説明

静電吸着装置及び露光装置

【課題】静電吸着装置における吸着力又はその分布を容易に調整可能とする。
【解決手段】ウエハWを吸着して保持する静電チャック22であって、ウエハWに対向して配置される支持面33を有するベース部材32と、支持面33に設けられてウエハWを支持する複数の円柱状の支持部34と、支持面33の複数の支持部34の間に設けられた吸着用の電極38A,38Bと、電極38A,38Bの支持面33に対する高さを調整する複数のアクチュエータ40と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体プロセス装置又は露光装置等において、半導体ウエハ又はマスク等の被吸着物を吸着するために使用される静電吸着装置に関する。さらに、本発明は、静電吸着装置を備えた露光装置、及びこの露光装置を用いるデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
露光光として波長が100nm程度以下の極端紫外光(以下、EUV(Extreme Ultraviolet)光と呼ぶ。)を使用する露光装置は真空環境下に設置されるため、ウエハ及びレチクルを保持するために静電チャックが使用される。さらに、半導体基板等に対する薄膜形成又はエッチング等を行うCVD装置等においても、被吸着物を保持するために静電チャックが使用されている。
【0003】
静電チャックとしては、支持面に被吸着物を支持するための複数の凸状の支持部が設けられた部材と、その支持面の複数の凸状の支持部間に設けられた誘電部材と、この誘電部材内に設けられた電極部と、を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−161319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の静電チャックでは、複数の支持部によって支持される被吸着物に対する吸着力は、その被吸着物と電極部が設けられた誘電部材との間隔(距離)によって変化する。しかしながら、その間隔は、各支持部の高さ及びその誘電部材の厚さの精度を含む製造時の各部材の加工精度に依存しているため、その加工精度によっては、静電チャックの吸着力が目標とする範囲から外れる割合が増えて、静電チャックの製造時の歩留まりが低くなるという問題があった。
【0006】
さらに、各支持部の高さ及び誘電部材の厚さにはある程度のばらつきがあるため、そのばらつきが大きくなると、静電チャックの支持面上で被吸着物に対する吸着力の分布のばらつきが大きくなり、被吸着物に変形等が生じる恐れがあった。
本発明の態様は、このような事情に鑑み、静電吸着装置における吸着力又は/及びその分布を調整可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、被吸着物を吸着する静電吸着装置が提供される。この静電吸着装置は、その被吸着物に対向して配置される支持面を有するベース部と、その支持面に設けられてその被吸着物を支持する複数の凸状の支持部と、その支持面のその複数の凸状の支持部の間に設けられた吸着用の電極部と、その電極部のその支持面に対する高さを調整する高さ調整機構と、を備えるものである。
【0008】
また、第2の態様によれば、露光光で例えばパターンを介して基板を露光する露光装置が提供される。この露光装置は、本発明の静電吸着装置と、その静電吸着装置を介してそのパターンが形成されたマスク基板及び/又はその基板を吸着保持してその基板を移動するステージと、を備えるものである。
また、第3の態様によれば、本発明の露光装置を用いて物体にパターンを形成することと、そのパターンが形成されたその物体を処理することと、を含むデバイス製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の態様によれば、電極部の支持面に対する高さを調整する高さ調整機構を備えているため、その高さ調整機構を用いてその電極部の高さ又は高さの分布を調整できる。また、その電極部の高さによって、その電極部と被吸着物との間隔に依存する吸着力(静電吸着力)を調整できるため、静電吸着装置における吸着力又はその分布を容易に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(A)は第1の実施形態の静電チャック22を示す平面図、(B)は図1(A)中の誘電部材36を示す平面図、(C)は図1(A)中の電極38A,38Bを示す平面図である。
【図2】(A)は図1(A)のII−II線に沿う断面図、(B)は図2(A)の状態から誘電部材36を降下させた状態を示す断面図である。
【図3】誘電部材及び被吸着物の間隔と静電容量との関係の一例を示す図である。
【図4】(A)は第1変形例の静電チャックを示す断面図、(B)は図4(A)の状態から誘電部材36を降下させた状態を示す断面図である。
【図5】(A)は第2変形例の静電チャックを示す平面図、(B)は図5(A)のVB−VB線に沿う断面図である。
【図6】(A)は第3変形例の静電チャックを示す断面図、(B)は第4変形例の静電チャックを示す断面図である。
【図7】第5変形例の静電チャックを示す平面図である。
【図8】第2の実施形態の露光装置の概略構成を示す図である。
【図9】電子デバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
本発明の静電吸着装置の実施形態につき図1〜図3を参照して説明する。図1(A)は、本実施形態に係る静電チャック22を示す平面図、図2(A)は図1(A)のII−II線に沿う断面図である。静電チャック22は、例えば半導体プロセス装置(CVD装置等)又は露光装置等において、半導体デバイス製造用の一例として直径が300mm程度又は450mm程度の円板状の半導体ウエハ(以下、単にウエハという。)を吸着して保持するために使用される。図1(A)において、静電チャック22は、平板状のベース部材32と、ベース部材32の表面である被吸着物に対向する支持面33に2次元的に設けられた複数の円柱状の支持部34とを有する。なお、本実施形態のおけるベース部材32は、吸着対象のウエハとほぼ同じ大きさの円形形状で形成されるが、ベース部材32の形状は、円形に限られない。支持部34の上端の平面の先端34a(図2(A)参照)に吸着対象のウエハWが載置される。以下、図1(A)において、支持面33に平行な平面内の直交座標系をX軸及びY軸として、その平面に垂直な方向にZ軸(図2(A)参照)を取って説明する。
【0012】
図1(A)において、円形の支持面33において、複数の支持部34は、一例としてX方向に所定間隔で配列された複数個(例えば2〜7個)の支持部34よりなる複数列(例えば7列)の支持部群に分けられ、これら複数列の支持部群が、X方向の位置をその所定間隔の1/2ずつずらしながら、Y方向に所定間隔で配列されている。複数の支持部34の中心のX方向、Y方向の配列の間隔は、一例として1mm〜数10mm、例えば、3mm〜数十mm、または3〜50mm程度に設定することができる。被吸着物(ウエハ)の撓みを少なくするためには、その配列の間隔は狭い方がよい。また、ウエハの撓みが少ない場合には、その配列の間隔は例えば10〜30mm程度であってもよい。
【0013】
図2(A)に示すように、本実施形態では、複数の支持部34はベース部材32と一体的に形成されている。ベース部材32の材料は、一例として低膨張率のガラス又はセラミックスである。低膨張率のガラスとしては、例えばコーニング社のULE(Ultra Low Expansion)(商品名)等が使用できる。低膨張率のセラミックスとしては、例えばショット社のゼロデュア(商品名)又は炭化ケイ素(SiC)、酸化アルミニウム(Al23)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si34)等が使用できる。ベース部材32及び支持部34を形成するためには、ベース部材32と同じ大きさで支持部34の先端までの厚さを有する部材を用意し、この部材にエッチング又はブラスト加工(例えばサンド・ブラスト加工)によって複数の支持部34を形成し、例えば研磨によって各支持部34の先端34aを平面に加工してもよい。各支持部34の直径dの円形の先端34aの周囲には面取りが施されている。先端34aの直径dは、例えば100μm〜1mm程度が好ましく、例えば数100μm程度でもよい。また、ベース部材32の支持面33から支持部34の先端34aまでの高さ(Z方向の長さ)h1は、一例として200μm〜数mm、例えば、200μm〜数mm、または300μm〜5mm程度が好ましい。
【0014】
図1(A)において、静電チャック22は、ベース部材32の支持面33上の複数の支持部34の間に配置された、誘電性材料(誘電体又は絶縁体)よりなる均一な厚さの膜状の誘電部材36と、誘電部材36の内部に挟み込まれた導電性材料(例えば金属)よりなる箔状又は膜状の第1の電極38A及び第2の電極38Bとを有する。さらに、静電チャック22は、双極型の一対の電極38A,38Bの間に例えば数十〜数kVの直流電圧を印加する直流電源24Bと、直流電源24B等の動作を制御する制御部24Aとを有する。
【0015】
本実施形態では、誘電部材36の誘電性材料として、一例としてポリイミド樹脂等の合成樹脂が使用されている。図1(B)に示すように、全体として円形の膜状の誘電部材36には、複数の支持部34を通すための複数の開口36aが形成されている。また、電極38A,38Bはそれぞれ外形がほぼ対称な半円状であり、Y方向に近接して誘電部材36内に収容されている。電極38A,38Bには、図1(C)に示すように、誘電部材36の開口36aに対応する部分に円形又は半円状の切り欠き部38Aa,38Baが形成されている。これによって、電極38A,38Bを収容した誘電部材36を支持面33上で複数の支持部34の間に容易に配置できる。誘電部材36内に電極38A,38Bを収容するためには、例えば誘電部材36を高さ方向に2分割した2つの部材を製造し、この2つの部材の間に電極38A,38Bを挟み込んで、この2つの部材を接着又は溶着で固定してもよい。
【0016】
図2(A)に示すように、電極38A,38Bは、誘電部材36のウエハW(被吸着物)に対向する表面36bと支持面33に対向する裏面36cとの間のほぼZ方向の中間の位置に挟み込まれて収容されている。誘電部材36の厚さh2は、一例として100μm〜1mm程度が好ましく、例えば200〜500μm程度でもよい。また、電極38A,38Bの厚さは、誘電部材36の厚さh2の数分の1よりも小さい。誘電部材36の厚さh2が200〜500μmである場合、電極38A,38Bの中心から誘電部材36の表面36bまでの間隔はほぼ100〜250μmである。
【0017】
また、静電チャック22は、ベース部材32の支持面33と誘電部材36の裏面36cとの間に設置された複数のアクチュエータ40と、制御部24Aの制御のもとで、各アクチュエータ40を個別に駆動して、各アクチュエータ40の高さ(支持面33と誘電部材36の裏面36cとのZ方向の間隔)h3を調整する駆動制御部24C(図1(A)参照)とを有する。本実施形態では、アクチュエータ40として、リニア超音波モータが使用されている。すなわち、アクチュエータ40は、ベース部材32の支持面33に固定されて、圧電素子を含む駆動部41Cと、駆動部41Cから発生する振動を伝えるZ方向に伸びたロッド部41Bと、その振動によってロッド部41Bに対してZ方向に移動する移動体41Aとを有する。駆動制御部24Cが駆動部41Cの動作を制御する。移動体41Aの上面は誘電部材36の裏面36cに固定されている。
【0018】
なお、複数のアクチュエータ40は、互いに同じ構成であるが、一つを除いて簡略化して図示されている。また、図2(B)等では、全部のアクチュエータ40が簡略化して図示されている。本実施形態のアクチュエータ40は超音波モータであるため、移動体41Aの上面の支持面33からの高さ(アクチュエータ40の高さh3)を調整した後、駆動部41Cに供給する電力をオフにしても、その高さh3はその調整後の高さに保持される。
【0019】
支持部34の高さh1から、誘電部材36の厚さh2及びアクチュエータ40の高さh3を差し引いて得られる間隔g1が、複数の支持部34の先端34aに支持されるウエハWと誘電部材36の表面36aとの間隔であり、この間隔g1及び電極38A,38B間に印加される電圧によって、ウエハWに対する吸着力が規定される。この吸着力を目標とする範囲に収めるためには、その間隔g1は例えば数μm〜数10μm程度の範囲内に設定される。従って、支持部34及び誘電部材36の製造誤差を考慮して、アクチュエータ40の高さh3は、一例として、支持部34の高さh1と誘電部材36の厚さh2との差分(=h1−h2)に対して±100μm程度の範囲内で可変であればよい。
【0020】
次に、本実施形態の静電チャック22で吸着対象のウエハ(ウエハWとする)に対する吸着力を目標範囲内に設定し、かつその吸着力のXY平面内での分布(例えば最大値と最小値との差分)を目標範囲内に設定するために、駆動制御部24Cによって複数のアクチュエータ40を駆動して、誘電部材36の高さの分布及びその分布を調整する方法の一例につき説明する。まず、初期状態では、図1(A)において、複数のアクチュエータ40の高さは、例えば複数の支持部34の先端にウエハW(図2(A)参照)を載置した状態で、誘電部材36の表面がウエハWにほぼ均一に接触するように調整される。ウエハWは、不図示の押さえ機構によって複数の支持部34側に均一に付勢されている。その後、駆動制御部24Cによって、第1の電極38Aの下方の一群のアクチュエータ40は、その高さが一律に変化するように駆動され、第2の電極38Bの下方の一群のアクチュエータ40も、その高さが一律に変化するように駆動される。
【0021】
そして、図2(B)に示すように、全部のアクチュエータ40は、誘電部材36の表面がウエハWの裏面からほぼ間隔g2だけ降下するように駆動される。その間隔g2は例えば100μmである。その後、ウエハWの裏面に導電性のプローブ43を接触させ、プローブ43及び誘電部材36内の第1の電極38Aをそれぞれケーブル44A及び44Bを介して静電容量計測器42に連結し、静電容量計測器42でウエハWと電極38A(誘電部材36)との間の静電容量を計測しながら、電極38Aの下方の一群のアクチュエータ40の高さh3を一律に増加させて、ウエハWと誘電部材36との間隔g1を小さくする。
【0022】
図3は、そのようにして計測される間隔g1(μm)と静電容量計測器42で計測される静電容量(キャパシタンス)(任意単位)との関係の一例を示す。なお、図3において、横軸の間隔g1は、図2(B)の誘電部材36を降下させたときの間隔g2を原点として、この原点からの高さで表されている。図3に示すように、電極38Aの部分で誘電部材36がウエハWに接触するとき(間隔g1がgmaxになるとき)に、その静電容量は最大値になり、その後、誘電部材36が弾性変形する範囲で間隔g1を大きくしてもその静電容量は変化しない。そこで、次に電極38Aの下方の一群のアクチュエータ40の高さを一律に降下させて、静電容量計測器42で計測される静電容量がその最大値から例えば10%小さくなる位置(間隔g1がgsetになる位置)で、その一群のアクチュエータ40の駆動電力をオフにする。本実施形態では、その間隔gmaxと間隔gsetとの差分が、吸着対象のウエハWの裏面と誘電部材36の表面との間隔の目標値である。
【0023】
その後、静電容量計測器42のケーブル44Bを第2の電極38Bに接続し、静電容量計測器42でウエハWと電極38B(誘電部材36)との間の静電容量を計測しながら、電極38Bの下方の一群のアクチュエータ40の高さh3を一律に増加させる。そして、計測される静電容量が最大値になって変化しなくなってから、その一群のアクチュエータ40の高さh3を一律に降下させ、静電容量計測器42で計測される静電容量がその最大値から例えば10%小さくなる位置で、その一群のアクチュエータ40の駆動電力をオフにする。これによって、複数の支持部34で支持されるウエハWの裏面と誘電部材36との間隔はXY平面内の全面でほぼ均一に目標値になる。従って、電極38A,38B間に直流電源24Bから直流電圧を印加したときに、静電チャック22からウエハWに作用する静電吸着力の分布は均一に、かつ目標値となる。
【0024】
その後、図1(A)の静電チャック22を半導体プロセス装置又は露光装置等に装着したときには、複数のアクチュエータ40の高さは調整済みであるため、アクチュエータ40を駆動するための駆動制御部24Cは取り外してもよい。そして、静電チャック22にプロセス対象又は露光対象のウエハを吸着保持する場合には、そのウエハが複数の支持部34の上に載置されたときに、直流電源24Bから電極38A,38B間に所定の直流電圧を印加することによって、そのウエハは、均一な目標範囲内の吸着力で保持される。そして、そのウエハを搬出するときには、直流電源24Bから電極38A,38B間に印加する直流電圧を0にすればよい。
【0025】
上述のように、本実施形態のウエハWを吸着して保持する静電チャック22は、ウエハWに対向して配置される支持面33を有するベース部材32と、支持面33に設けられてウエハWを支持する複数の円柱状の支持部34と、を有する。さらに、静電チャック22は、支持面33の複数の支持部34の間に設けられた吸着用の電極38A,38Bと、電極38A,38Bの支持面33に対する高さを調整する複数のアクチュエータ40と、を備えている。
【0026】
本実施形態の静電チャック22によれば、電極38A,38Bの支持面33に対する高さを調整する高さ調整機構である複数のアクチュエータ40を備えているため、アクチュエータ40を用いて電極38A,38Bの高さ及び高さの分布を調整できる。また、電極38A,38B間の電圧及び電極38A,38Bの高さによって、ウエハWに対する静電吸着力が定まるため、電極38A,38Bの高さ及びその高さの分布を調整することで、静電チャック22によるウエハWに対する吸着力(静電吸着力)及びその分布を容易に調整できる。従って、ベース部材32の支持面33に設けられる複数の支持部34の高さの加工精度が良好でない場合であっても、静電チャック22によるウエハWに対する吸着力及び吸着力の分布を容易に目標範囲内に調整できる。このため、静電チャック22で吸着保持されるウエハWの平面度も向上する。
【0027】
なお、支持部34は、面取りが施された円柱状であるが、支持部34の形状は単なる円柱状又は円錐台状でもよい。さらに、支持部34の形状は角柱状又は角錐台状等でもよい。
さらに、静電チャック22は、電極38A,38Bを収容する平坦な膜状の誘電性材料よりなる誘電部材36を有し、誘電部材36には複数の支持部34を通すための複数の開口36aが形成されている。さらに、誘電部材36に収容された電極38A,38Bにも開口36aを囲む円形状又は開口36aに近接した半円状の切り欠き部38Aa,38Baが形成されている。従って、電極38A,38Bを収容した誘電部材36を容易に支持面33上で複数の支持部34の間に設置できる。さらに、電極38A,38Bが誘電部材36に収容されているため、電極38A,38BのウエハWに対する接触を確実に防止できる。また、ウエハWと誘電部材36との間隔を、ウエハWと誘電部材36(電極38A,38B)との間の静電容量が最大値よりも或る程度小さくなるように設定した状態で、例えば電極38A,38B間に所定電圧を印加することによって、静電吸着力によってウエハWをベース部材32の支持面33側に吸着して、ウエハWを複数の支持部34に安定に保持できる。さらに、誘電部材36の厚さの加工精度が良好でない場合でも、アクチュエータ40によってウエハWと誘電部材36との間隔を調整することによって、静電チャック22における吸着力及びその分布を容易に目標範囲内に調整できる。
【0028】
なお、誘電部材36は省略することが可能である。すなわち、電極38A,38Bを直接ウエハWの裏面に対向させてもよい。この場合、間隔g1は、複数の支持部34の先端34aに支持されるウエハWと電極38A,38Bの表面との間隔とすることができる。 また、例えば電極38A,38Bは、誘電性材料の膜状の部材の底面に固定し、その膜状の部材をウエハW側に配置してもよい。
なお、本実施形態では次のような変形が可能である。まず、本実施形態の静電チャック22は双極型であるが、電極38A,38Bを導通させて単極型とすることも可能である。
【0029】
また、図4(A)の第1変形例で示すように、複数の支持部34のうちの例えば一つ(複数個でもよい)の支持部34の先端34aを含む部分に金属等の導電性膜46をコーティングし、導電性膜46と導通するようにベース部材32の支持面33から側面にかけて金属等の導電性膜47をコーティングしてもよい。なお、図4(A)及び(B)において、図1(A)及び図2(A)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0030】
図4(A)の変形例では、図2(B)に示すように、静電容量計測器42を用いてウエハWと誘電部材36(電極38A,38B)との間の静電容量を計測する場合には、ベース部材32の導電性膜47を接地ライン48を介して接地し、静電容量計測器42のケーブル44Aを接地すればよい。従って、その静電容量を容易に計測できる。さらに、ウエハWを吸着する際に、ウエハWを接地するときにも、導電性膜46,47を介してウエハWを容易に接地できる。
【0031】
さらに、図4(A)の変形例では、図4(B)に示すように、電極38A,38Bをそれぞれスイッチ回路49,50の第1端子49a,50aに接続し、スイッチ回路49,50の第2端子49b,50bを静電容量計測器42A,42Bの一方の入力部に接続し、スイッチ回路49,50の第3端子49c,50cを直流電源24Bに接続し、静電容量計測器42A,42Bの他方の入力部を接地ライン48に接続してもよい。この変形例では、スイッチ回路49,50の第1端子49a,50aを第2端子49b,50bに接続することで、電極38A,38B(誘電部材36)とウエハWとの間の静電容量(ひいてはウエハWと誘電部材36との間隔)を計測できる。一方、スイッチ回路49,50の第1端子49a,50aを第3端子49c,50cに接続することで、直流電源24Bから電極38A,38B間に所定の直流電圧を印加して、ウエハWを支持部34に吸着できる。
【0032】
そこで、この変形例では、ウエハWの吸着を解除する際には、図4(B)に示すように、電極38A,38B間の電圧を0にするとともに、各アクチュエータ40(誘電部材36)の高さを下げてもよい。これによって、ウエハWを容易に搬出できる。その後、別のウエハWを複数の支持部34の上に載置するときには、スイッチ回路49,50の第1端子49a,50aを第2端子49b,50bに接続して、静電容量計測器42A,42Bで電極38A,38B(誘電部材36)とウエハWとの間の間隔を計測し、その間隔が目標値になったときに、スイッチ回路49,50の第1端子49a,50aを第3端子49c,50cに接続して、電極38A,38B間に直流電圧を印加すればよい。これによって、再びウエハWを目標とする吸着力で支持部34に保持できる。なお、静電容量計測器42A,42Bとは別のセンサを用いて誘電部材36とウエハWとの間隔を計測し、この計測値に基づいてアクチュエータ40を駆動してもよい。
【0033】
また、図5(A)は第2変形例の静電チャック22Aを示す平面図、図5(B)は図5(A)のVB−VB線に沿う断面図である。なお、図5(A)及び(B)及び以下で説明する図6(A)及び(B)において、図1(A)及び図2(A)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図5(A)において、静電チャック22Aのベース部材32の支持面33には、複数の支持部34を囲むようにリング状の側壁部52が設けられている。また、支持面33の側壁部52の内側において、複数の支持部34の間に誘電部材36が配置され、誘電部材36内に一対の電極38A,38Bが収容され、誘電部材36と支持面33との間に複数のアクチュエータ40が配置されている。さらに、図5(B)に示すように、ベース部材32に側壁部52の内側に連通するように排気用の貫通穴32aが形成され、貫通穴32aに配管53を介して真空ポンプ54が連結されている。この他の構成は図1(A)の静電チャック22と同様である。
【0034】
この変形例の静電チャック22Aにおいて、図5(A)に示すように、ウエハWの裏面にプローブ43を接触させて、静電容量計測器42でウエハWと電極38A(又は38B)(誘電部材36)との間の静電容量を計測する場合には、真空ポンプ54を介してベース部材32の支持面33の側壁部52の内側の空気を排気する。これによって、ウエハWは、支持部34側に真空吸着されるため、プローブ43をウエハWに確実に接触させた状態で、ウエハWと電極38A(又は38B)(誘電部材36)との間の静電容量を高精度に計測できる。
【0035】
次に、図6(A)は第3変形例の静電チャック22Bを示す断面図である。図6(A)において、ベース部材32の支持面33に設けられた複数の支持部34の間に誘電部材36が配置され、誘電部材36内に電極38A,38Bが収容されている。また、ベース部材32に複数の貫通穴32bが形成されている。さらに、ベース部材32の底面に所定のスペースをあけてフレーム56が固定されている。また、フレーム56の上面に貫通穴32bを通して誘電部材36を底面から支持するように複数のリニア超音波モータよりなるアクチュエータ40Aが設けられている。アクチュエータ40Aは、一例として、フレーム56の上面に固定されて、圧電素子を含む駆動部41Cと、駆動部41Cから発生する振動を伝えるZ方向に伸びたロッド部41Dと、その振動によってロッド部41Dに対してZ方向に移動する移動体41Aとを有する。ロッド部41Dは貫通穴32bを通過し、図1(A)の駆動制御部24Cによって駆動部41Cの動作が制御される。図6(A)の移動体41Aの上面も誘電部材36の裏面に固定されている。この他の構成は図1(A)の実施形態と同様であり、誘電部材36内の電極38A,38B間には直流電圧が印加される。
【0036】
この第3変形例の静電チャック22Bにおいても、複数のアクチュエータ40Aの移動体41Aの高さを調整することによって、支持部34及び誘電部材36の加工精度が良好でない場合でも、支持部34に載置されるウエハWと誘電部材36との間隔を目標範囲に調整できる。これによって、上記の実施形態と同様にウエハWに対する吸着力及びその分布を目標範囲に調整できる。
【0037】
次に、図6(B)は第4変形例の静電チャック22Cを示す断面図である。図6(B)において、ベース部材32の支持面33に設けられた複数の支持部34の間に誘電部材36が配置され、誘電部材36内に電極38A,38Bが収容されている。また、ベース部材32に複数の貫通穴32cが形成され、各貫通穴32cにそれぞれ例えば金属製の円筒部材60が固定されている。円筒部材60内の支持面33側に円形の開口部60aが形成され、円筒部材60内の他方にネジ穴60bが形成されている。また、静電チャック22Cは、誘電部材36の高さを調整するための複数の高さ調整部58を有する。高さ調整部58は、円筒部材60の開口部60aにZ方向に移動可能に嵌合した軸部59bと誘電部材36の裏面に固定された連結部59aとを含む可動部材59と、ネジ穴60bに螺合して可動部材59をZ方向に移動可能なネジ部材61とを有する。ネジ部材61の下端にはレンチ62に係合可能な凹部が形成され、レンチ62を介してネジ部材61を回転することによって、可動部材59の高さ、ひいては誘電部材36の高さを調整できる。さらに、一つの高さ調整部58と誘電部材36との間に、誘電部材36の高さを微調整するためのワッシャ64が介装されている。なお、さらに、各高さ調整部58の可動部材59を−Z方向に付勢するコイルばね(不図示)を設けてもよい。この他の構成は図1(A)の静電チャック22と同様であり、誘電部材36内の電極38A,38B間には直流電圧が印加される。
【0038】
この第4変形例の静電チャック22Cにおいては、複数の高さ調整部58及び必要に応じて設置されるワッシャ64を介して対応する位置の誘電部材36の高さを調整することによって、支持部34及び誘電部材36の加工精度が良好でない場合でも、支持部34に載置されるウエハWと誘電部材36との間隔を目標範囲に調整できる。これによって、上記の実施形態と同様にウエハWに対する吸着力及びその分布を目標範囲に調整できる。
【0039】
また、図7は第5変形例の静電チャック22Dを示す平面図である。なお、図7において、図1(A)に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。図7において、静電チャック22Dのベース部材32の支持面33には、X方向に伸びたライン状の複数(例えば7個)の凸の支持部62A,62B,62C,62D,62E,62F,62GがY方向に所定間隔で形成され、支持部62A〜62Gの両側に、図1(A)の誘電部材36と同じ材料からなり同じ厚さのX方向に細長い誘電部材64A〜64Hが配置され、誘電部材64A〜64H内に、図1(A)の電極38A,38Bと同じ材料からなり同じ厚さの電極66A〜66Hが挟み込まれている。支持部62A〜62Gの高さは図1(A)の支持部34の高さと同じである。電極66A〜66Hには、直流電源24Dから例えば交互に正負が反転する直流電圧が印加されている。なお、電極66A〜66Hを互いに連結して同じ直流電圧(この際に例えば被吸着物のウエハが接地される)を印加することも可能である。
【0040】
また、誘電部材64A〜64Hと支持面33との間に一つ又は複数のアクチュエータ40が設置されている。これ以外の構成は図1(A)の実施形態と同様である。この第5変形例の静電チャック22Dにおいても、複数のアクチュエータ40によって誘電部材64A〜64Hの高さを個別に調整することによって、被吸着物(ウエハ)に対する吸着力及びその分布を容易に調整できる。
なお、ライン状の凸の支持部62A〜62Gの代わりに、複数の凸の同心円状の支持部を設けてもよい。
【0041】
[第2の実施形態]
本発明の露光装置の実施形態につき図8を参照して説明する。図8は、本実施形態の露光装置EXを示す。露光装置EXは、露光光ELとして波長が100nm程度以下のEUV(Extreme Ultraviolet)光を使用するEUV露光装置である。露光光ELとしては、一例として、波長5〜20nm、例えば波長11nmの軟X線が用いられる。露光光ELの気体による吸収を防止するため、露光装置EXは不図示の真空チャンバ内に収容されている。また、露光装置EXが備える光学部材は、所定のフィルタ等を除いて、多層膜によってEUV光を反射する反射部材(ミラー等)である。露光装置EXは、後述の投影光学系POを有するため、以下では、投影光学系POの光軸AXに平行にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内で図8の紙面に垂直な方向にX軸を、その紙面に平行な方向にY軸を取って説明する。
【0042】
露光装置EXは、露光光EL(EUV光)を発生する例えばレーザ励起プラズマ光源よりなる露光光源(不図示)と、その露光光ELを用いてレチクルRのパターン面(レチクル面)のX方向に細長い照明領域14Rを照明する照明光学系ILSと、レチクルRを移動するためのレチクルステージRSTと、レチクルステージRSTに固定されてレチクルRを吸着保持する静電チャック16と、を有する。静電チャック16としては、上記の実施形態又はその変形例の静電チャック22〜22Dのいずれかの静電チャックと同じ構成の静電チャックを使用できる。ただし、レチクルRはほぼ正方形の平板状であるため、静電チャック22等のベース部材32の代わりにほぼ正方形の平板状のベース部材が使用される。
【0043】
照明光学系ILSは、オプティカルインテグレータ及び開口絞り等を有する本体部10と、本体部10からの露光光ELをレチクル面に向けて反射集光するミラー12とを有する。レチクルRは、平板状の基板20の表面の多層膜上のパターン領域PA内に、吸収層(例えばニッケルNi又はアルミニウムAl等)によってパターニングを施したものである。また、露光装置EXは、装置全体の動作を統括的に制御するコンピュータよりなる主制御系30と、主制御系30の制御のもとで静電チャック16を駆動する電源部18とを有する。
【0044】
さらに、露光装置EXは、レチクル面で反射された露光光ELにより、ウエハWの表面の露光領域14Wに照明領域14R内のパターンの縮小像を投影する投影光学系POと、ウエハWを移動するウエハステージWSTと、ウエハステージWSTに固定されてウエハWを吸着保持する静電チャック22とを有する。静電チャック22は、図1(A)の第1の実施形態の静電チャックである。ただし、このようにウエハステージWSTに組み込まれた状態では、通常は静電チャック22の複数のアクチュエータ40の高さは調整済みで、アクチュエータ40は高さが固定されている。また、静電チャック22の誘電部材36と支持部34(図1(A)参照)に支持される被吸着物(ウエハW)との間隔は均一に目標値に調整されている。また、露光装置EXは、主制御系30の制御のもとで、静電チャック22の電極38A,38B(図1(A)参照)に直流電圧を供給する直流電源24B等を制御する静電チャック制御部24を有する。なお、静電チャック22の代わりに上記の変形例の静電チャック22A〜22Dを使用することも可能である。
【0045】
投影光学系POは、開口数NAが例えば0.1で、反射光学部材(ミラー)のみから成る反射光学系であり、投影倍率は一例として1/4倍である。投影光学系POは、一例として、6枚のミラーM1〜M6を備えているが、その構成は任意である。ウエハW(基板又は半導体基板)は、例えばシリコン又はSOI(silicon on insulator)等の円形の平板状の基材の表面に、X線フォトレジスト(感光材料)を塗布したものを含む。
【0046】
上記のレチクルステージRSTは、XY平面に沿って配置されたレチクルベース(不図示)に例えば磁気浮上型2次元リニアアクチュエータ等の駆動部(不図示)を介して浮上支持され、Y方向に駆動可能であるとともに、少なくともX方向及びZ軸の回りの傾斜方向(θz方向)にも微小量駆動可能である。レチクルステージRSTの位置は、レーザ干渉計(不図示)によって例えば0.5〜0.1nm程度の分解能で常時検出され、この検出結果に基づいて、主制御系30の制御のもとでステージ制御系26がその駆動部を介してレチクルステージRSTの位置及び速度を制御する。
【0047】
一方、ウエハステージWSTは、XY平面に沿って配置されたウエハベース(不図示)上に例えば磁気浮上型2次元リニアアクチュエータ等の駆動部(不図示)を介して浮上支持され、X方向及びY方向に駆動可能であるとともに、少なくともθz方向にも微小量駆動可能である。ウエハステージWSTの位置は、レーザ干渉計(不図示)によって例えば0.5〜0.1nm程度の分解能で常時検出され、この検出結果に基づいてステージ制御系26がその駆動部を介してウエハステージWSTの位置及び速度を制御する。また、露光装置EXは、レチクルRのアライメントマークの像の位置を計測する空間像計測系(レチクルアライメント系)及びウエハWのアライメントマークの位置を計測するウエハアライメント系を備え、これらのアライメント系の計測結果に基づいてレチクルR及びウエハWのアライメントが行われる。
【0048】
ウエハWの露光時には、ウエハステージWSTを駆動してウエハWの露光対象のショット領域(ダイ)が走査開始位置に移動される(ステップ移動)。その後、照明光学系ILSからの露光光ELのもとで、レチクルRのパターンの一部の投影光学系POによる像でウエハWの当該ショット領域を露光しつつ、レチクルステージRSTを介してレチクルRをY方向(走査方向)に移動する動作と、ウエハステージWSTを介して投影倍率に応じた速度比でウエハWをY方向に移動する動作とを同期して行うことで、ウエハWの当該ショット領域にレチクルRのパターンの像が走査露光される。このようにステップ移動と走査露光とを繰り返すステップ・アンド・スキャン方式で、ウエハWの複数のショット領域に対して順次レチクルRのパターンの像が露光される。
【0049】
このように本実施形態の露光装置EXは、露光光ELでレチクルRのパターンを介してウエハWを露光する露光装置であって、本実施形態の静電チャック22と、静電チャック22を介してウエハWを吸着保持してウエハWを移動するウエハステージWSTと、静電チャック16と、レチクルRの基板20を静電チャック16を介して吸着保持してレチクルRを移動するレチクルステージRSTと、を備えている。露光装置EXによれば、静電チャック16,22の静電吸着力が目標範囲内でかつ均一であるため、レチクルR及びウエハWの平面度が高く維持され、高精度に露光を行うことができる。
【0050】
また、上記の実施形態の露光装置EXを用いて半導体デバイス等の電子デバイス(又はマイクロデバイス)を製造する場合、電子デバイスは、図9に示すように、電子デバイスの機能・性能設計を行うステップ221、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ222、デバイスの基材である基板(ウエハ)を製造してレジストを塗布するステップ223、前述した実施形態の露光装置EX(露光方法)によりマスクのパターンを基板(感応基板)に露光する工程、露光した基板を現像する工程、現像した基板の加熱(キュア)及びエッチング工程などを含む基板処理ステップ224、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)225、並びに検査ステップ226等を経て製造される。
【0051】
言い換えると、このデバイスの製造方法は、上記の実施形態の露光装置(露光方法)を用いてその投影面上に設置される基板(ウエハ)を露光することと、露光された基板を処理すること(ステップ224)とを含んでいる。上記の実施形態の露光装置によれば、高精度に露光を行うことが可能であるため、デバイスを高精度に製造できる。
また、上記の実施形態では露光装置として、EUV露光装置が使用されているが、露光光として紫外光を使用する露光装置、又は露光光として電子線を用いる電子線露光装置等でも、レチクル及び/又はウエハを吸着するために上記の実施形態の静電チャックを使用してもよい。
【0052】
さらに、上記の実施形態の静電チャックは、半導体基板等に対する薄膜形成又はエッチング等を行うCVD装置等にも適用可能である。
このように、本発明は上述の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得る。
【符号の説明】
【0053】
EX…露光装置、R…レチクル、PO…投影光学系、W…ウエハ、RST…レチクルステージ、WST…ウエハステージ、22,22A〜22D…静電チャック、32…ベース部材、34…支持部、36…誘電部材、38A,38B…電極、40…アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被吸着物を吸着する静電吸着装置であって、
前記被吸着物に対向して配置される支持面を有するベース部と、
前記支持面に設けられて前記被吸着物を支持する複数の凸状の支持部と、
前記支持面の前記複数の凸状の支持部の間に設けられた吸着用の電極部と、
前記電極部の前記支持面に対する高さを調整する高さ調整機構と、
を備えることを特徴とする静電吸着装置。
【請求項2】
前記高さ調整機構は、前記電極の高さを調整するアクチュエータを含むことを特徴とする請求項1に記載の静電吸着装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは超音波モータであることを特徴とする請求項2に記載の静電吸着装置。
【請求項4】
前記高さ調整機構は、前記支持面と前記電極との間に設置される少なくとも1枚のスペーサを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の静電吸着装置。
【請求項5】
前記高さ調整機構は、前記支持面と前記電極との間に設置されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の静電吸着装置。
【請求項6】
前記高さ調整機構の少なくとも一部は、前記ベース部の前記支持面に対向する面の外側に設置されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の静電吸着装置。
【請求項7】
前記複数の凸状の支持部で支持される前記被吸着物と前記電極部との間の静電容量を計測する計測装置を備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の静電吸着装置。
【請求項8】
前記複数の凸状の支持部のうち一部の支持部の前記被吸着物との接触面に施された導電性のコーティング膜と、
前記コーティング膜を接地する接地ラインと、を備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の静電吸着装置。
【請求項9】
前記支持面の前記複数の凸状の支持部の間に設けられた開口と、
前記開口に接続可能な真空装置と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の静電吸着装置。
【請求項10】
前記電極部の少なくとも一部を収容する誘電部材を有することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の静電吸着装置。
【請求項11】
前記誘電部材は、前記被吸着物に対向する表面と前記支持面に対向する裏面とを有し、
前記電極部は、前記誘電部材の前記裏面と前記表面との間に設けられることを特徴とする請求項10に記載の静電吸着装置。
【請求項12】
前記誘電部材は、薄板状に形成され、
前記誘電部材は、前記複数の凸状の支持部が貫通する貫通孔を有することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の静電吸着装置。
【請求項13】
前記複数の凸状の支持部は、互いに同じ形状の円錐台状又は円柱状であることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の静電吸着装置。
【請求項14】
前記複数の凸状の支持部の先端の間隔は、1mm〜数十mmであることを特徴とする請求項13に記載の静電吸着装置。
【請求項15】
前記複数の凸状の支持部は、前記被吸着物との接触面の形状がライン状又はリング状であることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の静電吸着装置。
【請求項16】
前記複数の凸状の支持部の高さは、200μm〜数mmであることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか一項に記載の静電吸着装置。
【請求項17】
前記電極部は、電圧が印加される第1電極と第2電極とを有し、
前記第1電極及び前記第2電極は、前記支持面の一方向に沿って配置されることを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか一項に記載の静電吸着装置。
【請求項18】
露光光で基板を露光する露光装置において、
請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の静電吸着装置と、
前記静電吸着装置を介して前記基板を吸着保持して前記基板を移動するステージと、
を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項19】
露光光でパターンを介して基板を露光する露光装置において、
請求項1から請求項17のいずれか一項に記載の静電吸着装置と、
前記パターンが形成されたマスク基板を前記静電吸着装置を介して吸着保持して前記パターンを移動するステージと、
を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項20】
請求項18又は請求項19に記載の露光装置を用いて物体にパターンを形成することと、
前記パターンが形成された前記物体を処理することと、
を含むデバイス製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−4612(P2013−4612A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132268(P2011−132268)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】