露光ヘッド、画像形成装置
【課題】複数のレンズアレイを用いた露光ヘッドにおいて、発光素子の発熱の影響に依らず良好な露光を実現可能とする技術を提供する。
【解決手段】第1のレンズアレイと、第1のレンズアレイに対して第1の方向に配設された第2のレンズアレイと、発光素子基板と、発光素子基板に配設された第1の支持部材と、第1の支持部材の第1の方向に第1の隙間を空けて、発光素子基板に配設された第2の支持部材と、第2の支持部材の第1の方向に第2の隙間を空けて、発光素子基板に配設された第3の支持部材と、を備え、第1の支持部材は、第1のレンズアレイを支持し、第2の支持部材は、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとを第1の方向に跨いで支持し、第3の支持部材は、第2のレンズアレイを支持する。
【解決手段】第1のレンズアレイと、第1のレンズアレイに対して第1の方向に配設された第2のレンズアレイと、発光素子基板と、発光素子基板に配設された第1の支持部材と、第1の支持部材の第1の方向に第1の隙間を空けて、発光素子基板に配設された第2の支持部材と、第2の支持部材の第1の方向に第2の隙間を空けて、発光素子基板に配設された第3の支持部材と、を備え、第1の支持部材は、第1のレンズアレイを支持し、第2の支持部材は、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとを第1の方向に跨いで支持し、第3の支持部材は、第2のレンズアレイを支持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のレンズアレイを配設して用いた露光ヘッドおよび該露光ヘッドを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載のように、レンズアレイを用いた露光ヘッド(同文献のラインヘッド)が提案されている。つまり、この露光ヘッドでは、長手方向にアレイ状に配列された複数のレンズを有するレンズアレイが、発光素子基板に対向して配設される。一方、発光素子基板では、レンズアレイでのレンズ配列に対応して複数の発光素子が配設されている。そして、発光素子基板の発光素子から射出された光が、レンズアレイのレンズを透過して被露光面に収束される。こうして被露光面に形成された収束光(スポット)により、該被露光面が露光される。
【0003】
ところで、露光ヘッドは、用途に応じた範囲を露光可能であることが求められ、その結果、レンズアレイは、用途に応じた長さを備えている必要がある。例えば、画像形成装置内で感光体に潜像を形成するために露光ヘッドを用いる場合には、潜像の幅に応じた範囲を露光するために、レンズアレイは一定以上の長さを備える必要がある。こうした要求がある一方で、長尺なレンズアレイを一体的な構成で実現することは難しい。そこで、特許文献2では、比較的短尺なレンズアレイを長手方向に複数並べて用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−036937号公報
【特許文献2】特開2009−037200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただし、複数のレンズアレイを並べて用いるにあたっては、長手方向に並ぶこれらのレンズアレイを、発光素子基板に対して位置決めしつつ支持する機構が必要となる。かかる支持機構としては、例えば、長手方向に長尺なフレームを発光素子基板に配設して、この長尺フレームにより複数のレンズアレイを支持する機構が考えられる。しかしながら、この長尺フレームによる支持機構を採用した場合、発光素子基板の発光素子の発熱が問題となる場合があった。つまり、発光素子は発光に伴なって発熱するが、この熱がフレームに伝わると、フレームの長さが伸縮し、この伸縮量はフレームが長いほど大きくなる。そして、フレームの長さが大きく伸縮すると、このフレームに支持される複数のレンズアレイの位置関係が長手方向に大きく変動して、その結果、露光ヘッドによる露光範囲も大きく変動するといった露光不良が発生するおそれがあった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、複数のレンズアレイを用いた露光ヘッドおよび該露光ヘッドを備えた画像形成装置において、発光素子の発熱の影響に依らず良好な露光を実現可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる露光ヘッドは、上記目的を達成するために、第1のレンズアレイと、第1のレンズアレイに対して第1の方向に配設された第2のレンズアレイと、第1のレンズアレイのレンズに入射する光を発光する第1の発光素子および第2のレンズアレイのレンズに入射する光を発光する第2の発光素子が配設された発光素子基板と、発光素子基板に配設された第1の支持部材と、第1の支持部材の第1の方向に第1の隙間を空けて、発光素子基板に配設された第2の支持部材と、第2の支持部材の第1の方向に第2の隙間を空けて、発光素子基板に配設された第3の支持部材と、を備え、第1の支持部材は、第1のレンズアレイを支持し、第2の支持部材は、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとを第1の方向に跨いで支持し、第3の支持部材は、第2のレンズアレイを支持することを特徴としている。
【0008】
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、像担持体と、像担持体を露光する露光ヘッドと、を備え、露光ヘッドは、第1のレンズアレイと、第1のレンズアレイに対して第1の方向に配設された第2のレンズアレイと、第1のレンズアレイのレンズに入射する光を発光する第1の発光素子および第2のレンズアレイのレンズに入射する光を発光する第2の発光素子が配設された発光素子基板と、発光素子基板に配設された第1の支持部材と、第1の支持部材の第1の方向に第1の隙間を空けて、発光素子基板に配設された第2の支持部材と、第2の支持部材の第1の方向に第2の隙間を空けて、発光素子基板に配設された第3の支持部材と、を有し、第1の支持部材は、第1のレンズアレイを支持し、第2の支持部材は、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとを第1の方向に跨いで支持し、第3の支持部材は、第2のレンズアレイを支持することを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明(露光ヘッド、画像形成装置)は、発光素子基板に配設された第1の支持部材と、第1の支持部材の第1の方向に第1の隙間を空けて、発光素子基板に配設された第2の支持部材と、第2の支持部材の第1の方向に第2の隙間を空けて、発光素子基板に配設された第3の支持部材とを備え、これらの支持部材により、第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイを支持している。つまり、この発明は、長尺なフレームで複数のレンズアレイを支持するのではなく、第1の方向に隙間(第1の隙間、第2の隙間)を空けて配設された複数の支持部材により複数のレンズアレイを支持している。このようなレンズアレイ支持機構では、各支持部材の(第1の方向への)長さを短くすることができるため、発光素子からの熱による(第1の方向への)支持部材の長さの変動を小さく抑えることができる。したがって、これらの支持部材により複数のレンズアレイを支持することで、複数のレンズアレイの位置関係の(第1の方向への)変動を抑制することができる。また仮に、発光素子からの発熱が過大であるために、支持部材の(第1の方向への)長さが多少変動したとしても、各支持部材の間には隙間(第1の隙間、第2の隙間)が設けられているため、支持部材の長さの変動が複数のレンズアレイの位置関係に与える影響を緩和することができる。こうして、本発明では、発光素子の発熱の影響に依らず、露光ヘッドによる露光範囲の変動を抑えて、良好な露光を実現することが可能となっている。
【0010】
さらに、本発明では、第2の支持部材は、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとを第1の方向に跨いで支持しており、これにより次のような効果を奏することが可能となっている。つまり、本発明の露光ヘッドでは、第1の発光素子および第2の発光素子が発光素子基板に配設されており、第1の発光素子は第1のレンズアレイのレンズに入射する光を発光するとともに、第2の発光素子は第2のレンズアレイのレンズに入射する光を発光する。ところが、各発光素子の発光状態によっては、例えば、第1の発光素子が第2の発光素子に比べて頻繁に発光して、第1の発光素子近傍の温度が局所的に高くなる場合がある。このような場合、第1の発光素子近傍の熱により第1のレンズアレイが暖められて、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとで温度差が発生し、その結果、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとでレンズの光学特性に差異が発生するおそれがあった。これに対して、本発明では、第2の支持部材は、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとを第1の方向に跨いで支持しているため、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとの間での熱伝導が、この第2の支持部材を介して促進される。したがって、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとでの温度差を抑制して、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとでのレンズの光学特性を均質化することができるため、発光素子の発光状態に依らず安定した良好な露光が可能となる。
【0011】
また、第1の支持部材、第2の支持部材および第3の支持部材は、第1の発光素子および第2の発光素子から、第1の方向に直交する第2の方向の一方側に外れた位置に配設されるように構成しても良い。これにより、第1の発光素子および第2の発光素子からの光と各支持部材との干渉を抑制して、第1のレンズアレイ・第2のレンズアレイのレンズに十分な光量の光を入射させることができる。
【0012】
ところで、発光素子基板の各発光素子(第1の発光素子、第2の発光素子)の光量制御等に役立てるために、予め各発光素子の光量を検出することが考えられる。そこで、発光素子基板を光透過性基板としたうえで、次のように構成しても良い。
【0013】
つまり、受光部で受光した光を検出する光センサーを備え、光センサーは、第1の隙間あるいは第2の隙間に配設され、受光部は発光素子基板に面するように構成しても良い。このような構成では、各発光素子から発光されて光透過性基板の内部を透過してきた光を、光センサーにより検出することができる。また、支持部材間の隙間(第1の隙間、第2の隙間)に光センサーを配設しているため、露光ヘッドの第2の方向への幅を抑制して、露光ヘッドを小型化することが可能となっている。
【0014】
あるいは、第1の支持部材、第2の支持部材および第3の支持部材に対して、第1の発光素子および第2の発光素子の反対側に配設された光センサーを備え、第1の支持部材、第2の支持部材あるいは第3の支持部材は光を透過する光透過性支持部材であり、受光部は光透過性支持部材に面するように構成しても良い。このような構成では、各発光素子から発光されて光透過性基板および光透過性支持部材の内部を透過してきた光を、光センサーにより検出することができる。
【0015】
また、第1の発光素子および第2の発光素子は、第1の支持部材、第2の支持部材および第3の支持部材が配設された発光素子基板の表面とは反対側の発光素子基板の裏面に配設されているように構成しても良い。このような構成では、光透過性基板の表裏面で反射されながら該光透過製基板の内部を透過してきた光を、光センサーにより検出することができる。
【0016】
また、第1の発光素子および第2の発光素子から、第2の方向の一方側と逆の他方側に外れた位置で、第1の方向に隙間を空けて配設された第4の支持部材、第5の支持部材および第6の支持部材を備え、第4の支持部材は、第1のレンズアレイを支持し、第5の支持部材は、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとを第1の方向に跨いで支持し、第6の支持部材は、第2のレンズアレイを支持するように構成しても良い。このような構成では、第2の方向の両側から第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイを支持するため、これらのレンズアレイをしっかりと支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図。
【図2】図1の画像形成装置が備える電気的構成を示すブロック図。
【図3】第1実施形態のラインヘッドの概略を示す斜視図。
【図4】厚さ方向からヘッド基板を平面視した部分平面図。
【図5】第1実施形態でのラインヘッドのA−A線における部分断面図。
【図6】第1実施形態のヘッド基板等の各部材の関係を示す部分平面図。
【図7】第2実施形態のラインヘッドの概略を示す斜視図。
【図8】第2実施形態でのラインヘッドのA−A線における部分断面図。
【図9】図8中の一点鎖線円内の拡大図。
【図10】第2実施形態での光センサーの位置を示す部分平面図。
【図11】第3実施形態のラインヘッドの概略を示す斜視図。
【図12】第3実施形態でのラインヘッドのA−A線における部分断面図。
【図13】図12中の一点鎖線円内の拡大図。
【図14】第3実施形態での光センサーの位置を示す部分平面図。
【図15】レンズアレイの別の支持態様を示す部分平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
A−1.第1実施形態
図1は本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置が備える電気的構成を示すブロック図である。この装置は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。なお図1は、カラーモード実行時に対応する図である。この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するメインコントローラーMCに与えられると、このメインコントローラーMCはエンジンコントローラーECに制御信号などを与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。このとき、メインコントローラーMCは、ヘッドコントローラーHCから水平リクエスト信号HREQを受け取る毎に、主走査方向MDに1ライン分のビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。また、このヘッドコントローラーHCは、メインコントローラーMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラーECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメータ値とに基づき各色のラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部ENGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0019】
画像形成装置が有するハウジング本体3内には、電源回路基板、メインコントローラーMC、エンジンコントローラーECおよびヘッドコントローラーHCを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット7、転写ベルトユニット8および給紙ユニット11もハウジング本体3内に配設されている。また、図1においてハウジング本体3内右側には、2次転写ユニット12、定着ユニット13、シート案内部材15が配設されている。なお、給紙ユニット11は、装置本体1に対して着脱自在に構成されている。そして、該給紙ユニット11および転写ベルトユニット8については、それぞれ取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0020】
画像形成ユニット7は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーションY(イエロー用)、M(マゼンダ用)、C(シアン用)、K(ブラック用)を備えている。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kは、主走査方向MDに所定長さの表面を有する円筒形の感光体ドラム21を設けている。そして、各画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれは、対応する色のトナー像を、感光体ドラム21の表面に形成する。感光体ドラム21は、軸方向が主走査方向MDに平行もしくは略平行となるように配置されている。また、各感光体ドラム21はそれぞれ専用の駆動モーターに接続され図中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより感光体ドラム21の表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに搬送されることとなる。また、感光体ドラム21の周囲には、回転方向に沿って帯電部23、ラインヘッド29、現像部25および感光体クリーナー27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作及びトナー現像動作が実行される。したがって、カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーションY,M,C,Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8が有する転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、モノクロモード実行時は、画像形成ステーションKで形成されたトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成する。なお、図1において、画像形成ユニット7の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号をつけて、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
【0021】
帯電部23は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラーを備えている。この帯電ローラーは帯電位置で感光体ドラム21の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム21の回転動作に伴って感光体ドラム21に対して従動方向に周速で従動回転する。また、この帯電ローラーは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電部23と感光体ドラム21が当接する帯電位置で感光体ドラム21の表面を帯電させる。
【0022】
ラインヘッド29は感光体ドラム21に対して離間して配置されており、ラインヘッド29の長手方向は主走査方向MDに平行もしくは略平行であるとともに、ラインヘッド29の幅方向は副走査方向SDに平行もしくは略平行である。このラインヘッド29は複数の発光素子を備えており、各発光素子はヘッドコントローラーHCからのビデオデータVDに応じて発光する。そして、帯電した感光体ドラム21表面に発光素子からの光が照射されることで、感光体ドラム21表面に静電潜像が形成される。
【0023】
現像部25は、その表面にトナーを担持する現像ローラー251を有する。そして、現像ローラー251と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラー251に印加される現像バイアスによって、現像ローラー251と感光体ドラム21とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラー251から感光体ドラム21に移動してラインヘッド29により形成された静電潜像が顕在化される。
【0024】
このように上記現像位置において顕在化されたトナー像は、感光体ドラム21の回転方向D21に搬送された後、転写ベルト81と各感光体ドラム21が当接する1次転写位置TR1において転写ベルト81に1次転写される。
【0025】
また、この実施形態では、感光体ドラム21の回転方向D21の1次転写位置TR1の下流側で且つ帯電部23の上流側に、感光体ドラム21の表面に当接して感光体クリーナー27が設けられている。この感光体クリーナー27は、感光体ドラムの表面に当接することで1次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
【0026】
転写ベルトユニット8は、駆動ローラー82と、図1において駆動ローラー82の左側に配設される従動ローラー83(ブレード対向ローラー)と、これらのローラーに張架され図示矢印D81の方向(搬送方向)へ循環駆動される転写ベルト81とを備えている。また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、感光体カートリッジ装着時において各画像形成ステーションY,M,C,Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の1次転写ローラー85Y,85M,85C,85Kを備えている。これらの1次転写ローラー85は、それぞれ1次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続される。そして、カラーモード実行時は、図1に示すように全ての1次転写ローラー85Y,85M,85C,85Kを画像形成ステーションY,M,C,K側に位置決めすることで、転写ベルト81を画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させて、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に1次転写位置TR1を形成する。そして、適当なタイミングで上記1次転写バイアス発生部から1次転写ローラー85に1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、それぞれに対応する1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してカラー画像を形成する。
【0027】
一方、モノクロモード実行時は、4個の1次転写ローラー85のうち、カラー1次転写ローラー85Y,85M,85Cをそれぞれが対向する画像形成ステーションY,M,Cから離間させるとともにモノクロ1次転写ローラー85Kのみを画像形成ステーションKに当接させることで、モノクロ画像形成ステーションKのみを転写ベルト81に当接させる。その結果、モノクロ1次転写ローラー85Kと画像形成ステーションKとの間にのみ1次転写位置TR1が形成される。そして、適当なタイミングで前記1次転写バイアス発生部からモノクロ1次転写ローラー85Kに1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してモノクロ画像を形成する。
【0028】
さらに、転写ベルトユニット8は、モノクロ1次転写ローラー85Kの下流側で且つ駆動ローラー82の上流側に配設された下流ガイドローラー86を備える。また、この下流ガイドローラー86は、モノクロ1次転写ローラー85Kが画像形成ステーションKの感光体ドラム21に当接して形成する1次転写位置TR1での1次転写ローラー85Kと感光体ドラム21との共通内接線上において、転写ベルト81に当接するように構成されている。
【0029】
駆動ローラー82は、転写ベルト81を図示矢印D81の方向に循環駆動するとともに、2次転写ローラー121のバックアップローラーを兼ねている。駆動ローラー82の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する2次転写バイアス発生部から2次転写ローラー121を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラー82に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、駆動ローラー82と2次転写ローラー121との当接部分(2次転写位置TR2)へのシートが進入する際の衝撃が転写ベルト81に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
【0030】
給紙ユニット11は、シートを積層保持可能である給紙カセット77と、給紙カセット77からシートを一枚ずつ給紙するピックアップローラー79とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラー79により給紙部から給紙されたシートは、レジストローラー対80において給紙タイミングが調整された後、シート案内部材15に沿って2次転写位置TR2に給紙される。
【0031】
2次転写ローラー121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、2次転写ローラー駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット13は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラー131と、この加熱ローラー131を押圧付勢する加圧部132とを有している。そして、その表面に画像が2次転写されたシートは、シート案内部材15により、加熱ローラー131と加圧部132の加圧ベルト1323とで形成するニップ部に案内され、該ニップ部において所定の温度で画像が熱定着される。加圧部132は、2つのローラー1321,1322と、これらに張架される加圧ベルト1323とで構成されている。そして、加圧ベルト1323の表面のうち、2つのローラー1321,1322により張られたベルト張面を加熱ローラー131の周面に押し付けることで、加熱ローラー131と加圧ベルト1323とで形成するニップ部が広くとれるように構成されている。また、こうして定着処理を受けたシートはハウジング本体3の上面部に設けられた排紙トレイ4に搬送される。
【0032】
また、この装置では、ブレード対向ローラー83に対向してクリーナー部71が配設されている。クリーナー部71は、クリーナーブレード711と廃トナーボックス713とを有する。クリーナーブレード711は、その先端部を転写ベルト81を介してブレード対向ローラー83に当接することで、2次転写後に転写ベルトに残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナーボックス713に回収される。
【0033】
図3は、第1実施形態のラインヘッドの概略を示す斜視図である。同図では、ラインヘッド29の厚さ方向TKDの構成を理解しやすくするために、ラインヘッド29の長手方向LGDの端部(図3の左下端部)が断面で示されている。ここで、厚さ方向TKDは、長手方向LGDおよび幅方向LTDに垂直もしくは略垂直な方向であり、後述する発光素子Eが光を射出する側(つまり、ラインヘッド29から感光体ドラム21に向う側)を向いた方向とする。ラインヘッド29は、ヘッド基板293、遮光部材297、第1レンズアレイLA1および第2レンズアレイLA2をこの順番で厚さ方向TKDに配置するとともに、ヘッド基板293の裏面から(厳密には、ヘッド基板293に設けられた封止部材294の裏面から)剛性部材299で、これらの部材を支持した概略構成を備えている。そして、ヘッド基板293の発光素子Eからの光が、遮光部材297の導光孔2971を通過して、第1・第2レンズアレイLA1、LA2のレンズLS1、LS2により結像される。次に、各部材の詳細な構成について、図3、図4および図5を用いつつ説明する。なお、実施形態の説明において、厚さ方向TKDの下流側(図3の上側)を「(厚さ方向TKDの)一方側」と称し、厚さ方向TKDの上流側(図3の下側)を「(厚さ方向TKDの)他方側」と称する。また、基板あるいは平板の一方側の面を表面と称し、基板あるいは平板の他方側の面を裏面と称することとする。
【0034】
図4は、厚さ方向TKDからヘッド基板293を平面視した部分平面図であり、厚さ方向TKDの一方側(図3の上側)からヘッド基板293の裏面293−tを透視した場合に相当する。図5は、第1実施形態でのラインヘッドのA−A線における部分断面図であり、該断面を長手方向LGD(主走査方向MD)から見た場合に相当する。このA−A線断面は、長手方向LGDに距離Dgを空けるとともに幅方向LTDに距離Dtを空けて、一列に並ぶ3個の発光素子グループEG(あるいは、3枚のレンズLS1等)の各重心(あるいは、各レンズ中心)を通る。また、図4、図5に示す方向Dlscは、A−A線に平行な方向である。さらに、図4では、ヘッド基板293に形成された発光素子グループEG、第1レンズアレイLA1に形成された第1レンズLS1および第2レンズアレイLA2に形成された第2レンズLS2の位置関係を示すために、第1レンズLS1および第2レンズLS2がそれぞれ一点鎖線で併記されている。ちなみに、第1レンズLS1および第2レンズLS2についての図中記載は、これらの位置関係を示すためのものであり、第1レンズLS1および第2レンズLS2がヘッド基板裏面293−t(図5)に形成されていることを示すものではない。また、図5において、光透過性(つまり透明)である部材には、点の集合からなるハッチングが施されている。
【0035】
ヘッド基板293は光を透過するガラス基板(光透過性基板)で構成されており、ヘッド基板裏面293−tでは、ボトムエミッション型の有機EL(Electro-Luminescence)素子である発光素子Eが複数形成されるとともに、封止部材294により封止されている(図3、図5)。これら複数の発光素子Eは、互いに同一の発光スペクトルを有しており、光ビームを感光体ドラム21表面へ向けて射出する。また、図4に示すように、ヘッド基板裏面293−tに形成された複数の発光素子Eの配置態様は、グループ構造を有している。つまり、15個の発光素子Eが長手方向LGDに2行千鳥で配置されて1個の発光素子グループEGが構成されており、さらに複数の発光素子グループEGが長手方向LGDに3行千鳥で離散的に配置されている。
【0036】
より詳しくは、この配置態様は次のように説明することができる。つまり、各発光素子グループEG内では、15個の発光素子Eが長手方向LGDの互いに異なる位置に配置されており、しかも長手方向LGDにおける位置が隣り合う2つの発光素子E、Eの長手方向LGDへの距離は素子間距離Pelとなっている(言い換えれば、各発光素子グループEG内では、15個の発光素子EがピッチPelで長手方向LGDに配置されている)。そして、素子間距離Pelよりも長いグループ間距離Pegを空けて複数の発光素子グループEGが長手方向LGDに沿って離散的に並んで、1行の発光素子グループ行GRa等が構成されている。さらに、3行の発光素子グループ行GRa、GRb、GRcが距離Dtだけ空けて幅方向LTDの異なる位置に離散的に配置されており、しかも、発光素子グループ行GRa、GRb、GRcのそれぞれは、長手方向LGDに距離Dgだけ相互にシフトされている。こうして、3個の発光素子グループEGが、長手方向LGDに距離Dgを空けるとともに幅方向LTDに距離Dtを空けて、方向Dlscに一列に並ぶ。
【0037】
ここで、素子間距離Pelは、対象となる2個の発光素子Eの幾何重心間の長手方向LGDにおける距離として求めることができる。また、グループ間距離Pegは、対象となる2個の発光素子グループEGのうち、長手方向LGDの一方側の発光素子グループEGの他方側端部にある発光素子Eの幾何重心と、長手方向LGDの他方側の発光素子グループEGの一方側端部にある発光素子Eの幾何重心との長手方向LGDにおける距離として求めることができる。また、距離Dgは、長手方向LGDにおける位置が隣り合う2個の発光素子グループEGそれぞれの幾何重心間の長手方向LGDにおける距離として求めることができる。また、距離Dtは、幅方向LGDにおける位置が隣り合う2個の発光素子グループEGそれぞれの幾何重心間の幅方向LTDにおける距離として求めることができる。
【0038】
また、特開2004−082330号公報等に記載の技術を応用して、この実施形態は、各発光素子Eの光量制御に役立てるために、予め各発光素子Eの光量を検出する構成を備えている。具体的には、ヘッド基板裏面293−tの幅方向LTDの両側のそれぞれにおいて、複数の光センサーSCが所定間隔で長手方向LGDに一列に並べられている。こうして、光センサーSCの列が、複数の発光素子グループEGを挟んで幅方向LTDの両側に配置される。そして、各光センサーSCは発光素子Eからの光量を検出した結果をヘッドコントローラーHCに出力し、ヘッドコントローラーHCは受信した光量信号に基づいて以後の発光素子Eの光量を制御する。
【0039】
このようにヘッド基板293の裏面293−tには、発光素子グループEGおよび光センサーSCが配置されている。一方、ヘッド基板293の表面293−hには、遮光部材297が配置されている。遮光部材297には厚さ方向TKDに貫通する導光孔2971が形成されており、この導光孔2971は厚さ方向TKDからの平面視において円形状を有しており、その内壁には黒色メッキが施されている。この導光孔2971は、発光素子グループEG毎に1個づつ形成されており、すなわち、1個の発光素子グループEGに対して1個の導光孔2971が開口している。こうして、遮光部材297は、導光孔2971を発光素子グループEGに開口させた状態でヘッド基板表面293−hに当接して固定されている。
【0040】
このような遮光部材297を設ける目的は、いわゆる迷光がレンズLS1、LS2に入射するのを抑制するためである。つまり、各発光素子グループEGには、レンズ対LS1、LS2の対からなる結像光学系がそれぞれ専用に設けられている。このような構成では、光ビームは、それ自身の射出源である発光素子グループEGに設けられた結像光学系LS1、LS2にのみ入射して結像されることが望ましい。しかしながら、光ビームの一部には、その射出源である発光素子グループEGに設けられた結像光学系LS1、LS2に向わずに迷光となってしまうものもある。そして、このような迷光が、それ自身の射出源でない発光素子グループEGに設けられた結像光学系LS1、LS2に入射してしまうと、いわゆるゴーストが発生してしまうおそれがある。これに対して、この実施形態では、発光素子グループEGと結像光学系LS1、LS2との間に遮光部材297が設けられている。この遮光部材297には、内壁に黒色メッキが施された導光孔2971が発光素子グループEGに開口して設けられている。したがって、迷光の多くは、導光孔2971の内壁で吸収されることとなる。その結果、先ほどのゴーストを抑制して、良好な露光動作の実現が図られる。
【0041】
また、遮光部材297の厚さ方向TKDの一方側では、第1レンズアレイLA1が該遮光部材297と間隔を空けて支持されている。この第1レンズアレイLA1は、ヘッド基板293の表面293−hに設けられた金属製の第1スペーサーSP1により支持されている。この第1レンズアレイLA1の支持態様について、図3〜図5および図6を用いて説明する。
【0042】
図6は、第1実施形態のヘッド基板、第1スペーサーおよび第1レンズアレイの関係を示す部分平面図であり、厚さ方向TKDの一方側から見た場合に相当する。図3、図6に示すように、ヘッド基板表面293−hでは、複数の第1スペーサーSP1が、長手方向LGDに隙間CL1を空けて一列に並んでいる。なお、各隙間CL1の長手方向LGDへの長さは互いに等しい。また、この第1スペーサーSP1の列は、幅方向LTDの両側に設けられている。こうして、厚さ方向TKDからの平面視において、第1スペーサーSP1の列が、複数の発光素子グループEG(が配置されている領域)を挟んで2列配置される(換言すれば、遮光部材297を挟んで2列配置されている)。なお、ヘッド基板293と第1スペーサーSP1とは接着剤等による方法で固定されている。
【0043】
こうして2列に配置された第1スペーサSP1には、第1レンズアレイLA1が幅方向LTDに架設されており、これにより、第1レンズアレイLA1がヘッド基板293に対して位置決めされた状態で対向する。この第1レンズアレイLA1は、長手方向LGDの両端が斜めに(方向Dlscと平行に)カットされた菱形形状のガラス基板SBの裏面に、光硬化性樹脂で形成された複数の第1レンズLS1をアレイ配置した構成を有している。また、これら複数の第1レンズLS1は、対向する発光素子グループEGの配置に対応して3行千鳥で配置されている(図4)。
【0044】
この実施形態では、複数の第1レンズアレイLA1が長手方向LGDに一列に並んでいる。そして、これら第1レンズアレイLA1を、長手方向LGDに隙間CL1を空けて一列に並ぶ第1スペーサーSP1が支持している。この際、1個の第1スペーサーSP1が、境界BD1を挟んで隣接する2枚の第1レンズアレイLA1を長手方向LGDに跨いで支持している。こうして長手方向LGDに並ぶ複数の第1レンズアレイLA1から1つの長尺レンズアレイL−LA1が構成される。なお、第1スペーサーSP1と第1レンズアレイLA1とは接着剤等による方法で固定されている。
【0045】
さらに、この第1レンズアレイLA1の厚さ方向TKDの一方側では、第2レンズアレイLA2が該第1レンズアレイLA1と間隔を空けて支持されている。この第2レンズアレイLA1は、第1レンズアレイLA1のガラス基板SBの表面に設けられた金属製の第2スペーサーSP2により支持されている。図3に示すように、第1レンズアレイLA1の表面では、複数の第2スペーサーSP2が、長手方向LGDに隙間CL2を空けて一列に並んでいる。なお、各隙間CL2の長手方向LGDへの長さは互いに等しい。また、この第2スペーサーSP2の列は、幅方向LTDの両側に設けられている。こうして、厚さ方向TKDからの平面視において、第2スペーサーSP1の列が、複数の発光素子グループEG(が配置されている領域)を挟んで2列配置される(換言すれば、遮光部材297を挟んで2列配置されている)。なお、第1レンズアレイLA1と第2スペーサーSP2とは接着剤等による方法で固定されている。
【0046】
こうして2列に配置された第2スペーサSP2の列には、第2レンズアレイLA2が幅方向LTDに架設されており、これにより、第2レンズアレイLA2が第1レンズアレイLA1に対して位置決めされた状態で対向する。この第2レンズアレイLA2は、長手方向LGDの両端が斜めに(方向Dlscと平行に)カットされた菱形形状のガラス基板SBの裏面SB−tに、光硬化性樹脂で形成された複数の第2レンズLS2をアレイ配置した構成を有している。また、これら複数の第2レンズLS2は、対向する第1レンズLS1の配置に対応して3行千鳥で配置されている(図4)。
【0047】
そして、この実施形態では、複数の第2レンズアレイLA2が長手方向LGDに一列に並んでおり、これら第2レンズアレイLA2を、長手方向LGDに隙間CL2を空けて一列に並ぶ第2スペーサーSP2が支持している。この際、1個の第2スペーサーSP2が、境界BD2を挟んで隣接する2枚の第2レンズアレイLA2を長手方向LGDに跨いで支持している。こうして長手方向LGDに並ぶ第2レンズアレイLA2から1つの長尺レンズアレイが構成される。なお、第2スペーサーSP2と第2レンズアレイLA1とは接着剤等による方法で固定されている。
【0048】
こうして、第1レンズアレイLA1のレンズLS1と第2レンズアレイLA2のレンズLS2が厚さ方向TKDに並んで、1つの結像光学系を構成する。この結像光学系は、反転した縮小像を形成するものであり、その倍率は負であるとともに1未満の絶対値を有している。そして、特開2008−036937号公報の図11等に記載のように、感光体ドラム21表面の副走査方向SDへの移動に応じて各発光素子Eの発光を制御することで、主走査方向MDに伸びるライン潜像を形成することができる。
【0049】
以上のように第1実施形態にかかるラインヘッド29は、長尺なフレームで複数のレンズアレイLA1を支持するのではなく、長手方向LGDに隙間CL1を空けて配設された複数のスペーサーSP1により複数のレンズアレイLA1を支持している。このようなレンズアレイ支持機構では、各スペーサーSP1の(長手方向LGDへの)長さを短くすることができるため、発光素子Eからの熱による(長手方向LGDへの)スペーサーSP1の長さの変動を小さく抑えることができる。したがって、これらのスペーサーSP1により複数のレンズアレイLA1を支持することで、複数のレンズアレイLA1の位置関係の(長手方向LGDへの)変動を抑制することができる。また仮に、発光素子Eからの発熱が過大であるために、スペーサーSP1の(長手方向LGDへの)長さが多少変動したとしても、各スペーサーSP1の間には隙間CL1が設けられているため、スペーサーSP1の長さの変動が複数のレンズアレイLA1の位置関係に与える影響を緩和することができる。こうして、第1実施形態では、発光素子Eの発熱の影響に依らず、ラインヘッド29による露光範囲の変動を抑えて、良好な露光を実現することが可能となっている。
【0050】
さらに、第1実施形態のラインヘッド29では、1個の第1スペーサーSP1が、境界BD1を挟んで隣接する2枚の第1レンズアレイLA1を長手方向LGDに跨いで支持しており、これにより次のような効果を奏することが可能となっている。つまり、本実施形態のラインヘッド29では、複数の発光素子Eがヘッド基板293に配設されている。ところが、各発光素子Eの発光状態によっては、例えば、一のレンズアレイLA1に対向する発光素子Eが、他のレンズアレイLA1に対向する発光素子Eに比べて頻繁に発光して、一のレンズアレイLA1に対向する発光素子E近傍の温度が局所的に高くなる場合がある。このような場合、一のレンズアレイLA1に対向する発光素子E近傍の熱により該一のレンズアレイLA1が温められて、一のレンズアレイLA1と他のレンズアレイLA1とで温度差が発生し、その結果、一のレンズアレイLA1と他のレンズアレイLA1とでレンズLS1の光学特性に差異が発生するおそれがあった。これに対して、第1実施形態では、スペーサーSP1は、境界BD1を挟んで隣接する一のレンズアレイLA1と他のレンズアレイLA1とを長手方向LGDに跨いで支持しているため、一のレンズアレイLA1と他のレンズアレイLA1との間での熱伝導が、スペーサーSP1を介して促進される。したがって、一のレンズアレイLA1と他のレンズアレイLA1とでの温度差を抑制して、一のレンズアレイLA1と他のレンズアレイLA1とでのレンズLS1の光学特性を均質化することができるため、発光素子Eの発光状態に依らず安定した良好な露光が可能となる。
【0051】
また、第1実施形態では、幅方向LTDの両側のそれぞれに、長手方向LGDに一列に隙間CL1を空けて並ぶスペーサーSP1を配置しており、これらのスペーサーSP1によって幅方向LTDの両側から複数のレンズアレイLA1を支持している。したがって、これらのレンズアレイLA1をしっかりと支持することが可能となっている。
【0052】
また、第1実施形態では、スペーサーSP1は、発光素子E(が設けられた領域)から、幅方向LTDの一方側(あるいは他方側)に外れた位置に配設されている。したがって、各発光素子Eからの光とスペーサーSP1との干渉を抑制して、レンズアレイLA1のレンズLS1に十分な光量の光を入射させることが可能となっている。
【0053】
A−2.第2実施形態
第1実施形態では、光センサーSCをヘッド基板293の裏面293−tに配置していた。しかしながら、光センサーSCを配置する位置はこれに限られず、第2実施形態に示す位置に光センサーSCを配置することもできる。なお、第2実施形態は、光センサーSCの位置以外の部分で第1実施形態と共通する構成を備えるものであり、当該共通する構成を備えることで第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0054】
図7は、第2実施形態のラインヘッドの概略を示す斜視図である。図8は、第2実施形態でのラインヘッドのA−A線における部分断面図であり、該断面を長手方向LGD(主走査方向MD)から見た場合に相当する。図8において、光透過性(つまり透明)である部材(ヘッド基板293等)には、点の集合からなるハッチングが施されている。図9は、図8中の一点鎖線円内の拡大図である。図10は、第2実施形態での光センサーの位置を示す部分平面図であり、厚さ方向TKDの一方側から見た場合に相当する。以下では、第1実施形態との差異点について主に説明することとし、第1実施形態との共通部分については相当符号を付して説明を適宜省略する。
【0055】
第2実施形態では、光センサーSCは、長手方向LGDに隣接する第1スペーサーSP1の各隙間CL1に配置されており、光センサーSCの受光面RSはヘッド基板293の表面293−hに面している。そして、光センサーSCは、ヘッド基板裏面293−tに形成された発光素子Eからの光をこの受光面RSで検出する。この検出動作の詳細が図9の拡大図に示されている。同図では、発光素子EからレンズLS1に向かう光(斜線)と、発光素子Eから発光した後にヘッド基板表面293−hで反射されてヘッド基板内部を進行する光(ジグザグ線)とが併記されており、本実施形態の光センサーSCは後者の光を検出する。つまり、ヘッド基板293の表面293−hと裏面293−tの間で反射を繰り返して、光センサーSCの受光面RSに到達した光を、光センサーSCは検出する。なお、受光面RSとヘッド基板表面293−hとは透明接着剤により接着されており、これらの界面での光の反射損失が軽減されている。
【0056】
このように第2実施形態では、スペーサーSP1間の隙間CL1に光センサーSCを配設しているため、ラインヘッド29の幅方向LTDへの幅を抑制して、ラインヘッド29を小型化することが可能となっている。
【0057】
A−3.第3実施形態
第2実施形態では、光センサーSCをスペーサーSP1間の隙間CL1に配設して、ラインヘッド29の小型化を図っていた。ただし、このような構成では、光センサーSCの長さを隙間CL1の長さよりも短くする必要があるため、受光面RSの面積が制限される。そこで、第3実施形態に示すようにスペーサーSP1を配置しても良い。なお、第3実施形態は、光センサーSCの配置態様以外の部分で第1実施形態と共通する構成を備えるものであり、当該共通する構成を備えることで第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0058】
図11は、第3実施形態のラインヘッドの概略を示す斜視図である。図12は、第3実施形態でのラインヘッドのA−A線における部分断面図であり、該断面を長手方向LGD(主走査方向MD)から見た場合に相当する。図12において、光透過性(つまり透明)である部材(ヘッド基板293、第1スペーサーSP1等)には、点の集合からなるハッチングが施されている。図13は、図12中の一点鎖線円内の拡大図である。図14は、第3実施形態での光センサーの位置を示す部分平面図であり、厚さ方向TKDの一方側から見た場合に相当する。以下では、第1実施形態との差異点について主に説明することとし、第1実施形態との共通部分については相当符号を付して説明を適宜省略する。
【0059】
第3実施形態では、光センサーSCは、第1スペーサーSP1に対して発光素子グループEG(が設けられた領域)の反対側に配置されている。しかも、第1スペーサーSP1は、ガラスや樹脂等で形成された光透過性スペーサーSP1であり、光センサーSCの受光面RSが第1スペーサーSP1に面している。より詳しくは、幅方向LTDにおける第1スペーサーSP1の二側面のうち、発光素子グループEG(が設けられた領域)の反対側の側面に受光面RSは面している。そして、光センサーSCは、ヘッド基板裏面293−tに形成された発光素子Eからの光をこの受光面RSで検出する。この検出動作の詳細が図13の拡大図に示されている。同図では、発光素子EからレンズLS1に向かう光(斜線)と、発光素子Eから発光した後にヘッド基板表面293−hで反射されてヘッド基板内部を進行する光(ジグザグ線)とが併記されており、本実施形態の光センサーSCは後者の光を検出する。つまり、ヘッド基板293の表面293−hと裏面293−tの間で反射を繰り返して、さらに第1スペーサーSP1を透過した後に、光センサーSCの受光面RSに到達した光を、光センサーSCは検出する。なお、ヘッド基板表面293−hと第1スペーサーSP1とが透明接着剤により接着されるとともに、第1スペーサーSP1と受光面RSとが透明接着剤により接着されており、それぞれの界面での光の反射損失が軽減されている。
【0060】
このように第3実施形態では、スペーサーSP1の側面に光センサーSCを配置しているため、光センサーSCの受光面RSの面積を、スペーサーSP1間の隙間CL1に依らず十分大きくとることができる。したがって、光量検出を高精度に実行することが可能となっている。また、別の見方をすれば、第3実施形態による構成では、スペーサーSP1間の隙間CL1に光センサーSCを配設しなくてすむため、スペーサーSP1の長さを自在に変更可能である。したがって、ラインヘッド29に比較的強い強度が求められるような場合(例えば、振動源の近くでラインヘッド29が用いられるような場合)には、スペーサーSP1を長くしてラインヘッド29の強度向上を図ることも可能となっている。
【0061】
B.その他
以上のように、上記実施形態では、長手方向LGDが本発明の「第1の方向」に相当し、幅方向LTDが本発明の「第2の方向」に相当する。また、感光体ドラム21が本発明の「像担持体」に相当し、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当し、ヘッド基板293が本発明の「発光素子基板」に相当する。また、長手方向LGDに一列に並ぶ3つの第1スペーサーSP1が本発明の「第1の支持部材」「第2の支持部材」「第3の支持部材」に相当し、これら3つの第1スペーサーSP1の間の隙間CL1が本発明の「第1の隙間」「第2の隙間」に相当し、これら3つの第1スペーサーSP1により支持されて境界BD1を挟んで隣接する2枚の第1レンズアレイLA1が本発明の「第1のレンズアレイ」「第2のレンズアレイ」に相当し、これら2枚の第1レンズアレイLA1それぞれに対向する各発光素子Eが本発明の「第1の発光素子」「第2の発光素子」に相当する。また、受光面RSが本発明の「受光部」に相当する。
【0062】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、図6に示すように、上記実施形態では、レンズアレイLA1の幅方向LTDの一端は、長手方向LGDに並ぶ2個のスペーサーSP1に支持されている。しかしながら、レンズアレイLA1の幅方向LTDの一端を支持するスペーサーSP1の個数はこれに限られず、例えば、図15に示すように、レンズアレイLA1の幅方向LTDの一端を、長手方向LGDに並ぶ3個のスペーサーSP1に支持するように構成しても良い。
【0063】
図15は、レンズアレイの別の支持態様を示す部分平面図であり、厚さ方向TKDの一方側から見た場合に相当する。図15に示すラインヘッド29においても、長尺なフレームで複数のレンズアレイLA1を支持するのではなく、長手方向LGDに隙間CL1を空けて配設された複数のスペーサーSP1により複数のレンズアレイLA1を支持している。したがって、第1実施形態と同様に、ラインヘッド29による露光範囲の変動を抑えて、良好な露光を実現することが可能となっている。さらに、図15に示すラインヘッドにおいても、1個の第1スペーサーSP1が、境界BD1を挟んで隣接する2枚の第1レンズアレイLA1を長手方向LGDに跨いで支持している。したがって、第1実施形態と同様に、発光素子Eの発光状態に依らず安定した良好な露光が可能となっている。
【0064】
また、上記実施形態では、長手方向LGDに一列に並ぶ第1スペーサーSP1の各隙間CL1は互いに等しかったが、これらの隙間CL1を互いに異ならせても良い。
【0065】
また、各第1スペーサーSP1の形状やサイズ等の構成も適宜変更可能であり、全第1スペーサーSP1の構成を同一に構成しても良いし、あるいは、第1スペーサー毎にSP1の形状・サイズを異ならせても良い。また、第2スペーサーSP2についても同様の変更が可能である。
【0066】
また、上記実施形態では、長手方向LGDに一列に並ぶ第2スペーサーSP2により第2レンズアレイLA2を支持していた。しかしながら、第2レンズアレイLA2の支持態様はこれに限られない。つまり、第1レンズアレイLA1を支持する部材は、ヘッド基板293に直接配置されるため、発光素子Eの発熱の影響を受けやすいが、第2レンズアレイLA2を支持する部材はそうではない。したがって、第2レンズアレイLA2については、長手方向LGDに長尺なフレームにより支持することもできる。
【0067】
また、上記実施形態の結像光学系は、反転した縮小像を形成するものであり、その倍率は負であるとともに1未満の絶対値を有していたが、結像光学系の倍率はこれに限られず、正であっても良く、1以上の絶対値を有していても良い。
【0068】
また、上記実施形態では、各レンズアレイLA1、LA2において3行千鳥でレンズが並んでいたが、レンズの配置態様はこれに限られない。
【0069】
また、上記実施形態では、レンズアレイLA1、LA2の裏面にレンズLS1、LS2が形成されていた。しかしながら、例えば、レンズアレイLA1、LA2の表面にレンズLS1、LS2が形成されても良い。
【0070】
また、上記実施形態では、レンズアレイLA1、LA2ガラス製の光透過性基板SBに樹脂製のレンズLS1、LS2を形成したものであった。しかしながら、レンズアレイLA1、LA2を1つの材料で一体的に構成することもできる。
【0071】
また、レンズアレイLA1、LA2の形状や大きさについても種々の変更が可能である。
【0072】
また、上記第1実施形態では、複数の発光素子グループEGは3行千鳥で配置されていたが、複数の発光素子グループEGの配置態様はこれに限られない。
【0073】
また、上記実施形態では、15個の発光素子Eから発光素子グループEGが構成されている。しかしながら、発光素子グループEGを構成する発光素子Eの個数はこれに限られない。
【0074】
また、上記実施形態では、発光素子グループEG内において、複数の発光素子Eが2行千鳥で配置されていたが、発光素子グループEG内での複数の発光素子Eの配置態様はこれに限られない。
【0075】
また、上記実施形態では、発光素子Eとしてボトムエミッション型の有機EL素子が用いられている。しかしながら、トップエミッション型の有機EL素子を発光素子Eとして用いても良く、あるいは有機EL素子以外のLED(Light Emitting Diode)等を発光素子Eとして用いても良い。
【0076】
また、光センサーSCの配設態様も上記以外に種々の変更が可能であり、また、光センサーSCを備えないように構成しても良い。
【符号の説明】
【0077】
LGD…長手方向、 LTD…幅方向、 TKD…厚さ方向、 21…感光体ドラム、 29…ラインヘッド、 293…ヘッド基板、 293-h…ヘッド基板表面、 293-t…ヘッド基板裏面、 E…発光素子、 EG…発光素子グループ、 297…遮光部材、 2971…導光孔、 CL1,CL2…隙間、 L-LA1…長尺レンズアレイ、 LA1…レンズアレイ、 LA2…レンズアレイ、 BD1,BD2…境界、 SB…ガラス基板、 LS1…レンズ、 LS2…レンズ、 SP1…スペーサー、 SP2…スペーサー、 SC…光センサー、 RS…受光面
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数のレンズアレイを配設して用いた露光ヘッドおよび該露光ヘッドを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に記載のように、レンズアレイを用いた露光ヘッド(同文献のラインヘッド)が提案されている。つまり、この露光ヘッドでは、長手方向にアレイ状に配列された複数のレンズを有するレンズアレイが、発光素子基板に対向して配設される。一方、発光素子基板では、レンズアレイでのレンズ配列に対応して複数の発光素子が配設されている。そして、発光素子基板の発光素子から射出された光が、レンズアレイのレンズを透過して被露光面に収束される。こうして被露光面に形成された収束光(スポット)により、該被露光面が露光される。
【0003】
ところで、露光ヘッドは、用途に応じた範囲を露光可能であることが求められ、その結果、レンズアレイは、用途に応じた長さを備えている必要がある。例えば、画像形成装置内で感光体に潜像を形成するために露光ヘッドを用いる場合には、潜像の幅に応じた範囲を露光するために、レンズアレイは一定以上の長さを備える必要がある。こうした要求がある一方で、長尺なレンズアレイを一体的な構成で実現することは難しい。そこで、特許文献2では、比較的短尺なレンズアレイを長手方向に複数並べて用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−036937号公報
【特許文献2】特開2009−037200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただし、複数のレンズアレイを並べて用いるにあたっては、長手方向に並ぶこれらのレンズアレイを、発光素子基板に対して位置決めしつつ支持する機構が必要となる。かかる支持機構としては、例えば、長手方向に長尺なフレームを発光素子基板に配設して、この長尺フレームにより複数のレンズアレイを支持する機構が考えられる。しかしながら、この長尺フレームによる支持機構を採用した場合、発光素子基板の発光素子の発熱が問題となる場合があった。つまり、発光素子は発光に伴なって発熱するが、この熱がフレームに伝わると、フレームの長さが伸縮し、この伸縮量はフレームが長いほど大きくなる。そして、フレームの長さが大きく伸縮すると、このフレームに支持される複数のレンズアレイの位置関係が長手方向に大きく変動して、その結果、露光ヘッドによる露光範囲も大きく変動するといった露光不良が発生するおそれがあった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、複数のレンズアレイを用いた露光ヘッドおよび該露光ヘッドを備えた画像形成装置において、発光素子の発熱の影響に依らず良好な露光を実現可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる露光ヘッドは、上記目的を達成するために、第1のレンズアレイと、第1のレンズアレイに対して第1の方向に配設された第2のレンズアレイと、第1のレンズアレイのレンズに入射する光を発光する第1の発光素子および第2のレンズアレイのレンズに入射する光を発光する第2の発光素子が配設された発光素子基板と、発光素子基板に配設された第1の支持部材と、第1の支持部材の第1の方向に第1の隙間を空けて、発光素子基板に配設された第2の支持部材と、第2の支持部材の第1の方向に第2の隙間を空けて、発光素子基板に配設された第3の支持部材と、を備え、第1の支持部材は、第1のレンズアレイを支持し、第2の支持部材は、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとを第1の方向に跨いで支持し、第3の支持部材は、第2のレンズアレイを支持することを特徴としている。
【0008】
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、像担持体と、像担持体を露光する露光ヘッドと、を備え、露光ヘッドは、第1のレンズアレイと、第1のレンズアレイに対して第1の方向に配設された第2のレンズアレイと、第1のレンズアレイのレンズに入射する光を発光する第1の発光素子および第2のレンズアレイのレンズに入射する光を発光する第2の発光素子が配設された発光素子基板と、発光素子基板に配設された第1の支持部材と、第1の支持部材の第1の方向に第1の隙間を空けて、発光素子基板に配設された第2の支持部材と、第2の支持部材の第1の方向に第2の隙間を空けて、発光素子基板に配設された第3の支持部材と、を有し、第1の支持部材は、第1のレンズアレイを支持し、第2の支持部材は、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとを第1の方向に跨いで支持し、第3の支持部材は、第2のレンズアレイを支持することを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明(露光ヘッド、画像形成装置)は、発光素子基板に配設された第1の支持部材と、第1の支持部材の第1の方向に第1の隙間を空けて、発光素子基板に配設された第2の支持部材と、第2の支持部材の第1の方向に第2の隙間を空けて、発光素子基板に配設された第3の支持部材とを備え、これらの支持部材により、第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイを支持している。つまり、この発明は、長尺なフレームで複数のレンズアレイを支持するのではなく、第1の方向に隙間(第1の隙間、第2の隙間)を空けて配設された複数の支持部材により複数のレンズアレイを支持している。このようなレンズアレイ支持機構では、各支持部材の(第1の方向への)長さを短くすることができるため、発光素子からの熱による(第1の方向への)支持部材の長さの変動を小さく抑えることができる。したがって、これらの支持部材により複数のレンズアレイを支持することで、複数のレンズアレイの位置関係の(第1の方向への)変動を抑制することができる。また仮に、発光素子からの発熱が過大であるために、支持部材の(第1の方向への)長さが多少変動したとしても、各支持部材の間には隙間(第1の隙間、第2の隙間)が設けられているため、支持部材の長さの変動が複数のレンズアレイの位置関係に与える影響を緩和することができる。こうして、本発明では、発光素子の発熱の影響に依らず、露光ヘッドによる露光範囲の変動を抑えて、良好な露光を実現することが可能となっている。
【0010】
さらに、本発明では、第2の支持部材は、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとを第1の方向に跨いで支持しており、これにより次のような効果を奏することが可能となっている。つまり、本発明の露光ヘッドでは、第1の発光素子および第2の発光素子が発光素子基板に配設されており、第1の発光素子は第1のレンズアレイのレンズに入射する光を発光するとともに、第2の発光素子は第2のレンズアレイのレンズに入射する光を発光する。ところが、各発光素子の発光状態によっては、例えば、第1の発光素子が第2の発光素子に比べて頻繁に発光して、第1の発光素子近傍の温度が局所的に高くなる場合がある。このような場合、第1の発光素子近傍の熱により第1のレンズアレイが暖められて、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとで温度差が発生し、その結果、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとでレンズの光学特性に差異が発生するおそれがあった。これに対して、本発明では、第2の支持部材は、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとを第1の方向に跨いで支持しているため、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとの間での熱伝導が、この第2の支持部材を介して促進される。したがって、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとでの温度差を抑制して、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとでのレンズの光学特性を均質化することができるため、発光素子の発光状態に依らず安定した良好な露光が可能となる。
【0011】
また、第1の支持部材、第2の支持部材および第3の支持部材は、第1の発光素子および第2の発光素子から、第1の方向に直交する第2の方向の一方側に外れた位置に配設されるように構成しても良い。これにより、第1の発光素子および第2の発光素子からの光と各支持部材との干渉を抑制して、第1のレンズアレイ・第2のレンズアレイのレンズに十分な光量の光を入射させることができる。
【0012】
ところで、発光素子基板の各発光素子(第1の発光素子、第2の発光素子)の光量制御等に役立てるために、予め各発光素子の光量を検出することが考えられる。そこで、発光素子基板を光透過性基板としたうえで、次のように構成しても良い。
【0013】
つまり、受光部で受光した光を検出する光センサーを備え、光センサーは、第1の隙間あるいは第2の隙間に配設され、受光部は発光素子基板に面するように構成しても良い。このような構成では、各発光素子から発光されて光透過性基板の内部を透過してきた光を、光センサーにより検出することができる。また、支持部材間の隙間(第1の隙間、第2の隙間)に光センサーを配設しているため、露光ヘッドの第2の方向への幅を抑制して、露光ヘッドを小型化することが可能となっている。
【0014】
あるいは、第1の支持部材、第2の支持部材および第3の支持部材に対して、第1の発光素子および第2の発光素子の反対側に配設された光センサーを備え、第1の支持部材、第2の支持部材あるいは第3の支持部材は光を透過する光透過性支持部材であり、受光部は光透過性支持部材に面するように構成しても良い。このような構成では、各発光素子から発光されて光透過性基板および光透過性支持部材の内部を透過してきた光を、光センサーにより検出することができる。
【0015】
また、第1の発光素子および第2の発光素子は、第1の支持部材、第2の支持部材および第3の支持部材が配設された発光素子基板の表面とは反対側の発光素子基板の裏面に配設されているように構成しても良い。このような構成では、光透過性基板の表裏面で反射されながら該光透過製基板の内部を透過してきた光を、光センサーにより検出することができる。
【0016】
また、第1の発光素子および第2の発光素子から、第2の方向の一方側と逆の他方側に外れた位置で、第1の方向に隙間を空けて配設された第4の支持部材、第5の支持部材および第6の支持部材を備え、第4の支持部材は、第1のレンズアレイを支持し、第5の支持部材は、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとを第1の方向に跨いで支持し、第6の支持部材は、第2のレンズアレイを支持するように構成しても良い。このような構成では、第2の方向の両側から第1のレンズアレイおよび第2のレンズアレイを支持するため、これらのレンズアレイをしっかりと支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図。
【図2】図1の画像形成装置が備える電気的構成を示すブロック図。
【図3】第1実施形態のラインヘッドの概略を示す斜視図。
【図4】厚さ方向からヘッド基板を平面視した部分平面図。
【図5】第1実施形態でのラインヘッドのA−A線における部分断面図。
【図6】第1実施形態のヘッド基板等の各部材の関係を示す部分平面図。
【図7】第2実施形態のラインヘッドの概略を示す斜視図。
【図8】第2実施形態でのラインヘッドのA−A線における部分断面図。
【図9】図8中の一点鎖線円内の拡大図。
【図10】第2実施形態での光センサーの位置を示す部分平面図。
【図11】第3実施形態のラインヘッドの概略を示す斜視図。
【図12】第3実施形態でのラインヘッドのA−A線における部分断面図。
【図13】図12中の一点鎖線円内の拡大図。
【図14】第3実施形態での光センサーの位置を示す部分平面図。
【図15】レンズアレイの別の支持態様を示す部分平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
A−1.第1実施形態
図1は本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図である。また、図2は図1の画像形成装置が備える電気的構成を示すブロック図である。この装置は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。なお図1は、カラーモード実行時に対応する図である。この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するメインコントローラーMCに与えられると、このメインコントローラーMCはエンジンコントローラーECに制御信号などを与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。このとき、メインコントローラーMCは、ヘッドコントローラーHCから水平リクエスト信号HREQを受け取る毎に、主走査方向MDに1ライン分のビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。また、このヘッドコントローラーHCは、メインコントローラーMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラーECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメータ値とに基づき各色のラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部ENGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0019】
画像形成装置が有するハウジング本体3内には、電源回路基板、メインコントローラーMC、エンジンコントローラーECおよびヘッドコントローラーHCを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット7、転写ベルトユニット8および給紙ユニット11もハウジング本体3内に配設されている。また、図1においてハウジング本体3内右側には、2次転写ユニット12、定着ユニット13、シート案内部材15が配設されている。なお、給紙ユニット11は、装置本体1に対して着脱自在に構成されている。そして、該給紙ユニット11および転写ベルトユニット8については、それぞれ取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0020】
画像形成ユニット7は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーションY(イエロー用)、M(マゼンダ用)、C(シアン用)、K(ブラック用)を備えている。また、各画像形成ステーションY,M,C,Kは、主走査方向MDに所定長さの表面を有する円筒形の感光体ドラム21を設けている。そして、各画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれは、対応する色のトナー像を、感光体ドラム21の表面に形成する。感光体ドラム21は、軸方向が主走査方向MDに平行もしくは略平行となるように配置されている。また、各感光体ドラム21はそれぞれ専用の駆動モーターに接続され図中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより感光体ドラム21の表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに搬送されることとなる。また、感光体ドラム21の周囲には、回転方向に沿って帯電部23、ラインヘッド29、現像部25および感光体クリーナー27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作及びトナー現像動作が実行される。したがって、カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーションY,M,C,Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8が有する転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、モノクロモード実行時は、画像形成ステーションKで形成されたトナー像のみを用いてモノクロ画像を形成する。なお、図1において、画像形成ユニット7の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号をつけて、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
【0021】
帯電部23は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラーを備えている。この帯電ローラーは帯電位置で感光体ドラム21の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム21の回転動作に伴って感光体ドラム21に対して従動方向に周速で従動回転する。また、この帯電ローラーは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電部23と感光体ドラム21が当接する帯電位置で感光体ドラム21の表面を帯電させる。
【0022】
ラインヘッド29は感光体ドラム21に対して離間して配置されており、ラインヘッド29の長手方向は主走査方向MDに平行もしくは略平行であるとともに、ラインヘッド29の幅方向は副走査方向SDに平行もしくは略平行である。このラインヘッド29は複数の発光素子を備えており、各発光素子はヘッドコントローラーHCからのビデオデータVDに応じて発光する。そして、帯電した感光体ドラム21表面に発光素子からの光が照射されることで、感光体ドラム21表面に静電潜像が形成される。
【0023】
現像部25は、その表面にトナーを担持する現像ローラー251を有する。そして、現像ローラー251と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラー251に印加される現像バイアスによって、現像ローラー251と感光体ドラム21とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラー251から感光体ドラム21に移動してラインヘッド29により形成された静電潜像が顕在化される。
【0024】
このように上記現像位置において顕在化されたトナー像は、感光体ドラム21の回転方向D21に搬送された後、転写ベルト81と各感光体ドラム21が当接する1次転写位置TR1において転写ベルト81に1次転写される。
【0025】
また、この実施形態では、感光体ドラム21の回転方向D21の1次転写位置TR1の下流側で且つ帯電部23の上流側に、感光体ドラム21の表面に当接して感光体クリーナー27が設けられている。この感光体クリーナー27は、感光体ドラムの表面に当接することで1次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
【0026】
転写ベルトユニット8は、駆動ローラー82と、図1において駆動ローラー82の左側に配設される従動ローラー83(ブレード対向ローラー)と、これらのローラーに張架され図示矢印D81の方向(搬送方向)へ循環駆動される転写ベルト81とを備えている。また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、感光体カートリッジ装着時において各画像形成ステーションY,M,C,Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の1次転写ローラー85Y,85M,85C,85Kを備えている。これらの1次転写ローラー85は、それぞれ1次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続される。そして、カラーモード実行時は、図1に示すように全ての1次転写ローラー85Y,85M,85C,85Kを画像形成ステーションY,M,C,K側に位置決めすることで、転写ベルト81を画像形成ステーションY,M,C,Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させて、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に1次転写位置TR1を形成する。そして、適当なタイミングで上記1次転写バイアス発生部から1次転写ローラー85に1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、それぞれに対応する1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してカラー画像を形成する。
【0027】
一方、モノクロモード実行時は、4個の1次転写ローラー85のうち、カラー1次転写ローラー85Y,85M,85Cをそれぞれが対向する画像形成ステーションY,M,Cから離間させるとともにモノクロ1次転写ローラー85Kのみを画像形成ステーションKに当接させることで、モノクロ画像形成ステーションKのみを転写ベルト81に当接させる。その結果、モノクロ1次転写ローラー85Kと画像形成ステーションKとの間にのみ1次転写位置TR1が形成される。そして、適当なタイミングで前記1次転写バイアス発生部からモノクロ1次転写ローラー85Kに1次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、1次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写してモノクロ画像を形成する。
【0028】
さらに、転写ベルトユニット8は、モノクロ1次転写ローラー85Kの下流側で且つ駆動ローラー82の上流側に配設された下流ガイドローラー86を備える。また、この下流ガイドローラー86は、モノクロ1次転写ローラー85Kが画像形成ステーションKの感光体ドラム21に当接して形成する1次転写位置TR1での1次転写ローラー85Kと感光体ドラム21との共通内接線上において、転写ベルト81に当接するように構成されている。
【0029】
駆動ローラー82は、転写ベルト81を図示矢印D81の方向に循環駆動するとともに、2次転写ローラー121のバックアップローラーを兼ねている。駆動ローラー82の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する2次転写バイアス発生部から2次転写ローラー121を介して供給される2次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラー82に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、駆動ローラー82と2次転写ローラー121との当接部分(2次転写位置TR2)へのシートが進入する際の衝撃が転写ベルト81に伝達しにくく、画質の劣化を防止することができる。
【0030】
給紙ユニット11は、シートを積層保持可能である給紙カセット77と、給紙カセット77からシートを一枚ずつ給紙するピックアップローラー79とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラー79により給紙部から給紙されたシートは、レジストローラー対80において給紙タイミングが調整された後、シート案内部材15に沿って2次転写位置TR2に給紙される。
【0031】
2次転写ローラー121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、2次転写ローラー駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット13は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラー131と、この加熱ローラー131を押圧付勢する加圧部132とを有している。そして、その表面に画像が2次転写されたシートは、シート案内部材15により、加熱ローラー131と加圧部132の加圧ベルト1323とで形成するニップ部に案内され、該ニップ部において所定の温度で画像が熱定着される。加圧部132は、2つのローラー1321,1322と、これらに張架される加圧ベルト1323とで構成されている。そして、加圧ベルト1323の表面のうち、2つのローラー1321,1322により張られたベルト張面を加熱ローラー131の周面に押し付けることで、加熱ローラー131と加圧ベルト1323とで形成するニップ部が広くとれるように構成されている。また、こうして定着処理を受けたシートはハウジング本体3の上面部に設けられた排紙トレイ4に搬送される。
【0032】
また、この装置では、ブレード対向ローラー83に対向してクリーナー部71が配設されている。クリーナー部71は、クリーナーブレード711と廃トナーボックス713とを有する。クリーナーブレード711は、その先端部を転写ベルト81を介してブレード対向ローラー83に当接することで、2次転写後に転写ベルトに残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナーボックス713に回収される。
【0033】
図3は、第1実施形態のラインヘッドの概略を示す斜視図である。同図では、ラインヘッド29の厚さ方向TKDの構成を理解しやすくするために、ラインヘッド29の長手方向LGDの端部(図3の左下端部)が断面で示されている。ここで、厚さ方向TKDは、長手方向LGDおよび幅方向LTDに垂直もしくは略垂直な方向であり、後述する発光素子Eが光を射出する側(つまり、ラインヘッド29から感光体ドラム21に向う側)を向いた方向とする。ラインヘッド29は、ヘッド基板293、遮光部材297、第1レンズアレイLA1および第2レンズアレイLA2をこの順番で厚さ方向TKDに配置するとともに、ヘッド基板293の裏面から(厳密には、ヘッド基板293に設けられた封止部材294の裏面から)剛性部材299で、これらの部材を支持した概略構成を備えている。そして、ヘッド基板293の発光素子Eからの光が、遮光部材297の導光孔2971を通過して、第1・第2レンズアレイLA1、LA2のレンズLS1、LS2により結像される。次に、各部材の詳細な構成について、図3、図4および図5を用いつつ説明する。なお、実施形態の説明において、厚さ方向TKDの下流側(図3の上側)を「(厚さ方向TKDの)一方側」と称し、厚さ方向TKDの上流側(図3の下側)を「(厚さ方向TKDの)他方側」と称する。また、基板あるいは平板の一方側の面を表面と称し、基板あるいは平板の他方側の面を裏面と称することとする。
【0034】
図4は、厚さ方向TKDからヘッド基板293を平面視した部分平面図であり、厚さ方向TKDの一方側(図3の上側)からヘッド基板293の裏面293−tを透視した場合に相当する。図5は、第1実施形態でのラインヘッドのA−A線における部分断面図であり、該断面を長手方向LGD(主走査方向MD)から見た場合に相当する。このA−A線断面は、長手方向LGDに距離Dgを空けるとともに幅方向LTDに距離Dtを空けて、一列に並ぶ3個の発光素子グループEG(あるいは、3枚のレンズLS1等)の各重心(あるいは、各レンズ中心)を通る。また、図4、図5に示す方向Dlscは、A−A線に平行な方向である。さらに、図4では、ヘッド基板293に形成された発光素子グループEG、第1レンズアレイLA1に形成された第1レンズLS1および第2レンズアレイLA2に形成された第2レンズLS2の位置関係を示すために、第1レンズLS1および第2レンズLS2がそれぞれ一点鎖線で併記されている。ちなみに、第1レンズLS1および第2レンズLS2についての図中記載は、これらの位置関係を示すためのものであり、第1レンズLS1および第2レンズLS2がヘッド基板裏面293−t(図5)に形成されていることを示すものではない。また、図5において、光透過性(つまり透明)である部材には、点の集合からなるハッチングが施されている。
【0035】
ヘッド基板293は光を透過するガラス基板(光透過性基板)で構成されており、ヘッド基板裏面293−tでは、ボトムエミッション型の有機EL(Electro-Luminescence)素子である発光素子Eが複数形成されるとともに、封止部材294により封止されている(図3、図5)。これら複数の発光素子Eは、互いに同一の発光スペクトルを有しており、光ビームを感光体ドラム21表面へ向けて射出する。また、図4に示すように、ヘッド基板裏面293−tに形成された複数の発光素子Eの配置態様は、グループ構造を有している。つまり、15個の発光素子Eが長手方向LGDに2行千鳥で配置されて1個の発光素子グループEGが構成されており、さらに複数の発光素子グループEGが長手方向LGDに3行千鳥で離散的に配置されている。
【0036】
より詳しくは、この配置態様は次のように説明することができる。つまり、各発光素子グループEG内では、15個の発光素子Eが長手方向LGDの互いに異なる位置に配置されており、しかも長手方向LGDにおける位置が隣り合う2つの発光素子E、Eの長手方向LGDへの距離は素子間距離Pelとなっている(言い換えれば、各発光素子グループEG内では、15個の発光素子EがピッチPelで長手方向LGDに配置されている)。そして、素子間距離Pelよりも長いグループ間距離Pegを空けて複数の発光素子グループEGが長手方向LGDに沿って離散的に並んで、1行の発光素子グループ行GRa等が構成されている。さらに、3行の発光素子グループ行GRa、GRb、GRcが距離Dtだけ空けて幅方向LTDの異なる位置に離散的に配置されており、しかも、発光素子グループ行GRa、GRb、GRcのそれぞれは、長手方向LGDに距離Dgだけ相互にシフトされている。こうして、3個の発光素子グループEGが、長手方向LGDに距離Dgを空けるとともに幅方向LTDに距離Dtを空けて、方向Dlscに一列に並ぶ。
【0037】
ここで、素子間距離Pelは、対象となる2個の発光素子Eの幾何重心間の長手方向LGDにおける距離として求めることができる。また、グループ間距離Pegは、対象となる2個の発光素子グループEGのうち、長手方向LGDの一方側の発光素子グループEGの他方側端部にある発光素子Eの幾何重心と、長手方向LGDの他方側の発光素子グループEGの一方側端部にある発光素子Eの幾何重心との長手方向LGDにおける距離として求めることができる。また、距離Dgは、長手方向LGDにおける位置が隣り合う2個の発光素子グループEGそれぞれの幾何重心間の長手方向LGDにおける距離として求めることができる。また、距離Dtは、幅方向LGDにおける位置が隣り合う2個の発光素子グループEGそれぞれの幾何重心間の幅方向LTDにおける距離として求めることができる。
【0038】
また、特開2004−082330号公報等に記載の技術を応用して、この実施形態は、各発光素子Eの光量制御に役立てるために、予め各発光素子Eの光量を検出する構成を備えている。具体的には、ヘッド基板裏面293−tの幅方向LTDの両側のそれぞれにおいて、複数の光センサーSCが所定間隔で長手方向LGDに一列に並べられている。こうして、光センサーSCの列が、複数の発光素子グループEGを挟んで幅方向LTDの両側に配置される。そして、各光センサーSCは発光素子Eからの光量を検出した結果をヘッドコントローラーHCに出力し、ヘッドコントローラーHCは受信した光量信号に基づいて以後の発光素子Eの光量を制御する。
【0039】
このようにヘッド基板293の裏面293−tには、発光素子グループEGおよび光センサーSCが配置されている。一方、ヘッド基板293の表面293−hには、遮光部材297が配置されている。遮光部材297には厚さ方向TKDに貫通する導光孔2971が形成されており、この導光孔2971は厚さ方向TKDからの平面視において円形状を有しており、その内壁には黒色メッキが施されている。この導光孔2971は、発光素子グループEG毎に1個づつ形成されており、すなわち、1個の発光素子グループEGに対して1個の導光孔2971が開口している。こうして、遮光部材297は、導光孔2971を発光素子グループEGに開口させた状態でヘッド基板表面293−hに当接して固定されている。
【0040】
このような遮光部材297を設ける目的は、いわゆる迷光がレンズLS1、LS2に入射するのを抑制するためである。つまり、各発光素子グループEGには、レンズ対LS1、LS2の対からなる結像光学系がそれぞれ専用に設けられている。このような構成では、光ビームは、それ自身の射出源である発光素子グループEGに設けられた結像光学系LS1、LS2にのみ入射して結像されることが望ましい。しかしながら、光ビームの一部には、その射出源である発光素子グループEGに設けられた結像光学系LS1、LS2に向わずに迷光となってしまうものもある。そして、このような迷光が、それ自身の射出源でない発光素子グループEGに設けられた結像光学系LS1、LS2に入射してしまうと、いわゆるゴーストが発生してしまうおそれがある。これに対して、この実施形態では、発光素子グループEGと結像光学系LS1、LS2との間に遮光部材297が設けられている。この遮光部材297には、内壁に黒色メッキが施された導光孔2971が発光素子グループEGに開口して設けられている。したがって、迷光の多くは、導光孔2971の内壁で吸収されることとなる。その結果、先ほどのゴーストを抑制して、良好な露光動作の実現が図られる。
【0041】
また、遮光部材297の厚さ方向TKDの一方側では、第1レンズアレイLA1が該遮光部材297と間隔を空けて支持されている。この第1レンズアレイLA1は、ヘッド基板293の表面293−hに設けられた金属製の第1スペーサーSP1により支持されている。この第1レンズアレイLA1の支持態様について、図3〜図5および図6を用いて説明する。
【0042】
図6は、第1実施形態のヘッド基板、第1スペーサーおよび第1レンズアレイの関係を示す部分平面図であり、厚さ方向TKDの一方側から見た場合に相当する。図3、図6に示すように、ヘッド基板表面293−hでは、複数の第1スペーサーSP1が、長手方向LGDに隙間CL1を空けて一列に並んでいる。なお、各隙間CL1の長手方向LGDへの長さは互いに等しい。また、この第1スペーサーSP1の列は、幅方向LTDの両側に設けられている。こうして、厚さ方向TKDからの平面視において、第1スペーサーSP1の列が、複数の発光素子グループEG(が配置されている領域)を挟んで2列配置される(換言すれば、遮光部材297を挟んで2列配置されている)。なお、ヘッド基板293と第1スペーサーSP1とは接着剤等による方法で固定されている。
【0043】
こうして2列に配置された第1スペーサSP1には、第1レンズアレイLA1が幅方向LTDに架設されており、これにより、第1レンズアレイLA1がヘッド基板293に対して位置決めされた状態で対向する。この第1レンズアレイLA1は、長手方向LGDの両端が斜めに(方向Dlscと平行に)カットされた菱形形状のガラス基板SBの裏面に、光硬化性樹脂で形成された複数の第1レンズLS1をアレイ配置した構成を有している。また、これら複数の第1レンズLS1は、対向する発光素子グループEGの配置に対応して3行千鳥で配置されている(図4)。
【0044】
この実施形態では、複数の第1レンズアレイLA1が長手方向LGDに一列に並んでいる。そして、これら第1レンズアレイLA1を、長手方向LGDに隙間CL1を空けて一列に並ぶ第1スペーサーSP1が支持している。この際、1個の第1スペーサーSP1が、境界BD1を挟んで隣接する2枚の第1レンズアレイLA1を長手方向LGDに跨いで支持している。こうして長手方向LGDに並ぶ複数の第1レンズアレイLA1から1つの長尺レンズアレイL−LA1が構成される。なお、第1スペーサーSP1と第1レンズアレイLA1とは接着剤等による方法で固定されている。
【0045】
さらに、この第1レンズアレイLA1の厚さ方向TKDの一方側では、第2レンズアレイLA2が該第1レンズアレイLA1と間隔を空けて支持されている。この第2レンズアレイLA1は、第1レンズアレイLA1のガラス基板SBの表面に設けられた金属製の第2スペーサーSP2により支持されている。図3に示すように、第1レンズアレイLA1の表面では、複数の第2スペーサーSP2が、長手方向LGDに隙間CL2を空けて一列に並んでいる。なお、各隙間CL2の長手方向LGDへの長さは互いに等しい。また、この第2スペーサーSP2の列は、幅方向LTDの両側に設けられている。こうして、厚さ方向TKDからの平面視において、第2スペーサーSP1の列が、複数の発光素子グループEG(が配置されている領域)を挟んで2列配置される(換言すれば、遮光部材297を挟んで2列配置されている)。なお、第1レンズアレイLA1と第2スペーサーSP2とは接着剤等による方法で固定されている。
【0046】
こうして2列に配置された第2スペーサSP2の列には、第2レンズアレイLA2が幅方向LTDに架設されており、これにより、第2レンズアレイLA2が第1レンズアレイLA1に対して位置決めされた状態で対向する。この第2レンズアレイLA2は、長手方向LGDの両端が斜めに(方向Dlscと平行に)カットされた菱形形状のガラス基板SBの裏面SB−tに、光硬化性樹脂で形成された複数の第2レンズLS2をアレイ配置した構成を有している。また、これら複数の第2レンズLS2は、対向する第1レンズLS1の配置に対応して3行千鳥で配置されている(図4)。
【0047】
そして、この実施形態では、複数の第2レンズアレイLA2が長手方向LGDに一列に並んでおり、これら第2レンズアレイLA2を、長手方向LGDに隙間CL2を空けて一列に並ぶ第2スペーサーSP2が支持している。この際、1個の第2スペーサーSP2が、境界BD2を挟んで隣接する2枚の第2レンズアレイLA2を長手方向LGDに跨いで支持している。こうして長手方向LGDに並ぶ第2レンズアレイLA2から1つの長尺レンズアレイが構成される。なお、第2スペーサーSP2と第2レンズアレイLA1とは接着剤等による方法で固定されている。
【0048】
こうして、第1レンズアレイLA1のレンズLS1と第2レンズアレイLA2のレンズLS2が厚さ方向TKDに並んで、1つの結像光学系を構成する。この結像光学系は、反転した縮小像を形成するものであり、その倍率は負であるとともに1未満の絶対値を有している。そして、特開2008−036937号公報の図11等に記載のように、感光体ドラム21表面の副走査方向SDへの移動に応じて各発光素子Eの発光を制御することで、主走査方向MDに伸びるライン潜像を形成することができる。
【0049】
以上のように第1実施形態にかかるラインヘッド29は、長尺なフレームで複数のレンズアレイLA1を支持するのではなく、長手方向LGDに隙間CL1を空けて配設された複数のスペーサーSP1により複数のレンズアレイLA1を支持している。このようなレンズアレイ支持機構では、各スペーサーSP1の(長手方向LGDへの)長さを短くすることができるため、発光素子Eからの熱による(長手方向LGDへの)スペーサーSP1の長さの変動を小さく抑えることができる。したがって、これらのスペーサーSP1により複数のレンズアレイLA1を支持することで、複数のレンズアレイLA1の位置関係の(長手方向LGDへの)変動を抑制することができる。また仮に、発光素子Eからの発熱が過大であるために、スペーサーSP1の(長手方向LGDへの)長さが多少変動したとしても、各スペーサーSP1の間には隙間CL1が設けられているため、スペーサーSP1の長さの変動が複数のレンズアレイLA1の位置関係に与える影響を緩和することができる。こうして、第1実施形態では、発光素子Eの発熱の影響に依らず、ラインヘッド29による露光範囲の変動を抑えて、良好な露光を実現することが可能となっている。
【0050】
さらに、第1実施形態のラインヘッド29では、1個の第1スペーサーSP1が、境界BD1を挟んで隣接する2枚の第1レンズアレイLA1を長手方向LGDに跨いで支持しており、これにより次のような効果を奏することが可能となっている。つまり、本実施形態のラインヘッド29では、複数の発光素子Eがヘッド基板293に配設されている。ところが、各発光素子Eの発光状態によっては、例えば、一のレンズアレイLA1に対向する発光素子Eが、他のレンズアレイLA1に対向する発光素子Eに比べて頻繁に発光して、一のレンズアレイLA1に対向する発光素子E近傍の温度が局所的に高くなる場合がある。このような場合、一のレンズアレイLA1に対向する発光素子E近傍の熱により該一のレンズアレイLA1が温められて、一のレンズアレイLA1と他のレンズアレイLA1とで温度差が発生し、その結果、一のレンズアレイLA1と他のレンズアレイLA1とでレンズLS1の光学特性に差異が発生するおそれがあった。これに対して、第1実施形態では、スペーサーSP1は、境界BD1を挟んで隣接する一のレンズアレイLA1と他のレンズアレイLA1とを長手方向LGDに跨いで支持しているため、一のレンズアレイLA1と他のレンズアレイLA1との間での熱伝導が、スペーサーSP1を介して促進される。したがって、一のレンズアレイLA1と他のレンズアレイLA1とでの温度差を抑制して、一のレンズアレイLA1と他のレンズアレイLA1とでのレンズLS1の光学特性を均質化することができるため、発光素子Eの発光状態に依らず安定した良好な露光が可能となる。
【0051】
また、第1実施形態では、幅方向LTDの両側のそれぞれに、長手方向LGDに一列に隙間CL1を空けて並ぶスペーサーSP1を配置しており、これらのスペーサーSP1によって幅方向LTDの両側から複数のレンズアレイLA1を支持している。したがって、これらのレンズアレイLA1をしっかりと支持することが可能となっている。
【0052】
また、第1実施形態では、スペーサーSP1は、発光素子E(が設けられた領域)から、幅方向LTDの一方側(あるいは他方側)に外れた位置に配設されている。したがって、各発光素子Eからの光とスペーサーSP1との干渉を抑制して、レンズアレイLA1のレンズLS1に十分な光量の光を入射させることが可能となっている。
【0053】
A−2.第2実施形態
第1実施形態では、光センサーSCをヘッド基板293の裏面293−tに配置していた。しかしながら、光センサーSCを配置する位置はこれに限られず、第2実施形態に示す位置に光センサーSCを配置することもできる。なお、第2実施形態は、光センサーSCの位置以外の部分で第1実施形態と共通する構成を備えるものであり、当該共通する構成を備えることで第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0054】
図7は、第2実施形態のラインヘッドの概略を示す斜視図である。図8は、第2実施形態でのラインヘッドのA−A線における部分断面図であり、該断面を長手方向LGD(主走査方向MD)から見た場合に相当する。図8において、光透過性(つまり透明)である部材(ヘッド基板293等)には、点の集合からなるハッチングが施されている。図9は、図8中の一点鎖線円内の拡大図である。図10は、第2実施形態での光センサーの位置を示す部分平面図であり、厚さ方向TKDの一方側から見た場合に相当する。以下では、第1実施形態との差異点について主に説明することとし、第1実施形態との共通部分については相当符号を付して説明を適宜省略する。
【0055】
第2実施形態では、光センサーSCは、長手方向LGDに隣接する第1スペーサーSP1の各隙間CL1に配置されており、光センサーSCの受光面RSはヘッド基板293の表面293−hに面している。そして、光センサーSCは、ヘッド基板裏面293−tに形成された発光素子Eからの光をこの受光面RSで検出する。この検出動作の詳細が図9の拡大図に示されている。同図では、発光素子EからレンズLS1に向かう光(斜線)と、発光素子Eから発光した後にヘッド基板表面293−hで反射されてヘッド基板内部を進行する光(ジグザグ線)とが併記されており、本実施形態の光センサーSCは後者の光を検出する。つまり、ヘッド基板293の表面293−hと裏面293−tの間で反射を繰り返して、光センサーSCの受光面RSに到達した光を、光センサーSCは検出する。なお、受光面RSとヘッド基板表面293−hとは透明接着剤により接着されており、これらの界面での光の反射損失が軽減されている。
【0056】
このように第2実施形態では、スペーサーSP1間の隙間CL1に光センサーSCを配設しているため、ラインヘッド29の幅方向LTDへの幅を抑制して、ラインヘッド29を小型化することが可能となっている。
【0057】
A−3.第3実施形態
第2実施形態では、光センサーSCをスペーサーSP1間の隙間CL1に配設して、ラインヘッド29の小型化を図っていた。ただし、このような構成では、光センサーSCの長さを隙間CL1の長さよりも短くする必要があるため、受光面RSの面積が制限される。そこで、第3実施形態に示すようにスペーサーSP1を配置しても良い。なお、第3実施形態は、光センサーSCの配置態様以外の部分で第1実施形態と共通する構成を備えるものであり、当該共通する構成を備えることで第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0058】
図11は、第3実施形態のラインヘッドの概略を示す斜視図である。図12は、第3実施形態でのラインヘッドのA−A線における部分断面図であり、該断面を長手方向LGD(主走査方向MD)から見た場合に相当する。図12において、光透過性(つまり透明)である部材(ヘッド基板293、第1スペーサーSP1等)には、点の集合からなるハッチングが施されている。図13は、図12中の一点鎖線円内の拡大図である。図14は、第3実施形態での光センサーの位置を示す部分平面図であり、厚さ方向TKDの一方側から見た場合に相当する。以下では、第1実施形態との差異点について主に説明することとし、第1実施形態との共通部分については相当符号を付して説明を適宜省略する。
【0059】
第3実施形態では、光センサーSCは、第1スペーサーSP1に対して発光素子グループEG(が設けられた領域)の反対側に配置されている。しかも、第1スペーサーSP1は、ガラスや樹脂等で形成された光透過性スペーサーSP1であり、光センサーSCの受光面RSが第1スペーサーSP1に面している。より詳しくは、幅方向LTDにおける第1スペーサーSP1の二側面のうち、発光素子グループEG(が設けられた領域)の反対側の側面に受光面RSは面している。そして、光センサーSCは、ヘッド基板裏面293−tに形成された発光素子Eからの光をこの受光面RSで検出する。この検出動作の詳細が図13の拡大図に示されている。同図では、発光素子EからレンズLS1に向かう光(斜線)と、発光素子Eから発光した後にヘッド基板表面293−hで反射されてヘッド基板内部を進行する光(ジグザグ線)とが併記されており、本実施形態の光センサーSCは後者の光を検出する。つまり、ヘッド基板293の表面293−hと裏面293−tの間で反射を繰り返して、さらに第1スペーサーSP1を透過した後に、光センサーSCの受光面RSに到達した光を、光センサーSCは検出する。なお、ヘッド基板表面293−hと第1スペーサーSP1とが透明接着剤により接着されるとともに、第1スペーサーSP1と受光面RSとが透明接着剤により接着されており、それぞれの界面での光の反射損失が軽減されている。
【0060】
このように第3実施形態では、スペーサーSP1の側面に光センサーSCを配置しているため、光センサーSCの受光面RSの面積を、スペーサーSP1間の隙間CL1に依らず十分大きくとることができる。したがって、光量検出を高精度に実行することが可能となっている。また、別の見方をすれば、第3実施形態による構成では、スペーサーSP1間の隙間CL1に光センサーSCを配設しなくてすむため、スペーサーSP1の長さを自在に変更可能である。したがって、ラインヘッド29に比較的強い強度が求められるような場合(例えば、振動源の近くでラインヘッド29が用いられるような場合)には、スペーサーSP1を長くしてラインヘッド29の強度向上を図ることも可能となっている。
【0061】
B.その他
以上のように、上記実施形態では、長手方向LGDが本発明の「第1の方向」に相当し、幅方向LTDが本発明の「第2の方向」に相当する。また、感光体ドラム21が本発明の「像担持体」に相当し、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当し、ヘッド基板293が本発明の「発光素子基板」に相当する。また、長手方向LGDに一列に並ぶ3つの第1スペーサーSP1が本発明の「第1の支持部材」「第2の支持部材」「第3の支持部材」に相当し、これら3つの第1スペーサーSP1の間の隙間CL1が本発明の「第1の隙間」「第2の隙間」に相当し、これら3つの第1スペーサーSP1により支持されて境界BD1を挟んで隣接する2枚の第1レンズアレイLA1が本発明の「第1のレンズアレイ」「第2のレンズアレイ」に相当し、これら2枚の第1レンズアレイLA1それぞれに対向する各発光素子Eが本発明の「第1の発光素子」「第2の発光素子」に相当する。また、受光面RSが本発明の「受光部」に相当する。
【0062】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、図6に示すように、上記実施形態では、レンズアレイLA1の幅方向LTDの一端は、長手方向LGDに並ぶ2個のスペーサーSP1に支持されている。しかしながら、レンズアレイLA1の幅方向LTDの一端を支持するスペーサーSP1の個数はこれに限られず、例えば、図15に示すように、レンズアレイLA1の幅方向LTDの一端を、長手方向LGDに並ぶ3個のスペーサーSP1に支持するように構成しても良い。
【0063】
図15は、レンズアレイの別の支持態様を示す部分平面図であり、厚さ方向TKDの一方側から見た場合に相当する。図15に示すラインヘッド29においても、長尺なフレームで複数のレンズアレイLA1を支持するのではなく、長手方向LGDに隙間CL1を空けて配設された複数のスペーサーSP1により複数のレンズアレイLA1を支持している。したがって、第1実施形態と同様に、ラインヘッド29による露光範囲の変動を抑えて、良好な露光を実現することが可能となっている。さらに、図15に示すラインヘッドにおいても、1個の第1スペーサーSP1が、境界BD1を挟んで隣接する2枚の第1レンズアレイLA1を長手方向LGDに跨いで支持している。したがって、第1実施形態と同様に、発光素子Eの発光状態に依らず安定した良好な露光が可能となっている。
【0064】
また、上記実施形態では、長手方向LGDに一列に並ぶ第1スペーサーSP1の各隙間CL1は互いに等しかったが、これらの隙間CL1を互いに異ならせても良い。
【0065】
また、各第1スペーサーSP1の形状やサイズ等の構成も適宜変更可能であり、全第1スペーサーSP1の構成を同一に構成しても良いし、あるいは、第1スペーサー毎にSP1の形状・サイズを異ならせても良い。また、第2スペーサーSP2についても同様の変更が可能である。
【0066】
また、上記実施形態では、長手方向LGDに一列に並ぶ第2スペーサーSP2により第2レンズアレイLA2を支持していた。しかしながら、第2レンズアレイLA2の支持態様はこれに限られない。つまり、第1レンズアレイLA1を支持する部材は、ヘッド基板293に直接配置されるため、発光素子Eの発熱の影響を受けやすいが、第2レンズアレイLA2を支持する部材はそうではない。したがって、第2レンズアレイLA2については、長手方向LGDに長尺なフレームにより支持することもできる。
【0067】
また、上記実施形態の結像光学系は、反転した縮小像を形成するものであり、その倍率は負であるとともに1未満の絶対値を有していたが、結像光学系の倍率はこれに限られず、正であっても良く、1以上の絶対値を有していても良い。
【0068】
また、上記実施形態では、各レンズアレイLA1、LA2において3行千鳥でレンズが並んでいたが、レンズの配置態様はこれに限られない。
【0069】
また、上記実施形態では、レンズアレイLA1、LA2の裏面にレンズLS1、LS2が形成されていた。しかしながら、例えば、レンズアレイLA1、LA2の表面にレンズLS1、LS2が形成されても良い。
【0070】
また、上記実施形態では、レンズアレイLA1、LA2ガラス製の光透過性基板SBに樹脂製のレンズLS1、LS2を形成したものであった。しかしながら、レンズアレイLA1、LA2を1つの材料で一体的に構成することもできる。
【0071】
また、レンズアレイLA1、LA2の形状や大きさについても種々の変更が可能である。
【0072】
また、上記第1実施形態では、複数の発光素子グループEGは3行千鳥で配置されていたが、複数の発光素子グループEGの配置態様はこれに限られない。
【0073】
また、上記実施形態では、15個の発光素子Eから発光素子グループEGが構成されている。しかしながら、発光素子グループEGを構成する発光素子Eの個数はこれに限られない。
【0074】
また、上記実施形態では、発光素子グループEG内において、複数の発光素子Eが2行千鳥で配置されていたが、発光素子グループEG内での複数の発光素子Eの配置態様はこれに限られない。
【0075】
また、上記実施形態では、発光素子Eとしてボトムエミッション型の有機EL素子が用いられている。しかしながら、トップエミッション型の有機EL素子を発光素子Eとして用いても良く、あるいは有機EL素子以外のLED(Light Emitting Diode)等を発光素子Eとして用いても良い。
【0076】
また、光センサーSCの配設態様も上記以外に種々の変更が可能であり、また、光センサーSCを備えないように構成しても良い。
【符号の説明】
【0077】
LGD…長手方向、 LTD…幅方向、 TKD…厚さ方向、 21…感光体ドラム、 29…ラインヘッド、 293…ヘッド基板、 293-h…ヘッド基板表面、 293-t…ヘッド基板裏面、 E…発光素子、 EG…発光素子グループ、 297…遮光部材、 2971…導光孔、 CL1,CL2…隙間、 L-LA1…長尺レンズアレイ、 LA1…レンズアレイ、 LA2…レンズアレイ、 BD1,BD2…境界、 SB…ガラス基板、 LS1…レンズ、 LS2…レンズ、 SP1…スペーサー、 SP2…スペーサー、 SC…光センサー、 RS…受光面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレンズアレイと、
前記第1のレンズアレイに対して第1の方向に配設された第2のレンズアレイと、
前記第1のレンズアレイのレンズに入射する光を発光する第1の発光素子および前記第2のレンズアレイのレンズに入射する光を発光する第2の発光素子が配設された発光素子基板と、
前記発光素子基板に配設された第1の支持部材と、
前記第1の支持部材の前記第1の方向に第1の隙間を空けて、前記発光素子基板に配設された第2の支持部材と、
前記第2の支持部材の前記第1の方向に第2の隙間を空けて、前記発光素子基板に配設された第3の支持部材と、
を備え、
前記第1の支持部材は、前記第1のレンズアレイを支持し、
前記第2の支持部材は、前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとを前記第1の方向に跨いで支持し、
前記第3の支持部材は、前記第2のレンズアレイを支持することを特徴とする露光ヘッド。
【請求項2】
前記第1の支持部材、前記第2の支持部材および前記第3の支持部材は、前記第1の発光素子および前記第2の発光素子から、前記第1の方向に直交する第2の方向の一方側に外れた位置に配設される請求項1に記載の露光ヘッド。
【請求項3】
前記発光素子基板は、光透過性基板である請求項2に記載の露光ヘッド。
【請求項4】
受光部で受光した光を検出する光センサーを備え、
前記光センサーは、前記第1の隙間あるいは前記第2の隙間に配設され、
前記受光部は前記発光素子基板に面する請求項3に記載の露光ヘッド。
【請求項5】
前記第1の支持部材、前記第2の支持部材および前記第3の支持部材に対して、前記第1の発光素子および前記第2の発光素子の反対側に配設された光センサーを備え、
前記第1の支持部材、前記第2の支持部材あるいは前記第3の支持部材は光を透過する光透過性支持部材であり、
前記受光部は前記光透過性支持部材に面する請求項3に記載の露光ヘッド。
【請求項6】
前記第1の発光素子および前記第2の発光素子は、前記第1の支持部材、前記第2の支持部材および前記第3の支持部材が配設された前記発光素子基板の表面とは反対側の前記発光素子基板の裏面に配設されている請求項4または5に記載の露光ヘッド。
【請求項7】
前記第1の発光素子および前記第2の発光素子から、前記第2の方向の前記一方側と逆の他方側に外れた位置で、前記第1の方向に隙間を空けて配設された第4の支持部材、第5の支持部材および第6の支持部材を備え、
前記第4の支持部材は、前記第1のレンズアレイを支持し、
前記第5の支持部材は、前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとを前記第1の方向に跨いで支持し、
前記第6の支持部材は、前記第2のレンズアレイを支持する請求項2ないし6のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項8】
像担持体と、
前記像担持体を露光する露光ヘッドと、
を備え、
前記露光ヘッドは、第1のレンズアレイと、前記第1のレンズアレイに対して第1の方向に配設された第2のレンズアレイと、前記第1のレンズアレイのレンズに入射する光を発光する第1の発光素子および前記第2のレンズアレイのレンズに入射する光を発光する第2の発光素子が配設された発光素子基板と、前記発光素子基板に配設された第1の支持部材と、前記第1の支持部材の前記第1の方向に第1の隙間を空けて、前記発光素子基板に配設された第2の支持部材と、前記第2の支持部材の前記第1の方向に第2の隙間を空けて、前記発光素子基板に配設された第3の支持部材と、を有し、
前記第1の支持部材は、前記第1のレンズアレイを支持し、
前記第2の支持部材は、前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとを前記第1の方向に跨いで支持し、
前記第3の支持部材は、前記第2のレンズアレイを支持することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
第1のレンズアレイと、
前記第1のレンズアレイに対して第1の方向に配設された第2のレンズアレイと、
前記第1のレンズアレイのレンズに入射する光を発光する第1の発光素子および前記第2のレンズアレイのレンズに入射する光を発光する第2の発光素子が配設された発光素子基板と、
前記発光素子基板に配設された第1の支持部材と、
前記第1の支持部材の前記第1の方向に第1の隙間を空けて、前記発光素子基板に配設された第2の支持部材と、
前記第2の支持部材の前記第1の方向に第2の隙間を空けて、前記発光素子基板に配設された第3の支持部材と、
を備え、
前記第1の支持部材は、前記第1のレンズアレイを支持し、
前記第2の支持部材は、前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとを前記第1の方向に跨いで支持し、
前記第3の支持部材は、前記第2のレンズアレイを支持することを特徴とする露光ヘッド。
【請求項2】
前記第1の支持部材、前記第2の支持部材および前記第3の支持部材は、前記第1の発光素子および前記第2の発光素子から、前記第1の方向に直交する第2の方向の一方側に外れた位置に配設される請求項1に記載の露光ヘッド。
【請求項3】
前記発光素子基板は、光透過性基板である請求項2に記載の露光ヘッド。
【請求項4】
受光部で受光した光を検出する光センサーを備え、
前記光センサーは、前記第1の隙間あるいは前記第2の隙間に配設され、
前記受光部は前記発光素子基板に面する請求項3に記載の露光ヘッド。
【請求項5】
前記第1の支持部材、前記第2の支持部材および前記第3の支持部材に対して、前記第1の発光素子および前記第2の発光素子の反対側に配設された光センサーを備え、
前記第1の支持部材、前記第2の支持部材あるいは前記第3の支持部材は光を透過する光透過性支持部材であり、
前記受光部は前記光透過性支持部材に面する請求項3に記載の露光ヘッド。
【請求項6】
前記第1の発光素子および前記第2の発光素子は、前記第1の支持部材、前記第2の支持部材および前記第3の支持部材が配設された前記発光素子基板の表面とは反対側の前記発光素子基板の裏面に配設されている請求項4または5に記載の露光ヘッド。
【請求項7】
前記第1の発光素子および前記第2の発光素子から、前記第2の方向の前記一方側と逆の他方側に外れた位置で、前記第1の方向に隙間を空けて配設された第4の支持部材、第5の支持部材および第6の支持部材を備え、
前記第4の支持部材は、前記第1のレンズアレイを支持し、
前記第5の支持部材は、前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとを前記第1の方向に跨いで支持し、
前記第6の支持部材は、前記第2のレンズアレイを支持する請求項2ないし6のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項8】
像担持体と、
前記像担持体を露光する露光ヘッドと、
を備え、
前記露光ヘッドは、第1のレンズアレイと、前記第1のレンズアレイに対して第1の方向に配設された第2のレンズアレイと、前記第1のレンズアレイのレンズに入射する光を発光する第1の発光素子および前記第2のレンズアレイのレンズに入射する光を発光する第2の発光素子が配設された発光素子基板と、前記発光素子基板に配設された第1の支持部材と、前記第1の支持部材の前記第1の方向に第1の隙間を空けて、前記発光素子基板に配設された第2の支持部材と、前記第2の支持部材の前記第1の方向に第2の隙間を空けて、前記発光素子基板に配設された第3の支持部材と、を有し、
前記第1の支持部材は、前記第1のレンズアレイを支持し、
前記第2の支持部材は、前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとを前記第1の方向に跨いで支持し、
前記第3の支持部材は、前記第2のレンズアレイを支持することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−31419(P2011−31419A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177602(P2009−177602)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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