説明

電源装置及びその電源装置を備えた電動工具

【課題】インバータを備えた電源装置であって、電源装置の主要装置であるインバータを大型化させずに、位相制御によるモータ回転速度制御機能を備えた電動工具であっても駆動可能とする。
【解決手段】電源装置1は、電池パック5からの直流電力を交流電力に変換して出力するインバータ2と、インバータ2の出力波形を変換する変換アダプタ3のインバータ2への接続状態に応じてインバータ2の出力波形を制御するマイコン28と、を備えたことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータを備えた電源装置及びその電源装置を備えた電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部電源からの電力を蓄える電池パックと、電池パックに蓄えられた直流電力を交流電力に変換するインバータとを有し、プラグを介して交流駆動式の電気工具に電力を供給する電源装置が知られている。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−278832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電源装置におけるインバータにおいては、装置を大型化させないため、正弦波交流電力を出力する回路を排除し、矩形波交流電力を出力するものが一般的である。しかし、矩形波交流電力を出力するインバータは、位相制御によるモータ回転速度制御機能を備えた一部の電動工具を駆動させることは出来ない。
【0005】
本発明は、電源装置の主要装置であるインバータを大型化させずに、位相制御によるモータ回転速度制御機能を備えた電動工具であっても駆動可能な電源装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の電源装置は、電池パックからの直流電力を交流電力に変換して出力するインバータと、前記インバータの出力波形を変換する変換アダプタの前記インバータへの接続状態に応じて前記インバータの出力波形を制御する制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
このような構成によれば、変換アダプタの装着状態に応じてインバータの出力波形を変更することができるため、どのような電動工具であっても駆動することができる。更に、位相制御機能を持たない電動工具に対しては、変換アダプタが要らないので、本電源装置を持ち運ぶ場合にはインバータ部を持ち運べばよいので、大型化することなく携帯性を損なうことはない。
【0008】
また、前記制御手段は、前記制御手段は、前記変換アダプタが前記インバータへ非接続の場合には商用電源周波数の矩形波を出力し、前記変換アダプタが前記インバータに接続されていた場合にはPWM正弦波を出力するように前記インバータを制御することが好ましい。
【0009】
また、前記インバータは、前記電池パックからの直流電力を交流電力に変換するための第1のスイッチング素子と、前記変換された電力を昇圧する昇圧回路部と、前記昇圧された電力を整流・平滑して直流電力として出力する整流平滑回路部と、前記平滑された電力を交流電力として出力するための複数の第2のスイッチング素子を有するスイッチング回路部と、を備え、前記制御手段は、前記接続状態に応じて、前記複数の第2のスイッチング素子を制御することが好ましい。
【0010】
このような構成によれば、変換アダプタを介して正弦波の交流電力を出力できるので、位相制御によるモータ回転速度制御機能を備えた電動工具も安定駆動することができる。すなわち、変換アダプタが接続されていない場合には、商用電源周波数の矩形波の交流電力を出力して位相制御(モータ回転速度制御機能)を持たない電動工具に直接的に供給できるようにし、また、変換アダプタが接続さている場合には、高キャリア周波数でPWM制御されている商用電源周波数のPWM正弦波の交流電力を出力し、変換アダプタを介して正弦波に変換された交流電力をモータ回転速度制御機能を持つ電動工具に供給できるようにしている。これにより、使用可能な電動工具の種類を大幅に増やすことができ、利便性を向上することができる。更に、変換アダプタの有無に応じて第2スイッチング素子を制御すればよいため、簡単な構成であらゆる電動工具に対応できる電源装置を提供することができる。
【0011】
また、前記変換アダプタは、前記PWM正弦波を正弦波に変換するローパスフィルタを備えることが好ましい。
このような構成によれば、位相制御によるモータ回転速度制御機能を備えた電動工具であっても駆動することが可能となる。
【0012】
また、前記変換アダプタは、前記接続状態を前記制御部に認識させるための変換アダプタ識別手段を備えることが好ましい。また、前記変換アダプタ識別手段は、前記変換アダプタが前記インバータに接続されると前記制御部に入力される識別信号を変化させる識別抵抗を備えており、前記制御部は、前記識別信号の変化に応じて前記変換アダプタの接続を識別することが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、インバータへの変換アダプタの接続を抵抗によって簡単に検出することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電源装置の主要装置であるインバータを大型化させずに、位相制御によるモータ回転速度制御機能を備えた電動工具であっても駆動可能な電源装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明となる電源装置であって、インバータと変換アダプタを接続した状態の回路図。
【図2】本発明となる電源装置であって、インバータの回路図。
【図3】本発明となる電源装置におけるインバータ及び変換アダプタの出力波形図。
【図4】本発明となる電源装置によるACモータへの供給電圧の制御についてのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1乃至図4を用いて、本発明の電源装置の実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明となる電源装置1において、インバータ2、変換アダプタ3、電動工具4、及び電池パック5の接続状態を示す回路図である。図2は、本発明となる電源装置1において、図1の状態から変換アダプタ3を取り外しインバータ2に直接電動工具を接続した状態を示す回路図である。
【0018】
図1において、電源装置1は、インバータ2と、変換アダプタ3とを備えており、インバータ2に電池パック5が接続され、作業者によってインバータ2の電源スイッチ221が操作(オン)されると、電池パック5から供給された直流電力をインバータ2によって交流電力に変換して出力する。電池パック5は、3.6V/セルのリチウム電池セルを直列に4つ接続し定格電圧14.4Vのリチウム電池パックである。
【0019】
変換アダプタ3がインバータ2に接続されている場合には、変換アダプタ3を介して位相制御が必要な電動工具4、例えばディスクグラインダのACモータ42に交流電力を供給する。一方、図2に示すように、変換アダプタ3がインバータ2に接続されていない場合には、直接的に位相制御が必要でない電動工具4、例えば芝刈り機のACモータ42に供給するものとする。インバータ2、変換アダプタ3、電動工具4、及び電池パック5は、それぞれ着脱可能であるが、接続状態について特に記述しない限り夫々が接続されているものとして説明する。
【0020】
インバータ2は、電池電圧検出部21と、マイコン電源部22と、昇圧回路部23と、整流・平滑回路(整流平滑回路部)24と、昇圧電圧検出部25と、スイッチング回路26と、電流検出抵抗27と、マイコン28と、PWM信号出力部29と、変換アダプタ識別手段6(分圧抵抗61、変換アダプタ識別端子63、識別抵抗62を含む)と、電池パック接続端子2aと、交流電力出力端子2bを備えている。
【0021】
変換アダプタ3は、ローパスフィルタ31と、識別抵抗62と、変換アダプタ識別端子63と、PWM正弦波入力端子3aと、正弦波出力端子3bを備えている。
【0022】
ローパスフィルタ31は、チョークコイル311及び312と、コンデンサ313から構成されており、PWM正弦波入力端子3aに入力されるPWM正弦波を、正弦波に変換して正弦波出力端子3bに出力する。
【0023】
インバータ2と、変換アダプタ3は、各々の接続状態をマイコン28が識別するための変換アダプタ識別手段6を備えている。
【0024】
変換アダプタ識別手段6は、上述したインバータ2に設けられた分圧抵抗61と変換アダプタ識別端子63、変換アダプタ3に設けられた識別抵抗62から構成されている。変換アダプタ3がインバータ2に接続されている場合(図1)、変換アダプタ識別手段6は、マイコン28の電源電圧Vcc(例えば5V)を分圧抵抗61と識別抵抗62により分圧した分圧電圧をマイコン28に出力する。一方、変換アダプタ3がインバータ2に接続されていない場合(図2)、変換アダプタ識別手段6は、電源電圧Vccの電圧を分圧抵抗61を介してそのままマイコン28に出力する。この構成により、マイコン28は、インバータ2と変換アダプタ3の接続状態を識別することができる。
【0025】
次に、図1を用いてインバータ2の回路構成について以下詳細に説明する。
【0026】
電池電圧検出部21は、互いに直列接続された抵抗211及び212から構成されており、電池パック5からの電圧を検出し、抵抗211及び212の接続点の電圧を分圧電圧としてマイコン28に出力する。
【0027】
マイコン電源部22は、電池パック5とマイコン28との間に直列に接続された電源スイッチ221及び定電圧回路222を備えている。定電圧回路222は、三端子レギュレータ222aと、発振防止用コンデンサ222b及び222cとを備えており、作業者により電源スイッチ221がオンされると、電池パック5から印加された電圧を所定の直流(駆動)電圧Vcc(例えば5V)に変換し、マイコン28に駆動電圧Vccを供給する。なお、電源スイッチ221が作業者によってオフされると、マイコン28に駆動電圧Vccが供給されなくなるので、インバータ2全体がオフされることとなる。
【0028】
昇圧回路部23は、トランス231と、FET232とから構成されている。FET232のゲートはマイコン28に接続されており、FET232は、後述するマイコン28からの第1のPWM信号によりオン・オフされ、これにより、電池パック5からトランス231の1次側に供給された直流電力はトランス231の2次側に昇圧され出力される。
【0029】
トランス231の2次側には、整流・平滑回路24と、昇圧電圧検出部25と、スイッチング回路26と、電流検出抵抗27が接続されている。
【0030】
整流・平滑回路24は、ダイオード241と、コンデンサ242とから構成されており、これらにより、トランス231の出力を整流・平滑して直流電力として出力する。
【0031】
昇圧電圧検出部25は、互いに直列接続された抵抗251及び252から構成されており、整流・平滑回路24から出力された直流の昇圧電圧(コンデンサ242の電圧)を検出し、抵抗の接続点から分圧電圧としてマイコン28に出力する。
【0032】
スイッチング回路26は、4つのFET261−264から構成されている。FET261−264のゲートは夫々がPWM信号出力部29に接続されており、後述するPWM信号出力部29からの第2のPWM信号によりオン・オフされ、これにより、整流・平滑回路24から出力された直流電力は、交流電力に変換されて交流電力出力端子2bから出力される。図1のように変換アダプタ3が接続されている場合には、変換アダプタ3を介して電動工具4のACモータ42に供給される。
【0033】
電流検出抵抗27は、FET262及びFET264のソースと、GNDとの間に直列に接続されており、電流検出抵抗27の上流側の端子はマイコン28と接続されている。このような構成により、電流検出抵抗27は、ACモータ42に流れる電流を検出し、電圧としてマイコン28に出力する。
【0034】
マイコン28は、昇圧電圧検出部25によって検出されたコンデンサ242の昇圧電圧に基づき、整流・平滑回路24の出力電圧が目標の昇圧電圧(例えば140V)に保たれるように第1のPWM信号をFET232のゲートに出力し、FET232をフィードバック制御する。
【0035】
また、マイコン28は、設定された電圧波形を持つ交流電力をACモータ42に供給するための第2のPWM信号をPWM信号出力部29に出力する。PWM信号出力部29は、マイコン28から出力された第2のPWM信号をスイッチング回路26の4つのFET(FET261−264)のゲートに出力し、FET261−264をオン・オフさせる。このとき、マイコン28は、変換アダプタ識別手段6の出力信号に基づき、第2のPWM信号の状態を変更する。
【0036】
図2に示すように、変換アダプタ3がインバータ2に接続されていない場合、すなわち、変換アダプタ3を介さずインバータ2に電動工具4が直接接続されている場合には、マイコン28は、スイッチング回路26の出力電圧波形が図3(a)の矩形波となるように第2のPWM信号をPWM信号出力部29に出力する。詳細には、マイコン28は、スイッチング回路26のFET261とFET264のセット(以降、第1のセット)とFET262とFET263のセット(以降、第2のセット)をデューティ100%で交互にオン・オフさせるための第2のPWM信号を出力する。
【0037】
この場合、図3(a)に示す矩形波の電圧波形を持つ交流電力が交流電力出力端子2bを介してそのままACモータ42に供給される。
【0038】
一方、図1に示すように変換アダプタ3がインバータ2に接続されている場合、すなわち、変換アダプタ3を介してインバータ2に電動工具4が接続されている場合には、マイコン28は、スイッチング回路26の出力電圧波形が図3(b)のPWM正弦波となるように第2のPWM信号をPWM信号出力部29に出力する。詳細には、マイコン28は、スイッチング回路26の第1のセットと第2のセットを、デューティ比可変の数十キロヘルツオーダーのキャリア周波数でオン・オフさせる第2のPWM信号を出力する。
【0039】
この場合、図3(b)のPWM正弦波は、交流電力出力端子2bを介して変換アダプタ3のローパスフィルタ31を通過することにより、図3(C)に示すように正弦波に変換され、正弦波の電圧波形を持つ交流電力がACモータ42に供給される。このような正弦波の電圧波形を持つ交流電力により、位相制御を行う電動工具であっても確実に動作することができるようになる。
【0040】
更に、マイコン28は、電池電圧検出部21によって検出された電池電圧に基づき、電池パック5の過放電を判別する。具体的には、電池電圧検出部21によって検出された電池電圧が所定値以下の場合には、電池パック5に過放電が生じていると判断し、第1のPWM信号及び第2のPWM信号を停止し、FET232及びFET261−264の動作を停止させる。また、電池パック5は、その内部に保護ICやマイコンを内蔵しており、自ら過放電を検出して過放電信号をマイコン28に出力する機能を有しており、マイコン28は、電池パック5のLD端子を介して過放電信号を受信した場合にも第1のPWM信号及び第2のPWM信号を停止する。このような構成により、電池パック5の寿命が短くなることを防止することが可能となる。
【0041】
次に、図4のフローチャートを用いて、本実施の形態におけるマイコン28によるACモータ42への供給電圧の制御について説明する。
【0042】
図4のフローチャートは、電池パック5がインバータ2に装着されている状態で電源スイッチ221がオンされた時、あるいは、電源スイッチ221がオンされた状態で電池パック5がインバータ2に装着された時にスタートする。なお、マイコン28は、定電圧回路222によって電源電圧Vccが供給されて起動する。
【0043】
まず、マイコン28は、第1のPWM信号をFET232に出力し、昇圧回路23を動作させ(S200)、昇圧電圧検出部25によって検出された昇圧電圧に基づき、整流平滑回路部24のコンデンサ242の昇圧電圧(検出電圧)が目標電圧(例えば140V)より大きいか否かを判断する(S201)。検出電圧が目標電圧より大きい場合には(S201:YES)、デューティ比を減少させた第1のPWM信号をFET232のゲートに出力し(S203)、検出電圧が目標電圧以下の場合には(S201:NO)、デューティ比を増加させた第1のPWM信号をFET232のゲートに出力する(S202)。
【0044】
続いて、変換アダプタ識別手段6の出力信号に基づき、変換アダプタの接続を判断する(S204)。変換アダプタ3の接続は、マイコン28へ入力される電圧により判断する。定電圧回路222の出力(電源電圧Vcc:5V)が変換アダプタ識別手段6に入力される。変換アダプタ3が接続されている場合は、電源電圧Vccが分圧抵抗61及び識別抵抗62によって分圧され、分圧された電圧(識別信号)がマイコン28へ入力される。一方、変換アダプタ3が接続されていない場合は、電源電圧Vccが分圧抵抗61を介してそのままマイコン28へ入力される。すなわち、マイコン28へ入力される電圧は、変換アダプタ接続時の方が非接続時より小さくなる。マイコン28は入力された電圧が所定電圧、例えば3Vより大きいか否かで変換アダプタ3の接続有無を判断している。
【0045】
変換アダプタ3が接続されている場合には(S204:YES)、スイッチング回路26の出力がPWM正弦波となるように、第2のPWM信号をスイッチング回路26のFET261−264に出力し(S205)、変換アダプタ3が接続されていない場合には(S204:NO)、スイッチング回路26の出力が矩形波となるように、第2のPWM信号をスイッチング回路26のFET261−264に出力する(S206)。
【0046】
続いて、電池電圧検出部21によって検出された電池電圧が所定の過放電電圧より小さいか否かを判断する(S207)。所定の過放電電圧より小さい場合には(S207:YES)、電池パック5が過放電状態にあると判断し、第1のPWM信号及び第2のPWM信号を停止して昇圧回路23及びスイッチング回路26の動作を停止させる(S208)。これにより、電池パック5からの電力の供給が停止される。
【0047】
一方、電池電圧が所定の過放電電圧以上の場合には(S207:NO)、電池パック5からLD端子を介して過放電信号が入力されたか否かを判断する(S209)。過放電信号が入力されていた場合には(S209:YES)、電池電圧が所定の過放電電圧より小さい場合(S207:YES)と同様に、昇圧回路23及びスイッチング回路26の動作を停止させる(S208)。過放電信号が入力されていなかった場合には(S209:NO)、S200に戻る。
【0048】
本実施形態のような構成によれば、インバータに対して着脱可能な変換アダプタを介して正弦波の交流電力を出力できるので、位相制御によるモータ回転速度制御機能を備えた電動工具であっても安定して駆動することができる。また、位相制御機能を持たない電動工具に対しては、変換アダプタが要らないので、電源装置を持ち運ぶ場合にはインバータのみを持ち運べばよいので、携帯性を損なうことはない。
【0049】
尚、本発明の電源装置は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0050】
例えば、上記実施の形態において、変換アダプタ識別手段を抵抗としたが、機械的に開閉するスイッチでも良く、変換アダプタ接続時にスイッチが閉じて電源電圧Vccがマイコンに入力され、非接続時にはスイッチが開いてマイコンへの入力がなくなることで、変換アダプタの接続有無を識別するようにしても良い。或いは、作業者が手動で切り換えるスイッチでも良い。即ち、変換アダプタの接続有無を検出できればどのような構成であっても良い。
【0051】
また、上記実施の形態では、インバータ2に接続される電池パック5を14.4Vのリチウム電池パックとして説明したが、種類が異なる電池パック、例えばリチウム電池の他にニカド電池やニッケル水素電池からなる電池パックの何れかを接続可能にしても良いし、電池電圧が異なる複数の電池パックを接続可能にしても良い。この場合、電池パックには電池電圧や種類を識別するために識別手段(例えば抵抗)を設け、マイコン28がこの抵抗からの情報により接続された電池パックを判別し、その電池パックに応じて昇圧回路部23の昇圧動作を制御するようにすれば、種々の電池パックを使用することができ作業性を向上することができる。
【0052】
また、図4のフローチャートでは、S207〜S209で過放電状態を判別するようにしたが、いずれの時点で判別するようにしても良い。
【0053】
また、上記実施の形態では、矩形波駆動可能な電動工具、例えば芝刈り機は変換アダプタを接続しないことを前提として説明したが、矩形波駆動可能な電動工具は、変換アダプタを介して図3(c)の正弦波でも駆動可能である。そのため、携帯性を考慮しなければ、インバータに変換アダプタを接続しておくことで、あらゆる電動工具に使用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1:電源装置、2:インバータ、3:変換アダプタ、4:電動工具、5:電池パック、6:変換アダプタ識別手段、21:電池電圧検出部、22:マイコン電源部、23:昇圧回路、24:整流・平滑回路、25:昇圧電圧検出部、26:スイッチング回路、27:電流検出抵抗、28:マイコン、29:PWM信号出力部、2a:電池パック接続端子、2b:交流電力出力端子、31:ローパスフィルタ、3a:PWM正弦波入力端子、3b:正弦波出力端子、41:スイッチ、42:ACモータ、43:モータ回転数制御回路、61:分圧抵抗、62:識別抵抗、63:変換アダプタ接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックからの直流電力を交流電力に変換して出力するインバータと、
前記インバータの出力波形を変換する変換アダプタの前記インバータへの接続状態に応じて前記インバータの出力波形を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記変換アダプタが前記インバータへ非接続の場合には商用電源周波数の矩形波を出力し、前記変換アダプタが前記インバータに接続されていた場合にはPWM正弦波を出力するように前記インバータを制御することを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記インバータは、
前記電池パックからの直流電力を交流電力に変換するための第1のスイッチング素子と、
前記変換された電力を昇圧する昇圧回路部と、
前記昇圧された電力を整流・平滑して直流電力として出力する整流平滑回路部と、
前記平滑された電力を交流電力として出力するための複数の第2のスイッチング素子を有するスイッチング回路部と、
を備え、
前記制御手段は、前記接続状態に応じて、前記複数の第2のスイッチング素子を制御することを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記変換アダプタは、前記PWM正弦波を正弦波に変換するローパスフィルタを備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記変換アダプタは、前記接続状態を前記制御部に認識させるための変換アダプタ識別手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記変換アダプタ識別手段は、前記変換アダプタが前記インバータに接続されると前記制御部に入力される識別信号を変化させる識別抵抗を備えており、
前記制御部は、前記識別信号の変化に応じて前記変換アダプタの接続を識別することを特徴とする請求項5に記載の電源装置。
【請求項7】
モータと、前記電池パックからモータへの電力供給を指示するトリガスイッチと、を備え、請求項1乃至6の何れか一項に記載の電源装置に接続可能であることを特徴とする電動工具。
【請求項8】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の電源装置と、請求項7に記載の電動工具と、を備えたことを特徴とする電源システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−95457(P2012−95457A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240801(P2010−240801)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】