電磁ブレーキ及びエレベーター装置
【課題】電磁ブレーキの電磁石と可動鉄片間に設けられる軸受の磨耗を検知、即ち、可動鉄片の出力方向に対して横方向の位置を検知し、軸受の固渋を防止する。
【解決手段】制動ばね5で制動片3に直接又は連動手段としての制動腕4を介して押圧力を与えて、被制動体としてのブレーキドラム1を押圧し制動力を付加し、電磁コイル9と継鉄10とからなる電磁石8で可動鉄片11を電磁吸引し出力して、制動片3を直接又は連動手段を介して駆動し制動力を解除するように構成され、上記電磁石8と可動体の相対位置を位置検知手段16で検知するようにした電磁ブレーキにおいて、電磁石8と可動鉄片11の相対位置を、可動鉄片11の電磁吸引の出力方向に対して横方向変位で検知するようにすると共に、前記横方向変位は、前記可動鉄片11及び電磁石8の中心部に設けた位置検知手段16で検知するようにした。
【解決手段】制動ばね5で制動片3に直接又は連動手段としての制動腕4を介して押圧力を与えて、被制動体としてのブレーキドラム1を押圧し制動力を付加し、電磁コイル9と継鉄10とからなる電磁石8で可動鉄片11を電磁吸引し出力して、制動片3を直接又は連動手段を介して駆動し制動力を解除するように構成され、上記電磁石8と可動体の相対位置を位置検知手段16で検知するようにした電磁ブレーキにおいて、電磁石8と可動鉄片11の相対位置を、可動鉄片11の電磁吸引の出力方向に対して横方向変位で検知するようにすると共に、前記横方向変位は、前記可動鉄片11及び電磁石8の中心部に設けた位置検知手段16で検知するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動ばねで制動片を押圧して制動付加し、電磁石で制動解除する電磁ブレーキ及びエレベーター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁ブレーキは、主に、制動ばねで制動片に直接又は連動手段としての制動腕を介して押圧力を与えて、被制動体としてのブレーキドラムを押圧し制動力を付加し、電磁石で可動鉄片を電磁吸引し出力して、制動片を直接又は連動手段を介して駆動し制動力を解除するように構成されている。
【0003】
そして、電磁ブレーキの電磁石と可動鉄片間に設けられる軸受の磨耗を検知、すなわち、可動鉄片の出力方向に対して横方向の位置を検出し、軸受の固渋を防止するため、可動体となる可動鉄片の位置又は変位を検知する位置センサあるいは変位センサとしてのレーザー、マイクロスイッチ、変位検出器、差動変圧器、機械式接点、などを用いて検出する方法(例えば、特許文献1乃至4参照)が開示されている。
【0004】
また、電磁石と鉄片間に電磁吸引力が発生する磁極面の形状(例えば、特許文献5参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−330238号公報(図1)
【特許文献2】実開昭62−98675号公報(図1)
【特許文献3】特公平2−36518号公報(図1)
【特許文献4】特開平8−59147号公報(図1、図8)
【特許文献5】特開2003−68524号公報(図1、5、6、7、8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1の図1にレーザー変位計、特許文献2の図1にマイクロスイッチ、特許文献3の図1に変位検出器、特許文献4の図1に差動トランス、図4に接点式機械的スイッチが示されている。しかし、これらの検知はいずれも、電磁石に電磁吸引される可動鉄片の出力方向であって、可動鉄片を支持する軸受が磨耗する方向、すなわち、可動鉄片の出力方向に対して横方向の検知ではない。従って、軸受の磨耗が検知できず、可動鉄片が固渋する問題点がある。
【0007】
また、特許文献5には、電磁ブレーキの電磁石と可動鉄片間において電磁吸引される磁極面形状が開示されている。図1に平面形状、図5に段状の円錐形状、図6に凹凸付平面形状、図7に円錐形状を示されている。しかし、これらの形状は、可動鉄片の出力方向(紙面で上下方向)に対して横方向の電磁吸引力が顕著に作用し、可動鉄片の動きに抵抗力が発生する構造になっている。
【0008】
本発明の目的は,電磁ブレーキの電磁石と可動鉄片間に設けられる軸受の磨耗を検知、すなわち、可動鉄片の出力方向に対して横方向の位置を検知し、可動鉄片の固渋を防止して信頼性の高い電磁ブレーキ及びエレベーター装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明では、制動ばねで制動片に直接又は連動手段としての制動腕を介して押圧力を与えて、被制動体としてのブレーキドラムを押圧し制動力を付加し、電磁石で可動鉄片を電磁吸引し出力して、制動片を直接又は連動手段を介して駆動し制動力を解除するように構成され、この電磁石と可動鉄片の相対位置を位置検知手段で検知するようにした電磁ブレーキにおいて、前記電磁石と可動鉄片の相対位置を、可動鉄片の電磁吸引の出力方向に対して横方向変位で検知するようにすると共に、前記横方向変位は、前記可動鉄片又は前記電磁石のいずれかの一方に環状保持部材を、他方に前記環状保持部材を挿通するように検知軸をそれぞれ固定して設けた位置検知手段で検知するようにしたことを特徴とする。
【0010】
この構成により、電磁ブレーキの電磁石と可動鉄片間に設けられる軸受の磨耗を検知、すなわち、可動鉄片の出力方向に対して横方向の相対位置を検知し、可動鉄片の固渋を防止して信頼性の高い電磁ブレーキが得られる。また、位置検知手段が一体でまとまりの良い設置構造になる。
【0011】
また、本発明では、前記環状保持部材は前記可動鉄片又は前記電磁石のいずれかの一方と同心状に、前記検知軸は前記環状保持部材が設けられた前記可動鉄片又は前記電磁石とは他方と同心状に設けられたことを特徴とする。
【0012】
この構成により、比較的簡易に相対位置の変位が検出できる検出手段を構成することができ、また、位置検知手段がより一体でまとまりの良い設置構造になる。
【0013】
また、本発明では、前記位置検知手段は、スイッチ手段、感圧手段、静電容量手段、磁気手段、光学手段のいずれかによるものであることを特徴とする。
【0014】
この構成により、前述同様の電磁ブレーキが得られるとともに、汎用の位置検出器が用いられる。
【0015】
また、本発明では、前記位置検知手段は、検知出力がON−OFF信号の場合は少なくとも3個設けたことを特徴とする。
【0016】
この構成により、前述同様の電磁ブレーキが得られるとともに、少なくとも3個の位置検出手段で位置検知が可能となる。
【0017】
また、本発明では、前記位置検知手段は、検知出力が連続の場合は少なくとも2個設け、設置角度を180度とならないように配置したことを特徴とする。
【0018】
この構成により、前述同様の電磁ブレーキが得られるとともに、少なくとも2個の位置検出手段で位置検知が可能となる。
【0019】
また、本発明では、一方に乗かご、他方側につり合いおもりを係合するワイヤロープが巻き掛けられる駆動シーブと、この駆動シーブを駆動する電動機と、前記駆動シーブ及び電動機を制動する電磁ブレーキ装置とで構成される巻上機を備え、前記電磁ブレーキ装置を、制動ばねで制動片に直接又は連動手段としての制動腕を介して押圧力を与えて、被制動体としてのブレーキドラムを押圧し制動力を付加し、電磁コイルと継鉄とからなる電磁石で可動鉄片を電磁吸引し出力して、制動片を直接又は連動手段を介して駆動し制動力を解除するように構成し、この電磁石と可動鉄片の相対位置を位置検知手段で検知するようにした電磁ブレーキを備えたエレベーター装置において、前記位置検知手段は、前記電磁石と可動鉄片の相対位置を、可動鉄片の電磁吸引の出力方向に対して横方向変位で検知するようにすると共に、前記横方向変位は、前記可動鉄片又は前記電磁石のいずれかの一方に環状保持部材を、他方に前記環状保持部材を挿通するように検知軸をそれぞれ固定して設けた位置検知手段で検知するようにしたことを特徴とする。
【0020】
この構成により、信頼性の高いエレベーターが得られる。
【発明の効果】
【0021】
電磁ブレーキの電磁石と可動鉄片間に設けられる軸受の磨耗を検知、すなわち、可動鉄片の出力方向に対して横方向の位置を検知し、可動鉄片の固渋を防止して信頼性の高い電磁ブレーキ及びエレベーターを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態になる電磁ブレーキの全体構成図及びこれを用いたエレベーターの概略構成図である。
【図2】位置検知手段としての静電容量手段を可動鉄片及び電磁石の中心部に設けた電磁駆動手段の断面図である。
【図3】図2の静電容量手段の平面を示すA−A矢視図である。
【図4】電磁駆動手段の電磁石通電時を示す図2相当図である。
【図5】図4の磁極面を示すB−B矢視図である。
【図6】電磁石通電時を示し、可動鉄片が横方向に変位した状態を示す図4相当図である。
【図7】図6の磁極面を示すC−C矢視図である。
【図8】図6の静電容量手段の平面を示すD−D矢視図である。
【図9】スイッチ手段を環状保持部材に3個配置する位置検知手段を中心部に設けた図3相当図である。
【図10】スイッチ手段を環状保持部材に環状保持部材に4個配置する図9相当図である。
【図11】感圧センサを環状保持部材に3個配置する位置検知手段を中心部に設けた図9相当図である。
【図12】感圧センサを環状保持部材に全周配置する図11相当図である。
【図13】磁気センサを環状保持部材に2個配置する位置検知手段を中心部に設けた図9相当図
【図14】光学センサ又は静電容量センサを環状保持部材に2個配置する位置検知手段を中心部に設けた図13相当図
【図15】位置検知手段としての連続検知センサを少なくとも2個配置を示す図13相当図である。
【図16】位置検知手段として図3の静電容量手段を電磁駆動手段の外周部に設けた図2相当図である。
【図17】図16のE−E矢視図である。
【図18】位置検知手段として図3の静電容量手段を電磁駆動手段の外周部に2個設けた図16相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1乃至図8に基づいて、本発明になる電磁ブレーキ及びエレベーター装置の第1の実施形態を説明する。
【0024】
図1において、1は被制動体としてのブレーキドラムで、このブレーキドラム1を制動するように電磁ブレーキ装置2が設けられ,それぞれがブレーキとして独立に機能する一対の電磁ブレーキ2a,2bで構成され,構造,構成は次の通りである。
【0025】
ブレーキドラム1の制動面1aには一対の制動片3が左右から当接するようになっている。4は連動手段としての一対の制動腕で、前記制動片3を中間部4cに備え一端部4aを可回転的に支持されている。5は一対の制動ばねで、前記制動片3が制動面1aに押圧力を与え,制動力を付加するように制動腕4の他端部4bに配置される。6は連動手段としてのL形レバーで、ピン7により回転支持され、前記L形レバー6の一方側が前記制動腕4の他端部4bに連接し,前記L形レバー6の他方側が後述する可動鉄片11に結合する軸12に連接する。
【0026】
8は固定される一対の電磁石で、前記制動ばね5の押圧力を解除し,制動力を解除するように、可動鉄片11に結合する軸12でL形レバー6の他方側を駆動するように設けられる。電磁駆動手段13は電磁石8、可動鉄片11及び軸12とで構成される。電磁石8はそれぞれ電磁コイル9と継鉄10とからなり、電磁石8の磁極面に対向して可動鉄片11が配置される。可動鉄片11は継鉄10の中央部で摺動支持される軸12の一端と結合し、軸12の他端はL形レバー6の他方側に連接して,L形レバー6を介して制動腕4を駆動し、制動片3まで一体的に駆動するようになっている。この実施例では前記可動鉄片11が上下方向に作動し,L形レバー6でおよそ直角方向に動き方向を変え,制動腕4の一端部4aを回転中心にして左右方向に作動させる。
【0027】
即ち、この電磁ブレーキ2a、2bは、制動片3,制動腕4,制動ばね5、L形レバー6,電磁駆動手段13で構成され、ほぼ左右対称に設置される。なお,連動手段としての制動腕4及びL形レバー6がなく,制動片3を制動ばね5で直接に押圧し、可動鉄片11で直接に押圧解除する構造もあり、この場合にも本実施形態が適用できる。14はコイル励磁電源で一対の電磁石8の電磁コイル9に通電し,電流を制御する。15は一対の前記電磁石8の電磁コイル9に通電、遮断する電磁接触器の接点である。16は可動鉄片11の位置検知手段で,可動鉄片11が電磁吸引され、軸12の出力可動方向に対して横方向の相対位置を検知する。
【0028】
上記電磁ブレーキ装置2は、例えばエレベーターの巻上機17に用いられ、巻上機の駆動シーブ18にワイヤロープ19を巻きかけ、ワイヤロープ19の一方に乗かご20を係合、他方につり合いおもり21を係合して、巻上機17の電動機17aで駆動シーブ18を駆動し、ワイヤロープ19を駆動して乗かご20を上下運転する。この際、電磁ブレーキ装置2は、電磁石8への通電断で巻上機17を制動付加して乗かご20を停止保持する。また、電磁石8への通電で巻上機17の制動を解除して乗かご20を運転できる状態にする。
【0029】
この実施形態の電磁ブレーキ2a,2bの動作を説明する。
【0030】
図1に示すのは電磁石8に通電断で制動付加状態にある。接点15を接続して電磁石8に通電すると可動鉄片11が電磁吸引され,軸12が紙面で下方向に変位し,L形レバー6が回転変位し,制動腕4の一端部4aを中心に回転変位し、左右側の制動腕4の他端部4bが矢印YB方向に変位し,制動片3が矢印YS方向に変位して,制動片3がブレーキドラム1表面から離間して制動が解除される。電磁石8に通電を遮断すると,図1の制動付加状態に戻る。
【0031】
図2乃至図8において,可動鉄片11と結合する軸12は軸受22で支持され、電磁石8の通電時に可動鉄片11が電磁吸引され軸12が紙面の下方向に摺動する。可動鉄片11と電磁石8間の磁極面は例えば凹凸状に嵌合している。即ち、可動鉄片側に円形の凹状溝11aを備え、電磁石8の継鉄10側に円形の凸状突起10aを備えて前記凹状溝11aに接触しないように嵌合している。
【0032】
23は空隙保持片で可動鉄片11が電磁吸引された時、電磁石8との磁極面間を一定の空隙を保つ。24はばねで可動鉄片11と電磁石8間のがたつきを防止する。
【0033】
25は位置検知手段16としての静電容量手段であり,二つの導体間の静電容量の変化を利用して変位を検知するものであり、電磁石8及び可動鉄片11の中心部、かつ、図2紙面の外側上部に配置される。すなわち、26は環状保持部材で、電磁石8の継鉄10中央部から可動鉄片11を貫通して立設した支持軸27に設けられる。この環状保持部材26の内周に静電容量手段25の一方側の円筒状導体28を配置する。また、他方側の導体として可動鉄片11から検知軸29を立設し、前記円筒状導体28を貫通して両導体が一定の間隔で配置、構成される。
【0034】
この状態で、一方の導体を接地し、他方の導体に電荷を与えると二つの導体間に電位差が生じ、電荷、電位及び静電容量の間に一定の関係を有する。そして、軸受22の磨耗で可動鉄片11が所定の矢印Ya横方向に変位すると、静電容量手段25の出力が変化するので、この出力の変化量で異常と判断するようになっている。
【0035】
電磁石8に通電すると図4で示すように、可動鉄片11が吸引され空隙保持片23で一定の空隙が保持される。通常の正常状態は図5で示すように、凹状溝11aと凸状突起10aとが等間隔に嵌合して、凹状溝11aと凸状突起10a間に発生する横方向の電磁吸引力は平衡している。しかし、図6で示すように軸受22の磨耗によって軸12とともに可動鉄片11が横方向に変位すると、図7の如く凸状突起10aと凹状溝11a間の横方向電磁吸引力の平衡が崩れ、凹状溝11aと凸状突起10aとの間隔が狭い側の矢印L方向に横方向の力が作用する。
【0036】
この力で益々軸受22の磨耗を進行させることになる。軸受22の磨耗が進行すると、軸12が継鉄10に接触して固渋し、電磁ブレーキ2a、2bとして機能しない状態になる。
【0037】
電磁石8と可動鉄片11の磁極面間で横方向の電磁吸引力が発生する磁極面形状は、特に、前記図2の他、特許文献5で示すように、段状の円錐形状、円錐形状であり、可動鉄片11の出力方向(紙面で上下方向)に対して横方向に磁束が通過して、横方向の電磁吸引力が作用し、可動鉄片11の軸の動きの摩擦抵抗力となる。
【0038】
そして、位置検知手段16は図8に示すように、円筒状導体28と検知軸29とが偏芯して、静電容量が変化する。すなわち、偏芯量s、検知軸29の外半径a、円筒状導体28の内半径b、空気の誘電率をεとすると、静電容量Cは次式の通り、偏芯量sと静電容量Cとの関係で表される。
【0039】
上式から静電容量Cを計測すれば偏芯量s即ち可動鉄片11の横方向変位が検知できる。そして、所定の横方向変位の静電容量Cとなると異常と判断する。
【0040】
以上説明したように、この実施形態による効果は、電磁ブレーキの可動鉄片の横方向変位を位置検知手段としての静電容量手段で検知するようにしたので、軸受の磨耗を検知して固渋を防止して信頼性の高い電磁ブレーキが得られる。また、電磁石及び可動鉄片の中心部で1個の静電容量形の位置検知手段で検知するように構成したので、非接触で一体でまとまりの良い設置構造にできる効果が得られる。
【0041】
次に、第2の実施形態を図9乃至図10に基づいて説明する。
【0042】
この実施形態が第1の実施形態と異なるのは、可動鉄片11の横方向変位を位置検知手段16としてのマイクロスイッチなどON−OFF信号を出力するスイッチ手段を電磁石8及び可動鉄片11の中心部に少なくとも3個以上備えたことである。第1の実施形態と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
30は位置検知手段16としてのマイクロスイッチなどON−OFF信号を出力するスイッチ手段で、環状保持部材26に設けられ、可動鉄片11の横方向の相対位置を検知するように、異常と判断する所定の検知距離Gで配置される。そして、軸受12の磨耗で可動鉄片11が所定の横方向に変位すると、スイッチ手段30が動作してON又はOFF信号を出力し異常と判断するようになっている。
【0044】
図9乃至図10において、前記スイッチ手段30は少なくとも3個以上設けられる。即ち、図9において、スイッチ手段30aの1個配置ではスイッチ手段30aに向かう方向Fの変位は検知できるが、スイッチ手段30aから離れる方向H、方向Fに対して直角方向Iの変位は検知できない。また、スイッチ手段30a、30bの2個配置では前記1個配置と同様にスイッチ手段30a、30bに向かう方向の変位は検知できるが、2個のスイッチ手段30a、30bから離れる方向Jの変位は検知できない、という問題点がある。
【0045】
そこで、図9のように、例えば、周方向にα=120度間隔に3個のスイッチ手段30a、30b、30cを配置すると検知が可能となる。スイッチ手段30a、30bの中間方向の変位Dに対して、スイッチ手段30a、30bに向かう変位は、D×cos(α/2)=0.5 となって、検知感度が半分になるが、この検知感度低下を考慮してスイッチ手段30a、30bの検知距離Gが設定される。そして、2個のスイッチ手段30a、30bから離れる方向Jの変位はスイッチ手段30cで検知できる。
【0046】
スイッチ手段30b、30c間の検知及びスイッチ手段30c、30a間の検知も同様である。なお、上記ではスイッチ手段30a、30b、30cを周方向にα=120度の等間隔で設置する場合で説明したが、不等間隔で設置しても横方向変位を検知できることは明らかである。この場合は、スイッチ手段30a、30b、30cの設置間隔角度で検知感度が異なるので、それぞれ検知距離Ga,Gb、Gcで設定される。
【0047】
また、図10は周方向にほぼβ=90度間隔に4個のスイッチ手段30a、30b、30c、30dを配置する場合である。図7の3個の場合より検知感度が向上し、例えば、スイッチ手段30a、30bの中間方向の変位Dに対して、スイッチ手段30a、30bに向かう変位は、D×cos(β/2)=0.707 となって、3個の場合よりは感度が向上する。すなわち、スイッチ手段30の配置数が多いほど検知感度が向上する。
【0048】
この実施形態による効果は、前記第1の実施形態と同様に、軸受の磨耗を検知して固渋を防止して信頼性の高い電磁ブレーキが得られるとともに、電磁ブレーキの可動鉄片の横方向変位を位置検知手段としてのマイクロスイッチなどON−OFF信号を出力する汎用のスイッチ手段を3個以上で検知するようにしたので、安価で簡単構成が可能となる。
【0049】
次に、第3の実施形態を図11に基づいて説明する。
【0050】
この実施形態が第1及び2の実施形態と異なるのは、可動鉄片11の横方向変位を位置検知手段16としての圧電センサ、導電センサなど感圧手段を環状保持部材26の内周部に3個以上備えたことである。第1及び2の実施形態と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
図11において、31は感圧手段で、環状保持部材26の内周部に設けられ、前記図4で示した可動鉄片11から立設した検知軸29を介して横方向の相対位置を検知するように、異常と判断する所定の検知間隔Gで配置される。前記図4で示した軸受22の磨耗で可動鉄片11が所定の横方向に変位して検知軸29が感圧手段31に接触すると、感圧手段31がON−OFFの検知信号を出力し異常と判断する。可動鉄片11との検知距離Gは前記第2の実施形態と同様である。そして、この際、第2の実施形態と同様に、感圧手段31を少なくとも3個以上設ける。
【0052】
この実施形態による効果は、前記第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0053】
次に、第4の実施形態を図12に基づいて説明する。
【0054】
この実施形態が第3の実施形態と異なるのは、位置検知手段16としての感圧手段を環状保持部材26の内周部全周に備えたことである。第3の実施形態と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
図12において、32は環状の感圧手段で、環状保持部材26の内周部全周に配置される。可動鉄片11から立設した検知軸29を介して横方向の相対位置を検知するように、異常と判断する所定の検知距離Gで配置される。軸受22の磨耗で可動鉄片11が所定の横方向に変位して検知軸29が感圧手段32に接触すると、感圧手段32が検知信号を出力し異常と判断する。
【0056】
この実施形態による効果は、前記第3の実施形態と同様の効果が得られるとともに、全周検知となるのでの周上位置に関係なく、検知感度が高く均等になる。
【0057】
次に、第5の実施形態を図13乃至図15に基づいて説明する。
【0058】
この実施形態が前記第2乃至4の実施形態と異なるのは、位置検知手段16として、位置の連続検知が可能な差動トランスなど磁気手段又はレーザーセンサなどの光学手段又は静電容量センサなどの静電容量手段を環状保持部材26の周上に備えたことである。第2乃至4の実施形態と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0059】
図13において、33は磁気手段で、環状保持部材26の内周に設けられる。検知軸29を介して可動鉄片11の横方向の相対位置を検知するように、検知子34を検知軸29に接触させて配置する。この磁気手段33は可動鉄片11の横方向変位に対して連続検出し出力するものである。前記図4で示した軸受22の磨耗で可動鉄片11が所定の横方向に変位して、磁気手段33が所定出力となると異常と判断する。
【0060】
図14において、光学手段35又は静電容量手段36が環状保持部材26の内周に設けられる。この光学センサ35又は静電容量センサ36は、検知軸29を介して可動鉄片11の横方向の相対位置を検知するように、検知軸29に対向して非接触で配置され、可動鉄片11の横方向変位に対して連続検知し出力するものである。前記図4で示した軸受22の磨耗で可動鉄片11が所定の横方向に変位して、光学手段35又は静電容量手段36が所定出力となると異常と判断する。
【0061】
なお、前記磁気手段33、光学手段35及び静電容量手段36の位置検出手段16は少なくとも2個以上設けられる。すなわち、図15において、例えば、位置検知手段16aの1個配置の検知方向変位は、位置検知手段16aに向かう方向及び離れる方向ともに検知できるが、位置検知手段16aの検知方向と直角方向の変位は検知できない、という問題点がある。そこで、周方向にほぼγ=90度間隔に2個の位置検知手段16a,16bを配置する。すなわち、前記図9及び図10での説明と同様で、例えば、位置検知手段16a,16bの中間方向の変位Dに対して、位置検知手段16a,16bに向かう方向及び離れる方向の変位はD×cos(γ/2)=0.707 となって、感度が低下するが検知できる。そして、この感度の低下を考慮して位置検知手段16を配置する。また位置検知手段16の配置数が多いほど検知感度が向上する。ただし、2個の位置検知手段がγ=180度となる配置の場合は、2個の位置検知手段を結ぶ直角方向は検知できないので、γ=180度とならないように配置する。そして、位置検出手段16の配置数が多いほど検知感度が向上することは明らかである。
【0062】
この実施形態による効果は、前記第2乃至4の実施形態と同様の効果が得られるとともに、変位に対する出力を連続としたので、少なくとも2個の位置検知手段で位置検知が可能となる。
【0063】
次に、第6の実施形態を図16乃至図18に基づいて説明する。
【0064】
この実施形態が前記第1の実施形態と異なるのは、第1の実施形態で説明した位置検知手段16としての静電容量手段25を電磁石8及び可動鉄片11の外周部に設けたことである。第1の実施形態と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0065】
図16、図17において、25は位置検知手段16としての静電容量手段25であり,26は環状保持部材で可動鉄片11側に配置され、継鉄10側に設けた検知軸29が設けられ、環状保持部材26を貫通する。この環状保持部材26の内周に静電容量手段25の一方側の円筒状導体28を配置する。また、検知軸29を他方側の導体として、前記円筒状導体28を貫通して両導体が間隔を有して構成される。そして、軸受22の磨耗で可動鉄片11が所定の横方向に変位し、検知軸29が変位すると、静電容量手段25の出力が変化するので、この変化量で異常と判断するようになっている。なお、環状保持部材26と検知軸29は逆に配置して、それぞれ継鉄10側、可動鉄片11側に配置しても良い。
【0066】
ところで、本実施形態では、前記図17に示す静電容量手段25の検知軸29を中心にして可動鉄片11が紙面の上下方向の矢印Kになる横方向変位すると検知できない問題がある。そこで、図18に示すように、静電容量手段25を可動鉄片11の周上に少なくとも2個設けることで上記問題が解決できる。
【0067】
なお、上記第1乃至6の実施形態で説明した位置検知手段16による異常の検知信号は、例えば、図1で説明したエレベーターに用いられ、異常と検知した場合はエレベーターを最寄階まで運転し停止させる。この結果、信頼性の高いエレベーターが得られる。
【0068】
この実施形態による効果は、前記第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、静電容量手段を電磁石及び可動鉄片の外周部に設けたので、静電容量手段の取付けが簡単になる。
【符号の説明】
【0069】
1 ブレーキドラム
2 電磁ブレーキ装置
2a、2b 電磁ブレーキ
3 制動片
4 制動腕
5 制動ばね
8 電磁石
11 可動鉄片
16 位置検知手段
17 巻上機
17a 電動機
18 駆動シーブ
19 ワイヤロープ
20 乗かご
21 つり合いおもり
30、30a、30b、30c、30d スイッチ手段
31 感圧手段
33 磁気手段
35 光学手段
36 静電容量手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動ばねで制動片を押圧して制動付加し、電磁石で制動解除する電磁ブレーキ及びエレベーター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁ブレーキは、主に、制動ばねで制動片に直接又は連動手段としての制動腕を介して押圧力を与えて、被制動体としてのブレーキドラムを押圧し制動力を付加し、電磁石で可動鉄片を電磁吸引し出力して、制動片を直接又は連動手段を介して駆動し制動力を解除するように構成されている。
【0003】
そして、電磁ブレーキの電磁石と可動鉄片間に設けられる軸受の磨耗を検知、すなわち、可動鉄片の出力方向に対して横方向の位置を検出し、軸受の固渋を防止するため、可動体となる可動鉄片の位置又は変位を検知する位置センサあるいは変位センサとしてのレーザー、マイクロスイッチ、変位検出器、差動変圧器、機械式接点、などを用いて検出する方法(例えば、特許文献1乃至4参照)が開示されている。
【0004】
また、電磁石と鉄片間に電磁吸引力が発生する磁極面の形状(例えば、特許文献5参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−330238号公報(図1)
【特許文献2】実開昭62−98675号公報(図1)
【特許文献3】特公平2−36518号公報(図1)
【特許文献4】特開平8−59147号公報(図1、図8)
【特許文献5】特開2003−68524号公報(図1、5、6、7、8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1の図1にレーザー変位計、特許文献2の図1にマイクロスイッチ、特許文献3の図1に変位検出器、特許文献4の図1に差動トランス、図4に接点式機械的スイッチが示されている。しかし、これらの検知はいずれも、電磁石に電磁吸引される可動鉄片の出力方向であって、可動鉄片を支持する軸受が磨耗する方向、すなわち、可動鉄片の出力方向に対して横方向の検知ではない。従って、軸受の磨耗が検知できず、可動鉄片が固渋する問題点がある。
【0007】
また、特許文献5には、電磁ブレーキの電磁石と可動鉄片間において電磁吸引される磁極面形状が開示されている。図1に平面形状、図5に段状の円錐形状、図6に凹凸付平面形状、図7に円錐形状を示されている。しかし、これらの形状は、可動鉄片の出力方向(紙面で上下方向)に対して横方向の電磁吸引力が顕著に作用し、可動鉄片の動きに抵抗力が発生する構造になっている。
【0008】
本発明の目的は,電磁ブレーキの電磁石と可動鉄片間に設けられる軸受の磨耗を検知、すなわち、可動鉄片の出力方向に対して横方向の位置を検知し、可動鉄片の固渋を防止して信頼性の高い電磁ブレーキ及びエレベーター装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明では、制動ばねで制動片に直接又は連動手段としての制動腕を介して押圧力を与えて、被制動体としてのブレーキドラムを押圧し制動力を付加し、電磁石で可動鉄片を電磁吸引し出力して、制動片を直接又は連動手段を介して駆動し制動力を解除するように構成され、この電磁石と可動鉄片の相対位置を位置検知手段で検知するようにした電磁ブレーキにおいて、前記電磁石と可動鉄片の相対位置を、可動鉄片の電磁吸引の出力方向に対して横方向変位で検知するようにすると共に、前記横方向変位は、前記可動鉄片又は前記電磁石のいずれかの一方に環状保持部材を、他方に前記環状保持部材を挿通するように検知軸をそれぞれ固定して設けた位置検知手段で検知するようにしたことを特徴とする。
【0010】
この構成により、電磁ブレーキの電磁石と可動鉄片間に設けられる軸受の磨耗を検知、すなわち、可動鉄片の出力方向に対して横方向の相対位置を検知し、可動鉄片の固渋を防止して信頼性の高い電磁ブレーキが得られる。また、位置検知手段が一体でまとまりの良い設置構造になる。
【0011】
また、本発明では、前記環状保持部材は前記可動鉄片又は前記電磁石のいずれかの一方と同心状に、前記検知軸は前記環状保持部材が設けられた前記可動鉄片又は前記電磁石とは他方と同心状に設けられたことを特徴とする。
【0012】
この構成により、比較的簡易に相対位置の変位が検出できる検出手段を構成することができ、また、位置検知手段がより一体でまとまりの良い設置構造になる。
【0013】
また、本発明では、前記位置検知手段は、スイッチ手段、感圧手段、静電容量手段、磁気手段、光学手段のいずれかによるものであることを特徴とする。
【0014】
この構成により、前述同様の電磁ブレーキが得られるとともに、汎用の位置検出器が用いられる。
【0015】
また、本発明では、前記位置検知手段は、検知出力がON−OFF信号の場合は少なくとも3個設けたことを特徴とする。
【0016】
この構成により、前述同様の電磁ブレーキが得られるとともに、少なくとも3個の位置検出手段で位置検知が可能となる。
【0017】
また、本発明では、前記位置検知手段は、検知出力が連続の場合は少なくとも2個設け、設置角度を180度とならないように配置したことを特徴とする。
【0018】
この構成により、前述同様の電磁ブレーキが得られるとともに、少なくとも2個の位置検出手段で位置検知が可能となる。
【0019】
また、本発明では、一方に乗かご、他方側につり合いおもりを係合するワイヤロープが巻き掛けられる駆動シーブと、この駆動シーブを駆動する電動機と、前記駆動シーブ及び電動機を制動する電磁ブレーキ装置とで構成される巻上機を備え、前記電磁ブレーキ装置を、制動ばねで制動片に直接又は連動手段としての制動腕を介して押圧力を与えて、被制動体としてのブレーキドラムを押圧し制動力を付加し、電磁コイルと継鉄とからなる電磁石で可動鉄片を電磁吸引し出力して、制動片を直接又は連動手段を介して駆動し制動力を解除するように構成し、この電磁石と可動鉄片の相対位置を位置検知手段で検知するようにした電磁ブレーキを備えたエレベーター装置において、前記位置検知手段は、前記電磁石と可動鉄片の相対位置を、可動鉄片の電磁吸引の出力方向に対して横方向変位で検知するようにすると共に、前記横方向変位は、前記可動鉄片又は前記電磁石のいずれかの一方に環状保持部材を、他方に前記環状保持部材を挿通するように検知軸をそれぞれ固定して設けた位置検知手段で検知するようにしたことを特徴とする。
【0020】
この構成により、信頼性の高いエレベーターが得られる。
【発明の効果】
【0021】
電磁ブレーキの電磁石と可動鉄片間に設けられる軸受の磨耗を検知、すなわち、可動鉄片の出力方向に対して横方向の位置を検知し、可動鉄片の固渋を防止して信頼性の高い電磁ブレーキ及びエレベーターを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態になる電磁ブレーキの全体構成図及びこれを用いたエレベーターの概略構成図である。
【図2】位置検知手段としての静電容量手段を可動鉄片及び電磁石の中心部に設けた電磁駆動手段の断面図である。
【図3】図2の静電容量手段の平面を示すA−A矢視図である。
【図4】電磁駆動手段の電磁石通電時を示す図2相当図である。
【図5】図4の磁極面を示すB−B矢視図である。
【図6】電磁石通電時を示し、可動鉄片が横方向に変位した状態を示す図4相当図である。
【図7】図6の磁極面を示すC−C矢視図である。
【図8】図6の静電容量手段の平面を示すD−D矢視図である。
【図9】スイッチ手段を環状保持部材に3個配置する位置検知手段を中心部に設けた図3相当図である。
【図10】スイッチ手段を環状保持部材に環状保持部材に4個配置する図9相当図である。
【図11】感圧センサを環状保持部材に3個配置する位置検知手段を中心部に設けた図9相当図である。
【図12】感圧センサを環状保持部材に全周配置する図11相当図である。
【図13】磁気センサを環状保持部材に2個配置する位置検知手段を中心部に設けた図9相当図
【図14】光学センサ又は静電容量センサを環状保持部材に2個配置する位置検知手段を中心部に設けた図13相当図
【図15】位置検知手段としての連続検知センサを少なくとも2個配置を示す図13相当図である。
【図16】位置検知手段として図3の静電容量手段を電磁駆動手段の外周部に設けた図2相当図である。
【図17】図16のE−E矢視図である。
【図18】位置検知手段として図3の静電容量手段を電磁駆動手段の外周部に2個設けた図16相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1乃至図8に基づいて、本発明になる電磁ブレーキ及びエレベーター装置の第1の実施形態を説明する。
【0024】
図1において、1は被制動体としてのブレーキドラムで、このブレーキドラム1を制動するように電磁ブレーキ装置2が設けられ,それぞれがブレーキとして独立に機能する一対の電磁ブレーキ2a,2bで構成され,構造,構成は次の通りである。
【0025】
ブレーキドラム1の制動面1aには一対の制動片3が左右から当接するようになっている。4は連動手段としての一対の制動腕で、前記制動片3を中間部4cに備え一端部4aを可回転的に支持されている。5は一対の制動ばねで、前記制動片3が制動面1aに押圧力を与え,制動力を付加するように制動腕4の他端部4bに配置される。6は連動手段としてのL形レバーで、ピン7により回転支持され、前記L形レバー6の一方側が前記制動腕4の他端部4bに連接し,前記L形レバー6の他方側が後述する可動鉄片11に結合する軸12に連接する。
【0026】
8は固定される一対の電磁石で、前記制動ばね5の押圧力を解除し,制動力を解除するように、可動鉄片11に結合する軸12でL形レバー6の他方側を駆動するように設けられる。電磁駆動手段13は電磁石8、可動鉄片11及び軸12とで構成される。電磁石8はそれぞれ電磁コイル9と継鉄10とからなり、電磁石8の磁極面に対向して可動鉄片11が配置される。可動鉄片11は継鉄10の中央部で摺動支持される軸12の一端と結合し、軸12の他端はL形レバー6の他方側に連接して,L形レバー6を介して制動腕4を駆動し、制動片3まで一体的に駆動するようになっている。この実施例では前記可動鉄片11が上下方向に作動し,L形レバー6でおよそ直角方向に動き方向を変え,制動腕4の一端部4aを回転中心にして左右方向に作動させる。
【0027】
即ち、この電磁ブレーキ2a、2bは、制動片3,制動腕4,制動ばね5、L形レバー6,電磁駆動手段13で構成され、ほぼ左右対称に設置される。なお,連動手段としての制動腕4及びL形レバー6がなく,制動片3を制動ばね5で直接に押圧し、可動鉄片11で直接に押圧解除する構造もあり、この場合にも本実施形態が適用できる。14はコイル励磁電源で一対の電磁石8の電磁コイル9に通電し,電流を制御する。15は一対の前記電磁石8の電磁コイル9に通電、遮断する電磁接触器の接点である。16は可動鉄片11の位置検知手段で,可動鉄片11が電磁吸引され、軸12の出力可動方向に対して横方向の相対位置を検知する。
【0028】
上記電磁ブレーキ装置2は、例えばエレベーターの巻上機17に用いられ、巻上機の駆動シーブ18にワイヤロープ19を巻きかけ、ワイヤロープ19の一方に乗かご20を係合、他方につり合いおもり21を係合して、巻上機17の電動機17aで駆動シーブ18を駆動し、ワイヤロープ19を駆動して乗かご20を上下運転する。この際、電磁ブレーキ装置2は、電磁石8への通電断で巻上機17を制動付加して乗かご20を停止保持する。また、電磁石8への通電で巻上機17の制動を解除して乗かご20を運転できる状態にする。
【0029】
この実施形態の電磁ブレーキ2a,2bの動作を説明する。
【0030】
図1に示すのは電磁石8に通電断で制動付加状態にある。接点15を接続して電磁石8に通電すると可動鉄片11が電磁吸引され,軸12が紙面で下方向に変位し,L形レバー6が回転変位し,制動腕4の一端部4aを中心に回転変位し、左右側の制動腕4の他端部4bが矢印YB方向に変位し,制動片3が矢印YS方向に変位して,制動片3がブレーキドラム1表面から離間して制動が解除される。電磁石8に通電を遮断すると,図1の制動付加状態に戻る。
【0031】
図2乃至図8において,可動鉄片11と結合する軸12は軸受22で支持され、電磁石8の通電時に可動鉄片11が電磁吸引され軸12が紙面の下方向に摺動する。可動鉄片11と電磁石8間の磁極面は例えば凹凸状に嵌合している。即ち、可動鉄片側に円形の凹状溝11aを備え、電磁石8の継鉄10側に円形の凸状突起10aを備えて前記凹状溝11aに接触しないように嵌合している。
【0032】
23は空隙保持片で可動鉄片11が電磁吸引された時、電磁石8との磁極面間を一定の空隙を保つ。24はばねで可動鉄片11と電磁石8間のがたつきを防止する。
【0033】
25は位置検知手段16としての静電容量手段であり,二つの導体間の静電容量の変化を利用して変位を検知するものであり、電磁石8及び可動鉄片11の中心部、かつ、図2紙面の外側上部に配置される。すなわち、26は環状保持部材で、電磁石8の継鉄10中央部から可動鉄片11を貫通して立設した支持軸27に設けられる。この環状保持部材26の内周に静電容量手段25の一方側の円筒状導体28を配置する。また、他方側の導体として可動鉄片11から検知軸29を立設し、前記円筒状導体28を貫通して両導体が一定の間隔で配置、構成される。
【0034】
この状態で、一方の導体を接地し、他方の導体に電荷を与えると二つの導体間に電位差が生じ、電荷、電位及び静電容量の間に一定の関係を有する。そして、軸受22の磨耗で可動鉄片11が所定の矢印Ya横方向に変位すると、静電容量手段25の出力が変化するので、この出力の変化量で異常と判断するようになっている。
【0035】
電磁石8に通電すると図4で示すように、可動鉄片11が吸引され空隙保持片23で一定の空隙が保持される。通常の正常状態は図5で示すように、凹状溝11aと凸状突起10aとが等間隔に嵌合して、凹状溝11aと凸状突起10a間に発生する横方向の電磁吸引力は平衡している。しかし、図6で示すように軸受22の磨耗によって軸12とともに可動鉄片11が横方向に変位すると、図7の如く凸状突起10aと凹状溝11a間の横方向電磁吸引力の平衡が崩れ、凹状溝11aと凸状突起10aとの間隔が狭い側の矢印L方向に横方向の力が作用する。
【0036】
この力で益々軸受22の磨耗を進行させることになる。軸受22の磨耗が進行すると、軸12が継鉄10に接触して固渋し、電磁ブレーキ2a、2bとして機能しない状態になる。
【0037】
電磁石8と可動鉄片11の磁極面間で横方向の電磁吸引力が発生する磁極面形状は、特に、前記図2の他、特許文献5で示すように、段状の円錐形状、円錐形状であり、可動鉄片11の出力方向(紙面で上下方向)に対して横方向に磁束が通過して、横方向の電磁吸引力が作用し、可動鉄片11の軸の動きの摩擦抵抗力となる。
【0038】
そして、位置検知手段16は図8に示すように、円筒状導体28と検知軸29とが偏芯して、静電容量が変化する。すなわち、偏芯量s、検知軸29の外半径a、円筒状導体28の内半径b、空気の誘電率をεとすると、静電容量Cは次式の通り、偏芯量sと静電容量Cとの関係で表される。
【0039】
上式から静電容量Cを計測すれば偏芯量s即ち可動鉄片11の横方向変位が検知できる。そして、所定の横方向変位の静電容量Cとなると異常と判断する。
【0040】
以上説明したように、この実施形態による効果は、電磁ブレーキの可動鉄片の横方向変位を位置検知手段としての静電容量手段で検知するようにしたので、軸受の磨耗を検知して固渋を防止して信頼性の高い電磁ブレーキが得られる。また、電磁石及び可動鉄片の中心部で1個の静電容量形の位置検知手段で検知するように構成したので、非接触で一体でまとまりの良い設置構造にできる効果が得られる。
【0041】
次に、第2の実施形態を図9乃至図10に基づいて説明する。
【0042】
この実施形態が第1の実施形態と異なるのは、可動鉄片11の横方向変位を位置検知手段16としてのマイクロスイッチなどON−OFF信号を出力するスイッチ手段を電磁石8及び可動鉄片11の中心部に少なくとも3個以上備えたことである。第1の実施形態と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
30は位置検知手段16としてのマイクロスイッチなどON−OFF信号を出力するスイッチ手段で、環状保持部材26に設けられ、可動鉄片11の横方向の相対位置を検知するように、異常と判断する所定の検知距離Gで配置される。そして、軸受12の磨耗で可動鉄片11が所定の横方向に変位すると、スイッチ手段30が動作してON又はOFF信号を出力し異常と判断するようになっている。
【0044】
図9乃至図10において、前記スイッチ手段30は少なくとも3個以上設けられる。即ち、図9において、スイッチ手段30aの1個配置ではスイッチ手段30aに向かう方向Fの変位は検知できるが、スイッチ手段30aから離れる方向H、方向Fに対して直角方向Iの変位は検知できない。また、スイッチ手段30a、30bの2個配置では前記1個配置と同様にスイッチ手段30a、30bに向かう方向の変位は検知できるが、2個のスイッチ手段30a、30bから離れる方向Jの変位は検知できない、という問題点がある。
【0045】
そこで、図9のように、例えば、周方向にα=120度間隔に3個のスイッチ手段30a、30b、30cを配置すると検知が可能となる。スイッチ手段30a、30bの中間方向の変位Dに対して、スイッチ手段30a、30bに向かう変位は、D×cos(α/2)=0.5 となって、検知感度が半分になるが、この検知感度低下を考慮してスイッチ手段30a、30bの検知距離Gが設定される。そして、2個のスイッチ手段30a、30bから離れる方向Jの変位はスイッチ手段30cで検知できる。
【0046】
スイッチ手段30b、30c間の検知及びスイッチ手段30c、30a間の検知も同様である。なお、上記ではスイッチ手段30a、30b、30cを周方向にα=120度の等間隔で設置する場合で説明したが、不等間隔で設置しても横方向変位を検知できることは明らかである。この場合は、スイッチ手段30a、30b、30cの設置間隔角度で検知感度が異なるので、それぞれ検知距離Ga,Gb、Gcで設定される。
【0047】
また、図10は周方向にほぼβ=90度間隔に4個のスイッチ手段30a、30b、30c、30dを配置する場合である。図7の3個の場合より検知感度が向上し、例えば、スイッチ手段30a、30bの中間方向の変位Dに対して、スイッチ手段30a、30bに向かう変位は、D×cos(β/2)=0.707 となって、3個の場合よりは感度が向上する。すなわち、スイッチ手段30の配置数が多いほど検知感度が向上する。
【0048】
この実施形態による効果は、前記第1の実施形態と同様に、軸受の磨耗を検知して固渋を防止して信頼性の高い電磁ブレーキが得られるとともに、電磁ブレーキの可動鉄片の横方向変位を位置検知手段としてのマイクロスイッチなどON−OFF信号を出力する汎用のスイッチ手段を3個以上で検知するようにしたので、安価で簡単構成が可能となる。
【0049】
次に、第3の実施形態を図11に基づいて説明する。
【0050】
この実施形態が第1及び2の実施形態と異なるのは、可動鉄片11の横方向変位を位置検知手段16としての圧電センサ、導電センサなど感圧手段を環状保持部材26の内周部に3個以上備えたことである。第1及び2の実施形態と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
図11において、31は感圧手段で、環状保持部材26の内周部に設けられ、前記図4で示した可動鉄片11から立設した検知軸29を介して横方向の相対位置を検知するように、異常と判断する所定の検知間隔Gで配置される。前記図4で示した軸受22の磨耗で可動鉄片11が所定の横方向に変位して検知軸29が感圧手段31に接触すると、感圧手段31がON−OFFの検知信号を出力し異常と判断する。可動鉄片11との検知距離Gは前記第2の実施形態と同様である。そして、この際、第2の実施形態と同様に、感圧手段31を少なくとも3個以上設ける。
【0052】
この実施形態による効果は、前記第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0053】
次に、第4の実施形態を図12に基づいて説明する。
【0054】
この実施形態が第3の実施形態と異なるのは、位置検知手段16としての感圧手段を環状保持部材26の内周部全周に備えたことである。第3の実施形態と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
図12において、32は環状の感圧手段で、環状保持部材26の内周部全周に配置される。可動鉄片11から立設した検知軸29を介して横方向の相対位置を検知するように、異常と判断する所定の検知距離Gで配置される。軸受22の磨耗で可動鉄片11が所定の横方向に変位して検知軸29が感圧手段32に接触すると、感圧手段32が検知信号を出力し異常と判断する。
【0056】
この実施形態による効果は、前記第3の実施形態と同様の効果が得られるとともに、全周検知となるのでの周上位置に関係なく、検知感度が高く均等になる。
【0057】
次に、第5の実施形態を図13乃至図15に基づいて説明する。
【0058】
この実施形態が前記第2乃至4の実施形態と異なるのは、位置検知手段16として、位置の連続検知が可能な差動トランスなど磁気手段又はレーザーセンサなどの光学手段又は静電容量センサなどの静電容量手段を環状保持部材26の周上に備えたことである。第2乃至4の実施形態と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0059】
図13において、33は磁気手段で、環状保持部材26の内周に設けられる。検知軸29を介して可動鉄片11の横方向の相対位置を検知するように、検知子34を検知軸29に接触させて配置する。この磁気手段33は可動鉄片11の横方向変位に対して連続検出し出力するものである。前記図4で示した軸受22の磨耗で可動鉄片11が所定の横方向に変位して、磁気手段33が所定出力となると異常と判断する。
【0060】
図14において、光学手段35又は静電容量手段36が環状保持部材26の内周に設けられる。この光学センサ35又は静電容量センサ36は、検知軸29を介して可動鉄片11の横方向の相対位置を検知するように、検知軸29に対向して非接触で配置され、可動鉄片11の横方向変位に対して連続検知し出力するものである。前記図4で示した軸受22の磨耗で可動鉄片11が所定の横方向に変位して、光学手段35又は静電容量手段36が所定出力となると異常と判断する。
【0061】
なお、前記磁気手段33、光学手段35及び静電容量手段36の位置検出手段16は少なくとも2個以上設けられる。すなわち、図15において、例えば、位置検知手段16aの1個配置の検知方向変位は、位置検知手段16aに向かう方向及び離れる方向ともに検知できるが、位置検知手段16aの検知方向と直角方向の変位は検知できない、という問題点がある。そこで、周方向にほぼγ=90度間隔に2個の位置検知手段16a,16bを配置する。すなわち、前記図9及び図10での説明と同様で、例えば、位置検知手段16a,16bの中間方向の変位Dに対して、位置検知手段16a,16bに向かう方向及び離れる方向の変位はD×cos(γ/2)=0.707 となって、感度が低下するが検知できる。そして、この感度の低下を考慮して位置検知手段16を配置する。また位置検知手段16の配置数が多いほど検知感度が向上する。ただし、2個の位置検知手段がγ=180度となる配置の場合は、2個の位置検知手段を結ぶ直角方向は検知できないので、γ=180度とならないように配置する。そして、位置検出手段16の配置数が多いほど検知感度が向上することは明らかである。
【0062】
この実施形態による効果は、前記第2乃至4の実施形態と同様の効果が得られるとともに、変位に対する出力を連続としたので、少なくとも2個の位置検知手段で位置検知が可能となる。
【0063】
次に、第6の実施形態を図16乃至図18に基づいて説明する。
【0064】
この実施形態が前記第1の実施形態と異なるのは、第1の実施形態で説明した位置検知手段16としての静電容量手段25を電磁石8及び可動鉄片11の外周部に設けたことである。第1の実施形態と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0065】
図16、図17において、25は位置検知手段16としての静電容量手段25であり,26は環状保持部材で可動鉄片11側に配置され、継鉄10側に設けた検知軸29が設けられ、環状保持部材26を貫通する。この環状保持部材26の内周に静電容量手段25の一方側の円筒状導体28を配置する。また、検知軸29を他方側の導体として、前記円筒状導体28を貫通して両導体が間隔を有して構成される。そして、軸受22の磨耗で可動鉄片11が所定の横方向に変位し、検知軸29が変位すると、静電容量手段25の出力が変化するので、この変化量で異常と判断するようになっている。なお、環状保持部材26と検知軸29は逆に配置して、それぞれ継鉄10側、可動鉄片11側に配置しても良い。
【0066】
ところで、本実施形態では、前記図17に示す静電容量手段25の検知軸29を中心にして可動鉄片11が紙面の上下方向の矢印Kになる横方向変位すると検知できない問題がある。そこで、図18に示すように、静電容量手段25を可動鉄片11の周上に少なくとも2個設けることで上記問題が解決できる。
【0067】
なお、上記第1乃至6の実施形態で説明した位置検知手段16による異常の検知信号は、例えば、図1で説明したエレベーターに用いられ、異常と検知した場合はエレベーターを最寄階まで運転し停止させる。この結果、信頼性の高いエレベーターが得られる。
【0068】
この実施形態による効果は、前記第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、静電容量手段を電磁石及び可動鉄片の外周部に設けたので、静電容量手段の取付けが簡単になる。
【符号の説明】
【0069】
1 ブレーキドラム
2 電磁ブレーキ装置
2a、2b 電磁ブレーキ
3 制動片
4 制動腕
5 制動ばね
8 電磁石
11 可動鉄片
16 位置検知手段
17 巻上機
17a 電動機
18 駆動シーブ
19 ワイヤロープ
20 乗かご
21 つり合いおもり
30、30a、30b、30c、30d スイッチ手段
31 感圧手段
33 磁気手段
35 光学手段
36 静電容量手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制動ばねで制動片に直接又は連動手段としての制動腕を介して押圧力を与えて、被制動体としてのブレーキドラムを押圧し制動力を付加し、電磁石で可動鉄片を電磁吸引し出力して、制動片を直接又は連動手段を介して駆動し制動力を解除するように構成され、この電磁石と可動鉄片の相対位置を位置検知手段で検知するようにした電磁ブレーキにおいて、
前記電磁石と可動鉄片の相対位置を、可動鉄片の電磁吸引の出力方向に対して横方向変位で検知するようにすると共に、前記横方向変位は、前記可動鉄片又は前記電磁石のいずれかの一方に環状保持部材を、他方に前記環状保持部材を挿通するように検知軸をそれぞれ固定して設けた位置検知手段で検知するようにしたことを特徴とする電磁ブレーキ。
【請求項2】
前記環状保持部材は前記可動鉄片又は前記電磁石のいずれかの一方と同心状に、前記検知軸は前記環状保持部材が設けられた前記可動鉄片又は前記電磁石とは他方と同心状に設けられたことを特徴とする請求項1記載の電磁ブレーキ。
【請求項3】
前記位置検知手段は、スイッチ手段、感圧手段、静電容量手段、磁気手段、光学手段のいずれかによるものであることを特徴とする請求項1記載の電磁ブレーキ。
【請求項4】
前記位置検知手段は、検知出力がON−OFF信号の場合は少なくとも3個設けたことを特徴とする請求項1記載の電磁ブレーキ。
【請求項5】
前記位置検知手段は、検知出力が連続の場合は少なくとも2個設け、設置角度を180度とならないように配置したことを特徴とする請求項1記載の電磁ブレーキ。
【請求項6】
一方に乗かご、他方側につり合いおもりを係合するワイヤロープが巻き掛けられる駆動シーブと、この駆動シーブを駆動する電動機と、前記駆動シーブ及び電動機を制動する電磁ブレーキ装置とで構成される巻上機を備え、前記電磁ブレーキ装置を、制動ばねで制動片に直接又は連動手段としての制動腕を介して押圧力を与えて、被制動体としてのブレーキドラムを押圧し制動力を付加し、電磁コイルと継鉄とからなる電磁石で可動鉄片を電磁吸引し出力して、制動片を直接又は連動手段を介して駆動し制動力を解除するように構成し、この電磁石と可動鉄片の相対位置を位置検知手段で検知するようにした電磁ブレーキを備えたエレベーター装置において、
前記位置検知手段は、前記電磁石と可動鉄片の相対位置を、可動鉄片の電磁吸引の出力方向に対して横方向変位で検知するようにすると共に、前記横方向変位は、前記可動鉄片又は前記電磁石のいずれかの一方に環状保持部材を、他方に前記環状保持部材を挿通するように検知軸をそれぞれ固定して設けた位置検知手段で検知するようにしたことを特徴とするエレベーター装置。
【請求項1】
制動ばねで制動片に直接又は連動手段としての制動腕を介して押圧力を与えて、被制動体としてのブレーキドラムを押圧し制動力を付加し、電磁石で可動鉄片を電磁吸引し出力して、制動片を直接又は連動手段を介して駆動し制動力を解除するように構成され、この電磁石と可動鉄片の相対位置を位置検知手段で検知するようにした電磁ブレーキにおいて、
前記電磁石と可動鉄片の相対位置を、可動鉄片の電磁吸引の出力方向に対して横方向変位で検知するようにすると共に、前記横方向変位は、前記可動鉄片又は前記電磁石のいずれかの一方に環状保持部材を、他方に前記環状保持部材を挿通するように検知軸をそれぞれ固定して設けた位置検知手段で検知するようにしたことを特徴とする電磁ブレーキ。
【請求項2】
前記環状保持部材は前記可動鉄片又は前記電磁石のいずれかの一方と同心状に、前記検知軸は前記環状保持部材が設けられた前記可動鉄片又は前記電磁石とは他方と同心状に設けられたことを特徴とする請求項1記載の電磁ブレーキ。
【請求項3】
前記位置検知手段は、スイッチ手段、感圧手段、静電容量手段、磁気手段、光学手段のいずれかによるものであることを特徴とする請求項1記載の電磁ブレーキ。
【請求項4】
前記位置検知手段は、検知出力がON−OFF信号の場合は少なくとも3個設けたことを特徴とする請求項1記載の電磁ブレーキ。
【請求項5】
前記位置検知手段は、検知出力が連続の場合は少なくとも2個設け、設置角度を180度とならないように配置したことを特徴とする請求項1記載の電磁ブレーキ。
【請求項6】
一方に乗かご、他方側につり合いおもりを係合するワイヤロープが巻き掛けられる駆動シーブと、この駆動シーブを駆動する電動機と、前記駆動シーブ及び電動機を制動する電磁ブレーキ装置とで構成される巻上機を備え、前記電磁ブレーキ装置を、制動ばねで制動片に直接又は連動手段としての制動腕を介して押圧力を与えて、被制動体としてのブレーキドラムを押圧し制動力を付加し、電磁コイルと継鉄とからなる電磁石で可動鉄片を電磁吸引し出力して、制動片を直接又は連動手段を介して駆動し制動力を解除するように構成し、この電磁石と可動鉄片の相対位置を位置検知手段で検知するようにした電磁ブレーキを備えたエレベーター装置において、
前記位置検知手段は、前記電磁石と可動鉄片の相対位置を、可動鉄片の電磁吸引の出力方向に対して横方向変位で検知するようにすると共に、前記横方向変位は、前記可動鉄片又は前記電磁石のいずれかの一方に環状保持部材を、他方に前記環状保持部材を挿通するように検知軸をそれぞれ固定して設けた位置検知手段で検知するようにしたことを特徴とするエレベーター装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−52606(P2012−52606A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195994(P2010−195994)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(503180948)水戸エンジニアリングサービス株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(503180948)水戸エンジニアリングサービス株式会社 (33)
【Fターム(参考)】
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