説明

電界および温度測定装置並びに電界および温度測定方法

【課題】電子デバイスの電界と温度とを一つの測定装置により測定できるようにして、迅速かつ低コストにLSIチップ/パッケージの電気/熱設計のデータを提供できるようにする。
【解決手段】レーザ光源100と、ファイバアンプ102と、偏光コントローラ103と、EOセンサ105と、検光子115と、光サーキュレータ104と、電界検出用のフォトディテクタ117と、温度検出用の光スペクトラムアナライザ119と、検光子115の出射光を分岐するカプラ116と、各素子を連結する光ファイバ101と、RFスペクトラムアナライザ118とから構成され、EOセンサ105の電気光学効果を電界測定に、また光共振特性を温度測定に利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界および温度測定装置並びに電界および温度測定方法に関し、特に電気光学結晶を用いて電界と温度とを同時計測可能な測定装置とそれを用いた測定方法に関するものであり、LSIチップ/パッケージなどの電界分布と温度分布を測定するのに適した装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から代表的な電界センサの一つとして、電気光学(EO)結晶を用いたEOセンサが知られており、これにより種々の回路を対象として電界計測が行われてきた。測定対象例を挙げると、マイクロストリップ線路、コプレーナ線路などの伝送線路やパッチアンテナ、アレイアンテナなどのアンテナ、あるいは携帯電話機などである。
EOセンサを用いるものの中でも、最近、光ファイバ光学を基礎として組み上げられた測定装置が、高性能かつ良好な利便性のために注目を集めており、特にファイバ先端に共振器構造を有するEO結晶が形成されたセンサを用いた測定装置(例えば、非特許文献1参照)は、高空間分解能性と高感度性を兼備する測定装置を構成し得るものと期待されている。
【0003】
図9は、EOセンサを用いた従来の測定装置のブロック図である。光学素子と電界センサ405は、すべて光ファイバ401で接続されている。可変波長レーザで連続発振可能なレーザ光源400から出射された光はファイバアンプ402にて増幅され、偏光コントローラ403で偏光面を制御された後、光サーキュレータ404を通りEOセンサ405に入射する。EOセンサ405は、EO材料からなるEO素子412の両面に誘電体多層膜反射層409、413を設けてなる光学素子をコア406とクラッド407を有する光ファイバに接着層408を介して接着したものである。EOセンサ405に入射した光の一部は誘電体多層膜反射層409により反射されるが、残りはEO素子412に入射する。EO素子に入射した光は、上面と底面に施された誘電体多層膜反射層409、413により多重反射した後再び光ファイバに戻る。EO素子412は、回路基板414から発生する電界により屈折率が変化するため、素子中を伝搬するレーザ光の偏光状態は変化し、外部電界の強さに応じた変調を受ける。多重反射レーザ光411の光路長は、素子中を一往復するだけの光に比べて見かけ上長くなり、反射を繰り返すほど偏光変化が増大する。このことは、上部の誘電体多層膜反射層409が存在した方が、存在しない場合に比べて、より高感度なセンシングが可能となることを意味する。変調された反射レーザ光410は、再び光サーキュレータ404を通った後、検光子415により強度変調光に変換され、フォトディテクタ417で電気信号に変換される。電気信号は無線周波数スペクトラムアナライザ418により検出され、その時発生するピークを外部電界に起因する信号とする。本装置の原理上、外部電界の強さに応じて信号強度が異なるため、回路基板414上の電界センサ405の位置を変えることにより電界分布が得られる。
【非特許文献1】S. Wakana et al., IEEE Trans. Microwave Theory Tech., Vol. 48, No. 12, pp. 2611-2616 (Dec. 2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、近年の高密度実装技術分野においては、LSIチップ/パッケージの高速伝送設計、低ノイズ設計が求められているだけでなく、放熱効率の高い熱設計も重要課題の一つとなっている。このような技術トレンドにおいて克服すべき課題は、迅速かつ低コストに電気/熱設計にフィードバック出来る情報を獲得することである。そのための効果的施策の一つは、高い空間分解能を有する電界センサを用いてLSIチップ/パッケージ上の電界分布計測を行うと同時に、熱勾配に対して高感度な温度センサを用いて熱分布計測を行い、計測結果を設計に反映させることである。すなわち、一つの測定装置で電界分布と熱分布を同時に計測し、結果を迅速に電気&熱設計に反映させることである。
【0005】
従来技術においては、高空間分解能電界計測と高感度熱計測を同時に行うことは性能上不十分であり、そのためLSIチップ等の微小領域に適用可能な同時測定装置は実現されていなかった。
また、EOセンサはEO素子の電界強度変化に対する屈折率変化を電界検出に利用するが、一般に材料の屈折率は温度の関数である。このため、本来、EOセンサにより温度分布を有する測定対象上の電界分布を計測する場合、温度の違いに起因する電界強度補正を行う必要があるが、従来技術においては、このような補正が行われていなかった。このため、正確な電界分布計測が実現されていなかった。
本発明の目的は、LSIチップ/パッケージに適用可能な電界&温度同時測定用装置とそれを用いる測定方法を提供することにある。また、測定対象上の温度に起因する電界強度の誤差が補正可能な測定装置を提供することも本発明の目的の一つである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明によれば、電気光学素子を備えるセンサを有し、前記電気光学素子の電気光学効果を利用して電界測定を行ない、前記電気光学素子の光共振特性を利用して温度測定を行なうことを特徴とする電界および温度測定装置、が提供される。
【0007】
そして、好ましくは、上記電界および温度測定装置は、レーザ光源と、検光子と、電界検出用のフォトディテクタと、温度検出用の光スペクトラムアナライザと、前記レーザ光源の出射光を前記センサへ送出しその戻り光を前記検光子へ送出する光サーキュレータと、前記検光子の出射光を前記フォトディテクタ宛と前記光スペクトラムアナライザ宛とに分岐するカプラと、を更に有する。
【0008】
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、レーザ光源と、前記レーザ光源の出射光を受ける電気光学素子を備えるセンサと、前記センサからの戻り光を受ける検光子と、前記検光子の出射光を受ける電界検出用のフォトディテクタおよび温度検出用の光スペクトラムアナライザと、を備えた電界および温度測定装置を用いた電界および温度測定方法であって、前記電気光学素子の電気光学効果を利用して電界測定を行ない、前記電気光学素子の光共振特性を利用して温度測定を行なうことを特徴とする電界および温度測定方法、が提供される。
【0009】
[作用]
本発明によれば、良好な光共振特性を有するEO素子と光学素子から成り、当該EO素子のEO効果を電界計測に、またその光共振特性を温度計測に利用することで電界と温度の同時計測が可能な測定装置が構築できる。この測定装置は、例えば図9に示されるようなEO素子を用いた従来型電界測定装置に光スペクトラムアナライザを組み合わせた構成である。上記の良好な光共振特性とは、光スペクトラムアナライザにて測定された共振特性において、共振波長におけるディップが鋭く、その半値幅が小さいことを指す。電界計測は、例えば前記従来型EO電界測定装置の動作原理に基づいて実行できる。一方、温度計測については、EO素子の共振特性を利用する。EO素子の共振波長は、下記(1)式で表される。
λres = 2nlcosθ/m (1)
但し、λres:共振波長、n:EO材料の屈折率、l:EO素子厚、θ:入射光の屈折角、m:整数である。
ここで、屈折率nが温度に依存するため、温度の違いに伴う共振波長λresのシフト量Δλresを測定することにより屈折率差Δnが求まり、一般にEO材料のΔn/ΔTが既知であり定数であるため温度差ΔTを導くことが出来る。したがって、基準となる温度からのΔTがΔλresを測定することにより分かり、温度が求まる。尚、EO材料のnは温度の関数であると同時に電界強度Eの関数でもあるが、一般にΔn/ΔTの方がΔn/ΔEに比べて6桁から7桁大きいので、ΔEに起因するΔnは無視してよい。
【0010】
また、次のような予備実験を行うことで、測定対象上の温度に起因する電界強度の誤差を補正することができる。予備実験として、温度コントロールが可能な熱源にEOセンサを投入し、温度を変えながら無線周波数信号強度を計測する。本予備計測は、従来型EO測定装置を用いて行うことも出来る。このとき、測定装置は電界にさらされていない状態とする。そして、得られたデータを信号強度の温度依存性を感度補正用データとする。実際の電界と温度との同時計測の際に、このデータを加味することにより電界強度が補正される。
【発明の効果】
【0011】
第1の効果は、本発明の測定装置は、一つの装置で高分解能な電界分布と熱分布を同時に計測することが可能なため、LSIチップ/パッケージの電気&熱設計に有効な情報を低コストでかつ迅速に得ることができる点にある。
第2の効果は、本発明の測定装置、測定方法により電界強度の温度の違いによる誤差を補正できる点にある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の測定装置の一実施の形態を示すブロック図である。図1に示されるように、本実施の形態の測定装置は、可変波長レーザで連続発振可能なレーザ光源100と、レーザ光源100の出射光を増幅するファイバアンプ102と、レーザ光源100の出射光の偏光面を調整する偏光コントローラ103と、EOセンサ105と、検光子115と、偏光コントローラ103の出射光をEOセンサ105へ送出すると共にEOセンサ105からの戻り光を検光子115へ送出する光サーキュレータ104と、電界検出用のフォトディテクタ117と、温度検出用の光スペクトラムアナライザ119と、検光子115の出射光をフォトディテクタ117と光スペクトラムアナライザ119とに分岐するカプラ116と、これらの光学素子を連結する光ファイバ101と、フォトディテクタ117から出力される電気信号を検出する無線周波数スペクトラムアナライザ118とから構成される。
ここで、EOセンサ105は、EO結晶により形成されるEO素子112と、その表面と裏面に形成される誘電体多層膜反射層109、113と、コア106とクラッド107とを有する光ファイバと、光ファイバと誘電体多層膜反射層109とを接着する接着層108とから構成されている。EO素子112を形成するための好ましい材料は、ジルコン酸チタン酸鉛、ランタンが添加されたジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸バリウム、ストロンチウム置換チタン酸バリウム、ニオブ酸リチウム、タンタリウム酸リチウム、シリコン酸ビスマス、タンタリウム置換ニオブ酸カリウム、二酸化チタンなどである。
【0013】
図2は、本発明の測定装置を用いて電界&温度同時計測を行う場合の手順を示すフローチャートである。図1と図2を参照し、計測の手順および原理を以下に説明する。
まず、温度を計測する。予備測定として回路基板114を動作させず、予め温度が既知の状態でEO素子112の光共振特性を測定する。可変波長レーザで連続発振可能なレーザ光源100から出射される光の波長域を例えば1500nm〜1600nmとする。各波長の光はファイバアンプ102にて増幅された後、偏光コントローラ103、光サーキュレータ104を通りEOセンサ105に入射する。EO素子112の上面に施された誘電体多層膜反射層109により光は一部反射されるが、残りはEO素子に入射する。EO素子に入射した光は、上面と底面に施された誘電体多層膜反射層109、113により多重反射した後、再び光ファイバに戻る。反射レーザ光110は、再び光サーキュレータ104を通った後検光子115、カプラ116を通過した後、一部光スペクトラムアナライザ119により検出される。
【0014】
図3は、この時光スペクトラムアナライザ119により測定されるスペクトラムの一例を示す模式図である。スペクトラムはピークとディップを繰り返すといった特徴を有し、ディップの底が(1)式で規定される共振波長に当たる。図2のステップS11では、共振波長のいずれかの波長を検出しておく。
次に、回路基板114を動作させ(ステップS12)、基板上、例えばLSIパッケージ上のある一点で前記と同様に光スペクトラムを測定し、ある共振波長λresのシフト量Δλresを求める(ステップS13)。前記のように(1)式から、Δλresから屈折率差Δnが求まり、Δnから予め測定した温度からの温度差ΔTを導くことが出来る。従って、その点での温度が求まる(ステップS14)。
【0015】
次に、温度を計測した点での電界強度を求める。連続レーザ光源100から出射される光の波長を共振波長に合わせる。光はファイバアンプ102にて増幅後、偏光コントローラ103で偏光面を制御された後、光サーキュレータ104を通りEOセンサ105に入射する。EO素子112の上面に施された誘電体多層膜反射層109により光は一部反射されるが、残りはEO素子に入射する。光の波長が共振波長であるため、EO素子に入射した光は、上面と底面に施された誘電体多層膜反射層109、113により多重反射した後再び光ファイバに戻る。EO素子112は、回路基板114から発生する電界により屈折率が変化するため、材料中を伝搬するレーザ光の偏光状態は変化し、外部電界の強さに応じた変調を受ける。多重反射レーザ光111の光路長は、材料中を一往復するだけの光に比べて見かけ上長くなり、反射を繰り返すほど偏光変化が増大する。このことは、上部の誘電体多層膜反射層109が存在した方が、存在しない場合に比べて、より高感度なセンシングが可能となることを意味する。変調された反射レーザ光110は、再び光サーキュレータ104を通った後検光子115により強度変調光に変換され、カプラ116を通過後、フォトディテクタ117で電気信号に変換される。電気信号は無線周波数スペクトラムアナライザ118により検出され、その時発生するピークを外部電界に起因する信号とする(ステップS15)。実際には、温度も信号に寄与している場合がある。そこで、下記の手順により得られた感度補正用データを用い、温度による信号分を発生ピーク強度から減ずる。このようにすることで、正しい電界強度を求めることが出来る(ステップS16)。感度補正用データの作成手順については後述する。
【0016】
以上で、回路基板114上のある一点での温度&電界計測が終了する。その後、ステップS17において、予定された測定位置での測定が全て終了したか他の位置での測定が必要であるかが判断され、他の位置での測定が必要である場合には、EOセンサ105の位置を変え、ステップS13に戻る。以上の動作を続けることにより各位置での温度と電界が計測され、温度分布、電界分布が得られる。
【0017】
次に、電界強度を導出する際の感度補正用データの取得方法について、説明する。本測定装置を電界の印加されない状態で温度が可変できる状態に配置する。そして、温度を変化させながら上記の電界測定の手順で無線周波数スペクトラムアナライザ118により信号検出を行なう。これにより、温度と無線周波数スペクトラムアナライザ118の出力との関係が求まる(図7参照)。このようにして得られたデータをステップS16で電界強度を求める際の補正用データとする。
【0018】
図1におけるEOセンサ105は、光ファイバの先端にEO素子112が接着層108を介して接着された形態となっているが、センサはこのような形態に限定されるものではない。例えば、図4に示すような、コア206とクラッド207とを有する光ファイバの先端にEO素子212が直接形成されたEOセンサ205であってもよく、また図5に示すような、コア306とクラッド307とを有する光ファイバの先端にEO素子312と誘電体多層膜反射層309、313が直接形成されたEOセンサ305であってもよい。ファイバ先端にEO素子を直接形成する手法としては、例えばエアロゾルデポジション法が存在する。
【0019】
EO素子の形態としては、切削、研磨が施され微小加工された結晶でも良いし、成膜装置により形成された膜であってもよい。また、EO素子の上面と底面に誘電体多層膜反射層が形成されていてもよく、このような構造とすることで、より良好な光共振特性が実現され、より高感度な電界/温度分布計測が実現できる。EO素子が、図4に示されるように、光ファイバの先端に形成されている場合、例えばエアロゾルデポジション装置により直接形成されていることが望ましい。エアロゾルデポジション装置は、1μm以上の膜厚のEO膜を成膜することができる。この成膜装置によりファイバ先端に直接形成されたEO膜は、極めて良好な光共振特性を有する。
次に、具体的な実施例ついて説明する。
【実施例1】
【0020】
EOセンサに、図4にしめされるような光ファイバ先端に直接EO素子が形成されたものを選んだ。EO素子は、超微粒子脆性材料に機械的衝撃力を負荷して粉砕、接合させ成形体を形成するエアロゾルデポジション法により形成した。膜厚は1200nmである。Pb(Zr0.6Ti0.4)0{以下PZTとする}を原料粉末とし、キャリヤガスは酸素、ノズルと基板の入射角は10度、ガス流量12リットル/分、ノズル基板間距離は5mm、成膜速度は0.8μm/min、加振器の振動数は250rpmで成膜した。成膜後、大気中で、600℃、15分間程度熱処理することでEO膜のEO効果を発現させた。さらに、200℃で100kV/cm程度の電界印加の下で分極処理を行った。一次電気光学係数r33は200pm/Vであった。熱処理後、EO膜表面の凹凸を除去するために、膜厚1000nmまで研磨し、平坦化した。尚、センサは光ファイバ端部にEO素子が直接形成されたものでなくともよく、例えば切削、研磨されたEO素子がファイバ端部に接着されたようなものであっても良い。
【0021】
EOセンサを図1に示した装置に組み込み、まずホットプレート上で感度補正用データを収得した。センサ先端のEO素子(PZT)をホットプレート上に固定し、ホットプレートの設定温度を変えながら光スペクトラム計測と無線周波数信号計測を行った。図6は、ホットプレートの設定温度を20℃、100℃としたときのそれぞれの光スペクトラムである。良好な共振特性と温度の違いによる共振波長のシフトが確認された。共振波長シフト量と温度差の関係は、(1)式により理論的に導かれる結果と概ね一致した。図7は、各温度での無線周波数信号強度をプロットした図である。本測定結果を感度補正用データとした。LSIチップ/パッケージ上の計測では、図7におけるノイズレベルからの増加分を信号計測結果から減ずることにより電界強度の補正を行なった。
図8は、LSIチップ上で計測された温度分布および電界強度分布を示す図である。計測領域中央部にはロジック回路領域が存在し、チップ縦方向に幅10μmの電源/グランド配線が5本存在する。ロジック回路には50MHzのクロック信号を供給し、回路は25MHzで動作させた。電界計測周波数は50MHzとした。尚、温度分布、電界強度分布ともに最大値で規格化してある。両分布とも微細な分布が観測されており、本結果から本発明の測定装置により高分解能電界&温度分布計測が可能であることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態の電界および温度測定装置を示すブロック図。
【図2】本発明の装置を用いて電界&温度同時計測を行う場合の手順を示すフローチャート。
【図3】電気光学材料の光共振特性を示す模式図。
【図4】本発明の測定装置において用いられるEOセンサの一変更例を示す図。
【図5】本発明の測定装置において用いられるEOセンサの他の変更例を示す図。
【図6】本発明の測定装置を用いて測定された電気光学材料の光共振特性を示す図。
【図7】電界の温度に係る感度補正用データを表す図。
【図8】本発明の測定装置を用いて測定された、集積回路チップの電界分布と温度分布を示す図。
【図9】従来の電界測定装置を示すブロック図。
【符号の説明】
【0023】
100、400 レーザ光源
101、401 光ファイバ
102、402 ファイバアンプ
103、403 偏光コントローラ
104、404 光サーキュレータ
105、205、305、405 EOセンサ
106、206、306、406 コア
107、207、307、407 クラッド
108、408 接着層
109、113、309、313、409、413 誘電体多層膜反射層
110、410 反射レーザ光
111、411 多重反射レーザ光
112、212、312、412 EO素子
114、414 回路基板
115、415 検光子
116 カプラ
117、417 フォトディテクタ
118、418 無線周波数スペクトラムアナライザ
119 光スペクトラムアナライザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学素子を備えるセンサを有し、前記電気光学素子の電気光学効果を利用して電界測定を行ない、前記電気光学素子の光共振特性を利用して温度測定を行なうことを特徴とする電界および温度測定装置。
【請求項2】
レーザ光源と、検光子と、電界検出用のフォトディテクタと、温度検出用の光スペクトラムアナライザと、前記レーザ光源の出射光を前記センサへ送出しその戻り光を前記検光子へ送出する光サーキュレータと、前記検光子の出射光を前記フォトディテクタ宛と前記光スペクトラムアナライザ宛とに分岐するカプラと、を更に有することを特徴とする請求項1に記載の電界および温度測定装置。
【請求項3】
前記レーザ光源と光サーキュレータとの間に、前記レーザ光源の出射光の偏光面を調整する偏光コントローラ、または、光ファイバアンプおよび前記レーザ光源の出射光の偏光面を調整する偏光コントローラが配置されていることを特徴とする請求項2に記載の電界および温度測定装置。
【請求項4】
前記各構成要素が光ファイバにより連結されていることを特徴とする請求項2または3に記載の電界および温度測定装置。
【請求項5】
前記フォトディテクタに無線周波数スペクトラムアナライザが接続されていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の電界および温度測定装置。
【請求項6】
前記センサが光ファイバを備え、該光ファイバの先端にファブリーペロー共振器構造を有する前記電気光学素子が形成されていることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の電界および温度測定装置。
【請求項7】
前記センサが光ファイバを備え、該光ファイバの先端に電気光学結晶である前記電気光学素子が直接形成されていることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の電界および温度測定装置。
【請求項8】
前記電気光学素子がエアロゾルデポジション法により光ファイバの先端に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の電界および温度測定装置。
【請求項9】
前記電気光学素子は、ジルコン酸チタン酸鉛、ランタンが添加されたジルコン酸チタン酸鉛、チタン酸バリウム、ストロンチウム置換チタン酸バリウム、ニオブ酸リチウム、タンタリウム酸リチウム、シリコン酸ビスマス、タンタリウム置換ニオブ酸カリウム、二酸化チタンのいずれかにより構成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の電界および温度測定装置。
【請求項10】
レーザ光源と、前記レーザ光源の出射光を受ける電気光学素子を備えるセンサと、前記センサからの戻り光を受ける検光子と、前記検光子の出射光を受ける電界検出用のフォトディテクタおよび温度検出用の光スペクトラムアナライザと、を備えた電界および温度測定装置を用いた電界および温度測定方法であって、前記電気光学素子の電気光学効果を利用して電界測定を行ない、前記電気光学素子の光共振特性を利用して温度測定を行なうことを特徴とする電界および温度測定方法。
【請求項11】
被測定デバイスを動作させることなく既知の温度状態で前記光スペクトラムアナライザで共振波長を検出した後、被測定デバイスを動作させ該被測定デバイスの一点に前記電気光学素子を位置合わせし、前記光スペクトラムアナライザで共振波長を検出して共振波長の偏差からその点での温度の測定値を得ることを特徴とする請求項10に記載の電界および温度測定方法。
【請求項12】
前記一点での共振波長の検出と平行して、前記一点での電界測定を行なうことを特徴とする請求項11に記載の電界および温度測定方法。
【請求項13】
温度の測定値によって、電界の測定値の補正を行なうことを特徴とする請求項10から12のいずれかに記載の電界および温度測定方法。
【請求項14】
電界が一定の環境下において温度を可変させ、前記フォトディテクタを用いて電界の測定を行ない、得られたデータから電界の測定値の温度による補正値が決定されることを特徴とする請求項13に記載の電界および温度測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−216035(P2008−216035A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53747(P2007−53747)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】