音声誘導装置
【課題】どのような聴取者(運転手)においても、また、どのようなスピ−カ設置位置においても確実な方向感を持たせることができる音声誘導装置を提供する。
【解決手段】音像定位の調整及び目的地を設定する操作装置11と、現在位置を検出する現在位置検出部1と、前記操作装置11により設定した目的地と前記現在位置検出部1により検出された現在位置からル−トを計算するル−ト検索部4と、前記ルート検索部4により設定したル−ト上にある進路方向が切替るポイントを格納する記憶装置6と、前記切替るポイントに近づいた時に音声によって進路方向を音声誘導する案内誘導部5と、聴取者に応じた頭部伝達関数を記憶した頭部伝達関数記憶テ−ブル7から読み出した頭部伝達関数に基づいて音声誘導される音声の音像を定位させる音像制御部8と、前記案内誘導部5からの音声誘導された音声の音量を制御する音量制御部14と、前記案内誘導部5からの音声誘導を合成し複数のスピ−カに出力する音声合成部15とを有する。
【解決手段】音像定位の調整及び目的地を設定する操作装置11と、現在位置を検出する現在位置検出部1と、前記操作装置11により設定した目的地と前記現在位置検出部1により検出された現在位置からル−トを計算するル−ト検索部4と、前記ルート検索部4により設定したル−ト上にある進路方向が切替るポイントを格納する記憶装置6と、前記切替るポイントに近づいた時に音声によって進路方向を音声誘導する案内誘導部5と、聴取者に応じた頭部伝達関数を記憶した頭部伝達関数記憶テ−ブル7から読み出した頭部伝達関数に基づいて音声誘導される音声の音像を定位させる音像制御部8と、前記案内誘導部5からの音声誘導された音声の音量を制御する音量制御部14と、前記案内誘導部5からの音声誘導を合成し複数のスピ−カに出力する音声合成部15とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、音声誘導装置に係り、例えば、聴取者(運転者、使用者)が希望する目的地まで誘導するナビゲーション装置において、目的地までのルート探索を行ない、その目的地まで誘導する際、交差点などで進路が変更になる場合には、その変更になる進路方向に音像を定位させて方向感を持たせるようにした音声誘導装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲ−ション装置においては、交差点などで進路が変更になる場合、モニタ等に画面表示によって交差点の進路を表示すると共に車載スピ−カ(固定された位置)から音声案内を出力し、聴取者へ情報を提供している。
【0003】
しかし、従来音声案内は、その音声案内の内容をしっかりと把握しておかないと、音声案内のみからは進路が変更する方向感覚が掴めないという問題があった。例えば、「次の交差点を右です。」という音声案内の場合、聴取者は“右”という音声と表示画面からどこを右に曲がればよいかを把握することができるが、もし“右”という音声を聞き逃した場合、表示画面を直視して進行方向を判断しなければならないので、前方の注意が散漫になって危険を伴うことになる。
【0004】
そこで、このような課題に対して、特許文献1には、車両内部の左右に設けられたスピ−カの音量のバランスを調整して音像を定位させ方向感を持たせた音声出力装置が開示されている。また、特許文献2には、ルート上に仮想音源を用いて方向感を持たせたボイスナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2602158号公報
【特許文献2】特開平7−103781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の特許文献1に開示された音声出力装置における左右のスピ−カの音量のバランスだけでは、スピ−カの設置位置によっては正確な方向感を得ることは難しい。また、特許文献2に開示されたボイスナビゲーション装置では、ルート上に仮想音源を用いて方向感を持たせているので、直線ルートを左折もしくは右折する際には有効であるが、図31に示したようなルートを走行中の場合、仮想音源とその曲がる方向とが異なるため、正確な音像を定位させることは難しい。
【0007】
また、音像の定位については頭部伝達関数を用いて、その音像の方向感を算出することになるが、その頭部伝達関数は聴取者の耳の形にも影響されるため、必ずしも万人に同じ方向感を持たせることは難しい。また、スピ−カ位置が変わっても頭部伝達関数が影響されるため、スピ−カ設置位置が異なる車両もしくはスピ−カ位置をユ−ザが任意に設置できるシステムにおいては正確な音像を定位させることは困難である。さらには、このような音像を形成する場合、複数のスピ−カで誘導音声を出力することになるため、音楽を聴いている最中に誘導音声を出力する場合には、音楽を一旦ミュ−トにしなければならず、同乗者への不快感を与えることになるという課題があった。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、どのような聴取者においても、また、どのようなスピ−カ設置位置においても確実な方向感を持たせることができ、かつ音楽を聴取中でも音楽を阻害せず、確実に方向感を持たせることが可能な音声誘導装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る音声誘導装置は、音像定位の調整及び目的地を設定する操作装置と、現在位置を検出する現在位置検出部と、前記操作装置により設定した目的地と前記現在位置検出部により検出された現在位置からル−トを計算するル−ト検索部と、前記ルート検索部により設定したル−ト上にある進路方向が切替るポイントを格納する記憶装置と、前記切替るポイントに近づいた時に音声によって進路方向を音声案内する案内誘導部と、聴取者に応じた頭部伝達関数を記憶した頭部伝達関数記憶テ−ブルから読み出した頭部伝達関数に基づいて音声案内される音声の音像を定位させる音像制御部と、前記案内誘導部からの音声案内される音声の音量を制御する音量制御部と、前記案内誘導部からの音声案内を合成して複数のスピ−カに出力する音声合成部とを有する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、予め設定記憶された聴取者ごとの頭部伝達関数に基づき、音像制御部で周波数特性を制御して、案内情報の方向から聴取者に対し音声案内を行なうように構成したので、聴取者及びスピ−カ設置位置によらず、確実な方向感を持った音像を定位させることができ、聴取者は音声案内の内容を聞き漏らしても、その音像方向によって進行方向を知ることができ、表示画面を直視して進行方向を判断し、前方の注意が散漫になって危険を伴うことを確実に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の誘導装置の実施の形態1の全体構成図を示したブロック図である。
【図2】記憶装置の記憶状態図である。
【図3】実施の形態1における音像制御部、音量制御部、音声合成部の構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態1における音像定位の初期設定を行うフローチャートである。
【図5】実施の形態1の音像設定を手動で行うフローチャートである。
【図6】実施の形態1の音像設定を自動で行うフローチャートである。
【図7】頭部伝達関数記憶テーブルの記憶状態図である。
【図8】実施の形態1の目的地設定時の動作を説明するフローチャートである。
【図9】実施の形態1の予め任意の方向に音像を定位させた誘導音声を用いる動作を説明するフローチャートである。
【図10】ルート探索されたルート案内図である。
【図11】誘導音声を含めた記憶装置の記憶状態図である。
【図12】聴取者に対する音声案内の方向を示す状態図である。
【図13】聴取者に対する音像の定位方向の説明図である。
【図14】聴取者に対する音像の定位方向の説明図である。
【図15】聴取者に対する音像の定位方向の説明図である。
【図16】聴取者に対する音像の定位方向の説明図である。
【図17】この発明の誘導装置の実施の形態2の全体構成図を示したブロック図である。
【図18】実施の形態2における音像制御部、音量制御部、音声合成部の構成を示すブロック図である。
【図19】音楽再生時における聴取者に対する音像の定位方向の説明図である。
【図20】この発明の誘導装置の実施の形態3の全体構成図を示したブロック図である。
【図21】実施の形態3における音像制御部、音量制御部、音声合成部の構成を示すブロック図である。
【図22】センサ反応位置確認動作を説明するフローチャートである。
【図23】障害物接近を報知する聴取者に対する音像の定位方向の説明図である。
【図24】電子音により報知する聴取者に対する音像の定位方向の説明図である。
【図25】センサ反応位置確認動作を説明するフローチャートである。
【図26】任意の方向に音像を定位させた誘導音声の記憶状態図である。
【図27】ガイダンス音声出力の動作を説明するフローチャートである。
【図28】加工処理済ガイダンス音声を用いたガイダンス音声出力の動作を説明するフローチャートである。
【図29】センサ音声出力の動作を説明するフローチャートである。
【図30】加工処理済センサ音声を用いたセンサ音声出力の動作を説明するフローチャートである。
【図31】ルートと音声案内との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
以下、この発明に係る誘導装置の実施の形態を図面について説明する。図1はこの発明に係る音声誘導装置における実施の形態1の全体構成図を示したブロック図である。図において、自車の現在位置を検出する現在位置検出部1、現在地及び目的地周辺を含む緯度経度情報・道路情報(路幅・種別・制限速度等)などを記録した地図データ記録部2、目的地設定などするために施設情報(施設名・住所・緯度経度・電話番号等)を記録した施設名称記録部3、現在位置から設定した目的地までのル−トを計算するル−ト検索部4、設定したル−トから進路方向が切替るポイント(左折、右折など)に近づいた時に音声などによって進路方向を誘導する案内誘導部5を有する。
【0013】
この案内誘導部5に接続され、図10に示すように、設定したル−トで進路方向が切替るポイント(左折、右折など)となる交差点及び進路情報等を図2に示すデータテーブルとして格納する記憶装置6、聴取者に応じた頭部伝達関数を記憶した頭部伝達関数記憶テ−ブル7、案内誘導部からの誘導音声について頭部伝達関数記憶テ−ブル7からの頭部伝達関数に基づいて任意の方向に音像を定位させる音像制御部8、現在地周辺等の地図や目的地設定のためのメニュ−情報や音楽再生時の音楽情報等と表示する表示装置10を有する。
【0014】
また、音像定位の調整及び目的地を設定する操作装置11、案内誘導部5からの誘導音声の音量を制御する音量制御部14、案内誘導部からの誘導音声を複数のスピ−カ16〜19に出力する音声合成部15とを備え、各部が統括的に制御部9によって制御される構成である。
【0015】
図3は音像制御部8、音量制御部14、音声合成部15の構成を示すブロック図であり、音像制御部8は第1の頭部伝達関数取得部81、第1の頭部伝達関数算出部82、音声データ出力部83、音声データ取得部84、音声データ記録部85を有し、音量制御部14は音量調整部141を有し、音声合成部15は音量調整部141からの出力を入力する合成部151を有する。
【0016】
第1の頭部伝達関数算出部82は、案内誘導部5からの誘導音声について頭部伝達関数取得部81からの入力によって頭部伝達関数算出を行い、この算出された頭部伝達関数に基づいて音声データを音声データ出力部83から音量制御部14の音量調整部141に供給する。この音量調整部141からの出力は、音声合成部15の合成部151で合成されて、図12に示すように聴取者を中心に前後左右から音声誘導される。
【0017】
以下、実施の形態1の動作について説明する。図1に示す構成を有する音声誘導装置を聴取者が初めて使用する場合、音像定位を正確にするため、その聴取者に対して音像定位の初期設定を行う。この初期設定は、図4に示すように、例えば、エンジン起動直後に「初期設定を行いますか?」等の表示や音声にて設定を促しても良いし、メニュ−画面から任意に聴取者が初期設定を行っても良い。初期設定が必要と判断された場合(ステップST4−1:YES)、音像設定を行う(ステップST4−2)。
【0018】
音像設定は図5に示すように処理する。図5、図13において、『正面から音声が聞こえたら実行ボタンを押下してください』と音声アナウンスをスピ−カ16〜19より出力し、正面から音声が聞こえるまで音像位置を変更して音声アナウンスを繰返す(ステップST5−1,ST5−5及び図13)。聴取者が正面から音声が聞こえたと判断すると操作装置11の実行ボタンを押下し、その時の頭部伝達関数を頭部伝達関数記憶テ−ブル7に記憶する(ステップST5−2)。
【0019】
次に『真後ろから音声が聞こえたら実行ボタンを押下して下さい。』と音声アナウンスをスピ−カ16〜19より出力し、真後ろから音声が聞こえるまで音像位置を変更して音声アナウンスを繰返す(ステップST5−3,ST5−6及び図13)。聴取者が真後ろから聞こえたと判断すると操作装置11の実行ボタンを押下し、その時の頭部伝達関数を頭部伝達関数記憶テ−ブル7に記憶し、各聴取者について図7に示す頭部伝達関数記憶テ−ブルを作成する(ステップST5−4)。
【0020】
その他の方向(図20に示す右、左、斜め左前、斜め左後、斜め右前、斜め右後)については、ステップST5−1及びステップST5−3で決定した前後の頭部伝達関数より推測して頭部伝達関数記憶テ−ブル7に記憶させる他、ステップST5−1及びステップST5−3と同様に音声アナウンスによる方法を用いてもよい。
【0021】
全ての方向の頭部伝達関数が頭部伝達関数記憶テ−ブル7に記憶されると音像設定の処理を終了する。図5においては、表示装置10及び走査装置11、スピーカ16〜19を手動調整手段として、聴取者が手動により音像設定を行なう場合を説明したが、これを自動的に行う方法もある。
【0022】
図6は表示装置10及び走査装置11、スピーカ16〜19、マイク(図示せず)を自動調整手段として、聴取者が自動により音像設定を行う例を示すもので、『マイクを運転席のヘッドレストに設置し、実行ボタンを押下して下さい。』と音声アナウンスをスピ−カ16〜19より出力する(ステップST6−1)。操作装置11に接続されたマイクをヘッドレスト位置に装着した後、操作装置11の実行ボタンを押下すると、テスト信号が制御部9よりスピ−カ16〜19を通じて出力される(ステップST6−2)。
【0023】
このテスト信号は、マイクを設置したヘッドレストに対して、正面⇒斜め左前⇒左⇒斜め左後⇒後ろ⇒斜め右後⇒右⇒斜め右前⇒正面と音像位置を変更しながら、その際の頭部伝達関数を頭部伝達関数記憶テ−ブル7に記憶する(ステップST6−3,ST6−4及びステップST6−6)。ステップST6−3,ST6−4及びステップST6−6は、前述に述べた様に例えば前方と後方のみテスト信号を出力してその他の方向(図12に示す右、左、斜め左前、斜め左後、斜め右前、斜め右後 )については、前後の頭部伝達関数より推測して頭部伝達関数記憶テ−ブル7に記憶させてもよい。上記の処理に従い、音像設定を行うことにより聴取者やスピ−カ16〜19位置が異なるシステムにおいても正確な音像定位を実現することができる。記憶調整完了後はテスト信号を停止する(ステップST6−5)。
【0024】
図8は聴取者が目的地を設定した際の具体的な処理動作を示す。まず、操作装置11及び表示装置10において目的地が設定されると(ステップST8−1)、制御部9は現在地検出部1からの現在地情報と目的地情報とにより、ル−ト検索部4と地図データ記録部2で目的地までのル−ト探索を行う(ステップST8−2)。
【0025】
目的地までのル−ト探索が終了すると、案内誘導部5では誘導ポイント(図10中の丸で囲んだ数字1〜12)となる地点の位置情報と誘導方向を図11に示すように記憶装置6に記憶する(ステップST8−3)。聴取者は、ル−ト探索が終了するとそのル−ト案内に基づいて、目的地まで運転を開始する。
【0026】
まず、自車位置のルート上にルート案内の誘導ポイントがあるか否かを判断し(ステップST8−4)、NOの場合は自車がルート上を外れたか否かを判断し(ステップST8−9)、NOであればステップST8−4に戻り、YESであればステップST8−2に移行して、
再度、現在地検出部1からの現在地情報と目的地情報とによりル−ト検索部4と地図データ記録部2で目的地までのル−ト探索(ステップST8−2)と、誘導ポイントとなる地点の位置情報と誘導方向を記憶装置6に記憶する(ステップST8−3)。
【0027】
ステップST8−4の判断でYESの場合は、音像制御部8は頭部伝達関数記憶テ−ブル7より頭部伝達関数を取得し(ステップST8−5)、案内誘導部5からの誘導音声をその頭部伝達関数に基づいて音声加工処理を行い(ステップST8−6)、ガイダンス音声を音量制御部14及び音声合成部15を介してスピ−カ16〜19へ出力する(ステップST8−7)。音像の定位方法については、図14、図15、図16に示すように自車位置と誘導ポイントの位置関係より定位方向を可変させても良い。
【0028】
例えば、図14では自車位置が誘導ポイントに近づくに従って「およそ1km先左方向です」と前方向から、「およそ100m先左方向です」と斜め前方向から、「まもなく左方向です」と左側方向から案内する。また、図15では自車位置が誘導ポイントに近づくに従って「およそ100m先斜め左方向です」と前方向から、「まもなく斜め左方向です」と案内される。図16では自車位置が誘導ポイントに近づくに従って「およそ1km先斜め左手前方向です」と前方向から、「およそ100m先斜め左手前方向です」と斜め前方向から案内される。
【0029】
そして、自車位置が目的地に到着するまでステップST8−2〜ステップST8−7を繰り返し、目的地に到着すると、ル−ト案内を終了する(ステップST8−8)。上記図8に基づく処理動作では、自車位置が誘導ポイントとなる地点に近づく毎に頭部伝達関数に基づく音声加工処理を行っていたが、予め任意の方向に音像を定位させた誘導音声を記憶させておく方法もある。
【0030】
図9は予め任意の方向に音像を定位させた誘導音声を記憶させておく処理動作を示すもので、操作装置11及び表示装置10において目的地が設定されると(ステップST9−1)、制御部9は現在地検出部1からの現在地情報と目的地情報とによりル−ト検索部4と地図データ記録部2で目的地までのル−ト探索を行う(ステップST9−2)。目的地までのル−ト探索が終了すると、案内誘導部5では誘導ポイントとなる地点の位置情報と誘導方向を記憶装置6に記憶する(ステップST9−3)。
【0031】
音像制御部8は、記憶装置6に記憶された誘導ポイントとなる地点の位置情報と誘導方向とに基づいて、頭部伝達関数記憶テ−ブル7より頭部伝達関数を取得し(ステップST9−4)、案内誘導部5からの誘導音声とその頭部伝達関数に基づいて音声加工処理を行い(ステップST9−5)、音声加工処理を行った誘導音声を記憶装置6に記憶させる(ステップST9−6)。
【0032】
聴取者は、ル−ト探索が終了するとそのル−ト案内に基づいて、目的地まで運転を開始し、自車位置のルート上にルート案内の誘導ポイントがあるか否かを判断し(ステップST9−7)、NOの場合は自車がルート上を外れたか否かを判断し(ステップST9−10)、NOであればステップST9−7に戻り、YESであればステップST9−2に戻り、ステップST9−2〜ステップST9−6の処理を繰り返す。
【0033】
ステップST9−7の判断がYESの場合、つまり、自車位置が誘導のポイントとなる地点に近づいた場合、音像制御部8は予め記憶装置6に記憶した音像定位を加工処理した誘導音声を取得し、図7に示すガイダンス音声を音量制御14及び音声合成部15を介してスピ−カ16〜19へ出力する(ステップST9−8)。音像の定位方法については、図14、図15、図16に示すように自車位置と誘導ポイントの位置関係より定位方向を可変させても良い。そして、自車位置が目的地に到着するまでステップST9−2〜ステップST9−7、ステップST9−10を繰り返し、目的地に到着するとル−ト案内を終了する(ステップST9−9)。
【0034】
上記例ではスピ−カ16〜19が4つの場合について説明したが、スピ−カは4つに限定されるものではなく、その数は任意である。また、音像定位の方向を図12に示した8方向(前、後、右、左、斜め左前、斜め左後、斜め右前、斜め右後)としているが、8方向に限定されるものではなく、音像定位方向数は任意である。
【0035】
以上のように、この実施の形態1によれば、予め設定記憶された聴取者ごとの頭部伝達関数に基づき、音像制御部で周波数特性を制御して、案内情報の方向から聴取者に対し音声案内を行なうように構成したので、聴取者及びスピ−カ設置位置によらず、確実な方向感を持った音像を定位させることができ、聴取者は音声案内の内容を聞き漏らしても、その音像方向によって進行方向を知ることができ、表示画面を直視して進行方向を判断し、前方の注意が散漫になって危険を伴うことを確実に解消することができる。
【0036】
実施の形態2.
図17は実施の形態2の全体構成図を示したブロック図である。この実施の形態2は図1に示した実施の形態1にCD,DVD等のオーディオを再生するオーディオ再生部13を付加したものである。
【0037】
図18は実施の形態2の構成要素である音像制御部8、音量制御部14、音声合成部15の構成を示すブロック図であり、図3に示した実施の形態1の音像制御部8に、オーディオ再生部13からのオーディオ音声を入力する第2の頭部伝達関数算出部86、第2の音声データ出力部87を付加し、音量制御部14に第2の音量調整部142を付加し、音声合成部15は、第1、第2の音量調整部141,142からの出力を合成する合成部151を有する。
【0038】
第2の頭部伝達関数算出部86はオーディオ再生部13からのオーディオ音声について頭部伝達関数取得部81からの入力よって頭部伝達関数算出を行い、この算出された頭部伝達関数に基づいて音声データを音声データ出力部87から音量制御部14の第2の音量調整部142に供給する。
【0039】
以下、動作について説明する。聴取者に対しての音像定位の初期設定は実施の形態1と同一であるから重複説明を省略する。そして、この初期設定された聴取者ごとの音像定位を用いた具体的な処理動作において、誘導音声を出力する際、聴取者がオ−ディオ再生部13においてCDやラジオなどの音楽を聴取している場合には、図19に示すように誘導音声を定位させる方向とは逆方向もしくは誘導音声の音像定位に影響されない方向から音楽の音声を出力させることで、音楽を聴きながらでも音像定位された誘導音声を聴くことができる。さらには音量制御部14にてそれぞれの音声の音量を独立で制御し、例えばル−ト誘導音声に影響が無くかつ音楽の音声が聞こえるレベルまで音楽の音声の音量を下げることも可能である。
【0040】
以上のように、この実施の形態2によれば、音楽の音声を誘導音声に影響しない方向から出力するように構成したので、音楽を聴いているときに誘導音声が出力されても、音楽をミュートする必要がなく、同乗者に不快感を与えることがない。
【0041】
実施の形態3.
図20はこの発明の実施の形態3の全体構成図を示したブロック図である。この実施の形態3は図17に示した実施の形態2に車外の情報を検出するセンサ検出部12を付加したものである。
【0042】
図21は実施の形態3の構成要素である音像制御部8、音量制御部14、音声合成部15の構成を示すブロック図であり、図18に示した実施の形態2の音像制御部8に、センサ検出部12からのセンサ音声を入力する第3の頭部伝達関数算出部88、第3の音声データ出力部89を付加し、音量制御部14に第3の音量調整部143を付加し、音声合成部15は、第1〜第3の音量調整部141〜143からの出力を合成する合成部151を有する。
【0043】
第3の頭部伝達関数算出部88は、センサ検出部からのセンサ音声について頭部伝達関数取得部81からの入力によって頭部伝達関数算出を行い、この算出された頭部伝達関数に基づいて音声データを音声データ出力部89から音量制御部14の第3の音量調整部143に供給する。
【0044】
例えばセンサ検出部12がコーナセンサを含んでいる場合、コーナセンサからの障害物接近を検出すると、図22に示すフローチャートに従い、音像制御部8はコーナセンサが接近している位置をセンサ検出部12から取得し(ステップST22−1)、その位置情報から頭部伝達関数記憶テ−ブル7より頭部伝達関数を取得し(ステップST22−2)、センサ検出部12からの注意を促す音声をその頭部伝達関数に基づいて音声加工処理を行い(ステップST22−3)、ガイダンス音声を音量制御部14及び音声合成部15を介してセンサ音声をスピ−カ16〜19から出力する(ステップST22−4)。注意を促す音声は、図23に示すような『斜め左後方に障害物が接近しています』等のガイダンス音声を用いても良いし、図24に示すような電子音(Pi、Pi、Pi、Pi、・・・)を用いてもよい。
【0045】
上記図22に基づく処理動作では、コーナセンサが自車位置を検出して音声を出力しようとする毎に頭部伝達関数に基づく音声加工処理を行っていたが、予め任意の方向に音像を定位させた誘導音声を記憶させておく方法もある。
【0046】
図25は予め任意の方向に音像を定位させた誘導音声を記憶させておく場合であり、センサ反応位置確認を行い(ステップST25−1)、センサ音声を出力する(ステップST25−2)。このセンサ音声出力毎に頭部伝達関数に基づき、予め任意の方向に音像を定立させた誘導音声を図26のデータテーブルとして記憶装置6に記憶する。
【0047】
この場合、図11に示すナビゲーションの誘導音声と相関が取れるように、フォーマットを統一しているが、誘導ポイントの位置情報については、コーナセンサの場合は不要となるため、誘導ポイントの位置情報については、ナビゲーションの誘導音声と区別するためにユニークな値としても良い。そして、ステップST25−1で取得した位置関係と一致した音声方向を図26のデータベースから取得し、各スピーカ16〜19へ音声を出力する。
【0048】
この実施の形態3においても、前記図8に示したように、聴取者が目的地を設定した際の具体的な処理動作、図9に示したように、予め任意の方向に音像を定位させた誘導音声を記憶させておく処理動作を行なうが、前記実施の形態と同じであるから詳細説明は省略するが、図27は図8の処理動作の中のステックST8−7におけるガイダンス音声出力の詳細を説明するフローチャートである。
【0049】
まず、センサ音声出力中かを判断し(ステップST27−1)、YESならその判断を繰り返し、NOならば、オーディオ再生中かを判断し(ステップST27−2)、NOならばステップST27−5に移行し、YESなら頭部伝達関数記憶テ−ブル7より頭部伝達関数を取得する(ステップST27−3)。ついで、この取得した頭部伝達関数に基づきオーディオ音声加工処理を行なう(ステップST27−4)。そして、音量制御部14で音量調整し(ステップST27−5)、その後、音声合成部15で音声合成して(ステップST27−6)各スピーカ16〜19へセンサ音声を出力する。
【0050】
図28は図9の処理動作の中のステックST9−7におけるガイダンス音声出力の詳細を説明するフローチャートである。まず、加工処理済ガイダンス音声を記憶装置6から取得した後、図27のステップST27−1〜ステップST27−6と同様の処理動作であるステップST28−2〜ステップST28−7の動作により、各スピーカ16〜19へセンサ音声を出力する。
【0051】
図29は図22の処理動作の中のステックST22−4におけるセンサ音声出力の詳細を説明するフローチャートである。まず、オーディオ再生中かを判断し(ステップST29−1)、NOならばステップST29−4に移行し、YESならば、頭部伝達関数記憶テ−ブル7より頭部伝達関数を取得する(ステップST29−2)。ついで、この取得した頭部伝達関数に基づきオーディオ音声加工処理を行なう(ステップST29−3)。そして、音量制御部14で音量調整し(ステップST29−4)、その後、音声合成部15で音声合成して(ステップST29−5)各スピーカ16〜19へ音声を出力する。
【0052】
図30は図25の処理動作の中のステックST25−2におけるガイダンス音声出力の詳細を説明するフローチャートである。まず、加工処理済ガイダンス音声を記憶装置6から取得した後、図29のステップST29−1〜ステップST29−5と同様の処理動作であるステックST30−2〜ステップST30−6の動作により、各スピーカ16〜19へセンサ音声を出力する。
【0053】
上記実施の形態3では、センサ検出部12がコーナセンサを含んでいる場合について説明したが、センサ検出部12はコーナセンサ以外にも緊急車両の接近を感知するセンサや踏み切り音を感知するセンサ、人間を検知するセンサなどの各種センサにも適用することができる。
【0054】
上記センサ検出部12における音声出力においては、緊急を要する場合が多いので、ナビゲ−ション装置の誘導音声の制御フロ−(図8もしくは図9)の処理の割り込み処理として扱っても良い。また、その際、ナビゲ−ション装置の誘導音声と同時期に出力することになった場合は、音声合成部15にてセンサからの音声を優先して出力しても良いし、誘導音声と合成して出力しても良い。さらには音量制御部14にてそれぞれの音声の音量を独立で制御し、例えばセンサからの音声やル−ト誘導音声や音楽の音声の音量をセンサや誘導音声に影響が無くかつ音楽の音声が聞こえるレベルまで音楽の音声の音量を下げることも可能である。
以上のように、この実施の形態3によれば、車外の情報をセンサで検出して音声案内するように構成したので、緊急事態に適した処理を的確に実行することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 現在位置検出部、2 地図データ記録部、3 施設名称記録部、4 ル−ト検索部、5 案内誘導部、6 記憶装置、7 頭部伝達関数記憶テ−ブル、8 音像制御部、9 制御部、10 表示装置、11 操作装置、12 センサ検出部、13 オーディオ再生部、14 音量制御部14、15 音声合成部、16〜19 スピ−カ16〜19、81 頭部伝達関数取得部、82 頭部伝達関数算出部、83、86,88 音声データ出力部、84,87,89 音声データ取得部、85 音声データ記録部、141〜143 音量調整部、151 合成部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、音声誘導装置に係り、例えば、聴取者(運転者、使用者)が希望する目的地まで誘導するナビゲーション装置において、目的地までのルート探索を行ない、その目的地まで誘導する際、交差点などで進路が変更になる場合には、その変更になる進路方向に音像を定位させて方向感を持たせるようにした音声誘導装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲ−ション装置においては、交差点などで進路が変更になる場合、モニタ等に画面表示によって交差点の進路を表示すると共に車載スピ−カ(固定された位置)から音声案内を出力し、聴取者へ情報を提供している。
【0003】
しかし、従来音声案内は、その音声案内の内容をしっかりと把握しておかないと、音声案内のみからは進路が変更する方向感覚が掴めないという問題があった。例えば、「次の交差点を右です。」という音声案内の場合、聴取者は“右”という音声と表示画面からどこを右に曲がればよいかを把握することができるが、もし“右”という音声を聞き逃した場合、表示画面を直視して進行方向を判断しなければならないので、前方の注意が散漫になって危険を伴うことになる。
【0004】
そこで、このような課題に対して、特許文献1には、車両内部の左右に設けられたスピ−カの音量のバランスを調整して音像を定位させ方向感を持たせた音声出力装置が開示されている。また、特許文献2には、ルート上に仮想音源を用いて方向感を持たせたボイスナビゲーション装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2602158号公報
【特許文献2】特開平7−103781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の特許文献1に開示された音声出力装置における左右のスピ−カの音量のバランスだけでは、スピ−カの設置位置によっては正確な方向感を得ることは難しい。また、特許文献2に開示されたボイスナビゲーション装置では、ルート上に仮想音源を用いて方向感を持たせているので、直線ルートを左折もしくは右折する際には有効であるが、図31に示したようなルートを走行中の場合、仮想音源とその曲がる方向とが異なるため、正確な音像を定位させることは難しい。
【0007】
また、音像の定位については頭部伝達関数を用いて、その音像の方向感を算出することになるが、その頭部伝達関数は聴取者の耳の形にも影響されるため、必ずしも万人に同じ方向感を持たせることは難しい。また、スピ−カ位置が変わっても頭部伝達関数が影響されるため、スピ−カ設置位置が異なる車両もしくはスピ−カ位置をユ−ザが任意に設置できるシステムにおいては正確な音像を定位させることは困難である。さらには、このような音像を形成する場合、複数のスピ−カで誘導音声を出力することになるため、音楽を聴いている最中に誘導音声を出力する場合には、音楽を一旦ミュ−トにしなければならず、同乗者への不快感を与えることになるという課題があった。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解消するためになされたもので、どのような聴取者においても、また、どのようなスピ−カ設置位置においても確実な方向感を持たせることができ、かつ音楽を聴取中でも音楽を阻害せず、確実に方向感を持たせることが可能な音声誘導装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る音声誘導装置は、音像定位の調整及び目的地を設定する操作装置と、現在位置を検出する現在位置検出部と、前記操作装置により設定した目的地と前記現在位置検出部により検出された現在位置からル−トを計算するル−ト検索部と、前記ルート検索部により設定したル−ト上にある進路方向が切替るポイントを格納する記憶装置と、前記切替るポイントに近づいた時に音声によって進路方向を音声案内する案内誘導部と、聴取者に応じた頭部伝達関数を記憶した頭部伝達関数記憶テ−ブルから読み出した頭部伝達関数に基づいて音声案内される音声の音像を定位させる音像制御部と、前記案内誘導部からの音声案内される音声の音量を制御する音量制御部と、前記案内誘導部からの音声案内を合成して複数のスピ−カに出力する音声合成部とを有する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、予め設定記憶された聴取者ごとの頭部伝達関数に基づき、音像制御部で周波数特性を制御して、案内情報の方向から聴取者に対し音声案内を行なうように構成したので、聴取者及びスピ−カ設置位置によらず、確実な方向感を持った音像を定位させることができ、聴取者は音声案内の内容を聞き漏らしても、その音像方向によって進行方向を知ることができ、表示画面を直視して進行方向を判断し、前方の注意が散漫になって危険を伴うことを確実に解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の誘導装置の実施の形態1の全体構成図を示したブロック図である。
【図2】記憶装置の記憶状態図である。
【図3】実施の形態1における音像制御部、音量制御部、音声合成部の構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態1における音像定位の初期設定を行うフローチャートである。
【図5】実施の形態1の音像設定を手動で行うフローチャートである。
【図6】実施の形態1の音像設定を自動で行うフローチャートである。
【図7】頭部伝達関数記憶テーブルの記憶状態図である。
【図8】実施の形態1の目的地設定時の動作を説明するフローチャートである。
【図9】実施の形態1の予め任意の方向に音像を定位させた誘導音声を用いる動作を説明するフローチャートである。
【図10】ルート探索されたルート案内図である。
【図11】誘導音声を含めた記憶装置の記憶状態図である。
【図12】聴取者に対する音声案内の方向を示す状態図である。
【図13】聴取者に対する音像の定位方向の説明図である。
【図14】聴取者に対する音像の定位方向の説明図である。
【図15】聴取者に対する音像の定位方向の説明図である。
【図16】聴取者に対する音像の定位方向の説明図である。
【図17】この発明の誘導装置の実施の形態2の全体構成図を示したブロック図である。
【図18】実施の形態2における音像制御部、音量制御部、音声合成部の構成を示すブロック図である。
【図19】音楽再生時における聴取者に対する音像の定位方向の説明図である。
【図20】この発明の誘導装置の実施の形態3の全体構成図を示したブロック図である。
【図21】実施の形態3における音像制御部、音量制御部、音声合成部の構成を示すブロック図である。
【図22】センサ反応位置確認動作を説明するフローチャートである。
【図23】障害物接近を報知する聴取者に対する音像の定位方向の説明図である。
【図24】電子音により報知する聴取者に対する音像の定位方向の説明図である。
【図25】センサ反応位置確認動作を説明するフローチャートである。
【図26】任意の方向に音像を定位させた誘導音声の記憶状態図である。
【図27】ガイダンス音声出力の動作を説明するフローチャートである。
【図28】加工処理済ガイダンス音声を用いたガイダンス音声出力の動作を説明するフローチャートである。
【図29】センサ音声出力の動作を説明するフローチャートである。
【図30】加工処理済センサ音声を用いたセンサ音声出力の動作を説明するフローチャートである。
【図31】ルートと音声案内との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
以下、この発明に係る誘導装置の実施の形態を図面について説明する。図1はこの発明に係る音声誘導装置における実施の形態1の全体構成図を示したブロック図である。図において、自車の現在位置を検出する現在位置検出部1、現在地及び目的地周辺を含む緯度経度情報・道路情報(路幅・種別・制限速度等)などを記録した地図データ記録部2、目的地設定などするために施設情報(施設名・住所・緯度経度・電話番号等)を記録した施設名称記録部3、現在位置から設定した目的地までのル−トを計算するル−ト検索部4、設定したル−トから進路方向が切替るポイント(左折、右折など)に近づいた時に音声などによって進路方向を誘導する案内誘導部5を有する。
【0013】
この案内誘導部5に接続され、図10に示すように、設定したル−トで進路方向が切替るポイント(左折、右折など)となる交差点及び進路情報等を図2に示すデータテーブルとして格納する記憶装置6、聴取者に応じた頭部伝達関数を記憶した頭部伝達関数記憶テ−ブル7、案内誘導部からの誘導音声について頭部伝達関数記憶テ−ブル7からの頭部伝達関数に基づいて任意の方向に音像を定位させる音像制御部8、現在地周辺等の地図や目的地設定のためのメニュ−情報や音楽再生時の音楽情報等と表示する表示装置10を有する。
【0014】
また、音像定位の調整及び目的地を設定する操作装置11、案内誘導部5からの誘導音声の音量を制御する音量制御部14、案内誘導部からの誘導音声を複数のスピ−カ16〜19に出力する音声合成部15とを備え、各部が統括的に制御部9によって制御される構成である。
【0015】
図3は音像制御部8、音量制御部14、音声合成部15の構成を示すブロック図であり、音像制御部8は第1の頭部伝達関数取得部81、第1の頭部伝達関数算出部82、音声データ出力部83、音声データ取得部84、音声データ記録部85を有し、音量制御部14は音量調整部141を有し、音声合成部15は音量調整部141からの出力を入力する合成部151を有する。
【0016】
第1の頭部伝達関数算出部82は、案内誘導部5からの誘導音声について頭部伝達関数取得部81からの入力によって頭部伝達関数算出を行い、この算出された頭部伝達関数に基づいて音声データを音声データ出力部83から音量制御部14の音量調整部141に供給する。この音量調整部141からの出力は、音声合成部15の合成部151で合成されて、図12に示すように聴取者を中心に前後左右から音声誘導される。
【0017】
以下、実施の形態1の動作について説明する。図1に示す構成を有する音声誘導装置を聴取者が初めて使用する場合、音像定位を正確にするため、その聴取者に対して音像定位の初期設定を行う。この初期設定は、図4に示すように、例えば、エンジン起動直後に「初期設定を行いますか?」等の表示や音声にて設定を促しても良いし、メニュ−画面から任意に聴取者が初期設定を行っても良い。初期設定が必要と判断された場合(ステップST4−1:YES)、音像設定を行う(ステップST4−2)。
【0018】
音像設定は図5に示すように処理する。図5、図13において、『正面から音声が聞こえたら実行ボタンを押下してください』と音声アナウンスをスピ−カ16〜19より出力し、正面から音声が聞こえるまで音像位置を変更して音声アナウンスを繰返す(ステップST5−1,ST5−5及び図13)。聴取者が正面から音声が聞こえたと判断すると操作装置11の実行ボタンを押下し、その時の頭部伝達関数を頭部伝達関数記憶テ−ブル7に記憶する(ステップST5−2)。
【0019】
次に『真後ろから音声が聞こえたら実行ボタンを押下して下さい。』と音声アナウンスをスピ−カ16〜19より出力し、真後ろから音声が聞こえるまで音像位置を変更して音声アナウンスを繰返す(ステップST5−3,ST5−6及び図13)。聴取者が真後ろから聞こえたと判断すると操作装置11の実行ボタンを押下し、その時の頭部伝達関数を頭部伝達関数記憶テ−ブル7に記憶し、各聴取者について図7に示す頭部伝達関数記憶テ−ブルを作成する(ステップST5−4)。
【0020】
その他の方向(図20に示す右、左、斜め左前、斜め左後、斜め右前、斜め右後)については、ステップST5−1及びステップST5−3で決定した前後の頭部伝達関数より推測して頭部伝達関数記憶テ−ブル7に記憶させる他、ステップST5−1及びステップST5−3と同様に音声アナウンスによる方法を用いてもよい。
【0021】
全ての方向の頭部伝達関数が頭部伝達関数記憶テ−ブル7に記憶されると音像設定の処理を終了する。図5においては、表示装置10及び走査装置11、スピーカ16〜19を手動調整手段として、聴取者が手動により音像設定を行なう場合を説明したが、これを自動的に行う方法もある。
【0022】
図6は表示装置10及び走査装置11、スピーカ16〜19、マイク(図示せず)を自動調整手段として、聴取者が自動により音像設定を行う例を示すもので、『マイクを運転席のヘッドレストに設置し、実行ボタンを押下して下さい。』と音声アナウンスをスピ−カ16〜19より出力する(ステップST6−1)。操作装置11に接続されたマイクをヘッドレスト位置に装着した後、操作装置11の実行ボタンを押下すると、テスト信号が制御部9よりスピ−カ16〜19を通じて出力される(ステップST6−2)。
【0023】
このテスト信号は、マイクを設置したヘッドレストに対して、正面⇒斜め左前⇒左⇒斜め左後⇒後ろ⇒斜め右後⇒右⇒斜め右前⇒正面と音像位置を変更しながら、その際の頭部伝達関数を頭部伝達関数記憶テ−ブル7に記憶する(ステップST6−3,ST6−4及びステップST6−6)。ステップST6−3,ST6−4及びステップST6−6は、前述に述べた様に例えば前方と後方のみテスト信号を出力してその他の方向(図12に示す右、左、斜め左前、斜め左後、斜め右前、斜め右後 )については、前後の頭部伝達関数より推測して頭部伝達関数記憶テ−ブル7に記憶させてもよい。上記の処理に従い、音像設定を行うことにより聴取者やスピ−カ16〜19位置が異なるシステムにおいても正確な音像定位を実現することができる。記憶調整完了後はテスト信号を停止する(ステップST6−5)。
【0024】
図8は聴取者が目的地を設定した際の具体的な処理動作を示す。まず、操作装置11及び表示装置10において目的地が設定されると(ステップST8−1)、制御部9は現在地検出部1からの現在地情報と目的地情報とにより、ル−ト検索部4と地図データ記録部2で目的地までのル−ト探索を行う(ステップST8−2)。
【0025】
目的地までのル−ト探索が終了すると、案内誘導部5では誘導ポイント(図10中の丸で囲んだ数字1〜12)となる地点の位置情報と誘導方向を図11に示すように記憶装置6に記憶する(ステップST8−3)。聴取者は、ル−ト探索が終了するとそのル−ト案内に基づいて、目的地まで運転を開始する。
【0026】
まず、自車位置のルート上にルート案内の誘導ポイントがあるか否かを判断し(ステップST8−4)、NOの場合は自車がルート上を外れたか否かを判断し(ステップST8−9)、NOであればステップST8−4に戻り、YESであればステップST8−2に移行して、
再度、現在地検出部1からの現在地情報と目的地情報とによりル−ト検索部4と地図データ記録部2で目的地までのル−ト探索(ステップST8−2)と、誘導ポイントとなる地点の位置情報と誘導方向を記憶装置6に記憶する(ステップST8−3)。
【0027】
ステップST8−4の判断でYESの場合は、音像制御部8は頭部伝達関数記憶テ−ブル7より頭部伝達関数を取得し(ステップST8−5)、案内誘導部5からの誘導音声をその頭部伝達関数に基づいて音声加工処理を行い(ステップST8−6)、ガイダンス音声を音量制御部14及び音声合成部15を介してスピ−カ16〜19へ出力する(ステップST8−7)。音像の定位方法については、図14、図15、図16に示すように自車位置と誘導ポイントの位置関係より定位方向を可変させても良い。
【0028】
例えば、図14では自車位置が誘導ポイントに近づくに従って「およそ1km先左方向です」と前方向から、「およそ100m先左方向です」と斜め前方向から、「まもなく左方向です」と左側方向から案内する。また、図15では自車位置が誘導ポイントに近づくに従って「およそ100m先斜め左方向です」と前方向から、「まもなく斜め左方向です」と案内される。図16では自車位置が誘導ポイントに近づくに従って「およそ1km先斜め左手前方向です」と前方向から、「およそ100m先斜め左手前方向です」と斜め前方向から案内される。
【0029】
そして、自車位置が目的地に到着するまでステップST8−2〜ステップST8−7を繰り返し、目的地に到着すると、ル−ト案内を終了する(ステップST8−8)。上記図8に基づく処理動作では、自車位置が誘導ポイントとなる地点に近づく毎に頭部伝達関数に基づく音声加工処理を行っていたが、予め任意の方向に音像を定位させた誘導音声を記憶させておく方法もある。
【0030】
図9は予め任意の方向に音像を定位させた誘導音声を記憶させておく処理動作を示すもので、操作装置11及び表示装置10において目的地が設定されると(ステップST9−1)、制御部9は現在地検出部1からの現在地情報と目的地情報とによりル−ト検索部4と地図データ記録部2で目的地までのル−ト探索を行う(ステップST9−2)。目的地までのル−ト探索が終了すると、案内誘導部5では誘導ポイントとなる地点の位置情報と誘導方向を記憶装置6に記憶する(ステップST9−3)。
【0031】
音像制御部8は、記憶装置6に記憶された誘導ポイントとなる地点の位置情報と誘導方向とに基づいて、頭部伝達関数記憶テ−ブル7より頭部伝達関数を取得し(ステップST9−4)、案内誘導部5からの誘導音声とその頭部伝達関数に基づいて音声加工処理を行い(ステップST9−5)、音声加工処理を行った誘導音声を記憶装置6に記憶させる(ステップST9−6)。
【0032】
聴取者は、ル−ト探索が終了するとそのル−ト案内に基づいて、目的地まで運転を開始し、自車位置のルート上にルート案内の誘導ポイントがあるか否かを判断し(ステップST9−7)、NOの場合は自車がルート上を外れたか否かを判断し(ステップST9−10)、NOであればステップST9−7に戻り、YESであればステップST9−2に戻り、ステップST9−2〜ステップST9−6の処理を繰り返す。
【0033】
ステップST9−7の判断がYESの場合、つまり、自車位置が誘導のポイントとなる地点に近づいた場合、音像制御部8は予め記憶装置6に記憶した音像定位を加工処理した誘導音声を取得し、図7に示すガイダンス音声を音量制御14及び音声合成部15を介してスピ−カ16〜19へ出力する(ステップST9−8)。音像の定位方法については、図14、図15、図16に示すように自車位置と誘導ポイントの位置関係より定位方向を可変させても良い。そして、自車位置が目的地に到着するまでステップST9−2〜ステップST9−7、ステップST9−10を繰り返し、目的地に到着するとル−ト案内を終了する(ステップST9−9)。
【0034】
上記例ではスピ−カ16〜19が4つの場合について説明したが、スピ−カは4つに限定されるものではなく、その数は任意である。また、音像定位の方向を図12に示した8方向(前、後、右、左、斜め左前、斜め左後、斜め右前、斜め右後)としているが、8方向に限定されるものではなく、音像定位方向数は任意である。
【0035】
以上のように、この実施の形態1によれば、予め設定記憶された聴取者ごとの頭部伝達関数に基づき、音像制御部で周波数特性を制御して、案内情報の方向から聴取者に対し音声案内を行なうように構成したので、聴取者及びスピ−カ設置位置によらず、確実な方向感を持った音像を定位させることができ、聴取者は音声案内の内容を聞き漏らしても、その音像方向によって進行方向を知ることができ、表示画面を直視して進行方向を判断し、前方の注意が散漫になって危険を伴うことを確実に解消することができる。
【0036】
実施の形態2.
図17は実施の形態2の全体構成図を示したブロック図である。この実施の形態2は図1に示した実施の形態1にCD,DVD等のオーディオを再生するオーディオ再生部13を付加したものである。
【0037】
図18は実施の形態2の構成要素である音像制御部8、音量制御部14、音声合成部15の構成を示すブロック図であり、図3に示した実施の形態1の音像制御部8に、オーディオ再生部13からのオーディオ音声を入力する第2の頭部伝達関数算出部86、第2の音声データ出力部87を付加し、音量制御部14に第2の音量調整部142を付加し、音声合成部15は、第1、第2の音量調整部141,142からの出力を合成する合成部151を有する。
【0038】
第2の頭部伝達関数算出部86はオーディオ再生部13からのオーディオ音声について頭部伝達関数取得部81からの入力よって頭部伝達関数算出を行い、この算出された頭部伝達関数に基づいて音声データを音声データ出力部87から音量制御部14の第2の音量調整部142に供給する。
【0039】
以下、動作について説明する。聴取者に対しての音像定位の初期設定は実施の形態1と同一であるから重複説明を省略する。そして、この初期設定された聴取者ごとの音像定位を用いた具体的な処理動作において、誘導音声を出力する際、聴取者がオ−ディオ再生部13においてCDやラジオなどの音楽を聴取している場合には、図19に示すように誘導音声を定位させる方向とは逆方向もしくは誘導音声の音像定位に影響されない方向から音楽の音声を出力させることで、音楽を聴きながらでも音像定位された誘導音声を聴くことができる。さらには音量制御部14にてそれぞれの音声の音量を独立で制御し、例えばル−ト誘導音声に影響が無くかつ音楽の音声が聞こえるレベルまで音楽の音声の音量を下げることも可能である。
【0040】
以上のように、この実施の形態2によれば、音楽の音声を誘導音声に影響しない方向から出力するように構成したので、音楽を聴いているときに誘導音声が出力されても、音楽をミュートする必要がなく、同乗者に不快感を与えることがない。
【0041】
実施の形態3.
図20はこの発明の実施の形態3の全体構成図を示したブロック図である。この実施の形態3は図17に示した実施の形態2に車外の情報を検出するセンサ検出部12を付加したものである。
【0042】
図21は実施の形態3の構成要素である音像制御部8、音量制御部14、音声合成部15の構成を示すブロック図であり、図18に示した実施の形態2の音像制御部8に、センサ検出部12からのセンサ音声を入力する第3の頭部伝達関数算出部88、第3の音声データ出力部89を付加し、音量制御部14に第3の音量調整部143を付加し、音声合成部15は、第1〜第3の音量調整部141〜143からの出力を合成する合成部151を有する。
【0043】
第3の頭部伝達関数算出部88は、センサ検出部からのセンサ音声について頭部伝達関数取得部81からの入力によって頭部伝達関数算出を行い、この算出された頭部伝達関数に基づいて音声データを音声データ出力部89から音量制御部14の第3の音量調整部143に供給する。
【0044】
例えばセンサ検出部12がコーナセンサを含んでいる場合、コーナセンサからの障害物接近を検出すると、図22に示すフローチャートに従い、音像制御部8はコーナセンサが接近している位置をセンサ検出部12から取得し(ステップST22−1)、その位置情報から頭部伝達関数記憶テ−ブル7より頭部伝達関数を取得し(ステップST22−2)、センサ検出部12からの注意を促す音声をその頭部伝達関数に基づいて音声加工処理を行い(ステップST22−3)、ガイダンス音声を音量制御部14及び音声合成部15を介してセンサ音声をスピ−カ16〜19から出力する(ステップST22−4)。注意を促す音声は、図23に示すような『斜め左後方に障害物が接近しています』等のガイダンス音声を用いても良いし、図24に示すような電子音(Pi、Pi、Pi、Pi、・・・)を用いてもよい。
【0045】
上記図22に基づく処理動作では、コーナセンサが自車位置を検出して音声を出力しようとする毎に頭部伝達関数に基づく音声加工処理を行っていたが、予め任意の方向に音像を定位させた誘導音声を記憶させておく方法もある。
【0046】
図25は予め任意の方向に音像を定位させた誘導音声を記憶させておく場合であり、センサ反応位置確認を行い(ステップST25−1)、センサ音声を出力する(ステップST25−2)。このセンサ音声出力毎に頭部伝達関数に基づき、予め任意の方向に音像を定立させた誘導音声を図26のデータテーブルとして記憶装置6に記憶する。
【0047】
この場合、図11に示すナビゲーションの誘導音声と相関が取れるように、フォーマットを統一しているが、誘導ポイントの位置情報については、コーナセンサの場合は不要となるため、誘導ポイントの位置情報については、ナビゲーションの誘導音声と区別するためにユニークな値としても良い。そして、ステップST25−1で取得した位置関係と一致した音声方向を図26のデータベースから取得し、各スピーカ16〜19へ音声を出力する。
【0048】
この実施の形態3においても、前記図8に示したように、聴取者が目的地を設定した際の具体的な処理動作、図9に示したように、予め任意の方向に音像を定位させた誘導音声を記憶させておく処理動作を行なうが、前記実施の形態と同じであるから詳細説明は省略するが、図27は図8の処理動作の中のステックST8−7におけるガイダンス音声出力の詳細を説明するフローチャートである。
【0049】
まず、センサ音声出力中かを判断し(ステップST27−1)、YESならその判断を繰り返し、NOならば、オーディオ再生中かを判断し(ステップST27−2)、NOならばステップST27−5に移行し、YESなら頭部伝達関数記憶テ−ブル7より頭部伝達関数を取得する(ステップST27−3)。ついで、この取得した頭部伝達関数に基づきオーディオ音声加工処理を行なう(ステップST27−4)。そして、音量制御部14で音量調整し(ステップST27−5)、その後、音声合成部15で音声合成して(ステップST27−6)各スピーカ16〜19へセンサ音声を出力する。
【0050】
図28は図9の処理動作の中のステックST9−7におけるガイダンス音声出力の詳細を説明するフローチャートである。まず、加工処理済ガイダンス音声を記憶装置6から取得した後、図27のステップST27−1〜ステップST27−6と同様の処理動作であるステップST28−2〜ステップST28−7の動作により、各スピーカ16〜19へセンサ音声を出力する。
【0051】
図29は図22の処理動作の中のステックST22−4におけるセンサ音声出力の詳細を説明するフローチャートである。まず、オーディオ再生中かを判断し(ステップST29−1)、NOならばステップST29−4に移行し、YESならば、頭部伝達関数記憶テ−ブル7より頭部伝達関数を取得する(ステップST29−2)。ついで、この取得した頭部伝達関数に基づきオーディオ音声加工処理を行なう(ステップST29−3)。そして、音量制御部14で音量調整し(ステップST29−4)、その後、音声合成部15で音声合成して(ステップST29−5)各スピーカ16〜19へ音声を出力する。
【0052】
図30は図25の処理動作の中のステックST25−2におけるガイダンス音声出力の詳細を説明するフローチャートである。まず、加工処理済ガイダンス音声を記憶装置6から取得した後、図29のステップST29−1〜ステップST29−5と同様の処理動作であるステックST30−2〜ステップST30−6の動作により、各スピーカ16〜19へセンサ音声を出力する。
【0053】
上記実施の形態3では、センサ検出部12がコーナセンサを含んでいる場合について説明したが、センサ検出部12はコーナセンサ以外にも緊急車両の接近を感知するセンサや踏み切り音を感知するセンサ、人間を検知するセンサなどの各種センサにも適用することができる。
【0054】
上記センサ検出部12における音声出力においては、緊急を要する場合が多いので、ナビゲ−ション装置の誘導音声の制御フロ−(図8もしくは図9)の処理の割り込み処理として扱っても良い。また、その際、ナビゲ−ション装置の誘導音声と同時期に出力することになった場合は、音声合成部15にてセンサからの音声を優先して出力しても良いし、誘導音声と合成して出力しても良い。さらには音量制御部14にてそれぞれの音声の音量を独立で制御し、例えばセンサからの音声やル−ト誘導音声や音楽の音声の音量をセンサや誘導音声に影響が無くかつ音楽の音声が聞こえるレベルまで音楽の音声の音量を下げることも可能である。
以上のように、この実施の形態3によれば、車外の情報をセンサで検出して音声案内するように構成したので、緊急事態に適した処理を的確に実行することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 現在位置検出部、2 地図データ記録部、3 施設名称記録部、4 ル−ト検索部、5 案内誘導部、6 記憶装置、7 頭部伝達関数記憶テ−ブル、8 音像制御部、9 制御部、10 表示装置、11 操作装置、12 センサ検出部、13 オーディオ再生部、14 音量制御部14、15 音声合成部、16〜19 スピ−カ16〜19、81 頭部伝達関数取得部、82 頭部伝達関数算出部、83、86,88 音声データ出力部、84,87,89 音声データ取得部、85 音声データ記録部、141〜143 音量調整部、151 合成部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音像定位の調整及び目的地を設定する操作装置と、現在位置を検出する現在位置検出部と、前記操作装置により設定した目的地と前記現在位置検出部により検出された現在位置からル−トを計算するル−ト検索部と、前記ルート検索部により設定したル−ト上にある進路方向が切替るポイントを格納する記憶装置と、前記切替るポイントに近づいた時に音声によって進路方向を音声案内する案内誘導部と、聴取者に応じた頭部伝達関数を記憶した頭部伝達関数記憶テ−ブルから読み出した頭部伝達関数に基づいて音声案内される音声の音像を定位させる音像制御部と、前記案内誘導部からの音声案内される音声の音量を制御する音量制御部と、前記案内誘導部からの誘導音声を合成し複数のスピ−カに出力する音声合成部とを有することを特徴とする音声誘導装置。
【請求項2】
オ−ディオを再生するオ−ディオ再生部を備え、音像制御部は案内誘導部からの誘導音声及び前記オーディオ再生部からのオーディオ音声について任意の方向に音像を定位させ、音量制御部は案内誘導部からの誘導音声及びオーディオ再生部からのオーディオ音声のそれぞれの音声の音量を制御し、音声合成部は前記案内誘導部からの誘導音声及びオーディオ再生部からのオーディオ音声を合成し複数のスピーカに出力することを特徴とする請求項1記載の音声誘導装置。
【請求項3】
車外の情報を検出するセンサ検出部を備え、音像制御部は前記センサ検出部からのセンサ音声と案内誘導部からの誘導音声及びオーディオ再生部からのオーディオ音声について任意の方向に音像を定位させ、音量制御部は前記センサ検出部からのセンサ音声と前記案内誘導部からの誘導音声及び前記オーディオ再生部からのオーディオ音声のそれぞれの音声の音量を制御し、音声合成部は前記センサ検出部からのセンサ音声と前記案内誘導部からの誘導音声及び前記オーディオ再生部からのオーディオ音声を合成し複数のスピーカに出力することを特徴とする請求項2記載の音声誘導装置。
【請求項4】
音像制御部は、設定したル−トから進路方向が切替る誘導ポイントを格納する記憶装置と聴取者に応じた頭部伝達関数を記憶する頭部伝達関数記憶テ−ブルから取得した誘導ポイントおよび頭部伝達関数に基づいて、あらかじめ任意の方向に音像を定位させた誘導音声を記憶装置に記録することを特徴とする請求項1記載の音声誘導装置。
【請求項5】
音像制御部は、設定したル−トから進路方向が切替るポイントを格納する記憶装置と聴取者に応じた頭部伝達関数を記憶しておく頭部伝達関数記憶テ−ブルとから取得したポイントおよび頭部伝達関数に基づいて、あらかじめ任意の方向に音像を定位させた誘導音声及びオーディオ音声または/およびセンサ音声を記憶装置に記録することを特徴とする請求項2または請求項3記載の音声誘導装置。
【請求項6】
聴取者が任意の方向から音声が聞こえるように、聴取者に応じた頭部伝達関数を手動調整する手動調整手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の音声誘導装置。
【請求項7】
聴取者が任意の方向から音声が聞こえるように、聴取者に応じた頭部伝達関数を自動調整する自動調整手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の音声誘導装置。
【請求項1】
音像定位の調整及び目的地を設定する操作装置と、現在位置を検出する現在位置検出部と、前記操作装置により設定した目的地と前記現在位置検出部により検出された現在位置からル−トを計算するル−ト検索部と、前記ルート検索部により設定したル−ト上にある進路方向が切替るポイントを格納する記憶装置と、前記切替るポイントに近づいた時に音声によって進路方向を音声案内する案内誘導部と、聴取者に応じた頭部伝達関数を記憶した頭部伝達関数記憶テ−ブルから読み出した頭部伝達関数に基づいて音声案内される音声の音像を定位させる音像制御部と、前記案内誘導部からの音声案内される音声の音量を制御する音量制御部と、前記案内誘導部からの誘導音声を合成し複数のスピ−カに出力する音声合成部とを有することを特徴とする音声誘導装置。
【請求項2】
オ−ディオを再生するオ−ディオ再生部を備え、音像制御部は案内誘導部からの誘導音声及び前記オーディオ再生部からのオーディオ音声について任意の方向に音像を定位させ、音量制御部は案内誘導部からの誘導音声及びオーディオ再生部からのオーディオ音声のそれぞれの音声の音量を制御し、音声合成部は前記案内誘導部からの誘導音声及びオーディオ再生部からのオーディオ音声を合成し複数のスピーカに出力することを特徴とする請求項1記載の音声誘導装置。
【請求項3】
車外の情報を検出するセンサ検出部を備え、音像制御部は前記センサ検出部からのセンサ音声と案内誘導部からの誘導音声及びオーディオ再生部からのオーディオ音声について任意の方向に音像を定位させ、音量制御部は前記センサ検出部からのセンサ音声と前記案内誘導部からの誘導音声及び前記オーディオ再生部からのオーディオ音声のそれぞれの音声の音量を制御し、音声合成部は前記センサ検出部からのセンサ音声と前記案内誘導部からの誘導音声及び前記オーディオ再生部からのオーディオ音声を合成し複数のスピーカに出力することを特徴とする請求項2記載の音声誘導装置。
【請求項4】
音像制御部は、設定したル−トから進路方向が切替る誘導ポイントを格納する記憶装置と聴取者に応じた頭部伝達関数を記憶する頭部伝達関数記憶テ−ブルから取得した誘導ポイントおよび頭部伝達関数に基づいて、あらかじめ任意の方向に音像を定位させた誘導音声を記憶装置に記録することを特徴とする請求項1記載の音声誘導装置。
【請求項5】
音像制御部は、設定したル−トから進路方向が切替るポイントを格納する記憶装置と聴取者に応じた頭部伝達関数を記憶しておく頭部伝達関数記憶テ−ブルとから取得したポイントおよび頭部伝達関数に基づいて、あらかじめ任意の方向に音像を定位させた誘導音声及びオーディオ音声または/およびセンサ音声を記憶装置に記録することを特徴とする請求項2または請求項3記載の音声誘導装置。
【請求項6】
聴取者が任意の方向から音声が聞こえるように、聴取者に応じた頭部伝達関数を手動調整する手動調整手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の音声誘導装置。
【請求項7】
聴取者が任意の方向から音声が聞こえるように、聴取者に応じた頭部伝達関数を自動調整する自動調整手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の音声誘導装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【公開番号】特開2010−261886(P2010−261886A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114389(P2009−114389)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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