説明

電界放出用途のためのカーボンナノチューブの活性化

実質的に強化された電界放出特性が、CNTの表面を非接着性材料(例えば、紙、八歩シートまたはローラー)で覆う工程、特定の力を使用してその材料をプレスする工程、およびその材料を除去する工程からなるプロセスを使用することによって、達成される。この方法は、テーピングプロセスと比較して、CNTのずっと良い電界放出特性が達成された。このプロセスは以下の利点を有する:プロセスが非常に簡便かつ低コストである;このプロセスは、非常に大きな領域で、非常に良い均一性で行われ得る;プロセス後に残渣が基板上に残存しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、電界放出に関し、具体的にはカーボンナノチューブを使用する電界放出に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(CNT)は、その信じられないほどの物理的特性、化学的特性、電気的特性および力学的特性に起因して、多数の企業および機関によって研究されている(非特許文献1)。カーボンナノチューブは、長い寿命を有する非常に安定で低電圧操作のためのその優れた電界放出特性および化学的不活性に起因して、ディスプレイ、マイクロ波源、X線管などのような多くの用途のための優れた熱くならない電源(cold electron source)として使用され得る(非特許文献2)。整列したカーボンナノチューブは、優れた電界放出特性を有することが実証されており、これは500℃以上で触媒に支持された基板上での化学気相堆積(CVD)によって作製され得る(非特許文献3)。しかし、このCVDプロセスは、大きな面積にわたってCNTを成長させるためにはよい方法ではない。なぜなら、ディスプレイ用途に必要とされる均一性を達成することが、非常に困難だからである。CNTのCVD成長はまた、高い処理温度(500℃以上)を必要とし、このことが、ソーダ石灰ガラスのような低コストの基板の使用を除外している。
【0003】
より容易な方法は、CNT粉末を収集し、それを基板の選択された領域上に均一に堆積させることである。CNTは、結合剤およびエポキシなどと混合される場合は、メッシュスクリーンを通して印刷される(非特許文献4)。CNTは、IPA、アセトンまたは水のような溶液と混合される場合は、基板上に噴霧され得る(非特許文献5)。次いで、特別な表面処理がしばしば、CNTカソードの低い電界放出および高い放出部位密度を達成するのに必要とされる。水素プラズマエッチング(非特許文献6)、紫外線レーザー放射(非特許文献7)、CNT層の頂部における酸化マグネシウム薄層堆積(非特許文献8)は、CNTからの電界放出を改善するための良い方法である。しかし、これらのうちのいずれも、大きな面積において均一性を有し得ない。テーピングプロセスは、カーボンナノチューブの電界放出特性を強化するための魅力的なプロセスなようである(Yu−Yang Chang,Jyh−Rong Sheu,Cheng−Chung Lee,「Method of improving field emission efficacy for fabricating carbon nanotube field emitter」の特許文献1)。この方法では、接着テープがCNTカソード基板に密接に接着され、次いでそのテープが除去される。いくらかのカーボンナノチューブは垂直方向を向いており、ほとんど結合されていないCNT部分は、除去される。基板上およびカーボンナノチューブ層の頂部にいくらか接着残基が残存する可能性は非常に高い。テープ活性化プロセス後の基板上の有機残渣は、電界放出操作中に、密封されたガラスディスプレイ包装材料(envelope)において、望ましくない残存ガスを発し得る。さらに、大きな領域にわったって基板を均一に活性化させることは困難である。例えば、多くのディスプレイ用途では、40〜100インチの対角プレートを必要とし得る。これらの問題のすべては、CNTの種々の電界放出用途を明らかに妨害している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
実質的に強化された電界放出特性は、以下のプロセスを使用することにより達成される:
1.CNTの表面を非接着性材料(例えば、紙、発泡シート、またはローラー)で覆う工程。
2.特定の力を使用して、その材料を機械的にプレスする工程。
3.その材料を除去する工程。
【0005】
接着性テープ活性化プロセスとは異なり、本発明は、有意な量のCNTを除去しないが、平たくし、CNT層のための新規構造を作製する。本発明において使用されるブランケットシートは非接着性であり、それゆえ有機残渣は基板上に残存しない。この方法は、テーピングプロセスと比較され、そしてCNTのずっと良い電界放出特性が達成された。このプロセスはいくつかの利点を有する:
1.プロセスが非常に簡便かつ低コストである。
2.このプロセスは、非常に大きな領域で、非常に良い均一性で行われ得る。
3.プロセス後に残渣が基板上に残存しない。
【0006】
以下の本発明の詳細な説明がより理解されるために、本発明の特徴および技術的利点をむしろ広範に概説した。本発明のさらなる特徴および利点は、以下に記載され、これは本発明の特許請求の範囲の主題を形成する。
【特許文献1】米国特許第6,436,221号明細書
【非特許文献1】Walt A.de Heer、「Nanotubes and the Pursuit of Applications」、MRS Bulletin 29(4)、p.281−285
【非特許文献2】Zvi Yaniv、「The status of the carbon electron emitting films for display and microelectronic applications」、The International Display Manufacturing Conference,Seoul,Korea,January 29−31,2002
【非特許文献3】Z.F.Ren,Z.P.Huang,J.W.Xuら、「Synthesis of large arrays of well−aligned carbon nanotubes on glass」、Science 1998年、282、p.1105−1107
【非特許文献4】D.S.Chung,W.B.Choi,J.H.Kangら、「Field emission from 4.5 in. single−wall and multiwalled carbon nanotube films」、J.Vac.Sci.Technol.(2000)B18(2),p.1054−1058
【非特許文献5】D.S.Mao,R.L.Fink,G.Montyら、「New CNT composites for FEDs that do not require activation」、Proceedings of the Ninth International Display Warkshops、広島(日本)、2002年12月4〜6日、p.1415、
【非特許文献6】Jihua Zhang,Tao Feng,Weidong Yuら、「Enhancement of field emission from hudrogen plasma processed carbon nanotubes」、Diamond and Related Materials(2004)13,p.54−49
【非特許文献7】W.J.Zhao,N.Kawakami,A.Sawadaら、J.Vac.Sci.Technol、2003年、B21(4)p.1734−1736
【非特許文献8】W.J.Zhao,N.K.Kawakami,A,Sawadaら、J.Vac.Sci.Technol.(2003)B21(4)p.1734−1736
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(詳細な説明)
以下の説明では、多くの特定の詳細が、本発明の一貫した理解を提供するために示される。しかし、本発明がこのような特定の詳細なしで実施され得ることは、当業者に明らかである。他の例において、周知の回路は、本発明を不必要に詳細にして不明瞭にしないために、ブロック図の形式で示される。大部分について、タイミングの検討などに関する詳細は、そのような詳細が本発明の完全な理解を得るために必要でない程度にできる限り省略され、このような詳細は、関連分野の当業者の技術の範囲内である。
【0008】
ここで図面を参照して、図面に示される要素は、必ずしも測られるように示されてはおらず、同様の要素もしくは類似の要素が数個の図を通じて同じ参照番号によって設計されている。
【0009】
(1.カーボンナノチューブおよびアルミナ粉末の供給源)
本発明のためのサンプルを作製するために使用したのは、CarboLex,Inc.,Lexington,KY,USA製の未精製単層カーボンナノチューブ(SWNT)、およびCarbon Nanotechnologies,Inc.,Houston,TX,USA製の精製SWNTであった。これらのSWNTは、直径1nm〜2nm、長さ5μm〜20μmであった。他のベンダー製の精製および未精製の両方の、単層、二層もしくは多層のカーボンナノチューブ、炭素繊維または他の種のナノチューブおよびナノワイヤもまた、同様の結果を伴って使用され得る。
【0010】
(2.基板上にコーティングするカーボンナノチューブ混合物の調製)
1)SWNTの粉砕
ボールミルを使用して、未精製および精製されたSWNTの束を粉砕した。図1は、そのようなボールミルの概略図である。この機械の速度は、1分あたり約50回転〜60回転である。この方法では、1gのSWNTおよび粉砕用に使用される100個のステンレス製のボール(直径5mm)を、200ml〜300mlのIPA(イソプロピルアルコール)と混合した。カーボンナノチューブを分散させるために、材料を1日〜14日間粉砕した。カーボンナノチューブのより良い分散を達成するために、界面活性剤または類似の材料もまたこの混合物に添加した。
【0011】
2)混合物を基板上に噴霧する
基板上にCNTを堆積させるために、噴霧プロセスが使用され得る。図2は、そのような噴霧プロセスの概略図である。CNTは粉砕または攪拌が停止すると容易に一緒に凝集
するので、CNTを基板上に噴霧する前に、超音波ホーンまたは超音波浴を使用して、CNTを再びIPA溶液に分散させる。CNT−IPA溶液は、導電性のITO/ガラス上に噴霧され得る。CNT溶液は、2×2cmの面積で基板上に噴霧され得る。この溶液はまた、種々の他の基板(例えば、金属、セラミック、ガラス、半導体およびプラスチック)上に噴霧され得る。より良いコーティングの均一性および基板上への分散を達成するために、噴霧前にさらなるIPAが上記溶液に添加され得る。噴霧用の溶液は、1000mlのIPA中約0.2gの混合物であり得る。CNTはまた、シャドウマスクを用いることによって選択領域に噴霧され得る。IPAが予期しない領域に流れることを防ぐために、噴霧プロセスの間、基板は、IPAをより素早くエバポレートさせるために表面および裏面の両方を約70℃まで加熱され得る。基板は、全表面がCNTでコーティングされるまで、数回〜何十回、裏および表または上および下を噴霧され得る。混合物の厚さは、約2μm〜20μmであり得る。次いで、これらは、空気中で自然乾燥され得る。
【0012】
噴霧の代わりに他のプロセス(例えば、電気泳動堆積、浸漬、スクリーンプリンティング、インクジェットプリンティング、ディスペンシング、スピンコーティング、ブラッシングまたはこの混合物を基板上に堆積し得る任意の他の技術)が、基板上に混合物をコーティングするために使用され得る。他の溶媒(例えば、アセトンまたはメタノール)もまた、CNTを噴霧するためのキャリアとして使用され得る。
【0013】
(3.活性化)
CNTが基板表面上に堆積(コーティング)された後、CNTフィルムの表面上にブランケットシートを適用することによってそのCNTフィルムを「活性化する」プロセスが利用される。図3は、このプロセスの概略図を示す。100ミクロンの厚さの紙(IMPRESO製)および3mmの厚さのファンキー発泡シート(funky foam sheet)(4KIDS Company,MFG.LTD,中国製、品目番号CS 97017)を使用した。非接着性材料は、可撓性または非可撓性のいずれでもあり得、硬質または軟質の材料(例えば、弾性発泡シート、紙、金属、セラミックまたはガラスプレート)を含む。円形の形状(例えば、ポリマーおよび木製ローラー)または他の規則正しい形状もしくは不規則な形状のブランケットシートまたは材料のいずれかであり得る。
【0014】
ブランケットシートは、積層プロセスを用いてカーボンナノチューブコーティング上に接着され得る。積層は、垂直に接する2つのローラーを含む。基板が2つのローラーの間の隙間を片側からもう片方の側に流れるときに、これらの2つのローラーによってブランケットシートと基板との間のCNTコーティング上に力がかけられる。次いで、ブランケットシートがはがされて除かれる。サンプルが作製されて、このプロセスとCNTを活性化するためのテーピングプロセスと比較された(Yang Chang,Jyh−Rong Sheu,Cheng−Chung Lee,Industrial Technology Research Institute,Hsinchu,TW,「Method of Improving Field Emission Efficiency for Fabrication Carbon Nanotube Field Emitters」米国特許第6,436,221号)。透明なテープ(カタログ番号336,3M)もまた、CNTを活性化するために使用され得る。このテープは、同じ積層プロセスを使用してコーティング上に接着され得る。テープとCNTコーティングとの間に空気がないことを確実にするために注意がなされ得る。気泡が存在する場合、この領域における混合物は、他の領域のように除去されるかまたは処理される。ゴムロールが使用されて、テープとCNTコーティングとの間の交差部分に空気が入らないようにするためにテープが押圧され得る。最後に、テープがはがされて除かれ得る。
【0015】
(4.サンプルの電界放出試験)
電界放出特性を比較するために、サンプルを全て(テーピング、ペーパーカバー積層、発泡シートカバー積層によって活性化、および非活性化)を、同じ方法を用いて試験した。アノードとカソードとの間に約0.63mmの間隙を有するダイオード構成において、燐光スクリーンでこれらサンプルをモニターすることによって、これらサンプルを試験した。試験アセンブリを、真空チャンバ中に配置し、10−7トルへとポンプで吸引した。次いで、カソードに負のパルス状の電圧(AC)を印加し、大地電位にアノードを維持し、アノードにおける電流を測定することによって、カソードの電気特性を測定した。DC電位も、試験のために使用され得るが、これは燐光スクリーンを損傷し得る。サンプルの放出電流対電界のグラフを、図4に示す。
【0016】
発泡シートカバー積層プロセスによって活性化されたサンプルが、最良の電界放出特性を有することが示され得る。テーピングプロセスは、ペーパーカバー積層プロセスと非常に類似した結果を有する。活性化プロセスなしのサンプルは、最悪の電界放出特性を有した。
【0017】
図5は、サンプルのCNTコーティングの微小光学顕微鏡画像およびそれらの電界放出画像(6.27V/ミクロンにおいて30ma)を示す。非活性化CNTコーティングに関しては、このCNTコーティングは連続していた。光学顕微鏡において認められるように、このサンプルの表面は、平坦ではない。その厚みは、5ミクロンから20ミクロンまで変化した。その表面上のより高い突出は、非分散性のCNTクラスターを含み得る。その電界放出部位密度は、非常に低かった。その非常に密なCNTは、電界遮蔽問題を引き起こし得、電子がCNTから抽出されないようにする。突出が高いほど、幾何的電界エンハンスメントが高くなるので、これらサンプルは、早くに電子を放出し、電界放出の不均一性を引き起こす。
【0018】
CNTコーティングがテーピングプロセスによって活性化された後、その厚みは、2〜5ミクロン厚であったが、図6(4.16V/ミクロンにおいて30mAの電界放出画像)に示されるように、そのコーティングはなお連続していた。CNT材料の大部分は、テープから除去されることが示された。このコーティングは、いくらかのCNTが垂直に整列されているので、非活性化サンプルよりも良好な電界放出特性を有する(T.J.Vink,M.Gillies,J.C.Kriegeら、「Enhanced field emission from printed carbon nanotubes by mechanical surface modification」Appl.Phys.Lett 83(17),pp.3552−3554(2003))。
【0019】
非活性化サンプルとテーピングされたサンプルとを比較すると、発泡シートカバー積層サンプル(図8)およびペーパーカバー積層サンプル(図7)はともに、明るいドットを有し、このドットにおいて、ITO/ガラス基板の表面が見られ得る。これらの領域からのCNTは、図7および8に示されるように、CNT層の他の領域へと動いたかまたはシートとともに除去された。発泡シートカバー積層サンプルの明るいドットの密度(2.82V/ミクロンで30mAで撮影された電界放出画像)は、ペーパーカバー積層サンプル(2.82V/ミクロンで30mAで撮影された電界放出画像)よりも遙かに高い。CNTクラスターは、互いからかろうじて離れている。この種の構造は、CNTの中でも電界遮蔽の効果を実質的に減少させ得る。これら2つのサンプルの厚みは、約5〜6ミクロンであった。CNTコーティングは、非活性化サンプルより遙かに平坦であった。よって、CNT突出の電界分布は、十分に釣り合いがとれており、電界放出のより良好な均一性を引き起こす。シートカバーサンプルは両方とも、非常に高い放出部位密度を有した。3mm厚発泡シートカバー活性化サンプルの電界放出は、テープ活性化サンプルの電界放出よりも遙かに良好に均一である(30mAで2.82V/ミクロンを、テープ活性化サンプルの4.16V/ミクロンと比較すると、35%低下)。発泡シートカバープロセスとペーパーカバーシートプロセスとの間で異なる電界放出の結果は、それらの異なる厚みおよび表面の微細構造が原因であり得る。ブランケットシートの異なる厚みおよび異なる微細構造は、CNTのより良好な電界放出特性を獲得し得る。
【0020】
テーピングプロセスよりも発泡シートカバー積層プロセスによる、遙かに良好なCNTコーティングの電界放出をさらに確認するためにも、実験を行った。上記の非活性化サンプルの半分の面積を、テーピングプロセスによって活性化したのに対して、他方の半分の面積を、発泡シートカバー積層プロセスによって活性化した。図9は、サンプルの電界放出画像である。発泡シートカバー積層プロセスによって活性化された下半分が、遙かに明るく、放出部位密度が高いことが認められ得る。
【0021】
(5.より大きな面積に対するブランケットシートカバー積層プロセス)
上記の実験を、2cm×2cm面積のCNTコーティングに焦点を当てた。このCNTをまた、シャドウマスクを用いて、より大きな面積のITO/ガラス基板(10インチ×10インチ)に噴霧した。Carbolex非精製(unpurified)SWNTを使用した。全ての開口部の大きさは、1.3mm×1.3mmであった。ピッチの大きさは、2.5mmであった。開口部間の間隙は1.2mmであった。開口部の量は、96ピクセル×96ピクセルであった。噴霧プロセスの間に、マスクをITO/ガラスの上に貼り付けると、CNTがそのマスクの開口部を通って基板上に堆積した。次いで、そのサンプルを、上記で用いたように、3mm厚の発泡シートカバー積層プロセスによって活性化した。図10および図11は、異なる電界におけるサンプルの電界放出画像である(それぞれ、2.21V/ミクロンおよび2.67V/ミクロン)。ちょうど14インチの対角線での電界放出均一性が優れていたことが認められ得る。電界放出は、低電圧で(3V/ミクロンより低い)非常に均一であった。図11における欠陥は、よくないアノード燐光アノードプレートが原因であり得る。より大きな基板が加工され得る(例えば、40インチ対角線以上)。
【0022】
(6.パターン化構造を有するより大きな面積に対するブランケットシートカバー積層プロセス)
上記の実験全てを、ブランケットCNT基板に対して処理した。CNT冷カソードデバイスに関して、抽出電圧および費用を下げるために、三極管構造が使用され得る。Carbon Nanotechnologies,Inc.から得た精製SWNTを、使用した。CNTコーティングを、パターン化構造を有する基板の上に噴霧した。この基板の模式図は、図12において認められ得る。最初に、6ミクロン厚の銀ペースト電極を、ガラス基板の上にスクリーン印刷した。次いで、50ミクロン厚の絶縁オーバーコートを、その基板上に銀電極の小さな開口部(開口部の大きさ:300ミクロン×800ミクロン)を残して印刷した。その基板の上の開口部の数は、288×288ピクセルであった。総CNT活性面積は、10インチ×10インチであった。このCNTを、シャドウマスクを使用してその開口部の中に噴霧した。このシャドウマスクの開口部の大きさは、このCNTコーティングがこの基板の開口部より小さくなるように、200ミクロン×650ミクロンであった。この基板の上のオーバーコートは、CNTコーティングより30〜40ミクロン高い。2つのサンプルを作製し、これらを、それぞれテーピングプロセスおよび発泡シートカバー積層プロセスによって活性化した。テープおよび発泡の両方が、CNTコーティング上に噴霧されるように十分弾性であった(図12を参照のこと)。
【0023】
図13を参照すると、テーピングプロセスに関して120mAで2.14V/ミクロンの電界と比較すると、発泡シートカバー積層プロセスの電界は、遙かに低かった(120mAで1.42V/ミクロン、30%より大きく低下)。図14は、発泡シートカバー積層プロセスにより活性化されたサンプルの電界放出画像である(120mA、1.42V/ミクロン)。
【0024】
本発明およびその利点が、詳細に記載されてきたが、種々の変更、置換および改変が、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書で行われ得ることが理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明、およびその利点をより完全に理解するために、ここで、添付の図面と併せて以下の説明に対して参照がなされる。
【図1】図1は、ボールミルの概略図を示す。
【図2】図2は、噴霧プロセスの概略図を示す。
【図3】図3は、積層プロセスの概略図を示す。
【図4】図4は、本発明の実施形態を利用して作製されたサンプルについての、電界放出電流 対 電界の曲線のグラフを示す。
【図5】図5は、非活性化CNTコーティングの顕微鏡画像を示す。
【図6】図6は、テープで活性化したCNTコーティング顕微鏡画像を示す。
【図7】図7は、紙で覆うことによって活性化したCNTコーティングの顕微鏡画像を示す。
【図8】図8は、発泡シート積層プロセスによって活性化したCNTコーティングの顕微鏡画像を示す。
【図9】図9は、30mAの放出電流におけるサンプルの電界放出画像を示す。
【図10】図10は、本発明の一実施形態に従って作製されたサンプルの電界放出画像を示す。
【図11】図11は、サンプルの電界放出画像を示す。
【図12】図12は、本発明の一実施形態に従う積層プロセス下の構造化基板の概略図を示す。
【図13】図13は、本発明の実施形態を利用して作製されたサンプルについての、電界放出電流 対 電界の曲線のグラフを示す。
【図14】図14は、発泡シートで覆われた積層プロセスによって活性化されたサンプルの電界放出画像を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブを含む電界放出カソードからの改善された電界放出法であって、該方法は、以下:
基板上にCNT層を堆積させる工程;
該CHT層に接触している非接着性材料をプレスする工程;および
該CNT層との接触から該非接着性材料を除去する工程
を包含する、方法。
【請求項2】
前記非接着性材料が、弾性発泡シート、紙、金属、セラミック、またはガラスプレートのような、可撓性材料または非可撓性材料のいずれかである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、バッキーチューブ、化学的に改変されたカーボンナノチューブ、誘導体化カーボンナノチューブ、金属性カーボンナノチューブ、半導体カーボンナノチューブ、金属化カーボンナノチューブ、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブは、球状粒子、皿型粒子、薄板状粒子、棒状粒子、金属粒子、半導体粒子、ポリマー性粒子、セラミック粒子、誘電性粒子、粘土粒子、繊維、ナノ粒子、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される混合粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記CNT層が、噴霧、スクリーン印刷、スピンコーティング、分散、インクジェット印刷、電気泳動堆積、ブラッシング、ディッピングまたは他の方法により堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記プレス工程が、積層法により実施される、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−505832(P2008−505832A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520335(P2007−520335)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/022283
【国際公開番号】WO2006/014241
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(500058408)ナノプロプリエタリー,インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】