説明

電池モジュール

電池セルの電極端子が互いに直列に接続されかつセルが積み重ねられるように端子接続が曲げられたスタック構造で組み立てられたユニットセルとしての2以上の板状電池セルと、互いに結合されたときにセルの外部表面を囲繞する1対の高強度セルカバーと、を含む電池モジュールを本明細書で開示する。本発明はセルの低機械強度を補強しかつモジュールに対するセルの動作状態を感知しながらその重量とサイズとを最小限にすることができる感知ユニットを容易に取り付ける効果を有する。さらに機械的結合および電気的接続のために複数の部材を使用しない簡単な組立プロセスによってモジュールを製造する効果を有し、ゆえにモジュールの製造コストを下げかつその製造または動作中のモジュールの短絡または損傷を防止する。さらに本モジュールをユニットボディとして使用して所望の出力と容量とを有する中または大型電池システムを製造する効果を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極端子がその上端部および下端部に形成された板状電池セルを含む電池モジュールに関し、より詳細には、電池セルの電極端子が互いに直列に接続され、かつ電池セルが積み重ねられるようにその電極端子接続が曲げられているスタック構造で組み立てられた2以上の電池セルと、互いに結合されたとき電池セルの電極端子を除いて電池セルの外部表面を囲繞する1対の高強度セルカバーとを含む電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、無線移動デバイス用のエネルギー源として、充放電可能である二次電池が広く使用されている。また、二次電池は、化石燃料を使用する既存のガソリンおよびディーゼル自動車によって引き起こされる空気汚染などの問題を解決するために開発された電気自動車(EV)およびハイブリッド電気自動車(HEV)用のエネルギー源としてかなりの注意を集めている。
【0003】
小型移動デバイスは、各デバイスに1つまたはいくつかの小型電池セルを使用する。他方で、自動車などの中または大型デバイスは、高出力大容量が中または大型デバイスに必要なので、互いに電気的に接続された複数の電池セルを備える中または大型電池モジュールを使用する。
【0004】
好ましくは、中または大型電池モジュールは、可能であれば小サイズかつ小重量で製造される。この理由のために、通常、高集積に積み重ね可能で小さな重量対容量比を有する角形電池またはポーチ状電池が、中または大型電池モジュールの電池セルとして使用される。特に、外装部材としてアルミニウム積層シートを使用するポーチ状電池に、現在多くの関心が生じている。その理由は、ポーチ状電池の重量が小さく、かつポーチ状電池の製造コストが低いからである。
【0005】
図1は、従来の代表的なポーチ状電池を典型的に示す視斜視図である。図1に示されたポーチ状電池100は、2つの電極リード線110および120が電池本体130の上端部および下端部からそれぞれ突き出し、一方で、これらの電極リード線110および120は互いに反対側にある構造で組み立てられる。外装部材140は、上部外装部分および下部外装部分を備える。すなわち、外装部材140は、2ユニット部材である。電極組立品(図示されない)は、外装部材140の上部外装部分と下部外装部分の間に画定される収容部分に収容される。外装部材140の上部外装部分と下部外装部分の接触領域である相対する側部140aおよび上端部140bおよび下端部140cは、互いに接着され、それによってポーチ状電池100が製造される。外装部材140は、樹脂層/金属膜層/樹脂層の積層構造で組み立てられる。結果として、互いに接触する外装部材140の上部外装部分および下部外装部分の相対する側部140aおよび上端部140bおよび下端部140cを、これらの部分の樹脂層を互いに溶着するように外装部材140の上部外装部分および下部外装部分の相対する側部140aおよび上端部140bおよび下端部140cに熱および圧力を加えることによって、互いに接着することができる。状況に応じて、外装部材140の上部外装部分および下部外装部分の相対する側部140aおよび上端部140bおよび下端部140cは、接着剤を使用して互いに接着されることがある。外装部材140の相対する側部140aでは、外装部材140の上部外装部分と下部外装部分の同じ樹脂層が互いに直接接触し、それによって、外装部材140の相対する側部140aでの一様な密封が溶着によって達成される。他方で、外装部材140の上端部140bおよび下端部140cでは、電極リード線110および120が、外装部材140の上端部140bおよび下端部140cからそれぞれ突き出ている。この理由のために、外装部材140の上部外装部分および下部外装部分の上端部140bおよび下端部140cは互いに熱的に溶着され、一方で、電極リード線110および120の厚さおよび電極リード線110および120と外装部材140の間の材料の違いを考慮して、外装部材140の密封能力を高めるために、電極リード線110および120と外装部材140の間に膜状密封部材160が挿入される。
【0006】
しかし、外装部材140の機械的強度は低い。この問題を解決するために、安定な構造を持つ電池モジュールを製造するように電池セル(ユニットセル)をカートリッジなどのパックケース中に取り付ける方法が提案された。しかし、中または大型電池モジュールが設置されるデバイスまたは自動車は、限られた設置スペースを有している。結果として、カートリッジなどのパックケースの使用によって電池モジュールのサイズが大きくなるとき、空間利用率は低下する。また、低機械強度のために、電池セルの充放電中に、電池セルは繰り返して膨張し収縮する。その結果として、外装部材の熱溶着領域は、容易に、互いに分離することがある。
【0007】
電池セルの安全性を保証するために、セルカバーを使用してポーチ状電池セルの外部表面を覆ういくつかの技術が提案されている。
【0008】
例えば、特許文献1は、板状積層電池セルの相対する主表面を支持するために、同じ弾性を有する1対の弾性部分を含むセルカバーを開示している。
【0009】
この開示は、凹面形状に曲がったセルカバーを使用して電池セルの相対する主表面を弾性的に押す構造を提案している。しかし、電池セルの外部表面にセルカバーを追加して取り付けることによって、電池セルの全体的なサイズが必然的に増す。また、上述の構造を有するセルカバーの中に電池セルが挿入される必要がある。その結果として、組立プロセスは容易に行われず、したがって大量生産は困難である。すなわち、電池セルがセルカバーの中に強制的に挿入されたとき、過剰な負荷が電池セルに加えられ、その結果、電池セルが損傷を受けることがある。
【0010】
一方では、電池モジュールは、互いに組み合わされた複数の電池セルを含む構造体であるので、電池セルのいくつかで過電圧、過電流および過熱が生じたとき、電池モジュールの安全性および動作効率が低下する。したがって、過電圧、過電流および過熱を感知する感知ユニットが必要とされる。特に、実時間または所定の時間間隔で電池セルの動作を感知し制御するように、電圧および温度センサが電池セルに接続される。しかし、感知ユニットの取付けまたは接続は、電池モジュールの組立プロセスを複雑にする。さらに、感知ユニットの取付けまたは接続のために必要な複数の線を取り付けるために、短絡が起こることがある。
【0011】
さらに、複数の電池セルまたは、所定の数の電池セルを各々含む複数のユニットモジュールを使用して、中または大型電池モジュールが組み立てられるとき、電池セルまたはユニットモジュール間の機械的結合および電気的接続を行うための複数の部材が必要とされ、機械的結合および電気的接続用部材を組み立てるプロセスは、非常に複雑である。さらに、機械的結合および電気的接続用部材を結合、溶着、または半田付けするためのスペースが必要とされ、その結果、システムの全体的なサイズは増すことになる。システムのサイズの増大は、上述の態様では好ましくない。したがって、コンパクトで構造的に安定な電池モジュールの必要性が高い。
【特許文献1】日本特許出願公開第2005-108693号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、上記の問題およびまだ解決されていない他の技術的問題を解決するために、本発明がなされた。
【0013】
特に、本発明の目的は、電池セルの低機械強度を効果的に補強しながら電池セルの重量およびサイズを最小限にし、かつ追加の結合部材を使用することなしに電池モジュールに容易に結合されるセルカバーを提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、機械的結合および電気的接続に複数の部材を使用することなしに簡単な組立プロセスによって製造され、それによって電池モジュールの製造コストが下げられ、さらに、電池モジュールの製造または動作中の短絡または損傷が効果的に防止された電池モジュールを提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、中または大型電池システムが所望の出力および容量を有するように、電池モジュールをユニットボディとして使用して製造される中または大型電池システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様に従って、上述および他の目的は、上端部および下端部に形成された電極端子を有する板状電池セルを含む電池モジュールを実現することによって達成することができ、この電池モジュールは、電池セルの電極端子が互いに直列に接続され、かつ電池セルが積み重ねられるように電極端子接続が曲げられているスタック構造で組み立てられた2以上の電池セルと、互いに結合されたとき、電池セルの電極端子を除いて電池セルの外部表面を囲繞する1対の高強度セルカバーと、を備える。
【0017】
本発明に従った電池モジュールでは、高強度セルカバーは、低機械強度を有する電池セルを保護しながら、電池セルの充放電中の電池セルの繰返し膨張収縮変化を抑制し、それによって、電池セルの密封領域間の分離を防ぐ。
【0018】
好ましい実施形態では、セルカバーは、電池セルスタックの外部形状に対応する内側構造を有し、セルカバーは、追加の結合部材を使用することなしに、組立品結合方式で互いに結合される。例えば、セルカバーが押され、同時にセルカバーが互いに向かい合うようにセルカバーが互いに接触するとき、セルカバーが弾性結合によって互いに係合し合うことができるように、セルカバーは、縦断面がほぼ対称に形成された対称曲げ構造で組み立てられ結合部分を有してよい。
【0019】
板状電池セルは、二次電池が電池モジュールを組み立てるように積み重ねられたとき二次電池の全体的なサイズが最小限であるような具合に、小さな厚さおよび比較的大きな幅と長さを有する二次電池である。好ましい実施形態では、各板状電池セルは、樹脂層および金属層を含む積層シートから作られた電池ケース中に電極組立品が取り付けられる構造で組み立てられた二次電池であり、電極端子は、電池ケースの上端部および下端部から突き出ている。特に、各電池セルは、アルミニウム積層シートから作られたポーチ状電池ケースの中に電極組立品が取り付けられる構造で組み立てられる。以後、上述の構造を有する二次電池はポーチ状電池セルと呼ばれる。
【0020】
ポーチ状電池セルのケースは、様々な構造で組み立てられることがある。例えば、ポーチ状電池の外装部材は、電極組立品が2ユニット部材の上部内部表面および/または下部内部表面に形成された収容部分の中に収容され、さらに上部接触領域と下部接触領域が密封される構造で組み立てられることがある。上述の構造を有するポーチ状電池セルは、PCT国際出願第PCT/KR2004/003312号に開示され、この出願は、本特許出願の出願者の名前で出願された。上述の特許出願の開示は、これによって、あたかも本明細書で完全に示されたかのように参照して組み込まれる。
【0021】
電極組立品は陰極および陽極を備え、これらによって電池の充電および放電が可能である。電極組立品は、陰極と陽極が積み重ねられ、また陰極と陽極の間にセパレータがそれぞれ配置される構造で組み立てられることがある。例えば、電極組立品は、ジェリーロール型構造またはスタック型構造で組み立てられることがある。電極組立品の陰極および陽極は、陰極の電極タップと陽極の電極タップが電池から直接外に突き出るように組み立てられることがある。代わりに、電極組立品の陰極および陽極は、陰極の電極タップと陽極の電極タップが追加のリード線に接続され、そのリード線が電池から外へ突き出るように組み立てられることがある。
【0022】
電池セルは、1つの電池モジュールの中で互い直列および/または並列に接続され、または、1つの電池モジュール中の電池セルは、他の電池モジュールの電池セルと直列および/または並列に接続される。好ましい実施形態では、電池セルの電極端子が連続して互いに隣接するような具合に電池セルを縦方向に直列に配列し、電池セルが互いに接触しながら積み重ねられるように電池セルを2個以上ずつ曲げ、さらに積み重ねられた電池セルを所定の数ずつセルカバーで囲繞しながら、電池セルの電極端子を互いに結合することによって、複数の電池モジュールが製造される。
【0023】
電極端子間の結合は、溶着、半田付け、および機械的結合などの様々なやり方で達成される。好ましくは、電極端子間の結合は溶着によって達成される。
【0024】
電池セルの縁密封部分の中で側部密封部分は、側部密封部分がケースの内部形状とほぼ一致するように曲げられる。その結果として、空間利用率が改善され、したがって、コンパクトな構造を有する電池モジュールを製造することができる。
【0025】
熱は、二次電池の充放電中に二次電池から発生されるので、発生された熱を外部に効果的に放散することは、電池の寿命を延ばすために決定的に重要である。したがって、セルカバーは、セルカバー中のユニットセルから発生された熱が容易に外部に放出されるように、高熱伝導率を有する金属シートから作られることがある。
【0026】
好ましい実施形態では、各セルカバーは、それの外部表面に、互いに離れて間隔を開けて横方向(幅方向)に配置された複数の線状突出部を備える。好ましくは、線状突出部の少なくとも1つは、サーミスタが取り付けられる凹みを有する。特に、凹みは、対応する電池セルの温度を非常に敏感に測定するために、各セルカバーの中心領域に位置付けされた線状突出部の中心領域に形成されることがある。
【0027】
また、線状突出部の中で上端部および下端部の突出部は、好ましくは逆の形で形成された突出部分を有することがある。これらの突出部分は、電池モジュールが積み重ねられたとき隣接する電池モジュールの突出部分に対応する形で形成され、それによって、電池モジュールが反対に積み重ねられ、または互いにずれるのを防止する。
【0028】
好ましくは、突出部分を有する突出部は、突出部分のまわりに非連続構造で配列される。この場合、冷却剤(例えば、空気)は、電池モジュールが積み重ねられているときセルカバーの横方向だけでなく縦方向にも流れ、それによって冷却効率がさらに改善される。
【0029】
状況に応じて、突出部の大部分は、突出部の相対する端の間の長さがセルカバーの幅よりも小さいように組み立てられることがある。この場合、セルカバーの縦方向の冷却剤の流れは、さらに加速される。
【0030】
セルカバーは、セルカバーがフレーム部材に結合されるとき電池モジュールを容易に固定するために、側端に所定のサイズの段状部分を備える。好ましくは、セルカバーは、それの上端部および下端部に隣接した外部表面に、電池モジュールを容易に固定するための所定のサイズの段状部分を備える。状況に応じて、セルカバーは、それの相対する側部に隣接した外部表面に、電池モジュールを容易に固定するための所定のサイズの段状部分を備える。より好ましくは、段状部分は、電池モジュールをより確実に固定するために、セルカバーの上端部および下端部および相対する側部に隣接した外部表面に形成される。
【0031】
本発明の他の態様に従って、本電池モジュールをユニットボディとして使用して製造された中または大型電池パックが提供される。
【0032】
中または大型電池パックは、高出力大容量の電気エネルギーを供給するように複数の二次電池を電気的機械的に接続して製造される。例えば、中または大型電池パックは、そのスタックが横方向に立てられるように2以上の電池モジュールのスタックをパックフレームに取り付けることによって、製造されることがある。
【0033】
好ましい実施形態では、パックフレームは、電池モジュールスタックが横方向に立てられながら取り付けられる下部フレームと、この下部フレームに結合された上部フレームを含む。
【0034】
好ましくは、電池モジュールが上部および下部フレーム部材に取り付けられた後で上部および下部フレーム部材が互いに結合されたとき、電池モジュールの容易な熱放散を達成するために、上部および下部フレーム部材は、電池モジュールの縁を囲繞し、かつ電池モジュールの外部表面を外部に露出させる構造で組み立てられる。特に、上部および下部フレーム部材は、電池モジュールの縁が上部および下部フレーム部材に固定されるように、横方向に開いている。
【0035】
好ましい実施形態では、上部および下部フレーム部材は、その内側に、それぞれのユニットモジュールの垂直方向取付け作業を案内する複数の仕切りを備える。これらの仕切りは、ユニットモジュールの縁が溝に挿入されるように上部および下部フレーム部材の内側に形成された溝および/またはユニットモジュールの縁が溝にしっかり取り付けられるのを手助けする仕切り壁を含むことがある。
【0036】
ユニットモジュールを上部および下部フレーム部材の一方(例えば、下部フレーム部材)に取り付け、かつ他方のフレーム部材(例えば、上部フレーム部材)をユニットモジュールが取り付けられるフレーム部材に結合することによって、上部フレーム部材と下部フレーム部材は、互いに結合される。上部フレーム部材と下部フレーム部材の間の結合は、様々なやり方で達成されることがある。例えば、フレーム部材の一方にフックが形成されることがあり、このフックに対応する結合穴が他方のフレーム部材に形成されることがあり、それによって、上部フレーム部材と下部フレーム部材の間の結合は、追加の結合部材を使用することなしに達成される。
【0037】
複数の電池セルを含む電池パックでは、電池モジュールの安全性および動作効率を考慮して電池セルの電圧および温度を測定し制御することが必要である。この理由のために、電池セルの電圧または温度を測定する感知部材を取り付けることは、電池パックの構造をさらに複雑にする主要な要素の1つである。
【0038】
上述の問題は、本発明に従って、電池セルの電圧および/または温度を感知するためにフレーム部材の1つに沿って取り付けられた感知ユニットを設けることによって、解決されることがある。
【0039】
上部および下部フレーム部材に取り付けられた電池モジュールの中で最も外側の電池モジュールの電極端子は、外部回路または隣接した電池モジュールの電極端子に電気的に接続される。この目的のために、入力および出力端子母線が、最も外側の電池モジュールの電極端子に接続される。好ましい実施形態では、これらの母線は結合穴を備え、フレーム部材の少なくとも1つが、その外側に、結合穴に対応する結合突出部を備え、それによって、母線は電極端子に容易にしっかり取り付けられる。
【0040】
本発明に従った中または大型電池パックは、さらに、電池モジュールの動作を制御するデバイス(いわゆる電池管理システム)を備える。好ましくは、電池管理システム(BMS)は、入力および出力端子母線が位置付けされた側と反対の側(電池モジュールの後ろ)に取り付けられる。中または大型電池システムを組み立てるために複数の電池パックが使用されるとき、以下で説明されるように、それぞれの電池パックに取り付けられたBMSは、「スレーブBMS」であると言われる。
【0041】
本発明に従った中または大型電池パックは、コンパクト構造で組み立てられ、中または大型電池パックの機械的結合および電気的接続は、複数の部材を使用することなしに安定して達成される。また、所定の数の電池セル、例えば、4,6,8、または10個の電池セルを使用して電池パックを組み立て、それによって、必要な数の電池パックを限られたスペースに効果的に取り付けることができる。
【0042】
本発明のさらなる態様に従って、高出力大容量を有する中または大型電池システムが提供され、この電池システムは、複数の電池パックを接続することによって組み立てられる。
【0043】
本発明に従った中または大型電池システムは、所望の出力および容量に基づいて電池パックを組み合わせることによって製造されることがある。本発明に従った電池システムは、好ましくは、本電池システムの設置効率および構造的安定性を考慮して、限られた設置スペースを有し、かつ頻発する振動および強い衝撃にさらされる電気自動車、ハイブリット電気自動車、電気オートバイ、または電気自転車に使用される。
【0044】
本発明の上記および他の目的、特徴および他の有利点は、添付の図面にと共に解釈される以下の詳細な説明からいっそう明らかに理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
今、本発明の好ましい実施形態が、添付の図面に関連して詳細に説明される。しかし、留意されるべきことであるが、本発明の範囲は、例示の実施形態によって限定されない。
【0046】
図2から10は、本発明の好ましい実施形態に従って電池モジュールを組み立てるプロセスを典型的に示す図であり、図11から13は、この電池モジュールを使用して中または大型電池パックを組み立てるプロセスを示す斜視図である。
【0047】
先ず図2を参照すると、2つのポーチ状電池セル100aおよび100bの電極端子120が互いに隣接し、電池セル100aと100bの電極端子120が溶着によって互いに結合され、さらに電池セル100aと100bが互いに重なり合うように電池セル100aと100bが折り重ねられるように、これらの電池セル100aおよび100bは縦方向に直列に配列される。図3から理解できることであるが、重ね合わされた電池セル100aおよび100bを含む電池セルスタック100'を組み立てるために、重ね合わされた電池セル100aおよび100bの溶着電極端子120は、「[」の形に曲げられる。
【0048】
図4および5は、セルカバー200、特にセルカバー200の左カバー部分211を示す斜視図である。左カバー部分211は、電池セルスタック100'の外部形状に対応した内側構造を有する(図3を参照されたい)。左カバー部分211の中心領域に、電池セル100の温度を感知するサーミスタ560が取り付けられる。サーミスタ560は、ケーブル561を介して外部電池管理システム(BMS)562に接続される。サーミスタ560は、サーミスタ560が左カバー部分211の外側または内側に取り付けられる構造で左カバー部分211に取り付けられる。
【0049】
好ましくは、サーミスタの取付けは、電池モジュールの組立後に行われる。しかし、状況に応じて、サーミスタの取付けは、電池モジュールの組立中に行われる。左カバー部分211と結合される右カバー部分(図示されない)は、左カバー部分211と同じ形に組み立てられてもよい。
【0050】
図6は、電池セルスタック100'の外部表面全体を囲繞する構造で組み立てられた高強度セルカバー200を示す図である。高強度セルカバー200は、低機械強度を有する電池セルを保護しながら、電池セルの充放電中の電池セルの繰返し膨張収縮変化を抑制し、それによって、電池セルの密封領域間の分離を防ぐ。セルカバー200は、1対の左カバー部分211と右カバー部分212を含む。左カバー部分211と右カバー部分212は、追加の結合部材を使用することなしに結合されることがある。サーミスタ560(図4を参照されたい)は、セルカバー200を構成する各カバー部分の中心領域に取り付けられる。サーミスタ560は、ケーブルを介して外部コネクタ(図示されない)に接続される。
【0051】
セルカバー200の結合構造は、図7に詳細に示されている。図7は、セルカバー200の断面図および部分拡大図を示す。図7を参照すると、セルカバー部分211および212が押され、同時にセルカバー部分211および212が互いに向かい合うようにセルカバー部分211および212が互いに接触するとき、セルカバー部分211および212が互いに弾性結合によって係合し合うことができるように、セルカバー部分211および212は、縦断面がほぼ対称に形成された対称曲げ構造221および222の中に組み立てられた結合部分を有する。その結果、追加の結合部材を使用することなしにセルカバー部分211と212の間に強い機械的結合を達成することができる。この簡単な結合方法は、大量生産にいっそう適切に使用される。
【0052】
図8は、本発明に従ったユニット電池モジュールを示す斜視図である。セルカバー200は、重ね合わされた電池セル100の弱い機械的特性を補強するために、電池セルスタック100の外部表面に取り付けられる。電池セル100の一方の側の電極端子120が「[」の形で曲げられ、かつ電池セル100の他方の側の電極端子121が隣接するユニット電池モジュールの電極端子に結合されるように電池セル100の他方の側の電極端子121が外へ曲げられるように、電池セルの一方の側の電極端子は、互いに溶着によって結合される。
【0053】
セルカバー200は、電池セルの電極端子領域を除いた電池セルスタックの外部表面全体を囲繞するように互いに結合された1対の高強度金属シートから作られる。
【0054】
セルカバー200の相対する側に段状部分240が形成され、これらの段状部分240によって電池モジュールは容易に固定される。セルカバー200の上端部および下端部にも、段状部分240と同じ機能を有する段状部分250が形成される。さらに、電池モジュールが縦方向固定部分260によって容易に固定されるように、縦方向固定部分260が、セルカバー200の上端部および下端部に形成される。セルカバー200は、その外部表面に、横方向で互いに離れて間隔を開けて配置された複数の線状突出部を備える。セルカバーの中心領域に形成された突出部は、凹み233を有し、この凹み233の中にサーミスタ(図示されない)が取り付けられる。線状突出部の中で、上端部および下端部の突出部は、逆の形に形成された突出部分231および232を有する。
【0055】
図9は、積み重ねられた複数のユニット電池モジュール300を含む中または大型電池モジュール400を示す斜視図である。本発明に従って、4つのユニット電池モジュール300が1つの中または大型電池モジュール400を構成する。その結果、合計8つの電池セルが中または大型電池モジュール400の中に含まれる。最も外側のユニット電池モジュール300の上端電極端子121は、この電極端子121が残りの電極端子よりも僅かに突き出るように「¬」の断面形状で内側に曲げられる。
【0056】
図10は、本発明に従った中または大型電池モジュールを組み立てるプロセスを典型的に示す。最初に、2つのポーチ状電池セルが、電池セルの電極端子が連続して互いに隣接するように縦方向に直列に配列され、それから電池セルの電極端子が溶着で互いに結合される[1]。電池セル、すなわち互いに結合された電池セルの電極端子が、電池セルが互いに重なり合うように折り重ねられて、電池セルスタックを組み立てる。このとき、重ね合わされた電池セルの溶着電極端子は、「[]の形に曲げられる[2]。その後、2つの左および右金属シートから作られたセルカバーが、ユニット電池モジュールを製造するように電池セルスタックに取り付けられる[3]。上述のように製造された複数のユニット電池モジュールが積み重ねられ、ユニット電池モジュールの電極端子が、中または大型電池モジュールを製造するように互いに接続される[4]。
【0057】
図11は、中または大型電池モジュールを電池パックフレームに取り付けるプロセスを典型的に示す分解組立斜視図である。中または大型電池モジュール500は、積み重ねられた複数のユニット電池モジュール400を含み、一方で、ユニット電池モジュール400は互いに密着接触している。母線540が電池パック500の前部分に位置付けされ、さらにBMS550が電池パック500の後ろ部分に位置付けされる。母線540は、線、金属板、プリント回路基板(PCB)、または可撓性PCBなどの接続部材(図示されない)を介して電気的に接続されてもよい。母線540の外側に、接続部材の取付けおよび保護用の前カバー530が取り付けられる。
【0058】
図12は、組み立てられた電池パック500の右側斜視図であり、図13は、組み立てられた電池パック500の左側斜視図である。
【0059】
図12を参照すると、組み立てられた電池パック500aが一方の側の斜視図で示されている。電池パック500aの上部フレーム520の最上部には、電池パック500aが所定の位置に設置されるような具合に電池パック500aの位置を固定するための凹凸部分521および固定ねじが挿入される挿入部分522が形成されている。上部および下部フレーム部材520および510に取り付けられたユニットモジュールの中で最も外側のユニットモジュールの電極端子は、外部回路または隣接した電池モジュールに電気的に接続される必要がある。この理由のために、外部入出力端子母線540は、最も外側のユニットモジュールの電極端子に接続される。母線540がそれぞれの電極端子に取り付けられるために、母線は、上部フレーム520の外側に形成された結合突出部531が挿入されて貫通する結合穴を備える。その結果、振動または衝撃が電池パックに加えられたとき、母線540は、それぞれの電極端子にしっかり取り付けられている。
【0060】
下部フレーム510の下端部に、前カバー530を固定するための突出部511が形成されている(図11を参照されたい)。前カバー530に、電力ケーブルを固定するための固定穴532が形成されているが(図11を参照されたい)、これは前に説明された。また、段状部分240は、電池モジュールの端部に形成され、したがって、電池モジュールはパックフレームに固定され、同時に、電池モジュールは、パックフレーム中に3mmだけ挿入されている。
【0061】
図13を参照すると、組み立てられた電池パック500bが他方の側の斜視図で示されている。電池パック500bの1つの側には、2つのコネクタが取り付けられている。これらのコネクタの一方は、セルカバーの内側に取り付けられ、サーミスタ穴561を通って延びるサーミスタ(図示されない)に接続されたケーブルが接続されるサーミスタコネクタ562である。他方のコネクタは、電池モジュールの動作を制御するためのケーブルが接続されるケーブルコネクタ570である。ケーブルコネクタ570は、サーミスタコネクタ562に隣接して位置付けされている。下部フレーム510は、それの下端部の相対する側に、電池パック500bを固定するための結合穴512を備える。
【0062】
より高い出力およびより大きな容量を有する中および大型電池システムを製造するために、複数の電池パック500aが互いに接続されることがある。
【0063】
本発明の好ましい実施形態が例示の目的のために開示されたが、添付の特許請求の範囲に開示されるような本発明の範囲および精神から逸脱することなしに、様々な修正物、追加物および代替物が可能であることを、当業者は理解するであろう。
【産業上の利用可能性】
【0064】
上述の説明から明らかなように、本発明は、電池セルの低機械強度を効果的に補強し、かつ電池モジュールに対する電池セルの動作状態を感知しながら、電池セルの重量およびサイズを最小限にすることができる感知ユニットを容易に取り付ける効果を有する。さらに、本発明は、機械的結合および電気的接続のために複数の部材を使用することなしに簡単な組立プロセスで電池モジュールを製造する効果を有し、それによって、電池モジュールの製造コストを下げ、電池モジュールの製造または動作中に電池モジュールが短絡または損傷されるのを効果的に防ぐ。さらに、本発明は、電池モジュールをユニットボディとして使用して、所望の出力および容量を有する中または大型電池システムを製造する効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】従来の代表的なポーチ状電池を示す斜視図である。
【図2】本発明の好ましい実施形態に従った電池モジュールを組み立てるためのプロセスを示す典型的な図である。
【図3】本発明の好ましい実施形態に従った電池モジュールを組み立てるためのプロセスを示す典型的な図である。
【図4】本発明の好ましい実施形態に従った電池モジュールを組み立てるためのプロセスを示す典型的な図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態に従った電池モジュールを組み立てるためのプロセスを示す典型的な図である。
【図6】本発明の好ましい実施形態に従った電池モジュールを組み立てるためのプロセスを示す典型的な図である。
【図7】本発明の好ましい実施形態に従った電池モジュールを組み立てるためのプロセスを示す典型的な図である。
【図8】本発明の好ましい実施形態に従った電池モジュールを組み立てるためのプロセスを示す典型的な図である。
【図9】本発明の好ましい実施形態に従った電池モジュールを組み立てるためのプロセスを示す典型的な図である。
【図10】本発明の好ましい実施形態に従った電池モジュールを組み立てるためのプロセスを示す典型的な図である。
【図11】本発明の好ましい実施形態に従った中または大型電池パックを示す分解組立斜視図である。
【図12】複数の電池モジュールを積み重ねて製造された中または大型電池パックを示す斜視図である。
【図13】複数の電池モジュールを積み重ねて製造された中または大型電池パックを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0066】
100,100a,100b ポーチ状電池セル
120,121 電極端子
100' 電池セルスタック
200 セルカバー
211 左カバー部分
212 右カバー部分
221,222 対称曲げ構造
231,232 突出部分
233 凹み
240,250 段状部分
260 縦方向固定部分
300 電池モジュール
400 中または大型電池モジュール
500,500a,500b 電池パック
510 下部フレーム
511 突出部
512 結合穴
520 上部フレーム
521 凹凸部分
522 固定ねじの挿入部分
530 前カバー
531 結合突出部
540 母線
550 電池管理システム(BMS)
560 サーミスタ
561 サーミスタ穴
562 サーミスタコネクタ
570 ケーブルコネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部および下端部に形成された電極端子を有する板状電池セルを含む電池モジュールであって、
前記電池セルの電極端子が互いに直列に接続され、かつ前記電池セルが積み重ねられるように前記電極端子接続が曲げられているスタック構造で組み立てられた2以上の電池セルと、
互いに結合されたとき、前記電池セルの前記電極端子を除いて前記電池セルの外部表面を囲繞する1対の高強度セルカバーと、を備えることを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
前記セルカバーが、前記電池セルスタックの外部形状に対応する内側構造を有し、前記セルカバーが、組立品結合方式で互いに結合されていることを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記セルカバーが押され、同時に前記セルカバーが互いに向かい合うように前記セルカバーが互いに接触するとき、前記セルカバーが弾性結合によって互いに係合し合うことができるように、前記セルカバーは、垂直断面がほぼ対称に形成された対称曲げ構造で組み立てられた結合部分を有することを特徴とする請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記電極端子が、溶着で互いに結合されていることを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項5】
金属層および樹脂層を含む積層シートから作られたケース中に電極組立品が取り付けられ、さらに前記ケースの縁が密封された構造で、各板状電池セルが組み立てられていることを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記ケースが、アルミニウム積層シートから作られたポーチ状ケースであることを特徴とする請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記電池セルの縁密封部分の中で側密封部分は、前記側密封部分が前記ケースの内部形状とほぼ一致するように曲げられていることを特徴とする請求項5に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記セルカバーが、高熱伝導率を有する金属シートから作られていることを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項9】
各セルカバーが、それの外部表面に、横方向(幅方向)に互いに離れて間隔を開けて配置された複数の線状突出部を備えることを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記線状突出部の少なくとも1つは、サーミスタが取り付けられる凹みを有することを特徴とする請求項9に記載の電池モジュール。
【請求項11】
前記線状突出部の中で上端部および下端部の突出部が、逆の形に形成された突出部分を有することを特徴とする請求項9に記載の電池モジュール。
【請求項12】
前記突出部分を有する前記突出部が、前記突出部分のまわりに非連続構造で配列されていることを特徴とする請求項11に記載の電池モジュール。
【請求項13】
前記突出部の大部分は、前記突出部の相対する端の間の長さが前記セルカバーの幅よりも小さいように組み立てられていることを特徴とする請求項9に記載の電池モジュール。
【請求項14】
前記セルカバーが、それの上端部および下端部に隣接した外部表面に、前記電池モジュールを容易に固定するための所定のサイズの段状部分を備えることを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項15】
前記セルカバーが、それの相対する側に隣接した前記外部表面に、前記電池モジュールを容易に固定するための所定のサイズの段状部分を備えることを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の電池モジュールをユニットボディとして使用して製造された中または大型電池パック。
【請求項17】
前記電池パックは、2以上の電池モジュールのスタックが横方向に立てられるように前記スタックをパックフレームに取り付けることによって製造されることを特徴とする請求項16に記載の電池モジュール。
【請求項18】
前記電池パックが、電気自動車またはハイブリット電気自動車の電力源として使用されていることを特徴とする請求項16に記載の電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2009−529218(P2009−529218A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558184(P2008−558184)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【国際出願番号】PCT/KR2007/001022
【国際公開番号】WO2007/102672
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】