説明

食品素材の移載方法および移載装置

【課題】
本発明は、食品素材を受け取り面に配置・移載する際に、食品素材同士の間隔を近づけたり、あるいは、密着した状態で等間隔に移載することが可能な移載手段を提供するものである。
【解決手段】
連続して運行するコンベアを駆動する第一駆動手段と、前記コンベア上を縦列状に間隔を空けて搬送されてくる食品素材を前記コンベアの下方に設けられた受け取り面に等間隔Aに移載すべく搬送方向に前進後退可能な前記コンベアの食品素材排出端部と、前記食品素材排出端部を前進後退するための第二駆動手段と、食品素材の通過を検出する検出装置と、検出装置からの検出信号に基づいてコンベアの搬送方向に沿って前記食品素材排出端部を待機位置から距離Bだけ前進させ、続いて距離A+Bだけ後退させ、この前進後退動作を繰り返し行うように前記第二駆動手段を制御する制御部を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦列状に間隔を空けて搬送される複数のパンや菓子、その他の食品生地の製品(以下食品素材という)を容器、トレイ、ベルトコンベア、バンドオーブンなどの受け取り面に整列して移載する手段に関する。さらに詳しくは、移載される食品素材同士の間隔を近づけたり、あるいは、密着して移載することのできる移載手段に関する。
【背景技術】
【0002】
パン、菓子等の製造工程において、搬送される食品素材を整列移載して受け取り面に供給する手段として、例えば、図5に示すように、不等間隔で搬送されてくる複数の食品素材1Cを所定の間隔に揃えて整列移載する移載装置がある。この移載装置は、食品素材1Cを搬送するベルトコンベアの排出端部41を搬送ベルト49が運行する(食品素材を搬送する)状態で停止待機させ(図5(a)参照)、その排出端部41近傍に設けられた食品素材1Cの通過を検出する検出装置45が食品素材1Cを検出する毎に、設定された距離Aだけ排出端部41を後退させて食品素材1Cを受け取り面51Aに移載することを繰り返す(図5(b)乃至(d)参照)ものである(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】実公平6−8105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に開示された移載装置においては、図6に示すように排出端部41が後退(図面右方向)して食品素材1Cを受け取り面51Aに移載する際に、食品素材1C同士の移載間隔を狭くしたり、さらには、移載される食品素材1Cを互いに接触させて移載するような場合には、排出端部41は、既に移載済み食品素材1Cと近接する(図6(a)参照)ため、排出端部41の回転するコンベア搬送ベルト49と移載済み食品素材1Cが接触して、搬送ベルト49に食品素材1Cが巻き込まれてしまい(図6(b)参照)、巻き込まれた食品素材1Cを排除するために稼動を停止させるなどの事態が生ずる。このような問題は、移載される食品素材1Cがパン生地のような柔らかいときに顕著に発生する。つまり、移載されたパン生地が自重でダレ変形してしまい、次の移載のために後退位置で待機する排出端部41に触れてしまうことで生ずるのである。
【0004】
また、図7に示すように、排出端部41が後退する所定の距離に対して食品素材1Cの寸法が大きい場合には、排出端部41が後退した後でも食品素材1Cが排出端部41から完全に移載されずに食品素材1Cの後端部が載置された状態となってしまい(図7(a)参照)、搬送ベルト49に食品素材1Cが巻き込まれて(図7(b)参照)、稼動を停止するなどの事態が生ずる。
【0005】
本発明は、上記したような問題を解決するものであり、食品素材を受け取り面に配置・移載する際に、食品素材同士の間隔を近づけたり、あるいは、密着した状態で等間隔に移載することが可能な、さらには、安定して連続稼動可能な食品素材の移載手段を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、請求項1に係る発明は、連続して運行するコンベア上を縦列状に間隔を空けて搬送されてくる食品素材を、搬送方向に前進後退可能に設けられた前記コンベアの食品素材排出端部を後退させることにより、コンベアの下方に設けられた受け取り面に前記コンベアの搬送方向に沿って移載するにあたり、前記コンベアに設けられた検出装置によって食品素材の通過を検出し、該検出装置の検出信号に基づいて前記食品素材排出端部を待機位置から距離Bだけ前進させ、続いて食品素材を等間隔Aに配置すべく距離A+Bだけ後退させることを特徴とする食品素材の移載方法である。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、連続して運行するコンベアを駆動する第一駆動手段と、前記コンベア上を縦列状に間隔を空けて搬送されてくる食品素材を前記コンベアの下方に設けられた受け取り面に等間隔Aに移載すべく搬送方向に前進後退可能な前記コンベアの食品素材排出端部と、前記食品素材排出端部を前進後退するための第二駆動手段と、食品素材の通過を検出する検出装置と、検出装置からの検出信号に基づいてコンベアの搬送方向に沿って前記食品素材排出端部を待機位置から距離Bだけ前進させ、続いて距離A+Bだけ後退させ、この前進後退動作を繰り返し行うように前記第二駆動手段を制御する制御部を設けたことを特徴とする食品素材の移載装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コンベア上を縦列状に間隔を空けて搬送されてくる複数の食品素材を距離A(正の数)の間隔で順次受け取り面に移載する際に、食品素材を排出する移載コンベアの排出端部を距離A+B(正の数)後退して待機させることにより、移載済みの食品素材が排出端部を回転するベルトに巻き込まれてしまうなどの問題が生じることがなくなり、安定した連続稼働が可能となった。さらに、次の食品素材を移載する際には、排出端部に食品素材が達した時に排出端部を待機位置から距離B前進させた後、再び距離A+B後退することにより、隣同士の食品素材を距離Aの間隔で移載することができる。したがって、上記動作を繰り返すことにより、複数の食品素材を距離Aの等間隔で順次受け取り面に安定して移載することが可能となった。
【0009】
特に、パン生地のように自重でダレ変形したり、食品素材の大きさが食品素材同士の移載間隔Aより大きいものが含まれるような場合であっても、食品素材同士を密着させて移載することが可能となり、かつ、等間隔に安定して移載することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る移載コンベア4を備えた食パン製造装置1について図面に基づき説明する。図1は、食パン製造装置1の概要を示す説明図である。また、図2は、図1に示された移載コンベア4の概要を示す説明図である。
【0011】
図1および図2を参照して食パン製造装置1の概要を説明する。連続したシート状のパン生地1Aは、コンベア21上を搬送され、コンベア21の上方に設けられた巻き上げ装置2によって連続した棒状のパン生地1Bに成形される。次に、棒状のパン生地1Bは、切断装置3によって一定の大きさのパン生地1Cに切断される。切断されたパン生地1Cは、移載コンベア4によって型詰め装置5に所定の数量で整列移載され搬送される。型詰め装置5では、移載されたパン生地1Cをまとめて食パン型6に型詰めする構成であり、以下本発明に関連する部分を中心に詳述する。
【0012】
シート状のパン生地1Aは、周知のシート生地成形装置によってあらかじめ用意されるものである。例えば、特開平9−172938号公報や特開平9−187213号公報に示されるように、対向する複数の挟圧ローラーを上下に多段に設け、対向する挟圧ローラーの上方の間隔を下方より大きくするV字形状に設けた生地供給装置によって、パン生地を排出するようにしてなるシート状のパン生地である。あるいは、周知の生地供給手段によって成形されたシート状のパン生地を、例えば、特開2003−259791号公報などに示された周知の生地延展装置により所望の厚さに延展成形されたシート状のパン生地である。
【0013】
巻き上げ装置2は、シート状のパン生地1Aをその一端側から巻き上げるものであり、ローラー23は、パン生地1Aの進行方向に対して、ローラー23の先端方向が搬送方向下流に位置するように斜めに配置されている。ローラー23の回転はモーター22によってパン生地1Aを持ち上げる方向(ローラーの先端方向から見て反時計方向)に回転する。
【0014】
従って、この回転するローラー23に接触したシート状のパン生地1Aは、ローラー23によって持ち上げられて徐々に渦状に巻き上げられながら、ローラー23に沿って下流に移動して、ローラー23の先端から離れたときには、棒状のパン生地1Bに成形されて切断コンベア35上を搬送されるものである。なお、ローラー23を配置する角度は、シート状のパン生地1Aの厚みや生地幅、また、生地の性状や棒状のパン生地1Bの直径あるいは、巻き上げ数に応じて適宜調整するものである。
【0015】
棒状のパン生地1Bは、切断装置3により所定の大きさのパン生地1Cに順次切断される。切断装置3には、カッター31、カッター駆動部32、第1秤量コンベア33、第2秤量コンベア34が設けられている。連続体の棒状のパン生地1Bは、第1秤量コンベア33で連続的にその重量が計測され、所望の重量に到達したときに、エアシリンダー機構等のカッター駆動部32が作動してカッター31が上下動し、棒状のパン生地1Bを切断コンベア35上で輪切り状に切断するものである。
【0016】
本実施例では、棒状のパン生地1Bの切断は、秤量コンベア33、34にて重量を計測して切断するようにしているが、その他の例として、棒状のパン生地1Bを定寸法にカットすることでも良い。この場合には棒状のパン生地1Bの切断長さを把握するために、コンベアベルトの進み量を検出するロータリーエンコーダー等の手段を用意することによって、棒状のパン生地1Bから所定の大きさのパン生地1Cを得ることができる。
【0017】
第2秤量コンベア34と移載コンベア4とには、落差を設けている。これは、順次搬送されてくる切断されたパン生地1Cを移載コンベア4に乗り移らせるときに、その落差を設けることにより前転させて切断面が上下方向に向くようにして転置移載して搬送させるものである。また、この段差(高低差)を切断されるパン生地1Cの切断長さに応じて調整することにより、パン生地1Cの前転を確実にし、転置移載を安定して行うことができるものである。
【0018】
移載装置としての移載コンベア4は、連続して運行される無端状の搬送ベルト49上を縦列状に間隔を空けて順次搬送されてくるパン生地1Cを移載コンベア4の排出端部41が後退することにより、排出端部41の下方に設けられた型詰め装置5の搬送部51に順次移載するものである。移載コンベア4の排出端部41は、受け取り面である搬送部51のベルト51Aの搬送面に対して、後述の上下動(揺動)することにより接近離反可能にするとともに、搬送部51のコンベアの進行直角方向に前進後退可能に設けられている。
【0019】
排出端部41の側方には、図示されないブラケットなどを介して食品素材1Cの通過を検出する、例えば、透過式センサーなどの検出装置45が取り付けられている。また、排出端部41の基部は、揺動軸46に軸支されており、水平位置から角度θだけ揺動可能に設けてある。この角度θは、調節可能であり、排出端部41とベルト51Aの搬送面との距離によって適宜決定するものである。排出端部41は、その基部が揺動軸46の近傍に設けたエアシリンダー47のロッド48に連結され、ロッド48の伸縮により揺動軸46を中心として揺動(首振り運動)可能になっている。
【0020】
移載コンベア4の搬送ベルト49を連続的に運行させる第一駆動手段については、公知の手段でよく、搬送ベルト49が巻きかけられた駆動ローラー76をチェーン・スプロケットなどの動力伝達機構を介したモーターM1で駆動すればよい。
【0021】
次に、移載コンベア4の排出端部41を前進後退動作させる第二駆動手段について説明する。移載コンベア4には、コンベアフレーム42に固定されたコンベアプレート43Aとその下流側に往復摺動する伸縮自在プレート43Bが設けられている。伸縮自在プレート43Bの下流側端部は、揺動軸46に軸支されている。さらに、伸縮自在プレート43Bの下流側方は、誘導ガイド71に固着されている。
【0022】
誘導ガイド71は、チェーン72に固着されている。チェーン72は、スプロケット73に掛けられて、伸縮自在プレート43Bと平行となるよう設けられている。チェーン72は、スプロケット73、チェーン74、スプロケット75を介してモーターM2からの駆動が伝達される。従って、モーターM2の出力軸を正逆回転駆動させることにより、揺動ガイド71が往復動し、それに連動して排出端部41が前進後退動作する。また、移載コンベア4の排出端部41の前進後退位置を把握するために、ロータリーエンコーダー77が、ギヤ78A,78Bを介してモーターM2と連動連結するよう設けられている。
【0023】
さらに、排出端部41が後退する際に、アイドルプーリー44も後退し、全体として搬送ベルト49が弛まないようになっている。
【0024】
また、移載コンベア4には、制御部8が設けられている。そして、制御部8は、操作パネル81と制御装置83とを備えている。操作パネル81は、移載コンベア4の搬送速度、排出端部41の前進後退速度や前進後退距離(AやB)、排出端部41の駆動タイミングなどを設定入力するための入力部と表示部を備えている。また、制御装置83は、操作パネル81に設定入力されたデータや検出装置45の検出信号などに基づいて、前記第一駆動手段および第二駆動手段に駆動を指令する制御機能を備えている。なお、食パン製造装置1の各部の駆動を制御する制御部も備えられているが、ここでは、それらの説明は省略する。
【0025】
次に、パン生地1Cが型詰め装置5に移載される工程について説明する。図3は、本実施の形態に係る移載コンベア4の動作を示した説明図である。図1乃至図3に示すように、本実施例においては、パン生地1Cを搬送部51に4個一列にそれぞれ距離Aの間隔で移載するようにしている。移載コンベア4の排出端部41は、搬送ベルト49が連続して運行する状態で、水平な位置から角度θ揺動して降下して基準となる初期の待機位置F1で待機している(図3(a)参照)。次に、移載すべきパン生地1C1が検出装置45に検出され(図3(b)参照)、その検出信号に基づいて制御部8に設定入力された所定時間経過後に、排出端部41は、前進(図面左方向)を開始する。排出端部41は、待機位置F1から距離B前進した後(図3(c)参照)、直ちに距離A+Bだけ後退して停止し、次の待機位置F2で待機する(図3(d)参照)。本実施例においては、排出端部41が前進を終了した時に、パン生地1C1が排出端部41の先端に到達するように前記所定時間を設定している。そして、排出端部41が距離A+B後退することにより、パン生地1C1が搬送部51に移載される(図3(d)参照)。
【0026】
さらに、次のパン生地1C2が検出装置45に検出されてから所定時間経過後に、再び排出端部41が待機位置F2から距離Bだけ前進し、その後直ちに、距離A+Bだけ後退して停止し、さらに次の待機位置F3で待機する。そして、パン生地1C2は、パン生地1C1から距離Aだけ移動した位置で搬送部51に移載される(図3(f)参照)。この時、移載されるパン生地1C2は、先に移載されたパン生地1C1を押すようにしながら移載される(図3(e)参照)。同様にパン生地1C3,1C4は、排出端部41の距離Bの前進と距離A+Bの後退によって搬送部51に順次移載することができる。
【0027】
この距離A+Bだけ後退して待機することの理由は、すでに移載されたパン生地と排出端部41とを離間させるためである。移載の際には、排出端部41が待機位置Fから距離B前進して先に移載されているパン生地1Cに接近してから距離A+B後退するので、4個のパン生地1Cは、移載コンベア4の搬送方向に沿って一列に密着した状態で、かつ、等間隔(距離A)で搬送部51に移載されることになる。
【0028】
排出端部41が待機位置Fから距離B前進した時、排出端部41は、先に移載された食品素材1Cに対して極僅かに離れた状態になるよう設定されており、通常接触することはない。しかし、食品素材が均一な大きさ1Cでない場合や食品素材の性状によりダレ変形したりするような場合に、前進した排出端部41が先に移載された食品素材1Cと接触することがあっても、それらが接触する状態は瞬間的であり、かつ、極めて軽い接触であるから、前述した従来のごとき問題が発生することはない。
【0029】
この前進後退の距離、AとBの値や前記所定時間は、食品素材の大きさや、移載する食品素材同士の距離との関係で設定することができる。なお、排出端部41を駆動するタイミングは、前記所定時間経過後として説明したが、例えば、搬送ベルト49の進み量を検出するロータリーエンコーダー等の手段を用意することによって、搬送ベルト49が所定距離移動した後に設定することも可能である。
【0030】
排出端部41は、4個一列のパン生地1Cを移載した後、角度θ揺動して上昇し、前記待機位置F1まで前進して次のパン生地1Cが搬送されるまで角度θ揺動して降下した状態で待機している。また、この時、後述する型詰め装置5のベルト51Aは、所定の距離だけ移動して4個一列のパン生地1Cを搬送する。
【0031】
次に、パン生地1Cの型詰め装置5について説明する。型詰め装置5は、前記移載コンベア4からパン生地1Cを受け取るためのベルト51Aを有する搬送部51が設けられており、ベルト51Aの下流端部とその下流に隣接するベルト51Bの上流端部が対向接近、離間可能に備えられたベルト開閉部52が設けられている(図1参照)。
【0032】
ベルト開閉部52の上方側面には、ガイドプレート53A,53Bを対向し、且つベルト開閉部52のベルト面に沿って、エアシリンダーの如き駆動手段により接近離反するように前後動可能に設けている。また、ガイドプレート53A,53Bに隣接する側面には、ガイドプレート54A,54Bを対面してエアシリンダーの如き駆動手段により、互いに接近離反可能に設けている。
【0033】
移載コンベア4から搬送部51に移載された4個一列のパン生地1Cは、所定のタイミングにてベルト開閉部52の位置に搬送されて停止待機する。そして、ガイドプレート53A,53Bとガイドプレート54A,54Bが互いに接近方向に動いて一列のパン生地1Cを、さらにひとまとめにして位置決めが行われる。次に、ベルト開閉部52が離間動作を行い、ベルト開閉部52を開くことにより、一列のパン生地1Cがベルト開閉部52の下方に配設された食パン型6内に落下収納されるものである。この位置決めが正確に行われることにより、食パン型6へのスムーズな収納が可能となる。
【0034】
ベルト開閉部52の下方には、食パン型6を搬送供給するパン型搬送部61が設けられている。パン型搬送部61は、食パン型6をベルト開閉部52の下方位置に所定のタイミングにて順次搬送供給するものである。以上の動作が繰り返し行われることにより、食パン型6に複数のパン生地1Cが型詰めされるものである。
【0035】
パン型搬送部61は、搬送される食パン型の構成や形状、例えば一個の食パン型ではなく、3連結されて搬送されてくる場合等に応じて、その搬送構造を適宜変更可能とするものである。また、食パン型6に型詰めされるパン生地1Cの個数を、本実施例では4個を一列として説明しているが、特に4個に限定されるものではない。型詰めする個数をより多くする場合には、移載コンベア4において、一列に移載するパン生地1Cの個数を容易に変更することができる。また、同じ寸法の食パン型6にパン生地1Cの個数を増やして収納する場合には、巻き上げられるパン生地1Bの径を小さくするなどすればよい。
【0036】
また、食パン型6に収納されたときのパン生地1Cの高さは、棒状のパン生地1Bを切断するときの切断長さによって決定されるものであり、食パン型6の深さに応じて、適宜決定することができる。本例においては、型の深さの2分の1から3分の1を棒状のパン生地1Bの切断長さとしている。
【0037】
食パン型6に収納されたパン生地1Cは、常法に従い最終醗酵工程を経た後、焼成工程に移り、食パン型6に蓋をした状態で焼成され、角食パンを得ることができる。
【0038】
本発明の実施の形態に係る移載コンベア4の説明は、概ね上記の通りであるが、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない構成において各種変更可能である。例えば、前記実施例においては、受け取り面としての搬送部51の搬送方向を移載コンベア4の搬送方向に対して直角方向に設けたが、それらの方向を同方向に設けても食品素材を等間隔に移載することができる。
【0039】
また、前記実施例においては、食パン生地の型詰め手段として切断されたパン生地が隣接した状態で配置するよう説明したが、例えば、短尺物の食品素材の他に長尺のシート状食品素材の移載にあたり、先の食品素材の後端部と後の食品素材の先端部とを密着させて移載するようにしたり、あるいは、図4に示すように、食品素材1Cを順次所定の距離だけずらした状態で重ね合わせて移載することも可能である。
【0040】
図4に示された移載コンベア4の排出端部41の動作手順については、図3に基づいて説明した動作手順と同様であるので詳細な説明は省略するが、排出端部41を待機位置Fから距離Bだけ前進させた後、続いて距離A+Bだけ後退させることにより、各食品素材1Cの端部(図面左側)が距離Aだけ移動した状態で等間隔に重ね合って移載される。なお、距離AおよびBの値は、移載する食品素材1Cの長さ移動する距離Aに応じて適宜設定するものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態に係る移載装置を備えた食パン製造装置の概略を示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る移載装置の概要を示す説明図である。
【図3】本実施の形態に係る移載装置の動作を示した説明図である。
【図4】本実施の形態に係る移載装置のその他の動作を示した説明図である。
【図5】従来の移載装置の動作を示した説明図である。
【図6】従来の移載装置の動作を示した説明図である。
【図7】従来の移載装置の動作を示した説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1 食パン製造装置
1A シート状のパン生地
1B 棒状のパン生地
1C 切断されたパン生地
2 巻き上げ装置
3 切断装置
4 移載コンベア
41 排出端部
43B 伸縮自在プレート
44 アイドルプーリー
45 検出装置
46 揺動軸
47 エアシリンダー
49 搬送ベルト
5 型詰め装置
51 搬送部
51A ベルト
6 食パン型
61 パン型搬送部
71 誘導ガイド
72 チェーン
73 スプロケット
74 チェーン
75 スプロケット
76 駆動ローラー
77 ロータリーエンコーダー
8 制御部
81 操作パネル
83 制御装置
A 距離
B 距離
F 待機位置
M1 モーター
M2 モーター
θ 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続して運行するコンベア上を縦列状に間隔を空けて搬送されてくる食品素材を、搬送方向に前進後退可能に設けられた前記コンベアの食品素材排出端部を後退させることにより、コンベアの下方に設けられた受け取り面に前記コンベアの搬送方向に沿って移載するにあたり、前記コンベアに設けられた検出装置によって食品素材の通過を検出し、該検出装置の検出信号に基づいて前記食品素材排出端部を待機位置から距離Bだけ前進させ、続いて食品素材を等間隔Aに配置すべく距離A+Bだけ後退させることを特徴とする食品素材の移載方法。
【請求項2】
連続して運行するコンベアを駆動する第一駆動手段と、前記コンベア上を縦列状に間隔を空けて搬送されてくる食品素材を前記コンベアの下方に設けられた受け取り面に等間隔Aに移載すべく搬送方向に前進後退可能な前記コンベアの食品素材排出端部と、前記食品素材排出端部を前進後退するための第二駆動手段と、食品素材の通過を検出する検出装置と、検出装置からの検出信号に基づいてコンベアの搬送方向に沿って前記食品素材排出端部を待機位置から距離Bだけ前進させ、続いて距離A+Bだけ後退させ、この前進後退動作を繰り返し行うように前記第二駆動手段を制御する制御部を設けたことを特徴とする食品素材の移載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−321644(P2006−321644A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−148471(P2005−148471)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(000115924)レオン自動機株式会社 (98)
【Fターム(参考)】