電源装置
【課題】 高効率で安定性が高く、かつ、特性のよい電源装置を提供すること。
【解決手段】 商用電源1からの商用電力を直流電力に変換するコンバータ回路35と、商用電源1と負荷32との間にその二次巻き線が直列に接続されたトランス30と、負荷32に出力される出力電圧に応じて、コンバータ回路35から出力される直流電力を交流電力に変換してトランス30の一次巻き線に印加するインバータ回路36と、コンバータ回路35およびインバータ回路36を制御する制御回路(補償回路9〜11等)と、を有する。
【解決手段】 商用電源1からの商用電力を直流電力に変換するコンバータ回路35と、商用電源1と負荷32との間にその二次巻き線が直列に接続されたトランス30と、負荷32に出力される出力電圧に応じて、コンバータ回路35から出力される直流電力を交流電力に変換してトランス30の一次巻き線に印加するインバータ回路36と、コンバータ回路35およびインバータ回路36を制御する制御回路(補償回路9〜11等)と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無停電電源装置の動作方式としては、常時商用給電方式と常時インバータ給電方式とがある。ここで、常時商用給電方式は、入力された交流電力をそのまま負荷に供給するとともに、整流して得られた直流電力により二次電池を充電する。そして、停電発生時には、二次電池に蓄積された電力を、インバータ回路により交流電力に変換して負荷に供給する。一方、常時インバータ給電方式は、入力された交流電力を、コンバータ回路によって直流電力に変換し、二次電池の充電に使用するとともに、インバータ回路によって交流電力に変換して負荷に供給する。そして、停電発生時には、二次電池の出力をインバータ回路によって交流電力に変換して負荷に供給する。
【0003】
常時インバータ給電方式は、出力される電力が常にインバータ回路を経由しているため、入力電圧に変動があっても出力には影響が波及しにくい。また、常時商用給電方式のように、停電発生時において、商用電源からインバータ回路への切り換えが必要ないことから、出力が乱れたり、途切れたりすることがない。
【0004】
しかしながら、常時インバータ給電方式は、コンバータ回路とインバータ回路が常に駆動されることから、電力損失が大きい。このため、常時インバータ給電方式と常時商用給電方式のそれぞれの長所を生かすための技術が特許文献1に開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−172350号公報(特許請求の範囲、要約書)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に示す技術では、主変圧器を介して電力を負荷に供給することから、出力電力の定格に応じた変圧器が必要になり、装置のサイズが大型化するとともに、製造コストが高くなるという問題点がある。
【0007】
また、特許文献1に示す技術では、入力される商用電力の電圧に応じて、主変圧器のタップを切り換え、最適な巻き数比を選択できるようにしている。しかしながら、このような技術では、電圧調整をタップ切換で行うため出力電圧を段階的にしか調整できないという問題点もある。
【0008】
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、高効率で安定性が高く、かつ、特性のよい電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明の電源装置は、商用電源からの商用電力を直流電力に変換するコンバータ回路と、商用電源と負荷との間にその二次巻き線が直列に接続されたトランスと、負荷に出力される出力電圧に応じて、コンバータ回路から出力される直流電力を交流電力に変換してトランスの一次巻き線に印加するインバータ回路と、コンバータ回路およびインバータ回路を制御する制御回路と、を有している。
【0010】
このため、高効率で安定性が高く、かつ、特性のよい電源装置を提供することが可能となる。
【0011】
また、本発明の他の電源装置は、上述の発明に加えて、制御回路が、直流電力の電圧が一定となるようにコンバータ回路を制御するようにしている。このため、インバータ回路に常に一定の電圧の直流電力が供給されることからインバータ回路の動作を安定化することが可能になる。
【0012】
また、本発明の他の電源装置は、上述の各発明に加えて、制御回路が、直流電力の電圧の基準電圧からの偏差に応じてコンバータ回路を制御するようにしている。このため、インバータ回路に一定の直流電力を供給することが可能となる。
【0013】
また、本発明の他の電源装置は、上述の発明に加えて、制御回路が、商用電源からの入力電流が正弦波となるとともに、入力電圧と入力電流との位相が等しくなるようにコンバータ回路を制御するようにしている。このため、高調波特性を改善するとともに、力率特性を改善することが可能になる。
【0014】
また、本発明の他の電源装置は、上述の各発明に加えて、制御回路が、直流電力の電圧の基準電圧からの偏差と入力電圧とによって生成される信号からの入力電流の偏差に応じてコンバータ回路を制御するようにしている。このため、高調波特性と力率特性を容易に改善することが可能になる。
【0015】
また、本発明の他の電源装置は、上述の発明に加えて、制御回路が、出力電圧が一定の電圧となるとともに、出力電圧が正弦波となるようにインバータ回路を制御するようにしている。このため、負荷に対して一定電圧で、かつ、きれいな正弦波を供給することが可能になる。
【0016】
また、本発明の他の電源装置は、上述の各発明に加えて、制御回路が、出力電圧の正弦波基準信号からの偏差に基づいてインバータ回路を制御するようにしている。このため、負荷に対して一定電圧で、かつ、きれいな正弦波を容易に供給することが可能になる。
【0017】
また、本発明の他の電源装置は、上述の発明に加えて、トランスの二次巻き線または負荷と並列にコンデンサが接続されている。このため、出力電圧に重畳する高調波を除去することが可能になる。
【0018】
また、本発明の他の電源装置は、上述の発明に加えて、商用電源に異常が発生したことを検出する検出回路と、商用電源からの入力を遮断する遮断回路と、直流電源からの直流電力をコンバータ回路およびインバータ回路に供給する供給回路と、をさらに有し、検出回路によって商用電源に異常が発生したことが検出された場合には、遮断回路によって商用電源からの入力を遮断するとともに、コンバータ回路がインバータ回路として動作し、直流電源からの直流電力を商用電力と同等の交流電力に変換して出力するようにしている。このため、商用電源に異常が発生した場合でも負荷に電力を供給し続けることが可能になる。
【0019】
また、本発明の他の電源装置は、上述の各発明に加えて、制御回路が、検出回路によって商用電源に異常が発生したことが検出された場合には、コンバータ回路の出力電圧の正弦波基準信号からの偏差に基づいてコンバータ回路を制御するようにしている。商用電源に異常が発生した場合でも負荷に電力を容易に供給し続けることが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、高効率で安定性が高く、かつ、特性のよい電源装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電源装置の構成例を示す図である。なお、第1の実施の形態の電源装置は、負荷に一定の電圧の正弦波が供給されるとともに、商用電源から入力される電流が正弦波となり、かつ、力率が“1”となるように制御する装置として構成される。
【0023】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る電源装置は、検出回路2〜5、カレントトランス6、コンデンサ7、昇圧コイル8、補償回路9〜11、乗算回路12、減算回路13〜15、基準電圧16、PLL(Phase Lock Loop)回路17、PWM(Pulse Width Modulation)制御回路18,19、トランジスタ20,21、ダイオード22,23、トランジスタ26,27、ダイオード28,29、トランス30、および、コンデンサ31によって構成され、その入力側には商用電源1が接続され、出力側には負荷32が接続されている。
【0024】
ここで、商用電源1は、例えば、100Vの単相交流を供給する電源である。
【0025】
検出回路2は、商用電源1の電圧を検出して乗算回路12およびPLL回路17に供給する。検出回路3は、カレントトランス6から出力される入力電流に対応する電圧を検出し、減算回路13に供給する。検出回路4は、トランジスタ20,21、ダイオード22,23によって構成されるコンバータ回路35の出力である直流電圧を検出し、減算回路14に供給する。検出回路5は、負荷32に供給される出力電圧を検出して、減算回路15に供給する。
【0026】
カレントトランス6は、入力電流に対応する電圧を生成して、検出回路3に出力する。コンデンサ7は、コンバータ回路35のスイッチング動作により生じる高調波電流を減衰させるための平滑用のコンデンサである。
【0027】
昇圧コイル8は、コンバータ回路35のスイッチング動作に応じて入力電圧を昇圧して出力する。
【0028】
制御回路の一部としての補償回路9は、コンバータ回路35の出力電圧が一定になるように制御するための回路である。制御回路の一部としての補償回路10は、入力電流波形が正弦波になるようにするとともに、商用電源1からみた場合の装置の力率が“1”になるように制御するための回路である。制御回路の一部としての補償回路11は、出力電圧が一定になるように制御するとともに、出力電圧が正弦波になるように制御するための回路である。
【0029】
制御回路の一部としての乗算回路12は、補償回路9の出力と、検出回路2の出力とを乗算した結果を減算回路13に対して出力する。制御回路の一部としての減算回路13は、乗算回路12の出力から検出回路3の出力を減算した結果を補償回路10に出力する。制御回路の一部としての減算回路14は、基準電圧16から検出回路4の出力を減算した結果を補償回路10に出力する。制御回路の一部としての減算回路15は、PLL回路17の出力から検出回路5の出力を減算した結果を補償回路11に出力する。
【0030】
基準電圧16は、コンバータ回路35から出力される直流電圧の制御目標となる電圧である。制御回路の一部としてのPLL回路17は、入力電圧と同期した正弦波基準信号を生成して出力する。制御回路の一部としてのPWM制御回路18は、補償回路10の出力に応じてトランジスタ20,21をPWM制御する。制御回路の一部としてのPWM制御回路19は、補償回路11の出力に応じてトランジスタ26,27をPWM制御する。
【0031】
トランジスタ20,21は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等によって構成されており、PWM制御回路18から供給される駆動信号によって交互にオンまたはオフの状態にされ、入力電圧を昇圧する。ダイオード22,23は、トランジスタ20,21とそれぞれ並列に接続され、昇圧コイル8に蓄積されたエネルギーを直流出力にバイパスさせる役割を有している。
【0032】
コンデンサ24,25は、例えば、電解コンデンサによって構成されており、トランジスタ20,21のスイッチング動作によって昇圧コイル8に蓄積されたエネルギーにより充電され、蓄積されたエネルギーに応じた直流電圧を、トランジスタ26,27およびダイオード28,29によって構成されるインバータ回路36に供給する。
【0033】
トランジスタ26,27は、例えば、IGBT等によって構成されており、PWM制御回路19から供給される駆動信号によって交互にオンまたはオフの状態にされ、トランス30の一次巻き線に電流を通じ、出力電圧が所定の電圧の正弦波になるように制御する。
【0034】
ダイオード28,29は、フリーホイールダイオードであり、負荷32の無効電流を還流する役割を有している。
【0035】
トランス30は、その二次巻き線が商用電源1と負荷32の間に直列に挿入されており、一次巻き線がインバータ回路36の出力に接続されている。このトランス30は、インバータ回路36によって駆動され、出力電圧が一定になるとともに、出力電圧の波形が正弦波になるように制御する。
【0036】
コンデンサ31は、平滑用のコンデンサであり、トランス30の二次巻き線に並列に接続されている。
【0037】
負荷32は、例えば、ホストコンピュータ等である。
【0038】
つぎに、本発明の第1の実施の形態の動作について説明する。
【0039】
商用電源1から交流電力が供給されているとき、減算回路14は、基準電圧16の出力から検出回路4の出力であるコンバータ回路35の出力電圧を減算して出力する。すなわち、減算回路14は、コンバータ回路35の出力電圧の基準電圧からの偏差を計算して出力する。補償回路9は、減算回路14の出力に基づいてコンバータ回路35の出力が一定の電圧となるように制御する。乗算回路12は、補償回路9の出力と、検出回路2の出力である入力電圧とを乗算して出力する。この結果、乗算回路12の出力は、コンバータ回路35の出力電圧の基準電圧16からの偏差に応じた正弦波が出力される。
【0040】
減算回路13は、乗算回路12の出力からカレントトランス6の出力を減算した結果を出力する。すなわち、減算回路13は、カレントトランス6の出力の乗算回路12の出力からの偏差を計算して出力する。補償回路10は、入力電流が正弦波になるように制御するとともに、商用電源1からみた場合の装置の力率が“1”となるように制御する。
【0041】
PWM制御回路18は、補償回路10からの出力に応じて、トランジスタ20,21を交互にスイッチングさせる。具体的には、商用電源1の昇圧コイル8側の電圧が正である場合に、PWM制御回路18から供給される駆動信号によって、トランジスタ20がオフの状態に、また、トランジスタ21がオンの状態になると、商用電源1の上側の端子から流出した電流は、昇圧コイル8、トランジスタ21、および、コンデンサ25を経由して商用電源1の下側の端子に流出する。その結果、昇圧コイル8には、図の左から右方向へ電流が流れるので、この電流に対応する磁気エネルギーが蓄積される。
【0042】
つぎに、PWM制御回路18は、トランジスタ21をオフの状態に、また、トランジスタ20をオンの状態にする。トランジスタ21がオフの状態になると、昇圧コイル8に流れていた電流が急に遮断されるので、昇圧コイル8には自己誘導によって高い電圧が発生する。このとき、コンデンサ24の電圧が、商用電源1の電圧と昇圧コイル8の電圧の合計よりも低い場合には、ダイオード22を経由して電流が通じ、コンデンサ24が充電される。
【0043】
一方、交流電源1の昇圧コイル8側の電圧が負である場合に、トランジスタ20がオンの状態に、また、トランジスタ21がオフの状態になると、昇圧コイル8には、図の右から左方向への電流が流れる。つづいて、PWM制御回路18は、トランジスタ20をオフの状態に、また、トランジスタ21をオンの状態にする。トランジスタ20がオフ状態になると、昇圧コイル8に流れていた電流が急に遮断されるので、前述の場合と同様に自己誘導によって高い電圧が発生する。このとき、コンデンサ25の電圧が、商用電源1の電圧と昇圧コイル8の電圧の合計よりも低い場合には、ダイオード23を経由して電流が通じ、コンデンサ25が充電される。
【0044】
なお、PWM制御回路18は、コンバータ回路35の出力電圧(コンデンサ24,25の端子電圧)が、基準電圧16よりも低い場合には、トランジスタ20,21を駆動する駆動信号のデューティー比を調整することにより、コンバータ回路35の出力電圧を増加させるように制御する。また、PWM制御回路18は、入力電流が乗算回路12の出力信号(コンバータ回路35の出力電圧の基準電圧16からの偏差と入力電圧とによって生成される信号)に追従するように制御する。この結果、入力電流は、入力電圧に追従するように制御されるので、力率を改善することができる。また、入力電流が正弦波となるように制御されるので、負荷電流の高調波を補償することができる。
【0045】
PLL回路17は、入力電圧に同期した正弦波信号(基準正弦波信号)を生成して出力する。減算回路15は、PLL回路17から出力される基準正弦波信号から検出回路5の出力である出力電圧を減算して出力する。すなわち、減算回路15は、検出回路5の出力の正弦波基準信号からの偏差を計算して出力する。補償回路11は、減算回路15の出力に基づいて出力電圧が一定になるように制御するとともに、出力電圧が正弦波となるように制御する。PWM制御回路19は、補償回路11の出力に応じて、インバータ回路36を構成するトランジスタ26,27を交互にスイッチングさせる。
【0046】
インバータ回路36の出力は、トランス30の一次巻き線に供給される。トランス30の二次巻き線には、一次巻き線に流れた電流に応じた電流が流れる。ここで、PWM制御回路19は、基準正弦波信号と出力電圧の差分に応じてトランジスタ26,27を駆動することから、出力電圧が基準正弦波に追従するように制御される。この結果、出力電圧は、きれいな正弦波となり、また、出力電圧も一定となる。
【0047】
つぎに、本発明の第1の実施の形態の電源装置の動作をコンピュータによってシミュレーションした結果について説明する。
【0048】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る電源装置の比較対象となる回路の構成を示している。この例では、商用電源1、電源インピーダンス41、および、負荷32を有している。商用電源1は、60Hz、100Vを定格とし、100V±20%の範囲を2.5Hzの周期で変動する電源である。電源インピーダンス41は、例えば、抵抗である。負荷32は、この例では、ダイオード32a〜32dによる全波整流器ならびにコンデンサ32eおよび抵抗32fによって構成される非線形負荷である。
【0049】
図3は、シミュレーション対象となる本発明の第1の実施の形態の電源装置の構成例を示す図である。この例では、商用電源1は、前述の場合と同様に、60Hz、100Vを定格とし、100V±20%の範囲を2.5Hzの周期で変動する電源である。電源インピーダンス41は、前述の場合と同様に、例えば、抵抗である。また、負荷32は、前述の場合と同様に、ダイオード32a〜32dによる全波整流器ならびにコンデンサ32eおよび抵抗32fによって構成される非線形負荷である。
【0050】
図4は、図2に示す回路のシミュレーション結果を示す図である。図4(A)は、図2の回路の入力電圧Vinと出力電圧Voutの関係を示す図である。この図に示すように、図2の回路では、入力電圧Vinの変動に応じて出力電圧Voutも変動している。また、出力電圧Voutは、その頂部が歪んだ波形となっている。図4(B)は、図2の回路の出力電流Ioutと出力電圧Voutの関係を示す図である。この図に示すように、図2の回路の負荷32は、非線形負荷であるので、出力電流は非正弦波となっている。また、前述したように出力電圧Voutは頂部が歪んだ波形となっている。
【0051】
図5は、図4の10〜60msの範囲を拡大して示した図である。図5(A)に示すように、出力電圧Voutは、頂部が歪んだ波形となっている。また、図5(B)に示すように、出力電流Ioutは、正弦波ではなく脈流状の波形となっている。
【0052】
図6は、図3に示す回路の各部の波形を示す図である。図6(A)は、図3に示すコンバータ回路35の出力電圧を示している。この図に示すように、コンバータ回路35の正側の出力電圧Vp(図3参照)および負側の出力電圧Vn(図3参照)は、基準電圧16に基づいて一定の電圧になるように制御されるので、入力電圧Vinが変動する場合でも略一定の電圧を維持している。また、図6(B)に示すように、入力電圧Vinが変動した場合であっても、出力電圧Voutは基準正弦波信号に基づいて制御されているので、一定の電圧を維持し、また、歪みのない正弦波となっている。図6(C)に示すように、負荷32が非線形負荷であることに起因して、出力電流Ioutは非正弦波となっているが、補償回路10等の働きにより、入力電流Iinは正弦波となる。
【0053】
図7は、図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも高い場合の出力電圧Voutを示す図である。この図に示すように、入力電圧Vinが定格よりも高い場合であっても出力電圧Voutはピーク値が定格である約140Vを維持している。また、その波形も歪みのない正弦波となっている。
【0054】
図8は、図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも低い場合の出力電圧Voutを示す図である。この図に示すように、入力電圧Vinが定格よりも低い場合であっても出力電圧Voutはピーク値が定格である約140Vを維持している。また、その波形も歪みのない正弦波となっている。
【0055】
図9は、図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも高い場合の入力電流Iinと出力電流Ioutの関係を示す図である。この図に示すように、図3に示す回路では、出力電流Ioutが非正弦波であっても、補償回路10等の動作により入力電流Iinは正弦波となる。一方、図2に示す回路では、入力電流と出力電流は等しいので、出力電流が非正弦波であれば、入力電流も非正弦波となるが、図3に示す回路では回路の補償動作により、入力電流Iinは正弦波となる。なお、この図において、入力電流Iinは、所定の幅を有する曲線となっているが、これはPWM制御のスイッチングによる高調波が含まれているためである。
【0056】
図10は、図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも低い場合の入力電流Iinと出力電流Ioutの関係を示す図である。この図に示すように、図3に示す回路では、出力電流Ioutが非正弦波であっても、入力電流Iinは正弦波となる。一方、図2に示す回路では、前述のように、入力電流と出力電流は等しいので、出力電流が非正弦波であれば、入力電流も非正弦波となるが、図3に示す回路では回路の補償動作により、入力電流Iinは正弦波となる。
【0057】
図11は、図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも高い場合の入力電流Iinと入力電圧Vinの関係を示す図である。この図に示すように、入力電圧Vinが定格よりも高い場合であっても、入力電圧Vinと入力電流Iinとは、同相となっており、その力率は“1”となっている。
【0058】
図12は、図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも低い場合の入力電流Iinと入力電圧Vinの関係を示す図である。この図に示すように、入力電圧Vinが定格よりも低い場合であっても、入力電圧Vinと入力電流Iinとは、同相となっており、その力率は“1”となっている。
【0059】
図13は、図3の回路に、遅れが“0.8”である負荷32を接続した場合における、入力電圧Vin、入力電流Iin、および、出力電流Ioutの関係を示す図である。この図に示すように、出力電流Ioutは、負荷32が遅れ力率を有することから遅れを生じている。しかしながら、入力電流Iinについては、補償回路10等によって補正動作が行われることから、入力電圧Vinと同相となっており、その力率は“1”となっている。
【0060】
図14は、図13の一部を拡大して示す図である。この図に示すように、出力電流Ioutは、遅れを生じているが、入力電流Iinについては、補償回路10等によって補正動作が行われることから、入力電圧Vinと同相となっており、その力率は“1”となっている。
【0061】
以上に説明したように、本発明の第1の実施の形態に係る電源装置では、商用電源1からの商用電力を直流電力に変換するコンバータ回路35と、商用電源1と負荷32との間にその二次巻き線が直列に接続されたトランス30と、負荷32に出力される出力電圧に応じて、コンバータ回路35から出力される直流電力をトランス30の一次巻き線に印加するインバータ回路36と、コンバータ回路35およびインバータ回路36を制御する制御回路(補償回路9〜15等)とを設けるようにした。このため、インバータ回路36は、商用電源の過不足分を補償するだけでよいことから、インバータ回路36に使用する素子として小容量のものを使用することができるので、装置のサイズを小型化するとともに、製造コストを低減することができる。また、トランス30についても同様に、小容量のものを使用することができるので、装置のサイズを小型化するとともに、製造コストを低減することができる。具体的には、入力電力の変動を±20%の範囲であるとすると、この変動分(過不足分)を補償すればいいので、インバータ回路36を構成する素子およびトランス30の容量としては、全定格の20%程度の容量を有すればよい。
【0062】
また、コンバータ回路35は、インバータ回路36への供給電力と、高調波補償のための電力供給を行うのみであるので、回路に流れる電流が小さく、損失が少ない。このため、常時商用給電方式と同等の高効率(95%程度)を実現することができる。
【0063】
また、コンバータ回路35により、入力電力を昇圧して直流電力に変換するとともに、コンバータ回路35の出力電圧が一定になるように制御するようにしたので、インバータ回路36を安定して動作させることが可能になる。
【0064】
また、補償回路10等により、入力電流が正弦波となるように制御するようにしたので、出力電流が非正弦波である場合であっても入力電流が正弦波になるようにできる。このため、例えば、高調波の影響が商用電源1に及ぶことを防止できる。
【0065】
また、補償回路10等により、入力電流が入力電圧に追従するようにしたので、力率を改善することが可能になる。
【0066】
また、補償回路11等により、基準正弦波信号に基づいて出力電圧を制御するようにしたので、出力電圧を一定に保つとともに、歪みのない正弦波を負荷32に供給することができる。
【0067】
つぎに、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0068】
図15は、本発明の第2の実施の形態に係る電源装置の構成例を示す図である。なお、この図において、図1と対応する部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。この図例では、図1と比較して、スイッチ70、停電検出回路71、減算回路72、補償回路73、スイッチ74、二次電池75、スイッチ76、および、検出回路77が新たに追加されている。それ以外の構成は、図1の場合と同様である。
【0069】
ここで、遮断回路としてのスイッチ70は、停電検出回路71から出力される信号φ1によって制御され、停電が発生した場合にはスイッチが開いた状態となり、それ以外の場合には閉じた状態となる。
【0070】
異常検出回路としての停電検出回路71は、商用電源1に停電が発生したことを検出し、スイッチ70、スイッチ74、スイッチ76、および、PLL回路17を制御する。
【0071】
制御回路の一部としての減算回路72は、検出回路77の出力とPLL回路17から出力される基準正弦波信号との差分を求めて補償回路73に供給する。すなわち、減算回路72は、コンバータ回路35の出力電圧の正弦波基準信号からの偏差を求めて出力する。
【0072】
制御回路の一部としての補償回路73は、停電発生時において、コンバータ回路35をインバータ回路として動作させる際に、コンバータ回路35の出力が基準正弦波と等しくなるように制御する。
【0073】
スイッチ74は、停電検出回路71から出力される信号φ3によって制御され、停電が発生した場合には補償回路73の出力を選択し、それ以外の場合には補償回路10の出力を選択する。
【0074】
直流電源としての二次電池75は、停電発生時にはコンバータ回路35およびインバータ回路36に対して直流電力を供給し、それ以外の場合には図示せぬ充電回路により商用電源1によって充電される。
【0075】
供給回路としてのスイッチ76は、停電検出回路71から出力される信号φ2によって制御され、停電が発生した場合にはスイッチが閉じた状態となり、それ以外の場合には開いた状態となる。
【0076】
検出回路77は、停電発生時において、コンバータ回路35を介して昇圧コイル8を介して出力される交流電力の電圧を検出して減算回路72に供給する。
【0077】
つぎに、以上の実施の形態の動作について説明する。なお、本発明の第2の実施の形態は、通常時の動作は第1の実施の形態と同様であるが、停電発生時の動作が第1の実施の形態と異なっている。以下では、停電発生時の動作を中心に説明を行う。
【0078】
通常の動作時においては、停電検出回路71の制御により、スイッチ70は閉じた状態とされ、スイッチ74は補償回路10側に接続された状態とされ、また、スイッチ76は開いた状態とされる。また、PLL回路17は、商用電源1の電圧に追従するように基準正弦波信号を生成して出力する。この結果、図15に示す回路は、図1の場合と同様の動作を行うことから、前述の場合と同様に負荷32に対して安定した電力を供給するとともに、力率等の特性を改善することができる。
【0079】
このような場合において、停電が発生すると、停電検出回路71がこれを検出し、スイッチ70を開いた状態とし、スイッチ74を補償回路73側に接続した状態とし、また、スイッチ76を閉じた状態にする。また、PLL回路17は、商用電源1に追従するのではなく、独立に基準正弦波信号を生成して出力する。
【0080】
スイッチ70が開いた状態となると、商用電源1から完全に切り離された状態となる。このとき、スイッチ74が補償回路73の出力を選択しているので、PWM制御回路18には、補償回路73の出力が供給される。この結果、PWM制御回路18は、PLL回路17の出力と昇圧コイル8の出力との偏差に応じてトランジスタ20,21を交互にスイッチングさせるので、二次電池75から供給される直流電力が交流電力に変換されて昇圧コイル8を介して出力される。すなわち、コンバータ回路35は、インバータ回路として動作し、直流電力を交流電力に変換する。
【0081】
一方、インバータ回路36は、二次電池75から供給される直流電力に基づいて、前述の場合と同様の動作を行う。すなわち、インバータ回路36は、出力電圧と基準正弦波信号との偏差に基づいて制御が行われるので、出力電圧が一定になるように制御されるとともに、出力電圧の波形が正弦波となるように制御される。
【0082】
以上の動作により、停電が発生した場合でも負荷32に対して交流電力を供給し続けることが可能になる。
【0083】
そして、停電検出回路71により停電の解消(復電)が検出された場合には、まず、PLL回路17を制御して、商用電源1の電圧に追従する動作を行い、追従が完了した場合(商用電源に同期した場合)には、スイッチ70を閉じた状態とし、スイッチ74を補償回路10を選択した状態とし、スイッチ76を開いた状態とする。その結果、第1の実施の形態と同様の動作が実行されることになる。
【0084】
つぎに、本発明の第2の実施の形態の電源装置の動作をコンピュータによってシミュレーションした結果について説明する。なお、シミュレーションの条件としては、入力電圧は定格である100Vよりも小さい80Vであり、周波数は60Hzとする。
【0085】
図16は、シミュレーションの対象となる回路構成を示す図である。この例では、図15に示す電源装置100に対して、整流回路50、コンデンサ51、および、抵抗52より構成される非線形負荷と、抵抗53およびコイル54によって構成される線形負荷とが並列に接続されている。
【0086】
図17は、図16に示す回路をコンピュータによってシミュレーションした結果を示す図である。図17(A)は、入力電流Iinと出力電流Ioutの関係を示す図である。この例では、54.2msにおいて停電が発生し、104.2msにおいて復電しているので、入力電流Iinは54.2〜104.2msの期間は、“0”の状態となっている。しかしながら、出力電流Ioutについては、二次電池75から供給される直流電力をコンバータ回路35が交流電力に変換して出力するので、当該期間においても通常期間と同様に出力されている。
【0087】
図17(B)は、入力電圧Vinと出力電圧Voutの関係を示す図である。この例では、停電が発生すると入力電圧Vinは“0”の状態となっている。一方、出力電圧Voutは、当該期間中であっても二次電池75からの直流電圧がコンバータ回路35によって交流電力に変換されて出力されるので、通常時と同様の正弦波が出力される。
【0088】
図17(C)は、トランス30の二次巻き線の電圧Vcomの変化を示す図である。この例では、前述のように定格である100Vよりも小さい80Vの電圧が入力されているので、通常時においては不足分の電圧を補うための電圧がトランス30の二次巻き線に現れている。一方、停電発生時には、コンバータ回路35がほとんどすべての電力を発生しているので、トランス30の二次巻き線の電圧はほぼ“0”となっている。
【0089】
以上に説明したように、本発明の第2の実施の形態に係る電源装置では、コンバータ回路35をインバータ回路として動作させ、二次電池75から出力される直流電力を交流電力に変換して出力するようにしたので、停電が発生した場合でも負荷32に継続して電力を供給することができる。
【0090】
また、停電発生時には、コンバータ回路35がほとんどすべての電力を出力し、インバータ回路36による補償はほとんどゼロの状態となることから、インバータ回路36として小容量の回路および素子を用いることができる。
【0091】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0092】
例えば、上述の第1の実施の形態では、コンデンサ31をトランス30の二次巻き線に並列に接続するようにしたが、例えば、図18に示すように、出力端子(負荷32)と並列に接続するようにしてもよい。また、第2の実施の形態の場合も同様に出力端子(負荷32)と並列に接続するようにしてもよい。なお、このような場合でも前述の場合と同様に、出力に含まれている高調波を除去することができる。
【0093】
また、上述の第2の実施の形態では、1つの二次電池75から直流電力を供給するようにしたが、例えば、2つの二次電池をコンデンサ24およびコンデンサ25にそれぞれ並列接続して直流電力を供給することも可能である。また、1つの二次電池から正負電源を生成して供給することも可能である。
【0094】
また、上述の各実施の形態では、補償回路9〜11等の制御回路についてはアナログ回路として構成するようにしたが、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)等を用いてディジタル回路として構成することも可能である。その場合には、補償回路9〜11等の制御回路の動作をプログラムとして記述し、当該プログラムに基づいて処理を実行するようにすればよい。
【0095】
また、上述の各実施の形態では、トランジスタ20,21,26,27として、IGBTを用いる場合を例に挙げて説明したが、例えば、サイリスタまたはMOS−FET(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)等を使用することも可能である。
【0096】
また、上述の各実施の形態の回路は一例であって、これ以外の構成とすることを妨げるものではないことはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、商用電源を負荷に供給する電源装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電源装置の構成例を示す図である。
【図2】図1に示す実施の形態の動作をコンピュータでシミュレーションする際に比較対象となる回路の一例である。
【図3】図1に示す実施の形態の動作をコンピュータでシミュレーションする場合の回路構成を示す図である。
【図4】図2に示す回路のシミュレーション結果を示す図であり、(A)は入力電圧と出力電圧の関係を示す図であり、(B)は出力電圧と出力電流の関係を示す図である。
【図5】図4に示す図を拡大して示す図であり、(A)は入力電圧と出力電圧の関係を示す図であり、(B)は出力電圧と出力電流の関係を示す図である。
【図6】図3に示す回路のシミュレーション結果を示す図であり、(A)はコンバータ回路の出力電圧を示す図であり、(B)は入力電圧と出力電圧の関係を示す図であり、(C)は入力電流と出力電流の関係を示す図である。
【図7】図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも高い場合の出力電圧Voutを示す図である。
【図8】図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも低い場合の出力電圧Voutを示す図である。
【図9】図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも高い場合の入力電流Iinと出力電流Ioutの関係を示す図である。
【図10】図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも低い場合の入力電流Iinと出力電流Ioutの関係を示す図である。
【図11】図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも高い場合の入力電流Iinと入力電圧Vinの関係を示す図である。
【図12】図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも低い場合の入力電流Iinと入力電圧Vinの関係を示す図である。
【図13】図3の回路に、遅れが0.8である負荷32を接続した場合における、入力電圧Vin、入力電流Iin、および、出力電流Ioutの関係を示す図である。
【図14】図13の一部を拡大して示す図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る電源装置の構成例を示す図である。
【図16】図15に示す実施の形態の動作をコンピュータでシミュレーションする場合の回路構成を示す図である。
【図17】図16に示す回路をコンピュータによってシミュレーションした結果得られた図であり、(A)は入力電流と入力電圧との関係を示す図であり、(B)は入力電圧と出力電圧の関係を示す図であり、(C)はトランスの二次巻き線に現れる電圧の変化を示す図である。
【図18】図1に示す第1の実施の形態の他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0099】
9〜11 補償回路(制御回路の一部)
12 乗算回路(制御回路の一部)
13〜15 減算回路(制御回路の一部)
17 PLL回路(制御回路の一部)
18,19 PWM制御回路(制御回路の一部)
30 トランス
31 コンデンサ
35 コンバータ回路
36 インバータ回路
70 スイッチ(遮断回路)
71 停電検出回路(異常検出回路)
72 減算回路(制御回路の一部)
73 補償回路(制御回路の一部)
75 二次電池(直流電源)
76 スイッチ(供給回路)
【技術分野】
【0001】
本発明は電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無停電電源装置の動作方式としては、常時商用給電方式と常時インバータ給電方式とがある。ここで、常時商用給電方式は、入力された交流電力をそのまま負荷に供給するとともに、整流して得られた直流電力により二次電池を充電する。そして、停電発生時には、二次電池に蓄積された電力を、インバータ回路により交流電力に変換して負荷に供給する。一方、常時インバータ給電方式は、入力された交流電力を、コンバータ回路によって直流電力に変換し、二次電池の充電に使用するとともに、インバータ回路によって交流電力に変換して負荷に供給する。そして、停電発生時には、二次電池の出力をインバータ回路によって交流電力に変換して負荷に供給する。
【0003】
常時インバータ給電方式は、出力される電力が常にインバータ回路を経由しているため、入力電圧に変動があっても出力には影響が波及しにくい。また、常時商用給電方式のように、停電発生時において、商用電源からインバータ回路への切り換えが必要ないことから、出力が乱れたり、途切れたりすることがない。
【0004】
しかしながら、常時インバータ給電方式は、コンバータ回路とインバータ回路が常に駆動されることから、電力損失が大きい。このため、常時インバータ給電方式と常時商用給電方式のそれぞれの長所を生かすための技術が特許文献1に開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−172350号公報(特許請求の範囲、要約書)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に示す技術では、主変圧器を介して電力を負荷に供給することから、出力電力の定格に応じた変圧器が必要になり、装置のサイズが大型化するとともに、製造コストが高くなるという問題点がある。
【0007】
また、特許文献1に示す技術では、入力される商用電力の電圧に応じて、主変圧器のタップを切り換え、最適な巻き数比を選択できるようにしている。しかしながら、このような技術では、電圧調整をタップ切換で行うため出力電圧を段階的にしか調整できないという問題点もある。
【0008】
本発明は、上記の事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、高効率で安定性が高く、かつ、特性のよい電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明の電源装置は、商用電源からの商用電力を直流電力に変換するコンバータ回路と、商用電源と負荷との間にその二次巻き線が直列に接続されたトランスと、負荷に出力される出力電圧に応じて、コンバータ回路から出力される直流電力を交流電力に変換してトランスの一次巻き線に印加するインバータ回路と、コンバータ回路およびインバータ回路を制御する制御回路と、を有している。
【0010】
このため、高効率で安定性が高く、かつ、特性のよい電源装置を提供することが可能となる。
【0011】
また、本発明の他の電源装置は、上述の発明に加えて、制御回路が、直流電力の電圧が一定となるようにコンバータ回路を制御するようにしている。このため、インバータ回路に常に一定の電圧の直流電力が供給されることからインバータ回路の動作を安定化することが可能になる。
【0012】
また、本発明の他の電源装置は、上述の各発明に加えて、制御回路が、直流電力の電圧の基準電圧からの偏差に応じてコンバータ回路を制御するようにしている。このため、インバータ回路に一定の直流電力を供給することが可能となる。
【0013】
また、本発明の他の電源装置は、上述の発明に加えて、制御回路が、商用電源からの入力電流が正弦波となるとともに、入力電圧と入力電流との位相が等しくなるようにコンバータ回路を制御するようにしている。このため、高調波特性を改善するとともに、力率特性を改善することが可能になる。
【0014】
また、本発明の他の電源装置は、上述の各発明に加えて、制御回路が、直流電力の電圧の基準電圧からの偏差と入力電圧とによって生成される信号からの入力電流の偏差に応じてコンバータ回路を制御するようにしている。このため、高調波特性と力率特性を容易に改善することが可能になる。
【0015】
また、本発明の他の電源装置は、上述の発明に加えて、制御回路が、出力電圧が一定の電圧となるとともに、出力電圧が正弦波となるようにインバータ回路を制御するようにしている。このため、負荷に対して一定電圧で、かつ、きれいな正弦波を供給することが可能になる。
【0016】
また、本発明の他の電源装置は、上述の各発明に加えて、制御回路が、出力電圧の正弦波基準信号からの偏差に基づいてインバータ回路を制御するようにしている。このため、負荷に対して一定電圧で、かつ、きれいな正弦波を容易に供給することが可能になる。
【0017】
また、本発明の他の電源装置は、上述の発明に加えて、トランスの二次巻き線または負荷と並列にコンデンサが接続されている。このため、出力電圧に重畳する高調波を除去することが可能になる。
【0018】
また、本発明の他の電源装置は、上述の発明に加えて、商用電源に異常が発生したことを検出する検出回路と、商用電源からの入力を遮断する遮断回路と、直流電源からの直流電力をコンバータ回路およびインバータ回路に供給する供給回路と、をさらに有し、検出回路によって商用電源に異常が発生したことが検出された場合には、遮断回路によって商用電源からの入力を遮断するとともに、コンバータ回路がインバータ回路として動作し、直流電源からの直流電力を商用電力と同等の交流電力に変換して出力するようにしている。このため、商用電源に異常が発生した場合でも負荷に電力を供給し続けることが可能になる。
【0019】
また、本発明の他の電源装置は、上述の各発明に加えて、制御回路が、検出回路によって商用電源に異常が発生したことが検出された場合には、コンバータ回路の出力電圧の正弦波基準信号からの偏差に基づいてコンバータ回路を制御するようにしている。商用電源に異常が発生した場合でも負荷に電力を容易に供給し続けることが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、高効率で安定性が高く、かつ、特性のよい電源装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態について図に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電源装置の構成例を示す図である。なお、第1の実施の形態の電源装置は、負荷に一定の電圧の正弦波が供給されるとともに、商用電源から入力される電流が正弦波となり、かつ、力率が“1”となるように制御する装置として構成される。
【0023】
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る電源装置は、検出回路2〜5、カレントトランス6、コンデンサ7、昇圧コイル8、補償回路9〜11、乗算回路12、減算回路13〜15、基準電圧16、PLL(Phase Lock Loop)回路17、PWM(Pulse Width Modulation)制御回路18,19、トランジスタ20,21、ダイオード22,23、トランジスタ26,27、ダイオード28,29、トランス30、および、コンデンサ31によって構成され、その入力側には商用電源1が接続され、出力側には負荷32が接続されている。
【0024】
ここで、商用電源1は、例えば、100Vの単相交流を供給する電源である。
【0025】
検出回路2は、商用電源1の電圧を検出して乗算回路12およびPLL回路17に供給する。検出回路3は、カレントトランス6から出力される入力電流に対応する電圧を検出し、減算回路13に供給する。検出回路4は、トランジスタ20,21、ダイオード22,23によって構成されるコンバータ回路35の出力である直流電圧を検出し、減算回路14に供給する。検出回路5は、負荷32に供給される出力電圧を検出して、減算回路15に供給する。
【0026】
カレントトランス6は、入力電流に対応する電圧を生成して、検出回路3に出力する。コンデンサ7は、コンバータ回路35のスイッチング動作により生じる高調波電流を減衰させるための平滑用のコンデンサである。
【0027】
昇圧コイル8は、コンバータ回路35のスイッチング動作に応じて入力電圧を昇圧して出力する。
【0028】
制御回路の一部としての補償回路9は、コンバータ回路35の出力電圧が一定になるように制御するための回路である。制御回路の一部としての補償回路10は、入力電流波形が正弦波になるようにするとともに、商用電源1からみた場合の装置の力率が“1”になるように制御するための回路である。制御回路の一部としての補償回路11は、出力電圧が一定になるように制御するとともに、出力電圧が正弦波になるように制御するための回路である。
【0029】
制御回路の一部としての乗算回路12は、補償回路9の出力と、検出回路2の出力とを乗算した結果を減算回路13に対して出力する。制御回路の一部としての減算回路13は、乗算回路12の出力から検出回路3の出力を減算した結果を補償回路10に出力する。制御回路の一部としての減算回路14は、基準電圧16から検出回路4の出力を減算した結果を補償回路10に出力する。制御回路の一部としての減算回路15は、PLL回路17の出力から検出回路5の出力を減算した結果を補償回路11に出力する。
【0030】
基準電圧16は、コンバータ回路35から出力される直流電圧の制御目標となる電圧である。制御回路の一部としてのPLL回路17は、入力電圧と同期した正弦波基準信号を生成して出力する。制御回路の一部としてのPWM制御回路18は、補償回路10の出力に応じてトランジスタ20,21をPWM制御する。制御回路の一部としてのPWM制御回路19は、補償回路11の出力に応じてトランジスタ26,27をPWM制御する。
【0031】
トランジスタ20,21は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等によって構成されており、PWM制御回路18から供給される駆動信号によって交互にオンまたはオフの状態にされ、入力電圧を昇圧する。ダイオード22,23は、トランジスタ20,21とそれぞれ並列に接続され、昇圧コイル8に蓄積されたエネルギーを直流出力にバイパスさせる役割を有している。
【0032】
コンデンサ24,25は、例えば、電解コンデンサによって構成されており、トランジスタ20,21のスイッチング動作によって昇圧コイル8に蓄積されたエネルギーにより充電され、蓄積されたエネルギーに応じた直流電圧を、トランジスタ26,27およびダイオード28,29によって構成されるインバータ回路36に供給する。
【0033】
トランジスタ26,27は、例えば、IGBT等によって構成されており、PWM制御回路19から供給される駆動信号によって交互にオンまたはオフの状態にされ、トランス30の一次巻き線に電流を通じ、出力電圧が所定の電圧の正弦波になるように制御する。
【0034】
ダイオード28,29は、フリーホイールダイオードであり、負荷32の無効電流を還流する役割を有している。
【0035】
トランス30は、その二次巻き線が商用電源1と負荷32の間に直列に挿入されており、一次巻き線がインバータ回路36の出力に接続されている。このトランス30は、インバータ回路36によって駆動され、出力電圧が一定になるとともに、出力電圧の波形が正弦波になるように制御する。
【0036】
コンデンサ31は、平滑用のコンデンサであり、トランス30の二次巻き線に並列に接続されている。
【0037】
負荷32は、例えば、ホストコンピュータ等である。
【0038】
つぎに、本発明の第1の実施の形態の動作について説明する。
【0039】
商用電源1から交流電力が供給されているとき、減算回路14は、基準電圧16の出力から検出回路4の出力であるコンバータ回路35の出力電圧を減算して出力する。すなわち、減算回路14は、コンバータ回路35の出力電圧の基準電圧からの偏差を計算して出力する。補償回路9は、減算回路14の出力に基づいてコンバータ回路35の出力が一定の電圧となるように制御する。乗算回路12は、補償回路9の出力と、検出回路2の出力である入力電圧とを乗算して出力する。この結果、乗算回路12の出力は、コンバータ回路35の出力電圧の基準電圧16からの偏差に応じた正弦波が出力される。
【0040】
減算回路13は、乗算回路12の出力からカレントトランス6の出力を減算した結果を出力する。すなわち、減算回路13は、カレントトランス6の出力の乗算回路12の出力からの偏差を計算して出力する。補償回路10は、入力電流が正弦波になるように制御するとともに、商用電源1からみた場合の装置の力率が“1”となるように制御する。
【0041】
PWM制御回路18は、補償回路10からの出力に応じて、トランジスタ20,21を交互にスイッチングさせる。具体的には、商用電源1の昇圧コイル8側の電圧が正である場合に、PWM制御回路18から供給される駆動信号によって、トランジスタ20がオフの状態に、また、トランジスタ21がオンの状態になると、商用電源1の上側の端子から流出した電流は、昇圧コイル8、トランジスタ21、および、コンデンサ25を経由して商用電源1の下側の端子に流出する。その結果、昇圧コイル8には、図の左から右方向へ電流が流れるので、この電流に対応する磁気エネルギーが蓄積される。
【0042】
つぎに、PWM制御回路18は、トランジスタ21をオフの状態に、また、トランジスタ20をオンの状態にする。トランジスタ21がオフの状態になると、昇圧コイル8に流れていた電流が急に遮断されるので、昇圧コイル8には自己誘導によって高い電圧が発生する。このとき、コンデンサ24の電圧が、商用電源1の電圧と昇圧コイル8の電圧の合計よりも低い場合には、ダイオード22を経由して電流が通じ、コンデンサ24が充電される。
【0043】
一方、交流電源1の昇圧コイル8側の電圧が負である場合に、トランジスタ20がオンの状態に、また、トランジスタ21がオフの状態になると、昇圧コイル8には、図の右から左方向への電流が流れる。つづいて、PWM制御回路18は、トランジスタ20をオフの状態に、また、トランジスタ21をオンの状態にする。トランジスタ20がオフ状態になると、昇圧コイル8に流れていた電流が急に遮断されるので、前述の場合と同様に自己誘導によって高い電圧が発生する。このとき、コンデンサ25の電圧が、商用電源1の電圧と昇圧コイル8の電圧の合計よりも低い場合には、ダイオード23を経由して電流が通じ、コンデンサ25が充電される。
【0044】
なお、PWM制御回路18は、コンバータ回路35の出力電圧(コンデンサ24,25の端子電圧)が、基準電圧16よりも低い場合には、トランジスタ20,21を駆動する駆動信号のデューティー比を調整することにより、コンバータ回路35の出力電圧を増加させるように制御する。また、PWM制御回路18は、入力電流が乗算回路12の出力信号(コンバータ回路35の出力電圧の基準電圧16からの偏差と入力電圧とによって生成される信号)に追従するように制御する。この結果、入力電流は、入力電圧に追従するように制御されるので、力率を改善することができる。また、入力電流が正弦波となるように制御されるので、負荷電流の高調波を補償することができる。
【0045】
PLL回路17は、入力電圧に同期した正弦波信号(基準正弦波信号)を生成して出力する。減算回路15は、PLL回路17から出力される基準正弦波信号から検出回路5の出力である出力電圧を減算して出力する。すなわち、減算回路15は、検出回路5の出力の正弦波基準信号からの偏差を計算して出力する。補償回路11は、減算回路15の出力に基づいて出力電圧が一定になるように制御するとともに、出力電圧が正弦波となるように制御する。PWM制御回路19は、補償回路11の出力に応じて、インバータ回路36を構成するトランジスタ26,27を交互にスイッチングさせる。
【0046】
インバータ回路36の出力は、トランス30の一次巻き線に供給される。トランス30の二次巻き線には、一次巻き線に流れた電流に応じた電流が流れる。ここで、PWM制御回路19は、基準正弦波信号と出力電圧の差分に応じてトランジスタ26,27を駆動することから、出力電圧が基準正弦波に追従するように制御される。この結果、出力電圧は、きれいな正弦波となり、また、出力電圧も一定となる。
【0047】
つぎに、本発明の第1の実施の形態の電源装置の動作をコンピュータによってシミュレーションした結果について説明する。
【0048】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る電源装置の比較対象となる回路の構成を示している。この例では、商用電源1、電源インピーダンス41、および、負荷32を有している。商用電源1は、60Hz、100Vを定格とし、100V±20%の範囲を2.5Hzの周期で変動する電源である。電源インピーダンス41は、例えば、抵抗である。負荷32は、この例では、ダイオード32a〜32dによる全波整流器ならびにコンデンサ32eおよび抵抗32fによって構成される非線形負荷である。
【0049】
図3は、シミュレーション対象となる本発明の第1の実施の形態の電源装置の構成例を示す図である。この例では、商用電源1は、前述の場合と同様に、60Hz、100Vを定格とし、100V±20%の範囲を2.5Hzの周期で変動する電源である。電源インピーダンス41は、前述の場合と同様に、例えば、抵抗である。また、負荷32は、前述の場合と同様に、ダイオード32a〜32dによる全波整流器ならびにコンデンサ32eおよび抵抗32fによって構成される非線形負荷である。
【0050】
図4は、図2に示す回路のシミュレーション結果を示す図である。図4(A)は、図2の回路の入力電圧Vinと出力電圧Voutの関係を示す図である。この図に示すように、図2の回路では、入力電圧Vinの変動に応じて出力電圧Voutも変動している。また、出力電圧Voutは、その頂部が歪んだ波形となっている。図4(B)は、図2の回路の出力電流Ioutと出力電圧Voutの関係を示す図である。この図に示すように、図2の回路の負荷32は、非線形負荷であるので、出力電流は非正弦波となっている。また、前述したように出力電圧Voutは頂部が歪んだ波形となっている。
【0051】
図5は、図4の10〜60msの範囲を拡大して示した図である。図5(A)に示すように、出力電圧Voutは、頂部が歪んだ波形となっている。また、図5(B)に示すように、出力電流Ioutは、正弦波ではなく脈流状の波形となっている。
【0052】
図6は、図3に示す回路の各部の波形を示す図である。図6(A)は、図3に示すコンバータ回路35の出力電圧を示している。この図に示すように、コンバータ回路35の正側の出力電圧Vp(図3参照)および負側の出力電圧Vn(図3参照)は、基準電圧16に基づいて一定の電圧になるように制御されるので、入力電圧Vinが変動する場合でも略一定の電圧を維持している。また、図6(B)に示すように、入力電圧Vinが変動した場合であっても、出力電圧Voutは基準正弦波信号に基づいて制御されているので、一定の電圧を維持し、また、歪みのない正弦波となっている。図6(C)に示すように、負荷32が非線形負荷であることに起因して、出力電流Ioutは非正弦波となっているが、補償回路10等の働きにより、入力電流Iinは正弦波となる。
【0053】
図7は、図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも高い場合の出力電圧Voutを示す図である。この図に示すように、入力電圧Vinが定格よりも高い場合であっても出力電圧Voutはピーク値が定格である約140Vを維持している。また、その波形も歪みのない正弦波となっている。
【0054】
図8は、図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも低い場合の出力電圧Voutを示す図である。この図に示すように、入力電圧Vinが定格よりも低い場合であっても出力電圧Voutはピーク値が定格である約140Vを維持している。また、その波形も歪みのない正弦波となっている。
【0055】
図9は、図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも高い場合の入力電流Iinと出力電流Ioutの関係を示す図である。この図に示すように、図3に示す回路では、出力電流Ioutが非正弦波であっても、補償回路10等の動作により入力電流Iinは正弦波となる。一方、図2に示す回路では、入力電流と出力電流は等しいので、出力電流が非正弦波であれば、入力電流も非正弦波となるが、図3に示す回路では回路の補償動作により、入力電流Iinは正弦波となる。なお、この図において、入力電流Iinは、所定の幅を有する曲線となっているが、これはPWM制御のスイッチングによる高調波が含まれているためである。
【0056】
図10は、図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも低い場合の入力電流Iinと出力電流Ioutの関係を示す図である。この図に示すように、図3に示す回路では、出力電流Ioutが非正弦波であっても、入力電流Iinは正弦波となる。一方、図2に示す回路では、前述のように、入力電流と出力電流は等しいので、出力電流が非正弦波であれば、入力電流も非正弦波となるが、図3に示す回路では回路の補償動作により、入力電流Iinは正弦波となる。
【0057】
図11は、図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも高い場合の入力電流Iinと入力電圧Vinの関係を示す図である。この図に示すように、入力電圧Vinが定格よりも高い場合であっても、入力電圧Vinと入力電流Iinとは、同相となっており、その力率は“1”となっている。
【0058】
図12は、図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも低い場合の入力電流Iinと入力電圧Vinの関係を示す図である。この図に示すように、入力電圧Vinが定格よりも低い場合であっても、入力電圧Vinと入力電流Iinとは、同相となっており、その力率は“1”となっている。
【0059】
図13は、図3の回路に、遅れが“0.8”である負荷32を接続した場合における、入力電圧Vin、入力電流Iin、および、出力電流Ioutの関係を示す図である。この図に示すように、出力電流Ioutは、負荷32が遅れ力率を有することから遅れを生じている。しかしながら、入力電流Iinについては、補償回路10等によって補正動作が行われることから、入力電圧Vinと同相となっており、その力率は“1”となっている。
【0060】
図14は、図13の一部を拡大して示す図である。この図に示すように、出力電流Ioutは、遅れを生じているが、入力電流Iinについては、補償回路10等によって補正動作が行われることから、入力電圧Vinと同相となっており、その力率は“1”となっている。
【0061】
以上に説明したように、本発明の第1の実施の形態に係る電源装置では、商用電源1からの商用電力を直流電力に変換するコンバータ回路35と、商用電源1と負荷32との間にその二次巻き線が直列に接続されたトランス30と、負荷32に出力される出力電圧に応じて、コンバータ回路35から出力される直流電力をトランス30の一次巻き線に印加するインバータ回路36と、コンバータ回路35およびインバータ回路36を制御する制御回路(補償回路9〜15等)とを設けるようにした。このため、インバータ回路36は、商用電源の過不足分を補償するだけでよいことから、インバータ回路36に使用する素子として小容量のものを使用することができるので、装置のサイズを小型化するとともに、製造コストを低減することができる。また、トランス30についても同様に、小容量のものを使用することができるので、装置のサイズを小型化するとともに、製造コストを低減することができる。具体的には、入力電力の変動を±20%の範囲であるとすると、この変動分(過不足分)を補償すればいいので、インバータ回路36を構成する素子およびトランス30の容量としては、全定格の20%程度の容量を有すればよい。
【0062】
また、コンバータ回路35は、インバータ回路36への供給電力と、高調波補償のための電力供給を行うのみであるので、回路に流れる電流が小さく、損失が少ない。このため、常時商用給電方式と同等の高効率(95%程度)を実現することができる。
【0063】
また、コンバータ回路35により、入力電力を昇圧して直流電力に変換するとともに、コンバータ回路35の出力電圧が一定になるように制御するようにしたので、インバータ回路36を安定して動作させることが可能になる。
【0064】
また、補償回路10等により、入力電流が正弦波となるように制御するようにしたので、出力電流が非正弦波である場合であっても入力電流が正弦波になるようにできる。このため、例えば、高調波の影響が商用電源1に及ぶことを防止できる。
【0065】
また、補償回路10等により、入力電流が入力電圧に追従するようにしたので、力率を改善することが可能になる。
【0066】
また、補償回路11等により、基準正弦波信号に基づいて出力電圧を制御するようにしたので、出力電圧を一定に保つとともに、歪みのない正弦波を負荷32に供給することができる。
【0067】
つぎに、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0068】
図15は、本発明の第2の実施の形態に係る電源装置の構成例を示す図である。なお、この図において、図1と対応する部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。この図例では、図1と比較して、スイッチ70、停電検出回路71、減算回路72、補償回路73、スイッチ74、二次電池75、スイッチ76、および、検出回路77が新たに追加されている。それ以外の構成は、図1の場合と同様である。
【0069】
ここで、遮断回路としてのスイッチ70は、停電検出回路71から出力される信号φ1によって制御され、停電が発生した場合にはスイッチが開いた状態となり、それ以外の場合には閉じた状態となる。
【0070】
異常検出回路としての停電検出回路71は、商用電源1に停電が発生したことを検出し、スイッチ70、スイッチ74、スイッチ76、および、PLL回路17を制御する。
【0071】
制御回路の一部としての減算回路72は、検出回路77の出力とPLL回路17から出力される基準正弦波信号との差分を求めて補償回路73に供給する。すなわち、減算回路72は、コンバータ回路35の出力電圧の正弦波基準信号からの偏差を求めて出力する。
【0072】
制御回路の一部としての補償回路73は、停電発生時において、コンバータ回路35をインバータ回路として動作させる際に、コンバータ回路35の出力が基準正弦波と等しくなるように制御する。
【0073】
スイッチ74は、停電検出回路71から出力される信号φ3によって制御され、停電が発生した場合には補償回路73の出力を選択し、それ以外の場合には補償回路10の出力を選択する。
【0074】
直流電源としての二次電池75は、停電発生時にはコンバータ回路35およびインバータ回路36に対して直流電力を供給し、それ以外の場合には図示せぬ充電回路により商用電源1によって充電される。
【0075】
供給回路としてのスイッチ76は、停電検出回路71から出力される信号φ2によって制御され、停電が発生した場合にはスイッチが閉じた状態となり、それ以外の場合には開いた状態となる。
【0076】
検出回路77は、停電発生時において、コンバータ回路35を介して昇圧コイル8を介して出力される交流電力の電圧を検出して減算回路72に供給する。
【0077】
つぎに、以上の実施の形態の動作について説明する。なお、本発明の第2の実施の形態は、通常時の動作は第1の実施の形態と同様であるが、停電発生時の動作が第1の実施の形態と異なっている。以下では、停電発生時の動作を中心に説明を行う。
【0078】
通常の動作時においては、停電検出回路71の制御により、スイッチ70は閉じた状態とされ、スイッチ74は補償回路10側に接続された状態とされ、また、スイッチ76は開いた状態とされる。また、PLL回路17は、商用電源1の電圧に追従するように基準正弦波信号を生成して出力する。この結果、図15に示す回路は、図1の場合と同様の動作を行うことから、前述の場合と同様に負荷32に対して安定した電力を供給するとともに、力率等の特性を改善することができる。
【0079】
このような場合において、停電が発生すると、停電検出回路71がこれを検出し、スイッチ70を開いた状態とし、スイッチ74を補償回路73側に接続した状態とし、また、スイッチ76を閉じた状態にする。また、PLL回路17は、商用電源1に追従するのではなく、独立に基準正弦波信号を生成して出力する。
【0080】
スイッチ70が開いた状態となると、商用電源1から完全に切り離された状態となる。このとき、スイッチ74が補償回路73の出力を選択しているので、PWM制御回路18には、補償回路73の出力が供給される。この結果、PWM制御回路18は、PLL回路17の出力と昇圧コイル8の出力との偏差に応じてトランジスタ20,21を交互にスイッチングさせるので、二次電池75から供給される直流電力が交流電力に変換されて昇圧コイル8を介して出力される。すなわち、コンバータ回路35は、インバータ回路として動作し、直流電力を交流電力に変換する。
【0081】
一方、インバータ回路36は、二次電池75から供給される直流電力に基づいて、前述の場合と同様の動作を行う。すなわち、インバータ回路36は、出力電圧と基準正弦波信号との偏差に基づいて制御が行われるので、出力電圧が一定になるように制御されるとともに、出力電圧の波形が正弦波となるように制御される。
【0082】
以上の動作により、停電が発生した場合でも負荷32に対して交流電力を供給し続けることが可能になる。
【0083】
そして、停電検出回路71により停電の解消(復電)が検出された場合には、まず、PLL回路17を制御して、商用電源1の電圧に追従する動作を行い、追従が完了した場合(商用電源に同期した場合)には、スイッチ70を閉じた状態とし、スイッチ74を補償回路10を選択した状態とし、スイッチ76を開いた状態とする。その結果、第1の実施の形態と同様の動作が実行されることになる。
【0084】
つぎに、本発明の第2の実施の形態の電源装置の動作をコンピュータによってシミュレーションした結果について説明する。なお、シミュレーションの条件としては、入力電圧は定格である100Vよりも小さい80Vであり、周波数は60Hzとする。
【0085】
図16は、シミュレーションの対象となる回路構成を示す図である。この例では、図15に示す電源装置100に対して、整流回路50、コンデンサ51、および、抵抗52より構成される非線形負荷と、抵抗53およびコイル54によって構成される線形負荷とが並列に接続されている。
【0086】
図17は、図16に示す回路をコンピュータによってシミュレーションした結果を示す図である。図17(A)は、入力電流Iinと出力電流Ioutの関係を示す図である。この例では、54.2msにおいて停電が発生し、104.2msにおいて復電しているので、入力電流Iinは54.2〜104.2msの期間は、“0”の状態となっている。しかしながら、出力電流Ioutについては、二次電池75から供給される直流電力をコンバータ回路35が交流電力に変換して出力するので、当該期間においても通常期間と同様に出力されている。
【0087】
図17(B)は、入力電圧Vinと出力電圧Voutの関係を示す図である。この例では、停電が発生すると入力電圧Vinは“0”の状態となっている。一方、出力電圧Voutは、当該期間中であっても二次電池75からの直流電圧がコンバータ回路35によって交流電力に変換されて出力されるので、通常時と同様の正弦波が出力される。
【0088】
図17(C)は、トランス30の二次巻き線の電圧Vcomの変化を示す図である。この例では、前述のように定格である100Vよりも小さい80Vの電圧が入力されているので、通常時においては不足分の電圧を補うための電圧がトランス30の二次巻き線に現れている。一方、停電発生時には、コンバータ回路35がほとんどすべての電力を発生しているので、トランス30の二次巻き線の電圧はほぼ“0”となっている。
【0089】
以上に説明したように、本発明の第2の実施の形態に係る電源装置では、コンバータ回路35をインバータ回路として動作させ、二次電池75から出力される直流電力を交流電力に変換して出力するようにしたので、停電が発生した場合でも負荷32に継続して電力を供給することができる。
【0090】
また、停電発生時には、コンバータ回路35がほとんどすべての電力を出力し、インバータ回路36による補償はほとんどゼロの状態となることから、インバータ回路36として小容量の回路および素子を用いることができる。
【0091】
なお、上述の各実施の形態は、本発明の好適な例であるが、本発明は、これらに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【0092】
例えば、上述の第1の実施の形態では、コンデンサ31をトランス30の二次巻き線に並列に接続するようにしたが、例えば、図18に示すように、出力端子(負荷32)と並列に接続するようにしてもよい。また、第2の実施の形態の場合も同様に出力端子(負荷32)と並列に接続するようにしてもよい。なお、このような場合でも前述の場合と同様に、出力に含まれている高調波を除去することができる。
【0093】
また、上述の第2の実施の形態では、1つの二次電池75から直流電力を供給するようにしたが、例えば、2つの二次電池をコンデンサ24およびコンデンサ25にそれぞれ並列接続して直流電力を供給することも可能である。また、1つの二次電池から正負電源を生成して供給することも可能である。
【0094】
また、上述の各実施の形態では、補償回路9〜11等の制御回路についてはアナログ回路として構成するようにしたが、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)等を用いてディジタル回路として構成することも可能である。その場合には、補償回路9〜11等の制御回路の動作をプログラムとして記述し、当該プログラムに基づいて処理を実行するようにすればよい。
【0095】
また、上述の各実施の形態では、トランジスタ20,21,26,27として、IGBTを用いる場合を例に挙げて説明したが、例えば、サイリスタまたはMOS−FET(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)等を使用することも可能である。
【0096】
また、上述の各実施の形態の回路は一例であって、これ以外の構成とすることを妨げるものではないことはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、商用電源を負荷に供給する電源装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電源装置の構成例を示す図である。
【図2】図1に示す実施の形態の動作をコンピュータでシミュレーションする際に比較対象となる回路の一例である。
【図3】図1に示す実施の形態の動作をコンピュータでシミュレーションする場合の回路構成を示す図である。
【図4】図2に示す回路のシミュレーション結果を示す図であり、(A)は入力電圧と出力電圧の関係を示す図であり、(B)は出力電圧と出力電流の関係を示す図である。
【図5】図4に示す図を拡大して示す図であり、(A)は入力電圧と出力電圧の関係を示す図であり、(B)は出力電圧と出力電流の関係を示す図である。
【図6】図3に示す回路のシミュレーション結果を示す図であり、(A)はコンバータ回路の出力電圧を示す図であり、(B)は入力電圧と出力電圧の関係を示す図であり、(C)は入力電流と出力電流の関係を示す図である。
【図7】図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも高い場合の出力電圧Voutを示す図である。
【図8】図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも低い場合の出力電圧Voutを示す図である。
【図9】図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも高い場合の入力電流Iinと出力電流Ioutの関係を示す図である。
【図10】図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも低い場合の入力電流Iinと出力電流Ioutの関係を示す図である。
【図11】図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも高い場合の入力電流Iinと入力電圧Vinの関係を示す図である。
【図12】図3に示す回路において、入力電圧Vinが定格よりも低い場合の入力電流Iinと入力電圧Vinの関係を示す図である。
【図13】図3の回路に、遅れが0.8である負荷32を接続した場合における、入力電圧Vin、入力電流Iin、および、出力電流Ioutの関係を示す図である。
【図14】図13の一部を拡大して示す図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る電源装置の構成例を示す図である。
【図16】図15に示す実施の形態の動作をコンピュータでシミュレーションする場合の回路構成を示す図である。
【図17】図16に示す回路をコンピュータによってシミュレーションした結果得られた図であり、(A)は入力電流と入力電圧との関係を示す図であり、(B)は入力電圧と出力電圧の関係を示す図であり、(C)はトランスの二次巻き線に現れる電圧の変化を示す図である。
【図18】図1に示す第1の実施の形態の他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0099】
9〜11 補償回路(制御回路の一部)
12 乗算回路(制御回路の一部)
13〜15 減算回路(制御回路の一部)
17 PLL回路(制御回路の一部)
18,19 PWM制御回路(制御回路の一部)
30 トランス
31 コンデンサ
35 コンバータ回路
36 インバータ回路
70 スイッチ(遮断回路)
71 停電検出回路(異常検出回路)
72 減算回路(制御回路の一部)
73 補償回路(制御回路の一部)
75 二次電池(直流電源)
76 スイッチ(供給回路)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源からの商用電力を直流電力に変換するコンバータ回路と、
上記商用電源と負荷との間にその二次巻き線が直列に接続されたトランスと、
上記負荷に出力される出力電圧に応じて、上記コンバータ回路から出力される直流電力を交流電力に変換して上記トランスの一次巻き線に印加するインバータ回路と、
上記コンバータ回路および上記インバータ回路を制御する制御回路と、
を有することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記直流電力の電圧が一定となるように前記コンバータ回路を制御することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記直流電力の電圧の基準電圧からの偏差に応じて前記コンバータ回路を制御することを特徴とする請求項2記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記商用電源からの入力電流が正弦波となるとともに、入力電圧と入力電流との位相が等しくなるように前記コンバータ回路を制御することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記直流電力の電圧の基準電圧からの偏差と入力電圧とによって生成される信号からの入力電流の偏差に応じて前記コンバータ回路を制御することを特徴とする請求項4記載の電源装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記出力電圧が一定の電圧となるとともに、前記出力電圧が正弦波となるように前記インバータ回路を制御することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記出力電圧の正弦波基準信号からの偏差に基づいて前記インバータ回路を制御することを特徴とする請求項6記載の電源装置。
【請求項8】
前記トランスの二次巻き線または負荷と並列にコンデンサが接続されていることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項9】
前記商用電源に異常が発生したことを検出する検出回路と、
前記商用電源からの入力を遮断する遮断回路と、
直流電源からの直流電力を前記コンバータ回路およびインバータ回路に供給する供給回路と、をさらに有し、
上記検出回路によって前記商用電源に異常が発生したことが検出された場合には、上記遮断回路によって前記商用電源からの入力を遮断するとともに、前記コンバータ回路がインバータ回路として動作し、上記直流電源からの直流電力を商用電力と同等の交流電力に変換して出力することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項10】
前記制御回路は、前記検出回路によって前記商用電源に異常が発生したことが検出された場合には、前記コンバータ回路の出力電圧の正弦波基準信号からの偏差に基づいて前記コンバータ回路を制御することを特徴とする請求項9記載の電源装置。
【請求項1】
商用電源からの商用電力を直流電力に変換するコンバータ回路と、
上記商用電源と負荷との間にその二次巻き線が直列に接続されたトランスと、
上記負荷に出力される出力電圧に応じて、上記コンバータ回路から出力される直流電力を交流電力に変換して上記トランスの一次巻き線に印加するインバータ回路と、
上記コンバータ回路および上記インバータ回路を制御する制御回路と、
を有することを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記直流電力の電圧が一定となるように前記コンバータ回路を制御することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記直流電力の電圧の基準電圧からの偏差に応じて前記コンバータ回路を制御することを特徴とする請求項2記載の電源装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記商用電源からの入力電流が正弦波となるとともに、入力電圧と入力電流との位相が等しくなるように前記コンバータ回路を制御することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項5】
前記制御回路は、前記直流電力の電圧の基準電圧からの偏差と入力電圧とによって生成される信号からの入力電流の偏差に応じて前記コンバータ回路を制御することを特徴とする請求項4記載の電源装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記出力電圧が一定の電圧となるとともに、前記出力電圧が正弦波となるように前記インバータ回路を制御することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記出力電圧の正弦波基準信号からの偏差に基づいて前記インバータ回路を制御することを特徴とする請求項6記載の電源装置。
【請求項8】
前記トランスの二次巻き線または負荷と並列にコンデンサが接続されていることを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項9】
前記商用電源に異常が発生したことを検出する検出回路と、
前記商用電源からの入力を遮断する遮断回路と、
直流電源からの直流電力を前記コンバータ回路およびインバータ回路に供給する供給回路と、をさらに有し、
上記検出回路によって前記商用電源に異常が発生したことが検出された場合には、上記遮断回路によって前記商用電源からの入力を遮断するとともに、前記コンバータ回路がインバータ回路として動作し、上記直流電源からの直流電力を商用電力と同等の交流電力に変換して出力することを特徴とする請求項1記載の電源装置。
【請求項10】
前記制御回路は、前記検出回路によって前記商用電源に異常が発生したことが検出された場合には、前記コンバータ回路の出力電圧の正弦波基準信号からの偏差に基づいて前記コンバータ回路を制御することを特徴とする請求項9記載の電源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−141174(P2006−141174A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−330368(P2004−330368)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(390013723)デンセイ・ラムダ株式会社 (272)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(390013723)デンセイ・ラムダ株式会社 (272)
【Fターム(参考)】
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