説明

音声文字通信システム及び交換機

【課題】携帯端末に着信した音声データを場所に応じて適切に処理する。
【解決手段】音声文字通信システム1は、発信先の携帯端末2が位置する空間に応じて通信モード(音声/文字)を切り替えられるようにした。各空間にアンテナ3を配置して携帯端末2の位置を把握し、その位置を含む空間に応じて当該携帯端末2の通信モードを交換機4に設定し、記憶する。携帯端末2に音声データの着信(着呼)があった場合に、発信先(着呼側)の携帯端末2が音声属性の空間にあるときは、交換機4が音声通話を可能とする。発信先の携帯端末2が文字属性の空間にあるときは、交換機4が音声データを文字データに変換して送信する。このとき、発信先には文字しか送れない旨を発信元(発呼側)に通知し、次の対応(音声・文字変換、別の方法で連絡等)を選択させてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の領域内に位置する携帯端末を対象にした音声文字通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
会議中に携帯電話に着呼があると議事進行の妨げになるが、重要な用件でかかってくることもあるので、全く無視するわけにはいかない。そこで、音声データに対してテキストデータにより応答する技術がある。例えば、特許文献1には、満員電車の中や会議中などの公共の場、会話を禁止されている区域等においては、音声入力送信禁止モードが設定されることにより、相手方からの着呼に対して文字情報の入力操作を可能とし、入力された文字情報を相手方に送信する携帯電話機が開示されている。また、特許文献2には、音声による着呼応答が不可な状況下において携帯通信端末に着信があった場合に、着信側のユーザが手動で文字入力に切り替えることにより、発信者に応答したい内容を文字入力することを可能とし、入力した内容を表示部にて確認しつつ音声形式にエンコードし、エンコードしたデータを発信者への応答メッセージとして即時送信する携帯通信端末が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−354320号公報
【特許文献2】特開2006−295468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、音声入力送信禁止モードに設定し忘れた場合に、携帯電話機に着呼があったときに、着信音が鳴ってしまい、会議等の妨げになる。また、特許文献2の技術では、携帯通信端末に着呼があった場合に、文字入力に切り替えるまでの間は着信音が鳴ることになり、速やかに切り替えられないときには、依然として会議等の妨げになることがある。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、携帯端末に着信した音声データを場所に応じて適切に処理することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、音声文字通信システムであって、所定の領域に所在する人が所持する、音声通話及び文字通信が可能な携帯端末と、前記携帯端末と通信する交換機と、を備え、前記携帯端末が、当該携帯端末に固有の端末IDを予め記憶する手段と、前記端末IDを随時送信する手段と、を備え、前記交換機が、前記所定の領域内の空間に固有の空間IDと、当該空間IDの空間に位置する前記携帯端末との音声通話が許可されるか否かを示す空間属性とを対応付けた空間属性データを予め記憶する手段と、前記携帯端末から前記端末IDを受信した場合に、当該携帯端末が存在する空間の空間IDを特定し、前記空間属性データを参照して、特定した前記空間IDに対応する前記空間属性を特定し、受信した前記端末IDに対応付けて、特定した前記空間属性を、当該携帯端末による音声出力が可能な否かを示す通信モードとして設定した通信モードデータを記憶する手段と、前記携帯端末に対する着呼を検知した場合に、前記通信モードデータに基づいて着呼側の端末IDに対応する前記通信モードを特定する手段と、特定した前記通信モードが音声出力可能を示すときに、発呼側と、着呼側との音声通話を可能とする手段と、特定した前記通信モードが音声出力不可を示すときに、着呼側の前記携帯端末の通信モードが音声出力不可である旨のメッセージを発呼側に送信する手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、携帯端末に電話がかかってきた場合に、その携帯端末が音声通話の許される場所にあれば、そのまま通話ができるようにする。一方、その携帯端末が音声通話は許されず文字の参照のみが可能な場所にあれば、電話の発信先(着呼側)にその旨を示すメッセージを電話の発信元(発呼側)に送信する。これによれば、携帯端末に着信した音声データを場所に応じて適切に処理することができる。また、電話の発信者は、音声不可のメッセージを受けて、何等かの対応をとることができる。
【0008】
また、本発明は、音声文字通信システムであって、前記交換機が、前記発呼側から前記メッセージに対して音声・文字変換の指示を受信したときに、前記着呼の音声データを文字データに変換し、変換した前記文字データを前記着呼側の前記携帯端末に送信する手段をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、電話の発信者が音声不可のメッセージに対して音声・文字変換を指示してきた場合に、電話の音声を文字に変換して発信先の携帯端末に送信する。これによれば、携帯端末に着信した音声データを発信者の意向に応じて適切に処理することができる。
【0010】
また、本発明は、音声文字通信システムであって、所定の領域に所在する人が所持する、音声通話及び文字通信が可能な携帯端末と、前記携帯端末と通信する交換機と、を備え、前記携帯端末が、当該携帯端末に固有の端末IDを予め記憶する手段と、前記端末IDを随時送信する手段と、を備え、前記交換機が、前記所定の領域内の空間に固有の空間IDと、当該空間IDの空間に位置する前記携帯端末との音声通話が許可されるか否かを示す空間属性とを対応付けた空間属性データを予め記憶する手段と、前記携帯端末から前記端末IDを受信した場合に、当該携帯端末が存在する空間の空間IDを特定し、前記空間属性データを参照して、特定した前記空間IDに対応する前記空間属性を特定し、受信した前記端末IDに対応付けて、特定した前記空間属性を、当該携帯端末による音声出力が可能な否かを示す通信モードとして設定した通信モードデータを記憶する手段と、前記携帯端末に対する着呼を検知した場合に、前記通信モードデータに基づいて着呼側の端末IDに対応する前記通信モードを特定する手段と、特定した前記通信モードが音声出力可能を示すときに、発呼側と、着呼側との音声通話を可能とする手段と、特定した前記通信モードが音声出力不可を示すときに、前記着呼の音声データを文字データに変換し、変換した前記文字データを着呼側の前記携帯端末に送信する手段と、を備える ことを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、携帯端末に電話がかかってきた場合に、その携帯端末が音声通話の許される場所にあれば、そのまま通話ができるようにする。一方、その携帯端末が音声通話は許されず文字の参照のみが可能な場所にあれば、電話の音声を文字に変換して送信する。これによれば、携帯端末に着信した音声データを場所に応じて適切に処理することができる。
【0012】
また、本発明は、音声文字通信システムであって、前記交換機が、前記携帯端末から前記端末IDを、前記所定の領域内の各空間に設置されたアンテナのうち1又は複数のアンテナを介して受信し、当該1又は複数のアンテナの設置された空間の空間IDに基づいて当該携帯端末が存在する空間の空間IDを特定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、音声文字通信システムであって、前記交換機が、前記空間属性データを、前記空間IDと、時間帯ごとに設定された前記空間属性又は随時更新される前記空間属性とを対応付けたものとして予め記憶し、前記携帯端末から前記端末IDを受信した場合に、前記空間属性データに基づいて、特定した前記空間IDに対応し、かつ、現在の時刻を含む時間帯の前記空間属性又は最新の前記空間属性を特定することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、場所ごとに加えて、時間帯ごとにも携帯端末が出力可能な音声又は文字を設定するので、場所に一律ではなく、時間に応じた適切な処理を行うことができる。例えば、会議室や講堂は様々な目的に利用されるので、予約時間ごとの利用目的に応じて音声又は文字を設定することにより、携帯端末に着信した音声データを適切に処理することができる。これによれば、携帯端末をできる限り快適に使用することができる。
【0015】
また、本発明は、音声文字通信システムであって、前記携帯端末が、当該携帯端末による音声出力に所持者が応答するか否かの意向を示す端末属性をさらに記憶し、前記端末ID及び前記端末属性を随時送信し、前記交換機が、前記携帯端末から前記端末ID及び前記端末属性を受信した場合に、受信した前記端末属性が音声出力に応答しない意向のときに、受信した前記端末IDと文字の通信モードとを対応付けた通信モードデータを記憶し、受信した前記端末属性が音声出力に応答する意向のとき、前記空間属性データに基づいて、所定の方法により特定した前記空間IDに対応する前記空間属性を特定し、受信した前記端末IDに対応付けて、特定した前記空間属性を当該携帯端末の通信モードとして設定した通信モードデータを記憶することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、携帯端末の所持者が電話を受けたくないときには、文字データだけを受信する設定ができる。携帯端末の所持者が電話を受けてもよいときには、場所に応じて音声又は文字が設定される。これによれば、携帯端末のある場所よりも、その携帯端末の所持者の意向を優先して、音声又は文字が設定されるので、所持者にとって使い勝手がよくなる。
【0017】
また、本発明は、音声文字通信システムであって、前記交換機が、着呼側との音声通話を無条件に可能とする発呼側の識別情報を含む優先端末データをさらに予め記憶し、前記携帯端末に対する着呼を検知した場合に、その着呼に係る発呼側の識別情報が前記優先端末データに含まれるときに、発呼側と、着呼側との音声通話を可能とすることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、携帯端末に特定の発信者から電話がかかってきた場合には、そのまま通話ができるようにする。例えば、会社内においては、携帯端末のある場所にかかわらず重役からかかってきた電話は必ずつながるように設定できるので、組織の運営上有効な措置を講じることができる。
【0019】
なお、本発明は、交換機を含む。その他、本願が開示する課題及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、携帯端末に着信した音声データを場所に応じて適切に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】音声文字通信システム1の構成を示す図である。
【図2】交換機4の処理部42及び記憶部43に構成を示す図であり、(a)は処理部42の機能構成を示し、(b)は記憶部43のテーブル構成を示す。
【図3】交換機4の記憶部43に記憶されたテーブルのデータ構成を示す図であり、(a)は端末属性テーブル43Aのデータ構成を示し、(b)は空間属性テーブル43Bのデータ構成を示し、(c)は通信モードテーブル43Cのデータ構成を示す。
【図4】交換機4の記憶部43に記憶されたテーブルのデータ構成を示す図であり、(a)は社内VIPテーブル43Dのデータ構成を示し、(b)は社外VIPテーブル43Eのデータ構成を示し、(c)はアンテナ空間テーブル43Fのデータ構成を示す。
【図5】交換機4のテーブル更新処理を示すフローチャートである。
【図6】交換機4の音声/文字通信処理を示すフローチャートである。
【図7】オフィス内にアンテナを設置した例を示す図であり、(a)はアンテナの種類を示し、(b)はオフィス空間にアンテナを配置した例を示し、(c)は携帯端末2の位置を把握する方法の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施の形態に係る音声文字通信システム1は、通話着信のあった携帯端末が位置する空間に応じて音声モードと、文字モードとを切り替えられるようにしたものである。すなわち、各空間にアンテナを配置して携帯端末の位置を把握し、その位置を含む空間の属性に応じて当該携帯端末の通信モードを交換機に設定し、記憶する。ここで、空間の属性とは、音声通話が許可されるか否かを示し、例えば、許可される場合には「音声又は文字」、許可されない場合には「文字」が設定される。携帯端末に音声データの着信(着呼)があった場合に、発信先(着呼側)の携帯端末が空間属性「音声又は文字」の空間にあるときは、交換機が音声通話を可能とする。一方、発信先の携帯端末が空間属性「文字」の空間にあるときは、交換機が音声データを文字データに変換して送信する。このとき、発信先には文字しか送れない旨を発信元(発呼側)に通知し、次の対応(音声・文字変換、別の方法で連絡等)を選択させてもよい。また、VIP等特定の発信元による音声通話は、発信先の空間に依存することなく、そのまま可能とする。なお、必ずしも携帯端末の位置を正確に把握しなくてもよく、基本的には、携帯端末が存在する空間の属性を特定できればよい。
【0023】
≪システムの構成と概要≫
図1は、音声文字通信システム1の構成を示す図である。音声文字通信システム1は、建物内や屋外を含む所定の領域(例えば、オフィスビル、各種施設、撮影現場、工場、イベント会場等)内において適用可能であり、携帯端末2、アンテナ3、交換機4、管理者端末5及び外部端末6を備える。携帯端末2は、所定の領域内で移動しながら活動する人に所持される携帯電話等であって、音声通話や文字データの送受信が可能であり、音声通話モードと、文字通信モードとが手動(例えば、操作ボタンの長押し等)で切り替えられる。携帯端末2は、音声通話の発信元及び発信先となりうる。アンテナ3は、所定の領域内にある空間ごとに設置され、携帯端末2と、交換機4との間でデータ通信の中継を行うとともに、交換機4に対して当該アンテナ3に固有のアンテナIDを通知する。アンテナ3の設置された箇所を含む空間については、当該空間と当該アンテナ3のアンテナIDとの対応付け及び当該空間の空間属性が交換機4に設定される。
【0024】
交換機4は、アンテナ3を介して携帯端末2と通信可能であり、アンテナ3を通じて対象となる各携帯端末2の位置する空間を随時把握し、その空間に基づいて各携帯端末2の通信モード(音声/文字)を保持、更新する。携帯端末2に着呼があった場合、着呼側の携帯端末2の通信モードが音声であれば、そのまま音声通話を実行し、通信モードが文字であれば、その旨を発信元の端末に通知する。この通知に対して、発信元から音声・文字変換を指示されたら、音声通話内の音声を認識し、認識された音声を文字に変換し、変換された文字をショートメッセージ又はメールにして携帯端末2に送信する。また、内線の携帯端末2又は外線の外部端末6のうち、特定の発信元に対して音声通話を無条件に許可する旨のフラグ(VIPフラグ)を設定し、当該発信元からの音声通話は無条件かつ強制的に可能とする。さらに、管理者端末5からの指示に従って、空間属性のテーブルを更新する。
【0025】
管理者端末5は、音声文字通信システム1の全体を管理する部署に設置され、各空間の属性を時間帯とともに予約、設定を可能とし、その設定内容を交換機4に送信する。上記のとおり、空間属性には、「音声又は文字」、「文字」がある。会議室等の予約時に、管理者端末5の画面において、例えば、空間の1つである講堂に「講演会」と指定すれば、管理者端末5又は交換機4により、「講演会」が「文字」に変換され、交換機4における講堂の空間属性には「文字」が設定される。これは、ユーザには空間属性を意識させることなく、空間の使用目的(講演会)を指定させ、その使用目的を適切な空間属性(文字)に変換し、その空間属性を交換機4が記憶することで、ユーザの使い勝手の向上を図るものである。また、空間属性を設定する機能の一部は、管理者だけでなく、一般ユーザ向けの会議室等の予約システムに開放される。
【0026】
外部端末6は、音声文字通信システム1が対象とする所定の領域外の端末であり、例えば、社外の外線電話等である。
【0027】
≪交換機の構成≫
交換機4は、IP−PBX(Internet Protocol-Private Branch eXchange)によって実現され、通信部41、処理部42及び記憶部43を備える。通信部41は、ネットワーク及びアンテナ3を介して携帯端末2とIP通信し、ネットワークを介して管理者端末5及び外部端末6とIP通信を行う部分であり、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。処理部42は、通信部41と、記憶部43との間のデータの受け渡しを行うととともに、交換機4全体の制御を行うものであり、CPU(Central Processing Unit)が所定のメモリに格納されたプログラムを実行することによって実現される。記憶部43は、処理部42からデータを記憶したり、記憶したデータを読み出したりするものであり、例えば、フラッシュメモリやハードディスク装置等の不揮発性記憶装置によって実現される。
【0028】
図2は、交換機4の処理部42及び記憶部43の構成を示す図である。図2(a)は、処理部42の機能構成を示す。処理部42は、全体制御部42A、テーブル更新部42B、応答制御部42C及び音声・文字変換部42Dを備える。全体制御部321は、発生したイベント(例えば、通信部41による端末属性の受信、音声通話の着呼や、音声・文字変換部42Dの処理の終了等)に応じて、処理部42内の他の各部を起動することによって、処理部42全体の処理の流れを制御する。また、通信部41及び記憶部43と、処理部42内の他の各部との間のインタフェースを制御することによって、メッセージやデータの受け渡しを行う。全体制御部42Aは、いわゆるカーネル又はスケジューラと呼ばれるプログラムモジュールである。
【0029】
テーブル更新部42B、応答制御部42C及び音声・文字変換部42Dの各部は、全体制御部42Aによる制御の下で動作することによって、交換機4の具体的な機能を実現するプログラムモジュールである。テーブル更新部42Bは、端末属性や空間属性を受信したときに起動され、対応する記憶部43のテーブルを更新する。応答制御部42Cは、音声通話を受信したときに起動され、記憶部43のテーブルを参照して、音声通話の実施又は発信元への文字モードの連絡を行い、必要に応じて音声・文字変換部42Dを起動する。音声・文字変換部42Dは、応答制御部42Cから起動され、音声通話の音声データを文字データに変換する。
【0030】
図2(b)は、記憶部43のテーブル構成を示す。記憶部43は、端末属性テーブル43A、空間属性テーブル43B、通信モードテーブル43C、社内VIPテーブル43D、社外VIPテーブル43E及びアンテナ空間テーブル43Fを記憶する。
【0031】
≪データの構成≫
図3及び図4は、交換機4の記憶部43に記憶されたテーブルのデータ構成を示す図である。図3(a)は、端末属性テーブル43Aのデータ構成を示す。端末属性テーブル43Aは、携帯端末2の属性に関するテーブルであり、端末名称43A1、端末ID43A2、端末属性43A3及び職位43A4を含む、携帯端末2ごとのレコードからなる。端末名称43A1は、携帯端末2の名称を示す。端末ID43A2は、携帯端末2に固有のIDを示し、例えば、携帯電話の番号等である。端末属性43A3は、携帯端末2の所持者が着信データに応答するか否かの意向を示すものであり、「音声」は音声通話を行ってもよく、音声か文字かは空間属性に委ねる旨を示し、「文字」は空間属性に関係なく文字データは受けるが、音声通話は受けない旨を示す。職位43A4は、携帯端末2の所持者の職位を示し、別途発信元が発信先のVIPか否かを判定するのに用いられる。
【0032】
図3(b)は、空間属性テーブル43Bのデータ構成を示す。空間属性テーブル43Bは、所定の領域内に設けられた各空間の属性に関するテーブルであり、空間名称43B1、空間ID43B2及び空間属性43B3を含む、空間ごとのレコードからなる。空間名称43B1は、空間の名称を示し、例えば、オフィスビル内の共用部1、講堂、会議室等である。空間ID43B2は、空間に固有のIDを示し、例えば、当該空間の階数及びその階における位置データでもよいし、アンテナ3に固有のIDに対応する当該空間のIDであってもよい。空間属性43B3は、当該空間において時間帯ごとに携帯端末2による出力が許可される通信データを示し、例えば、廊下等の共用部1は終日「音声又は文字」であるが、講演会等が開催される講堂は9:00〜11:00の間「文字」になっている。
【0033】
図3(c)は、通信モードテーブル43Cのデータ構成を示す。通信モードテーブル43Cは、携帯端末2が位置する空間に応じた通信モードに関するテーブルであり、端末ID43C1、現在位置43C2、通信モード43C3及び職位43C4を含む、携帯端末2ごとのレコードからなる。端末ID43C1は、携帯端末2に固有のIDを示す。現在位置43C2は、携帯端末2が位置する空間の名称を示す。通信モード43C3は、現在位置43C2にある携帯端末2に音声通話の着信があったときに、当該携帯端末2が出力可能なデータ(音声/文字)を示し、端末属性テーブル43Aの端末属性43A3及び空間属性テーブル43Bの空間属性43B3から特定される。職位43C4は、携帯端末2の所持者の職位を示す。
【0034】
図4(a)は、社内VIPテーブル43Dのデータ構成を示す。社内VIPテーブル43Dは、音声通話の発信元が音声文字通信システム1で管理されている携帯端末2の場合にVIPか否かを判定するためのテーブルであり、職位43D1及びVIP職位43D2を含むレコードからなる。職位43D1は、発信先の携帯端末2の所持者の職位を示す。VIP職位43D2は、職位43D1の社員にとってVIPに相当する職位を示す。例えば、B職にとってのVIPは、A職の社員であり、C職にとってのVIPはA職及びB職の社員である。
【0035】
図4(b)は、社外VIPテーブル43Eのデータ構成を示す。社外VIPテーブル43Eは、音声通話の発信元が管理外の電話等の場合にVIPか否かを判定するためのテーブルであり、端末ID43E1及びVIP端末43E2を含むレコードからなる。端末ID43E1は、発信先の携帯端末2に固有のIDを示す。VIP端末43E2は、端末ID43E1の携帯端末2の所持者にとってのVIPが所持する端末のIDを示す。
【0036】
図4(c)は、アンテナ空間テーブル43Fのデータ構成を示す。アンテナ空間テーブル43Fは、アンテナIDと、空間IDとの対応を示すテーブルであり、アンテナID43F1及び空間ID43F2を含むレコードからなる。アンテナID43F1は、アンテナ3に固有のIDである。空間ID43F2は、当該アンテナ3の設置された箇所を含む空間に固有のIDである。なお、1つの空間には1以上のアンテナ3が設置されるので、1以上のアンテナID43F1と、1つの空間ID43F2とが対応付けられる。
【0037】
≪システムの処理≫
図5は、交換機4のテーブル更新処理を示すフローチャートである。本処理は、携帯端末2が自ら記憶している端末ID及び端末属性を定期的に(随時)送信し、アンテナ3が携帯端末2から受信した端末ID及び端末属性、自ら記憶しているアンテナIDを送信するのに対応して、交換機4において、通信部41がアンテナ3を通じて携帯端末2の端末ID及び端末属性、アンテナ3のアンテナIDを受信し、その受信したデータに基づいて処理部41のテーブル更新部42Bが記憶部43のテーブルを設定、更新するものである。
【0038】
まず、交換機4は、受信した端末IDから特定される端末属性テーブル43Aの職位43A4を読み出し、通信モードテーブル43Cの職位43C4に設定する(S501)。これは、端末属性等の受信とは非同期に更新される端末属性テーブル43Aの職位43A4を通信モードテーブル43Cに反映するものであり、必ずしも毎回行う必要はなく、職位43A4の更新時期が決まっていれば、その時期に一度実施するようにしてもよい。
【0039】
次に、交換機4は、受信した端末属性を、受信した端末IDから特定される端末属性テーブル43Aの端末属性43A3に設定する(S502)。これは、携帯端末2の端末属性は所持者の意向によって随時変更されるので、交換機4が端末属性を定期的に受信し、更新することにより、常に最新の状態を保持するものである。
【0040】
続いて、交換機4は、アンテナ空間テーブル43Fを参照して、受信したアンテナIDから空間ID43F2を特定し、空間属性テーブル43Bを参照して、特定した空間IDから空間名称43B1を特定し、通信モードテーブル43Cの現在位置43C2に設定する(S503)。そして、端末属性テーブル43Aの端末属性43A3が文字か否かを判定する(S504)。端末属性43A3が文字であれば(S504のY)、携帯端末2の所持者が文字に応答する意向であることを示すので、通信モードテーブル43Cの通信モード43C3に「文字」を設定する(S505)。
【0041】
一方、端末属性43A3が文字でなければ(S504のN)、携帯端末2の所持者が音声にも応答する意向であることを示すので、交換機4は、現在位置の空間属性に応じたモードを通信モード43C3に設定する(S506)。すなわち、空間属性テーブル43Bを参照して、現在位置から空間名称43B1を特定し、それに対応する空間属性43B3のうち、現在時刻を含む時間帯の属性を取得する。そして、取得した属性が「音声又は文字」であれば「音声」を、「文字」であれば「文字」を通信モードテーブル43Cの通信モード43C3に設定する。
【0042】
以上により、携帯端末2の端末属性と、その時点で携帯端末2が位置する空間の属性とに応じた通信モードがリアルタイムに設定、更新される。これによれば、携帯端末2に音声データの着信があったときに、通信モードに応じた適切な処理をすぐに行うことができる。
【0043】
図6は、交換機4の音声/文字通信処理を示すフローチャートである。本処理は、交換機4において、通信部41が携帯端末2に対する音声通話の着信(着呼)を検知したときに、処理部42の応答制御部42Cが条件に応じた音声又は文字の通信処理を行うものである。
【0044】
まず、交換機4は、発信元の端末ID及び発信先の端末IDを取得する(S601)。例えば、発信元の端末から受信したIPパケットから、発呼側の電話番号及び着呼側の電話番号を取得する。そして、VIPからの発信か否かを判定する(S602)。具体的には、初めに、発信元IDが通信モードテーブル43Cの端末ID43C1に設定されているか否かを判定する。設定されていれば、発信元が音声文字通信システム1の管理している携帯端末2なので、通信モードテーブル43Cを参照して、発信元IDの職位及び発信先IDの職位を特定し、社内VIPテーブル43Dを参照して、発信元IDの職位が発信先IDの職位のVIPか否かを判定する。一方、設定されていなければ、発信元が管理外の端末(外部端末6)ということになるので、社外VIPテーブル43Eを参照して、発信元の端末IDが発信先の端末IDのVIPか否かを判定する。
【0045】
VIPからの発信であれば(S602のY)、交換機4は発信元端末と発信先端末との間で音声通話を開始させる(S604)。VIPからの発信でなければ(S602のN)、通信モードテーブル43Cを参照して、発信先IDの通信モードが音声か否かを判定する(S603)。通信モードが音声であれば(S603のY)、発信元端末と発信先端末との間で音声通話を開始させる(S604)。
【0046】
通信モードが音声でなければ(S603のN)、交換機4は、発信先の携帯端末2が文字モードである旨を発信元端末に送信し(S605)、発信元端末から音声・文字変換を行うか否かの指示が来るのを待つ(S606)。指示があって(S606のY)、その指示が音声・文字変換を行うものでなければ(S607のN)、そのまま処理を終了する。この場合、発信者は、携帯端末2の固有アドレスにショートメッセージ又はメールを送ったり、携帯端末2には連絡せず、固定電話やPCメール等、別の方法により発信先に連絡したりする。
【0047】
発信元端末からの指示が音声・文字変換を行うものであれば(S607のY)、交換機4では、処理部42の応答制御部42Cが音声・文字変換部42Dを起動することにより通話の音声を文字に変換し(S608)、応答制御部42Cが通信部41を通じて、その変換した文字を発信先の携帯端末2に送信する(S609)。なお、音声・文字変換を行うことが選択された場合、交換機4は、発信元端末を通じて、音声認識が可能なように、発信先に伝えたいメッセージをゆっくりしゃべるべき旨を発信者に伝えるようにしてもよい。
【0048】
≪実施例≫
図7は、オフィス内にアンテナを設置した例を示す図である。図7(a)は、アンテナの種類を示す。オープンスペースの事務室SP1には、無指向性/小出力のアンテナが用いられ、音声通話モードが標準的に設定される。大会議室SP2には、無指向性/小出力のアンテナが用いられ、音声通話モードが標準的に設定される。オープンスペースの打合せコーナーSP3には、指向性/小出力のアンテナが用いられ、文字通信モードが標準的に設定される。小会議室SP4には、指向性/小出力のアンテナが用いられ、文字通信モードが標準的に設定される。共用部SP5には、無指向性/小出力のアンテナが用いられ、音声通話モードが標準的に設定される。
【0049】
以上のように、比較的広い空間には、無指向性/小出力のアンテナが用いられ、空間属性として音声通話モードが設定される。無指向性のアンテナが用いられるのは、広い空間では携帯端末2の位置を正確に測定するよりも、その空間内に所在することが分かればよいためである。音声通話モードが設定されるのは、空間が広いため人と人とがある程度離れているので、音声通話が許可されると考えられるからである。
【0050】
一方、比較的狭い空間には、指向性/小出力のアンテナが用いられ、空間属性として文字通信モードが設定される。指向性のアンテナが用いられるのは、狭い空間では人の位置が決まりやすいので、指向性のアンテナ1台により空間内の携帯端末2から電波を受信したとしても、電波の広がりを制約するので誤感知が少ないからである。文字通信モードが設定されるのは、空間が狭いため人と人とが近いので、音声通話が許可されないと考えられるからである。なお、狭い空間では、指向性のアンテナをできるだけ机等に近い位置に設置する(又は、机上にシート状のアンテナを設置する)ことにより、着席している人の携帯端末2の電波を受信するのが好ましい。
【0051】
小出力のアンテナが用いられるのは、当該アンテナの設置された空間以外から携帯端末2の電波を受信するのを回避し、携帯端末2が位置する領域の特定を容易にするためである。ただし、空間と、空間との境界を電磁的に遮蔽することにより、必ずしも小出力のアンテナでなくても当該空間内の携帯端末2からの電波だけを受信することが可能である。電磁遮蔽には、例えば、石膏ボード等により金属箔や金属メッシュを挟んだものが用いられる。簡単な電磁遮蔽の例については、特開2005−12054号公報、特開2006−339592号公報を参照のこと。また、異なる空間のアンテナ3が同じ携帯端末2の電波(同じ端末ID)を受信した場合には、交換機4が、受信した電波の強度によって最寄のアンテナ3を特定し、そのアンテナ3の設置箇所から携帯端末2の空間を特定することが考えられる。なお、携帯端末2のある場所の把握は、アンテナ3が受信した電波の強度によるものに限定されるものではない。
【0052】
図7(b)は、オフィス空間にアンテナを配置した例を示す。比較的広い事務室SP1、大会議室SP2及び共用部SP5には、無指向性のアンテナが万遍なく配置されている。一方、比較的狭い打合せコーナーSP3及び小会議室SP4には、指向性のアンテナが1つだけ配置されている。なお、基本的には、共用部SP5と、それ以外との間には簡易な電磁遮蔽が形成され、電波の漏洩が少ない内装とする。また、オープンスペースの事務室SP1には、高出力のアンテナ3を用いて、設置台数を減らすようにしてもよい。
【0053】
アンテナの設置方法には、天井内設置、天井付け、壁付け、机付け、照明器具組込み等がある。壁付けの端末シートは、例えば、絵画等の裏側に取り付けることにより、目立たないようにすることができる。
【0054】
図7(c)は、携帯端末2の位置を把握する方法の例を示す。例えば、大会議室SP2を間仕切りMにより2つのエリアに分けて、一方のエリアを音声通話モードに設定し、他方のエリアを文字通信モードに設定することが考えられる。このような場合、間仕切りMは通常カーテン等であり、電磁遮蔽の効果はないので、携帯端末2の位置するエリアを特定し、特定したエリアに応じて通信モードを切り替えるためには、携帯端末2の位置を正確に把握する必要がある。そこで、例えば、携帯端末2と、3つのアンテナ3との間の距離a、b、cを測定し、交換機4が、その3つの距離を取得し、それらの距離に基づいて携帯端末2の正確な位置を特定することにより、何れのエリアにいるのかを判断する。
【0055】
なお、上記実施の形態では、図1に示す音声文字通信システム1内の各装置(端末及び交換機)を機能させるために、各装置に内蔵されたCPUで実行されるプログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録し、その記録したプログラムをコンピュータに読み込ませ、実行させることにより、本発明の実施の形態に係る音声文字通信システムが実現されるものとする。この場合、プログラムをインターネット等のネットワーク経由でコンピュータに提供してもよいし、プログラムが書き込まれた半導体チップ等をコンピュータに組み込んでもよい。
【0056】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、交換機4が、携帯端末2に着信した音声データに対して、所定のエリア内において携帯端末2が位置する空間の属性に応じて、そのまま音声通話を可能とする、又は、発信元に音声不可を通知して指示があれば音声・文字変換を行う、のいずれかの処理を行う。これによれば、携帯端末2の所持者から見ると、携帯端末2の通信モードは、手動による切替が必要なく、場所に応じて自動的に切り替わるので、通信モードを気にすることなく過ごすことができる。
【0057】
≪その他の実施の形態≫
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。例えば、以下のような実施の形態が考えられる。
【0058】
(1)上記実施の形態では、交換機3が、携帯端末2及びアンテナ3から受信したデータ、端末属性テーブル43A及び空間属性テーブル43Bから、事前に通信モードテーブル43Cを設定、更新し、携帯端末2に音声データが着信した時点では通信モードテーブル43Cを参照するように記載したが、着信した時点において、その場の携帯端末2との通信により着信先の位置する空間を特定し、その空間の属性に応じて音声データを処理するようにしてもよい。
【0059】
(2)空間属性テーブル43Bの空間属性は、上記実施の形態のように時間ごとに設定するのではなく、現在時刻における空間属性だけを有し、管理者端末5から予約表等に従って随時更新するようにしてもよい。
【0060】
(3)上記実施の形態では、発信先の職位及び発信元の職位に応じて発信元が発信先にとってのVIPか否かを判定したが、発信先及び発信元の職位だけでなく、発信先及び発信元の所属部署も考慮することにより、所属部署における上下関係に基づいて発信元が発信先にとってのVIPか否かを判定してもよい。また、社内についても、社外VIPテーブル43Eと同様に、個人別にVIPを設定するようにしてもよい。一方、端末属性テーブル43A及び通信モードテーブル43Cの職位の代わりに、例えば、会社の重役の携帯端末2に対するVIPフラグを設定し、着信があったときに発信元の端末IDがVIPのものか否かを簡単に判定するようにしてもよい。
【0061】
(4)上記実施の形態では、交換機4がアンテナ3を介して携帯端末2と通信し、アンテナ3のIDに基づいて携帯端末2の位置する場所を特定するように記載したが、その他の方法により携帯端末2の位置や場所を特定してもよい。例えば、交換機4が、アンテナ3を介することなく、GPS機能を備えた携帯端末2と通信し、当該GPS機能によって計測された当該携帯端末2の位置データを取得し、その位置データに基づいて当該携帯端末2の場所を特定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 音声文字通信システム
2 携帯端末(着呼側)
4 交換機
41 通信部
42 処理部
43 記憶部
43A 端末属性テーブル
43B 空間属性テーブル(空間属性データ)
43B2 空間ID
43B3 空間属性
43C 通信モードテーブル(通信モードデータ)
43C1 端末ID
43C3 通信モード
43D 社内VIPテーブル(優先端末データ)
43E 社外VIPテーブル(優先端末データ)
6 発信元端末(発呼側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の領域に所在する人が所持する、音声通話及び文字通信が可能な携帯端末と、
前記携帯端末と通信する交換機と、
を備え、
前記携帯端末は、
当該携帯端末に固有の端末IDを予め記憶する手段と、
前記端末IDを随時送信する手段と、
を備え、
前記交換機は、
前記所定の領域内の空間に固有の空間IDと、当該空間IDの空間に位置する前記携帯端末との音声通話が許可されるか否かを示す空間属性とを対応付けた空間属性データを予め記憶する手段と、
前記携帯端末から前記端末IDを受信した場合に、当該携帯端末が存在する空間の空間IDを特定し、前記空間属性データを参照して、特定した前記空間IDに対応する前記空間属性を特定し、受信した前記端末IDに対応付けて、特定した前記空間属性を、当該携帯端末による音声出力が可能な否かを示す通信モードとして設定した通信モードデータを記憶する手段と、
前記携帯端末に対する着呼を検知した場合に、前記通信モードデータに基づいて着呼側の端末IDに対応する前記通信モードを特定する手段と、
特定した前記通信モードが音声出力可能を示すときに、発呼側と、着呼側との音声通話を可能とする手段と、
特定した前記通信モードが音声出力不可を示すときに、着呼側の前記携帯端末の通信モードが音声出力不可である旨のメッセージを発呼側に送信する手段と、
を備える
ことを特徴とする音声文字通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の音声文字通信システムであって、
前記交換機は、
前記発呼側から前記メッセージに対して音声・文字変換の指示を受信したときに、前記着呼の音声データを文字データに変換し、変換した前記文字データを前記着呼側の前記携帯端末に送信する手段
をさらに備えることを特徴とする音声文字通信システム。
【請求項3】
所定の領域に所在する人が所持する、音声通話及び文字通信が可能な携帯端末と、
前記携帯端末と通信する交換機と、
を備え、
前記携帯端末は、
当該携帯端末に固有の端末IDを予め記憶する手段と、
前記端末IDを随時送信する手段と、
を備え、
前記交換機は、
前記所定の領域内の空間に固有の空間IDと、当該空間IDの空間に位置する前記携帯端末との音声通話が許可されるか否かを示す空間属性とを対応付けた空間属性データを予め記憶する手段と、
前記携帯端末から前記端末IDを受信した場合に、当該携帯端末が存在する空間の空間IDを特定し、前記空間属性データを参照して、特定した前記空間IDに対応する前記空間属性を特定し、受信した前記端末IDに対応付けて、特定した前記空間属性を、当該携帯端末による音声出力が可能な否かを示す通信モードとして設定した通信モードデータを記憶する手段と、
前記携帯端末に対する着呼を検知した場合に、前記通信モードデータに基づいて着呼側の端末IDに対応する前記通信モードを特定する手段と、
特定した前記通信モードが音声出力可能を示すときに、発呼側と、着呼側との音声通話を可能とする手段と、
特定した前記通信モードが音声出力不可を示すときに、前記着呼の音声データを文字データに変換し、変換した前記文字データを着呼側の前記携帯端末に送信する手段と、
を備える
ことを特徴とする音声文字通信システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の音声文字通信システムであって、
前記交換機は、
前記携帯端末から前記端末IDを、前記所定の領域内の各空間に設置されたアンテナのうち1又は複数のアンテナを介して受信し、当該1又は複数のアンテナの設置された空間の空間IDに基づいて当該携帯端末が存在する空間の空間IDを特定する
ことを特徴とする音声文字通信システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の音声文字通信システムであって、
前記交換機は、
前記空間属性データを、前記空間IDと、時間帯ごとに設定された前記空間属性又は随時更新される前記空間属性とを対応付けたものとして予め記憶し、
前記携帯端末から前記端末IDを受信した場合に、前記空間属性データに基づいて、特定した前記空間IDに対応し、かつ、現在の時刻を含む時間帯の前記空間属性又は最新の前記空間属性を特定する
ことを特徴とする音声文字通信システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の音声文字通信システムであって、
前記携帯端末は、
当該携帯端末による音声出力に所持者が応答するか否かの意向を示す端末属性をさらに記憶し、前記端末ID及び前記端末属性を随時送信し、
前記交換機は、
前記携帯端末から前記端末ID及び前記端末属性を受信した場合に、受信した前記端末属性が音声出力に応答しない意向のときに、受信した前記端末IDと文字の通信モードとを対応付けた通信モードデータを記憶し、受信した前記端末属性が音声出力に応答する意向のとき、前記空間属性データに基づいて、所定の方法により特定した前記空間IDに対応する前記空間属性を特定し、受信した前記端末IDに対応付けて、特定した前記空間属性を当該携帯端末の通信モードとして設定した通信モードデータを記憶する
ことを特徴とする音声文字通信システム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の音声文字通信システムであって、
前記交換機は、
着呼側との音声通話を無条件に可能とする発呼側の識別情報を含む優先端末データをさらに予め記憶し、
前記携帯端末に対する着呼を検知した場合に、その着呼に係る発呼側の識別情報が前記優先端末データに含まれるときに、発呼側と、着呼側との音声通話を可能とする
ことを特徴とする音声文字通信システム。
【請求項8】
所定の領域に所在する人が所持する、音声通話及び文字通信が可能な携帯端末と通信する交換機であって、
前記所定の領域内の空間に固有の空間IDと、当該空間IDの空間に位置する前記携帯端末との音声通話が許可されるか否かを示す空間属性とを対応付けた空間属性データを予め記憶する手段と、
前記携帯端末から当該携帯端末に固有の端末IDを受信した場合に、当該携帯端末が存在する空間の空間IDを特定し、前記空間属性データを参照して、特定した前記空間IDに対応する前記空間属性を特定し、受信した前記端末IDに対応付けて、特定した前記空間属性を、当該携帯端末による音声出力が可能な否かを示す通信モードとして設定した通信モードデータを記憶する手段と、
前記携帯端末に対する着呼を検知した場合に、前記通信モードデータに基づいて着呼側の端末IDに対応する前記通信モードを特定する手段と、
特定した前記通信モードが音声出力可能を示すときに、発呼側と、着呼側との音声通話を可能とする手段と、
特定した前記通信モードが音声出力不可を示すときに、着呼側の前記携帯端末の通信モードが音声出力不可である旨のメッセージを発呼側に送信する手段と、
を備える
ことを特徴とする交換機。
【請求項9】
請求項8に記載の交換機であって、
前記発呼側から前記メッセージに対して音声・文字変換の指示を受信したときに、前記着呼の音声データを文字データに変換し、変換した前記文字データを前記着呼側の前記携帯端末に送信する手段
をさらに備えることを特徴とする交換機。
【請求項10】
所定の領域に所在する人が所持する、音声通話及び文字通信が可能な携帯端末と通信する交換機であって、
前記所定の領域内の空間に固有の空間IDと、当該空間IDの空間に位置する前記携帯端末との音声通話が許可されるか否かを示す空間属性とを対応付けた空間属性データを予め記憶する手段と、
前記携帯端末から当該携帯端末に固有の端末IDを受信した場合に、当該携帯端末が存在する空間の空間IDを特定し、前記空間属性データを参照して、特定した前記空間IDに対応する前記空間属性を特定し、受信した前記端末IDに対応付けて、特定した前記空間属性を、当該携帯端末による音声出力が可能な否かを示す通信モードとして設定した通信モードデータを記憶する手段と、
前記携帯端末に対する着呼を検知した場合に、前記通信モードデータに基づいて着呼側の端末IDに対応する前記通信モードを特定する手段と、
特定した前記通信モードが音声出力可能を示すときに、発呼側と、着呼側との音声通話を可能とする手段と、
特定した前記通信モードが音声出力不可を示すときに、前記着呼の音声データを文字データに変換し、変換した前記文字データを着呼側の前記携帯端末に送信する手段と、
を備える
ことを特徴とする交換機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−40959(P2011−40959A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−185970(P2009−185970)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】