説明

非反転増幅回路及び光スイッチ駆動回路

【課題】本発明は、負荷の内部遅延の影響を低減して負荷を高速に駆動することができる非反転増幅回路及び光スイッチ駆動回路を提供することを目的とする。
【解決手段】演算増幅器を用いて構成した非反転増幅回路において、信号源と前記演算増幅器との間に信号の高周波成分を強調して前記演算増幅器の出力端子に接続される負荷の内部遅延を補償するプリエンファシス回路を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非反転増幅回路及び光スイッチ駆動回路に関し、特に、一部のスペクトル成分が間引かれたオーディオ信号に対し、間引かれたスペクトル成分を補間することにより音質を改善する非反転増幅回路及び光スイッチ駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
将来のマルチメディアネットワークの構築を目指し、高速かつ大容量の光通信装置が要求されており、この高速かつ大容量化を実現する方式として、ナノセックオーダーの高速光スイッチを用いた光パケットスイッチングシステムの研究開発が進められている。
【0003】
SOA(Semiconductor Optical Amplifier:光半導体光増幅器)ゲート型光スイッチは、ナノセックオーダーの高速切替えが可能なデバイスであり、光パケットスイッチングシステムへの適用が期待されている。
【0004】
図1は、光パケットスイッチングネットワークの一例の構成図を示す。同図中、光パケットスイッチングネットワークは、複数のコアノード1と複数のエッジノード2から構成されている。コアノード1は、光パケット信号を切替えるためのマトリクス光スイッチ機能を有する。
【0005】
図2は、コアノードの一例の構成図を示す。同図中、光パケット信号Dataは、波長変換部5において、波長変換される。波長変換された光パケット信号データは、制御部6のリザベーションマネジャ部(Reservation manager)6aにより指示された出力先ポートに向けて、マトリクス光スイッチ部7で方路が切替えられる。制御部6内のコントロールチャンネル部(Control Channels)6bでは、光パケット信号データの方路情報をコントロールチャンネルのラベル信号として中継しており、リザベーションマネジャ部6aは、そのラベルの方路情報を解析してマトリクス光スイッチ部7を制御する。
【0006】
図1に示すように、コントロールチャンネルの方路情報を持つラベル信号から一定のオフセット時間後に光スイッチの切替えが行われる。この光スイッチ切替え時間は、約45nsecであり、光パケット信号に影響を与えないためのガード時間でもある。すなわちこのガード時間内に光の切替えが完了しなければならない。
【0007】
図3にSOAゲート型光スイッチを用いた分配型のマトリクス光スイッチの一例の構成図を示す。同図中、各入力ポート部では光パケット信号を光カプラ10−1〜10−nで分配後、SOAゲート型光スイッチ11−1−1〜11−n−nのON/OFFによる速選択で所望の光パケット信号の方路切替えを行う。出力ポート部では合波カプラ12−1〜12−nにより光パケット信号の合流を行って出力する。
【0008】
図3において、入力ポート#1に入力された光パケット信号#n(出力先は出力ポート#n)は、光カプラ10−1においてn分岐される。n分岐された光信号は、各出力ポート単位に用意されたSOAゲート型光スイッチ11−1−1,…,11−n−1に入力される。この場合、出力ポート#nに出力するための光パケット信号であるため、出力ポート#n部に用意されたSOAゲート型光スイッチ11−n−1のみONになる。その他の出力ポートに用意されたSOA光スイッチゲートは、全てOFF状態となっている。
【0009】
図4にSOAゲート型光スイッチの駆動構成図を示す。同図中、SOAゲート型光スイッチ20は、光信号増幅領域21に電流を注入することによって、増幅領域を伝播する光信号を増幅することが可能なデバイスである。駆動電流をON/OFF制御することで、光パケット信号のゲート素子として使用する。
【0010】
図4においては、入力した光パケット信号#1,#2,#3に対して、光パケット信号#1,#3はゲートオン、#2はゲートオフの駆動電流制御が行われている状態を示している。制御部6からの制御信号を駆動回路22において電流形態に変換して光信号増幅領域21に供給し、SOAゲート型光スイッチ20を駆動する。
【0011】
図5にSOAゲート型光スイッチの駆動電流と光増幅率の特性図を示す。SOAは半導体光増幅器であり、駆動電流により光増幅率が変化する特性を有する。同図中、駆動電流を約300mA流すことで、光増幅率約10dBが得られ増幅率はほぼ飽和状態になる。駆動電流が少なくなると、光の減衰特性を示す。
【0012】
図6は、SOAゲート型光スイッチの駆動電圧と光増幅率の特性図を示す。SOAは、電流駆動型であるが、電流300mA以上流せる電圧源から電圧印加することで、電圧駆動することも可能である。同図中、約1.5Vの電圧ソースを与えたとき駆動電流として約300mA流れることになる。駆動電圧を小さくすると、光の減衰特性を示す。
【0013】
図7にSOAゲート型光スイッチの駆動電圧とSOAゲート型光スイッチ間消光比の特性図を示す。図3に示したマトリクス型光スイッチ構成では、出力部の合波カプラ部12−1〜12−nにおいて、出力ポート数分のSOAゲート型光スイッチが接続されており、ある1つのSOAゲート型光スイッチがONしたとき、残りのSOAゲート型光スイッチは全てOFF状態になる。
【0014】
しかしながら、OFF状態であっても漏れ光があるため、合波カプラ12で光のクロストークとなる。この光のクロストークを消光比特性としてグラフ化したものが図7である。例えば8×8のマトリクス型光スイッチを構成しようとすると、ON状態とOFF状態間の消光比特性として約58dBが要求されている。この消光比特性を得るには、駆動電圧0.65V以下に設定する必要がある。
【0015】
図8は、従来のSOAゲート型光スイッチ駆動回路の一例の回路図を示す。図9は図8に示す回路の立ち上がり動作速度を説明するための波形図を示し、図10は図8に示す回路の立ち下がり動作速度を説明するための波形図を示す。
【0016】
図8では、300mA以上の出力電流容量を持ち、2nsec程度のセットリングタイムを持つ高速演算増幅器30を用いてSOAゲート型光スイッチを駆動する回路を示している。演算増幅器30はボルテージフォロア回路を構成している。
【0017】
演算増幅器30の出力部に接続されたインダクタL2,L3とキャパシタC1とで構成される遅延等価回路32はSOAチップの内部遅延の等価回路成分である。ダイオードD1で構成されるスイッチ等価回路32はSOAチップの光スイッチの等価回路成分である。
【0018】
演算増幅器30の非反転入力端子に、光スイッチをON/OFFするための矩形波信号が与えられる。図8では信号発生器(SG:Signal Generator)31から入力矩形波信号を与える構成を示しているが、一般的に、制御部6からのコントロール信号によりFPGA回路やロジックバッファ回路により所望の矩形電圧波形を与えることになる。
【0019】
信号発生器31の波形としては、ON時に1.5V、OFF時に0Vになるように設定されている。ボルテージフォロア出力も入力電圧と同じ電圧値に設定されることになる。電圧1.5Vが演算増幅器30の出力に設定されると、SOAチップには約300mAの駆動電流が流れることになり、SOAゲートがONになる。0Vが演算増幅器の出力に設定されると、SOAチップには駆動電流が流れなくなり、SOAゲートがOFFする。このとき、十分な消光比が保たれることになる。なお、遅延等価回路32の時定数は約3nsecあり、この時定数と光スイッチ駆動回路の立ち上がり/下がり時間の和が、実際の駆動時間となっている。
【0020】
図9において、実線で示す演算増幅器30の出力電圧波形は0〜90%の立ち上がりエッジが約1nsecを実現しているが、破線で示す時定数3nsecの遅延等価回路32を通過した後の電圧波形では、0〜90%の立ち上がりエッジが約4nsecと遅くなってしまう。この影響で、一点鎖線で示すスイッチ等価回路32の電流波形も同様に0〜90%の立ち上がりエッジが4nsecと遅くなってしまう。
【0021】
図10において、実線で示す演算増幅器30の出力電圧波形は100〜10%の立ち下がりエッジが約1nsecを実現しているが、破線で示す遅延等価回路32を通過した後の電圧波形では、100〜10%の立ち下がりエッジが約4nsecと遅くなってしまう。この影響で、一点鎖線で示すスイッチ等価回路32の電流波形も同様に100〜10%の立ち下がりエッジが4nsecと遅くなってしまう。このように、SOAチップの内部遅延の時定数が、駆動信号の立ち上がり/立ち下がりの時間に影響を与えることにより、高速化が阻害されることになる。
【0022】
なお、特許文献1には、プリエンファシスをかけたドライバIC等を含む回路で、入力バッファ35が信号線21、22とインダクタ31、32とで接続されることが記載されている。
【0023】
特許文献2には、SOAの動作安定化のため、SOAの駆動電極にインダクタ26を介して電流源24を接続することが記載されている。
【0024】
特許文献3には、SOA駆動回路で、演算増幅器とSOA電極の間にインダクタを接続することが記載されている。
【特許文献1】特開2006−254303号公報
【特許文献2】特開2005−208178号公報
【特許文献3】特開2006−253339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
SOAゲート型光スイッチの駆動には高速な切替え速度が要求されるため、駆動回路においても高速動作可能な部品選定が求められる。しかし、駆動回路側が高速でも、SOAチップの内部遅延による時定数が既に3nsec程度あるために、この時定数が高速切替えの阻害要因となり、遅い立ち上がり/立ち下がり波形となってしまう。このため、この問題を解決する方法として、図11に示すように、スピードアップコンデンサC4と高速トランジスタQ1を用いたプリエンファシス型の駆動回路がある。
【0026】
図11は、従来のプリエンファシスを用いたSOAゲート型光スイッチ駆動回路の一例の回路図を示す。図12は図11に示す回路の立ち上がり動作速度を説明するための波形図を示し、図13は図11に示す回路の立ち下がり動作速度を説明するための波形図を示す。
【0027】
図11においては、コンデンサC4と抵抗R1による1次ハイパス・フィルタを用いて高域の周波数成分を強調する。
【0028】
この方法は、トランジスタQ1の種類によっては発振が発生し、トランジスタQ1の出力が電流過負荷となる場合があり、駆動回路の安定性に問題がある。また、SOAチップを接続して負荷とした場合、スイッチ等価回路32は容量性負荷とみなされるが、図12に実線で示すように、SOA駆動電圧の立ち上がり波形は、プリエンファシス効果によって、0〜90%の立ち上がり波形が高速になっている。
【0029】
しかし、図13に示す立ち下がり波形は、プリエンファシス効果で、実線で示すトランジスタQ1の出力電圧波形が100〜10%の立ち下がりエッジで高速になっているが、その後に大きなリンギング波形が生じている。このリンギング波形は破線に示す遅延等価回路32通過後の電圧波形と、一点鎖線に示すスイッチ等価回路32の電流波形にも同様にみられる。
【0030】
これは既存のプリエンファシス型の駆動回路ではOFF時にトランジスタQ1が開放となるために、負荷に溜まった電荷の放電により発生する逆電流を吸収できず過渡的な放電が発生するためである。
【0031】
これにより、トランジスタQ1の出力電圧波形に駆動電圧1.5Vよりもかなり大きい振幅のリンギングが生じていることと、遅延等価回路32通過後の電圧波形に0.65Vを超える電圧が発生するため、図7におけるSOAゲート型スイッチのON状態とOFF状態間の消光比特性約58dBを満足できなくなってしまうという問題があった。
【0032】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、負荷の内部遅延の影響を低減して負荷を高速に駆動することができる非反転増幅回路及び光スイッチ駆動回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明の一実施態様による非反転増幅回路は、
演算増幅器を用いて構成した非反転増幅回路において、
信号源と前記演算増幅器との間に信号の高周波成分を強調して前記演算増幅器の出力端子に接続される負荷の内部遅延を補償するプリエンファシス回路を有することにより、負荷の内部遅延の影響を低減して負荷を高速に駆動することができる。
【0034】
前記非反転増幅回路において、
前記プリエンファシス回路は、前記信号源と前記演算増幅器の非反転入力端子の間を接続する第1の抵抗と、
前記演算増幅器の非反転入力端子を所定電位に接続するインダクタと第2の抵抗との直列回路とを有する構成とすることができる。
【0035】
前記非反転増幅回路において、
前記プリエンファシス回路は、前記信号源と前記演算増幅器の非反転入力端子の間を接続する第3の抵抗とキャパシタとの並列回路と、
前記演算増幅器の非反転入力端子を所定電位に接続する第4の抵抗とを有する構成とすることができる。
【0036】
本発明の一実施態様による非反転増幅回路は、
請求項2又は3記載の非反転増幅回路を用いた光スイッチ駆動回路であって、
前記負荷は、光半導体光増幅器であることにより、負荷の内部遅延の影響を低減して負荷を高速に駆動することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、負荷の内部遅延の影響を低減して負荷を高速に駆動することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
【0039】
<第1実施形態>
図14は、本発明の光スイッチ駆動回路の第1実施形態の回路図を示す。この光スイッチ駆動回路はプリエンファシス型の駆動回路である。図15は図14に示す回路の立ち上がり動作速度を説明するための波形図を示し、図16は図14に示す回路の立ち下がり動作速度を説明するための波形図を示す。
【0040】
図14において、従来通り300mA以上の出力電流容量を持ち、2nsec程度のセットリングタイムを持つ高速演算増幅器40を用いてSOAゲート型光スイッチを駆動する回路を示している。演算増幅器40は出力端子を反転入力端子に接続されてボルテージフォロア回路を構成している。
【0041】
信号発生器(SG)41の正極と演算増幅器40の非反転入力端子との間に抵抗R13が接続され、演算増幅器40の非反転入力端子は直列接続された終端抵抗R11とインダクタL1を介して接地され、信号発生器41の負極は接地されている。なお、演算増幅器40の非反転入力端子に抵抗R11を接続するよう抵抗R11とインダクタL1の接続を逆にしても良い。なお、抵抗R11,R13それぞれの抵抗値は例えば50Ωであり、インダクタL1のインダクタンスは例えば80nHである。
【0042】
演算増幅器40の出力部に接続されたインダクタL2,L3とキャパシタC1とで構成される遅延等価回路42はSOAチップの内部遅延と等価の回路成分である。ダイオードD1で構成される回路はスイッチ等価回路43である。
【0043】
信号発生器41から発生された矩形波は、抵抗R13とR11によって分圧されるが、その際にインダクタL1に伝送された矩形波の高周波成分は、インダクタL1によって発生する逆起電力によって高周波成分が強調された波形を生成させる。この信号を演算増幅器40によって増幅し、遅延等価回路42を通して負荷としてのスイッチ等価回路43に伝達させる。この際に遅延等価回路42によって入力段のプリエンファシス回路(抵抗R11,R13,インダクタL1)で強調された高周波成分が減衰し、元の意図した矩形波を伝送し、スイッチ等価回路43を駆動することによって、高速な駆動が可能となる。
【0044】
図15に示す立ち上がり波形は、実線で示す演算増幅器40の出力電圧波形に高速なオーバーシュート電圧を発生させることにより、この演算増幅器40の出力電圧が時定数3nsecの遅延等価回路42を通過する際に過渡的なオーバーシュート成分が平滑化され、結果的に図15に破線で示す遅延等価回路42を通過後の電圧波形が理想的な高速な立ち上がりエッジを得ることができる。そのため、図15に一点鎖線で示すスイッチ等価回路43の電流波形も同様に高速化がみられる。
【0045】
また、図16に示す立ち下がり波形は、実線で示す演算増幅器の出力電圧波形が100〜10%の立ち下がりエッジで高速になっており、しかもその後のリンギングの発生がない。これは演算増幅器40の出力インピーダンスが低いため、SOAチップからの反射電流や逆電流を演算増幅器40が吸収するためであり、このため十分な消光比を確保したSOA駆動が可能となる。
【0046】
この実施形態は、演算増幅器40の入力電圧を利用する構造であるため、負荷であるSOAチップの影響をアイソレートすることができる、また立ち下がり時にはSOAチップの寄生容量であるダイオードD1に蓄積した電荷の逆流電流は、演算増幅器40の出力が低インピーダンスであるため演算増幅器40に高速に吸い込むことができ、立ち下がりのリンギングを抑圧することができる。また、演算増幅器40のフロントエンドデバイスである信号発生器41の出力電流が微小で済むので低消費電力を実現することができる。
【0047】
<第2実施形態>
図17は、本発明の光スイッチ駆動回路の第2実施形態の回路図を示す。この光スイッチ駆動回路はプリエンファシス型の駆動回路である。図18は図17に示す回路の立ち上がり動作速度を説明するための波形図を示し、図19は図17に示す回路の立ち下がり動作速度を説明するための波形図を示す。
【0048】
図17において、従来通り300mA以上の出力電流容量を持ち、2nsec程度のセットリングタイムを持つ高速演算増幅器40を用いてSOAゲート型光スイッチを駆動する回路を示している。演算増幅器40は出力端子を反転入力端子に接続されてボルテージフォロア回路を構成している。
【0049】
信号発生器(SG)41の正極と演算増幅器40の非反転入力端子との間に抵抗R23とキャパシタC12が並列接続され、演算増幅器40の非反転入力端子は終端抵抗R21を介して接地され、信号発生器41の負極は接地されている。なお、抵抗R21,R23それぞれの抵抗値は例えば50Ωであり、キャパシタC12のキャパシタンスは例えば30pFである。
【0050】
演算増幅器40の出力部に接続されたインダクタL2,L3とキャパシタC1とで構成される遅延等価回路42はSOAチップの内部遅延と等価の回路成分である。ダイオードD1で構成される回路はスイッチ等価回路43である。
【0051】
信号発生器41から発生された矩形波は、抵抗R23とR21によって分圧され、波形の立ち上がりの際に矩形波の高周波成分はキャパシタC12に伝送されるが、抵抗R23とキャパシタC12のインピーダンス特性によって低周波数成分は減衰され、高周波成分が強調された波形を生成させる。この信号を演算増幅器40によって増幅し、遅延等価回路42を通して負荷としてのスイッチ等価回路43に伝達させる。この際に遅延等価回路42によって入力段のプリエンファシス回路(抵抗R21,R23,キャパシタC12)で強調された高周波成分が減衰し、元の意図した矩形波を伝送し、スイッチ等価回路43を駆動することによって、高速な駆動が可能となる。
【0052】
図18に示す立ち上がり波形は、実線で示す演算増幅器40の出力電圧波形に高速なオーバーシュート電圧を発生させることにより、この演算増幅器40の出力電圧が時定数3nsecの遅延等価回路42を通過する際に過渡的なオーバーシュート成分が平滑化され、結果的に図18に破線で示す遅延等価回路42を通過後の電圧波形が理想的な高速な立ち上がりエッジを得ることができる。そのため、図18に一点鎖線で示すスイッチ等価回路43の電流波形も同様に高速化がみられる。
【0053】
また、図19に示す立ち下がり波形は、図19に実線で示す演算増幅器の出力電圧波形が100〜10%の立ち下がりエッジで高速になっており、しかもその後のリンギングの発生がない。これは演算増幅器40の出力インピーダンスが低いため、SOAチップからの反射電流や逆電流を演算増幅器40が吸収するためであり、このため十分な消光比を確保したSOA駆動が可能となる。
【0054】
この実施形態は、演算増幅器40の入力電圧を利用する構造であるため、負荷であるSOAチップの影響をアイソレートすることができる、また立ち下がり時にはSOAチップの寄生容量であるダイオードD1に蓄積した電荷の逆流電流は、演算増幅器40の出力が低インピーダンスであるため演算増幅器40に高速に吸い込むことができ、立ち下がりのリンギングは抑圧することができる。また、演算増幅器40のフロントエンドデバイスである信号発生器41の出力電流が微小で済むので低消費電力を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】光パケットスイッチングネットワークの一例の構成図である。
【図2】コアノードの一例の構成図である。
【図3】SOAゲート型光スイッチを用いた分配型のマトリクス光スイッチの一例の構成図である。
【図4】SOAゲート型光スイッチの駆動構成図である。
【図5】SOAゲート型光スイッチの駆動電流と光増幅率の特性図である。
【図6】SOAゲート型光スイッチの駆動電圧と光増幅率の特性図である。
【図7】SOAゲート型光スイッチの駆動電圧とSOAゲート型光スイッチ間消光比の特性図である。
【図8】従来のSOAゲート型光スイッチ駆動回路の一例の回路図である。
【図9】図8に示す回路の立ち上がり動作速度を説明するための波形図である。
【図10】図8に示す回路の立ち下がり動作速度を説明するための波形図である。
【図11】従来のプリエンファシスを用いたSOAゲート型光スイッチ駆動回路の一例の回路図である。
【図12】図11に示す回路の立ち上がり動作速度を説明するための波形図である。
【図13】図11に示す回路の立ち下がり動作速度を説明するための波形図である。
【図14】本発明の光スイッチ駆動回路の第1実施形態の回路図である。
【図15】図14に示す回路の立ち上がり動作速度を説明するための波形図である。
【図16】図14に示す回路の立ち下がり動作速度を説明するための波形図である。
【図17】本発明の光スイッチ駆動回路の第2実施形態の回路図である。
【図18】図17に示す回路の立ち上がり動作速度を説明するための波形図である。
【図19】図17に示す回路の立ち下がり動作速度を説明するための波形図である。
【符号の説明】
【0056】
40 演算増幅器
41 信号発生器
42 遅延等価回路
43 スイッチ等価回路
C12 キャパシタ
L1〜L3 インダクタ
R11,R13,R21,R23 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
演算増幅器を用いて構成した非反転増幅回路において、
信号源と前記演算増幅器との間に信号の高周波成分を強調して前記演算増幅器の出力端子に接続される負荷の内部遅延を補償するプリエンファシス回路を
有することを特徴とする非反転増幅回路。
【請求項2】
請求項1記載の非反転増幅回路において、
前記プリエンファシス回路は、前記信号源と前記演算増幅器の非反転入力端子の間を接続する第1の抵抗と、
前記演算増幅器の非反転入力端子を所定電位に接続するインダクタと第2の抵抗との直列回路とを
有することを特徴とする非反転増幅回路。
【請求項3】
請求項1記載の非反転増幅回路において、
前記プリエンファシス回路は、前記信号源と前記演算増幅器の非反転入力端子の間を接続する第3の抵抗とキャパシタとの並列回路と、
前記演算増幅器の非反転入力端子を所定電位に接続する第4の抵抗とを
有することを特徴とする非反転増幅回路。
【請求項4】
請求項2又は3記載の非反転増幅回路を用いた光スイッチ駆動回路であって、
前記負荷は、光半導体光増幅器であることを特徴とする光スイッチ駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−55550(P2009−55550A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222741(P2007−222741)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人情報通信研究機構、「高機能フォトニックノード技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】