説明

電話システム、電話制御装置、およびプログラム

【課題】ISMバンドを使用する無線LANや各種ISM機器が電話システムの内線電話機をなすブルートゥース無線電話機と併用される場合でも、ISMバンドでの無線通信環境を良好に保つ。
【解決手段】電話制御装置1の通信条件設定手段15Bで、無線電話機4に対して指定された、当該無線電話機4での無線データ通信に関する通信条件を特定するための項目から、当該項目に対応する通信条件を抽出して当該無線電話機4へ設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話機制御技術に関し、特にブルートゥース(登録商標:Bluetooth)無線通信方式を用いた無線電話機を含む複数の電話機により通話回線を共用する電話システムで、これら無線電話機で用いる無線チャネルを管理するチャネル管理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の内線電話機により通話回線(外線)を共用するボタン電話装置などの電話システムでは、内線電話機としてブルートゥース無線通信方式を用いたブルートゥース無線電話機を収容する電話システムがある。
例えば、有線伝送路を介して電話制御装置に接続された無線親機とハンドセット型の無線子機とからなるカールコードレス電話機では、無線親機と無線子機との間でやり取りする音声データや制御データをブルートゥース無線通信方式で送受信する構成をとっており、無線親機からある程度離れた場所でも無線子機により通話できる。
【0003】
このような、汎用無線インターフェースであるブルートゥース無線通信方式では、変調方式として周波数ホッピング・スペクトラム拡散(FHSS:Frequency Hopping Spread Spectrum)変調方式が用いられている(非特許文献1など参照)。周波数ホッピング・スペクトラム拡散変調方式は、一定時間ごとに搬送波周波数(中心周波数)を変えてすなわち周波数ホッピングして伝送する方式である。
一般に、任意の帯域幅の電力は周波数ホッピングする周期に対して十分長い時間で平均すると低くなるので他のシステムの通信を妨害しにくく、また特定の周波数に妨害波が存在してもすぐ別の周波数にホッピングするので他のシステムからの干渉に強いといわれている。
【0004】
ブルートゥース無線通信方式では、2.4GHz帯に1MHz間隔で79個または23個のチャネルを設け、通信開始時にマスタ側とスレーブ側との間で設定したチャネル選択順に基づき、1600回/秒という速度で周波数ホッピングを繰り返し、その際、選択したチャネルを用いて相手無線装置と所望のパケットを送受信することにより、データ通信を行うものとなっている。
【0005】
従来より、このような周波数ホッピング技術として、他の機器から送信されている電波により任意のチャネルでパケット送受信エラーが発生した場合、そのチャネルを使用不可とするアダプティブ周波数ホッピング(以下、AFHという:Adaptive Frequency Hopping)技術が使用されている(例えば、非特許文献2など参照/ブルートゥース 1.2)。
このアダプティブ周波数ホッピング技術によれば、使用不可と判断されたチャネルはチャネル選択順から除外されるため、そのチャネルに対してそれ以降周波数ホッピングが行われなくなり、当該チャネルの搬送波周波数における他の装置との電波の相互干渉や、同種の無線通信装置との当該チャネルにおけるパケット送受信の衝突による無線通信の途切れを低減できる。
【0006】
一方、ブルートゥース無線通信方式と同様に、産業科学医療用に用意されたISM(Industrial Scientific Medical)バンドの周波数を用いて無線通信を行う汎用無線インターフェースとして、各種のスペクトラム拡散変調方式を用いる無線LAN通信方式がある(非特許文献3など参照)。
例えば、無線LAN通信方式のIEEE 802.11gでは、2.4GHz帯に5MHz間隔で13個のチャネルを設け、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)方式により無線通信を行う。
【0007】
CSMA/CA方式では、まず、使用するチャネルからデータを送信する前に、他無線通信装置が当該チャネルでデータ送信をしていないかを調べ(Carrier Sense)、さらに自分宛のデータが送信されてきていないかを調べる(Sense Multiple Access)。その結果、衝突の心配がないと判断したらデータを送信し、他に通信中の無線通信装置があった場合には送信待機(Collision Avoidance)となる。送信待機では、ランダムに割り当てられた時間を待ってから再度上記手順を繰り返す。また、全く同時に2つの無線通信装置が送信を始めて衝突した場合は、エラー回復ができないため上位層レベルで再送が行われる。
【0008】
【非特許文献1】http://www.bluetooth.org/spec/
【非特許文献2】http://www.ericsson.com/bluetooth/files/whitepaper_on_afh_final.pdf
【非特許文献3】http://grouper.ieee.org/groups/802/11/
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来技術では、ISMバンドを使用する無線LAN通信装置や各種機器とブルートゥース無線電話機との間で電波干渉が発生した場合、ブルートゥース無線電話機と併用される無線LAN通信装置などISMバンドを用いる他の無線通信装置の無線通信環境、あるいはブルートゥース無線電話機自体の無線通信環境を良好に保つことができないという問題点があった。
【0010】
例えば、ブルートゥース無線通信方式のAFHでは、無線LAN通信方式のようなキャリアセンス動作は行わず、選択したチャネルでパケット送受信を行い、その通信エラーの有無に応じて当該チャネルの使用可否を判断している。このため、無線LAN通信装置の通信エリア内でブルートゥース無線電話機を併用する場合、信号送受信のタイミングによってはブルートゥース無線電話機がチャネルを優先的に確保してしまい、無線LAN通信装置で対応する周波数のチャネルを確保できなくなり、無線LAN通信装置の無線通信環境が悪化する場合がある。
【0011】
また、電子レンジや医療用メス等のマイクロ波電子機器やアマチュア無線装置など、ISMバンドを使用するISM機器が周辺にある場合、ブルートゥース無線通信方式では、AFHにより、これらISM機器で用いる周波数のチャネルでの通信エラー発生に応じて、当該チャネルを使用不可とする回避動作が行われる。しかし、その回避動作において例えば統計処理などの処理時間を要する場合、一時的ではあるが通信品質が低下してブルートゥース無線電話機自体の無線通信環境が悪化する。
【0012】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、ISMバンドを使用する無線LANや各種ISM機器が電話システムの内線電話機をなすブルートゥース無線電話機と併用される場合でも、ISMバンドでの無線通信環境を良好に保つことができる電話システム、電話制御装置、およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的を達成するために、本発明にかかる電話システムは、ブルートゥース(登録商標)無線通信方式を用いたデータ通信機能を有する無線電話機を含む複数の内線電話機と、これら内線電話機を接続するとともに通話回線を収容する電話制御装置とを有し、電話制御装置により、内線電話機と通話回線とを制御して任意に交換接続することにより当該通話回線を用いた当該内線電話機による通話を実現する電話システムであって、無線電話機は、搬送波周波数の異なる複数のチャネルのうちから任意の通信条件に基づき順次選択したチャネルを用いて無線データ通信を行う通信制御手段と、電話制御装置から通知された通信条件を無線データ通信の通信条件として通信制御手段に指定する通信条件指示手段とを有し、電話制御装置は、無線電話機に対して指定された、当該無線電話機での無線データ通信に関する通信条件を特定するための項目から、当該項目に対応する通信条件を抽出して当該無線電話機へ設定する通信条件設定手段を有している。
【0014】
この際、通信条件設定手段で、通信条件を抽出する際、項目から無線データ通信で用いるチャネルの使用可否を示す通信条件を抽出し、通信条件指示手段で、通信条件を指定する際、電話制御装置から通知された通信条件に基づき無線データ通信で用いる各チャネルの使用可否を通信制御手段に指定するようにしてもよい。
【0015】
また、内線電話機のいずれかからなり、無線電話機での無線データ通信に関する通信条件を特定するための項目を選択して電話制御装置へ通知する通信条件選択手段を有する設定用電話機をさらに備えてもよい。
【0016】
この際、設定用電話機に、各種情報を画面表示する表示部をさらに設け、通信条件選択手段で、項目を選択する際、電話制御装置へ設定要求を送信することにより無線データ通信に関する通信条件を特定するための各項目を電話制御装置から取得して表示部で画面表示し、任意の操作入力に応じて表示部に表示された各項目のうちのいずれかを選択するようにしてもよい。
【0017】
具体的には、通信条件選択手段で、項目を選択する際、項目として無線LAN通信方式で用いられる無線LANチャネルを示す項目を選択し、通信条件設定手段で、通信条件を抽出する際、通信条件選択手段で選択された項目から当該無線LANチャネルの使用周波数帯域を使用するブルートゥース無線通信方式のチャネルを使用不可とする通信条件を抽出するようにしてもよい。
【0018】
あるいは、通信条件選択手段で、項目を選択する際、項目として電子機器を示す項目を選択し、通信条件設定手段で、通信条件を抽出する際、通信条件選択手段で選択された項目から当該電子機器の使用周波数帯域を使用するブルートゥース無線通信方式のチャネルを使用不可とする通信条件を抽出するようにしてもよい。
【0019】
また、通信条件選択手段で、項目を通知する際、通信条件の指定対象となる無線電話機を示す電話機情報を電話制御装置へ通知し、通信条件設定手段で、通信条件を通知する際、電話機情報に対応する無線電話機へ通信条件を設定するようにしてもよい。
【0020】
この際、電話制御装置に、無線電話機が属するグループを示すグループ情報を記憶する記憶部と、グループ情報を参照して電話機情報に対応する無線電話機と同一グループに属するグループ無線電話機を検索するグループ検索手段とをさらに設け、通信条件設定手段で、通信条件を通知する際、電話機情報で指定された無線電話機とグループ検索手段により検索した電話機情報に対応するすべてのグループ無線電話機とに対して通信条件を設定するようにしてもよい。
【0021】
また、本発明にかかる電話制御装置は、ブルートゥース(登録商標)無線通信方式を用いたデータ通信機能を有する無線電話機を含む複数の内線電話機と、これら内線電話機を接続するとともに通話回線を収容する電話制御装置とを有する電話システムで用いられ、内線電話機と通話回線とを制御して任意に交換接続することにより当該通話回線を用いた当該内線電話機による通話を実現する電話制御装置であって、無線電話機で搬送波周波数の異なる複数のチャネルのうちから任意の通信条件に基づき順次選択したチャネルを用いて無線データ通信を行う際の通信条件として、無線電話機に対して指定された通信条件特定用の項目から、当該項目に対応する通信条件を抽出して当該無線電話機へ設定する通信条件設定手段を備えている。
【0022】
また、本発明にかかるプログラムは、ブルートゥース(登録商標)無線通信方式を用いたデータ通信機能を有する無線電話機を含む複数の内線電話機と、これら内線電話機を接続するとともに通話回線を収容する電話制御装置とを有する電話システムで用いられ、内線電話機と通話回線とを制御して任意に交換接続することにより当該通話回線を用いた当該内線電話機による通話を実現する電話制御装置のコンピュータに、無線電話機で搬送波周波数の異なる複数のチャネルのうちから任意の通信条件に基づき順次選択したチャネルを用いて無線データ通信を行う際の通信条件として、無線電話機に対して指定された通信条件特定用の項目から、当該項目に対応する通信条件を抽出して当該無線電話機へ設定する通信条件設定ステップを実行させる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、電話制御装置の通信条件設定手段で、無線電話機に対して指定された、当該無線電話機での無線データ通信に関する通信条件を特定するための項目から、当該項目に対応する通信条件が抽出されて当該無線電話機へ設定されるため、ISMバンドを使用する無線LANや各種ISM機器が電話システムの内線電話機をなすブルートゥース無線電話機と併用される場合でも、ISMバンドでの無線通信環境を良好に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電話システムについて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる電話システムの構成を示すブロック図である。
この電話システムは、内線電話機として動作する複数の無線電話機4(4A,4B,4C,…)と、これら無線電話機4を有線の内線伝送路5を介して接続するとともにアナログ電話回線、ISDN回線、あるいはIP電話回線などからなる1つ以上の通話回線9を収容する電話制御装置1とから構成されている。
【0025】
無線電話機4は、カールコードレス無線親機(以下、親機という)2とカールコードレス無線子機(以下、子機という)3とからなるカールコードレス無線電話機である。この無線電話機4は、呼制御機能を持つ親機2と通話機能を持つ子機3とがブルートゥース無線通信方式による無線伝送路を介して接続される電話機であり、親機2が内線伝送路5を介して電話制御装置1と接続されている。
【0026】
本実施の形態では、無線電話機4で搬送波周波数の異なる複数のチャネルのうちから任意の通信条件に基づき順次選択したチャネルを用いて無線データ通信を行う際、電話制御装置1により、無線電話機4に対して指定された、当該無線電話機4での無線データ通信に関する通信条件を特定するための項目から、当該項目に対応する通信条件を抽出して無線電話機4へ設定するようにしたものである。
【0027】
[電話制御装置]
次に、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電話システムの電話制御装置について詳細に説明する。ここでは、内線電話機のすべてが無線電話機4から構成されている場合を例として説明する。
【0028】
この電話制御装置1は、例えばボタン電話装置の主装置に相当する通信制御装置であり、外線インターフェース部(以下、外線I/F部という)10、内線インターフェース部(以下、内線I/F部という)11、スイッチ12、記憶部14、および制御部15が設けられている。
【0029】
外線I/F部10は、専用のインターフェース回路部からなり、通話回線(外線)9を終端制御する機能を有している。
内線I/F部11は、専用のインターフェース回路部からなり、内線伝送路5を介して無線電話機4(4A,4B,4C,…)とデータ伝送を行う機能を有している。
スイッチ12は、専用のスイッチング回路部からなり、外線I/F部10と内線I/F部11との伝送路を交換接続する機能を有している。
【0030】
記憶部14は、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、制御部15での処理に用いる各種処理情報やプログラムを記憶する機能を有している。
主な処理情報としては、呼制御情報14Aおよび無線チャネル情報14Bがある。
【0031】
呼制御情報14Aは、電話システム全体の呼制御に用いる情報であり、通話回線9や各無線電話機4の状態が管理されている。
無線チャネル情報14Bは、各無線電話機4での無線データ通信に関する通信条件を示す情報である。図3は、無線チャネル情報の構成例である。この無線チャネル情報14Bには、無線電話機4を識別するための無線電話機IDと当該無線電話機での無線データ通信を行う際の通信条件としてブルートゥース無線通信方式の使用不可チャネル番号とが組として登録されている。例えば図3では、無線電話機「4B」に対して使用不可チャネル「20〜40」が登録されている。
【0032】
制御部15は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部14のプログラムを読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラムとを協働させ各種機能手段を実現する機能を有している。
主な機能手段としては、呼制御手段15Aと通信条件設定手段15Bがある。
【0033】
呼制御手段15Aは、電話システム全体の呼制御を行う手段であり、記憶部14の呼制御情報に基づき外線I/F部10およびスイッチ12を制御するとともに、内線I/F部11および内線伝送路5を介して各無線電話機4と各種制御情報をやり取りすることにより、通信回線9を用いた無線電話機4による外線発着信動作や無線電話機4間の内線発着信動作を制御する機能を有している。
【0034】
通信条件設定手段15Bは、任意の無線電話機4に対して指定された、当該無線電話機4での無線データ通信に関する通信条件を特定するための項目を受け付ける機能と、受け付けた項目に対応する通信条件を抽出する機能と、抽出した通信条件を記憶部14の無線チャネル情報14Bに登録する機能と、抽出した通信条件を当該無線電話機へ通知して設定する機能とを有している。
【0035】
[無線電話機]
次に、図2を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電話システムで用いられる無線電話機について詳細に説明する。図2は、本発明の第1の実施の形態にかかる電話システムで用いられる無線電話機の構成を示すブロック図である。
【0036】
この無線電話機4は、呼制御機能を持つ親機2と通話機能を持つ子機3とがブルートゥース無線通信方式による無線伝送路を介して接続される電話機であり、親機2が内線伝送路5を介して電話制御装置1と接続されている。
【0037】
[親機]
親機2には、伝送インターフェース部(以下、伝送I/F部という)20、音声処理部21、表示部22、操作入力部23、記憶部24、親機制御部25、および無線モジュール26が設けられている。
【0038】
伝送I/F部20は、専用のインターフェース回路部からなり、内線伝送路5を介して電話制御装置1とデータ伝送を行う機能を有している。
音声処理部21は、専用の音声処理回路とスピーカ(図示せず)およびマイク(図示せず)からなり、親機制御部25からの指示に応じて伝送I/F部20で受信した音声データを音声信号に復号してスピーカから出力する機能と、マイクから入力された音声信号を音声データに符号化して伝送I/F部20へ出力する機能とを有している。
【0039】
表示部22は、LCDやLEDなどの表示装置からなり、親機制御部25からの指示に応じて呼制御用の表示や通信条件設定時の項目選択画面を表示する機能を有している。
操作入力部23は、ダイヤルキーや項目選択用の操作キー、さらには各種スイッチからなり、利用者の操作を検出して親機制御部25へ出力する機能を有している。
記憶部24は、メモリなどの記憶装置からなり、親機制御部25での処理に用いる各種処理情報やプログラムを記憶する機能を有している。
【0040】
親機制御部25は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部14のプログラムを読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラムとを協働させ各種機能手段を実現する機能を有している。
主な機能手段としては、呼制御手段25A、通信条件選択手段25B、通信条件指示手段25Cがある。
【0041】
呼制御手段25Aは、伝送I/F部20および内線伝送路5を介して電話制御装置1と各種制御情報をやり取りするとともに、無線モジュール26を介して子機3と各種制御情報をやり取りすることにより、当該親機2および子機3を制御して通信回線9を用いた外線発着信動作や他の無線電話機4との内線発着信動作を制御する機能を有している。
通信条件選択手段25Bは、当該無線電話機4の親機2と子機3との間の無線データ通信に関する通信条件を特定するための各項目を電話制御装置1から取得して表示部22で画面表示する機能と、操作に応じて通信条件を特定するための項目を選択して電話制御装置1へ通知する機能を有している。
【0042】
通信条件指示手段25Cは、電話制御装置1から通知された通信条件を当該無線電話機4の親機2と子機3との間の無線データ通信の通信条件として無線モジュール26に指定する機能を有している。
【0043】
無線モジュール26は、ブルートゥース無線通信方式に準拠した無線インターフェースを提供する機能モジュールであり、各種機能部が親機2を構成する1つの構成要素として一体に実装されている。
無線モジュール26に設けられている主な機能部としては、無線送受信部27、モジュール記憶部28、およびモジュール制御部29がある。
【0044】
無線送受信部27は、ブルートゥース無線通信方式に準拠して無線信号を送受信する回路部であり、子機3との間で無線信号を送受信することにより無線回線6を介したデータ通信を行う機能を有している。この際、無線送受信部27は、周波数ホッピング・スペクトラム拡散変調方式に基づき2.4GHz帯に1MHz間隔で設けた79個または23個のチャネルをモジュール制御部29からの指示に基づき周波数ホッピングを繰り返し、その周波数ホッピングで選択したチャネルを用いて子機3と所望のパケットを送受信することによりデータ通信を行う。
【0045】
モジュール記憶部28は、メモリなどの記憶装置からなり、モジュール制御部29での処理動作に用いる各種処理情報を記憶する機能を有している。モジュール記憶部28で記憶する主な処理情報として、チャネルテーブル28Aがある。
チャネルテーブル28Aは、周波数ホッピング・スペクトラム拡散変調方式で順次選択する各チャネルの使用可否を管理するための処理情報であり、図4に示すように、チャネル番号ごとに当該チャネルの使用可否情報が対応付けて登録されている。図4の例では、チャネル番号「20〜40」に対して「使用不可」が登録されている。
このほか、モジュール記憶部28には、モジュール制御部29に読み込まれて実行されることにより各種機能手段を実現するためのプログラムなどを予め格納しておいてもよい。
【0046】
モジュール制御部29は、CPUとその周辺回路からなるハードウェアとこれらCPUあるいは周辺回路に設けたメモリ(図示せず)やモジュール記憶部28に予め格納されているプログラムとを協働させることにより、ブルートゥース無線通信方式に準拠して無線送受信部27を制御するための機能手段を実現する。
【0047】
このモジュール制御部29で実現される主な機能手段としては、通信制御手段29Aがある。
通信制御手段29Aは、無線送受信部27を制御して子機3と親機制御部25との間のデータ通信を制御する機能と、周波数ホッピング・スペクトラム拡散変調方式に基づき、子機3との間でデータ通信開始時に取り決めたチャネル選択順に基づき各チャネルのうちからいずか1つを順次選択して無線送受信部27へ指示する機能とを有している。この際、通信制御手段29Aは、モジュール記憶部28のチャネルテーブル28Aを参照し、チャネル選択順にしたがって選択される次のチャネルが使用不可の場合、後続する使用可のチャネルまでスキップし、その使用可のチャネルを選択する。
【0048】
このほか、通信制御手段29Aは、データ通信時に周波数ホッピングで選択したチャネルでの子機3とのパケット送受信の通信状況を親機制御部25へ通知する機能と、親機制御部25からの指示に応じてモジュール記憶部28のチャネルテーブル28Aについて任意のチャネルの使用可否情報を更新する機能と、親機制御部25からの指示に応じてモジュール記憶部28のチャネルテーブル28Aを子機3へ通知して更新する機能とを有している。
【0049】
[子機]
子機3には、音声処理部31、表示部32、操作入力部33、記憶部34、子機制御部35、および無線モジュール36が設けられている。
【0050】
音声処理部31は、専用の音声処理回路とスピーカ(図示せず)およびマイク(図示せず)からなり、子機制御部35からの指示に応じて無線モジュール36で受信した音声データを音声信号に復号してスピーカから出力する機能と、マイクから入力された音声信号を音声データに符号化して無線モジュール36へ出力する機能とを有している。
【0051】
表示部32は、LCDやLEDなどの表示装置からなり、子機制御部35からの指示に応じて呼制御用の表示を行う機能を有している。
操作入力部33は、ダイヤルキーなどの操作キー、さらには各種スイッチからなり、利用者の操作を検出して子機制御部35へ出力する機能を有している。
記憶部34は、メモリなどの記憶装置からなり、子機制御部35での処理に用いる各種処理情報やプログラムを記憶する機能を有している。
【0052】
子機制御部35は、CPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部14のプログラムを読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラムとを協働させて各種機能を実現する。
主な機能としては、無線回線6および無線モジュール36を介して親機2と各種制御情報をやり取りすることにより当該子機3の動作状態を制御する機能や、操作入力部33で検出された操作の内容を親機2へ通知する機能を有している。
【0053】
無線モジュール36は、ブルートゥース無線通信方式に準拠した無線インターフェースを提供する機能モジュールであり、各種機能部が子機3を構成する1つの構成要素として一体に実装されている。
無線モジュール36の具体的構成は、親機2の無線モジュール26と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0054】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図5を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電話システムの動作について説明する。図5は、本発明の第1の実施の形態にかかる電話システムの動作として通信条件設定動作を示すシーケンス図である。
ここでは、無線電話機4Aから自己の通信条件を設定する動作を例として説明する。
【0055】
無線電話機4Aを構成する親機2の親機制御部25は、操作入力部23により通信条件設定要求操作が検出された場合(ステップ100)、通信条件選択手段25Bにより、通信条件の設定に用いる設定画面の要求を伝送I/F部20から内線伝送路5を介して電話制御装置1へ送信する(ステップ101)。
電話制御装置1の制御部15は、内線I/F部11を介して無線電話機4Aからの設定画面要求を受信した場合、通信条件設定手段15Bにより、記憶部14から設定画面データ(図示せず)を読み出し、内線I/F部11から内線伝送路5を介して無線電話機4Aへ通知する(ステップ102)。
【0056】
親機2の通信条件選択手段25Bは、伝送I/F部20を介して電話制御装置1から設定画面データを受信し、その設定画面データを表示部22で画面表示して、利用者の操作に応じて必要な情報を取得する。
図6は、設定画面の表示例である。画面200は、通信条件設定動作で最初に表示される対象電話機の設定画面である。ここでは、通信条件を設定する対象となる無線電話機の内線番号など、無線電話機を識別する情報を入力する(ステップ103)。
【0057】
画面200で対象電話機の内線番号が入力された後、設定方法選択用の画面210が表示される(ステップ104)。ここでは、通信条件の設定方法として「1.無線LANチャネル」,「2.Bluetoothチャネル(周波数)」,「3.電子機器」などの項目が表示されており、利用者の操作に応じていずれかの項目が選択される。
例えば、画面210において、設定方法として「1.無線LANチャネル」が選択された場合、無線LANチャネル項目選択用の画面211が表示される。ここでは、無線電話機4A周辺で併用される無線LAN機器で使用されるチャネル番号が項目として表示されており、利用者の操作に応じていずれかの項目が選択される。
【0058】
また、画面210において、設定方法として「2.Bluetoothチャネル(周波数)」が選択された場合、ブルートゥースチャネル項目選択用の画面211である。ここでは、無線電話機4Aで使用されるチャネル番号あるいは搬送周波数(中心周波数)が項目として表示されており、利用者の操作に応じていずれかの項目が選択される。
また、画面210において、設定方法として「3.電子機器」が選択された場合、電子機器項目選択用の画面213が表示される。ここでは、無線電話機4A周辺で併用される電子機器(ISM機器)の名称(機種名や製品名)が項目として表示されており、利用者の操作に応じていずれかの項目が選択される。
【0059】
通信条件選択手段25Bは、これら画面に対する利用者の操作を操作入力部23で検出し、その操作に応じて取得した対象電話機識別情報と通信条件特定項目を含む設定要求を、伝送I/F部20から内線伝送路5を介して電話制御装置1へ送信する(ステップ105)。
【0060】
電話制御装置1の通信条件設定手段15Bは、内線I/F部11を介して無線電話機4Aからの設定要求を受信した場合、その設定要求に含まれる通信条件特定項目から、無線データ通信に関する通信条件として、無線電話機4Aで使用不可とするチャネルを抽出する(ステップ110)。
【0061】
ブルートゥース無線通信方式では、無線データ通信で使用する搬送周波数faにそれぞれ固有のチャネル番号が割り当てられている。図7は、ブルートゥース無線通信方式のチャネル構成を示す説明図であり、2402MHzをチャネル0(CH0)とし、ここから1MHzおきに2480MHzのチャネル78(CH78)まで、79個のチャネルが設定されている。
一方、無線LAN通信方式では、同様にして無線データ通信で使用する搬送周波数fbにそれぞれ固有のチャネル番号が割り当てられている。図8は、無線LAN通信方式のチャネル構成を示す説明図であり、2412MHzから2472MHzまで5MHzおきに設定されたチャネル1(CH1)〜チャネル13(CH13)と、最後の2484MHzのチャネル14の併せて14個のチャネルが設定されている。
【0062】
このように、ブルートゥース通信装置と無線LAN通信装置は、使用する周波数帯域がオーバーラップしているため、これら通信装置を近距離で併用した場合、使用するチャネルによっては搬送周波数が近しいために電波干渉が発生する。
通信条件設定手段15Bでは、これらチャネル構成に基づいて、無線電話機4Aで選択された通信条件特定項目から、無線データ通信に関する通信条件として無線電話機4Aで使用不可とするチャネルを抽出している。
【0063】
ブルートゥース無線通信方式で使用する搬送周波数faは、そのチャネル番号X(Xは0〜78の整数)を用いて式(1)で求められる。
fa=2402(MHz)+X×1(MHz) …(1)
また、無線LAN通信方式で使用する搬送周波数fbは、そのチャネル番号Y(Yは1〜14の整数)を用いて式(2)で求められる。
fb=2407(MHz)+Y×5(MHz)+fb'(MHz) …(2)
但し、Y=1〜13の場合fb'=0であり、Y=14の場合fb'=7である。
【0064】
この際、無線LAN通信方式では、無線データ通信時に使用される周波数帯域は、搬送周波数fbを中心として、例えば10MHz程度の帯域幅Δfを有する使用周波数帯域fbwとなる。図9は、ブルートゥース無線通信方式と無線LAN通信方式のチャネル対応関係を示す説明図であり、例えば無線LAN通信装置でチャネル5(CH5)を使用する場合、その搬送周波数fbは2432MHzであるから、Δf=10MHzとした場合、使用周波数帯域fbwはb±Δfすなわち2422MHz〜2442MHzとなる。この場合、ブルートゥース無線通信方式で使用不可とするチャネル番号は、チャネル20(CH20)〜チャネル40(CH40)となる。
【0065】
したがって、通信条件特定項目として選択された無線LAN通信方式のチャネル番号Yから、ブルートゥース無線通信方式での使用不可チャネルXwを、式(3)により求めることができる。
Xw={Y+1(MHz)}×5(MHz)+{fb'/1(MHz)}±{Δf/1(MHz)} …(3)
但し、Y=1〜13の場合fb'=0であり、Y=14の場合fb'=7である。
【0066】
このようにして、通信条件設定手段15Bは、通信条件として無線電話機4Aで使用不可とするチャネルを抽出した後、記憶部14の無線チャネル情報14Bに登録する(ステップ111)。これにより、図10に示すように、無線チャネル情報14Bのうち無線電話機4Aの使用不可チャネル番号に「20〜40」が登録される。
また、通信条件設定手段15Bは、使用不可チャネルを含む設定通知を内線I/F部11から無線電話機4Aに対して通知することにより、この通信条件を無線電話機4Aに設定する(ステップ120)。
【0067】
無線電話機4Aを構成する親機2の親機制御部25は、伝送I/F部20を介して電話制御装置1から設定通知を受信した場合、通信条件指示手段25Cにより、この設定通知に含まれる使用不可チャネルを無線モジュール26へ指定する(ステップ121)。
無線モジュール26のモジュール制御部29は、通信制御手段29Aにより、通信条件指示手段25Cから指定された使用不可チャネルを、モジュール記憶部28のチャネルテーブル28Aに登録する。これにより、図11に示すように、チャネル番号20〜40に対して使用不可が登録される。
【0068】
また、通信条件設定手段15Bは、子機3へのチャネルテーブルの同期を無線モジュール26へ指示する。これに応じて、通信制御手段29Aは、モジュール記憶部28のチャネルテーブル28Aを読み出して、無線送受信部27から無線回線6を介して子機3へ通知する。子機3の無線モジュール36は、親機2の無線モジュール26から通知されたチャネルテーブル28Aの内容に基づき自己のモジュールテーブルを更新する。これにより、親機2および子機3間でモジュールテーブルの内容が同期されて、互いに同じ使用不可チャネルが認識され、一連の通信条件設定動作が終了する。
【0069】
このように、本実施の形態は、無線電話機に、搬送波周波数の異なる複数のチャネルのうちから任意の通信条件に基づき順次選択したチャネルを用いて無線データ通信を行う通信制御手段と、電話制御装置から通知された通信条件を無線データ通信の通信条件として通信制御手段に指定する通信条件指示手段とを設け、電話制御装置の通信条件設定手段で、無線電話機に対して指定された、当該無線電話機での無線データ通信に関する通信条件を特定するための項目から、当該項目に対応する通信条件を抽出して当該無線電話機へ設定するようにしたので、ISMバンドを使用する無線LANや各種ISM機器が電話システムの内線電話機をなすブルートゥース無線電話機と併用される場合でも、ISMバンドでの無線通信環境を良好に保つことができる。
【0070】
この際、通信条件設定手段で、通信条件を抽出する際、項目から無線データ通信で用いるチャネルの使用可否を示す通信条件を抽出し、通信条件指示手段で、通信条件を指定する際、電話制御装置から通知された通信条件に基づき無線データ通信で用いる各チャネルの使用可否を通信制御手段に指定するようにしたので、任意の項目から実際の制御で用いるブルートゥース無線通信方式での使用不可チャネルの抽出を電話制御装置で一元的に行うことができ、各無線電話機で使用不可チャネルの抽出を行う場合と比較して、極めて簡素な構成の電話システムを実現できる。
【0071】
また、内線電話機のいずれかを設定用電話機として、無線電話機での無線データ通信に関する通信条件を特定するための項目を選択して電話制御装置へ通知するようにしたので、通信条件設定用の装置を別途設ける必要がなくなる。
なお、本実施の形態では、無線電話機4Aを通信条件の設定用電話機とした場合を例として説明したが、設定用電話機が無線電話機4である必要はなく、例えばハンドセットがカールコードを介して電話機本体に接続されている一般的な内線電話機であってもよい。
【0072】
さらに、設定用電話機の通信条件選択手段で、項目を選択する際、電話制御装置へ設定要求を送信することにより無線データ通信に関する通信条件を特定するための各項目を電話制御装置から取得して表示部で画面表示し、任意の操作入力に応じて表示部に表示された各項目のうちのいずれかを選択するようにしたので、通信条件を容易に設定できる。
【0073】
この際、通信条件特定項目として無線LAN通信方式で用いられる無線LANチャネルを示す項目を選択し、その項目から当該無線LANチャネルでの使用周波数帯域を使用するブルートゥース無線通信方式のチャネルを使用不可とする通信条件を抽出するようにしてもよく、無線LAN通信方式やブルートゥース無線通信方式のチャネル構成およびその搬送周波数に関する知識を必要とすることなく容易に通信条件を設定できる。
【0074】
また、通信条件特定項目として電子機器(ISM機器)を示す項目を選択し、その項目から当該電子機器での使用周波数帯域を使用するブルートゥース無線通信方式のチャネルを使用不可とする通信条件を抽出するようにしてもよく、当該電子機器の使用周波数帯域やブルートゥース無線通信方式のチャネル構成や搬送周波数に関する知識を必要とすることなく容易に通信条件を設定できる。
【0075】
また、通信条件特定項目としてブルートゥース無線通信方式のチャネルを示す項目を選択し、その項目で指定されたチャネルを使用不可とする通信条件を抽出するようにしてもよく、他のブルートゥース通信装置で用いるチャネルを容易に設定できる。これにより、他のブルートゥース通信装置とのチャネルの棲み分けを容易に実現でき、両者間で偏りなくチャネルを利用できる。
また、通信条件特定項目としてブルートゥース無線通信方式の搬送周波数を示す項目を選択し、その項目で指定された搬送周波数のチャネルを使用不可とする通信条件を抽出するようにしてもよく、任意のISM機器から放出される所定周波数の電磁波との干渉を、AFHで確認することなく容易に回避できる。
【0076】
また、設定用電話機の通信条件選択手段で、項目を通知する際、通信条件の指定対象となる無線電話機を示す電話機情報を電話制御装置へ通知し、電話制御装置の通信条件設定手段で、通信条件を通知する際、電話機情報に対応する無線電話機へ通信条件を設定するようにしたので、設定電話機から各無線電話機に対して通信条件を設定でき、各無線電話機で通信条件をそれぞれ設定する場合と比較して、電話システムの保守作業を簡素化できる。
【0077】
[第2の実施の形態]
次に、図12を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる電話システムについて説明する。図12は、本発明の第2の実施の形態にかかる電話システムの構成を示すブロック図であり、前述の図1と同じまたは同等部分には同一符号を付してある。
【0078】
第1の実施の形態では(図1参照)、通信条件を設定する際、その対象となる無線電話機を個別に指定する場合について説明した。本実施の形態では、各無線電話機4をグループ管理しておき、通信条件設定の対象となる無線電話機4と同一グループに属するすべてのグループ無線電話機へ同一通信条件を設定する場合について説明する。
【0079】
本実施の形態にかかる電話システムの構成は、第1の実施の形態と比較して、電話制御装置1の制御部15にグループ検索手段15Cが追加されているとともに、記憶部14にグループ情報14Cが追加されている。
【0080】
グループ検索手段15Cは、記憶部14のグループ情報14Cを参照して、通信条件設定時に無線電話機4から通知された設定要求に含まれる電話機情報について、対応する無線電話機と同一グループに属するグループ無線電話機を検索する機能を有している。
図13は、グループ情報の構成例である。ここでは、グループを識別するためのグループIDと当該グループに属する無線電話機を識別するための無線電話機IDとが組として登録されている。
【0081】
図13の例では、グループ「G1」に無線電話機「4A,4B」が属していることが登録されており、電話機情報により無線電話機4Aが指定された場合、グループ無線電話機として「4A,4B」がグループ検索手段15Cにより検索される。
なお、電話機制御装置1のその他の構成、および無線電話機4の構成については、前述した第1の実施の形態と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0082】
[第2の実施の形態の動作]
次に、図14を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる電話システムの動作について説明する。図14は、本発明の第2の実施の形態にかかる電話システムの動作として通信条件設定動作を示すシーケンス図であり、前述の図5と同じまたは同様部分には同一符号を付してある。
ここでは、無線電話機4Aから自己と無線電話機4Cとを設定対象として指定することにより、同一グループの各無線電話機4A,4Bと無線電話機4Cへ同一通信条件を設定する動作を例として説明する。なお、グループ情報14Cには、図13の内容が登録されているものとする。
【0083】
無線電話機4Aを構成する親機2の親機制御部25は、操作入力部23により通信条件設定要求操作が検出された場合(ステップ100)、通信条件選択手段25Bにより、通信条件の設定に用いる設定画面の要求を伝送I/F部20から内線伝送路5を介して電話制御装置1へ送信する(ステップ101)。
電話制御装置1の制御部15は、内線I/F部11を介して無線電話機4Aからの設定画面要求を受信した場合、通信条件設定手段15Bにより、記憶部14から設定画面データ(図示せず)を読み出し、内線I/F部11から内線伝送路5を介して無線電話機4Aへ通知する(ステップ102)。
【0084】
親機2の通信条件選択手段25Bは、伝送I/F部20を介して電話制御装置1から設定画面データを受信し、その設定画面データを表示部22で画面表示して、利用者の操作に応じて必要な情報を取得する。ここでは対象無線電話機4A,4Cと通信条件特定項目とを取得したものとする(ステップ103,104)。
通信条件選択手段25Bは、表示した画面に対する利用者の操作を操作入力部23で検出し、その操作に応じて取得した対象電話機識別情報と通信条件特定項目を含む設定要求を、伝送I/F部20から内線伝送路5を介して電話制御装置1へ送信する(ステップ105)。
【0085】
電話制御装置1の通信条件設定手段15Bは、内線I/F部11を介して無線電話機4Aからの設定要求を受信した場合、その設定要求に含まれる通信条件特定項目から、無線データ通信に関する通信条件として、対象無線電話機で使用不可とするチャネルを抽出する(ステップ110)。
【0086】
次に、通信条件設定手段15Bは、グループ検索手段15Cにより、記憶部14のグループ情報14Cを参照して、通信条件設定時に無線電話機4から通知された設定要求に含まれる電話機情報について、この電話機情報の無線電話機4A,4Cと同一グループに属するグループ無線電話機をそれぞれ検索する。図13の例では、無線電話機4AがグループG1に属しているためグループ無線電話機として4Bが検索される。また無線電話機4Cはいずれのグループにも属していないためグループ無線電話機としては検索されない。
したがって、設定要求の電話機情報で指定された無線電話機4A,4Cと、これら無線電話機のグループ無線電話機4Bが通信条件の設定対象となる。
【0087】
なお、このように設定要求の電話機情報により無線電話機4A,4Cが同時に指定された場合や、具体的に無線電話機4A,4Cがグループであることが設定要求で指示された場合には、これら無線電話機4A,4Cを新たなグループG2としてグループ情報14Cに登録するようにしてもよい。これにより、グループ情報14Cは、図15に示すような登録内容となる。
【0088】
このようにして、通信条件設定手段15Bは、通信条件として無線電話機4A,4B,4Cで使用不可とするチャネルを抽出するとともに、グループ無線電話機を検索した後、記憶部14の無線チャネル情報14Bのうち、これら設定対象となる無線電話機4A,4B,4Cに新たな使用不可チャネル番号を更新登録する(ステップ111)。
また、通信条件設定手段15Bは、使用不可チャネルを含む設定通知を内線I/F部11から無線電話機4A,4B,4Cに対して通知することにより、この通信条件を無線電話機4Aに設定する(ステップ120)。
【0089】
無線電話機4A,4B,4Cを構成する親機2の親機制御部25は、伝送I/F部20を介して電話制御装置1から設定通知を受信した場合、通信条件指示手段25Cにより、この設定通知に含まれる使用不可チャネルを無線モジュール26へ指定する(ステップ121)。
無線モジュール26のモジュール制御部29は、通信制御手段29Aにより、通信条件指示手段25Cから指定された使用不可チャネルを、モジュール記憶部28のチャネルテーブル28Aに登録する。
【0090】
このように本実施の形態では、電話制御装置1により、無線電話機が属するグループを示すグループ情報を記憶するとともに、グループ情報を参照して電話機情報に対応する無線電話機と同一グループに属するグループ無線電話機を検索するグループ検索手段を設け、通信条件設定手段で、通信条件を通知する際、電話機情報で指定された無線電話機とグループ検索手段により検索した電話機情報に対応するすべてのグループ無線電話機とに対して通信条件を設定するようにしたので、同一グループに属する無線電話機に対して同一通信条件を自動的に設定できる。
【0091】
通常、無線電話機の無線電波環境は、設置位置がある程度近い場合、それほど大きく変化するものではないため、任意の無線電話機で例えば無線LAN通信装置と電波干渉が発生した場合、その無線電話機の近くに設置されている無線電話機でも同様の電波干渉が発生する可能性が高い。
本実施の形態によれば、図16に示すように、無線電話機4Aと無線電話機4Bの設置位置が近く、これら無線電話機4A,4Bに対して電波干渉300が発生している場合、これら無線電話機4A,4BをグループG1と設定しておくことにより、例えば無線電話機4Aを対象として新たな通信条件が設定された場合、同じグループG1の無線電話機4Bにも同一通信条件が設定され、電波干渉300に対応できる。
【0092】
また、図16に示すように、設置位置が近い無線電話機4A,4Cに対して電波干渉301が発生した場合、これら無線電話機4A,4CをグループG2として設定しておけば、無線電話機4Cを対象とする新たな通信条件の設定により、無線電話機4Aにも同一通信条件が設定される。
このとき、無線電話機4B,4Cの設置位置が離れていて両者の無線環境が異なる場合には、無線電話機4Cでの電波干渉301が無線電話機4Bで発生する可能性は少ない。したがって、無線電話機4Cを元にしてグループ無線電話機を検索した場合には、無線電話機4Aと同じグループG1に属する無線電話機4Bはグループ無線電話機として検索されず、無線電話機4Bには新たな通信条件が設定されない。
【0093】
[第3の実施の形態]
次に、図17を参照して、本発明の第3の実施の形態にかかる電話システムについて説明する。図17は、本発明の第3の実施の形態にかかる電話システムで用いられるチャネル番号抽出テーブルの構成例である。
【0094】
前述した第1の実施の形態では、電話制御装置1で、通信条件特定項目として選択された無線LANチャネルからブルートゥース無線通信方式のチャネルを使用不可とする通信条件を抽出する際、式(3)を用いてブルートゥース無線通信方式のチャネル番号を求める場合を例として説明した。
本実施の形態では、図17のチャネル番号抽出テーブルを用いてブルートゥース無線通信方式のチャネル番号を求める場合について説明する。なお、電話システムの構成については前述した第1の実施の形態と同様であり、ここでの説明は省略する。
【0095】
図17のチャネル番号抽出テーブルには、無線LANチャネルのチャネル番号Yと、これらチャネルの使用周波数帯域に対応するブルートゥース無線通信方式のチャネルのチャネル番号とが組として登録されている。この際、無線LAN通信方式の使用周波数帯域幅Δfを考慮して、両者の対応関係を登録しておく必要がある。
電話制御装置1の通信条件設定手段15Bでは、チャネル番号抽出テーブルに基づき、項目選択手段18Bで選択された通信条件特定項目から、無線データ通信に関する通信条件として、無線電話機4で使用不可とするチャネルを抽出する。
【0096】
このように、本実施の形態では、無線データ通信に関する通信条件を抽出する際、通信条件特定項目とブルートゥース無線通信方式のチャネル番号との対応関係を記憶するチャネル番号抽出テーブルを参照して、使用不可とするチャネルを抽出するようにしたので、極めて容易に所望の使用不可チャネルを抽出できる。
【0097】
[実施の形態の拡張]
以上の各実施の形態では、無線電話機4において、親機2と子機3とを無線回線を介して接続する際にブルートゥース無線通信方式を用いる場合を例として説明したが、ブルートゥース無線通信方式の用い方についてはこれに限定されるものではなく、例えば内線電話機が他の端末機器とのデータ通信にブルートゥース無線通信方式を用いている場合であっても、この内線電話機を無線電話機4と見なして各実施の形態を前述と同様に実施でき、同様の作用効果が得られる。
【0098】
また、以上の各実施の形態では、無線LAN通信方式の使用周波数帯域幅Δfを10MHzとした場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、実際に使用する無線LAN通信装置の周波数特性や無線電話機4の対干渉性能に応じて使用周波数帯域幅Δfを選択すればよい。
【0099】
また、以上の各実施の形態では、無線電話機4を構成する親機2の親機制御部25に、通信条件選択手段25Bおよび通信条件指示手段25Cを設けた場合を例として説明したが、これら手段のいずれかまたは全部を無線モジュール26のモジュール制御部29で実現してもよく、ブルートゥース無線通信方式の周波数ホッピング機能の1つとして無線モジュール内に実装できる。これにより、親機制御部25での処理を大幅に軽減できるとともに、親機制御部25で実行するプログラムを簡素化でき、全体として安価な無線通信装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる電話システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかる電話システムで用いられる無線電話機の構成を示すブロック図である。
【図3】無線チャネル情報の構成例である。
【図4】チャネルテーブルの構成例である。
【図5】本発明の第1の実施の形態にかかる電話システムの動作として通信条件設定動作を示すシーケンス図である。
【図6】設定画面の表示例である。
【図7】ブルートゥース無線通信方式のチャネル構成を示す説明図である。
【図8】無線LAN通信方式のチャネル構成を示す説明図である。
【図9】ブルートゥース無線通信方式と無線LAN通信方式のチャネル対応関係を示す説明図である。
【図10】無線チャネル情報の登録例である。
【図11】チャネルテーブルの登録例である。
【図12】本発明の第2の実施の形態にかかる電話システムの構成を示すブロック図である。
【図13】グループ情報の構成例である。
【図14】本発明の第2の実施の形態にかかる電話システムの動作として通信条件設定動作を示すシーケンス図である。
【図15】グループ情報の登録例である。
【図16】無線電話機の設置位置と電波干渉との関係を示す説明図である。
【図17】チャネル番号抽出テーブルの構成例である。
【符号の説明】
【0101】
1…電話制御装置、10…外線I/F部、11…内線I/F部、12…スイッチ、14…記憶部、14A…呼制御情報、14B…無線チャネル情報、14C…グループ情報、15…制御部、15A…呼制御手段、15B…通信条件設定手段、15C…グループ検索手段、2…親機、20…伝送I/F部、21…音声処理部、22…表示部、23…操作入力部、24…記憶部、25…親機制御部、25A…呼制御手段、25B…通信条件選択手段、25C…通信条件指示手段、26…無線モジュール、27…無線送受信部、28…モジュール記憶部、28A…チャネルテーブル、29…モジュール制御部、29A…通信制御手段、3…子機、31…音声処理部、32…表示部、33…操作入力部、34…記憶部、35…子機制御部、36…無線モジュール、4,4A,4B,4C…無線電話機、5…内線伝送路、6…無線回線、9…通話回線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブルートゥース(登録商標)無線通信方式を用いたデータ通信機能を有する無線電話機を含む複数の内線電話機と、これら内線電話機を接続するとともに通話回線を収容する電話制御装置とを有し、前記電話制御装置により、前記内線電話機と前記通話回線とを制御して任意に交換接続することにより当該通話回線を用いた当該内線電話機による通話を実現する電話システムであって、
前記無線電話機は、搬送波周波数の異なる複数のチャネルのうちから任意の通信条件に基づき順次選択したチャネルを用いて無線データ通信を行う通信制御手段と、前記電話制御装置から通知された通信条件を前記無線データ通信の通信条件として前記通信制御手段に指定する通信条件指示手段とを有し、
前記電話制御装置は、前記無線電話機に対して指定された、当該無線電話機での無線データ通信に関する通信条件を特定するための項目から、当該項目に対応する通信条件を抽出して当該無線電話機へ設定する通信条件設定手段を有する
ことを特徴とする電話システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電話システムにおいて、
前記通信条件設定手段は、前記通信条件を抽出する際、前記項目から前記無線データ通信で用いるチャネルの使用可否を示す通信条件を抽出し、
前記通信条件指示手段は、前記通信条件を指定する際、前記電話制御装置から通知された通信条件に基づき前記無線データ通信で用いる前記各チャネルの使用可否を前記通信制御手段に指定する
ことを特徴とする電話システム。
【請求項3】
請求項1に記載の電話システムにおいて、
前記内線電話機のいずれかからなり、前記無線電話機での無線データ通信に関する通信条件を特定するための項目を選択して前記電話制御装置へ通知する通信条件選択手段を有する設定用電話機をさらに備える
ことを特徴とする電話システム。
【請求項4】
請求項3に記載の電話システムにおいて、
前記設定用電話機は、各種情報を画面表示する表示部をさらに有し、
前記通信条件選択手段は、前記項目を選択する際、前記電話制御装置へ設定要求を送信することにより前記無線データ通信に関する通信条件を特定するための各項目を前記電話制御装置から取得して前記表示部で画面表示し、任意の操作入力に応じて前記表示部に表示された前記各項目のうちのいずれかを選択する
ことを特徴とする電話システム。
【請求項5】
請求項4に記載の電話システムにおいて、
前記通信条件選択手段は、前記項目を選択する際、前記項目として無線LAN通信方式で用いられる無線LANチャネルを示す項目を選択し、
前記通信条件設定手段は、前記通信条件を抽出する際、前記通信条件選択手段で選択された項目から当該無線LANチャネルの使用周波数帯域を使用するブルートゥース無線通信方式のチャネルを使用不可とする通信条件を抽出する
ことを特徴とする電話システム。
【請求項6】
請求項4に記載の電話システムにおいて、
前記通信条件選択手段は、前記項目を選択する際、前記項目として電子機器を示す項目を選択し、
前記通信条件設定手段は、前記通信条件を抽出する際、前記通信条件選択手段で選択された項目から当該電子機器の使用周波数帯域を使用するブルートゥース無線通信方式のチャネルを使用不可とする通信条件を抽出する
ことを特徴とする電話システム。
【請求項7】
請求項3に記載の電話システムにおいて、
前記通信条件選択手段は、前記項目を通知する際、前記通信条件の指定対象となる無線電話機を示す電話機情報を前記電話制御装置へ通知し、
前記通信条件設定手段は、前記通信条件を通知する際、前記電話機情報に対応する無線電話機へ前記通信条件を設定する
ことを特徴とする電話システム。
【請求項8】
請求項7に記載の電話システムにおいて、
前記電話制御装置は、
前記無線電話機が属するグループを示すグループ情報を記憶する記憶部と、前記グループ情報を参照して前記電話機情報に対応する無線電話機と同一グループに属するグループ無線電話機を検索するグループ検索手段とをさらに有し、
前記通信条件設定手段は、前記通信条件を通知する際、前記電話機情報で指定された無線電話機と前記グループ検索手段により検索した前記電話機情報に対応するすべてのグループ無線電話機とに対して前記通信条件を設定する
ことを特徴とする電話システム。
【請求項9】
ブルートゥース(登録商標)無線通信方式を用いたデータ通信機能を有する無線電話機を含む複数の内線電話機と、これら内線電話機を接続するとともに通話回線を収容する電話制御装置とを有する電話システムで用いられ、前記内線電話機と前記通話回線とを制御して任意に交換接続することにより当該通話回線を用いた当該内線電話機による通話を実現する電話制御装置であって、
前記無線電話機で搬送波周波数の異なる複数のチャネルのうちから任意の通信条件に基づき順次選択したチャネルを用いて無線データ通信を行う際の通信条件として、前記無線電話機に対して指定された前記通信条件特定用の項目から、当該項目に対応する通信条件を抽出して当該無線電話機へ設定する通信条件設定手段を備える
ことを特徴とする電話制御装置。
【請求項10】
ブルートゥース(登録商標)無線通信方式を用いたデータ通信機能を有する無線電話機を含む複数の内線電話機と、これら内線電話機を接続するとともに通話回線を収容する電話制御装置とを有する電話システムで用いられ、前記内線電話機と前記通話回線とを制御して任意に交換接続することにより当該通話回線を用いた当該内線電話機による通話を実現する電話制御装置のコンピュータに、
前記無線電話機で搬送波周波数の異なる複数のチャネルのうちから任意の通信条件に基づき順次選択したチャネルを用いて無線データ通信を行う際の通信条件として、前記無線電話機に対して指定された前記通信条件特定用の項目から、当該項目に対応する通信条件を抽出して当該無線電話機へ設定する通信条件設定ステップを
実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−89069(P2007−89069A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−278472(P2005−278472)
【出願日】平成17年9月26日(2005.9.26)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】