説明

電話番号参照システム

【課題】 携帯電話機に登録されている電話番号データを、固定電話機で参照することができるようにする。
【解決手段】 電話番号データを記憶した電話番号記憶部3、携帯側制御部2、及び携帯側人体通信部1を備えた携帯電話機Aと、電話番号データを一時的に記憶する一時記憶部7、電話番号データを表示するディスプレイ9、固定側制御部6、及び固定側人体通信部5を備えた固定電話機Bとからなる。携帯側制御部2は、電話番号記憶部3が記憶している電話番号データを、携帯側人体通信部1を介して発信し、上記固定側制御部6は、固定側人体通信部5を介して上記電話番号データを受信したとき、受信した電話番号データを、一時記憶部7に記憶させるとともにディスプレイ9に表示させ、上記携帯電話機Aとの間の人体通信の遮断を検知したとき、上記一時記憶部7が記憶している全ての電話番号データを消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯電話機に記憶させている電話番号を、固定電話機で参照して利用できる電話番号参照システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話機には、電話帳として電話番号を記憶させておくことができる記憶部がある。ユーザーが、電話を掛ける際には、携帯電話機のディスプレイに上記電話帳を表示させ、その中から電話番号を選択すれば、電話を掛けるために改めて電話番号を入力する必要がないようになっている。
このような電話帳は、携帯電話機のユーザーごとに登録するものであり、ユーザー個人が、自分の知人など、電話を掛ける必要がある相手の電話番号を予め登録しておくものである。そのため、電話を掛けるときに、携帯電話機以外の電話帳などを調べる手間や、いちいち相手の電話番号を入力する手間がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−098981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、携帯電話機には、ユーザー個人が必要な電話番号を登録できる機能があり、電話を掛ける際に、電話番号の入力操作も不要で便利である。しかし、携帯電話機は、地下や建物の中など、場所によっては電波状態が悪く、通話が途切れてしまったり、バッテリー切れの心配があって長時間の電話ができなかったりすることがある。また、携帯電話網を利用した無線通信では、傍受される危険性もある。
【0005】
そのため、携帯電話機を持っていたとしても、公衆電話などの固定電話機を使用したいときがある。ところが、公衆電話のように不特定多数の人が利用する固定電話機では、特定の電話番号を登録しておくことはできない。公衆電話機に、電話番号を登録する機能がないのは、どのような人が、どの番号に掛けるか決まっていないため、予め特定の電話番号を登録しておくことが難しいうえ、電話機に登録された電話番号が、他人に知られてしまうことは個人情報の流出にもつながるからである。
従って、公衆電話など、電話番号が予め登録されていない固定電話機を利用する場合には、ユーザーは、自分の携帯電話機に登録されている電話帳やその他の電話帳を見ながら、電話番号を手入力しなければならなかった。このように、電話帳を見ながらの電話番号の入力操作は面倒であるし、入力間違いをする可能性もある。
【0006】
このように、公衆電話などの固定電話機では、予め登録した電話番号を利用し、携帯電話機のように、簡単に、間違いなく電話を掛けることができないという問題があった。
この発明の目的は、固定電話機でも、携帯電話機に登録した電話番号データを参照し、番号入力の手間を省いて電話を掛けることができる電話番号参照システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、電話番号データを記憶した電話番号記憶部、携帯側制御部、及び携帯側人体通信部を備えた携帯電話機と、電話番号データを一時的に記憶する一時記憶部、電話番号データを表示するディスプレイ、固定側制御部、及び固定側人体通信部を備えた固定電話機とからなり、上記携帯側制御部は、上記電話番号記憶部が記憶している電話番号データを、携帯側人体通信部を介して発信し、上記固定側制御部は、固定側人体通信部を介して上記電話番号データを受信したとき、受信した電話番号データを、一時記憶部に記憶させるとともに上記ディスプレイに表示させ、上記携帯電話機との間の人体通信が遮断を検知したとき、上記一時記憶部が記憶している全ての電話番号データを消去する点に特徴を有する。
なお、上記人体通信とは、人体を媒体として信号を送受信するシステムのことである。
【0008】
第2の発明は、第1の発明を前提とし、上記固定側制御部が、携帯電話機との間の人体通信が確立したことを認識したとき、固定側人体通信部を介して電話番号要求信号を送信し、この電話番号要求信号を受信した携帯側制御部は上記電話番号要求信号に応じて電話番号記憶部が記憶している電話番号データを、携帯側人体通信部を介して送信する点に特徴を有する。
【0009】
第3の発明は、上記第2の発明を前提とし、上記固定側制御部が、受話器が握られたことを検知したとき、固定側人体通信部を介して問い合わせ信号を発信するとともに、この問い合わせ信号を受信した携帯側制御部は、携帯側人体通信部を介して応答信号を送信し、さらに、この応答信号を受信したとき、上記固定側制御部は人体通信の確立を認識する点に特徴を有する。
【0010】
第4の発明は、第3の発明を前提とし、上記固定側制御部が、電話機本体から受話器がはずされたことを検知したとき、人体通信部を介して上記問い合わせ信号を発信する機能を備えた点に特徴を有する。
【0011】
第5の発明は、第3の発明を前提とし、上記固定電話機には、固定側制御部に開始信号を入力するための開始信号入力部を備え、この開始信号入力部を介して開始信号が入力されたとき、上記固定側制御部は固定側人体通信部を介して上記問い合わせ信号を発信する機能を備えた点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0012】
第1〜第5の発明によれば、個人の携帯電話機に予め登録しておいた電話番号データを、固定電話機で利用することができる。固定電話機は、携帯電話機に登録されている電話番号データの一部あるいは全部を一時記憶部に記憶させ、その番号を選択するだけで、その番号に電話を掛けることができる。すなわち、ユーザーは、固定電話機を利用する際にも、電話番号をいちいち調べる必要がないし、電話番号の手入力の必要ない。
また、固定電話機と携帯電話機との人体通信が遮断されたときには、固定電話機に記憶させた全ての電話番号データが消去されるので、携帯電話機のユーザーが固定電話機の使用を終了した後に、個人が管理している電話番号データが固定電話機に残ることがない。従って、個人情報が流出する心配もない。
【0013】
第2の発明によれば、固定電話機が、携帯電話機との間の人体通信の確立を認識して、携帯電話機に対して電話番号要求信号を送信することができる。人体通信が確立すれば、自動的に電話番号要求信号を送信することもできるので、ユーザーが電話番号要求のための操作を行なう必要もなくなる。
【0014】
第3の発明では、ユーザーが受話器を握ったことをトリガとして、固定電話機から携帯電話機に対して問い合わせ信号を発信することができる。
第4の発明では、受話器が電話機本体からはずされたことをトリガとして、固定電話機から携帯電話機に対して問い合わせ信号を発信することができる。
第5の発明では、ユーザーの意思によって、このシステムの動作開始を決めることができる。そのため、電話番号データ参照の必要がないときには、固定電話機が問い合わせ信号を発信するようなことがなく、固定電話機の無駄な動作を省略できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1のシステム構成図である。
【図2】実施例1の処理手順を示したフローチャートである。
【図3】実施例2の処理手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
固定電話機でも、特定個人が利用する携帯電話機に記憶されている電話番号データを参照し、番号入力の手間を省いて電話を掛けることができるシステムを実現した。
【実施例1】
【0017】
図1、図2に、この発明の実施例1を示す。
実施例1の電話番号参照システムは、図1に示すように、個人ユーザーが携帯している携帯電話機Aと、不特定多数のユーザーが利用可能な固定電話機Bとからなる。
上記携帯電話機Aは、上記固定電話機Bとの間で人体通信を行なう携帯側人体通信部1と、この携帯電話機Aの各機能を制御する携帯側制御部2と、電話番号記憶部3と、本体機能部4とを備えている。
上記電話番号記憶部3は、ユーザーが予め登録した電話番号データを記憶した領域であり、現在、一般に利用されている携帯電話機に、普通に備わっているものである。
また、上記本体機能部4は、上記電話番号記憶部3以外の携帯電話機Aの本来の機能を備えた領域であり、この本体機能には、携帯電話網に接続することによって通話やデータ通信を可能にする通信機能のほか、メール作成や、写真撮影、音楽再生の機能など、通常の携帯電話機が備えている様々な機能が含まれる。
【0018】
一方、上記固定電話機Bは、上記携帯電話機Aの携帯側人体通信部1と通信可能な固定側人体通信部5と、この固定電話機Bを制御する固定側制御部6と、電話番号データを一時的に記憶する一時記憶部7と、本体機能部8と、ディスプレイ9とを備えている。本体機能部8は、公衆回線網に接続して通話を可能にする通常の固定電話機の機能を備えた領域である。
【0019】
また、上記固定側制御部6は、後で詳しく説明するが、携帯電話機Aが記憶している電話番号データを、固定電話機Bで参照するための機能を制御するところである。そして、固定側制御部6は、上記ディスプレイ9に参照する電話番号データを表示させ、このディスプレイ9に表示させた電話番号のなかから、ユーザーが、電話を掛ける特定の電話番号を選択することができるようにしている。上記特定の電話番号の選択は、上記本体機能部8に接続した操作キーによって行なうようにしてもよいし、ディスプレイ9にタッチパネルを設けて、ディスプレイ9上から選択信号を入力するようにしてもよい。
なお、上記固定側人体通信部5は、固定電話機Bの受話器表面との間で導通している。
【0020】
このような電話番号参照システムの各構成要素の詳細な機能及び作用を、図2に示すフローチャートに従って説明する。この図2において、Aは携帯電話機を示し、Bは固定電話機を示すとともに、実線の矢印は各電話機から送信される信号及び処理を示している。また、図中破線の矢印は、ユーザーの操作に伴って固定電話機Bに入力される信号を示している。
なお、上記ユーザーは、予め複数の電話番号データを電話番号記憶部3に登録した携帯電話機Aを携帯している。
そして、以下に説明する各電話機A,Bの処理は、予め、携帯側制御部2や固定側制御部6に設定したプログラムに基づくものである。
【0021】
まず、ステップ(1)で、ユーザーが受話器を上げると、固定電話機Bでは、固定側制御部6が、受話器が上がったことを検出して、ステップ(2)で固定側人体通信部5を介して問い合わせ信号を発信する。上記受話器が上がったことを検出する機能は、通常の電話機が備えている機能である。本体機能部8が、受話器が上がったことを検出した検出信号を、固定側制御部6に対して出力すると、固定側制御部6はその検出信号の入力をトリガとして上記問い合わせ信号を発信する。
【0022】
この問い合わせ信号は、固定側人体通信部5から発信される信号で、人体通信可能な相手があるかどうかを確認するための信号である。このとき、ユーザーが受話器を握っているので、ユーザーの携帯電話機Aと固定電話機Bとの間には、ユーザーの身体を介して人体通信が可能である。従って、携帯電話機Aは、固定電話機Bから発信された問い合わせ信号を受信することができる。
上記問い合わせ信号を受信した携帯電話機Aでは、ステップ(3)で、携帯側制御部2が携帯側人体通信部1を介して応答信号を送信する。この応答信号もユーザーの身体を介して固定電話機Bの固定側制御部6に入力される。
【0023】
固定電話機Bでは、ステップ(4)で、固定側制御部6が上記応答信号の受信によって人体通信が確立したことを認識する。そして、このタイミングで固定側制御部6は、人体通信が可能になったことをディスプレイ9に表示して、ユーザーに知らせるようにしてもよい。
一方、ステップ(5)で、ユーザーは、固定電話機Bの操作キーを利用して電話番号データを要求する。ここで、固定側制御部6に入力される電話番号データ要求1の要求信号は、単に電話番号データを参照したいことを示す信号であっでもよいし、例えば、「ア行」とか、「カ行」というように、ある程度、必要なデータを絞った要求であってもよい。ただし、この実施例1のステップ(5)では、ユーザーは、特に電話番号データを絞り込まずに、単に電話番号データを参照したい旨を要求するものとする。
【0024】
上記ユーザーの操作によって番号要求信号が入力されたら、ステップ(6)で、固定側制御部6は、入力された要求信号に基づいて電話番号要求信号を人体通信によって携帯側制御部2へ送信する。
携帯電話機Aでは、携帯側制御部2が受信した電話番号要求信号に応じて、電話番号記憶部3が記憶している電話番号データを、携帯側人体通信部1を介して固定電話機Bへ送信し(ステップ(7))、この電話番号データを固定電話機Bが受信する。
【0025】
上記携帯電話機Aから、人体通信によって固定電話機Bへ送信する電話番号データは、電話番号記憶部3が記憶しているデータ全てであってもよいし、その一部であってもよい。固定側電話機Bから送信された電話番号要求信号が、例えば、「ア行」とか「カ行」というような絞込み情報が含まれていた場合には、その信号に応じたデータのみを送信するようにするが、特にデータの絞込みをしていない要求信号を受信した場合には、予め設定したルールに基づいて、例えば、デフォルトとして「ア行」の電話番号データのみを送信するようにしてもよい。もちろん、電話番号記憶部3が記憶している全電話番号データを送信してもよい。ただし、多くのデータを人体通信で送信する場合には、送信速度が遅くなってしまったり、受信側である固定電話機Bの一時メモリの記憶容量を大きくしなければならなかったりする。
【0026】
ステップ(8)で、固定電話機Bの固定側制御部6は、上記受信した電話番号データを一時記憶部7に記憶させるとともに、ディスプレイ9に表示させる。
ユーザーは、ディスプレイ9に表示された電話番号データ中に、必要な電話番号があれば、ステップ(14)へ進むが、この図2では、必要な電話番号が見つからず、再度電話番号を要求する場合を示している。
ステップ(9)で、ユーザーが固定電話機Bを操作して、再度、電話番号データ要求2を行なう。固定側制御部6は、新たな電話番号データ要求2が入力されたら、ステップ(10)で、先に、携帯電話機Aから受信して一時記憶部7が記憶している電話番号データを消去し、ステップ(11)で新たに、携帯電話機Aへ電話番号要求信号を送信する。
【0027】
再度、電話番号要求信号を受信した携帯電話機A側では、携帯側制御部2が、受信した電話番号要求信号に応じて、ステップ(12)で、人体通信によって電話番号データを固定電話機Bに対して送信する。このとき、送信される電話番号データは、ステップ(7)で送信した電話番号データとは異なる電話番号データである。例えば、ステップ(7)で、デフォルトの「ア行」の名前の人の電話番号データを送信した場合、このステップ(12)では、「イ行」の人の電話番号データを送信する。
上記人体通信によって、電話番号データを受信した固定電話機Bでは、ステップ(13)で、固定側制御部6が、受信した電話番号データを一時記憶部7に記憶させるとともに、その電話番号データをディスプレイ9に表示させる。
【0028】
このとき、ユーザーがディスプレイ9を見て必要な電話番号が含まれていなければ、再度、電話番号要求をして、上記ステップ(9)〜ステップ(13)までを繰り返す。
一方、ステップ(13)でディスプレイ9に表示された電話番号データから、ユーザーが電話を掛けたい番号を見つけたら、ステップ(14)で、固定電話機Bの操作キーを利用して電話番号N1を選択する。この、電話番号の選択操作は、固定電話機Bで電話を掛ける操作と同様の操作によって行なわれ、例えば、ディスプレイ9上の特定の電話番号にカーソルを一致させてから発信キーを押すなどである。この実施例1では、固定電話機Bのカーソル移動キーや発信キーなどの操作キーがこの発明の電話番号選択手段である。ただし、ディスプレイ9にタッチパネルを備えて、タッチパネルを選択手段としてもよい。
【0029】
ステップ(14)で、特定の電話番号を選択した選択信号が入力されたら、固定電話機Bの固定側制御部6は、選択された電話番号N1に発信する指令を上記本体機能部8へ入力し、固定側電話機Bはステップ(15)で、呼び出し信号を発信、すなわち、電話を掛ける。
通話が終了して、ステップ(16)でユーザーが受話器を置くと、固定電話機Bでは、受話器を置かれたことを検知するとともに、ステップ(17)で一時記憶部7が記憶している全電話番号データを消去する。
上記ステップ(16)で受話器が置かれたことは、上記受話器が上がったことを検出するのと同様に、本体機能部8が検出して検出信号を固定側制御部6へ入力するようにしている。固定側制御部6は、この信号を受信したことによって、受話器が置かれたことを認識し、一時記憶部7のデータを消去する。
【0030】
なお、この実施例1では、固定側制御部6は、受話器が置かれたことを認識した時点で一時記憶部7のデータを消去するが、受話器が置かれなくても、人体通信が遮断された場合には、上記一時記憶部7のデータを消去するようにする。そのため、所定のタイミングで、人体通信状態を確認する必要がある。例えば、図2には示していないが、上記ステップ(8)またはステップ(13)で、一時記憶部7に電話番号データを記憶させた後に、予め設定したタイミングで問い合わせ信号を発信し、人体通信状態を確認するようにする。
【0031】
以上の処理ステップによって、携帯電話機Aを携帯しているユーザーは、自分の携帯電話機Aに登録してある電話番号データを固定電話機Bで参照することができる。従って、ユーザーは、電話番号データが登録されていない固定電話機Bを、自分の携帯電話機Aと同様の簡単な操作で利用できるようになる。
また、ステップ(17)で、固定電話機Bの一時記憶部7が記憶している電話番号データを消去するので、ユーザーが固定電話機Bから離れたときに、個人が登録した電話番号データを他人に見られることがなく、個人情報の流出を防止することができる。
【0032】
上記実施例1では、ステップ(1)で受話器を上げたとき、それを検出した検出信号をトリガとして、固定側制御部6が人体通信の問い合わせ信号を発信するようにしているが、上記問い合わせ信号を発信するトリガは、受話器が上がった検出信号に限らない。例えば、受話器にセンサを設けて、受話器が握られたことを検出し、それを問い合わせ信号発信のトリガとしてもよいし、この発明の開始信号入力手段として、特別に開始信号入力ボタンを設けて、このボタンによって入力される開始信号を、問い合わせ信号発信のトリガとしてもよい。
【0033】
さらに、固定電話機Bの近傍に人感センサを設け、近傍に人がいることを検知した検知信号を上記固定側制御部6に入力し、この信号入力を問い合わせ信号発信のトリガとするようにしてもよい。ただし、ユーザーが固定電話機Bの近傍にいても、固定電話機Bの受話器など、固定側人体通信部5に導通する部分に触れていなければ、人体通信が確立しないので、上記人感センサが人を感知しても、問い合わせ信号の発信以降のステップには進まない。
【0034】
また、図2に示す実施例1では、ステップ(5)で、ユーザーが電話番号を要求する信号を入力するようにしているが、ユーザーからの要求の入力を待たずに、固定側制御部6が、ステップ(4)で人体通信の確立を認識したら、自動的に電話番号要求信号を携帯電話機Aに対して送信するようにしてもよい。
さらに、この実施例1では、新たな電話番号要求が、ユーザーから入力された時点で、先に固定電話機Bの一時記憶部7に記憶させた電話番号データを消去する(ステップ(10))ようにしているが、一時記憶部7が記憶している電話番号データを消去するタイミングはこれに限らない。ユーザーの要求に応じて、携帯電話機Aから送信された電話番号データを全て一時記憶部7に記憶させておいて、受話器が置かれた時点で全ての電話番号データを消去するようにしてもよい。
ただし、上記のように、例えばデフォルトとして携帯電話機Aから送信された電話番号データ以外の電話番号データが要求された時点で、一時記憶部7のデータを消去するようにすれば、一時記憶部7に不要なデータを記憶させておく必要がなく、一時記憶部7の記憶容量を小さくすることができるというメリットがある。
【実施例2】
【0035】
図3に示す実施例2は、固体電話機Bの一時記憶部7に記憶させた電話番号データを消去するタイミングが、上記実施例1と異なり、続けて何件もの相手に電話を掛ける際に便利な電話番号参照システムの処理フローを示している。
この実施例2も、システム構成は、図1に示す実施例1と同じである。従って、実施例2の説明にも図1を用いる。
【0036】
以下に、図3に従ってこの実施例2の作用を説明する。図3においても、Aは携帯電話機であり、Bは固定電話機を示している。
ステップ(1)で、ユーザーが固定電話機Bの受話器を上げると、その検出信号が固定電話機Bの本体機能部8から固定側制御部6に入力される。固定側制御部6は受話器が上がったという検出信号の入力をトリガとして、ステップ(2)で、固定側人体通信部5を介して問い合わせ信号を発信する。ユーザーが受話器を握っていれば、携帯側人体通信部1を介して携帯電話機Aが上記問い合わせ信号を受信するので、ステップ(3)で応答信号が携帯電話機Aから固定電話機Bへ送信される。
【0037】
ステップ(4)で、固定電話機Bは上記応答信号を受信し、人体通信の確立を認識する。そして、このタイミングで固定側制御部6は、人体通信が可能になったことをディスプレイ9に表示して、ユーザーに知らせるようにしてもよい。
一方、ステップ(5)で、ユーザーは、固定電話機Bの操作キーを利用して電話番号データを要求する。ここで、固定側制御部6に入力される要求信号は、単に電話番号データを参照したいことを示す信号とする。
【0038】
ステップ(6)で、固定電話機Bの固定側制御部6は、電話番号要求信号を、固定側人体通信部5を介して携帯電話機Aへ送信する。
携帯電話機Aでは、携帯側制御部2が上記電話番号要求信号を受信して、電話番号記憶部3が記憶している電話番号データを、携帯側人体通信部1を介して固定電話機Bへ送信する。この実施例2では、携帯電話機Aの電話番号記憶部3が記憶している電話番号データをすべて送信し、この電話番号データを固定電話機Bが受信する。
上記電話番号データを受信した固定側制御部6は、ステップ(8)で、それらを一時記憶部7に記憶させるとともに、ディスプレイ9に表示させる。
ユーザーは、固定電話機Bのディスプレイ9に表示された電話番号から、電話を掛けたい番号を選択する。電話番号の選択方法は、上記実施例1と同じである。
【0039】
ステップ(9)で、ユーザーが電話番号N1を選択したら、固定電話機Bでは、本体機能部8が、上記入力された選択信号に応じた電話番号N1へ電話を掛ける。通話が終了し、ステップ(11)で受話器が置かれたら、受話器が置かれたことを検出する検出信号が本体機能部8から固定側制御部6に入力される。この時点、すなわち、ステップ(12)で、固定側制御部6は上記電話を掛けた電話番号N1を一時記憶部7から消去する。
ユーザーは、続けてステップ(13)で電話番号N2を選択する。ステップ(14)で、上記選択信号に基づいて固定電話機Bでは、本体機能部8が電話番号N2へ電話を掛ける。そして、通話終了後、受話器が置かれれば、ステップ(15)で、受話器が置かれたことを検出した検出信号が、本体機能部8から固定側制御部6に入力されるので、ステップ(16)で固体側制御部6は、電話を掛けた電話番号N2を一時記憶部7から消去する。
【0040】
このように、ユーザーは、次々に、固定電話機Bの一時記憶部7が記憶している電話番号を参照して電話をかけることができる。ただし、この間、ユーザーは受話器から手を離さず、人体通信の通信状態を維持する必要がある。
そして、ユーザーは、必要な全ての相手に電話を掛け終わったら、ステップ(17)で、受話器から手を離す。受話器から手を離したら、ステップ(18)で、固定側制御部6が人体通信の遮断を検知する。図3では省略しているが、固定側制御部6は、ステップ(18)で上記ステップ(2)と同様に問い合わせ信号を発信し、その応答信号がないことから人体通信の遮断を検知することができる。
そして、人体通信の遮断を検知したら、ステップ(19)で、固定側制御部6は一時記憶部7が記憶している電話番号データを全て消去する。
【0041】
この実施例2では、固定電話機Bの受話器が置かれても、受話器を握っている間は、上記一時記憶部7に記憶させた電話番号データを消去せず、参照できるようにしている。従って、電話を切るたびにステップ(1)からの処理をやり直さなくてもよく、多数の相手に電話を掛ける際に便利である。また、人体通信が遮断されたことを検知した場合には、一時記憶部7の全データを消去するので、個人情報が保護される点は、上記実施例1と同じである。
【0042】
なお、この実施例2では、ユーザーが電話を掛け終わるたびに、その電話番号データを一時記憶部7から消去するようにしているが、一度、掛けた電話番号データもそのまま残しておいて、最後に、人体通信が遮断された時点で消去するようにしてもよい。ただし、同じ番号に何回も続けて掛ける必要がないとすれば、使用済みの電話番号データを消去することによって、ディスプレイ9に表示させる処理など、固定側制御部6の処理の負担を軽くすることができる。
また、この実施例2においても、ステップ(2)の問い合わせ信号の発信のトリガは、受話器が上がったことを検出した検出信号の入力に限らないことは、上記実施例1と同様である。
さらに、図3のステップ(5)のユーザーからの要求信号入力を待たずに、固定側制御部6が、ステップ(4)で人体通信の確立を認識したら、自動的に電話番号要求信号を携帯電話機Aに対して送信するようにしてもよい。
【0043】
なお、上記したように、携帯電話機Aから受信した電話番号データを一時記憶部7に記憶させた後、それを消去するタイミングは、いろいろ考えられるが、少なくとも、固定電話機Bと携帯電話機Aとの人体通信が遮断されたことを認識した時には、一時記憶部7のデータは消去されるようにしなければならない。
そのため、図2,図3には示していないが、上記固定側制御部6は、携帯電話機Aから電話番号データを受信して一時記憶部7に記憶させた状態で、受話器が置かれたかどうかにかかわりなく、人体通信が確立していることを確認することが望ましい。具体的には、固定側制御部6が、定期的に固定側人体通信部5から問い合わせ信号を発信して応答信号の有無を確認し、応答信号の入力がない場合には、人体通信が遮断されたと判断して直ちに一時記憶部7のデータを消去する。
【0044】
また、一時記憶部7に電話番号データを記憶させてから所定時間内に、固定側制御部6に、電話番号の選択信号や新たな電話番号データ要求などの信号入力がない場合に、上記問い合わせ信号を発信して、人体通信の状態を確認するようにしてもよい。
このようにすれば、ユーザーが固定電話機Bから離れたことを人体通信の遮断として確実に検出できる。そして、その時点で一時記憶部7の電話番号データを消去すれば、他のユーザーに電話番号データを見られてしまうようなことはない。
【0045】
なお、上記固定電話機Bとしては、公衆電話のほか、家庭や職場などに設置されたどのような固定電話機にも適用できる。家庭などに設置した固定電話機の場合には、ユーザーが限られているので、予め、複数の電話番号を登録しておくこともできるが、そのような電話機であっても、固定電話機に登録されていない電話番号を、携帯電話機から参照できるという効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0046】
電話番号データを登録した携帯電話機さえあれば、固定電話機には、予め電話番号データを登録しなくてもよくなる。
【符号の説明】
【0047】
A 携帯電話機
1 携帯側人体通信部
2 携帯側制御部
3 電話番号記憶部
B 固定電話機
5 固定側人体通信部
6 固定側制御部
7 一時記憶部
9 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話番号データを記憶した電話番号記憶部、携帯側制御部、及び携帯側人体通信部を備えた携帯電話機と、電話番号データを一時的に記憶する一時記憶部、電話番号データを表示するディスプレイ、固定側制御部、及び固定側人体通信部を備えた固定電話機とからなり、上記携帯側制御部は、上記電話番号記憶部が記憶している電話番号データを、携帯側人体通信部を介して送信し、上記固定側制御部は、固定側人体通信部を介して上記電話番号データを受信したとき、受信した電話番号データを、一時記憶部に記憶させるとともに上記ディスプレイに表示させ、上記携帯電話機との間の人体通信の遮断を検知したとき、上記一時記憶部が記憶している全ての電話番号データを消去する電話番号参照システム。
【請求項2】
上記固定側制御部は、携帯電話機との間の人体通信が確立したことを認識したとき、固定側人体通信部を介して電話番号要求信号を送信し、この電話番号要求信号を受信した携帯側制御部は上記電話番号要求信号に応じて電話番号記憶部が記憶している電話番号データを、携帯側人体通信部を介して送信する請求項1に記載の電話番号参照システム。
【請求項3】
上記固定側制御部は、受話器が握られたことを検知したとき、固定側人体通信部を介して問い合わせ信号を発信するとともに、この問い合わせ信号を受信した携帯側制御部は、携帯側人体通信部を介して応答信号を送信し、さらに、この応答信号を受信したとき、上記固定側制御部は人体通信の確立を認識する請求項2に記載の電話番号参照システム。
【請求項4】
上記固定側制御部は、電話機本体から受話器がはずされたことを検知したとき、人体通信部を介して上記問い合わせ信号を発信する機能を備えた請求項3に記載の電話番号参照システム。
【請求項5】
上記固定電話機には、固定側制御部に開始信号を入力するための開始信号入力部を備え、この開始信号入力部を介して開始信号が入力されたとき、上記固定側制御部は固定側人体通信部を介して上記問い合わせ信号を発信する機能を備えた請求項3に記載の電話番号参照システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−166149(P2010−166149A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4866(P2009−4866)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(500567265)株式会社コネクトテクノロジーズ (25)
【Fターム(参考)】