説明

非接触充電システム及び非接触充電方法

【課題】磁気共鳴式の電力供給により電源装置から二次電池への充電を行うと共に、送電装置及び受電装置の大型化及び高コスト化を抑制して、送電装置から受電装置への非接触による電力供給を確実に停止することができる非接触充電システム及び非接触充電方法を提供する。
【解決手段】受電装置5は、二次電池2の充電終了条件が成立する場合、所定の給電停止指示時間に亘って共振周波数を変更する。送電装置4は、共振周波数の変更に伴う送電コイルL41の電流減少が給電停止指示時間に亘って生じた場合、電源装置3へ電力供給停止の指示を与える。また受電装置5が周期的に共振周波数を変更して二次電池2のSOCの通知を行い、これにより周期的に生じる送電コイルL41の電流減少の有無を送電装置4が判定し、周期的な電流減少が生じていない場合に電源装置3の電力供給を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴式の電力送受信を行うことで、電源装置から二次電池への充電を非接触で行う非接触充電システム及び非接触充電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車又はハイブリッド自動車等のように、リチウムイオンバッテリなどの二次電池に充電された電力でモータを駆動することにより走行する車輌が普及している。このような車輌(特に電気自動車)では、外部の電源装置からの電力供給により二次電池の充電が行われる場合がある。充電の際には電源装置に接続された充電ケーブルが車輌に設けられた充電口に接続され、充電ケーブル経由で電源装置から二次電池への充電が行われる。
【0003】
一方、非接触で電力供給を行う技術として、近年では磁気共鳴式の給電が注目されている。磁気共鳴式の給電では、送電装置及び受電装置の共振周波数を一致させることによって、送電装置及び受電装置が数10cm〜数m程度の距離を隔てられている場合であっても、電磁誘導方式の非接触給電と比較して、高効率での電力送受信を行うことができるという利点がある。上記のような車輌の充電に磁気共鳴式の給電を採用することによって、外部の電源装置と車輌とを充電ケーブルにて接続する必要がなくなるため、容易且つ高効率な充電を実現することができる。
【0004】
しかし、車輌及び携帯型の電子機器等に広く利用されるリチウムイオンバッテリは、過充電などによる発熱の虞があるため、安全性の確保と充電時間の短縮とを両立させるためには、充電の際にリチウムイオンバッテリに印加する電圧及び電流の制御を精度よく行わなければならない。このため、リチウムイオンバッテリへ電力を供給する電源装置は、リチウムイオンバッテリの充電状態を把握して、充電状態に応じて供給電力の電圧及び電流を精度良く調整する必要がある。
【0005】
非接触で電源装置からリチウムイオンバッテリへの充電を行う場合、送電側の電源装置は受電側のリチウムイオンバッテリの充電状態を直接的に知ることはできない。このため、送電側の電源装置と受電側のリチウムイオンバッテリを搭載した車輌との間で、リチウムイオンバッテリの充電状態を通知するための手段、例えば電波による無線通信の手段などを設ける必要がある。無線通信の手段などを設けることによって、電源装置及び車輌のコスト増大及び装置の大型化等の問題が発生する。
【0006】
特許文献1においては、第1の共振回路に接続した一次コイルを有する給電装置と、第2の共振回路に接続した二次コイルを有する電子機器とを備え、給電装置が一次コイルに共振周波数の交流電界を印加した場合に、磁気共鳴によって二次コイルに電力が誘導され、電子機器の二次電池が充電される共鳴充電システムが提案されている。このシステムでは、電子機器が複数の共振周波数から一つの共振周波数を任意に設定することができ、給電装置は、電子機器が設定している共振周波数を検出し、検出された共振周波数にて給電を継続することができる。これにより、給電装置及び電子機器に通信手段を設けることなく、給電装置において電子機器内の二次電池の充電状態を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−119193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
二次電池の過充電の防止及び電力の浪費を防止するために、二次電池が満充電状態となった場合には送電側から受電側への電力供給を停止して、二次電池の充電を終了する必要がある。また送電側の装置又は受電側の装置に異常が発生した場合などにも、電力供給を停止して二次電池の充電を終了する必要がある。
【0009】
特許文献1に記載の共鳴充電システムは、給電装置及び電子機器が複数の共振周波数から一つの共振周波数を任意に設定することができる構成とし、二次電池の充電状態に応じて共振周波数を段階的に変化させることによって、電子機器から給電装置へ充電状態を通知するというものである。このため1つの共振周波数を満充電状態に割り当てることで、受電側から送電側へ二次電池の満充電を知らせて給電を停止することができる。しかしながら共振周波数を多段階で変化させるためには、抵抗及び容量等の回路素子を多数備えて切り替えを行う必要があるため、送電装置及び受電装置の大型化及び高コスト化を招来するという問題がある。また磁気共鳴式の電力供給は、13.56MHz±7kHzのISM(Industry Science Medical)帯での実用化が検討されている。このため特許文献1に記載の共鳴充電システムによる共振周波数の変化もこのISM帯で行う必要があり、限られた周波数内で変化させることができる共振周波数には限りがある。このため、充電状態通知のために複数の共振周波数を用いることは好ましくない。
【0010】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、磁気共鳴式の電力供給により電源装置から二次電池への充電を行うと共に、送電装置及び受電装置の大型化及び高コスト化を抑制して、二次電池が満充電状態に達した場合又は異常が発生した場合等に送電装置から受電装置への非接触による電力供給を確実に停止することができる非接触充電システム及び非接触充電方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る非接触充電システムは、送電コイルにより第1の共振周波数での送電を行う送電装置と、受電コイルにより前記第1の共振周波数での受電を行う受電装置とを備え、前記送電装置が送電した電力を前記受電装置が受電して二次電池への充電を行う非接触充電システムにおいて、前記受電装置は、受電に係る共振周波数を前記第1の共振周波数又は該第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数に切り替える切替手段と、所定条件が成立した場合に、所定時間に亘って前記第2の共振周波数での受電を行うように、前記切替手段による切り替えを制御する制御手段とを有し、前記送電装置は、前記送電コイルを流れる電流を検知する検知手段と、該検知手段の検知結果に応じて、前記所定時間に亘って前記送電コイルを流れる電流が減少したか否かを判定する電流減少判定手段とを有し、該電流減少判定手段が前記所定時間に亘って電流が減少したと判定した場合に送電を停止するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る非接触充電システムは、前記受電装置が、前記二次電池の充電状態を取得する充電状態取得手段を有し、前記制御手段は、前記二次電池が満充電状態の場合、所定時間に亘って前記第2の共振周波数での受電を行うように、前記切替手段による切り替えを行うようにしてあることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る非接触充電システムは、前記受電装置が、通信線を介して他の装置に接続され、該通信線を介して前記他の装置との情報授受を行う通信手段を有し、前記制御手段は、該通信手段により前記他の装置から所定の制御情報を受信した場合、所定時間に亘って前記第2の共振周波数での受電を行うように、前記切替手段による切り替えを行うようにしてあることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る非接触充電システムは、前記受電装置が、通信線を介して他の装置に接続され、該通信線を介して前記他の装置との情報授受を行う通信手段を有し、前記制御手段は、該通信手段により前記他の装置から異常発生の通知を受信した場合、所定時間に亘って前記第2の共振周波数での受電を行うように、前記切替手段による切り替えを行うようにしてあることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る非接触充電システムは、前記受電装置が、前記二次電池の充電状態を取得する充電状態取得手段と、前記二次電池の充電状態、並びに、該充電状態の前記二次電池へ供給すべき電力の電圧値及び/又は電流値の対応を記憶した記憶手段と、受電した電力の電圧値及び/又は電流値を検知する検知手段とを有し、前記制御手段は、前記検知手段が検知した電圧値及び/又は電流値が、前記充電状態取得手段が取得した充電状態に対応する電圧値及び/又は電流値と異なる場合、所定時間に亘って前記第2の共振周波数での受電を行うように、前記切替手段による切り替えを行うようにしてあることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る非接触充電システムは、前記受電装置の制御手段が、前記第2の共振周波数での受電を所定周期で繰り返し行うように、前記切替手段による切り替えを制御し、前記送電装置は、前記所定周期での前記送電コイルの電流減少の有無を判定する周期電流減少判定手段を有し、該周期電流減少判定手段が前記所定周期での電流減少がないと判定した場合に送電を停止するようにしてあることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る非接触充電方法は、送電コイルにより第1の共振周波数での送電を行い、受電コイルにより前記第1の共振周波数での受電を行って、二次電池への充電を行う非接触充電方法において、所定条件が成立した場合に、所定時間に亘って前記第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数に切り替えて受電を行い、前記送電コイルを流れる電流を検知し、検知結果に応じて、前記所定時間に亘って前記送電コイルを流れる電流が減少したか否かを判定し、前記所定時間に亘って電流が減少したと判定した場合に、送電を停止することを特徴とする。
【0018】
本発明においては、送電装置及び受電装置が磁気共鳴式の電力供給を行って、電源装置からの電力を送電装置が送信し、この電力を受信した受電装置が二次電池の充電を行う。磁気共鳴式の電力供給では、送電装置及び受電装置の共振周波数を一致させることによって、高効率での電力供給が可能となる。逆に、送電装置及び受電装置の共振周波数が一致していない場合には、電力供給の効率が極端に低下する。
そこで本発明の受電装置は、共振周波数を第1の共振周波数又は第2の共振周波数の2通りに切替可能な構成とする。なお、第1の共振周波数は送電装置の共振周波数に略一致するものであり、第2の共振周波数は送電装置の共振周波数と異なるものである。これにより、第1の共振周波数に切り替えた場合は送電装置から受電装置へ高効率での電力供給が行われ、第2の共振周波数に切り替えた場合は低効率での電力供給が行われる。即ち受電装置は、共振周波数を切り替えることによって電力供給効率の切り替えを行う構成であり、電力供給効率の切り替えを利用して二次電池の充電終了を通知する。受電装置は、例えば二次電池が満充電状態に達した場合又は異常が発生した場合等の所定条件が成立した場合に充電を終了させると判定し、所定時間に亘って第2の共振周波数への切り替えを行うことによって、送電装置へ二次電池の充電終了を通知する。
受電装置が第2の共振周波数への切り替えを行った場合、電力供給効率が低下するため送電装置では送電コイルを流れる電流が減少する。送電装置は、送電コイルを流れる電流の検知を行い、所定時間に亘って送電コイルを流れる電流が減少したか否かを判定することによって、受電装置からの充電終了の通知の有無を判定する。所定時間に亘る電流減少が生じた場合、送電装置は受電装置から充電終了が通知されたと判断し、非接触による電力送信を停止する。これにより二次電池への充電が停止される。
【0019】
また、本発明においては、受電装置が二次電池の充電状態を取得して、満充電状態に達した場合に二次電池の充電を終了すると判定し、共振周波数の切り替えによって送電装置へ充電終了を通知する。これにより二次電池が満充電状態に達した場合に送電装置から受電装置への非接触給電が停止されるため、二次電池が過充電されることを防止できる。
【0020】
例えば車輌に搭載された複数の装置はCAN(Controller Area Network)などのネットワークを介して接続され、相互に情報交換を行うことで協調動作している。非接触充電システムの受電装置を車輌に搭載する場合、受電装置をネットワークに接続して他の装置と協調動作させることが好ましい。この構成では、例えば他の装置の処理終了に伴って複数の装置が動作を停止する場合、また例えば他の装置に異常が発生した場合など、二次電池の充電を停止させる要因が他の装置にて発生する可能性がある。
そこで本発明においては、受電装置に通信手段を設けて他の装置との情報授受を行うと共に、受電装置は他の装置から充電終了に係る所定の制御情報又は異常発生の通知を受信した場合に二次電池の充電を終了すると判定し、共振周波数の切り替えによって送電装置へ充電終了を通知する。これにより、通信線で受電装置に接続された他の装置にて生じた停止要因に応じて送電装置から受電装置への非接触給電を停止し、二次電池の充電を停止することができる。
【0021】
また、本発明においては、二次電池の充電状態に対して供給すべき電力の電圧値及び/又は電流値の対応を受電装置が予め記憶しておき、受電装置が二次電池の充電状態を取得すると共に、送電装置から非接触給電により受電した電力の電圧値及び/又は電流値の検知を行う。受電装置は、非接触で受電した電力の電圧値及び/又は電流値が、二次電池の充電状態に対して適切なものでない場合に、二次電池の充電を終了すると判定し、共振周波数の切り替えによって送電装置へ充電終了を通知する。これにより、二次電池の充電状態に対して不適切な電圧値及び/又は電流値による充電が継続して行われることを防止できる。
【0022】
また、本発明においては、受電装置は第2の共振周波数への切り替えを所定周期で繰り返し行い、この切り替えによって所定周期で繰り返される送電コイルの電流減少を送電装置が判定することによって、受電装置から送電装置へ動作が正常に行われていることを通知する。受電装置が異常動作して所定周期での切り替えが行われない場合、送電コイルでは所定周期での電流減少が生じないため送電装置は受電装置の異常発生を検知することができる。送電装置は、所定周期での電流減少がないと判定した場合、送電を停止する。これにより、受電装置に異常が発生している際に送電装置による送電が継続されて電力が浪費されることを防止できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明による場合は、二次電池の充電を停止させると判定した場合に受電装置が所定時間に亘って共振周波数の切り替えを行い、この切り替えに伴う送電コイルの電流減少の有無を送電装置が判定し、所定時間に亘る電流減少が生じた場合に非接触による電力供給を送電装置が停止する構成とすることにより、他の無線通信手段などを備えることなく、受電装置から送電装置へ電力供給停止の指示を与えることができる。受電装置は共振周波数を第1の共振周波数及び第2の共振周波数の2通りに切り替えるのみでよいため、装置の大型化及び高コスト化が抑制されると共に、ISM帯などの限られた周波数帯において容易に実現できる。送電装置は共振周波数の切り替えを行う必要はない。よって、二次電池の充電を非接触で安全に行うことができるシステムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る非接触充電システムの構成を示す模式図である。
【図2】送電装置及び受電装置の詳細構成を示すブロック図である。
【図3】受電装置の記憶部に記憶されたテーブルの一例を示す模式図である。
【図4】送電装置の記憶部に記憶されたテーブルの一例を示す模式図である。
【図5】電源装置に記憶されたテーブルの一例を示す模式図である。
【図6】受電装置が行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】受電装置が行う充電終了通知処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】送電装置が行う処理の手順を示すフローチャートである。
【図9】電源装置が行う処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明に係る非接触充電システムの構成を示す模式図である。図において1は電気自動車であり、電気自動車1には走行用のモータ(図示は省略する)を駆動するための電力を蓄積する二次電池2が搭載されている。二次電池2は、例えばリチウムイオンバッテリなどであり、充電スタンド又は自宅駐車場等の車外に設置された電源装置3から供給される電力を蓄積する。本実施の形態に係る電気自動車1は、電源装置3との間で磁気共鳴式の非接触給電を行うことができる。このため、車外の地面又は地中等には非接触給電のための送電装置4が設けられると共に、電気自動車1の底面又は底部には受電装置5が設けられており、送電装置4及び受電装置5が略対向する位置に電気自動車を停車させることで、送電装置4から受電装置5への非接触給電を行うことができる。
【0026】
図2は、送電装置及び受電装置の詳細構成を示すブロック図である。送電装置4は、送電コイルL41、抵抗R41及び容量C41を有する送電回路と、制御部41、記憶部42及び電流検知部43等とを備えて構成されている。送電装置4の送電回路は、送電コイルL41、容量C41及び抵抗R41が直列接続されて構成されており、これらには更に電流検知部43が直列接続されて、電源装置3に接続されている。なお、容量C41及び抵抗R41は、送電コイルL41の内部容量及び内部抵抗によるものであってもよい。
【0027】
送電装置4の送電回路は、送電コイルL41、容量C41及び抵抗R41により定まる固有の共振周波数(第1の共振周波数)を有しており、電源装置3はこの共振周波数と略同じ周波数の電力を送電装置4へ供給する。ただし、電源装置3が直流電力又は異なる周波数の交流電力を供給する構成であってもよく、この場合には送電装置4内に、電源装置3から供給される電力を送電回路の共振周波数の電力に変換する回路を設ければよい。また電流検知部43は、送電コイルL41及び電源装置3の間に設けられ、送電コイルL41を流れる電流を検知し、検知結果を制御部41へ通知する。
【0028】
制御部41は、電流検知部43の検知結果と、記憶部42に予め記憶された情報とに基づいて、電気自動車1に搭載された二次電池2の充電状態を取得し、電源装置3へ二次電池2の充電状態を通知する。記憶部42は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子で構成され、制御部41が二次電池2の充電状態を取得するために必要な情報が予め記憶されている。詳細は後述するが、本実施の形態に係る送電装置4の制御部41は、電流検知部43の検知結果から送電コイルL41を流れる電流が減少した場合に、電流が減少した状態が維持された時間をタイマなどで計時する。記憶部42には、送電コイルL41を流れる電流の電流減少時間と二次電池2の充電状態との対応が予めテーブルとして記憶されており、制御部41は、計時した電流減少時間に基づいて記憶部42から対応する充電状態を取得する。
【0029】
また本実施の形態に係る送電装置4の制御部41は、送電コイルL41を流れる電流が所定時間(記憶部42のテーブルに記憶された電流減少時間よりも十分に長い時間、以下この時間を給電停止指示時間という)に亘って減少した場合、電源装置3へ電力供給停止の指示を与えることによって、受電装置5への非接触による給電を停止する。
【0030】
電源装置3は、二次電池の充電状態と、供給すべき電力の電圧値及び電流値との対応を予め記憶した不揮発性の記憶部(図示は省略する)を有している。電源装置3は、送電装置4の制御部41から通知された充電状態に基づいて記憶部から対応する電圧値及び電流値を取得し、この電圧値及び電流値となるように送電装置4へ供給する電力を調整する。
【0031】
また、受電装置5は、受電コイルL51、抵抗R51及び容量C51を有する受電回路と、抵抗R52、容量C52及びスイッチ53を有する周波数切替回路と、制御部51、記憶部52、電力変換部54、電圧電流検知部55及びCAN通信部56等とを備えて構成されている。受電装置5の受電回路は、受電コイルL51、抵抗R51及び容量C51が直列接続されて構成されており、電力変換部54に接続されている。なお、抵抗R51及び容量C51は、受電コイルL51の内部抵抗及び内部容量によるものであってよい。
【0032】
電気自動車1内には受電装置5の他に、ECU(Electronic Control Unit)6などの多数の装置が搭載され、これらの装置は例えばCANなどの車内ネットワークに接続されて、相互に情報の送受信を行っている。受電装置5は、CAN通信部56にて車内ネットワークに接続され、ECU6などとの情報送受信を行うことができる。CAN通信部56は、ECU6などから受信した情報を制御部51へ与えると共に、制御部51から与えられた情報をECU6などへ送信する。
【0033】
受電装置5の受電回路は、受電コイルL51、抵抗R51及び容量C51により定まる固有の共振周波数を有しており、この共振周波数は送電装置4の送信回路の共振周波数(第1の共振周波数)と略同じに設定されている。送電装置4の送電回路に電源装置3から交流の電力が供給された場合、送電コイルL41の周囲に磁場が形成され、略等しい共振周波数を有する受電装置5の受電コイルL51がこの磁場に共鳴して振動し、受電コイルL51に起電力が生じる。このように送電回路及び受電回路の共振周波数が略等しい場合、送電コイルL41及び受電コイルL51の間では、共鳴により強力な磁場の結合が生じ、この状態においては高効率で非接触による電力の送受信を行うことができる。
【0034】
受電回路が受信した交流の電力は、電力変換部54へ与えられる。電力変換部54は、受電回路から与えられる交流の電力を整流回路などによって直流の電力に変換し、二次電池2へ与える。また電圧電流検知部55は、電力変換部54から二次電池2へ供給される電力の電圧値及び電流値を検知し、検知結果を制御部51へ通知する。
【0035】
二次電池2は、受電装置5の電力変換部54から与えられる直流の電力を蓄積し、電気自動車1の走行時には二次電池2に蓄積された電力によりモータが駆動される。また二次電池2には、充電状態(SOC)を検知する充電状態検知部21が設けられている。充電状態検知部21は、例えば二次電池2の端子電圧又は二次電池2へ流れ込む電流の積分値等に基づいて、二次電池2に蓄積されている電力量を検知し、満充電状態を100%とした割合で示されるSOCとして受電装置5の制御部51へ通知する。なお充電状態検知部21は、受電装置5内に設けられる構成であってもよい。
【0036】
また受電装置5の受電回路には、直列に接続された抵抗R51及び容量C51に対して、周波数切替回路が並列に接続されている。この周波数切替回路は、抵抗R52、容量C52及びスイッチ53が直列に接続された構成をなしており、スイッチ53を閉じることによって受電回路に抵抗R52及び容量C52が接続され、受電回路の共振周波数が切り替わる。即ち、スイッチ53が開いた状態では、受電装置5の受電回路の共振周波数は送電装置4の送電回路の共振周波数(第1の共振周波数)と略同じであるが、スイッチ53を閉じた状態では、受電装置5の受電回路の共振周波数は送電装置4の送電回路の共振周波数とは異なる周波数(第2の共振周波数)に切り替わる。送電回路及び受電回路の共振周波数が異なる場合、上記のような磁気共鳴による送電装置4から受電装置5への電力供給効率は低下する。
【0037】
スイッチ53の開閉は、受電装置5の制御部51により制御されている。制御部51は、充電状態検知部21による二次電池2のSOCの検知結果と、記憶部52に予め記憶された情報とに基づいて、スイッチ53の開閉を制御する。記憶部52は、EEPROM又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子で構成され、制御部51がスイッチ53の開閉を制御するために必要な情報が予め記憶されている。本実施の形態に係る受電装置5の制御部51は、二次電池2のSOCに応じた時間、スイッチ53を閉じる制御を行うことによって、所定の時間に亘って共振周波数を変更し、電力供給効率を低下させる。記憶部52には、二次電池2のSOCとスイッチ53を閉じる時間との対応が予めテーブルとして記憶されており、制御部51は、二次電池2のSOCの検知結果に基づいて記憶部52から対応する時間を取得する。
【0038】
図3は、受電装置5の記憶部52に記憶されたテーブルの一例を示す模式図である。上述のように受電装置5の記憶部52には、二次電池2のSOC[%]と、制御部51がスイッチ53を閉じる時間[ms](第2の共振周波数での受電を行う時間)とが対応付けられたテーブルが予め記憶されている。また本実施の形態においては、このテーブルには更に、二次電池2のSOC[%]と、二次電池2へ供給する電力の適切な電圧値[V]及び電流値[A]とが対応付けて記憶されている。このテーブルにおいて、例えば二次電池2のSOCが70%未満の場合には、10%毎に1つのスイッチ53の閉時間と1組の電圧値及び電流値とが記憶され、SOCが70%以上の場合には、5%毎に1つのスイッチ53の閉時間と1組の電圧値及び電流値とが記憶されている。これは、二次電池2が満充電状態に近い程、二次電池2に印加する電圧値及び電流値を細かく制御する必要があるためである。なお、図3に示したテーブル中の数値は一例であって、これに限るものではない。また図3においては、電圧値及び電流値の詳細な値は図示を省略してある。
【0039】
図4は、送電装置4の記憶部42に記憶されたテーブルの一例を示す模式図である。送電装置4の記憶部42には、送電コイルL41を流れる電流の電流減少時間[ms]と、二次電池2のSOC[%]とが対応付けられたテーブルが予め記憶されている。送電装置4の記憶部42に記憶されたテーブルは、受電装置5の記憶部52に記憶されたテーブルと略同じ内容である。このテーブルにおいて、例えば電流減少時間の10ms毎に、二次電池のSOCの値が1つ記憶されている。なお、図4に示したテーブル中の数値は一例であって、これに限るものではない。
【0040】
図5は、電源装置3に記憶されたテーブルの一例を示す模式図である。電源装置3の記憶部には、二次電池2のSOC[%]と、送電装置4へ供給する(即ち二次電池2へ印加する)電力の電圧値[V]及び電流値[A]とが対応付けられたテーブルが予め記憶されている。このテーブルにおいて、二次電池のSOCの10%又は5%毎に、1組の電圧値及び電流値が記憶されている。なお、図5においては、電圧値及び電流値の詳細な値は図示を省略してある。
【0041】
電源装置3の設置された充電スタンド又は駐車場等に電気自動車1が停車し、電源装置3から電気自動車1の二次電池2への充電が開始された場合、電源装置3から供給される電力は送電装置4から受電装置5へ磁気共鳴式の非接触給電がなされ、充電装置5から二次電池2へ電力供給が行われる。受電装置5は、送電装置4からの受電を開始した後、所定周期(例えば1分に1回など)で二次電池2のSOCを充電状態検知部21から取得し、取得したSOCを送電装置4へ通知する。このときに受電装置5の制御部51は、充電状態検知部21から取得した二次電池2のSOCに基づいて、記憶部52に記憶されたテーブルを参照し、スイッチ53を閉じる時間を取得し、この時間に亘ってスイッチ53を閉じる制御を行う。これにより、受電装置5の受電回路の共振周波数が変化し、送電装置4の送信回路の共振周波数と一致しなくなるため、電力供給効率が低下する。
【0042】
送電装置4及び受電装置5の電力供給効率が低下した場合、送電装置4の送電コイルL41を流れる電流が減少する。送電装置4は、電流検知部43にて送電コイルL41を流れる電流を検知しており、制御部41は、電流検知部43が検知した電流量に応じて、送電コイルL41を流れる電流が減少したか否かを判定する。このとき制御部41は、例えば電流検知部43が今回に検知した電流量と前回に検知した電流量とを比較し、閾値を超えて電流量が減少した場合に、送電コイルL41を流れる電流量の減少ありと判断する。更に、制御部41は、送電コイルL41を流れる電流の減少ありと判断した後、電流が減少した状態の継続時間をタイマなどで計時することにより、送電コイルL41を流れる電流が減少した時間を判定する。制御部41は、判定した電流減少時間に基づいて、記憶部42に記憶されたテーブルを参照して、二次電池2のSOCを取得し、取得したSOCを電源装置3へ通知する。
【0043】
電源装置3は、送電装置4から二次電池2のSOCが通知された場合に、通知されたSOCに基づいて予め記憶されたテーブルを参照し、供給電力の電圧値及び電流値を取得する。電源装置3は、テーブルから取得した電圧値及び電流値となるように、送電装置4へ供給する電力を調整する。これにより電源装置3から送電装置4へ二次電池2のSOCに適した電圧値及び電流値の電力が供給され、送電装置4から受電装置5へ二次電池2のSOCに適した電圧値及び電流値の電力が非接触給電され、受電装置5から二次電池2へSOCに適した電圧値及び電流値の電力が供給されて、二次電池2が充電される。
【0044】
また受電装置5の制御部51は、複数の終了条件のいずれかが成立するか否かに応じて、二次電池2の充電を終了するか否かの判定を行っている。本実施の形態において制御部51が判定する二次電池2の充電終了条件は、例えば下記の4つの条件である(ただし、この4つの条件に限るものではない)。
【0045】
(終了条件1)
充電状態検知部21にて検知される二次電池2の充電状態が、満充電状態である場合。
(終了条件2)
電圧電流検知部55が検知した電圧値及び電流値が、二次電池2のSOCに対して適切な値でない場合。
(終了条件3)
ECU6などの他の装置から車内ネットワークを介して二次電池2の充電を終了すべき制御情報が与えられた場合。
(終了条件4)
ECU6などの他の装置から車内ネットワークを介して異常発生の通知が与えられた場合。
【0046】
制御部51は、充電状態検知部21の検知結果を周期的に取得し、二次電池2のSOCが例えば90%に達した場合に満充電状態であると判定し、上記の終了条件1が成立したと判定する。また上述のように本実施の形態に係る非接触給電システムでは、受電装置5から送電装置4へ二次電池2のSOCが通知され、電源装置3が供給する電力の電圧値及び電流値が調整されるが、電源装置3又は送電装置4等に不具合が生じた場合には供給電力の電圧値及び電流値の調整が正しく行われない虞がある。そこで制御部51は、充電状態検知部21が検知した二次電池2のSOCに基づいて記憶部52に記憶されたテーブルを参照し、二次電池2のSOCに対応する適切な電圧値及び電流値を取得すると共に、電圧電流検知部55にて二次電池2へ供給される電力の電圧値及び電流値の検知を行い、これらの電圧値及び電流値を比較する。制御部51は、電圧電流検知部55にて検知した電圧値及び電流値が、テーブルから取得した適切な電圧値及び電流値と異なる(所定の誤差範囲内に含まれない)場合、上記の終了条件2が成立したと判定する。
【0047】
また電気自動車1において、例えばユーザがイグニッションスイッチの操作を行った場合若しくはドアを開放した場合等のようにユーザ操作に伴って車輌状態が変化した場合、又は、ECU6などの他の装置にて故障などの異常が発生した場合等に、二次電池2の充電を終了すべき場合がある。そこで制御部51は、ECU6などの他の装置から与えられる二次電池2の充電終了に係る制御情報をCAN通信部56にて受信した場合に、上記の終了条件3が成立したと判定する。また制御部51は、ECU6などの他の装置から与えられる異常発生の通知をCAN通信部56にて受信した場合に、上記の終了条件4が成立したと判定する。
【0048】
上記の終了条件1〜4のいずれかが成立した場合、制御部51は、所定の給電停止指示時間に亘ってスイッチ53を閉じる制御を行い、給電停止指示時間に亘って受電回路の共振周波数を変化させる。なお給電停止指示時間は、二次電池2のSOCを送電装置4へ通知するために利用される時間(例えば図3において30ms〜100ms程度の時間)に対して十分に長い時間(例えば1000ms)が設定される。受電装置5の制御部51が給電停止指示時間に亘って共振周波数を変化させることにより、送電装置4では送電コイルL41を流れる電流が給電停止指示時間に亘って減少する。送電装置4は、電流検知部43の検知結果に基づいて、給電停止指示時間に亘る電流減少が生じたか否かを判定し、給電停止指示時間に亘る電流減少が生じていた場合には、電源装置3へ電力供給停止の指示を与える。電源装置3は、送電装置4から電力供給停止の指示が与えられた場合、送電装置4への電力供給を停止する。
【0049】
また、上述のように受電装置5は、共振周波数の切り替えによる二次電池2のSOCの通知を周期的に行っているが、受電装置5に故障などの異常が発生した場合に、この周期的な共振周波数の切り替えが行われない可能性があり、このような場合には二次電池2の充電を終了することが好ましい。そこで送電装置4は、受電装置5の共振周波数の切り替えに伴う送電コイルL41の電流減少が周期的に生じているか否かを判定し、周期的な電流減少が生じていない場合、電源装置3へ電力供給停止の指示を与えて、受電装置5への非接触による電力供給を停止する。これにより、受電装置5に異常が発生して二次電池2の充電を正常に行うことができない可能性がある場合に、送電装置4から受電装置5への電力供給を停止して、二次電池2の充電を停止することができる。
【0050】
次に、本実施の形態に係る非接触充電システムが行う処理をフローチャートにて説明する。図6は、受電装置5が行う処理の手順を示すフローチャートである。受電装置5の制御部51は、充電状態検知部21が行う二次電池2のSOCの検知結果を周期的に取得しており、まず、二次電池2のSOCの検知結果を取得する所定のタイミングであるか否かを判定する(ステップS1)。SOCの検知結果を取得する所定タイミングでない場合(S1:NO)、制御部51は、車内ネットワークを介してECU6などの他の装置から充電終了に係る制御信号又は異常発生の通知をCAN通信部56にて受信したか否かを更に判定する(ステップS2)。制御信号又は異常通知を受信した場合(S2:YES)、制御部51は、共振周波数の切り替えを利用した充電終了通知処理を行って(ステップS11)、処理を終了する。制御信号又は異常通知を受信していない場合(S2:NO)、制御部51は、ステップS1へ処理を戻し、所定タイミングに達するか、又は、制御信号若しくは異常通知を受信するまで待機する。
【0051】
検知結果取得の所定タイミングに達した場合(S1:YES)、制御部51は、充電状態検知部21から二次電池2のSOCを取得し(ステップS3)、二次電池2が満充電状態であるか否かを判定する(ステップS4)。二次電池が満充電状態の場合(S4:YES)、制御部51は、共振周波数の切り替えを利用した充電終了通知処理を行って(ステップS11)、処理を終了する。二次電池が満充電状態でない場合(S4:NO)、制御部51は、ステップS3にて取得したSOCに基づいて記憶部52に記憶されたテーブルを参照し、対応するスイッチ53の閉時間を取得する(ステップS5)。次いで制御部51は、スイッチ53を閉じる制御を行って(ステップS6)、共振周波数の切り替えを行う。その後、制御部51は、スイッチ53を閉じてから所定時間(ステップS5にて取得したスイッチ閉時間)が経過したか否かを判定し(ステップS7)、所定時間が経過していない場合には(S7:NO)、ステップS6へ処理を戻し、スイッチ53を閉じ続ける。所定時間が経過した場合(S7:YES)、制御部51は、スイッチ53を開く制御を行う(ステップS8)。
【0052】
次いで制御部51は、電圧電流検知部55にて二次電池2へ供給する電力の電圧値及び電流値を検知し(ステップS9)、ステップS3にて取得した二次電池2のSOCに対応した電圧値及び電流値を記憶部52から読み出して検知した電圧値及び電流値と比較することにより、二次電池2へ供給する電力の電圧値及び電流値が適切な値であるか否かを判定する(ステップS10)。電圧値及び電流値が適切な場合(S10:YES)、制御部51は、ステップS1へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。また、電圧値及び電流値が適切でない場合(S10:NO)、制御部51は、共振周波数の切り替えを利用した充電終了通知処理を行って(ステップS11)、処理を終了する。
【0053】
図7は、受電装置5が行う充電終了通知処理の手順を示すフローチャートであり、図6に示したフローチャートのステップS11にて行う処理である。充電終了通知処理において、まず受電装置5の制御部51は、スイッチ53を閉じる制御を行って(ステップS21)、共振周波数の切り替えを行う。その後、制御部51は、スイッチ53を閉じてから給電停止指示時間が経過したか否かを判定し(ステップS22)、給電停止指示時間が経過していない場合には(S22:NO)、ステップS21へ処理を戻し、スイッチ53を閉じ続ける。給電停止指示時間が経過した場合(S22:YES)、制御部51は、スイッチ53を開く制御を行って(ステップS23)、充電終了通知処理を終了する。
【0054】
図8は、送電装置4が行う処理の手順を示すフローチャートである。送電装置4は、送電の開始後、送電コイルL41を流れる電流を電流検知部43にて検知しており、制御部41は、電流検知部43による検知結果を取得し(ステップS31)、前回の検知結果と比較を行うことによって、送電コイルL41を流れる電流の量が減少したか否かを判定する(ステップS32)。電流量が減少していない場合(S32:NO)、制御部41は、前回の電流減少を検知した後に、電流が減少していない状態が所定周期を超えて維持されたか否かを判定することによって、周期的な電流減少の有無を判定する(ステップS33)。周期的な電流減少がない場合(S33:NO)、制御部41は、電源装置3へ電力供給停止の指示を与え(ステップS38)、処理を終了する。周期的な電流減少がある場合(S33:YES)、制御部41は、ステップS31へ処理を戻す。
【0055】
送電コイルL41を流れる電流量が減少したと判定した場合(S32:YES)、制御部41は、電流量が減少した状態から元の状態へ戻るまでの時間をタイマなどで計時することにより、電流減少時間の計時を行う(ステップS34)。電流減少時間の計時結果から、制御部41は、所定の給電停止指示時間に亘って電流量が減少したか否かを判定する(ステップS35)。給電停止指示時間に亘って電流量が減少していない場合(S35:NO)、制御部41は、電流減少時間に基づいて記憶部42に記憶されたテーブルを参照して、対応する二次電池2のSOCを取得し(ステップS36)、取得したSOCを電源装置3へ通知して(ステップS37)、ステップS31へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。給電停止指示時間に亘って電流量が減少した場合(S35:YES)、制御部41は、電源装置3へ電力供給停止の指示を与え(ステップS38)、処理を終了する。
【0056】
図9は、電源装置3が行う処理の手順を示すフローチャートである。電源装置3は、電力供給の開始後、送電装置4から二次電池2のSOCの通知が与えられたか否かを判定し(ステップS51)、SOCの通知が与えられていない場合には(S51:NO)、送電装置4から電力供給停止の指示が与えられたか否かを更に判定する(ステップS52)。送電装置4から電力供給停止の指示が与えられていない場合(S52:NO)、電源装置3は、ステップS51へ処理を戻し、SOCの通知又は電力供給停止の指示が与えられるまで、現状での電圧値及び電流値による電力供給を継続して行う。
【0057】
送電装置4からSOCの通知が与えられた場合(S51:YES)、電源装置3は、与えられたSOCを基に予め記憶されたテーブルを参照して、供給する電力の電圧値及び電流値を取得し(ステップS53)、取得した電圧値及び電流値となるように供給電力の調整を行って(ステップS54)、ステップS51へ処理を戻し、上述の処理を繰り返し行う。また送電装置4から電力供給停止の指示が与えられた場合(S52:YES)、電源装置3は、電力供給を停止して(ステップS55)、処理を終了する。
【0058】
以上の構成の非接触給電システムは、送電装置4及び受電装置5が磁気共鳴式の非接触給電を行うと共に、二次電池2の充電終了条件が成立する場合に受電装置5が所定の給電停止指示時間に亘って共振周波数を変更し、共振周波数の変更に伴う送電コイルL41の電流減少が給電停止指示時間に亘って生じた場合に送電装置4が電源装置3へ電力供給停止の指示を与える構成とすることにより、他の無線通信手段などを備えることなく、受電装置5から送電装置4へ二次電池2の充電終了を通知することができる。この構成では、受電装置5が共振周波数を2通りに切り替えるのみでよく、送電装置4は共振周波数の切り替えを行う必要はないため、送電装置4及び受電装置5の大型化及び高コスト化を抑制することができる。
【0059】
また、二次電池2が満充電状態に達した場合に、充電終了条件が成立したと受電装置5が判定して送電装置4へ充電終了を通知する構成とすることにより、二次電池2が過充電されることを防止できる。また、電気自動車1に搭載されたECU6などの他の装置から車内ネットワークを介して充電終了に係る制御信号又は異常発生の通知を受信した場合に、充電終了条件が成立したと受電装置5が判定して送電装置4へ充電終了を通知する構成とすることにより、電気自動車1内の他の装置にて生じた充電終了の要因に応じて二次電池2の充電を終了することができる。
【0060】
また、受電装置5が二次電池2のSOCに応じた切替時間で受電回路の共振周波数を変更し、共振周波数の変更に伴う送電コイルL41の電流減少時間に応じて送電装置4が二次電池2のSOCを取得し、取得したSOCに適した電圧値及び電流値となるように電源装置3が供給する電力を調整する。受電装置5は、二次電池2のSOCに適した電圧値及び電流値の対応を記憶部52のテーブルに予め記憶しておくと共に、二次電池2へ供給する電力の電圧値及び電流値を電圧電流検知部55にて検知し、検知した電圧値及び電流値が二次電池2のSOCに適した値でない場合に、充電終了条件が成立したと判定して送電装置4へ充電終了を通知する構成とすることにより、二次電池2のSOCに不適切な電圧値及び電流値による充電が継続して行われることを防止できる。
【0061】
また、受電装置5が周期的に共振周波数を変更して二次電池2のSOCの通知を行い、これにより周期的に生じる送電コイルL41の電流減少の有無を送電装置4が判定し、周期的な電流減少が生じていない場合に電源装置3の電力供給を停止する構成とすることにより、受電装置5に異常が発生している際に送電装置4による送電を停止することができ、電力が浪費されることを防止できる。
【0062】
なお、本実施の形態においては、電気自動車1に搭載された二次電池2を非接触で充電するシステムを例に説明を行ったが、本発明の適用は電気自動車1の充電に限らず、例えば携帯電話器、携帯型音楽再生器又はノートパソコン等のような二次電池2を搭載した機器の充電に適用することができる。
【0063】
また、送電装置4が送電コイルL41の電流減少時間から二次電池2のSOCを判定して電源装置3へ通知し、この通知に応じて電源装置3が供給電力の電圧値及び電流値を決定する構成としたが、これに限るものではなく、送電装置4が電流減少時間から供給電力の電圧値及び電流値を決定して電源装置3へ通知し、この通知に応じて電源装置3が電力調整を行う構成としてもよい。また、電源装置3及び送電装置4は1つの装置であってもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 電気自動車
2 二次電池
3 電源装置
4 送電装置
5 受電装置
6 ECU
21 充電状態検知部
41 制御部(電流減少判定手段、周期電流減少判定手段)
42 記憶部
43 電流検知部(検知手段)
51 制御部(制御手段、充電状態取得手段)
52 記憶部(記憶手段)
53 スイッチ(切替手段)
54 電力変換部
55 電圧電流検知部(検知手段)
56 CAN通信部(通信手段)
L41 送電コイル
L51 受電コイル
C41、C51、C52 容量
R41、R51、R52 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電コイルにより第1の共振周波数での送電を行う送電装置と、受電コイルにより前記第1の共振周波数での受電を行う受電装置とを備え、前記送電装置が送電した電力を前記受電装置が受電して二次電池への充電を行う非接触充電システムにおいて、
前記受電装置は、
受電に係る共振周波数を前記第1の共振周波数又は該第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数に切り替える切替手段と、
所定条件が成立した場合に、所定時間に亘って前記第2の共振周波数での受電を行うように、前記切替手段による切り替えを制御する制御手段と
を有し、
前記送電装置は、
前記送電コイルを流れる電流を検知する検知手段と、
該検知手段の検知結果に応じて、前記所定時間に亘って前記送電コイルを流れる電流が減少したか否かを判定する電流減少判定手段と
を有し、
該電流減少判定手段が前記所定時間に亘って電流が減少したと判定した場合に送電を停止するようにしてあること
を特徴とする非接触充電システム。
【請求項2】
前記受電装置は、前記二次電池の充電状態を取得する充電状態取得手段を有し、
前記制御手段は、前記二次電池が満充電状態の場合、所定時間に亘って前記第2の共振周波数での受電を行うように、前記切替手段による切り替えを行うようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の非接触充電システム。
【請求項3】
前記受電装置は、通信線を介して他の装置に接続され、該通信線を介して前記他の装置との情報授受を行う通信手段を有し、
前記制御手段は、該通信手段により前記他の装置から所定の制御情報を受信した場合、所定時間に亘って前記第2の共振周波数での受電を行うように、前記切替手段による切り替えを行うようにしてあること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の非接触充電システム。
【請求項4】
前記受電装置は、通信線を介して他の装置に接続され、該通信線を介して前記他の装置との情報授受を行う通信手段を有し、
前記制御手段は、該通信手段により前記他の装置から異常発生の通知を受信した場合、所定時間に亘って前記第2の共振周波数での受電を行うように、前記切替手段による切り替えを行うようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の非接触充電システム。
【請求項5】
前記受電装置は、
前記二次電池の充電状態を取得する充電状態取得手段と、
前記二次電池の充電状態、並びに、該充電状態の前記二次電池へ供給すべき電力の電圧値及び/又は電流値の対応を記憶した記憶手段と、
受電した電力の電圧値及び/又は電流値を検知する検知手段と
を有し、
前記制御手段は、前記検知手段が検知した電圧値及び/又は電流値が、前記充電状態取得手段が取得した充電状態に対応する電圧値及び/又は電流値と異なる場合、所定時間に亘って前記第2の共振周波数での受電を行うように、前記切替手段による切り替えを行うようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の非接触充電システム。
【請求項6】
前記受電装置の制御手段は、前記第2の共振周波数での受電を所定周期で繰り返し行うように、前記切替手段による切り替えを制御し、
前記送電装置は、
前記所定周期での前記送電コイルの電流減少の有無を判定する周期電流減少判定手段を有し、
該周期電流減少判定手段が前記所定周期での電流減少がないと判定した場合に送電を停止するようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の非接触充電システム。
【請求項7】
送電コイルにより第1の共振周波数での送電を行い、受電コイルにより前記第1の共振周波数での受電を行って、二次電池への充電を行う非接触充電方法において、
所定条件が成立した場合に、所定時間に亘って前記第1の共振周波数とは異なる第2の共振周波数に切り替えて受電を行い、
前記送電コイルを流れる電流を検知し、
検知結果に応じて、前記所定時間に亘って前記送電コイルを流れる電流が減少したか否かを判定し、
前記所定時間に亘って電流が減少したと判定した場合に、送電を停止すること
を特徴とする非接触充電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−5527(P2013−5527A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132446(P2011−132446)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【Fターム(参考)】