電磁式ポンプおよび水処理システム
【課題】駆動音が小さく、商用電源の周波数が異なる地域で使用した場合でも、同一の性能を得ることができる電磁式ポンプ、および、それを用いた水処理システムを提供する。
【解決手段】本発明の電磁式ポンプ1は、ダイヤフラム4を有するポンプ室41と、該ダイヤフラム4に取り付けられた振動子3と、該振動子3に固定された永久磁石10と、該永久磁石10と対向する電磁石9とを備え、電磁石9に交流電流を供給することによって発生する磁力線と永久磁石の磁力線との吸引力および反発力によって振動子3を振動させてダイヤフラム4を変形させ、これによって、ポンプ室41内の空気を圧縮吐出する電磁式ポンプであって、電磁石9に供給する交流電流の周波数を、商用電源から供給される交流電流の周波数と異なる値であって、商用電源からの交流電流を直接電磁石9に供給した場合よりも駆動音が小さくなる周波数に設定するように構成されている。
【解決手段】本発明の電磁式ポンプ1は、ダイヤフラム4を有するポンプ室41と、該ダイヤフラム4に取り付けられた振動子3と、該振動子3に固定された永久磁石10と、該永久磁石10と対向する電磁石9とを備え、電磁石9に交流電流を供給することによって発生する磁力線と永久磁石の磁力線との吸引力および反発力によって振動子3を振動させてダイヤフラム4を変形させ、これによって、ポンプ室41内の空気を圧縮吐出する電磁式ポンプであって、電磁石9に供給する交流電流の周波数を、商用電源から供給される交流電流の周波数と異なる値であって、商用電源からの交流電流を直接電磁石9に供給した場合よりも駆動音が小さくなる周波数に設定するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石と電磁石との吸引力・反発力を利用して空気を圧縮して吐出する電磁式ポンプ、および、それを用いた水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁式ポンプは、振動子に固定された永久磁石と、該永久磁石と対向する電磁石との吸引力・反発力を利用して振動子を振動させ、振動子に連結されるゴム状ダイヤフラムの弾性変形によって、ケーシング内の空気を圧縮し吐出する。電磁式ポンプの基本性能としては、所定の吐出圧力下における、空気量、消費電力、駆動音などがあり、電磁式ポンプと接続する装置により各性能に関する制約がある。また、電磁石への電源供給は、商用電源に直接接続する方法が一般的とされており、電磁石に供給される電圧及びその周波数は、当然ながら商用電源と同一となる。
一方、電磁式ポンプの出力制御方法として、商用交流電源のスイッチングにより、ポンプの出力を制御する方法が開示されている(特許文献1参照。)。その効果としては、ダイヤフラムの励振周波数が調整可能となり、これにより低騒音化を図ることができること、さらには、外部条件を検知して、その信号をポンプの制御信号として入力することにより、省電力化を図ることができることなどが挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−103147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来より、電磁式ポンプの制御方法としては、間欠駆動、出力制御による定格運転以下のポンプ駆動等種々の検討がなされているが、何れの場合も電磁式ポンプの基本性能である空気量の低下に繋がる。また、電磁石を駆動する交流電流の周波数が、商用電源の周波数であるため、振動子から伝達される振動と共振し、駆動音が大きくなる。このため、近隣住民の騒音へのクレームに繋がるケースもある。
【0005】
更に、商用電源の周波数が異なる地域間では、騒音レベルが異なったり、空気量、消費電力等の基本スペックに差が生じたり等の問題もある。その対応として、各電磁式ポンプに、地域毎の周波数に合わせた電磁石を別々に搭載する方法もあるが、品種数の増大、開発コストアップの要因となる。
【0006】
また、これら電磁式ポンプは、浄化槽等の水処理システムと組み合わせられる場合がある。この場合に、地域間で商用電源の周波数が異なること、さらには商用電源に電圧変動が生じることによって、その水処理システムの諸性能が異なる問題も少なからず生じている。
浄化槽に関して、より具体的に述べると、現在流通しているほとんどの浄化槽には、処理水を前処理装置に循環させる循環エアリフトポンプが搭載されている。
循環エアリフトポンプの駆動源は、電磁式ポンプから吐出する空気であり、この駆動源となる空気は、浄化槽内で、電磁式ポンプを好気処理槽の散気管に繋ぐ空気配管から分岐して供給される。
【0007】
ここで、循環エアリフトポンプの駆動に必要な空気量は、好気処理に必要な空気(散気)量に比較して少なく、例えば、戸建住宅用の浄化槽では、好気処理の散気量数十L/分に対し、循環エアリフトポンプの駆動空気量は数L/分程度である。
処理水の循環は、浄化槽の処理性能を大きく左右し、浄化槽への流入量に対して循環量が多過ぎれば、前処理機能の破綻を引き起こし、少な過ぎれば、好気処理不足や窒素除去能力不足になる等、セッティングが難しい。そのため、循環エアリフトポンプを浄化槽内に設置するには、管径・管長・浸漬率等の綿密な設計が必要になるが、最も重要なファクターは空気量である。循環量の増減は空気量の増減と比例する。空気量の微調整は、空気配管にバルブを設置し行われるが、この調整にも限界があるため、安定した空気量の供給が望まれる。
【0008】
しかしながら、従来の電磁式ポンプの吐出空気量は、地域毎に商用電源の周波数(50Hzと60Hz)が異なることや、商用電源から供給される電流の電圧降下等によって、数L/分から多い場合には十数L/分の変動があり、この変動が、上述の循環エアリフトポンプの機能に多大な影響を与え、ひいては浄化槽の処理性能に多大な影響を与えていた。
【0009】
なお、地域毎に対応する浄化槽、例えば50Hz地区には50Hz地区用浄化槽、60Hz地区には60Hz地区用浄化槽を用意すれば、この問題は解決されるのだが、2種類の浄化槽を製作することになり、生産効率が悪く、在庫管理も手間が増え、浄化槽生産メーカの収益を圧迫する。また、50Hzと60Hzが混在する地区では、50Hz地区用と60Hz地区用の浄化槽が間違って設置される恐れもあり、50Hz地区用と60Hz地区用の2種類用意することは現実的ではない。
【0010】
また、近年、流量調整機能を持った浄化槽が多数生産されるようになっている。この流量調整には流量調整エアリフトポンプが使われることが多く、上述の循環エアリフトポンプと同様の懸念がある。
こうした浄化槽以外にも、電磁式ポンプを接続するシステムの品種は年々増加傾向にあるが、必要な空気量に多少の違いがある場合でも、その都度、電磁石のスペックを違えた品揃えが必要となり、電磁式ポンプの標準化が進み難い状況にある。
さらには、低炭素型循環型社会の実現に向けた、省エネルギー性能に関する要求も年々高まりつつあり、電磁式ポンプに関しても上述した空気量の確保、駆動音の低減と同じく、消費電力の削減が望まれるところである。
【0011】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、駆動音が小さく、商用電源の周波数が異なる地域で使用した場合でも、同一の性能を得ることができ、さらには、商用電源の電圧が低下した場合であっても、その影響を受け難い電磁式ポンプ、および、それを用いた水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を有する。
(1)ダイヤフラムを有するポンプ室と、該ダイヤフラムに取り付けられた振動子と、該振動子に固定された永久磁石と、該永久磁石と対向する電磁石とを備え、前記電磁石に交流電流を供給することによって発生する磁力線と前記永久磁石の磁力線との吸引力および反発力によって前記振動子を振動させて前記ダイヤフラムを変形させ、これによって、前記ポンプ室内の空気を圧縮吐出する電磁式ポンプであって、前記電磁石に供給する交流電流の周波数を、商用電源から供給される交流電流の周波数と異なる値であって、前記商用電源からの交流電流を直接前記電磁石に供給した場合よりも駆動音が小さくなる周波数に設定するように構成されていることを特徴とする電磁式ポンプ。
(2)前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンの選択肢として、デューティ比が異なる複数の電圧パターンを有し、これら電圧パターンから一の電圧パターンを任意に選択し、前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンとして設定できるように構成されていることを特徴とする(1)に記載の電磁式ポンプ。
(3)前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンの選択肢として、デューティ比が異なる複数の電圧パターンを有し、これら電圧パターンから、前記商用電源から供給される交流電流の電圧値に応じて一の電圧パターンが選択され、前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンとして設定されるように構成されていることを特徴とする(1)または(2)に記載の電磁式ポンプ。
【0013】
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の電磁式ポンプを備え、該電磁式ポンプが水処理槽に接続されていることを特徴とする水処理システム。
(5)(2)に記載の電磁式ポンプを備え、前記電磁式ポンプは、前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンの選択肢として、水処理槽の容量に応じてデューティ・サイクルが異なる複数の電圧パターンを有し、これら電圧パターンから一の電圧パターンを任意に選択し、前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンとして設定できるように構成されていることを特徴とする(4)に記載の水処理システム。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電磁式ポンプは、商用電源から供給される交流電流を、駆動音が小さくなる周波数に変換して電磁石に供給するので、その運転音を大幅に低減することができる。このため、地域や時間帯に応じて出力を落として駆動する必要もなく、騒音を気にすることなく、安定した動作を得ることができる。
また、電磁式ポンプの仕様に合わせて、エネルギー効率の良い周波数を設定することが可能となる。これにより、空気量を犠牲にすることなく、この電磁式ポンプが適用される装置の省エネルギー化にも貢献できる。
【0015】
また、電磁石に印加する電圧パターンの選択肢として、デューティ・サイクルの異なる複数の電圧パターンを有し、商用電源から供給される交流電流を、選択した電圧パターンに変換(パルス幅変調)して電磁石に供給する構成とした場合には、選択肢とする電圧パターンや、その選択方法によって、その空気吐出量を多様に変化させることができる。これにより、その空気吐出量を、用途に応じて切り替えることも可能であり、一つの電磁式ポンプで多種多様なシステムに適用することができる。
【0016】
また、電磁石に印加する電圧パターン(デューティ・サイクル)を、商用電源の電圧値に応じて決定し、商用電源から供給される交流電流を、決定した電圧パターンに変換(パルス幅変調)して電磁石に供給する構成とした場合には、商用電源に電圧変動があっても、それに応じてデューティ・サイクルが変更され、その電圧変動による吐出空気量の変動が相殺され、所定の吐出空気量を維持することができる。これにより、電磁式ポンプの性能が安定するばかりでなく、該電磁式ポンプが接続されるシステム全体の品質がより向上する。
【0017】
また、本発明によれば、水処理システムは、以上のような電磁式ポンプを浄化槽と接続したことにより、騒音値の低減は言うまでもなく、近年のコンパクト化による空気量アップ、低消費電力化と言う難解な課題にも十分対応できる。さらには、同一の電磁式ポンプで、複数の風量が設定できるので、従来人槽毎に違えていたポンプを統合できる。また、一台の電磁式ポンプで、ばっ気、逆洗等、複数の用途に対応でき、さらに、各用途で風量を変えることが容易となるばかりでなく、風量の微調整も容易に行うことができ、品質管理性にも優れている。
これに加えて、開発時に、商用電源周波数の違いによる性能差を検討する必要も皆無となり、開発コストの大幅ダウンにも繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態の電磁式ポンプを示す模式図である。
【図2】図1に示す電磁式ポンプが備える駆動電流制御手段の構成を示すブロック図である。
【図3】電磁式ポンプの駆動周波数と駆動音の関係を示す図である。
【図4】電磁石に印加する電圧パターンの一例を示す図である。
【図5】第2実施形態の電磁式ポンプが備える駆動電流制御手段の構成を示すブロック図である。
【図6】電磁石に印加する電圧パターンの他の例を示す図である。
【図7】第3実施形態の電磁式ポンプが備える駆動電流制御手段の構成を示すブロック図である。
【図8】電磁石に印加する電圧パターンのさらに他の例を示す図である。
【図9】本発明の電磁式ポンプが適用された水処理システムの一例を示す模式図である。
【図10】本発明の電磁式ポンプの吐出圧力と吐出風量の関係、および、図9に示す水処理システムの運転範囲と必要風量範囲を示す図である。
【図11】従来の電磁式ポンプの吐出圧力と吐出風量の関係、および、図9に示す水処理システムの運転範囲と必要風量範囲を示す図である。
【図12】本発明の電磁式ポンプの吐出圧力と消費電力値の関係、および、図9に示す水処理システムの運転範囲と消費電力値設定範囲を示す図である。
【図13】従来の電磁式ポンプの吐出圧力と消費電力値の関係、および、図9に示す水処理システムの運転範囲と消費電力値設定範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の電磁式ポンプの第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の電磁式ポンプの第1実施形態を示す模式図、図2は、図1に示す電磁式ポンプが備える駆動電流制御手段を示すブロック図、図3は、電磁式ポンプの駆動周波数と駆動音の関係を示す図、図4は、電磁石に印加する電圧パターンの一例を示す図である。
図1に示す電磁式ポンプ1は、ポンプ駆動部40と、ポンプ駆動部40の両側に設けられ、空気を吸入・吐出する一対のポンプ室41、41と、商用電源から供給される交流電流の周波数を設定した周波数(設定周波数)に変換する駆動電流制御手段(プリント配線板)22とを有している。
【0020】
各ポンプ室41、41は、それぞれ、後述するケーシング43に取り付けられている。各ポンプ室41、41の各側壁には、それぞれ、外部の空気を吸入する吸入口5と、吸入口5を開閉する吸入弁6と、ポンプ室41内の空気を吐出する吐出口7と、吐出口7を開閉する吐出弁8とが設けられている。また、各ポンプ室41、41の内側には、それぞれ、各側壁と対峙するように円盤状のダイヤフラム4が設けられている。各ポンプ室41、41では、各側壁および各周壁と各ダイヤフラム4、4とで空気が収容される空気収容空間11が画成されている。各ダイヤフラム4、4は、それぞれ、ゴム材からなり、後述するポンプ駆動部40の動作によって、その略中心部がポンプ室41の内側または外側に交互に突出するように弾性変形する。これにより、各ポンプ室41、41内の空気が圧縮・膨張し、圧縮時にはポンプ室41内の空気が吐出口7から吐出され、膨張時には外部の空気が吸入口5からポンプ室41内に吸入される。
【0021】
ポンプ駆動部40は、その両端が各ダイヤフラム4、4の中心部に連結された振動子3と、振動子3に固着された永久磁石10と、振動子3を挟んで上下に配設された一対の電磁石9、9とを有しており、各電磁石9、9の振動子3側の磁極と永久磁石10の各磁極とが対向している。ポンプ駆動部40を構成する各部は、振動子3の両端部を除いてケーシング43内に収容されている。
【0022】
このポンプ駆動部40には、後述する駆動電流制御手段22から各電磁石9、9に交流電流(駆動電流)が供給される。各電磁石9、9に駆動電流が供給されると、各電磁石9、9の周囲に、駆動電流の周波数に応じたサイクルで交互に向きを変えて磁力線が発生する。この磁力線と永久磁石10の磁力線との吸引力・反発力によって振動子3が左右に往復振動し、各ダイヤフラム4、4の中心部が、互いに背反する向きで内側または外側に交互に突出する。
【0023】
駆動電流制御手段22は、商用電源20および電磁石9に接続されており、商用電源20から供給される交流電流を、操作者が設定した周波数(設定周波数)に変換し、電磁石9に供給する。図2に示すように、この駆動電流制御手段22は、周波数設定部24と、周波数調整部25と、周波数変換部28とを備えている。
【0024】
周波数設定部24は、マイクロコンピュータ23によって構成され、その記憶部(ROM)に書込まれた周波数データ(設定周波数)に基づいて周波数変換部28の動作を制御する。
ここで、本発明では、この設定周波数は、その周波数で電磁石を駆動したとき、商用電源の周波数で電磁石を駆動したときよりも駆動音が小さくなる周波数である。この設定周波数は、具体的には、次のようにして実験データから最適な値を求めることができる。
【0025】
図3は、図1と図2に示す電磁式ポンプ1において、消費電力および吐出圧力を一定とした場合の、駆動周波数と駆動音の関係を表す。
この図3に示す関係から明らかなように、商用電源の周波数、すなわち50Hz若しくは60Hzで駆動した場合と比べ、それより低い周波数で駆動した場合の方が駆動音を低減できることがわかる。従って、設定周波数は、商用電源の周波数が50Hzの場合には50Hz未満、商用電源の周波数が60Hzの場合には60Hz未満に設定され、例えば、43Hz(周期:23.3msec)に設定するのが好適である。
周波数設定部24のROMには、予め実験等で求めておいた好適な周波数を書込んでおいてもよく、本実施形態のように、操作者が手動で周波数を調整する周波数調整部25を設け、この周波数調整部25で調整した周波数データが随時ROMに書込まれるようにしてもよい。
【0026】
周波数調整部25は、具体的には、操作者が押圧操作して周波数を調整するためのプラスボタン26aおよびマイナスボタン26bと、調整された周波数を表示する表示部27とを有する。周波数調整部25で調整された周波数データは、周波数設定部24に入力され、ROMに書込まれる。
周波数変換部28は、商用電源20および電磁石9に接続されており、周波数設定部24の制御により、商用電源20から供給される交流電流を、周波数設定部24に設定された設定周波数に変換し、電磁石9に供給することができるようになっている。
【0027】
次に、電磁式ポンプ1の動作について説明する。
本実施形態では、電磁式ポンプに電圧AC100Vを供給するが、特に電圧値を限定するものではない。また、商用電源20の周波数は、日本国内においては50Hz若しくは60Hzであり、各地域の電力供給事情により異なる。
図4は、本実施形態において電磁石9に印加する電圧波形図(電圧パターン)であり、設定周波数は43Hzとする。なお、電圧パターンおよび電源周波数は、これに限定するものではなく、電磁石の仕様、他性能との兼ね合い等から適宜設定すればよい。
【0028】
まず、駆動電流制御手段22から導出された電源コード21を商用電源20に接続する。
次に、操作者は、周波数調整部25の各ボタン26a、26bを操作して、設定周波数を調整する。周波数調整部25で調整された設定周波数は、周波数設定部24に入力され、ROMに書込まれる。
次に、各部の動作をONにする。これにより、商用電源20から駆動電流制御手段22に交流電流が供給される。
駆動電流制御手段22に供給された交流電流は、駆動電流制御手段22を構成する各部の動作により、周波数が設定周波数(43Hz)に変換され、電磁石9に供給される。交流電流が供給された電磁石9の周囲には、交互に向きを変えて磁力線が発生し、この磁力線と永久磁石の磁力線との吸引力・反発力によって振動子3が左右に往復振動し、各ダイヤフラム4、4の中心部が、互いに背反する向きで内側または外側に交互に突出する。これにより、各ポンプ室41、41内の空気が圧縮・膨張し、圧縮時にはポンプ室41内の空気が吐出口7から吐出され、膨張時には外部の空気が吸引口5からポンプ室41内に吸入される。
【0029】
以上のような電磁式ポンプ1では、駆動周波数として、電磁石9並びにケーシング43等との共振ポイントを外した周波数が設定され、これによって振動子3および振動子3から伝達する振動音の低減を図ることができる。
また、商用電源20から供給される交流電流を、設定周波数に変換して電磁石9に供給するため、商用電源20の周波数が異なる地域間でも同様の特性を得ることができる。この効果を具体的に示す実験データを表1に示す。
表1は、本実施形態の電磁式ポンプ(設定周波数43Hz)と、電磁石が商用電源(50Hzまたは60Hz)によって直接駆動される電磁式ポンプの特性を表す。
【0030】
【表1】
【0031】
このように、商用電源(周波数:50Hzもしくは60Hz)で直接電磁石9を駆動すると、駆動音、空気量に差が生じる。これに対して、商用電源20からの交流電流を周波数変換部にて設定周波数に変換して電磁石に供給する本実施形態の構成では、商用電源の周波数に関わらずに、一定の周波数(本実施形態では43Hz)で電磁石を駆動できるため、騒音量、空気量を商用周波数によらずに一定にすることができる。このため、商用電源の周波数が異なる地域毎に、電磁石9の仕様(コイル巻数、コイル線径)を複数準備する必要もなく、高い実用性を得ることができる。また、駆動音については、いずれの商用周波数で直接駆動した場合よりも、低く抑えることができる。
さらに、消費電力に関しても、電磁石9の仕様に合わせ、消費電力が低くなる好適な駆動周波数を設定することが可能となるため、省エネルギー化に貢献できるという効果も得られる。
【0032】
<第2実施形態>
次に、本発明の電磁式ポンプの第2実施形態について説明する。
図5は、第2実施形態の電磁式ポンプが備える駆動電流制御手段を示すブロック図、図6は、電磁石に印加する電圧パターンの他の例を示す図である。
以下、第2実施形態に係る電磁式ポンプについて説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の構成要素については、それらの部分の説明を省略する。
【0033】
本実施形態の構造では、電磁石に印加する電圧パターンの選択肢として、デューティ・サイクルが異なる複数の電圧パターンを有し、駆動電流制御手段が、商用電源から供給される交流電流の周波数を設定周波数に変換するとともに、商用電源から供給される交流電流の電圧パターンを操作者が選択した電圧パターンに変換(パルス幅変調)するように構成されていること以外は、前記第1実施形態の電磁式ポンプの構造と同様である。
ここで、デューティ・サイクルとは、パルス周期に対するパルス幅の割合である。
また、ここでは、電磁石に印加する電圧パターンとして、図6に示すパターンAおよびパターンBを有する場合を例にして説明する。
【0034】
図5に示すように、駆動電流制御手段22は、周波数設定部24および周波数調整部25と、空気量切換スイッチ31a、31b、パターン検知部30およびパルス幅設定部29と、周波数変換部28とを備えている。
周波数設定部24および周波数調整部25の構成は、前記第1実施形態と同様である。
空気量切換スイッチ31a、31bは、操作者が、選択した電圧パターンに応じて切換操作するものであり、パターンAを選択した場合にはスイッチ31aをON、スイッチ31bをOFFとし、パターンBを選択した場合にはスイッチ31aをOFFとし、スイッチ31bをONとする。
【0035】
パターン検知部30は、各スイッチ31a、31bのON・OFF状態を検知し、これに基づいて操作者が選択した電圧パターンを認識する。パターン検知部で認識された電圧パターンはパルス幅設定部29に入力される。
パルス幅設定部29は、パターン検知部30から入力された電圧パターンからデューティ・サイクルを決定し、これに基づいて周波数変換部28の動作を制御する。すなわち、入力された電圧パターンがパターンAの場合には、出力する電圧パターンのデュ−ティ・サイクルが60%となるように、パターンBの場合には、出力する電圧パターンのデュ−ティ・サイクルが70%となるように周波数変換部28の動作を制御する。
【0036】
周波数変換部28は、商用電源20および電磁石9に接続されており、周波数設定部24およびパルス幅設定部29の制御により、商用電源20から供給される交流電流を、周波数設定部24に設定された設定周波数およびパルス幅設定部29で決定されたデューティ・サイクルに変換し、電磁石9に供給する。
【0037】
この第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
また、第2実施形態の電磁式ポンプでは、特に、商用電源20から供給される交流電流の周波数を設定周波数に変換するとともに、商用電源20から供給される交流電流の電圧パターンを操作者が選択した電圧パターン(デューティ・サイクル)に変換して電磁石9に供給するように構成されていることにより、次のような効果を得ることができる。表2は、選択した電圧パターンとポンプ部が吐出する空気量との関係を表す。
【0038】
【表2】
【0039】
このように、電磁石9に印加する電圧パターンのデューティ・サイクルが増減することにより、振動子3の振れ方が変化し、その結果、ポンプ部41が吐出する空気量が増減する。すなわち、電磁石9に印加する電圧パターンを変更できることにより、吐出空気量を制御することができる。これにより、商用電源20の電圧降下による吐出空気量の減少を補償することができるとともに、用途に応じた最適な吐出空気量を得ることができるという効果が得られる。
【0040】
なお、本実施形態では、駆動電流制御手段22のプリント配線板上に空気量切換スイッチ31a、31bを設けオン時間(電圧パターン)を切り換えることとしたが、電圧パターンの切換手段はこれに限定されるものではなく、リモコン等の赤外線信号を使用する等、遠隔操作でパターンの切換えを行ってもよい。』
【0041】
<第3実施形態>
次に、本発明の電磁式ポンプの第3実施形態について説明する。
図7は、第3実施形態の電磁式ポンプが備える駆動電流制御手段を示すブロック図、図8は、電磁石に印加する電圧パターンのさらに他の例を示す図である。
以下、第3実施形態にかかる電磁式ポンプについて説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0042】
本実施形態は、電磁石に印加する電圧パターンの選択肢として、デューティ・サイクルが異なる複数の電圧パターンを有し、駆動電流制御手段が、商用電源から供給される交流電流の周波数を設定周波数に変換するとともに、商用電源の電圧値に応じて電圧パターンを決定し、商用電源から供給される交流電流の電圧パターンを決定した電圧パターンに変換(パルス幅変調)するように構成されていること以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0043】
図7に示すように、駆動電流制御手段22は、周波数設定部24および周波数調整部25と、ゼロクロス検知回路33、電圧検知部34およびパルス幅設定部29と、周波数変換部28とを備えている。
周波数設定部24および周波数調整部25の構成は、前記第1実施形態と同様である。
ゼロクロス検知回路33は、商用電源20に接続されており、商用電源20の電圧波形を読み取って電圧検知部34に出力する。
【0044】
電圧検知部34は、ゼロクロス検知回路33から入力された電圧パターンに基づいて、商用電源20の電圧値を検知し、この電圧データをパルス幅設定部29に出力する。本実施形態では、この電圧検知部34は、商用電源20の通常電圧がAC100Vであるのに対して、AC85〜110Vの電圧範囲を検知できるように構成されている。
パルス幅設定部29は、予め設定された電圧データとデューティ・サイクルの対応関係と、電圧検知部34から入力された電圧データに基づいてデューティ・サイクルを決定し、これに基づいて周波数変換部28の動作を制御する。
【0045】
周波数変換部28は、商用電源20および電磁石9に接続されており、周波数設定部24およびパルス幅設定部29の制御により、商用電源20から供給される交流電流を、周波数設定部25に設定された設定周波数およびパルス幅設定部29で決定されたデューティ・サイクルに変換し、電磁石9に供給する。
【0046】
この第3実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
また、第3実施形態の電磁式ポンプ1では、特に、商用電源20から供給される交流電流の周波数を設定周波数に変換するとともに、商用電源20の電圧値に応じて電圧パターン(デューティ・サイクル)を自動的に決定し、商用電源20から供給される交流電流のデューティ・サイクルを、決定したデューティ・サイクルに変換して電磁石9に供給するように構成されていることにより、商用電源20の電圧が変動した場合に、これに応じてデューティ・サイクルが変化し、略一定の空気吐出量が得られるという効果が得られる。この効果を、具体例に基づいて説明する。
表3に、商用電源20の電圧、電磁石に供給する交流電流のデュ−ティ・サイクルおよび吐出空気量の関係の一例を表す。
【0047】
【表3】
【0048】
このような特性を有する電磁式ポンプ1において、例えば、パルス幅設定部29に、電圧データとデューティ・サイクルとの対応関係として、AC100V−デューティ・サイクル60%、AC95%−デューティ・サイクル70%を設定する。
この場合、商用電源20が通常電圧AC100Vの場合には、商用電源20から供給される交流電流は、駆動電流制御手段22によって、図8の鎖線で示すような電圧パターン(デューティ・サイクル:60%)に変換されて電磁石9に供給される。このとき吐出空気量は80L/minである。
一方、電力事情により、商用電源20の電圧が95Vに低下すると、その影響で波高値も低下するので、デューティ・サイクルが60%のままであると、ポンプ部41から吐出する空気量が減少する(73L/min)。これに対して、本実施形態では、パルス幅設定部29が検知電圧を基にデュ−ティ・サイクルを70%に設定するため、商用電源20から供給される交流電流は、図8の実線で示すような電圧パターンに変換されて電磁石に供給される。これにより、デューティ・サイクル60%の場合よりも吐出空気量が増加し、AC100Vの場合と同等の吐出空気量(80L/min)が得られる。
なお、本実施形態では、パルス幅設定部29を、以上のような設定に加えて、商用電源20の電圧が通常より高くなった場合にデュ−ティ・サイクルが減少するように設定してもよい。
【0049】
<浄化槽の構成>
次に、本発明の電磁式ポンプを適用した浄化層について説明する。
図12は、本発明の電磁式ポンプと水処理槽の代表例である浄化槽を組合わせた実施例のひとつである。
【0050】
浄化槽100は、嫌気処理槽第一室110、嫌気処理槽第二室120、好気処理槽130、沈殿槽140、消毒槽150を備え、嫌気処理槽第二室120には流量調整エアリフトポンプ121が設置され、沈殿槽140には循環エアリフトポンプ132が設置されている。電磁式ポンプ1と浄化槽100は空気配管で接続されている。浄化槽1内では、空気配管が3つに分岐されおり、ひとつは好気処理槽130の散気管131、ひとつは流量調整エアリフトポンプ121、残りのひとつは循環エアリフトポンプ132に接続されている。
【0051】
浄化槽100に流入した汚水は嫌気処理槽第一室110と嫌気処理槽第二室120で固液分離、嫌気処理され、流量調整エアリフトポンプ121によって、好気処理槽130に移送される。嫌気処理槽第一室110と嫌気処理槽第二室120の上部は流量調整領域となっており、高水位(HWL)から低水位(LWL)まで、水位が変動する。好気処理槽130で好気処理された処理水は、沈殿槽140で再度固液分離され、上澄水が消毒槽150に送られ、滅菌処理された後、浄化槽100から流出する。
【0052】
また、好気処理槽130で硝化反応した窒素分は、循環エアリフトポンプ132によって、沈殿槽140から嫌気処理槽第一室110に送られ、脱窒反応し除去される。
各装置の必要な空気量は、各種条件よって異なるが、一例を挙げると、電磁式ポンプ1と浄化槽100を繋ぐ空気配管の損失分4L/分を除くと、中間水位(HWLとLWLの中間)で、散気管131が34L/分、流量調整エアリフトポンプ121が7L/分、循環エアリフトポンプ132が5L/分である。
【0053】
流量調整エアリフトポンプ121と循環エアリフトポンプ132に分岐された空気配管には、各々空気量を調整するバルブが設置されている。しかし、バルブを通過する風量が数L/分程度のため、このままでは、風量が少な過ぎて調整が困難である。そのため、バルブの前にオリフィス(図示略)と呼ばれる「絞り」を設置し、予め風量を少なくして、バルブへの負担を軽減する。具体的には、配管内径φ13に対し、各々φ2.0のオリフィスを設置する。
【0054】
低水位(LWL)の場合、流量調整エアリフトポンプ121の浸漬率は小さくなり、揚水効率が悪くなって送水量は減少するが、空気吐出管(図示略)の実水深は浅くなるため、空気量は多くなり、11L/分となる。その時の他への空気量は、散気管131が31L/分、循環エアリフトポンプ121が4L/分であった。
【0055】
高水位(HWL)の場合、流量調整エアリフトポンプ121の浸漬率は大きくなり、揚水効率が良くなって送水量は増加するが、空気吐出管の実水深は深くなるため、空気量は少なくなり、6L/分となる。その時の他の装置への空気量は、散気管131が35L/分、循環エアリフトポンプ121が5L/分であった。
この実施例では、水位変動があっても、循環エアリフトポンプ121の空気量は4〜5L/分と安定していた。
【0056】
従来の電磁式ポンプでは、空気吐出量が、商用電源の周波数(50Hzと60Hz)によって十数L/分の変動がある場合もあり、各エアリフトポンプ121、132および散気管131への空気分配が想定範囲を大きく逸脱する場合がある。これに対して、本発明の電磁式ポンプ1は、商用電源の周波数によらず、43Hzの交流電流が電磁石に供給される。このため、吐出量50L/分付近の安定した空気吐出を実現でき、浄化槽も安定した性能を出すことができる。
【0057】
また、従来の電磁式ポンプでは、空気吐出量が、商用電源の電圧変動に起因して数L/分減少してしまう場合もある。しかしながら、本発明の電磁式エアポンプは、常に商用電源の電圧を監視し、パルス幅変調で電磁石に印加する電圧を補正する構成(第3実施形態の構成)とした場合には、吐出量50L/分付近の安定した空気吐出を実現でき、よって浄化槽も安定した性能を出すことができる。
なお、この実施例では流量調整エアリフトポンプ121が設置されているが、流量調整エアリフトポンプ121が設置されていない場合も同様である。
【0058】
浄化槽100は、処理水量・処理水質により必要な容量が異なり、これに応じて電磁式ポンプに求められる空気吐出量も当然異なる。また、一般家庭用浄化槽においては、5人槽、7人槽等によって浄化槽本体の容量が異なり、これに応じて電磁式ポンプに求められる最低空気量も異なる。本発明の電磁式ポンプを接続した場合は、デュ−ティ・サイクルを切り換える構成(第2実施形態の構成)とすることで、自在に空気吐出量を増減させることが可能となる。表4に、浄化槽の容量(人槽)と、これに対応するデュ−ティ・サイクル(パルス設定部に設定するデューティ・サイクル)と、その場合の空気吐出量の一例を示す。
【0059】
【表4】
【0060】
図10および図11は、電磁式ポンプの、浄化槽と接続した場合の吐出圧力と吐出風量の関係を表し、図10は本発明の電磁式ポンプの場合、図11は従来の電磁式ポンプの場合である。従来の電磁式ポンプを浄化槽に接続した場合には、商用電源の周波数(50Hzと60Hz)によって、吐出圧力に対する吐出風量が異なるのに対して、本発明の電磁式ポンプを浄化槽に接続した場合には、商用電源の周波数に拠らず、吐出圧力に対して一定の吐出風量を得ることができる。また、本来の必要風量範囲での稼働も可能となり、水質が安定する。
図12および図13は、電磁式ポンプの、浄化槽と接続した場合の吐出圧力と消費電力値の関係を表し、図12は本発明の電磁式ポンプの場合、図13は従来の電磁式ポンプの場合である。本発明の電磁式ポンプは、効率のよい駆動周波数に適宜設定できるため、従来と比べて消費電力を大幅に低減することができる。
以上、本発明の電磁式ポンプおよび水処理システムについて説明したが、各実施形態において、電磁式ポンプおよび水処理システムを構成する各部、具体的な数値は一例であって、本発明の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0061】
1…電磁式ポンプ、2…電源コード、3…振動子、4…ダイヤフラム、5…吸入口、6…吸入弁、7…吐出口、8…吐出弁、9…電磁石、10…永久磁石、11…空気収容空間、20…商用電源、22…駆動電流制御手段、23…マイクロコンピュータ、24…周波数設定部、25…周波数調整部、26a…プラスボタン、26b…マイナスボタン、27…表示部、28…周波数変換部、29…パルス幅設定部、30…パターン検知部、31a 31b…空気量切換スイッチ、33…ゼロクロス検知回路、34…電圧検知部、40…ポンプ駆動部、41…ポンプ室、43…ケーシング、100…浄化槽、110…嫌気処理槽第一室、120…嫌気処理槽第二室、121…流量調整エアリフトポンプ、130…好気処理槽、131…散気管、132…循環エアリフトポンプ、140…沈殿槽、150…消毒槽
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石と電磁石との吸引力・反発力を利用して空気を圧縮して吐出する電磁式ポンプ、および、それを用いた水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁式ポンプは、振動子に固定された永久磁石と、該永久磁石と対向する電磁石との吸引力・反発力を利用して振動子を振動させ、振動子に連結されるゴム状ダイヤフラムの弾性変形によって、ケーシング内の空気を圧縮し吐出する。電磁式ポンプの基本性能としては、所定の吐出圧力下における、空気量、消費電力、駆動音などがあり、電磁式ポンプと接続する装置により各性能に関する制約がある。また、電磁石への電源供給は、商用電源に直接接続する方法が一般的とされており、電磁石に供給される電圧及びその周波数は、当然ながら商用電源と同一となる。
一方、電磁式ポンプの出力制御方法として、商用交流電源のスイッチングにより、ポンプの出力を制御する方法が開示されている(特許文献1参照。)。その効果としては、ダイヤフラムの励振周波数が調整可能となり、これにより低騒音化を図ることができること、さらには、外部条件を検知して、その信号をポンプの制御信号として入力することにより、省電力化を図ることができることなどが挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−103147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来より、電磁式ポンプの制御方法としては、間欠駆動、出力制御による定格運転以下のポンプ駆動等種々の検討がなされているが、何れの場合も電磁式ポンプの基本性能である空気量の低下に繋がる。また、電磁石を駆動する交流電流の周波数が、商用電源の周波数であるため、振動子から伝達される振動と共振し、駆動音が大きくなる。このため、近隣住民の騒音へのクレームに繋がるケースもある。
【0005】
更に、商用電源の周波数が異なる地域間では、騒音レベルが異なったり、空気量、消費電力等の基本スペックに差が生じたり等の問題もある。その対応として、各電磁式ポンプに、地域毎の周波数に合わせた電磁石を別々に搭載する方法もあるが、品種数の増大、開発コストアップの要因となる。
【0006】
また、これら電磁式ポンプは、浄化槽等の水処理システムと組み合わせられる場合がある。この場合に、地域間で商用電源の周波数が異なること、さらには商用電源に電圧変動が生じることによって、その水処理システムの諸性能が異なる問題も少なからず生じている。
浄化槽に関して、より具体的に述べると、現在流通しているほとんどの浄化槽には、処理水を前処理装置に循環させる循環エアリフトポンプが搭載されている。
循環エアリフトポンプの駆動源は、電磁式ポンプから吐出する空気であり、この駆動源となる空気は、浄化槽内で、電磁式ポンプを好気処理槽の散気管に繋ぐ空気配管から分岐して供給される。
【0007】
ここで、循環エアリフトポンプの駆動に必要な空気量は、好気処理に必要な空気(散気)量に比較して少なく、例えば、戸建住宅用の浄化槽では、好気処理の散気量数十L/分に対し、循環エアリフトポンプの駆動空気量は数L/分程度である。
処理水の循環は、浄化槽の処理性能を大きく左右し、浄化槽への流入量に対して循環量が多過ぎれば、前処理機能の破綻を引き起こし、少な過ぎれば、好気処理不足や窒素除去能力不足になる等、セッティングが難しい。そのため、循環エアリフトポンプを浄化槽内に設置するには、管径・管長・浸漬率等の綿密な設計が必要になるが、最も重要なファクターは空気量である。循環量の増減は空気量の増減と比例する。空気量の微調整は、空気配管にバルブを設置し行われるが、この調整にも限界があるため、安定した空気量の供給が望まれる。
【0008】
しかしながら、従来の電磁式ポンプの吐出空気量は、地域毎に商用電源の周波数(50Hzと60Hz)が異なることや、商用電源から供給される電流の電圧降下等によって、数L/分から多い場合には十数L/分の変動があり、この変動が、上述の循環エアリフトポンプの機能に多大な影響を与え、ひいては浄化槽の処理性能に多大な影響を与えていた。
【0009】
なお、地域毎に対応する浄化槽、例えば50Hz地区には50Hz地区用浄化槽、60Hz地区には60Hz地区用浄化槽を用意すれば、この問題は解決されるのだが、2種類の浄化槽を製作することになり、生産効率が悪く、在庫管理も手間が増え、浄化槽生産メーカの収益を圧迫する。また、50Hzと60Hzが混在する地区では、50Hz地区用と60Hz地区用の浄化槽が間違って設置される恐れもあり、50Hz地区用と60Hz地区用の2種類用意することは現実的ではない。
【0010】
また、近年、流量調整機能を持った浄化槽が多数生産されるようになっている。この流量調整には流量調整エアリフトポンプが使われることが多く、上述の循環エアリフトポンプと同様の懸念がある。
こうした浄化槽以外にも、電磁式ポンプを接続するシステムの品種は年々増加傾向にあるが、必要な空気量に多少の違いがある場合でも、その都度、電磁石のスペックを違えた品揃えが必要となり、電磁式ポンプの標準化が進み難い状況にある。
さらには、低炭素型循環型社会の実現に向けた、省エネルギー性能に関する要求も年々高まりつつあり、電磁式ポンプに関しても上述した空気量の確保、駆動音の低減と同じく、消費電力の削減が望まれるところである。
【0011】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、駆動音が小さく、商用電源の周波数が異なる地域で使用した場合でも、同一の性能を得ることができ、さらには、商用電源の電圧が低下した場合であっても、その影響を受け難い電磁式ポンプ、および、それを用いた水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を有する。
(1)ダイヤフラムを有するポンプ室と、該ダイヤフラムに取り付けられた振動子と、該振動子に固定された永久磁石と、該永久磁石と対向する電磁石とを備え、前記電磁石に交流電流を供給することによって発生する磁力線と前記永久磁石の磁力線との吸引力および反発力によって前記振動子を振動させて前記ダイヤフラムを変形させ、これによって、前記ポンプ室内の空気を圧縮吐出する電磁式ポンプであって、前記電磁石に供給する交流電流の周波数を、商用電源から供給される交流電流の周波数と異なる値であって、前記商用電源からの交流電流を直接前記電磁石に供給した場合よりも駆動音が小さくなる周波数に設定するように構成されていることを特徴とする電磁式ポンプ。
(2)前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンの選択肢として、デューティ比が異なる複数の電圧パターンを有し、これら電圧パターンから一の電圧パターンを任意に選択し、前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンとして設定できるように構成されていることを特徴とする(1)に記載の電磁式ポンプ。
(3)前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンの選択肢として、デューティ比が異なる複数の電圧パターンを有し、これら電圧パターンから、前記商用電源から供給される交流電流の電圧値に応じて一の電圧パターンが選択され、前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンとして設定されるように構成されていることを特徴とする(1)または(2)に記載の電磁式ポンプ。
【0013】
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の電磁式ポンプを備え、該電磁式ポンプが水処理槽に接続されていることを特徴とする水処理システム。
(5)(2)に記載の電磁式ポンプを備え、前記電磁式ポンプは、前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンの選択肢として、水処理槽の容量に応じてデューティ・サイクルが異なる複数の電圧パターンを有し、これら電圧パターンから一の電圧パターンを任意に選択し、前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンとして設定できるように構成されていることを特徴とする(4)に記載の水処理システム。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電磁式ポンプは、商用電源から供給される交流電流を、駆動音が小さくなる周波数に変換して電磁石に供給するので、その運転音を大幅に低減することができる。このため、地域や時間帯に応じて出力を落として駆動する必要もなく、騒音を気にすることなく、安定した動作を得ることができる。
また、電磁式ポンプの仕様に合わせて、エネルギー効率の良い周波数を設定することが可能となる。これにより、空気量を犠牲にすることなく、この電磁式ポンプが適用される装置の省エネルギー化にも貢献できる。
【0015】
また、電磁石に印加する電圧パターンの選択肢として、デューティ・サイクルの異なる複数の電圧パターンを有し、商用電源から供給される交流電流を、選択した電圧パターンに変換(パルス幅変調)して電磁石に供給する構成とした場合には、選択肢とする電圧パターンや、その選択方法によって、その空気吐出量を多様に変化させることができる。これにより、その空気吐出量を、用途に応じて切り替えることも可能であり、一つの電磁式ポンプで多種多様なシステムに適用することができる。
【0016】
また、電磁石に印加する電圧パターン(デューティ・サイクル)を、商用電源の電圧値に応じて決定し、商用電源から供給される交流電流を、決定した電圧パターンに変換(パルス幅変調)して電磁石に供給する構成とした場合には、商用電源に電圧変動があっても、それに応じてデューティ・サイクルが変更され、その電圧変動による吐出空気量の変動が相殺され、所定の吐出空気量を維持することができる。これにより、電磁式ポンプの性能が安定するばかりでなく、該電磁式ポンプが接続されるシステム全体の品質がより向上する。
【0017】
また、本発明によれば、水処理システムは、以上のような電磁式ポンプを浄化槽と接続したことにより、騒音値の低減は言うまでもなく、近年のコンパクト化による空気量アップ、低消費電力化と言う難解な課題にも十分対応できる。さらには、同一の電磁式ポンプで、複数の風量が設定できるので、従来人槽毎に違えていたポンプを統合できる。また、一台の電磁式ポンプで、ばっ気、逆洗等、複数の用途に対応でき、さらに、各用途で風量を変えることが容易となるばかりでなく、風量の微調整も容易に行うことができ、品質管理性にも優れている。
これに加えて、開発時に、商用電源周波数の違いによる性能差を検討する必要も皆無となり、開発コストの大幅ダウンにも繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態の電磁式ポンプを示す模式図である。
【図2】図1に示す電磁式ポンプが備える駆動電流制御手段の構成を示すブロック図である。
【図3】電磁式ポンプの駆動周波数と駆動音の関係を示す図である。
【図4】電磁石に印加する電圧パターンの一例を示す図である。
【図5】第2実施形態の電磁式ポンプが備える駆動電流制御手段の構成を示すブロック図である。
【図6】電磁石に印加する電圧パターンの他の例を示す図である。
【図7】第3実施形態の電磁式ポンプが備える駆動電流制御手段の構成を示すブロック図である。
【図8】電磁石に印加する電圧パターンのさらに他の例を示す図である。
【図9】本発明の電磁式ポンプが適用された水処理システムの一例を示す模式図である。
【図10】本発明の電磁式ポンプの吐出圧力と吐出風量の関係、および、図9に示す水処理システムの運転範囲と必要風量範囲を示す図である。
【図11】従来の電磁式ポンプの吐出圧力と吐出風量の関係、および、図9に示す水処理システムの運転範囲と必要風量範囲を示す図である。
【図12】本発明の電磁式ポンプの吐出圧力と消費電力値の関係、および、図9に示す水処理システムの運転範囲と消費電力値設定範囲を示す図である。
【図13】従来の電磁式ポンプの吐出圧力と消費電力値の関係、および、図9に示す水処理システムの運転範囲と消費電力値設定範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の電磁式ポンプの第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の電磁式ポンプの第1実施形態を示す模式図、図2は、図1に示す電磁式ポンプが備える駆動電流制御手段を示すブロック図、図3は、電磁式ポンプの駆動周波数と駆動音の関係を示す図、図4は、電磁石に印加する電圧パターンの一例を示す図である。
図1に示す電磁式ポンプ1は、ポンプ駆動部40と、ポンプ駆動部40の両側に設けられ、空気を吸入・吐出する一対のポンプ室41、41と、商用電源から供給される交流電流の周波数を設定した周波数(設定周波数)に変換する駆動電流制御手段(プリント配線板)22とを有している。
【0020】
各ポンプ室41、41は、それぞれ、後述するケーシング43に取り付けられている。各ポンプ室41、41の各側壁には、それぞれ、外部の空気を吸入する吸入口5と、吸入口5を開閉する吸入弁6と、ポンプ室41内の空気を吐出する吐出口7と、吐出口7を開閉する吐出弁8とが設けられている。また、各ポンプ室41、41の内側には、それぞれ、各側壁と対峙するように円盤状のダイヤフラム4が設けられている。各ポンプ室41、41では、各側壁および各周壁と各ダイヤフラム4、4とで空気が収容される空気収容空間11が画成されている。各ダイヤフラム4、4は、それぞれ、ゴム材からなり、後述するポンプ駆動部40の動作によって、その略中心部がポンプ室41の内側または外側に交互に突出するように弾性変形する。これにより、各ポンプ室41、41内の空気が圧縮・膨張し、圧縮時にはポンプ室41内の空気が吐出口7から吐出され、膨張時には外部の空気が吸入口5からポンプ室41内に吸入される。
【0021】
ポンプ駆動部40は、その両端が各ダイヤフラム4、4の中心部に連結された振動子3と、振動子3に固着された永久磁石10と、振動子3を挟んで上下に配設された一対の電磁石9、9とを有しており、各電磁石9、9の振動子3側の磁極と永久磁石10の各磁極とが対向している。ポンプ駆動部40を構成する各部は、振動子3の両端部を除いてケーシング43内に収容されている。
【0022】
このポンプ駆動部40には、後述する駆動電流制御手段22から各電磁石9、9に交流電流(駆動電流)が供給される。各電磁石9、9に駆動電流が供給されると、各電磁石9、9の周囲に、駆動電流の周波数に応じたサイクルで交互に向きを変えて磁力線が発生する。この磁力線と永久磁石10の磁力線との吸引力・反発力によって振動子3が左右に往復振動し、各ダイヤフラム4、4の中心部が、互いに背反する向きで内側または外側に交互に突出する。
【0023】
駆動電流制御手段22は、商用電源20および電磁石9に接続されており、商用電源20から供給される交流電流を、操作者が設定した周波数(設定周波数)に変換し、電磁石9に供給する。図2に示すように、この駆動電流制御手段22は、周波数設定部24と、周波数調整部25と、周波数変換部28とを備えている。
【0024】
周波数設定部24は、マイクロコンピュータ23によって構成され、その記憶部(ROM)に書込まれた周波数データ(設定周波数)に基づいて周波数変換部28の動作を制御する。
ここで、本発明では、この設定周波数は、その周波数で電磁石を駆動したとき、商用電源の周波数で電磁石を駆動したときよりも駆動音が小さくなる周波数である。この設定周波数は、具体的には、次のようにして実験データから最適な値を求めることができる。
【0025】
図3は、図1と図2に示す電磁式ポンプ1において、消費電力および吐出圧力を一定とした場合の、駆動周波数と駆動音の関係を表す。
この図3に示す関係から明らかなように、商用電源の周波数、すなわち50Hz若しくは60Hzで駆動した場合と比べ、それより低い周波数で駆動した場合の方が駆動音を低減できることがわかる。従って、設定周波数は、商用電源の周波数が50Hzの場合には50Hz未満、商用電源の周波数が60Hzの場合には60Hz未満に設定され、例えば、43Hz(周期:23.3msec)に設定するのが好適である。
周波数設定部24のROMには、予め実験等で求めておいた好適な周波数を書込んでおいてもよく、本実施形態のように、操作者が手動で周波数を調整する周波数調整部25を設け、この周波数調整部25で調整した周波数データが随時ROMに書込まれるようにしてもよい。
【0026】
周波数調整部25は、具体的には、操作者が押圧操作して周波数を調整するためのプラスボタン26aおよびマイナスボタン26bと、調整された周波数を表示する表示部27とを有する。周波数調整部25で調整された周波数データは、周波数設定部24に入力され、ROMに書込まれる。
周波数変換部28は、商用電源20および電磁石9に接続されており、周波数設定部24の制御により、商用電源20から供給される交流電流を、周波数設定部24に設定された設定周波数に変換し、電磁石9に供給することができるようになっている。
【0027】
次に、電磁式ポンプ1の動作について説明する。
本実施形態では、電磁式ポンプに電圧AC100Vを供給するが、特に電圧値を限定するものではない。また、商用電源20の周波数は、日本国内においては50Hz若しくは60Hzであり、各地域の電力供給事情により異なる。
図4は、本実施形態において電磁石9に印加する電圧波形図(電圧パターン)であり、設定周波数は43Hzとする。なお、電圧パターンおよび電源周波数は、これに限定するものではなく、電磁石の仕様、他性能との兼ね合い等から適宜設定すればよい。
【0028】
まず、駆動電流制御手段22から導出された電源コード21を商用電源20に接続する。
次に、操作者は、周波数調整部25の各ボタン26a、26bを操作して、設定周波数を調整する。周波数調整部25で調整された設定周波数は、周波数設定部24に入力され、ROMに書込まれる。
次に、各部の動作をONにする。これにより、商用電源20から駆動電流制御手段22に交流電流が供給される。
駆動電流制御手段22に供給された交流電流は、駆動電流制御手段22を構成する各部の動作により、周波数が設定周波数(43Hz)に変換され、電磁石9に供給される。交流電流が供給された電磁石9の周囲には、交互に向きを変えて磁力線が発生し、この磁力線と永久磁石の磁力線との吸引力・反発力によって振動子3が左右に往復振動し、各ダイヤフラム4、4の中心部が、互いに背反する向きで内側または外側に交互に突出する。これにより、各ポンプ室41、41内の空気が圧縮・膨張し、圧縮時にはポンプ室41内の空気が吐出口7から吐出され、膨張時には外部の空気が吸引口5からポンプ室41内に吸入される。
【0029】
以上のような電磁式ポンプ1では、駆動周波数として、電磁石9並びにケーシング43等との共振ポイントを外した周波数が設定され、これによって振動子3および振動子3から伝達する振動音の低減を図ることができる。
また、商用電源20から供給される交流電流を、設定周波数に変換して電磁石9に供給するため、商用電源20の周波数が異なる地域間でも同様の特性を得ることができる。この効果を具体的に示す実験データを表1に示す。
表1は、本実施形態の電磁式ポンプ(設定周波数43Hz)と、電磁石が商用電源(50Hzまたは60Hz)によって直接駆動される電磁式ポンプの特性を表す。
【0030】
【表1】
【0031】
このように、商用電源(周波数:50Hzもしくは60Hz)で直接電磁石9を駆動すると、駆動音、空気量に差が生じる。これに対して、商用電源20からの交流電流を周波数変換部にて設定周波数に変換して電磁石に供給する本実施形態の構成では、商用電源の周波数に関わらずに、一定の周波数(本実施形態では43Hz)で電磁石を駆動できるため、騒音量、空気量を商用周波数によらずに一定にすることができる。このため、商用電源の周波数が異なる地域毎に、電磁石9の仕様(コイル巻数、コイル線径)を複数準備する必要もなく、高い実用性を得ることができる。また、駆動音については、いずれの商用周波数で直接駆動した場合よりも、低く抑えることができる。
さらに、消費電力に関しても、電磁石9の仕様に合わせ、消費電力が低くなる好適な駆動周波数を設定することが可能となるため、省エネルギー化に貢献できるという効果も得られる。
【0032】
<第2実施形態>
次に、本発明の電磁式ポンプの第2実施形態について説明する。
図5は、第2実施形態の電磁式ポンプが備える駆動電流制御手段を示すブロック図、図6は、電磁石に印加する電圧パターンの他の例を示す図である。
以下、第2実施形態に係る電磁式ポンプについて説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の構成要素については、それらの部分の説明を省略する。
【0033】
本実施形態の構造では、電磁石に印加する電圧パターンの選択肢として、デューティ・サイクルが異なる複数の電圧パターンを有し、駆動電流制御手段が、商用電源から供給される交流電流の周波数を設定周波数に変換するとともに、商用電源から供給される交流電流の電圧パターンを操作者が選択した電圧パターンに変換(パルス幅変調)するように構成されていること以外は、前記第1実施形態の電磁式ポンプの構造と同様である。
ここで、デューティ・サイクルとは、パルス周期に対するパルス幅の割合である。
また、ここでは、電磁石に印加する電圧パターンとして、図6に示すパターンAおよびパターンBを有する場合を例にして説明する。
【0034】
図5に示すように、駆動電流制御手段22は、周波数設定部24および周波数調整部25と、空気量切換スイッチ31a、31b、パターン検知部30およびパルス幅設定部29と、周波数変換部28とを備えている。
周波数設定部24および周波数調整部25の構成は、前記第1実施形態と同様である。
空気量切換スイッチ31a、31bは、操作者が、選択した電圧パターンに応じて切換操作するものであり、パターンAを選択した場合にはスイッチ31aをON、スイッチ31bをOFFとし、パターンBを選択した場合にはスイッチ31aをOFFとし、スイッチ31bをONとする。
【0035】
パターン検知部30は、各スイッチ31a、31bのON・OFF状態を検知し、これに基づいて操作者が選択した電圧パターンを認識する。パターン検知部で認識された電圧パターンはパルス幅設定部29に入力される。
パルス幅設定部29は、パターン検知部30から入力された電圧パターンからデューティ・サイクルを決定し、これに基づいて周波数変換部28の動作を制御する。すなわち、入力された電圧パターンがパターンAの場合には、出力する電圧パターンのデュ−ティ・サイクルが60%となるように、パターンBの場合には、出力する電圧パターンのデュ−ティ・サイクルが70%となるように周波数変換部28の動作を制御する。
【0036】
周波数変換部28は、商用電源20および電磁石9に接続されており、周波数設定部24およびパルス幅設定部29の制御により、商用電源20から供給される交流電流を、周波数設定部24に設定された設定周波数およびパルス幅設定部29で決定されたデューティ・サイクルに変換し、電磁石9に供給する。
【0037】
この第2実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
また、第2実施形態の電磁式ポンプでは、特に、商用電源20から供給される交流電流の周波数を設定周波数に変換するとともに、商用電源20から供給される交流電流の電圧パターンを操作者が選択した電圧パターン(デューティ・サイクル)に変換して電磁石9に供給するように構成されていることにより、次のような効果を得ることができる。表2は、選択した電圧パターンとポンプ部が吐出する空気量との関係を表す。
【0038】
【表2】
【0039】
このように、電磁石9に印加する電圧パターンのデューティ・サイクルが増減することにより、振動子3の振れ方が変化し、その結果、ポンプ部41が吐出する空気量が増減する。すなわち、電磁石9に印加する電圧パターンを変更できることにより、吐出空気量を制御することができる。これにより、商用電源20の電圧降下による吐出空気量の減少を補償することができるとともに、用途に応じた最適な吐出空気量を得ることができるという効果が得られる。
【0040】
なお、本実施形態では、駆動電流制御手段22のプリント配線板上に空気量切換スイッチ31a、31bを設けオン時間(電圧パターン)を切り換えることとしたが、電圧パターンの切換手段はこれに限定されるものではなく、リモコン等の赤外線信号を使用する等、遠隔操作でパターンの切換えを行ってもよい。』
【0041】
<第3実施形態>
次に、本発明の電磁式ポンプの第3実施形態について説明する。
図7は、第3実施形態の電磁式ポンプが備える駆動電流制御手段を示すブロック図、図8は、電磁石に印加する電圧パターンのさらに他の例を示す図である。
以下、第3実施形態にかかる電磁式ポンプについて説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0042】
本実施形態は、電磁石に印加する電圧パターンの選択肢として、デューティ・サイクルが異なる複数の電圧パターンを有し、駆動電流制御手段が、商用電源から供給される交流電流の周波数を設定周波数に変換するとともに、商用電源の電圧値に応じて電圧パターンを決定し、商用電源から供給される交流電流の電圧パターンを決定した電圧パターンに変換(パルス幅変調)するように構成されていること以外は、前記第1実施形態と同様である。
【0043】
図7に示すように、駆動電流制御手段22は、周波数設定部24および周波数調整部25と、ゼロクロス検知回路33、電圧検知部34およびパルス幅設定部29と、周波数変換部28とを備えている。
周波数設定部24および周波数調整部25の構成は、前記第1実施形態と同様である。
ゼロクロス検知回路33は、商用電源20に接続されており、商用電源20の電圧波形を読み取って電圧検知部34に出力する。
【0044】
電圧検知部34は、ゼロクロス検知回路33から入力された電圧パターンに基づいて、商用電源20の電圧値を検知し、この電圧データをパルス幅設定部29に出力する。本実施形態では、この電圧検知部34は、商用電源20の通常電圧がAC100Vであるのに対して、AC85〜110Vの電圧範囲を検知できるように構成されている。
パルス幅設定部29は、予め設定された電圧データとデューティ・サイクルの対応関係と、電圧検知部34から入力された電圧データに基づいてデューティ・サイクルを決定し、これに基づいて周波数変換部28の動作を制御する。
【0045】
周波数変換部28は、商用電源20および電磁石9に接続されており、周波数設定部24およびパルス幅設定部29の制御により、商用電源20から供給される交流電流を、周波数設定部25に設定された設定周波数およびパルス幅設定部29で決定されたデューティ・サイクルに変換し、電磁石9に供給する。
【0046】
この第3実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
また、第3実施形態の電磁式ポンプ1では、特に、商用電源20から供給される交流電流の周波数を設定周波数に変換するとともに、商用電源20の電圧値に応じて電圧パターン(デューティ・サイクル)を自動的に決定し、商用電源20から供給される交流電流のデューティ・サイクルを、決定したデューティ・サイクルに変換して電磁石9に供給するように構成されていることにより、商用電源20の電圧が変動した場合に、これに応じてデューティ・サイクルが変化し、略一定の空気吐出量が得られるという効果が得られる。この効果を、具体例に基づいて説明する。
表3に、商用電源20の電圧、電磁石に供給する交流電流のデュ−ティ・サイクルおよび吐出空気量の関係の一例を表す。
【0047】
【表3】
【0048】
このような特性を有する電磁式ポンプ1において、例えば、パルス幅設定部29に、電圧データとデューティ・サイクルとの対応関係として、AC100V−デューティ・サイクル60%、AC95%−デューティ・サイクル70%を設定する。
この場合、商用電源20が通常電圧AC100Vの場合には、商用電源20から供給される交流電流は、駆動電流制御手段22によって、図8の鎖線で示すような電圧パターン(デューティ・サイクル:60%)に変換されて電磁石9に供給される。このとき吐出空気量は80L/minである。
一方、電力事情により、商用電源20の電圧が95Vに低下すると、その影響で波高値も低下するので、デューティ・サイクルが60%のままであると、ポンプ部41から吐出する空気量が減少する(73L/min)。これに対して、本実施形態では、パルス幅設定部29が検知電圧を基にデュ−ティ・サイクルを70%に設定するため、商用電源20から供給される交流電流は、図8の実線で示すような電圧パターンに変換されて電磁石に供給される。これにより、デューティ・サイクル60%の場合よりも吐出空気量が増加し、AC100Vの場合と同等の吐出空気量(80L/min)が得られる。
なお、本実施形態では、パルス幅設定部29を、以上のような設定に加えて、商用電源20の電圧が通常より高くなった場合にデュ−ティ・サイクルが減少するように設定してもよい。
【0049】
<浄化槽の構成>
次に、本発明の電磁式ポンプを適用した浄化層について説明する。
図12は、本発明の電磁式ポンプと水処理槽の代表例である浄化槽を組合わせた実施例のひとつである。
【0050】
浄化槽100は、嫌気処理槽第一室110、嫌気処理槽第二室120、好気処理槽130、沈殿槽140、消毒槽150を備え、嫌気処理槽第二室120には流量調整エアリフトポンプ121が設置され、沈殿槽140には循環エアリフトポンプ132が設置されている。電磁式ポンプ1と浄化槽100は空気配管で接続されている。浄化槽1内では、空気配管が3つに分岐されおり、ひとつは好気処理槽130の散気管131、ひとつは流量調整エアリフトポンプ121、残りのひとつは循環エアリフトポンプ132に接続されている。
【0051】
浄化槽100に流入した汚水は嫌気処理槽第一室110と嫌気処理槽第二室120で固液分離、嫌気処理され、流量調整エアリフトポンプ121によって、好気処理槽130に移送される。嫌気処理槽第一室110と嫌気処理槽第二室120の上部は流量調整領域となっており、高水位(HWL)から低水位(LWL)まで、水位が変動する。好気処理槽130で好気処理された処理水は、沈殿槽140で再度固液分離され、上澄水が消毒槽150に送られ、滅菌処理された後、浄化槽100から流出する。
【0052】
また、好気処理槽130で硝化反応した窒素分は、循環エアリフトポンプ132によって、沈殿槽140から嫌気処理槽第一室110に送られ、脱窒反応し除去される。
各装置の必要な空気量は、各種条件よって異なるが、一例を挙げると、電磁式ポンプ1と浄化槽100を繋ぐ空気配管の損失分4L/分を除くと、中間水位(HWLとLWLの中間)で、散気管131が34L/分、流量調整エアリフトポンプ121が7L/分、循環エアリフトポンプ132が5L/分である。
【0053】
流量調整エアリフトポンプ121と循環エアリフトポンプ132に分岐された空気配管には、各々空気量を調整するバルブが設置されている。しかし、バルブを通過する風量が数L/分程度のため、このままでは、風量が少な過ぎて調整が困難である。そのため、バルブの前にオリフィス(図示略)と呼ばれる「絞り」を設置し、予め風量を少なくして、バルブへの負担を軽減する。具体的には、配管内径φ13に対し、各々φ2.0のオリフィスを設置する。
【0054】
低水位(LWL)の場合、流量調整エアリフトポンプ121の浸漬率は小さくなり、揚水効率が悪くなって送水量は減少するが、空気吐出管(図示略)の実水深は浅くなるため、空気量は多くなり、11L/分となる。その時の他への空気量は、散気管131が31L/分、循環エアリフトポンプ121が4L/分であった。
【0055】
高水位(HWL)の場合、流量調整エアリフトポンプ121の浸漬率は大きくなり、揚水効率が良くなって送水量は増加するが、空気吐出管の実水深は深くなるため、空気量は少なくなり、6L/分となる。その時の他の装置への空気量は、散気管131が35L/分、循環エアリフトポンプ121が5L/分であった。
この実施例では、水位変動があっても、循環エアリフトポンプ121の空気量は4〜5L/分と安定していた。
【0056】
従来の電磁式ポンプでは、空気吐出量が、商用電源の周波数(50Hzと60Hz)によって十数L/分の変動がある場合もあり、各エアリフトポンプ121、132および散気管131への空気分配が想定範囲を大きく逸脱する場合がある。これに対して、本発明の電磁式ポンプ1は、商用電源の周波数によらず、43Hzの交流電流が電磁石に供給される。このため、吐出量50L/分付近の安定した空気吐出を実現でき、浄化槽も安定した性能を出すことができる。
【0057】
また、従来の電磁式ポンプでは、空気吐出量が、商用電源の電圧変動に起因して数L/分減少してしまう場合もある。しかしながら、本発明の電磁式エアポンプは、常に商用電源の電圧を監視し、パルス幅変調で電磁石に印加する電圧を補正する構成(第3実施形態の構成)とした場合には、吐出量50L/分付近の安定した空気吐出を実現でき、よって浄化槽も安定した性能を出すことができる。
なお、この実施例では流量調整エアリフトポンプ121が設置されているが、流量調整エアリフトポンプ121が設置されていない場合も同様である。
【0058】
浄化槽100は、処理水量・処理水質により必要な容量が異なり、これに応じて電磁式ポンプに求められる空気吐出量も当然異なる。また、一般家庭用浄化槽においては、5人槽、7人槽等によって浄化槽本体の容量が異なり、これに応じて電磁式ポンプに求められる最低空気量も異なる。本発明の電磁式ポンプを接続した場合は、デュ−ティ・サイクルを切り換える構成(第2実施形態の構成)とすることで、自在に空気吐出量を増減させることが可能となる。表4に、浄化槽の容量(人槽)と、これに対応するデュ−ティ・サイクル(パルス設定部に設定するデューティ・サイクル)と、その場合の空気吐出量の一例を示す。
【0059】
【表4】
【0060】
図10および図11は、電磁式ポンプの、浄化槽と接続した場合の吐出圧力と吐出風量の関係を表し、図10は本発明の電磁式ポンプの場合、図11は従来の電磁式ポンプの場合である。従来の電磁式ポンプを浄化槽に接続した場合には、商用電源の周波数(50Hzと60Hz)によって、吐出圧力に対する吐出風量が異なるのに対して、本発明の電磁式ポンプを浄化槽に接続した場合には、商用電源の周波数に拠らず、吐出圧力に対して一定の吐出風量を得ることができる。また、本来の必要風量範囲での稼働も可能となり、水質が安定する。
図12および図13は、電磁式ポンプの、浄化槽と接続した場合の吐出圧力と消費電力値の関係を表し、図12は本発明の電磁式ポンプの場合、図13は従来の電磁式ポンプの場合である。本発明の電磁式ポンプは、効率のよい駆動周波数に適宜設定できるため、従来と比べて消費電力を大幅に低減することができる。
以上、本発明の電磁式ポンプおよび水処理システムについて説明したが、各実施形態において、電磁式ポンプおよび水処理システムを構成する各部、具体的な数値は一例であって、本発明の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0061】
1…電磁式ポンプ、2…電源コード、3…振動子、4…ダイヤフラム、5…吸入口、6…吸入弁、7…吐出口、8…吐出弁、9…電磁石、10…永久磁石、11…空気収容空間、20…商用電源、22…駆動電流制御手段、23…マイクロコンピュータ、24…周波数設定部、25…周波数調整部、26a…プラスボタン、26b…マイナスボタン、27…表示部、28…周波数変換部、29…パルス幅設定部、30…パターン検知部、31a 31b…空気量切換スイッチ、33…ゼロクロス検知回路、34…電圧検知部、40…ポンプ駆動部、41…ポンプ室、43…ケーシング、100…浄化槽、110…嫌気処理槽第一室、120…嫌気処理槽第二室、121…流量調整エアリフトポンプ、130…好気処理槽、131…散気管、132…循環エアリフトポンプ、140…沈殿槽、150…消毒槽
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダイヤフラムを有するポンプ室と、該ダイヤフラムに取り付けられた振動子と、該振動子に固定された永久磁石と、該永久磁石と対向する電磁石とを備え、前記電磁石に交流電流を供給することによって発生する磁力線と前記永久磁石の磁力線との吸引力および反発力によって前記振動子を振動させて前記ダイヤフラムを変形させ、これによって、前記ポンプ室内の空気を圧縮吐出する電磁式ポンプであって、
前記電磁石に供給する交流電流の周波数を、商用電源から供給される交流電流の周波数と異なる値であって、前記商用電源からの交流電流を直接前記電磁石に供給した場合よりも駆動音が小さくなる周波数に設定するように構成されていることを特徴とする電磁式ポンプ。
【請求項2】
前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンの選択肢として、デューティ比が異なる複数の電圧パターンを有し、これら電圧パターンから一の電圧パターンを任意に選択し、前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンとして設定できるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁式ポンプ。
【請求項3】
前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンの選択肢として、デューティ比が異なる複数の電圧パターンを有し、これら電圧パターンから、前記商用電源から供給される交流電流の電圧値に応じて一の電圧パターンが選択され、前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンとして設定されるように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁式ポンプ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の電磁式ポンプを備え、該電磁式ポンプが水処理槽に接続されていることを特徴とする水処理システム。
【請求項5】
請求項2に記載の電磁式ポンプを備え、
前記電磁式ポンプは、前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンの選択肢として、水処理槽の各種容量に応じた複数の電圧パターンを有し、これら電圧パターンから一の電圧パターンを任意に選択し、前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンとして設定できるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の水処理システム。
【請求項1】
ダイヤフラムを有するポンプ室と、該ダイヤフラムに取り付けられた振動子と、該振動子に固定された永久磁石と、該永久磁石と対向する電磁石とを備え、前記電磁石に交流電流を供給することによって発生する磁力線と前記永久磁石の磁力線との吸引力および反発力によって前記振動子を振動させて前記ダイヤフラムを変形させ、これによって、前記ポンプ室内の空気を圧縮吐出する電磁式ポンプであって、
前記電磁石に供給する交流電流の周波数を、商用電源から供給される交流電流の周波数と異なる値であって、前記商用電源からの交流電流を直接前記電磁石に供給した場合よりも駆動音が小さくなる周波数に設定するように構成されていることを特徴とする電磁式ポンプ。
【請求項2】
前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンの選択肢として、デューティ比が異なる複数の電圧パターンを有し、これら電圧パターンから一の電圧パターンを任意に選択し、前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンとして設定できるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁式ポンプ。
【請求項3】
前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンの選択肢として、デューティ比が異なる複数の電圧パターンを有し、これら電圧パターンから、前記商用電源から供給される交流電流の電圧値に応じて一の電圧パターンが選択され、前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンとして設定されるように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電磁式ポンプ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の電磁式ポンプを備え、該電磁式ポンプが水処理槽に接続されていることを特徴とする水処理システム。
【請求項5】
請求項2に記載の電磁式ポンプを備え、
前記電磁式ポンプは、前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンの選択肢として、水処理槽の各種容量に応じた複数の電圧パターンを有し、これら電圧パターンから一の電圧パターンを任意に選択し、前記電磁石に供給する交流電流の電圧パターンとして設定できるように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の水処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−208508(P2011−208508A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74169(P2010−74169)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(301050924)株式会社ハウステック (234)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(301050924)株式会社ハウステック (234)
【Fターム(参考)】
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