説明

面状発熱体及び不動態被膜を形成する金属材料の接続方法

【課題】 ステンレスのような不動態被膜を形成する極薄板を発熱体として使用する面状発熱体において、電流リード線の接合に関して何らの問題も発生しない手段の提供。
【解決手段】 不動態膜を形成する金属極薄板を発熱体として使用する面状発熱体において、前記金属極薄板に中間金属を溶着し、当該中間金属上に電流リード線をハンダ溶接したことを特徴とする面状発熱体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の第1群は、接触物を面で加温することが可能な面状発熱体に係り、更に詳しくは、通電により発熱する発熱体が不動態被膜を形成する金属極薄板である面状発熱体に関する。また、本発明の第2群は、不動態被膜を形成する金属材料に当該金属材料とは異なる異種金属材料を接続する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニクロム線やカンタル線(カンタル社製)は、電気抵抗率(比抵抗)が大きく、従来から発熱体として使用されている。ここで、従来の発熱体の形状は、螺旋状又は線状であった。このような状況下、近年、均一な温度分布を実現できる面状発熱体の研究が盛んに行なわれている。
【0003】
ここで、面状発熱体の素材として、比較的電気抵抗率の大きなステンレス系素材が検討されている。特に、近年、厚さが数十μcm程度である極薄のステンレス板が製造されるに至っているので、当該素材として極めて有力である。
【0004】
ところで、抵抗体として金属板を用いる場合、当該板と電力導入線の銅線(Cu線)との接続部が存在する。ここで、銅線との接続に際しては、接続強度と低電気抵抗接続の確保が不可欠である。しかしながら、金属板としてステンレス板を採用した場合には、不働態皮膜の存在から、ハンダ溶接が非常に難しくステンレスハンダを使用しても殆ど強度を確保できないことに加え、通電により接続部が発熱し容易に剥離してしまうという問題がある。
【0005】
また、ハンダ溶接の代わりに、ステンレス板とCu材とを電気スポット溶接で接合する場合には、以下の問題が生じる。まず、ステンレス板とCu材の双方を重ねてスポット溶接を行うと、ステンレス板(例えばSUS304)表面に形成されているCrの酸化物の大きな抵抗により、局部的に高温になり、酸化物の飛散と同時に、ステンレス板及びCuの局部的な溶融が生じる。接合部界面では、飛散した酸化物の介在はあるが、それ以外ではステンレス板の構成元素とCuのミキシングが生じ、新たな合金が形成される状況になっている。ところが、FeとCrは、Cuと殆ど固溶せず、合金相は形成されない。他方、Niは、Cuと全率固溶体を形成し強固な合金相を形成するが、ステンレス(例えばSUS304)の組成はほぼ70%Fe−10%Ni−20%Crとなっており、溶融状態では、Cuはステンレス中の10%のNiと僅かに合金相を形成するに留まる。接合界面では、飛散したCrの酸化物は介在しており、酸化物のない部分で一部Ni−Cu合金相が発生して接合部の機械的強度を担うことになるが、この合金は余りにも量的に不十分な状態となっている。その結果、接合強度のない接続となる。
【0006】
そこで従来から採用されてきた解決手段は、接続強度の確保を重視し、極薄板の一端に複数の穴を開け、銅線を接続した金具をリベットや止め金によるカシメで固定する機械的な固定・接続法である。しかし、この方法では、機械的強度は得られるものの、機械的な振動や衝撃、更には、繰り返し応力の作用により、接続不良が発生する。一部接続が確保されている場合、接続部抵抗は大幅に増加し、必要な極薄膜部での発熱より接続部での発熱が顕著になり、融雪マットやルーフヒータ等の形態では、絶縁被覆や外側のゴム被覆等を局部溶解してしまうような問題が発生している。
【0007】
この様な問題があるため、ステンレス極薄板をはじめとする、不動態被膜を形成する高電気抵抗性の金属薄板(例えば、ステンレス、ニクロム、カンタル)は、その機能を十分に発揮できないため、発熱体としての製品化が行われていないのが現状である。
【特許文献1】特開2000−243540
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
他方で、ステンレスの発熱体や蓄熱体、反応チューブ等の今後の応用を期待し、前記のように、ステンレスの機械的特性、表面状態、物性等の改善が行われている。例えば、ステンレスの電気抵抗率をニクロムやカンタル以上に高くしたり、薄膜化する等の試みがなされており、最近、日本で、ステンレス系素材にAlを添加し、電気抵抗率がρ=130μΩcmに達する高抵抗ステンレス箔(新日本製鐵製YUS)も開発されてきている。しかしながら、せっかくステンレスの諸特性の改善がなされても、上記接続の問題から発熱体としては使用することができず、発熱体としてのステンレスの有効利用が図れていないという課題がある。そこで、本発明は、ステンレスのような不動態被膜を形成する金属材料に当該金属材料とは異なる異種金属材料(例えば、銅線等の電流リード線)を接続するに際し、当該接続に関して前記問題が発生しない手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明(1)は、不動態被膜を形成する金属極薄板を発熱体として使用する面状発熱体において、当該金属極薄板に中間金属を溶着し、当該中間金属上に電流リード線を接続したことを特徴とする面状発熱体である。
【0010】
本発明(2)は、前記中間金属が、合金又はクラッドである、前記発明(1)の面状発熱体である。
【0011】
本発明(3)は、前記金属極薄板が、ステンレス系、ニクロム系又はカンタル系金属極薄板であり;前記電流リード線が、銅線であり;前記合金が、Fe(Co)−Ni系合金又はNi(Co)−Cu系合金である、前記発明(2)の面状発熱体である。ここで、Fe(Co)及びNi(Co)は、Fe及びNiの一部又は全部がCoと置換されていてもよいことを意味する。
【0012】
本発明(4)は、前記金属極薄板が、ステンレス系、ニクロム系又はカンタル系金属極薄板であり;前記電流リード線が、銅線であり;前記クラッドが、Fe/Cu、Co/Cu、Fe/Ni、Ni/Cu、Co/Ni(ここで、前記クラッドを構成するいずれか一方又は両方は、他の金属が添加された合金であってもよい)である、前記発明(2)の面状発熱体である。
【0013】
本発明(5)は、前記面状発熱体が、機械強度を担保するためのプラスチック基材と、温度均一性を担保するための金属箔と、前記金属箔の劣化を防止するための気密性プラスチック基材とを更に有する、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つの面状発熱体である。
【0014】
本発明(6)は、前記プラスチック基材が、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、繊維強化プラスチック(FRP)、ポリ塩化ビニル)(PVC)又はポリプロピレン(PP)である、前記発明(5)の面状発熱体である。
【0015】
本発明(7)は、前記金属箔と前記気密性プラスチック基材が、Al箔をPET又はPEで挟んだAlラミネートシートである、前記発明(5)又は(6)の面状発熱体である。
【0016】
本発明(8)は、不動態被膜を形成する金属材料と前記金属材料と異なる異種金属材料の接続方法において、中間金属を前記金属材料に溶着後、前記中間金属と前記異種金属材料とを接続することを特徴とする方法である。
【0017】
本発明(9)は、前記中間金属が、合金又はクラッドである、前記発明(8)の方法である。
【0018】
本発明(10)は、前記金属材料が、ステンレス系、ニクロム系又はカンタル系金属材料であり;前記異種金属材料が、銅線であり;前記合金が、Fe(Co)−Ni系合金又はNi(Co)−Cu系合金である、前記発明(9)の方法である。
【0019】
本発明(11)は、前記金属材料が、ステンレス系、ニクロム系又はカンタル系金属材料であり;前記異種金属材料が、銅線であり;前記クラッドが、Fe/Cu、Co/Cu、Fe/Ni、Ni/Cu、Co/Ni(ここで、前記クラッドを構成するいずれか一方又は両方の金属は、他の金属が添加された合金であってもよい)である、前記発明(9)の方法である。
【0020】
本発明(12)は、前記発明(8)〜(11)のいずれか一つの方法により前記接続が行われている電気・電子材料又は製品である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、金属材料として金属極薄板を、また、異種金属材料として電流リード線を例に採り、本発明の最良形態を説明する。但し、本発明は、当該態様に限定されるものではなく、金属材料として金属極薄板に該当しない厚板を使用した場合や、異種金属材料として金属線ではなく板状金属を使用した場合にも、他の構成要件を具備する限り、本発明の範囲内である。
【0022】
まず、本発明に係る各構成要素について説明する。はじめに、通電により発熱する発熱体としての「不動態膜を形成する金属極薄板」は、表面に不動態膜(例えば、CrやAlの酸化物)を形成する金属極薄板である限り特に限定されず、例えば、ステンレス、ニクロム、カンタルの極薄板を挙げることができる。また、「ステンレス」とは、一般にFe−Cr−(Ni)系合金を指し、他の金属元素(例えばAl)を一種以上含有していてもよい。「ニクロム」とは、一般にNi−Cr系合金を指し、他の金属元素(例えばFe)を一種以上含有していてもよい。「カンタル」とは、一般にFe−Cr−Al系合金を指し、他の金属元素を一種以上含有していてもよい。更に、「金属極薄板」の「極薄板」とは、5〜500μmの厚さを指し、箔も包含する概念である。
【0023】
尚、前記金属極薄板は、各部位で均一な発熱を生じ再現性のよい温度特性を持つ必要がある。ここで、当該金属の電気抵抗率ρとした場合、抵抗Rは、極薄板の厚さを「t」、幅を「w」、長さを「l」とすると、R=ρxl/wtで表せるため、ρとtが一定であれば、発熱体の板幅(w:ストリップライン幅)を一定にすることが好適である。例えば、図1は、メアンダ状又はつづら状に加工されたストリップラインの一例である。尚、極薄板の厚さ「t」、幅「w」及び長さ「l」により、発熱体の抵抗が決定され、消費電力が定まる。
【0024】
次に、前記金属極薄板に溶着される中間金属は、(1)中間金属自体(少なくとも電流リード線が接続される側)が不動態膜を形成するものではなく、(2)前記金属極薄板と溶接可能であり(換言すれば、前記金属と合金を形成し)、(3)電流リード線と接続可能である(例えば、ハンダ溶接の場合であれば、ハンダの濡れ性が良好である)、性質を備えていることが好適である。当該性質を備えた中間金属を使用することにより、電流リード線(Cu線)との大きい接続強度が担保されると共に、接続部での温度上昇を抑制できる(即ち、低抵抗接続部を実現できる)。
【0025】
具体的には、本発明は、金属極薄板とハンダとの間に前記性質を有する中間金属を介在させた構成を採用している。ここで、本最良形態においては、この中間金属として、合金系中間金属とクラッド系中間金属の2つの形態を挙げる。尚、本発明は、中間金属として合金やクラッドの態様には限定されず、例えば、金属極薄板とCu線の両方と合金可能なNi等の単体金属であってもよく、当該態様も他の構成要件を充足する限り、本発明の範囲内である。
【0026】
まず、合金に関して説明すると、中間金属の合金は、前記性質、即ち、不動態膜を形成せず、極薄板を構成する金属と合金を形成し、かつ、電流リード線と接続可能である性質(例えば、ハンダ溶接の場合であれば、ハンダの濡れ性が良好である性質)を有する限り、特に限定されない。例えば、金属極薄板が、ステンレス系、ニクロム系又はカンタル系金属極薄板であり、前記電流リード線が、銅線である場合には、当該合金としては、Fe(Co)−Ni系合金又はNi(Co)−Cu系合金であることが好適である。
【0027】
ここで、「Fe(Co)−Ni系合金」とは、Fe及び/又はCoとNiを主成分として含有する合金であれば特に限定されず、例えば、Niを2%以上含みFeを98%以下含む合金、Niを2%以上含みFe+Coを98%以下含む合金、Niを2%以上含みCoを98%以下含む合金を挙げることができる。更には、耐食性や強度等の観点から、当該合金には様々な金属や元素を添加可能である。例えば、合金の全重量を基準として、Cu(0―50%)、Zn(0−30%)%、Mn(0−20%)%、Sn(0−10)%、Pb(0−5)%、(Nb+Ta)(0−5)%、Zr(0−4)%、V(0−2)%、Ti(0−3)%、ln(0−3)%、Si(0−3)%、W(0−3)%、P(0−0.6)%を添加した合金を挙げることができる。尚、第一添加金属としては、Cuが好適である。また、本明細書にいう「主成分」とは、組成比が最も大きいことを意味する。
【0028】
また、「Ni(Co)−Cu系合金」とは、Ni及び/又はCoとCuを主成分として含有する合金であれば特に限定されず、例えば、Niを2%以上含みCuを98%以下含む合金、Ni+Coを2%以上含みCuを98%以下含む合金、Coを2%以上含みCuを98%以下含む合金を挙げることができる。更には、耐食性や強度等の観点から、当該合金には様々な金属や元素を添加可能である。例えば、Fe(0―50%)、Zn(0−30%)%、Mn(0−20%)%、Sn(0−10)%、Pb(0−5)%、(Nb+Ta)(0−5)%、Zr(0−4)%、V(0−2)%、Ti(0−3)%、ln(0−3)%、Si(0−3)%、W(0−3)%、P(0−0.6)%を添加した合金を挙げることができる。尚、第一添加金属としては、Feが好適である。
【0029】
尚、上記合金における構成金属を選択するに際しては、金属極薄板及び電流リード線を構成する金属すべてを使用する必要はない。例えば、金属極薄板がFe−Ni合金であり、電流リード線がCu線である場合、Fe−Ni−Cu合金を中間金属として用いなくとも、Ni−Cu合金で機能を発揮する。
【0030】
また、Cu成分が多量の中間金属は、Fe又はNiが主成分のFe−Ni−CuやFe−Ni中間金属より接続強度は小さいものとなる。したがって、接続部に要請する機能により中間層の構成元素を選択する必要がある。また、カンタル素材は、Fe−Cr−Al合金であるが、FeとCuは固溶しないため、双方に固溶するNi又はNi−Cuを主体とした中間金属や、Fe−Ni系を主成分とした中間金属の挿入が上記問題の解決策となる。更に、ニクロム系材料では、Ni−Crが主成分であるが、カンタル素材とほぼ同様の中間金属が適用可能である。尚、Fe−Ni−Cuは、カンタル素材、ニクロム素材、ステンレス素材に共通の中間金属として使用可能である。
【0031】
次に、クラッドに関して説明すると、中間金属のクラッドは、前記性質、即ち、不動態膜を形成せず、一方の側の金属が極薄板を構成する金属と合金を形成し、かつ、他方の側の金属が電流リード線と接続可能である性質(例えば、ハンダ溶接の場合であれば、ハンダの濡れ性が良好である性質)を有する限り、特に限定されない。例えば、金属極薄板が、ステンレス系、ニクロム系又はカンタル系金属極薄板であり、電流リード線が、銅線である場合には、当該クラッドとしては、Fe/Cu、Co/Cu、Fe/Ni、Ni/Cu、Co/Ni(ここで、前記クラッドを構成するいずれか一方又は両方は、他の金属が添加された合金であってもよい)のクラッドであることが好適である。ここで、前記クラッドを構成するいずれか一方又は両方は、他の金属が添加された合金であってもよく、例えば、Fe/Niクラッドにおいて、Feの代わりにFe−Ni合金をクラッドにしてもよい。尚、前に記載された金属は、金属極薄板と合金形成し得る金属(Fe、Co、Ni)であり、後に記載された金属は、Cuと合金を形成し得る金属(Ni、Cu)である。
【0032】
例えば、2枚の金属を張り合わせたクラッド金属として、合金を形成しないFeとCuを張り合わせたFe/Cuクラッド金属をも作製できる。片面をFe、反対面をCuとして張り合わせた中間金属となるため、ステンレス薄板にFe面を接し溶接すると強固な接続が可能であり、Cu面にはCu線をハンダ接続することが可能である。
【0033】
このような中間金属を金属極薄板と電流リード線との間に介在させることによる各界面での様子を具体的に説明する。まず、以下では、中間金属として、カンタル素材、ニクロム素材及びステンレス素材に共用可能なFe−Ni−Cu{80%(Fe−Ni)−20%Cu}合金を採用し、金属極薄板として、不働態皮膜を形成する代表的な素材であるSUS304を採用した場合を例に採り説明する。まず、SUS304と中間金属が溶融状態にあると、SUS中のFe、Ni及びCrと中間金属のFe及びNiとが合金相を形成し、また、中間金属のCuとSUS中のNiとも合金相を形成する。このように、双方は、界面の至る所で新しい合金相を形成し、強力な結合を形成する。ここで、接合界面にCrの酸化物が存在しても、形成された合金の中に取り込まれ、全体的な金属同士の接合面は大きくなり、接合部は大きな接合強度を有することになる。また、酸化物は新しい合金に取り込まれているため、接合部の合金の接合断面積は大きく、接合抵抗はほとんど無視できる状態となる。この様に接合した中間金属にCu線をハンダ付けすると、中間金属のCuとNiはハンダと非常に濡れ性がよく、強度の強い接合が形成されるため、低抵抗接続が可能となる。Cu線とステンレス薄板の両端から通電した場合、接続部での温度上昇はほとんどなく、効果的で・安全な接続が実現可能となる。
【0034】
また、クラッド金属の場合にも、Fe/Cu、Ni/Cu及びCo/Cu等のクラッド金属を用いた場合、SUS304とクラッド金属との溶接では、SUSのFe、Ni及びCrとクラッド金属のFe、Ni又はCo等とで新しい合金相を形成するが、これは前記合金中間金属の場合とほぼ同様な機構で形成され、実用に耐える機械的強度及び低抵抗値を有する接合部が実現できる。
【0035】
次に、前記金属極薄板への前記中間金属の「溶着」は、例えば、スポット溶接や超音波溶接、シーム溶接等で溶接を挙げることができる。例えば、図3に示すように、金属極薄板としてステンレス系金属を採用し、中間金属としてFe/Cuのクラッド材を採用した場合には、ステンレスのストリップラインとFeが接する状態でスポット溶接を行なう。その結果、ステンレスの構成元素であるFeとNi、クラッド材のFeが相互に溶融し、強固な合金相が形成される。
【0036】
次に、前記中間金属に接続される電流リード線は、例えば、Cu線(Sn等のメッキ線を含む)やAl線を挙げることができる。また、接続方法は、例えば、ハンダ溶接の他、スポット溶接等の溶着でもよい。例えば、図3に示すように、金属極薄板としてステンレス系金属を採用し、中間金属としてFe/Cuのクラッド材を採用した場合には、クラッド中間金属の接合面の反対側であるCuに対して、Cuリード線をハンダ付けすることになる。
【0037】
次に、落下・衝撃等での発熱体の破損防止や曲げ応力等での特性変化防止の観点から、前記金属極薄板(パターン形成したストリップライン)に、機械強度を担保するためのプラスチック基材を貼付することが好適である。例えば、このプラスチック基材に前記金属極薄板(ストリップラインの発熱体)を熱圧着又は接着材によって固定する。ここで、当該プラスチック基材は、強度や柔軟性といった機械特性の他、耐熱性や耐経時変化性に優れた性質を有することが好適である。具体的には、軽量で、比較的曲げ応力が大きく、破壊しにくく、100℃程度で安定で、また、極薄板との接続が可能な素材、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、繊維強化プラスチック(FRP)、ポリプロピレン(PP)等を挙げることできる。特に発熱体としてステンレス系極薄板を採用した場合、これらを使用することにより、熱圧着やエポキシ等の接着剤で強固に接着することが可能になる。更に、PCは、非常に強靱なプラスチック材料であるため、機械的衝撃による破損はほとんど無く、柔軟性を得る場合には板厚を薄くする方法を採用できるのでより好適である。尚、他のプラスチック基材も、PCほど強靱ではないが、柔軟性もある材料であり、必要な柔軟性に対しては板厚により調整可能である。
【0038】
前記金属極薄板であるストリップラインは、このライン上では均一に発熱する。しかし、ライン間は発熱しないため、面状発熱体の全体としては不均一な温度分布を持つことになる。そこで、面状発熱体として均一な温度分布を担保する観点から、発熱体の上に金属箔を挿入することが好適である。この場合、金属箔と発熱体との絶縁性を担保するため、プラスチック、紙、繊維等のような絶縁シートを挿入して接着するか、或いは、接着剤に絶縁機能を持たせて接着する方法で一体化する方策が好適である。更に、金属箔の劣化を防止するために、気密性プラスチック(シートカバー)を更に接着することが好適である。
【0039】
ここで、当該積層構造を一度に達成する素材として、図4に示すように、AI箔をPETやPEで挟んだAlラミネートシートを熱圧着や接着剤を用いての接着を行う方法もある。これを用いることにより、絶縁、均熱、密閉及び被覆を同時に達成できる。
【0040】
次に、本最良形態に係る面状発熱体は、ルーフヒータや床暖房ヒータ、ロードヒータ等の比較的大規模の従来の発熱体製品としても使用可能であるが、例えば、人体に取り付けて携帯で使用するような、数十センチ程度の発熱体として特に有用である。例えば、人体を暖める部分としては、心臓部、背中、手の甲部、肘、足首、足裏等を挙げることができる。このように、形態用としての使用を想定する場合、軽量で薄い形状であることが好適である。例えば、上記構成の場合、特に限定されないが、大きさとしては、10cm×20cm以下であり、厚さ0.5〜0.8cm程度のものが製造可能である。
【0041】
更に、面状発熱体の性能としては、表面の温度上昇が数十秒で40〜50℃に達することが好適である。上記構成の場合、例えば、2A通電で20秒程度で、40℃程度に達する。これは電池の電圧にも依存するが、初期投入電力が大きい場合、迅速に温度上昇するため、on−offのスイッチング回路を設置することが好適である。
【0042】
加えて、人体に取り付けて携帯用として使用する場合には、電池の軽量化を図ることが好適である。利便性を踏まえると、アルカリ電池等よりも、充電可能なNi−H電池や又はLi二次電池が適当である。更に、充電器は所持せず、電池ボックスを携帯し、これで発熱させる形態が好適である。更に、使用時Al側の表面に摺動等の摩擦・摩耗現象を伴う場合、補強用のシートやゴム製の被覆が必要となる。加えて、足裏等の加熱の場合、大きな繰り返し加重が加えられることから、強度担保用のプラスチック基材を厚くする等の調整が必要である。
【実施例】
【0043】
以下、本発明について、実施例を参照しながら更に具体的に説明する。尚、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0044】
(実施例1)
30μmの厚さのSUS304ステンレス薄板(70%Fe−10%Ni―20%Cr)を幅5mm、長さ10cmに切断し、薄板片を準備した。また、代表的な中間金属として、Fe−Ni系、Ni−Cu系の双方の合金について種々の組成に対し調べた。
【0045】
Fe−Ni系では、Ni組成が、0、2、10、40、60、90、100%のものを作製し、0.2mmの厚さに圧延し、幅3 mm、長さ10mmの中間金属を作製した。中間金属7種類を、SUS304薄板上にスポット溶接した。上下2列に等間隔にそれぞれ10点スポット溶接した。7種類とも接続強度の強い溶接ができた。この溶接された中間金属に1φの銅線のハンダ(Sn−Cu−Ag)溶接を行った。尚、図1は、接続試料の断面構造の概略図である。0%Ni、即ち、Feに対しては、ハンダ接続はできるものの強度は弱いものであった。2%Niの中間金属では、ハンダ強度はやや改善され、実用にほぼ耐えるものであった。10%の中間金属は、ハンダ接続強度は大きく、曲げ応力を加えても強い接続強度を示した。40−100%Niの中間金属は何れもハンダ接続強度は優れたものであった。接続部の抵抗を4端子法で測定した結果、2%Ni以上の組成の中間金属では接続部抵抗は、0.01Ω以下であり、低抵抗接続が得られた。Feの中間金属を用いた接続の抵抗は、0.9Ωであった。
【0046】
また、Ni−Cu系では、Cu組成が、2、10、40、60、90、95、98、99、100%の9個の金属・合金を作製し、上記と同じサイズの中間金属片を作製した。これら中間金属とSUS304とを重ね、上下2列で各10点のスポット溶接を行った。Cuが98%を超えた中間金属では、溶接強度は弱く、剥離しやすいものであった。98%の中間金属のものは、溶接強度はかなり改善され、ほぼ実用に耐える強度が得られた。Cu組成の減少に伴い溶接強度は向上した。Ni−Cu系の中間金属は、Ni成分の多い金属が優れた溶接強度を示した。次いで、中間金属上に1φの銅線をハンダ付けしたが、何れも、中間金属とは濡れ性が良く、強固な接続が得られた。溶接強度の大きい接合部では、接合部の抵抗は小さく、90%以下の中間金属に対し、約0.012Ωであった。
【0047】
また、SUS304薄板に、銅線を直接ハンダ接続することを試みた。ハンダには、市販のステンレスハンダ(ホーザンH−710)を用いたが、銅とは濡れ性が良いものの、SUS表面上で粒状に固まり、銅線の接続は不可能であった。
【0048】
(実施例2)
50μmの厚さのSUS304を幅5mm、長さ10cmに切断し、薄板片を作製した。中間金属として、Fe−Co−Ni合金を作製したが、x%Ni−(100−x)%(Fe・Co)の組成式において、x=5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95の11の合金の組成について、Feに対するCo比を0、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%変えた(置換した)合金を作製し、その後、圧延機で薄板にして、厚さ0.1mm、幅3mm、長さ10mmの中間金属片に加工した。これら中間金属を、SUS304片上に置き、実施例1と同様のスポット溶接を施した後、細線からなる外径1φの銅線をハンダ付けした。スポット溶接は何れも強固な溶接強度を示した。また、ハンダは、全ての中間金属には良い濡れ性を示し、銅線との優れた接続を示した。接続部の抵抗は、何れも、0.01Ω程度であった。このことから、CoはFeに一部又は全部置換可能であることが分かった。
【0049】
(実施例3)
60%Cu−10%Ni−2%FeにMnを1%以下、Pbを0.1%以下とし、残部をZnとした中間金属を作製し、実施例1と同サイズの中間金属片を作製した。この中間金属をSUS304に電気溶接した結果、SUSとは強固な接続強度を示した。この中間金属は、多くのZnとCuを含有しているため、ハンダ付けは容易であり、加工銅線との接続は良好で、接続部の抵抗は非常に小さく、0.011Ωであった。この実験においては、厚さ0.4mm、幅3mm、長さ3cmの中間金属を作製し、一方の端の10mmをSUSに重ねてスポット溶接し、一方の端10mmの位置に1φの銅線をハンダ付けした。この接続の状態は、SUS薄膜−(SUS+中間金属)−中間金属−(中間金属+銅線)−銅線、と繋がっている。この様な方法でもSUSと銅線は良好な接続強度と接続抵抗値を示した。
【0050】
(実施例4)
Alを3%含む、12μm厚さの高抵抗ステンレス(新日本製鐵製YUS、ρ=135μΩcm)を1cm幅、長さ10cmに切断した。この極薄膜と銅線の接続をステンレスハンダでハンダ溶接を行ったが、SUS304と同様に、ハンダは銅線とは濡れ性も良く付着したが、YUS上では、球面状に凝縮し、YUSとは全く濡れずに接続は不可能であった。次に、40%Ni−60%Cu合金において、CuをAg又はAuで5−95%置換した合金を作製し、厚さ(0.01−0.5)mm、幅3mm、長さ10mmの中間金属片を作製した。極薄膜のYUSと各中間金属とのスポット溶接を実施例1と同様に、上下2段で各10点を行ったところ、何れも良好な溶接強度が得られた。次いで、溶接された合金中間金属と銅線をハンダ溶接したところ、ハンダは何れの中間金属とも良く濡れ、銅線とYUS薄膜との強固で低抵抗の接続が得られた。この時の接合抵抗は、約0.01Ωであった。この実験で、中間金属は、最10μmの厚さのものであったが、スポット溶接の溶接パワーを適当に調節すると、厚い中間金属と同程度の強度が得られることが分かった。
【0051】
(実施例5)
線径4φのニクロム線、カンタル線を圧延機により板状に加工し、厚さ1mmで幅6mmの薄板を作製した。中間金属として、厚さ0.2mm、幅3mm、長さ10mmの70%Fe−20%Ni−10%Cuの極薄片を準備した。10cmの長さのニクロムとカンタルの2枚の薄板の一端1cmの位置に中間金属1cmを重ね、それぞれ上下2列に等間隔に各10点のスポット溶接を行った。溶接した中間金属上に1φの加工銅線を重ね、ハンダ接続を行った。この接触部の電気抵抗を測定した結果、ニクロム薄板では、0.01Ωで、カンタル薄板では、0.02Ωであった。試作した2本の接合試料の引っ張り試験を行った。その結果、接合部では切断は生じなかった。
【0052】
尚、この試験で、中間金属を省き、直接銅線をスポット溶接したが、接合強度のない不完全なものであった。また、スポット溶接の代わりに、ステンレスハンダを使用して銅線との接続を試みたが、ニクロム薄板及びカンタル薄板上では何れもハンダが半球状に付着するが、酸化物皮膜上に形成されるため、強度もなく接続が不可能であった。
【0053】
(実施例6)
12μmの厚さのSUS 304ステンレス薄板(70%Fe−10%Ni−20%Cr)を幅8mmでメアンダ型ストリップラインに加工し、長さ40cmの極薄板発熱体を作製した。この両端に厚さ0.2mmのFe/Cuクラッド材を8mm×3mmの大きさに切断して、中間金属片を作製した。このクラッド中間金属片をステンレス側にFe面が接する様に重ね、上下2列で、等間隔に各10点のスポット溶接を行った。次いで、クラッド中間金属のCu面に、銅リード線を置き、ハンダ溶接を行った。この様な接合試料を5個作製し、強度、接合抵抗、温度分布等を調べた。引っ張り強度を調べると、溶接部のステンレスが裂ける程の強力な接合が得られたこと、また、接触抵抗を四端子法で調べると、0.01Ω程度であり、カシメ法に比べ、3桁以上小さい抵抗を示した。この様に端子を接続した発熱体の全抵抗は、2.8Ωであった。このストリップライン発熱体を厚さ0.3mmのPC基材に熱圧着したところ、均一に圧着された。もう一方の表面側にAlラミネートシートを置き張り付けたが、この場合、エポキシ樹脂を塗布し、接着した。この様にして作製した面状発熱体の外形サイズは、6.2cmx7.2cmの大きさで、厚さは、0.5mmであった。リード線の接続部が突起し、一部0.7mmの厚さとなった。この様に作製した発熱体の温度分布を調べた。単三電池3本を直列に接続し、電流を流した結果、15秒で、40℃に達し、その後51℃になった。定常状態で、面内の温度分布を調べた結果、53±3℃で、面内均一性の高い温度分布を示した。
【0054】
同様の寸法で、かつ同様の構成で試作した発熱体の5枚を調べた結果、何れも、抵抗値と電流値・発熱温度はほぼ等しいものであった。また、2日にかけ、通電と、切断を繰り返した実験を行ったが、リード線から見た抵抗値の変動は無く、接合部での異常な変化が発生していないことが確かめられた。
【0055】
(実施例7)
PET、FRP、PP、PVCの4種類のプラスチック板を用意した。板の厚みは、0.3mm〜1mmであった。これらプラスチック板を6.2mm×7.2mmの大きさに切断した。一方、12μmの厚さのSUS 304ステンレス薄板を実施例6と同様にストリップライン状に切断加工した発熱体の両端に、0.2mmのCo/Cuクラッド材を8mm×3mmの大きさに切断した中間金属片を、ステンレス薄板にCo金属が接する様に重ね、スポット溶接した。この溶接法は、上下2列に各10点の溶接を行った。次いで、銅のリード線をクラッド材のCu面に重ねハンダ溶接した。ステンレスのストリップラインと銅線の接続は、強固で、低抵抗であった。このCu線付き発熱体を5個作製した。次に、導線付き発熱体を、4つのプラスチック基材に接着剤で固定した。その上にポリエチレンフイルムと0.01mm厚さのCu箔を接着させ、次いで、Cu箔上に、0.8mmの厚手のポリエチレンフイルムを接着し、4つの面状発熱体を作製した。接合部を含めた発熱体の抵抗は、2.8±0.2Ωであった。単三電池3本を直列に接続し、電流を流した結果、52℃を示し、実施例6と同様の温度特性を示した。通電のon-offを繰り返し行なっても、発熱温度は一定であった。また、発熱体を踏みつけた状態でも、抵抗値は一定であった。
【0056】
(実施例8)
Cuリード線付き面状発熱体を実施例6と同様の方法で作製した。この面状発熱体の基材はPCであるが透明な材料である。この板材にAl箔のブライト面(つやのある面)をPCと接触させて張り付けた。次いで、マット面(つやのない面)にPEシートを張り付けた。この反射箔付き面状発熱体の温度特性を調べた結果、実施例6と同様の給電で、表面温度は、55℃に達した。基材のある裏面への熱放射がAl箔により反射され、表面への温度上昇を招くことが分かった。次いで、この発熱体全体を、約0.5mm厚さのブチルゴムで被覆した。表面での最高温度は、被覆前の発熱体より10秒程度長くかかったものの、55℃に達した。ゴム被覆は、非常にソフトで、暖かい感触を与えた。
【0057】
(実施例9)
20μmの厚さの高抵抗ステンレス箔(ρ=130μΩcm)を用いて、実施例と同様のメアンダパターンを作製した。この時、線幅は、5.2mmとした。メアンダパターンの両端に、0.1mm厚さのCo/Cuクラッド中間金属片3mm×5.5mmを置きスポット溶接した。溶接数は、上下2段に10点である。このステンレスは、Alが添加されたものであり、不動態皮膜はCrとAlの双方の酸化物となっているため、溶接部への酸化物の残留から、溶接強度の低下と溶接部の抵抗増加が予想されたが、強固な溶接強度と低抵抗を示し、この溶接法が不動態皮膜のある材料系に適することが分かった。次いで、クラッド中間金属のCuとCu線をハンダ付けし、裸の発熱体を作製した。Cu線から見て、発熱体の抵抗は、2.5Ωであった。実施例6と同様に、PC上に接着し、発熱体上には、Alラミネートシートを接着して、面上発熱体を作製した。単三電池3個直列接続での通電では、57℃となった。引っ張りや変形の機械的変化に対し、抵抗値はほとんど変化せず、安定した接続状態を示した。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、本最良形態に係る発熱体(SUS薄膜)のメアンダ状ストリップラインの一例である。尚、図中の1は、SUS薄板ストリップライン発熱体であり、2は銅線との接合部であり、3はCuリード線である。
【図2】図2は、本最良形態に係る発熱体(SUS薄膜)に中間金属を介してリード線を接続したことを示す図である。尚、図中の1は、SUS薄板ストリップライン発熱体であり、2は中間金属(上がCu、下がFe)であり、3はハンダ部であり、4は溶接部であり、5はCuリード線である。
【図3】図3は、本最良形態に係る面状発熱体の断面構造(積層構造)の一例である。尚、図中の1は、PC、PET、PE等の基材であり、2はSUS等の発熱体となるストリップラインであり、3は絶縁シートであり、4は金属箔であり、5は絶縁シートである。尚、Alラミネートシートの場合、3・4・5は一体となっており、3と5はPET又はPE等であり、4はAl箔である。
【図4】図4は、本最良形態に係る発熱体(SUS薄膜)に中間金属を介してリード線を接続したことを示す図である。尚、図中の1は、SUS薄板ストリップライン発熱体であり、2は中間金属(例えば合金)であり、3はハンダ部であり、4は溶接部であり、5はCuリード線である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不動態被膜を形成する金属極薄板を発熱体として使用する面状発熱体において、当該金属極薄板に中間金属を溶着し、当該中間金属上に電流リード線を接続したことを特徴とする面状発熱体。
【請求項2】
前記中間金属が、合金又はクラッドである、請求項1記載の面状発熱体。
【請求項3】
前記金属極薄板が、ステンレス系、ニクロム系又はカンタル系金属極薄板であり;前記電流リード線が、銅線であり;前記合金が、Fe(Co)−Ni系合金又はNi(Co)−Cu系合金である、請求項2記載の面状発熱体。
【請求項4】
前記金属極薄板が、ステンレス系、ニクロム系又はカンタル系金属極薄板であり;前記電流リード線が、銅線であり;前記クラッドが、Fe/Cu、Co/Cu、Fe/Ni、Ni/Cu、Co/Ni(ここで、前記クラッドを構成するいずれか一方又は両方は、他の金属が添加された合金であってもよい)である、請求項2記載の面状発熱体。
【請求項5】
前記面状発熱体が、機械強度を担保するためのプラスチック基材と、温度均一性を担保するための金属箔と、前記金属箔の劣化を防止するための気密性プラスチック基材とを更に有する、請求項1〜4のいずれか一項記載の面状発熱体。
【請求項6】
前記プラスチック基材が、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、繊維強化プラスチック(FRP)、ポリ塩化ビニル)(PVC)又はポリプロピレン(PP)である、請求項5記載の面状発熱体。
【請求項7】
前記金属箔と前記気密性プラスチック基材が、Al箔をPET又はPEで挟んだAlラミネートシートである、請求項5又は6記載の面状発熱体。
【請求項8】
不動態被膜を形成する金属材料と前記金属材料と異なる異種金属材料の接続方法において、中間金属を前記金属材料に溶着後、前記中間金属と前記異種金属材料とを接続することを特徴とする方法。
【請求項9】
前記中間金属が、合金又はクラッドである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記金属材料が、ステンレス系、ニクロム系又はカンタル系金属材料であり;前記異種金属材料が、銅線であり;前記合金が、Fe(Co)−Ni系合金又はNi(Co)−Cu系合金である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記金属材料が、ステンレス系、ニクロム系又はカンタル系金属材料であり;前記異種金属材料が、銅線であり;前記クラッドが、Fe/Cu、Co/Cu、Fe/Ni、Ni/Cu、Co/Ni(ここで、前記クラッドを構成するいずれか一方又は両方の金属は、他の金属が添加された合金であってもよい)である、請求項9記載の方法。
【請求項12】
請求項8〜11のいずれか一項記載の方法により前記接続が行われている電気・電子材料又は製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−87660(P2007−87660A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−272632(P2005−272632)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(505354257)有限会社 鬼沢ファインプロダクト (5)
【出願人】(505354408)スーパーエナジー株式会社 (1)
【出願人】(505354268)
【Fターム(参考)】