説明

電磁弁及び空気圧式マッサージ装置

【課題】 逆止弁付き電磁弁の小型化・軽量化を図る。
【解決手段】ソレノイド14に電圧が印加された場合には、プランジャー16を第2端壁22に向けて動かし、第2弁体48の環状の弁座係合部64が流体出口26の周りの弁座に弾性変形しながら押圧されて流体出口26を閉じ、弁押え部材46が第1弁体52から離れた状態となる。この場合には、第1弁体52は、流体入口24の外側の圧力が高い場合には、流体が内部に流入するように作用し、内側の圧力が高い場合には、流体の出入りは行えないように作用する逆止弁として機能する。一方、ソレノイド14に電圧が印加されていない場合には、プランジャー16は圧縮バネ60により、流体入口側に付勢される。このため、弁押え部材46が第1弁体52を流体入口24の弁座に押さえつけて、流体入口24を閉鎖する。また、流体出口26では、第2弁体48が流体出口26の弁座から離れるため、開放状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソレノイドにより駆動される電磁弁、及びその電磁弁を使用した空気圧式マッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の空気室を備え、該空気室を順次膨張収縮させることにより身体に作用する空気圧式マッサージ装置においては、一般的に、その空気室に対する給排気制御のために、空気室に対応する数の電磁弁が使用されている。(特許文献1参照)
【0003】
図1は、そのような電磁弁の一例を示す。
【0004】
この電磁弁100は、筒状のハウジング112と、該ハウジング内に設けられたソレノイドコイル(本明細書においては、単に「ソレノイド」とする)114と、該ソレノイドの作動によってハウジングの軸線方向で変位する可動弁116とを有しており、ソレノイドへの電圧の印加とその停止を繰り返すことにより、可動弁116が往復し、ハウジング112の流体入口124及び流体出口126を交互に閉じるように作用する。ハウジング112の流体入口124側には逆止弁102が取り付けられており、該逆止弁102はダックビル式の弁118を有し、流体源接続口130からの流入を許容するが、流出を遮るように作用する。
【0005】
これを空気圧マッサージ装置に用いる場合には、当該マッサージ装置の複数の空気室に対応して該電磁弁を設け、ポンプからのホースに流体源接続口130を接続し、流体出入口128に空気圧式マッサージ装置の空気室を接続し、流体出口126を大気に開放するようにする。このマッサージ装置を作動させるときには、先ず、マッサージ装置の第1の空気室に対応する電磁弁のソレノイドに電圧を印加し、流体入口124を開き、流体出口126を閉じた状態にする。これにより、ポンプからの加圧空気が該電磁弁を通して第1の空気室に供給され、第1の空気室が膨張する。第1の空気室内の圧力が所定値になると、第2の空気室の電磁弁が作動し、この第2の空気室への空気供給が開始され、そのことによってポンプからのホース内の圧力は下がる。このため、第1の空気室に対応する電磁弁における逆止弁118が流体源接続口130を閉じ、加圧空気が第1の空気室からホース側へ逆流するのを阻止する。所定のタイミングで、該第1の空気室に対応する電磁弁のソレノイド114への電圧印加を停止すると、その流体出口126を開いて流体入口124を閉じた状態となり、第1の空気室内の加圧空気は該流体出口126を介して大気に開放される。同様にして、第2、第3以降の電磁弁を順次作動させることにより、各空気室が順次膨張収縮を繰り返し、マッサージ作用が行われる。
【0006】
図2は、図1のダックビル式の弁118を備えた逆止弁102の代わりにアンブレラタイプ218の弁を備えた逆止弁202を取り付けた場合の電磁弁200を示している。このアンブレラタイプの弁は、流体の流入時に共振音が発生する慮がある。
【特許文献1】特開2000−189477号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように人体に装着される空気圧式マッサージ装置においては、より良いマッサージ効果を得る等の為に空気室を多くする傾向があり、従って、特にそのような装置に使用する電磁弁においては小型化・軽量化が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような点に鑑みてされたものであり、
流体入口(以下の実施形態の説明において参照番号24で示す)と流体出口(26)と流体出入口(28)とを有するハウジング(12)と、
該ハウジング内に設けられるソレノイド(14)と、
該ハウジング内において、該ソレノイドの作動により第1位置と第2位置との間で変位されるプランジャー(16)と、
ハウジング内に取り付けられて、該流体入口(24)を通りハウジング(12)内に流体が流入するのを許容し、流出するのを阻止する逆止弁として作用する第1弁体(52)と、
該プランジャー(16)に連結された弁抑え部材(46)であって、該プランジャーが第2位置にあるときに、該第1弁体(52)を該流体入口(24)の周りの弁座に押し付けて、該流体入口を閉じるとともに、該プランジャーが該第1位置にあるとき(図3の位置)には該第1弁体から離れるようにされた弁押え部材(46)と、
を備える電磁弁を提供する。
【0009】
この電磁弁では、プランジャーが第1位置にある場合であって、流体入口の外側の圧力(具体的には該流体入口が接続される流体源側の圧力)が内部の圧力(ハウジング内の圧力)より高い場合には、弁体(52)が開いて該流体入口(24)を通して流体を流入させ、その逆の場合には流体の流入出は行われないように作用する。一方、プランジャーが第2位置にある場合には、弁体(52)が弁押え部材(46)により流体入口(24)の周りの弁座に押し付けられ、該流体入口(24)の内外の圧力に関係なく該流体入口(24)を通しての流体の流入出ができないようにする。すなわち、この電磁弁では、1つの弁体(52)が、前述の従来のこの種電磁弁における逆止弁102と流体入口を開閉する可動弁(116)とを兼用するにようになっており、小型化・軽量化を図ることができる。
【0010】
具体的には、
該第1弁体(52)が、可撓性を有する平板状部材から形成されて該弁座に接するように設定され、
該弁押え部材(46)が、該プランジャーが該第2位置にあるときに、該弁座よりも半径方向内側において該第1弁体(52)に係合し流体入口(24)に向けて押圧することにより該第1弁体を該弁座に押し付けるようにすることができる。
【0011】
該弁座が円形とされ、
該プランジャー(16)が、該流体入口(24)の中心軸線の延長線に沿って変位するようになされ、
該弁押え部材(46)が、該中心軸線を中心に該第1弁体(52)に向って凸状の弁押圧面(46−2)を有し、該弁押圧面で該第1弁体を押圧するようにすることができる。
【0012】
より具体的には、該弁押圧面を球面状とすることができる。
【0013】
このようにすることにより、弁押え部材(46)が第1弁体(52)を押圧すると、該第1弁体は、流体入口(24)に向けて凸状に撓み、流体入口の周囲の弁座に、その全周にわたって確実に係合され、密封が図られる。これは、弁押え部材が弁座に対応する円環状の押圧部を有し、これによって第1弁体を弁座に押圧するときに、該弁押え部材が傾いたりした場合に、押圧部による弁座の全周にわたる確実な押圧が難しくなるのに対し、上記のようにした弁押え部材によれば、そのような問題を解消することができる。
【0014】
また、第1弁体(52)は、一端部分がハウジングの内壁面に取り付けられて、該一端部分を中心に枢動して該弁座に対して接離して該流体入口を開閉する逆止弁部分を有するようにすることができる。
【0015】
より具体的には、
該ハウジングは、筒状壁(18)と、該筒状壁の両端を閉じる第1及び第2端壁(20,22)とを有し、
該流体入口(24)は、第1端壁を貫通するように形成されており、
該第1弁体(52)は、可撓性を有する板状部材から形成され、該第1端壁(20)と該筒状壁(18)との間に密封係合されて固定される周囲部分(52−2)と、該弁座に対して接離動作可能とされた中央部分(52−1)と、該中央部分と該周囲部分とを連結する接続部分(52−3)とを有し、該中央部分(52−1)が該接続部分を中心として該枢動を行い該逆止弁部分として作用するようにすることができる。
【0016】
更に、該プランジャー(16)を第1位置から第2位置へ変位させる方向に付勢するバネ部材(60)を更に備え、
該流体出口(26)は、第2端壁(22)を貫通するように形成され、
該流体出入口)26)は筒状壁(18)を貫通するように形成され、
該プランジャー(16)は、該ソレノイド(14)に吸引されることにより、第2位置から第1位置に変位するようにされ、
該プランジャー(16)は、それが第1位置にあるときに、該流体出口の周りの弁座と係合して該流体出口を閉じる第2弁体(48)を有するようにすることができる。
【0017】
具体的には、
該第2弁体(48)は、該流体出口(26)に向うに従い半径方向外側に広がる円錐形状となされた可撓性弁座係合部(64)を有し、該プランジャーが第1位置になるときに、該可撓性弁座係合部が該流体出口の周りの弁座と係合することにより半径方向に拡がるように弾性変形しながら該弁座に対する所定の位置まで近づくようにすることができる。
【0018】
この場合には、流体出口を閉じる際に、小さな押圧力で、第2の弁体の弁座係合部が弾性変形を伴いながら流体出口の周りの弁座に係合して流体出口を確実に閉じることができるため、ソレノイドをより小型軽量のものとすることができる。また、この弁座係合部の弁座への圧縮代を大きくすることができるため、製作誤差の集積を吸収して流体出口の開閉を確実に行なうことを可能とする。
【0019】
本発明はまた、
身体に装着されるようになされ、複数の空気室(340)を有し、該空気室に対し加圧空気を供給排出して、該空気室を膨張収縮させることにより身体に作用するマッサージ具(312)と、
該マッサージ具(312)とは別体に用意され、該空気室に加圧空気を供給するためのポンプ(342)と、
を有するマッサージ装置であって、
各空気室(340)に対応して設けられ、それぞれが、対応する空気室に対する該加圧空気の供給排出を制御するように設定された上述の如き電磁弁(10)と、を備え、各電磁弁の該流体入口(24)が、該ポンプからの空気供給ホース(325)に連通され、該流体出口(26)が大気に連通され、該流体出入口(28)が対応する空気室に連通されている空気圧式マッサージ装置を提供する。具体的には、該電磁弁が、該マッサージ具に取り付けられる。
【0020】
この空気圧式マッサージ装置で用いられている電磁弁は、前述の如く、従来のものに比べて小型化軽量化が行われているので、当該空気圧式マッサージ装置は、空気室の数に応じて多数の電磁弁が用いられていても全体の重量を軽量化することができ、使用しやすいものとなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の電磁弁においては、1つの弁体が、前述の従来のこの種電磁弁における逆止弁と流体入口を開閉する弁体とを兼用するにようになっており、当該電磁弁の小型化・軽量化を図ることができる。また、このような電磁弁を用いた本発明に係る空気圧式マッサージ装置は、より多くの空気室を設ける最近の傾向において、軽量で使い勝手のよいものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明に係る電磁弁の実施形態につき図3及び図4に基づき説明する。
【0023】
図3は本発明の実施形態に係る電磁弁の断面を表す図である。図3に示されるように、電磁弁10は、筒状のハウジング12と、該ハウジングに設けられたソレノイド14と、該ソレノイド14に電圧が印加されることにより、ハウジングの軸線方向で変位するプランジャー16とを有している。
【0024】
ハウジング12は、筒状壁18、第1端壁20、及び、第2端壁22を有している。第1端壁20には流体入口24、第2端壁には流体出口26、筒状壁18には流体出入口28が、それぞれを貫通するように設けられている。
【0025】
プランジャー16は、該ソレノイドの軸線に沿う貫通孔を貫通して延びるロッド42と、ソレノイド14の流体入口24側で、該ロッド42に固定され、鉄等の磁性体からなる円盤状のアーマチュア44とを有する。ロッド42の左端には弁押え部材46が取り付けられ、ロッド42の右端には、第2弁体48が取り付けられている。該第2弁体48に隣接してバネ受け部50がロッド42に取り付けられ、該バネ受け部50と第2端壁との間には圧縮バネ60が設けられて、プランジャー16を流体入口側に付勢している。
【0026】
第1弁体52は、ゴムなどのエラストマー材からなる可撓性のある板状部材から作られ、筒状壁18と第1端壁20との間に挟まれて、筒状壁18の内壁面に接するように設定されている。図4に示されるように、該第1弁体は、全体として、C字状の穴52−4が設けられた略円形しており、中央部分52−1と、周囲部分52−2と、接続部分52−3とから構成されている。中央部分52−1は、流体入口24を内側から覆うことのできる大きさの略円形であり、流体入口内側の周囲の弁座部分と係合した場合には、流体入口を閉鎖するように作用する。周囲部分52−2は、第1端壁20と筒状壁18との結合部に生じる溝に密封係合されることにより、第1弁体52全体をハウジングに対して固定すると共に、第1端壁20と筒状壁18との隙間からの流体漏れを防ぐシール部材としても作用している。
【0027】
弁押え部材46は、樹脂や金属等から形成され、第1弁体52を流体入口の周りの弁座に押圧するための環状の突起部66を有している。一方、第2弁体48は、第2端壁22に対向する面に設けられる弁座係合部64を有し、弁座係合部64は、第2端壁22に向うに従い半径方向外側に広がる円錐形状とされている。
【0028】
ハウジング12には、筒状壁18の内面に環状のソレノイド支持壁40が形成されており、ソレノイド14がハウジング12に対して同軸状にして固定されている。また、ソレノイド支持壁40には、通気口41が設けられている(図8参照)。
【0029】
次に、上述した電磁弁10の動作について説明する。
【0030】
ソレノイド14に電圧が印加されると、ソレノイド14で発生する磁力によりアーマチュア44がソレノイド14の端面に吸着され、プランジャー16が第2端壁22に向けて動かされ、図3に示す状態とする。この状態では、第2弁体48の環状の弁座係合部64が流体出口26の周りの弁座に弾性変形しながら押圧されて流体出口26を閉じ、弁押え部材46が第1弁体52から離れた状態とされる。
【0031】
この場合には、流体入口24の開閉は第1弁体52の逆止弁作用に委ねられる。すなわち、流体入口外側の圧力が内側の圧力より高い場合には、その差圧によって、第1弁体52の中央部分52−1が流体入口外側から押されて流体入口を開放し、接続部分52−3が弾性的に湾曲した状態となる。流体入口の内外圧力が逆の場合には、中央部分52−1が流体入口24の周りの弁座に押し付けられて流体入口24は閉鎖状態となる。すなわち、第1弁体52の中央部分52−1は、流体入口の逆止弁として作用する。
【0032】
一方、ソレノイド14に電圧が印加されていない場合には、プランジャー16は圧縮バネ60により、流体入口側に変位され、弁押え部材46が第1弁体52を流体入口24の弁座に押圧し、流体入口24を閉鎖する。また、流体出口26では、第2弁体48が流体出口26の弁座から離れるため、開放状態となる。
【0033】
図5及び図6は、上記電磁弁における弁押え部材46の他の実施形態を示している。
【0034】
すなわち、この弁押え部材46は、第1弁体52に面する前面46−1が、該第1弁体に向う凸状の湾曲面を備えている。具体的には、第1端壁20を貫通して該第1端壁20の内面に開口する流体入口24の端部開口が円形とされ、従って、第1端壁20の内面における該端部開口の周囲の弁座が円形とされ、該弁押え部材46が該流体入口24の中心軸線に沿って(図で見て)左右に動くようになっており、当該弁押え部材46の前面が該中心軸線を中心に該第1弁体に向かって凸状の球面状とされた弁押圧部46−2と、該弁押圧部の周囲の環状部46−3とを備えている。このようにすることにより、プランジャーが第2位置に動かされて、弁押え部材46が第1弁体52を、図6に示すように押圧するときには、球面状とされた弁押圧部46−2の先端中心が先ず、平板状とされている第1弁体52の中央部分52−1の中心に当接し、次第に、該中央部分を弁押圧部46−2に倣い流体入口24の外側に向って湾曲させるようにしながら、当該中央部分52−1を弁座(特に、弁座の内側縁を形成している流体入口24の端部開口の円形周縁)に押圧する。球面状の弁押圧部46−2は、流体入口24の端部開口の直径より外側まで延びるようにされており、従って、該第1弁体の中央部分52−1は、該弁押圧部の球面湾曲以上に湾曲されることはない。
【0035】
この実施形態に係る弁押え部材46では、第1弁体の中央部分52−1における流体入口24の端部開口の周縁より内側を流体入口24に向けて押圧させて、当該中央部分を弁座に押圧するようにしているので、弁押え部材が少々傾いても、弁座の全周に対して押圧を生じることができ、確実な密封を可能としている。
【0036】
図7は、以上の如き電磁弁を使用した空気圧式マッサージ器300を示している。
【0037】
すなわち、この空気圧式マッサージ器300は、使用者の左右の下肢の周りに装着される一対の筒状のマッサージ具312と、該マッサージ具の装着者の近くの床などの上に置かれるポンプ342を備えたマッサージ器本体314とを有している。ポンプ342からの加圧空気を供給するホース325は、タンク341を介して該マッサージ具312の長さ方向に延び、該マッサージ具312の長さ方向に沿って順次配置されている空気室340に対応して設けられている電磁弁10に接続されている。マッサージ器本体は、制御器350を備えており、制御信号線326を介して、電磁弁を制御するようになっている。
【0038】
この場合、電磁弁10は、その流体入口24がホース325に連通され、流体出入口28がマッサージ器の空気室340に連通され、流体出口26は大気に連通されるように設定される。
【0039】
このマッサージ器300を作動させる場合には、マッサージ具312の長さ方向に沿って順次並べられた空気室を所定の順序で順次膨張収縮させる。各空気室の膨張収縮は次のようにして行われる。まず、ソレノイド14に電圧を印加して、プランジャー16を第2端壁側に動かすことにより流体出口26を閉ざし、弁押え部材46を第1弁体から離す。これにより、第1弁体52はポンプからの加圧空気によって開かれ、加圧空気が空気室に流入して該空気室が膨張する。該空気室内部の圧力が所定値に達すると、プランジャーはそのままの位置に保持されるが、第1弁体52が逆止弁として作用し、電磁弁側からホース側へ加圧空気が逆流するのを防止する。次に、所定のタイミングでソレノイド14への電圧印加が止められると、バネ部材60がプランジャー16を流体入口側に動かし、弁押え部材46により第1弁体52を流体入口24の周りの弁座に押圧して該流体入口を閉じると共に流体出口26が開放され、このため、加圧された空気室の加圧空気は、ハウジング12内を通り、流体出口26から大気に放出されて空気室は収縮する。このとき、ソレノイド14は、ハウジング内を流れる加圧空気のために強制冷却される。このようにソレノイド14への電圧の印加とその停止を繰り返すことにより、空気室の膨張及び収縮を繰り返すことができ、マッサージ器として身体に対して作用することができる。
【0040】
以上から分かるように、本発明によれば逆止弁機能を備えた小型軽量の電磁弁を提供することができる。従って、身体に装着して用いる空気圧式のマッサージ器への給排気制御にこの電磁弁を用いれば、当該マッサージ器を軽量化し利便性の高いものにすることができる。
【0041】
また、第2弁体の弁座係合部64が、第2端壁に向うに従って半径方向に広がる円錐形状とされているので、当該弁座係合部64の圧縮代が大きく、また、圧縮の大きさに対して反発力の変化が小さく、流体出口26を、当該電磁弁の製作誤差の集積があったとしても、適正に閉止するのを可能とする。
【0042】
なお、本発明の電磁弁は、空気圧式マッサージ装置に限らず、逆止弁と電磁弁を組み合わせて使用すべき装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】逆止弁が取り付けられた電磁弁の従来例1の断面図である。
【図2】逆止弁が取り付けられた電磁弁の従来例2の断面図である。
【図3】本発明の電磁弁の断面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】他の実施形態に係る弁押え部材を備えた電磁弁の要部断面図で、弁押え部材が第1弁体から離れている状態を示す。
【図6】図5と同じ断面図で、弁押え部材が第1弁体を押圧している状態を示す。
【図7】本発明の一実施形態である空圧式マッサージ器の概要を示す図である。
【図8】図3のB−B線断面図である。
【符号の説明】
【0044】
10 電磁弁;12 ハウジング;14 ソレノイド;16 プランジャー;18 筒状壁;20 第1端壁;22 第2端壁;24 流体入口;26 流体出口;28 流体出入口;40 コイル支持壁;41 開口;42 ロッド;44 アーマチュア;46 弁押え部材;46−1 前面;46−2 弁押圧部;46−2 環状部;48 第2弁体;50 バネ受け部;52 第1弁体;52−1 中央部分;52−2 周囲部分;52−3 接続部分;52−4 穴;60 圧縮バネ(バネ部材);64 弁座係合部;300 空圧式マッサージ器;312 マッサージ具;314 マッサージ器本体;325 ホース;326 制御信号線;340 空気室;341 タンク;342 ポンプ;350 制御装置;

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体入口と流体出入口とを有するハウジングと、
該ハウジング内に設けられるソレノイドと、
該ハウジング内において、該ソレノイドの作動により第1位置と第2位置との間で変位されるプランジャーと、
ハウジング内に取り付けられて、該流体入口を通りハウジング内に流体が流入するのを許容し、流出するのを阻止する逆止弁として作用する第1弁体と、
該プランジャーに連結された弁押え部材であって、該プランジャーが第2位置にあるときに、該第1弁体を該流体入口の周りの弁座に押し付けて、該流体入口を閉じるとともに、該プランジャーが該第1位置にあるときには該第1弁体から離れるようにされた弁押え部材と、
を備える電磁弁。
【請求項2】
該第1弁体が、可撓性を有する平板状部材から形成されて該弁座に接するように設定され、
該弁押え部材が、該プランジャーが該第2位置にあるときに、該弁座よりも半径方向内側において該第1弁体に係合し該流体入口に向けて押圧することにより該第1弁体を該弁座に押し付けるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電磁弁
【請求項3】
該弁座が円形とされ、
該プランジャーが、該流体入口の中心軸線の延長線に沿って変位するようになされ、
該弁押え部材が、該中心軸線を中心に該第1弁体に向って凸状の弁押圧面を有し、該弁押圧面で該第1弁体を押圧するようにされていることを特徴とする請求項2に記載の電磁弁。
【請求項4】
該弁押圧面が球面状とされていることを特徴とする請求項3に記載の電磁弁。
【請求項5】
該第1弁体は、一端部分がハウジングの内壁面に取り付けられて、該一端部分を中心に枢動して該弁座に対して接離して該流体入口を開閉する逆止弁部分を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電磁弁。
【請求項6】
該ハウジングは、筒状壁と、該筒状壁の両端を閉じる第1及び第2端壁とを有し、
該流体入口は、第1端壁を貫通するように形成されており、
該第1弁体は、可撓性を有する板状部材から形成され、該第1端壁と該筒状壁との間に密封係合されて固定される周囲部分と、該弁座に対して接離動作可能とされた中央部分と、該中央部分と該周囲部分とを連結する接続部分とを有し、該中央部分は該接続部分を中心として該枢動を行い該逆止弁部分として作用するようにされていることを特徴とする請求項5に記載の電磁弁。
【請求項7】
該プランジャーを第1位置から第2位置へ変位させる方向に付勢するバネ部材を更に備え、
該流体出口は、第2端壁を貫通するように形成されており、
該流体出入口は筒状壁を貫通するように形成され、
該プランジャーは、該ソレノイドに吸引されることにより、第2位置から第1位置に変位するようにされ
該プランジャーは、それが第1位置にあるときに、該流体出口の周りの弁座と係合して該流体出口を閉じる第2弁体を有することを特徴とする請求項6に記載の電磁弁。
【請求項8】
該第2弁体は、該流体出口に向うに従い半径方向外側に広がる円錐形状となされた可撓性弁座係合部を有し、該プランジャーが第1位置になるときに、該可撓性弁座係合部が該流体出口の周りの弁座と係合することにより半径方向に拡がるように弾性変形しながら該弁座に対する所定の位置まで近づくようにしたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電磁弁。
【請求項9】
身体に装着されるようになされ、複数の空気室を有し、該空気室に対し加圧空気を供給排出して、該空気室を膨張収縮させることにより身体に作用するマッサージ具と、
該マッサージ具とは別体に用意され、該空気室に加圧空気を供給するためのポンプと、
を有するマッサージ装置であって、
各空気室に対応して設けられ、それぞれが、対応する空気室に対する該加圧空気の供給排出を制御するように設定された請求項1〜8のいずれか一項に記載の電磁弁と、を備え、各電磁弁の該流体入口が、該ポンプからの空気供給ホースに連通され、該流体出口が大気に連通され、該流体出入口が対応する空気室に連通されている空気圧式マッサージ装置。
【請求項10】
該電磁弁が、該マッサージ具に取り付けられていることを特徴とする請求項9に記載の空気圧式マッサージ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−32204(P2008−32204A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−295757(P2006−295757)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000227386)日東工器株式会社 (158)
【Fターム(参考)】