説明

非感光性樹脂組成物およびそれを用いた光学素子

【課題】屈折率が適度に高く、透過率が高く、ヒートサイクル後にもクラックが発生しない硬化膜を形成する非感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(a)ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミドベンゾオキサゾールおよびそれらの前駆体からなる群より選ばれる1種以上のポリマーと、(b)平均粒子径1〜30nmの無機粒子と、(c1)−(CH−OR)で表される基を有する熱架橋性化合物および/または(c2)一般式(2)で表される尿素系有機基を有する熱架橋性化合物を含有することを特徴とする非感光性樹脂組成物。


(式中、Rは水素または1価の有機基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非感光性樹脂組成物およびそれを用いた光学素子に関する。より詳しくは、固体撮像素子などに用いられる集光レンズ、および該集光レンズを形成するための非感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラやカメラ付携帯電話等の急速な発展に伴って、固体撮像素子の小型化、高画素化が要求されている。固体撮像素子の小型化は感度低下を招くため、受光部とカラーフィルターの間やカラーフィルター上部に集光レンズを配置することで、光を効率的に集光し感度の低下を防いでいる。この集光レンズの一般的な作製方法としては、CVD法などにより形成した無機膜をドライエッチングで加工する方法や、樹脂を塗布し加工する方法が挙げられる。前者の方法は、レンズに最適な1.78〜1.90の屈折率を得ることが難しいことから、現在後者の方法が注目されている。
【0003】
例えば、ポリビニルブチナール樹脂等の水酸基含有樹脂と酸化チタン粒子、硬化性化合物および硬化触媒を含有する硬化性組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。高屈折率の硬化膜が得られるものの、粘度が十分に高くないためレンズに最適な1μm以上の膜厚を得ることが難しい。また、粘度を上昇させると、粒子と樹脂の分散性が十分でない場合は粒子が凝集し異物となることや、1μm以上の膜厚とした場合に透過率が低下する課題があった。
【0004】
また、感光性樹脂と金属粒子を含有するポジ型感光性樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、特に膜厚が1μmを超えると透過率が低下し、光学素子に使用するのに十分なものは得られなかった。
【特許文献1】特開2004−169018号公報
【特許文献2】特開2003−75997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、屈折率が適度に高く、透過率が高く、ヒートサイクル後にもクラックが発生しない硬化膜を形成する非感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は主として次の構成を有する。すなわち、(a)ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミドベンゾオキサゾールおよびそれらの前駆体からなる群より選ばれる1種以上のポリマーと、(b)平均粒子径が1〜30nmの無機粒子と、(c1)一般式(1)で表される基を有する熱架橋性化合物および/または(c2)一般式(2)で表される尿素系有機基を有する熱架橋性化合物を含有することを特徴とする非感光性樹脂組成物である。
【0007】
【化1】

【0008】
【化2】

【0009】
(式中、Rは各々同一でも異なっていてもよく、水素原子または1価の有機基を示す。)
【発明の効果】
【0010】
本発明の非感光性樹脂組成物は屈折率および透過率が高く、ヒートサイクル後にもクラックが発生しない良好な硬化膜を形成することができる。本硬化膜は、固体撮像素子用マイクロレンズなどに好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】

本発明の非感光性樹脂組成物は、(a)ポリマー、(b)無機粒子および(c)熱架橋性化合物を含有する。
【0012】
本発明に使用される(a)ポリマーは、ポリイミドまたはその前駆体、ポリベンゾオキサゾールまたはその前駆体、ポリイミドベンゾオキサゾールまたはその前駆体より選ばれ、下記一般式(3)で表される構造単位を有することが好ましい。
【0013】
【化3】

【0014】
式中、Rは少なくとも2個以上の炭素原子を有する2〜8価の有機基、Rは少なくとも2個以上の炭素原子を有する2〜6価の有機基を示す。R は水素原子または炭素数1〜20の有機基を示す。nは10〜100000の整数、mは0〜2の整数、pおよびqは0〜4の整数を示す。
【0015】
上記一般式(3)のRは酸二無水物の構造成分を表している。Rは芳香族環を含有することが好ましく、炭素数6〜30の3価または4価の有機基であることがより好ましい。pは1〜4が好ましい。
【0016】
具体的には、一般式(3)のR(COOR)m(OH)pが一般式(4)に示されるような構造のものが好ましい。この場合、RおよびRは炭素数2〜20の2〜4価の有機基を示しているが、得られるポリマーの耐熱性の観点から芳香族環を含んだものが好ましく、その中でも特に好ましい構造としてトリメリット酸、トリメシン酸、ナフタレントリカルボン酸残基を挙げることができる。また、Rは炭素数3〜20の3〜6価の有機基を示す。さらに、水酸基はアミド結合と隣り合った位置にあることが好ましい。このような構造を有する酸二無水物の例として、フッ素原子を含んだ、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、フッ素原子を含まない、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,4−ジアミノ−フェノール、2,5−ジアミノフェノール、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼンのアミノ基が結合したものなどを挙げることができる。
【0017】
また、一般式(4)のRおよびRは水素原子または炭素数1〜20の有機基を示す。一般式(4)のoおよびsは0〜2の整数を表しており、0≦o+s≦2である。rは1〜4の整数を表している。
【0018】
【化4】

【0019】
一般式(4)で表される構造の中で、好ましい構造を例示すると下記に示したようなものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
【化5】

【0021】
また、水酸基を有していないテトラカルボン酸、ジカルボン酸を共重合成分として加えることもできる。この例としては、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン酸やそのカルボキシル基2個をメチル基やエチル基にしたジエステル化合物、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族のテトラカルボン酸やそのカルボキシル基2個をメチル基やエチル基にしたジエステル化合物、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを挙げることができる。
【0022】
上記一般式(3)のRは、ジアミンの構造成分を表している。ジアミンの好ましい例としては、得られるポリマーの耐熱性の観点から芳香族環を有し、かつ水酸基を有するものが好ましく、具体的な例としてはフッ素原子を有した、ビス(アミノ−ヒドロキシ−フェニル)ヘキサフルオロプロパン、フッ素原子を有さない、ジアミノジヒドロキシピリミジン、ジアミノジヒドロキシピリジン、ヒドロキシ−ジアミノ−ピリミジン、ジアミノフェノール、ジヒドロキシベンチジンなどの化合物が挙げられる。また、一般式(3)のR(OH)qが一般式(5)、(6)、(7)に示す構造のものをあげることができる。
【0023】
【化6】

【0024】
式中、R10およびR12は炭素数2〜20の3〜4価の有機基を示す。R11は炭素数2〜30の2価の有機基を示す。tおよびuは1あるいは2を示す。
【0025】
【化7】

【0026】
式中、R13およびR15は炭素数2〜20の2価の有機基を示す。R14は炭素数3〜20の3〜6価の有機基を示す。vは1〜4の整数を示す。
【0027】
【化8】

【0028】
式中、R16は炭素数2〜20の2価の有機基を示す。R17は炭素数3〜20の3〜6価の有機基を示す。wは1〜4の整数を示す。
【0029】
一般式(5)で表される構造の具体例を下記に示す。
【0030】
【化9】

【0031】
一般式(6)で表される構造の具体例を下記に示す。
【0032】
【化10】

【0033】
一般式(7)で表される構造の具体例を下記に示す。
【0034】
【化11】

【0035】
一般式(5)において、R10およびR12は炭素数2〜20の3〜4価の有機基を示しており、得られるポリマーの耐熱性の観点から芳香族環を有したものが好ましい。R10−(OH)t、R12−(OH)uの具体例としては、ヒドロキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、ジヒドロキシナフチル基、ヒドロキシビフェニル基、ジヒドロキシビフェニル基、ビス(ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)プロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン基、ヒドロキシジフェニルエーテル基、ジヒドロキシジフェニルエーテル基などが挙げられる。また、ヒドロキシシクロヘキシル基、ジヒドロキシシクロヘキシル基などの脂肪族の基も使用することができる。R11は炭素数2〜30の2価の有機基を表している。得られるポリマーの耐熱性の観点から芳香族環を有した2価の基がよく、このような例としてはフェニル基、ビフェニル基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルヘキサフルオロプロパン基、ジフェニルプロパン基、ジフェニルスルホン基などをあげることができるが、これ以外にも脂肪族のシクロヘキシル基なども使用することができる。
【0036】
一般式(6)において、R13およびR15は炭素数2〜20の2価の有機基を表している。得られるポリマーの耐熱性の観点から芳香族環を有した2価の基がよく、このような例としてはフェニル基、ビフェニル基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルヘキサフルオロプロパン基、ジフェニルプロパン基、ジフェニルスルホン基などをあげることができるが、これ以外にも脂肪族のシクロヘキシル基なども使用することができる。R14は、炭素数3〜20の3〜6価の有機基を示しており、得られるポリマーの耐熱性の観点から芳香族環を有したものが好ましい。R14−(OH)vの具体例としては、ヒロドキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、ジヒドロキシナフチル基、ヒドロキシビフェニル基、ジヒドロキシビフェニル基、ビス(ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)プロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン基、ヒドロキシジフェニルエーテル基、ジヒドロキシジフェニルエーテル基などが挙げられる。また、ヒドロキシシクロヘキシル基、ジヒドロキシシクロヘキシル基などの脂肪族の基も使用することができる。
【0037】
一般式(7)においてR16は炭素数2〜20の2価の有機基を表している。得られるポリマーの耐熱性の観点から芳香族環を有した2価の基がよく、このような例としてはフェニル基、ビフェニル基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルヘキサフルオロプロパン基、ジフェニルプロパン基、ジフェニルスルホン基などをあげることができるが、これ以外にも脂肪族のシクロヘキシル基なども使用することができる。R17は炭素数3〜20の3〜6価の有機基を示しており、得られるポリマーの耐熱性の観点から芳香族環を有したものが好ましい。R17−(OH)wの具体例としては、ヒドロキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、ヒドロキシナフチル基、ジヒドロキシナフチル基、ヒドロキシビフェニル基、ジヒドロキシビフェニル基、ビス(ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)プロパン基、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン基、ヒドロキシジフェニルエーテル基、ジヒドロキシジフェニルエーテル基などが挙げられる。また、ヒドロキシシクロヘキシル基、ジヒドロキシシクロヘキシル基などの脂肪族の基も使用することができる。
【0038】
また、一般式(5)〜(7)以外の構造を有するジアミン成分を共重合成分として加えることもできる。このような例として、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、アミノフェノキシベンゼン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ビス(トリフルオロメチル)ベンチジン、ビス(アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホンあるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物など、脂肪族のシクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
【0039】
一般式(3)のRは水素原子または炭素数1〜20の有機基を表している。本発明においては、水素原子とアルキル基を混在させることができ、Rは、炭素数1〜16の炭化水素基を少なくとも1つ以上含有し、その他は水素原子であることが好ましい。
【0040】
さらに、基板との接着性を向上させるために、耐熱性を低下させない範囲で 一般式(3)のR、Rにシロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してもよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノ−フェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどを1〜10モル%共重合したものなどがあげられる。
【0041】
本発明の一般式(3)で表される構造単位を含有するポリマーは、その構造単位のみからなるものであっても良いし、他の構造単位との共重合体であっても良い。その際、一般式(3)で表される構造単位を90モル%以上含有していることが好ましい。共重合に用いられる構造単位の種類および量は最終加熱処理によって得られる硬化膜の屈折率、透過率、膜物性を大幅に低下させない範囲で選択することができる。
【0042】
本発明に用いられるポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミドベンゾオキサゾール、それらの前駆体は、ジアミン化合物とジカルボン酸や酸二無水物を縮合することで得られる。例えば、ポリベンゾオキサゾール前駆体であるポリヒドロキシアミドの合成方法としては、ビスアミノフェノール化合物とジカルボン酸を縮合反応させる方法がある。具体的には、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)のような脱水縮合剤と酸を反応させ、ここにビスアミノフェノール化合物を加える方法や、ピリジンなどの3級アミンを加えたビスアミノフェノール化合物の溶液にジカルボン酸ジクロリドの溶液を滴下するなどがある。
【0043】
本発明の一般式(3)で表される構造単位を含有するポリマーは、例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後アミンと縮合剤の存在下で反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、アミンと反応させる方法などで合成することができる。
【0044】
本発明に用いられる(b)成分の無機粒子としては、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、スズ化合物、チタン化合物、ジルコニウム化合物の粒子などが挙げられる。より具体的には、アルミニウム錯体、酸化アルミニウム粒子、酸化スズ−酸化アルミニウム複合粒子、酸化ケイ素−酸化アルミニウム複合粒子、酸化ジルコニウム−酸化アルミニウム複合粒子、酸化スズ−酸化ケイ素複合粒子、酸化ジルコニウム−酸化ケイ素複合粒子等、スズ錯体、酸化スズ粒子、酸化ジルコニウム−酸化スズ複合粒子等、チタン錯体、酸化チタン粒子、酸化スズ−酸化チタン複合粒子、酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子、酸化ジルコニウム−酸化チタン複合粒子等、ジルコニウム錯体、酸化ジルコニウム粒子等があげられる。これらのうち、好ましくは、酸化スズ−酸化アルミニウム複合粒子、酸化ジルコニウム−酸化アルミニウム複合粒子、酸化ジルコニウム−酸化ケイ素複合粒子等、酸化スズ粒子、酸化ジルコニウム−酸化スズ複合粒子等、酸化チタン粒子、酸化スズ−酸化チタン複合粒子、酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子、酸化ジルコニウム−酸化チタン複合粒子等、酸化ジルコニウム粒子等があげられる。特に好ましくは、酸化スズ−酸化チタン複合粒子、酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子、酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム−酸化スズ複合粒子、酸化ジルコニウム−酸化ケイ素複合粒子、酸化ジルコニウム粒子である。特に酸化チタン粒子についてはその表面を他の物質で覆うことで光触媒反応を低下させることができる。上記粒子は粉末状であってもゾル状であってもよいが、ポリマーへの分散の容易さ等の点からゾル状であることがより好ましい。
【0045】
これらの無機粒子の平均粒子径は1〜30nmであり、好ましくは1〜15nmである。ここでいう平均粒子径は、個数平均を意味する。平均粒子径は、ガス吸着法や動的光散乱法、X線小角散乱法、透過型電子顕微鏡により粒子径を直接測定する方法などに測定することができる。これら測定法において得られる粒子径は、体積平均や質量平均などである場合もあるが、粒子形状を球形と仮定することで個数平均に換算することができる。平均粒子径が30nmを越えると、光が粒子により乱反射し透明性が著しく低下する。また、粒子径1〜9nmと10〜30nmのそれぞれに粒子径分布の極大が存在する粒子を用いることで、粒子の分散性や硬化膜の透過率を損なうことなく単位体積あたりの粒子含有量を向上させることが可能となる。この結果、より屈折率の高い良好な硬化膜を得ることができる。
【0046】
これら無機粒子の含有量に特に制限はない。ただし、ポリマーと粒子の種類や粒子の表面処理条件にもよるが、粒子の含有量が多いと均一分散が困難となることがあるので、ポリマー100重量部に対して500重量部以下であることが好ましい。より好ましくは300重量部以下である。また、粒子の含有量が少ないと高い屈折率が得られないため、ポリマー100重量部に対して50重量部以上であることが好ましい。
【0047】
これらの無機粒子は、単体粒子としても、複合粒子としても利用できる。さらに、これらの無機粒子は、2種以上を混合して用いられることもできる。市販されている無機粒子としては、酸化スズ−酸化チタン複合粒子ゾルの”オプトレイクTR−502”、”オプトレイクTR−504”、酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子ゾルの”オプトレイクTR−503”、酸化チタン粒子ゾルの”オプトレイクTR−505”(以上、商品名、触媒化成工業(株)製)、酸化ジルコニウム粒子ゾル((株)高純度化学研究所製)、酸化スズ−酸化ジルコニウム複合粒子ゾル(触媒化成工業(株)製)、酸化スズ粒子ゾル((株)高純度化学研究所製)等が挙げられる。
【0048】
本発明で使用される一般式(1)で表される基を有する熱架橋性化合物(c1)としては、たとえば、上記一般式(1)で表される基を1つ有するものとしてML−26X、ML−24X、ML−236TMP、4−メチロール3M6C、ML−MC、ML−TBC(以上、商品名、本州化学工業(株)製)等、2つ有するものとしてDM−BI25X−F、46DMOC、46DMOIPP、46DMOEP(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PC、DML−PCHP、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP、DML−POP、DML−OC、ジメチロール−Bis−C、ジメチロール−BisOC−P、DML−BisOC−Z、DML−BisOCHP−Z、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MB25、DML−MTrisPC、DML−Bis25X−34XL、DML−Bis25X−PCHP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−290(商品名、(株)三和ケミカル製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾール等、3つ有するものとしてTriML−P、TriML−35XL、TriML−TrisCR−HAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)等、4つ有するものとしてTM−BIP−A(商品名、旭有機材工業(株)製)、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−280、ニカラックMX−270(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)等、6つ有するものとしてHML−TPPHBA、HML−TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)が挙げられる。
【0049】
これらのうち、本発明では一般式(1)で表される基を2〜4つ含有するものが好ましく、特に好ましくは、2つ有するものとして46DMOC、46DMOEP(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PC、DML−PCHP、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP、DML−POP、ジメチロール−BisOC−P、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MTrisPC(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−290(商品名、(株)三和ケミカル製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾール等、3つ有するものとしてTriML−P、TriML−35XL(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、4つ有するものとしてTM−BIP−A(商品名、旭有機材工業(株)製)、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、ニカラックMX−280、ニカラックMX−270(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)がある。また、さらに好ましくは上記一般式(2)で表される基を有する化合物であるDML−PC、DML−PTBP、ニカラックMX−270、ニカラックMX−280(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)等が挙げられる。
【0050】
これらの熱架橋性化合物を含有することで、得られる非感光性樹脂組成物は、架橋により膜と粒子が強固に結合するため、膜の物性が向上し1μm以上の厚膜においてもクラックが発生しない。
【0051】
特に熱架橋性化合物が一般式(2)で表される尿素系有機基を有する熱架橋性化合物(c2)の場合、芳香族の熱架橋性化合物と比較して、光に対して吸収がきわめて小さい。また、脂肪族系に比較して脂環式系であるために耐熱性に優れる。
【0052】
これら熱架橋性化合物は、以下のように、ベンゼン環に直接付加する反応機構によって架橋する。
【0053】
【化12】

【0054】
下記に本発明で使用するのに特に好ましい代表的な熱架橋性化合物の構造を示す。
【0055】
【化13】

【0056】
本発明の非感光性樹脂組成物は、熱架橋性化合物(c1)および熱架橋性化合物(c2)の両方を含んでも良い。
【0057】
また、必要に応じて非感光性樹脂組成物と基板との塗れ性を向上させる目的で界面活性剤、乳酸エチルやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、エタノールなどのアルコール類、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類を混合しても良い。
【0058】
さらにシリコンウエハなどの下地基板との接着性を高めるために、シランカップリング剤などを非感光性樹脂組成物のワニスに0.5〜10重量%添加したり、下地基板をこのような薬液で前処理したりすることもできる。
【0059】
ワニスに添加する場合、メチルメタクリロキシジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、アルミキレート剤をワニス中のポリマーに対して0.5〜10重量%添加する。
【0060】
基板を処理する場合、上記で述べたカップリング剤をイソプロパノール、エタノール、メタノール、水、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、アジピン酸ジエチルなどの溶媒に0.5〜20重量%溶解させた溶液をスピンコート、浸漬、スプレー塗布、蒸気処理などで表面処理をする。場合によっては、その後50〜300℃までの温度をかけることで、基板と上記カップリング剤との反応を進行させる。
【0061】
この非感光性樹脂組成物が高透過率を保つためには、粒子自体が凝集せず、分散安定性を保つ必要がある。非感光性樹脂組成物中の粒子の分散性は、非感光性樹脂組成物のCasson降伏値を測定することにより評価することができる。Casson降伏値は、粘度計で種々のずり速度に対するずり応力を測定し、Cassonの式 S1/2=a×D1/2+b(S:ずり応力(Pa)、D:ずり速度(1/s)、a:残留粘度(Pa・s) せん断速度が無限大の時の粘度、b:Casson降伏値(Pa) せん断速度がゼロの時の応力)から算出することができる。Casson降伏値は好ましくは1×10−2Pa以下、より好ましくは1×10−3Pa以下であるのがよい。特に、膜厚1μm以上の樹脂膜を形成するために高粘度の非感光性樹脂組成物を用いる場合には、Casoon降伏値が大きくなる傾向があるが、これは粒子表面を有機物で被覆することや分散剤を添加することで改善できる。粒子の表面を有機物で被覆する方法としては、シランカップリング剤などを用いて粒子表面の修飾を行う方法などが挙げられる。
【0062】
次に、本発明の非感光性樹脂組成物を用いて硬化膜を形成する方法について説明する。
【0063】
非感光性樹脂組成物を基板上に塗布し塗布膜を得る。基板としてはシリコンウエハ、セラミックス類、ガリウムヒ素などが用いられるが、これらに限定されない。塗布方法としてはスピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティングなどの方法がある。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が、0.1〜150μmになるように塗布される。また、塗布後にプリベークを行っても良い。プリベークの条件としては、ホットプレートにて90〜120℃で数分行うのが一般的である。
【0064】
次に、80〜400℃の熱を加えてキュアを行い、硬化膜に変換する。この加熱処理は温度を選び、段階的に昇温してもよく、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分から5時間行ってもよい。一例としては、130℃、200℃、350℃で各30分ずつ熱処理する、あるいは室温より400℃まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。
【0065】
本発明の非感光性樹脂組成物により形成した硬化膜は、光学素子用の高屈折層間膜やマイクロレンズや反射防止膜などの用途に用いられる。
【0066】
マイクロレンズの形状を作成するには、本発明の非感光性樹脂組成物を加熱処理後にフォトレジストを塗布、露光、現像してマイクロレンズパターンを形成した後、該レジストパターンをエッチングマスクとしてドライエッチングを行いパターンを転写する等の方法がある。
【実施例】
【0067】
以下実施例および技術をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、実施例中の非感光性樹脂組成物の評価は以下の方法により行った。
【0068】
硬化膜の作製
6インチシリコンウエハ上及び6インチガラス基板上に、非感光性樹脂組成物(以下ワニスと呼ぶ)をプリベーク後の膜厚が1.2μmとなるように塗布し、ついでホットプレ−ト(大日本スクリーン製造(株)製SCW−636)を用いて、120℃で3分プリベークすることにより、塗布膜を得た。この塗布膜を、クリーンオーブン(光洋サーモシステム(株)製CLH−21CD)中の窒素雰囲気下(酸素濃度300ppm)で、230℃で60分加熱、キュアし、硬化膜を得た。
【0069】
硬化膜の膜厚の測定
大日本スクリーン製造(株)製ラムダエースSTM−602を使用し、屈折率1.78で硬化膜の膜厚の測定を行った。
【0070】
透過率の算出
6インチガラス基板上に作製した膜厚1.0μmの硬化膜について、紫外−可視分光光度計UV−260(島津製作所(株)製)を用いて、400nmと450nmの透過率を測定した。
【0071】
屈折率の測定
6インチシリコンウエハ上に作製した膜厚1.5μmの硬化膜について、プリズムカプラー(Metricon(株)製)を用いて、20℃での633nm(He−Neレーザー使用)における膜面に対して垂直方向の屈折率(TM)を測定した。
【0072】
クラック発生の測定
6インチシリコンウエハ上に作製した膜厚1.5μmの硬化膜について、230℃3分と室温(23℃)3分で3回ヒートサイクル試験を行い、光学顕微鏡でクラックの発生の有無を確認した。
【0073】
合成例1 ヒドロキシル基含有酸無水物(a)の合成
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(BAHF)18.3g(0.05モル)とアリルグリシジルエーテル34.2g(0.3モル)をガンマブチロラクトン(GBL)100gに溶解させ、−15℃に冷却した。ここにGBL50gに溶解させた無水トリメリット酸クロリド22.1g(0.11モル)を反応液の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、0℃で4時間撹拌した。この溶液をロータリーエバポレーターで濃縮して、トルエン1lに投入して酸無水物(a)を得た。
【0074】
【化14】

【0075】
合成例2 ヒドロキシル基含有ジアミン化合物(b)の合成
BAHF18.3g(0.05モル)をアセトン100ml、プロピレンオキシド17.4g(0.3モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここに4−ニトロベンゾイルクロリド20.4g(0.11モル)をアセトン100mlに溶解させた溶液を滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間撹拌し、その後室温に戻した。析出した白色固体をろ別し、50℃で真空乾燥した。
【0076】
得られた固体30gを300mlのステンレスオートクレーブに入れ、メチルセルソルブ250mlに分散させ、5%パラジウム−炭素を2g加えた。ここに水素を風船で導入して、還元反応を室温で行った。約2時間後、風船がこれ以上しぼまないことを確認して反応を終了させた。反応終了後、ろ過して触媒であるパラジウム化合物を除き、ロータリーエバポレーターで濃縮し、ジアミン化合物(b)を得た。得られた固体をそのまま反応に使用した。
【0077】
【化15】

【0078】
合成例3 ヒドロキシル基含有ジアミン化合物(c)の合成
2−アミノ−4−ニトロフェノール15.4g(0.1モル)をアセトン50ml、プロピレンオキシド30g(0.34モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここにイソフタル酸クロリド11.2g(0.055モル)をアセトン60mlに溶解させた溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間撹拌した。その後、室温に戻して生成している沈殿をろ過で集めた。
【0079】
この沈殿をGBL200mlに溶解させて、5%パラジウム−炭素3gを加えて、激しく攪拌した。ここに水素ガスを入れた風船を取り付け、室温で水素ガスの風船がこれ以上縮まない状態になるまで攪拌を続け、さらに2時間水素ガスの風船を取り付けた状態で攪拌した。攪拌終了後、ろ過でパラジウム化合物を除き、溶液をロータリーエバポレーターで半量になるまで濃縮した。ここにエタノールを加えて、再結晶を行い、目的の化合物の結晶を得た。
【0080】
【化16】

【0081】
合成例4 ヒドロキシル基含有ジアミン化合物(d)の合成
2−アミノ−4−ニトロフェノール15.4g(0.1モル)をアセトン100ml、プロピレンオキシド17.4g(0.3モル)に溶解させ、−15℃に冷却した。ここに4−ニトロベンゾイルクロリド20.4g(0.11モル)をアセトン100mlに溶解させた溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、−15℃で4時間撹拌した。その後、室温に戻して生成している沈殿をろ過で集めた。この後、合成例2と同様にして目的の化合物の結晶を得た。
【0082】
【化17】

【0083】
合成例5 キノンジアジド化合物(1)の合成
乾燥窒素気流下、TrisP−HAP(商品名、本州化学工業(株)製)、15.31g(0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド40.28g(0.15モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.18gを系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後、30℃で2時間攪拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、ろ液を水に投入させた。その後析出した沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、キノンジアジド化合物(1)を得た。
【0084】
【化18】

【0085】
実施例1
乾燥窒素気流下、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル4.1g(0.0205モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)50gに溶解させた。ここに合成例1で得られたヒドロキシル基含有酸無水物(a)21.4g(0.03モル)をNMP14gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で4時間反応させた。その後、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール7.14g(0.06モル)をNMP5gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、50℃で3時間攪拌した。
【0086】
得られた溶液40.0gに粒子径5nmの”オプトレイクTR−502”(商品名、触媒化成工業(株)製)70gとDML−PC(本州化学工業(株)製)5gを加えてワニスAを得た。得られたワニスを前記手順にてシリコンウエハ上及びガラス基板上に塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0087】
実施例2
乾燥窒素気流下、合成例2で得られたジアミン(b)13.6g(0.0225モル)、末端封止剤として、4−エチニルアニリン(商品名:P−APAC、富士写真フイルム(株)製)0.29g(0.0025モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)50gに溶解させた。ここにヒドロキシル基含有酸無水物(a)17.5g(0.025モル)をピリジン30gとともに加えて、60℃で6時間反応させた。反応終了後、溶液を水2lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。
【0088】
このようにして得たポリマーの固体15gを計り、粒子径5nmの”オプトレイクTR−502”(商品名、触媒化成工業(株)製)50gとDML−PTBP(本州化学工業(株)製)2g、ビニルトリメトキシシラン1gをガンマブチロラクトン30gに溶解させてワニスBを得た。得られたワニスを前記手順にてシリコンウエハ上及びガラス基板上に塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0089】
実施例3
乾燥窒素気流下、合成例3で得られたジアミン化合物(c)20.78g(0.055モル)、1、3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)をNMP50gに溶解させた。ここに3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物13.95g(0.045モル)をNMP21gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で2時間反応させた。50℃で2時間攪拌後、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール14.7g(0.1モル)をNMP5gで希釈した溶液を10分かけて滴下した。滴下後、50℃で3時間攪拌した。
【0090】
得られた溶液30gに粒子径10nmの”オプトレイクTR−505”(商品名、触媒化成工業(株)製)85g、ニカラック MX−270((株)三和ケミカル製)3gを溶解させてワニスCを得た。得られたワニスを前記手順にてシリコンウエハ上及びガラス基板上に塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0091】
実施例4
乾燥窒素気流下、合成例4で得られたジアミン化合物(d)6.08g(0.025モル)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテル4.21g(0.021モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン0.806g(0.00325モル)をNMP70gに溶解させた。ヒドロキシル基含有酸無水物(a)24.99g(0.035モル)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸2無水物4.41g(0.015モル)を室温でNMP25gとともに加え、そのまま室温で1時間、その後50℃で2時間攪拌した。ついで、グリシジルメチルエーテル17.6g(0.2モル)をNMP10gで希釈した溶液を加え、70℃で6時間攪拌した。
【0092】
このポリマー溶液40gに粒子径8nmの”オプトレイクTR−503”(商品名、触媒化成工業(株)製)150g、TMOM−BP(本州化学工業(株)製)5gを溶解させてワニスDを得た。得られたワニスを前記手順にてシリコンウエハ上及びガラス基板上に塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0093】
実施例5
乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン16.93g(0.04625モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)50g、グリシジルメチルエーテル26.4g(0.3モル)に溶解させ、溶液の温度を−15℃まで冷却した。ここにジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド7.38g(0.025モル)、イソフタル酸ジクロリド5.08g(0.025モル)をガンマブチロラクトン25gに溶解させた溶液を内部の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、6時間−15℃で攪拌を続けた。
【0094】
反応終了後、溶液を水3lに投入して白色の沈殿を集めた。この沈殿をろ過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。
【0095】
このようにして得られたポリマー粉体10gに粒子径5nmの”オプトレイクTR−504”(商品名、触媒化成工業(株)製)140g、TMOM−BP(本州化学工業(株)製)0.1gをNMP30gに溶解させてワニスEを得た。得られたワニスを前記手順にてシリコンウエハ上及びガラス基板上に塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0096】
実施例6
乾燥窒素気流下、合成例2で得られたジアミン(b)13.6g(0.0225モル)、末端封止剤として、4−(3−アミノフェニル)−2−メチル−3−ブチン−2−オール(商品名:M−APACB、富士写真フイルム(株)製)0.44g(0.0025モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)50gに溶解させた。ここにヒドロキシル基含有酸無水物(a)17.5g(0.025モル)をピリジン30gとともに加えて、60℃で6時間反応させた。反応終了後、溶液を水2lに投入して、ポリマー固体の沈殿をろ過で集めた。ポリマー固体を80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。
【0097】
このようにして得たポリマーの固体10gを計り、ビニルトリメトキシシラン1gと、粒子径5nmの”オプトレイクTR−504”(商品名、触媒化成工業(株)製)140g、ニカラック MX−280((株)三和ケミカル製)0.5gをガンマブチロラクトン30gに溶解させてワニスFを得た。得られたワニスを前記手順にてシリコンウエハ上及びガラス基板上に塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0098】
実施例7
実施例2の粒子径5nmの”オプトレイクTR−502”(商品名、触媒化成工業(株)製)の添加量を50gから140gに変更し、他は実施例2と同様に行い、ワニスGを得た。得られたワニスを用いて前記のように、シリコンウエハ上及びガラス基板上に樹脂膜を塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0099】
実施例8
実施例2の粒子径5nmの”オプトレイクTR−502”(商品名、触媒化成工業(株)製)の添加量を40gに変更し、他は実施例2と同様に行い、のワニスHを得た。得られたワニスを前記手順にてシリコンウエハ上及びガラス基板上に塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0100】
実施例9
実施例1の粒子径5nmの”オプトレイクTR−502”(商品名、触媒化成工業(株)製)を粒子径5nmの酸化ジルコニウム粒子((株)高純度化学研究所製)10gに変更し、他は実施例1と同様に行い、ワニスIを得た。得られたワニスを前記手順にてシリコンウエハ上及びガラス基板上に塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0101】
実施例10
実施例3の粒子径10nmの”オプトレイクTR−505”(商品名、触媒化成工業(株)製)を粒子径25nmの酸化スズ−酸化ジルコニウム複合粒子ゾル(触媒化成工業(株)製)に変更し、他は実施例3と同様に行い、ワニスJを得た。得られたワニスを前記手順にてシリコンウエハ上及びガラス基板上に塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0102】
実施例11
実施例2の粒子径5nmの”オプトレイクTR−502”(商品名、触媒化成工業(株)製)を粒子径15nmの酸化アルミニウム−酸化チタン複合粒子ゾルに変更し、ワニスKを得た。得られたワニスを前記手順にてシリコンウエハ上及びガラス基板上に塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0103】
実施例12
実施例5の2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン16.93gを18.3g(0.05モル)に変更し、さらに粒子径5nmの”オプトレイクTR−504”(商品名、触媒化成工業(株)製)を、粒子径10nmの酸化スズ粒子((株)高純度化学研究所製)20gに変更し、他は、実施例5と同様に行い、ワニスLを得た。得られたワニスを前記手順にてシリコンウエハ上及びガラス基板上に塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0104】
実施例13
実施例2にさらに粒子径25nmの酸化アルミニウム−酸化ジルコニウムゾルを100g添加し、他は、実施例2と同様に行い、ワニスMを得た。得られたワニスを前記手順にてシリコンウエハ上及びガラス基板上に塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0105】
実施例14
実施例3にさらに粒子径15nmの酸化アルミニウム−酸化チタンゾルを50g添加し、他は、実施例2と同様に行い、ワニスNを得た。得られたワニスを前記手順にてシリコンウエハ上及びガラス基板上に塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0106】
実施例15
実施例1の粒子径5nmの”オプトレイクTR−502”(商品名、触媒化成工業(株)製)を300gに変更する他は、実施例1と同様に行い、ワニスOを得た。得られたワニスを前記手順にて用いて前記のように、シリコンウエハ上及びガラス基板上に樹脂膜を塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0107】
実施例16
実施例3のMX−270の添加量を10gに変更する他は、実施例3と同様に行い、ワニスPを得た。得られたワニスを前記手順にて用いて前記のように、シリコンウエハ上及びガラス基板上に樹脂膜を塗布、熱硬化し、硬化膜高屈折率樹脂の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0108】
比較例1
実施例1の粒子径5nmの”オプトレイクTR−502”(商品名、触媒化成工業(株)製)を用いない他は、実施例1と同様に行い、ワニスQを得た。得られたワニスを前記手順にてシリコンウエハ上及びガラス基板上に塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0109】
比較例2
実施例2の粒子径5nmの”オプトレイクTR−502”(商品名、触媒化成工業(株)製)を粒子径60nmの”オプトレイクTR−506”(商品名、触媒化成工業(株)製)に変更し、他は実施例2と同様に行い、ワニスRを得た。得られたワニスを前記手順にてシリコンウエハ上及びガラス基板上に塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0110】
比較例3
実施例3の粒子径10nmの”オプトレイクTR−505”(商品名、触媒化成工業(株)製)を粒子径35nmの”オプトレイクTR−509”(商品名、触媒化成工業(株)製)に変更し、他は実施例3と同様に行い、ワニスSを得た。得られたワニスを前記手順にてシリコンウエハ上及びガラス基板上に塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0111】
比較例4
実施例3のMX−270を添加しない他は、実施例3と同様に行い、ワニスTを得た。得られたワニスを前記手順にてシリコンウエハ上及びガラス基板上に塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0112】
比較例5
実施例2に合成例5で得られたキノンジアジド化合物(1)2gを添加する他は、実施例2と同様に行い、感光性樹脂組成物を得た。得られた感光性樹脂組成物を前記手順にてシリコンウエハ上及びガラス基板上に塗布、熱硬化し、硬化膜の透過率、屈折率及びクラックの発生について評価を行った。
【0113】
実施例1〜16、比較例1〜5の評価結果を表1〜表2に示す。
【0114】
【表1】

【0115】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリイミドベンゾオキサゾールおよびそれらの前駆体からなる群より選ばれる1種以上のポリマーと、(b)平均粒子径1〜30nmの無機粒子と、(c1)一般式(1)で表される基を有する熱架橋性化合物および/または(c2)一般式(2)で表される尿素系有機基を有する熱架橋性化合物を含有することを特徴とする非感光性樹脂組成物。
【化1】

【化2】

(式中、Rは各々同一でも異なっていてもよく、水素原子または1価の有機基を示す。)
【請求項2】
(b)平均粒子径1〜30nmの無機粒子が、アルミニウム化合物ゾル、ケイ素化合物ゾル、スズ化合物ゾル、チタン化合物ゾル、ジルコニウム化合物ゾルより選ばれる少なくとも1種の化合物ゾルを含有することを特徴とする請求項1記載の非感光性樹脂組成物。
【請求項3】
(b)平均粒子径1〜30nmの無機粒子が、粒子径1〜9nmと10〜30nmのそれぞれに粒子径分布の極大を有するものであることを特徴とする請求項1または2記載の非感光性樹脂組成物。
【請求項4】
(a)成分が、一般式(3)で表される構造単位を含有するポリマーであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の非感光性樹脂組成物。
【化3】

(式中、Rは少なくとも2個以上の炭素原子を有する2〜8価の有機基、Rは少なくとも2個以上の炭素原子を有する2〜6価の有機基を示す。R は水素原子または炭素数1〜20の有機基を示す。nは10〜100000の整数、mは0〜2の整数、pおよびqは0〜4の整数を示す。)
【請求項5】
一般式(3)のR(COOR)m(OH)pが、一般式(4)で表されることを特徴とする請求項4記載の非感光性樹脂組成物。
【化4】

(式中、RおよびRは炭素数2〜20の2〜4価の有機基を示す。Rは炭素数3〜20の3〜6価の有機基を示す。RおよびRは水素原子または炭素数1〜20の有機基を示す。oおよびsはいずれも0〜2であって、0≦o+s≦2を満たす整数、rは1〜4の整数を示す。)
【請求項6】
一般式(3)のR(OH)qが、一般式(5)で表されることを特徴とする請求項4記載の非感光性樹脂組成物。
【化5】

(式中、R10およびR12は炭素数2〜20の3〜4価の有機基を示す。R11は炭素数2〜30の2価の有機基を示す。tおよびuは1あるいは2を示す。)
【請求項7】
一般式(3)のR(OH)qが、一般式(6)で表されることを特徴とする請求項4記載の非感光性樹脂組成物。
【化6】

(式中、R13およびR15は炭素数2〜20の2価の有機基を示す。R14は炭素数3〜20の3〜6価の有機基を示す。vは1〜4の整数を示す。)
【請求項8】
一般式(3)のR(OH)qが、一般式(7)で表されることを特徴とする請求項4記載の非感光性樹脂組成物。
【化7】

(式中、R16は炭素数2〜20の2価の有機基を示す。R17は炭素数3〜20の3〜6価の有機基を示す。wは1〜4の整数を示す。)
【請求項9】
(a)成分を100重量部、(b)成分を50〜300重量部、(c1)および(c2)成分を総量で0.5〜50重量部含有することを特徴とする請求項1〜8いずれか記載の非感光性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1〜9いずれか記載の非感光性樹脂組成物を硬化してなる屈折率1.78以上の硬化膜。
【請求項11】
基板上に、請求項10記載の屈折率1.78以上の硬化膜と、屈折率1.45以下の硬化膜を形成して成る積層体。
【請求項12】
請求項10記載の硬化膜を有する光学素子。

【公開番号】特開2007−63502(P2007−63502A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254597(P2005−254597)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】