説明

電池モジュール

【課題】ガス抜き部を覆うように放熱部材を設けても、ガス抜き部から放出されるガスを電池外に放出できるようにすること。
【解決手段】電池モジュール10は、複数の電池11から形成されている。電池11は円筒型電池とされている。電池11の軸方向第1端部には、電池11内と電池11外を連通させる放出孔が形成されている。各電池11の軸方向第1端部には、各電池11に対応して形成される本体部13aと、各本体部13aを接続する接続部13bからなるヒートマス13が接合されている。本体部13aにおいて電池11と接触する側の端部には、複数の足部16が形成されている。各足部16は、所定の間隔を空けて形成されており、これにより各足部16の間には、隙間14が形成されている。足部16は、放出孔を覆わないように接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池内で発生したガスを電池外に放出するガス抜き部を有する電池と、ガス抜き部の上部を覆う放熱部材を備えた電池モジュールに関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
電池が異常な状態で充放電された場合、電池内にガスが発生するおそれがある。このため、電池内で発生したガスを電池外に放出するガス放出孔を有する電池が知られている(例えば、特許文献1)
特許文献1では、電池の端子にガス放出孔が形成されている。したがって、電池内で発生したガスは、端子に形成されたガス放出孔から電池外に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−244907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電池は、放電されることにより熱を発するため、電池の側面や端子に放熱部材を設ける場合がある。また、電池を複数組み合わせて電池モジュールを構成する場合、電池を効率よく配設することが好ましい。しかしながら、電池の側面に放熱部材を設けた場合、電池モジュール全体が大型化してしまう。一方で、電池の端子に放熱部材を設ける場合、ガス放出孔を塞がないように放熱部材を設ける必要がある。
【0005】
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガス抜き部を覆うように放熱部材を設けても、ガス抜き部から放出されるガスを電池外に放出できる電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、電池内で発生したガスを電池外に放出するガス抜き部を有する電池と、前記ガス抜き部を覆うように前記電池に設けられ、前記電池の熱を放熱する放熱部材と、を備えた電池モジュールであって、前記放熱部材は、前記ガス抜き部から放出されるガスを大気中に放出するガス抜き路を有することを要旨とする。
【0007】
これによれば、電池は、電池内で発生したガスを電池外に放出するガス抜き部を有している。そして、電池に接合される放熱部材には、ガス抜き部から放出されたガスを大気中に放出するガス抜き路が設けられている。このため、電池内で発生したガスは、ガス抜き路を通って、大気中に放出される。したがって、ガス抜き部から放出されるガスを電池外に適切に放出することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電池モジュールであって、前記放熱部材は、前記電池の電極と電気的に接続され、電極として機能することを要旨とする。
これによれば、放熱部材は、電極として機能する。したがって、放熱部材により電極が覆われていても、容易に電池同士を接続することができる。また、放熱部材は、複数の電池の電極と電気的に接続される場合には、電極として機能するとともに、電極同士を接続する接続部材として機能する。したがって、部品点数の削減が図られる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ガス抜き部を覆うように放熱部材を設けても、ガス抜き部から放出されるガスを電池外に放出できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態における電池モジュールの側面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の電池モジュールを具体化した一実施形態について図1及び図2にしたがって説明する。
図1に示すように、電池モジュール10は、電池11を複数(本実施形態では3個)接続することにより構成されている。本実施形態では、電池11は円筒型電池とされている。電池11の軸方向第1端部には、正極11aが形成されるとともに、軸方向第2端部(底面)は負極11bを構成している。
【0012】
図2に示すように電池11の軸方向第1端部には、電池11内で発生したガスを電池11外に放出するガス抜き部としての放出孔12が2箇所に形成されている。電池11内と電池11外は、この放出孔12により、連通されている。また、電池11内には、図示しない安全弁が設けられており、安全弁は、電池11内の圧力が一定以上まで高まったときに開弁するように構成されている。したがって、本実施形態の電池11は、電池11内にガスが発生し、電池11内の圧力が一定以上に高まったときに放出孔12からガスが放出されるように構成されている。
【0013】
そして、各電池11の軸方向第1端部には、放熱部材としてのヒートマス13が接合されている。ヒートマス13は、各電池11に対応して形成される本体部13aと、各本体部13aを電気的に接続する接続部13bからなる。各本体部13aは、円柱状に形成されており、その直径は、電池11の直径と略同一とされている。本体部13aは、電池11の放出孔12を覆うように接合されているとともに、本体部13aと正極11aは、電気的に接続されている。
【0014】
ヒートマス13は、導電性であり、かつ熱容量の大きなものからなることが望ましく、例えば、アルミや銅などが用いられる。なお、本体部13aと電池11の接合方法としては、半田付けなどの金属接合が望ましい。各電池11の正極11a同士は、ヒートマス13をこのように構成することにより電気的に接続されている。すなわち、ヒートマス13は、各正極11a同士を接続する接続部材として機能するとともに、ヒートマス13自体が電池モジュール10全体の正極として機能する。なお、ヒートマス13の体積は、電池11が発する熱量と電池11の許容される温度上昇を考慮して設定される。
【0015】
本体部13aにおいて電池11と接触する側の端部には、複数の足部16が形成されている。各足部16は、所定の間隔を空けて形成されており、これにより各足部16の間には、側面視矩形状の隙間14が形成されている。そして、各足部16の端面が電池11の軸方向第1端部と接合されることにより、ヒートマス13は電池11に接合されている。また、足部16において正極11aと接合される足部16は、その長さが正極11aに対応して設定されている。具体的には、正極11aと接触する足部16の端面と、正極11aを接合した状態で、正極11aと接触しない足部16の端面とが、それぞれ、電池11における軸方向第1端部の端面が適切に接合される長さに設定されている。
【0016】
足部16は、足部16が放出孔12を覆わないように接合される。すなわち、ヒートマス13は、足部16の間に形成される隙間14に対して、放出孔12の全てが露出するように接合される。よって、ヒートマス13は、放出孔12から放出されるガスが、隙間14から外部に放出されるように接合されていることになる。したがって、本実施形態では、足部16の間に形成される隙間14が、ガス抜き路とされる。隙間14の大きさは、ガス抜き路として機能するのに十分な大きさが確保される。
【0017】
また、電池11の負極11bは、接続部材15によって接続されている。これにより、各電池11は、ヒートマス13及び接続部材15によって接続され、電池モジュール10が構成されている。また、電池モジュール10には、図示しない熱媒体供給源が設けられており、電池11は、熱媒体(例えば、冷却空気など)によって冷却される。
【0018】
次に、本実施形態における電池モジュール10の作用について説明する。
電池モジュール10の電池11は、異常な状態で充放電されると、電池11内にガスを発生する。そして、安全弁は、電池11内の圧力が一定以上まで高まると、放出孔12を介してガスを電池11外に放出する。放出孔12から放出されたガスは、隙間14を介して、適切に大気に放出される。
【0019】
また、電池11は、充放電されることにより発熱する。この際、電池11が発した熱は、ヒートマス13を介して適切に冷却される。また、電池11からヒートマス13に熱が伝導する際、電池11とヒートマス13の線膨張係数の相違に起因して発生する熱応力によって電池11とヒートマス13の接合部にクラックが生じたり、クラックの伸展による剥離が生じるおそれがある。本実施形態では、ヒートマス13において、電池11と接触する側の端部に、複数の足部16を形成していることにより、足部16間には、隙間14が形成されている。したがって、隙間14の分だけ、ヒートマス13と電池11の接触面積が低減されている。このため、電池11の発熱時にヒートマス13と電池11の接合部に生じる熱応力が緩和される。
【0020】
したがって、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)電池11には、電池11内で発生したガスを電池11外に放出する放出孔12が設けられている。また、放出孔12を覆うように設けられる本体部13aにおいて、電池11と接触する側の端部には、複数の足部16が形成されている。各足部16の間には、隙間14が形成されている。また、足部16は、放出孔12を覆わないように電池11に接合されている。このため、放出孔12は、隙間14に対してその全てが露出することになり、電池11内で発生したガスは、隙間14を介して適切に大気に放出される。
【0021】
(2)ヒートマス13は、各電池11の正極11aを電気的に接続する接続部材として機能している。このため、ヒートマス13は放熱部材と接続部材としての機能を兼ねることができ、部品点数の削減が図られる。すなわち、電池モジュール10の製造コストの削減が図られる。また、本実施形態では、ヒートマス13が電池モジュール10全体の正極11aとなることにより、更に部品点数の削減が図られる。
【0022】
(3)電池11は充放電することにより発熱する。そして、電池11で発した熱は、ヒートマス13に伝導される。この際、ヒートマス13と電池11の接合部には熱応力が発生する。本実施形態では、電池11とヒートマス13の接触面積を少なくしていることから、熱応力が緩和される。したがって、電池11とヒートマス13は剥離しにくくなっている。
【0023】
なお、上記各実施形態は以下のように変更しても良い。
○ 実施形態において、電池モジュール10の電池11の数を変更してもよい。
○ 実施形態において、各電池11は、複数の電池セルから構成されていてもよい。
【0024】
○ 実施形態において、電池モジュール10は、単数の電池11から構成されていてもよい。
○ 実施形態において、電池11は角型電池でもよいし、ラミネート型の電池であってもよい。すなわち、ガス抜き部(放出孔12)を有している電池11であれば、どのような形状とされていてもよい。
【0025】
○ 実施形態において、各電池11に独立した別々のヒートマス13を接合してもよい。すなわち、1本の電池11に対して、接続部13bを設けていない本体部13aのみからなるヒートマスを接合してもよい。
【0026】
○ 実施形態においてヒートマス13にフィンや突起を設けることにより、放熱面積を増やしてもよい。
○ 実施形態において、放出孔12は、その一部が隙間14に対して露出していればよい。
【0027】
○ 実施形態において、負極11bを接続している接続部材15を本実施形態におけるヒートマス13としてもよい。この場合、ヒートマス13は、各電池11の負極11bを接続する接続部材を兼ねるとともに、電池モジュール10全体の負極として機能する。
【0028】
○ 実施形態において、ヒートマス13の本体部13aの形状は、四角柱状や、六角柱状などであってもよい。
○ 実施形態において、足部16の大きさを変更してもよい。すなわち、ヒートマス13と電池11の接触面積は、電池11で発生した熱量をスムーズにヒートマス13に移動させるに足る面積を確保されていれば、変更してもよい。
【0029】
○ 実施形態において、足部16の形状を変更してもよい。例えば、四角柱状や、六角柱状などでもよい。
【符号の説明】
【0030】
10…電池モジュール、11…電池、11a…正極、11b…負極、12…放出孔、13…ヒートマス、14…隙間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池内で発生したガスを電池外に放出するガス抜き部を有する電池と、
前記ガス抜き部を覆うように前記電池に設けられ、前記電池の熱を放熱する放熱部材と、を備えた電池モジュールであって、
前記放熱部材は、前記ガス抜き部から放出されるガスを大気中に放出するガス抜き路を有することを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
前記放熱部材は、前記電池の電極と電気的に接続され、電極として機能することを特徴とする請求項1に記載の電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−4461(P2013−4461A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137364(P2011−137364)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】