説明

風車構造体の応力解析装置及び応力解析プログラム並びに風力発電システム

【課題】損傷を受けにくい、より理想的な環境下での風力発電装置の運転を可能とするとともに、繰り返し与えられる変動荷重に起因する疲労劣化等による故障を未然に防止すること。
【解決手段】運転環境に関するパラメータに基づいて、風車構造体に設定された所定の荷重観測箇所における荷重時系列データを作成する荷重データ作成部21と、荷重時系列データに基づいて、風車構造体に設定されている少なくとも1つの解析対象箇所における応力時系列データを作成する応力解析部22とを具備する風車構造体の応力解析装置3を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然エネルギーの風を回転力に変換する風車を用いて発電を行う風力発電システムに係り、特に、風車構造体の応力を解析する風車構造体の応力解析装置及びそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自然エネルギーである風力を利用して発電を行う風力発電システムが知られている。この風力発電装置は、支柱上に設置されたナセルに、ブレードを取り付けたロータヘッドと、このロータヘッドと一体に回転するよう連結された主軸と、ブレードに風力を受けて回転する主軸を連結した増速機と、増速機の軸出力によって駆動される発電機とを設けたものである。
このような風力発電システムにおいては、例えば、風況に応じて所定の発電機回転速度と出力を得るようにブレードピッチ角度を制御している。また、例えば、特許文献1には、各ブレードに流入する風の迎角並びに風力発電装置の各部に働く荷重等を算出し、この荷重変動を低減させるべく各ブレードのピッチ角を個別に制御する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−113769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の風力発電システムの運転制御においては、荷重による構造体への疲労劣化については考慮されていないため、実機が理想状態とはかけ離れた状況下で運転される場合などには、設計当初に設定された寿命よりも早い時点で劣化故障が生じるおそれがあった。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、損傷を受けにくい、より理想的な環境下での風力発電装置の運転を可能とするとともに、繰り返し与えられる変動荷重に起因する疲労劣化等による故障を未然に防止することが可能な風車構造体の応力解析装置及び応力解析プログラム並びに風力発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明は、運転環境に関するパラメータに基づいて、風車構造体に設定された所定の荷重観測箇所における荷重時系列データを作成する荷重データ作成手段と、前記荷重時系列データに基づいて、前記風車構造体に設定されている少なくとも1つの解析対象箇所における応力時系列データを作成する応力解析手段とを具備する風車構造体の応力解析装置を提供する。
【0006】
本発明によれば、荷重データ作成手段により風車構造体に設定された所定の荷重観測箇所における荷重時系列データが作成され、この荷重時系列データに基づいて風車構造体に設定されている少なくとも1つの解析対象箇所における応力時系列データが応力解析手段により計算される。したがって、この応力時系列データを風力発電装置の運転制御に反映させることで、より理想的な環境下での風力発電装置の運転が可能となるとともに、繰り返し与えられる変動荷重に起因する疲労劣化等による故障を未然に防止することが可能となる。
上記運転環境に関するパラメータとは、例えば、風速、風向、荷重等であり、少なくとも荷重を取得するために必要となるパラメータを含むものとする。また、この運転環境に関するパラメータは荷重センサにより計測される荷重データ自体であってもよい。
荷重観測箇所及び解析対象箇所は風車構造体に任意に設定することが可能である。荷重観測箇所は、例えば、上記運転環境に関するパラメータが計測される箇所に設定されることが好ましい。また、解析対象箇所は、風車の応力解析を詳細に行うために、風車構造体のいたるところに多数設定されることが好ましい。
【0007】
上記風車構造体の応力解析装置において、前記荷重データ作成手段は、前記解析対象箇所に対応付けられている荷重変換テーブルを用いて、前記荷重観測箇所の荷重時系列データから前記解析対象箇所における各基本成分の荷重時系列データをそれぞれ作成し、前記応力解析手段は、前記解析対象箇所における単位荷重作用時の各基本成分の構造応答と各基本成分の荷重時系列データとに基づいて、前記解析対象箇所に作用する各基本成分の応力時系列データを求め、各基本成分の前記応力時系列データから各時刻における主応力方向に対する応力値を示す第1主応力時系列データを求め、前記第1主応力時系列データのうち、最大主応力を示した時刻における主応力方向を指定方向として特定し、各基本成分の前記応力時系列データから各時刻における前記指定方向に対する応力値を示す第2応力時系列データを作成することとしてもよい。
【0008】
本発明によれば、解析対象箇所における各基本成分の荷重時系列データが作成され、各基本成分の荷重時系列データが重ね合わせられることで、主応力方向における第1主応力時系列データが作成される。このように、第1主応力時系列データが作成されるので、解析対象箇所に作用した各時刻における応力値を確認することが可能となる。そして、第1主応力時系列データにおいて応力値が最大を示した時刻を特定し、そのときの主応力方向を指定方向として特定する。続いて、今度は、各基本成分の応力時系列データから指定方向における応力時系列データを作成し、これを第2応力時系列データとする。このように、最大応力が作用したときの方向を指定方向として特定し、指定方向に対する応力時系列データを再度求めるので、最も力が作用する方向、つまり亀裂進展等の疲労損傷が発生しやすい方向に対する応力の変動状態を確実に把握することが可能となる。
なお、基本成分は、例えば、x、y、zの3成分である。また、解析対象箇所に応じて予め損傷を受けやすい方向、例えば、亀裂が入りやすい方向等が予め分かっている場合には、上記3成分全ての成分を用いずとも、その方向に関係する成分の荷重時系列データのみを用いて上記第1主応力時系列データ、第2応力時系列データを作成することとしてもよい。
【0009】
上記風車構造体の応力解析装置において、応力解析手段は、前記解析対象箇所毎の前記第2主応力時系列データから累積応力を求め、この累積応力が予め設定されている劣化基準値を超えるか否かを判定し、累積応力が該劣化基準値を超える解析対象箇所が存在した場合に、その旨を通知する通知手段を備えていてもよい。
【0010】
本発明によれば、累積応力が劣化基準値を超えた場合には、その旨が通知されるので、この通知を受けて風力発電装置の運転制御を停止させる等の対策をとることにより、故障を未然に防ぐことが可能となる。
【0011】
本発明は、上記風車構造体の応力解析装置と、風力発電装置の運転制御を行う運転制御装置とを備え、前記応力解析装置は前記応力の情報を前記運転制御装置にフィードバックし、前記運転制御装置は、該応力の情報に基づいて前記風力発電装置の運転制御を行う風力発電システムを提供する。
【0012】
本発明によれば、応力解析装置によって解析された応力に関する情報が風力発電装置の運転制御に反映されるので、損傷を受けにくい、より理想的な環境下で風力発電装置を運転することが可能となるとともに、繰り返し与えられる変動荷重に起因する疲労劣化等による故障を未然に防止することが可能となる。
【0013】
本発明は、運転環境に関するパラメータに基づいて、風車構造体に設定された所定の荷重観測箇所における荷重時系列データを作成する荷重データ作成処理と、前記荷重時系列データに基づいて、前記風車構造体に設定されている少なくとも1つの解析対象箇所における応力時系列データを作成する応力解析処理とをコンピュータに実行させるための風車構造体の応力解析プログラムを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、損傷を受けにくい、より理想的な環境下での風力発電装置の運転を可能とするとともに、繰り返し与えられる変動荷重に起因する疲労劣化等による故障を未然に防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明に係る風車構造体の応力解析装置及び応力解析プログラム並びに風力発電システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る風力発電システムの概略構成を示したブロック図である。
図1に示されるように風力発電システム1は、3枚のブレード11と、ナセル12と、ナセル12に3枚のブレード11を取り付けるロータヘッド13と、ナセル12を支持する支柱14とを有する風車構造体2を備えている。なお、本実施形態においては、3枚のブレードを有する場合を例示するが、ブレードの枚数については特に制限されない。
【0016】
また、風車構造体2には、後述する応力解析装置により応力が計算される解析対象箇所が予め設定されている。この解析対象箇所は風車構造体2の至る場所に任意に、しかも多数設定することが可能であるが、例えば、荷重によって劣化を起こしやすい場所等に積極的に設定される。具体的には、ブレード、ナセル、タワー等の構造部や駆動軸等の荷重伝達部等に設定される。
【0017】
図2に示されるように、上記ナセル12の上側には風向・風速を計測する風向・風速計105が設けられている。各ブレード11には、ピッチ角を検出するためのピッチ角センサ106が設けられている。ナセル12内には、ロータヘッド13と一体に回転するよう連結された主軸15、主軸15に連結された増速機(図示略)、増速機の軸出力によって駆動される発電機17、発電機17の出力制御及びブレード11のピッチ角制御等を行う運転制御装置18、風車構造体2に設定された複数の解析対象箇所に作用する応力を解析する応力解析装置3等が収容されている。運転制御装置18には、上記風向・風速計105、ピッチセンサ106によって計測された計測データが入力される。
【0018】
なお、本実施形態において、応力解析装置3は、ナセル12内に収容されることとしたが、これに代えて、風車構造体2の外に設置され、無線若しくは有線の情報伝達媒体で各種センサや運転制御装置18と接続されて、情報の送受が可能な構成とされていてもよい。
【0019】
応力解析装置3及び運転制御装置18は、例えば、CPU(中央演算装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するコンピュータシステムを備えている。応力解析装置3のROMには、例えば、風車構造体2の応力解析プログラムが格納されている。後述の一連の処理過程は、応力解析プログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより実現される。
【0020】
図3は、応力解析装置3の機能を展開して示した機能ブロック図である。この図に示されるように、応力解析装置3は、運転環境に関するパラメータに基づいて、風車構造体2に設定された所定の荷重観測箇所における荷重時系列データを作成する荷重データ作成部21と、荷重時系列データに基づいて、風車構造体2に設定されている多数の解析対象箇所における応力時系列データを作成する応力解析部22とを備えている。
【0021】
上記運転環境に関するパラメータは、例えば、風向偏差、風速、回転数、出力等である。風向・風速は風向・風速計105の計測値を採用することが可能であり、風向偏差については、風向・風速計105の計測データ、およびYAW角度から算出することで取得することが可能である。また、回転数は、例えば、発電機17のロータ付近に取り付けられたエンコーダ等の出力から求めることが可能である。
また、荷重は、例えば、風向、風速、出力等のパラメータから算出することが可能である。例えば、荷重の計測に用いられるパラメータと運転環境に関するパラメータとは、独立したものとして取り扱われる。
【0022】
荷重データ作成部21では、風車構造体2の少なくとも1箇所に設定された所定の荷重観測箇所に対応する各時刻の荷重を基本成分(x、y、zの3軸方向の軸方向荷重とモーメント荷重)毎に算出し、各基本成分の荷重時系列データを作成する(図4のステップSA1)。さらに、これらの結果を上述した運転環境に関するパラメータを用いて整理する。ここで、図5に、荷重観測箇所におけるx軸方向に対する荷重時系列データの一例を示す。図5に示すように、荷重時系列データは、横軸に時間、縦軸に荷重を示したものである。また、荷重観測箇所とは、例えば、上記運転環境に関するパラメータを計測するセンサが設置されている場所、例えば、風向・風速計105が設置されている場所を意味する。
【0023】
次に、荷重データ作成部21は、解析対象箇所毎に荷重変換テーブルを予め保有しており、この荷重変換テーブルを用いて、上記荷重観測箇所における各基本成分(x,y,z方向の3成分)の前記荷重時系列データから各解析対象箇所における荷重時系列データを作成する(図4のステップSA2)。
上記荷重変換テーブルは、荷重観測箇所における荷重時系列データから各解析対象箇所における荷重時系列データをそれぞれ得るための変換テーブルであり、例えば、所定の条件下における荷重観測箇所及び解析対象箇所における荷重を実際に計測し、この計測結果を比較することで作成される。このように、変換テーブルを有していることにより、荷重観測箇所における荷重時系列データから多数の解析対象箇所における荷重時系列データを容易に推定することが可能となる。
【0024】
各解析対象箇所における荷重時系列データが基本成分毎に作成されると、続いて、応力解析部22は、この荷重時系列データに基づいて各解析対象箇所における応力を解析する。具体的には、応力解析部22は、風車構造体2に設定されている解析対象箇所毎に以下の処理を行う。
【0025】
まず、当該解析対象箇所における単位荷重作用時の各基本成分の構造応答と各基本成分の荷重時系列データとに基づいて、当該解析対象箇所に作用する各基本成分の応力時系列データを求める(図4のステップSA3)。
図6に、x成分における応力時系列データの一例を示す。図6に示されるように、応力時系列データは、横軸に時間、縦軸に応力を示したものである。
【0026】
続いて、各基本成分の応力時系列データから各時刻における主応力方向に対する応力値を示す第1主応力時系列データを作成する(図4のステップSA4)。これは、各基本成分の応力時系列データから算定できる。また、このように、第1主応力時系列データを作成するのは、基本成分毎の応力時系列データからは各解析対象箇所における疲労強度等を推定することは難しいからである。図7に第1主応力時系列データの一例を示す。図7において、横軸は時刻、縦軸は主応力方向における応力値を示している。
【0027】
次に、第1主応力時系列データのうち、最大主応力を示した時刻tmを特定し、この時刻tmにおける主応力方向を指定応力方向として特定する(図4のステップSA5)。
具体的には、図8に示すように、第1主応力時系列データにおいて、各時刻t1、t2,tmにおける主応力方向は異なる。例えば、時刻t1の主応力方向はv1、時刻t2における主応力方向はv2、時刻tmにおける主応力方向はvm等のように、主応力方向は各時刻における各基本成分の応力時系列データに応じて変化する。従って、本処理では、このように時事刻々と変化する主応力方向のうち、最大主応力を示している時刻の主応力方向を指定応力方向として特定するか、予め設定した方向成分に換算する。
【0028】
続いて、特定した該指定応力方向における第2応力時系列データを各基本成分の応力時系列データに基づいて作成する(図4のステップSA6)。指定応力方向は、最大応力が示された方向もしくは予め指定した方向であるので、この指定応力方向における応力時系列データである第2応力時系列データを作成することで、当該解析対象箇所の疲労劣化等に最も支配的な力方向に作用する応力を取得することが可能となる。
【0029】
続いて、第2応力時系列データから各時刻における応力値を累積することで、累積応力を算出し(図4のステップSA7)、この累積応力と上記第2応力時系列データを運転制御装置18に出力する(図4のステップSA8)。これにより、運転制御装置18は、応力を運転制御に反映することが可能となる。例えば、運転制御装置18は、過去所定時間における累計応力が予め設定されている基準値よりも高い値を示しているようであれば、応力が低減するような方向にブレードピッチ角を変化させる等の運転制御を行う。
【0030】
続いて、応力解析部22は、第2応力時系列データから求めた累積応力が予め設定されている劣化基準値を超えているか否かを判定する(図4のステップSA9)。この劣化基準値は、解析対象箇所毎に任意に定められる値であり、各解析対象箇所において故障や亀裂が発生すると推定される値よりも小さな値に設定される値である。
そして、累積応力が劣化基準値を超えている解析対象箇所が存在していた場合には、その旨を通知する(図4のステップSA10)。例えば、遠隔に設置されている風力発電装置の制御室に設置されている表示装置に表示する、非常用のランプを点灯させる等の種々の方法により、その旨をオペレータ等に通知するとともに、運転制御装置18に対してその旨を示す信号を出力する。これにより、運転制御装置18においては、風力発電装置の運転を停止する等の緊急措置がとられる。これにより、経年劣化による風車構造体の故障を未然に防止することが可能となる。
【0031】
以上説明してきたように、本実施形態に係る風力構造体の応力解析装置及びそのプログラムならびに風力発電システムによれば、風力構造体の応力解析装置3によって解析された応力に関する情報が風力発電装置の運転制御(主には、ブレードピッチ角の制御、発電機の制御)に反映されるので、損傷を受けにくい、より理想的な環境下で風力発電装置を運転することが可能となるとともに、繰り返し与えられる変動荷重に起因する疲労劣化等による故障を未然に防止することが可能となる。
【0032】
なお、上述した実施形態においては、風向、風速、風向偏差、回転数等の運転環境に関するパラメータに基づいて荷重を算出していたが、これに代えて、荷重観測箇所に荷重センサを設け、荷重センサの計測値をそのまま用いることにより、当該荷重観測箇所における各基本成分の荷重時系列データを直接的に作成することとしてもよい。このように、荷重センサを取り付けることで、処理負担の低減、処理時間の短縮等を図ることが可能となる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係る風力発電システムの概略構成を示した図である。
【図2】図1においてナセル周辺の概略構成を示した図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る応力解析装置の機能を展開して示した機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る応力解析装置によって実行される処理手順を示したフローチャートである。
【図5】荷重観測箇所におけるx軸方向に対する荷重時系列データの一例を示した図である。
【図6】x成分における応力時系列データの一例を示した図である。
【図7】第1主応力時系列データの一例を示した図である。
【図8】各時刻における主応力方向の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0035】
1 風力発電システム
2 風車構造体
3 応力解析装置
11 ブレード
12 ナセル
13 ロータヘッド
15 主軸
17 発電機
18 運転制御装置
105 風向・風速計
106 ピッチセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転環境に関するパラメータに基づいて、風車構造体に設定された所定の荷重観測箇所における荷重時系列データを作成する荷重データ作成手段と、
前記荷重時系列データに基づいて、前記風車構造体に設定されている少なくとも1つの解析対象箇所における応力時系列データを作成する応力解析手段と
を具備する風車構造体の応力解析装置。
【請求項2】
前記荷重データ作成手段は、前記解析対象箇所に対応付けられている荷重変換テーブルを用いて、前記荷重観測箇所の荷重時系列データから前記解析対象箇所における各基本成分の荷重時系列データをそれぞれ作成し、
前記応力解析手段は、
前記解析対象箇所における単位荷重作用時の各基本成分の構造応答と各基本成分の荷重時系列データとに基づいて、前記解析対象箇所に作用する各基本成分の応力時系列データを求め、
各基本成分の前記応力時系列データから各時刻における主応力方向に対する応力値を示す第1主応力時系列データを求め、
前記第1主応力時系列データのうち、最大主応力を示した時刻における主応力方向を指定方向として特定し、
各基本成分の前記応力時系列データから各時刻における前記指定方向に対する応力値を示す第2応力時系列データを作成する請求項1に記載の風車構造体の応力解析装置。
【請求項3】
応力解析手段は、前記解析対象箇所毎の前記第2主応力時系列データから累積応力を求め、この累積応力が予め設定されている劣化基準値を超えるか否かを判定し、累積応力が該劣化基準値を超える解析対象箇所が存在した場合に、その旨を通知する通知手段を備える請求項2に記載の風車構造体の応力解析装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の風車構造体の応力解析装置と、
風力発電装置の運転制御を行う運転制御装置と
を備え、
前記応力解析装置は前記応力の情報を前記運転制御装置にフィードバックし、
前記運転制御装置は、該応力の情報に基づいて前記風力発電装置の運転制御を行う風力発電システム。
【請求項5】
運転環境に関するパラメータに基づいて、風車構造体に設定された所定の荷重観測箇所における荷重時系列データを作成する荷重データ作成処理と、
前記荷重時系列データに基づいて、前記風車構造体に設定されている少なくとも1つの解析対象箇所における応力時系列データを作成する応力解析処理と
をコンピュータに実行させるための風車構造体の応力解析プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−79685(P2010−79685A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248556(P2008−248556)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】