説明

駆動回路

【課題】電力ロスを低減しつつセンサ回路に供給される電圧の安定化を図ることができるセンサ駆動回路を安価に提供する。
【解決手段】ブリッジ回路Bに対して正電圧を供給する方向に導通するトランジスタQ1が、ブリッジ回路Bと図示しない交流電圧源との間に設けられている。ダイオードブリッジ12が、ブリッジ回路Bと図示しない交流電圧源との間に設けられ、ブリッジ回路Bに供給される交流電圧を全波整流する。比較回路13が、ブリッジ回路Bに供給された交流電圧と電圧Vthとを比較して、ブリッジ回路Bに供給される交流電圧の大きさが電圧Vthを越えないようにトランジスタQ1を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動回路に係り、特に、負荷回路に対して電源を供給する駆動回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述した負荷回路として、例えば、図4に示されたブリッジ回路Bが一般的に知られている。同図に示すように、このブリッジ回路Bを組み込んだガス検出装置1は、検出素子2と比較素子3とを有している。検出素子2は、可燃ガスとの接触燃焼を促進する触媒が担持されたアルミナ担体から構成された触媒担持体21と、この触媒担持体21に覆われた第1測温抵抗体としての白金コイルRsと、から構成されている。比較素子3は、可燃ガスに対して不感となる材料であるアルミナ担体のみから構成された触媒非担持体31と、この触媒非担持体31に覆われた第2測温抵抗体としての白金コイルRrと、から構成されている。
【0003】
上記検出素子2の白金コイルRsと、比較素子3の白金コイルRrとは、可燃ガスのない空気中(エアベース)では等しい抵抗値になるように設けられている。上述した検出素子2及び比較素子3は、固定抵抗R1、R2と共にブリッジ回路B(負荷回路)を構成している。このブリッジ回路Bの端子aと端子bとの間には、駆動回路100からの一定電圧E0が供給されている。一定電圧E0を供給すると、検出素子2が加熱されて可燃ガスと接触燃焼する。
【0004】
以上の構成によれば、ブリッジ回路Bは可燃ガスのない空気中では平衡状態となり、端子cと端子dとの電位が等しくなる。これに対して、可燃ガスを含む空気中では可燃ガスとの燃焼熱により検出素子2の温度が上昇し、これに伴って検出素子2の白金コイルRsの抵抗値が増加する。一方、比較素子3は可燃ガスと接触燃焼しないため、検出素子2の温度より低くなる。このため、ブリッジ回路Bは不平衡状態となり、端子cと端子dとの間に電位差が生じる。OPアンプA1は、上記電位差を周囲温度による白金コイルRsの抵抗値の変動分を相殺した可燃ガスの濃度に応じたセンサ出力V0として出力する。
【0005】
次に、図5を参照してブリッジ回路Bに供給される電圧が2.1V(標準)であるときのセンサ出力V0を計算してみる。今、エアベースにおいて白金コイルRsの抵抗値=3.85Ω、白金コイルRrの抵抗値=3.5Ω、固定抵抗R1の抵抗値=3.85kΩ、固定抵抗R2の抵抗値=3.5kΩ、とすると、検出素子2と比較素子3との中間電圧Vmは下記の式(1)に示す値となる。また、固定抵抗R1と固定抵抗R2との中間電圧Vkは下記の式(2)に示す値となる。
Vm=2.1V×3.5Ω/(3.85Ω+3.5Ω)=1.000V …(1)
Vk=2.1V×3.5kΩ/(3.85kΩ+3.5kΩ)=1.000V …(2)
よって、センサ出力V0(=Vm−Vk)は0Vとなる。
【0006】
次に、図6を参照してブリッジ回路Bに供給される電圧が2.1V(標準)から約10%増しの2.3Vに変化したときのセンサ出力V0を計算してみる。今、エアベースにおいて白金コイルRs、Rr、固定抵抗R1、R2の抵抗値が図5と同じであるとすると、検出素子2と比較素子3との中間電圧Vmは下記の式(3)に示す値となる。また、固定抵抗R1と固定抵抗R2との中間電圧Vkは下記の式(4)に示す値となる。
Vm=2.3V×3.5Ω/(3.85Ω+3.5Ω)≒1.095238V …(3)
Vk=2.3V×3.5kΩ/(3.85kΩ+3.5kΩ)≒1.095238V …(4)
よって、センサ出力V0(=Vm−Vk)は0Vとなる。
【0007】
以上のことから明らかなように、初期状態(エアベース、基底温度)でVm=Vkとするようにブリッジ回路Bのバランスが設定されるなら、ブリッジ回路Bに供給する電圧が変化しても、Vm=Vkであって、その結果、センサ出力V0は0Vから変化しない。これは、ブリッジ回路Bに供給する電圧が変化しても白金コイルRs、Rrの抵抗値の比が変わらないと仮定した場合のみに成立する。しかしながら、実際には白金コイルRs、Rrは、その構成材料の違いに起因して熱抵抗及び抵抗値温度係数に差がある。このため、ブリッジ回路Bに供給する電圧が変化して検出素子2及び比較素子3の温度が変化すると、白金コイルRs、Rrの抵抗値の比が変わってしまい、センサ出力V0を一定にすることができない。
【0008】
上記詳細を以下説明する。今、2.1Vの電圧がブリッジ回路Bに供給されているとき、白金コイルRs、Rrの両者の抵抗値が3.5Ωであるとする。このとき、白金コイルRs、Rrに流れる電流iは、2.1V/(3.5Ω+3.5Ω)=300mAとなる。よって、白金コイルRs、Rrの各々に発生する電力pは、(300mA)2×3.5Ω=315mWとなる。このとき、検出素子2の25℃を基点温度とした熱抵抗が標準値1190℃/Wの5%増しである1250℃/Wであり、比較素子3の熱抵抗が標準値1190℃/Wの5%減である1130℃/Wであり、検出素子2と比較素子3との熱抵抗に差があるとする。
【0009】
315mWの電力が発生しているときの白金コイルRsの温度Ts(315mW)は、下記の式(5)に示す値となる。
Ts(315mW)=25℃+(1250℃/W)×0.315W
=25℃+393.75℃
=418.75℃ …(5)
【0010】
また、基点温度25℃での白金コイルRsの抵抗値を1.647Ωとすると、検出素子2の抵抗値温度係数TCRsは下記の式(6)に示す値となる。
3.5Ω=1.647Ω×{1+TCRs×(418.75℃−25℃)}
2.125=1+TCRs×393.75℃
1.125=TCRs×393.75℃
TCRs=2857ppm/℃ …(6)
【0011】
一方、315mWの電力が発生しているときの白金コイルRrの温度Tr(315mW)は、下記の式(7)に示す値となる。
Tr(315mW)=25℃+(1130℃/W)×0.315W
=25℃+355.95℃
=380.95℃ …(7)
【0012】
また、基点温度25℃での白金コイルRrの抵抗値を1.647Ωとすると、比較素子3の抵抗値温度係数TCRrは下記の式(8)に示す値となる。
3.5Ω=1.647Ω×{1+TCRs×(380.95℃−25℃)}
2.125=1+TCRr×355.95℃
1.125=TCRr×355.95℃
TCRr=3161ppm/℃ …(8)
【0013】
次に、ブリッジ回路Bに供給する電圧が変動したときの白金コイルRs、Rrの抵抗値について求める。一般に負荷の抵抗値Rが不変であるなら、印加電圧Vが変化すれば、電力P=V2×Rの関係から、電力Pは印加電圧Vの変化分の2乗の変化として現れる。しかしながら、白金コイルRs、Rrは、ブリッジ回路Bに供給される電圧が上昇し、消費電力が増すと、その抵抗値も上昇する。このため、ブリッジ回路Bに供給される電圧が増加した結果として、白金コイルRs、Rrの電力が供給される電圧の変化分の2乗倍になることはない。そこで、ブリッジ回路Bに供給する電圧が僅かに増加した結果、白金コイルRs、Rrの双方に発生する電力が+2%増したときの、白金コイルRs、Rrの抵抗値について計算してみる。このとき、白金コイルRs、Rrには、315mW×1.02=321.3mWの電力が発生する。
【0014】
よって、321.3mWの電力が発生しているときの白金コイルRsの温度Ts(321.3mW)は、下記の式(9)に示す値となる。
Ts(321.3mW)=25℃+(1250℃/W)×0.3213W
=25℃+401.625℃
=426.625℃ …(9)
【0015】
次に、上記式(6)に示す白金コイルRsの抵抗値温度係数TCRs=2857ppm/℃を用いて、321.3mWの電力が発生しているときの白金コイルRsの抵抗値Rs(321.3mW)を求めると、下記の式(10)に示す値となる。
Rs(321.3mW)=1.647Ω×{1+TCRs×(426.625℃−25℃)}
=1.647Ω×(1+2857ppm/℃×401.625℃)
=1.647Ω×(1+1.14744)
=1.647Ω×2.14744
=3.53683Ω …(10)
【0016】
また、321.3mWの電力が発生しているときの白金コイルRrの温度Tr(321.3mW)は、下記の式(11)に示す値となる。
Tr(321.3mW)=25℃+(1130℃/W)×0.3213W
=25℃+363.069W
=388.069℃ …(11)
【0017】
次に、上記式(8)に示す白金コイルRrの抵抗値温度係数TCRr=3161ppm/℃を用いて、321.3mWの電力が発生しているときの白金コイルRrの抵抗値Rr(321.3mW)を求めると、下記の式(12)に示す値となる。
Rr(321.3mW)=1.647Ω×{1+TCRr×(388.069℃−25℃)}
=1.647Ω×(1+3161ppm/℃×363.069℃)
=1.647Ω×(1+1.1476611)
=1.647Ω×2.1476611
=3.53719Ω …(12)
よって、Rs(321.3mW)≠Rr(321.3mW)となる。
【0018】
上述した例では、白金コイルRs、Rrの基点温度25℃での抵抗値が双方とも1.647Ωで、ブリッジ回路Bに2.1Vを供給したときの白金コイルRs、Rrの抵抗値が3.5Ωであり、白金コイルRs、Rrの抵抗値の比が1:1である。しかしながら、検出素子2と比較素子3との熱抵抗に差が生じていると、ブリッジ回路Bに供給する電圧が変化して白金コイルRs、Rrに発生する電力及び温度が変化すると、白金コイルRs、Rrの抵抗値の比が変わってしまい、センサ出力V0を一定にすることができない。
【0019】
このため、例えば変動幅±10%程度の100V商用交流電圧を電源トランスで降圧させた交流電圧を直接ブリッジ回路Bに供給すると、ブリッジ回路Bに供給される電圧が常に変動するため、エアベース、基点温度25℃の状態でセンサ出力V0が変動してしまい、正確にガス濃度を検出することができない。
【0020】
そこで、一定電圧E0をブリッジ回路Bに対して供給する駆動回路100として、例えば図7に示すようなブリッジ整流(両波整流)方式の駆動回路100が知られている。同図(A)に示すように、駆動回路100は、電源トランス101と、ダイオードブリッジ102と、コンデンサC1と、レギュレータ103と、を備えている。電源トランス101は、図示しない交流電圧源から供給される交流電圧を降圧するトランスである。ダイオードブリッジ102は、4つのダイオードから構成されていて、電源トランス101から供給される交流電圧を全波整流してコンデンサC1に供給する。コンデンサC1は、同図(B)に示すように、全波整流された交流電圧を平滑化してレギュレータ103に対して供給する。レギュレータ103は、コンデンサC1から供給される電圧の同図(B)中の斜線部分を熱損失させて、一定電圧E0をブリッジ回路Bに供給する。
【0021】
レギュレータ103は、上述したように同図(B)中の斜線部分を熱損失させて一定電圧E0を得ているため、電力ロスが大きい、という問題があった。また、上述したレギュレータ103には、当然一定電圧E0以上の電圧を供給する必要があるため、大きな容量値のコンデンサC1が必要となり、スペース的、コスト的に問題があった。次に、一定電圧E0を電源トランス101から供給される50Hzの交流電圧のピーク電圧Vpkの70%としたとき(∵E0=Vpk×0.7)、Vpk×0.7以上の電圧をレギュレータ103の入力電圧として維持するのに必要なコンデンサC1の容量について求めてみる。今、7m秒でVpkからVpk×0.7に下がると仮定すると、下記の式(13)が成立する。
0.7=1−e-(7m秒/CR) …(13)
なお、C=コンデンサC1の容量、R=ブリッジ回路Bの抵抗値に相当する。よって、R=7Ωとすると、C≒1200μFとなり、決して、小さくはない容量が必要であることが分かる。
【0022】
また、従来、上述したガス検出装置1のブリッジ回路Bに電源を供給する駆動回路100としては、例えば図8に示すようなダイオードブリッジ102の代わりに1つのダイオードDを設けた半波整流方式の駆動回路100が知られている。ダイオードDは、電源トランス101から供給される交流電圧を半波整流してコンデンサC1に供給する。コンデンサC1は、同図(B)に示すように、半波整流された交流電圧を平滑化してレギュレータ103に対して供給する。上述した半波整流方式の駆動回路100において電源トランス101から供給される電圧は、1個のダイオードDに流れる。このため、半波整流方式の駆動回路100は、ブリッジ整流方式の駆動回路100に比べてダイオードによる電圧ロス分を1個分低減することができる。
【0023】
しかしながら、上述した半波整流方式の駆動回路100は、ブリッジ整流方式の駆動回路100と同様にレギュレータ103により同図(B)中の斜線部分を熱損失させて一定電圧E0を得ているため、電力ロスが大きい、という問題を解決していない。また、半波整流方式の駆動回路100に用いるコンデンサC1は、その容量がブリッジ整流方式の駆動回路100に用いられるコンデンサC1の容量よりも大きくなり、より一層スペース的、コスト的に問題があった。
【0024】
次に、半波整流方式の駆動回路100において、一定電圧E0を電源トランス101から供給される50Hzの交流電圧のピーク電圧Vpkの70%としたとき(∵E0=Vpk×0.7)、Vpk×0.7以上の電圧をレギュレータ103の入力電圧として維持するのに必要なコンデンサC1の容量について求めてみる。今、ブリッジ整流方式よりも10m秒長い17m秒でVpkからVpk×0.7に下がると仮定すると、下記の式(14)が成立する。
0.7==1−e-(17m秒/CR) …(14)
なお、C=コンデンサC1の容量、R=ブリッジ回路Bの抵抗値に相当する。よって、R=7Ωとすると、C≒2900μFとなり、ブリッジ整流方式にも増して、決して、小さくはない容量が必要であることが分かる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
そこで、本発明は、電力ロスを低減しつつ負荷回路に供給される電圧の安定化を図ることができる駆動回路を安価に提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、負荷回路に対して電源を供給する駆動回路において、前記負荷回路と交流電圧源との間に設けられ、かつ、前記負荷回路に対して正電圧を供給する方向に導通する半導体スイッチ手段と、前記負荷回路と前記交流電圧源との間に設けられ、前記負荷回路に供給される交流電圧を全波整流するダイオードブリッジと、前記負荷回路に供給された交流電圧と所定値とを比較して、前記負荷回路に供給される交流電圧の大きさが前記所定値を越えないように前記半導体スイッチ手段を制御する比較手段と、を備えたことを特徴とする駆動回路に存する。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、コンデンサが必要ない。しかも、半導体スイッチ手段を用いて所定値を超えた交流電圧を交流電圧源から取り込まないように電圧制限されているので、レギュレータのように所定値を越えた交流電圧を交流電圧源から取り込んで所定値以上の電圧を熱損失させて一定電圧を得ていないため、電力ロスを低減しつつ負荷回路に供給される電圧の安定化を図ることができる駆動回路を安価に得ることができる。また、ダイオードブリッジを設けることにより、正の交流電圧の大きさを所定値に電圧制限する半導体スイッチ手段と、負の交流電圧の大きさを所定値に電圧制限する半導体スイッチ手段と、を別々に設ける必要がなく、コストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、ガス検出装置1は、負荷回路としてのブリッジ回路Bと、OPアンプA1と、駆動回路10と、を備えている。ブリッジ回路Bは、検出素子2と、比較素子3と、固定抵抗R11及びR12と、可変抵抗RV1と、から構成されている。上記検出素子2及び比較素子3は、互いに直列に接続されている。
【0029】
検出素子2は、可燃ガスとの接触燃焼を促進する触媒が担持されたアルミナ担体から構成された触媒担持体21と、この触媒担持体21に覆われた第1測温抵抗体としての白金コイルRsと、から構成されている。比較素子3は、可燃ガスに対して不感となる材料であるアルミナ担体のみから構成された触媒非担持体31と、この触媒非担持体31に覆われた第2測温抵抗体としての白金コイルRrと、から構成されている。上記検出素子2の白金コイルRsと、比較素子3の白金コイルRrとは、可燃ガスのない空気中(エアベース)では等しい抵抗値になるように設けられている。
【0030】
上記固定抵抗R11、R12及び可変抵抗RV1は互いに直列に接続されていて、検出素子2及び比較素子3に並列に接続されている。OPアンプA1は、その−入力が抵抗を介して検出素子2及び比較素子3の中間電圧Vmに接続され、+入力が抵抗を介して固定抵抗R11と固定抵抗R12との間の可変抵抗RV1により可変な中間電圧Vkが供給されている。また、OPアンプA1は、その+入力が抵抗を介して接地されている。よって、OPアンプA1の出力は、中間電圧Vmと中間電圧Vkとの差(=Vm−Vk)となる。このOPアンプA1の出力が、センサ出力V0となる。
【0031】
駆動回路10は、電源トランス11と、ダイオードブリッジ12と、半導体スイッチ手段としてのトランジスタQ1と、比較回路13と、を備えている。電源トランス11は、図示しない交流電圧源から供給される交流電圧を降圧するトランスである。電源トランス11の一端は、ダイオードブリッジ12の端子eに接続されている。一方、電源トランス11の他端は、ダイオードブリッジ12の端子fに接続されている。
【0032】
ダイオードブリッジ12は、4つのダイオードから構成されている。ダイオードブリッジ12は、ブリッジ回路Bと電源トランス11との間に設けられ、ブリッジ回路Bに供給される交流電圧を全波整流する。
【0033】
トランジスタQ1は、ブリッジ回路Bの検出素子2及び固定抵抗R11の接続点とダイオードブリッジ12の端子gとの間に設けられている。トランジスタQ1は、ブリッジ回路Bに対して正の交流電圧を供給する方向に導通する、即ち矢印Y11方向に電流が流れるpnp型のトランジスタである。
【0034】
上記比較回路13は、OPアンプA2から構成されている。OPアンプA2は、−入力が抵抗を介して電圧Vth(所定値)に接続されている。OPアンプA2は、+入力がブリッジ回路Bの検出素子2と固定抵抗R11との接続点が接続されている。OPアンプA2の−入力と出力とは抵抗を介して接続されている。よって、OPアンプA2は、ブリッジ回路Bに供給される交流電圧が電圧Vthを超えたときにHレベルを出力し、ブリッジ回路Bに供給される交流電圧が電圧Vth以下のときにLレベルを出力する。OPアンプA2は、その出力が抵抗を介してトランジスタQ1のベースに接続されている。
【0035】
よって、図2(A)及び(B)に示すように、比較回路13は、ブリッジ回路Bに供給される全波整流された交流電圧が電圧Vth以下のときはLレベルを出力してトランジスタQ1を導通状態に制御する。これにより、電源トランス11からの交流電圧が第1トランジスタQ1を通じてブリッジ回路Bに供給される。また、比較回路13は、ブリッジ回路Bに供給される全波整流された交流電圧が電圧Vthを越えるとHレベルを出力してトランジスタQ1を非導通状態に制御する。これにより、ブリッジ回路Bに供給される交流電圧が電圧Vthを下回ると再びLレベルを出力してトランジスタQ1を導通状態にする。即ち、比較回路13は、Hレベル、Lレベルの出力を繰り返して、トランジスタQ1を通じてブリッジ回路Bに供給される全波整流された交流電圧の大きさが電圧Vthを越えないように電圧制限を行う。以上の駆動回路10によれば、図2に示すように、ダイオードブリッジ12により全波整流された交流電圧が電圧Vthで一定になるように電圧制限される。
【0036】
以上の駆動回路10によれば、トランジスタQ1を用いて電圧Vthを超えた大きさの交流電圧を図示しない交流電圧源から取り込まないように電圧制限されている。これに対して、従来のレギュレータは、電圧Vthを超えた大きさの交流電圧を図示しない交流電圧源から取り込んで電圧Vth以上の大きさの電圧を熱損失させて一定電圧を得ている。よって、上記駆動回路10によれば、電力ロスを低減しつつブリッジ回路Bに電圧Vthでほぼ一定との電圧を供給することができる。さらに、コンデンサも必要ないので、省スペース化及びコストダウンを図ることができる。
【0037】
次に、実効値1Vの交流電圧と同じ電力を供給するための電圧Vthの設定方法について図3を参照して以下説明する。図3(A)に示すように、実効値1Vの交流電圧のピーク電圧は1×√2=1.414Vとなる。次に、電圧Vthをピーク電圧の1/√2に設定したとき、図3(A)の斜線で示す電力と同一電力を得るためには、1.21倍の交流電圧を供給すればよい。即ち、図3(B)に示すように、ピーク電圧1.414V×1.21=約1.7Vの交流電圧を電圧Vth=1V×1.21=1.21Vで制限すると、図3(A)の斜線で示す電力と図3(B)の斜線で示す電力とが等しくなる。
【0038】
次に、実効値2.1Vの交流電圧と同じ電力を供給するために電圧Vthの設定方法について参照して以下説明する。電圧Vthをピーク電圧の1/√2に設定したとき、実効値2.1Vの交流電圧と同じ電力を供給するには、実効値2.1Vの交流電圧を1.21倍すればよい。即ち、図3(C)に示すように、ピーク電圧=2.1×√2×1.21≒3.58Vの交流電圧を電圧Vth=2.1×1.21≒2.54V制限した電圧をブリッジ回路Bに供給すればよい。
【0039】
また、ダイオードブリッジ12を構成するダイオードの順方向電圧Vfを考慮すると、順方向電圧Vf=2Vであれば2×2Vだけ加算したピーク電圧3.58V+2V=5.58Vの交流電圧を電源トランス11から供給すればよい。
【0040】
なお、上述した実施形態によれば、電圧Vthを交流電圧のピークの1/√2倍に設定していたが、本発明はこれに限ったものではない。電圧Vthを交流電圧のどの位置に設定するかは、ブリッジ回路Bの熱容量、放熱容量によって異なる。
【0041】
また、上述した実施形態によれば、負荷回路として、検出素子2及び比較素子3を備えたブリッジ回路Bを用いていたが、本発明はこれに限ったものではない。一定電圧の供給が必要な負荷回路であればよい。
【0042】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1実施形態における本発明のセンサ駆動回路を組み込んだガス検出装置を示す回路図である。
【図2】(A)及び(B)は図1に示す駆動回路からブリッジ回路に供給される電圧及び比較回路の出力、のタイムチャートである。
【図3】実効値1Vの交流電圧と同じ電力を供給するための電圧Vthの設定方法と、実効値2.1Vの交流電圧と同じ電力を供給するために電圧Vthの設定方法とを説明するためのグラフである。
【図4】従来のセンサ回路を組み込んだガス検出装置の一例を示す回路図である。
【図5】図4のブリッジ回路に供給される電圧が2.1Vであるときのセンサ出力を求めるための説明図である。
【図6】図4のブリッジ回路に供給される電圧が2.3Vであるときのセンサ出力を求めるための説明図である。
【図7】(A)はブリッジ整流方式の駆動回路の一例を示す回路図であり、(B)は(A)に示すレギュレータに供給される電圧のタイムチャートである。
【図8】(A)は半波整流方式の駆動回路の一例を示す回路図であり、(B)は(A)に示すレギュレータに供給される電圧のタイムチャートである。
【符号の説明】
【0044】
10 駆動回路
12 ダイオードブリッジ
13 比較回路
B ブリッジ回路(負荷回路)
Q1 トランジスタ(半導体スイッチ手段)
Vth 電圧(所定値)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷回路に対して電源を供給する駆動回路において、
前記負荷回路と交流電圧源との間に設けられ、かつ、前記負荷回路に対して正電圧を供給する方向に導通する半導体スイッチ手段と、
前記負荷回路と前記交流電圧源との間に設けられ、前記負荷回路に供給される交流電圧を全波整流するダイオードブリッジと、
前記負荷回路に供給された交流電圧と所定値とを比較して、前記負荷回路に供給される交流電圧の大きさが前記所定値を越えないように前記半導体スイッチ手段を制御する比較手段と、
を備えたことを特徴とする駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−124184(P2010−124184A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295326(P2008−295326)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】