電磁アクチュエータ及びこれを用いた光学機器
【課題】NS2極の磁極を形成したロータを用いるアウターロータ形式の電磁アクチュエータを提供する。
【解決手段】この電磁アクチュエータは、回転可能に支持され周面にN極とS極に2極着磁された磁極を備えた筒状形状のマグネットロータと、前記マグネットロータの筒内側で前記磁極に対峙する一対のステータコアを形成したステータと、通電方向によって前記一対のステータコアをN極とS極に互い違い励磁する励磁コイルとを備え、前記マグネットロータのNS2極の磁極中心が、前記励磁コイルへの無通電状態で前記一対のステータコアに磁気吸引され静止する第1の静止位置と、前記励磁コイルへの通電状態で前記一対のステータコアが励磁されるNS2極の励磁極により磁気吸引され静止する第2の静止位置とを異なる位置に設定している。
【解決手段】この電磁アクチュエータは、回転可能に支持され周面にN極とS極に2極着磁された磁極を備えた筒状形状のマグネットロータと、前記マグネットロータの筒内側で前記磁極に対峙する一対のステータコアを形成したステータと、通電方向によって前記一対のステータコアをN極とS極に互い違い励磁する励磁コイルとを備え、前記マグネットロータのNS2極の磁極中心が、前記励磁コイルへの無通電状態で前記一対のステータコアに磁気吸引され静止する第1の静止位置と、前記励磁コイルへの通電状態で前記一対のステータコアが励磁されるNS2極の励磁極により磁気吸引され静止する第2の静止位置とを異なる位置に設定している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチールカメラやビデオカメラ等の光学機器に搭載され光量を調整する光量調整装置の駆動源として最適で、電流で所定方向の回転力を生起する電磁アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光量調整装置の駆動源として用いられる電磁アクチュエータは、回転軸と磁極を備えたロータと、このロータを内側に回転可能に軸支し回転力を生起するステータで構成され、このステータに巻回したコイルに電流を供給する電磁駆動機構、所謂インナーロータ形式のものが広く知られている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2002−369482号公報:図2参照)に提案され電磁アクチュエータは、簡単な構造で小型軽量に構成するためにロータの磁極をNS2極で構成し、このロータの周囲にN極とS極の磁歯を形成する一対のステータを配置する構造が知られている。
【0004】
この特許文献1の電磁アクチュエータは、回転軸の外周にNS2極の磁極を形成したロータに対して、その周囲に2つの磁歯を形成する一対のステータを周方向に間隔を隔てて配置している。そしてこのステータの周囲に励磁コイルを巻回し、このコイルに通電することによって、ステータをNS極に励磁し、励磁されたステータのNS極でロータを吸引して所定角度回転させるものである。その回転方向はコイルへの通電方向を逆にすることでステータが励磁されるNS極が切換えられ、その逆励磁されたステータのNS極でロータが逆回転する様になっている。
【0005】
また、この他にも上記の様な簡単な構造で小型軽量に構成された電磁アクチュエータとして、特許文献2(実公平3−56010号公報:第2図参照)で開示するものも知られている。この電磁アクチュエータの電磁駆動機構は、磁気回路構成上、上述の電磁アクチュエータとほぼ同様で、何れもロータを装置中央に配置したインナーロータ形式の電磁駆動機構である。
【0006】
更に、本願出願人により先に提案した特許文献3(特願2009−098196号公報)として提案したものがある。この出願は上述のインナーロータ形式でかつNS2極の磁極を形成したロータを用いる電磁駆動機構を光量調整装置に用いた場合の磁気バランスによる問題点を解消している。
【0007】
一方、インナーロータ形式の電磁駆動機構に対し、電磁駆動機構をアウターロータ形式にしたものが知られている。例えば、特許文献4(特開平3−198648号公報:第3図参照)で開示されている。
【0008】
また、インナーロータ形式でNS2極の電磁アクチュエータの基本構成として提案される構造としては、図11で示す様に、一対のステータコア23、24と、この一対のステータコア23、24を励磁する励磁コイル41、42と、一対のステータコア23、24の中心に回転中心を持つNS2極のマグネットロータ14から成る。そして、一対のステータコア23、24の各コアー形状は、励磁コイル41、42によって励磁されるNS励磁方向の励磁軸Y1−Y2に対し線対称で、しかもマグネットロータ14の回転中心となる一対のステータコア23、24の中心を通り励磁軸Y1−Y2に対し直交する非励磁軸X1−X2に対しても線対称と成る形状をしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−369482号公報
【特許文献2】実公平3−56010号公報
【特許文献3】特願2009−098196号公報
【特許文献4】特開平3−198648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
まず、上述するインナーロータ形式の電磁アクチュエータには次の問題が有る。
【0011】
第1の問題として、上述の特許文献1及び特許文献2で開示するインナーロータ形式の電磁アクチュエータは、ロータが装置内側に配設されることから、アウターロータ形式の電磁アクチュエータと比較してロータ径が小さく、発生する駆動トルクが必然的に小さくなる問題が有る。近年、カメラのコンパクト化に伴い光量調整装置自体も小型に成り、その光量調整装置を駆動する電磁アクチュエータも小さいものが要求される反面、ハイビジョンと言った高画質に対応すべく作動範囲において作動斑の無い電磁アクチュエータが要求され、結果、電磁アクチュエータとして十分な駆動トルクを備える必要が有る。
【0012】
第2の問題として、上述の特許文献1及び特許文献2で開示する様な一対のステータ構造では、そのステータの配設スペースが装置外形を決めることと成り、電磁アクチュエータの小型化に伴って配設スペースが取り難くなり、小型化のためにステータの板厚を薄くせざるを得ない状況に来ている。しかし、ステータの板厚は磁気回路特性(パーミアンス係数)に影響を与えることから、高トルク化を困難にしている。
【0013】
第3の問題として、上述の図11で提案するインナーロータ形式の電磁アクチュエータは、図12で示す様に、励磁コイル41、42への通電をしない(A)状態では、マグネットロータ14のNS2極の磁極中心軸Y23−Y24が、励磁状態にある一対のステータコア23、24の中心を通り励磁軸Y1−Y2に対し同軸上となる。そして、励磁コイル41、42への通電をした(B)状態では、図で示す様に一対のステータコア23、24のNS励磁極とマグネットロータ14のNS2極が同軸上で対峙し、磁気的にバランスが取れた状態と成る。この結果、励磁コイル41、42への通電方向を幾ら切り替えてもその磁気的バランスを崩すことが出来ず、先に本出願人が提案する上述の特許文献3と同様の課題となるマグネットロータ14には回転力が生起されず回転することが出来ない。この為、この磁気的バランスを崩し電磁アクチュエータとして使用出来る対策を施すことが必要で有る。
【0014】
そして、先に本出願人が提案する上述の特許文献3は、上記第2の課題である磁気バランスの問題に対し解決する一方法といえる。その方法とは、ロータ対し磁気吸引力(磁気反発力)を作用させ回転トルクを付与する一対のステータの一方を大きく、他方を小さく、又は一方の外形形状と他方の外形形状を異形とした非対称形状とすることで、ロータに対する磁気バランスを崩すことで問題を解消するものである。ところが、上述の特許文献1及び特許文献2と同様にインナーロータ形式の電磁アクチュエータであることから上記第1、第2の課題である高トルク化に対し対処することが出来ない。
【0015】
また、上述の特許文献4で開示するアウターロータ形式の電磁アクチュエータを用いることで上記第1の課題は対応可能であるが、上記第2の課題は対処することができず、思う程高トルク化を促進することが出来ない。また、第3の課題の課題については上述の特許文献1及び特許文献2同様に開示、示唆無く、上述の特許文献3が非公開でもあることから対処することができない。
【0016】
本発明は、上述の問題に鑑みて成したもので、NS2極の磁極を形成したロータを用いるアウターロータ形式の電磁アクチュエータの提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を達成するため本発明の請求項1に記載の電磁アクチュエータは、回転可能に支持され周面にN極とS極に2極着磁された磁極を備えた筒状形状のマグネットロータと、前記マグネットロータの筒内側で前記磁極に対峙する一対のステータコアを形成したステータと、通電方向によって前記一対のステータコアをN極とS極に互い違い励磁する励磁コイルとを備え、前記マグネットロータのNS2極の磁極中心が、前記励磁コイルへの無通電状態で前記一対のステータコアに磁気吸引され静止する第1の静止位置と、前記励磁コイルへの通電状態で前記一対のステータコアが励磁されるNS2極の励磁極により磁気吸引され静止する第2の静止位置とを異なる位置に設定している。
【0018】
また、本発明の請求項2に記載の電磁アクチュエータでは、上記請求項1に記載の電磁アクチュエータで、前記第1の静止位置と第2の静止位置とを異なる位置に設定する手段として、前記一対のステータコアの形状を、前記励磁コイルへの通電状態で励磁される両励磁極の中心を通る第1の中心線に対し非対象形状で、且つ、その第1の中心線に対し直交する第2の中心線に対し非対象形状としている。
【0019】
また、本発明の請求項2に記載の電磁アクチュエータでは、上記請求項1に記載の電磁アクチュエータで、前記第1の静止位置と第2の静止位置とを異なる位置に設定する手段として、前記一対のステータコアの形状を、前記励磁コイルへの通電状態で励磁される両励磁極の中心を通る第1の中心線に対し非対象形状で、且つ、その第1の中心線に対し直交する第2の中心線に対し非対象形状としている。
【0020】
また、本発明の請求項3に記載の電磁アクチュエータでは、上記請求項2に記載の電磁アクチュエータで、前記一対のステータコアの非対象形状を、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面との間隔を異ならせ形成している。
【0021】
また、本発明の請求項4に記載の電磁アクチュエータでは、上記請求項2に記載の電磁アクチュエータで、前記一対のステータコアの非対象形状を、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面との間隔は一定とし、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面の表面積を異ならせ形成している。
【0022】
また、本発明の請求項5に記載の電磁アクチュエータでは、上記請求項1に記載の電磁アクチュエータで、前記第1の静止位置と第2の静止位置とを異なる位置に設定する手段として、前記一対のステータコアの磁気抵抗の分布特性を、前記励磁コイルへの通電状態で励磁される両励磁極の中心を通る第1の中心線に対し非対象で、且つ、その第1の中心線に対し直交する第2の中心線に対し非対象としている。
【0023】
また、本発明の請求項6に記載の電磁アクチュエータでは、上記請求項5に記載の電磁アクチュエータの前記一対のステータコアの磁気抵抗分布の非対象特性は、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面の一部に形成した窪み部で形成している。
【0024】
また、本発明の請求項7に記載の電磁アクチュエータでは、上記請求項1に記載の電磁アクチュエータで、前記励磁コイルへの無通電状態で静止する前記第1の静止位置と、前記励磁コイルへの一方向への通電状態で前記第1の静止位置から移動した第2の移動位置と、前記励磁コイルへの他方向への通電状態で前記第1の静止位置から移動した第3の移動位置とを設定している。
【0025】
更に、本発明の請求項8に記載の光学機器では、被写体をモニタする表示画面と、被写体からの光量を調整する光量調整装置と、この光量調整装置を駆動する電磁アクチュエータとを備え、前記電磁アクチュエータは、回転可能に支持され周面にN極とS極に2極着磁された磁極を備えた筒状形状のマグネットロータと、前記マグネットロータの筒内側で前記磁極に対峙する一対のステータコアを形成したステータと、通電方向によって前記一対のステータコアをN極とS極に互い違い励磁する励磁コイルとを備え、前記マグネットロータのNS2極の磁極中心が、前記励磁コイルへの無通電状態で前記一対のステータコアに磁気吸引され静止する第1の静止位置と、前記励磁コイルへの通電状態で前記一対のステータコアが励磁されるNS2極の励磁極により磁気吸引され静止する第2の静止位置とを異なる位置に設定され、前記被写体のモニタリング中は前記第1の静止位置で前記光量調整装置を駆動して成る。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、上述の請求項1に記載の電磁アクチュエータは、前記マグネットロータのNS2極の磁極中心が、前記励磁コイルへの無通電状態で前記一対のステータコアに磁気吸引され静止する第1の静止位置と、前記励磁コイルへの通電状態で前記一対のステータコアが励磁されるNS2極の励磁極により磁気吸引され静止する第2の静止位置とを異なる位置に設定することで、励磁コイルへの無通電状態から通電状態に切換えた際に、一対のステータコアの励磁極とマグネットロータの磁極が同一直線上になることが無い磁気的にバランスが崩れた状態にすることで、常に励磁コイルへの通電によってマグネットロータに回転力を付与し、その励磁コイルへの通電方向に応じマグネットロータを確実に回転する電磁アクチュエータの提供が可能である。
【0027】
また、上述の請求項2に記載する電磁アクチュエータは、上記請求項1に記載する前記第1の静止位置と第2の静止位置とを異なる位置に設定する手段の一例として、前記一対のステータコアの形状を、前記励磁コイルへの通電状態で励磁される両励磁極の中心を通る第1の中心線に対し非対象形状で、且つ、その第1の中心線に対し直交する第2の中心線に対し非対象形状としたもので、新たな構成部材を不可することなく、しかも非対象形状をシュミレーションソフトを使って設計段階で変化させることで適宜に第1の静止位置と第2の静止位置との異なる位置を調整可能で、前記励磁コイルへの無通電状態から通電状態への切換えにより励磁された前記一対のステータコアにより前記マグネットロータに回転力を付与することが出来、常に回転不良を起こすことが無い。
【0028】
また、上述の請求項3に記載する電磁アクチュエータは、上記請求項2に記載の電磁アクチュエータにおける前記一対のステータコアの非対象形状を、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面との間隔を異ならせ形成していることで、上記シュミレーションソフトの可変入力情報として間隔情報を与えるだけで済み、設計効率が高まる。
【0029】
また、上述の請求項4に記載する電磁アクチュエータは、上記請求項2に記載の電磁アクチュエータで、前記一対のステータコアの非対象形状を、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面との間隔は一定とし、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面の表面積を異ならせ形成していることで、上記シュミレーションソフトの可変入力情報として表面積情報を与えるだけで済み、設計効率が高まる。
【0030】
また、上述の請求項5に記載する電磁アクチュエータは、上記請求項1に記載する前記第1の静止位置と第2の静止位置とを異なる位置に設定する手段として、前記一対のステータコアの磁気抵抗の分布特性を、前記励磁コイルへの通電状態で励磁される両励磁極の中心を通る第1の中心線に対し非対象で、且つ、その第1の中心線に対し直交する第2の中心線に対し非対象としたもので、新たな構成部材を不可することなく、しかも非対象形状をシュミレーションソフトを使って設計段階で変化させることで適宜に第1の静止位置と第2の静止位置との異なる位置を調整可能で、前記励磁コイルへの無通電状態から通電状態への切換えにより励磁された前記一対のステータコアにより前記マグネットロータに回転力を付与することが出来、常に回転不良を起こすことが無い。
【0031】
また、上述の請求項6に記載する電磁アクチュエータは、上記請求項5に記載の電磁アクチュエータで、前記一対のステータコアの磁気抵抗分布の非対象特性を、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面の一部に形成した窪み部、若しくは外周面内側の一部に空洞を形成することで、上記シュミレーションソフトの可変入力情報として窪み部に係わる大きさ、形状、位置の情報を与えるだけで済み、設計効率が高まる。
【0032】
また、上述の請求項7に記載する電磁アクチュエータは、励磁コイルへの無通電状態で、マグネットロータのNS2極の磁極中心が一対のステータコアに磁気吸引され静止するマグネットロータの第1の静止位置を、位置制御の一つとすることで、励磁コイルへの無通電状態でその第1の静止位置を制御し、励磁コイルへの通電状態でその第1の静止位置を中心に通電方向に応じ前後位置、又は左右位置に位置制御する三点位置制御の電磁アクチュエータの提供が可能である。
【0033】
更に、上述の請求項8に記載する光学機器は、前記マグネットロータのNS2極の磁極中心が、前記励磁コイルへの無通電状態で前記一対のステータコアに磁気吸引され静止する第1の静止位置と、前記励磁コイルへの通電状態で前記一対のステータコアが励磁されるNS2極の励磁極により磁気吸引され静止する第2の静止位置とを異なる位置に設定され、前記被写体のモニタリング中は前記第1の静止位置で前記光量調整装置を駆動して成ることから、例えばデジタルスチールカメラやデジタルビデオカメラ等の光学機器で撮影前に電源をオン状態として液晶画面をモニタすることで、そのモニタリング最中、電磁アクチュエータへの通電をせずにシャッタ装置又は絞り装置を開放状態に保持可能で、省エネな光学機器に最適な電磁アクチュエータの提供が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の電磁アクチュエータの第一実施形態を示す中央縦断面の説明図。
【図2】図1の電磁アクチュエータのマグネットロータを説明する説明図。
【図3】図1の電磁アクチュエータのステータを説明する説明図。
【図4】図3のステータを上から見た断面図。
【図5】図1の電磁アクチュエータを上から見た中央縦断面図。
【図6】本発明の電磁アクチュエータを磁気的特性を説明する説明図で、(A)は無通電状態の動作位置を説明する図、(B)は通電状態にした直後の磁気的バランス状態を説明する図。
【図7】本発明の電磁アクチュエータの第二実施形態におけるステータを説明する説明図。
【図8】図7の電磁アクチュエータを上から見た中央縦断面図。
【図9】本発明の電磁アクチュエータの第三実施形態におけるステータを説明する説明図。
【図10】図9の電磁アクチュエータを上から見た中央縦断面図。
【図11】本発明の課題を説明するための電磁アクチュエータを上から見た中央縦断面図。
【図12】本発明の課題を説明するための電磁アクチュエータを説明する説明図で、(A)は無通電状態の動作位置を説明する図、(B)は通電状態にした直後の磁気的バランス状態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<第一実施形態>
まず、第一実施形態である電磁アクチュエータについて図1乃至図5に基づき説明する。尚、図1はその電磁アクチュエータの中央縦断面図。図2はその電磁アクチュエータのマグネットロータを説明する説明図。図3は同じくステータを説明する説明図。図4はそのステータを上から見た断面図。図5は図1の電磁アクチュエータを上から見た中央縦断面図をそれぞれ図示している。
【0036】
[電磁アクチュエータの構成]
図1において、10はマグネットロータ、20はステータ、30は支え板、40は励磁コイル、50は制御基板、60は回転位置検出センサである。
【0037】
[マグネットロータ]
マグネットロータ10は、図2で示す様に、茶筒の蓋の様な外観をした筒状形状を成し、中空円柱状の筒部11と、その筒部11の一方を覆い、その中央部位に開口形成された軸受部12aを形成するカバー部12と、カバー部12の軸受部12aに圧入又は接着により固定された回転軸13と、筒部11の内周面に接着剤による接着か圧入により保持されたマグネットロータ14より構成されている。
【0038】
尚、筒部11とカバー部12は耐熱性の樹脂、例えばエポキシ系樹脂で一体成形されている。また、回転軸13は金属(鉄・アルミ・SAS)・プラスチック・アクリル・その他/樹脂系の材料を棒状に加工したものである。また、マグネットロータ14はアルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム鉄ボロン磁石、サマリウム鉄窒素磁石等の硬磁性材料(hard magnetic material)の中から適宜選択されリング形状に加工したものである。また、回転軸13をカバー部12の軸受部12aに固定する際、回転軸13の回転中心とマグネットロータ14の回転中心が同心になるよう冶工具を使って位置決めされる。
【0039】
[ステータ]
ステータ20は、図3で示す様に、マグネットロータ10の回転軸13を回転自在に軸支する軸受21と、鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、センダスト、パーメンジュール、ソフトフェライト、アモルファス磁性合金、ナノクリスタル磁性合金等の軟磁性材料(soft magnetic material)の中から適宜選択することが出来、この場合にはされケイ素鋼から成る板厚t=0.5mm±0.03mmの板材を後述する図4で示す形状にプレス加工で型抜きされたものを適宜、例えば10枚積層させて成るステータコア23、24を形成するステータ22と、軸受21の中心軸とステータ22の中心軸が同軸上になるよう二つの部材を固定保持すると共に、マグネットロータ10のマグネットロータ14の磁界を検出しえる位置に取付穴28aを形成したステータ基板28と、ステータ基板28に取付けられた軸受21から突出する回転軸13を軸承する支え板30と、ステータ22に巻回され、ステータ22のステータコア23、24を回転方向に応じ一方をN極に、他方をS極に交互に励磁する励磁コイル40(41、42)と、励磁コイル40への通電及び通電方向を制御する制御回路を構成し、ステータ基板28にネジ止めされる制御基板50と、ステータ基板28の取付穴28aに配設され、マグネットロータ10のマグネットロータ14の磁界を受け、マグネットロータ14の磁界の強さからマグネットロータ10の回転位置を検出する例えばホール素子から成る磁界検出手段60から構成されている。
【0040】
尚、軸受21とステータ基板28は、マグネットロータ10のカバー部12の材料と同じエポキシ系樹脂で成形する場合には、ステータ22の中心軸に成形後の軸受21となる部分の中心軸が同軸となる様にステータ22を成形型で保持した状態で、軸受21とステータ基板28を一体成形しても良い。また、軸受21とステータ基板28をステータ22の材料と同じ軟磁性材料で加工する場合には、別々に加工した上で、軸受21とステータ22とステータ基板28とを冶工具を使って位置決めした状態で、ステータ基板28に対し軸受21とステータ22を同時に若しくは別々に圧入して一体化することで完成することが出来る。また、マグネットロータ10の回転軸13の材料を選定した段階で軸受21の材質を、回転軸13の回転で磨耗し難く、また回転軸13を磨耗させ難いものを選べば良い。
【0041】
[ステータ形状と励磁コイルの巻回位置]
次に、ステータ形状と励磁コイルの巻回位置について説明する。ステータ22は、図4で示す様に、一対のステータコア23、24が軸承部27を中心として左右にそれぞれ延びた連結部25、26により連結された状態で型抜きされている。また、一対のステータコア23、24のマグネットロータ10のマグネットロータ14(磁極)に対峙する表面23a、24aはリング形状を成すマグネットロータ14(磁極)の内周面に沿った曲面を形成している。尚、その曲面形状は後述図5に基づき詳述する。
【0042】
励磁コイル40(41、42)は、図4で示す様に、ステータ22の一対のステータコア23、24を連結する連結部25、26に個々に所定回数巻回され、図1で示す制御回路基板50に組み込まれた駆動制御回路の励磁コイル通電回路に対し、二つのコイルに同一方向の電流が流れる様に結線される。尚、この場合は連結部25、26にそれぞれ励磁コイル41、42を巻回しているが、作動に必要な駆動トルクの関係で片側のみに巻回しても良い。
【0043】
[ステータコアの曲面形状]
次に、ステータ22の一対のステータコア23、24がマグネットロータ10のマグネットロータ14(磁極)に対峙するステータコア23、24の表面23a、24aの曲面形状について詳述する。図5で示す様に、まずマグネットロータ10のマグネットロータ14は、図示の回転位置状態で、回転軸13の回転中心Pを通る基準線X1−X2を境に、回転中心Pを通る基準線Y1−Y2を磁気中心として、この回転軸を介し対抗する筒状部分の周面にN極とS極に2極着磁された磁極を備えている。
【0044】
そして、このマグネットロータ10のマグネットロータ14(磁極)とステータ22の一対のステータコア23、24の表面23a、24aとの間隔は、マグネットロータ10が磁気的に一方向に引っ張られること無く回転軸13の回転中心Pを中心に回転できる様に共に間隔g2と等しく設定されている。また、後述する磁気バランスを崩す為の非対象形状として、図5で示す様に、ステータ22の一方のステータコア23の周面23aの一端部とマグネットロータ14の間隔が間隔g3(紙面上端)で、他端部とマグネットロータ14の間隔が間隔g1(紙面下端)となる様に徐々に狭まり、ステータ22の他方のステータコア24の周面24aの一端部とマグネットロータ14の間隔が間隔g1(紙面上端)で、他端部とマグネットロータ14の間隔が間隔g3(紙面下端)となる様に徐々に広くなるようにステータコア23、24の表面23a、24aの曲面形状が形成されている。
【0045】
すなわち、一対のステータコア23、24の非対象形状としては、励磁コイルへの通電状態で励磁される一対のステータコアの両励磁極の中心を通る第1の中心線Y1−Y2に対し非線対象で、且つその第1の中心線Y1−Y2に対し直交する第2の中心線X1−X2に対しも非対象形状に形成されていることが必要である。
【0046】
[マグネットロータの静止位置関係]
そこで、一対のステータコア23、24の形状を非対称形状にしたこととマグネットロータの静止位置との関係について図6を用いて詳述する。まず、図6(A)で示す状態は、励磁コイル41、42への通電がされない無通電状態で一対のステータコア23、24とマグネットロータ14の静止位置状態を示している。図において、ステータ22の一方のステータコア23の周面23aは、図5で説明した様にマグネットロータ14との間隔が、紙面上端が間隔g3から間隔g1と徐々に狭まる曲面形状を成し、他方のステータコア23の周面23aは、図5で説明した様にマグネットロータ14との間隔が、紙面上端が間隔g1から間隔g3と徐々に狭まる曲面形状を成していることから、一対のステータコア23、24により磁気吸引される磁気分布が間隔の狭い方、所謂磁気抵抗の小さい方に集中される磁気特性を有している。結果、マグネットロータ14のNS2極の磁極の中心線中心Y23−Y24が図示の様に、励磁コイル41、42によりNS2極に励磁される一対のステータコア23、24の励磁極の中心線Y1−Y2に対し反時計方向にずれる。そのずれ量は、後述するマグネットロータ14の起動回転力に影響し、予め使用する装置が必要とする起動回転力によってシュミレーションソフトを使って決定され、その起動回転力に応じてステータコア23、24の表面23a、24aの曲面形状を決めることで、励磁コイル41、42への無通電状態でのマグネットロータ14の静止位置(第1の静止位置)を設定することが出来る。
【0047】
次に、図6(B)で示す状態は、励磁コイル41、42への無通電状態から通電状態に切換えた直後で回転動作前の状態での一対のステータコア23、24とマグネットロータ14の位置状態を示している。図において、励磁コイル41、42への通電によって一対のステータコア23、24がNS2極に励磁され、マグネットロータ14のNS2極の磁極がそれぞれステータコア23、24の励磁極により磁気吸引され、一対のステータコア23、24の励磁極の中心線Y1−Y2上にマグネットロータ14の磁極中心が静止する静止位置(第2の静止位置)を備えている。実際にアクチュエータの回転制御においては、この第2の静止位置で励磁コイル41、42への通電方向を切換え、一対のステータコア23、24が励磁されるNS極を変えることで、そのマグネットロータ14がその第2の静止位置で停止されることなく継続回転が可能である。
【0048】
尚、非対称形状を作る為には、上述の励磁コイルへの通電状態で励磁される一対のステータコアの両励磁極の中心を通る第1の中心線Y1−Y2に対し非線対象で、且つその第1の中心線Y1−Y2に対し直交する第2の中心線X1−X2に対しも非対象形状にすれば良く、第1の実施形態の様に、間隔g1から間隔g2の様な間隔を持たせた曲面形状である必要は無く、ステータ22のステータコア23とマグネットロータ14の磁気バランス軸Y23とステータコア24とマグネットロータ14の磁気バランス軸Y24が回転中心を通る直線に対し同軸上に成らない非対称形状とすれば良い。つまり、一部を切り欠くことでも良い。その実施形態について次に引き続き説明する。
【0049】
[ステータの第2実施形態]
図7及び図8に示す第2の実施形態では、ステータ22のステータコア23、24の周面23a、24aとマグネットロータ14と間隔が全て等しい間隔g2で、周面23a、24aの曲面形状がマグネットロータ14の内周面と同心円となる様に形成されると共に、上述した磁気バランスを崩す為に、図示の様に、一方のステータコア23の一端部(紙面上端)が中心線X1−X2に対し角度θ1でカットされ、他方のステータコア24の一端部(紙面下端)が基準線X1−X2に対し角度θ1でカットされている。
【0050】
この結果、図8に示す様に、励磁コイル41、42への通電で励磁されるステータコア23、24の励磁極によりマグネットロータ14が磁気吸引され静止する静止位置(第2の静止位置)の中心線Y1−Y2に対し、励磁コイル41、42への通電を行わない無通電の状態でマグネットロータ14が静止する静止位置(第1の静止位置)の中心線Y23−Y24が同一直線上とはならず、この一対のステータコア23、24の形状でも第1の実施形態同様に磁気バランスが崩れた状態で静止位置設定手段を構成している。
【0051】
[ステータの第3実施形態]
図9及び図10に示す実施形態は、上記第3の実施形態を示すもので、第2の実施形態と同様に、ステータ22のステータコア23、24の周面23a、24aとマグネットロータ14と間隔が全て等しい間隔g2になる様に、周面23a、24aの曲面形状がマグネットロータ14の内周面と同心円となる様に形成されている。そして、この実施形態では上述した磁気バランスを崩す為に、図10で示す様に、一方のステータコア24のみカットしたもので、ステータコア24の一端部(紙面上端)が基準線X1−X2に対し角度θ2でカットされている。
【0052】
この結果、第2実施形態と同様、図10に示す様に、励磁コイル41、42への通電で励磁されるステータコア23、24の励磁極によりマグネットロータ14が磁気吸引され静止する静止位置(第2の静止位置)の中心線Y1−Y2に対し、励磁コイル41、42への通電を行わない無通電の状態で、ステータコア23に対峙するマグネットロータ14の磁極中心が静止する静止する静止位置(仮想静止位置)と、ステータコア24に対峙するマグネットロータ14の磁極中心が静止する静止する静止位置(仮想静止位置)とが、マグネットロータ14の回転中心を通る直線上とはならず、この場合、両仮想静止位置とは異なる静止位置(第1の静止位置)の中心線Y23−Y24が同一直線上とはならず、この一対のステータコア23、24の形状でも第1の実施形態同様に磁気バランスが崩れた状態で静止位置設定手段を構成している。
【0053】
[その他の実施例]
以上の実施形態での説明では、磁気バランスを崩す為の停止位置設定手段として、一対のステータコア23、24の非対象形状により達成しているが、形状として非対象形状である必要は無く、磁気的に非対称な状態を作れば良く、図面では示さないが例えば、一対のステータコア23、24の外形形状は非対象とはせずに、ステータコア23、24の外周面23a、24bのマグネットロータ14の磁極面に対峙した外周面の一部に窪み部、若しくは外周面内側の一部に空洞を形成することで磁気抵抗の分布特性が変化させることでも、本願の特徴である励磁コイルへの無通電状態で、前記マグネットロータのNS2極の磁極中心が前記一対のステータコアに磁気吸引され静止する前記マグネットロータの第1の静止位置と、前記励磁コイルへの通電状態で、前記一対のステータコアが励磁されるNS2極の励磁極により磁気吸引され静止する前記マグネットロータの第2の静止位置とを異なる位置に設定することが出来る。
【0054】
[電磁アクチュエータの位置制御]
次に、電磁アクチュエータの位置制御として、通常の二点位置を往復させる駆動方法の他に、励磁コイルへの無通電状態でマグネットロータのNS2極の磁極中心が一対のステータコアに磁気吸引され静止する前記マグネットロータの第1の静止位置を利用することで三点位置の制御が可能である。
[光学機器への応用]
【0055】
上述した本願のアウターロータ形式の電磁アクチュエータは光学機器の駆動源として用いることが出来、例えばデジタルスチールカメラやデジタルビデオカメラ等の光学機器に搭載される光量調整装置の電磁アクチュエータとして最適である。具体的に、この様な光学機器では撮影前に電源をオン状態として液晶画面をモニタし、撮影範囲を特定した後に、シャッタ装置又は絞り装置を起動することで撮影を行っている。この本願電磁アクチュエータのシャッタ装置又は絞り装置に対する起動位置を、予め励磁コイルの無通電状態でシャッタ装置又は絞り装置が開放状態に成る様に設定し、撮影範囲を特定した時点で励磁コイルに通電しシャッタ装置又は絞り装置を閉鎖して露出制御をしている。そこで、被写体をモニタする表示画面と、被写体からの光量を調整する光量調整装置と、この光量調整装置を駆動する電磁アクチュエータとを備えた光学機器の電磁アクチュエータとして、回転可能に支持され周面にN極とS極に2極着磁された磁極を備えた筒状形状のマグネットロータと、前記マグネットロータの筒内側で前記磁極に対峙する一対のステータコアを形成したステータと、通電方向によって前記一対のステータコアをN極とS極に互い違い励磁する励磁コイルとを備え、前記マグネットロータのNS2極の磁極中心が、前記励磁コイルへの無通電状態で前記一対のステータコアに磁気吸引され静止する第1の静止位置と、前記励磁コイルへの通電状態で前記一対のステータコアが励磁されるNS2極の励磁極により磁気吸引され静止する第2の静止位置とを異なる位置に設定された本願の電磁アクチュエータを使い、前記被写体のモニタリング中は、前記第1の静止位置で前記光量調整装置を駆動して成ることで、常に液晶画面でモニタしている最中は励磁コイルへの無通電状態でシャッタ装置又は絞り装置の開放状態を維持可能で省エネであり、しかも励磁コイルへの通電で電磁アクチュエータに回転トルクを付与し、正確にシャッタ装置又は絞り装置を作動することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 マグネットロータ、
13 回転軸、
14 マグネット、
20 ステータ、
21 軸受部、
23 ステータコア、
24 ステータコア、
30 支え板、
40 励磁コイル、
50 制御基板、
60 回転位置検出センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチールカメラやビデオカメラ等の光学機器に搭載され光量を調整する光量調整装置の駆動源として最適で、電流で所定方向の回転力を生起する電磁アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光量調整装置の駆動源として用いられる電磁アクチュエータは、回転軸と磁極を備えたロータと、このロータを内側に回転可能に軸支し回転力を生起するステータで構成され、このステータに巻回したコイルに電流を供給する電磁駆動機構、所謂インナーロータ形式のものが広く知られている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2002−369482号公報:図2参照)に提案され電磁アクチュエータは、簡単な構造で小型軽量に構成するためにロータの磁極をNS2極で構成し、このロータの周囲にN極とS極の磁歯を形成する一対のステータを配置する構造が知られている。
【0004】
この特許文献1の電磁アクチュエータは、回転軸の外周にNS2極の磁極を形成したロータに対して、その周囲に2つの磁歯を形成する一対のステータを周方向に間隔を隔てて配置している。そしてこのステータの周囲に励磁コイルを巻回し、このコイルに通電することによって、ステータをNS極に励磁し、励磁されたステータのNS極でロータを吸引して所定角度回転させるものである。その回転方向はコイルへの通電方向を逆にすることでステータが励磁されるNS極が切換えられ、その逆励磁されたステータのNS極でロータが逆回転する様になっている。
【0005】
また、この他にも上記の様な簡単な構造で小型軽量に構成された電磁アクチュエータとして、特許文献2(実公平3−56010号公報:第2図参照)で開示するものも知られている。この電磁アクチュエータの電磁駆動機構は、磁気回路構成上、上述の電磁アクチュエータとほぼ同様で、何れもロータを装置中央に配置したインナーロータ形式の電磁駆動機構である。
【0006】
更に、本願出願人により先に提案した特許文献3(特願2009−098196号公報)として提案したものがある。この出願は上述のインナーロータ形式でかつNS2極の磁極を形成したロータを用いる電磁駆動機構を光量調整装置に用いた場合の磁気バランスによる問題点を解消している。
【0007】
一方、インナーロータ形式の電磁駆動機構に対し、電磁駆動機構をアウターロータ形式にしたものが知られている。例えば、特許文献4(特開平3−198648号公報:第3図参照)で開示されている。
【0008】
また、インナーロータ形式でNS2極の電磁アクチュエータの基本構成として提案される構造としては、図11で示す様に、一対のステータコア23、24と、この一対のステータコア23、24を励磁する励磁コイル41、42と、一対のステータコア23、24の中心に回転中心を持つNS2極のマグネットロータ14から成る。そして、一対のステータコア23、24の各コアー形状は、励磁コイル41、42によって励磁されるNS励磁方向の励磁軸Y1−Y2に対し線対称で、しかもマグネットロータ14の回転中心となる一対のステータコア23、24の中心を通り励磁軸Y1−Y2に対し直交する非励磁軸X1−X2に対しても線対称と成る形状をしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−369482号公報
【特許文献2】実公平3−56010号公報
【特許文献3】特願2009−098196号公報
【特許文献4】特開平3−198648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
まず、上述するインナーロータ形式の電磁アクチュエータには次の問題が有る。
【0011】
第1の問題として、上述の特許文献1及び特許文献2で開示するインナーロータ形式の電磁アクチュエータは、ロータが装置内側に配設されることから、アウターロータ形式の電磁アクチュエータと比較してロータ径が小さく、発生する駆動トルクが必然的に小さくなる問題が有る。近年、カメラのコンパクト化に伴い光量調整装置自体も小型に成り、その光量調整装置を駆動する電磁アクチュエータも小さいものが要求される反面、ハイビジョンと言った高画質に対応すべく作動範囲において作動斑の無い電磁アクチュエータが要求され、結果、電磁アクチュエータとして十分な駆動トルクを備える必要が有る。
【0012】
第2の問題として、上述の特許文献1及び特許文献2で開示する様な一対のステータ構造では、そのステータの配設スペースが装置外形を決めることと成り、電磁アクチュエータの小型化に伴って配設スペースが取り難くなり、小型化のためにステータの板厚を薄くせざるを得ない状況に来ている。しかし、ステータの板厚は磁気回路特性(パーミアンス係数)に影響を与えることから、高トルク化を困難にしている。
【0013】
第3の問題として、上述の図11で提案するインナーロータ形式の電磁アクチュエータは、図12で示す様に、励磁コイル41、42への通電をしない(A)状態では、マグネットロータ14のNS2極の磁極中心軸Y23−Y24が、励磁状態にある一対のステータコア23、24の中心を通り励磁軸Y1−Y2に対し同軸上となる。そして、励磁コイル41、42への通電をした(B)状態では、図で示す様に一対のステータコア23、24のNS励磁極とマグネットロータ14のNS2極が同軸上で対峙し、磁気的にバランスが取れた状態と成る。この結果、励磁コイル41、42への通電方向を幾ら切り替えてもその磁気的バランスを崩すことが出来ず、先に本出願人が提案する上述の特許文献3と同様の課題となるマグネットロータ14には回転力が生起されず回転することが出来ない。この為、この磁気的バランスを崩し電磁アクチュエータとして使用出来る対策を施すことが必要で有る。
【0014】
そして、先に本出願人が提案する上述の特許文献3は、上記第2の課題である磁気バランスの問題に対し解決する一方法といえる。その方法とは、ロータ対し磁気吸引力(磁気反発力)を作用させ回転トルクを付与する一対のステータの一方を大きく、他方を小さく、又は一方の外形形状と他方の外形形状を異形とした非対称形状とすることで、ロータに対する磁気バランスを崩すことで問題を解消するものである。ところが、上述の特許文献1及び特許文献2と同様にインナーロータ形式の電磁アクチュエータであることから上記第1、第2の課題である高トルク化に対し対処することが出来ない。
【0015】
また、上述の特許文献4で開示するアウターロータ形式の電磁アクチュエータを用いることで上記第1の課題は対応可能であるが、上記第2の課題は対処することができず、思う程高トルク化を促進することが出来ない。また、第3の課題の課題については上述の特許文献1及び特許文献2同様に開示、示唆無く、上述の特許文献3が非公開でもあることから対処することができない。
【0016】
本発明は、上述の問題に鑑みて成したもので、NS2極の磁極を形成したロータを用いるアウターロータ形式の電磁アクチュエータの提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を達成するため本発明の請求項1に記載の電磁アクチュエータは、回転可能に支持され周面にN極とS極に2極着磁された磁極を備えた筒状形状のマグネットロータと、前記マグネットロータの筒内側で前記磁極に対峙する一対のステータコアを形成したステータと、通電方向によって前記一対のステータコアをN極とS極に互い違い励磁する励磁コイルとを備え、前記マグネットロータのNS2極の磁極中心が、前記励磁コイルへの無通電状態で前記一対のステータコアに磁気吸引され静止する第1の静止位置と、前記励磁コイルへの通電状態で前記一対のステータコアが励磁されるNS2極の励磁極により磁気吸引され静止する第2の静止位置とを異なる位置に設定している。
【0018】
また、本発明の請求項2に記載の電磁アクチュエータでは、上記請求項1に記載の電磁アクチュエータで、前記第1の静止位置と第2の静止位置とを異なる位置に設定する手段として、前記一対のステータコアの形状を、前記励磁コイルへの通電状態で励磁される両励磁極の中心を通る第1の中心線に対し非対象形状で、且つ、その第1の中心線に対し直交する第2の中心線に対し非対象形状としている。
【0019】
また、本発明の請求項2に記載の電磁アクチュエータでは、上記請求項1に記載の電磁アクチュエータで、前記第1の静止位置と第2の静止位置とを異なる位置に設定する手段として、前記一対のステータコアの形状を、前記励磁コイルへの通電状態で励磁される両励磁極の中心を通る第1の中心線に対し非対象形状で、且つ、その第1の中心線に対し直交する第2の中心線に対し非対象形状としている。
【0020】
また、本発明の請求項3に記載の電磁アクチュエータでは、上記請求項2に記載の電磁アクチュエータで、前記一対のステータコアの非対象形状を、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面との間隔を異ならせ形成している。
【0021】
また、本発明の請求項4に記載の電磁アクチュエータでは、上記請求項2に記載の電磁アクチュエータで、前記一対のステータコアの非対象形状を、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面との間隔は一定とし、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面の表面積を異ならせ形成している。
【0022】
また、本発明の請求項5に記載の電磁アクチュエータでは、上記請求項1に記載の電磁アクチュエータで、前記第1の静止位置と第2の静止位置とを異なる位置に設定する手段として、前記一対のステータコアの磁気抵抗の分布特性を、前記励磁コイルへの通電状態で励磁される両励磁極の中心を通る第1の中心線に対し非対象で、且つ、その第1の中心線に対し直交する第2の中心線に対し非対象としている。
【0023】
また、本発明の請求項6に記載の電磁アクチュエータでは、上記請求項5に記載の電磁アクチュエータの前記一対のステータコアの磁気抵抗分布の非対象特性は、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面の一部に形成した窪み部で形成している。
【0024】
また、本発明の請求項7に記載の電磁アクチュエータでは、上記請求項1に記載の電磁アクチュエータで、前記励磁コイルへの無通電状態で静止する前記第1の静止位置と、前記励磁コイルへの一方向への通電状態で前記第1の静止位置から移動した第2の移動位置と、前記励磁コイルへの他方向への通電状態で前記第1の静止位置から移動した第3の移動位置とを設定している。
【0025】
更に、本発明の請求項8に記載の光学機器では、被写体をモニタする表示画面と、被写体からの光量を調整する光量調整装置と、この光量調整装置を駆動する電磁アクチュエータとを備え、前記電磁アクチュエータは、回転可能に支持され周面にN極とS極に2極着磁された磁極を備えた筒状形状のマグネットロータと、前記マグネットロータの筒内側で前記磁極に対峙する一対のステータコアを形成したステータと、通電方向によって前記一対のステータコアをN極とS極に互い違い励磁する励磁コイルとを備え、前記マグネットロータのNS2極の磁極中心が、前記励磁コイルへの無通電状態で前記一対のステータコアに磁気吸引され静止する第1の静止位置と、前記励磁コイルへの通電状態で前記一対のステータコアが励磁されるNS2極の励磁極により磁気吸引され静止する第2の静止位置とを異なる位置に設定され、前記被写体のモニタリング中は前記第1の静止位置で前記光量調整装置を駆動して成る。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、上述の請求項1に記載の電磁アクチュエータは、前記マグネットロータのNS2極の磁極中心が、前記励磁コイルへの無通電状態で前記一対のステータコアに磁気吸引され静止する第1の静止位置と、前記励磁コイルへの通電状態で前記一対のステータコアが励磁されるNS2極の励磁極により磁気吸引され静止する第2の静止位置とを異なる位置に設定することで、励磁コイルへの無通電状態から通電状態に切換えた際に、一対のステータコアの励磁極とマグネットロータの磁極が同一直線上になることが無い磁気的にバランスが崩れた状態にすることで、常に励磁コイルへの通電によってマグネットロータに回転力を付与し、その励磁コイルへの通電方向に応じマグネットロータを確実に回転する電磁アクチュエータの提供が可能である。
【0027】
また、上述の請求項2に記載する電磁アクチュエータは、上記請求項1に記載する前記第1の静止位置と第2の静止位置とを異なる位置に設定する手段の一例として、前記一対のステータコアの形状を、前記励磁コイルへの通電状態で励磁される両励磁極の中心を通る第1の中心線に対し非対象形状で、且つ、その第1の中心線に対し直交する第2の中心線に対し非対象形状としたもので、新たな構成部材を不可することなく、しかも非対象形状をシュミレーションソフトを使って設計段階で変化させることで適宜に第1の静止位置と第2の静止位置との異なる位置を調整可能で、前記励磁コイルへの無通電状態から通電状態への切換えにより励磁された前記一対のステータコアにより前記マグネットロータに回転力を付与することが出来、常に回転不良を起こすことが無い。
【0028】
また、上述の請求項3に記載する電磁アクチュエータは、上記請求項2に記載の電磁アクチュエータにおける前記一対のステータコアの非対象形状を、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面との間隔を異ならせ形成していることで、上記シュミレーションソフトの可変入力情報として間隔情報を与えるだけで済み、設計効率が高まる。
【0029】
また、上述の請求項4に記載する電磁アクチュエータは、上記請求項2に記載の電磁アクチュエータで、前記一対のステータコアの非対象形状を、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面との間隔は一定とし、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面の表面積を異ならせ形成していることで、上記シュミレーションソフトの可変入力情報として表面積情報を与えるだけで済み、設計効率が高まる。
【0030】
また、上述の請求項5に記載する電磁アクチュエータは、上記請求項1に記載する前記第1の静止位置と第2の静止位置とを異なる位置に設定する手段として、前記一対のステータコアの磁気抵抗の分布特性を、前記励磁コイルへの通電状態で励磁される両励磁極の中心を通る第1の中心線に対し非対象で、且つ、その第1の中心線に対し直交する第2の中心線に対し非対象としたもので、新たな構成部材を不可することなく、しかも非対象形状をシュミレーションソフトを使って設計段階で変化させることで適宜に第1の静止位置と第2の静止位置との異なる位置を調整可能で、前記励磁コイルへの無通電状態から通電状態への切換えにより励磁された前記一対のステータコアにより前記マグネットロータに回転力を付与することが出来、常に回転不良を起こすことが無い。
【0031】
また、上述の請求項6に記載する電磁アクチュエータは、上記請求項5に記載の電磁アクチュエータで、前記一対のステータコアの磁気抵抗分布の非対象特性を、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面の一部に形成した窪み部、若しくは外周面内側の一部に空洞を形成することで、上記シュミレーションソフトの可変入力情報として窪み部に係わる大きさ、形状、位置の情報を与えるだけで済み、設計効率が高まる。
【0032】
また、上述の請求項7に記載する電磁アクチュエータは、励磁コイルへの無通電状態で、マグネットロータのNS2極の磁極中心が一対のステータコアに磁気吸引され静止するマグネットロータの第1の静止位置を、位置制御の一つとすることで、励磁コイルへの無通電状態でその第1の静止位置を制御し、励磁コイルへの通電状態でその第1の静止位置を中心に通電方向に応じ前後位置、又は左右位置に位置制御する三点位置制御の電磁アクチュエータの提供が可能である。
【0033】
更に、上述の請求項8に記載する光学機器は、前記マグネットロータのNS2極の磁極中心が、前記励磁コイルへの無通電状態で前記一対のステータコアに磁気吸引され静止する第1の静止位置と、前記励磁コイルへの通電状態で前記一対のステータコアが励磁されるNS2極の励磁極により磁気吸引され静止する第2の静止位置とを異なる位置に設定され、前記被写体のモニタリング中は前記第1の静止位置で前記光量調整装置を駆動して成ることから、例えばデジタルスチールカメラやデジタルビデオカメラ等の光学機器で撮影前に電源をオン状態として液晶画面をモニタすることで、そのモニタリング最中、電磁アクチュエータへの通電をせずにシャッタ装置又は絞り装置を開放状態に保持可能で、省エネな光学機器に最適な電磁アクチュエータの提供が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の電磁アクチュエータの第一実施形態を示す中央縦断面の説明図。
【図2】図1の電磁アクチュエータのマグネットロータを説明する説明図。
【図3】図1の電磁アクチュエータのステータを説明する説明図。
【図4】図3のステータを上から見た断面図。
【図5】図1の電磁アクチュエータを上から見た中央縦断面図。
【図6】本発明の電磁アクチュエータを磁気的特性を説明する説明図で、(A)は無通電状態の動作位置を説明する図、(B)は通電状態にした直後の磁気的バランス状態を説明する図。
【図7】本発明の電磁アクチュエータの第二実施形態におけるステータを説明する説明図。
【図8】図7の電磁アクチュエータを上から見た中央縦断面図。
【図9】本発明の電磁アクチュエータの第三実施形態におけるステータを説明する説明図。
【図10】図9の電磁アクチュエータを上から見た中央縦断面図。
【図11】本発明の課題を説明するための電磁アクチュエータを上から見た中央縦断面図。
【図12】本発明の課題を説明するための電磁アクチュエータを説明する説明図で、(A)は無通電状態の動作位置を説明する図、(B)は通電状態にした直後の磁気的バランス状態を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
<第一実施形態>
まず、第一実施形態である電磁アクチュエータについて図1乃至図5に基づき説明する。尚、図1はその電磁アクチュエータの中央縦断面図。図2はその電磁アクチュエータのマグネットロータを説明する説明図。図3は同じくステータを説明する説明図。図4はそのステータを上から見た断面図。図5は図1の電磁アクチュエータを上から見た中央縦断面図をそれぞれ図示している。
【0036】
[電磁アクチュエータの構成]
図1において、10はマグネットロータ、20はステータ、30は支え板、40は励磁コイル、50は制御基板、60は回転位置検出センサである。
【0037】
[マグネットロータ]
マグネットロータ10は、図2で示す様に、茶筒の蓋の様な外観をした筒状形状を成し、中空円柱状の筒部11と、その筒部11の一方を覆い、その中央部位に開口形成された軸受部12aを形成するカバー部12と、カバー部12の軸受部12aに圧入又は接着により固定された回転軸13と、筒部11の内周面に接着剤による接着か圧入により保持されたマグネットロータ14より構成されている。
【0038】
尚、筒部11とカバー部12は耐熱性の樹脂、例えばエポキシ系樹脂で一体成形されている。また、回転軸13は金属(鉄・アルミ・SAS)・プラスチック・アクリル・その他/樹脂系の材料を棒状に加工したものである。また、マグネットロータ14はアルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、ネオジム鉄ボロン磁石、サマリウム鉄窒素磁石等の硬磁性材料(hard magnetic material)の中から適宜選択されリング形状に加工したものである。また、回転軸13をカバー部12の軸受部12aに固定する際、回転軸13の回転中心とマグネットロータ14の回転中心が同心になるよう冶工具を使って位置決めされる。
【0039】
[ステータ]
ステータ20は、図3で示す様に、マグネットロータ10の回転軸13を回転自在に軸支する軸受21と、鉄、ケイ素鋼、パーマロイ、センダスト、パーメンジュール、ソフトフェライト、アモルファス磁性合金、ナノクリスタル磁性合金等の軟磁性材料(soft magnetic material)の中から適宜選択することが出来、この場合にはされケイ素鋼から成る板厚t=0.5mm±0.03mmの板材を後述する図4で示す形状にプレス加工で型抜きされたものを適宜、例えば10枚積層させて成るステータコア23、24を形成するステータ22と、軸受21の中心軸とステータ22の中心軸が同軸上になるよう二つの部材を固定保持すると共に、マグネットロータ10のマグネットロータ14の磁界を検出しえる位置に取付穴28aを形成したステータ基板28と、ステータ基板28に取付けられた軸受21から突出する回転軸13を軸承する支え板30と、ステータ22に巻回され、ステータ22のステータコア23、24を回転方向に応じ一方をN極に、他方をS極に交互に励磁する励磁コイル40(41、42)と、励磁コイル40への通電及び通電方向を制御する制御回路を構成し、ステータ基板28にネジ止めされる制御基板50と、ステータ基板28の取付穴28aに配設され、マグネットロータ10のマグネットロータ14の磁界を受け、マグネットロータ14の磁界の強さからマグネットロータ10の回転位置を検出する例えばホール素子から成る磁界検出手段60から構成されている。
【0040】
尚、軸受21とステータ基板28は、マグネットロータ10のカバー部12の材料と同じエポキシ系樹脂で成形する場合には、ステータ22の中心軸に成形後の軸受21となる部分の中心軸が同軸となる様にステータ22を成形型で保持した状態で、軸受21とステータ基板28を一体成形しても良い。また、軸受21とステータ基板28をステータ22の材料と同じ軟磁性材料で加工する場合には、別々に加工した上で、軸受21とステータ22とステータ基板28とを冶工具を使って位置決めした状態で、ステータ基板28に対し軸受21とステータ22を同時に若しくは別々に圧入して一体化することで完成することが出来る。また、マグネットロータ10の回転軸13の材料を選定した段階で軸受21の材質を、回転軸13の回転で磨耗し難く、また回転軸13を磨耗させ難いものを選べば良い。
【0041】
[ステータ形状と励磁コイルの巻回位置]
次に、ステータ形状と励磁コイルの巻回位置について説明する。ステータ22は、図4で示す様に、一対のステータコア23、24が軸承部27を中心として左右にそれぞれ延びた連結部25、26により連結された状態で型抜きされている。また、一対のステータコア23、24のマグネットロータ10のマグネットロータ14(磁極)に対峙する表面23a、24aはリング形状を成すマグネットロータ14(磁極)の内周面に沿った曲面を形成している。尚、その曲面形状は後述図5に基づき詳述する。
【0042】
励磁コイル40(41、42)は、図4で示す様に、ステータ22の一対のステータコア23、24を連結する連結部25、26に個々に所定回数巻回され、図1で示す制御回路基板50に組み込まれた駆動制御回路の励磁コイル通電回路に対し、二つのコイルに同一方向の電流が流れる様に結線される。尚、この場合は連結部25、26にそれぞれ励磁コイル41、42を巻回しているが、作動に必要な駆動トルクの関係で片側のみに巻回しても良い。
【0043】
[ステータコアの曲面形状]
次に、ステータ22の一対のステータコア23、24がマグネットロータ10のマグネットロータ14(磁極)に対峙するステータコア23、24の表面23a、24aの曲面形状について詳述する。図5で示す様に、まずマグネットロータ10のマグネットロータ14は、図示の回転位置状態で、回転軸13の回転中心Pを通る基準線X1−X2を境に、回転中心Pを通る基準線Y1−Y2を磁気中心として、この回転軸を介し対抗する筒状部分の周面にN極とS極に2極着磁された磁極を備えている。
【0044】
そして、このマグネットロータ10のマグネットロータ14(磁極)とステータ22の一対のステータコア23、24の表面23a、24aとの間隔は、マグネットロータ10が磁気的に一方向に引っ張られること無く回転軸13の回転中心Pを中心に回転できる様に共に間隔g2と等しく設定されている。また、後述する磁気バランスを崩す為の非対象形状として、図5で示す様に、ステータ22の一方のステータコア23の周面23aの一端部とマグネットロータ14の間隔が間隔g3(紙面上端)で、他端部とマグネットロータ14の間隔が間隔g1(紙面下端)となる様に徐々に狭まり、ステータ22の他方のステータコア24の周面24aの一端部とマグネットロータ14の間隔が間隔g1(紙面上端)で、他端部とマグネットロータ14の間隔が間隔g3(紙面下端)となる様に徐々に広くなるようにステータコア23、24の表面23a、24aの曲面形状が形成されている。
【0045】
すなわち、一対のステータコア23、24の非対象形状としては、励磁コイルへの通電状態で励磁される一対のステータコアの両励磁極の中心を通る第1の中心線Y1−Y2に対し非線対象で、且つその第1の中心線Y1−Y2に対し直交する第2の中心線X1−X2に対しも非対象形状に形成されていることが必要である。
【0046】
[マグネットロータの静止位置関係]
そこで、一対のステータコア23、24の形状を非対称形状にしたこととマグネットロータの静止位置との関係について図6を用いて詳述する。まず、図6(A)で示す状態は、励磁コイル41、42への通電がされない無通電状態で一対のステータコア23、24とマグネットロータ14の静止位置状態を示している。図において、ステータ22の一方のステータコア23の周面23aは、図5で説明した様にマグネットロータ14との間隔が、紙面上端が間隔g3から間隔g1と徐々に狭まる曲面形状を成し、他方のステータコア23の周面23aは、図5で説明した様にマグネットロータ14との間隔が、紙面上端が間隔g1から間隔g3と徐々に狭まる曲面形状を成していることから、一対のステータコア23、24により磁気吸引される磁気分布が間隔の狭い方、所謂磁気抵抗の小さい方に集中される磁気特性を有している。結果、マグネットロータ14のNS2極の磁極の中心線中心Y23−Y24が図示の様に、励磁コイル41、42によりNS2極に励磁される一対のステータコア23、24の励磁極の中心線Y1−Y2に対し反時計方向にずれる。そのずれ量は、後述するマグネットロータ14の起動回転力に影響し、予め使用する装置が必要とする起動回転力によってシュミレーションソフトを使って決定され、その起動回転力に応じてステータコア23、24の表面23a、24aの曲面形状を決めることで、励磁コイル41、42への無通電状態でのマグネットロータ14の静止位置(第1の静止位置)を設定することが出来る。
【0047】
次に、図6(B)で示す状態は、励磁コイル41、42への無通電状態から通電状態に切換えた直後で回転動作前の状態での一対のステータコア23、24とマグネットロータ14の位置状態を示している。図において、励磁コイル41、42への通電によって一対のステータコア23、24がNS2極に励磁され、マグネットロータ14のNS2極の磁極がそれぞれステータコア23、24の励磁極により磁気吸引され、一対のステータコア23、24の励磁極の中心線Y1−Y2上にマグネットロータ14の磁極中心が静止する静止位置(第2の静止位置)を備えている。実際にアクチュエータの回転制御においては、この第2の静止位置で励磁コイル41、42への通電方向を切換え、一対のステータコア23、24が励磁されるNS極を変えることで、そのマグネットロータ14がその第2の静止位置で停止されることなく継続回転が可能である。
【0048】
尚、非対称形状を作る為には、上述の励磁コイルへの通電状態で励磁される一対のステータコアの両励磁極の中心を通る第1の中心線Y1−Y2に対し非線対象で、且つその第1の中心線Y1−Y2に対し直交する第2の中心線X1−X2に対しも非対象形状にすれば良く、第1の実施形態の様に、間隔g1から間隔g2の様な間隔を持たせた曲面形状である必要は無く、ステータ22のステータコア23とマグネットロータ14の磁気バランス軸Y23とステータコア24とマグネットロータ14の磁気バランス軸Y24が回転中心を通る直線に対し同軸上に成らない非対称形状とすれば良い。つまり、一部を切り欠くことでも良い。その実施形態について次に引き続き説明する。
【0049】
[ステータの第2実施形態]
図7及び図8に示す第2の実施形態では、ステータ22のステータコア23、24の周面23a、24aとマグネットロータ14と間隔が全て等しい間隔g2で、周面23a、24aの曲面形状がマグネットロータ14の内周面と同心円となる様に形成されると共に、上述した磁気バランスを崩す為に、図示の様に、一方のステータコア23の一端部(紙面上端)が中心線X1−X2に対し角度θ1でカットされ、他方のステータコア24の一端部(紙面下端)が基準線X1−X2に対し角度θ1でカットされている。
【0050】
この結果、図8に示す様に、励磁コイル41、42への通電で励磁されるステータコア23、24の励磁極によりマグネットロータ14が磁気吸引され静止する静止位置(第2の静止位置)の中心線Y1−Y2に対し、励磁コイル41、42への通電を行わない無通電の状態でマグネットロータ14が静止する静止位置(第1の静止位置)の中心線Y23−Y24が同一直線上とはならず、この一対のステータコア23、24の形状でも第1の実施形態同様に磁気バランスが崩れた状態で静止位置設定手段を構成している。
【0051】
[ステータの第3実施形態]
図9及び図10に示す実施形態は、上記第3の実施形態を示すもので、第2の実施形態と同様に、ステータ22のステータコア23、24の周面23a、24aとマグネットロータ14と間隔が全て等しい間隔g2になる様に、周面23a、24aの曲面形状がマグネットロータ14の内周面と同心円となる様に形成されている。そして、この実施形態では上述した磁気バランスを崩す為に、図10で示す様に、一方のステータコア24のみカットしたもので、ステータコア24の一端部(紙面上端)が基準線X1−X2に対し角度θ2でカットされている。
【0052】
この結果、第2実施形態と同様、図10に示す様に、励磁コイル41、42への通電で励磁されるステータコア23、24の励磁極によりマグネットロータ14が磁気吸引され静止する静止位置(第2の静止位置)の中心線Y1−Y2に対し、励磁コイル41、42への通電を行わない無通電の状態で、ステータコア23に対峙するマグネットロータ14の磁極中心が静止する静止する静止位置(仮想静止位置)と、ステータコア24に対峙するマグネットロータ14の磁極中心が静止する静止する静止位置(仮想静止位置)とが、マグネットロータ14の回転中心を通る直線上とはならず、この場合、両仮想静止位置とは異なる静止位置(第1の静止位置)の中心線Y23−Y24が同一直線上とはならず、この一対のステータコア23、24の形状でも第1の実施形態同様に磁気バランスが崩れた状態で静止位置設定手段を構成している。
【0053】
[その他の実施例]
以上の実施形態での説明では、磁気バランスを崩す為の停止位置設定手段として、一対のステータコア23、24の非対象形状により達成しているが、形状として非対象形状である必要は無く、磁気的に非対称な状態を作れば良く、図面では示さないが例えば、一対のステータコア23、24の外形形状は非対象とはせずに、ステータコア23、24の外周面23a、24bのマグネットロータ14の磁極面に対峙した外周面の一部に窪み部、若しくは外周面内側の一部に空洞を形成することで磁気抵抗の分布特性が変化させることでも、本願の特徴である励磁コイルへの無通電状態で、前記マグネットロータのNS2極の磁極中心が前記一対のステータコアに磁気吸引され静止する前記マグネットロータの第1の静止位置と、前記励磁コイルへの通電状態で、前記一対のステータコアが励磁されるNS2極の励磁極により磁気吸引され静止する前記マグネットロータの第2の静止位置とを異なる位置に設定することが出来る。
【0054】
[電磁アクチュエータの位置制御]
次に、電磁アクチュエータの位置制御として、通常の二点位置を往復させる駆動方法の他に、励磁コイルへの無通電状態でマグネットロータのNS2極の磁極中心が一対のステータコアに磁気吸引され静止する前記マグネットロータの第1の静止位置を利用することで三点位置の制御が可能である。
[光学機器への応用]
【0055】
上述した本願のアウターロータ形式の電磁アクチュエータは光学機器の駆動源として用いることが出来、例えばデジタルスチールカメラやデジタルビデオカメラ等の光学機器に搭載される光量調整装置の電磁アクチュエータとして最適である。具体的に、この様な光学機器では撮影前に電源をオン状態として液晶画面をモニタし、撮影範囲を特定した後に、シャッタ装置又は絞り装置を起動することで撮影を行っている。この本願電磁アクチュエータのシャッタ装置又は絞り装置に対する起動位置を、予め励磁コイルの無通電状態でシャッタ装置又は絞り装置が開放状態に成る様に設定し、撮影範囲を特定した時点で励磁コイルに通電しシャッタ装置又は絞り装置を閉鎖して露出制御をしている。そこで、被写体をモニタする表示画面と、被写体からの光量を調整する光量調整装置と、この光量調整装置を駆動する電磁アクチュエータとを備えた光学機器の電磁アクチュエータとして、回転可能に支持され周面にN極とS極に2極着磁された磁極を備えた筒状形状のマグネットロータと、前記マグネットロータの筒内側で前記磁極に対峙する一対のステータコアを形成したステータと、通電方向によって前記一対のステータコアをN極とS極に互い違い励磁する励磁コイルとを備え、前記マグネットロータのNS2極の磁極中心が、前記励磁コイルへの無通電状態で前記一対のステータコアに磁気吸引され静止する第1の静止位置と、前記励磁コイルへの通電状態で前記一対のステータコアが励磁されるNS2極の励磁極により磁気吸引され静止する第2の静止位置とを異なる位置に設定された本願の電磁アクチュエータを使い、前記被写体のモニタリング中は、前記第1の静止位置で前記光量調整装置を駆動して成ることで、常に液晶画面でモニタしている最中は励磁コイルへの無通電状態でシャッタ装置又は絞り装置の開放状態を維持可能で省エネであり、しかも励磁コイルへの通電で電磁アクチュエータに回転トルクを付与し、正確にシャッタ装置又は絞り装置を作動することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 マグネットロータ、
13 回転軸、
14 マグネット、
20 ステータ、
21 軸受部、
23 ステータコア、
24 ステータコア、
30 支え板、
40 励磁コイル、
50 制御基板、
60 回転位置検出センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持され周面にN極とS極に2極着磁された磁極を備えた筒状形状のマグネットロータと、
前記マグネットロータの筒内側で前記磁極に対峙する一対のステータコアを形成したステータと、
通電方向によって前記一対のステータコアをN極とS極に互い違い励磁する励磁コイルと、
を備え、
前記マグネットロータのNS2極の磁極中心が、前記励磁コイルへの無通電状態で前記一対のステータコアに磁気吸引され静止する第1の静止位置と、前記励磁コイルへの通電状態で前記一対のステータコアが励磁されるNS2極の励磁極により磁気吸引され静止する第2の静止位置とを異なる位置に設定したことを特徴とする電磁アクチュエータ。
【請求項2】
前記第1の静止位置と第2の静止位置とを異なる位置に設定は、前記一対のステータコアの形状を、前記励磁コイルへの通電状態で励磁される両励磁極の中心を通る第1の中心線に対し非対象形状で、且つ、その第1の中心線に対し直交する第2の中心線に対し非対象形状としたことを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項3】
前記一対のステータコアの非対象形状とは、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面との間隔を異ならせてなる請求項2に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項4】
前記一対のステータコアの非対象形状とは、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面との間隔は一定とし、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面の表面積を異ならせてなる請求項2に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項5】
前記第1の静止位置と第2の静止位置とを異なる位置に設定は、前記一対のステータコアの磁気抵抗の分布特性を、前記励磁コイルへの通電状態で励磁される両励磁極の中心を通る第1の中心線に対し非対象で、且つ、その第1の中心線に対し直交する第2の中心線に対し非対象としたことを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項6】
前記一対のステータコアの磁気抵抗分布の非対象特性とは、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面の一部に窪み部、若しくは外周面内側の一部に空洞を形成してなる請求項5に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項7】
前記マグネットロータは、前記励磁コイルへの無通電状態で静止する前記第1の静止位置と、前記励磁コイルへの一方向への通電状態で前記第1の静止位置から移動した第2の移動位置と、前記励磁コイルへの他方向への通電状態で前記第1の静止位置から移動した第3の移動位置とを設定して成ることを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項8】
被写体をモニタする表示画面と、
被写体からの光量を調整する光量調整装置と、
この光量調整装置を駆動する電磁アクチュエータと、を備えた光学機器において、
前記電磁アクチュエータは、
回転可能に支持され周面にN極とS極に2極着磁された磁極を備えた筒状形状のマグネットロータと、
前記マグネットロータの筒内側で前記磁極に対峙する一対のステータコアを形成したステータと、
通電方向によって前記一対のステータコアをN極とS極に互い違い励磁する励磁コイルと、
を備え、
前記マグネットロータのNS2極の磁極中心が、前記励磁コイルへの無通電状態で前記一対のステータコアに磁気吸引され静止する第1の静止位置と、前記励磁コイルへの通電状態で前記一対のステータコアが励磁されるNS2極の励磁極により磁気吸引され静止する第2の静止位置とを異なる位置に設定され、
前記被写体のモニタリング中は、前記第1の静止位置で前記光量調整装置を駆動して成ることを特徴とする光学機器。
【請求項1】
回転可能に支持され周面にN極とS極に2極着磁された磁極を備えた筒状形状のマグネットロータと、
前記マグネットロータの筒内側で前記磁極に対峙する一対のステータコアを形成したステータと、
通電方向によって前記一対のステータコアをN極とS極に互い違い励磁する励磁コイルと、
を備え、
前記マグネットロータのNS2極の磁極中心が、前記励磁コイルへの無通電状態で前記一対のステータコアに磁気吸引され静止する第1の静止位置と、前記励磁コイルへの通電状態で前記一対のステータコアが励磁されるNS2極の励磁極により磁気吸引され静止する第2の静止位置とを異なる位置に設定したことを特徴とする電磁アクチュエータ。
【請求項2】
前記第1の静止位置と第2の静止位置とを異なる位置に設定は、前記一対のステータコアの形状を、前記励磁コイルへの通電状態で励磁される両励磁極の中心を通る第1の中心線に対し非対象形状で、且つ、その第1の中心線に対し直交する第2の中心線に対し非対象形状としたことを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項3】
前記一対のステータコアの非対象形状とは、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面との間隔を異ならせてなる請求項2に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項4】
前記一対のステータコアの非対象形状とは、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面との間隔は一定とし、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面の表面積を異ならせてなる請求項2に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項5】
前記第1の静止位置と第2の静止位置とを異なる位置に設定は、前記一対のステータコアの磁気抵抗の分布特性を、前記励磁コイルへの通電状態で励磁される両励磁極の中心を通る第1の中心線に対し非対象で、且つ、その第1の中心線に対し直交する第2の中心線に対し非対象としたことを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項6】
前記一対のステータコアの磁気抵抗分布の非対象特性とは、前記マグネットロータのNS2極の磁極と対峙するステータコアの外周面の一部に窪み部、若しくは外周面内側の一部に空洞を形成してなる請求項5に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項7】
前記マグネットロータは、前記励磁コイルへの無通電状態で静止する前記第1の静止位置と、前記励磁コイルへの一方向への通電状態で前記第1の静止位置から移動した第2の移動位置と、前記励磁コイルへの他方向への通電状態で前記第1の静止位置から移動した第3の移動位置とを設定して成ることを特徴とする請求項1に記載の電磁アクチュエータ。
【請求項8】
被写体をモニタする表示画面と、
被写体からの光量を調整する光量調整装置と、
この光量調整装置を駆動する電磁アクチュエータと、を備えた光学機器において、
前記電磁アクチュエータは、
回転可能に支持され周面にN極とS極に2極着磁された磁極を備えた筒状形状のマグネットロータと、
前記マグネットロータの筒内側で前記磁極に対峙する一対のステータコアを形成したステータと、
通電方向によって前記一対のステータコアをN極とS極に互い違い励磁する励磁コイルと、
を備え、
前記マグネットロータのNS2極の磁極中心が、前記励磁コイルへの無通電状態で前記一対のステータコアに磁気吸引され静止する第1の静止位置と、前記励磁コイルへの通電状態で前記一対のステータコアが励磁されるNS2極の励磁極により磁気吸引され静止する第2の静止位置とを異なる位置に設定され、
前記被写体のモニタリング中は、前記第1の静止位置で前記光量調整装置を駆動して成ることを特徴とする光学機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−34455(P2012−34455A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170106(P2010−170106)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]