説明

食品工場における生ごみの乾燥処理装置及び乾燥処理システム

【課題】食品工場において常時運転されているエアコンプレッサーや冷凍機の凝縮器に発生する熱を有効利用することと、攪拌を良好に行えるようにすることにより、日々生じる生ごみを良好に乾燥処理することを課題とする。
【解決手段】本発明では、上部に給気部4と排気部5及び生ごみ投入部6を設けた処理容器7内に、一対の回転駆動軸8a,8bを横方向に並設して、夫々の回転駆動軸に攪拌用アーム9a,9bを突設した構成とし、夫々の回転駆動軸は連動させて互いに逆向きに回転駆動させる構成とした食品工場における生ごみの乾燥処理装置そして、これを利用した乾燥処理システムを提案する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品工場において発生する野菜残渣その他の生ごみの乾燥処理装置及び乾燥処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品工場においては、野菜残渣その他の生ごみが処理の必要な廃棄物として発生する。従来、この生ごみは、例えば乾燥した後、焼却して埋め立て処理を行ったり、または生ごみ処理施設に運んで、大掛かりな設備において、乾燥、微生物処理を行って肥料化したりすること等が行われている。
【0003】
例えば特許文献1に記載の生ごみ処理方法では、食品工場等において発生する生ごみを粉砕・液状化し、これをフェノール又はフェノール露出基のある化合物を含む代謝産物の混合液と混合・攪拌してBOD濃度を低下させる、大掛かりな処理を行っている。
【0004】
また特許文献2、特許文献3及び特許文献4には、処理容器内に投入した生ごみを電機ヒータ等で加熱し、乾燥させて減容するようにした生ごみ乾燥処理装置が記載されている。このような生ごみ乾燥処理装置では、その処理に際して、電力等のエネルギーを消費してしまう。
【0005】
一方、食品工場においては、エアコンプレッサーにより発生させた圧縮空気によって、粉体又は液体の原材料の搬送、食品加工機の駆動制御、包装、ラベルの印刷等の、様々な工程における駆動源等として利用されており、従ってエアコンプレッサーは常時運転されている。
【0006】
このように常時運転されているエアコンプレッサーに発生する熱は、空冷式に除去するものが多く、エアコンプレッサーを冷却して昇温された冷却用空気は、例えば図2に示すように、排気ダクトを通して屋外に排出されていた。即ち、従来は、運転時にエアコンプレッサーに発生する熱を有効利用することは余り行われていなかった。
【0007】
また、食品工場においては、冷蔵庫、冷凍庫等の冷熱源である冷凍機も常時運転しており、運転時に凝縮器に発生する熱を有効利用することも余り行われていなかった。
【0008】
そこで本発明者らは鋭意研究の結果、先に、食品工場において常時運転されているエアコンプレッサーや冷凍機の凝縮器に発生する熱を有効利用して温風を発生させ、これを、生ごみが投入されている乾燥処理容器内に供給することにより、処理容器内の生ごみを乾燥させて減容し、その後の処理が非常に容易となる食品工場における生ごみの処理機構を創案し、特願2009−255342として特許出願を行っている。
【0009】
この処理機構において、乾燥処理容器としては攪拌手段を有し、運転を休止している食品機械を使用することができる他、従来の生ごみ処理装置において使用されている処理容器を使用することができる。
【0010】
例えば特許文献5、特許文献6及び特許文献7に示されるような従来の生ごみ処理装置においては、攪拌手段は、上部に生ごみ投入部を設けた処理容器内に、回転駆動軸を横方向に設置し、この回転駆動軸に攪拌用アームを突設した構成としている。攪拌用アームは、特許文献5、特許文献6に示されるように単なる棒体の構成や、特許文献7に示されるように棒体の先端にフィン状体を設けた構成等、各種の構成が提案されている。
【0011】
これらの特許文献1、特許文献2及び特許文献3に示されるように、攪拌用アームを突設した回転駆動軸は1本のみ設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平9−29217号公報
【特許文献2】特開2002−11431号公報
【特許文献3】特開2003−112144号公報
【特許文献4】特開2005−254125号公報
【特許文献5】特開平8−112581号公報
【特許文献6】特開平8−192133号公報
【特許文献7】特開平9−10738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したように従来の生ごみの処理容器では、攪拌用アームを突設した回転駆動軸は1本のみ設けられているので、処理容器内の生ごみの状態によっては、生ごみは攪拌用アームと共に一方向に動くだけというって、攪拌が良好に行えない場合がある。
【0014】
このような状態であると温風と生ごみの接触が良好に行われず、乾燥効率が低くなってしまう。
【0015】
そこで本発明では、まず、生ごみの攪拌が非常に良好に行える生ごみの乾燥処理装置を提供することを本発明が解決しようとする課題の一つとしている。
【0016】
また本発明では、食品工場において常時運転されているエアコンプレッサーや冷凍機の凝縮器に発生する熱を有効利用すると共に、処理において悪臭を発生させないようにすることを、本発明が解決しようとする他の課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決するために、本発明では、まず、上部に給気部と排気部及び生ごみ投入部を設けた処理容器内に、一対の回転駆動軸を横方向に並設して、夫々の回転駆動軸に攪拌用アームを突設した構成とし、夫々の回転駆動軸は連動させて互いに逆向きに回転駆動させる構成とした食品工場における生ごみの乾燥処理装置を提案する。
【0018】
また本発明では、上記の構成において、夫々の回転駆動軸の攪拌用アームの突出長は、一対の回転駆動軸間の距離よりも短く、且つ、その距離の半分よりも長く構成し、夫々の回転駆動軸の対向する攪拌用アームを軸方向にずらすことにより、回転軌跡の重複をなくして干渉を防止する構成とした食品工場における生ごみの乾燥処理装置を提案する。
【0019】
また本発明では、上記の構成において、夫々の回転駆動軸の攪拌用アームの突出長は、一対の回転駆動軸間の距離よりも短く、且つ、その距離の半分よりも長く構成し、夫々の回転駆動軸の対向する攪拌用アームは、回転軌跡が一部重複するように配置すると共に、回転位相差を設けて干渉を防止する構成とした食品工場における生ごみの乾燥処理装置を提案する。
【0020】
また本発明では、以上の乾燥処理装置に、給気部から、乾燥用空気として食品工場の排熱を回収した温風を供給する構成とした食品工場における生ごみの乾燥処理システムを提案する。
【0021】
また本発明では、上記の構成において、給気部から処理容器内に供給する温風は50℃又はその近傍の温度を越えないように制御する構成とした食品工場における生ごみの乾燥処理システムを提案する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の乾燥処理装置では、処理容器内に横方向に並設した一対の回転駆動軸を連動させて互いに逆向きに回転駆動させるため、生ごみは夫々の回転駆動軸に突設した攪拌用アームにより互いに逆向きに力を受ける。
【0023】
このため、回転駆動軸が1本のみ設けられている従来のもののように、生ごみが攪拌用アームと共に一方向に動くだけということがなく、互いに逆向きに移動する攪拌用アームから力をうけて生ごみに剪断が生じ、攪拌が非常に良好に行われ、温風と良好に接触して、効率的に乾燥が行われる。
【0024】
ここで、夫々の回転駆動軸の攪拌用アームの突出長は、一対の回転駆動軸間の距離よりも短く、且つ、その距離の半分よりも長く構成すると共に、夫々の回転駆動軸の攪拌用アームの干渉を防止すれば、所定の攪拌能力を有する処理容器をコンパクトに構成することができる。
【0025】
そして干渉を防止する構成としては、夫々の回転駆動軸の対向する攪拌用アームを軸方向にずらすことにより、回転軌跡の重複をなくして干渉を防止する構成としたり、夫々の回転駆動軸の対向する攪拌用アームは、回転軌跡が一部重複するように配置すると共に、回転位相差を設けて干渉を防止する構成とすることができる。
【0026】
本発明では、上述した乾燥処理装置に給気部から供給する乾燥用空気として、食品工場の空冷式エアコンプレッサーの排気ダクトに構成した分岐ダクトからの温風を使用したり、食品工場の冷凍機の冷媒系統における凝縮器の上流側に直列に配置した空冷式の凝縮器において冷媒と熱交換して昇温した温風を使用した乾燥処理システムを構成することにより、従来は廃棄していた排熱を有効利用することができる。
【0027】
しかしながら本発明では、排熱を発生する機器が無かったり、容量が小さい等の理由により、有効利用する排熱量が少ないような食品工場等においては、乾燥用空気の供給を、ボイラーやヒーター等の通常の熱源において発生させる熱を利用して行うようにすることもできる。
【0028】
またこのような通常の熱源からの熱と、各種機器からの排熱を共用して乾燥用の空気を供給することもできる。この場合には、排熱の発生量が少ない場合には、通常の熱源によってそれを補うなどの制御により、乾燥処理装置の運転を安定して行うことができる。
【0029】
そして、前記の乾燥処理システムにおいては、給気部から処理容器内に供給する温風は50℃又はその近傍の温度を越えないように制御することにより、50℃又はその近傍の温度を越えた場合に生ごみから発生する悪臭を防止することができる。
【0030】
このような温度制御はダンパー等の制御により行うことができ、この際、上述したように多様な熱源を利用して制御を行うことができる。
【0031】
こうして本発明を適用した乾燥処理装置においては、処理容器内の生ごみは温風によって乾燥させられて減容するので、その後の処理が非常に容易となる。即ち、乾燥し、減容した生ごみは、その状態で埋め立てに供したり、畑等に散布して肥料として利用する等、適宜の処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は本発明を適用した食品工場における生ごみの乾燥処理システムの第1の実施の形態を示すもので、一部を断面表示した説明的正面図である。
【図2】図2は図1と同様に一部を断面表示した説明的平面図である。
【図3】図3は図1と同様に一部を断面表示した説明的側面図である。
【図4】図4は本発明を適用した食品工場における生ごみの乾燥処理システムの第2の実施の形態を示すもので、一部を断面表示した説明的系統図である。
【図5】図5は乾燥処理装置の要部の構成の実施の形態を示す透視図である。
【図6】図6は攪拌手段の構成例及び動作を示す要部斜視図である。
【図7】図7は攪拌手段の他の構成例及び動作を示す要部斜視図である。
【図8】図8は攪拌手段の更に他の構成例及び動作を示す要部斜視図である。
【図9】図9は攪拌手段の更に他の構成例及び動作を示す要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に本発明の食品工場における生ごみの乾燥処理装置及びそれを用いた乾燥処理システムの構成及び動作を添付図面を参照して説明する。
まず図1〜図3は乾燥処理システムの第1の実施の形態を示すものであり、符号1は食品工場に設置されているエアコンプレッサーである。食品工場においてエアコンプレッサー1は、それによって発生させた圧縮空気により、粉体又は液体の原材料の搬送、食品加工機の駆動制御、包装、ラベルの印刷等の、様々な工程における駆動源等に利用されており、工場稼働時は常時運転されている。常時運転されているエアコンプレッサー1に発生する熱は、空冷式に除去するものが多く、エアコンプレッサー1を冷却して昇温された冷却用空気は、通常はダクトを介して屋外に排出している。
【0034】
これに対して、本発明では、エアコンプレッサー1を冷却して昇温された冷却用空気は温風供給経路2を構成するダクトを経て乾燥処理装置3に供給し、その処理容器内に投入された生ごみの乾燥に供した後、集塵機を経て外気に排出する。
【0035】
乾燥処理装置3は、上部に給気部4と排気部5及び生ごみ投入部6を設けた処理容器7内に、一対の回転駆動軸8a,8bを横方向に並設して、夫々の回転駆動軸8a,8bに攪拌用アーム9a,9bを突設し、そして夫々の回転駆動軸8a,8bを互いに逆向きに回転駆動する構成としている。即ち、符号10は駆動用のギアモータであり、この駆動用ギアモータ10により、巻掛け伝動機構11と連動機構(図示省略)を介して夫々の回転駆動軸8a,8bを連動させて同じ回転速度で互いに逆向きに回転駆動する構成としている。
【0036】
攪拌用アーム9a,9bは、図に示す実施の形態においては、棒状又は帯板状のアーム部12の先端側に横方向に突出する板体13を設けた構成としており、この板体13は、処理容器7の周壁への生ごみの付着防止を図るものであるが、この板体13は必須ではなく、攪拌用アーム9a,9bは上述した従来の文献に示されるように、板体13を設けずに単なる棒状又は帯板状等のアーム部12のみの構成とすることもできる。
【0037】
更に、この実施の形態においては、回転駆動軸8a,8bに対しての攪拌用アーム9a,9bを取り付けはスリーブ14を介して行っている。スリーブ14は、取り付けねじ(図示省略)等の締結手段により回転駆動軸8a,8bに固定するが、締結手段により固定していない状態においては、回転駆動軸8a,8bの軸方向及び周方向に移動可能であり、このことから、攪拌用アーム9a,9bは、回転駆動軸8a,8bに対して、軸方向の位置と、周方向の角度を適宜に調節して取り付けることができる。
【0038】
ここで、この実施の形態では、夫々の回転駆動軸8a,8bの攪拌用アーム9a,9bの突出長は、一対の回転駆動軸8a,8b間の距離よりも短く、且つ、その距離の半分よりも長く構成している。このような寸法であると、夫々の回転駆動軸8a,8bを連動させて同じ回転速度で互いに逆向きに回転駆動した場合、対向する攪拌用アーム9a,9bの配置によっては、それらが衝突してしまう危険性がある。
【0039】
これに対して本願発明では、夫々の回転駆動軸8a,8bの対向する攪拌用アーム9a,9bを軸方向にずらすことにより回転軌跡の重複をなくして干渉を防止する構成としたり、夫々の回転駆動軸8a,8bの対向する攪拌用アーム9a,9bは、回転軌跡が一部重複するように配置すると共に、回転位相差を設けて干渉を防止する構成とすることにより、干渉を防止することができ、従って、十分な攪拌能力を有する処理容器7をコンパクトに構成することができる。
【0040】
尚、乾燥処理装置3において、符号15は生ごみ等入部6の蓋、16はスライド式取出し口、17はごみ受けを示すものである。
【0041】
以上の乾燥処理装置3を利用し、本発明では、エアコンプレッサー1を冷却して昇温された空気を温風供給経路2を構成するダクトを経て乾燥処理装置3に供給し、その処理容器7内に投入された生ごみの乾燥に供した後、集塵機18を経て外気に排出する生ごみの乾燥処理システムを構成する。
【0042】
このシステムを詳細に説明すると、エアコンプレッサー1から乾燥処理装置3に至る温風供給経路2には、乾燥処理装置3側に送風機19を設けると共に、その上流側に温風の供給調整用のダンパー20を設けている。そして、温風供給経路2により乾燥処理装置3側に供給する温風の温度を制御するために、ダンパー20の下流側に温度センサ21を設置し、この温度センサ21で検知した温度を所定の温度範囲又は温度に維持するためのコントローラー22を設けている。また集塵機18はサイクロン集塵機としている。
【0043】
尚、温風供給経路2のダンパー20よりも上流側にはヒーター等の加熱源による温風供給経路を合流させる構成とすることもできる。
【0044】
以上の構成において、乾燥処理装置3の蓋15を開として生ごみ投入部6から処理容器7内に生ごみを投入して蓋15を閉として運転を開始する。
【0045】
エアコンプレッサー1を冷却して昇温されて温風となった空気は送風機19により吸引されて温風供給経路2のダクトを通り、ダンパー20を経て給気部4から処理容器7内に供給される。
【0046】
処理容器7内に供給された温風は生ごみと接触して水分を蒸発させ、蒸発した水分と共に排気部5から流出し、集塵機18により集塵された後、外気に排出される。
【0047】
本発明の乾燥処理装置3では、処理容器7内に横方向に並設した一対の回転駆動軸8a,8bを連動させて互いに逆向きに回転駆動させるため、生ごみは夫々の回転駆動軸8a,8bに突設した攪拌用アーム9a,9bにより互いに逆向きに力を受ける。
【0048】
このため、回転駆動軸が1本のみ設けられている従来のもののように、生ごみが攪拌用アーム9a,9bと共に一方向に動くだけということがなく、互いに逆向きに移動する攪拌用アーム9a,9bから力をうけて生ごみに剪断も生じ、攪拌が非常に良好に行われ、温風と良好に接触して、効率的に乾燥が行われる。
【0049】
こうして本発明を適用した乾燥処理システムにおいては、処理容器7内の生ごみは温風によって乾燥させられて減容するので、その後の処理が非常に容易となる。即ち、乾燥し、減容した生ごみは、その状態で埋め立てに供したり、畑等に散布して肥料として利用する等、適宜の処理を行うことができる。
【0050】
以上の乾燥処理において、温風供給経路2を経て給気部4から処理容器7内に供給する温風は、50℃又はその近傍の温度を越えないように制御することにより、50℃又はその近傍の温度を越えた場合に生ごみから発生する悪臭を防止することができる。このような温度の制御は、上述したように、コントローラー22により温度センサ21で検知した温度を所定の温度範囲、例えば30℃〜50℃の範囲に維持したり、又は特定の温度50℃に維持するようにして行うことができる。そしてこのような温度制御においては他の熱源を利用することができる。
【0051】
次に、図4はエアコンプレッサー1の排熱以外の熱源を利用した乾燥処理システムの実施の形態を示す模式的説明図である。この実施の形態において、乾燥処理装置3は上記実施の形態のものと同様であるので、図において上記実施の形態の要素と対応する要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図において、符号31は食品工場において必須の機器である冷蔵庫、冷凍庫等の冷熱源である冷凍機を模式的に示すものであり、この冷凍機31も常時運転している。符号32、33及び34は冷凍機31の構成要素である圧縮器、凝縮器及び蒸発器を夫々示すもので、各要素間を結ぶ矢印線は冷媒経路35を示すものである。尚、この模式図においては、冷凍機の構成要素である膨張弁や受液器等は図示を省略している。
【0052】
この実施の形態においては、凝縮器33の上流側に、この凝縮器33に対して直列の直列冷媒経路36を切換弁装置37により切換式に構成可能とし、この直列冷媒経路36に空冷式の凝縮器38を設けると共に、この凝縮器38において冷媒と熱交換して昇温した空気を吹き出す温風吹出部39を構成している。尚、符号40は冷媒コイルであり、41は空気ファンである。
【0053】
以上の構成において、乾燥処理装置3における生ごみの乾燥処理を行わない場合には、切換弁装置37を一方側に動作させて圧縮器32からの冷媒を直列冷媒経路36には流さずに、2点鎖線の矢印に示すように直接的に凝縮器33に流す。従って、この場合には、凝縮器33において冷却水により冷却された冷媒が、膨張弁を経て蒸発器34において蒸発し、この際に冷熱を発生して冷蔵庫や冷凍庫の熱源として供される。
【0054】
次に、乾燥処理装置3において生ごみの乾燥処理を行う場合には、切換弁装置37を動作させて、冷媒を2点鎖線のようには流さずに、実線の矢印に示すように直列冷媒経路36に流す。このため、冷媒は空冷式の凝縮器38の冷媒コイル40において凝縮熱を発生し、この凝縮熱は空気ファン41により流入した空気に移行し、温風となって温風吹出部39から温風供給経路2のダクトを経て乾燥処理装置3の処理容器7内に供給されて生ごみの乾燥処理に供される。
【0055】
空冷式の凝縮器38において空気により冷却された冷媒は直列冷媒経路36から冷媒経路35を経て凝縮器33に至り、そこで更に冷却水により冷却された後、膨張弁を経て蒸発器34に至る。
【0056】
この実施の形態では、空冷式の凝縮器38を経た冷媒は、次に凝縮器33において冷却されるので、空冷式の凝縮器38における冷却が十分でなくても凝縮器33において十分に冷却されるので、蒸発器34における冷熱の発生に悪影響を与えることはなく、しかも発生する熱を生ごみの乾燥処理に有効利用することができる。
【0057】
以上に説明した第1の実施の形態及び第2の実施の形態における熱源としての、エアコンプレッサーや冷凍機の凝縮器に発生する熱は、両方を同時に利用して乾燥処理システムを構成することができる。
【0058】
次に本発明における攪拌手段の他の実施の形態を説明する。
図5は乾燥処理装置3の処理容器7の上部から底部方向を見た透視図であり、攪拌用アーム9a,9bは、帯板状のアーム部12の先端側に横方向に突出する板体13を設けた構成としている。この攪拌用アーム9a,9bは、夫々の回転駆動軸8a,8bに嵌合してスリーブ14に傾斜させて取り付けており、そしてスリーブ14は回転駆動軸8a,8bの軸方向及び周方向に移動可能で、ねじ等の締結手段(図示省略)によって移動不能に固定する構成としている。従って、攪拌用アーム9a,9bは、回転駆動軸8a,8bに対して、軸方向の位置と、周方向の角度を適宜に調節して取り付けることができる。
【0059】
そしてこの例では、回転駆動軸8a,8bの両端側に位置する攪拌用アーム9a,9bは、処理容器7の両側壁42に対応して平坦部43を形成しており、この平坦部43により、側壁42に付着した生ごみを掻き取り可能としている。
【0060】
また、この例では、攪拌用アーム9a,9bは、夫々の回転駆動軸8a,8bに嵌合してスリーブ14に傾斜させて取り付けているため、生ごみに対して処理容器7の長手方向に推進力を与えることができ、この点からも、良好な攪拌が行われる。
【0061】
上述したとおり攪拌用アーム9a,9bは、回転駆動軸8a,8bに対して、軸方向の位置と、周方向の角度を適宜に調節して取り付けることができるので、夫々の回転駆動軸8a,8bの対向する攪拌用アーム9a,9bを軸方向にずらすことにより回転軌跡の重複をなくして干渉を防止する構成としたり、夫々の回転駆動軸8a,8bの対向する攪拌用アーム9a,9bは、回転軌跡が一部重複するように配置すると共に、回転位相差を設けて干渉を防止する構成とすることにより、干渉を防止することができ、従って、十分な攪拌能力を有する処理容器7をコンパクトに構成することができる。
【0062】
そこで、次に攪拌用アーム9a,9bの配置例を説明する。
まず、図6に示す配置例は夫々の回転駆動軸8a,8bの対向する攪拌用アーム9a,9bは、回転軌跡が一部重複するように配置しているが、回転位相差を設けて干渉を防止する構成としたものである。この配置例の回転位相差は、直角の倍数である。
【0063】
また図7に示す配置例は、図6の配置例と同様に、夫々の回転駆動軸8a,8bの対向する攪拌用アーム9a,9bは、回転軌跡が一部重複するように配置しているが、回転位相差を設けて干渉を防止する構成としたものであり、回転位相差は1/2直角の倍数としている。このような配置例においては、1つのスリーブ14に対して複数の攪拌用アーム9a,9bを設ける場合にも効果的に干渉を防止することができる。
【0064】
次に図8に示す配置例は、図7に示す配置例から、一方側の回転駆動軸、この場合、回転駆動軸8aのスリーブ14の位置を、対向する回転駆動軸8bの隣接する2つのスリーブ14間に位置させたものであり、即ち、この配置例では、夫々の回転駆動軸8a,8bの対向する攪拌用アーム9a,9bを軸方向にずらして回転軌跡の重複を無くすか、又は低減すると共に、夫々の回転駆動軸8a,8bの対向する攪拌用アーム9a,9bに回転位相差を設けて干渉を防止する構成とすることにより、干渉を防止した構成である。この配置例においても、1つのスリーブ14に対して複数の攪拌用アーム9a,9bを設ける場合にも効果的に干渉を防止することができる。
【0065】
次に図9に示す配置例は、図6の配置例と同様に、回転軌跡が一部重複するように配置しているが、回転位相差を設けて干渉を防止する構成としたものであり、攪拌用アーム9a,9bをアーム部12のみの構成としたものである。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る乾燥処理システムにおいては、食品工場において常時運転されているエアコンプレッサーや冷凍機の凝縮器に発生する熱を有効利用すると共に、使用しなくなった食品機械を有効利用して、食品工場で日々発生する生ごみを乾燥することができるので、食品工場に適用して多大なる省エネルギーと省資源を図ることができるものである。
【0067】
特に本発明に係る乾燥処理装置では、処理容器内に横方向に並設した一対の回転駆動軸の夫々に攪拌用アームを設け、これらを連動させて互いに逆向きに回転駆動させるため、生ごみは夫々の攪拌用アームにより互いに逆向きに力を受けるので、回転駆動軸が1本のみ設けられている従来のもののように、生ごみが攪拌用アームと共に一方向に動くだけということがなく、互いに逆向きに移動する攪拌用アームから力をうけて生ごみに剪断が生じ、攪拌が非常に良好に行われ、温風と良好に接触して、効率的に乾燥が行われるものである。
【符号の説明】
【0068】
1 エアコンプレッサー
2 温風供給経路(ダクト)
3 乾燥処理装置
4 給気部
5 排気部
6 生ごみ投入部
7 処理容器
8a,8b 回転駆動軸
9a,9b 攪拌用アーム
10 ギアモータ
11 巻掛け伝動機構
12 アーム部
13 板体
14 スリーブ
15 生ごみ投入部の蓋
16 スライド式取出し口
17 ごみ受け
18 集塵機
19 送風機
20 ダンパー
21 温度センサ
22 コントローラー
31 冷凍機
32 圧縮器
33 凝縮器
34 蒸発器
35 冷媒経路
36 直列の冷媒経路
37 切換弁装置
38 空冷式の凝縮器
39 温風吹出部
40 冷媒コイル
41 空気ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に給気部と排気部及び生ごみ投入部を設けた処理容器内に、一対の回転駆動軸を横方向に並設して、夫々の回転駆動軸に攪拌用アームを突設した構成とし、夫々の回転駆動軸は連動させて互いに逆向きに回転駆動させる構成としたことを特徴とする食品工場における生ごみの乾燥処理装置。
【請求項2】
夫々の回転駆動軸の攪拌用アームの突出長は、一対の回転駆動軸間の距離よりも短く、且つ、その距離の半分よりも長く構成し、夫々の回転駆動軸の対向する攪拌用アームを軸方向にずらすことにより、回転軌跡の重複をなくして干渉を防止する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の食品工場における生ごみの乾燥処理装置。
【請求項3】
夫々の回転駆動軸の攪拌用アームの突出長は、一対の回転駆動軸間の距離よりも短く、且つ、その距離の半分よりも長く構成し、夫々の回転駆動軸の対向する攪拌用アームは、回転軌跡が一部重複するように配置すると共に、回転位相差を設けて干渉を防止する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の食品工場における生ごみの乾燥処理装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの乾燥処理装置に給気部から、乾燥用空気として食品工場の排熱を回収した温風を供給する構成としたことを特徴とする食品工場における生ごみの乾燥処理システム。
【請求項5】
給気部から処理容器内に供給する温風は50℃又はその近傍の温度を越えないように制御する構成としたことを特徴とする請求項4に記載の食品工場における生ごみの乾燥処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−189222(P2011−189222A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54962(P2010−54962)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(598044578)株式会社 ミヤシタフーズ (4)
【Fターム(参考)】