説明

顔認証システムおよび方法

【課題】 予め用意した顔写真を顔撮影用のカメラに撮影させることによって顔認証システムが欺かれてしまうことを防止する。
【解決手段】 (1)顔を撮影するための第1のカメラ101と、(2)第1のカメラ101が撮影する顔を別の角度から撮影するための第2のカメラ104と、(3)第1のカメラ101によって撮影された第1の顔画像データと第2のカメラ104によって撮影された第2の顔画像データとを比較する比較手段107と、(4)比較手段107の比較結果に基づいて第1の顔画像データと第2の顔画像データとが同一の顔を撮影して得られた顔画像データであるかを判定する判定手段111とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラを用いてATMなどの端末の不正操作を防止するために操作者の顔認証を行うシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端末の不正操作を防止するシステムとして、監視カメラで撮像した操作者の顔画像データをサーバに予め記憶されている顔画像データと照合して、認証する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−265231号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、既に開示されている技術は、一つのカメラで撮像しているため、もし仮に正規ユーザの実物大の顔写真をカメラのレンズの前に置かれてしまうと、カメラはこの写真を撮影して得られた顔画像データと予め記憶されている顔画像データとを照合して、認証OKの判断をしてしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の特徴は、(1)顔を撮影するための第1のカメラと、(2)第1のカメラが撮影する顔を別の角度から撮影するための第2のカメラと、(3)第1のカメラによって撮影された第1の顔画像データと第2のカメラによって撮影された第2の顔画像データとを比較する比較手段と、(4)比較手段の比較結果に基づいて第1の顔画像データと第2の顔画像データとが同一の顔を撮影して得られた顔画像データであるかを判定する判定手段とを備えることにある。
【0005】
本発明の第2の特徴は、(1)カードからIDを読み取るカード読み取り手段と、(2)IDと第3の顔画像データとを関連づけて予め記憶する顔画像データ記憶手段と、(3)判定手段が第1の顔画像データと第2の顔画像データとが同一の顔を撮影して得られた顔画像データであると判定した場合に、顔画像データ記憶手段に記憶されている顔画像データの中からIDに関連づけて記憶されている第3の顔画像データを検索するデータ検索手段とをさらに備え、(4)比較手段は、第1又は第2の顔画像データと第3の顔画像データとをさらに比較し、(5)判定手段は、第1又は第2の顔画像データと第3の顔画像データとが同一の顔を撮影して得られた顔画像データであるかをさらに判定することにある。
【発明の効果】
【0006】
本発明の第1の特徴によれば、第1のカメラのレンズ前にだけ写真が置かれたとしても、第1のカメラによって撮影された顔画像と第2のカメラによって撮影された顔画像とが異なるため、顔認証システムが騙されて認証OKとしてしまうことはない。第2のカメラのレンズ前にだけ写真が置かれた場合も同様に、顔認証システムが騙されることはない。
【0007】
また、第1のカメラによって撮影される顔画像と第2のカメラによって撮影される顔画像とは撮影角度が異ならなければならない。このため、仮に第1のカメラのレンズ前と第2のカメラのレンズ前の両方に同一の写真が置かれた場合であっても、撮影された顔の角度が同じになってしまうため、顔認証システムが騙されることはない。
【0008】
本発明の第2の特徴によれば、仮にカードを不正に入手した者がそのカードを端末に挿入したとしてもカードから読み取られたIDに基づいて検索された第3の顔画像データと第1又は第2の顔画像データとが異なるため顔認証システムが認証OKという結果を出力することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に図面に基づいて、本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、以下の説明は、単なる例示に過ぎず、本発明の技術的範囲は以下の説明に限定されるものではない。
【0010】
図1は、認証システムを構成する店舗装置及びセンター装置の内部構成を示す概略図である。図1に示すように、店舗装置100は、第1のカメラ101、第1のA/D変換部102、第1の画像メモリ103、第2のカメラ104、第2のA/D変換部105、第2の画像メモリ106、比較手段107、カード読み取り手段108、データ送受信手段109、制御手段110、判定手段111、バス112を備える。第1のカメラ101等は、制御手段110の制御の下で後述する各機能を発揮する。
【0011】
図2は、店舗装置の外観構成を示す概略図である。図2に示すように、第1のカメラ101はATMなどの端末120を操作する操作者130の顔を斜め上から撮影し、第2のカメラ104は操作者130の顔を斜め下から撮影する。
【0012】
第1のカメラ101は、操作者130の顔を撮影し、その映像のアナログ信号を出力する。第1のA/D変換部102は、第1のカメラ101が出力したアナログ信号を取り込んでデジタル信号からなる第1の顔画像データに変換する。変換された第1の顔画像データは、第1の画像メモリ103に蓄えられる。
【0013】
同様に、第2のカメラ104も、操作者130の顔を撮影し、その映像のアナログ信号を出力する。第2のA/D変換部105は、第2のカメラ104が出力したアナログ信号を取り込んでデジタル信号からなる第2の顔画像データに変換する。変換された第2の顔画像データは、第2の画像メモリ106に蓄えられる。
【0014】
比較手段107は、第1の顔画像データと第2の顔画像データとを比較する。第1のカメラ101の設置位置と第2のカメラ104の設置位置が異なるため、第1のカメラ101と第2のカメラ104の双方が同一の操作者130を撮影したとしても、第1の顔画像データと第2の顔画像データとは同一ではない。このため比較手段107は第1の顔画像データと第2の顔画像データとがどの程度、同一性を有するかを示す同一度を出力する。例えば第1の顔画像データは斜め上から撮影した顔の画像データとなり、一方第2の顔画像データは斜め下から撮影した顔の画像データとなる。このため比較手段107はかかる撮影角度の違いに起因する顔画像データの違いを補正した上で2つの顔画像データを比較し、同一度を出力する。
【0015】
判定手段111は、比較手段107から出力された同一度に基づいて第1の顔画像データと第2の顔画像データとが同一の操作者130を撮影して得られたデータであるかを判定する。
【0016】
カード読み取り手段108は、操作者130が端末120に挿入したカード(図示せず)からIDを読み取ることができる。
【0017】
判定手段111が第1の顔画像データと第2の顔画像データとが同一の操作者130を撮影して得られたデータであると判定した場合に、データ送受信手段109はカード読み取り手段108が読み取ったIDを専用線10を介してセンター装置200へ送信する。
【0018】
センター装置200は、データ送受信手段201、データ検索手段202、顔画像データ記憶手段203、制御手段204、バス205を備える。データ送受信手段201、データ検索手段202、顔画像データ記憶手段203は、制御手段204の制御の下で後述する各機能を発揮する。
【0019】
データ送受信手段201は店舗端末100から送信されたIDを受信し、また当該IDに対応する顔画像データを店舗端末100へ送信する。顔画像データ記憶手段203は、顧客の顔を撮影したデータを当該顧客に割り当てられているIDと関連づけて予め記憶する。
【0020】
データ検索手段202は、IDを検索キーとしてIDに関連づけられている顔画像データを検索する。
【0021】
図3は、店舗装置及びセンター装置における処理の一例を示すフローチャートである。図3に示すように、まず端末120を操作している操作者130の顔を第1のカメラ101を用いて撮影して第1の顔画像データを得て(ステップS111)、同時に第2のカメラでも同じ操作者130の顔を別角度から撮影して第2の顔画像データを得る(ステップS112)。そして、比較手段107を用いて第1の顔画像データと第2の顔画像データとを比較して、両データの同一度を数値化として出力する(ステップS113)。比較手段107から出力された同一度が、予め設定されている閾値以上である場合(ステップS114でYESの場合)は、センター装置200内の顔画像データ記憶手段203に記憶されている顔画像データの送信をセンター装置200へ要求する(ステップS115)。
【0022】
センター装置200では、顔画像データの送信要求と共に送られてきたIDに関連づけられて記憶されている顔画像データを検索し(ステップS121)、IDに対応する顔画像データを探し出したらその顔画像データを店舗装置100へ送信する(ステップS122)。
【0023】
店舗装置100は、センター装置200から第3の顔画像データを受信したら(ステップS131)、第1又は第2の顔画像データと第3の顔画像データとを比較し(ステップS132)、第1の顔画像データと第3の顔画像データとの同一度又は第2の顔画像データと第3の顔画像データとの同一度が閾値以上である場合(ステップS133でYESの場合)、認証OKと判断される。この後、操作者130が端末120の数字入力手段(図示せず)を用いて適切な暗証番号を入力したら、預貯金の引き出しなどが可能となる。
【0024】
上記の如く、本実施の形態によれば、第1のカメラ101のレンズ前にだけ写真が置かれたとしても、第1のカメラ101によって撮影された顔画像と第2のカメラ104によって撮影された顔画像とが異なるため、顔認証システムが騙されることはない。
【0025】
また、第1のカメラ101によって撮影される顔画像と第2のカメラ104によって撮影される顔画像とは撮影角度が異ならなければならない。このため、仮に第1のカメラ101のレンズ前と第2のカメラ104のレンズ前の両方に同一の写真が置かれた場合であっても、撮影された顔の角度が同じになってしまうため、顔認証システムが騙されることはない。
【0026】
さらに、仮にカードを不正に入手した者がそのカードを端末に挿入したとしてもカードから読み取られたIDに基づいて検索された第3の顔画像データと第1又は第2の顔画像データとが異なるため顔認証システムが騙されることはない。
【0027】
なお、前述の実施の形態においては、2つのカメラを使用したが、カメラの台数は2つに限定されず、3つ以上のカメラを用いて撮影された顔画像データを相互に比較する場合も含む。
【0028】
また、前述の実施の形態においては、第1のカメラ101と第2のカメラ104との相対的な位置関係は上下、つまり高さが異なるものであったが、複数のカメラの相対的な位置関係は上下に限定されない。例えば、第1のカメラと第2のカメラの高さが同じであるが、第1のカメラが操作者130の左斜め前方に設置され、第2のカメラが右斜め前方に設置される場合も含む。
【0029】
さらに、複数のカメラの少なくとも1つによって撮影された顔画像データを端末120の操作用タッチパネル(図示せず)に出力されることが好ましい。操作用タッチパネルに顔画像が写し出されることによって、操作者130に撮影されていること、すなわち監視されていることを知らしめることができ、不正行為を行うことに対する心理的な圧力を操作者にかけることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】認証システムを構成する店舗装置及びセンター装置の内部構成を示す概略図である。
【図2】店舗装置の外観構成を示す概略図である。
【図3】店舗装置及びセンター装置における処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
101…第1のカメラ 102…第1のA/D変換部 103…第1の画像メモリ
104…第2のカメラ 105…第2のA/D変換部 106…第2の画像メモリ
107…比較手段 108…カード読み取り手段 109…データ送受信手段
110…制御手段 111…判定手段
201…データ送受信手段 202…データ検索手段
203…顔画像データ記憶手段 204…制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔を撮影するための第1のカメラと、
前記第1のカメラが撮影する顔を別の角度から撮影するための第2のカメラと、
前記第1のカメラによって撮影された第1の顔画像データと前記第2のカメラによって撮影された第2の顔画像データとを比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に基づいて前記第1の顔画像データと前記第2の顔画像データとが同一の顔を撮影して得られた顔画像データであるかを判定する判定手段とを備えることを特徴とする顔認証システム。
【請求項2】
カードからIDを読み取るカード読み取り手段と、
前記IDと第3の顔画像データとを関連づけて予め記憶する顔画像データ記憶手段と、
前記判定手段が前記第1の顔画像データと前記第2の顔画像データとが同一の顔を撮影して得られた顔画像データであると判定した場合に、前記顔画像データ記憶手段に記憶されている顔画像データの中から前記IDに関連づけて記憶されている前記第3の顔画像データを検索するデータ検索手段とをさらに備え、
前記比較手段は、前記第1又は前記第2の顔画像データと前記第3の顔画像データとをさらに比較し、
前記判定手段は、前記第1又は前記第2の顔画像データと前記第3の顔画像データとが同一の顔を撮影して得られた顔画像データであるかをさらに判定することを特徴とする請求項1に記載の顔認証システム。
【請求項3】
前記第1の顔画像データ又は前記第2の顔画像データを、前記カード読み取り手段が設けられている端末の操作用タッチパネルとして機能する表示画面に出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の顔認証システム。
【請求項4】
第1のカメラは、顔を撮影し、
第2のカメラは、前記第1のカメラが撮影する顔を別の角度から撮影し、
比較手段は、前記第1のカメラによって撮影された第1の顔画像データと前記第2のカメラによって撮影された第2の顔画像データとを比較し、
判定手段は、前記比較手段の比較結果に基づいて前記第1の顔画像データと前記第2の顔画像データとが同一の顔を撮影して得られた顔画像データであるかを判定することを特徴とする顔認証方法。
【請求項5】
カード読み取り手段は、カードからIDを読み取り、
顔画像データ記憶手段は、前記IDと第3の顔画像データとを関連づけて予め記憶し、
データ検索手段は、前記判定手段が前記第1の顔画像データと前記第2の顔画像データとが同一の顔を撮影して得られた顔画像データであると判定した場合に、前記顔画像データ記憶手段に記憶されている顔画像データの中から前記IDに関連づけて記憶されている前記第3の顔画像データを検索し、
前記比較手段は、前記第1又は前記第2の顔画像データと前記第3の顔画像データとをさらに比較し、
前記判定手段は、前記第1又は前記第2の顔画像データと前記第3の顔画像データとが同一の顔を撮影して得られた顔画像データであるかをさらに判定することを特徴とする請求項4に記載の顔認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−221377(P2006−221377A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33587(P2005−33587)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(505050049)スマートワイヤレス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】