用いられてもよい。
【0111】
「応用例としての車両における蓄電システム」
本開示を車両用の蓄電システムに適用した例について、図17を参照して説明する。図11に、本開示が適用されるシリーズハイブリッドシステムを採用するハイブリッド車両の構成の一例を概略的に示す。シリーズハイブリッドシステムはエンジンで動かす発電機で発電された電力、あるいはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、電力駆動力変換装置で走行する車である。
【0112】
このハイブリッド車両200には、エンジン201、発電機202、電力駆動力変換装置203、駆動輪204a、駆動輪204b、車輪205a、車輪205b、バッテリー208、車両制御装置209、各種センサ210、充電口211が搭載されている。バッテリー208に対して、上述した本開示の電池パックが適用される。
【0113】
ハイブリッド車両200は、電力駆動力変換装置203を動力源として走行する。電力駆動力変換装置203の一例は、モータである。バッテリー208の電力によって電力駆動力変換装置203が作動し、この電力駆動力変換装置203の回転力が駆動輪204a、204bに伝達される。なお、必要な個所に直流−交流(DC−AC)あるいは逆変換(AC−DC変換)を用いることによって、電力駆動力変換装置203が交流モータでも直流モータでも適用可能である。各種センサ210は、車両制御装置209を介してエンジン回転数を制御したり、図示しないスロットルバルブの開度(スロットル開度)を制御したりする。各種センサ210には、速度センサ、加速度センサ、エンジン回転数センサなどが含まれる。
【0114】
エンジン201の回転力は発電機202に伝えられ、その回転力によって発電機202により生成された電力をバッテリー208に蓄積することが可能である。
【0115】
図示しない制動機構によりハイブリッド車両が減速すると、その減速時の抵抗力が電力駆動力変換装置203に回転力として加わり、この回転力によって電力駆動力変換装置203により生成された回生電力がバッテリー208に蓄積される。
【0116】
バッテリー208は、ハイブリッド車両の外部の電源に接続されることで、その外部電源から充電口211を入力口として電力供給を受け、受けた電力を蓄積することも可能である。
【0117】
図示しないが、二次電池に関する情報に基いて車両制御に関する情報処理を行なう情報処理装置を備えていても良い。このような情報処理装置としては、例えば、電池の残量に関する情報に基づき、電池残量表示を行う情報処理装置などがある。
【0118】
なお、以上は、エンジンで動かす発電機で発電された電力、或いはそれをバッテリーに一旦貯めておいた電力を用いて、モータで走行するシリーズハイブリッド車を例として説明した。しかしながら、エンジンとモータの出力がいずれも駆動源とし、エンジンのみで走行、モータのみで走行、エンジンとモータ走行という3つの方式を適宜切り替えて使用するパラレルハイブリッド車に対しても本開示は有効に適用可能である。さらに、エンジンを用いず駆動モータのみによる駆動で走行する所謂、電動車両に対しても本開示は有効に適用できる。
【符号の説明】
【0119】
1・・・電池パック
10a、10b・・・外装ケース
16・・・電池セル
19・・・電池セル収納部
21・・・ゴムリング
18a、18b・・・電池ホルダ
23・・・金属板
32・・・内面
70・・・トップカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の孔部が形成される外装ケースと、
一端面に正極端子部が形成されるとともに、他端面に負極端子部が形成される電池セルと、
前記電池セルが収納される電池セル収納部が複数形成される電池ホルダと、
前記電池ホルダに接合され、端子接触部が形成される金属板と
を有し、
前記電池セル収納部の一端が開放されるとともに、前記電池セル収納部の他端に、開口を有する端部が形成され、
前記電池セルの一端面と、前記電池セル収納部の端部との間に、開口を有する弾性体が配され、
前記弾性体の所定の部分が、前記正極端子部付近の端面と前記端部の内面とにより狭着されるとともに、
前記電池セル収納部の開口から露出する前記弾性体の部分が、前記正極端子部と前記端子接触部付近の前記金属板とによって狭着される電池パック。
【請求項2】
前記端子接触部が、前記金属板を絞り加工することで形成される絞り形状である請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記弾性体の一面に1または複数の突部が形成される請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記弾性体における前記内面と圧接する面およびに前記弾性体における前記金属板と圧接する面に、厚みの異なる複数の突部が形成される請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記電池セル収納部の内面に、1または複数の突部が形成される請求項1に記載の電池パック。
【請求項6】
前記弾性体の開口は、前記端部の開口の大きさに比して小とされるとともに、前記端子接触部の大きさと略等しくされる請求項1に記載の電池パック。
【請求項7】
前記弾性体の開口は、第1の開口と、前記第1の開口に連通され、前記第1の開口の大きさに比して小とされる第2の開口とからなり、前記第1の開口の大きさが前記端子接触部と略同一の大きさに設定され、前記第2の開口が前記正極端子部と略同一の大きさに設定される請求項1に記載の電池パック。
【請求項8】
請求項1に記載の電池パックが再生可能なエネルギーから発電を行う発電装置によって充電される蓄電システム。
【請求項9】
請求項1に記載の電池パックに接続される電子機器に、前記電池パックから電力が供給される蓄電システム。
【請求項10】
請求項1に記載の電池パックから電力の供給を受ける電子機器。
【請求項11】
請求項1に記載の電池パックから電力の供給を受けて車両の駆動力に変換する変換装置と、前記蓄電システムに関する情報に基づいて、車両制御に関する情報処理を行う制御装置とを有する電動車両。
【請求項12】
他の機器とネットワークを介して信号を送受信する電力情報送受信部とを備え、
前記電力情報送受信部が受信した情報に基づき、請求項1に記載の電池パックの充放電制御を行う電力システム。
【請求項13】
請求項1に記載の電池パックから電力の供給を受け、または、発電装置または電力網から前記電池パックに電力を供給する電力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−73864(P2013−73864A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213773(P2011−213773)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】