露光ヘッド、画像形成装置
【課題】3枚のレンズで結像光学系を構成し、物体側の2枚のレンズのレンズ間隔を、大きくとりつつも正確に規定することを可能とする。
【解決手段】光を発光する発光素子と、発光素子が発光した光を透過する凸形状の第1のレンズ、及び第1のレンズを発光素子と対向する面で支持する第1の光透過性基板を有する第1のレンズアレイと、第1のレンズを透過した光が透過する凸形状の第2のレンズ、及び第2のレンズを発光素子と対向する面の反対の面で支持する第2の光透過性基板を有する第2のレンズアレイと、第2のレンズを透過した光が透過する第3のレンズを有する第3のレンズ、及び第3のレンズを支持する第3の光透過性基板を有する第3のレンズアレイと、第1のレンズを透過した光を絞る開口絞りを有し、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとに挟まれて配設されたスペーサーと、を備える。
【解決手段】光を発光する発光素子と、発光素子が発光した光を透過する凸形状の第1のレンズ、及び第1のレンズを発光素子と対向する面で支持する第1の光透過性基板を有する第1のレンズアレイと、第1のレンズを透過した光が透過する凸形状の第2のレンズ、及び第2のレンズを発光素子と対向する面の反対の面で支持する第2の光透過性基板を有する第2のレンズアレイと、第2のレンズを透過した光が透過する第3のレンズを有する第3のレンズ、及び第3のレンズを支持する第3の光透過性基板を有する第3のレンズアレイと、第1のレンズを透過した光を絞る開口絞りを有し、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとに挟まれて配設されたスペーサーと、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光素子が射出した光を3枚のレンズにより結像する露光ヘッドおよび該露光ヘッドを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の結像光学系を主走査方向に並べるとともに、各結像光学系に対向して発光素子グループを配置した露光ヘッド(ラインヘッド)が記載されている。この発光素子グループは、複数の発光素子を主走査方向に並べたものであり、各結像光学系は、対向する発光素子グループの発光素子が射出する光を結像して、感光体ドラム表面に光のスポットを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−125836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、特許文献1の図12には、3枚のレンズで結像光学系を構成した露光ヘッドが記載されている。具体的には、この結像光学系は、物体側(発光素子側)に凸のレンズを3枚並べた構成を備えている。このような構成では、物体側の2枚のレンズのレンズ間隔を大きく取ることが、収差を補正するのに有利となる。しかしながら、このレンズ間隔は、大きくなるにつれて、正確に規定することが困難になる場合があった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、3枚のレンズで結像光学系を構成した露光ヘッドおよび当該露光ヘッドを用いた画像形成装置において、物体側の2枚のレンズのレンズ間隔を、大きくとりつつも正確に規定することを可能とする技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる露光ヘッドは、上記目的を達成するために、光を発光する発光素子と、発光素子が発光した光を透過する凸形状の第1のレンズ、及び第1のレンズを発光素子と対向する面で支持する第1の光透過性基板を有する第1のレンズアレイと、第1のレンズを透過した光が透過する凸形状の第2のレンズ、及び第2のレンズを発光素子と対向する面の反対の面で支持する第2の光透過性基板を有する第2のレンズアレイと、第2のレンズを透過した光が透過する第3のレンズを有する第3のレンズ、及び第3のレンズを支持する第3の光透過性基板を有する第3のレンズアレイと、第1のレンズを透過した光を絞る開口絞りを有し、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとに挟まれて配設されたスペーサーと、を備えることを特徴としている。
【0007】
また、この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、潜像が形成される潜像担持体と、光を発光する発光素子と、発光素子が発光した光を透過する凸形状の第1のレンズ及び第1のレンズを発光素子と対向する面で支持する第1の光透過性基板を有する第1のレンズアレイと、第1のレンズを透過した光が透過する凸形状の第2のレンズ及び第2のレンズを発光素子と対向する面の反対の面で支持する第2の光透過性基板を有する第2のレンズアレイと、第2のレンズを透過した光が透過する第3のレンズを有する第3のレンズ及び第3のレンズを支持する第3の光透過性基板を有する第3のレンズアレイと、第1のレンズを透過した光を絞る開口絞りを有して第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとに挟まれて配設されたスペーサーと、を備えて、潜像担持体に潜像を形成する露光ヘッドと、潜像担持体に形成された潜像を現像する現像部と、を有することを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明(露光ヘッド、画像形成装置)では、発光素子側から、第1・第2・第3のレンズがこの順番で配置されている。このとき、第1のレンズは、発光素子側に凸であって、発光素子の反対側から、平板状の第1の光透過性基板で支持されている。また、第2のレンズは、発光素子の反対側に凸であって、発光素子の側から、平板状の第2の光透過性基板で支持されている。そして、この発明は、第1の光透過性基板と第2の光透過性基板とで光透過性のスペーサーを挟んだ構成を備えている。したがって、このスペーサーによって、第1のレンズと第2のレンズとの面間隔を大きくとりつつも正確に規定することが可能となり、その結果、適切な収差補正が実現可能となる。しかも、このスペーサーには開口絞りが設けられているため、この収差補正をより適切に実行することができる。
【0009】
このとき、スペーサーはガラス基板を有し、開口絞りはガラス基板に接着されているように露光ヘッドを構成しても良い。
【0010】
なお、光透過性基板やレンズの構成は種々のものが採用可能である。そこで、第1の光透過性基板、第2の光透過性基板および第3の光透過性基板はガラスで構成されても良い。また、第1のレンズ、第2のレンズおよび第3のレンズは樹脂レンズであっても良い。そこで、第1の光透過性基板、第2の光透過性基板および第3の光透過性基板は、ガラス基板であっても良い。また、第1のレンズ、第2のレンズおよび第3のレンズは樹脂レンズであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図。
【図2】図1の装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】本発明を適用可能なラインヘッドの一例を示す図。
【図4】本発明を適用可能なラインヘッドの一例を示す図。
【図5】本発明を適用可能なラインヘッドの一例を示す図。
【図6】結像光学系の一例による結像動作を示す光線図。
【図7】図6に例示した結像光学系のレンズデータを表として示す図。
【図8】非球面(XY多項式面)の定義式を示す図。
【図9】図6に例示した結像光学系のレンズ面形状を与える係数を表として示す図。
【図10】レンズアレイLA1、LA2の間の構成の変形例を模式的に示した分解図。
【図11】レンズアレイLA1、LA2の間の構成の変形例を模式的に示した分解図。
【図12】レンズアレイLA1、LA2の間の構成の変形例を模式的に示した分解図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図である。また、図2は図1の装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置1は、互いに異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。そして、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能となっている。
【0013】
この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するメインコントローラーMCに与えられると、このメインコントローラーMCはエンジンコントローラーECに制御信号を与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。このとき、メインコントローラーMCは、ヘッドコントローラーHCから水平リクエスト信号HREQを受け取る毎に、主走査方向MDに1ライン分のビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。また、ヘッドコントローラーHCは、メインコントローラーMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラーECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメーター値とに基づき、各色の画像形成ステーション2Y、2M、2C、2Kそれぞれのラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部ENGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシート状の記録媒体RMに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0014】
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kは、トナー色を除けばいずれも同じ構造および機能を有している。そこで、図1では、図を見やすくするために、画像形成ステーション2Cを構成する各部品にのみ符号を付し、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kに付すべき符号については記載を省略する。また、以下の説明では、図1に付した符号を参照して画像形成ステーション2Cの構造および動作を説明するが、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kの構造および動作も、トナー色が異なることを除けば同じである。
【0015】
画像形成ステーション2Cには、シアン色のトナー像がその表面に形成される感光体ドラム21が設けられている。感光体ドラム21は、その回転軸が主走査方向MD(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置されており、図1中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより、感光体ドラム21の表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに移動することとなる。
【0016】
感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21表面を所定の電位に帯電させるコロナ帯電器である帯電器22と、感光体ドラム21表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成するラインヘッド29と、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像器24と、第1スクイーズ部25と、第2スクイーズ部26と、転写後の感光体ドラム21の表面をクリーニングするクリーニングユニットとが、それぞれこれらの順に感光体ドラム21の回転方向D21(図1では、時計回り)に沿って配設されている。
【0017】
この実施形態では、帯電器22は2つのコロナ帯電器221、222で構成されており、感光体ドラム21の回転方向D21においてコロナ帯電器221がコロナ帯電器222に対して上流側に配置されており、2つのコロナ帯電器221、222により2段階で帯電されるように構成されている。各コロナ帯電器221、222は同一構成であり、感光体ドラム21の表面に接触しないものであり、スコロトロン帯電器である。
【0018】
そして、コロナ帯電器221、222により帯電された感光体ドラム21表面に対して、ラインヘッド29がビデオデータVDに基づいて静電潜像を形成する。つまり、ヘッドコントローラーHCがラインヘッド29にビデオデータVDを送信すると、このビデオデータVDに基づいて各発光素子Eが発光する。これにより、感光体ドラム21表面が露光されて、画像信号に対応した静電潜像が形成される。なお、ラインヘッド29の構成および動作の詳細は後述する。
【0019】
こうして形成された静電潜像に対して現像器24からトナーが付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。この画像形成装置1の現像器24は、現像ローラー241を有している。この現像ローラー241は円筒状の部材であり、鉄等金属製の内芯の外周部に、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、NBR、PFAチューブなどの弾性層を設けたものである。この現像ローラー241は現像用モーターに接続され、図1紙面において反時計回りに回転駆動されて感光体ドラム21に対してウィズ回転する。また、この現像ローラー241は図示を省略する現像バイアス発生部(定電圧電源)と電気的に接続されており、適当なタイミングで現像バイアスが印加されるように構成されている。
【0020】
また、この現像ローラー241に対して液体現像剤を供給するためにアニロックスローラーが設けられており、アニロックスローラーを介して現像剤貯留部から現像ローラー241へ液体現像剤が供給される。このようにアニロックスローラーは現像ローラー241に対して液体現像剤を供給する機能を有する。このアニロックスローラーは、液体現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に彫刻された螺旋溝などによる凹部パターンが形成されたローラーである。現像ローラー241と同様に、金属の芯金にウレタン、NBRなどのゴム層を巻き付けたものや、PFAチューブを被せたものなどが用いられる。また、アニロックスローラーは現像用モーターに接続されて回転する。
【0021】
現像剤貯留部に貯留される液体現像剤は、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)を液体キャリアとした低濃度(1〜2wt%)かつ低粘度の常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性樹脂中へ顔料などの着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤が用いられる。
【0022】
上記のようにして、液体現像剤が供給された現像ローラー241はアニロックスローラーと同時に回転すると共に、感光体ドラム21の表面とは同方向に移動するように回転して現像ローラー241の表面に担持された液体現像剤を現像位置に搬送する。なお、トナー像を形成するため、現像ローラー241の回転方向は、その表面が感光体ドラム21の表面と同方向に移動するようにウィズ回転する必要があるが、アニロックスローラーに対しては、逆方向、或いは、同方向、どちらに移動する構成であってもよい。
【0023】
また、現像器24では、この現像ローラー241の回転方向において現像位置の上流側直前にトナー圧縮コロナ発生器242が現像ローラー241に対向して配置されている。このトナー圧縮コロナ発生器242は現像ローラー241の表面の帯電バイアスを増加させる電界印加手段であり、定電流電源で構成されたトナーチャージ発生部(図示省略)と電気的に接続されている。そして、トナー圧縮コロナ発生器242に対してトナーチャージバイアスが与えられると、現像ローラー241によって搬送される液体現像剤のトナーに対して、このトナー圧縮コロナ発生器242と近接する位置で電界が印加され、帯電、圧縮が施される。なお、このトナー帯電、圧縮には、電解印加によるコロナ放電に代えて、接触して帯電させるコンパクションローラーを用いてもよい。
【0024】
また、このように構成された現像器24は感光体ドラム21上の潜像を現像する現像位置と感光体ドラム21から離れた退避位置との間で往復可能となっている。したがって、現像器24が退避位置に移動して位置決めされると、その間、シアン用の画像形成ステーション2Cでは、感光体ドラム21への新たな液体現像剤の供給は停止される。
【0025】
感光体ドラム21の回転方向D21において現像位置の下流側に、第1スクイーズ部25が配置されるとともに、さらに第1スクイーズ部25の下流側に第2スクイーズ部26が配置されている。これらのスクイーズ部25、26にはスクイーズローラー251、261がそれぞれ設けられている。そして、スクイーズローラー251が第1スクイーズ位置で感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターからの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰現像剤を除去する。また、感光体ドラム21の回転方向D21において第1スクイーズ位置の下流側の第2スクイーズ位置でスクイーズローラー261が感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターからの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰液体キャリアやカブリトナーを除去する。また、本実施形態ではスクイーズ効率を高めるために、スクイーズローラー251、261に対して図示省略するスクイーズバイアス発生部(定電圧電源)が電気的に接続されており、適当なタイミングでスクイーズバイアスが印加されるように構成されている。なお、本実施形態では2つのスクイーズ部25、26を設けているが、スクイーズ部の個数や配置などはこれに限定されるものではなく、例えば1個のスクイーズ部を配置してもよい。
【0026】
これらのスクイーズ位置を通過してきたトナー像は転写部3の中間転写体31に1次転写される。この中間転写体31は、その表面、より詳しくはその外周面にトナー像を一時的に担持可能な像担持体としての無端状ベルトであり、複数のローラー32、33、34、35および36に掛け渡されている。これらのうちローラー32はメインモーターに連結されて、中間転写体31を図1の矢印方向D31に周回駆動するベルト駆動ローラーとして機能している。なお、本実施形態では、記録紙RMとの密着性を高めて記録紙RMへのトナー像の転写性を高めるために、中間転写体31の表面に弾性層を設け、当該弾性層の表面にトナー像が担持されるように構成されている。
【0027】
ここで、中間転写体31を掛け渡されたローラー32ないし36のうち、メインモーターにより駆動されるのは上記したベルト駆動ローラー32のみであり、他のローラー33ないし36は駆動源を有しない従動ローラーである。また、ベルト駆動ローラー32は、ベルト移動方向D31において一次転写位置TR1の下流側、かつ後述する二次転写位置TR2の上流側で中間転写体31を巻き掛けている。
【0028】
転写部3は一次転写バックアップローラー37を有しており、一次転写バックアップローラー37は中間転写体31を挟んで感光体ドラム21と対向して配設されている。感光体ドラム21と中間転写体31とが当接する一次転写位置TR1では、感光体ドラム21の外周面が中間転写体31と当接して一次転写ニップ部NP1cを形成している。そして、感光体ドラム21上のトナー像が中間転写体31の外周面(一次転写位置TR1において下面)に転写される。こうして画像形成ステーション2Cにより形成されたシアン色のトナー像が中間転写体31に転写される。同様に、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kでもトナー像の転写が実行されることで、各色のトナー像が中間転写体31上に順次重ね合わされ、フルカラーのトナー像が形成される。一方、モノクロトナー像が形成される際には、ブラック色に対応した画像形成ステーション2Kのみにおいて、中間転写体31へのトナー像転写が行われる。
【0029】
こうして中間転写体31に転写されたトナー像は、ベルト駆動ローラー32への巻き掛け位置を経由して二次転写位置TR2に搬送される。この二次転写位置TR2では、中間転写体31を巻き掛けられたローラー34に対して二次転写部4の二次転写ローラー42が中間転写体31を挟んで対向配置されており、中間転写体31表面と転写ローラー42表面とが互いに当接して二次転写ニップ部NP2を形成している。すなわち、ローラー34は二次転写バックアップローラーとして機能している。バックアップローラー34の回転軸は、例えばバネのような弾性部材である押圧部345によって弾性的に、かつ中間転写体31に対して近接・離間移動自在に支持されている。
【0030】
二次転写位置TR2においては、中間転写体31上に形成された単色あるいは複数色のトナー像が、一対のゲートローラー51から搬送経路PTに沿って搬送される記録媒体RMに転写される。また、トナー像が二次転写された記録媒体RMは、二次転写ローラー42から搬送経路PT上に設けられた定着ユニット7へ送出される。定着ユニット7では、記録媒体RMに転写されたトナー像に熱や圧力などが加えられて記録媒体RMへのトナー像の定着が行われる。こうして、記録媒体RMに所望の画像を形成することができる。
【0031】
以上が画像形成装置の概略構成である。続いて、本実施形態にかかる画像形成装置に適用可能なラインヘッド29の詳細について説明する。図3、図4および図5は、本発明を適用可能なラインヘッドの一例を示す図である。特に、図3は、ラインヘッド29が備えるヘッド基板を光軸方向Doaから見た平面図であり、図4は、ラインヘッド29の部分斜視図であり、図5は、ラインヘッド29のA−A線(図3の階段状の二点鎖線)における部分階段断面図であって、該断面をラインヘッド29の長手方向LGDから見た場合に相当する。図3では、開口絞り295の開口Apが破線で記載されるとともに、レンズLS1〜LS3が一点鎖線で記載されているが、これらは、ヘッド基板293上にある発光素子Eと、ヘッド基板293上にない開口ApおよびレンズLS1〜LS3との位置関係を示すために記載されたものである。
【0032】
このラインヘッド29は、長手方向LGDに長尺で幅方向LTDに短尺な全体構成を備える。そこで、図3〜図5および以下の図面では必要に応じて、ラインヘッド29の長手方向LGDおよび幅方向LTDを示す。また、レンズが構成する結像光学系の光軸方向Doaについても、図3〜図5および以下の図面で適宜示すとともに、必要に応じて、光軸方向Doaの矢印側を「表」あるいは「上」と表現し、光軸方向Doaの矢印と反対側を「裏」「下」あるいは「底」と表現する。なお、これらの方向LGD、LTD、Doaは互いに直交もしくは略直交している。
【0033】
また、上述のとおり、同ラインヘッド29を画像形成装置に適用するにあたっては、ラインヘッド29は、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに移動する感光体ドラム21表面に対して露光を行なうものであり、しかも、感光体ドラム21表面の主走査方向MDはラインヘッド29の長手方向LGDに平行もしくは略平行であり、感光体ドラム21表面の副走査方向SDはラインヘッド29の幅方向LTDに平行もしくは略平行である。そこで、必要に応じて、長手方向LGD・幅方向LTDと一緒に、主走査方向MD・副走査方向SDも図示することとする。
【0034】
ラインヘッド29では、複数(図1の例では35個)の発光素子Eを長手方向LGDに2行千鳥で並べて、1個の発光素子グループEGが構成されている。さらに、ラインヘッド29では、複数の発光素子グループEGが2行千鳥で長手方向LGDに並べられている。かかる配列態様は、換言すれば次のようにも説明できる。つまり、長手方向LGDへ距離2×Dg毎に発光素子グループEGを配置して、長手方向LGDに直線的に並ぶ複数の発光素子グループEGから1行の発光素子グループ行GRa等が構成される。さらに、2行の発光素子グループ行GRa、GRbは、幅方向LTDに距離Dtを空けて配置されるとともに、長手方向LGDに距離Dgだけ互いにシフトされている。
【0035】
また、各発光素子Eは、互いに同一の発光スペクトルを有するトップエミッション型の有機EL(Electro-Luminescence)素子である。つまり、各発光素子Eを構成する有機EL素子は、長手方向LGDに長く幅方向LTDに短いガラス平板であるヘッド基板293の表面293−hに形成されている。
【0036】
上述のように配置された複数の発光素子グループEGそれぞれに対しては1つの結像光学系OSが対向している。具体的には、この結像光学系OSは、光軸方向Doaに並ぶ3枚のレンズLS1、LS2、LS3で構成されている。平面視において、これらレンズLS1、LS2、LS3は、発光素子グループEGに近い方からこの順番で並んでいる。また、第1レンズLS1は、物体側(発光素子グループEG側)に凸であり、第2レンズLS2は像側(感光体ドラム21側)に凸であり、第3レンズLS3は物体側に凸となっている。なお、図4、図5では、発光素子グループEGとレンズLS1との間には遮光部材297が図示されているが、これについては結像光学系の説明の後に説明する。
【0037】
このラインヘッド29では、2行千鳥で並ぶ複数の発光素子グループEGのそれぞれに対向してレンズLS1、LS2、LS3を配置するために、複数のレンズLS1を2行千鳥で並べたレンズアレイLA1と、複数のレンズLS2を2行千鳥で並べたレンズアレイLA2と、複数のレンズLS3を2行千鳥で並べたレンズアレイLA3とが設けられている。つまり、レンズアレイLA1(LA2、LA3)では、長手方向LGDへ距離2×Dg毎にレンズLS1(LS2、LS3)を配置して、長手方向LGDに直線的に並ぶ複数のレンズLS1(LS2、LS3)から1行のレンズ行が構成される。さらに、2行のレンズ行は、幅方向LTDに距離Dtを空けて配置されるとともに、長手方向LGDに距離Dgだけ互いにシフトされている。ちなみに、レンズアレイLA1(LA2、LA3)は、平板形状を有して光透過性のガラス基板SBに樹脂製のレンズLS1(LS2、LS3)を形成することで構成することができる。
【0038】
また、レンズアレイLA1、LA2の間には、スペーサー294と開口絞り295とが配置されている。スペーサー294は、平板形状を有するガラス(ガラス基板)である。一方、開口絞り295は、レンズLS1、LS2、LS3の直径よりも小さい直径の円形状の開口Apが貫通形成された、薄い平板により構成されている。この開口絞り295では、2行千鳥で並ぶ複数の発光素子グループEGのそれぞれに対向して複数の開口Apが2行千鳥で並んでいる。そして、発光素子グループEGの各発光素子Eから射出した光は、開口絞り295により光量が規定されたのちに、レンズLS1、LS2、LS3によって感光体ドラム21表面に結像される。
【0039】
そして、レンズアレイLA1、LA2それぞれのガラス基板SBが有する両主面のうち、レンズLS1、LS2が形成された主面を一方面とし、レンズLS1、LS2が形成されていない主面を他方面としたとき、スペーサー294がレンズアレイLA1のガラス基板SBの他方面に配置され、開口絞り295がレンズアレイLA2の他方面に配置された状態で、レンズアレイLA1、スペーサー294、開口絞り295およびレンズアレイLA2がこの順番で並んで積層されて、相互に接着されている。こうして、2枚のレンズアレイLA1、LA2をスペーサー294および開口絞り295を介して貼り合わせて一体的に形成した、板状の光学部材298が構成されている。
【0040】
また、この実施形態では、長手方向LGDに長尺な板状光学部材298およびレンズアレイLA3を一体的な構成で作成することは困難であることに鑑みて、比較的短尺な板状光学部材298およびレンズアレイLA3を作製し、これらを長手方向LGDに並べることで長尺化を図っている。
【0041】
より具体的には、ヘッド基板表面293−hの幅方向LTDの両端部それぞれには、複数のスペーサーSP1が長手方向LGDに直線的に間隔を空けて並べられている。そして、幅方向LTDへスペーサーSP1、SP1に架設された状態で、複数の板状光学部材298(レンズアレイLA1、LA2)が長手方向LGDに並べられて、長尺レンズアレイが構成されている。また、これら複数の板状光学部材298表面の幅方向LTDの両端部それぞれには、複数のスペーサーSP2が長手方向LGDに直線的に間隔を空けて並べられている。そして、幅方向LTDへスペーサーSP2、SP2に架設された状態で、複数のレンズアレイLA3が長手方向LGDに並べられて、1つの長尺レンズアレイが構成されている。
【0042】
つまり、上述のように構成された板状光学部材298およびレンズアレイLA3をヘッド基板293に対向させることで、発光素子グループEGの2行千鳥配置に対応して、光軸方向Doaに並ぶレンズLS1、開口Ap、レンズLS2、レンズLS3で構成される結像光学系OSが2行千鳥で長手方向LGDに並ぶこととなる。そして、発光素子グループEGの各発光素子Eが射出した光は、結像光学系OSを透過して、感光体ドラム21表面に照射される。なお、図5では、発光素子グループ行GRaに属する発光素子グループEGからの光を結像する結像光学系OSに対して符号OSaが併記されている。また、同様にして、発光素子グループ行GRbに属する発光素子グループEGからの光を結像する結像光学系OSに対して符号OSbが併記されている。すなわち、幅方向LTDに互いに異なる位置に配置された結像光学系OSに対して、異なる符合OSa、OSbが付されている。
【0043】
このように、ラインヘッド29では、複数の発光素子グループEGそれぞれに対して専用の結像光学系OSが配置されている。このようなラインヘッド29では、発光素子グループEGからの光は、当該発光素子グループEGに設けられた結像光学系OSにのみ入射し、それ以外の結像光学系OSに入射しないことが望ましい。そこで、ヘッド基板293の表面293−hとレンズアレイLA1との間には、遮光部材297が設けられている。この遮光部材297は、発光素子グループEGから当該発光素子グループEGに対向する結像光学系OSに向かう光を制限する機能を果たす。具体的には、遮光部材297には、発光素子グループEGからこれに対向する結像光学系OSへと向かう導光孔2971が、光軸方向Doaに貫通形成されている。導光孔2971は、発光素子グループEGの幅より短い直径を有する円柱形状の孔であり、その中心軸は結像光学系OSの光軸OAと概ね一致している。したがって、発光素子グループEGから射出された光のうち、遮光部材297の底面で遮られることなく導光孔2971を通過した光が、結像光学系OSに入射することとなる。そして、結像光学系OSは反転像かつ等倍像を形成する結像倍率で入射光を結像して、感光体ドラム21表面に光のスポットを形成する。
【0044】
ちなみに、遮光部材297が有する導光孔2971の上側はレンズLS1に対向する一方、導光孔2971の下側はトップエミッション型の発光素子Eからなる発光素子グループEGに対向する。このような構成では、導光孔2971の周縁部がレンズLS1や発光素子グループEGと干渉することを防止しておくことが好適となる。
【0045】
そこで、この実施形態では、レンズアレイLA1に並ぶ複数のレンズLS1の間には、主走査方向MDおよび副走査方向SDそれぞれに間隔CLが設けられている。この間隔CLにおいてレンズアレイLA1の裏面は平坦に仕上げられている。そして、レンズLS1より大きい直径で仕上げられた導光孔2971の上側の周縁部がこの間隔CLに当接するように設けられている。こうして、導光孔2971の周縁部とレンズLS1との干渉が防止されている。
【0046】
一方、ヘッド基板293の表面293−hにおいて、発光素子Eが形成されている領域の副走査方向SDの両外側には、底上部材299が設けられている。そして、遮光部材297は副走査方向SDからこれら底上部材299に架設されており、その結果、導光孔2971の下側の周縁部とヘッド基板表面293−hとの間には隙間が設けられている。その結果、発光素子グループEGはこの隙間に位置することができ、導光孔2971の下側の周縁部と発光素子グループEGとの干渉が防止されている。
【0047】
上述のとおり、このラインヘッド29では、発光素子グループEGに対して、レンズLS1、開口Ap、レンズLS2、レンズLS3がこの順番で光軸方向Doaに並ぶ。したがって、発光素子グループEG(の各発光素子E)が射出した光は、レンズLS1、開口Ap、レンズLS2、LS3をこの順番で透過して、感光体ドラム21の表面に結像される。こうして、発光素子グループEGの光が、結像光学系OSに結像されて、感光体ドラム21表面の所定範囲の露光を担う。
【0048】
具体的には、1つの結像光学系OSが2.667[mm]の露光を担当する。例えば、330[mm]の幅を露光するためには、124個のレンズLS1(LS2、LS3)が形成されたレンズアレイLA1(LA2、LA3)を用いる。レンズLS1(LS2、LS3)のそれぞれは、主走査方向MDに5.334[mm]ピッチで配列されたレンズ行が2行千鳥で配置されており、行の間隔Dtは、1.6[mm]となっている。一方、結像光学系OSの像側はテレセントリックになっており、その結果、像面に最も近いレンズLS3は、レンズLS1、LS2に比べて外形が大きく、互いの周縁が接続されている(図3)。ただし、その周縁と、レンズLS3の光線通過領域が干渉することはないように構成されている。
【0049】
上記の構成では、1つの発光素子グループEGが2.667[mm]の領域の露光を担うため、1つの発光素子グループEGを構成する発光素子Eの個数は、解像度が1200dpi(dots per inch)のときは126個以上、2400dpiのときは252個以上が必要となる。図6等で後述する結像光学系の倍率は−1倍(倒立等倍)なので、感光体ドラム21上の結像スポットのピッチと発光素子グループEGでの発光素子Eのピッチは等しい。
【0050】
この実施系形態のレンズLS1、LS2、LS3の結像性能は非常に高いため、発光素子Eの大きさが小さければ、結像スポットも小さくなる。そのため、発光素子Eを1列に並べたとすると、発光素子Eの大きさはそのピッチよりはかなり小さくなる。したがって、感光体ドラム21表面上の結像スポットもそのピッチに比べて小さいものになる。しかしながら、スポットの径はスポットのピッチより若干大きい方が望ましい。そこで、この実施形態では、発光素子Eを2列以上に並べて、発光素子Eの大きさを発光素子Eのピッチよりも同等かやや大きめの発光部の大きさにしている。
【0051】
以上のような構成を具備する結像光学系の具体例としては、次のようなものが挙げられる。図6は、結像光学系の一例による結像動作を示す光線図である。図7は、図6に例示した結像光学系のレンズデータを表として示す図である。図8は、非球面(XY多項式面)の定義式を示す図である。図9は、図6に例示した結像光学系が有する各レンズ面の形状を与える係数を表として示す図である。
【0052】
図6の光線図に示す光は、620[nm]の波長を有する。図6に示す例では、3面のアナモフィック非球面(レンズLS1、LS2、LS3)を用いることで、各収差を良好に補正することが可能になっている。特に、レンズLS1とレンズLS2を開口絞り295の前後に適切な距離を隔てて配置し、かつレンズLS1を物体側(光源側)に凸、レンズLS2を像面側(感光体ドラム側)に凸にすることで、レンズLS1、LS2の口径を抑えながら、良好な収差補正が可能となっている。また、最大像高にあたる光線の画角も抑えられているので、軸上位置などの誤差感度も低く抑えることができると同時に、シェーディング(中央と端部の光量差)も抑制できている。
【0053】
また、レンズLS1、LS2、LS3を有する各レンズアレイLA1、LA2、LA3は、温度変動による伸縮を避けるために、ガラス基板SB上に樹脂でレンズ面が形成されている。樹脂のレンズ部分の成型は、金型あるいはスタンパーを用いて、樹脂にレンズ形状を転写・成型する。樹脂の成型方法は、一般的な射出成形、圧縮成型、光効果樹脂成型(2P=Photo Polymer)などが可能である。特に紫外線で樹脂を硬化させる2P成型は、金型あるいはスタンパー上に樹脂を塗布するだけで給材でき、硬化も早いので生産性が高い。
【0054】
この実施形態では、レンズLS1とレンズLS2との間にスペーサー294を介在させ、全部で3枚のガラス基板SB、SB、294を相互に接着している。したがって、ガラスの厚みを管理することで、レンズLS1とレンズLS2との面間隔を正確に管理することができる。また、2枚のレンズLS1、LS2に対してアライメントマークを成型し、そのマークを基準にして相互に位置決めして貼り合わせるか、スペーサー294にもアライメントマークを設け、レンズLS1、LS2のアライメントマークと合わせるように位置調整することで、面内方向の位置も正確に合わせることができる。このように2枚のレンズLS1、LS2は、非常に高精度に貼り合わせることが可能である。特に、面間隔の精度を必要とするときは、両面研磨ガラスを基板に用いることも可能である。
【0055】
また、レンズLS1、LS2は、厚さ0.5[mm]のガラス基板SBに成型されており、同じ厚みのスペーサー294を貼り合わせることで1.5[mm]の面間隔を確保できている。また、さらに厚いスペーサー294を用いれば、さらに面間隔を広げることが可能である。
【0056】
以上説明したように、このように構成された実施形態では、発光素子E側から、レンズLS1、LS2、LS3がこの順番で配置されている。このとき、レンズLS1は、発光素子E側に凸であって、発光素子Eの反対側から、平板状のガラス基板SBの一方面で支持されている。また、レンズLS2は、発光素子Eの反対側に凸であって、発光素子Eの側から、平板状のガラス基板SBの一方面で支持されている。そして、この実施形態は、レンズLS1を支持するガラス基板SBの他方面と、レンズLS2を支持するガラス基板SBの他方面とで、光透過性のスペーサー294を挟んだ構成を備えている。したがって、このスペーサー294によって、レンズLS1とレンズLS2との面間隔を大きくとりつつも正確に規定することが可能となり、その結果、適切な収差補正が実現可能となる。しかも、このスペーサー294には開口絞り295が設けられているため、この収差補正をより適切に実行することができる。
【0057】
その他
以上のように、上記実施形態では、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当し、発光素子Eが本発明の「発光素子」に相当し、レンズLS1が本発明の「第1のレンズ」に相当し、レンズLS1を支持するガラス基板SBが本発明の「第1の光透過性基板」に相当し、レンズアレイLA1が本発明の「第1のレンズアレイ」に相当し、レンズLS2が本発明の「第2のレンズ」に相当し、レンズLS2を支持するガラス基板SBが本発明の「第2の光透過性基板」に相当し、レンズアレイLA2が本発明の「第2のレンズアレイ」に相当し、レンズLS3が本発明の「第3のレンズ」に相当し、レンズLS3を支持するガラス基板SBが本発明の「第3の光透過性基板」に相当し、レンズアレイLA3が本発明の「第3のレンズアレイ」に相当する。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態のラインヘッド29は、レンズアレイLA1、LA2の間は、平板で構成される開口絞り295とスペーサー294とで構成されていた。レンズアレイLA1、LA2の間の構成はこれに限られない(図10〜図12)。ここで、図10、図11および図12は、レンズアレイLA1、LA2の間の構成の変形例を模式的に示した分解図である。これらの図は分解図であるので、図中の構成部材は左右方向にばらばらに示されているが、実際には、これらは左右方向に互いに接して構成されている。
【0059】
図10では、金属の蒸着あるいはスパッタリング等の手法によりスペーサー294に形成された遮光性の薄膜が開口絞り295として機能する。そして、レンズアレイLA1、LA2の間には、スペーサー294と薄膜で構成された開口絞り295が挟み込まれている。図11および図12では、レンズアレイLA1、LA2の間には2枚のスペーサー294が設けられており、これら2枚のスペーサー294の間に開口絞り295が設けられている。そして、レンズアレイLA1、スペーサー294、開口絞り295、スペーサー294およびレンズアレイLA2がこの順番で積層されて、相互に接着されている。なお、図11では、開口絞り295は、レンズアレイLA1側のスペーサー294に金属の蒸着あるいはスパッタリング等の手法により形成された薄膜である。一方、図12では、開口絞り295は、薄い平板により構成されている。なお、図11、図12の構成では、開口絞り295から各レンズLS1、LS2までの距離を等しくすることができる。ちなみに、もしレンズアレイの他方面側にレンズ形成に先立って開口絞り295を蒸着などで設けてしまうと、後の工程で2P成型でレンズを形成する場合には、開口絞り295で遮光され、十分にレンズを硬化することができない可能性があった。これに対して、この実施形態では、レンズアレイLA1、LA2とは別部材のスペーサー294に開口絞り295を設けることで、ガラス基板SBに開口絞り295を一体に形成しながら、それとは別の基板に自由にレンズを2P成型することが可能となる。
【0060】
このように、図10〜図12に示す変形例においても、レンズLS1を支持するガラス基板SBの他方面と、レンズLS2を支持するガラス基板SBの他方面とで、光透過性のスペーサー294を挟んだ構成を備えている。したがって、このスペーサー294によって、レンズLS1とレンズLS2との面間隔を大きくとりつつも正確に規定することが可能となり、その結果、適切な収差補正が実現可能となる。しかも、このスペーサー294には開口絞り295が設けられているため、この収差補正をより適切に実行することができる。
【0061】
ちなみに、各レンズアレイLA1、LA2のガラス基板SBとスペーサー294は、全く同じ材料を用いることで、調達が容易となりコストダウンを図ることができる。さらに、全く同じ材料であれば、屈折率差による接着後の界面での反射がなくなるという利点もある。また、スペーサー294の厚みをガラス基板SBの厚みと異ならせることで、開口絞り295と各レンズLS1、LS2までの距離を任意に設定することができる。
【0062】
また、副走査方向SDに異なる位置に配置される結像光学系OSの個数(換言すれば、レンズ行の行数)は2個に限られず、3個以上であっても良い。
【0063】
また、結像光学系OSを構成するレンズLS1〜LS3や開口Apの形状は上述のものに限られない。
【0064】
また、上記実施形態では、結像光学系OSの光学倍率についても種々のものを採用することができる。
【0065】
また、発光素子グループEGを構成する発光素子Eの個数や、配置態様も種々の変更が可能である。
【0066】
また、上述の有機EL素子以外に、LED(Light Emitting Diode)等の光源を、発光素子Eとして用いることもできる。
【0067】
遮光部材297の構成も上述のものに限られず、例えば、特開2008−307885号公報のように、複数枚の遮光板を間隔を設けながら重ねた遮光部材を用いることもできる。
【符号の説明】
【0068】
1…画像形成装置、 21…感光体ドラム、 29…ラインヘッド、 293…ヘッド基板、 294…スペーサー、 295…開口絞り、 Ap…開口、 297…遮光部材、 2971…導光孔、 298…板状光学部材、 E…発光素子、 EG…発光素子グループ、 LA1、LA2、LA3…レンズアレイ、 LS1、LS2、LS3…レンズ、 SB…ガラス基板、 LGD…長手方向、 LTD…幅方向、 MD…主走査方向、 SD…副走査方向
【技術分野】
【0001】
この発明は、発光素子が射出した光を3枚のレンズにより結像する露光ヘッドおよび該露光ヘッドを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の結像光学系を主走査方向に並べるとともに、各結像光学系に対向して発光素子グループを配置した露光ヘッド(ラインヘッド)が記載されている。この発光素子グループは、複数の発光素子を主走査方向に並べたものであり、各結像光学系は、対向する発光素子グループの発光素子が射出する光を結像して、感光体ドラム表面に光のスポットを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−125836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、特許文献1の図12には、3枚のレンズで結像光学系を構成した露光ヘッドが記載されている。具体的には、この結像光学系は、物体側(発光素子側)に凸のレンズを3枚並べた構成を備えている。このような構成では、物体側の2枚のレンズのレンズ間隔を大きく取ることが、収差を補正するのに有利となる。しかしながら、このレンズ間隔は、大きくなるにつれて、正確に規定することが困難になる場合があった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、3枚のレンズで結像光学系を構成した露光ヘッドおよび当該露光ヘッドを用いた画像形成装置において、物体側の2枚のレンズのレンズ間隔を、大きくとりつつも正確に規定することを可能とする技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる露光ヘッドは、上記目的を達成するために、光を発光する発光素子と、発光素子が発光した光を透過する凸形状の第1のレンズ、及び第1のレンズを発光素子と対向する面で支持する第1の光透過性基板を有する第1のレンズアレイと、第1のレンズを透過した光が透過する凸形状の第2のレンズ、及び第2のレンズを発光素子と対向する面の反対の面で支持する第2の光透過性基板を有する第2のレンズアレイと、第2のレンズを透過した光が透過する第3のレンズを有する第3のレンズ、及び第3のレンズを支持する第3の光透過性基板を有する第3のレンズアレイと、第1のレンズを透過した光を絞る開口絞りを有し、第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとに挟まれて配設されたスペーサーと、を備えることを特徴としている。
【0007】
また、この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、潜像が形成される潜像担持体と、光を発光する発光素子と、発光素子が発光した光を透過する凸形状の第1のレンズ及び第1のレンズを発光素子と対向する面で支持する第1の光透過性基板を有する第1のレンズアレイと、第1のレンズを透過した光が透過する凸形状の第2のレンズ及び第2のレンズを発光素子と対向する面の反対の面で支持する第2の光透過性基板を有する第2のレンズアレイと、第2のレンズを透過した光が透過する第3のレンズを有する第3のレンズ及び第3のレンズを支持する第3の光透過性基板を有する第3のレンズアレイと、第1のレンズを透過した光を絞る開口絞りを有して第1のレンズアレイと第2のレンズアレイとに挟まれて配設されたスペーサーと、を備えて、潜像担持体に潜像を形成する露光ヘッドと、潜像担持体に形成された潜像を現像する現像部と、を有することを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明(露光ヘッド、画像形成装置)では、発光素子側から、第1・第2・第3のレンズがこの順番で配置されている。このとき、第1のレンズは、発光素子側に凸であって、発光素子の反対側から、平板状の第1の光透過性基板で支持されている。また、第2のレンズは、発光素子の反対側に凸であって、発光素子の側から、平板状の第2の光透過性基板で支持されている。そして、この発明は、第1の光透過性基板と第2の光透過性基板とで光透過性のスペーサーを挟んだ構成を備えている。したがって、このスペーサーによって、第1のレンズと第2のレンズとの面間隔を大きくとりつつも正確に規定することが可能となり、その結果、適切な収差補正が実現可能となる。しかも、このスペーサーには開口絞りが設けられているため、この収差補正をより適切に実行することができる。
【0009】
このとき、スペーサーはガラス基板を有し、開口絞りはガラス基板に接着されているように露光ヘッドを構成しても良い。
【0010】
なお、光透過性基板やレンズの構成は種々のものが採用可能である。そこで、第1の光透過性基板、第2の光透過性基板および第3の光透過性基板はガラスで構成されても良い。また、第1のレンズ、第2のレンズおよび第3のレンズは樹脂レンズであっても良い。そこで、第1の光透過性基板、第2の光透過性基板および第3の光透過性基板は、ガラス基板であっても良い。また、第1のレンズ、第2のレンズおよび第3のレンズは樹脂レンズであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図。
【図2】図1の装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】本発明を適用可能なラインヘッドの一例を示す図。
【図4】本発明を適用可能なラインヘッドの一例を示す図。
【図5】本発明を適用可能なラインヘッドの一例を示す図。
【図6】結像光学系の一例による結像動作を示す光線図。
【図7】図6に例示した結像光学系のレンズデータを表として示す図。
【図8】非球面(XY多項式面)の定義式を示す図。
【図9】図6に例示した結像光学系のレンズ面形状を与える係数を表として示す図。
【図10】レンズアレイLA1、LA2の間の構成の変形例を模式的に示した分解図。
【図11】レンズアレイLA1、LA2の間の構成の変形例を模式的に示した分解図。
【図12】レンズアレイLA1、LA2の間の構成の変形例を模式的に示した分解図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図である。また、図2は図1の装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置1は、互いに異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。そして、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能となっている。
【0013】
この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するメインコントローラーMCに与えられると、このメインコントローラーMCはエンジンコントローラーECに制御信号を与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。このとき、メインコントローラーMCは、ヘッドコントローラーHCから水平リクエスト信号HREQを受け取る毎に、主走査方向MDに1ライン分のビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。また、ヘッドコントローラーHCは、メインコントローラーMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラーECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメーター値とに基づき、各色の画像形成ステーション2Y、2M、2C、2Kそれぞれのラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部ENGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシート状の記録媒体RMに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0014】
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kは、トナー色を除けばいずれも同じ構造および機能を有している。そこで、図1では、図を見やすくするために、画像形成ステーション2Cを構成する各部品にのみ符号を付し、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kに付すべき符号については記載を省略する。また、以下の説明では、図1に付した符号を参照して画像形成ステーション2Cの構造および動作を説明するが、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kの構造および動作も、トナー色が異なることを除けば同じである。
【0015】
画像形成ステーション2Cには、シアン色のトナー像がその表面に形成される感光体ドラム21が設けられている。感光体ドラム21は、その回転軸が主走査方向MD(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置されており、図1中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより、感光体ドラム21の表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに移動することとなる。
【0016】
感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21表面を所定の電位に帯電させるコロナ帯電器である帯電器22と、感光体ドラム21表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成するラインヘッド29と、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像器24と、第1スクイーズ部25と、第2スクイーズ部26と、転写後の感光体ドラム21の表面をクリーニングするクリーニングユニットとが、それぞれこれらの順に感光体ドラム21の回転方向D21(図1では、時計回り)に沿って配設されている。
【0017】
この実施形態では、帯電器22は2つのコロナ帯電器221、222で構成されており、感光体ドラム21の回転方向D21においてコロナ帯電器221がコロナ帯電器222に対して上流側に配置されており、2つのコロナ帯電器221、222により2段階で帯電されるように構成されている。各コロナ帯電器221、222は同一構成であり、感光体ドラム21の表面に接触しないものであり、スコロトロン帯電器である。
【0018】
そして、コロナ帯電器221、222により帯電された感光体ドラム21表面に対して、ラインヘッド29がビデオデータVDに基づいて静電潜像を形成する。つまり、ヘッドコントローラーHCがラインヘッド29にビデオデータVDを送信すると、このビデオデータVDに基づいて各発光素子Eが発光する。これにより、感光体ドラム21表面が露光されて、画像信号に対応した静電潜像が形成される。なお、ラインヘッド29の構成および動作の詳細は後述する。
【0019】
こうして形成された静電潜像に対して現像器24からトナーが付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。この画像形成装置1の現像器24は、現像ローラー241を有している。この現像ローラー241は円筒状の部材であり、鉄等金属製の内芯の外周部に、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、NBR、PFAチューブなどの弾性層を設けたものである。この現像ローラー241は現像用モーターに接続され、図1紙面において反時計回りに回転駆動されて感光体ドラム21に対してウィズ回転する。また、この現像ローラー241は図示を省略する現像バイアス発生部(定電圧電源)と電気的に接続されており、適当なタイミングで現像バイアスが印加されるように構成されている。
【0020】
また、この現像ローラー241に対して液体現像剤を供給するためにアニロックスローラーが設けられており、アニロックスローラーを介して現像剤貯留部から現像ローラー241へ液体現像剤が供給される。このようにアニロックスローラーは現像ローラー241に対して液体現像剤を供給する機能を有する。このアニロックスローラーは、液体現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に彫刻された螺旋溝などによる凹部パターンが形成されたローラーである。現像ローラー241と同様に、金属の芯金にウレタン、NBRなどのゴム層を巻き付けたものや、PFAチューブを被せたものなどが用いられる。また、アニロックスローラーは現像用モーターに接続されて回転する。
【0021】
現像剤貯留部に貯留される液体現像剤は、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)を液体キャリアとした低濃度(1〜2wt%)かつ低粘度の常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性樹脂中へ顔料などの着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤が用いられる。
【0022】
上記のようにして、液体現像剤が供給された現像ローラー241はアニロックスローラーと同時に回転すると共に、感光体ドラム21の表面とは同方向に移動するように回転して現像ローラー241の表面に担持された液体現像剤を現像位置に搬送する。なお、トナー像を形成するため、現像ローラー241の回転方向は、その表面が感光体ドラム21の表面と同方向に移動するようにウィズ回転する必要があるが、アニロックスローラーに対しては、逆方向、或いは、同方向、どちらに移動する構成であってもよい。
【0023】
また、現像器24では、この現像ローラー241の回転方向において現像位置の上流側直前にトナー圧縮コロナ発生器242が現像ローラー241に対向して配置されている。このトナー圧縮コロナ発生器242は現像ローラー241の表面の帯電バイアスを増加させる電界印加手段であり、定電流電源で構成されたトナーチャージ発生部(図示省略)と電気的に接続されている。そして、トナー圧縮コロナ発生器242に対してトナーチャージバイアスが与えられると、現像ローラー241によって搬送される液体現像剤のトナーに対して、このトナー圧縮コロナ発生器242と近接する位置で電界が印加され、帯電、圧縮が施される。なお、このトナー帯電、圧縮には、電解印加によるコロナ放電に代えて、接触して帯電させるコンパクションローラーを用いてもよい。
【0024】
また、このように構成された現像器24は感光体ドラム21上の潜像を現像する現像位置と感光体ドラム21から離れた退避位置との間で往復可能となっている。したがって、現像器24が退避位置に移動して位置決めされると、その間、シアン用の画像形成ステーション2Cでは、感光体ドラム21への新たな液体現像剤の供給は停止される。
【0025】
感光体ドラム21の回転方向D21において現像位置の下流側に、第1スクイーズ部25が配置されるとともに、さらに第1スクイーズ部25の下流側に第2スクイーズ部26が配置されている。これらのスクイーズ部25、26にはスクイーズローラー251、261がそれぞれ設けられている。そして、スクイーズローラー251が第1スクイーズ位置で感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターからの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰現像剤を除去する。また、感光体ドラム21の回転方向D21において第1スクイーズ位置の下流側の第2スクイーズ位置でスクイーズローラー261が感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターからの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰液体キャリアやカブリトナーを除去する。また、本実施形態ではスクイーズ効率を高めるために、スクイーズローラー251、261に対して図示省略するスクイーズバイアス発生部(定電圧電源)が電気的に接続されており、適当なタイミングでスクイーズバイアスが印加されるように構成されている。なお、本実施形態では2つのスクイーズ部25、26を設けているが、スクイーズ部の個数や配置などはこれに限定されるものではなく、例えば1個のスクイーズ部を配置してもよい。
【0026】
これらのスクイーズ位置を通過してきたトナー像は転写部3の中間転写体31に1次転写される。この中間転写体31は、その表面、より詳しくはその外周面にトナー像を一時的に担持可能な像担持体としての無端状ベルトであり、複数のローラー32、33、34、35および36に掛け渡されている。これらのうちローラー32はメインモーターに連結されて、中間転写体31を図1の矢印方向D31に周回駆動するベルト駆動ローラーとして機能している。なお、本実施形態では、記録紙RMとの密着性を高めて記録紙RMへのトナー像の転写性を高めるために、中間転写体31の表面に弾性層を設け、当該弾性層の表面にトナー像が担持されるように構成されている。
【0027】
ここで、中間転写体31を掛け渡されたローラー32ないし36のうち、メインモーターにより駆動されるのは上記したベルト駆動ローラー32のみであり、他のローラー33ないし36は駆動源を有しない従動ローラーである。また、ベルト駆動ローラー32は、ベルト移動方向D31において一次転写位置TR1の下流側、かつ後述する二次転写位置TR2の上流側で中間転写体31を巻き掛けている。
【0028】
転写部3は一次転写バックアップローラー37を有しており、一次転写バックアップローラー37は中間転写体31を挟んで感光体ドラム21と対向して配設されている。感光体ドラム21と中間転写体31とが当接する一次転写位置TR1では、感光体ドラム21の外周面が中間転写体31と当接して一次転写ニップ部NP1cを形成している。そして、感光体ドラム21上のトナー像が中間転写体31の外周面(一次転写位置TR1において下面)に転写される。こうして画像形成ステーション2Cにより形成されたシアン色のトナー像が中間転写体31に転写される。同様に、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kでもトナー像の転写が実行されることで、各色のトナー像が中間転写体31上に順次重ね合わされ、フルカラーのトナー像が形成される。一方、モノクロトナー像が形成される際には、ブラック色に対応した画像形成ステーション2Kのみにおいて、中間転写体31へのトナー像転写が行われる。
【0029】
こうして中間転写体31に転写されたトナー像は、ベルト駆動ローラー32への巻き掛け位置を経由して二次転写位置TR2に搬送される。この二次転写位置TR2では、中間転写体31を巻き掛けられたローラー34に対して二次転写部4の二次転写ローラー42が中間転写体31を挟んで対向配置されており、中間転写体31表面と転写ローラー42表面とが互いに当接して二次転写ニップ部NP2を形成している。すなわち、ローラー34は二次転写バックアップローラーとして機能している。バックアップローラー34の回転軸は、例えばバネのような弾性部材である押圧部345によって弾性的に、かつ中間転写体31に対して近接・離間移動自在に支持されている。
【0030】
二次転写位置TR2においては、中間転写体31上に形成された単色あるいは複数色のトナー像が、一対のゲートローラー51から搬送経路PTに沿って搬送される記録媒体RMに転写される。また、トナー像が二次転写された記録媒体RMは、二次転写ローラー42から搬送経路PT上に設けられた定着ユニット7へ送出される。定着ユニット7では、記録媒体RMに転写されたトナー像に熱や圧力などが加えられて記録媒体RMへのトナー像の定着が行われる。こうして、記録媒体RMに所望の画像を形成することができる。
【0031】
以上が画像形成装置の概略構成である。続いて、本実施形態にかかる画像形成装置に適用可能なラインヘッド29の詳細について説明する。図3、図4および図5は、本発明を適用可能なラインヘッドの一例を示す図である。特に、図3は、ラインヘッド29が備えるヘッド基板を光軸方向Doaから見た平面図であり、図4は、ラインヘッド29の部分斜視図であり、図5は、ラインヘッド29のA−A線(図3の階段状の二点鎖線)における部分階段断面図であって、該断面をラインヘッド29の長手方向LGDから見た場合に相当する。図3では、開口絞り295の開口Apが破線で記載されるとともに、レンズLS1〜LS3が一点鎖線で記載されているが、これらは、ヘッド基板293上にある発光素子Eと、ヘッド基板293上にない開口ApおよびレンズLS1〜LS3との位置関係を示すために記載されたものである。
【0032】
このラインヘッド29は、長手方向LGDに長尺で幅方向LTDに短尺な全体構成を備える。そこで、図3〜図5および以下の図面では必要に応じて、ラインヘッド29の長手方向LGDおよび幅方向LTDを示す。また、レンズが構成する結像光学系の光軸方向Doaについても、図3〜図5および以下の図面で適宜示すとともに、必要に応じて、光軸方向Doaの矢印側を「表」あるいは「上」と表現し、光軸方向Doaの矢印と反対側を「裏」「下」あるいは「底」と表現する。なお、これらの方向LGD、LTD、Doaは互いに直交もしくは略直交している。
【0033】
また、上述のとおり、同ラインヘッド29を画像形成装置に適用するにあたっては、ラインヘッド29は、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに移動する感光体ドラム21表面に対して露光を行なうものであり、しかも、感光体ドラム21表面の主走査方向MDはラインヘッド29の長手方向LGDに平行もしくは略平行であり、感光体ドラム21表面の副走査方向SDはラインヘッド29の幅方向LTDに平行もしくは略平行である。そこで、必要に応じて、長手方向LGD・幅方向LTDと一緒に、主走査方向MD・副走査方向SDも図示することとする。
【0034】
ラインヘッド29では、複数(図1の例では35個)の発光素子Eを長手方向LGDに2行千鳥で並べて、1個の発光素子グループEGが構成されている。さらに、ラインヘッド29では、複数の発光素子グループEGが2行千鳥で長手方向LGDに並べられている。かかる配列態様は、換言すれば次のようにも説明できる。つまり、長手方向LGDへ距離2×Dg毎に発光素子グループEGを配置して、長手方向LGDに直線的に並ぶ複数の発光素子グループEGから1行の発光素子グループ行GRa等が構成される。さらに、2行の発光素子グループ行GRa、GRbは、幅方向LTDに距離Dtを空けて配置されるとともに、長手方向LGDに距離Dgだけ互いにシフトされている。
【0035】
また、各発光素子Eは、互いに同一の発光スペクトルを有するトップエミッション型の有機EL(Electro-Luminescence)素子である。つまり、各発光素子Eを構成する有機EL素子は、長手方向LGDに長く幅方向LTDに短いガラス平板であるヘッド基板293の表面293−hに形成されている。
【0036】
上述のように配置された複数の発光素子グループEGそれぞれに対しては1つの結像光学系OSが対向している。具体的には、この結像光学系OSは、光軸方向Doaに並ぶ3枚のレンズLS1、LS2、LS3で構成されている。平面視において、これらレンズLS1、LS2、LS3は、発光素子グループEGに近い方からこの順番で並んでいる。また、第1レンズLS1は、物体側(発光素子グループEG側)に凸であり、第2レンズLS2は像側(感光体ドラム21側)に凸であり、第3レンズLS3は物体側に凸となっている。なお、図4、図5では、発光素子グループEGとレンズLS1との間には遮光部材297が図示されているが、これについては結像光学系の説明の後に説明する。
【0037】
このラインヘッド29では、2行千鳥で並ぶ複数の発光素子グループEGのそれぞれに対向してレンズLS1、LS2、LS3を配置するために、複数のレンズLS1を2行千鳥で並べたレンズアレイLA1と、複数のレンズLS2を2行千鳥で並べたレンズアレイLA2と、複数のレンズLS3を2行千鳥で並べたレンズアレイLA3とが設けられている。つまり、レンズアレイLA1(LA2、LA3)では、長手方向LGDへ距離2×Dg毎にレンズLS1(LS2、LS3)を配置して、長手方向LGDに直線的に並ぶ複数のレンズLS1(LS2、LS3)から1行のレンズ行が構成される。さらに、2行のレンズ行は、幅方向LTDに距離Dtを空けて配置されるとともに、長手方向LGDに距離Dgだけ互いにシフトされている。ちなみに、レンズアレイLA1(LA2、LA3)は、平板形状を有して光透過性のガラス基板SBに樹脂製のレンズLS1(LS2、LS3)を形成することで構成することができる。
【0038】
また、レンズアレイLA1、LA2の間には、スペーサー294と開口絞り295とが配置されている。スペーサー294は、平板形状を有するガラス(ガラス基板)である。一方、開口絞り295は、レンズLS1、LS2、LS3の直径よりも小さい直径の円形状の開口Apが貫通形成された、薄い平板により構成されている。この開口絞り295では、2行千鳥で並ぶ複数の発光素子グループEGのそれぞれに対向して複数の開口Apが2行千鳥で並んでいる。そして、発光素子グループEGの各発光素子Eから射出した光は、開口絞り295により光量が規定されたのちに、レンズLS1、LS2、LS3によって感光体ドラム21表面に結像される。
【0039】
そして、レンズアレイLA1、LA2それぞれのガラス基板SBが有する両主面のうち、レンズLS1、LS2が形成された主面を一方面とし、レンズLS1、LS2が形成されていない主面を他方面としたとき、スペーサー294がレンズアレイLA1のガラス基板SBの他方面に配置され、開口絞り295がレンズアレイLA2の他方面に配置された状態で、レンズアレイLA1、スペーサー294、開口絞り295およびレンズアレイLA2がこの順番で並んで積層されて、相互に接着されている。こうして、2枚のレンズアレイLA1、LA2をスペーサー294および開口絞り295を介して貼り合わせて一体的に形成した、板状の光学部材298が構成されている。
【0040】
また、この実施形態では、長手方向LGDに長尺な板状光学部材298およびレンズアレイLA3を一体的な構成で作成することは困難であることに鑑みて、比較的短尺な板状光学部材298およびレンズアレイLA3を作製し、これらを長手方向LGDに並べることで長尺化を図っている。
【0041】
より具体的には、ヘッド基板表面293−hの幅方向LTDの両端部それぞれには、複数のスペーサーSP1が長手方向LGDに直線的に間隔を空けて並べられている。そして、幅方向LTDへスペーサーSP1、SP1に架設された状態で、複数の板状光学部材298(レンズアレイLA1、LA2)が長手方向LGDに並べられて、長尺レンズアレイが構成されている。また、これら複数の板状光学部材298表面の幅方向LTDの両端部それぞれには、複数のスペーサーSP2が長手方向LGDに直線的に間隔を空けて並べられている。そして、幅方向LTDへスペーサーSP2、SP2に架設された状態で、複数のレンズアレイLA3が長手方向LGDに並べられて、1つの長尺レンズアレイが構成されている。
【0042】
つまり、上述のように構成された板状光学部材298およびレンズアレイLA3をヘッド基板293に対向させることで、発光素子グループEGの2行千鳥配置に対応して、光軸方向Doaに並ぶレンズLS1、開口Ap、レンズLS2、レンズLS3で構成される結像光学系OSが2行千鳥で長手方向LGDに並ぶこととなる。そして、発光素子グループEGの各発光素子Eが射出した光は、結像光学系OSを透過して、感光体ドラム21表面に照射される。なお、図5では、発光素子グループ行GRaに属する発光素子グループEGからの光を結像する結像光学系OSに対して符号OSaが併記されている。また、同様にして、発光素子グループ行GRbに属する発光素子グループEGからの光を結像する結像光学系OSに対して符号OSbが併記されている。すなわち、幅方向LTDに互いに異なる位置に配置された結像光学系OSに対して、異なる符合OSa、OSbが付されている。
【0043】
このように、ラインヘッド29では、複数の発光素子グループEGそれぞれに対して専用の結像光学系OSが配置されている。このようなラインヘッド29では、発光素子グループEGからの光は、当該発光素子グループEGに設けられた結像光学系OSにのみ入射し、それ以外の結像光学系OSに入射しないことが望ましい。そこで、ヘッド基板293の表面293−hとレンズアレイLA1との間には、遮光部材297が設けられている。この遮光部材297は、発光素子グループEGから当該発光素子グループEGに対向する結像光学系OSに向かう光を制限する機能を果たす。具体的には、遮光部材297には、発光素子グループEGからこれに対向する結像光学系OSへと向かう導光孔2971が、光軸方向Doaに貫通形成されている。導光孔2971は、発光素子グループEGの幅より短い直径を有する円柱形状の孔であり、その中心軸は結像光学系OSの光軸OAと概ね一致している。したがって、発光素子グループEGから射出された光のうち、遮光部材297の底面で遮られることなく導光孔2971を通過した光が、結像光学系OSに入射することとなる。そして、結像光学系OSは反転像かつ等倍像を形成する結像倍率で入射光を結像して、感光体ドラム21表面に光のスポットを形成する。
【0044】
ちなみに、遮光部材297が有する導光孔2971の上側はレンズLS1に対向する一方、導光孔2971の下側はトップエミッション型の発光素子Eからなる発光素子グループEGに対向する。このような構成では、導光孔2971の周縁部がレンズLS1や発光素子グループEGと干渉することを防止しておくことが好適となる。
【0045】
そこで、この実施形態では、レンズアレイLA1に並ぶ複数のレンズLS1の間には、主走査方向MDおよび副走査方向SDそれぞれに間隔CLが設けられている。この間隔CLにおいてレンズアレイLA1の裏面は平坦に仕上げられている。そして、レンズLS1より大きい直径で仕上げられた導光孔2971の上側の周縁部がこの間隔CLに当接するように設けられている。こうして、導光孔2971の周縁部とレンズLS1との干渉が防止されている。
【0046】
一方、ヘッド基板293の表面293−hにおいて、発光素子Eが形成されている領域の副走査方向SDの両外側には、底上部材299が設けられている。そして、遮光部材297は副走査方向SDからこれら底上部材299に架設されており、その結果、導光孔2971の下側の周縁部とヘッド基板表面293−hとの間には隙間が設けられている。その結果、発光素子グループEGはこの隙間に位置することができ、導光孔2971の下側の周縁部と発光素子グループEGとの干渉が防止されている。
【0047】
上述のとおり、このラインヘッド29では、発光素子グループEGに対して、レンズLS1、開口Ap、レンズLS2、レンズLS3がこの順番で光軸方向Doaに並ぶ。したがって、発光素子グループEG(の各発光素子E)が射出した光は、レンズLS1、開口Ap、レンズLS2、LS3をこの順番で透過して、感光体ドラム21の表面に結像される。こうして、発光素子グループEGの光が、結像光学系OSに結像されて、感光体ドラム21表面の所定範囲の露光を担う。
【0048】
具体的には、1つの結像光学系OSが2.667[mm]の露光を担当する。例えば、330[mm]の幅を露光するためには、124個のレンズLS1(LS2、LS3)が形成されたレンズアレイLA1(LA2、LA3)を用いる。レンズLS1(LS2、LS3)のそれぞれは、主走査方向MDに5.334[mm]ピッチで配列されたレンズ行が2行千鳥で配置されており、行の間隔Dtは、1.6[mm]となっている。一方、結像光学系OSの像側はテレセントリックになっており、その結果、像面に最も近いレンズLS3は、レンズLS1、LS2に比べて外形が大きく、互いの周縁が接続されている(図3)。ただし、その周縁と、レンズLS3の光線通過領域が干渉することはないように構成されている。
【0049】
上記の構成では、1つの発光素子グループEGが2.667[mm]の領域の露光を担うため、1つの発光素子グループEGを構成する発光素子Eの個数は、解像度が1200dpi(dots per inch)のときは126個以上、2400dpiのときは252個以上が必要となる。図6等で後述する結像光学系の倍率は−1倍(倒立等倍)なので、感光体ドラム21上の結像スポットのピッチと発光素子グループEGでの発光素子Eのピッチは等しい。
【0050】
この実施系形態のレンズLS1、LS2、LS3の結像性能は非常に高いため、発光素子Eの大きさが小さければ、結像スポットも小さくなる。そのため、発光素子Eを1列に並べたとすると、発光素子Eの大きさはそのピッチよりはかなり小さくなる。したがって、感光体ドラム21表面上の結像スポットもそのピッチに比べて小さいものになる。しかしながら、スポットの径はスポットのピッチより若干大きい方が望ましい。そこで、この実施形態では、発光素子Eを2列以上に並べて、発光素子Eの大きさを発光素子Eのピッチよりも同等かやや大きめの発光部の大きさにしている。
【0051】
以上のような構成を具備する結像光学系の具体例としては、次のようなものが挙げられる。図6は、結像光学系の一例による結像動作を示す光線図である。図7は、図6に例示した結像光学系のレンズデータを表として示す図である。図8は、非球面(XY多項式面)の定義式を示す図である。図9は、図6に例示した結像光学系が有する各レンズ面の形状を与える係数を表として示す図である。
【0052】
図6の光線図に示す光は、620[nm]の波長を有する。図6に示す例では、3面のアナモフィック非球面(レンズLS1、LS2、LS3)を用いることで、各収差を良好に補正することが可能になっている。特に、レンズLS1とレンズLS2を開口絞り295の前後に適切な距離を隔てて配置し、かつレンズLS1を物体側(光源側)に凸、レンズLS2を像面側(感光体ドラム側)に凸にすることで、レンズLS1、LS2の口径を抑えながら、良好な収差補正が可能となっている。また、最大像高にあたる光線の画角も抑えられているので、軸上位置などの誤差感度も低く抑えることができると同時に、シェーディング(中央と端部の光量差)も抑制できている。
【0053】
また、レンズLS1、LS2、LS3を有する各レンズアレイLA1、LA2、LA3は、温度変動による伸縮を避けるために、ガラス基板SB上に樹脂でレンズ面が形成されている。樹脂のレンズ部分の成型は、金型あるいはスタンパーを用いて、樹脂にレンズ形状を転写・成型する。樹脂の成型方法は、一般的な射出成形、圧縮成型、光効果樹脂成型(2P=Photo Polymer)などが可能である。特に紫外線で樹脂を硬化させる2P成型は、金型あるいはスタンパー上に樹脂を塗布するだけで給材でき、硬化も早いので生産性が高い。
【0054】
この実施形態では、レンズLS1とレンズLS2との間にスペーサー294を介在させ、全部で3枚のガラス基板SB、SB、294を相互に接着している。したがって、ガラスの厚みを管理することで、レンズLS1とレンズLS2との面間隔を正確に管理することができる。また、2枚のレンズLS1、LS2に対してアライメントマークを成型し、そのマークを基準にして相互に位置決めして貼り合わせるか、スペーサー294にもアライメントマークを設け、レンズLS1、LS2のアライメントマークと合わせるように位置調整することで、面内方向の位置も正確に合わせることができる。このように2枚のレンズLS1、LS2は、非常に高精度に貼り合わせることが可能である。特に、面間隔の精度を必要とするときは、両面研磨ガラスを基板に用いることも可能である。
【0055】
また、レンズLS1、LS2は、厚さ0.5[mm]のガラス基板SBに成型されており、同じ厚みのスペーサー294を貼り合わせることで1.5[mm]の面間隔を確保できている。また、さらに厚いスペーサー294を用いれば、さらに面間隔を広げることが可能である。
【0056】
以上説明したように、このように構成された実施形態では、発光素子E側から、レンズLS1、LS2、LS3がこの順番で配置されている。このとき、レンズLS1は、発光素子E側に凸であって、発光素子Eの反対側から、平板状のガラス基板SBの一方面で支持されている。また、レンズLS2は、発光素子Eの反対側に凸であって、発光素子Eの側から、平板状のガラス基板SBの一方面で支持されている。そして、この実施形態は、レンズLS1を支持するガラス基板SBの他方面と、レンズLS2を支持するガラス基板SBの他方面とで、光透過性のスペーサー294を挟んだ構成を備えている。したがって、このスペーサー294によって、レンズLS1とレンズLS2との面間隔を大きくとりつつも正確に規定することが可能となり、その結果、適切な収差補正が実現可能となる。しかも、このスペーサー294には開口絞り295が設けられているため、この収差補正をより適切に実行することができる。
【0057】
その他
以上のように、上記実施形態では、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当し、発光素子Eが本発明の「発光素子」に相当し、レンズLS1が本発明の「第1のレンズ」に相当し、レンズLS1を支持するガラス基板SBが本発明の「第1の光透過性基板」に相当し、レンズアレイLA1が本発明の「第1のレンズアレイ」に相当し、レンズLS2が本発明の「第2のレンズ」に相当し、レンズLS2を支持するガラス基板SBが本発明の「第2の光透過性基板」に相当し、レンズアレイLA2が本発明の「第2のレンズアレイ」に相当し、レンズLS3が本発明の「第3のレンズ」に相当し、レンズLS3を支持するガラス基板SBが本発明の「第3の光透過性基板」に相当し、レンズアレイLA3が本発明の「第3のレンズアレイ」に相当する。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態のラインヘッド29は、レンズアレイLA1、LA2の間は、平板で構成される開口絞り295とスペーサー294とで構成されていた。レンズアレイLA1、LA2の間の構成はこれに限られない(図10〜図12)。ここで、図10、図11および図12は、レンズアレイLA1、LA2の間の構成の変形例を模式的に示した分解図である。これらの図は分解図であるので、図中の構成部材は左右方向にばらばらに示されているが、実際には、これらは左右方向に互いに接して構成されている。
【0059】
図10では、金属の蒸着あるいはスパッタリング等の手法によりスペーサー294に形成された遮光性の薄膜が開口絞り295として機能する。そして、レンズアレイLA1、LA2の間には、スペーサー294と薄膜で構成された開口絞り295が挟み込まれている。図11および図12では、レンズアレイLA1、LA2の間には2枚のスペーサー294が設けられており、これら2枚のスペーサー294の間に開口絞り295が設けられている。そして、レンズアレイLA1、スペーサー294、開口絞り295、スペーサー294およびレンズアレイLA2がこの順番で積層されて、相互に接着されている。なお、図11では、開口絞り295は、レンズアレイLA1側のスペーサー294に金属の蒸着あるいはスパッタリング等の手法により形成された薄膜である。一方、図12では、開口絞り295は、薄い平板により構成されている。なお、図11、図12の構成では、開口絞り295から各レンズLS1、LS2までの距離を等しくすることができる。ちなみに、もしレンズアレイの他方面側にレンズ形成に先立って開口絞り295を蒸着などで設けてしまうと、後の工程で2P成型でレンズを形成する場合には、開口絞り295で遮光され、十分にレンズを硬化することができない可能性があった。これに対して、この実施形態では、レンズアレイLA1、LA2とは別部材のスペーサー294に開口絞り295を設けることで、ガラス基板SBに開口絞り295を一体に形成しながら、それとは別の基板に自由にレンズを2P成型することが可能となる。
【0060】
このように、図10〜図12に示す変形例においても、レンズLS1を支持するガラス基板SBの他方面と、レンズLS2を支持するガラス基板SBの他方面とで、光透過性のスペーサー294を挟んだ構成を備えている。したがって、このスペーサー294によって、レンズLS1とレンズLS2との面間隔を大きくとりつつも正確に規定することが可能となり、その結果、適切な収差補正が実現可能となる。しかも、このスペーサー294には開口絞り295が設けられているため、この収差補正をより適切に実行することができる。
【0061】
ちなみに、各レンズアレイLA1、LA2のガラス基板SBとスペーサー294は、全く同じ材料を用いることで、調達が容易となりコストダウンを図ることができる。さらに、全く同じ材料であれば、屈折率差による接着後の界面での反射がなくなるという利点もある。また、スペーサー294の厚みをガラス基板SBの厚みと異ならせることで、開口絞り295と各レンズLS1、LS2までの距離を任意に設定することができる。
【0062】
また、副走査方向SDに異なる位置に配置される結像光学系OSの個数(換言すれば、レンズ行の行数)は2個に限られず、3個以上であっても良い。
【0063】
また、結像光学系OSを構成するレンズLS1〜LS3や開口Apの形状は上述のものに限られない。
【0064】
また、上記実施形態では、結像光学系OSの光学倍率についても種々のものを採用することができる。
【0065】
また、発光素子グループEGを構成する発光素子Eの個数や、配置態様も種々の変更が可能である。
【0066】
また、上述の有機EL素子以外に、LED(Light Emitting Diode)等の光源を、発光素子Eとして用いることもできる。
【0067】
遮光部材297の構成も上述のものに限られず、例えば、特開2008−307885号公報のように、複数枚の遮光板を間隔を設けながら重ねた遮光部材を用いることもできる。
【符号の説明】
【0068】
1…画像形成装置、 21…感光体ドラム、 29…ラインヘッド、 293…ヘッド基板、 294…スペーサー、 295…開口絞り、 Ap…開口、 297…遮光部材、 2971…導光孔、 298…板状光学部材、 E…発光素子、 EG…発光素子グループ、 LA1、LA2、LA3…レンズアレイ、 LS1、LS2、LS3…レンズ、 SB…ガラス基板、 LGD…長手方向、 LTD…幅方向、 MD…主走査方向、 SD…副走査方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発光する発光素子と、
前記発光素子が発光した光を透過する凸形状の第1のレンズ、及び前記第1のレンズを前記発光素子と対向する面で支持する第1の光透過性基板を有する第1のレンズアレイと、
前記第1のレンズを透過した光が透過する凸形状の第2のレンズ、及び前記第2のレンズを前記発光素子と対向する面の反対の面で支持する第2の光透過性基板を有する第2のレンズアレイと、
前記第2のレンズを透過した光が透過する第3のレンズを有する第3のレンズ、及び前記第3のレンズを支持する第3の光透過性基板を有する第3のレンズアレイと、
第1のレンズを透過した光を絞る開口絞りを有し、前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとに挟まれて配設されたスペーサーと、
を備えることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項2】
前記スペーサーはガラス基板を有し、前記開口絞りは前記ガラス基板に接着される請求項1に記載の露光ヘッド。
【請求項3】
前記第1の光透過性基板、前記第2の光透過性基板および前記第3の光透過性基板は、ガラスで構成される請求項1または2に記載の露光ヘッド。
【請求項4】
前記第1のレンズ、前記第2のレンズおよび前記第3のレンズは樹脂レンズである請求項1ないし3のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項5】
潜像が形成される潜像担持体と、
光を発光する発光素子と、前記発光素子が発光した光を透過する凸形状の第1のレンズ及び前記第1のレンズを前記発光素子と対向する面で支持する第1の光透過性基板を有する第1のレンズアレイと、前記第1のレンズを透過した光が透過する凸形状の第2のレンズ及び前記第2のレンズを前記発光素子と対向する面の反対の面で支持する第2の光透過性基板を有する第2のレンズアレイと、前記第2のレンズを透過した光が透過する第3のレンズを有する第3のレンズ及び前記第3のレンズを支持する第3の光透過性基板を有する第3のレンズアレイと、第1のレンズを透過した光を絞る開口絞りを有して前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとに挟まれて配設されたスペーサーと、を備えて、前記潜像担持体に前記潜像を形成する露光ヘッドと、
前記潜像担持体に形成された前記潜像を現像する現像部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
光を発光する発光素子と、
前記発光素子が発光した光を透過する凸形状の第1のレンズ、及び前記第1のレンズを前記発光素子と対向する面で支持する第1の光透過性基板を有する第1のレンズアレイと、
前記第1のレンズを透過した光が透過する凸形状の第2のレンズ、及び前記第2のレンズを前記発光素子と対向する面の反対の面で支持する第2の光透過性基板を有する第2のレンズアレイと、
前記第2のレンズを透過した光が透過する第3のレンズを有する第3のレンズ、及び前記第3のレンズを支持する第3の光透過性基板を有する第3のレンズアレイと、
第1のレンズを透過した光を絞る開口絞りを有し、前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとに挟まれて配設されたスペーサーと、
を備えることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項2】
前記スペーサーはガラス基板を有し、前記開口絞りは前記ガラス基板に接着される請求項1に記載の露光ヘッド。
【請求項3】
前記第1の光透過性基板、前記第2の光透過性基板および前記第3の光透過性基板は、ガラスで構成される請求項1または2に記載の露光ヘッド。
【請求項4】
前記第1のレンズ、前記第2のレンズおよび前記第3のレンズは樹脂レンズである請求項1ないし3のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項5】
潜像が形成される潜像担持体と、
光を発光する発光素子と、前記発光素子が発光した光を透過する凸形状の第1のレンズ及び前記第1のレンズを前記発光素子と対向する面で支持する第1の光透過性基板を有する第1のレンズアレイと、前記第1のレンズを透過した光が透過する凸形状の第2のレンズ及び前記第2のレンズを前記発光素子と対向する面の反対の面で支持する第2の光透過性基板を有する第2のレンズアレイと、前記第2のレンズを透過した光が透過する第3のレンズを有する第3のレンズ及び前記第3のレンズを支持する第3の光透過性基板を有する第3のレンズアレイと、第1のレンズを透過した光を絞る開口絞りを有して前記第1のレンズアレイと前記第2のレンズアレイとに挟まれて配設されたスペーサーと、を備えて、前記潜像担持体に前記潜像を形成する露光ヘッドと、
前記潜像担持体に形成された前記潜像を現像する現像部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−245635(P2012−245635A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116863(P2011−116863)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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