説明

非ハロゲン系難燃積層フィルムおよびフラットケーブル

【課題】 難燃性に優れ、層間密着性、導電体との密着性にも優れる非ハロゲン系難燃積層フィルムおよびフラットケーブルを提供すること。
【解決手段】 基材フィルム10の片面に、硬化型難燃プライマー層(A)12、硬化型難燃樹脂層(B)14および熱可塑性難燃樹脂層(C)16を有し、各層の非ハロゲン系難燃剤の量及び各層の厚さが、(B)層>(C)層≧(A)層であり、(A)層が、厚さ1〜8μmであり、熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂に対し、ポリイソシアネート系硬化剤およびメラミンシアヌレートを特定量含有する組成物の硬化により形成される非ハロゲン系難燃積層フィルムおよびフラットケーブル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非ハロゲン系難燃積層フィルムおよびフラットケーブルに関するものであり、詳しくは、難燃性に優れ、層間密着性、導電体との密着性にも優れる非ハロゲン系難燃積層フィルムおよびフラットケーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フラットケーブルは、平行に配列された複数本の導電体を合成樹脂を主成分とする2枚の絶縁フィルムにより被覆してなるケーブルであって、コンピュータ、通信機器、オーディオ・ビデオ機器などの高密度配線に広く用いられている。これらの機器に用いられるフラットケーブルは、UL758のVW−1試験に合格するような高度な難燃性が要求される。従来は、芳香族ハロゲン化合物などの難燃剤と金属酸化物などの難燃助剤を用いることにより、合成樹脂の難燃化が図られていた。しかし、ハロゲン系難燃剤を用いると、廃棄焼却処分のときに有害なハロゲン化合物のガスが発生するために、次第に非ハロゲン系化合物の難燃剤が求められるようになってきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、少なくとも耐熱性基材フィルムの一方の面に、接着性向上層、接着性樹脂に難燃化剤を含むフィラーを含有させてなる難燃性熱接着性樹脂層を順に積層した構成のフラットケーブル用被覆材であって、該熱接着性樹脂が線状飽和ポリエステル系樹脂を主成分とする樹脂であり、該難燃化剤が少なくとも水和金属化合物、酸化アンチモン、窒素系化合物を含む混合系の難燃剤であることを特徴とするフラットケーブル用被覆材が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、共重合ポリエステル樹脂100重量部と、ノンハロゲン系難燃剤100〜250重量部を含み、共重合ポリエステル樹脂が、芳香族カルボン酸20〜40モル%と、脂肪族カルボン酸10〜30モル%を含む酸成分と、エチレングリコールおよび/またはネオペンチルグリコールを含み、これらグリコールの合計量が20〜50モル%であるグリコール成分とからなる(ただし、モル%は共重合ポリエステル樹脂を100モル%とするものである)ことを特徴とする難燃性接着剤混和物と、基材フィルムの表面に接着剤層を形成した接着フィルムで導体を挟み、この接着フィルムを接着してなるフラットケーブルにおいて、上記接着剤層を上記該難燃接着剤混和物で構成したことを特徴とするフラットケーブルが開示されている。
【0005】
しかし、上記特許文献1〜2に開示の被覆材を用いたフラットケーブルは、UL規格における垂直燃焼試験の一つであるVW−1を充分満足するものではなく、不合格になるという問題がある。また、前記特許文献1の被覆材は、層間密着性、具体的には基材フィルムと接着性向上層との密着性が不十分であり、難燃性熱接着樹脂層と導電体との密着性も充分満足するものではなく、改善の余地があった。
【特許文献1】特開2002−367443号公報
【特許文献2】特開2004−359836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の目的は、難燃性に優れ、層間密着性、導電体との密着性にも優れる非ハロゲン系難燃積層フィルムおよびフラットケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のとおりである。
1.基材フィルムの片面に、硬化型難燃プライマー層(A)を有し、さらに前記硬化型難燃プライマー層(A)の上に硬化型難燃樹脂層(B)および熱可塑性難燃樹脂層(C)をこの順で有する非ハロゲン系難燃積層フィルムであって、前記各層に含まれる非ハロゲン系難燃剤の量、及び各層の厚さが、(B)層>(C)層≧(A)層であり、
前記硬化型難燃プライマー層(A)が、厚さ1〜8μmであり、熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂100質量部に、ポリイソシアネート系硬化剤1〜20質量部、メラミンシアヌレートおよび水酸化マグネシウムから選ばれた1種以上の非ハロゲン系難燃剤を10〜80質量部を含有する組成物の硬化により形成されることを特徴とする非ハロゲン系難燃積層フィルム。
【0008】
2.前記硬化型難燃プライマー層(A)が、下記(i)〜(ii)の特性を有することを特徴とする前記1に記載の非ハロゲン系難燃積層フィルム。
(i)前記熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂の示差走査熱量測定(DSC)によって得られる200〜500℃における総反応熱量が、300〜600J/gである。(ii)前記硬化型難燃プライマー層(A)の示差走査熱量測定(DSC)によって得られる200〜500℃における総反応熱量が−150〜−350J/gである。
【0009】
3.前記硬化型難燃樹脂層(B)が、厚さ20〜50μmであり、熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂100質量部に、ポリイソシアネート系硬化剤1〜20質量部、非ハロゲン系難燃剤150〜350質量部を含有する組成物の硬化により形成され、該非ハロゲン系難燃剤が、水酸化マグネシウム40〜60質量%、水酸化アルミニウム20〜40質量%、ホウ酸亜鉛10〜30質量%(ただし、前記3成分の合計は100質量%)であることを特徴とする前記1に記載の非ハロゲン系難燃積層フィルム。
【0010】
4.前記熱可塑性難燃樹脂層(C)が、厚さ8〜20μmであり、熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂100質量部に、非ハロゲン系難燃剤50〜200質量部を含有し、該非ハロゲン系難燃剤が、水酸化マグネシウム40〜60質量%、水酸化アルミニウム20〜40質量%、ホウ酸亜鉛10〜30質量%(ただし、前記3成分の合計は100質量%)であることを特徴とする前記1に記載の非ハロゲン系難燃積層フィルム。
【0011】
5.前記基材フィルムが、厚さ4〜40μmであり、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする前記1に記載の非ハロゲン系難燃積層フィルム。
【0012】
6.前記1〜5のいずれかに記載の非ハロゲン系難燃積層フィルムにより導電体を被覆してなることを特徴とするフラットケーブル。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、硬化型難燃プライマー層(A)、硬化型難燃樹脂層(B)および熱可塑性難燃樹脂層(C)の厚さを適切に設定し、硬化型難燃プライマー層(A)に特定処方の難燃剤を配合している。
この構成によれば、例えばUL758のVW−1試験を実施したときに、基材フィルム(例えば二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)の熱分解を硬化型難燃プライマー層(A)が遅延させ、結果としてフィルム全体の難燃性が向上する。具体的には、硬化型難燃プライマー層(A)の効果により、VW−1試験で使用されるバーナーと基材フィルムとの接炎部に炭化層が形成され、基材フィルムの燃焼が阻止される。仮に上記構成を満たさない硬化型難燃プライマー層(A)を適用した場合、基材フィルムの熱分解が他の層に対して突出し、結果として基材フィルムのみが先に燃焼してしまい、UL758のVW−1試験が不合格となってしまう。例えば該層(A)中の難燃剤の種類または量を変更し、高難燃性にした場合は、基材フィルムの熱分解の遅延効果が迅速に発現せず、基材フィルムのみが先に燃焼する結果となる。また、各層の厚さや処方を特定することで、難燃性、層間密着性、導電体との密着性をさらに高めることができる。
したがって本発明によれば、難燃性に優れ、層間密着性、導電体との密着性にも優れる非ハロゲン系難燃積層フィルムおよびフラットケーブルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。図1は、本発明の非ハロゲン系難燃積層フィルムの構成を説明するための断面図である。本発明の非ハロゲン系難燃積層フィルム1は、符号10で表される基材フィルムの片面に、符号12で表される硬化型難燃プライマー層(A)、符号14で表される硬化型難燃樹脂層(B)、符号16で表されるおよび熱可塑性難燃樹脂層(C)をこの順で有する。
【0015】
硬化型難燃プライマー層(A)
本発明における硬化型難燃プライマー層(A)(以下、単に(A)層ともいう)は、以下の要件を満たす必要がある。
(1)(A)層の厚さは、1〜8μmである。
(2)(A)層は、熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂100質量部に、ポリイソシアネート系硬化剤1〜20質量部、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウムから選ばれた1種以上の非ハロゲン系難燃剤を10〜80質量部を含有する組成物の硬化により形成される。
以下、各要件について説明する。
【0016】
上記(1)において、(A)層の厚さは1〜8μmである。厚さが1μm未満あるいは8μmを超えると所望の難燃性を満たすことができない。さらに好ましい厚さは3〜5μmである。
【0017】
上記(2)において、熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂は、当業界で公知の樹脂であることができ、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分と、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノールなどのジオール成分の縮重合により得られ、組み合わせによりガラス転移温度などをはじめとする性質を自由に選ぶことができる。ポリエステル系樹脂の数平均分子量は、10,000〜35,000であることが好ましく、15,000〜30,000であることがより好ましい。
【0018】
ポリイソシアネート系硬化剤としては、脂肪族ポリイソシアネート系硬化剤または脂環族ポリイソシアネート系硬化剤を用いることができる。これらの硬化剤としては、脂肪族または脂環族の有機ポリイソシアネート単独、これらのイソシアヌレート型、ビウレット型、アダクト型の3官能以上のポリイソシアネート化合物が挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルフェニレンジイソシアネート、4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアネートエチル)フマレート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0019】
(A)層は、熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂100質量部に、ポリイソシアネート系硬化剤1〜20質量部、メラミンシアヌレートおよび水酸化マグネシウムから選ばれた1種以上の非ハロゲン系難燃剤を10〜80質量部を含有する組成物の硬化により形成される。
ポリイソシアネート系硬化剤の使用量が1質量部未満であると、基材フィルムとの密着性が悪化する。逆に20質量部を超えると、(A)層の架橋密度が高くなり過ぎ柔軟性に欠けるため好ましくない。また、(A)層で使用される非ハロゲン系難燃剤は、メラミンシアヌレートおよび/または水酸化マグネシウムである。これら以外の難燃剤を使用すると所望の難燃性を達成することができない。また、上記非ハロゲン系難燃剤の使用量が10質量部未満であっても、所望の難燃性を達成することができない。逆に80質量部を超えると、基材フィルムとの密着性が悪化する。中でも、上記炭化層形成の観点から、好ましくはメラミンシアヌレートであり、その場合、使用量は20〜60質量部が好ましく、40〜50質量部がとくに好ましい。
【0020】
さらに、(A)層が、下記(i)〜(ii)の特性を有することが特に好ましい。
(i)前記熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂の示差走査熱量測定(DSC)によって得られる200〜500℃における総反応熱量が、300〜600J/gである。(ii)前記硬化型難燃プライマー層(A)の示差走査熱量測定(DSC)によって得られる200〜500℃における総反応熱量が−150〜−350J/gである。
上記(i)〜(ii)の特性において、(i)前記熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂の示差走査熱量測定(DSC)によって得られる200〜500℃における総反応熱量は、300〜600J/g、好ましくは400〜500J/gであり、かつ(ii)(A)層の示差走査熱量測定(DSC)によって得られる200〜500℃における総反応熱量が−150〜−350J/g、好ましくは−200〜−300J/gである。前記熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂および(A)層の総反応熱量を上記範囲に設定することにより、上記基材フィルムの熱分解の抑制効果および炭化層の形成効果が促進され、難燃性が向上する。
なお本発明におけるDSCの測定条件は、JIS K 7122に準ずるものとするが、燃焼に伴う反応速度を考慮し、昇温速度は可能な限り早い事が好ましい事より、20℃/min.にて測定を実施した。 総反応熱量は、測定より得られる熱分解反応に伴う発熱ピーク、吸熱ピークそれぞれの面積の和で示したものである。
【0021】
硬化型難燃樹脂層(B)
本発明における硬化型難燃樹脂層(B)(以下、単に(B)層ともいう)は、その処方をとくに制限するものではなく、例えばポリエステル系樹脂に難燃剤を加え、硬化剤により硬化させた層であることができるが、厚さが20〜50μm、好ましくは25〜40μmであり、熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂100質量部に、ポリイソシアネート系硬化剤1〜20質量部、非ハロゲン系難燃剤150〜350質量部を含有し、該非ハロゲン系難燃剤が、水酸化マグネシウム40〜60質量%、水酸化アルミニウム20〜40質量%、ホウ酸亜鉛10〜30質量%を含有する組成物の硬化により形成されるのが好ましい。ただし、前記水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムおよびホウ酸亜鉛の合計は100質量%となる。なお、一つの成分の最少量または最大量を設定した場合は、他の二つの成分の使用量を調整し、合計で100質量%になるようにする。例えば、水酸化マグネシウムの最少量の40質量%を採用した場合は、水酸化アルミニウムおよびホウ酸亜鉛の使用量を調整し、合計で100質量%になるようにすればよい。
【0022】
(B)層における熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂としては、前記(A)層において説明した熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂が挙げられる。
(B)層におけるポリイソシアネート系硬化剤としては、前記(A)層において説明したポリイソシアネート系硬化剤が挙げられる。
【0023】
(B)層における非ハロゲン系難燃剤は、水酸化マグネシウム40〜60質量%、水酸化アルミニウム20〜40質量%、ホウ酸亜鉛10〜30質量%から構成されるのが、難燃性の観点からとくに好ましい。
【0024】
熱可塑性難燃樹脂層(C)
本発明における熱可塑性難燃樹脂層(C)(以下、単に(C)層ともいう)は、その処方をとくに制限するものではなく、例えばポリエステル系樹脂に難燃剤を加えた層であることができるが、厚さ8〜20μm、好ましくは10〜15μmであり、熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂100質量部に、非ハロゲン系難燃剤50〜200質量部を含有し、該非ハロゲン系難燃剤が、水酸化マグネシウム40〜60質量%、水酸化アルミニウム20〜40質量%、ホウ酸亜鉛10〜30質量%(ただし、前記3成分の合計は100質量%)である層が好ましい。
【0025】
(C)層における熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂としては、前記(A)層において説明した熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂が挙げられる。
【0026】
(C)層における非ハロゲン系難燃剤は、水酸化マグネシウム40〜60質量%、水酸化アルミニウム20〜40質量%、ホウ酸亜鉛10〜30質量%から構成されるのが、難燃性の観点からとくに好ましい。
【0027】
本発明で使用される基材フィルムは、特に制限されないが、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、二軸延伸ポリフェニレンスルフィドフィルムなどを挙げることができる。これらの中で、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムは、本発明で適用される(A)層の効果により、炭化層の形成が顕著となるので、難燃性の観点からとくに好ましい。基材フィルムの厚さは例えば4〜40μmであり、より好ましくは10〜20μmである。基材フィルムの厚さが4μm未満であると、フィルムの加工作業性が低下するとともに、フラットケーブル被覆用のフィルムとして強度が不足するおそれがある。基材フィルムの厚さが40μmを超えると、十分な難燃性を付与することが困難となるおそれがある。また、基材フィルムの幅はとくに制限されないが、フラットケーブルにした場合の幅は、本発明ではフラットケーブルの幅が広い場合、例えば35〜45mmであるときに、本発明の効果をとくに良好に奏することができる。
【0028】
本発明において、基材フィルム上に(A)〜(C)層を形成する方法としては、例えば、各層を形成するための組成物をエアドクタコーター、フレキシブルブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、キスコーター、スプレイコーターなどを用いて基材フィルム上にコーティングする方法が挙げられる。これらの中で、(A)層を形成する場合、グラビアコーターは、グラビアロールの版深度を選択することにより、容易に塗工厚さを任意に調整することができるので、好適に用いることができる。また、(B)層、(C)層を形成する場合、ナイフコーターは、塗布厚みに適したコーティング方法として、好適に用いることができる。
【0029】
本発明においては、各層に含まれる非ハロゲン系難燃剤の量、及び各層の厚さが、(B)層>(C)層≧(A)層の関係を満たす必要がある。この関係を満たさない場合、難燃性、層間密着性、導電体との密着性を同時に満足することができない。
【0030】
本発明のフラットケーブルは、本発明の非ハロゲン系難燃積層フィルムにより導電体を被覆してなるフラットケーブルである。本発明のフラットケーブルの製造方法に特に制限はなく、例えば、長尺の本発明の非ハロゲン系難燃積層フィルム2枚を、(C)層を上面にして左右から送り出し、その間に平行に引き揃えた導電体の平角線を挟み込み、熱プレスロールで熱プレスして2層の(C)層を互いに融着させ製造することができる。送り出される非ハロゲン系難燃積層フィルムには、導電体の平角線を挟み込む前に孔を打ち抜くとともに、端末補強テープを貼着することができる。2層の(C)層を互いに融着させたのち、両側端をスリットして所定の仕上幅とし、孔と端末補強テープの部分で切断して、本発明のフラットケーブルを完成することができる。本発明のフラットケーブルは、優れた難燃性を有する本発明の非ハロゲン系難燃積層フィルムによって積層されているので、UL758の垂直燃焼試験のVW−1合格に相当する難燃性を有する。
【実施例】
【0031】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0032】
実施例1
基材フィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた(東レ(株)製、S−10、二軸PET(1)と呼称する)。
【0033】
(A)層形成用の組成物として以下の処方の組成物を用いた。
飽和ポリエステル系樹脂(1) 100質量部
ポリイソシアネート系硬化剤(1) 10質量部
メラミンシアヌレート 50質量部
溶剤(メチルエチルケトン(MEK)) 300質量部
【0034】
ここで、飽和ポリエステル系樹脂(1)は、東洋紡績(株)製の熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂(非晶性)、バイロン560であり、ガラス転移温度は7℃であり、DSCによって得られる200〜500℃における総反応熱量は、456J/gである。
ポリイソシアネート系硬化剤(1)は、日本ポリウレタン工業(株)製のトリレンジイソシアネート、コロネート Lである。
メラミンシアヌレートは、堺化学製のSTABIACE MC−5Sである。
【0035】
(B)層形成用の組成物として以下の処方の組成物B−1を用いた。
B−1
バイロン560 100質量部
コロネート L 4質量部
水酸化マグネシウムS−6 125質量部
(非ハロゲン系難燃剤の50%)
水酸化アルミニウム H42M 75質量部
(非ハロゲン系難燃剤の30%)
ホウ酸亜鉛FRF−30C 50質量部
(非ハロゲン系難燃剤の20%)
溶剤(MEK) 200質量部
【0036】
ここで、水酸化マグネシウムS−6は、神島化学工業(株)製のマグシーズ −6である。
水酸化アルミニウムH42Mは、昭和電工(株)製のハイジライト H42Mである。
ホウ酸亜鉛FRF−30Cは、水澤化学工業(株)製のアルカネックス FRF−30Cである。
【0037】
(C)層形成用の組成物として以下の処方の組成物C−1を用いた。
C−1
バイロン 500 55質量部
エリーテル UE3500 15質量部
バイロン 200 30質量部
水酸化マグネシウムS−6 60質量部
(非ハロゲン系難燃剤の50%)
水酸化アルミニウムH42M 36質量部
(非ハロゲン系難燃剤の30%)
ホウ酸亜鉛FRF−30C 24質量部
(非ハロゲン系難燃剤の20%)
溶剤(MEK) 150質量部
溶剤(トルエン) 150質量部
【0038】
ここで、バイロン500は、東洋紡績(株)製、熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂である。バイロン200は、東洋紡績(株)製、熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂である。エリーテル UE3500は、ユニチカ(株)製、熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂である。
【0039】
基材フィルム上に、上記(A)〜(C)層形成用の組成物を、表1に示す厚さとなるようにグラビアコーター、ナイフコーターを用い、順次コーティングした。難燃剤の分散不良による塗布欠点はなく、塗工性は良好であり、塗膜に厚さむら、つぶ(凝集物)、くぼみ(ピンホール)などの異常は認められず、フィルムの外観は良好であった。
【0040】
以上の様にして作成した積層フイルムを用い次の様にフラットケーブルを作成した。本発明の非ハロゲン系難燃積層フィルム2枚を、(C)層が互いに対向するように上下に配置し、その間に厚さ0.05mm、幅0.8mmの平角導電体を1mm間隔で25本平行に並べ挟み込んだ。圧着された2本の加熱ゴムロール(表面温度160℃)を2m/min.の速度で回転させ、導電体を中央に挟み込んだ本発明の難燃積層フィルムをロール間に通し、上下のフィルム及び導電体を熱融着させた後、両端側をスリットすることにより、仕上幅40mmのフラットケーブルを作成した。得られたフラットケーブルに対し、以下の評価を行なった。
(1)難燃性(UL758、垂直燃焼試験(VW−1試験))
VW−1の合格基準は、得られたフラットケーブルでの試験で、試料(長さ560mm)を垂直に保持した状態で、ガスバーナーにより15秒間炎を当て、次に15秒間炎を消し、これを5回繰り返して、いずれの5回の燃焼後でも60秒以内に消火するというものである。また、この5回の燃焼試験を繰り返している間に、燃焼装置の上部に設置された旗や下部に設置された綿が燃焼しないことも求められる。
上記試験を、サンプル数n=5で行い、下記の基準で判定した。
◎:5個全て、VW−1に合格。
○:4個、VW−1に合格。
△:1〜3個、VW−1に合格。
×:5個全て、VW−1不合格。
【0041】
(2)密着性(基材フィルムと(A)層との密着性)
作成したフラットケーブルの端部より、上下どちらか一方の積層フィルムを引き剥がし、その状態により密着性評価を実施した。
評価基準を以下に示す。
○: 強固に密着し、容易に基材フィルムが破断する。
△: 凝集破壊を伴い剥離した後、基材フィルムが破断に至る。
×: 容易に剥離可能であり基材フィルムを破断させる密着力がない。
【0042】
(3)密着性((C)層と導電体との密着性)
作成したフラットケーブルの(C)層と導電体の一部を引き剥がし、引き剥がした導電体を元の形成面に対し180度の角度に折り曲げて、その方向に導電体を100mm/min.の引張り速度で引張り、剥離強度を測定した。
評価基準を以下に示す。
○: 600mN/mm以上
△: 300mN/mm以上、600mN/mm未満
×: 300mN/mm以下
【0043】
結果を表1に示す。
【0044】
実施例2〜4
(A)層の厚さを表1に示すように変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表1に示す。
【0045】
実施例5
(A)層における飽和ポリエステル系樹脂(1)の替わりに、下記の飽和ポリエステル系樹脂(2)を使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表1に示す。
飽和ポリエステル系樹脂(2):東洋紡績(株)製の熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂(非晶性)、バイロン500。ガラス転移温度は5℃であり、DSCによって得られる200〜500℃における総反応熱量は、550J/gである。
【0046】
実施例6
(A)層におけるメラミンシアヌレートの替わりに、水酸化マグネシウムS−6を使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表2に示す。
【0047】
実施例7
(A)層における非ハロゲン系難燃剤として、メラミンシアヌレート30質量部および水酸化マグネシウムS−6を20質量部使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表2に示す。
【0048】
実施例8〜10
(A)層におけるメラミンシアヌレートの使用量を表2のように変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表2に示す。
【0049】
実施例11
(B)層形成用の組成物として以下の処方の組成物B−2を用いたこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表3に示す。
B−2
バイロン560 100質量部
コロネート L 4質量部
水酸化マグネシウムS−6 200質量部
(非ハロゲン系難燃剤の80%)
水酸化アルミニウムH42M 50質量部
(非ハロゲン系難燃剤の20%)
溶剤(MEK) 200質量部
【0050】
実施例12
(B)層形成用の組成物として以下の処方の組成物B−3を用いたこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表3に示す。
B−3
バイロン560 100質量部
コロネート L 4質量部
水酸化マグネシウムS−6 65質量部
(非ハロゲン系難燃剤の50%)
水酸化アルミニウムH42M 39質量部
(非ハロゲン系難燃剤の30%)
ホウ酸亜鉛FRF−30C 26質量部
(非ハロゲン系難燃剤の20%)
溶剤(MEK) 200質量部
【0051】
実施例13
(B)層の厚さを18μmとしたこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表3に示す。
【0052】
実施例14
(C)層形成用の組成物として以下の処方の組成物C−2を用いたこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表3に示す。
C−2
バイロン 500 55質量部
エリーテル UE3500 15質量部
バイロン 200 30質量部
水酸化マグネシウムS−6 120質量部
(非ハロゲン系難燃剤の100%)
溶剤(MEK) 150質量部
溶剤(トルエン) 150質量部
【0053】
実施例15
(C)層形成用の組成物として以下の処方の組成物C−3を用いたこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表3に示す。
C−3
バイロン 500 55質量部
エリーテル UE3500 15質量部
バイロン 200 30質量部
水酸化マグネシウムS−6 20質量部
(非ハロゲン系難燃剤の50%)
水酸化アルミニウム H42M 12質量部
(非ハロゲン系難燃剤の30%)
ホウ酸亜鉛FRF−30C 8質量部
(非ハロゲン系難燃剤の20%)
溶剤(MEK) 150質量部
溶剤(トルエン) 150質量部
【0054】
実施例16
(C)層形成用の組成物として以下の処方の組成物C−4を用いたこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表4に示す。
C−4
バイロン 500 55質量部
エリーテル UE3500 15質量部
バイロン 200 30質量部
水酸化マグネシウムS−6 110質量部
(非ハロゲン系難燃剤の50%)
水酸化アルミニウム H42M 66質量部
(非ハロゲン系難燃剤の30%)
ホウ酸亜鉛FRF−30C 44質量部
(非ハロゲン系難燃剤の20%)
溶剤(MEK) 150質量部
溶剤(トルエン) 150質量部
【0055】
実施例17
基材フィルムとして、厚さ25μm、幅40mmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた(東レ(株)製、S−10、二軸PET(2)と呼称する)こと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表4に示す。
【0056】
実施例18
基材フィルムとして、厚さ50μm、幅40mmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた(東レ(株)製、S−10、二軸PET(3)と呼称する)こと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表4に示す。
【0057】
実施例19
(A)層における飽和ポリエステル系樹脂(1)を、下記の飽和ポリエステル系樹脂(3)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表4に示す。
飽和ポリエステル系樹脂(3):東洋紡績(株)製の熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂、バイロンBX1001。ガラス転移温度は−18℃であり、DSCによって得られる200〜500℃における総反応熱量は、685J/gである。結果を表4に示す。
【0058】
比較例1〜2
(A)層の厚さを表5に示すように変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表5に示す。
【0059】
比較例3〜4
(A)層の厚さを表5に示すように変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表5に示す。
【0060】
比較例5
(A)層における非ハロゲン系難燃剤を水酸化アルミニウムに変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表5に示す。
【0061】
比較例6
(A)層における非ハロゲン系難燃剤をリン系難燃剤(1)リン酸エステル、味の素ファインテクノ製、レオフォスBAPP)に変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表6に示す。
【0062】
比較例7
(B)層および(C)層の厚さを表6に示すように変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表6に示す。
【0063】
比較例8
(A)層および(C)層の厚さを表6に示すように変更したこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表6に示す。
【0064】
比較例9
(A)層においてポリイソシアネート系硬化剤(1)を使用しなかったこと以外は、実施例1を繰り返した。結果を表6に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
【表3】

【0068】
【表4】

【0069】
【表5】

【0070】
【表6】

【0071】
表1〜6の結果から、以下の事項が導き出される。
・実施例1は、(A)〜(C)層の厚さ、(A)層における難燃剤の処方、(A)層中の樹脂および(A)層全体の総反応熱量を本発明の範囲内に設定しているので、難燃性に優れ、層間密着性、導電体との密着性にも優れる非ハロゲン系難燃積層フィルムが得られる。
・実施例2は、(A)層の厚さを3μmにした例で、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例3は、(A)層の厚さを1.5μmにした例で、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が○評価になった。その他の性能は良好であった。
・実施例4は、(A)層の厚さを7μmにした例で、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が○評価になった。その他の性能は良好であった。
・実施例5は、(A)層の配合に飽和ポリエステル系樹脂(2)を使用した例で、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が○評価になった。その他の性能は良好であった。
・実施例6は、(A)層の配合に水酸化マグネシウム50質量部を使用した例で、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例7は、(A)層の配合にメラミンシアヌレート30質量部、水酸化マグネシウム20質量部を使用した例で、実施例1と同様の性能を示した。
・実施例8は、(A)層の配合のメラミンシアヌレートを30質量部にした例で、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が○評価になった。その他の性能は良好であった。
・実施例9は、(A)層の配合のメラミンシアヌレートを15質量部にした例で、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が△評価になった。その他の性能は良好であった。
・実施例10は、(A)層の配合のメラミンシアヌレートを70質量部にした例で、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が○評価、密着性(基材フィルムと(A)層)が△評価になった。その他の性能は良好であった。
・実施例11は、(B)層の配合にB−2を使用した例で、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が△評価になった。その他の性能は良好であった。
・実施例12は、(B)層の配合にB−3を使用した例で、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が△評価になった。その他の性能は良好であった。
・実施例13は、(B)層の厚さを18μmにした例で、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が△評価になった。その他の性能は良好であった。
・実施例14は、(C)層の配合にC−2を使用した例で、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が○評価になった。その他の性能は良好であった。
・実施例15は、(C)層の配合にC−3を使用した例で、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が○評価になった。その他の性能は良好であった。
・実施例16は、(C)層の配合にC−4を使用した例で、密着性((C)層と導電体)が△評価になった。その他の性能は良好であった。
・実施例17は、基材フィルムに二軸PET(2)を使用した例で、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が○評価になった。その他の性能は良好であった。
・実施例18は、基材フィルムに二軸PET(3)を使用した例で、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が△評価になった。その他の性能は良好であった。
・実施例19は、(A)層の配合に飽和ポリエステル系樹脂(3)を使用した例で、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が△評価になった。
【0072】
・比較例1は、(A)層の厚さを0.5μmにした例で、本発明の範囲外であるため、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が×評価、密着性(基材フィルムと(A)層)が△評価になった。
・比較例2は、(A)層の厚さを9μmにした例で、本発明の範囲外であるため、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が×評価になった。
・比較例3は、(A)層の配合のメラミンシアヌレートを8質量部にした例で、本発明の範囲外であるため、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が×評価になった。
・比較例4は、(A)層の塗料配合のメラミンシアヌレートを90質量部にした例で、本発明の範囲外であるため、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が△評価になり、密着性(基材フィルムと(A)層)が×評価になった。
・比較例5は、(A)層の配合に水酸化アルミニウム50質量部を使用した例で、本発明の範囲外であるため、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が×評価、密着性(基材フィルムと(A)層)が△評価になった。
・比較例6は、(A)層の塗料配合にリン系難燃剤(1)50質量部を使用した例で、本発明の範囲外であるため、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が×評価になった。
・比較例7は、(B)層の厚さを12μm、(C)層の厚さを15μmにした例で、本発明の範囲外であるため、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が×評価になった。
・比較例8は、(A)層の厚さを7μm、(C)層の厚さを6μmにした例で、本発明の範囲外であるため、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が△評価、密着性((C)層と導電体)が×評価になった。
・比較例9は、(A)層の配合からポリイソシアネート系硬化剤(1)を省いた例で、本発明の範囲外であるため、難燃性(UL758、垂直燃焼試験)が△評価、密着性(基材フィルムと(A)層)が×評価になった。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の非ハロゲン系難燃積層フィルムおよびフラットケーブルは、UL758のVW−1試験に合格するような高度な難燃性を有し、層間密着性、導電体との密着性にも優れるので、コンピュータ、通信機器、オーディオ・ビデオ機器などの高密度配線に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の非ハロゲン系難燃積層フィルムの構成を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 非ハロゲン系難燃積層フィルム
10 基材フィルム
12 硬化型難燃プライマー層(A)
14 硬化型難燃樹脂層(B)
16 熱可塑性難燃樹脂層(C)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムの片面に、硬化型難燃プライマー層(A)を有し、さらに前記硬化型難燃プライマー層(A)の上に硬化型難燃樹脂層(B)および熱可塑性難燃樹脂層(C)をこの順で有する非ハロゲン系難燃積層フィルムであって、前記各層に含まれる非ハロゲン系難燃剤の量、及び各層の厚さが、(B)層>(C)層≧(A)層であり、
前記硬化型難燃プライマー層(A)が、厚さ1〜8μmであり、熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂100質量部に、ポリイソシアネート系硬化剤1〜20質量部、メラミンシアヌレートおよび水酸化マグネシウムから選ばれた1種以上の非ハロゲン系難燃剤を10〜80質量部を含有する組成物の硬化により形成されることを特徴とする非ハロゲン系難燃積層フィルム。
【請求項2】
前記硬化型難燃プライマー層(A)が、下記(i)〜(ii)の特性を有することを特徴とする請求項1に記載の非ハロゲン系難燃積層フィルム。
(i)前記熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂の示差走査熱量測定(DSC)によって得られる200〜500℃における総反応熱量が、300〜600J/gである。(ii)前記硬化型難燃プライマー層(A)の示差走査熱量測定(DSC)によって得られる200〜500℃における総反応熱量が−150〜−350J/gである。
【請求項3】
前記硬化型難燃樹脂層(B)が、厚さ20〜50μmであり、熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂100質量部に、ポリイソシアネート系硬化剤1〜20質量部、非ハロゲン系難燃剤150〜350質量部を含有する組成物の硬化により形成され、該非ハロゲン系難燃剤が、水酸化マグネシウム40〜60質量%、水酸化アルミニウム20〜40質量%、ホウ酸亜鉛10〜30質量%(ただし、前記3成分の合計は100質量%)であることを特徴とする請求項1に記載の非ハロゲン系難燃積層フィルム。
【請求項4】
前記熱可塑性難燃樹脂層(C)が、厚さ8〜20μmであり、熱可塑性飽和共重合ポリエステル系樹脂100質量部に、非ハロゲン系難燃剤50〜200質量部を含有し、該非ハロゲン系難燃剤が、水酸化マグネシウム40〜60質量%、水酸化アルミニウム20〜40質量%、ホウ酸亜鉛10〜30質量%(ただし、前記3成分の合計は100質量%)であることを特徴とする請求項1に記載の非ハロゲン系難燃積層フィルム。
【請求項5】
前記基材フィルムが、厚さ4〜40μmであり、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の非ハロゲン系難燃積層フィルム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の非ハロゲン系難燃積層フィルムにより導電体を被覆してなることを特徴とするフラットケーブル。

【図1】
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【公開番号】特開2010−61885(P2010−61885A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−224357(P2008−224357)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000250384)リケンテクノス株式会社 (236)
【Fターム(参考)】