説明

電源装置

【課題】複数の負荷にそれぞれ対応して複数のスイッチング電源回路を設け、さらに各スイッチング電源回路単位でノイズ対策を講じていたため、回路構成が大きくなり、また機器への組込みに際し、広い設置面積を必要としていた。
【解決手段】複数のスイッチング電源回路14におけるノイズ対策構成として、共通のフィルタ回路15と平滑回路16を設け、このフィルタ回路15、平滑回路16と並列に複数のスイッチング電源回路14を接続することにより、ノイズ対策を容易にし、またその構成の簡素化が可能となり、機器への組込みスペースを小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器の制御を行う電子制御回路の電源として設けられる電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、電子制御回路を具備した機器において、複数の負荷を駆動する構成として、各負荷に対応してスイッチング電源を設ける構成(例えば、特許文献1参照)、あるいは、目的、状況等に応じて複数の負荷を切換える場合に、それぞれの負荷に対応したスイッチング電源を設けた構成(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【特許文献1】特開平3−159566号公報
【特許文献2】特開平11−187660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1、2の構成は、いずれも複数の負荷に対し、複数のスイッチング電源を設ける構成であるため、ノイズ対策を講じる場合に、各スイッチング電源に対応して回路を構成する必要がある。
【0004】
したがって、回路が複雑かつ大型となり、機器への組込み、および組込みスペースの確保等の点から、何らかの改善が求められるものであった。
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、複数のスイッチング電源を具備した構成において、ノイズ対策の容易化、および小型化を可能とすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために本発明は、電源の出力側に、単一の入力フィルタ回路と入力平滑回路を具備する整流回路部を設け、前記整流回路部と並列に複数のスイッチング電源を接続したものである。
【0007】
このように、複数のスイッチング電源の入力フィルタ回路と入力平滑回路を単一化することによって、電源装置として占める設置面積も小さくでき、また、入力フィルタ回路を共通化することによってノイズ対策を容易とすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、複数のスイッチング電源回路を駆動する電源の出力側に重畳したノイズ成分の除去と、電源波形の平滑化を、単一の整流回路部で行なうことができるため、負荷電源となる二次電源の質向上、およびノイズ対策を合理的に行なうことができ、また、そのための構成も簡素化できる。
【0009】
その結果、電源装置の小型化がはかれ、電源装置として占める設置面積小さくでき、機器への組込みを容易とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
請求項1に記載の発明は、電源と、前記電源の出力側に設けられた整流回路部と、前記整流回路部の出力側に、並列に接続された複数のスイッチング電源回路と、前記各スイッチング電源回路の出力を入力電源とする負荷を具備した電源装置において、前記整流回路
部を、電源ラインに重畳したノイズ成分を除去するフィルタ回路と、前記フィルタ回路からの電圧波形を平滑化する平滑回路を具備する構成としたものである。
【0011】
かかる構成とすることにより、複数のスイッチング電源回路のノイズ対策を単一の整流回路部で行なうことができ、ノイズ対策処理を合理的に行なうことができる。また、そのための部品点数も少なくでき、構成の簡略化と小型化をはかることができ、機器への組込みを容易とすることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記平滑回路を、前記フィルタ回路側に位置する第一平滑回路と、前記スイッチング電源回路側に位置する第二平滑回路より構成し、前記第一平滑回路と第二平滑回路の間の電位を、前記スイッチング電源回路を駆動する発振回路の入力としたものである。
【0013】
かかる構成とすることにより、前記スイッチング電源回路の電源形成を安定したものとすることができ、電源装置の信頼性を高めることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、制御基板の一面に、前記整流回路部をアース接続された状態で設け、また、前記制御基板の他面に、前記スイッチング電源回路を駆動する発振回路、および前記スイッチング電源回路を構成するリアクタ部品で生成された急激な電圧成分を吸収するスナバ回路を設けたものである。
【0015】
かかる構成とすることにより、ノイズの発生源となり易い発振回路とスナバ回路を、制御基板の一面に配置し、整流回路部を他面に配置したことにより、整流回路部を構成するフィルタ回路と平滑回路の距離を確保することができる。その結果、電源から発生するノイズの影響を受け難くし、電源装置としての信頼性を高めることができる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態によってこの発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電源装置の回路構成図である。図2は、同実施の形態1における電源装置を構成する制御基板の要部の概略構成図である。
【0018】
図1において、電源1は、バッテリー、あるいは交流から直流を生成する周知の変換回路で構成され、フォトカプラ等のスイッチ2によって運転が制御される負荷3が直結されている。
【0019】
また、電源1には、負荷3と並列に制御負荷回路4が接続されている。
【0020】
この制御負荷回路4は、複数の制御負荷(例えば、ヒータ)5a、5bと、それぞれの制御負荷5a、5bの電源となるスイッチング電源装置6a、6bと、電源1に接続され、スイッチング電源装置6a、6bの電源を生成する整流回路部7と、整流回路部7からの電圧を入力し、スイッチング電源装置6a、6bへ安定した電圧(電流)を出力させるための安定化電源回路8と、整流回路部7の電圧値を検出し、出力する入力電圧検出回路9と、入力電圧検出回路9が検出した電圧値を入力の一つとし、制御負荷5a、5b、およびスイッチング電源装置6a、6bの通電等を制御する制御回路10を具備した構成である。
【0021】
ここで、スイッチング電源装置6a、6bは、いずれも同じ構成となっており、整流回路部7の出力側において並列に接続されている。
【0022】
また、スイッチング電源装置6a、6bは、制御負荷5a、5bへ供給する電圧の電圧値を変圧するトランス(リアクタ部品)11、スイッチング動作の駆動源であり、かつ所定の発振周波数を出力する発振回路12、トランスで11生成された急激な電圧成分を吸収するスナバ回路13等を具備した周知の構成からなるスイッチング電源回路14を主体に構成され、発振回路12が、スイッチング電源回路14を駆動する。
【0023】
さらに、整流回路部7は、電源1の出力側に設けられ、電源ラインに重畳したノイズ成分を除去するフィルタ回路15と、フィルタ回路15からの電圧波形を平滑化する平滑回路16具備する構成となっている。
【0024】
また、平滑回路16は、フィルタ回路15側に位置する第一平滑回路16aと、スイッチング電源回路14側に位置する第二平滑回路16bより構成され、第一平滑回路16aと第二平滑回路16bの間の電位を、安定化電源回路8を介して発振回路12の入力としている。
【0025】
さらに、制御回路10は、周知の如くマイクロコンピュータを主体とする回路構成であり、例えば、入力電圧検出回路9による検出電圧値に変動があった場合に、制御負荷5aの通電動作に加えて制御負荷5bを通電動作させる等、制御負荷5a、5bの通電制御と、スイッチング電源回路14の駆動、すなわち発振回路12の駆動を制御するトランジスタ17への通電制御動作を行なう。本実施の形態1においては、制御負荷5a、5bの動作を要旨としないため、詳細な説明を省略する。
【0026】
次に、図2を参照しながら、主要回路の制御基板への配置構成について説明する。
【0027】
図2において、制御基板18は、両面にそれぞれ所定の範囲に亘りアース19と接続されたGNDパターン20が形成されており、その一面におけるGNDパターン20が形成された領域内に、整流回路部7を構成するフィルタ回路15、平滑回路16、およびスイッチング電源回路14を構成するトランス11が配置され、また裏面に形成されたGNDパターン20の領域には、スイッチング電源回路14を構成する発振回路12とスナバ回路13が配置されている。
【0028】
そして、スイッチング電源回路14を構成するトランス11と発振回路12とスナバ回路13、および平滑回路16(コンデンサ)は、比較的近づいた配置関係にし、トランス11、発振回路12、スナバ回路13から発生するノイズを平滑回路16で吸収し易くなるように構成している。
【0029】
上記構成において、制御負荷5a、あるいは制御負荷5bへ供給される電源1の電圧(電流)は、整流回路部7において、フィルタ回路15により、電圧(電流)に含まれるノイズ成分が除去(吸収)され、平滑回路16で平滑化され、スイッチング電源装置6a、6bへ流れる。
【0030】
そして、スイッチング電源装置6a、6bでは、スイッチング電源回路14を構成する発振回路12の出力により、スイッチング電源が生成され、制御負荷5a、5bに通電される。
【0031】
ここで、発振回路12の入力は、平滑回路16における第一平滑回路16aと第二平滑回路16bの間の電位を、安定化電源回路8を介して入力としている安定された電圧(波形)によって駆動される。すなわち、トランス11側で発生するノイズ成分を含んだ電圧(波形)は、第二平滑回路6bで除去され、フィルタ回路15からの電圧(波形)は、第
一平滑回路6aで平滑化された、所謂安定した電圧(波形)を、さらに安定化電源回路8によって安定させ、その状態の電圧を発振回路12は入力としている。
【0032】
したがって、スイッチング電源装置6a、6bの電源形成を安定したものとすることができ、制御負荷5a、5bへ供給される電源は、誤動作する要因が少ない電源となり、電源装置としての信頼性を高めることができる。
【0033】
また、複数のスイッチング電源回路6a、6bへの電源におけるノイズ対策を、単一の整流回路部7で行なっているため、負荷電源となる二次電源の質向上、およびノイズ対策を合理的に行なうことができ、また、そのための構成も簡素化できる。
【0034】
さらに、制御基板18に形成されたGNDパターン20の領域に、整流回路部7を構成するフィルタ回路15、平滑回路16、およびスイッチング電源回路14を構成するトランス11、発振回路12、およびスナバ回路13を、GNDパターン20のシールド効果を使用して配置し、しかも、ノイズ発生源となり易いトランス11、発振回路12、およびスナバ回路13と、平滑回路16(コンデンサ)を集合した配置とするとともに、発振回路12とスナバ回路13を、制御基板18において、フィルタ回路15、平滑回路16、トランス11、平滑回路16と異なる面に配置しているため、トランス11、発振回路12、スナバ回路13から発生するノイズの分散を抑制し、平滑回路16で吸収し易くなり、ノイズ対策の信頼性を高めることができるとともに、制御基板18をコンパクトに構成することができ、機器への組込みを容易とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、複数のスイッチング電源のノイズ対策を合理的、かつコンパクトに行うことができ、電子制御回路を具備する情報・通信機器等の電源装置として幅広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態1における電源装置の回路構成図
【図2】同実施の形態1における電源装置を構成する制御基板の要部の概略構成図
【符号の説明】
【0037】
1 電源
5a 制御負荷
5b 制御負荷
7 整流回路部
8 安定化電源回路
9 入力電圧検出回路
10 制御回路
11 トランス(リアクタ部品)
12 発振回路
13 スナバ回路
14 スイッチング電源回路
15 フィルタ回路
16 平滑回路
16a 第一平滑回路
16b 第二平滑回路
18 制御基板
19 アース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、前記電源の出力側に設けられた整流回路部と、前記整流回路部の出力側に、並列に接続された複数のスイッチング電源回路と、前記各スイッチング電源回路の出力を入力電源とする負荷を具備した電源装置において、前記整流回路部を、電源ラインに重畳したノイズ成分を除去するフィルタ回路と、前記フィルタ回路からの電圧波形を平滑化する平滑回路を具備する構成とした電源装置。
【請求項2】
前記平滑回路を、前記フィルタ回路側に位置する第一平滑回路と、前記スイッチング電源回路側に位置する第二平滑回路より構成し、前記第一平滑回路と第二平滑回路の間の電位を、前記スイッチング電源回路を駆動する発振回路の入力とした請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
制御基板の一面に、前記整流回路部をアース接続された状態で設け、また、前記制御基板の他面に、前記スイッチング電源回路を駆動する発振回路、および前記スイッチング電源回路を構成するリアクタ部品で生成された急激な電圧成分を吸収するスナバ回路を設けた請求項1または2に記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−233289(P2010−233289A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75562(P2009−75562)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】