説明

電波ビーコン通信システム

【課題】 電波ビーコン通信システムにおいて、車両の移動に伴うフェージングの影響を受け難くすることにより良好に車両の進行方向を特定できるようにする。
【解決手段】 正相エリア用周波数変調部15は、車両が走行中の領域を特定するための正論理同期コードおよび外部入力されたビーコンデータを周波数変調することにより正相エリア用ビーコン信号を生成し、この正相エリア用ビーコン信号を路上における正相エリアに送信する。そして、逆相エリア用周波数変調部16は、正論理同期コードを論理的に反転した負論理同期コード、および外部入力されたビーコンデータを論理的に反転した負論理ビーコンデータを周波数変調することにより逆相エリア用ビーコン信号を生成し、この逆相エリア用ビーコン信号を路上において、正相エリアよりも車両の進行方向前方側の領域を表す逆相エリアに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路上に配置された送信装置から車両に搭載された受信装置に対して、電波で各種情報を提供する電波ビーコン通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両を運転する運転者に対して、渋滞や事故、駐車場の空き状態等の各種道路交通情報をリアルタイムに提供する道路交通情報通信システム(VICS)が知られている。VICSでは、各種道路交通情報を運転者へ提供するためのメディアとして、例えば電波ビーコンがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
電波ビーコン通信システムにおいては、所定の搬送波を、各フレームに同期コードを含む道路交通情報等のビーコンデータに基づいて周波数変調の一種であるGMSK(Gaussian filtered Minimum Shift Keying)変調し、この変調波を、さらに1kHzの矩形波を用いて振幅変調した電波ビーコン信号を、路上に設置された送信装置から車両に搭載された受信装置に対して送信している。
【0004】
ここで、電波ビーコン信号の振幅変調成分である1kHzの矩形波には、GMSK変調されたデータに含まれる各同期コードの先頭で立ち上がる正位相と、各同期コードの先頭で立ち下がる逆位相との2種類の設定があり、送信装置は、車両の進行方向前方に送信装置がある正相エリアには、正位相の矩形波を送信し、車両の進行方向後方に送信装置がある逆相エリアには、逆位相の矩形波を送信している。
【0005】
このため、受信装置は、振幅変調された矩形波が、この受信装置が搭載された車両の移動に伴って正位相から逆位相に変化するか否かに基づいて、車両の進行方向を特定し、受信したビーコンデータが自己にとって必要なデータであるか否かを判断している。
【特許文献1】特開2001−325698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、車両に搭載された受信装置においては、車両の移動に伴うフェージングの影響を受け易いので、電波ビーコン受信信号の受信レベル(つまり振幅)が大きく変化してしまう。
【0007】
このため、受信装置では、電波ビーコン信号のGMSK変調成分を復調することができたにもかかわらず、振幅変調成分を復調できないために、車両の進行方向を特定することができないという問題点があった。
【0008】
そこで、このような問題点を鑑み、電波ビーコン通信システムにおいて、車両の移動に伴うフェージングの影響を受け難くすることにより良好に車両の進行方向を特定できるようにすることを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために成された請求項1に記載の電波ビーコン通信システムにおいて、電波ビーコン送信装置には、第1電波ビーコン信号送信手段と第2電波ビーコン信号送信手段とが備えられている。
【0010】
第1電波ビーコン信号送信手段は、車両が走行中の領域を特定するための第1特定データおよび外部入力されたビーコンデータを周波数変調することにより第1電波ビーコン信号を生成し、この第1電波ビーコン信号を路上における所定領域に送信する。
【0011】
そして、第2電波ビーコン信号送信手段は、第1特定データとは異なる第2特定データおよび外部入力されたビーコンデータを周波数変調することにより第2電波ビーコン信号を生成し、この第2電波ビーコン信号を路上において、所定領域よりも車両の進行方向前方側の領域を表す前方領域に送信する。
【0012】
また、電波ビーコン受信装置は、ビーコン受信手段と進行方向判定手段とを備えている。
ビーコン受信手段は、電波ビーコン送信装置により送信された電波ビーコン信号を受信する。
【0013】
進行方向判定手段は、ビーコン受信手段により受信された電波ビーコン信号に含まれる特定データの種別が、第1特定データから第2特定データに変化するか否かを判定することによって、電波ビーコン信号が車両の進行方向の情報を提供しているものか逆方向の情報を提供しているものかを識別するための方向識別判定信号を出力する。
【0014】
つまり、本発明の電波ビーコン通信システムにおいては、フェージングの影響を受け易い振幅変調信号を利用した通信を行うことなく、フェージングの影響を受け難い周波数変調信号のみを利用して通信を行うようにしているのである。
【0015】
従って、このような電波ビーコン通信システムによれば、フェージングの影響を受け難くすることができるので、良好に車両の進行方向を特定することができる。
ところで、請求項1に記載の電波ビーコン通信システムにおいて、第2電波ビーコン信号送信手段は、請求項2に記載のように、第1特定データを論理的に反転した第2特定データおよび外部入力されたビーコンデータを周波数変調することにより第2電波ビーコン信号を生成するよう構成してもよい。
【0016】
このような電波ビーコン通信システムによれば、第2電波ビーコン信号送信手段は、第1特定データを論理的に反転するだけで第2特定データを生成することができるので、第2特定データを生成するための構成を簡素化することができる。
【0017】
さらに請求項2に記載の電波ビーコン通信システムにおいて、第2電波ビーコン信号送信手段は、請求項3に記載のように、第1特定データを論理的に反転した第2特定データ、および外部入力されたビーコンデータを論理的に反転した負論理ビーコンデータを周波数変調することにより第2電波ビーコン信号を生成するよう構成してもよい。
【0018】
このような電波ビーコン通信システムによれば、電波ビーコン送信装置は、ビーコンデータも反転した第2電波ビーコン信号を送信するので、電波ビーコン受信装置は、第1特定データだけではなく、受信したデータ全体を反転すればよいので、データの一部分のみを反転させるといった煩雑な処理の必要がなくなる。よって、電波ビーコン受信装置の構成を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
[第一実施例]
図1は、本発明が適用された電波ビーコン通信システム1aの概略構成を示す説明図である。また、図2は、電波ビーコン送信装置3からの距離と電波電力レベルとの関係を示す説明図である。
【0020】
電波ビーコン通信システム1aは、図1に示すように、電波ビーコン送信装置3と、電波ビーコン受信装置5とを備えている。
電波ビーコン送信装置3において、通信部11は、データ処理部12および交通情報センタ50と接続されており、交通情報センタ50から送られてくる各種道路交通情報(VICS情報:例えば、渋滞情報、規制情報、駐車場情報等)を受信し、受信した各種道路交通情報をデータ処理部12に送る。
【0021】
同期コード発生部13は、電波ビーコン受信装置5にて、この電波ビーコン受信装置5が搭載された車両の位置を判定するため同期コード(正論理同期コード:本発明でいう第1特定データ)を生成し、データ処理部12に送る。
【0022】
データ処理部12は、同期コード発生部13から受信した同期コードをヘッダデータとし、通信部11から受信した各種道路交通情報をデータ本体としたビーコンデータ(正論理ビーコンデータ)を正相エリア用周波数変調部15(本発明でいう第1電波ビーコン信号送信手段)および逆相エリア用周波数変調部16(本発明でいう第2電波ビーコン信号送信手段)に送信する。
【0023】
ここで、データ処理部12と逆相エリア用周波数変調部16との間には、データ反転部14が設けられている。このため、逆相エリア用周波数変調部16には、データ処理部12により生成された正論理ビーコンデータを論理的に反転した負論理ビーコンデータが入力されることになる。
【0024】
そして、正相エリア用周波数変調部15および逆相エリア用周波数変調部16は、入力されたビーコンデータをそれぞれ周波数変調(FM変調)した電波ビーコン信号を生成し、それぞれの送信アンテナ17,18から電波ビーコン信号を送信する。
【0025】
なお、電波ビーコン信号は、一般に、VICS情報を表すビーコンデータ(2値データ;周波数は例えば64kHz)をFM変調したFM変調波(例えば2.4997GHz)である。ここでのFM変調には、一般に、変調波の狭帯域化を図るためにGMSK(Gaussian filtered Minimum Shift Keying)が採用されている。
【0026】
また、それぞれの送信アンテナ17,18は、指向性アンテナとして構成されている。つまり、図2に示すように、正相エリア用送信アンテナ17は、車両が順方向に進行した場合において、車両の進行方向前方に送信装置がある正相エリアに、正相エリア用周波数変調部15にて生成された電波ビーコン信号(正相エリア用ビーコン信号:本発明でいう第1電波ビーコン信号)を送信し、逆相エリア用送信アンテナ18は、車両の進行方向後方に送信装置がある逆相エリアに、逆相エリア用周波数変調部16にて生成された電波ビーコン信号(逆相エリア用ビーコン信号:本発明でいう第2電波ビーコン信号)を送信する。
【0027】
一方、車両側では、車両の走行中に、電波ビーコン受信装置5を用いて電波ビーコン信号を受信する。このとき、電波ビーコン信号の電波電力レベルは、図2に示すように、車両と電波ビーコン送信装置3との距離が変化すると、フェージングの影響を受け、大きく変化する。ただし、本実施例においては、従来のように電波ビーコン信号に振幅変調成分を持たせていないので、比較的良好に電波ビーコン信号を受信することができる。
【0028】
このようなシステムにおいて、車両が電波ビーコン送信装置3の設置された道路を走行すると、電波ビーコン送信装置3の直下位置を通過する前と後とで、受信したビーコンデータが反転する(逆位相になる)。つまり、車両が順方向に進行した場合には、電波ビーコン受信装置5が受信するビーコンデータは正位相(正論理)から逆位相(負論理)に変化し、車両が逆方向に進行した場合には、受信するビーコンデータは逆位相(負論理)から正位相(正論理)に変化する。
【0029】
次に、図1に戻り、車両に搭載された電波ビーコン受信装置5について説明する。電波ビーコン受信装置5において、受信アンテナ27にて受信した2.4997GHzの電波ビーコン信号は、周波数変換部21にて例えば10.7MHzの中間周波信号に周波数変換され、その中間周波信号は周波数検波部22へ入力される。
【0030】
周波数検波部22では、中間周波信号をFM復調(周波数検波)して、その復調信号からビーコンデータを再生して、同期コード検出部24およびデータ処理部26に対して出力する。
【0031】
ここで、同期コード検出部24およびデータ処理部26には、周波数検波部22の出力(ビーコンデータ)が直接入力されるとともに、周波数検波部22の出力がデータ反転部23を介して論理的に反転されたものも入力される。このように、データ反転部23を介したデータも入力するのは、逆相エリア用周波数変調部16により生成された負論理ビーコンデータを正論理ビーコンデータに復元するためである。
【0032】
同期コード検出部24は、周波数検波部22から直接またはデータ反転部23を介して入力されたビーコンデータに同期コードが含まれているか否かを検出し、同期コードを検出できれば、同期コードの種別(つまり、正相エリア用周波数変調部15により生成された同期コードか、逆相エリア用周波数変調部16により生成された同期コードか)を表す信号を位相判定部25に送信する。
【0033】
位相判定部25は、同一種別の同期コードが所定回数(任意の回数n)連続して検出されたか否かを判定し、同一種別の同期コードが所定回数連続して検出されれば、車両が正相エリア或いは逆相エリアに位置する旨の信号をデータ処理部26に送信する。
【0034】
そして、データ処理部26は、位相判定部25からの信号が、車両が正相エリアに位置する旨の信号から逆相エリアに位置する旨の信号に変化したか否かを判定し、この判定結果に基づいて車両の進行方向を特定する。そして、車両の進行方向に応じた方向識別判定信号およびビーコンデータを表示装置40に送信する。
【0035】
つまり、データ処理部26は、位相判定部25からの信号が、車両が正相エリアに位置する旨の信号から逆相エリアに位置する旨の信号に変化すれば、車両が順方向に進行している旨の方向識別判定信号を送信する。また、位相判定部25からの信号が、車両が逆相エリアに位置する旨の信号から正相エリアに位置する旨の信号に変化すれば、車両が逆方向に進行している旨の方向識別判定信号を送信する。
【0036】
そして、表示装置40では、電波ビーコン受信装置5(データ処理部26)から受信した方向識別判定信号に基づいて、電波ビーコン受信装置5から受信したビーコンデータを使用するか破棄するかを決定し、ビーコンデータを使用する場合には、受信したビーコンデータに基づく画像をディスプレイ(図示省略)に表示する。
【0037】
なお、本実施例において、データ反転部14,23、同期コード検出部24、位相判定部25、データ処理部26については、論理回路を中心とした電子回路で構成することができる。
【0038】
また、周波数変換部21、周波数検波部22は、本発明でいうビーコン受信手段に相当し、同期コード検出部24、位相判定部25、データ処理部26は、本発明でいう進行方向判定手段に相当する。
【0039】
[第一実施例の効果]
上記のように詳述した電波ビーコン通信システム1aにおいて、電波ビーコン送信装置3には、正相エリア用周波数変調部15と逆相エリア用周波数変調部16とが備えられている。
【0040】
正相エリア用周波数変調部15は、車両が走行中の領域を特定するための正論理同期コードおよび外部入力されたビーコンデータを周波数変調することにより正相エリア用ビーコン信号を生成し、この正相エリア用ビーコン信号を路上における正相エリアに送信する。
【0041】
そして、逆相エリア用周波数変調部16は、正論理同期コードを論理的に反転した負論理同期コード、および外部入力されたビーコンデータを論理的に反転した負論理ビーコンデータを周波数変調することにより逆相エリア用ビーコン信号を生成し、この逆相エリア用ビーコン信号を路上において、正相エリアよりも車両の進行方向前方側の領域を表す逆相エリアに送信する。
【0042】
また、電波ビーコン受信装置5は、周波数変換部21、周波数検波部22、同期コード検出部24、位相判定部25、データ処理部26を備えている。
周波数変換部21、周波数検波部22は、電波ビーコン送信装置3により送信された電波ビーコン信号を受信し、同期コード検出部24、位相判定部25、データ処理部26は、周波数変換部21、周波数検波部22により受信された電波ビーコン信号に含まれる特定データの種別が、正論理同期コードから負論理同期コードに変化するか否かを判定することによって、電波ビーコン信号が車両の進行方向の情報を提供しているものか逆方向の情報を提供しているものかを識別するための方向識別判定信号を出力する。
【0043】
つまり、本発明の電波ビーコン通信システム1aにおいては、フェージングの影響を受け易い振幅変調信号を利用した通信を行うことなく、フェージングの影響を受け難い周波数変調信号のみを利用して通信を行うようにしているのである。
【0044】
従って、このような電波ビーコン通信システム1aによれば、フェージングの影響を受け難くすることができるので、良好に車両の進行方向を特定することができる。
また、逆相エリア用周波数変調部16は、正論理同期コードを論理的に反転するだけで負論理同期コードを生成することができるので、負論理同期コードを生成するための構成を簡素化することができる。
【0045】
さらに、電波ビーコン送信装置3は、ビーコンデータも反転した逆相エリア用ビーコン信号を送信するので、電波ビーコン受信装置5は、正論理同期コードだけではなく、受信したデータ全体を反転すればよいので、データの一部分のみを反転させるといった煩雑な処理の必要がなくなる。よって、電波ビーコン受信装置5の構成を簡素化することができる。
【0046】
[第二実施例]
図3は、第二実施例としての電波ビーコン通信システム1bの概略構成を表すブロック図である。図1に示す第一実施例の電波ビーコン通信システム1aと同様の構成に関しては、同じ符号を付して詳しい説明は省略する。
【0047】
第二実施例の電波ビーコン通信システム1bの内、電波ビーコン送信装置3および電波ビーコン受信装置5を構成する受信アンテナ27、周波数変換部21、周波数検波部22、およびデータ反転部23については、第一実施例の電波ビーコン受信装置5における構成と同じである。第二実施例の電波ビーコン受信装置5は、これらの構成に加え、制御部60を備えている。そして、第一実施例の電波ビーコン受信装置5においては同期コード検出部24、位相判定部25、およびデータ処理部26により方向識別判定信号を生成していたが、第二実施例の電波ビーコン受信装置5においては、これを制御部60にていわゆるソフト処理によって生成するようにしている。
【0048】
ここで、制御部60は、CPU、ROM、RAM等を備えた公知のマイクロコンピュータとして構成されている。そして、制御部60には、周波数検波部22から出力されるビーコンデータ(FM復調データ)が入力されるよう構成されている。
【0049】
それでは、制御部60が実行する処理について、図4のフローチャートを参照して説明する。図4は、制御部60が実行する方向識別処理を示すフローチャートである。なお、方向識別処理は、本発明でいう進行方向判定手段に相当する。
【0050】
方向識別処理は、例えば、車両のイグニッションがONにされたとき等に開始され、その後、繰り返し実行される処理であって、図4に示すように、まずS110にて、入力されたビーコンデータ中の同期コードの有無を判定する。同期コードを検出すればS120に移行し、同期コードを検出しなければS110の処理を繰り返す。
【0051】
続いてS120では、同期コードの正逆相を判定する。即ち、周波数検波部22から直接入力したビーコンデータから正論理同期コードを検出すれば「正相」である(つまり、車両が正相エリアに位置するもの)としてS130に移行する。また、周波数検波部22からデータ反転部23を介して入力したビーコンデータから負論理同期コードを検出すれば「逆相」である(つまり、車両が逆相エリアに位置するもの)としてS160に移行する。
【0052】
S130では、連続して「正相」であると判定された回数を表す正相カウンタ(例えば、RAM内に設定されている。)をインクリメントする。なお、このとき、連続して「逆相」であると判定された回数を表す逆相カウンタ(例えば、RAM内に設定されている。)をリセットする。
【0053】
次いで、S140に移行し、正相カウンタが予め設定された任意の回数nであるか否かを判定する。正相カウンタが任意の回数nであればS150に移行し、正相カウンタが任意の回数nでなければS110の処理に戻る。
【0054】
S150では、正相であることを制御部60のRAMに記憶し、S190に移行する。
一方、S160では、逆相カウンタをインクリメントする。なお、このとき正相カウンタをリセットする。
【0055】
次いで、S170に移行し、逆相カウンタが予め設定された任意の回数nであるか否かを判定する。逆相カウンタが任意の回数nであればS180に移行し、逆相カウンタが任意の回数nでなければS110の処理に戻る。
【0056】
S180では、逆相であることを制御部60のRAMに記憶し、S190に移行する。
続いて、S190では、エリア情報の更新を行う。即ち、この処理では、前回、制御部60のRAMに記憶したデータを送信した電波ビーコン送信装置と、今回、「正相」または「逆相」であると特定して制御部60のRAMに記憶したデータを送信した電波ビーコン送信装置3とが、異なる送信装置である場合には、前回、制御部60のRAMに記憶したデータを破棄する等の処理を行う。
【0057】
そして、S200に移行し、制御部60のRAMに記憶されている、前回のデータと今回のデータとを比較し、「正相」から「逆相」に変化したか否か(前回記憶したデータが「正相」で、今回記憶したデータが「逆相」あるか否か)を判定する。
【0058】
「正相」から「逆相」に変化していればS210に移行し、「正相」から「逆相」に変化していなければS220に移行する。
そして、S210では、車両が順方向に進行している旨の方向識別判定信号を表示装置40に対して送信し、方向識別処理を終了する。
【0059】
また、S220では、制御部60のRAMに記憶されている、前回のデータと今回のデータとを比較し、「逆相」から「正相」に変化したか否か(前回記憶したデータが「逆相」で、今回記憶したデータが「正相」あるか否か)を判定する。
【0060】
「逆相」から「正相」に変化していればS230に移行し、「逆相」から「正相」に変化していなければS240に移行する。
S230では、車両が逆方向に進行している旨の方向識別判定信号を表示装置40に対して送信し、方向識別処理を終了する。
【0061】
また、S240では、車両の進行方向が特定できない旨の方向識別判定信号を表示装置40に対して送信し、方向識別処理を終了する。
以上のように説明した第二実施例の電波ビーコン通信システム1bにおいても、上記第一実施例の効果と同様の効果が得られる。
【0062】
[その他の実施例]
なお、本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0063】
例えば、上記実施例において、逆相エリア用周波数変調部16は、正論理同期コードを論理的に反転した負論理同期コード、および外部入力されたビーコンデータを論理的に反転した負論理ビーコンデータを周波数変調することにより逆相エリア用ビーコン信号を生成する構成したが、各種データを論理的に反転する必要はない。
【0064】
即ち、外部入力されたビーコンデータを論理的に反転した負論理ビーコンデータを生成することなく、外部入力されたビーコンデータを用いてそのまま周波数変調するよう構成してもよい。
【0065】
また、正論理同期コードを論理的に反転した負論理同期コードを生成することなく、正論理同期コードとは異なる同期コードを負論理同期コードとして生成するようにしてもよい。このようにしても、車両の進行方向を精度よく特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第一実施例の電波ビーコン通信システムの概略構成を表す説明図である。
【図2】電波ビーコン送信装置からの距離と電波電力レベルとの関係を示す説明図である。
【図3】第二実施例の電波ビーコン通信システムの概略構成を表すブロック図である。
【図4】方向識別処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
1a,1b…電波ビーコン通信システム、3…電波ビーコン送信装置、5…電波ビーコン受信装置、11…通信部、12…データ処理部、13…同期コード発生部、14…データ反転部、15…正相エリア用周波数変調部、16…逆相エリア用周波数変調部、17…正相エリア用送信アンテナ、18…逆相エリア用送信アンテナ、21…周波数変換部、22…周波数検波部、23…データ反転部、24…同期コード検出部、25…位相判定部、26…データ処理部、27…受信アンテナ、40…表示装置、50…交通情報センタ、60…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路上に配置され、道路交通情報等のビーコンデータを含む電波ビーコン信号を送信する電波ビーコン送信装置と、
車両に搭載され、前記電波ビーコン送信装置から前記ビーコンデータを取得する電波ビーコン受信装置と、
を具備した電波ビーコン通信システムであって、
前記電波ビーコン送信装置は、
前記車両が走行中の領域を特定するための第1特定データおよび外部入力されたビーコンデータを周波数変調することにより第1電波ビーコン信号を生成し、この第1電波ビーコン信号を路上における所定領域に送信する第1電波ビーコン信号送信手段と、
前記第1特定データとは異なる第2特定データおよび外部入力されたビーコンデータを周波数変調することにより第2電波ビーコン信号を生成し、この第2電波ビーコン信号を路上において、前記所定領域よりも車両の進行方向前方側の領域を表す前方領域に送信する第2電波ビーコン信号送信手段と、
を備え、
前記電波ビーコン受信装置は、
前記電波ビーコン送信装置により送信された電波ビーコン信号を受信するビーコン受信手段と、
前記ビーコン受信手段により受信された電波ビーコン信号に含まれる特定データの種別が、第1特定データから第2特定データに変化するか否かを判定することによって、前記電波ビーコン信号が前記車両の進行方向の情報を提供しているものか逆方向の情報を提供しているものかを識別するための方向識別判定信号を出力する進行方向判定手段と、
を備えたことを特徴とする電波ビーコン通信システム。
【請求項2】
前記第2電波ビーコン信号送信手段は、前記第1特定データを論理的に反転した第2特定データおよび外部入力されたビーコンデータを周波数変調することにより第2電波ビーコン信号を生成すること
を特徴とする請求項1に記載の電波ビーコン通信システム。
【請求項3】
前記第2電波ビーコン信号送信手段は、前記第1特定データを論理的に反転した第2特定データ、および外部入力されたビーコンデータを論理的に反転した負論理ビーコンデータを周波数変調することにより第2電波ビーコン信号を生成すること
を特徴とする請求項2に記載の電波ビーコン通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−156880(P2007−156880A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352028(P2005−352028)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】