音響波により動作する少なくとも1つのフィルタを備える構成素子
音響波により動作するフィルタが2つの部分フィルタに分割され、これら2つの部分フィルタが異なるフィルタ形式に配属され、別個のサブストレートに配置されていることが提案される。これにより部分フィルタを独立して最適化することができる。さらにチップに別のフィルタまたは部分フィルタを集積し、例えばデュプレクサを形成することも提案される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響波により動作する少なくとも1つのフィルタを備える構成素子に関するものであり、この構成素子はとりわけ移動通信システムの端末機器に使用される。移動端末機器の受信経路は通常、不平衡/平衡に構成されており、ここで不平衡側は有利にはアンテナの不平衡端子と接続されている。IC側での平衡出力は、平衡信号(バランス信号)との技術的利点と結び付いており、例えば比較的高いクロストーク頑強性およびICプロセスへの比較的良好な適合を達成することができる。受信経路の入力側における対称信号を受信経路の出力側での対称信号に変換することは、例えばBALUNにより行うことができる。しかしこのBALUNの欠点は、これが離散的構成部材として付加的なスペースを基板に必要とすることである。従って、BALUN機能が集積されたフィルタを使用するのが有利である。このためにDMSフィルタ(デュアルモードSAWフィルタ)が提供されている。
【0002】
移動端末機器においてフィルタを備える構成素子では、周波数の温度経過という問題が発生する。すなわち温度が上昇する際の構成素子の周波数安定性である。この周波数対温度経過依存性は使用されるサブストレートまたはカットによって、例えばタンタル酸リチウムでは40ppm/Kまでになることがある。これは、周波数に対してセンシティブな適用、例えばPCSシステムでのデュプレクサでは無視できないほど高い。別のサブストレートないしはカットは周波数のさらに高い温度経過を有する。
【0003】
共振構造体から形成されたリアクタンスフィルタに対してはすでに、周波数対温度経過依存性を低減することのできる手段が公知である。しかしこの方法は通常簡単には、DMSフィルタに転用できない。
【0004】
さらなる問題は、2つまたはそれ以上のフィルタを含む構成素子、例えばデュプレクサでは、種々のフィルタ間で十分に高い分離を保証しなければならないということである。
【0005】
従って本発明の課題は、上記の問題に関して改善された構成素子を提供することである。
【0006】
本発明では前記課題は、請求項1の特徴を備えた構成素子によって解決される。有利な構成は従属請求項に記載されている。
【0007】
音響波により動作するフィルタを第1と第2の部分フィルタに分割し、これらが有利には相互に直列に接続され、フィルタ全体の異なる部分タスクまたは異なる部分機能を引き受けるようにすることが提案される。両方の部分フィルタは、これらが異なるフィルタ形式に配属されており、異なるフィルタ技術に基づく点で異なるか、またはこれらが材料または層数の異なる層構造を有するか、または少なくとも1つの層に関して異なる層厚を有する点で異なる。2つの部分フィルタは別個のチップに配置されている。
【0008】
このようにして、各部分フィルタ他方とは別個に最適化することができ、場合により異なるサブストレート材料、それぞれ固有の金属化材料、または異なる金属化レベルを使用することができる。またはそれぞれ1つの部分フィルタに対してだけさらなる最適化を行い、他方の部分フィルタについては考慮しないこともできる。
【0009】
従い例えば、2つの部分フィルタの一方に温度補償のために手段を設けることができる。これはとりわけ、共振器からリアクタンスフィルタとして構成された部分フィルタである。共振器は音響波により動作する、簡単に構成された構成素子であり、その物理的および音響的特性は簡単にモデル化することができ、従って相応に簡単に偏光することができる。
【0010】
SAWワンゲート共振器から構成された第1の部分フィルタには例えば補償層を設けることができる。この補償層は中央周波数における温度経過依存性を低減し、フィルタを温度補償する。このような補償層は例えば酸化ケイ素層からなり、音響波の波長の5から40%の層厚で、圧電サブストレート上で金属化部の上方または下方に取り付けられる。このSiO2層は、圧電材料よりも小さい周波数対温度経過依存性を有する。音響表面波は少なくとも一部が酸化ケイ素層内を伝播し、これによりフィルタ全体の温度経過依存性も低減する。有利にはSiO2層はもっぱら非結晶変態であり、それぞれ長距離秩序を備えておらず、高い層均質性を有する。
温度補償された第1の部分フィルタは、音響容積波により動作する共振器、いわゆるBAW共振器から構成することもできる。
【0011】
2つの部分フィルタから統合され、それらの一方が温度補償されたフィルタは、全体フィルタのパフォーマンスにおいても低減された周波数対温度依存性を示す。第1の部分フィルタがリアクタンスフィルタであれば、第2の部分フィルタは有利にはDMSフィルタであり、その特性は有利にはリアクタンスフィルタの特性により補完され、改善された全体フィルタが得られる。リアクタンスフィルタでは個々の極位置をシフトし、これによりエッジ急峻度と近傍領域抑圧を改善することができるが、DMSフィルタは良好な長距離選択性を特徴とする。このフィルタは両方の部分フィルタの利点を組み合わせる。
【0012】
実施形態では、第1の部分フィルタと共に1つの共通のチップに配置された第2のフィルタが設けられている。この第2のフィルタは有利には第1の部分フィルタと同じフィルタ技術を使用し、有利には第1の部分フィルタと共に最適化することができる。
【0013】
しかしこの第2のフィルタが2つの部分フィルタを有し、これらが異なるフィルタ技術により動作することも可能である。この場合、2つの部分フィルタは同じフィルタ形式であるが、異なるフィルタであり、1つの共通のチップに配置されている。このようにして2つのフィルタの部分フィルタを2つのチップに分散させ、相互に別個に最適化することができる。
【0014】
第1と第2のフィルタは1つのモジュールに回路接続することができ、例えばデュプレクサとなる。このデュプレクサでは、2つのフィルタが異なる周波数バンドに対する入力フィルタないしは出力フィルタとして用いられる。この周波数バンドは移動無線規格の枠内で送信ないし受信のための設けられた周波数バンドである。送信バンドと受信バンド、および相応するフィルタは通常、周波数的に相互に近接しているから、部分フィルタが1つの共通のチップに組み合わされていても、これらを共通に最適化することができる。なぜなら例えば金属化レベルに関しての、周波数に依存した最適化は、大きな欠点なしで2つの部分フィルタに適用することができるからである。
【0015】
第3または第4のフィルタを設け、これらを第1または第2の部分フィルタ、および第2のフィルタまたはそのうちの1つの部分フィルタと1つの共通のチップに実現することもできる。このようにして3つまたはそれ以上のフィルタのフィルタ機能が2つのチップに分散される。ここで第3のフィルタおよび場合により別のフィルタは、別の移動無線伝送システムに対して使用することができる。
【0016】
両方の部分フィルタ並びに場合により第2,第3および別のフィルタは有利には1つの共通のサブストレートに配置されている。このサブストレートは少なくとも1つの金属化面を有し、この金属化面に回路接続が実現されている。この1つの共通のサブストレートを介して、部分フィルタおよび場合によりフィルタの回路接続が行われる。このサブストレートは多層ラミネートまたは有利には多層セラミックであり、誘電セラミック層の上およびそれらの間に金属化面を設けることができる。共通のサブストレートはモジュールサブストレートとすることもでき、この上にさらなる構成素子が配置される。
【0017】
このさらなる構成素子は、フィルタ、アクティブ半導体素子、およびパッシブ構成素子から選択することができる。しかしパッシブ構成素子の少なくとも一部をサブストレートに集積することも可能である。この場合、サブストレートではパッシブ構成素子が金属化面に相応に形成された金属化構造体により実現され、フィルタと接続される。パッシブ構成素子はとりわけ、フィルタを外部の回路環境に適合するために、および/または相互に接続された種々のフィルタの分離を改善するために用いることができる。
少なくとも1つのフィルタの部分フィルタが実現されているチップは、歪み層による温度補償部を有することができる。この温度補償部はチップの表面と機械的に強固に結合されており、この表面は構成素子構造体を備える表面に対向する表面である。歪み層の材料は、チップ材料に対して低い熱膨張係数を有する。機械的に強固に結合することによって、チップ全体の熱的膨張は2つの異なる材料の特性の平均となる。チップが歪み層に対して小さい層厚を有していれば、歪み層の特性がチップ全体の特性に及ぼす影響の程度は大きくなる。歪み層はリアクタンスフィルタに対しても、DMSフィルタに対しても使用することができる。
【0018】
温度補償されたフィルタまたは部分フィルタは次のような構成素子構造体によっても実現される。すなわち和において純粋なアルミニウムよりも大きい密度を有する材料または材料組合せを含む構成素子構造体によっても実現される。このような重い構成素子構造体によっても、周波数経過の比較的小さい温度依存性が達成される。
【0019】
少なくとも温度補償された部分フィルタまたはフィルタでは、構成素子構造体をストライプ状の電極フィンガとして構成することができ、その側方エッジは基板表面に対して斜めであり、これと65から85゜のエッジ角を形成する。とりわけ補償層との関連でこのことによりフィルタ特性を改善することができ、例えば相応する共振器の反射およびQを改善することができる。
【0020】
以下では、本発明を実施例および付属の図面に基づき詳細に説明する。図面は一部では概略的であり縮尺通りではない。従って図面からは絶対的寸法も相対的寸法も引き出すことはできない。
【0021】
図1は、第1のフィルタF1と第2のフィルタF2からなる構成体を概略的に示す。第1のフィルタF1は2つの部分フィルタTF1、TF2からなり、これらは2つの異なるチップCH1とCH2に配置されている。第1の部分フィルタTF1は共振器から構成されたリアクタンスフィルタであり、ここでは例としてはしご形に配置されている。共振器は例えば圧電サブストレート上のワンゲート共振器として構成されている。
【0022】
第1の部分フィルタTF1に直列に第2の部分フィルタTF2が接続されている。この第2の部分フィルタは例えばDMSフィルタとして構成されており、第2の圧電チップCH2上に配置されている。第2のフィルタF2も同様に、直列の共振器Rsと並列の共振器Rpからなるリアクタンスフィルタとして、はしご形に構成されており、第1の部分フィルタTF1と共に第1のチップCH1に集積されている。ここで構成体全体はデュプレクサとして構成されており、すべてのフィルタと部分フィルタは相互に接続されている。例えば第2のフィルタF2の出力端はアンテナANTと接続されており、第1のフィルタF1の入力端も同様にアンテナANTと接続されている。第1のフィルタは例えばRXフィルタであり、これに対して第2のフィルタはデュプレクサのTXフィルタである。
【0023】
概略的に示され、DMSフィルタとして構成された第2の部分フィルタTF2は少なくとも3つのインタデジタル変換器を有する。これらの変換器は交互に部分フィルタの入力端または出力端と接続される。しかしDMSフィルタを3つ以上のインタデジタル変換器から構成することも可能であり、これらの変換器は出力端に交互に接続される音響的トラックに並置することができる。しかしDMSフィルタを、並列に接続された2つのDMS部分コイルから組み立てることも可能である。これらのDMS部分コイルはそれぞれの独立したDMSフィルタのように構成されている。図示のようにDMSフィルタは不平衡/平衡に動作するフィルタとして構成されており、このフィルタは部分コイル入力端の不平衡信号を部分フィルタ出力端(RX)で平衡信号に変換する。従って外部のBALUNは不要である。
【0024】
リアクタンスフィルタは任意の数の共振器から組み立てられる。ここでは少なくとも1つの基本素子が設けられており、この基本素子は直列共振器Rsと、これに対して並列にアースに接続された並列共振器Rpとからなる。接続回路において直接順次連続する同じ形式の共振器はただ1つの共振器にまとめることができる。従って図示の第1の部分フィルタTF1は5つの基本素子からなり、第2のフィルタF2はここでは4つの基本素子からなる。
【0025】
図2は別の実施例を示す。この実施例では、フィルタ形式の異なる2つの部分フィルタ、または層構造の異なる2つの部分フィルタからなるフィルタがそれぞれ2つのチップCH1、CH2に分散されており、同形式または同構造の少なくとも2つの部分フィルタが1つの共通のチップCHに集積されている。各フィルタは図1に示すように、第1のフィルタはリアクタンスタイプの第1の部分フィルタと、DMSタイプの第2の部分フィルタから組み立てることができ、これにより2つのフィルタに対して不平衡/平衡動作モードが可能である。2つのフィルタは相互に接続することができ、構成素子として同様にデュプレクサ、ダイプレクサまたは一般的にマルチプレクサとなる。しかし2つのフィルタは異なる移動無線バンドに所属することもでき、直接的に相互に接続されない。
【0026】
図3は、図1に示した構成を第3のフィルタで拡張した別の実施例を示す。第1のチップCH1には、第1のフィルタの第1の部分フィルタTF11および第2のフィルタF2が集積されている。第2のチップCH2には、第1のフィルタF1の第2の部分フィルタTF12および第3のフィルタF3が集積されている。この集積は、同じフィルタ形式または同じ層構造のフィルタまたは部分フィルタが1つの共通のサブストレートないしはチップに実現されるように行われる。
【0027】
図4は、2つの部分フィルタの少なくとも1つを、周波数対温度経過に関して補償する手段を示す。ここで温度補償は補償層KSによって達成され、この補償層は構成素子構造体BESの上方に酸化ケイ素層の形態で実現されている。別の手段として、圧電サブストレートPSを、構成素子構造体BESに対向する側で歪み層VSと機械的に強固に結合することができる。このときに結合サブストレートが得られる。
【0028】
補償層KSの厚さdsは、補償層の層厚dsが比較的大きい場合の最大温度補償と、層厚dsが最小であるときの最小減衰度とのトレードオフの関係にある。完全な補償は例えば厚さdsが音響波波長の30から40%であるときに達成される(フィルタの中央周波数において)。歪み層VSの作用は、圧電層PSの厚さが、歪み層VSおよび圧電層PSからなる接合層の全体層厚に対して小さいことによって高まる。このことは、接合層の作製後に圧電層を、フィルタの中央周波数における音響波波長の約5%から50%まで薄くすることによって達成される。
【0029】
図4は、補償層KSを使用するに際し、フィルタの特性に対してポジティブな側面を示す。補償層KSは有利には表面同形に取り付けられており、構成素子構造体に相応する幾何形状を示す。このようにして、補償層KS内を伝播する音響表面波の一部が補償層の構造エッジで十分に反射され、共振器が十分なQを有することが保証される。
【0030】
図5は、表面同形の補償層KSをどのように支持するかを示す。このために構成素子構造体BESは、斜めに下降する側方エッジを有する。このような斜めの側方エッジにより、とりわけ簡単に表面同形のSiO2層が析出される。付加的にここに示すように、歪み層VSも圧電層の下方に設けることができる。
【0031】
図6から8は、第2のフィルタF2の通過特性を示す。この第2のフィルタF2は図1に相応して、散乱パラメータS12に基づいて構成されている。図示されているのは曲線群であり、第1の曲線は第1の温度T0での、温度補償を行わないフィルタを示す。第2の曲線は、温度が40Kだけ上昇した後のこの無補償のフィルタを示す。ここで曲線は比較的低い周波数の方向にずれている。第3の曲線は同じように構成されたフィルタF2の特性を示すが、ここでは第1および第2の曲線とは異なり温度補償が保護濾されている。ここでは、この通過特性曲線が第2の曲線よりは小さい値だけ比較的低い周波数の方向にずれていることが示されている。これらの図から、温度補償により温度係数を近似的に半分にすることができることが分かる。
【0032】
図9から11は、第1のフィルタF1の通過特性曲線を種々異なる縮尺で周波数軸に示す。この第1のフィルタは図1に従い、散乱パラメータS12に基づいて構成されている。ここでもチップCH上にある無補償のフィルタが温度補償されたフィルタと比較される。ここでも周波数の温度係数の低下が、図6から8に示された第2のフィルタほど顕著ではないが達成されている。これは、第1のフィルタでは1つの部分フィルタだけが温度補償されており、従って温度補償の効果はそれほど顕著ではないためである。
【0033】
部分フィルタを異なるチップに分散することにより、独立して最適化できる他に、部分フィルタとフィルタとの分離が改善される。例えば図1から3の実施例に従い構成されたデュプレクサでは、異なるチップに分散することにより、RXフィルタとTXフィルタとの間の分離が改善され、従ってTX出力端とRX入力端との間の電磁的結合が最小となる。これによりクロストークが低減し、ひいては伝送品質が向上する。
【0034】
本発明は、図示の実施例に制限されるものではなく、例えば他のフィルタ形式に配属されたフィルタによっても実現することができる。重要なことは、異なるチップに分散された部分フィルタを相互に依存せずに最適化することができ、1つのフィルタ形式では使用することができるが、別のフィルタ形式では使用することのできない手段をとることができることである。複数のフィルタを備える構成素子では、この構成素子が個々のフィルタに従って分散されるのではなく、少なくとも1つのフィルタの一部が複数のチップに分散されていることが重要である。これによりフィルタを、それぞれの部分フィルタに対して最適なやり方でプロセス処理することができ、例えば層構造または層厚の異なる部分フィルタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、第1のフィルタと第2のフィルタを備える構成体を示す図であり、ここで第1のフィルタは2つの部分フィルタに分割されている。
【図2】図2は、2つのフィルタが2つのチップに集積されており、それぞれが2つの部分フィルタに分割されている構成体を示す図である。
【図3】図3は、3つのフィルタが2つのチップに集積されており、第1のフィルタが2つの部分フィルタに分割されている構成体を示す図である。
【図4】図4は、補償層と歪み層を備えるチップの概略的部分断面図である。
【図5】図5は、傾斜したエッジと補償層と歪み層とを備える構成素子構造体の概略的部分断面図である。
【図6】図6は、図1の第1のフィルタに対する散乱パラメータS12を示す線図である。
【図7】図7は、図1の第1のフィルタに対する散乱パラメータS12を示す線図である。
【図8】図8は、図1の第1のフィルタに対する散乱パラメータS12を示す線図である。
【図9】図9は、第2のフィルタに対する散乱パラメータS12を示す線図である。
【図10】図10は、第2のフィルタに対する散乱パラメータS12を示す線図である。
【図11】図11は、第2のフィルタに対する散乱パラメータS12を示す線図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響波により動作する少なくとも1つのフィルタを備える構成素子に関するものであり、この構成素子はとりわけ移動通信システムの端末機器に使用される。移動端末機器の受信経路は通常、不平衡/平衡に構成されており、ここで不平衡側は有利にはアンテナの不平衡端子と接続されている。IC側での平衡出力は、平衡信号(バランス信号)との技術的利点と結び付いており、例えば比較的高いクロストーク頑強性およびICプロセスへの比較的良好な適合を達成することができる。受信経路の入力側における対称信号を受信経路の出力側での対称信号に変換することは、例えばBALUNにより行うことができる。しかしこのBALUNの欠点は、これが離散的構成部材として付加的なスペースを基板に必要とすることである。従って、BALUN機能が集積されたフィルタを使用するのが有利である。このためにDMSフィルタ(デュアルモードSAWフィルタ)が提供されている。
【0002】
移動端末機器においてフィルタを備える構成素子では、周波数の温度経過という問題が発生する。すなわち温度が上昇する際の構成素子の周波数安定性である。この周波数対温度経過依存性は使用されるサブストレートまたはカットによって、例えばタンタル酸リチウムでは40ppm/Kまでになることがある。これは、周波数に対してセンシティブな適用、例えばPCSシステムでのデュプレクサでは無視できないほど高い。別のサブストレートないしはカットは周波数のさらに高い温度経過を有する。
【0003】
共振構造体から形成されたリアクタンスフィルタに対してはすでに、周波数対温度経過依存性を低減することのできる手段が公知である。しかしこの方法は通常簡単には、DMSフィルタに転用できない。
【0004】
さらなる問題は、2つまたはそれ以上のフィルタを含む構成素子、例えばデュプレクサでは、種々のフィルタ間で十分に高い分離を保証しなければならないということである。
【0005】
従って本発明の課題は、上記の問題に関して改善された構成素子を提供することである。
【0006】
本発明では前記課題は、請求項1の特徴を備えた構成素子によって解決される。有利な構成は従属請求項に記載されている。
【0007】
音響波により動作するフィルタを第1と第2の部分フィルタに分割し、これらが有利には相互に直列に接続され、フィルタ全体の異なる部分タスクまたは異なる部分機能を引き受けるようにすることが提案される。両方の部分フィルタは、これらが異なるフィルタ形式に配属されており、異なるフィルタ技術に基づく点で異なるか、またはこれらが材料または層数の異なる層構造を有するか、または少なくとも1つの層に関して異なる層厚を有する点で異なる。2つの部分フィルタは別個のチップに配置されている。
【0008】
このようにして、各部分フィルタ他方とは別個に最適化することができ、場合により異なるサブストレート材料、それぞれ固有の金属化材料、または異なる金属化レベルを使用することができる。またはそれぞれ1つの部分フィルタに対してだけさらなる最適化を行い、他方の部分フィルタについては考慮しないこともできる。
【0009】
従い例えば、2つの部分フィルタの一方に温度補償のために手段を設けることができる。これはとりわけ、共振器からリアクタンスフィルタとして構成された部分フィルタである。共振器は音響波により動作する、簡単に構成された構成素子であり、その物理的および音響的特性は簡単にモデル化することができ、従って相応に簡単に偏光することができる。
【0010】
SAWワンゲート共振器から構成された第1の部分フィルタには例えば補償層を設けることができる。この補償層は中央周波数における温度経過依存性を低減し、フィルタを温度補償する。このような補償層は例えば酸化ケイ素層からなり、音響波の波長の5から40%の層厚で、圧電サブストレート上で金属化部の上方または下方に取り付けられる。このSiO2層は、圧電材料よりも小さい周波数対温度経過依存性を有する。音響表面波は少なくとも一部が酸化ケイ素層内を伝播し、これによりフィルタ全体の温度経過依存性も低減する。有利にはSiO2層はもっぱら非結晶変態であり、それぞれ長距離秩序を備えておらず、高い層均質性を有する。
温度補償された第1の部分フィルタは、音響容積波により動作する共振器、いわゆるBAW共振器から構成することもできる。
【0011】
2つの部分フィルタから統合され、それらの一方が温度補償されたフィルタは、全体フィルタのパフォーマンスにおいても低減された周波数対温度依存性を示す。第1の部分フィルタがリアクタンスフィルタであれば、第2の部分フィルタは有利にはDMSフィルタであり、その特性は有利にはリアクタンスフィルタの特性により補完され、改善された全体フィルタが得られる。リアクタンスフィルタでは個々の極位置をシフトし、これによりエッジ急峻度と近傍領域抑圧を改善することができるが、DMSフィルタは良好な長距離選択性を特徴とする。このフィルタは両方の部分フィルタの利点を組み合わせる。
【0012】
実施形態では、第1の部分フィルタと共に1つの共通のチップに配置された第2のフィルタが設けられている。この第2のフィルタは有利には第1の部分フィルタと同じフィルタ技術を使用し、有利には第1の部分フィルタと共に最適化することができる。
【0013】
しかしこの第2のフィルタが2つの部分フィルタを有し、これらが異なるフィルタ技術により動作することも可能である。この場合、2つの部分フィルタは同じフィルタ形式であるが、異なるフィルタであり、1つの共通のチップに配置されている。このようにして2つのフィルタの部分フィルタを2つのチップに分散させ、相互に別個に最適化することができる。
【0014】
第1と第2のフィルタは1つのモジュールに回路接続することができ、例えばデュプレクサとなる。このデュプレクサでは、2つのフィルタが異なる周波数バンドに対する入力フィルタないしは出力フィルタとして用いられる。この周波数バンドは移動無線規格の枠内で送信ないし受信のための設けられた周波数バンドである。送信バンドと受信バンド、および相応するフィルタは通常、周波数的に相互に近接しているから、部分フィルタが1つの共通のチップに組み合わされていても、これらを共通に最適化することができる。なぜなら例えば金属化レベルに関しての、周波数に依存した最適化は、大きな欠点なしで2つの部分フィルタに適用することができるからである。
【0015】
第3または第4のフィルタを設け、これらを第1または第2の部分フィルタ、および第2のフィルタまたはそのうちの1つの部分フィルタと1つの共通のチップに実現することもできる。このようにして3つまたはそれ以上のフィルタのフィルタ機能が2つのチップに分散される。ここで第3のフィルタおよび場合により別のフィルタは、別の移動無線伝送システムに対して使用することができる。
【0016】
両方の部分フィルタ並びに場合により第2,第3および別のフィルタは有利には1つの共通のサブストレートに配置されている。このサブストレートは少なくとも1つの金属化面を有し、この金属化面に回路接続が実現されている。この1つの共通のサブストレートを介して、部分フィルタおよび場合によりフィルタの回路接続が行われる。このサブストレートは多層ラミネートまたは有利には多層セラミックであり、誘電セラミック層の上およびそれらの間に金属化面を設けることができる。共通のサブストレートはモジュールサブストレートとすることもでき、この上にさらなる構成素子が配置される。
【0017】
このさらなる構成素子は、フィルタ、アクティブ半導体素子、およびパッシブ構成素子から選択することができる。しかしパッシブ構成素子の少なくとも一部をサブストレートに集積することも可能である。この場合、サブストレートではパッシブ構成素子が金属化面に相応に形成された金属化構造体により実現され、フィルタと接続される。パッシブ構成素子はとりわけ、フィルタを外部の回路環境に適合するために、および/または相互に接続された種々のフィルタの分離を改善するために用いることができる。
少なくとも1つのフィルタの部分フィルタが実現されているチップは、歪み層による温度補償部を有することができる。この温度補償部はチップの表面と機械的に強固に結合されており、この表面は構成素子構造体を備える表面に対向する表面である。歪み層の材料は、チップ材料に対して低い熱膨張係数を有する。機械的に強固に結合することによって、チップ全体の熱的膨張は2つの異なる材料の特性の平均となる。チップが歪み層に対して小さい層厚を有していれば、歪み層の特性がチップ全体の特性に及ぼす影響の程度は大きくなる。歪み層はリアクタンスフィルタに対しても、DMSフィルタに対しても使用することができる。
【0018】
温度補償されたフィルタまたは部分フィルタは次のような構成素子構造体によっても実現される。すなわち和において純粋なアルミニウムよりも大きい密度を有する材料または材料組合せを含む構成素子構造体によっても実現される。このような重い構成素子構造体によっても、周波数経過の比較的小さい温度依存性が達成される。
【0019】
少なくとも温度補償された部分フィルタまたはフィルタでは、構成素子構造体をストライプ状の電極フィンガとして構成することができ、その側方エッジは基板表面に対して斜めであり、これと65から85゜のエッジ角を形成する。とりわけ補償層との関連でこのことによりフィルタ特性を改善することができ、例えば相応する共振器の反射およびQを改善することができる。
【0020】
以下では、本発明を実施例および付属の図面に基づき詳細に説明する。図面は一部では概略的であり縮尺通りではない。従って図面からは絶対的寸法も相対的寸法も引き出すことはできない。
【0021】
図1は、第1のフィルタF1と第2のフィルタF2からなる構成体を概略的に示す。第1のフィルタF1は2つの部分フィルタTF1、TF2からなり、これらは2つの異なるチップCH1とCH2に配置されている。第1の部分フィルタTF1は共振器から構成されたリアクタンスフィルタであり、ここでは例としてはしご形に配置されている。共振器は例えば圧電サブストレート上のワンゲート共振器として構成されている。
【0022】
第1の部分フィルタTF1に直列に第2の部分フィルタTF2が接続されている。この第2の部分フィルタは例えばDMSフィルタとして構成されており、第2の圧電チップCH2上に配置されている。第2のフィルタF2も同様に、直列の共振器Rsと並列の共振器Rpからなるリアクタンスフィルタとして、はしご形に構成されており、第1の部分フィルタTF1と共に第1のチップCH1に集積されている。ここで構成体全体はデュプレクサとして構成されており、すべてのフィルタと部分フィルタは相互に接続されている。例えば第2のフィルタF2の出力端はアンテナANTと接続されており、第1のフィルタF1の入力端も同様にアンテナANTと接続されている。第1のフィルタは例えばRXフィルタであり、これに対して第2のフィルタはデュプレクサのTXフィルタである。
【0023】
概略的に示され、DMSフィルタとして構成された第2の部分フィルタTF2は少なくとも3つのインタデジタル変換器を有する。これらの変換器は交互に部分フィルタの入力端または出力端と接続される。しかしDMSフィルタを3つ以上のインタデジタル変換器から構成することも可能であり、これらの変換器は出力端に交互に接続される音響的トラックに並置することができる。しかしDMSフィルタを、並列に接続された2つのDMS部分コイルから組み立てることも可能である。これらのDMS部分コイルはそれぞれの独立したDMSフィルタのように構成されている。図示のようにDMSフィルタは不平衡/平衡に動作するフィルタとして構成されており、このフィルタは部分コイル入力端の不平衡信号を部分フィルタ出力端(RX)で平衡信号に変換する。従って外部のBALUNは不要である。
【0024】
リアクタンスフィルタは任意の数の共振器から組み立てられる。ここでは少なくとも1つの基本素子が設けられており、この基本素子は直列共振器Rsと、これに対して並列にアースに接続された並列共振器Rpとからなる。接続回路において直接順次連続する同じ形式の共振器はただ1つの共振器にまとめることができる。従って図示の第1の部分フィルタTF1は5つの基本素子からなり、第2のフィルタF2はここでは4つの基本素子からなる。
【0025】
図2は別の実施例を示す。この実施例では、フィルタ形式の異なる2つの部分フィルタ、または層構造の異なる2つの部分フィルタからなるフィルタがそれぞれ2つのチップCH1、CH2に分散されており、同形式または同構造の少なくとも2つの部分フィルタが1つの共通のチップCHに集積されている。各フィルタは図1に示すように、第1のフィルタはリアクタンスタイプの第1の部分フィルタと、DMSタイプの第2の部分フィルタから組み立てることができ、これにより2つのフィルタに対して不平衡/平衡動作モードが可能である。2つのフィルタは相互に接続することができ、構成素子として同様にデュプレクサ、ダイプレクサまたは一般的にマルチプレクサとなる。しかし2つのフィルタは異なる移動無線バンドに所属することもでき、直接的に相互に接続されない。
【0026】
図3は、図1に示した構成を第3のフィルタで拡張した別の実施例を示す。第1のチップCH1には、第1のフィルタの第1の部分フィルタTF11および第2のフィルタF2が集積されている。第2のチップCH2には、第1のフィルタF1の第2の部分フィルタTF12および第3のフィルタF3が集積されている。この集積は、同じフィルタ形式または同じ層構造のフィルタまたは部分フィルタが1つの共通のサブストレートないしはチップに実現されるように行われる。
【0027】
図4は、2つの部分フィルタの少なくとも1つを、周波数対温度経過に関して補償する手段を示す。ここで温度補償は補償層KSによって達成され、この補償層は構成素子構造体BESの上方に酸化ケイ素層の形態で実現されている。別の手段として、圧電サブストレートPSを、構成素子構造体BESに対向する側で歪み層VSと機械的に強固に結合することができる。このときに結合サブストレートが得られる。
【0028】
補償層KSの厚さdsは、補償層の層厚dsが比較的大きい場合の最大温度補償と、層厚dsが最小であるときの最小減衰度とのトレードオフの関係にある。完全な補償は例えば厚さdsが音響波波長の30から40%であるときに達成される(フィルタの中央周波数において)。歪み層VSの作用は、圧電層PSの厚さが、歪み層VSおよび圧電層PSからなる接合層の全体層厚に対して小さいことによって高まる。このことは、接合層の作製後に圧電層を、フィルタの中央周波数における音響波波長の約5%から50%まで薄くすることによって達成される。
【0029】
図4は、補償層KSを使用するに際し、フィルタの特性に対してポジティブな側面を示す。補償層KSは有利には表面同形に取り付けられており、構成素子構造体に相応する幾何形状を示す。このようにして、補償層KS内を伝播する音響表面波の一部が補償層の構造エッジで十分に反射され、共振器が十分なQを有することが保証される。
【0030】
図5は、表面同形の補償層KSをどのように支持するかを示す。このために構成素子構造体BESは、斜めに下降する側方エッジを有する。このような斜めの側方エッジにより、とりわけ簡単に表面同形のSiO2層が析出される。付加的にここに示すように、歪み層VSも圧電層の下方に設けることができる。
【0031】
図6から8は、第2のフィルタF2の通過特性を示す。この第2のフィルタF2は図1に相応して、散乱パラメータS12に基づいて構成されている。図示されているのは曲線群であり、第1の曲線は第1の温度T0での、温度補償を行わないフィルタを示す。第2の曲線は、温度が40Kだけ上昇した後のこの無補償のフィルタを示す。ここで曲線は比較的低い周波数の方向にずれている。第3の曲線は同じように構成されたフィルタF2の特性を示すが、ここでは第1および第2の曲線とは異なり温度補償が保護濾されている。ここでは、この通過特性曲線が第2の曲線よりは小さい値だけ比較的低い周波数の方向にずれていることが示されている。これらの図から、温度補償により温度係数を近似的に半分にすることができることが分かる。
【0032】
図9から11は、第1のフィルタF1の通過特性曲線を種々異なる縮尺で周波数軸に示す。この第1のフィルタは図1に従い、散乱パラメータS12に基づいて構成されている。ここでもチップCH上にある無補償のフィルタが温度補償されたフィルタと比較される。ここでも周波数の温度係数の低下が、図6から8に示された第2のフィルタほど顕著ではないが達成されている。これは、第1のフィルタでは1つの部分フィルタだけが温度補償されており、従って温度補償の効果はそれほど顕著ではないためである。
【0033】
部分フィルタを異なるチップに分散することにより、独立して最適化できる他に、部分フィルタとフィルタとの分離が改善される。例えば図1から3の実施例に従い構成されたデュプレクサでは、異なるチップに分散することにより、RXフィルタとTXフィルタとの間の分離が改善され、従ってTX出力端とRX入力端との間の電磁的結合が最小となる。これによりクロストークが低減し、ひいては伝送品質が向上する。
【0034】
本発明は、図示の実施例に制限されるものではなく、例えば他のフィルタ形式に配属されたフィルタによっても実現することができる。重要なことは、異なるチップに分散された部分フィルタを相互に依存せずに最適化することができ、1つのフィルタ形式では使用することができるが、別のフィルタ形式では使用することのできない手段をとることができることである。複数のフィルタを備える構成素子では、この構成素子が個々のフィルタに従って分散されるのではなく、少なくとも1つのフィルタの一部が複数のチップに分散されていることが重要である。これによりフィルタを、それぞれの部分フィルタに対して最適なやり方でプロセス処理することができ、例えば層構造または層厚の異なる部分フィルタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、第1のフィルタと第2のフィルタを備える構成体を示す図であり、ここで第1のフィルタは2つの部分フィルタに分割されている。
【図2】図2は、2つのフィルタが2つのチップに集積されており、それぞれが2つの部分フィルタに分割されている構成体を示す図である。
【図3】図3は、3つのフィルタが2つのチップに集積されており、第1のフィルタが2つの部分フィルタに分割されている構成体を示す図である。
【図4】図4は、補償層と歪み層を備えるチップの概略的部分断面図である。
【図5】図5は、傾斜したエッジと補償層と歪み層とを備える構成素子構造体の概略的部分断面図である。
【図6】図6は、図1の第1のフィルタに対する散乱パラメータS12を示す線図である。
【図7】図7は、図1の第1のフィルタに対する散乱パラメータS12を示す線図である。
【図8】図8は、図1の第1のフィルタに対する散乱パラメータS12を示す線図である。
【図9】図9は、第2のフィルタに対する散乱パラメータS12を示す線図である。
【図10】図10は、第2のフィルタに対する散乱パラメータS12を示す線図である。
【図11】図11は、第2のフィルタに対する散乱パラメータS12を示す線図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音響波により動作する少なくとも1つのフィルタを備える構成素子であって、
該フィルタは第1の部分フィルタ(TF1)と第2の部分フィルタ(TF2)とを有し、
前記2つの部分フィルタは別個のチップ(CH1,CH2)に配置されており、異なるフィルタ形式に所属するか、または少なくとも1つの層において層構造が異なるか、または層厚が異なる構成素子。
【請求項2】
請求項1記載の構成素子であって、
前記2つの部分フィルタ(TF1,TF2)の一方は温度補償されている構成素子。
【請求項3】
請求項1または2記載の構成素子であって、
第1の部分フィルタ(TF1)は、共振器から構成されたリアクタンスフィルタである構成素子。
【請求項4】
請求項3記載の構成素子であって、
第1の部分フィルタ(TF1)は、SAWワンゲート共振器から構成されている構成素子。
【請求項5】
請求項3記載の構成素子であって、
第1の部分フィルタ(TF1)は、BAW共振器から構成されている構成素子。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項記載の構成素子であって、
第2の部分フィルタ(TF2)はDMSフィルタである構成素子。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項記載の構成素子であって、
前記第1の部分フィルタ(TF1)と共に1つの共通のチップ(CH2)に配置された第2のフィルタ(F2)が設けられている構成素子。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか一項記載の構成素子であって、
第1の部分フィルタ(TF1)と第2の部分フィルタ(TF2)とを備える第2の部分フィルタ(F)が設けられており、
第1もフィルタ(F1)と第2のフィルタ(F2)のそれぞれの部分フィルタは1つの共通のチップ(CH)に配置されている構成素子。
【請求項9】
請求項7または8記載の構成素子であって、
1つの共通のチップ(CH)に配置された2つのフィルタ(F)または部分フィルタ(TF)は同じフィルタ形式に配属されている構成素子。
【請求項10】
請求項7から9までのいずれか一項記載の構成素子であって、
第1と第2のフィルタ(F1,F2)は、デュプレクサとして回路接続されている構成素子。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一項記載の構成素子であって、
前記第1または第2の部分フィルタ(TF1,TF2)と共に同じチップ(CH)に実現された第3のフィルタ(F3)が設けられている構成素子。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか一項記載の構成素子であって、
前記2つの部分フィルタ(TF1,TF2)は1つの共通のサブストレートに配置されており、
該サブストレートは、回路接続が実現されている少なくとも1つの金属化面を有する構成素子。
【請求項13】
請求項12記載の構成素子であって、
前記サブストレートは多層セラミックから形成されている構成素子。
【請求項14】
請求項12または13記載の構成素子であって、
前記サブストレートは、フィルタ、アクティブ半導体構成素子またはパッシブ構成素子から選択された別の構成素子が配置されているモジュールサブストレートである構成素子。
【請求項15】
請求項13または14記載の構成素子であって、
前記サブストレートの多層セラミック内には少なくとも1つの金属化面が設けられており、
該金属化面にパッシブ回路構成素子が実現されており、前記フィルタ(F)と回路接続されている構成素子。
【請求項16】
請求項2から15までのいずれか一項記載の構成素子であって、
一方の部分フィルタ(TF1)の温度補償は補償層(KS)により達成され、
該補償層は前記チップ(CH)に取り付けられており、前記補償層内を音響波が少なくとも部分的に伝播し、該補償層はチップ材料よりも小さい周波数対温度経過依存性を有する構成素子。
【請求項17】
請求項16記載の構成素子であって、
前記補償層(KS)は酸化ケイ素の層であり、該層の層厚はフィルタの中央周波数における音響波波長の10%から40%である構成素子。
【請求項18】
請求項16または17記載の構成素子であって、
温度補償された部分フィルタ(TF1)は、インタデジタル構成素子を備えるSAWフィルタであり、
前記補償層(KS)は構成素子構造体(BES)上に取り付けられている構成素子。
【請求項19】
請求項2から18までのいずれか一項記載の構成素子であって、
前記チップ(CH)は、前記構成素子構造体(BES)に対する表面上で歪み層(VS)と機械的に強固に結合しており、
該歪み層はチップ材料よりも小さい熱膨張係数を有する構成素子。
【請求項20】
請求項2から19までのいずれか一項記載の構成素子であって、
少なくとも温度補償された部分フィルタ(TF1)の前記構成素子構造体(BES)は、和において純粋なアルミニウムよりも大きい密度を備える材料または材料組合せからなる構成素子。
【請求項21】
請求項2から20までのいずれか一項記載の構成素子であって、
少なくとも温度補償された部分フィルタ(TF1)の構成素子構造体(BES)はストライプ状の電極フィンガを有し、
該電極フィンガの側方エッジは、サブストレート表面に対して斜めであり、該サブストレート表面と65°<KW<85°のエッジ角(KW)を形成する構成素子。
【請求項1】
音響波により動作する少なくとも1つのフィルタを備える構成素子であって、
該フィルタは第1の部分フィルタ(TF1)と第2の部分フィルタ(TF2)とを有し、
前記2つの部分フィルタは別個のチップ(CH1,CH2)に配置されており、異なるフィルタ形式に所属するか、または少なくとも1つの層において層構造が異なるか、または層厚が異なる構成素子。
【請求項2】
請求項1記載の構成素子であって、
前記2つの部分フィルタ(TF1,TF2)の一方は温度補償されている構成素子。
【請求項3】
請求項1または2記載の構成素子であって、
第1の部分フィルタ(TF1)は、共振器から構成されたリアクタンスフィルタである構成素子。
【請求項4】
請求項3記載の構成素子であって、
第1の部分フィルタ(TF1)は、SAWワンゲート共振器から構成されている構成素子。
【請求項5】
請求項3記載の構成素子であって、
第1の部分フィルタ(TF1)は、BAW共振器から構成されている構成素子。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか一項記載の構成素子であって、
第2の部分フィルタ(TF2)はDMSフィルタである構成素子。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一項記載の構成素子であって、
前記第1の部分フィルタ(TF1)と共に1つの共通のチップ(CH2)に配置された第2のフィルタ(F2)が設けられている構成素子。
【請求項8】
請求項1から6までのいずれか一項記載の構成素子であって、
第1の部分フィルタ(TF1)と第2の部分フィルタ(TF2)とを備える第2の部分フィルタ(F)が設けられており、
第1もフィルタ(F1)と第2のフィルタ(F2)のそれぞれの部分フィルタは1つの共通のチップ(CH)に配置されている構成素子。
【請求項9】
請求項7または8記載の構成素子であって、
1つの共通のチップ(CH)に配置された2つのフィルタ(F)または部分フィルタ(TF)は同じフィルタ形式に配属されている構成素子。
【請求項10】
請求項7から9までのいずれか一項記載の構成素子であって、
第1と第2のフィルタ(F1,F2)は、デュプレクサとして回路接続されている構成素子。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一項記載の構成素子であって、
前記第1または第2の部分フィルタ(TF1,TF2)と共に同じチップ(CH)に実現された第3のフィルタ(F3)が設けられている構成素子。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか一項記載の構成素子であって、
前記2つの部分フィルタ(TF1,TF2)は1つの共通のサブストレートに配置されており、
該サブストレートは、回路接続が実現されている少なくとも1つの金属化面を有する構成素子。
【請求項13】
請求項12記載の構成素子であって、
前記サブストレートは多層セラミックから形成されている構成素子。
【請求項14】
請求項12または13記載の構成素子であって、
前記サブストレートは、フィルタ、アクティブ半導体構成素子またはパッシブ構成素子から選択された別の構成素子が配置されているモジュールサブストレートである構成素子。
【請求項15】
請求項13または14記載の構成素子であって、
前記サブストレートの多層セラミック内には少なくとも1つの金属化面が設けられており、
該金属化面にパッシブ回路構成素子が実現されており、前記フィルタ(F)と回路接続されている構成素子。
【請求項16】
請求項2から15までのいずれか一項記載の構成素子であって、
一方の部分フィルタ(TF1)の温度補償は補償層(KS)により達成され、
該補償層は前記チップ(CH)に取り付けられており、前記補償層内を音響波が少なくとも部分的に伝播し、該補償層はチップ材料よりも小さい周波数対温度経過依存性を有する構成素子。
【請求項17】
請求項16記載の構成素子であって、
前記補償層(KS)は酸化ケイ素の層であり、該層の層厚はフィルタの中央周波数における音響波波長の10%から40%である構成素子。
【請求項18】
請求項16または17記載の構成素子であって、
温度補償された部分フィルタ(TF1)は、インタデジタル構成素子を備えるSAWフィルタであり、
前記補償層(KS)は構成素子構造体(BES)上に取り付けられている構成素子。
【請求項19】
請求項2から18までのいずれか一項記載の構成素子であって、
前記チップ(CH)は、前記構成素子構造体(BES)に対する表面上で歪み層(VS)と機械的に強固に結合しており、
該歪み層はチップ材料よりも小さい熱膨張係数を有する構成素子。
【請求項20】
請求項2から19までのいずれか一項記載の構成素子であって、
少なくとも温度補償された部分フィルタ(TF1)の前記構成素子構造体(BES)は、和において純粋なアルミニウムよりも大きい密度を備える材料または材料組合せからなる構成素子。
【請求項21】
請求項2から20までのいずれか一項記載の構成素子であって、
少なくとも温度補償された部分フィルタ(TF1)の構成素子構造体(BES)はストライプ状の電極フィンガを有し、
該電極フィンガの側方エッジは、サブストレート表面に対して斜めであり、該サブストレート表面と65°<KW<85°のエッジ角(KW)を形成する構成素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2009−509429(P2009−509429A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531525(P2008−531525)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【国際出願番号】PCT/DE2006/001649
【国際公開番号】WO2007/033652
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(300002160)エプコス アクチエンゲゼルシャフト (318)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
【住所又は居所原語表記】St.−Martin−Strasse 53, D−81669 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【国際出願番号】PCT/DE2006/001649
【国際公開番号】WO2007/033652
【国際公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(300002160)エプコス アクチエンゲゼルシャフト (318)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
【住所又は居所原語表記】St.−Martin−Strasse 53, D−81669 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
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