説明

電界効果型電子放出装置

【課題】望ましい電界放出特性、最適な分布間隔及び/又は単独性を有するマイクロサイズの磁性ワイヤの起立型アセンブリを提供する。
【解決手段】電界効果型電子放出装置が提供される。当該電界効果型電子放出装置は、基板と、当該基板に埋め込まれ、少なくとも一部が当該基板から露出しており、当該基板から垂直に延びる、磁性材料を含む複数のワイヤとを具備する。当該複数のワイヤの平均間隔は30μm未満であり、間隔/高さ比の平均は1〜3であり、平均アスペクト比は3よりも大きい。また、電子放出装置の製造方法、このような電界効果型電子放出装置を有する電界効果型ディスプレイ、このような電界効果型電子放出装置を有する照明装置、及びこのような電界効果型電子放出装置を有する、液晶ディスプレイ用バックライト装置も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界効果型電子放出装置、電子放出装置の製造方法、上記電界効果型電子放出装置を有する電界効果型ディスプレイ、上記電界効果型電子放出装置を有する照明装置、及び上記電界効果型電子放出装置を有する液晶ディスプレイ用バックライト装置に関し、限定はしないが特に、水性ワイヤ分散液の磁気整列による、マイクロサイズの磁性ワイヤの起立型アレイアセンブリに関し、基板上の起立したワイヤ間の間隔及び/又は単独性の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
電界放出技術は、薄膜トランジスタ型液晶ディスプレイ及び次世代フラットパネルディスプレイのバックライトのために有効である。この電界放出技術は、電界拡大中に、鋭く尖った導電性の先端から、効率的に電子を放出することによる。マイクロサイズワイヤ及びナノサイズワイヤ等の一次元材料は、その細長い形状及び尖った先端のため、このような放出体(エミッタ)として好適である。電界放出素子の分野における微小サイズワイヤの活用においては、先が尖ったエミッタの起立型アレイを形成するために、これらの微小サイズのワイヤを電極の表面上に容易且つ直接的に配列させることが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Jean-Marc Bonard他、"Tuning the Field Emission Properties of Patterned Carbon Nanotube Films"、 「Advanced Material 2001」、13、No. 3、2001年2月5日、P.184−188
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの自由な形態のワイヤを取り扱うためのいくつかの方法が提案され、検証されている。しかしながら、これらの方法は、平面内でのワイヤの整列にのみ適しており、電界放出に必要とされる平面外でのワイヤ構成、すなわち垂直なワイヤ構成には適していない。電界放出の効率は、間隔/高さ比及び密度等の、エミッタアセンブリの寸法パラメータに依存し得ることが提唱されている。したがって、望ましい電界放出特性、最適な分布間隔及び/又は単独性を有するマイクロサイズの磁性ワイヤの起立型アセンブリを提供するための整列技術が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様として、概略的には、複数のワイヤ状電子エミッタを用いた電界効果型電子放出装置が提供される。各ワイヤは、磁性体からなる。ワイヤの平均間隔は、30μm未満である。ワイヤの間隔/高さ比の平均は1〜3であり、平均アスペクト比は3よりも大きい。
【0006】
本態様により、電子放出装置の製造プロセス中に基板に対して垂直な磁界をワイヤに印加する場合、この磁界によって、ワイヤを基板に対して垂直に整列させることができるという利点がある。従来技術においては、スピントタイプのFEDにおいては、エミッタを形成するためにモリブデン(Mo)が用いられ、CNTタイプのFEDにおいてはカーボンが用いられる。これらはいずれも磁性体ではない。
【0007】
本発明の第2の態様として、概略的には、電界効果型電子放出装置の製造プロセスが提供される。当該製造プロセスは、基板に対して垂直な磁界下で、溶液中に4×10/ml以下の濃度で含まれるワイヤを前記基板に取り付ける。ワイヤは、磁界によって整列できるように、磁性体からなる。
【0008】
本発明のいずれの態様も、製造される電子エミッタの電子放出の閾値電圧が低くなるように、基板上のワイヤの密度及び単独性をより容易に制御することができるという利点を有する。
【0009】
典型的には、ワイヤは、めっき液を用いて、電気化学的めっきプロセス又は非電気めっきプロセスにより、金属材料の基板上への堆積と並行して基板に取り付けられる。磁性ワイヤはめっき液中に分散され、磁界に沿って整列されるので、基板に対して概ね垂直な向きを保ちつつ、電気化学的又は化学的に堆積された金属膜に埋め込まれる。分散液の濃度を制御することにより、最適なワイヤ間隔及び単独性を確実に得ることができる。例えば、ニッケルワイヤの濃度が3×10/mlより高い場合、起立したワイヤを凝集させることができる。一方、濃度が7.8×10/mlより低い場合、起立したワイヤの密度は低くなり、単独性が確保され、ワイヤ間隔は25μm以下となる。さらなる実験及び検査によって、ワイヤ濃度を1×10/ml〜4×10/mlとすることにより、以下の例示的な実施形態による構成において、効率的な電界放出が可能なワイヤアレイを許容可能な程度に配列できることが示された。したがって、このような方法により、電界放出装置において用いられる起立したワイヤアセンブリの間隔/高さ比等の寸法パラメータを制御することができる。
【0010】
本発明の第1の態様の具体例として提供される電界効果型電子放出装置は、基板と、当該前記基板に埋め込まれ、少なくとも一部が当該基板から露出しており、当該基板から垂直に延び、磁性体を含む複数のワイヤとを具備する。当該複数のワイヤの平均間隔は、30μm未満であり、間隔/高さ比の平均は1〜3であり、平均アスペクト比は3よりも大きい。
【0011】
本発明の第2の態様の具体例として提供される電子放出装置の製造方法は、基板と、複数の磁性ワイヤを10/ml〜4×10/mlの濃度で含むめっき液とを、当該基板の主面に対して垂直な磁界下で接触させ、前記基板の前記主面に金属層をめっきすることで、前記複数の磁性ワイヤを当該金属層に埋め込む。
【0012】
本発明の第3の態様の具体例として提供される電界効果型ディスプレイは、本発明の第1の態様による電界効果型電子放出装置と、当該電界効果型電子放出装置の基板に対して平行であり、1つ又は複数の陽極を有する蛍光スクリーンとを具備する。
【0013】
本発明の第4の態様の具体例として提供される照明装置は、本発明の第1の態様による電界効果型電子放出装置と、当該電界効果型電子放出装置の基板に対して平行であり、1つ又は複数の陽極を有する蛍光スクリーンとを具備する。
【0014】
本発明の第5の態様の具体例として提供される液晶ディスプレイ用バックライト装置は、本発明の第1の態様による電界効果型電子放出装置と、当該電界効果型電子放出装置の基板に対して平行であり、1つ又は複数の陽極を有する蛍光スクリーンとを具備し、前記電界効果型電子放出装置の1つ又は複数の陰極、1つ又は複数のゲート電極、及び又は前記蛍光スクリーンの1つ又は複数の陽極は、独立して動作可能な各セグメントとして電子回路から電源供給される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電界放出アレイに関連する寸法パラメータを示す概略図である。
【図2】磁気整列プロセスのための背面磁石の磁界強度プロファイルを示す概略図である。
【図3】均一な磁界における、トルクの作動下での磁性ワイヤを示す図である。
【図4】勾配を有する磁界における、並進力の作動下での磁性ワイヤを示す図である。
【図5】磁気整列プロセスによる典型的なワイヤの起立型アセンブリを示す、走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【図6】3.1×10/ml以下のワイヤ濃度のニッケル溶液が用いられた場合の、磁気により整列されたニッケルワイヤを示すSEM画像である。
【図7】7.8×10/ml以下のワイヤ濃度のニッケル溶液が用いられた場合の、磁気により整列されたニッケルワイヤを示すSEM画像である。
【図8】3.9×10/ml以下のワイヤ濃度のニッケル溶液が用いられた場合の、磁気により整列されたニッケルワイヤを示すSEM画像である。
【図9】ワイヤ分散液中のワイヤ間のヘッド−テイル相互作用を示す図である。
【図10】電界放出型ディスプレイ(FED)又はLCD用のマルチセグメントバックライトの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明及びその利点のより完全な理解のために、これより、以下の説明を添付の図面と共に参照する。
【0017】
図1に示すように、例示的な一実施形態は、軟性の磁性体からなる、マイクロサイズの直径d及び長さl、及びワイヤ間隔sを有するワイヤの起立型アレイ100を有する。ワイヤアレイ100は、固着膜104により、基板102上に起立した形で固定されている。各ワイヤの下部106は固着膜104に埋め込まれており、これにより各ワイヤが基板102に固定される。固着膜104は、水性分散液中に漂うワイヤアレイ100が磁界により整列されるのと並行して電着されてよい。固着膜104が電着される場合、基板102は導電性であってもよい。又は基板102が非導電性の基板である場合には、基板102の、ワイヤアレイ100が配置される側の面108上に、導電性のシード層が設けられてもよい。
【0018】
上述したように、電界放出の効率は、ワイヤ間隔とワイヤ長の比、すなわち間隔/高さ比によって制御できる。例えば、長さ10μmのワイヤを用いて、最大効率を得るための比率である2を達成するためには、20μmのワイヤ間隔が必要とされ得る。一方、比率2が達成目標である場合、10μmのワイヤ間隔には、5μmのワイヤ長が必要とされ得る。また、起立したワイヤ間の間隔は、分散液の単位量当たりのワイヤ数によって制御されてもよい。一般的に、分散液中のワイヤ濃度が低いと、ワイヤ間隔sは大きくなり、一方、分散液中のワイヤ濃度が高いと、ワイヤ間隔sはより小さくなる。結果として、電界放出の効率は間隔/高さ比によって決まるため、当該例示的な実施形態により製造される電界放出エミッタの電界放出効率は、分散液中のワイヤ濃度を変化させることにより、確実に制御することができる。例えば、間隔/高さ比は1〜3であってよい。
【0019】
エミッタアレイの性能に関する別のパラメータは、電流密度である。電界放出の効率が間隔/高さ比に依存し得るのに対し、電流密度は、各エミッタの密度に依存し得る。エミッタの密度が高いと、エミッタがまばらに分布された場合に比べ、電流密度は高くなる。結果として、電流密度を損失することなく高い効率を実現するためには、エミッタの長さ、すなわち起立したワイヤの長さに上限が存在し得る。例えば、ワイヤの長さが20μmである場合、最大効率を得るための間隔/高さ比である2を達成するためには、40μmの間隔が必要とされる。しかしながら、この間隔では、エミッタの密度が低いため、電流密度が低くなってしまう可能性がある。ワイヤ長が10μmである場合、必要とされるワイヤ間隔は20μmと小さくなる。後者の場合の方がワイヤ密度が高いため、電流密度も前者の場合と比較して高くなる。例えば、3未満の間隔/高さ比を達成するために、平均ワイヤ間隔は30μm未満であってよい。この考慮事項に加え、ワイヤ長が長い場合、鎖状化効果が高くなり、これにより多くのワイヤが凝集してしまうため、ワイヤ長は10μm未満であることが好ましい。
【0020】
上記電流密度を考慮すると、ワイヤ長の上限が存在する一方、ワイヤの形状を考慮すると、下限も存在し得る。磁気整列法は、磁性ワイヤの形状に依存し得る。磁気整列を成功裡に行うためには、ワイヤは十分に細長くなければならない。結果として、磁気整列プロセス中にこの形状による効果が達成されるように、ワイヤの直径に対してワイヤ長の下限が存在する。
【0021】
一実験例では、電界放出アレイは、陽極酸化アルミニウムテンプレートにおいて電着されたニッケル(Ni)ワイヤの起立型アレイにより製造された。溶液中で効率的且つ安定してワイヤを分散させるための界面活性剤として作用するように、0.1mol/dmのNiSo6HO及び0.3g/Lのドデシル硫酸ナトリウムを含む水溶液中に、それぞれ直径300nm以下、長さ10μm以下のニッケルワイヤが分散された。分散液中の固体が沈殿するのを避けるために、界面活性剤の濃度は望ましいレベルを超えないように維持された。しかしながら、非常に低い濃度の界面活性剤は、溶液中のワイヤを安定して懸濁させるためには効果的でない可能性がある。分散液は、使用前に15分間超音波処理された。200nm以下のAuシード層でスパッタリングされたガラスディスク基板(直径12mm、厚さ0.3mm)上で、Ni溶液中に懸濁されたNiワイヤの磁気整列が行われた。ガラス基板の背面には、外部磁束の発生源としての役割を果たすための円盤形永久磁石が取り付けられた。図2(a)に示すように、円盤形永久磁石200は、12mmの直径(D)及び0.5mmの厚さ(L)を有し、厚さ方向の磁化(Br)は11.99kGであった。シミュレーションによれば、円盤形永久磁石200は、図2(b)に示すように、中心距離Xを有する磁界強度プロファイルを有する。言い換えれば、ガラス基板のちょうど中心における磁界強度は480G以下であり、磁界強度は中心からの距離が大きくなるにつれて減少する。
【0022】
Auシード層及び背面磁石を有するガラス基板は、陰極として接続され、陽極としては白金ワイヤが用いられた。ここでも、Ag/KClが参照電極として用いられた。Niワイヤの磁気整列及び基板表面への取り付け中に、Ni膜のガラス基板への直流電着が、1.95Aで1分間、in situで行われた。したがって、Ni溶液は、Niワイヤの懸濁溶剤としての役割だけでなく、基板上にNi膜を電気めっきするための電解液としての役割も果たした。Ni膜(固着膜)の目的は、プロセスの後に背面磁石を取り外した後であっても、Niワイヤを適切な位置に固定することであった。
【0023】
磁性ワイヤが磁界の直近にあるとき、2つの現象が生じ得る。磁石へのワイヤの吸引、及び磁束に沿ったワイヤの整列である。溶液中の強磁性ワイヤの双極は、強い磁気異方性の結果として、磁化容易軸に沿ってのみ整列する。印加された磁界に対して平行な整列は、懸濁されたワイヤにおいて発生する磁気モーメントから生じるトルクによって得られる。このトルクは下記式(1)によって与えられる。
【0024】
【数1】

ここで、図3に示すように、mは磁極強度、Lはワイヤ長、Hは印加された磁界、θはワイヤ長と磁界の方向との角度である。
【0025】
ワイヤの磁気整列はトルクによって引き起こされるのに対し、磁石によるワイヤの吸引は、図4に示すように、並進力に関係する。並進力は、下記式(2)によって与えられる。
【0026】
【数2】

【0027】
図2(b)においてシミュレーションされた磁界プロファイルから予測される磁界の勾配のため、式(2)により与えられる並進力がワイヤに作用する。図5に示す走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)画像から分かるとおり、上記の作用メカニズムに基づき、Niワイヤの典型的な整列が達成された。ワイヤ全体をかなり均一に整列させるためには、基板表面の中心領域近傍における480G以下の磁界強度(図2)で十分であることが明らかであった。Niワイヤは、300nm以下の平均直径を有しており、背面磁石が取り外された後も、薄いNi基膜により最下部を固定されて、起立状態に保たれた。さらに、基膜によるワイヤの固定は、SEMによる観察のための物理的運搬、洗浄及び真空吸引等の後続の処理ステップに耐え得るほど十分に強いものであった。
【0028】
トルクの式(2)により示唆されるように、磁界による磁性ワイヤの直接組立ては、磁界の強度及びアスペクト比、つまりワイヤの長さに依存し得る。磁界が十分に強い場合、短いワイヤよりも長いワイヤの方が整列し易い。しかしながら、長いワイヤにより、強磁性ワイヤの鎖状化による寄生効果が生じることは、図5より明らかである。図5では、元のワイヤ長は10μm以下であるにも関わらず、50μmを超える長いワイヤ長も存在する。ワイヤ間隔、粘性抵抗、ワイヤ寸法及び磁化の関数として説明した鎖状化効果は、溶液中で優位を占めるワイヤ間の磁気双極相互作用の結果であり得る。分散液中のワイヤの密度を低くすることによって、ワイヤ間相互作用の機会が少なくなるため、この効果を低減することができる。
【0029】
図6は、3.1×10/ml以下の高濃度のワイヤを含むワイヤ分散液における、磁気整列の結果を示す。起立したアレイの高さが約50μmを優に上回っていたことから、かなりの量の鎖状化効果があった。図9に示すように、鎖状化効果は、ヘッド−テイル相互作用であるため、ワイヤ濃度を7.8×10/以下に低減することにより、図7に示す結果が得られた。ワイヤの密度を大幅に低減した場合、観察される鎖状化効果も大幅に少なくなる。
【0030】
また、図6においては、ワイヤの大きな凝集体が生じていることがわかる。これは、整列処理を行う前のワイヤの絡み合い又は凝集に起因すると考えられる。しかし、これらの大きな凝集体も、一本一本のワイヤよりも明らかに質量が大きいとはいえ、強力な磁束の影響下では、整列されて基板に固着される。ワイヤ濃度をさらに3.9×10/mlまで低減すると、図8に示すように、鎖状化効果はほとんど存在しなくなる。
【0031】
上記で説明した単独性に加え、ワイヤの濃度もワイヤの分布間隔に影響を与える。アレイの間隔/高さ比に関して、図6に示す非常に高い濃度は、効率的なエミッタのために必要とされる間隔/高さ比である2に適合しないことは明らかである。図7に示すように、濃度を7.8×10/mlまで低減すると、ワイヤ間の間隔は23μm以下〜25μm以下の範囲内であり、高さ10μmのワイヤに対して2.3以下〜2.5以下の比が得られた。これは図6における非常に密集したアレイに比べると大幅な改善であったが、鎖状化効果は、はるかに減少したものの、依然として見られた。図8に示すように濃度をさらに3.9×10/ml以下まで低減すると、8μm程度の小さい間隔もあれば、22μm程度の大きい間隔もある、かなり不均一な分布間隔が得られた。鎖状化及び大きな凝集はほとんどなかったが、全体的に、ワイヤがほとんど分布されなかった。例えば、上述した間隔/高さ比と同様の高さ比と、最低限の鎖状化及び凝集との妥協点を得るために、10/ml〜3.1×10/mlの濃度又は3.9×10/ml〜7.8×10/mlの濃度、例えば6.0×10/mlの濃度を用いることができる。
【0032】
図10は、LCD1000のための電界効果型ディスプレイ(FED)又はマルチセグメントバックライトを示す。このFED又はマルチセグメントバックライトは、ハウジング1008内に、エミッタアレイ1002及び蛍光スクリーン1004を有する。蛍光スクリーン1004は、エミッタアレイ1002に対して平行であり、一連のスペーサ1006によって、エミッタアレイ1002と間隔を空けて配置される。蛍光スクリーン1004は、ガラスフェースプレート、蛍光体層及び陽極層からなる。エミッタアレイ1002からの加速電子が蛍光スクリーン1004に衝突し、蛍光が発生する。
【0033】
本発明の例示的な実施形態を詳細に説明したが、当業者には明らかなように、本発明の範囲内で多くの変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に埋め込まれ、少なくとも一部が当該基板から露出しており、当該基板から垂直に延び、磁性材料を含む複数のワイヤとを具備し、
前記複数のワイヤの平均間隔は30μm未満であり、間隔/高さ比の平均は1〜3であり、平均アスペクト比は3よりも大きい
電界効果型電子放出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電界効果型電子放出装置であって、
前記複数のワイヤの平均長は、10μm未満である
電界効果型電子放出装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電界効果型電子放出装置であって、
前記複数のワイヤの平均直径は、3μm未満である
電界効果型電子放出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の電界効果型電子放出装置であって、
陰極上に、又は当該陰極に隣接して設けられ、小孔アレイを有する絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられた1つ又は複数のゲート電極と
をさらに具備する電界効果型電子放出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電界効果型電子放出装置であって、
前記複数のワイヤの、前記基板から見た遠位端は、前記ゲート電極と同一平面上にある
電界効果型電子放出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の電界効果型電子放出装置であって、
前記複数のワイヤの材料は、Ni、Fe及びCoのうちの1つ又は複数である
電界効果型電子放出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の電界効果型電子放出装置であって、
複数の陰極をさらに具備し、
前記複数のワイヤは、複数の領域に分割され、
前記複数の領域の各々は、前記複数の陰極にそれぞれ電気的に接触する
電界効果型電子放出装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の電界効果型電子放出装置であって、
前記基板上に設けられ、前記複数のワイヤが埋め込まれる金属層をさらに具備する
電界効果型電子放出装置。
【請求項9】
基板と、複数の磁性ワイヤを10/ml〜4×10/mlの濃度で含むめっき液とを、当該基板の主面に対して垂直な磁界下で接触させ、
前記基板の前記主面に金属層をめっきすることで、前記複数の磁性ワイヤを当該金属層に埋め込む
電子放出装置の製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の電子放出装置の製造方法であって、
前記複数のワイヤは、3μm未満の平均直径と、10μm未満の平均長さとを有する
電子放出装置の製造方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の電子放出装置の製造方法であって、
前記濃度は、3.9×10/ml〜7.8×10/mlである
電子放出装置の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の電子放出装置の製造方法であって、
前記濃度は、6×10/ml以下である
電子放出装置の製造方法。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれか1項に記載の電子放出装置の製造方法であって、
前記磁界は、前記基板の前記主面の反対側の第2の面に隣接して印加され、
電子放出装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の電子放出装置の製造方法であって、
前記磁界の磁束密度は、当該磁界の中心において480Gである
電子放出装置の製造方法。
【請求項15】
請求項9〜14のいずれか1項に記載の電子放出装置の製造方法であって、
前記複数の磁性ワイヤの平均間隔は、30μm未満である
電子放出装置の製造方法。
【請求項16】
請求項9〜15のいずれか1項に記載の電子放出装置の製造方法であって、
前記複数の磁性ワイヤの間隔/高さ比の平均は、1〜3である
電子放出装置の製造方法。
【請求項17】
請求項9〜16のいずれか1項に記載の電子放出装置の製造方法であって、
前記複数の磁性ワイヤの平均アスペクト比は、3よりも大きい
電子放出装置の製造方法。
【請求項18】
請求項9〜17のいずれか1項に記載の電子放出装置の製造方法であって、さらに、
陰極上に、又は当該陰極に隣接して、小孔アレイを有する絶縁層を形成し、
前記絶縁層上に、又は当該絶縁層に隣接して、ゲート電極を設ける
電子放出装置の製造方法。
【請求項19】
請求項9〜18のいずれか1項に記載の電子放出装置の製造方法であって、さらに、
前記複数の磁性ワイヤを、電気めっきによって形成する
電子放出装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載の電子放出装置の製造方法であって、
前記電気めっきされた複数の磁性ワイヤを酸化させる
電子放出装置の製造方法。
【請求項21】
請求項18に記載の電子放出装置の製造方法であって、
前記複数の磁性ワイヤは、陽極酸化アルミニウムをテンプレートとして用いて電気めっきされる
電子放出装置の製造方法。
【請求項22】
請求項9〜21のいずれか1項に記載の電子放出装置の製造方法であって、
前記めっき液は、0.5g/L未満のドデシル硫酸ナトリウムを含む
電子放出装置の製造方法。
【請求項23】
請求項9〜22のいずれか1項に記載の電子放出装置の製造方法であって、
前記電子放出装置は、電界効果型電子放出装置である
電子放出装置の製造方法。
【請求項24】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の電界効果型電子放出装置と、
前記電界効果型電子放出装置の基板に対して平行であり、1つ又は複数の陽極を有する蛍光スクリーンと
を具備する電界効果型ディスプレイ。
【請求項25】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の電界効果型電子放出装置と、
前記電界効果型電子放出装置の基板に対して平行であり、1つ又は複数の陽極を有する蛍光スクリーン
を具備する照明装置。
【請求項26】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の電界効果型電子放出装置と、
前記電界効果型電子放出装置の基板に対して平行であり、1つ又は複数の陽極を有する蛍光スクリーンと、
前記電界効果型電子放出装置の1つ又は複数の陰極、前記1つ又は複数のゲート電極及び/又は前記蛍光スクリーンの1つ又は複数の陽極は、独立して動作可能な各セグメントとして電子回路から電源供給される
液晶ディスプレイ用バックライト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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【図10】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−238744(P2009−238744A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−48607(P2009−48607)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】