説明

電話応答システム

【課題】 企業のコールセンター等で、複数のオペレータが顧客からの電話応答を行う電話応答システムにおいて、電話による暗証番号や個人情報等の顧客情報の取得方法では、顧客情報を十分に保護しているとはいえない。
【解決手段】 顧客からの着信に対し、自動音声による応答とオペレータの音声による応答と切り替えて応答する電話応答システムにより、暗証番号の認証等の顧客が本人であるか否かの特定を行うための情報や、契約の申し込み等の顧客の意思確認が必要な情報を取得する場合に、自動音声応答機能に切り替えて受け付け、顧客からのデータの入力についても、すべてをコンピュータシステムにより行うことで、顧客情報の入力の安全を担保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
企業のコールセンター等で、複数のオペレータが顧客からの電話応答を行う電話応答システムであって、秘匿性の高い顧客情報を自動音声応答機能により受け付け、暗証番号の認証等を安全に行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
金融業界等の多くの業界では、顧客からの問い合わせ、申し込み等を電話でも受け付けられるようにしている。そのため、オペレータと顧客との通話のなかで、顧客の個人情報や秘匿性の高い契約内容等が音声でやりとりされる場合がある。
【0003】
また、電話での問い合わせ、申し込みの内容が、顧客の意思確認が必要な内容である場合には、オペレータは個人を特定するため顧客に暗証番号の照合を要求することがある。この場合、顧客からオペレータに暗証番号を音声で伝達することも可能であるが、その声が第三者に聞こえてしまうおそれがあり、セキュリティの観点から問題である。また、オペレータに暗証番号が伝わるため、顧客に不安感を与える場合もある。
【0004】
そのため、オペレータが顧客との対応を自動音声応答に切り替えて、その音声案内にしたがって暗証番号を入力させることが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2006−033780号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通り、従来の通話による個人情報や秘匿性の高い契約内容等の応答方法や、暗証番号の取得方法では、顧客が安心感をもって顧客情報を開示しているとはいえない。
【0006】
また、大規模なコールセンター等においては、数多くのオペレータが従事しており、すべてのオペレータに顧客情報の保護を徹底することは困難である。
【0007】
さらに、自動音声応答により顧客情報を取得する方法を用いたとしても、オペレータによる応答から自動音声応答に切り替えるためには、オペレータが端末を操作する必要がある。その際、従来の方法ではオペレータが電話操作アプリケーションで通話の切り替えを行うため、オペレータの誤操作により自動音声応答に切り替わってしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、誤操作を排除してオペレータの応答と自動音声応答とを切り替えることで、顧客情報の保護を可能とする電話応答システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電話応答システムは、顧客からの電話着信に対し、通信制御機能を備えるサーバ装置を用いて、自動音声応答とオペレータの通信機器による応答を切り替えて、顧客からの問い合わせ、申し込みに対応する電話応答システムであって、ネットワークを介して接続するオペレータの端末の表示部に表示されたメニュー選択画面において、所定のメニューを選択することにより、応答切り替えボタンを表示する応答切り替えボタン表示手段と、前記応答切り替えボタン表示手段により表示された応答切り替えボタンを押下することにより、応答方法をオペレータの通信機器による応答から、自動音声応答に切り替える自動音声応答切り替え手段と、自動音声応答において、顧客の通信機器から入力された顧客情報のデータを取得する顧客情報取得手段と、顧客情報のデータの取得完了を検知して、応答方法を自動音声応答から前記オペレータの通信機器による応答に切り替えるオペレータ応答切り替え手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
ここで、電話とは一般公衆回線を用いた通信方式に限らず、IP電話等の通話機能を有する各種の方式を包含するものである。また、通信制御機能を有するサーバ装置とは、企業のコールセンター等で採用されるCTIシステムサーバやPBX装置(構内電話交換機)等を利用したシステムを意味し、自動音声応答機能についてはIVRシステム装置等の、自動音声応答装置を設置することで実現される。
【0011】
ここで顧客情報とは、第三者に開示をすべきではない情報であって、契約の申し込みや契約内容の確認といった情報や、本人を特定するための暗証番号等の情報を意味するものである。
【0012】
本発明の電話応答システムは、顧客の通信機器からの発信を、自動音声応答により着信して、前記サーバ装置が備える発信電話番号表示機能により、顧客が発信した通信機器の電話番号のデータを取得する電話番号取得手段と、前記電話番号のデータに基づいて、あらかじめ保持する顧客の電話番号のデータを検索して顧客を特定し、あらかじめ保持する顧客の応答履歴のデータから、特定した顧客の応答履歴データを抽出する顧客データ抽出手段と、前記顧客データ抽出手段による応答履歴データの抽出を検知して、応答方法を自動音声応答からオペレータの通信機器による応答に切り替えるオペレータ応答開始手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
これにより、顧客からの電話の着信の段階で応答の履歴等を抽出することで、オペレータはこれらの情報を参照することが可能となり、顧客との電話応答において、迅速な対応をすることができる。
【0014】
また、請求項1における顧客情報は、本人の確認に必要な、顧客の暗証番号である場合には、前記顧客情報取得手段により取得した暗証番号のデータを、あらかじめ保持する顧客の暗証番号のデータと比較して、本人認証の判定を行い、判定結果を前記オペレータの端末に表示する暗証番号認証手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
ここで暗証番号とは一般に本人確認のために顧客が任意に選択した数字列等であるが、本発明においては認証のためのパスワードや、第三者では知り得ない生年月日等の個人情報や、事前に登録した質問に対する回答等を個人認証に使用するような場合の入力内容も含むものである。
【0016】
さらに、請求項1における顧客情報は、顧客からの契約申し込みに関する情報である場合には、前記顧客情報取得手段により取得した顧客からの契約申し込みのデータを、あらかじめ保持する顧客との契約内容のデータと比較して、契約申し込みの適合性の判定を行い、判定結果を前記オペレータの端末に表示する契約申込受付手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
ここで契約の申し込みに関する情報とは、第三者に開示をすべきではない新たな契約の申し込みや、顧客本人からの契約内容の確認といった、顧客の意思確認が必要な情報を意味する。
【0018】
契約申し込みの適合性の判定では、顧客から申し込みがあった注文等の個別の契約が、顧客との契約範囲内にあるか、約款等の規則に反するものではないか、金額による利用制限はないか等の審査を、データの比較により行う。
【0019】
加えて、請求項1における顧客情報は、新たな暗証番号の設定に必要な、顧客が設定を希望する暗証番号である場合には、前記顧客情報取得手段により取得した、顧客が設定を希望する暗証番号のデータを、あらかじめ保持する暗証番号の定義データと比較して、暗証番号の適合性の判定を行い、判定結果を前記オペレータの端末に表示する暗証番号設定手段と、を備えることを特徴とする。
【0020】
ここで定義データとは、暗証番号としてふさわしくない数字の選択の有無を判定する。たとえば同じ数字による構成や、単純な数字の連続である場合である。また、顧客との関係においては、顧客の生年月日や電話番号等と同一の場合には、ふさわしくない数字である。すなわち、定義データでは、あらかじめ保持する顧客のデータを参照しながら適合性の判断を行うこともできる。
【0021】
なお、前記顧客情報取得手段により取得する顧客情報は、前記オペレータの端末の表示部への表示をすることなく、前記サーバ装置が取得することを特徴とする。
【0022】
すなわち、顧客が自動音声応答により顧客情報の入力を行う場合に、すべての制御をサーバ装置が行い、オペレータは顧客情報の取得等の処理には介在しない。そのため、顧客情報の秘匿性が担保される。
【0023】
また、前記自動音声応答に対して顧客が入力したデータの履歴を、前記サーバ装置に保存する応答履歴保存手段を備えることを特徴とする。
【0024】
これにより顧客は、次回の電話による問い合わせに際して、オペレータによる迅速な対応を期待できる。
【発明の効果】
【0025】
顧客からの問い合わせ、申し込み等を電話で受け付ける場合に、個人を特定する内容については、暗証番号の入力を求められる。例えば、金融機関においては、残高の照会や契約内容の変更等に際して、暗証番号により本人確認を行うことが申し込みの前提となる。その場合に、電話を介して音声で確認を行う方法では、セキュリティの面から不安があるため利用しない顧客も存在する。
【0026】
しかし、本発明の電話応答システムによれば、電話をかけている時にも周囲を気にすることなく、またオペレータを介さずに、コンピュータシステムにより認証が行われるため、セキュリティ面に不安を感じていた顧客であっても、安心して利用することができる。
【0027】
特に、金融機関において、キャッシング機能を有するカードを紛失してしまったような場合には、早急にカードのキャッシング機能を失効させる必要がある。本発明の電話応答システムによれば、カードの拾得者への暗証番号情報の流出を防止しつつ、その場で携帯電話等により金融機関との手続を行うことで、迅速、確実にカードを失効させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る電話応答システム1と、専用ネットワーク3を介して接続するオペレータの端末6、音声通信回線4を介して接続するオペレータの通信機器7、通信ネットワーク2を介して接続する顧客の通信機器5の機能ブロック図である。
【0029】
電話応答システム1は、通信ネットワーク2、専用ネットワーク3、音声通信回線4と通信を行う送受信部11、顧客情報の受付に関する演算処理等を行う中央演算処理部12、顧客に関する情報や自動音声対応の応答音声のデータ等を保持する記憶部13、データを入力するキーボード等の入力部14およびデータを出力する表示装置あるいはプリンタ等の出力部15から構成されている。
【0030】
送受信部11は、一般の公衆回線等の通信ネットワーク2を介して、顧客の通信機器5等に繋がっている。また、LAN等の専用ネットワーク3を介して、オペレータの端末6等に繋がっている。さらに、音声通信回線4を介して、オペレータの通信機器7等に繋がっている。端末と通信機器を同時に扱うオペレータは、複数名が基本的には同等の対応能力を有する、いわゆるコールセンターの機能を担っている。なお、オペレータの端末6およびオペレータの通信機器7は、通信機能を有するコンピュータ端末であってもよい。この場合には、一つの筐体により双方の機能を具備することになり、サーバ装置とはLAN等の専用ネットワーク3を介して接続し、通信機能についてはヘッドセット等を備えることになる。
【0031】
記憶部13には、顧客に関するデータ等を保持する顧客DB131(図2)、自動音声応答の応答音声のデータ等を保持する自動音声応答DB132等により構成されている。
【0032】
中央演算処理部12は、オペレータの電話応答業務を支援する各種の業務アプリケーション503を保持する。また、中央演算処理部12は顧客アプリケーション505を備えて、記憶部13の顧客DB131が保持する顧客データを一元的に管理する。
【0033】
さらに、中央演算処理部12は通信機器操作アプリケーション504を備え、送受信部11から繋がる通信ネットワーク2を介して、顧客の通信機器5等からの電話着信を受け付ける。通信機器操作アプリケーション504は、顧客からの着信に対する自動音声応答機能を制御し、記憶部13の自動音声応答DB132が保持する応答音声データを用いて、受け付けた着信に対して自動音声で応答を行う。自動音声応答での顧客への質問に対する回答は、顧客の通信機器5が備えるダイヤルボタン等の操作により行われ、通信機器操作アプリケーション504がデジタル信号として受け付ける。
【0034】
オペレータの通信機器7による応答が必要な場合には、通信機器操作アプリケーション504が受け付けた通信内容を、業務アプリケーション503に伝送して各種の判定を行い、担当するオペレータを決定する。判定が必要ではない場合には、通信機器操作アプリケーション504が保持する回線使用状況等のデータを参照して、任意に担当するオペレータを決定する。
【0035】
オペレータが決定した後、通信機器操作アプリケーション504は、業務アプリケーション503、顧客アプリケーション505を起動して、専用ネットワーク3を介したオペレータの端末6が備える出力部65のモニタに、顧客応答に必要な情報を表示させる。顧客からの音声通信については、音声通信回線4を介してオペレータの通信機器7等にそれぞれ分配する。
【0036】
オペレータの端末6が備える出力部65のモニタには、各種の業務アプリケーション503の操作画面をメインウインドウに表示し、顧客アプリケーション505の操作、および、通信機器操作アプリケーション504の操作画面を、それぞれサブウインドウに表示する(図3)。それぞれのアプリケーション操作を独立させることで、システムの安定およびセキュリティの強化を図ることができる。
【0037】
図4は、電話応答システム1において、顧客の通信機器5からの着信から、暗証番号の認証までの動作を示すフローチャートである。
【0038】
顧客の通信機器5から発信された電話は送受信部11に着信する(S101)。送受信部11は着信した電話番号を表示する発信電話番号表示(ナンバーディスプレイ)機能を備える。顧客の通信機器5において発信電話番号表示機能の設定が「通知」である場合には、表示された電話番号は通信機器操作アプリケーション504がデータとして取得する(電話番号取得手段601)。顧客アプリケーション505は、顧客DB131が保持する顧客データの中から、取得した電話番号データと同一の電話番号を検索する(S104)。顧客DB131に同一の電話番号が存在すれば、顧客の特定が可能となり、氏名、住所、応答履歴等の情報を抽出することできる(顧客データ抽出手段602)(S106)。抽出する情報の範囲については、オペレータの端末6からは操作をすることができず、電話応答システム1の管理者により、個人情報が保護される範囲で、入力部14からの操作で決定される。
【0039】
一方、顧客の通信機器5において発信電話番号表示機能の設定が「非通知」である場合には、顧客の電話番号を取得できないため、自動音声応答により顧客の会員番号の入力を要求して、顧客の通信機器5が備えるダイヤルボタン等の操作により回答を受け付ける(S103)。顧客アプリケーション505は、顧客DB131が保持する顧客データの中から、取得した会員番号データを検索することで、顧客の特定が可能となり、氏名、住所、応答履歴等の情報を参照することができる(S106)。
【0040】
なお、発信電話番号表示機能により電話番号を取得できた場合であっても、外出先の通信機器からの発信や電話番号の変更等により、顧客DB131に当該電話番号が登録されておらず、顧客データを取得できない場合には、同様に自動音声応答により会員番号データを取得して顧客を特定する(S105・S106)。
【0041】
上記方法により顧客が特定できたときは、オペレータ応答開始手段603を起動して、自動音声応答からオペレータの通信機器7による応答に切り替える(S107)。
【0042】
なお、引き続き自動音声応答により対応することも可能であるが、顧客が自動音声ではなくオペレータの通信機器による応答を希望する場合がある。また、顧客が自動音声応答DB132に用意されていない内容の問い合わせを希望する場合にも、オペレータの通信機器による応答が行われる。また、自動音声応答からオペレータの通信機器による応答への切り替えは、一般には自動音声応答が用意した選択肢を選択することで行われる。
【0043】
かかる場合において、通信機器操作アプリケーション504は、電話番号または会員番号を取得して顧客を特定することができた顧客からの電話を、取得した顧客データに基づいて、過去の応答履歴等から判定したオペレータの端末6および通信機器7に分配する。あるいは、回線の使用状況等のデータを参照して、任意にいずれかのオペレータの端末および通信機器に自動分配される。
【0044】
分配されたオペレータの端末6では、顧客アプリケーション505により、電話番号または会員番号から顧客を特定して、顧客DB131が保持する顧客の情報や、問い合わせ、申し込みの履歴等のデータを抽出して、モニタ(出力部65)の顧客アプリケーション505のウインドウに表示する(S108)。電話(音声通信)については、通信機器操作アプリケーション504が、分配されたオペレータの通信機器7をコールして、顧客の通信機器5へのオペレータの音声による受付業務が開始する。
【0045】
次に、オペレータの通信機器7による応答で、顧客が希望する申し込み、問い合わせの内容を選択する。ここで、オペレータの端末の表示部に設置されたメニュー選択ボタンから、例えばショッピングやキャッシング等のメニューを利用する場合には、あらかじめ本人確認を行う必要がある。そのため、これらの所定のメニュー選択ボタンが押下された場合には(S109)、応答切り替えボタン表示手段604が起動して、オペレータの端末6のモニタ(出力部65)が備える業務アプリケーション503のウインドウに応答切り替えボタンを表示する(S110)。
【0046】
また、個人を特定することが必要なメニューが選択されなかった場合には、オペレータによる応答が継続される(S111)。
【0047】
なお、応答切り替えボタンの表示を許可する要件では、暗証番号の取り扱いに万全を期すため、他にも手続面での要件を加えることができる。
【0048】
応答切り替えボタンの表示後は、顧客との応答を行うオペレータが、端末6のモニタ(出力部65)の業務アプリケーション503のウインドウに表示された応答切り替えボタンを押下することで(S112)、自動音声応答切り替え手段605が起動し、通信機器操作アプリケーション504に信号を送り、暗証番号の要求を感知して自動音声応答DB132が保持する暗証番号要求用音声による自動音声応答に切り替える(S113)。
【0049】
自動音声応答による顧客の暗証番号の入力は、一般に顧客の通信機器5が備えるダイヤルボタン等で該当の数字を選択することで行う(S114)。入力された暗証番号は、通信機器操作アプリケーション504が取得し、中央演算処理部12のメモリに格納する(S115)(顧客情報取得手段606)。
【0050】
なお、本実施形態では、顧客情報取得手段606が取得した顧客の暗証番号は、オペレータの端末6のモニタ(表示部65)等に表示されることなく、中央演算処理部12が取得することができる。
【0051】
顧客情報取得手段606によりメモリに格納した暗証番号は、あらかじめ顧客が登録した暗証番号と照合される。具体的には、暗証番号認証手段608が顧客アプリケーション505を起動して、顧客DB131から顧客の暗証番号を抽出し、メモリに格納した暗証番号との比較を行う(S116)。なお、顧客の誤入力に備えて、S116の分岐において、S114までのループ等を設定することで、所定の回数までの再入力を認めることもできる。
【0052】
オペレータ応答切り替え手段607は、顧客の暗証番号の認証を検知して、通信機器操作アプリケーション504に信号を送り、自動音声応答からオペレータ応答に切り替える(S118)。
【0053】
なお、自動音声応答により顧客の暗証番号を取得する間、オペレータの通信機器7は、通信機器操作アプリケーション504により他の顧客からの着信を拒否するように設定される。これにより、オペレータの通信機器7は、応答に係る顧客の暗証番号取得に備えて待機する。
【0054】
判定の結果は、暗証番号認証手段608によりオペレータの端末6におけるモニタ(表示部65)の顧客アプリケーション505のサブウインドウに、「同一である」または「同一ではない」とする判定結果のみが表示される。オペレータは、「同一である」とする結果が表示された場合には、着信人が顧客本人であるとして、個人を特定する内容の問い合わせ、申し込みについての対応を継続する(S119)。
【0055】
本実施形態では、「同一ではない」とする結果が表示された場合に、再度、オペレータの音声による応答に切り替えて、顧客アプリケーション505がオペレータに対して顧客の情報を開示し、氏名や生年月日等の個人の属性に関する情報を用いて、本人の確認を行うように設定することとしている(S117)。これにより、暗証番号を忘れてしまったような場合でも、顧客へのサービスの提供を可能とすることができる。
【0056】
次に、図5は、電話応答システム1において、顧客が契約の申込を行う際の動作を示すフローチャートである。
【0057】
暗証番号の認証等により本人を確認した後、顧客が希望した場合、オペレータの音声による応答で、顧客からの問い合わせ、申し込み等を受け付ける(S201)。たとえばキャッシングに関する問い合わせの場合には、オペレータの端末6のモニタ(出力部65)が備える顧客アプリケーション505の初期のウインドウから、キャッシングのメニューを選択することで、各種のキャッシングに関するメニュー選択ボタンが表示される(S202)。キャッシングに関しては、契約の申し込みに際して、審査の対象となる情報の取得等に、顧客の意思の確認が必要となるので、メニュー選択ボタンに応答切り替えボタンが設置される(応答切り替えボタン表示手段604)。オペレータは顧客との応答のなかで、審査情報の取得等で顧客の意思確認が必要になった場合に、オペレータは応答切り替えボタンを押下する(S204)。具体的には、顧客の借入希望額等である。また、顧客がオペレータとの応答の中で、口頭では伝えにくい年間収入額や他社における借入額等の情報も含めてもよい。かかる情報の入力は自動音声応答により行うことになる。オペレータにより応答切り替えボタンが押下されると、自動音声応答切り替え手段605が起動して、通信機器操作アプリケーション504に信号を送り、自動音声応答DB132が保持する審査における顧客意思確認情報(以下、顧客意思確認情報と記す)聴取用音声による自動音声応答に切り替わる(S206)。自動音声応答による顧客意思確認情報の入力は、一般に顧客の通信機器5が備えるダイヤルボタン等で該当の数字を選択することで行う(S207)。入力された顧客意思確認情報は、通信機器操作アプリケーション504が取得し、中央演算処理部12のメモリに格納する(顧客情報取得手段606)。
【0058】
なお、自動音声応答により顧客意思確認情報を取得する間、オペレータの通信機器7は、通信機器操作アプリケーション504により他の顧客からの着信を拒否するように設定される。これにより、オペレータの通信機器7は、応答に係る顧客意思確認情報の取得に備えて待機する。
【0059】
顧客情報取得手段606によりメモリに格納した顧客意思確認情報は、契約申込受付手段609により、顧客DB131に保存され、各種の審査において参照される。
【0060】
顧客が自動音声応答において、顧客意思確認情報を入力後、オペレータ応答切り替え手段607が起動して、通信機器操作アプリケーション504に信号を送り、自動音声応答からオペレータ応答に切り替える(S208)。その後、オペレータの音声による応答を継続し、顧客からの手続き等の問い合わせに対応する(S209)。
【0061】
顧客情報取得手段606が取得した顧客意思確認情報の情報は、オペレータの端末6のモニタ(表示部65)等に表示される。
【0062】
応答履歴保存手段611は、自動音声応答により受け付けた内容について、顧客DB131の応答履歴に、顧客の入力内容、応答日時、応答したオペレータ名等の情報として保存する。なお、オペレータの音声応答により受け付けた内容についても、業務アプリケーション503のウインドウにおけるメニュー選択ボタンの押下等の履歴があわせて保存される。
【0063】
また、本発明の電話応答システム1では、顧客が新たにカードを発行する場合に、自動音声応答により暗証番号の設定を行うこともできる。図6はその流れを示すフローチャートである。
【0064】
顧客がオペレータによる対応を希望し、オペレータの音声による応答において(S301)、顧客から新たなカードの発行に伴う暗証番号の設定についての問い合わせがあった場合に、オペレータの端末6のモニタ(出力部65)が備える顧客アプリケーション505の初期ウインドウのメニュー選択ボタンから、暗証番号設定ボタンを選択する(S302)。暗証番号は個人を特定する顧客情報であるため、暗証番号設定ボタンの選択により、応答切り替えボタンが表示される(S303)(応答切り替えボタン表示手段604)。顧客から具体的に暗証番号を設定する申し込みがなされた場合には、オペレータは表示された応答切り替えボタンを押下する(S304)。
【0065】
応答切り替えボタンの押下により、自動音声応答切り替え手段605が起動して、通信機器操作アプリケーション504に信号を送り、自動音声応答DB132が保持する暗証番号設定用音声による自動音声応答に切り替わる(S306)。自動音声応答による希望する暗証番号の入力は、一般に顧客の通信機器5が備えるダイヤルボタン等で該当の数字を選択することで行う(S307)。入力された希望する暗証番号は、通信機器操作アプリケーション504が取得し、中央演算処理部12のメモリに格納する(顧客情報取得手段606)。
【0066】
なお、自動音声応答により暗証番号の設定を行う間、オペレータの通信機器7は、通信機器操作アプリケーション504により他の顧客からの着信を拒否するように設定される。これにより、オペレータの通信機器7は、応答に係る顧客の暗証番号の設定に備えて待機する。
【0067】
顧客情報取得手段606によりメモリに格納した顧客が希望する暗証番号は、顧客情報取得手段606が保持する、あらかじめ定められた暗証番号の定義データと照合される。具体的には、暗証番号設定手段610が顧客アプリケーション505を起動して、顧客DB131から顧客の個人情報等を抽出した後、顧客の希望する暗証番号との比較を行う(S308)。たとえば、同じ数字が連続するような場合や、顧客の電話番号や生年月日等との比較を行い、同じ番号であって安全性に問題がある番号の場合には、規定に反し登録を認めない。顧客の希望する暗証番号が定められた規定の範囲内であれば、新しい暗証番号として申し込みを受け付ける(S309)。一方、範囲外である場合には、自動音声応答により、その旨が応答されて処理を繰り返す(S307)。
【0068】
顧客が自動音声応答において、暗証番号を設定できた場合には、オペレータ応答切り替え手段607が起動して、通信機器操作アプリケーション504に信号を送り、自動音声応答からオペレータ応答に切り替える(S310)。その後、オペレータの音声による応答を継続し、顧客からの手続き等の問い合わせに対応する(S311)。
【0069】
なお、暗証番号の設定については、新しくカードを発行した場合以外に、カードの再発行の場合や、セキュリティ確保のために暗証番号を変更するような場合にも、同様の手続きで行うことができる。
【0070】
顧客情報取得手段606が取得した顧客の新しい暗証番号は、オペレータの端末6のモニタ(表示部65)等に表示されることなく、中央演算処理部12が取得することができる。
【0071】
なお、電話応答システム1では、上記の実施形態以外にも、機能を他のサーバ機器に分散して処理することもできる。具体的には、通信制御機能を備えるCTIサーバで管理を行い、顧客データベースをDBサーバとして分離することで、多くの顧客からの電話着信を受け付ける、コールセンターとして機能をさせることもできる(図7)。この場合には、それぞれのサーバはLAN等の専用ネットワークで接続される。
【0072】
CTIサーバでは、オペレータの端末を管理する業務アプリケーションのほか、音声通信回線で接続するオペレータの通信機器の操作を管理する通信機器操作アプリケーションと、顧客DBサーバが保持する顧客データを管理する顧客アプリケーションを備える。これにより、大量の情報処理に対しても安定して対応することができる。また、図7では、音声応答機能(IVR)をCTIサーバが備えることとしているが、独立して設置することもできる。
【0073】
図8は、会員(顧客)からの発信に対し、それぞれのアプリケーションの動作手順について示すシーケンス図である。図が示す実施形態では、会員を特定する情報又は発信者電話番号の通知により会員を特定して、暗証番号要求ボタンを表示することとしている。
【0074】
以上の通り、本発明の電話応答システム1では、顧客が暗証番号等の顧客情報を安心して入力することができる。例えば、金融機関においては、暗証番号はカードによるキャッシング等において入力が必要となるものであり、秘密性の高い重要な情報である。本発明によれば、顧客の携帯電話や固定電話を操作することで、ATM端末と同様の手続を行うことができる。
【0075】
また、大規模なコールセンターシステム等においては、従事する多くのオペレータに対して、秘密保持のマニュアルを作成して教育を行う必要があるが、秘密保持が必要な情報をシステムにより処理することで、管理者およびオペレータの負担を軽減することができる。
【0076】
なお、本発明における顧客情報とは、暗証番号に限らず、個人情報に関する事柄、公開を望まない契約内容等についても、自動音声応答に切り替えて受け付けを行うことが可能であり、広い範囲で応用することが可能である。
【0077】
また、暗証番号とは、認証のためのパスワードや、第三者では知り得ない生年月日等の個人情報や、事前に登録した質問に対する回答等を個人認証に使用するような場合での入力内容も含むものである。そのため、金融機関や会員制の団体、利用の制限が必要な通信サービス等の、あらゆる企業・団体について利用が可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態に係る電話応答システム1、および、顧客の通信端末5、オペレータの端末6、オペレータの通信機器7の機能ブロック図である。
【図2】図1の記憶部13にある顧客DB131のデータベースの構成例である。
【図3】図1に示すオペレータ(端末)6の出力部65であるモニタの表示例である。
【図4】本発明の実施の形態に係る電話応答システム1の、顧客からの着信から、暗証番号の認証におけるシステムのフロー図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る電話応答システム1の、契約申し込みの受付におけるシステムのフロー図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る電話応答システム1の、新しくカードを発行した場合の、暗証番号の設定におけるシステムのフロー図である。
【図7】電話応答システム1の別の実施形態である。
【図8】電話応答システム1のアプリケーションの手順を示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0079】
1 電話応答システム
2 通信ネットワーク
3 専用ネットワーク
4 音声通信回線
5 顧客(通信機器)
6 オペレータ(端末)
7 オペレータ(通信機器)
11、61 送受信部
12、62 中央演算処理部
13、63 記憶部
14、64 入力部
15、65 出力部
131 顧客DB
132 自動音声応答DB
501 送受信処理手段
502 入出力手段
503 業務アプリケーション
504 通信機器操作アプリケーション
505 顧客アプリケーション
601 電話番号取得手段
602 顧客データ抽出手段
603 オペレータ応答開始手段
604 応答切り替えボタン表示手段
605 自動音声応答切り替え手段
606 顧客情報取得手段
607 オペレータ応答切り替え手段
608 暗証番号認証手段
609 契約申込受付手段
610 暗証番号設定手段
611 応答履歴保存手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客からの電話着信に対し、通信制御機能を備えるサーバ装置を用いて、自動音声応答とオペレータの通信機器による応答を切り替えて、顧客からの問い合わせ、申し込みに対応する電話応答システムであって、
ネットワークを介して接続するオペレータの端末の表示部に表示されたメニュー選択画面において、所定のメニューを選択することにより、応答切り替えボタンを表示する応答切り替えボタン表示手段と、
前記応答切り替えボタン表示手段により表示された応答切り替えボタンを押下することにより、応答方法をオペレータの通信機器による応答から、自動音声応答に切り替える自動音声応答切り替え手段と、
自動音声応答において、顧客の通信機器から入力された顧客情報のデータを取得する顧客情報取得手段と、
顧客情報のデータの取得完了を検知して、応答方法を自動音声応答から前記オペレータの通信機器による応答に切り替えるオペレータ応答切り替え手段と、
を備えることを特徴とする電話応答システム。
【請求項2】
顧客の通信機器からの発信を、自動音声応答により着信して、前記サーバ装置が備える発信電話番号表示機能により、顧客が発信した通信機器の電話番号のデータを取得する電話番号取得手段と、
前記電話番号のデータに基づいて、あらかじめ保持する顧客の電話番号のデータを検索して顧客を特定し、あらかじめ保持する顧客の応答履歴のデータから、特定した顧客の応答履歴データを抽出する顧客データ抽出手段と、
前記顧客データ抽出手段による応答履歴データの抽出を検知して、応答方法を自動音声応答からオペレータの通信機器による応答に切り替えるオペレータ応答開始手段と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の電話応答システム。
【請求項3】
請求項1における顧客情報は、本人の認証に必要な、顧客の暗証番号であって、
前記顧客情報取得手段により取得した暗証番号のデータを、あらかじめ保持する顧客の暗証番号のデータと比較して、本人認証の判定を行い、判定結果を前記オペレータの端末に表示する暗証番号認証手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または2記載の電話応答システム。
【請求項4】
請求項1における顧客情報は、顧客からの契約申し込みに関する情報であって、
前記顧客情報取得手段により取得した顧客からの契約申し込みのデータを、あらかじめ保持する顧客との契約内容のデータと比較して、契約申し込みの適合性の判定を行い、判定結果を前記オペレータの端末に表示する契約申込受付手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または2記載の電話応答システム。
【請求項5】
請求項1における顧客情報は、新たな暗証番号の設定に必要な、顧客が設定を希望する暗証番号であって、
前記顧客情報取得手段により取得した、顧客が設定を希望する暗証番号のデータを、あらかじめ保持する暗証番号の定義データと比較して、暗証番号の適合性の判定を行い、判定結果を前記オペレータの端末に表示する暗証番号設定手段と、
を備えることを特徴とする請求項1または2記載の電話応答システム。
【請求項6】
前記顧客情報取得手段により取得する顧客情報は、前記オペレータの端末の表示部への表示をすることなく、前記サーバ装置が取得することを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか一記載の電話応答システム。
【請求項7】
前記自動音声応答に対して顧客が入力したデータの履歴を、前記サーバ装置に保存する応答履歴保存手段を備えることを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか一記載の電話応答システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−72404(P2008−72404A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−248776(P2006−248776)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(595078415)プロミス株式会社 (99)
【Fターム(参考)】