説明

電源・信号合成アダプタ

【課題】システムを構築する際のコストを低減することを可能とする電源・信号合成アダプタを提供する。
【解決手段】画像出力装置30からのAV信号を電力線からの電源電流に重畳してプロジェクタ10に出力するための電源・信号合成アダプタであって、電源プラグ102と、画像出力装置30からのAV信号が入力されるAV入力端子104と、電源プラグ102からの電源電流にAV入力端子104に入力されたAV信号を重畳するAV信号重畳部106と、AV信号重畳部106によってAV信号が重畳された電源電流を出力する第1の電源出力端子108とを備える電源・信号合成アダプタ100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源・信号合成アダプタ、プロジェクタ、電源・信号分離アダプタ、電動スクリーン及び電源制御アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスでの会議や家庭内での映画の視聴などの様々な場面において、プロジェクタが利用されている。
【0003】
このようなプロジェクタに映像ソースを供給する画像出力装置(例えば、HDDレコーダーなどのAV機器)は、プロジェクタから離れた位置(例えば、スクリーンや壁の傍など)に配置されることが多い(例えば、特許文献1参照。)。なぜなら、プロジェクタの近くに画像出力装置を配置することにより、画像出力装置の取り扱いが面倒になるからである。すなわち、天井に吊り下げるタイプのプロジェクタ(以下、天吊りタイプのプロジェクタという。)の近くに画像出力装置を配置した場合(つまり、画像出力装置をプロジェクタとともに天井に吊り下げた場合)、画像出力装置から記録メディア(DVDなど)を容易に出し入れすることができなくなるなど、画像出力装置の取り扱い作業が煩雑になる。また、テーブル上などに載置するタイプのプロジェクタ(以下、据え置きタイプのプロジェクタという。)は、プロジェクタを使用した後は邪魔にならない場所に片付けるのが通常であるが、据え置きタイプのプロジェクタの近くに画像出力装置を配置した場合には、プロジェクタを使用するたびに画像出力装置も毎回片付けなければならず面倒である。
【0004】
【特許文献1】特開2004−78150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来は、画像出力装置とプロジェクタとをAVケーブルで接続することにより、画像出力装置から出力されるAV信号(画像信号、音声信号、制御信号など。)をプロジェクタに伝送していた。
【0006】
しかしながら、AVケーブルの単位長さ当たりの価格は電源ケーブルのそれに比べると高額であるため、画像出力装置とプロジェクタとをAVケーブルで接続した場合には、画像出力装置とプロジェクタとの距離が長くなれば長くなるほどAVケーブルの長さも長くなってしまう。その結果、プロジェクタを用いて画像出力装置からのAV信号を画像光として投写面(例えばスクリーンなど)に投写するように構成されたプロジェクションシステム(以下、単にシステムということもある。)を構築する際のコストが高くなってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、システムを構築する際のコストを低減することを可能とする電源・信号合成アダプタを提供することを目的とする。また、このような電源・信号合成アダプタとともに使用してシステムを構築する際のコストを低減することが可能なプロジェクタ、電源・信号分離アダプタ及び電動スクリーンを提供することを目的とする。さらにまた、システムを構築した際の使い勝手を向上することが可能な電源制御アダプタをも提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電源・信号合成アダプタは、画像出力装置からのAV信号を電力線からの電源電流に重畳してプロジェクタに出力するための電源・信号合成アダプタであって、電源プラグと、前記画像出力装置からのAV信号が入力されるAV入力端子と、前記電源プラグからの電源電流に前記AV入力端子に入力されたAV信号を重畳するAV信号重畳部と、前記AV信号重畳部によってAV信号が重畳された電源電流を出力する電源出力端子とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の電源・信号合成アダプタを用いてシステムを構築するにあたっては、例えば、画像出力装置の電源プラグを、画像出力装置の傍にあるコンセントに差し込み、電源・信号合成アダプタの電源プラグを、画像出力装置の電源プラグが差し込まれたコンセントか、または画像出力装置の傍にある他のコンセントに差し込み、電源・信号合成アダプタのAV入力端子に、画像出力装置のAVケーブルを接続する。これにより、画像出力装置と電源・信号合成アダプタとがAVケーブルを介して接続されることとなる。
一方、電源・信号合成アダプタの電源出力端子に、プロジェクタの電源ケーブルとは別の電源ケーブル(以下、他の電源ケーブルという。)の電源プラグを接続し、当該他の電源ケーブルをプロジェクタに接続することにより、プロジェクタと電源・信号合成アダプタとが他の電源ケーブルを介して接続されることとなる(後述する図1参照。)。なお、そのような他の電源ケーブルを用いずに、プロジェクタの電源ケーブルを延長させて電源・信号合成アダプタの電源出力端子に接続してもよい。
このようにしてシステムを構築することにより、電源・信号合成アダプタを介して画像出力装置とプロジェクタとを接続することができる。
【0010】
本発明の電源・信号合成アダプタによれば、電源・信号合成アダプタを画像出力装置の傍に配置することによってAVケーブルの長さを比較的短くすることが可能となる。また、電源・信号合成アダプタとプロジェクタとはAVケーブルではなく電源ケーブルで接続されているため、画像出力装置とプロジェクタとの距離が長くなったとしても、画像出力装置とプロジェクタとを繋ぐ電源ケーブルの長さが長くなるだけで、画像出力装置と電源・信号合成アダプタとを繋ぐAVケーブルの長さが長くなることはない。このため、システムを構築する際のコストを低減することが可能となる。
【0011】
なお、本発明の電源・信号合成アダプタによれば、プロジェクタの近くに画像出力装置を配置しなくてもよいため、上述の画像出力装置の取り扱いが面倒になるという問題が発生することもない。
【0012】
本発明の電源・信号合成アダプタにおいては、前記画像出力装置から出力されるAV信号の有無を検出するAV信号検出部と、前記AV信号検出部がAV信号を検出したときには、前記第1の電源出力端子に対して前記AV信号重畳部によってAV信号が重畳された電源電流を出力し、前記AV信号検出部がAV信号を検出しないときには、前記第1の電源出力端子に対する前記電源プラグからの電源電流の出力を停止する機能を有する制御部とをさらに備えることが好ましい。
【0013】
ところで、従来は、画像出力装置及びプロジェクタの電源のON/OFF操作をそれぞれ別々のリモコン(画像出力装置用のリモコン及びプロジェクタ用のリモコン)で行っていた。このため、2つのリモコンを使い分けなければならず、使い勝手がよくないという問題がある。
【0014】
これに対し、本発明の電源・信号合成アダプタを用いてシステムを構築した場合、AV信号検出部がAV信号を検出したか否かによって、第1の電源出力端子に対してAV信号が重畳された電源電流を出力したり当該出力を停止したりするため、画像出力装置用のリモコンで画像出力装置の電源をON/OFFすることに連動して、プロジェクタへの電源電流の制御を行うことが可能となる。すなわち、画像出力装置及びプロジェクタの電源のON/OFF操作を1つのリモコンで行うことができ、使い勝手を向上することが可能となる。
【0015】
本発明の電源・信号合成アダプタにおいては、前記電源プラグからの電源電流を出力する第2の電源出力端子をさらに備えることが好ましい。
【0016】
このように構成することにより、第2の電源出力端子に接続された機器に対しても電源電流を出力することが可能となる。
【0017】
本発明の電源・信号合成アダプタにおいては、前記制御部は、前記AV信号検出部がAV信号を検出したときには、前記第2の電源出力端子に対して前記電源プラグからの電源電流を出力し、前記AV信号検出部がAV信号を検出しないときには、前記第2の電源出力端子に対する前記電源プラグからの電源電流の出力を停止する機能をさらに有することが好ましい。
【0018】
このように構成することにより、AV信号検出部がAV信号を検出したか否かによって、第2の電源出力端子に対して電源電流を出力したり当該出力を停止したりするため、画像出力装置用のリモコンで画像出力装置の電源をON/OFFすることに連動して、第2の電源出力端子に接続された機器への電源電流の制御を行うことが可能となる。すなわち、画像出力装置及び当該機器の電源のON/OFF操作を1つのリモコンで行うことができ、使い勝手を向上することが可能となる。
【0019】
本発明の電源・信号合成アダプタにおいては、前記制御部は、AV信号の入力が途絶したときには、当該途絶した時間から所定時間の間は前記第2の電源出力端子に対して前記電源プラグからの電源電流を出力し、前記所定時間経過後には前記第2の電源出力端子に対する前記電源プラグからの電源電流の出力を停止する機能をさらに有することが好ましい。
【0020】
このように構成することにより、AV信号の入力が途絶してから所定時間の間に限り、第2の電源出力端子に対して電源電流を出力することが可能となるため、第2の電源出力端子に接続された機器に当該所定時間の間だけ電源電流を供給することが可能となる。
【0021】
本発明の電源・信号合成アダプタにおいては、前記第2の電源出力端子を複数備えることが好ましい。
【0022】
このように構成することにより、第2の電源出力端子に接続された複数の機器に対して電源電流を出力することが可能となる。
【0023】
本発明のプロジェクタは、本発明の電源・信号合成アダプタとともに使用可能なプロジェクタであって、前記電源・信号合成アダプタからのAV信号が重畳された電源電流からAV信号を分離するAV信号分離部を備えることを特徴とする。
【0024】
上述した本発明の電源・信号合成アダプタを使用することにより、プロジェクタに対してはAV信号が重畳された電源電流が供給されるが、本発明のプロジェクタによれば、AV信号分離部を備えているため、そのようなAV信号が重畳された電源電流からAV信号を分離することができ、画像出力装置からのAV信号を画像光として投写面に投写することが可能となる。
【0025】
本発明の電源・信号分離アダプタは、本発明の電源・信号合成アダプタとともに使用可能な電源・信号分離アダプタであって、前記電源・信号合成アダプタからのAV信号が重畳された電源電流が入力される電源プラグと、前記電源・信号合成アダプタからのAV信号が重畳された電源電流からAV信号を分離するAV信号分離部と、前記AV信号分離部によって分離されたAV信号を出力するAV出力端子と、前記AV信号分離部によって分離された電源電流を出力する電源出力端子とを備えることを特徴とする。
【0026】
上述した本発明の電源・信号合成アダプタを使用することにより、プロジェクタに対してはAV信号が重畳された電源電流が供給されるが、本発明の電源・信号分離アダプタによれば、AV信号分離部を備えているため、そのようなAV信号が重畳された電源電流からAV信号を分離することが可能となる。このため、プロジェクタとしてAV信号分離部を備えていないタイプのプロジェクタを用いた場合であっても、画像出力装置からのAV信号を画像光として投写面に投写することが可能となる。
【0027】
本発明の電動スクリーンは、本発明の電源・信号合成アダプタとともに使用可能な電動スクリーンであって、前記電源・信号合成アダプタが前記プロジェクタに電源電流を供給しているときには投写可能状態となり、前記電源・信号合成アダプタが前記プロジェクタに電源電流を供給していないときには収納状態となるように構成されてなることを特徴とする。
【0028】
上述した本発明の電源・信号合成アダプタを使用することにより、画像出力装置用のリモコンで画像出力装置の電源をON/OFFすることに連動して、プロジェクタへの電源電流の制御を行うことが可能となるが、本発明の電動スクリーンによれば、電源・信号合成アダプタがプロジェクタに電源電流を供給しているか否かによって、電動スクリーンの状態を変えるように構成されているため、画像出力装置用のリモコンで画像出力装置の電源をON/OFFすることに連動して、プロジェクタへの電源電流の制御を行うだけでなく、電動スクリーンの状態も変えることが可能となり、使い勝手をさらに向上することが可能となる。
【0029】
本発明の電源制御アダプタは、画像出力装置からのAV信号を検出してプロジェクタへの電源電流を制御する電源制御アダプタであって、電源プラグと、前記画像出力装置からのAV信号が入力されるAV入力端子と、前記画像出力装置から出力されるAV信号の有無を検出するAV信号検出部と、電源出力端子と、前記AV信号検出部がAV信号を検出したときには、前記電源出力端子に対して前記電源プラグからの電源電流を出力し、前記AV信号検出部がAV信号を検出しないときには、前記電源出力端子に対する前記電源プラグからの電源電流の出力を停止する機能を有する制御部とを備えることを特徴とする。
【0030】
本発明の電源制御アダプタを用いてシステムを構築するにあたっては、例えば、画像出力装置の電源プラグを、画像出力装置の傍にあるコンセントに差し込み、電源制御アダプタの電源プラグを、画像出力装置の電源プラグが差し込まれたコンセントか、または画像出力装置の傍にある他のコンセントに差し込み、電源制御アダプタのAV入力端子に、画像出力装置のAVケーブルを接続する。これにより、画像出力装置と電源制御アダプタとがAVケーブルを介して接続されることとなる。
一方、電源制御アダプタの電源出力端子に、プロジェクタの電源ケーブルとは別の電源ケーブル(以下、他の電源ケーブルという。)の電源プラグを接続し、当該他の電源ケーブルをプロジェクタに接続することにより、プロジェクタと電源制御アダプタとが他の電源ケーブルを介して接続されることとなる。なお、そのような他の電源ケーブルを用いずに、プロジェクタの電源ケーブルを延長させて電源制御アダプタの電源出力端子に接続してもよい(後述する図12参照。)。
なお、本発明の電源制御アダプタを用いてシステムを構築する場合、電源制御アダプタからプロジェクタに対してAV信号は出力されないため、画像出力装置とプロジェクタとをAVケーブルで接続する必要がある。
【0031】
本発明の電源制御アダプタを用いてシステムを構築した場合、AV信号検出部がAV信号を検出したか否かによって、電源出力端子に対して電源電流を出力したり当該出力を停止したりするため、画像出力装置用のリモコンで画像出力装置の電源をON/OFFすることに連動して、プロジェクタへの電源電流の制御を行うことが可能となる。すなわち、画像出力装置及びプロジェクタの電源のON/OFF操作を1つのリモコンで行うことができ、使い勝手を向上することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の電源・信号合成アダプタ、プロジェクタ、電源・信号分離アダプタ及び電動スクリーンについて、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
【0033】
[実施形態1]
実施形態1は、本発明の電源・信号合成アダプタ、電源・信号分離アダプタ及び電動スクリーンを備えるプロジェクションシステムを説明するための実施形態である。
【0034】
図1は、電動スクリーン50が投写可能状態である場合の、実施形態1に係るプロジェクションシステム1の概念図である。なお、図1においては、電動スクリーン50におけるスクリーン駆動装置54の図示を省略している。
【0035】
図2は、実施形態1に係る電源・信号合成アダプタ100を説明するために示す斜視図である。図2(a)は電源・信号合成アダプタ100の斜視図であり、図2(b)は図2(a)とは異なる角度から見たときの電源・信号合成アダプタ100の斜視図である。図3は、実施形態1に係る電源・信号合成アダプタ100を説明するために示すブロック図である。
【0036】
図4は、実施形態1に係る電源・信号分離アダプタ120を説明するために示す斜視図である。図4(a)は電源・信号分離アダプタ120の斜視図であり、図4(b)は図4(a)とは異なる角度から見たときの電源・信号分離アダプタ120の斜視図である。図5は、実施形態1に係る電源・信号分離アダプタ120を説明するために示すブロック図である。
【0037】
図6は、電動スクリーン50が収納状態である場合の、実施形態1に係るプロジェクションシステム1の概念図である。なお、図6においては、電動スクリーン50におけるスクリーン駆動装置54及び受信部60の図示を省略している。
【0038】
実施形態1に係るプロジェクションシステム1は、プロジェクタ10を用いて画像出力装置30からのAV信号を画像光として電動スクリーン50に投写するように構成されたプロジェクションシステムであって、図1に示すように、プロジェクタ10と、画像出力装置30と、電動スクリーン50と、電源電流にAV信号を重畳して出力する電源・信号合成アダプタ100と、AV信号が重畳された電源電流からAV信号を分離する電源・信号分離アダプタ120とを備える。
【0039】
プロジェクタ10は、ここでは図示による説明は省略するが、光源ランプを有する照明装置と、照明装置からの光を画像情報に応じて変調する電気光学変調装置と、電気光学変調装置によって変調された光を投写する投写光学系とを備える、天吊りタイプのプロジェクタである。プロジェクタ10には、プロジェクタ10に対して電源電流が供給されたときに電動スクリーン50に対してその旨の信号を送信する送信部12が配設されている。
【0040】
光源ランプとしては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。なお、光源ランプに代えて、LEDなどの固体光源を用いてもよい。
【0041】
電気光学変調装置としては、照明装置からの光を画像情報に応じて液晶及び偏光板によって光変調することにより、画像を表す画像光を投写光学系へと射出する機能を有する液晶装置や、照明装置からの光を画像情報に応じて各画素に対応するマイクロミラーで反射することにより、画像を表す画像光を投写光学系へと射出する機能を有する反射方向制御型光変調装置(例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)(TI社の商標))を用いることができる。
【0042】
プロジェクタ10のインタフェース部には、電源ケーブル14及びAVケーブル18が接続されている。電源ケーブル14の電源プラグ16及びAVケーブル18のAV入力端子20は、電源・信号分離アダプタ120にそれぞれ接続されている。
【0043】
画像出力装置30は、プロジェクタ10にAV信号(画像信号、音声信号、制御信号など。)を出力するものであり、例えば、HDDレコーダー、DVD再生装置などのAV機器である。画像出力装置30は、電動スクリーン50の傍の壁際に、すなわち、プロジェクタ10から離れた位置に配置されている。これにより、画像出力装置30の取り扱いが面倒になる(例えば、画像出力装置30から記録メディア(DVDなど)を容易に出し入れすることができなくなる。)こともない。
【0044】
画像出力装置30のインタフェース部には、電源ケーブル32及びAVケーブル36が接続されている。電源ケーブル32の電源プラグ34は、画像出力装置30の傍の壁に配設されたコンセントAの差し込み口に差し込まれている。AVケーブル36のAV出力端子38は、電源・信号合成アダプタ100に接続されている。
【0045】
電動スクリーン50は、プロジェクタ10からの画像光が投写されるスクリーン面52と、スクリーン面52の繰り出し・巻き取りを行うスクリーン駆動装置54(図示せず。)と、電力線からの電源電流をスクリーン駆動装置54に供給するための電源ケーブル56及び電源プラグ58と、プロジェクタ10の送信部12から送信される信号を受信する受信部60とを備える。電源プラグ58は、電動スクリーン50の傍の壁に配設されたコンセントBの差し込み口に差し込まれている。
【0046】
電源・信号合成アダプタ100は、画像出力装置30からのAV信号を電力線からの電源電流に重畳してプロジェクタ10に出力するための装置であり、図2及び図3に示すように、電源プラグ102と、画像出力装置30からのAV信号が入力されるAV入力端子104と、電源プラグ102からの電源電流にAV入力端子104に入力されたAV信号を重畳するAV信号重畳部106と、AV信号重畳部106によってAV信号が重畳された電源電流を出力する第1の電源出力端子108と、画像出力装置30から出力されるAV信号の有無を検出するAV信号検出部110と、制御部112とを備える。
【0047】
制御部112は、AV信号検出部110がAV信号を検出したときには、第1の電源出力端子108に対してAV信号重畳部106によってAV信号が重畳された電源電流を出力し、AV信号検出部110がAV信号を検出しないときには、第1の電源出力端子108に対する電源プラグ102からの電源電流の出力を停止する機能を有する。
【0048】
電源・信号分離アダプタ120は、図4及び図5に示すように、電源・信号合成アダプタ100からのAV信号が重畳された電源電流が入力される電源プラグ122と、当該AV信号が重畳された電源電流からAV信号を分離するAV信号分離部124と、AV信号分離部124によって分離されたAV信号を出力するAV出力端子126と、AV信号分離部124によって分離された電源電流を出力する電源出力端子128とを備える。
【0049】
上記の電源・信号合成アダプタ100及び電源・信号分離アダプタ120を用いてプロジェクションシステム1を構築するにあたっては、以下に示すようにして各装置を接続する。
【0050】
まず、図1に示すように、画像出力装置30の電源プラグ34を、画像出力装置30の傍にあるコンセントAに差し込み、電源・信号合成アダプタ100の電源プラグ102(図3参照。)を同じくコンセントAに差し込む。また、電源・信号合成アダプタ100のAV入力端子104(図3参照。)に、画像出力装置30のAVケーブル36(AV出力端子38)を接続する。これにより、画像出力装置30と電源・信号合成アダプタ100とがAVケーブル36を介して接続されることとなる。
【0051】
次に、電源・信号合成アダプタ100の電源出力端子108(図3参照。)に、プロジェクタ10の電源ケーブル14とは別の電源ケーブル40の電源プラグ42を接続し、電源ケーブル40の電源出力端子44と電源・信号分離アダプタ120の電源プラグ122(図5参照。)とを接続する。これにより、電源・信号合成アダプタ100と電源・信号分離アダプタ120とが電源ケーブル40を介して接続されることとなる。
【0052】
そして、電源・信号分離アダプタ120のAV出力端子126(図5参照。)に、プロジェクタ10のAVケーブル18(AV入力端子20)を接続するとともに、電源・信号分離アダプタ120の電源出力端子128(図5参照。)に、プロジェクタ10の電源プラグ16を接続する。これにより、プロジェクタ10と電源・信号分離アダプタ120とがAVケーブル18及び電源ケーブル14を介して接続されることとなる。
【0053】
このようにしてプロジェクションシステム1を構築することにより、電源・信号合成アダプタ100及び電源・信号分離アダプタ120を介して画像出力装置30とプロジェクタ10とを接続することができる。
【0054】
画像出力装置用のリモコン70で画像出力装置30の電源をONにすると(図1参照。)、画像出力装置30からAV信号が出力される。画像出力装置30から出力されたAV信号は、電源・信号合成アダプタ100におけるAV信号重畳部106で電源電流に重畳され、AV信号が重畳された電源電流として第1の電源出力端子108から出力される。電源・信号合成アダプタ100から出力された電源電流(AV信号が重畳された電源電流)は、電源ケーブル40を通り、電源・信号分離アダプタ120に入力される。電源・信号分離アダプタ120に入力された電源電流(AV信号が重畳された電源電流)は、AV信号分離部124でAV信号と電源電流とに分離され、それぞれプロジェクタ10に向けて出力される。
【0055】
電源・信号分離アダプタ120から出力された電源電流がプロジェクタ10の電源部(図示せず。)に供給されることにより、プロジェクタ10の電源がONとなる。また、電源・信号分離アダプタ120から出力されたAV信号は、プロジェクタ10の画像処理部(図示せず。)で画像情報に変換される。
【0056】
一方、画像出力装置用のリモコン70で画像出力装置30の電源をOFFにすると(図6参照。)、画像出力装置30からのAV信号の出力が停止される。電源・信号合成アダプタ100のAV信号検出部110において画像出力装置30からのAV信号の出力が無いことを確認すると、制御部112は、電源プラグ102からの電源電流の出力を停止する。これにより、プロジェクタ10に対して、電源・信号合成アダプタ100からの電源電流の出力が停止する。
【0057】
このように、画像出力装置用のリモコン70で画像出力装置30の電源をON/OFFすることに連動して、プロジェクタ10への電源電流の制御を行うことが可能となる。
【0058】
プロジェクタ10に電源電流が供給されたとき、すなわち、プロジェクタ10の電源がONになったときには、プロジェクタ10の送信部12から電動スクリーン50の受信部60に向けて、プロジェクタ10に電源電流が供給された旨の信号が送信される。電動スクリーン50は、受信部60が当該信号を受けたのに応じて、スクリーン駆動装置54(図示せず。)を駆動させてスクリーン面52を繰り出し、スクリーン面52を投写可能状態とする(図1参照。)。
【0059】
そして、プロジェクタ10に電源電流が供給されている間、プロジェクタ10の送信部12から電動スクリーン50の受信部60に向けて、プロジェクタ10に電源電流が供給された旨の信号が所定の周期で送信される。電動スクリーン50は、受信部60が当該信号を受けたのに応じて、スクリーン面52の投写可能状態を維持する。
【0060】
一方、プロジェクタ10に対して電源電流の供給が止まったとき、すなわち、プロジェクタ10の電源がONからOFFに切り替わると、プロジェクタ10の送信部12から電動スクリーン50の受信部60に向けて、プロジェクタ10に電源電流が供給された旨の信号が送信されなくなる。電動スクリーン50は、受信部60が当該信号を所定の期間受信しないと、スクリーン駆動装置54(図示せず。)を駆動させてスクリーン面52を巻き取り、スクリーン面52を収納状態とする(図6参照。)。
【0061】
このように、実施形態1に係る電動スクリーン50は、電源・信号合成アダプタ100がプロジェクタ10に電源電流を供給しているときには投写可能状態となり、電源・信号合成アダプタ100がプロジェクタ10に電源電流を供給していないときには収納状態となるように構成されている。
【0062】
ここで、実施形態1に係るプロジェクションシステム1をさらに詳細に説明するにあたり、実施形態1の比較例に係るプロジェクションシステム9を説明する。
図7は、実施形態1の比較例に係るプロジェクションシステム9の概念図である。
【0063】
実施形態1の比較例に係るプロジェクションシステム9は、図7に示すように、実施形態1に係るプロジェクションシステム1とは、「プロジェクタ910を用いて画像出力装置930からのAV信号を画像光として電動スクリーン950に投写するように構成されたプロジェクションシステムである」点では共通しているが、「電源・信号合成アダプタ100及び電源・信号分離アダプタ120を使用せず、画像出力装置930とプロジェクタ910とをAVケーブル936で接続している」点で、実施形態1に係るプロジェクションシステム9とは異なる。
【0064】
このため、比較例に係るプロジェクションシステム9のようにしてシステムを構築した場合、画像出力装置930とプロジェクタ910との距離が長くなれば長くなるほどAVケーブル936の長さも長くなってしまい、システムを構築する際のコストが高くなってしまう。
【0065】
これに対し、実施形態1に係る電源・信号合成アダプタ100を用いてシステムを構築した場合、電源・信号合成アダプタ100を画像出力装置30の傍に配置することによって、AVケーブル36の長さを比較的短くすることが可能となる。また、電源・信号合成アダプタ100とプロジェクタ10とはAVケーブルではなく電源ケーブル40で接続されているため、画像出力装置30とプロジェクタ10との距離が長くなったとしても、画像出力装置30とプロジェクタ10とを繋ぐ電源ケーブル40の長さが長くなるだけで、画像出力装置30と電源・信号合成アダプタ100とを繋ぐAVケーブル36の長さが長くなることはない。このため、システムを構築する際のコストを低減することが可能となる。
【0066】
ところで、比較例に係るプロジェクションシステム9のようにしてシステムを構築した場合、図7に示すように、画像出力装置930及びプロジェクタ910の電源のON/OFF操作をそれぞれ別々のリモコン(画像出力装置用のリモコン970及びプロジェクタ用のリモコン972)で行う必要がある。このため、2つのリモコンを使い分けなければならず、使い勝手がよくない。
【0067】
これに対し、実施形態1に係る電源・信号合成アダプタ100を用いてシステムを構築した場合、AV信号検出部110がAV信号を検出したか否かによって、第1の電源出力端子108に対してAV信号が重畳された電源電流を出力したり当該出力を停止したりするため、画像出力装置用のリモコン70で画像出力装置30の電源をON/OFFすることに連動して、プロジェクタ10への電源電流の制御を行うことが可能となる。すなわち、画像出力装置30及びプロジェクタ10の電源のON/OFF操作を1つのリモコンで行うことができ、使い勝手を向上することが可能となる。
【0068】
上述した電源・信号合成アダプタ100を使用することにより、プロジェクタ10に対してはAV信号が重畳された電源電流が供給されるが、実施形態1に係る電源・信号分離アダプタ120によれば、AV信号分離部124を備えているため、そのようなAV信号が重畳された電源電流からAV信号を分離することが可能となる。このため、プロジェクタとしてAV信号分離部を備えていないタイプのプロジェクタ10を用いた場合であっても、画像出力装置30からのAV信号を画像光としてスクリーン面52に投写することが可能となる。
【0069】
上述した電源・信号合成アダプタ100を使用することにより、画像出力装置用のリモコン70で画像出力装置30の電源をON/OFFすることに連動して、プロジェクタ10への電源電流の制御を行うことが可能となるが、実施形態1に係る電動スクリーン50によれば、電源・信号合成アダプタ100がプロジェクタ10に電源電流を供給しているか否かによって、電動スクリーン50の状態を変えるように構成されているため、画像出力装置用のリモコン70で画像出力装置30の電源をON/OFFすることに連動して、プロジェクタ10への電源電流の制御を行うだけでなく、電動スクリーン50の状態も変えることが可能となり、使い勝手をさらに向上することが可能となる。
【0070】
[実施形態2]
実施形態2は、本発明の電源・信号合成アダプタ、プロジェクタ及び電動スクリーンを備えるプロジェクションシステムを説明するための実施形態である。
【0071】
図8は、実施形態2に係るプロジェクションシステム2の概念図である。図9は、実施形態2に係るプロジェクタ210を説明するために示すブロック図である。なお、図8において、図1と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0072】
実施形態2に係るプロジェクションシステム2は、基本的には実施形態1に係るプロジェクションシステム1とよく似た構成を有するが、電源・信号分離アダプタを備えておらず、その代わりに構成の異なるプロジェクタを備えている点で、実施形態1に係るプロジェクションシステム1とは異なる。
【0073】
すなわち、実施形態2に係るプロジェクションシステム2においては、プロジェクタ210は、図8及び図9に示すように、電源・信号合成アダプタ100とともに使用可能なプロジェクタであって、プロジェクタ210に対して電源電流が供給されたときに電動スクリーン50に対してその旨の信号を送信する送信部212と、電源・信号合成アダプタ100からのAV信号が重畳された電源電流からAV信号を分離するAV信号分離部220と、AV信号分離部220で分離されたAV信号を画像情報に変換処理する画像処理部222と、AV信号分離部220で分離された電源電流が供給される電源部224と、照明装置(図示せず。)と、電気光学変調装置(図示せず。)と、投写光学系(図示せず。)とを備える。
【0074】
このように、実施形態2に係るプロジェクションシステム2は、実施形態1に係るプロジェクションシステム1とは、電源・信号分離アダプタを備えておらず、その代わりに構成の異なるプロジェクタを備えている点で異なるが、実施形態1に係るプロジェクションシステム1の場合と同様に、電源・信号合成アダプタ100を用いてシステムを構築しているため、システムを構築する際のコストを低減することが可能となる。
【0075】
上述した電源・信号合成アダプタ100を使用することにより、プロジェクタ210に対してはAV信号が重畳された電源電流が供給されるが、実施形態2に係るプロジェクタ210によれば、AV信号分離部220を備えているため、そのようなAV信号が重畳された電源電流からAV信号を分離することができ、画像出力装置30からのAV信号を画像光としてスクリーン面52に投写することが可能となる。
【0076】
なお、実施形態2に係るプロジェクションシステム2においては、図8に示すように、プロジェクタ210の電源ケーブル214を延長させ、電源ケーブル214の電源プラグ216を電源・信号合成アダプタ100に接続させているが、本発明はこれに限定されるものではない。プロジェクタ210の電源ケーブル214とは別の電源ケーブル(他の電源ケーブル)を用意して、当該他の電源ケーブルを介してプロジェクタ210と電源・信号合成アダプタ100とを接続してもよい。
【0077】
[実施形態3]
実施形態3は、本発明の電源・信号合成アダプタ、電源・信号分離アダプタ及び電動スクリーンを備えるプロジェクションシステムを説明するための実施形態である。
【0078】
図10は、実施形態3に係るプロジェクションシステム3の概念図である。図11は、実施形態3に係る電源・信号合成アダプタ300を説明するために示すブロック図である。なお、図10において、図1と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0079】
実施形態3に係るプロジェクションシステム3は、基本的には実施形態1に係るプロジェクションシステム1とよく似た構成を有するが、電源・信号合成アダプタ、電動スクリーン及びプロジェクタの構成並びにオーディオアンプ及びスピーカーをさらに備える点で、実施形態1に係るプロジェクションシステム1とは異なる。
【0080】
すなわち、実施形態3に係るプロジェクションシステム3における電源・信号合成アダプタ300は、図11に示すように、電源プラグ302と、画像出力装置30からのAV信号が入力されるAV入力端子304と、電源プラグ302からの電源電流にAV入力端子304に入力されたAV信号を重畳するAV信号重畳部306と、AV信号重畳部306によってAV信号が重畳された電源電流をプロジェクタ320に向けて出力する第1の電源出力端子308と、電源プラグ302からの電源電流を電動スクリーン350に向けて出力する第2の電源出力端子314と、電源プラグ302からの電源電流をオーディオアンプ380に向けて出力する第2の電源出力端子316と、画像出力装置30から出力されるAV信号の有無を検出するAV信号検出部310と、制御部312とを備える。
【0081】
制御部312は、AV信号検出部310がAV信号を検出したときには、第1の電源出力端子308に対してAV信号重畳部306によってAV信号が重畳された電源電流を出力し、第2の電源出力端子314に対して電源プラグ302からの電源電流(AV信号が重畳されていない電源電流)を出力し、第2の電源出力端子316に対して電源プラグ302からの電源電流(AV信号が重畳されていない電源電流)を出力し、AV信号検出部310がAV信号を検出しないときには、第1の電源出力端子308に対する電源プラグ302からの電源電流の出力を停止し、第2の電源出力端子316に対する電源プラグ302からの電源電流の出力を停止する機能を有する。
【0082】
また、制御部312は、AV信号の入力が途絶したときには、当該途絶した時間から所定時間の間は第2の電源出力端子314に対して電源プラグ302からの電源電流(AV信号が重畳されていない電源電流)を出力し、所定時間経過後には第2の電源出力端子314に対する電源プラグ302からの電源電流(AV信号が重畳されていない電源電流)の出力を停止する機能をさらに有する。当該所定時間としては、例えば、電動スクリーン350の巻上げが完了するのに要する時間を設定することができる。
【0083】
また、制御部312は、AV信号検出部310がAV信号を検出したときには、電動スクリーン350に対してスクリーン面352を投写可能状態とする旨の信号を出力し、AV信号検出部310がAV信号を検出しないときには、電動スクリーン350に対してスクリーン面352を収納状態とする旨の信号を出力する機能をさらに有する。
【0084】
電動スクリーン350は、プロジェクタ320からの画像光が投写されるスクリーン面352と、スクリーン面352の繰り出し・巻き取りを行うスクリーン駆動装置354(図示せず。)と、電源・信号合成アダプタ300からの電源電流をスクリーン駆動装置354に供給するための電源ケーブル356及び電源プラグ358とを備える。電源プラグ358は、コンセントBの差し込み口ではなく、電源・信号合成アダプタ300の電源出力端子314に接続されている。
【0085】
電動スクリーン350は、電源・信号合成アダプタ300の制御部312からスクリーン面352を投写可能状態とする旨の信号を受けたときには、スクリーン駆動装置354(図示せず。)を駆動させてスクリーン面352を繰り出し、スクリーン面352を投写可能状態とする。一方、電源・信号合成アダプタ300の制御部312からスクリーン面352を収納状態とする旨の信号を受けたときには、スクリーン駆動装置354を駆動させてスクリーン面352を巻き取り、スクリーン面352を収納状態とする。
【0086】
プロジェクタ320は、基本的には実施形態1に係るプロジェクタ10と同じ構成を有するが、プロジェクタに対して電源電流が供給されたときに電動スクリーンに対してその旨の信号を送信する送信部が配設されていない点で、プロジェクタ10とは異なる。なお、プロジェクタ320の構成についての詳細な説明は省略する。
【0087】
画像出力装置用のリモコン70で画像出力装置30の電源をONにすると、画像出力装置30からAV信号が出力される。画像出力装置30から出力されたAV信号は、電源・信号合成アダプタ300におけるAV信号重畳部306で電源電流に重畳され、AV信号が重畳された電源電流として第1の電源出力端子308から出力される。電源・信号合成アダプタ300から出力された電源電流(AV信号が重畳された電源電流)は、電源ケーブル40を通り、電源・信号分離アダプタ120でAV信号と電源電流とに分離され、それぞれプロジェクタ320に入力される。
【0088】
この場合において、電源・信号合成アダプタ300のAV信号検出部310でAV信号が検出されることにより、第2の電源出力端子314からは、電源プラグ302からの電源電流(AV信号が重畳されていない電源電流)が出力される。電源・信号合成アダプタ300から出力された電源電流(AV信号が重畳されていない電源電流)は、電源ケーブル356を通り、電動スクリーン350に入力される。これにより、電動スクリーン350は、投写可能状態となる。
【0089】
また、電源・信号合成アダプタ300のAV信号検出部310でAV信号が検出されることにより、第2の電源出力端子316からは、電源プラグ302からの電源電流(AV信号が重畳されていない電源電流)が出力される。電源・信号合成アダプタ300から出力された電源電流(AV信号が重畳されていない電源電流)は、電源ケーブル382を通り、オーディオアンプ380に入力される。また、画像出力装置30から出力されたAV信号は、AVケーブル386を介してオーディオアンプ380で増幅された後、接続ケーブル388a,388bを介してスピーカー390a,390bによって音声変換されて出力される。
【0090】
一方、画像出力装置用のリモコン70で画像出力装置30の電源をOFFにすると、画像出力装置30からのAV信号の出力が停止される。電源・信号合成アダプタ300のAV信号検出部310において画像出力装置30からのAV信号の出力が無いことを確認すると、制御部312は、プロジェクタ320及びオーディオアンプ380に対する電源プラグ302からの電源電流の出力を停止する。これにより、電源・信号合成アダプタ300からの電源電流の出力が停止するため、プロジェクタ320の電源がOFFとなるとともに、オーディオアンプ380の電源がOFFとなる。
【0091】
また、画像出力装置30からのAV信号の出力が停止され、画像出力装置30からのAV信号の入力が途絶したことを制御部312が確認すると、第2の電源出力端子314からは、当該途絶した時間から所定時間の間、電動スクリーン350に対して電源プラグ302からの電源電流(AV信号が重畳されていない電源電流)が出力され、電源ケーブル356を通り、電動スクリーン350に入力される。これにより、電動スクリーン350が巻き上がり、電動スクリーン350が収納状態となる。そして、当該所定時間が経過した後、制御部312は、電動スクリーン350に対する電源プラグ302からの電源電流の出力を停止する。
【0092】
このように、画像出力装置用のリモコン70で画像出力装置30の電源をON/OFFすることに連動して、プロジェクタ320及びオーディオアンプ380の電源をON/OFFすることが可能となるだけでなく、電動スクリーン350の状態も変えることが可能となる。
【0093】
以上、実施形態3に係るプロジェクションシステム3は、実施形態1に係るプロジェクションシステム1とは、電源・信号合成アダプタの構成、電動スクリーンの構成及びプロジェクタの構成並びにオーディオアンプ及びスピーカーをさらに備える点で異なるが、実施形態1に係るプロジェクションシステム1の場合と同様に、電源・信号合成アダプタ300を用いてシステムを構築しているため、システムを構築する際のコストを低減することが可能となる。
【0094】
また、上述した電源・信号合成アダプタ300を使用することにより、画像出力装置用のリモコン70で画像出力装置30の電源をON/OFFすることに連動して、プロジェクタ320の電源をON/OFFすることが可能となるが、実施形態3に係る電動スクリーン350によれば、電源・信号合成アダプタ300がプロジェクタ320に電源電流を供給しているか否かによって、電動スクリーン350の状態を変えるように構成されているため、画像出力装置用のリモコン70で画像出力装置30の電源をON/OFFすることに連動して、プロジェクタ320の電源をON/OFFするだけでなく、電動スクリーン350の状態も変えることが可能となり、使い勝手をさらに向上することが可能となる。
【0095】
実施形態3に係る電源・信号合成アダプタ300においては、電源プラグ302からの電源電流を出力する第2の電源出力端子314,316をさらに備えるため、電動スクリーン350及びオーディオアンプ380に対しても電源電流(AV信号が重畳されていない電源電流)を出力することが可能となる。
【0096】
実施形態3に係る電源・信号合成アダプタ300においては、上述したように、AV信号検出部310がAV信号を検出したか否かによって、第2の電源出力端子314,316に対して電源電流を出力したり当該出力を停止したりするため、画像出力装置用のリモコン70で画像出力装置30の電源をON/OFFすることに連動して、電動スクリーン350及びオーディオアンプ380への電源電流の制御を行うことが可能となる。すなわち、画像出力装置30及び電動スクリーン350及びオーディオアンプ380の電源のON/OFF操作を1つのリモコンで行うことができ、使い勝手を向上することが可能となる。
【0097】
実施形態3に係る電源・信号合成アダプタ300においては、上述したように、AV信号の入力が途絶してから所定時間の間に限り、第2の電源出力端子314に対して電源電流を出力することが可能となるため、電動スクリーン350に当該所定時間の間だけ電源電流を供給することが可能となる。
【0098】
実施形態3に係る電源・信号合成アダプタ300においては、第2の電源出力端子を複数備えるため、第2の電源出力端子に接続された複数の機器(実施形態3では電動スクリーン350及びオーディオアンプ380)に対して電源電流(AV信号が重畳されていない電源電流)を出力することが可能となる。
【0099】
[実施形態4]
実施形態4は、本発明の電源制御アダプタを備えるプロジェクションシステムを説明するための実施形態である。
【0100】
図12は、実施形態4に係るプロジェクションシステム4の概念図である。図13は、実施形態4に係る電源制御アダプタ140を説明するために示す斜視図である。図13(a)は電源制御アダプタ140の斜視図であり、図13(b)は図13(a)とは異なる角度から見たときの電源制御アダプタ140の斜視図である。図14は、実施形態4に係る電源制御アダプタ140を説明するために示すブロック図である。なお、図12において、図1と同一の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0101】
実施形態4に係るプロジェクションシステム4は、プロジェクタ10を用いて画像出力装置30からのAV信号を画像光として電動スクリーン50に投写するように構成されたプロジェクションシステムであって、図12に示すように、プロジェクタ10と、画像出力装置30と、電動スクリーン50と、画像出力装置30からのAV信号を検出してプロジェクタ10への電源電流を制御する電源制御アダプタ140とを備える。
【0102】
なお、プロジェクタ10、画像出力装置30及び電動スクリーン50は、実施形態1で説明したものと同じであるため、説明を省略する。
【0103】
電源制御アダプタ140は、画像出力装置30からのAV信号を検出してプロジェクタ10への電源電流を制御するための装置であり、図13及び図14に示すように、電源プラグ142と、画像出力装置30からのAV信号が入力されるAV入力端子144と、画像出力装置30から出力されるAV信号の有無を検出するAV信号検出部150と、電源出力端子148と、制御部152とを備える。
【0104】
制御部152は、AV信号検出部150がAV信号を検出したときには、電源出力端子148に対して電源プラグ142からの電源電流を出力し、AV信号検出部150がAV信号を検出しないときには、電源出力端子148に対する電源プラグ142からの電源電流の出力を停止する機能を有する。
【0105】
電源制御アダプタ140を用いてプロジェクションシステム4を構築するにあたっては、以下に示すようにして各装置を接続する。
【0106】
まず、図12に示すように、画像出力装置30の電源プラグ34を、画像出力装置30の傍にあるコンセントAに差し込み、電源制御アダプタ140の電源プラグ142(図14参照。)を同じくコンセントAに差し込む。また、電源制御アダプタ140のAV入力端子144(図14参照。)に、画像出力装置30のAVケーブル36(AV出力端子38)を接続する。これにより、画像出力装置30と電源制御アダプタ140とがAVケーブル38を介して接続されることとなる。
【0107】
次に、電源制御アダプタ140の電源出力端子148(図14参照。)に、プロジェクタ10の電源ケーブル414の電源プラグ416を接続することにより、プロジェクタ10と電源制御アダプタ140とが電源ケーブル414を介して接続されることとなる。
なお、実施形態4に係る電源制御アダプタ140を用いてシステムを構築する場合、電源制御アダプタ140からプロジェクタ10に対してAV信号は出力されないため、画像出力装置30とプロジェクタ10とをAVケーブル418で接続する必要がある。
【0108】
画像出力装置用のリモコン70で画像出力装置30の電源をONにすると(図12参照。)、画像出力装置30からAV信号が出力される。画像出力装置30から出力されたAV信号は、電源制御アダプタ140におけるAV入力端子144に入力される(図14参照。)。そして、AV信号検出部150によってAV信号が検出されると、制御部152の機能によって、電源制御アダプタ140からプロジェクタ10に対して電源電流(AV信号が重畳されていない電源電流)が出力される。
【0109】
一方、画像出力装置用のリモコン70で画像出力装置30の電源をOFFにすると、画像出力装置30からのAV信号の出力が停止される。電源制御アダプタ140のAV信号検出部110において画像出力装置30からのAV信号の出力が無いことを確認すると、制御部152は、電源プラグ142からの電源電流の出力を停止する。これにより、プロジェクタ10に対して、電源制御アダプタ140からの電源電流の出力が停止する。
【0110】
このように、画像出力装置用のリモコン70で画像出力装置30の電源をON/OFFすることに連動して、プロジェクタ10への電源電流の制御を行うことが可能となる。
【0111】
実施形態4に係る電源制御アダプタ140を用いてシステムを構築した場合、AV信号検出部150がAV信号を検出したか否かによって、電源出力端子148に対して電源電流を出力したり当該出力を停止したりするため、画像出力装置用のリモコン70で画像出力装置30の電源をON/OFFすることに連動して、プロジェクタ10への電源電流の制御を行うことが可能となる。すなわち、画像出力装置30及びプロジェクタ10の電源のON/OFF操作を1つのリモコンで行うことができ、使い勝手を向上することが可能となる。
【0112】
以上、本発明の電源・信号合成アダプタ、プロジェクタ、電源・信号分離アダプタ、電動スクリーン及び電源制御アダプタを上記の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0113】
(1)上記各実施形態1〜4に係るプロジェクションシステム1〜4は、天吊りタイプのプロジェクタ10,210,320を用いて構築されたシステムであるが、本発明はこれに限定されるものではない。据え置きタイプのプロジェクタを用いて構築されたシステムにも、本発明を適用することができる。
【0114】
(2)上記各実施形態1〜3に係る電源・信号合成アダプタ100,300においては、AV入力端子が1つである場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、AV入力端子が複数あってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】電動スクリーン50が投写可能状態である場合の、実施形態1に係るプロジェクションシステム1の概念図。
【図2】実施形態1に係る電源・信号合成アダプタ100を説明するために示す斜視図。
【図3】実施形態1に係る電源・信号合成アダプタ100を説明するために示すブロック図。
【図4】実施形態1に係る電源・信号分離アダプタ120を説明するために示す斜視図。
【図5】実施形態1に係る電源・信号分離アダプタ120を説明するために示すブロック図。
【図6】電動スクリーン50が収納状態である場合の、実施形態1に係るプロジェクションシステム1の概念図。
【図7】実施形態1の比較例に係るプロジェクションシステム9の概念図。
【図8】実施形態2に係るプロジェクションシステム2の概念図。
【図9】実施形態2に係るプロジェクタ210を説明するために示すブロック図。
【図10】実施形態3に係るプロジェクションシステム3の概念図。
【図11】実施形態3に係る電源・信号合成アダプタ300を説明するために示すブロック図。
【図12】実施形態4に係るプロジェクションシステム4の概念図。
【図13】実施形態4に係る電源制御アダプタ140を説明するために示す斜視図。
【図14】実施形態4に係る電源制御アダプタ140を説明するために示すブロック図。
【符号の説明】
【0116】
1,2,3,4,9…プロジェクションシステム、10,210,320,910…プロジェクタ、12,212…送信部、14,214,324,414,914…電源ケーブル、16,216,326,416,916…電源プラグ、18,328,418…AVケーブル、20,330…AV入力端子、30,930…画像出力装置、32,932…電源ケーブル、34,934…電源プラグ、36,936…AVケーブル、38…AV出力端子、40…電源ケーブル、42…電源プラグ、44…電源出力端子、50,350,950…電動スクリーン、52,352,952…スクリーン面、56,356,956…電源ケーブル、58,358,958…電源プラグ、60…受信部、70,970…画像出力装置用のリモコン、100,300…電源・信号合成アダプタ、102,302…電源プラグ、104,304…AV入力端子、106,306…AV信号重畳部、108,308…第1の電源出力端子、110,310…AV信号検出部、112,312…制御部、120…電源・信号分離アダプタ、122…電源プラグ、124…AV信号分離部、126…AV出力端子、128…電源出力端子、140…電源制御アダプタ、142…電源プラグ、144…AV入力端子、148…電源出力端子、150…AV信号検出部、152…制御部、220…AV信号分離部、222…画像処理部、224…電源部、972…プロジェクタ用のリモコン、314,316…第2の電源出力端子、380…オーディオアンプ、382…電源ケーブル、384…電源プラグ、386…AVケーブル、388a,388b…接続ケーブル、390a,390b…スピーカー、A,B…コンセント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像出力装置からのAV信号を電力線からの電源電流に重畳してプロジェクタに出力するための電源・信号合成アダプタであって、
電源プラグと、
前記画像出力装置からのAV信号が入力されるAV入力端子と、
前記電源プラグからの電源電流に前記AV入力端子に入力されたAV信号を重畳するAV信号重畳部と、
前記AV信号重畳部によってAV信号が重畳された電源電流を出力する第1の電源出力端子とを備えることを特徴とする電源・信号合成アダプタ。
【請求項2】
請求項1に記載の電源・信号合成アダプタにおいて、
前記画像出力装置から出力されるAV信号の有無を検出するAV信号検出部と、
前記AV信号検出部がAV信号を検出したときには、前記第1の電源出力端子に対して前記AV信号重畳部によってAV信号が重畳された電源電流を出力し、前記AV信号検出部がAV信号を検出しないときには、前記第1の電源出力端子に対する前記電源プラグからの電源電流の出力を停止する機能を有する制御部とをさらに備えることを特徴とする電源・信号合成アダプタ。
【請求項3】
請求項2に記載の電源・信号合成アダプタにおいて、
前記電源プラグからの電源電流を出力する第2の電源出力端子をさらに備えることを特徴とする電源・信号合成アダプタ。
【請求項4】
請求項3に記載の電源・信号合成アダプタにおいて、
前記制御部は、
前記AV信号検出部がAV信号を検出したときには、前記第2の電源出力端子に対して前記電源プラグからの電源電流を出力し、前記AV信号検出部がAV信号を検出しないときには、前記第2の電源出力端子に対する前記電源プラグからの電源電流の出力を停止する機能をさらに有することを特徴とする電源・信号合成アダプタ。
【請求項5】
請求項4に記載の電源・信号合成アダプタにおいて、
前記制御部は、AV信号の入力が途絶したときには、当該途絶した時間から所定時間の間は前記第2の電源出力端子に対して前記電源プラグからの電源電流を出力し、前記所定時間経過後には前記第2の電源出力端子に対する前記電源プラグからの電源電流の出力を停止する機能をさらに有することを特徴とする電源・信号合成アダプタ。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれかに記載の電源・信号合成アダプタにおいて、
前記第2の電源出力端子を複数備えることを特徴とする電源・信号合成アダプタ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の電源・信号合成アダプタとともに使用可能なプロジェクタであって、
前記電源・信号合成アダプタからのAV信号が重畳された電源電流からAV信号を分離するAV信号分離部を備えることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の電源・信号合成アダプタとともに使用可能な電源・信号分離アダプタであって、
前記電源・信号合成アダプタからのAV信号が重畳された電源電流が入力される電源プラグと、
前記電源・信号合成アダプタからのAV信号が重畳された電源電流からAV信号を分離するAV信号分離部と、
前記AV信号分離部によって分離されたAV信号を出力するAV出力端子と、
前記AV信号分離部によって分離された電源電流を出力する電源出力端子とを備えることを特徴とする電源・信号分離アダプタ。
【請求項9】
請求項2〜6のいずれかに記載の電源・信号合成アダプタとともに使用可能な電動スクリーンであって、
前記電源・信号合成アダプタが前記プロジェクタに電源電流を供給しているときには投写可能状態となり、前記電源・信号合成アダプタが前記プロジェクタに電源電流を供給していないときには収納状態となるように構成されてなることを特徴とする電動スクリーン。
【請求項10】
画像出力装置からのAV信号を検出してプロジェクタへの電源電流を制御する電源制御アダプタであって、
電源プラグと、
前記画像出力装置からのAV信号が入力されるAV入力端子と、
前記画像出力装置から出力されるAV信号の有無を検出するAV信号検出部と、
電源出力端子と、
前記AV信号検出部がAV信号を検出したときには、前記電源出力端子に対して前記電源プラグからの電源電流を出力し、前記AV信号検出部がAV信号を検出しないときには、前記電源出力端子に対する前記電源プラグからの電源電流の出力を停止する機能を有する制御部とを備えることを特徴とする電源制御アダプタ。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図2】
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【図4】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−193552(P2008−193552A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27650(P2007−27650)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】