説明

面発光レーザモジュール、光走査装置及び画像形成装置

【課題】長寿命な面発光レーザモジュールを提供する。
【解決手段】基板面に複数の面発光レーザが形成されている面発光レーザ素子と、前記面発光レーザ素子を設置するためのパッケージと、前記面発光レーザの出射側に設けられた窓部と、を有し、前記窓部は、前記面発光レーザの波長の光を透過する材料により形成されており、前記窓部の一方の面は錐状に凸となるように形成されており、前記一方の面に対向する他方の面は前記錐状に対応して錐状に凹となるように形成されており、前記窓部における前記錐状を形成する領域は一定の厚さであって、前記窓部の前記一方の面と前記面発光レーザ素子とが対向するように設置されていることを特徴とする面発光レーザモジュールを提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面発光レーザモジュール、光走査装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式による画像形成装置として、レーザ光を用いた画像機が広く普及している。電子写真方式による画像形成装置では、光走査装置を備え、感光性を有するドラムの軸方向にポリゴンミラー等のポリゴンスキャナを用いて、レーザ光を走査しつつ、ドラムを回転させ潜像を形成する方法が用いられている。このような画像形成装置においては、画像品質を向上させるために高密度記録を行なうこと(高密度化)ができること、また、画像出力の高速化が求められている。
【0003】
このように電子写真方式の画像形成装置において、高密度記録を行なうことと高速化とを両立させるために、光源から複数の光束を出射させる方法があり、このような方法に適した光源として面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting LASER)を2次元的に配列した構成の面発光レーザアレイがある。
【0004】
しかしながら、面発光レーザアレイは、一つのチップ上に複数の発光部が搭載されているため、発光部等からの発熱により高温となり、これにより、面発光レーザの特性を低下させ、寿命を短くしてしまう。このため、面発光レーザアレイにおいて、発熱を抑制する方法が検討されている。
【0005】
特許文献1には、半導体基板上に下部反射鏡層構造と上部反射鏡層構造がこの順に形成され、各反射鏡層構造の間には活性層及び電流狭窄層が介装され、上部反射鏡層構造から下層に向かって少なくとも電流狭窄層の下端面に至るまでの領域は柱状のメサとなっていて、メサの上端面の面積は、電流狭窄層の近傍におけるメサの断面積より大きい面発光型半導体レーザアレイが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、半導体分布ブラッグ反射器を構成するバンドギャップエネルギーの異なる半導体層の間に中間の価電子帯エネルギーを持つヘテロスパイク緩衝層を設け、ヘテロスパイク緩衝層は価電子帯エネルギーを連続的または階段状の組成傾斜層またはこれらの組み合わせによって構成され、バンドギャップエネルギーの小さな層に接する側に価電子帯エネルギーの変化率の大きな領域を、バンドギャップエネルギーの大きな層に接する側に価電子帯エネルギーの変化率の小さな領域を備えている面発光半導体レーザアレイが開示されている。
【0007】
また、特許文献3には、カバーガラスをV字型にすることで、書き込みドット密度を低下させることなく、発熱による発光部の発光特性の低下を抑制する面発光レーザモジュールが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示されている技術では、素子構造が複雑であることから、製造するために複雑な工程を要し、高コストなものとなってしまうという問題点を有している。
【0009】
また、特許文献3に開示されている技術では、一方向に高密度化することができるものの、更なる高密度記録の要求には対応することができない。
【0010】
以上より、本発明は、上記に鑑みなされたものであり、低コストで、高密度記録が可能な面発光レーザモジュールを提供することを目的とするものであり、更には、高品質な画像を形成することのできる光走査装置及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、基板面に複数の面発光レーザが形成されている面発光レーザ素子と、前記面発光レーザ素子を設置するためのパッケージと、前記面発光レーザの出射側に設けられた窓部と、を有し、前記窓部は、前記面発光レーザの波長の光を透過する材料により形成されており、前記窓部の一方の面は錐状に凸となるように形成されており、前記一方の面に対向する他方の面は前記錐状に対応して錐状に凹となるように形成されており、前記窓部における前記錐状を形成する領域は一定の厚さであって、前記窓部の前記一方の面と前記面発光レーザ素子とが対向するように設置されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記錐状は、円錐状または四角錐状であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記錐状は、四角錐状であって、前記四角錐状の稜は、前記基板面に対し垂直方向より見た場合、前記面発光レーザと重なることなく形成されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記窓部の一方の面に形成された錐状の頂点は、前記基板面に対し垂直方向より見た場合、各々の前記面発光レーザの間に位置するように形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記面発光レーザ素子は、前記面発光レーザが2次元状に配列されているものであって、前記窓部の一方の面に形成された錐状の頂点は、前記基板に対し垂直方向より見た場合、最近接の4つの前記面発光レーザにおける略中間に位置するように形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記窓部の一方の面に形成された錐状の頂点は、前記基板に対し垂直方向より見た場合、前記面発光レーザが形成されている領域の重心部分に位置するように形成されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記窓部より出射された光束が前記基板面と略平行な面において、2次元的に等間隔となるように、前記面発光レーザ素子において、前記面発光レーザが配置されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、光によって被走査面を走査する光走査装置であって、前記記載の面発光レーザモジュールを有する光源と、前記光源からの光を偏向する光偏向部と、前記光偏向部により偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と、を有することを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、像担持体と、前記像担持体に対して画像情報に応じて変調された光を走査する前記記載の光走査装置と、を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、前記像担持体は複数であって、前記画像情報は、多色のカラー情報であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、低コストで、高密度記録が可能な面発光レーザモジュールを提供することができ、更には、高品質な画像を形成することのできる光走査装置及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施の形態における面発光レーザモジュールの斜視図
【図2】第1の実施の形態における面発光レーザモジュールの断面図
【図3】面発光レーザモジュールの窓部の断面の要部拡大図
【図4】面発光レーザモジュールの窓部による光束位置のシフトの説明図(1)
【図5】面発光レーザモジュールの窓部による光束位置のシフトの説明図(2)
【図6】面発光レーザモジュールの窓部より出射される光束の説明図
【図7】第1の実施の形態における他の面発光レーザモジュールの斜視図
【図8】他の面発光レーザモジュールの窓部による光束位置のシフトの説明図
【図9】第2の実施の形態におけるレーザプリンタの構成図
【図10】第2の実施の形態における光走査装置の構成図
【図11】出射される光束と主走査方向及び副走査方向との関係の説明図
【図12】第3の実施の形態におけるカラープリンタの構成図
【図13】第4の実施の形態における光伝送システムの構成図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0024】
〔第1の実施の形態〕
第1の実施の形態における面発光レーザモジュールについて説明する。図1及び図2に示すように、本実施の形態における面発光レーザモジュールは、表面に複数の発光部11が2次元状に配列されている面発光レーザ素子10と、面発光レーザ素子10が搭載されるパッケージ20と、面発光レーザ素子10から発光した光を取り出す窓部30を有している。
【0025】
面発光レーザ素子10は、パッケージ20内における底部21に発光部11が上になるように設置されており、窓部30はパッケージ20の開口部に接合されている。面発光レーザ素子10は半導体等の材料からなる基板12の表面、即ち、面発光レーザ素子10の表面に対し垂直方向にレーザ光を出射する面発光レーザからなる発光部11を複数有するものであり、このような、発光部11を2次元的に配列させることにより面発光レーザアレイが形成される。
【0026】
面発光レーザの光の出射方向を+Z軸方向とした場合、面発光レーザ素子10の表面、即ち、基板12面は、XY面に平行な面となる。本実施の形態における面発光レーザモジュールを面発光レーザモジュールの光の出射方向、即ち、面発光レーザ素子10の基板12面に垂直方向となる+Z軸方向より見た場合、窓部30と面発光レーザ素子10とが重なって見える。上述のとおり、面発光レーザ素子10の表面はXY面となることから、XY面に重ねられた状態の窓部30及び面発光レーザ素子10をXY面における窓部30及び面発光レーザ素子10と記載する場合がある。この場合、XY面における窓部30及び面発光レーザ素子10は、面発光レーザの出射方向である+Z軸方向より見たXY面における窓部30及び面発光レーザ素子10と同じものである。
【0027】
窓部30は、面発光レーザ素子10より出射された光を透過する材料により形成されており、中心部分には円錐状に形成された円錐傾斜部31を有している。窓部30は全体において略均一な厚さで形成されており、円錐状の頂点32は、面発光レーザ素子10の側、即ち、−Z軸方向を向くように設置されている。具体的には、窓部30における円錐傾斜部31は、一方の面は錐状に凸となるように形成されており、他方の面は一方の面の錐状に対応し、円錐傾斜部31における厚さが一定の厚さとなるように、錐状に凹となるように形成されている。この窓部30は、上述のとおり、窓部30の一方の面、即ち、円錐状の頂点32が形成されている面が面発光レーザ素子10と対向するように設置されている。また、円錐傾斜部31は、面発光レーザ素子10において発光部11が形成されている領域よりも広い領域に形成されている。即ち、円錐傾斜部31の錐の底面の大きさは、面発光レーザ素子10上に形成された発光部11が配置されている領域の大きさと関係がある。つまり、本実施の形態では、光束の位置をZ軸に平行な軸51に近づくようにするため、錐の底面の大きさは、面発光レーザ素子10上に形成された発光部11が配置されている領域を覆う程度の大きさである。図1は、本実施の形態における面発光レーザモジュールの斜視図であり、図2は、断面図である。
【0028】
図3に示すように、円錐傾斜部31が形成されている窓部30をパッケージ20の所定の位置に設置することにより、面発光レーザ素子10の発光部(VCSEL)11から出射された光束41は、窓部30に入射した際に、窓部30の一方の面の界面において曲げられ、この後、窓部30から出射する際に、窓部30の他方の面の界面において窓部30に入射した方向とは反対側に曲げられる。円錐傾斜部31は窓部30の一方の面と他方の面とが略平行となるように形成されているため、光束42と光束41は略平行な光束となるが、光束42は光束41よりも円錐状の頂点32を通るZ軸に平行な軸51に近づいた光束として出射される。即ち、窓部30より出射される光束42は、光束41を円錐状の頂点32の側にシフト量sだけシフトした光束となる。
【0029】
このことをより具体的に説明する。図3に示すように、窓部30の厚さをt、円錐状の頂点32を含むZ軸に平行な面(例えばYZ面)で切断したときの窓部30の円錐状の頂点32の角度をθとする。この場合、発光部11から出射された光束41が、窓部30の円錐傾斜部31に入射する際の入射角φ1は、下記の(1)に示す式で表わされる。尚、入射角φ1は、光束41が入射する位置の窓部30の円錐傾斜部31の法線となす角である。

φ1=π/2−θ・・・・・・・・・・・・・(1)

窓部30の屈折率をn2とし、面発光レーザ素子10と窓部30との間の空間における媒質の屈折率をn1とすると、入射角φ1で入射した光束41は窓部30の一方の面の界面において出射角φ2となるように曲げられ窓部30の内部に入る。この関係を下記の(2)に示す。

n1×sinφ1=n2×sinφ2・・・・(2)

また、窓部30内に入射した光の光路Lは、窓部30の厚さがtであることから、下記の(3)に示す式となる。

L=t/cosφ2・・・・・・・・・・・・(3)

この後、再び(1)に示す式のように、窓部30の他方の面の界面において、入射角φ1と同じ角度の出射角となるように曲げられ光束42として出射される。以上より、(1)〜(3)に示す式から、XY面における光束41に対する光束42のシフト量sは、(4)に示す式となる。

s=L×sin(φ1−φ2)・・・・・・・・(4)

ここで、窓部30はガラス等で形成されており、面発光レーザ素子10と窓部30との間の空間に窒素等が存在しているものとすると、θ=75°、t=250μmとした場合、n1=1.00、n2=1.51より、シフト量sは、22.6μmとなる。
【0030】
このことは、図4に示すように、発光部11から出射された光束41が窓部30を透過することにより、XY面において窓部30の円錐状の頂点32の側に、シフト量s=22.6μmだけシフトした光束42として出射されることを意味する。
【0031】
このように、面発光レーザ素子10の発光部11から出射された光束41は、すべて図5に示すように、窓部30を透過することにより、XY面において窓部30の円錐状の頂点32の存在している側にシフト量sだけシフトする。即ち、窓部32により出射された光束42は円錐状の頂点32の存在している方向に集まった光束となる。
【0032】
従って、面発光レーザ素子10に形成される発光部11は、シフト量sの分だけ相互に離れた位置に形成することができる。このように発光部11を離れた位置に形成することにより、発光部11において発生した熱は、面発光レーザ素子10には溜まりにくくなり、面発光レーザ素子10が高温となることを防ぐことができ、面発光レーザ素子10の寿命を長くすることができる。
【0033】
尚、窓部30より出射された光束42は、画像形成装置等に用いる場合には、副走査方向に等間隔となるように形成されていることが必要となる。即ち、図6に示すように、XY面における複数の光束42は、すべての光束42を副走査方向(Y軸方向)に伸びる仮想線上に正投影したときに等間隔d2となるものであって、副走査方向には、ピッチd1となるように形成されている。
【0034】
本実施の形態における面発光レーザモジュールでは、図5に示すように、XY面において、特に窓部30の円錐状の頂点32に近い位置における各々の発光部11間の間隔を広くすることができ、この部分が発熱により高温となることを防ぐことができる。即ち、複数の発光部11の中心部分は、特に高温になりやすいが、本実施の形態では、このような発光部11が集まっている中心部分に、XY面において発光部11と発光部11の間に円錐状の頂点32が位置するように形成することにより、この中心部分における発光部11間の間隔を広くすることができ、より高温になることを防ぐことができる。また、この場合、発光部11と発光部11との間に円錐状の頂点32が存在していることとなるが、発光部11が2次元状に配列されている場合には、円錐状の頂点32は中心部分において、相互に最近接する4つの発光部11の中心に位置するように形成されていることが好ましい。
【0035】
以上より、窓部30の円錐状の頂点32は、XY面において、発光部11と円錐状の頂点32とが重ならない位置であって、複数の発光部11が形成されている領域の重心または、重心の近傍に位置するように形成されていることが好ましい。尚、複数の発光部11が形成されている領域の重心または、重心の近傍を発光部11の重心部分と記載する場合がある。
【0036】
尚、上記においては、窓部30は全体において略均一な厚さで形成されているものについて説明したが、例えば、窓部30において円錐傾斜部31の錐が形成されている領域と、錐が形成されていない領域との厚さが異なっていてもよい。つまり、窓部30において、円錐傾斜部31の錐が形成されている領域が略均一な厚さで形成されていることにより、所定量の光束位置のシフトが生じる。
【0037】
また、窓部30は、円錐傾斜部31の錐を形成している領域と錐を形成していない領域とが、別々に形成されているものや、別な材料により形成されているものであってもよい。例えば、錐を形成している領域が光を透過する材料により形成されていれば、錐を形成していない領域は光を透過しない材料により形成してもよい。
【0038】
更に、窓部30は光を透過する材料であればよく、さらに言えば、面発光レーザ素子10上に設けられた発光部11から発せられた波長の光を透過する材料であればよい。
【0039】
(角錐傾斜部を有する窓部)
次に、角錐傾斜部が形成された窓部を有する面発光レーザモジュールについて説明する。これは、図7及び図8に示すように、角錐状の角錐傾斜部61が形成された窓部60を有するものである。角錐傾斜部61は発光部11が2次元的に配列されている場合には、角錐の稜と発光部11とがXY面において重ならないように形成されていることが好ましい。
【0040】
また、窓部60は、角錐傾斜部61の略中央に角錐状の頂点62を有しているが、この角錐状の頂点62の位置については、前述した円錐状の頂点32の位置の場合と略同じ位置となるように形成されている。
【0041】
また、図8に示すように、面発光レーザ素子10の発光部11より出射された光束41は、角錐傾斜部61により光束43となり窓部60より出射される。このような、四角錐状の角錐傾斜部60を形成することにより、面発光レーザ素子10の表面に形成される発光部11を各々2つの方向に伸びる直線上に配列させることができる。
【0042】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態における面発光レーザモジュールを用いた画像形成装置としてのレーザプリンタ1000である。
【0043】
図9に基づき、本実施の形態におけるレーザプリンタ1000について説明する。本実施の形態におけるレーザプリンタ1000は、光走査装置1010、感光体ドラム1030、帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034、クリーニングユニット1035、トナーカートリッジ1036、給紙コロ1037、給紙トレイ1038、レジストローラ対1039、定着ローラ1041、排紙ローラ1042、排紙トレイ1043、通信制御装置1050、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置1060等を備えている。なお、これらは、プリンタ筐体1044の中の所定位置に収容されている。
【0044】
通信制御装置1050は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
【0045】
感光体ドラム1030は、円柱状の部材であり、その表面には感光層が形成されている。すなわち、感光体ドラム1030の表面が被走査面である。そして、感光体ドラム1030は、矢印Xで示す方向に回転するようになっている。
【0046】
帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034及びクリーニングユニット1035は、それぞれ感光体ドラム1030の表面近傍に配置されている。そして、感光体ドラム1030の回転方向に沿って、帯電チャージャ1031→現像ローラ1032→転写チャージャ1033→除電ユニット1034→クリーニングユニット1035の順に配置されている。
【0047】
帯電チャージャ1031は、感光体ドラム1030の表面を均一に帯電させる。
【0048】
光走査装置1010は、帯電チャージャ1031で帯電された感光体ドラム1030の表面を、上位装置からの画像情報に基づいて変調された光束により走査し、感光体ドラム1030の表面に画像情報に対応した潜像を形成する。ここで形成された潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って現像ローラ1032の方向に移動する。なお、この光走査装置1010の構成については後述する。
【0049】
トナーカートリッジ1036にはトナーが格納されており、このトナーは現像ローラ1032に供給される。
【0050】
現像ローラ1032は、感光体ドラム1030の表面に形成された潜像にトナーカートリッジ1036から供給されたトナーを付着させて画像情報を顕像化させる。ここでトナーが付着した潜像(以下では、便宜上「トナー像」ともいう)は、感光体ドラム1030の回転に伴って転写チャージャ1033の方向に移動する。
【0051】
給紙トレイ1038には記録紙1040が格納されている。この給紙トレイ1038の近傍には給紙コロ1037が配置されており、この給紙コロ1037は、記録紙1040を給紙トレイ1038から1枚づつ取り出し、レジストローラ対1039に搬送する。このレジストローラ対1039は、給紙コロ1037によって取り出された記録紙1040を一旦保持するとともに、この記録紙1040を感光体ドラム1030の回転に合わせて感光体ドラム1030と転写チャージャ1033との間隙に向けて送り出す。
【0052】
転写チャージャ1033には、感光体ドラム1030の表面のトナーを電気的に記録紙1040に引きつけるために、トナーとは逆極性の電圧が印加されている。この電圧により、感光体ドラム1030の表面のトナー像が記録紙1040に転写される。ここで転写された記録紙1040は、定着ローラ1041に送られる。
【0053】
定着ローラ1041では、熱と圧力とが記録紙1040に加えられ、これによってトナーが記録紙1040上に定着される。ここで定着された記録紙1040は、排紙ローラ1042を介して排紙トレイ1043に送られ、排紙トレイ1043上に順次スタックされる。
【0054】
除電ユニット1034は、感光体ドラム1030の表面を除電する。
【0055】
クリーニングユニット1035は、感光体ドラム1030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラム1030の表面は、再度帯電チャージャ1031に対向する位置に戻る。
【0056】
次に、図10に基づき光走査装置1010について説明する。光走査装置1010は、光源ユニット1100、不図示のカップリングレンズ及び開口板、シリンドリカルレンズ1113、ポリゴンミラー1114、fθレンズ1115、トロイダルレンズ1116、2つのミラー(1117、1118)、及び上記各部を統括的に制御する不図示の制御装置を備えている。尚、光源ユニット1100は、第1の実施の形態における面発光レーザモジュールを含む光源ユニット1100が用いられている。
シリンドリカルレンズ1113は、光源ユニット1100から出力された光を、ミラー1117を介してポリゴンミラー1114の偏向反射面近傍に集光する。
ポリゴンミラー1114は、高さの低い正六角柱状部材からなり、側面には6面の偏向反射面が形成されている。 そして、不図示の回転機構により、矢印Yに示す方向に一定の角速度で回転されている。
従って、光源ユニット1100から出射され、シリンドリカルレンズ1113によってポリゴンミラー1114の偏向反射面近傍に集光された光は、ポリゴンミラー1114の回転により一定の角速度で偏向される。
fθレンズ1115は、ポリゴンミラー1114からの光の入射角に比例した像高をもち、ポリゴンミラー1114により一定の角速度で偏向される光の像面を、主走査方向に関して等速移動させる。 トロイダルレンズ1116は、fθレンズ1115からの光をミラー1118を介して、感光体ドラム1030の表面に結像する。
トロイダルレンズ1116は、fθレンズ1115を介した光束の光路上に配置されている。そして、このトロイダルレンズ1116を介した光束が、感光体ドラム1030の表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー1114の回転に伴って感光体ドラム1030の長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム1030上を走査する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」である。また、感光体ドラム1030の回転方向が「副走査方向」である。
【0057】
この場合に、面発光レーザ素子10の発光部11より出射され窓部30を透過した光束42は、図11に示されるように等間隔となるように形成されている。即ち、窓部30を透過した光束42において副走査方向に対応する方向に垂線を下ろした時の光束42の位置関係が等間隔d2となるので、点灯のタイミングを調整することで感光体ドラム1030上では副走査方向に等間隔で光源が並んでいる場合と同様な構成と捉えることができる。例えば、副走査方向に対応した方向に関する窓部30を透過した光束42のピッチd1が26.5μmであれば、前記間隔d2は2.65μmとなる。そして、光学系の倍率を2倍とすれば、感光体ドラム1030上では副走査方向に5.3μm間隔で書き込みドットを形成することができる。これは、4800dpi(ドット/インチ)に対応している。すなわち、4800dpi(ドット/インチ)の高密度書込みができる。ここで、窓部30の円錐傾斜部31の外周は300μm で、どの発光部(VCSEL)11も、図4に示すように、実際には窓部30で屈折したシフト量sに相当する22.6μmの距離だけ、窓部30の円錐状の頂点32から離れた位置に形成されている。
【0058】
もちろん、主走査方向に対応する方向の発光部(VCSEL)11を増加したり、前記ピッチd1を狭くして間隔d2を更に小さくするアレイ配置としたり、光学系の倍率を下げる等を行えばより高密度化でき、より高品質の印刷が可能となる。なお、主走査方向の書き込み間隔は、光源の点灯のタイミングで容易に制御できる。
【0059】
また、ポリゴンミラー1114と感光体ドラム1030との間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施の形態では、走査光学系は、fθレンズ1115とトロイダルレンズ1116とから構成されている。なお、fθレンズ1115とトロイダルレンズ1116の間の光路上、及びトロイダルレンズ1116と感光体ドラム1030の間の光路上の少なくとも一方に、少なくとも1つの折り返しミラーが配置されてもよい。
【0060】
本実施の形態におけるレーザプリンタ1000では、第1の実施の形態における面発光レーザモジュールを用いているため、レーザプリンタ1000では書きこみドット密度が上昇しても印刷速度を落とすことなく印刷することができる。また、同じ書きこみドット密度の場合には印刷速度を更に速くすることができる。
【0061】
尚、本実施の形態における説明では、画像形成装置としてレーザプリンタ1000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0062】
例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であってもよい。
【0063】
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
【0064】
〔第3の実施の形態〕
次に、第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態は、複数の感光体ドラムを備えるカラープリンタ2000である。
【0065】
図12に基づき、本実施の形態におけるカラープリンタ2000について説明する。本実施の形態におけるカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、ブラック用の「感光体ドラムK1、帯電装置K2、現像装置K4、クリーニングユニットK5、及び転写装置K6」と、シアン用の「感光体ドラムC1、帯電装置C2、現像装置C4、クリーニングユニットC5、及び転写装置C6」と、マゼンタ用の「感光体ドラムM1、帯電装置M2、現像装置M4、クリーニングユニットM5、及び転写装置M6」と、イエロー用の「感光体ドラムY1、帯電装置Y2、現像装置Y4、クリーニングユニットY5、及び転写装置Y6」と、光走査装置2010と、転写ベルト2080と、定着ユニット2030などを備えている。
【0066】
各感光体ドラムは、図12において示される矢印の方向に回転し、各感光体ドラムの周囲には、回転順にそれぞれ帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニングユニットが配置されている。各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電する。帯電装置によって帯電された各感光体ドラム表面に光走査装置2010により光が照射され、各感光体ドラムに潜像が形成されるようになっている。そして、対応する現像装置により各感光体ドラム表面にトナー像が形成される。さらに、対応する転写装置により、転写ベルト2080上の記録紙に各色のトナー像が転写され、最終的に定着ユニット2030により記録紙に画像が定着される。
【0067】
光走査装置2010は、第1の実施の形態における面発光レーザモジュールを含む光源ユニットを、各々の色毎に有しており、第2の実施の形態において説明した光走査装置1010と同様の効果を得ることができる。また、カラープリンタ2000は、この光走査装置2010を備えているため、第2の実施の形態におけるレーザプリンタ1000と同様の効果を得ることができる。
【0068】
ところで、カラープリンタ2000では、各部品の製造誤差や位置誤差等によって色ずれが発生する場合がある。このような場合であっても、光走査装置2010の各光源が第1の実施の形態における面発光レーザモジュールを含む光源ユニットにより形成されているため、点灯させる発光部を選択することで色ずれを低減することができる。
【0069】
よって、本実施の形態におけるカラープリンタ2000では、第1の実施の形態における面発光レーザモジュールを用いているため、高品質の画像を形成することができる。
【0070】
〔第4の実施の形態〕
次に、第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、光伝送システムである。図13に基づき、本実施形態に係る光伝送システム3000について説明する。本実施の形態における光伝送システム3000は、光送信モジュール3001と光受信モジュール3005が光ファイバケーブル3004で接続されており、光送信モジュール3001から光受信モジュール3005への一方向の光通信が可能となっている。
【0071】
光送信モジュール3001は、第1の実施の形態における面発光レーザモジュールを含む光源3002と、外部から入力された電気信号に応じて、光源3002から出力されるレーザ光の光強度を変調する駆動回路3003とを有している。
【0072】
光源3002から出力された光信号は、光ファイバケーブル3004に結合し、該光ファイバケーブル3004を導波して光受信モジュール3005に入力される。
【0073】
光受信モジュール3005は、光信号を電気信号に変換する受光素子3006と、受光素子3006から出力された電気信号に対して信号増幅、及び波形整形等を行う受信回路3007とを有している。
【0074】
本実施形態に係る光送信モジュール3001によると、光源3002が第1の実施の形態における面発光レーザモジュールを含んでいるため、高コスト化を招くことなく、複数の光を高密度で安定して出力することができ、結果として高コスト化を招くことなく、光信号を安定して生成することが可能となる。
【0075】
また、本実施形態に係る光伝送システム3000によると、高コスト化を招くことなく、光信号を安定して生成することができる光送信モジュール3001を備えているため、結果として高コスト化を招くことなく、低消費電力で、大容量の光伝送を安定して行うことが可能となる。
【0076】
尚、本実施形態では、単チャンネルの一方向通信の構成例を示しているが、双方向通信、並列伝送方式、波長分割多重伝送方式等の構成をとることもできる。要するに、光源3002が第1の実施の形態における面発光レーザモジュールを含んでいればよい。
【0077】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0078】
10 面発光レーザ素子
11 発光部(VCSEL)
12 基板
20 パッケージ
21 底部
30 窓部
31 円錐傾斜部
32 円錐状の頂点
41 光束(窓部30入射光)
42 光束(窓部30出射光)
51 円錐状の頂点32を通る軸
1000 レーザプリンタ(画像形成装置)
1010 光走査装置
2000 カラープリンタ(画像形成装置)
3000 光伝送システム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】特開2001−85788号公報
【特許文献2】特開2002−359433号公報
【特許文献3】特開2008−192780号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板面に複数の面発光レーザが形成されている面発光レーザ素子と、
前記面発光レーザ素子を設置するためのパッケージと、
前記面発光レーザの出射側に設けられた窓部と、
を有し、前記窓部は、前記面発光レーザの波長の光を透過する材料により形成されており、前記窓部の一方の面は錐状に凸となるように形成されており、前記一方の面に対向する他方の面は前記錐状に対応して錐状に凹となるように形成されており、
前記窓部における前記錐状を形成する領域は一定の厚さであって、
前記窓部の前記一方の面と前記面発光レーザ素子とが対向するように設置されていることを特徴とする面発光レーザモジュール。
【請求項2】
前記錐状は、円錐状または四角錐状であることを特徴とする請求項1に記載の面発光レーザモジュール。
【請求項3】
前記錐状は、四角錐状であって、
前記四角錐状の稜は、前記基板面に対し垂直方向より見た場合、前記面発光レーザと重なることなく形成されていることを特徴とする請求項1に記載の面発光レーザモジュール。
【請求項4】
前記窓部の一方の面に形成された錐状の頂点は、前記基板面に対し垂直方向より見た場合、各々の前記面発光レーザの間に位置するように形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の面発光レーザモジュール。
【請求項5】
前記面発光レーザ素子は、前記面発光レーザが2次元状に配列されているものであって、
前記窓部の一方の面に形成された錐状の頂点は、前記基板に対し垂直方向より見た場合、最近接の4つの前記面発光レーザにおける略中間に位置するように形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の面発光レーザモジュール。
【請求項6】
前記窓部の一方の面に形成された錐状の頂点は、前記基板に対し垂直方向より見た場合、前記面発光レーザが形成されている領域の重心部分に位置するように形成されていることを特徴とする請求項5に記載の面発光レーザモジュール。
【請求項7】
前記窓部より出射された光束が前記基板面と略平行な面において、2次元的に等間隔となるように、前記面発光レーザ素子において、前記面発光レーザが配置されていることを特徴とする請求項5または6に記載の面発光レーザモジュール。
【請求項8】
光によって被走査面を走査する光走査装置であって、
請求項1から7のいずれかに記載の面発光レーザモジュールを有する光源と、
前記光源からの光を偏向する光偏向部と、
前記光偏向部により偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と、
を有することを特徴とする光走査装置。
【請求項9】
像担持体と、
前記像担持体に対して画像情報に応じて変調された光を走査する請求項8に記載の光走査装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記像担持体は複数であって、前記画像情報は、多色のカラー情報であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−191148(P2012−191148A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55825(P2011−55825)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】