骨形成および骨リモデリングのための組成物および方法
Wnt共受容体LRP5の高骨量(HBM)変異(G171V)がカノニカルWntシグナル伝達を調節するメカニズムを調べた。変異は、Dkkタンパク質−1媒介アンタゴニズムを低下させることが既に示されており、G171が位置する第1のYWTD反復領域がDkkタンパク質媒介アンタゴニズムを引き起こし得ることが示唆された。しかし、第1の反復領域でなく、第3のYWTD反復領域が、DKK1媒介アンタゴニズムに必要とされることを見いだした。その代わり、G171V変異は、LRP5と、共受容体の細胞表面への輸送に必要とされるLRP5/6のためのシャペロンタンパク質であるMesdとの相互作用を妨げ、細胞表面上のLRP5分子が少なくなることを見いだした。細胞表面LRP5分子のレベルの低下により、パラクリンパラダイムにおいてWntシグナル伝達の低下がもたらされたが、変異は、オートクリンパラダイムにおいて同時発現Wntの活性に影響を与えないようであった。骨芽細胞がオートクリンカノニカルWnt、Wnt7bを生成すること、および骨細胞がパラクリンDkk1を生成するという所見と相俟って、G171V変異は、オートクリンWntの活性に影響を与えずに、パラクリンDkk1がアンタゴナイズするように目標の数を減少させることによって、骨芽細胞におけるWnt活性の増加を生じさせ得ると考える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その開示内容が参照により本明細書に組み入れられる「骨形成を刺激するための組成物および方法(Compositions and Methods for Stimulation of Bone Formation)」という名称の2003年9月22日出願の米国仮特許出願第60/504,860号の利益を主張するものである。
【0002】
本出願は、2004年5月19日に出願のDan Wuらによる「骨形成および細胞の自己再生を刺激または増強するための組成物および方法(Compositions and Methods for the Stimulation or Enhancement of Bone Formation and the Self-Renewal of Cells)」という題名の特許出願に関連し、該特許出願の全内容がそのまま全部参照により本明細書に組み入れられる。
【0003】
本出願は、いずれの開示内容も参照により本明細書に組み入れられる、2004年5月19日出願の出願第10/849,067号の一部継続である、2005年3月18日出願の出願第11/084,668号の一部継続である、2005年4月1日出願の出願第11/097,518号の一部継続である。
【0004】
本発明は、骨折、骨疾患、骨損傷、骨異常、腫瘍、成長またはウィルス感染の治療における、ならびにグルコース代謝、脂質代謝、トリグリセリド代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成および骨関連活性を含むがそれらに限定されない病態生理学的過程を調節するための、治療方法、組成物およびそれらの使用の分野に関する。より詳細には、本発明の方法および組成物は、骨形成または骨リモデリングの刺激、増強および阻害を指向する。
【背景技術】
【0005】
骨粗鬆症は、主要な周知の健康問題であり、特に高齢化人口に多い(1、15、21)。65歳以上の人に生じる骨折の大半は、骨粗鬆症による(15、40)。最大骨量は、骨粗鬆症骨折のリスクを確立する上で決定的な因子であり(Heaneyら、2000年)、遺伝因子が最大骨量の差に有意に寄与することが研究によって示されている。骨量を調節する遺伝子の1つが、ポジショナルクローニングにより最近同定された。カノニカルWntシグナル伝達経路に対する共受容体である低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質5(LRP5)における機能的変異の欠失(27)は、ヒトにおける骨密度の低下を示す常染色体性劣性障害である骨粗鬆症偽膠腫症候群(OPPG)に関連することが判明した(9)。加えて、家族性高骨量(HBM)表現型を示す2つの独立した家系は、LRP5におけるVal置換変異(G171V)に対するGly171を含むことが判明した。より最近になって、G171V変異の同一の構造領域(structural domain)にさらなるHBM変異が報告された(36)。LRP5遺伝子が遺伝子ターゲッティングによって不活性化されたマウスは、OPPG患者のそれと類似の表現型を示し(16)、マウスにおけるLRP5G171Vの遺伝子導入発現がHBMをもたらした(2)。さらに、マウスの一次骨芽細胞は、LRP5の不在下でWntに対する応答性の低下を示し(16)、Wnt(9)または活性化ベータカテニン(4)は、カノニカルWntシグナル伝達活性を刺激し、骨芽様細胞における骨芽マーカアルカリホスファターゼ(AP)の生成を誘発した。併せて、これらの証拠は、カノニカルWntシグナル伝達経路が骨発育の調節に重要な役割を果たすことを示している。
【0006】
Wnt
分泌性糖タンパク質のWntファミリーは、発育上重要なシグナル伝達分子の主なファミリーの1つであり、糖代謝、骨リモデリング、脂質生成、神経形成、幹細胞生物学および腫瘍形成を含む広範な生物学的過程および病態生理学的過程を調節することが示された。カノニカルWntシグナル伝達経路は、カノニカルWntがLDL受容体関連タンパク質(LRP)5/6およびフリズルド(Fz)タンパク質からなるそれらの受容体複合体に結合することによって開始される。まだ十分に特性決定されていないメカニズムを介して、Wntの不在下でユビキチン媒介タンパク質分解を介して分解されるベータカテニンが安定化されて、細胞基質レベルのβ−カテニンが増加する。遊離ベータカテニンは、核に入り、TCF/LEF−1転写因子を有する複合体における遺伝子転写を活性化させる(61〜66)。加えて、Wnt経路は、ポリペプチドのDickkopf(Dkk)ファミリーを含む多くの天然アンタゴニストによって負に調節される(67、68)。Dkkは、LRP5/6に結合し、恐らくは受容体タンパク質の不活性化をもたらす(34)。ヒトおよびマウスの両方の遺伝子的根拠は、Wnt共受容体LRP5が骨リモデリングの調節に重要な役割を果たすことを示している。低次形態対立遺伝子またはゼロ対立遺伝子は、骨粗鬆症の早期の発症をもたらす(14)のに対して、異なる変異対立遺伝子は、高骨量表現型に関連する(32、5、51)。変異は、カノニカルWntシグナル伝達のDkk媒介アンタゴニズムを間接的に低下させたこと(69)が以前に示されており、骨量の増加のための潜在的な治療目標としてのDkk−LRP5相互作用が示唆されている。
【0007】
最近まで、カノニカルWntシグナル伝達経路は、WntがフリズルドFzタンパク質に結合したときに開始すると考えられていた。7つの膜貫通領域含有Fzタンパク質が、ディシブルドタンパク質を含む定義が不十分なメカニズムを通じて、ベータカテニンのグリコーゲン合成酵素キナーゼ3(GSK3)独立リン酸化を抑制する。この抑制は、ベータカテニンの安定化をもたらす。次いで、ベータカテニンは、リンパ系増強因子−1(LEF−1)およびT細胞因子(TCF)を含む転写調節剤(transcription regulator)と相互作用して、遺伝子転写を活性化させる(7、10、38)。最近、遺伝子および生化学の研究により、Fzタンパク質に加えて、共受容体もカノニカルWntシグナル伝達に必要であることを示す堅実な証拠が提示された(27、28)。LRP5/6(LRP5またはLRP6)のフライオルソログ(fly ortholog)であるアロー(Arrow)は、Wnt−1のフライオルソログであるWgのシグナル伝達に必要であることが判明した(37)。LRP5およびLRP6は、基本的には同様に機能するが、異なる発現パターンを示す密接な相同体である。加えて、LRP6は、Wnt1に結合し、ツメガエル胎児におけるWnt誘発発育過程を調節することが判明した(34)。さらに、LRP6が欠如したマウスは、様々なWntタンパク質における欠陥によって引き起こされるものと類似した発育欠陥を示した(30)。さらに、LRP5、LRP6およびアローは、アキシンを結合し、アキシン分解およびベータカテニン安定化をもたらすことによって、カノニカルWntシグナルの形質導入に関与する(25、35)ことが見いだされた。LRP5/6媒介シグナル過程は、ディシブルドタンパク質に依存しないようである(18、31)ことが見いだされた。最近、シャペロンタンパク質、Mesdは、細胞表面へのLRP5/6輸送に必要であることが確認された(6、11)。
【0008】
骨成長の抑制または拡大を誘発するのにWnt経路が関与していることは、低骨量(14、88)または骨量の増加(32、5、51)を生じるように機能した骨格構造に対するLRP5における変異の様々な影響について記載した幾つもの文献で実証されている。さらに最近になって、LRP5の両染色体複製物(LRP5−/−ノックアウト)における破壊によって低骨量表現型が生ずる骨粗鬆症用遺伝子操作マウスモデルが記載されている(89)。しかし、上記参考文献は、LRP5に関するものであっても、Wntシグナル伝達経路に沿う他の点への介入も、本発明の方法を通じて同定された化合物の投与の恩恵を受けることが可能であることが明らかであることに留意されたい。Wnt経路と骨成長の相互関連の最近の論評については(引用参考文献82、90および91を参照のこと)。
【0009】
Dkkタンパク質
ツメガエルDickkopf(Dkk)−1は、頭形成に重要な役割を果たすWntアンタゴニストとして最初に発見された(8)。これまで、哺乳動物においてDkkの4つのメンバーが同定された(17、26)。これらは、Dkk1、Dkk2、Dkk3およびDkk4を含む。Dkk1およびDkk2は、LRP5またはLRP6および単一の膜貫通タンパク質であるクレメン(Kremen)に同時に結合することによってカノニカルWntシグナル伝達を阻害する(3、23、24、32)。LRP5 HBM G171V変異は、カノニカルWntシグナル伝達に対するDkk1媒介アンタゴニズムを減弱させるようであったことが既に報告されている(5)。本発明は、この減弱のメカニズムについて記載する。
【0010】
Wntシグナル伝達のDkk媒介アンタゴニズムに必要とされるLRP5の第3のYWTD反復領域が既に同定されている(69)。加えて、Dkk結合腔および該腔内の重要な残基が、部位指向性突然変異誘発によって明確にされている(69)。この腔は、6つのベータプロペラで構成されるYWTD反復領域の筒様構造体の大きな開口に位置する(図17A)。重要なことは、Dkkとの相互作用における2つの最も重要な残基、すなわち残基Glu721およびTrp780(69)が、この腔の底に位置しており、この腔に結合する小さな分子化学物質が、この重要な残基への接触を阻止することによって、Dkk−LRP5相互作用を破壊することが可能であり得ることが示唆される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書に記載されているように、本発明は、骨形成または骨リモデリングに関与する受容体または共受容体の領域上の腔と、Dkk、Wnt、Mesd、または同様に機能する他のタンパク質との機能的相互作用を説明するモデルを提供する。これらの受容体には、LRP5受容体、LRP6受容体およびフリズルド受容体が含まれるが、それらに限定されない。LRP5およびLRP6受容体は、4つのYWTD反復領域を含む。各領域は、アミノ酸の複数のYWTD反復を含む。LRP5およびLRP6受容体は、LDL受容体反復をも含む。LRP5およびLRP6は、ともに密接な相同体であり、基本的には同様に機能するが、異なる発現パターンを有する。
【0012】
本発明は、これらの腔に結合するか、またはこれらの腔と相互作用して、Wntシグナル伝達、ならびに骨形成、腫瘍形成、およびWntシグナル伝達によって調節されるあらゆる他の生物学的および病理学的過程の刺激、阻害または調節をもたらす非天然(non-native)または外来性化合物を同定するための方法を提供する。特に、本発明は、ディシブルド、ベータカテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質または受容体を指向する。特定の実施形態において、本発明は、タンパク質のLRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータカテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質または受容体との結合を妨げる化合物を同定するための方法を指向する。一実施形態において、該方法は、
(a)LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータカテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に結合する化合物を同定すること、および
(b)(a)で同定された化合物が、タンパク質のLRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータカテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質または受容体との結合を調節するかどうかを判定することを含む。
【0013】
工程(a)の化合物は、
(a)UNITYプログラムを使用して、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータカテニンまたはLEF−1/TCFの腔、または結合部位に適合する化合物をスクリーニングすること、
(b)Flexxプログラムを使用して、前記化合物を腔に入れること、および
(c)Cscoreプログラムを使用して、最も高い結合親和性を有する化合物を同定することによって同定され得る。
【0014】
別の実施形態において、該方法は、
(a)Wntシグナル伝達を調節する化合物を同定すること、および
(b)(a)で同定された化合物が、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータカテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質または受容体と相互作用または結合するかどうかを判定することを含む。
【0015】
同定された化合物は、小分子、タンパク質ペプチド、ポリペプチド、環式分子、複素環式有機分子、核酸、脂質、荷電脂質、極性脂質、非極性脂質、糖、糖タンパク質、糖脂質、リポタンパク質、化学物質、または複素環式有機分子、核酸、脂質、荷電脂質、極性脂質、非極性脂質、糖、糖タンパク質、糖脂質、リポタンパク質もしくは化学物質を含む化合物の断片であってもよい。
【0016】
本発明の方法を用いて同定された非天然化合物は、外部供給源から導入されない非天然化合物と異なり、細胞または生態に天然にまたは通常見られない化合物を含む。以下にさらに詳細に記載するように、それらの化合物を、様々なスクリーニング方法およびアッセイを通じて、国立癌研究所(NCI)データベースから同定することができる。これらの化合物を改変して、効果的に機能するNCIデータベースまたは天然に見られない誘導体または類似体を生成することも可能である。DkkとLRP5/6の相互作用、WntとLRP5/6の相互作用およびMesdとLRP5/6の相互作用を破壊した化合物が同定される。
【0017】
特定の実施形態において、本発明は、糖代謝、コレステロール代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成および/または骨関連活性を含むが、それらに限定されない病態生理学的過程を調節するための方法および/または組成物、ならびに本発明のスクリーニング方法を用いて同定された化合物を使用して、骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常、糖尿病、高血糖症あるいは任意の代謝疾患を治療するための方法または組成物を指向する。特定の実施形態において、該化合物は、構造(I):
【化1】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む);
構造(II):
【化2】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む);
構造(III):
【化3】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む);
構造(IV):
【化4】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む);または
構造(V):
【化5】
(式中、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)を有することができる。
【0018】
これらの化合物は、前記病態生理学的過程を調節するのに有効な量で、または前記骨折、骨疾患、骨傷害もしくは骨異常、糖尿病もしくは高血糖症を治療するのに有効な量で、該治療を必要とする対象に対して、本発明の方法で投与されるか、または本発明の組成物に存在する。一実施形態において、対象は、哺乳動物の対象である。特定の実施形態において、対象は、ヒトの対象である。
【0019】
具体的な実施形態において、本発明は、以下の構造を有する単離された化合物を指向する。
構造(VI):
【化6】
(式中、R15は、直鎖状または分枝状アルキル基である);
構造(VII):
【化7】
(式中、R13およびR14は、それぞれ独立して、Hであるか、あるいは直鎖状または分枝状アルキル基である);または
構造(VIII):
【化8】
(式中、R13は、直鎖状または分枝状アルキル基、あるいは置換または非置換のシクロアルキル基である)。
【0020】
本発明は、化合物(VI)〜(VIII)を得るための方法を指向する。具体的な実施形態において、化合物(VI)は、前記化合物の形成を促進する条件下で、ガロシアニンとハロゲン化アルキルを反応させることによって得られる。(a)ガロシアニンとCOOH基を脱離基で置き換えるための試剤とを反応させて、中間体を得ること、および(b)工程(a)で得られた化合物とアルキルアミンとを反応させて化合物を得ることによって、化合物(VII)を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】野生型LRP5およびその欠失変異体の概略図である。
【図2】G171V変異がLRP5輸送を妨げることを示す図である。HEK細胞に図に示すように発現プラスミドをトランスフェクションした。1日後、細胞を溶解させ、抗Flag抗体を使用して免疫沈降を行った。Mesdは、Flag標識されたのに対して、すべてのLRP5分子は、HA標識された。G171V変異は、LRP5とMesd(図2A、レーン1および3)およびR12とMesd(図2B、レーン1および2)の両方の相互作用を妨げたが、E721変異は、該相互作用に影響を与えなかった(図2A、レーン2および3)。図2Aおよび図2Bの下側パネルは、免疫沈降に対して投入された等量のWtおよび変異LRP5を示す[HEK細胞を図に示されるMesdプラスミドおよび発現プラスミドでトランスフェクションした]。R12TGV、R12T、R1〜4およびR1〜4GV(GV)は、細胞培養物の上清に分泌され得る膜貫通領域を欠くLRP5変異体であるAP融合タンパク質である。1日後、調整培地(CM)を回収し、高速で遠心した。上清を抗HA抗体によって免疫沈降させるか(図2C)、またはAPアッセイに使用した(図2D)。また、細胞をSDS−PAGE試料緩衝液に溶解させ、ウェスタンブロッティングによって分析した(図2Cおよび図2Dの下側パネル)。そのデータは、G171V変異がR12およびR1〜4の分泌を阻害したことを示す。図2Eは、G171V変異が、細胞表面上のLRP5を検出する結合アッセイの使用を介して、LRP5の細胞表面輸送を妨げることを確認するものである。細胞表面をビオチン化し、LRP5分子を抗HA抗体で沈殿させた後に、ストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ(SA−HRP)を使用して、細胞表面LRP5分子の量をウェスタン分析によって検出した(図2E、上面)。免疫複合体におけるLRP5の量を図2Eの下側パネルに示す。
【図3】LRP5のHBM G171V変異が、同時発現Wnt活性のDkk1媒介阻害を受けにくいことを示す図である。図3Aの左面は、Wnt1の存在下または不在下で、LEF−1ルシフェラーゼレポータプラスミドとともに示されるプラスミドでHEK細胞をトランスフェクションしたときに、HBM G171V変異が、野生型(Wt)LRP5(LRP5wt)と比較してLEF−1独立転写活性の増加をもたらさなかったことを示す。図3Aの右パネルはLRP5タンパク質に担持されるHA標識に特異的な抗体または抗LRP6抗体によって測定されたLRP5、LRP5G171V、LRP6およびLRP6G158Vの発現量を示す。図3Bは、図に示されるWtまたはG171V LRP5の存在下でLEF−1ルシフェラーゼレポータプラスミド、Wnt−1、Dkk1およびクレメンでHEK細胞をトランスフェクションしたことを示す。LEF−1レポータが示すWnt活性は、Dkkが存在するときにLRP5wtを発現するものよりLRP5G171Vを発現するHEK細胞での方が有意に強い。Dkk1、クレメンおよびLRP5のタンパク質発現量を図3Cに示すウェスタンブロッティングによって検証した。
【図4】LRP5G171を発現する細胞が、LRP5wtを発現するものより少ないDkk1結合部位を示すことを示す図である(図4A)。図4Bは、トランスフェクション後における等量のWtおよび変異LRP5発現を示す。
【図5】LRP5の第2の領域がWnt活性に必要とされることを示す図である。HEK細胞にLEF活性レポータプラスミドおよび発現プラスミドをトランスフェクションした。1日後、先述のようにLEFレポータ活性を測定した。図5の結果は、LRP5R494QおよびLRP5G479V(第2の領域に点突然変異を有するLRP5)が、LRP5wtと比較してWntシグナル伝達を破壊することができることを示している。
【図6】LRP5の第3の領域がDkk媒介アンタゴニズムに必要とされることを示す図である。図6Aは、第3のYWTD反復領域がDkk媒介阻害に必要とされることを示す。HEK細胞をLEF活性レポータプラスミド、クレメン1プラスミドおよび発現プラスミドでトランスフェクションした。LRP5R34でなく、LRP5R12またはLRP5R124は、依然としてWnt刺激LEF−1活性を強めることが可能であり、LRP5R12またはLRP5R124がWnt共受容体機能を保持することが示唆される。しかし、Dkk1は、クレメンの発現にもかかわらず、LRP5R12またはLRP5R124が存在するときにWntシグナル伝達を阻害することができない。これは、第3のYWTD反復領域がDkk1媒介阻害に必要とされることを示唆している。LRP5wtおよびその変異体分子の発現量を図6Bに示す。図6Cは、LRP5R34がDkk1結合部位を含み、R34におけるE721がDkk1結合に必要とされることを示す。図6Dは、変異の概略図である。
【図7】相互作用表面からなる第3のYWTD反復領域におけるアミノ酸残基がWntのDkk媒介阻害に必要とされることを示す図である。図7Aにおいて、第3のYWTD反復領域の空間実体モデルをLDL受容体YWTD反復領域の構造に基づいて推定した(13)。三次元構造に基づいて、第3のYWTD反復領域の表面にAla置換変異を含む19個のLRP5変異体を生成した。Dkk1媒介阻害に抵抗するこれらの変異体LRP5タンパク質の能力を測定した。変異体のうちの9個(5%を超える)は、Dkk1媒介阻害に対する感度の変化を示し、それらはすべて同一の表面上に位置する変異を含んでいた。図7Bにおいて、HEK細胞をLEF活性レポータプラスミド、クレミン1プラスミドおよび発現プラスミドでトランスフェクションした。Wtおよび変異体LRP5分子の発現を下面に示す。19個の変異の中で、E721変異は、WntのDkk1媒介阻害に対する最大の影響を示し、続いてW781であり、次がY719であった。LRP5G171vもWntのDkk1媒介阻害に対する影響を示した。
【図8】国立癌研究所(NCI)から入手した3つの化合物の二次元構造を示す図である。NCI106164(図8A)は、Dkk1結合に対して68%の阻害効果を示し、NCI39914(図8B)およびNCI660224(図8C)は、Dkk1結合をそれぞれ654%および276%増加させる。
【図9】NCI39914およびNCI660224の共通の下部構造であるアントラ−9,10−キノンの二次元構造(図9A)を示す図である。図9Bは、NCI657566の二次元構造を示す。図9Cは、二次元類似性調査に使用された鋳型を示す。
【図10】Dkk1−LRP5相互作用を特異的に妨げ、Dkk1によるWntシグナル伝達の阻害を反転させる化合物NCI366218(IIC8、図10A)およびNCI8642(IIIC3、図10B)の二次元構造を示す図である。
【図11】NCI366218およびNCI8642がDkk1阻害を反転させることを示す図である。HEK細胞をLEF−1発現プラスミド、LEF−1ルシフェラーゼレポータプラスミドおよびGFP発現プラスミドとともにLRP5プラスミドでトランスフェクションした。次いで、細胞を異なる濃度のNCI366218およびNCI8642化合物で処理し、続いて対照のCM、Wnt3a CMまたはWnt3a/Dkk1 CM混合物で6時間処理した。DMSOで処理された細胞からのレポータ活性を100%とした。図11は、ある特定の濃度において、NCI366218(図11A)およびNCI8642(図11B)がWnt活性のDkk媒介阻害を有意に反転できることを示す。
【図12】NCI366218およびNCI8642がLRP5に対するDkk1結合を阻害できることを示す図である。HEK細胞をMesdプラスミドおよびLRP5またはLRP5R34でトランスフェクションした。1日後、細胞を異なる濃度のNCI366218およびNCI8642で処理し、mDkk1−APを発現するHEK細胞から調製された調整培地(CM)を用いて氷上でインキュベートした。AP活性を先述のように測定した。DMSOで処理した細胞からのAP活性を100%とした。図12は、NCI366218(図12A)およびNCI8642(図12B)が、LRP5wtに対するDkk1の結合およびLRP5R34に対するDkkタンパク質の結合を阻害することを示す。
【図13】NCI366218(IIC8)が骨芽細胞分化を刺激できることを示す図である。GFPを骨芽細胞のマーカとして使用できる、2.3Kb CollA1プロモータ(2.3Col−GFP)11によって制御された緑色蛍光タンパク質(GFP)導入遺伝子を担持する3カ月のマウスから骨髄間質(BMS)細胞を単離した。8日目および12日目に、培養物をそれぞれ9μMおよび26μMのIIC8化合物で処理した。同一時点で、培養物を対照としてDMSOで処理した。図13は、BMS培養物をIIC8で処理すると、骨芽細胞分化マーカ2.3Col−GFPが活性化したことを示す。
【図14】骨形成アッセイを示す図である。一次骨髄間質骨芽細胞をNCI366218の存在下および不在下で培養し、分化させた。20日後、骨形成過程を反映する骨芽細胞の鉱化(mineralization)をキシレンオレンジ染色で観察した。NCI366218は、鉱化を2倍刺激した。
【図15】LRP5R12およびLRP5R34の両方がDkk1結合部位を含み、R34におけるE721がDkk1結合に必要とされ、G171VLRP5変異体が細胞表面に対するDkk結合を破壊し得ることを示す図である。図15Aは、Dkk1はLRP5R12およびLRP5R34の両方に結合できるが、R12GV(LRP5R12におけるG171V変異)およびR34E(E721変異を担持するLRP5R34)がトランスフェクションされた細胞では細胞表面に対するDkk1の結合が有意に低かったことを示す。図15Bは、トランスフェクション後における等量のWtおよび変異体LRP5発現を示す。
【図16】骨形成細胞におけるDkk1およびWnt7b発現を示す図である。全RNAを、分化誘発後異なる時点で骨髄間質細胞培養物から単離した。DkkおよびWnt発現量をリアルタイムRT−PCRによって測定した。Wnt7bは、分化誘発後に発現の顕著な増加を示した(図16A)。LEF−1レポータ遺伝子を刺激するWnt7bの能力を調べたところ、それは、カノニカルWnt経路を刺激することが可能であった(図16B)。図16Cは、マウス長骨部のインサイチューハイブリダイゼーションの写真である。Dkk1の大半が骨細胞に発現されることを示している。図Dは、クレメン、Dkk、LRP、WntおよびFzの間の相互作用を示す。
【図17】Dkk結合腔および化学物質の構造を示す図である。図17Aは、我々の初期の形状ベースのバーチャルスクリーニングに使用された3つの主要残基を示す。黄色のボックスは、腔を表す。図17B〜17Gは、IC13(B)、IC15(C)、IIC8(D)、IIC15(E)、IIC24(F)およびIIIC3(G)の化学構造を示す。アントラ−9,10−キノンコアがボックスに示されている。
【図18】Wnt活性およびDkk結合に対する化合物の影響を示す図である。図18Aおよび18Bにおいて、細胞をWnt活性レポータ遺伝子でトランスフェクションした。異なる濃度の化合物にWnt3a CM、Wnt3a+Dkk1 CMまたは対照CM(基本)を添加した。6時間後、Wntレポータ遺伝子活性を測定した。(AU:任意単位)。誤差は、5%未満であった。(C,D)細胞を野生型LRP5(C)またはLRP5R34(D)でトランスフェクションした。細胞に対するDkk−1−APの結合を測定した。LacZを発現する細胞に対するDkk−1−APの結合を差し引いたデータを示す。
【図19】Wntアンタゴニスト化合物および分子のモデルリングを示す図である。図19Aは、Wnt3a刺激Wntレポータ遺伝子活性およびLRP5に対するDkk1−APの結合に対するIC15の影響を示す。図19B〜19Eは、LRP5の第2および第3のYWTD反復領域に対するIIIC3およびIC15の結合の分子モデリングを示す。括弧内は、対応する残基である。
【図20】IIIC3の骨形成に対する影響を示す図である。図20Aおよび20Bは、頭蓋冠骨形成に対する影響を示す。対照媒体(a)、b−FGF(b)またはIIIC3(c)を5日間にわたって1日3回頭皮の下に注射した。最後の注射の2週間後に、頭蓋冠を回収し、固定し、脱灰し、切断した。新しい骨層にマーキングする。新しい骨層の厚さを定量し、それをBに示す。図20C〜Eは、骨塩量(BMD)に対する影響を示す。マウス(n=20)に処理等を施した後、BMDおよび体重を測定した。
【図21】Wnt刺激ベータカテニン活性の阻害に対するEnzoM01およびIC15の影響を示す図である。
【図22】EnzoM14およびEnzoM15の両方によるWnt刺激ベータカテニン活性の阻害を示す図である。
【図23】EnzoM02(図23A)およびEnzoM03(図23B)によるWntシグナル伝達活性のDkk1阻害の反転を示す図である。
【図24】異なる細胞密度、すなわち(A)500細胞/ウェル、(B)1000細胞/ウェルおよび(C)2000細胞/ウェルにおけるPC−3腫瘍細胞の生存度に対する3つの化合物の影響を示す図である。
【図25】(A及びB)異なる腫瘍細胞系におけるベータカテニン生成に対するEnzoM01の影響を示す。
【図26】高カロリーの餌が与えられたマウスにおける糖代謝に対するEnzoM01(図26A)、IC15(図26B)およびIIIC3(図26C)の影響を示す図である。
【図27】高カロリーの餌が与えられたマウスにおけるトリグリセリドおよびコレステロールの血清値に対する(図27A)EnzoM01および(図27B)IC15の影響を示す図である。
【図28】db/dbマウスにおけるグルコース(図28A)およびインシュリン(図28B)値に対するIIIC3の影響を示す図である。
【図29】第2(赤色)および第3(青色)の領域の結合部位におけるアミノ酸の比較を示す図である。共通のアミノ酸を黒色で示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定されるため、本明細書に用いられている用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図しない。
【0023】
ある範囲の値が示される場合には、各介在値は、その範囲およびその指定範囲内の任意の他の指定または介在値の上限と下限の間において、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、下限の単位の10分の1まで本発明に包括される。これらのより小さい範囲の上限および下限をより小さい範囲に独立して含めることができることも、指定範囲における任意の具体的に除外される範囲を条件として、本発明の範囲内に包括される。指定範囲がそれらの限界値の一方または双方を含む場合には、それらの含まれる限界値のいずれかまたは双方を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0024】
特に規定のない限り、本明細書に用いられている技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者に広く理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等のあらゆる方法および材料を本発明の実施または試験に使用することもできるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。
【0025】
本明細書および添付の請求項に用いられているように、単数形の「a」、「and」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さなければ、複数のものを含むことに留意すべきである。
【0026】
本発明は、細胞に提供されると、骨形成または骨リモデリングの刺激、増強、阻害または調節に関与する共受容体の領域に見られる部位または腔と結合、相互作用または適合する化合物を同定した。これらの受容体は、LRP5受容体、LRP6受容体、フリズルド受容体、またはLRP5もしくはLRP6(LRP5/6)受容体系に関与する任意の他の受容体を含む。LRP5およびLRP6は、カノニカルWnt系にどのように関与するかに関して幾つもの共有の特徴があるため、一般に文献ではLRP5/6と称する。LRP5およびLRP6は、アミノ酸レベルで70%の相同性を共有する。LRP5に結合する能力について選択された化合物の多くは、LRP6受容体とも相互作用できることが予想される。フリズルド受容体は、Wnt活性を増強または低下させるように機能するWnt結合部位であるCRDを含む領域を有する共受容体である。
【0027】
LRP5およびLRP6受容体は、YWTD反復領域を含む。概して、LRP5およびLRP6受容体のYWTD反復領域を含む部分は、類似の構造体がこれらの領域の各々によって形成されるのに十分なアミノ酸相同体を互いに共有するが、形成されたポケットの寸法の一部が異なり、タンパク質/タンパク質相互作用に重要である可能性が高いアミノ酸の一部に差がある程の相違点を有する。特定の実施形態において、本発明の方法および/または組成物に使用される化合物は、LRP5および/またはLRP6受容体の第3のYWTD領域と相互作用または結合する。当該化合物は、他のYWTD領域に結合することが可能であっても、なくてもよい。特定の実施形態において、該化合物は、LRP5および/またはLRP6受容体の第1および第2のYWTD領域に結合することができる。
【0028】
これらの化合物のいくつかは、DkkおよびLRP5相互作用を妨げることができる。他の化合物は、WntのLRP5/6に対する結合を阻害することによってWntシグナル伝達を阻害する。本明細書の以下に記載するように、本発明は、また、Dkkとクレミン、LEF/TCF−1とベータカテニン、Wntとフリズルドの相互作用を調節する化合物を同定した。本発明の化合物は、細胞に存在せず、外部供給源に由来する非天然または外来化合物である。それらは、受容体と結合して事象を開始することができる作用物質であるアゴニスト、受容体と結合してアゴニストの効果を阻害する作用物質であるアンタゴニスト、ならびにアゴニストおよびアンタゴニストの両方の特性を有する、すなわちときには作用を引き起こし、ときには例えばアゴニストの効果を低下させることによって作用を阻害する部分アゴニストを含む。これらの化合物のいくつかは、親和性、あるいは薬物または化合物が受容体結合部位に引きつけられる程度を高めることもできる。
【0029】
候補化合物の同定
本発明の組成物および方法に使用される化合物を、本明細書に記載のスクリーニング方法を用いて同定する。
LRP5の特定の領域と相互作用する化合物のスクリーニング。
LRP5の領域IIIを鋳型として使用する化合物のスクリーニング。
【0030】
バーチャルスクリーニング
具体的な実施形態において、UNITY(商標)プログラム(Tripos,Inc.)を使用して、LRP5のYWTD反復領域の領域III上の腔に適合することが可能な化学化合物について、国立癌研究所(NCI)データベース(http://129.43.27.140/ncidb2)をスクリーニングすることができる。このデータベースは、自由に検索可能であり、250251個の小さな化学化合物の座標を含む。検索質問(search query)は、0.3Åの許容誤差を有するR764およびE721、ならびに腔に向かってTrp781から3.2Å離れた1.0Åの許容誤差を有する疎水性の中心で構成されるように設計されている。化合物の柔軟性を考慮して、UNITY(商標)プログラムにおける定方向Tweakアルゴリズムは、構造的に柔軟な高速の三次元検索に対応する(21)。
【0031】
次いで、UNITY(商標)プログラムを使用して得られた候補化合物を、リガンドを迅速かつ柔軟にタンパク質結合部位にドッキングさせる(44)、エネルギー最小化のためのFlexX(商標)プログラム(Tripos,Inc.)(17)を使用してDkk1結合表面にドッキングさせる。Dkk1の認識に重要であることが示された残基E721、W864、Y719、R764、D877、F888、G782、W781およびM891(図7A)を考慮に入れて計算する。ドッキング手順に続いて、Cscore(商標)プログラムを使用して、Dkk1結合ポケットに結合するそれらの想定される能力に基づいて化合物のランク付けを行う。Cscore(商標)は、タンパク質−リガンド複合体の個々のスコアリング機能がどの程度十分に果たされたかに基づいて相対的なコンセンサススコアを生成する(8)。次いで、Cscore(商標)に最終的なマニュアル目視検査を施す。
【0032】
生物学的アッセイ
Dkk−1結合アッセイ
同定された化合物を、当該技術分野で知られている方法によって、例えば、Dkk−APPアッセイ(実施例および(69)参照)によって、LRP−5に対するDkk−1の結合に影響を与えるそれらの能力についてスクリーニングすることができる。
【0033】
Wnt活性
同定された化合物をWnt活性についてスクリーニングすることもできる。LRP5の第2および第3の領域がWntシグナル伝達に必要とされ、これらの領域は、恐らくはWnt分子と直接相互作用する。これらの領域は、高度なアミノ酸配列相同体を共有するため、第3の領域に結合するある特定の化合物は、第1の2つの領域にも結合して、潜在的にWnt活性を阻害できることが考えられる。該化合物を1)基本(basal)レポータ活性阻害;2)Wnt活性阻害;および3)Wnt活性のDkk媒介阻害の反転について調べることができる。
【0034】
骨形成アッセイ
インビトロまたはインビボ骨形成アッセイを用いて、同定された化合物を試験することができる。
【0035】
(a)インビトロアッセイ
Wntは、培養された骨芽細胞の増殖および分化を刺激し、Dkkは、この過程を阻害する。したがって、これらの化合物は、骨形成を増加させる。これを鉱化の調査、またはBSP、オステオカルシンおよびコラーゲンの発現を含む骨形成マーカの発現によってモニタリングすることができる。
【0036】
(b)インビボアッセイ
インビボのこれらの化合物の効果についての試験を実施して、該化合物がインビボで骨形成を増加させるかどうかを判定することができる。様々な化合物投与物を頭蓋冠の外表面および骨髄腔に注入することができる。骨形成の増加を組織学的に、およびpQCT、DNXおよびX線ラジオオートグラフィーの使用を介して調べることができる。
【0037】
ベータカテニンレベルアッセイ
サイトゾルβ−カテニンは、Wntシグナル伝達によって安定化される。これらの化合物のWntシグナル伝達に対する影響を、得られたβ−カテニンレベルによって調べることができる。
【0038】
LRP5/6のPPPSP部位のリン酸化
Wntは、LRP5の細胞内領域におけるPPPSPモチーフでのLRP5のリン酸化を刺激することが最近発見された(49)。実施例に記載され、当該技術分野で知られているように、リン酸化PSPPPに特異的な抗体を得て、Wnt活性を調べるのに使用することができる(49)。
【0039】
LRP5の領域IIを鋳型として使用する化合物のスクリーニング
バーチャルスクリーニング
上記のように、相同性モデリングを用いて、この領域の構造を推定することができる。実施例に記載するように、部位指向性突然変異誘発を用いて、Wntシグナル伝達に必要とされる残基を特定する。上記の方法を用いて、バーチャルスクリーニング方法をこのWntシグナル伝達表面に適用する。領域IIは、Wntシグナル伝達に関与するため、領域IIを鋳型として使用して同定された化合物は、Wntシグナル伝達を増加させるか、またはWntシグナル伝達を減少させることができる。領域IIおよび領域IIIは、相同であるため、バーチャルスクリーニングを用いて同定された化合物は、1)Dkk結合を増加させる;2)Dkk結合を減少させる;3)Dkkアンタゴニズムを増加させる;および/または4)Dkkアンタゴニズムを減少させることができる。
【0040】
生物学的アッセイ
上記の生物学的アッセイを用いて化合物を試験する。上記の方法を用いて、Wnt活性を増加または減少させる化合物を同定する。上記のアッセイを用いて、Dkk1結合を増強または阻害する化合物を確認する。上記のアッセイを用いて、Dkk1アンタゴニズムを増強または阻害する化合物を確認する。
【0041】
LRP5の領域Iを鋳型として使用することによる化合物のスクリーニング
バーチャルスクリーニング
上記のように、相同性モデリングを用いて、この領域の構造を推定することができる。図2に記載するように、部位指向性突然変異誘発を用いて、Mesd結合および機能に必要とされる残基を特定する。実施例5.1(A)に記載の方法を用いて、バーチャルスクリーニング方法をこのMesd結合表面に適用する。領域Iは、Mesd機能に関与するため、領域Iを鋳型として使用して同定された化合物は、細胞表面に対するLRP5の提供を増加または減少させることによって、Wntシグナル伝達を増加または減少させ、および/またはDkkアンタゴニズムを増加または減少させることができる。領域Iおよび領域IIは、相同であるため、バーチャルスクリーニングを用いて同定された化合物は、Wntシグナル伝達を増加または減少させることができる。領域Iおよび領域IIIは、相同であるため、バーチャルスクリーニングを用いて同定された化合物は、1)Dkk結合を増加させる;2)Dkk結合を減少させる;3)Dkkアンタゴニズムを増加させる;および/または4)Dkkアンタゴニズムを減少させることができる。
【0042】
生物学的アッセイ
上記の方法を用いて、Wnt活性を増加または減少させる化合物を同定する。実施例5.1に記載のアッセイを用いた特定の実施形態において、Dkk1結合およびアンタゴニズムを増強または阻害する化合物を確認することができる。図2に示されるアッセイを用いて、Mesd機能に影響を与える化合物を確認する。
【0043】
LRP5の他の領域と相互作用する化合物のスクリーニング
本明細書の上記に記載されているLRPの細胞外部分の3つの領域は、バーチャルスクリーニングのための候補になる唯一の潜在的な部位ではない。例えば、LRP5の細胞外部分にも存在するEGF反復部は、タンパク質/タンパク質相互作用のための結合部位である可能性が高く、本発明の方法に使用され得る。また、LRP5の細胞内部分は、潜在的な目標部位でもある、タンパク質相互作用に関与する部位を有することが知られている。
【0044】
フリズルド受容体のCRDと相互作用する化合物のスクリーニング
Wntは、フリズルドファミリーの膜貫通受容体を通じてシグナル伝達を行う。このフリズルド受容体は、数回にわたって細胞膜を通過する。フリズルドのN末端細胞外領域上に位置する保存されたシステインリッチ領域(CRD)は、Wnt結合部位として作用する。分泌されたフリズルド関連タンパク質Frzb−1は、CRDを含み、Wntシグナル伝達発現のアンタゴニストとして機能する。
【0045】
マウスからのフリズルド8および分泌されたフリズルド関連タンパク質3のCRDの結晶構造が確認された(12)。Wnt結合部位をWnt結合および変異アッセイによって確認することができる。
【0046】
バーチャルスクリーニング
上記のバーチャルスクリーニング方法を用いて、CRDと相互作用してWntシグナル伝達経路を調節する潜在的な化合物をスクリーニングする。マウスタンパク質からの既知のCRD構造を鋳型として使用して、相同性モデルを作成する。他のフリズルドファミリーメンバーまたはヒトフリズルドタンパク質CRD領域に対する相同性モデルを作成する。CRD−Wnt相互作用に関与する構造およびアミノ酸に基づいて、エネルギー最小化方法を用いて、各化合物の生物活性をさらに試験するために化合物をスクリーニングした。より高い生物活性を示すものについては、同様の構造的照会を用いて、さらなる候補化合物を同定した。
【0047】
生物学的アッセイ
Wnt結合アッセイを用いて、フリズルドタンパク質のCRD領域に対する化合物の影響をスクリーニングすることができる。CRDペプチド(またはフリズルドタンパク質)が、検出可能なマーカ(例えば、Myc標識)で細胞の表面に発現した。該化合物およびWntアルカリリン酸塩融合タンパク質(例えば、Wnt8−AP)を含む培地を使用した。インキュベーション後、免疫−組織化学染色を用いて結合を確認した。
【0048】
候補化合物がWnt結合に対する影響を示すと、上記の他の生物学的アッセイを適用して、Wntシグナル伝達に対する各化合物の影響を測定する(27、38、12)。
【0049】
LRP6と相互作用する化合物のスクリーニング
LRP5およびLRP6は、それらがカノニカルWnt系にどのように関与するかに関して幾つもの共有する特徴があるため、文献では一般にLRP5/6と称する。したがって、LRP5に結合する能力について選択された化合物の多くもLRP6と相互作用できるはずである。しかし、LRP5およびLRP6は、アミノ酸レベルで70%の相同性を共有するにすぎない。したがって、LRP6の配列を鋳型として使用して、LRP5の場合と同様にしてWnt系の作動体を同定して、本発明の方法で使用される化合物を得ることができる。LRP6の第1、第2および第3のYWTD反復領域を、化合物のバーチャルライブラリーの相互作用を予測するための選択的部位として使用することができる。次に、LRP6に対する結合について選択された化合物の多くがLRP5と相互作用することも可能であると予想される。
【0050】
Dkkと相互作用する化合物のスクリーニング
バーチャルスクリーニング
Dkk1の構造を解明し、本明細書の実施例に記載されているように、変異を利用してクレメンおよびLRP5/6に対するその相互作用表面を特定することができる。上記の方法に従ってバーチャルスクリーニングを実施する。化合物は、LRP5またはクレメンに対するDkkの結合を増加または減少させるか、あるいはWntのDkk媒介阻害を増加または減少させることがわかる。
【0051】
生物学的アッセイ
LRP5に対するDkkの結合を増加または減少させる化合物を上記のように確認する。クレメンに対するDkkの結合を増加または減少させる化合物を、LRP5の代わりにクレメンで細胞をトランスフェクションすることを除いて上記のように確認する。特定の実施形態において、Dkkアンタゴニズムを増加または減少させる化合物を実施例5.1に記載されるように確認することができる。
【0052】
ディシブルド(DSL)領域と相互作用する化合物のスクリーニング
細胞質ディシブルド(DSL)タンパク質は、Wntフリズルド受容体複合物によって活性化される。それらは、カノニカルおよび非カノニカルWntシグナル伝達経路の両方において不可欠である。DSLタンパク質は、N末端DIX領域、中央PDZ領域およびC末端DEP領域で構成される。これらの3つの保存領域は、それぞれ異なるタンパク質と関連することによって、それぞれ異なる経路で機能する。
【0053】
DIX領域は、ホモダインとして存在し、主に螺旋形の構造体を形成する。これは、パルス電界傾斜NMR試験を用いて測定された。DIX領域は、インビボのアクティング張力繊維および細胞質ベシクルに対するターゲッティングを媒介する。それによって、Wntシグナル伝達の分岐点を表すことができる。カノニカルWntシグナル伝達を通じてのβ−カテニンの安定化は、DSLの膜ターゲッティングを含む。マウスDv12におけるLees58、Ser59およびMet60は、アクティング相互作用に強く関与する。Lees68およびGlue69は、細胞質ベシクルの位置確認に重要である。
【0054】
PDZ領域は、いくつかの分子と相互作用し、カノニカルおよび非カノニカルWnt経路の両方に重要な役割を果たす。三次元のXenopus PDZ領域構造が確認された(7)。化学シフト摂動NMR分光分析および結合アッセイの使用を通じて、フリズルドの保存モチーフKTXXXWとマウスDvl1のPDZ領域との間に直接的な相互作用が存在する。これにより、結合領域を確認することが可能になる(57)。
【0055】
DSLタンパク質のDEP領域は、Wnt経路におけるDvlの下流の作動体タンパク質にシグナルを伝達する。ディシブルドのDEP領域は、哺乳動物細胞におけるβ−カテニン活性のアップレギュレーションおよびLef−1媒介転写の刺激に必要とされる。マウスDvl1DEP領域の構造が確認された(Wongら)。Lys434、Asp445およびAsp448は、タンパク質−タンパク質相互作用に重要な役割を果たすこと、それらの変異Wnt−1がLef−1活性化を誘発したことが示された。
【0056】
バーチャルスクリーニング
DIX領域の機能的残基および二次構造が確認されたため、既存のタンパク質領域のスクリーニングは、三次構造構成および潜在的な候補についての情報を提供することができ、それに対するシミュレーションは、結合分析のための候補化合物を生成することができる。結合に影響を与える候補化合物を分析することができ、新しい類似化合物群を生物学的にアッセイすることができる。
【0057】
PDZおよびDEPの三次元構造が知られているため、上記の方法に類似したバーチャルスクリーニング法を用いることができる。この構造を鋳型として使用して、ヒトタンパク質領域または他の類似の機能的タンパク質領域に対する相同性モデルを作成することができる。特定の機能に関与する構造およびアミノ酸に基づいて、エネルギー最小化方法を用いて化合物をスクリーニングすることができる。各化合物の生物活性を試験することができる。高い生物活性を示す化合物については、類似の構造的質問を用いてより多くの候補化合物を見いだすことができ、生物活性をさらにアッセイすることになる。
【0058】
生物学的アッセイ
アクチン結合領域に対するアクチン結合阻害アッセイ、およびXnr3またはSiamois発現量をDIX領域ベシクルの位置確認に用いることができる。化合物処理後に、標識DIXを含む組立ベクターを細胞にトランスフェクションすることができる。次いで、免疫蛍光染色を用いて、アクチン結合阻害を確認することができる。RT−PCRを用いて、ベシクル位置確認のためのXnr3またはSiamois量の検出を行うことができる。
【0059】
インビトロ結合アッセイをPDZ領域の初期スクリーニングに用いることができる。DvlのPDZ領域に結合するペプチド(例えば、Drp C末端領域)を使用することができる。ビーズに結合した精製標識ペプチドをPDZ領域および各化合物と混合し、インキュベーション後、抗体を使用して、結合した化合物を検出することができる。各化合物の結合効率効果を測定することができる。
【0060】
カノニカルWnt経路に影響を与える化合物をスクリーニングするために、その領域に対してルシフェラーゼアッセイを用いることができる。細胞にDvl領域をトランスフェクションすることができる。これらの細胞が化合物とともにインキュベートされると、Wnt/β−カテニン活性化ルシフェラーゼ活性をアッセイすることによって、各化合物の効果を測定することができる。
【0061】
次いで、化合物をそれらの構造に基づいて分類し、同定された化合物をさらにスクリーニングする。タンパク質結合に影響を与える候補化合物が同定されると、上記の他の生物学的アッセイを用いて、各化合物のWntシグナル伝達に対する影響を測定することができる(57、6、58、55および7)。
【0062】
β−カテニンと相互作用する化合物のスクリーニング
β−カテニンは、Wntシグナルの核内への伝達を媒介することによって、目標遺伝子を活性化させる。Wntシグナルは、β−カテニン分解を防止して、β−カテニンが蓄積し、続いて核に転位して、タンパク質のTcf/LEFファミリーのメンバーと転写性活性化複合体を形成することを可能にする。
【0063】
β−カテニン、ならびにそれがアキシン、Lef、TCFおよびいくつかの他のタンパク質と形成する複合体の結晶構造が解明された。この情報を、カノニカルWntシグナル伝達を調節する化合物のスクリーニングに使用することができる。
【0064】
β−カテニンは、APC、LEF/TCF、E−カドヘリンおよびコンダクチン/アキシンに対する結合部位であるN末端アルマジロ反復部を含む。すべての結合部位は、β−カテニンのアルマジロ反復単位3〜8に位置する。それらの因子の結合は、溝を占有するため、他の競合するβ−カテニンパートナーの同時結合を妨げる。
【0065】
バーチャルスクリーニング
上記のバーチャルスクリーニングと類似の改造手法を、結合に対するβ−カテニン相互作用について化合物を同定するのに用いることができる。β−カテニンを鋳型として使用して、異なる種からのβ−カテニンの相同性モデルを生成することができる。LEF/TCF、アキシンおよびAPCとの相互作用に関与する構造および重要アミノ酸に基づいて、エネルギー最小化方法を用いて化合物をスクリーニングして、候補化合物群を生成することができる。上記すべてのタンパク質がβ−カテニン上の同様の位置を占有するため、生物学的アッセイを各化合物のスクリーニングに用いるときに、すべての4つの相互作用を試験する。初期の生物活性に基づいて、効果的な化合物の構造を分析し、同様の方法を用いて新しい化合物群を試験する。さらなる生物学的アッセイを実施して、最も効果的な化合物を同定することができる。
【0066】
生物学的アッセイ
すべてのβ−カテニンパートナーが同様の位置を占有するため、インビトロ翻訳およびタンパク質結合アッセイを用いて、各化合物の効果を測定することができる。標識β−カテニン、TCF、APC、LEFまたはアキシン構造体をインビトロで転写および翻訳することができる。それらが該化合物とともにインキュベートされると、免疫ブロット法を用いて結合を検出することができる。
【0067】
Wnt結合に影響を与える化合物が同定されると、セクション5.1(B)に記載されている他の生物学的アッセイを用いて、Wntシグナル伝達に対する各化合物の影響を測定することができる(52、43、16、59および11)。
【0068】
LEF−1/TCF転写因子と相互作用する化合物のスクリーニング
リンパ系エンハンサー結合因子(LEF)は、調節核タンパク質複合体の組立および機能において構造的役割を果たすDNA結合タンパク質である。それは、高移動グループ(HMG)領域を通じて特異的なヌクレオチド配列を認識する。TCR−α遺伝子エンハンサーからの最適結合部位を含む15塩基対オリゴヌクレオチド二重鎖と複合したマウスLEF−1のHMG領域の溶液構造が解明された。
【0069】
バーチャルスクリーニング
上記のバーチャルスクリーニングと類似した手法を用いて、HMG−オリゴヌクレオチド結合と相互作用することによって、遺伝子発現調節の活性に影響を与える潜在的な化合物をスクリーニングすることができる。該構造に基づいて、HMG領域を含むタンパク質は、それらが結合するDNAを屈曲させる。DNA屈曲または結合能力に影響を与える任意の化合物は、遺伝子発現の調節に対して影響を有する。既知の構造を鋳型として使用して、異なる種についてのLEF HMG領域に対する相同性モデルを作成することができる。HMG−オリゴ相互作用に関与する構造およびアミノ酸に基づいて、エネルギー最小化方法を用いて、化合物をスクリーニングすることができる。屈曲を強行する、または屈曲を妨げることができる化合物を選択する。DNA結合活性を用いて、化合物をスクリーニングする。はるかに高いまたははるかに低い生物活性を示す化合物については、同様の構造的質問を用いて、さらなる候補化合物を同定することができる。
【0070】
生物学的アッセイ
DNA結合アッセイを用いて、化合物をスクリーニングすることができる。オリゴヌクレオチドおよびHMG領域を化合物とともにインキュベートする。ゲル遅延アッセイを用いて、DNA結合を測定する。結合の実験を均一に13C標識されたNMRで改造して、領域屈曲を分析することができる。LEF制御遺伝子調節は、直接影響されるため、化合物の効果を検出するためにルシフェラーゼアッセイを用いてもよい。タンパク質結合に影響を与える化合物が同定されると、他の生物学的アッセイを用いて、Wntシグナル伝達に対する各化合物の影響を測定することができる(33)。
【0071】
ライブラリーのバーチャルスクリーニングを実施する上で、ライブラリーそのものが物理的ライブラリー(NCIライブラリーのスクリーニングに代表される)であり得るか、またはバーチャルライブラリー(化合物Enz1〜Enz72を含む実施例6に代表される)であり得ることが理解される。ライブラリーは、対象となるタンパク質目標と相互作用し、別のタンパク質とのその相互作用に影響を与えることができるあらゆる化合物で構成され得る。当該化合物の例としては、有機分子、ペプチドおよび核酸を挙げることができるが、それらに限定されない。該ペプチドとしては、ランダムな性質のペプチドのライブラリー、アミノ酸の置換可能系列、対象となるタンパク質に対する抗体の断片、および対象となるタンパク質と相互作用するタンパク質の断片を挙げることができるが、それらに限定されない。該核酸としては、アプタマーおよびタンパク質結合配列のライブラリーを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0072】
より効果的な化合物を見いだすための構造比較の使用
化合物の効果の知識は、初期化合物のコア構造に追加される基が異なる新規の類似体または化合物のファミリーの有意義な設計をも可能にする。特定の実施形態で得られる新規の化合物は、LRP5またはLRP6に対するタンパク質の結合を調節する。本明細書に用いられるように、「調節(modulate)」は、LRP5またはLRP6、好ましくはLRP5またはLRP6のYWTD反復領域へのタンパク質の結合および/または結合安定性を増強するまたは妨げることを指す。タンパク質としては、Dkkファミリーのメンバー、Wntファミリーのメンバー、スクレロスチンまたはPA受容体(例えば、TEM8またはCMG2)を挙げることができるが、それらに限定されない。
【0073】
例えば、NCI8642(IIIC3とも称する)は、以下の構造を有する。
【化9】
【0074】
コア構造を保持し、様々な置換が生じ得る場所を示して、この化合物の類似体のファミリーについての一般式は、以下(I)の通りであり得る。
【化10】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。特定の実施形態において、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13は、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアルアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6は、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの組合せを形成することができる。R11およびR12を含むアミン基の窒素が荷電する場合は、R15をさらに含み、R15は、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13について前述した通りである。特定の実施形態において、該化合物は、構造(VIII)を有する。
【化11】
(式中、R13は、直鎖状または分枝状アルキル基あるいは置換または非置換のシクロアルキル基である)。最も具体的な実施形態において、R13は、直鎖状または分枝状C2〜4基である。別の特定の実施形態において、R13は、シクロアルキルC3〜8基である。
【0075】
さらに環構造を保持し、上記構造に示されるカルボキシル基またはエステル基に対する置換を可能にすることによってこのコア化合物を一般化して、以下のような一連の他の類似体についての式(II)を得ることができる。
【化12】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【0076】
特定の実施形態において、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アラルアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6は、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの組合せを形成することができる。
【0077】
特定の実施形態において、該化合物は、構造(VII)を有する。
【化13】
(式中、R13およびR14は、それぞれ独立して、Hあるいは直鎖状または分枝状アルキル基である)。より具体的な実施形態において、R13およびR14は、独立して、Hあるいは直鎖状または分枝状C1〜5直鎖状または分枝状アルキル基である。最も具体的な実施形態において、R13はHであり、R14は、CH3基(Enz M14)であり;R13およびR14は、CH3基(EnzM15)であり;R13は、CH3基であり、R14は、C(CH3)3(EnzM25)であり;R13はHであり、R14は、(CH2)2CH(CH3)2(EnzM35)であり;R13はHであり、R11およびR12は、CH3基であり、R14は、CH2CH(CH3)(CH2CH3)(EnzM39)である。
【0078】
(VII)に包括される化合物は、
(a)ガロシアニンとガロシアニン上のCOOH基を脱離基で置き換えるための試剤とを反応させること;
(b)工程(a)で得られた化合物とアルキルアミンとを反応させて、前記化合物(VII)を得ること
によって得ることができる。
【0079】
本発明は、さらに、構造(VI)を有する新規の化合物を指向する。
【化14】
(式中、R15は、直鎖状または分枝状アルキル基である)。特定の実施形態において、R15は、直鎖状または分枝状C1〜5アルキル基である。最も具体的な実施形態において、R15は、メチル基(EnzM01)であり;R15は、エチル基(EnzM02)であり;R15は、プロピル基(EnzM03)であり;R15は、CH2C(CH3)3(EnzM12)である。
【0080】
この化合物を前記化合物の形成を促進する条件下でガロシアニンとハロゲン化アルキルを反応させることによって得ることができる。
【0081】
同様にして、IC15およびIC5を出発点として使用して、対象となり得る一連の化合物を設計することができる。
【化15】
【0082】
既に述べたように、これらの2つの化合物における共通のアントラ−9,10−キノン構造をUNITY(商標)による二次スクリーニングに使用した後に、FlexX(商標)とドッキングさせ、生物学的アッセイを行った。これにより、Wnt活性に対する影響を実証するIIC8、IIC10、IIC18およびIIC19(いずれもアントラ−9,10−キノンを共有する)の同定が行われた。したがって、この場合、類似体のファミリーは、一般構造(III)を有する。
【化16】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。好ましい実施形態において、R1、R2、R3、R4、R6、R6、R7、R8は、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アラルアルキル基、置換アラルアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R2およびR3、R3およびR4、R5およびR6、R6およびR7、R7およびR8は、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの組合せを形成することができる。
【0083】
本発明は、IIC15(構造を以下に示す)がWnt調節に対して興味のある影響を示した、上記の二次スクリーニングに基づき得た化合物のファミリーをさらに提供する。
【化17】
【0084】
この化合物と共通の構造的要素を共有し、Wnt活性に対する影響を示す他の化合物は、構造が表IVに示されるIIC1、IIC2、IIC7およびIIIC10である。
【0085】
したがって、本発明は、構造(IV)を有する化合物を提供する。
【化18】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。具体的な実施形態において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10は、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R2およびR3、R4およびR5、R3およびR4、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10は、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの組合せを形成することができる。
【0086】
これらのコア構造の芳香族環上のR基を互いに縮合させて、より複雑な環構造を形成できることに留意されたい。したがって、例えば、R2およびR3の炭素鎖を互いに結合させて、構造(V)を有する一連の化合物を得ることが可能である。
【化19】
(式中、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R4、R5、R6、R7またはR8、R9、R10、R11、R12、R9、R13の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。具体的な実施形態において、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR13、R13およびR14、R14およびR4、R4およびR5、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10は、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの組合せを形成することができる。
【0087】
この構造を共有する試験化合物の例は、上記のIIC1およびIIC2である。
【0088】
以上に開示したコア化合物を組み合わせて、上記の様々なコア化合物の様々な相互作用点に及ぶアマルガムである化合物を形成することができる。例えば、Wnt活性に影響を与えることが示されたIC13は、互いに結合したIII成分の2つを有し、それらの間の結合とともに、IV成分から誘導された類似構造体をも含む。このハイブリッド分子の構造を以下に示す。
【化20】
【0089】
Wntシグナル伝達経路の他のタンパク質表面目標
薬理学的化合物の投与によって影響され得るタンパク質/タンパク質相互作用に関係するWntシグナル伝達経路に関与する多くのタンパク質が存在する。LRP5/6および/またはカノニカルおよび非カノニカルWnt経路におけるタンパク質/タンパク質相互作用に関係する様々なタンパク質の例が多くの参考文献(82、68、83、81、84、85、86および87)に記載されている。このグループの所定の目標タンパク質については、目標タンパク質と相互作用する様々な異なるタンパク質が存在し得る。これらの結合パートナーは、目標タンパク質上の異なる部位に結合することができるか、あるいは2つの異なる結合パートナーは、目標タンパク質上の同一部位または重複部位を共有することができる。本発明の方法を適用して各相互作用対に関与し、当業者に知られている任意の手段によって適切な構造および領域を同定することができる。これらの手段としては、目標タンパク質の様々な部分(例えば、細胞外および細胞内領域)を含むクローンを構築し、相互作用タンパク質パートナーの様々な欠失変異体との結合について試験すること;目標タンパク質をランダム変異させ、Wnt活性またはいくつかの他の生物マーカに対する影響を測定した後、興味のある変異体のシークエンシングを行うこと;アラニンスキャニングで、選択された相互作用対のタンパク質/タンパク質相互作用の機能に関与する重要アミノ酸を同定し、目標タンパク質の様々な欠失変異体を構築し、Wnt活性またはいくつかの他の生物マーカに影響を与えるそれらの能力を測定すること;目標タンパク質の欠失変異体のAP融合型を構築すること;類似タンパク質を使用して、タンパク質構造のモデルを作成すること;ペプチドライブラリーを使用して、特定の目標に結合するペプチド配列を確認すること;X線結晶構造解析およびNMR分析を挙げることができるが、それらに限定されない。上述のように、これらの構造および部位の多くは、当該技術分野で知られており、目標タンパク質上の特定の部位をバーチャルスクリーニングのために選択し、様々な手段によってアッセイすることができる。他のタンパク質/タンパク質相互作用については、相互作用の存在が知られているが、特定の部位は、上記の手段のいずれかによるさらなる調査を必要とする。タンパク質目標および相互作用タンパク質に対するそれらの結合部位の例が以下に示され、それらの例としては、以下のものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0090】
【表1】
【0091】
タンパク質/タンパク質相互作用において、相互作用に関係する各構成成分上の部位が存在するため、いずれの表面は、バーチャルスクリーニングのための潜在的な目標として機能することができる。この手法によって達成される少なくとも2つの利点が存在する。第1に、Dkk/LRP反応に影響を与える化合物の潜在的な薬物類が、Dkkに対する親和性によって同定された化合物のまったく新しいファミリーを含めることによって広げられる。第2に、シグナル生成に関与するタンパク質の結合領域が多価性になる傾向がある。例えば、LRP5/6上の結合領域は、目的および効果に差があるいくつかの異なるタンパク質によって使用される。本例に関して、Dkkは、LRP5/6の第2および第3の領域に結合することができるが(79)、スクレロスチンが第1および第2のLRP5/6領域に結合できること(80)およびこれらの領域の一方が、アントラクスの毒性効果に対する結合部位として機能すること(81)も最近示された。
【0092】
したがって、特定の薬物がLRP5/6受容体上の単一部位に導かれる場合も、その部位に結合する薬物に影響され得るDkk以外の幾つもの異なるシグナル生成タンパク質が存在し得る。これらの効果も有益であり得るか、あるいは中立的、またはさらに有害であるため、治療用途の化合物の使用に影響を与え得る。同じように、Dkk上の対応するLRP5/6結合部位が目標として選択される場合は、やはりこの部位を使用する様々な他のタンパク質/タンパク質相互作用が存在し得る。そのように、この部位に結合する薬物が同定されると、Dkk上のLRP/Dkk結合部位に対する結合について選択された薬物に影響され得る特定のタンパク質は、LRP5/6上のLRP/Dkk結合部位に対する結合について選択された薬物に影響されるものと異なるタンパク質群を表すことができる。
【0093】
Wnt/Dkk反応の他の側面を目標とすることに加えて、先述の方法に対する潜在的な候補として、Wntシグナル伝達に関与する他のタンパク質/タンパク質相互作用についても記載された。同様にして、それらは、上記に利点のいくつかを達成する。例えば、目標としてLRP5/6の代わりにDkkを選択することと同様に、異なるタンパク質目標の使用は、Wntシグナル伝達経路に影響を与えることができるまったく異なる化合物の集合体の発見を可能にするはずである。この場合、同じ効果(Wntシグナル伝達に対する影響)を達成することが可能であるが、経路の異なる部分が影響される。タンパク質/タンパク質相互作用の各パートナーが薬物発見の候補である場合に二重の発見プログラムを実施できることも理解されたい。第2に、先に述べたように、ある特定のタンパク質/タンパク質相互作用に影響を与える化合物も、必ずしも主要な目標でなかった他のタンパク質/タンパク質相互作用に影響を与える可能性が高い。したがって、Wntシグナル伝達経路のいくつかのメンバーは、所望の効果を達成する上で他のメンバーより特異的であり得ることを証明し得る。先に指定した特定のタンパク質/タンパク質相互作用に加えて、Wntシグナル伝達のためのタンパク質/タンパク質相互作用に関係するすべてのタンパク質が、潜在的に、本発明の手順を実施するための候補になり得ることを理解されたい。これらのタンパク質目標は、カノニカルおよび非カノニカルシグナル伝達経路の両方に関与することができ、あるいはそれらを一方または他方の経路に制限することができる。
【0094】
上述のように、本発明の組成物および方法に使用される化合物を使用して、病態生理学的過程を調節することができる。本明細書に定義されるように、「調節」は、特定の過程の量または速度を変化させること、過程を調整すること、あるいは適正な基準または割合に調整または維持することを含むが、それに限定されない。
【0095】
カノニカルまたは非カノニカルWntシグナル伝達経路に影響されるか、または依存する多くの系に本発明を適用することができる。これらは、Wntシグナル伝達経路の変化または欠陥によって引き起こされる疾患または状態であってもよく、Wnt活性の調整によって、これらの疾患または状態を緩和することができる。あるいは、Wnt活性自体についての問題によって引き起こされない疾患または状態が存在し得るが、Wnt活性の操作によって治癒または治療効果を達成することができる。いずれも引用により本明細書に組み入れられる米国特許出願第20050196349号、米国特許出願第20050261181号および米国特許出願第20060030523号に既に記載されているように、Wntシグナル伝達系の操作によって有益な効果を提供できる応用例としては、骨形成およびリモデリングに影響を与えること、ならびに腫瘍および異常成長を治療することを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0096】
上述のように、本発明により同定された化合物は、腫瘍および異常成長の治癒または防止手段に応用され得る。骨細胞または骨組織の腫瘍または異常成長がこれらの化合物の目標になり得ることが先述の記載から理解されるであろうが、Wnt活性は、より広範にわたり、他の細胞および組織の異常成長における要因である。第1のWnt遺伝子が単離されたときに、それは、原腫瘍遺伝子(proto-oncogene)であると考えられ(92)、マウス乳房ウィルスがこの部位に組み込まれると腫瘍を生じさせる傾向があるため、「int−1」と命名されたことを指摘しなけければならない。それが「Wnt」と再命名されたのは、胚発育におけるこの遺伝子のファミリーの役割が明らかになったわずか数年後であった(39)。Wnt経路に関与する遺伝子は、広範な組織に発現されるため、Wnt経路発現の変化に関連する極めて多様な異なる腫瘍型と同等に関連する。加えて、癌の特定の種類に応じて異なる効果がある。例えば、Wnt5Aは、造血細胞における腫瘍サプレッサーになり得る(93)一方、Wnt5Aは、黒色腫における運動性および侵襲性を促進することによって、転移にある役割を有することができる(94)という証拠が示された。Wnt経路の相互作用および腫瘍形成または腫瘍維持、ならびにこれらの効果が見られる多くの種類の癌に関する検討(引用参考文献95、96、97、66、98および99参照)。Wntの癌に対する影響と骨成長の制御との連関は、骨癌に限定される現象ではない。本質的に血液癌である多発性骨髄腫も骨成長に間接的な影響を及ぼし、脆弱性の増大が該疾患の特徴の1つである。この後者の影響は、骨髄腫細胞におけるWnt阻害薬Dkk(100)およびsFRP−2(101)の量の増加に起因することが判明した。
【0097】
Wnt経路シグナル伝達系の変化に関連する疾患状態は、腫瘍または異常骨成長のみに限定されない。Wntシグナル伝達系のメンバーの発現に関与する遺伝子における遺伝子欠陥は、様々な器官および系における欠陥を示す。同一の遺伝子についても、特定の部位またはさらには特定の変異が、欠陥の特定の表現型発現に影響を与えることが可能である。先に記載したように、LRP5におけるある変異は、骨成長の増加をもたらし、他の変異は、骨成長の減少をもたらす。いくつかの遺伝子疾患は、Wntシグナル伝達系の構成成分における欠陥に影響される発育過程に関連する可能性が高い。例えば、LRP5またはFZD4における変異は、網膜の血管新生の欠如を特徴とする家族性浸出性硝子体網膜症をもたらし得る(102)。より過激な場合は、Wnt3の欠陥によって引き起こされる第四肢と呼ばれる状態において、完全な肢形成不良が生じる(103)。他の遺伝子変異は、本質的に後胚性である恒常的過程におけるWntシグナル伝達の役割に影響を与え得る。例えば、骨量の増加または減少ならびに腫瘍形成事象をもたらす欠陥は、進行中の出産後過程である。しかし、上記のように、これらは、Wntシグナル伝達に影響される唯一の恒常的過程でない。糖尿病に影響を与えるWnt経路遺伝子における変異の可能性は、LRP5の両複製物が不足したマウスからの結果によって既に示された。これらのマウスは、骨粗鬆症に対する潜在的なモデルの背景で既に引用されたが、この系統は、血清コレステロール値の増加および耐糖応答の顕著な低下を含む他の表現型特性も示すことがさらなる研究によって示された(20)。LRP5遺伝子は、糖尿病に関連していたIDDM4領域に近いため、最初に特定され、複製されたので、後者の結果は、驚くべきことではない(18)。加えて、異型接合状態および同型接合状態の危険率がそれぞれ1.45および2.41である、TCF7L2遺伝子(以前はTCF4と呼ばれていた)に対立遺伝子を有する個体における2型糖尿病の発達の確率の増加が最近の研究(104)によって示された。Wntシグナル伝達系の様々なメンバーに関連することが判明した他の疾患または状態としては、多嚢胞性腎疾患(105)、腎線維症(106)、肺線維症(107)、侵襲性線維腫症(108)および統合失調症(109)が挙げられる(Wntシグナル伝達経路と疾患の関係に関する詳細については、引用参考文献63および66参照)。
【0098】
そのように、Wntシグナル伝達の変化によって引き起こされるか、あるいは特定の疾患または状態の存在の結果としてWntシグナル伝達の差を示すあらゆる疾患過程には、本発明の使用を通じて同定された化合物を使用できる。
【0099】
本発明の方法に使用される化合物は、Mesd−LRP5相互作用を調節、特に減弱させて、細胞表面に存在するLRP5受容体の減少をもたらすことで、骨形成または骨リモデリングを通じて骨密度を増加させることができる。
【0100】
Dkkは、LRP5受容体の第3の領域と結合、または相互作用すると、Wntアンタゴニストとして作用する。Dkk−LRP5相互作用を阻害して、骨形成またはリモデリングを促進する化合物が同定された。以下の実施例に記載するように、1つの化合物、NCI366218(IIC8)は、組織培養モデルにおいて、骨芽細胞分化を刺激することが判明した。WntおよびDkkは間葉幹細胞の成長および分化を調節することが示された。骨形成の調節、ならびに造血性幹細胞の発育および分化のための間葉幹細胞調節剤として機能する化合物が同定された。
【0101】
Wntは、造血性幹細胞の成長および分化を調節することが示された。骨形成の調節、ならびにインビボおよびインビトロの幹細胞の増殖および拡大のための造血性幹細胞調節剤として機能する化合物が同定された。
【0102】
組成物
本発明の方法に使用される化合物を組成物、特に医薬組成物に製剤化することができる。当該組成物は、典型的には、薬学的に許容し得る担体または賦形剤に製剤化された、および/または該担体または賦形剤とともに製剤化された本発明の代謝中間体の約0.1から90重量%を含有する。医薬製剤化は、十分に確立された技術分野であり、Gennaro(編)、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Lippincott、Williams & Wilkins(2000);Anselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第7版、Lippincott Williams & Wilkins(1999);およびKibbe(編)、Handbook of Pharmaceutical Excipients American Pharmaceutical Association、第3版(2000)にさらに記載されている。
【0103】
手短に述べると、本発明の医薬組成物の製剤化は、投与のために選択された経路に依存する。本発明に利用される医薬組成物を、経口、静脈内、筋肉内、皮下、吸入、鞘内、心室内、経粘膜、経皮、鼻内、腹腔内および肺内を含む経腸および非経口経路の両方を含む様々な経路によって投与することができる。医薬組成物は、本発明の1つ以上の作用物質を含むことができる。
【0104】
経口剤形を患者が消化するための錠剤、丸剤、糖剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤および懸濁剤等として製剤化することができる。経口投与のための組成物の固体製剤は、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖;トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモまたは他の植物からのデンプン;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースまたは微結晶セルロースなどのセルロース;アラビアゴムおよびトラガカントゴムを含むゴム;ゼラチンおよびコラーゲンなどのタンパク質;カオリン、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウムなどの無機物;ならびにアカシアおよびアルギン酸などの他の物質などの炭水化物またはタンパク質充填剤などの好適な担体または賦形剤を含有することができる。架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、またはアルギン酸ナトリウム等のその塩、微結晶セルロース、トウモロコシデンプン、グリコール酸ナトリウムデンプンおよびアルギン酸などの崩壊および/または溶解を促進する物質を添加することができる。使用できる錠剤結合剤としては、アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン(Povidon(商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、デンプンおよびエチルセルロースが挙げられる。使用できる潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリコーン液、タルク、蝋、油およびコロイダルシリカが挙げられる。先述のものを含む充填剤、崩壊および/または溶解を促進する物質、錠剤結合剤および潤滑剤を単独で、または組み合わせて使用することができる。固体経口剤形は、全体的に均一である必要がない。例えば、糖剤のコアは、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有することもできる高濃度糖溶液などの好適なコーティングと併用され得る。
【0105】
本発明の経口剤形は、ゼラチンで構成された押込嵌め(push-fit)カプセル剤、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどのコーティング剤で構成された密封軟カプセル剤を含む。押込嵌めカプセル剤は、ラクトースまたはデンプンなどの充填剤または結合剤、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、ならびに任意に安定剤と混合された活性成分を含有することができる。軟質カプセル剤において、活性化合物を、脂肪油、液体、または安定剤を含む、または含まない液体ポリエチレングリコールに溶解または懸濁させることができる。また、製品同定のために、または活性化合物の量、すなわち投与量を特徴づけるために染料または顔料を錠剤または糖剤コーティングに添加することができる。
【0106】
経口(経腸)投与のための医薬組成物の液体製剤は、水または他の水性媒体で調製され、メチルセルロース、アルギン酸塩、トラガカント、ペクチン、ケルギン(kelgin)、カラゲナン、アカシア、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールなどの様々な懸濁剤を含有することができる。液体製剤は、活性化合物とともに、湿潤剤、甘味料ならびに着色料および香料を含有する溶液、エマルジョン、シロップおよびエリキシルを含むこともできる。
【0107】
本発明の医薬組成物を非経口投与のために製剤化することもできる。非経口投与のための製剤は、水性または非水性等張性無菌注射液または懸濁液の形であり得る。
【0108】
静脈内注射では、本発明の化合物の水溶性形態を、5%デキストロース(「D5」)、生理緩衝食塩水、0.9%食塩水、ハンクス液またはリンガー液などの生理的に許容し得る液体媒体で製剤化するか、あるいは凍結乾燥物として提供される場合は、当該液体媒体と混合する。静脈内製剤は、限定することなく、カルシウム、ヒト血清アルブミン、クエン酸塩、酢酸塩、塩化カルシウム、炭酸塩および他の塩を含む担体、賦形剤または安定剤を含むことができる。
【0109】
筋肉内製剤、例えば、本発明の化合物の好適な可溶性の塩の形の無菌製剤を注射用水、0.9%食塩水または5%グルコース溶液などの医薬賦形剤に溶解させ、投与することができる。あるいは、該化合物の好適な不溶性の形を長鎖脂肪酸のエステル(例えば、オレイン酸エチル)、ゴマ油などの脂肪油、トリグリセリドまたはリポソームなどの水性ベースまたは薬学的に許容し得る油ベースの懸濁物として調製し、投与することができる。
【0110】
該組成物の非経口製剤は、植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール等)などの様々な担体を含有することができる。
【0111】
水性注射懸濁物は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランなどの、懸濁物の粘度を高める物質を含有することもできる。非脂質性ポリカチオンアミノポリマーを送達に使用することもできる。所望により、該懸濁物は、好適な安定剤、または高濃度の溶液の調製を可能にするために化合物の溶解性を高める作用物質を含有することもできる。
【0112】
本発明の医薬組成物を、注射可能な長期堆積を可能にするように製剤化することもできる。ポリアクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に該化合物のマイクロカプセル材料を形成することによって注射可能なデポー剤を製造することができる。薬物のポリマーに対する比率および採用される特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射可能製剤は、体組織と相溶性を有するミクロエマルジョンに薬物を閉じ込めることによっても調製される。
【0113】
吸入製剤を容易に製剤化することもできる。吸入については、様々な粉末および液体製剤を調製することができる。エアロゾル製剤については、該化合物または該化合物の塩の形の無菌製剤を計量投与吸入剤などの吸入剤およびネブライザに使用できる。エアロゾル化された形は、呼吸障害を治療するのに特に有用であり得る。
【0114】
あるいは、本発明の化合物は、送達時に適切な薬学的に許容し得る担体での再構成するための粉末形態であり得る。
【0115】
本発明の医薬組成物における医薬として活性な化合物を、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸およびコハク酸を含むが、それらに限定されない様々な酸の塩として提供することができる。塩は、対応する遊離塩基の形より水性溶媒または他のプロトン性溶媒に溶解しやすい。
【0116】
医薬組成物を調製した後、それらを適切な容器に梱包し、指定した状態の治療について標識する。
【0117】
活性化合物は、意図する目的を達成するのに有効な量で存在することになる。有効投与量の決定は、当業者の能力の範囲内に十分おさまる。
【0118】
本発明に使用される化合物の治療有効投与量を、最初に細胞培養アッセイなどのインビトロ試験を行い、続いてモデル動物、通常はマウス、ラット、ウサギ、イヌまたはブタにおけるアッセイを行うことによって推定することができる。動物モデルを使用して、最初の好ましい濃度範囲および投与経路を決定することができる。
【0119】
例えば、ED50(集団の50%において治療有効な投与量)およびLD50(集団の50%に対して致死的な投与量)を動物モデル系の1つ以上の細胞培養で決定することができる。毒性効果の治療効果に対する投与量比は、LD50/ED50で表現することができる治療指数である。大きな治療指数を示す医薬組成物が好ましい。
【0120】
細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトにおける使用に対する最初の投与量範囲を策定するのに使用され、好ましくは、毒性をほとんどまたはまったく有さないED50を含む循環濃度の範囲を提供する。投与後、または連続的な投与の間において、活性薬の循環濃度は、採用される剤形、患者の感受性および投与経路等の当該技術分野で良く知られている薬物動態学的因子に応じて、この範囲内で変動する。
【0121】
正確な投与量は、治療を必要とする対象に特異的な因子に鑑みて、熟練者によって決定されることになる。熟練者が考慮できる要因としては、疾患状態の重度、対象の身体の健康状態、年齢、体重、対象の性別、食習慣、投与の時間および頻度、薬物の組合せ、反応感度、ならびに治療に対する耐性/応答が挙げられる。長時間作用する医薬組成物を、特定の製剤の半減期およびクリアランス速度に応じて、3から4日毎、毎週または2週間に1回投与することができる。
【0122】
通常の投与量は、投与経路に応じて、約1gの全投与量まで0.1から100000マイクログラムの範囲で変化してもよい。特定の実施形態において、日投与量は、患者の体重1kg当たり約0.01mgから30mg(例えば、1mg/kgから5mg/kg)である。所望される場合は、医薬製剤を1日当たり複数の投与量で投与して、所望の全日投与量を達成することができる。
【0123】
医薬技術分野の当業者に知られている従来の方法を用いて、本発明の医薬製剤を患者に投与することができる。本発明の医薬組成物を単独で、または他の治療薬または治療介入と組み合わせて投与することができる。具体的には、本発明の組成物は、本発明の複数の作用物質をさらに含むことができる。前述の方法のいずれかによる疾患の治療は、制御性細胞、免疫制御性細胞またはNKT細胞の数または機能を変化させる。この変化は、細胞の数または機能の低下、阻害または減少を包括する。この阻害は、CD1d分子からの活性化要素の競合的置換によって生じ得る。変化は、細胞の数または機能の刺激または増加を含むこともできる。この刺激は、CD1d分子からの活性化要素の結合の増加によって生じ得る。
【0124】
相乗効果および間接的な効果
生物学的アッセイで試験すると、LRP5/6に対する結合部についてバーチャルスクリーニングによって選択された化合物は、a)Lef活性;b)Wntによるlef活性の増強;およびc)DkkによるWnt増強の抑制(表Iに見られる)に対する様々な影響を示した。したがって、本発明の組成物は、対象における病態生理学的過程を調節する2つ以上の化合物を含んでもよい。
【0125】
小分子のタンパク質に対する結合は、タンパク質の構造を変化させることができることが良く知られている。例えば、基質を有するタンパク質および基質を有さないタンパク質の構造を調べて、結合部位および酵素の触媒機構に関する詳細を解明するために、多くの結晶解析調査を実施した。したがって、化合物の結合は、その活性を増強するまたはその活性を低下させることができるようにタンパク質の構造を変化させることができるということが容易に理解できるだけでなく、構造が変化しても活性自体が影響され得ないことが理解できる。しかし、小分子が結合したタンパク質は、その分子を有さないタンパク質と同じでないことがわかる。したがって、特定の目標タンパク質に結合することが可能であるが非天然タンパク質に影響を与えなかった小分子は、それが異なるコンホメーションにされた場合に目標タンパク質に影響を与え得る。同一のタンパク質目標に結合した2つの異なる化合物の組合せは、系の挙動を変化させることが既に示された1つの分子および単独で使用された場合に影響を示さなかった第2の分子からなっていてもよく、あるいはいずれも単独で活性を示さない2つのタンパク質からなる可能性がある。次いで、個々の化合物を試験するのに使用される同じアッセイ、すなわちLef活性の変化、Wntの存在に対するLef活性の応答(Wnt活性化)、DkkによるWntの阻害に対する応答、および最後にLRP5およびDkk−APの親和性の変化についてのアッセイを、存在する両化合物を用いる既に記載のアッセイに用いることができる。ガロシアニンまたはエンゾM01などの化合物が、LRP5/6に対する結合について選択された他の化合物の存在下で使用される一連の反応を実施することができる。一方、化合物の様々な組合せのマトリックスを実施するより広範な調査を採用することができる。
【0126】
本発明のさらなる態様は、2つ以上の薬理剤の混合物の投与の相補効果または相乗効果を利用することである。別の可能性は、より低い投与量での組合せで、通常の投与量の薬物の1つと同じ治療効果を提供できる2つ以上の薬物についてである。この方法の利点は、薬物の費用を低減することがあるか、より低い投与量の使用によって望ましくない副作用が低減され得ることであり得る。
【実施例】
【0127】
材料および方法
細胞培養、トランスフェクション、CMの調製およびルシフェラーゼアッセイ
ヒト胚腎臓細胞(HEK)系A293Tおよびマウス線維芽細胞系NIH3T3を維持し、前述のようにトランスフェクションした(1)。前骨芽細胞系2T3およびMC3T3を、10%FCSを含有するa−MEMで培養した。ルシフェラーゼアッセイでは、24ウェルプレートにおける細胞を5×104細胞/ウェル個で接種し、製造元の指示通りにリポフェクタミンプラス(Invitrogen、カリフォルニア州)を使用して1ウェル当たり0.5μgのDNAでトランスフェクションした。DNA濃度をトランスフェクション毎に等しくするために、LacZプラスミドを通常使用した。細胞抽出物をトランスフェクションから24時間後に回収した。既に記載されているようにルシフェラーゼアッセイを実施した(1、2)。発光強度をGFPの蛍光強度に対して規準化した。CMを含有するDkk1−APを調製するために、HEK細胞を4×105個/ウェルで6つのウェルプレートに接種し、1μgのDNA/ウェルでトランスフェクションした。CMをトランスフェクションから48時間後に回収した。
【0128】
発現プラスミドの構築および突然変異誘発
高適合熱安定性DNAポリメラーゼPfu Ultra(Stratagene、カリフォルニア州)を使用して、ヒトLRP5、LRP6、マウスWnt1、Dkk1およびDkk2の野生型および変異形をPCRによって生成した。HAまたはFlagエピトープ標識を全長および変異体分子のC末端に導入した。CMVプロモータによってこれらの分子の発現を導いた。LEF−1レポータ遺伝子構造を外部供給源(3)から得た。
【0129】
Dkk1−AP結合アッセイおよび免疫沈降アッセイ
24ウェルプレートにおけるHEK細胞をLRP5およびその変異体でトランスフェクションした。1日後、細胞を低温洗浄緩衝液(BSAおよびNaN3を含有するHBBS)で洗浄し、マウスDkk1−AP調整培地とともに2時間にわたって氷上でインキュベートした。次いで、細胞を洗浄緩衝液で3回洗浄し、溶解させた。溶解物を65℃で10分間加熱し、Tropix発光APアッセイキットを使用してそれらのAP活性を測定した。既に記載されているように免疫沈降アッセイを実施した(4)。
【0130】
細胞表面タンパク質のビオチン化
HEK細胞をLacZ、LRP5およびLRP5G171V発現プラスミドトランスフェクションした。細胞に氷冷PBS中0.5mg/mlスルホ−NHS−ビオチン(Pierce)を標識し、洗浄し、既に記載されているように溶解させた(5)。細胞溶解物を抗HA抗体およびA/Gアガロースタンパク質で免疫沈降させた。
【0131】
一次骨芽細胞培養
生後3カ月のマウスからの骨髄間質(BMS)骨芽細胞培養物を既に記載されているように生成した(6)。10nMのデキサメタソン、8mMのβ−グリセロホスフェートおよび50ug/mlのアスコルビン酸の存在下で、骨形成分化するように細胞を誘発した。培地を2日毎に変えた。
【0132】
相同性モデリング
スイス−プロット/TrEMBLデータベース(登録名Q9UP66(8))から得た配列を使用して、LRP5の第3のYWTD−EGF領域の相同性モデルをICM(Molsoft L.L.C.、La Jolla、カリフォルニア州)で構築した。LDL受容体(低密度リポタンパク質)YWTD−EGF領域(PDBコード1IJQ(9))を鋳型として選択した。
【0133】
バーチャルスクリーニング
UNITY(商標)(Tripos,Inc.)プログラムを使用して、Glu456とともに末端に6つのプロペラで形成された腔に適合することが可能な化学化合物について国立癌研究所(NCI)データベースをスクリーニングした。次いで、エネルギー最小化のために、FlexX(商標)プログラム(Tripos,Inc.)を使用して、候補化合物をLRP5領域のDkk1結合腔にドッキングした(10)。計算において最も高い結合親和性を示す化学化合物を、さらなる実験的試験に向けて、国立癌研究所、癌治療診断部(Division of Cancer Treatment and Diagnosis)、開発治療薬プログラム(Development Therapeutics Program)、薬物合成および化学課(Drug Synthesis & Chemistry Branch)から入手した。生化学アッセイの結果に基づいて第2回および第3回目のスクリーニングを実施した。
【0134】
骨に対する化合物の影響の評価
IIIC3をDMSOに溶解させ、1:1000に希釈して0.44mg/mlの濃度でPBSに含めた。頭蓋冠の局部注射では、既に記載されている注射方法(74、75)を用いて、15マイクロリットルのIIIC3(0.22mg/Kg/日)、対照媒体または正の対照(b−FGF、12.5ug/Kg/日)を生後4週間のCD−1マウスの頭蓋冠の右側の皮下組織に5日間にわたって1日3回注射した。最初の注射から22日後に頭蓋冠を回収し、切出しのために固定した。全身投与では、IIIC3(3mg/Kg/d)および対照媒体を生後2カ月のC57B1マウス(n=19)に7日間にわたって1日1回腹腔内注射した。マウスを3週間安静にし、処理を1回繰り返した。最後の注射から3週間後に、マウスに麻酔をかけ、PIXImus小動物DXAシステム(GE−Lunar、Madison、ウィスコンシン州)を使用して、全大腿および全身骨鉱物含有量(BMC;グラム)ならびに骨面積(平方センチメートル)を測定し、BMDを計算した。全身測定では頭を除外した。これらのマウスの重量も同時に測定した。
【0135】
Wnt活性レポータ遺伝子アッセイ
アッセイを既に記載されているように実施した(30、78)。手短に述べると、24ウェルプレートにおける細胞を5×104個/ウェルで接種し、製造元の指示通りに、リポフェクタミンプラス(Invitrogen、カリフォルニア州)を使用して、1ウェル当たり0.1mgのGFP、0.025ugのLEF−1、0.075ugのLEFルシフェラーゼレポータ遺伝子および0.3ugのLacZでトランスフェクションした。トランスフェクションから24時間後に化合物および調整培地を添加した。6時間後、細胞抽出物を回収し、ルシフェラーゼアッセイを実施した。発光強度をGFPの蛍光強度に対して規準化した。
【0136】
実施例1:LRP5の欠失変異体
1組のPCRプライマーを設計し、PCR反応を実施し、PCR断片をベクターにサブクローン化していくつかのLRP5欠失変異体を生成した。第3および第4の領域(残基646から1198)の欠失は、LRP5R12をもたらし、第1および第2の領域(残基1から646)の欠失は、LRP5R34をもたらし、第3の領域(残基947から1198)の欠失は、LRP5R124をもたらした(図1A)。
【0137】
実施例2:LRP5の領域IはMesd媒介LRP5機能に不可欠である
実施例2.1 LRP5の第1の領域におけるG171V変異は、LRP5輸送を妨げる
LRP5とMsedの相互作用
図2Aに示されるように、HEK細胞を発現プラスミドでトランスフェクションした。1日後、細胞を溶解させ、抗Flag抗体を使用して免疫沈降を実施した。MesdをFlag標識し、すべてのLRP5分子をHA標識した。それらの結果により、領域IのG171V変異は、LRP5とMesd(図2A、レーン1および3)およびR12とMesd(図2B、レーン1および2)の両方の相互作用を妨げるのに対して、領域IIIのE721変異は、相互作用に対する影響を示さない(図2A、レーン2および3)ことが示された。
【0138】
LRP5変異体は、細胞表面に効率的に発現しない
図2Bおよび図2Cに示されるように、HEK細胞をMesdプラスミドおよび発現プラスミドでトランスフェクションした。R12TGV、R12T、R1−4およびR1−4GV(GV)は、細胞培養培地で分泌する膜貫通領域が欠如したLRP5変異体であるAP融合タンパク質である。1日後、調整培地(CM)を回収し、高速で遠心した。上清を抗HA抗体によって免疫沈降させる(図2C)か、またはAPアッセイに使用した(図2D)。また、細胞をSDS−PAGE試料緩衝液に溶解させ、ウェスタンブロット法によって分析した(図2CおよびDの下面)。それらの結果により、G171V変異は、LRP5の細胞表面への発現を減弱させることが示される。
【0139】
細胞表面のLRP5レベルの評価
HEK細胞をLacZ、野生型HA−LRP5またはHA−LRP5G171V発現プラスミドでトランスフェクションした。細胞表面をビオチン化し、LRP5分子を抗HA抗体で沈降させた後に、ストレプトアビジン西洋ワサビペロキシダーゼ(SA−HRP)を使用して、ウェスタン分析によって細胞表面のLRP5分子のレベルを検出した(図2E上面)。免疫複合体におけるLRP5のレベルを下面に示す。これらの結果は、D171V変異体の細胞表面の発現の減少を示す。
【0140】
実施例2.2 LRP5G171Vは、同時発現Wntの活性のDkk1媒介阻害を受けにくい
カノニカルWntシグナル伝達活性に対するG171V変異の影響
図3Aに示すように、HEK細胞を、LEF−1発現プラスミド、LEF−1ルシフェラーゼレポータプラスミドおよびGFP発現プラスミドとともに、プラスミドでトランスフェクションされた。1日後、細胞を溶解させた。材料および方法に記載されているように、溶解した細胞のGFPレベルおよびルシフェラーゼ活性を測定し、GFPレベルに対して規準化した。LacZがトランスフェクションされた細胞による活性を100%として、対照を確定した。LRP5タンパク質に担持されるHA標識に特異的な抗体、または抗LRP6抗体を使用して、LRP5、LRP5G171V、LRP6およびLRP6G158Vの発現を検出した(図3A)。それらの結果により、HBM G171V変異は、野生型(Wt)LRP5(LRP5Wt)と比較してそれ自体のLEF−1依存転写活性の増加、または同時発現Wntのためのシグナル変換の増加をもたらさなかったことが示される。LEF−1は、カノニカルWntシグナル伝達経路の下流目標転写因子である。ルシフェラーゼレポータ遺伝子アッセイによって測定されるその活性は、カノニカルWnt活性を測定するのに広く使用されてきた(12、20)。したがって、LRP5G171Vは、Wntシグナル伝達を変換する上で本質的に活性でも、より強力でもない。驚いたことには、LRP6上の対応する変異、すなわち残基G−158に対するVal残基の置換によって、それがWnt−1と相乗的に作用することが不可能になり(図3A)、恐らくは受容体を不活性した。
【0141】
同時発現Wnt1によって刺激されたカノニカルシグナル伝達活性に対するG171V変異の影響
図3Bに示されるように、LRP5WtまたはLRP5G171Vの存在下でHEK細胞をLEFレポータ、Wnt−1、Dkk1およびクレメンのプラスミドでトランスフェクションした。ヒトHEK細胞をLacZでトランスフェクションし、LRP5またはLRP5G171Vの存在下でDkk1、クレメン1およびWnt1で同時トランスフェクションした。クレメン1およびDKK1の両方の存在下で、Wntは、LRP5Wtを発現するHEK細胞よりLRP5G171Vを発現するHEK細胞においてより高い活性を示した(図3B)。これらの結果により、LRP5G171Vは、Dkk1の存在下で野生型より多くのシグナルを変換することが示される。その差が多プラスミドトランスフェクションの結果でないことを確認するために、Dkk1、クレミン1およびLRP5のタンパク質発現(図3)を調べた。自己分泌Wnt1活性のDkk媒介阻害に対する抵抗の増加という同様の結果が、NIH3T3細胞ならびに2つの骨芽様細胞系、MC3T3および2T3にも観察された。
【0142】
実施例2.3.Dkk1−APのLRP5およびLRP5変異体に対する結合
図4に示されるように、HEK細胞をMesdプラスミドおよびLRP5プラスミドでトランスフェクションし、Dkk1−APを発現するHEK細胞から調製されたCMとともに氷上でインキュベートした。材料および方法に記載されているように、AP活性を随意単位(AU)で測定した。Wtおよび変異体LRP5分子の発現を図4Bに示す。これらの結果により、LRP5G171V変異体を発現する細胞は、LRP5Wtを発現するものより低い見かけのDkk結合を示すことが示され(図4A)、図2に示す細胞表面上のより少ないLRP5G171Vと一致する。
【0143】
実施例3:LRP5の領域IIがWnt活性に必要とされる
図5に示されるように、HEK細胞をLEF活性レポータプラスミドおよび発現プラスミドでトランスフェクションした。発現プラスミドLRP5R494QおよびLRP5G479Vは、点突然変異をそれらの第2の領域に有するLRP5レポータである。1日後、細胞を溶解させた。材料および方法に記載されているように、溶解した細胞のGFPレベルおよびルシフェラーゼ活性を測定し、GFPレベルに対して規準化した。図5は、LRP5R494QおよびLRP5G479VがLRP5Wtと比較してWntシグナル伝達を無効にできることを示す。これらの結果は、領域IIがWnt活性に必要とされることを示す。
【0144】
実施例4:領域IIIがDkk媒介阻害に必要とされる
実施例4.1 領域IIIの分析
LRP5 G171Vは、Dkk1媒介阻害を受けにくいかということを説明するための有力な仮説は、変異がLRP5とDkk1の相互作用を妨げ得るということであった。G171を含有する第1のYWTD反復領域が、Dkk1媒介アンタゴニズムに必要とされると仮定するのが合理的である。この仮説を試験するために、2つのLRP5欠失変異体、すなわち第3および第4のYWTD反復領域が欠失したLRP5R12ならびに第1および第2のYWTD反復領域が欠失したLRP5R34を生成した(図1)。Dkk1媒介阻害に必要とされる配列をさらに明示するために、第3のYWTD反復領域が欠失したさらなるLRP5変異体、すなわちLRP5R124を生成した。
【0145】
領域IIIの機能分析
図6Aに示されているように、HEK細胞にLEF活性レポータプラスミド、クレメン1プラスミドおよび発現プラスミドをトランスフェクションした。WtLRP5およびその変異体分子の発現を図6Bに示した。その結果により、LRP5R12またはLRP5R124は、Wnt刺激LEF−1活性を依然として増強できるが、LRP5R34はできないこと(図6A)が示され、LRP5R12またはLRP5R124はWnt共受容体機能を保持することが示唆される。しかし、LRP5R12またはLRP5R124が存在すると、Dkk1は、Wntシグナル伝達を阻害することができない(図6A)。これは、領域IIIがDkk1媒介阻害に必要とされることを示唆するものである。
【0146】
LRP5およびLRP5変異体に対するDKK1−APの結合
図6Cに示されているように、HEK細胞をMesdプラスミドおよびLRP5プラスミドでトランスフェクションし、Dkk1−APを発現するHEK細胞から調製されたCMとともに氷上でインキュベートした。材料および方法に記載されているように、AP活性を随意単位で測定した。Wtおよび変異体LRP5分子の発現を図6Cの右面に示す。これらの結果により、LRP5R34は、Dkk1結合部位を含み、R34におけるE721がDkk1結合に必要とされることが示される(図6C)。
【0147】
実施例4.2.Dkk阻害に必要とされる領域III上の相互作用表面上のアミノ酸残基の同定
本明細書に記載するように、YWTD反復領域全体の欠失は、LRP5における全体構造変化を引き起こし得るため、Dkk1媒介阻害を妨げ得るこの領域における点突然変異を生成させた。
【0148】
相互作用表面III上のAla置換変異の概略図
領域IIIの空間充填モデルをLDL受容体YWTD反復領域の構造に基づいて推定した(13)。スイス−プロット/TrEMBLデータベース(登録名Q9UP66[18])から得られた配列を使用して、Dkk1の領域IIIの相同性モデルをICM(Molsoft L.L.C.、La Jolla、カリフォルニア州)で構築した。低密度リポタンパク質(LDL)受容体YWTD−EGF領域(PDBコード1IJQ(22))を鋳型として選択した。三次元構造に基づいて、Ala置換変異を領域IIIの表面上に含む19個のLRP5変異体を生成した(図7A)。Dkk1媒介阻害に抵抗するこれらの変異体LRP5タンパク質の能力を測定し、それを図7Aに示す。それらの変異体のうちの9つは、Dkk1媒介阻害に対する(5%を超える)感受性の変化を示し、同一表面上に局在する変異を含んでいた(図7A)。
【0149】
LRP5のWnt共受容体活性に対する代表的な点突然変異の影響
図7Bに示されているように、HEK細胞をLEF活性レポータプラスミド、クレメン1プラスミドおよび発現プラスミドでトランスフェクションした。Wtおよび変異体LRP5分子の発現を下面に示す。19の変異のうち、E721変異が、Dkk1媒介阻害に対して最大の影響を示し、W781、そしてY719がそれに続いた(図7B)。
【0150】
第1および第2のYWTD反復領域(それぞれD111およびD418)におけるE721対応残基の変異は、Dkk媒介阻害に対する感受性を有意に変化させなかった。Dkk1媒介阻害に対する抵抗性を有するすべての変異体は、Dkk2媒介阻害に対しても抵抗性を有していた。このすべてのデータは、第3のYWTD反復領域がDkk媒介阻害に必要とされるという結論を裏づけるものである。
【0151】
第3のYWTD反復領域がDkk媒介阻害に必要であることに対する明確な説明は、この領域がDkk1結合を引き起こすことである。HEK細胞の表面に発現されたLRP5に対するDkk1−AP融合タンパク質の直接的な結合を測定した(23)。
【0152】
実施例5:LRP5の特定領域と相互作用する化合物のスクリーニング
実施例5.1(A)領域IIIを鋳型として使用する化合物のスクリーニング
バーチャルスクリーニング
UNITY(商標)プログラム(Tripos,Inc.)を使用して、領域III上の腔に適合することが可能な化学化合物について、国立癌研究所(NCI)データベース(http://129.43.27.140/ncidb2)をスクリーニングした。このデータベースは、自由に検索可能であり、250251個の小化学化合物の座標を含む。検索質問は、0.3Åの許容誤差を有するR764およびE721、ならびに腔に向かってTrp781から3.2Å離れた1.0Åの許容誤差を有する疎水性の中心で構築されるように設計された。化合物の柔軟性を考慮して、構造的に柔軟な高速の三次元検索を可能にするUNITY(商標)プログラムにおける定方向Tweakアルゴリズム(21)を適用した。
【0153】
次いで、UNITY(商標)プログラムを使用して得られた候補化合物を、リガンドを迅速かつ柔軟にタンパク質結合部位にドッキングさせる(44)、エネルギー最小化のためのFlexX(商標)プログラム(Tripos,Inc.)(17)を使用してDkk1結合表面にドッキングさせた。Dkk1の認識に重要であることが示された残基E721、W864、Y719、R764、D877、F888、G782、W781およびM891(図7A)を考慮に入れて計算した。ドッキング手順に続いて、Cscore(商標)プログラムを使用して、Dkk1結合ポケットに結合するそれらの想定される能力に基づいて化合物のランク付けを行った。Cscore(商標)は、タンパク質−リガンド複合体の個々のスコアリング機能がどの程度十分に果たされたかに基づいて相対的なコンセンサススコアを生成した(8)。次いで、Cscore(商標)に最終的なマニュアル目視検査を施した。最大のコンセンサススコアを有する40個の化合物がNCIから要求されたが、入手不能により17個しか得られなかった。次いで、これらの化合物にDkk−1結合アッセイを施した。これらの化合物のうちの3つが、LRP−5に対するDkk1の結合に影響を与えることが判明した。NCI106164(IC14とも称する)(図8A)Dkk1結合を32%阻害し、NCI39914(IC13とも称する)(図8B)およびNCI660224(IC5とも称する)(図8C)は、Dkk1結合をそれぞれ645%および275%刺激した。NCI39914およびNCI660224の刺激効果は、これらの化合物と、第3の領域のDkk1結合腔との相互作用の増強に起因し得る。この増強は、Dkk1とLRP5の相互作用表面の間に存在する間隙の架橋に起因し得る。アントラ−9,10−キノン(図9A)は、化合物NCI39914(IC13)およびNCI660224(IC5)の間の共通の下部構造であるため、アントラ−9,10−キノンは、LRP5との結合相互作用において重要な役割を果たすことができる。アントラ−9,10−キノンと類似した、NCIデータベースに見いだされる化合物の二次元検索を、UNITY(商標)プログラムの類似性検索アルゴリズムを用いて実施した。次いで、既に記載されているように、ヒットしたものをFlexX(商標)プログラムとドッキングさせた。最高のスコアを有する25個の化合物をNCIから入手し、試験した。化合物NCI657566(図9B)およびNCI366218(図10A)は、Wntシグナル伝達のDkk1媒介阻害を反転させることが可能であった。図9Cに示されるNCI366218誘導鋳型を使用して新しい二次元類似性検索を実施し、13個の候補化合物を同定した。NCI8642(図10B)は、Wntシグナル伝達のDkk媒介阻害の反転およびLRP5に対するDkk1の結合の破壊に最良の化合物であることが、(以下に記載する)生物学的アッセイによって示された。
【0154】
生物学的アッセイ
生物学的アッセイを用いて、バーチャルスクリーニングによって同定された化合物をスクリーニングした。
【0155】
Dkk−1結合アッセイ
第1の2つの領域が欠如した全長LRP5またはLRP5R34変異体を発現するHEK細胞に対するDkk1−APの結合を実施例2に記載されるように実施した(図4)。17個の化合物の第1のバッチを、全長LRP5に対するDkk1の結合の阻害について最初にスクリーニングした。NCI106164(IC14)は、Dkk1結合に対する68%の阻害効果を示し、NCI39914(IC5)およびNCI660224(IC3)は、Dkk1結合をそれぞれ654%および276%刺激した(表I参照)ことに留意すべきである。IC5およびIC13による結合の増強については、効果は、これらの対称性分子による受容体上で示されるオリゴマー化またはアロステリック効果の結果であり得る。重要なことは、IC5、IC13(図8B)およびIC15(図8C)がいずれもアントラ−9,10−キノンコア構造を含み、キノン構造は、分子が腔と相互作用するための基本的な相互作用力を提供できることが示唆される。Dkk相互作用腔におけるいくつかの芳香族アミノ酸残基の存在が、この考え方を裏づけている。
【0156】
【表2】
【0157】
【表3】
【0158】
【表4】
【0159】
表IIおよび表III
NIH3T3細胞をWnt活性ルシフェラーゼレポータ遺伝子でトランスフェクションした。翌日、化合物を2mg/mlでDMSOに溶解させ、20ug/mlに希釈して、組織培地(基本培地)、Wnt3a(Wnt)を含む培地、またはWnt3aおよびDkk1(Wnt+Dkk)の両方を含む培地に含めた。化合物を含まないDMSOを対照とした。6時間後、細胞を溶解させ、ルシフェラーゼアッセイを用いてWnt活性を測定した。示されるデータは、パーセントの基本活性である。Wnt活性に影響を与えずに100%を超えるDkk阻害の反転を示す化合物を赤色で示す。
【0160】
Wnt活性アッセイ
LRP5の第2および第3の領域がWntシグナル伝達に必要とされ、これらの領域は、恐らくWnt分子と直接相互作用する。これらの領域は、高度なアミノ酸配列相同性を共有するため、第3の領域に結合する特定の化合物は第1の2つの領域にも結合し、Wnt活性の阻害を引き起こすことができることが見込まれる。化合物の第2のバッチを、最初にWnt活性アッセイを用いてスクリーニングし、続いてDkk阻害を反転させる化合物がLRP5に対するDkk結合を阻害したことを確認するための結合アッセイを用いてスクリーニングした。表IIに示されるように、第2のバッチからの25個の化合物を、Wnt活性アッセイを用いてスクリーニングした。具体的には、NIH3T3細胞をWnt活性ルシフェラーゼレポータ遺伝子でトランスフェクションした。翌日、それらの化合物を2mg/mlでDMSOに溶解させ、20ug/mlに希釈して、Wn3a(Wnt)を含む組織培地(B基本)またはWnt3aおよびDkk1の両方(Wnt+Dkk)を含む培地に含めた。いずれの化合物も含まないDMSOは対照としての機能を果たす。6時間後、細胞を溶解させ、ルシフェラーゼアッセイを用いてWnt活性を測定した。示されるデータは、パーセントの基本活性である。それらの化合物を1)基本レポータ活性阻害、2)Wnt活性阻害および3)Wnt活性のDkk媒介阻害の反転について調べた。表IIに示されるように、25個の化合物のうちの17個が、30%を超える割合でWnt活性を阻害することが判明した。2つの化合物、すなわちNCI366218およびNCI657566は、Wnt活性に影響を与えずにWntシグナル伝達のDkk1媒介阻害を反転させることが判明した。
【0161】
どの化合物がDkk媒介阻害を反転させるかを判定するために、バーチャルスクリーニングを用いて第3のバッチの化合物を同定した。13個の化合物を同定し、Wnt活性スクリーニングを施した。表IIIに示されるように、3つの化合物が、Wnt活性を著しく阻害することが判明し、1つの化合物(NCI8642)がDkk媒介阻害を有意に反転させた。
【0162】
図11および図12に示されるように、Wnt活性アッセイおよびDkk結合アッセイによって、NCI8642およびNCI366218の両方の特性をさらに調べた。NCI8642は、Dkk媒介阻害の反転により効果的であった。NCI8642は、また、NCI366218より有効濃度の範囲が広かった。両化合物は、高濃度でWnt阻害を示し始めた。両化合物は、全長LRP5、および第1の2つの領域が欠如したLRP5 R34変異体に対するDkk1−APの結合を阻害したため、Dkk1とLRP5の相互作用を破壊することによってDkk媒介阻害を反転させた。NCI8642は、Dkk1結合の阻害においてNCI366218より効果的であり、Wntシグナル伝達に対するDkk媒介アンタゴニズムの反転の効果が増加したことと一致することが示された。
【0163】
骨形成アッセイ
Wntは、培養された骨芽細胞の増殖および分化を刺激し、Dkkは、この過程を阻害する。したがって、これらの化合物は、骨形成を増加させる。これを、鉱化の調査、またはBSP、オステオカルシンおよびコラーゲンの発現を含む骨形成マーカの発現によってモニタリングすることができる。2.3Kb CollA1プロモータによって導かれるGFPの発現もモニタリングした。図13は、NCI366218がGFP発現を刺激することを示し、骨芽細胞の分化の増加を示唆する。図14は、NCI366218が鉱化を刺激することを示す。NCI366218は、頭蓋冠臓器培養において骨形成をも刺激する。
【0164】
実施例5.1(B)領域IIIを鋳型として使用する化合物のスクリーニング
この腔に潜在的に結合することが可能である化学化合物について、国立癌研究所(NCI)データベース(http://129.43.27.140/ncidb2)のさらなるバーチャルスクリーニングを実施した。このデータベースは、250251個の小(M.W.<1000Da)化学化合物の座標を含む。0.3Åの許容誤差を有するLRP5残基Glu721およびArg764、ならびに腔に向かってLRP5残基Trp780(69)から3.2Å離れた1.0Åの許容誤差を有する疎水性の中心で構成される検索質問を用いて、プログラムUNITY(Tripos,Inc.)で最初のスクリーニングを実施した(図17A)。化合物の柔軟性を考慮に入れるために、高速かつ構造的に柔軟な3D検索(21)を可能にするプログラムUNITYにおける指向性Tweakアルゴリズムを適用した。
【0165】
次いで、リガンドを迅速かつ柔軟にタンパク質結合部位にドッキングすることができるプログラムFlexX(Tripos,Inc.)を使用して、UNITYスクリーニングによる候補化合物(〜2000)をDKK1結合表面にドッキングさせた(72、73)。DKK1結合に関与することが示されたLRP残基Glu721、Trp863、Tyr719、Arg764、Asp887、Phe888、Gly781、Trp780およびMet890(69)を計算に含めた。ドッキング手順後に、プログラムCscoreを用いて、化合物をDkk1結合ポケットに対するそれらの想定される結合親和性に基づいてランク付けした。Cscoreは、タンパク質−リガンド複合体の個々のスコアリング機能がどの程度十分に果たされるかに基づいて相対的なコンセンサススコアを生成する。次いで、Cscoreの結果に最終的な目視検査を施した。
【0166】
最高のコンセンサススコアを有する17個の化合物をさらに試験した(化合物IC1〜IC17、表IV)。これらの化合物にDkk−1結合競合アッセイおよびWnt活性アッセイを施した。具体的には、NIH3T3細胞をWnt活性ルシフェラーゼレポータ遺伝子でトランスフェクションした。翌日、2mg/mlでDMSOに溶解させ、20ug/mlでPBSに希釈した化合物を組織培地(基本)、Wnt3a(Wnt)またはWnt3aおよびDkk1の両方(Wnt+Dkk)を含む培地中に添加した。対照は、同量のDMSOを含む。6時間後、細胞を溶解させ、Wnt活性をルシフェラーゼアッセイによって測定した。10個の化合物が、基本レポータ遺伝子活性に有意に影響を与えずにWnt刺激レポータ遺伝子活性の50%超の阻害を示した(表IV)。これらの10個の化合物のうち、4つの化合物は、細胞表面に発現されたLRP5に対するDkkアルカリホスファターゼ(AP)の結合に影響を与えた。IC14およびIC15は、30パーセントを超える阻害を示したのに対して、驚いたことには、IC5およびIC13は、結合の刺激を示した(表IV)。Wnt活性の阻害は、恐らくはWnt分子との直接的な相互作用を通じて、Wnt結合に関係していることが示された第1の2つのYWTD反復領域に対する化合物の結合に起因し得る(35、36、47)。重要なことは、IC5、IC13(図17B)およびIC15(図17C)は、いずれもアントラ−9,10−キノンコア構造を含み、キノン構造は、分子が腔と相互作用するための基本的な相互作用力を提供できることが示唆される。Dkk相互作用腔におけるいくつかの芳香族アミノ酸残基の存在は、この考え方を裏づけるものである。
【0167】
【表5】
【0168】
【表6】
【0169】
【表7】
【0170】
【表8】
【0171】
【表9】
【0172】
【表10】
【0173】
【表11】
【0174】
【表12】
【0175】
【表13】
【0176】
キノンコア構造は、相互作用に寄与できると仮定して、UNITYプログラムの類似性検索アルゴリズムを使用して、NCIデータベースにおけるアントラ−9,10−キノンに類似する化合物について第2回目のバーチャルスクリーニングおよび2D検索を実施した。次いで、ヒットしたものを既に記載されているようにFlexXとドッキングさせた。次いで、高得点が付けられた7つの化合物をNCIから入手し、生物学的アッセイで試験した。化合物IIC8(図17D)を、Wntシグナル伝達のDkk媒介阻害を反転させるその能力について同定した(表V)。
【0177】
アントラ−9,10−キノン系化合物に加えて、第1のバーチャルスクリーニングによりそれらのスコア41〜80にランク付けされたさらなる17個の化合物を入手した。これらの17個の化合物の試験により、それらのうちの9つがWntシグナル伝達を50%以上阻害することが明らかになった(表IVにおける陰影部の化合物)。重要なことは、IIC15(図17E)およびIIC24(図17F)を含む、このスクリーニングからの化合物のうちの4つは、Wntシグナル伝達をそれ自体有意に阻害せずに、Wntシグナル伝達のDkk媒介阻害を反転させる多少の能力を示した(表IV)。IIC15およびIIC24を鋳型として使用して2D類似性検索を実施し、13個のさらなる候補化合物をWnt活性アッセイのために入手した(表VIおよびVII)。IIC24系化合物の1つであるIIIC3(図17G)は、Wntシグナル伝達のDkk媒介阻害の非常に強力なアンタゴニストであることが判明した(表VII)。
【0178】
Wnt活性アッセイおよびDkk結合アッセイでIIC8化合物およびIIIC3化合物の両方の特性をさらに調べた。IIIC3は、IIC8よりDkk阻害の反転に効果的であり、広い有効濃度範囲を有する(図18A、B)。IIC8は、およそのEC50が10μMのマイクロモル濃度でDkk媒介阻害の反転を開始したのに対して、IIIC3は、EC50が約2μMの1μM未満の濃度でDkk阻害の反転を開始した。両化合物は、高濃度でWntシグナル伝達を阻害すると思われた。この阻害効果は、Wntシグナル伝達に必要とされる第1の2つのYWTD反復領域に対する化合物の低親和性に起因し得る。両化合物は、野生型LRP5(図18C)、および第1の2つのYWTD反復領域が欠如しているが、Dkk結合領域を保持するLRP5変異体(図18D)に対するDkk1−APの結合を阻害したため(69)、DKK1とLRPの相互作用を破壊することによってDkk阻害を反転させる可能性が最も高いと結論づけることが合理的である。加えて、IIIC3は、Dkk1結合の阻害においてIIC8より効果的であり、それは、Wntシグナル伝達に対するDkk媒介アンタゴニズムのその反転における効果が増加したことと一致する。また、LRP5に対するDkk1の結合を阻止するためのこれらの化合物のIC50値(約1μM(IIIC3の場合)および10μM(IIC8の場合))は、これらの化合物がDkk阻害を反転させるためのEC50値と類似しており、これらの化合物は、DkkとLRPの相互作用を破壊することによってDkk阻害を反転させるという結論が裏づけられる。
【0179】
化合物の機能および構造関係をより深く理解するために、Wnt阻害化合物を再調査した。試験を行った54個の化合物のうち、それらのほぼ半分(74)が20μg/mlでWnt3aの50%を超える阻害を示した(表IV〜VII)。最も強力なWnt阻害薬は、IC15(図17C)。IC15は、Wnt3a活性を阻害するための約0.5μMのIC50値を有する(図19A)。この値は、Dkkアンタゴニズムに必要とされる領域である第3のYWTD EGF反復領域に対するDkkの結合を阻害するためのIC50値(5μM)の約10分の1である(図19A)。対照的に、Wntを阻害するのに必要とされるIIIC3の濃度は、Dkkの結合を阻害するのに必要とされる濃度の少なくとも10倍であり、IIIC3がDkkの結合を阻害するためのIC50値およびDkk阻害を反転するためのIC50値は、類似している(図18)。これらの結論は、第2および第3のYWTD反復領域に対するIIIC3およびIC15の結合の分子モデリング分析によってさらに裏づけされる。LRP5の第2および第3のYWTD反復領域は、高度なアミノ酸配列相同性(41%の同一性)を共有するが、これら2つの領域のリガンド結合腔に大きな差がある(図29)。第2の領域上の腔は、第3の領域上の腔より大きいが、第3の領域の腔の方が深い(図19B、C)。したがって、IIIC3より大きいIC15は、より良好に第2の領域の腔に合うことができるのに対して、IIIC3は、第3の領域の腔により良好に適合することができると予想するのは妥当である。実際、FlexXドッキングモデルにおいて、IIIC3は、第3の領域の腔に十分に適合する(図3B)のに対して、IC15は、第2の領域の腔に完璧に適合する(図19C)。IIIC3複合構造において、第3の領域が第2の領域で置換されると、結合したIIIC3は、Glu721、Tyr719、Leu823およびPhe888を含む目標残基との多くの接触を失うことになる(図19D)。一方、第2の領域がIC15複合体において第3の領域で置換されると、第3の領域上の残基、例えばLeu823およびPhe888は、結合したIC15と衝突することになる(図19E)。
【0180】
次に、最も強力なDkkアンタゴニスト化合物IIIC3がマウスにおける骨形成を刺激し得るかどうかを判断した。該化合物を局部的骨形成モデルで試験した。IIIC3をDMSOに溶解させ、1:1000に希釈して0.44mg/mlの濃度でPBSに含めた。既に記載されている注射方法(74、75)を用いて、15マイクロリットルのIIIC3(0.22mg/Kg/日)、対照媒体または正の対照(b−FGF、12.5μg/Kg/日)を生後4週間のCD−1マウスの頭蓋冠の右側の皮下組織に5日間にわたって1日3回注射した。最初の注射から22日後に頭蓋冠を回収し、切出しのために固定した。図19に示されるように、b−FGFおよびIIIC3処理頭蓋冠の両方に新しい骨が見いだされた。IIIC3は、骨形成を刺激する上でFGFと同程度に強力であると思われた(図19B)。全身骨形成アッセイにおける化合物の効果を評価するために、C57B1マウス(生後8週間)にIIIC3および対照媒体を腹腔内注射した。IIIC3が注射されたマウスには、対照と比較して、大腿および全身骨鉱物密度の両方に有意な増加(大腿についての2%および全体での2.5%の増加)が観察され(図19C、D)、体重の有意な増加(7.1%、図19E)を伴っていた。これらの結果により、骨形成を増加させるための潜在的な治療目標としてのLRP/Dkk相互作用がさらに確認され、これらのDkkアンタゴニストは、骨粗鬆症を治療するためのアナボリック治療薬へとさらに発展するための好適な誘導化合物になり得ることが実証された。
【0181】
タンパク質−タンパク質相互作用は、小分子化合物による破壊が困難であると一般に考えられている。この調査において、構造生物学と計算と生物学的アッセイとを組み合わせて、Dkk−LRP5相互作用を効率的に破壊できる小分子化合物を同定するスクリーニング手法を用いた。鋳型を用いずに目標の推定構造のみに基づいて、化学物質に対する新規の初期バーチャルスクリーニングを実施した。単に54個の化合物の物理的スクリーニングから化合物を同定することができ、連続的な回数のスクリーニングによって、以前行われたものより良好な化合物が得られた。加えて、計算は、腔に適合する化合物を単に同定することを可能にするだけでなく、2つの類似の腔を区別する、すなわちLRP5の第1の2つのYWTD反復領域から第3のYWTD反復領域を区別することができる化合物を導く。その手法は、骨粗鬆症および癌を治療するための治療薬に発展する大きな潜在性を示した強力なDkkおよびWntアンタゴニスト化合物を同定することを可能にした。加えて、これらの化合物は、Wntシグナル伝達における治療目標検証および基本的研究のための有用なツールを提供する。
【0182】
実施例6:新しい変異体を設計するためのコア化合物としてのIIIC3の使用
上述のように、Wnt活性に作用するIIIC3(NCI8642)の能力は、この鋳型上のR基を変えることで、Wnt活性に影響を与えることもできる他の分子の同定を可能にするコアモデルを設計するのにそれを使用することを可能にする。したがって、IIIC3のように、R1、R3、R4およびR6が水素であり、R8がヒドロキシル基であった場合は、以下のモデル化合物(VIII)の残留位置でより限定された一連の化合物を製造することが可能であった。
【化21】
【0183】
このシリーズを開始するために、IIIC3のようにR11およびR12がメチル基であり、R13がヒドロキシル基であり、アミン基が四級化されて構造(VI)を与える一連の化合物を設計した。
【化22】
【0184】
直鎖状アルカンおよび分枝状アルカンの両方を使用して、この化合物におけるR15の変化に向けて一連の置換基を設計した。得られた化合物(EnzoM01〜EnzoM12)の構造を既に記載されているように走査して、それらの結合の確率についてのスコアを得る。EnzoM01〜EnzoM12に使用された特定の置換基のリストならびに得られたCscoreレーティングを以下に示す。
【0185】
【表14】
【0186】
別の手法において、NCI8642のカルボキシル基をカルボキサミド基で置換して、一般構造(VII)を有する一連の化合物を生成する。
【化23】
【0187】
この一連の化合物(EnzoM13〜EnzoM41)に使用された特定の置換基のリストならびに得られたスコアを以下に示す。
【0188】
【表15】
【0189】
別の一連の化合物において、カルボキシル基をエステル化して、構造(VIII)を与える。
【化24】
【0190】
様々な基で一連の化合物(EnzoM42〜EnzoM70)を設計した。これらの置換基およびcScoreを以下に示す。
【0191】
【表16】
【0192】
【表17】
【0193】
【表18】
【0194】
コア分子上のちょうど3つの部位に作られた様々な置換基は、単一分子を合成しなくてもバーチャルスクリーニングによって試験することができる多数の候補を生成できることが分かる。また、この一連の化合物を既に記載されている同じバーチャルスクリーニングプログラムで試験すると、70個の化合物のうち44個が5のcScore値を与えた。これは、これらの分子を設計するのに使用された化合物IIIC3が4の相対的cScoreレーティングを有していたにすぎないため、新しい化合物を設計する上でのバーチャル置換技術の能力を実証するものである。
【0195】
実施例7:スコアの改良
先の実施例において高いcScoreを達成した化合物はいずれも試験の候補であるが、効果的である可能性が最も高い化合物を合成し、試験することがより効率的であろう。5のレーティング(最高の潜在的cScore)を有する化合物が極めて多かったため、それらの化合物を分類するために異なる基準を用いなければならない。cScoreを計算する上で、様々な要素スコアを集約して、最終的なレーティングを達成する。NCIライブラリーの最初のスクリーニングにおいて、鋳型化合物であるNCI18642(IIIC3)は、これらのメンバーの1つの最高のレーティング、すなわちFR−スコアを示した。そのように、このメンバースコアを用いて、5のcScoreを有するコア化合物の様々な類似体のランク付けを行った。このようにして検索した場合に、44個の候補のうちの7個が、最初のNCI18642より高いスコアが付けられた。これらの化合物に対する値(ならびにIIIC3に対する値)を以下の表XIに示す。
【0196】
【表19】
【0197】
このアプローチでも、生物学的アッセイで合成および試験する価値のある有望な候補を同定するバーチャルライブラリーをスクリーニングする能力が示される。それらのランキングがより高いために、当該候補がコア構造を定めた最初の化合物より強力であることを証明できる可能性がある。
【0198】
実施例8:実施例7から選択された化合物の合成
上記のバーチャルスクリーニング工程によって選択された化合物の合成を当該技術分野で知られているいくつかの手段によって実施することができる。例えば、類似化合物を取り、1つ以上の置換工程によって化学基を置換することによってこれらの化合物を作ることができる。この例において、IIIC3(NCI18642)は、ガロシアニンとして商業的に入手可能であり、多くの置換の出発点として機能することができる。あるいは、所望の化合物の前駆体を適切なR基で合成し、互いに結合させて、生物学的アッセイで試験する候補を合成することができる。
【0199】
(A)EnzoM15の合成
6.02gのガロシアニン(塩酸塩を含まない)を40mlのDMFに溶解させた溶液に対して、6.62gのテトラフルオロホウ酸スクシンイミド−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムを添加した後、6.96mlのジイソプロピルエチルアミンを添加し、室温で終夜攪拌した。DMFを除去した後、残渣を10mlの無水THFに再懸濁させ、次いでTMF中10mlの2Mジメチルアミンを添加した。該混合物を50〜60℃で5時間加熱した。製造物を、シリカゲルを使用したカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2/1%MeOH)で精製して、(以下に示す)0.8g(収率12%)のEnzoM15を得た。
【化25】
【0200】
(B)EnzoM14の合成
EnzoM15の合成に使用したジメチルアミンの代わりに100mlのメチルアミンを使用したことを除いては、基本的にEnzoM15について記載したようにEnzoM14の合成を実施した。加熱工程も5時間から終夜に延長した。シリカゲルによる精製を上記のように実施して、(以下に示す)0.75g(収率12%)のEnzoM14を得た。
【化26】
【0201】
(C)EnzoM01の合成
工程1.ヨウ化メチルの合成
攪拌磁石を備えた三口フラスコに温度計、分液漏斗、ならびに下方蒸留のためのコンデンサセットおよび氷水浴に維持された受取りフラスコに接続された小さい分留塔を装着した。800g(4.8モル)のヨウ化カリウムを430mlの水に溶解させることによって溶液を調製し、これをフラスコに添加した。次いで、60gの炭酸カルシウムを添加し、該混合物を攪拌しながら60〜65℃に加熱した。温度を60〜65℃に維持し、次いで2時間にわたって分液漏斗を通じて630g(473ml、5モル)の「実用」硫酸メチルを徐々に添加した。ヨウ化メチル製造物が受取りフラスコに流入する蒸留を維持するように、炭酸カルシウムの添加速度を維持した。すべての炭酸カルシウムを添加した後、約40分間にわたって温度を65〜70℃まで昇温させて、ヨウ化メチルの蒸留を完了させた。製造物を少量の水残渣から分離し、次いで製造物を無水塩化カルシウムで乾燥させた後、塩化メチルを乾燥した蒸留フラスコ内にデカントした。数滴のヨウ化カリウムを添加し、製造物を水浴から蒸留した。再蒸留された製造物は、615〜640gの収量(収率90〜94%)を示し、41〜43℃の沸点を有していた。
【0202】
工程2.ガロシアニンへのメチル基の添加
(塩化物を含まない)1.5gのガロシアニンを1000mlフラスコ中500mlのDMFに溶解させた。該混合物を30℃で1時間攪拌し、次いで上記の工程で調製した10mlのヨウ化メチルを添加した。次いで、該溶液を72時間にわたって攪拌しながら加熱および還流させ、コンデンサ管をバルーンで密閉し、さらなる10mlのヨウ化メチルを12時間毎に添加した。次いで、THFを80℃で蒸留除去した。残留する固体(EnzoM01)は、約98%の収率を示した。
【0203】
(塩化物を含まない)100mg(0.33ミリモル)のガロシアニンと、50mlのメタノールと、38μl(0.33ミリモル)の2,6−ルチジンと、0.5mlのヨウ化メチルとの混合物を、攪拌機を備えた圧力容器に入れた。該混合物を攪拌し、約100℃で4日間加熱した。真空中で濃縮した後、残渣を5mlのエタノールで洗浄した。濾過して91mgの固体製造物を得た。EnzoM01の構造を以下に示す。
【化27】
【0204】
(D)EnzoM02の合成
EnzoM01は、興味のある結果(以下の実施例に示される結果)を示したため、FR−スコアが最初のIIIC3より低い関連化合物EnzoM02をも合成および生物学的試験のために選択した。化合物EnzoM02は、四級窒素上のメチル基の1つがエチル基になっていることを除いては、EnzoM01と基本的に類似している。そのため、四級化がヨウ化メチルの代わりにヨウ化エチルで生じ、より小規模で実施されたことを除いては、基本的にEnzoM1について記載したようにEnzoM02を製造した。(塩化物を含まない)100mg(0.33ミリモル)のガロシアニンと、50mlのメタノールと、38μl(0.33ミリモル)の2,6−ルチジンと、0.5mlのヨウ化メチルとの混合物を、攪拌機を備えた圧力容器に入れた。該混合物を攪拌し、約100℃で4日間加熱した。真空中で濃縮した後、残渣を5mlのエタノールで洗浄した。濾過製造物の収量は134mgであり、EnzoM02の構造を以下に示す。
【化28】
【0205】
(E)EnzoM03の合成
EnzoM01に関連する別の化合物EnzoM03(ただし、FR−スコアがIIIC3より低いという点でEnzoM02に類似する)を合成のために選択した。化合物EnzoM03は、四級窒素上のメチル基の代わりにプロピル基を有することによってEnzoM01と異なる。そのため、四級化がヨウ化エチルの代わりにヨウ化プロピルで生じることを除いては、基本的にEnzoM02について記載したように化合物EnzoM03を製造した。濾過製造物の収量は、138mgであり、EnzoM03の構造を以下に示す。
【化29】
【0206】
実施例9:実施例8で合成された化合物の試験
実施例8で記載した化合物の合成後に、それらをWnt活性およびDkk阻害に対する影響について既に記載されているように試験した。また、これまでのスクリーニングは、アッセイにおける試験化合物の単一濃度を使用していた。本実施例では少数の化合物を試験していたため、各試験化合物に対する様々な異なる入力をWnt活性に対して同時に試験することが可能であった。様々な濃度のEnzoM01の結果を図21に示し、比較として、IC15による滴定も含める。それは、EnzoM01およびIC15の両方に見られ、Wnt活性に対する影響に対して投与量応答が存在する。しかし、IC15に見られるのと同じWnt活性の阻害のレベルが、およそ15分の1のEnzoM01の投与量においてみられる。より高いレベルのEnzoM01(8.33μM以上)においては、Wnt活性に対する影響が変化し、恐らくはこの薬物に対するより複雑な応答が示唆されることも見られる。この特定のEnzoM01調製物のHPLC分析により、それが、より高い投与量における要因にもなり得る少量の未反応ガロシアニンで汚染されていることも示された。
【0207】
図22に、EnzoM14およびEnzoM15についての結果を示す。この実験において、EnzoM14は、Wnt活性の低下に対する投与量応答を示すのに対して、EnzoM15は、6.1μM後により急激な応答を示す。これらの化合物は、Wnt活性のDkk媒介阻害に明らかな影響を与えないこともわかる。
【0208】
図23に、各化合物について基本的に類似の結果を伴うEnzoM02およびEnzoM03についての結果を示す。この実験に用いた濃度では、Wnt活性そのものに対する影響が非常にわずかであった。しかし、用いられた最大濃度(6μMおよび30μM)では、これらの化合物は、Wnt活性に対するDkkの影響を減少させる能力を実証した。
【0209】
実施例10:腫瘍細胞系の生存度に対する様々な化合物の影響
上述のように、Wnt経路は、癌の成長および進行に関連づけられてきた。Wnt活性に影響を洗えることが発見された化合物のうちの3つ(IC15、IIIC3およびEnzoM01)を、インビトロで成長する腫瘍細胞系(PC−3)に適用した。
【0210】
10%FBSが補給されたハムF12培地を含む96ウェルプレート内にPC−3腫瘍細胞をA)500個/ウェル;B)1000個/ウェル;およびC)2000個/ウェルで接種した。様々な量のIC15、IIIC3またはEnzoM01(最終10μM、20μMまたは80μM)を培地に添加し、10日間成長を続けた。培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、次いで20%細胞タイタ96アクエアスワンソルーションリージェント(Promega、Madison、ウィスコンシン州)を含むRPMI培地(フェノールレッドを含まない)とともに4時間インキュベートした。次いで、製造元の指示に従って、細胞増殖を吸収によって測定した。このアッセイの結果を図24に示す。これらの化合物の存在は、実験の終了時に存在する生存PC−3細胞の数に大きな影響を有すると思われたが、薬物の効果は、最初の接種密度に依存していた。最も低い密度(500個/ウェル)において、IIIC3およびEnzoM01は、10μMで生存細胞の数の減少を示し、IC15は、20μMで効果を示した。1000個/ウェルの試料において、IIIC3およびEnzoM01は、10μMレベルで生存細胞の数のそれぞれ10%および15%の低下を示し、20μMレベルでおよそ50%の低下を示すのに対して、IC15は、試験した最大濃度、すなわち80μMでのみ低下を示す。試験された最大細胞密度(2000個/ウェル)において、すべての3つの化合物が、存在する試験化合物の20μMを超えるレベルで細胞毒性を実証した。結論として、本実施例により、a)LRP5/6に結合し、b)Wnt活性に影響を与える能力について選択された3つの異なる化合物は、癌細胞系の増殖能力を低下させることが可能であることが実証される。
【0211】
実施例11:β−カテニン活性に対する影響
タンパク質β−カテニンは、Wnt経路の主要な下流目標であると考えられる。腫瘍に由来するいくつかの細胞系は、通常の細胞と比較してβ−カテニンのレベルが高いことが既に注目されていた。実際、β−カテニン活性を直接調節するapc(腺腫様ポリープ症)遺伝子における様々な変異および欠失が結腸癌の発生と強く関連づけられてきた。例えば、apc遺伝子に欠陥を有するように遺伝子操作されたマウス系統(「多発性腸新生物形成」または「min」系統)を予め遺伝子的に処理して、加齢するにつれて多数の腸腫瘍を発生するようにする。
【0212】
ELISAアッセイで測定されるβ−カテニンの発現に対するEnzoM01の影響について、いくつかの異なる腫瘍細胞系を試験した。腫瘍系を異なる腫瘍型、すなわち卵巣癌(PA−1)、前立腺癌(PC−3)、乳癌(HTB−24およびHTB26)および結腸癌(Lys174T)から導いた。
【0213】
A)細胞成長
以上に列記した様々な細胞系を約70%の集密度まで成長させ、次いで様々な量のEnzoM01を添加し、16時間インキュベートした。培地を除去し、細胞を収穫し、細胞溶解物をELISAアッセイに使用してβカテニンを測定した。
【0214】
B)ELISAアッセイ
96ウェルプレートのウェルに炭酸ナトリウム中捕捉抗体の抗β−カテニンモノクロナル抗体(BD Bioscience、カリフォルニア州San Diego)を4℃にてpH9.0で終夜コーティングした。翌日、ウェルをTBST(0.02%のTween20を含むトリス緩衝生理食塩水)で1回洗浄し、1%BSA遮断溶液とともに室温で1時間インキュベートした。ウェルをTBSTで1回洗浄し、細胞溶解物を添加し、室温で1時間インキュベートした。次いで、抗β−カテニンポリクロナル抗体(BD Bioscience、カリフォルニア州San Diego)とともにウェルを室温で45分間インキュベートした。ウェルをTBSTで3回洗浄し、次いでペロキシダーゼ共役抗ウサギIgG二次抗体(Cell Signaling Technology、Danvers、マサチューセッツ州)を各ウェルに添加し、25分間インキュベートした。ウェルをTBSTで3回洗浄し、スーパーシグナルウェストピコ安定過酸化物溶液(Pierce Biochemicals、Rockford、イリノイ州)の1:1混合物とともにインキュベートすることによって蛍光を発生させた。
【0215】
C)結果
この実験の結果を図25Aに示す。LS174Tにおけるβ−カテニンの固有のレベルは、他の細胞系と比較してはるかに高いこと、および使用投与量におけるEnzoM01によるLS174Tに対する投与量応答効果がわずかであるが存在し、投与量が増加するに従ってβ−カテニン活性が徐々に高くなることがわかる。しかし、この細胞系ではβ−カテニンの活性が非常に高いため、β−カテニン活性の固有のレベルがはるかに低い他の細胞系に対する影響を不明瞭にする。よって、図25Bにおいて省略されているLS174Tデータとともにこのデータも提示する。乳癌細胞系HTB−26およびHTB24ならびに前立腺癌細胞系PC−3ではβ−カテニンレベルに実質的に変化がなかったが、EnzoM01のより高い投与量において卵巣細胞系PA1にβ−カテニンレベルが選択的に低下したことがわかる。EnzoM01のIC50値は、20〜40μMの範囲であった。
【0216】
実施例12:腫瘍誘発および進行に対する様々な化合物の影響
結腸腫瘍の誘発および進行に対する食餌性の影響に関する調査において、apcmin/+マウスは、特定の食餌性サプリメント、β−グルコシルセラミドの存在または不在に応答することが示された(110)。この系統のマウスにおける自然発生的な腫瘍の頻度または大きさに影響を与える試薬の能力は、生きた動物における癌の誘発および進行に影響を与える上でのそれらの潜在性について既に同定された化合物のいくつかを試験する機会を提供する。
【0217】
LRP5上の選択部位に結合する確率について、化合物IC15およびIIIC3をバーチャルスクリーニング法で同定した。これらの化合物の両方をいくつかのグループのapcmin/+マウスに投与し、腫瘍の大きさおよび頻度を後の時点で測定した。
【0218】
A)試験マウスの処理
これら2つの化合物のインビボでの効果を調べるために、生後8〜9週間のC57BL/6JAPC(min+)/JをJackson Laboratories(Bar Harbor、メイン州)から入手した。54日間にわたってマウスに通常の食餌を与え、それから36日間にわたって高脂肪食餌に切り換えた。この時点で、マウスに1mlの容量の媒体、625μMのIIIC3または42μMのIC15を90日間にわたって1日おきに注射した。処理期間の終了時に、マウスを殺し、それらの腸を取り出した後、メチレンブルーで染色して、腸における発生腫瘍の数および大きさを定量した。
【0219】
B)結果
様々な大きさの腫瘍の数を以下の表XIIに示す。
【0220】
【表20】
【0221】
これらの化合物の両方が、全体的な腫瘍の数を減少させたことがわかる。試験動物における平均腫瘍数は、対照では59.4であり、IIIC3およびIC15で処理された動物ではそれぞれ31.67および38.33にすぎなかった。これは、これらの化合物で処理した後に47%および36%低下したことを示す。これらの化合物の効果は、より大きい腫瘍より、より小さい腫瘍に対してより顕著に思われることもわかる。これにより、これらの化合物は、発生を遅らせるものの、腫瘍が確定されると進行に対する影響は小さいことが示唆され得るが、他の説明も可能である。
【0222】
実施例13:高カロリーの食餌が与えられたマウスにおけるグルコース、インシュリン、トリグリセリドおよびコレステロールのレベルに対する様々な化合物の効果
既に述べたように、LRP5/6は、Wntシグナル伝達経路において、通常のコレステロールおよびグルコース代謝のモジュレーションを含む多くの役割を果たすことが示された。1グループのC57BL/6Jマウスに、最初に、5日間にわたって通常のカロリーの食餌を与え、その後終夜絶食させ、次いでLifescanグルコメーター(Johnson & Johnson)を使用して血糖値をアッセイした。次いで、10日間にわたってそれらの動物に高カロリーの食餌を与え、その間異なる濃度のEnzoM01、IC15およびIIIC3(EnzoM01については0.02、0.06および0.30mg/kg/日、IC15については0.2、0.6および3.0mg/kg/日、ならびにIIIC3については0.5、2.0および8.0mg/kg/日)を同時に投与した。最終日に、動物を終夜絶食させ、次いで血糖値を測定した。
【0223】
結果
10日間にわたって高カロリーの食餌を給餌した後、対照のマウスは、約30%の血清糖値の増加を示した。図26において、すべての3つの化合物は、血糖値を様々な程度まで様々に低下させたことがわかる。使用した最も高い濃度において、IIIC3およびIC15の両方は、通常の生理的血清値の10%以内まで血糖値を戻したのに対して、EnzoM01での治療は、0.02mg/kg/日の濃度において最も効果的であった。これらの結果は、3つのすべての化合物が、低血糖症を誘発することなく低血糖症のマウスを正常の血糖値に戻すことが可能であることを実証するものである。加えて、血液試料はまた、コレステロールおよびトリグリセリドレベルに関して分析された。これは、試料を患者の試料の場合と同じように測定する臨床研究室(Enzo Laboratories、Farmingdale、ニューヨーク州)に血清試料を提出することによって実施された。図27Aに見られるように、EnzoM01はおよび(図27Bにおいて)IC15は、トリグリセリドレベルを低下させるのに効果的であった。使用された濃度において、EnzoM01は、コレステロールを低下させるのにも効果的であったことも図27Aからわかる。
【0224】
実施例14:糖尿病マウスの処理
これらの化合物が、高カロリーの食餌を給仕された正常なマウスに与える影響を調べるのに加えて、明らかに糖尿病およびインシュリン抵抗性のdb/dbマウス(Jackson Laboratories、Bar Harbor、メイン州)をIIIC3によって治療することで試験した。該db/dbマウスは、高レプチン症であり、一部に、食物摂取の調節および体重の調節に有意な役割を果たす長形レプチン受容体における機能的欠陥により、肥満および重度の2型糖尿病を発生させる(111、112)。
【0225】
糖尿病の傾向のあるマウスに12日間にわたって高カロリーの食餌を与え、その間それらに7mg/kg/日のIIIC3を同時に投与した。この処理の終了時に、マウスを12時間絶食させ、耐糖試験のために1g/kgのグルコースのIP注射剤を投与した。注射後の様々な時間において、グルコースを既に記載されているように測定し、インシュリンをインシュリンウルトラセンシティブEIA(ALPCO Diagnostics、Salem、ニューハンプシャー州)によって測定することで血液中のグルコースおよびインシュリンの濃度を分析した。図28Aに見られるように、IIIC3で処理したマウスは、グルコース処理の能力の向上を示した。この効果は、また、血漿インシュリン値の有意な低下と平行していた(図28B)。
【0226】
本明細書に開示されている特定の実施形態は、本発明のいくつかの態様の実例であることを意図するため、本明細書に記載され、請求されている発明は、それらの実施形態によって範囲が限定されるものではない。あらゆる同等の実施形態が、本発明の範囲内に含まれることを意図する。実際、本明細書に示され、記載されているものに加えて、本発明の様々な変更が、先述の説明から当業者に明らかになるであろう。当該変更も添付の特許請求の範囲内に含まれることを意図する。
【0227】
その開示内容が全面的に引用により組み入れられる様々な参考文献が本明細書に引用されている。
【0228】
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112. Lee G.H. Nature 379: 632-635, 1996
【技術分野】
【0001】
本出願は、その開示内容が参照により本明細書に組み入れられる「骨形成を刺激するための組成物および方法(Compositions and Methods for Stimulation of Bone Formation)」という名称の2003年9月22日出願の米国仮特許出願第60/504,860号の利益を主張するものである。
【0002】
本出願は、2004年5月19日に出願のDan Wuらによる「骨形成および細胞の自己再生を刺激または増強するための組成物および方法(Compositions and Methods for the Stimulation or Enhancement of Bone Formation and the Self-Renewal of Cells)」という題名の特許出願に関連し、該特許出願の全内容がそのまま全部参照により本明細書に組み入れられる。
【0003】
本出願は、いずれの開示内容も参照により本明細書に組み入れられる、2004年5月19日出願の出願第10/849,067号の一部継続である、2005年3月18日出願の出願第11/084,668号の一部継続である、2005年4月1日出願の出願第11/097,518号の一部継続である。
【0004】
本発明は、骨折、骨疾患、骨損傷、骨異常、腫瘍、成長またはウィルス感染の治療における、ならびにグルコース代謝、脂質代謝、トリグリセリド代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成および骨関連活性を含むがそれらに限定されない病態生理学的過程を調節するための、治療方法、組成物およびそれらの使用の分野に関する。より詳細には、本発明の方法および組成物は、骨形成または骨リモデリングの刺激、増強および阻害を指向する。
【背景技術】
【0005】
骨粗鬆症は、主要な周知の健康問題であり、特に高齢化人口に多い(1、15、21)。65歳以上の人に生じる骨折の大半は、骨粗鬆症による(15、40)。最大骨量は、骨粗鬆症骨折のリスクを確立する上で決定的な因子であり(Heaneyら、2000年)、遺伝因子が最大骨量の差に有意に寄与することが研究によって示されている。骨量を調節する遺伝子の1つが、ポジショナルクローニングにより最近同定された。カノニカルWntシグナル伝達経路に対する共受容体である低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質5(LRP5)における機能的変異の欠失(27)は、ヒトにおける骨密度の低下を示す常染色体性劣性障害である骨粗鬆症偽膠腫症候群(OPPG)に関連することが判明した(9)。加えて、家族性高骨量(HBM)表現型を示す2つの独立した家系は、LRP5におけるVal置換変異(G171V)に対するGly171を含むことが判明した。より最近になって、G171V変異の同一の構造領域(structural domain)にさらなるHBM変異が報告された(36)。LRP5遺伝子が遺伝子ターゲッティングによって不活性化されたマウスは、OPPG患者のそれと類似の表現型を示し(16)、マウスにおけるLRP5G171Vの遺伝子導入発現がHBMをもたらした(2)。さらに、マウスの一次骨芽細胞は、LRP5の不在下でWntに対する応答性の低下を示し(16)、Wnt(9)または活性化ベータカテニン(4)は、カノニカルWntシグナル伝達活性を刺激し、骨芽様細胞における骨芽マーカアルカリホスファターゼ(AP)の生成を誘発した。併せて、これらの証拠は、カノニカルWntシグナル伝達経路が骨発育の調節に重要な役割を果たすことを示している。
【0006】
Wnt
分泌性糖タンパク質のWntファミリーは、発育上重要なシグナル伝達分子の主なファミリーの1つであり、糖代謝、骨リモデリング、脂質生成、神経形成、幹細胞生物学および腫瘍形成を含む広範な生物学的過程および病態生理学的過程を調節することが示された。カノニカルWntシグナル伝達経路は、カノニカルWntがLDL受容体関連タンパク質(LRP)5/6およびフリズルド(Fz)タンパク質からなるそれらの受容体複合体に結合することによって開始される。まだ十分に特性決定されていないメカニズムを介して、Wntの不在下でユビキチン媒介タンパク質分解を介して分解されるベータカテニンが安定化されて、細胞基質レベルのβ−カテニンが増加する。遊離ベータカテニンは、核に入り、TCF/LEF−1転写因子を有する複合体における遺伝子転写を活性化させる(61〜66)。加えて、Wnt経路は、ポリペプチドのDickkopf(Dkk)ファミリーを含む多くの天然アンタゴニストによって負に調節される(67、68)。Dkkは、LRP5/6に結合し、恐らくは受容体タンパク質の不活性化をもたらす(34)。ヒトおよびマウスの両方の遺伝子的根拠は、Wnt共受容体LRP5が骨リモデリングの調節に重要な役割を果たすことを示している。低次形態対立遺伝子またはゼロ対立遺伝子は、骨粗鬆症の早期の発症をもたらす(14)のに対して、異なる変異対立遺伝子は、高骨量表現型に関連する(32、5、51)。変異は、カノニカルWntシグナル伝達のDkk媒介アンタゴニズムを間接的に低下させたこと(69)が以前に示されており、骨量の増加のための潜在的な治療目標としてのDkk−LRP5相互作用が示唆されている。
【0007】
最近まで、カノニカルWntシグナル伝達経路は、WntがフリズルドFzタンパク質に結合したときに開始すると考えられていた。7つの膜貫通領域含有Fzタンパク質が、ディシブルドタンパク質を含む定義が不十分なメカニズムを通じて、ベータカテニンのグリコーゲン合成酵素キナーゼ3(GSK3)独立リン酸化を抑制する。この抑制は、ベータカテニンの安定化をもたらす。次いで、ベータカテニンは、リンパ系増強因子−1(LEF−1)およびT細胞因子(TCF)を含む転写調節剤(transcription regulator)と相互作用して、遺伝子転写を活性化させる(7、10、38)。最近、遺伝子および生化学の研究により、Fzタンパク質に加えて、共受容体もカノニカルWntシグナル伝達に必要であることを示す堅実な証拠が提示された(27、28)。LRP5/6(LRP5またはLRP6)のフライオルソログ(fly ortholog)であるアロー(Arrow)は、Wnt−1のフライオルソログであるWgのシグナル伝達に必要であることが判明した(37)。LRP5およびLRP6は、基本的には同様に機能するが、異なる発現パターンを示す密接な相同体である。加えて、LRP6は、Wnt1に結合し、ツメガエル胎児におけるWnt誘発発育過程を調節することが判明した(34)。さらに、LRP6が欠如したマウスは、様々なWntタンパク質における欠陥によって引き起こされるものと類似した発育欠陥を示した(30)。さらに、LRP5、LRP6およびアローは、アキシンを結合し、アキシン分解およびベータカテニン安定化をもたらすことによって、カノニカルWntシグナルの形質導入に関与する(25、35)ことが見いだされた。LRP5/6媒介シグナル過程は、ディシブルドタンパク質に依存しないようである(18、31)ことが見いだされた。最近、シャペロンタンパク質、Mesdは、細胞表面へのLRP5/6輸送に必要であることが確認された(6、11)。
【0008】
骨成長の抑制または拡大を誘発するのにWnt経路が関与していることは、低骨量(14、88)または骨量の増加(32、5、51)を生じるように機能した骨格構造に対するLRP5における変異の様々な影響について記載した幾つもの文献で実証されている。さらに最近になって、LRP5の両染色体複製物(LRP5−/−ノックアウト)における破壊によって低骨量表現型が生ずる骨粗鬆症用遺伝子操作マウスモデルが記載されている(89)。しかし、上記参考文献は、LRP5に関するものであっても、Wntシグナル伝達経路に沿う他の点への介入も、本発明の方法を通じて同定された化合物の投与の恩恵を受けることが可能であることが明らかであることに留意されたい。Wnt経路と骨成長の相互関連の最近の論評については(引用参考文献82、90および91を参照のこと)。
【0009】
Dkkタンパク質
ツメガエルDickkopf(Dkk)−1は、頭形成に重要な役割を果たすWntアンタゴニストとして最初に発見された(8)。これまで、哺乳動物においてDkkの4つのメンバーが同定された(17、26)。これらは、Dkk1、Dkk2、Dkk3およびDkk4を含む。Dkk1およびDkk2は、LRP5またはLRP6および単一の膜貫通タンパク質であるクレメン(Kremen)に同時に結合することによってカノニカルWntシグナル伝達を阻害する(3、23、24、32)。LRP5 HBM G171V変異は、カノニカルWntシグナル伝達に対するDkk1媒介アンタゴニズムを減弱させるようであったことが既に報告されている(5)。本発明は、この減弱のメカニズムについて記載する。
【0010】
Wntシグナル伝達のDkk媒介アンタゴニズムに必要とされるLRP5の第3のYWTD反復領域が既に同定されている(69)。加えて、Dkk結合腔および該腔内の重要な残基が、部位指向性突然変異誘発によって明確にされている(69)。この腔は、6つのベータプロペラで構成されるYWTD反復領域の筒様構造体の大きな開口に位置する(図17A)。重要なことは、Dkkとの相互作用における2つの最も重要な残基、すなわち残基Glu721およびTrp780(69)が、この腔の底に位置しており、この腔に結合する小さな分子化学物質が、この重要な残基への接触を阻止することによって、Dkk−LRP5相互作用を破壊することが可能であり得ることが示唆される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書に記載されているように、本発明は、骨形成または骨リモデリングに関与する受容体または共受容体の領域上の腔と、Dkk、Wnt、Mesd、または同様に機能する他のタンパク質との機能的相互作用を説明するモデルを提供する。これらの受容体には、LRP5受容体、LRP6受容体およびフリズルド受容体が含まれるが、それらに限定されない。LRP5およびLRP6受容体は、4つのYWTD反復領域を含む。各領域は、アミノ酸の複数のYWTD反復を含む。LRP5およびLRP6受容体は、LDL受容体反復をも含む。LRP5およびLRP6は、ともに密接な相同体であり、基本的には同様に機能するが、異なる発現パターンを有する。
【0012】
本発明は、これらの腔に結合するか、またはこれらの腔と相互作用して、Wntシグナル伝達、ならびに骨形成、腫瘍形成、およびWntシグナル伝達によって調節されるあらゆる他の生物学的および病理学的過程の刺激、阻害または調節をもたらす非天然(non-native)または外来性化合物を同定するための方法を提供する。特に、本発明は、ディシブルド、ベータカテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質または受容体を指向する。特定の実施形態において、本発明は、タンパク質のLRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータカテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質または受容体との結合を妨げる化合物を同定するための方法を指向する。一実施形態において、該方法は、
(a)LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータカテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に結合する化合物を同定すること、および
(b)(a)で同定された化合物が、タンパク質のLRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータカテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質または受容体との結合を調節するかどうかを判定することを含む。
【0013】
工程(a)の化合物は、
(a)UNITYプログラムを使用して、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータカテニンまたはLEF−1/TCFの腔、または結合部位に適合する化合物をスクリーニングすること、
(b)Flexxプログラムを使用して、前記化合物を腔に入れること、および
(c)Cscoreプログラムを使用して、最も高い結合親和性を有する化合物を同定することによって同定され得る。
【0014】
別の実施形態において、該方法は、
(a)Wntシグナル伝達を調節する化合物を同定すること、および
(b)(a)で同定された化合物が、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータカテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質または受容体と相互作用または結合するかどうかを判定することを含む。
【0015】
同定された化合物は、小分子、タンパク質ペプチド、ポリペプチド、環式分子、複素環式有機分子、核酸、脂質、荷電脂質、極性脂質、非極性脂質、糖、糖タンパク質、糖脂質、リポタンパク質、化学物質、または複素環式有機分子、核酸、脂質、荷電脂質、極性脂質、非極性脂質、糖、糖タンパク質、糖脂質、リポタンパク質もしくは化学物質を含む化合物の断片であってもよい。
【0016】
本発明の方法を用いて同定された非天然化合物は、外部供給源から導入されない非天然化合物と異なり、細胞または生態に天然にまたは通常見られない化合物を含む。以下にさらに詳細に記載するように、それらの化合物を、様々なスクリーニング方法およびアッセイを通じて、国立癌研究所(NCI)データベースから同定することができる。これらの化合物を改変して、効果的に機能するNCIデータベースまたは天然に見られない誘導体または類似体を生成することも可能である。DkkとLRP5/6の相互作用、WntとLRP5/6の相互作用およびMesdとLRP5/6の相互作用を破壊した化合物が同定される。
【0017】
特定の実施形態において、本発明は、糖代謝、コレステロール代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成および/または骨関連活性を含むが、それらに限定されない病態生理学的過程を調節するための方法および/または組成物、ならびに本発明のスクリーニング方法を用いて同定された化合物を使用して、骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常、糖尿病、高血糖症あるいは任意の代謝疾患を治療するための方法または組成物を指向する。特定の実施形態において、該化合物は、構造(I):
【化1】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む);
構造(II):
【化2】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む);
構造(III):
【化3】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む);
構造(IV):
【化4】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む);または
構造(V):
【化5】
(式中、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)を有することができる。
【0018】
これらの化合物は、前記病態生理学的過程を調節するのに有効な量で、または前記骨折、骨疾患、骨傷害もしくは骨異常、糖尿病もしくは高血糖症を治療するのに有効な量で、該治療を必要とする対象に対して、本発明の方法で投与されるか、または本発明の組成物に存在する。一実施形態において、対象は、哺乳動物の対象である。特定の実施形態において、対象は、ヒトの対象である。
【0019】
具体的な実施形態において、本発明は、以下の構造を有する単離された化合物を指向する。
構造(VI):
【化6】
(式中、R15は、直鎖状または分枝状アルキル基である);
構造(VII):
【化7】
(式中、R13およびR14は、それぞれ独立して、Hであるか、あるいは直鎖状または分枝状アルキル基である);または
構造(VIII):
【化8】
(式中、R13は、直鎖状または分枝状アルキル基、あるいは置換または非置換のシクロアルキル基である)。
【0020】
本発明は、化合物(VI)〜(VIII)を得るための方法を指向する。具体的な実施形態において、化合物(VI)は、前記化合物の形成を促進する条件下で、ガロシアニンとハロゲン化アルキルを反応させることによって得られる。(a)ガロシアニンとCOOH基を脱離基で置き換えるための試剤とを反応させて、中間体を得ること、および(b)工程(a)で得られた化合物とアルキルアミンとを反応させて化合物を得ることによって、化合物(VII)を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】野生型LRP5およびその欠失変異体の概略図である。
【図2】G171V変異がLRP5輸送を妨げることを示す図である。HEK細胞に図に示すように発現プラスミドをトランスフェクションした。1日後、細胞を溶解させ、抗Flag抗体を使用して免疫沈降を行った。Mesdは、Flag標識されたのに対して、すべてのLRP5分子は、HA標識された。G171V変異は、LRP5とMesd(図2A、レーン1および3)およびR12とMesd(図2B、レーン1および2)の両方の相互作用を妨げたが、E721変異は、該相互作用に影響を与えなかった(図2A、レーン2および3)。図2Aおよび図2Bの下側パネルは、免疫沈降に対して投入された等量のWtおよび変異LRP5を示す[HEK細胞を図に示されるMesdプラスミドおよび発現プラスミドでトランスフェクションした]。R12TGV、R12T、R1〜4およびR1〜4GV(GV)は、細胞培養物の上清に分泌され得る膜貫通領域を欠くLRP5変異体であるAP融合タンパク質である。1日後、調整培地(CM)を回収し、高速で遠心した。上清を抗HA抗体によって免疫沈降させるか(図2C)、またはAPアッセイに使用した(図2D)。また、細胞をSDS−PAGE試料緩衝液に溶解させ、ウェスタンブロッティングによって分析した(図2Cおよび図2Dの下側パネル)。そのデータは、G171V変異がR12およびR1〜4の分泌を阻害したことを示す。図2Eは、G171V変異が、細胞表面上のLRP5を検出する結合アッセイの使用を介して、LRP5の細胞表面輸送を妨げることを確認するものである。細胞表面をビオチン化し、LRP5分子を抗HA抗体で沈殿させた後に、ストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ(SA−HRP)を使用して、細胞表面LRP5分子の量をウェスタン分析によって検出した(図2E、上面)。免疫複合体におけるLRP5の量を図2Eの下側パネルに示す。
【図3】LRP5のHBM G171V変異が、同時発現Wnt活性のDkk1媒介阻害を受けにくいことを示す図である。図3Aの左面は、Wnt1の存在下または不在下で、LEF−1ルシフェラーゼレポータプラスミドとともに示されるプラスミドでHEK細胞をトランスフェクションしたときに、HBM G171V変異が、野生型(Wt)LRP5(LRP5wt)と比較してLEF−1独立転写活性の増加をもたらさなかったことを示す。図3Aの右パネルはLRP5タンパク質に担持されるHA標識に特異的な抗体または抗LRP6抗体によって測定されたLRP5、LRP5G171V、LRP6およびLRP6G158Vの発現量を示す。図3Bは、図に示されるWtまたはG171V LRP5の存在下でLEF−1ルシフェラーゼレポータプラスミド、Wnt−1、Dkk1およびクレメンでHEK細胞をトランスフェクションしたことを示す。LEF−1レポータが示すWnt活性は、Dkkが存在するときにLRP5wtを発現するものよりLRP5G171Vを発現するHEK細胞での方が有意に強い。Dkk1、クレメンおよびLRP5のタンパク質発現量を図3Cに示すウェスタンブロッティングによって検証した。
【図4】LRP5G171を発現する細胞が、LRP5wtを発現するものより少ないDkk1結合部位を示すことを示す図である(図4A)。図4Bは、トランスフェクション後における等量のWtおよび変異LRP5発現を示す。
【図5】LRP5の第2の領域がWnt活性に必要とされることを示す図である。HEK細胞にLEF活性レポータプラスミドおよび発現プラスミドをトランスフェクションした。1日後、先述のようにLEFレポータ活性を測定した。図5の結果は、LRP5R494QおよびLRP5G479V(第2の領域に点突然変異を有するLRP5)が、LRP5wtと比較してWntシグナル伝達を破壊することができることを示している。
【図6】LRP5の第3の領域がDkk媒介アンタゴニズムに必要とされることを示す図である。図6Aは、第3のYWTD反復領域がDkk媒介阻害に必要とされることを示す。HEK細胞をLEF活性レポータプラスミド、クレメン1プラスミドおよび発現プラスミドでトランスフェクションした。LRP5R34でなく、LRP5R12またはLRP5R124は、依然としてWnt刺激LEF−1活性を強めることが可能であり、LRP5R12またはLRP5R124がWnt共受容体機能を保持することが示唆される。しかし、Dkk1は、クレメンの発現にもかかわらず、LRP5R12またはLRP5R124が存在するときにWntシグナル伝達を阻害することができない。これは、第3のYWTD反復領域がDkk1媒介阻害に必要とされることを示唆している。LRP5wtおよびその変異体分子の発現量を図6Bに示す。図6Cは、LRP5R34がDkk1結合部位を含み、R34におけるE721がDkk1結合に必要とされることを示す。図6Dは、変異の概略図である。
【図7】相互作用表面からなる第3のYWTD反復領域におけるアミノ酸残基がWntのDkk媒介阻害に必要とされることを示す図である。図7Aにおいて、第3のYWTD反復領域の空間実体モデルをLDL受容体YWTD反復領域の構造に基づいて推定した(13)。三次元構造に基づいて、第3のYWTD反復領域の表面にAla置換変異を含む19個のLRP5変異体を生成した。Dkk1媒介阻害に抵抗するこれらの変異体LRP5タンパク質の能力を測定した。変異体のうちの9個(5%を超える)は、Dkk1媒介阻害に対する感度の変化を示し、それらはすべて同一の表面上に位置する変異を含んでいた。図7Bにおいて、HEK細胞をLEF活性レポータプラスミド、クレミン1プラスミドおよび発現プラスミドでトランスフェクションした。Wtおよび変異体LRP5分子の発現を下面に示す。19個の変異の中で、E721変異は、WntのDkk1媒介阻害に対する最大の影響を示し、続いてW781であり、次がY719であった。LRP5G171vもWntのDkk1媒介阻害に対する影響を示した。
【図8】国立癌研究所(NCI)から入手した3つの化合物の二次元構造を示す図である。NCI106164(図8A)は、Dkk1結合に対して68%の阻害効果を示し、NCI39914(図8B)およびNCI660224(図8C)は、Dkk1結合をそれぞれ654%および276%増加させる。
【図9】NCI39914およびNCI660224の共通の下部構造であるアントラ−9,10−キノンの二次元構造(図9A)を示す図である。図9Bは、NCI657566の二次元構造を示す。図9Cは、二次元類似性調査に使用された鋳型を示す。
【図10】Dkk1−LRP5相互作用を特異的に妨げ、Dkk1によるWntシグナル伝達の阻害を反転させる化合物NCI366218(IIC8、図10A)およびNCI8642(IIIC3、図10B)の二次元構造を示す図である。
【図11】NCI366218およびNCI8642がDkk1阻害を反転させることを示す図である。HEK細胞をLEF−1発現プラスミド、LEF−1ルシフェラーゼレポータプラスミドおよびGFP発現プラスミドとともにLRP5プラスミドでトランスフェクションした。次いで、細胞を異なる濃度のNCI366218およびNCI8642化合物で処理し、続いて対照のCM、Wnt3a CMまたはWnt3a/Dkk1 CM混合物で6時間処理した。DMSOで処理された細胞からのレポータ活性を100%とした。図11は、ある特定の濃度において、NCI366218(図11A)およびNCI8642(図11B)がWnt活性のDkk媒介阻害を有意に反転できることを示す。
【図12】NCI366218およびNCI8642がLRP5に対するDkk1結合を阻害できることを示す図である。HEK細胞をMesdプラスミドおよびLRP5またはLRP5R34でトランスフェクションした。1日後、細胞を異なる濃度のNCI366218およびNCI8642で処理し、mDkk1−APを発現するHEK細胞から調製された調整培地(CM)を用いて氷上でインキュベートした。AP活性を先述のように測定した。DMSOで処理した細胞からのAP活性を100%とした。図12は、NCI366218(図12A)およびNCI8642(図12B)が、LRP5wtに対するDkk1の結合およびLRP5R34に対するDkkタンパク質の結合を阻害することを示す。
【図13】NCI366218(IIC8)が骨芽細胞分化を刺激できることを示す図である。GFPを骨芽細胞のマーカとして使用できる、2.3Kb CollA1プロモータ(2.3Col−GFP)11によって制御された緑色蛍光タンパク質(GFP)導入遺伝子を担持する3カ月のマウスから骨髄間質(BMS)細胞を単離した。8日目および12日目に、培養物をそれぞれ9μMおよび26μMのIIC8化合物で処理した。同一時点で、培養物を対照としてDMSOで処理した。図13は、BMS培養物をIIC8で処理すると、骨芽細胞分化マーカ2.3Col−GFPが活性化したことを示す。
【図14】骨形成アッセイを示す図である。一次骨髄間質骨芽細胞をNCI366218の存在下および不在下で培養し、分化させた。20日後、骨形成過程を反映する骨芽細胞の鉱化(mineralization)をキシレンオレンジ染色で観察した。NCI366218は、鉱化を2倍刺激した。
【図15】LRP5R12およびLRP5R34の両方がDkk1結合部位を含み、R34におけるE721がDkk1結合に必要とされ、G171VLRP5変異体が細胞表面に対するDkk結合を破壊し得ることを示す図である。図15Aは、Dkk1はLRP5R12およびLRP5R34の両方に結合できるが、R12GV(LRP5R12におけるG171V変異)およびR34E(E721変異を担持するLRP5R34)がトランスフェクションされた細胞では細胞表面に対するDkk1の結合が有意に低かったことを示す。図15Bは、トランスフェクション後における等量のWtおよび変異体LRP5発現を示す。
【図16】骨形成細胞におけるDkk1およびWnt7b発現を示す図である。全RNAを、分化誘発後異なる時点で骨髄間質細胞培養物から単離した。DkkおよびWnt発現量をリアルタイムRT−PCRによって測定した。Wnt7bは、分化誘発後に発現の顕著な増加を示した(図16A)。LEF−1レポータ遺伝子を刺激するWnt7bの能力を調べたところ、それは、カノニカルWnt経路を刺激することが可能であった(図16B)。図16Cは、マウス長骨部のインサイチューハイブリダイゼーションの写真である。Dkk1の大半が骨細胞に発現されることを示している。図Dは、クレメン、Dkk、LRP、WntおよびFzの間の相互作用を示す。
【図17】Dkk結合腔および化学物質の構造を示す図である。図17Aは、我々の初期の形状ベースのバーチャルスクリーニングに使用された3つの主要残基を示す。黄色のボックスは、腔を表す。図17B〜17Gは、IC13(B)、IC15(C)、IIC8(D)、IIC15(E)、IIC24(F)およびIIIC3(G)の化学構造を示す。アントラ−9,10−キノンコアがボックスに示されている。
【図18】Wnt活性およびDkk結合に対する化合物の影響を示す図である。図18Aおよび18Bにおいて、細胞をWnt活性レポータ遺伝子でトランスフェクションした。異なる濃度の化合物にWnt3a CM、Wnt3a+Dkk1 CMまたは対照CM(基本)を添加した。6時間後、Wntレポータ遺伝子活性を測定した。(AU:任意単位)。誤差は、5%未満であった。(C,D)細胞を野生型LRP5(C)またはLRP5R34(D)でトランスフェクションした。細胞に対するDkk−1−APの結合を測定した。LacZを発現する細胞に対するDkk−1−APの結合を差し引いたデータを示す。
【図19】Wntアンタゴニスト化合物および分子のモデルリングを示す図である。図19Aは、Wnt3a刺激Wntレポータ遺伝子活性およびLRP5に対するDkk1−APの結合に対するIC15の影響を示す。図19B〜19Eは、LRP5の第2および第3のYWTD反復領域に対するIIIC3およびIC15の結合の分子モデリングを示す。括弧内は、対応する残基である。
【図20】IIIC3の骨形成に対する影響を示す図である。図20Aおよび20Bは、頭蓋冠骨形成に対する影響を示す。対照媒体(a)、b−FGF(b)またはIIIC3(c)を5日間にわたって1日3回頭皮の下に注射した。最後の注射の2週間後に、頭蓋冠を回収し、固定し、脱灰し、切断した。新しい骨層にマーキングする。新しい骨層の厚さを定量し、それをBに示す。図20C〜Eは、骨塩量(BMD)に対する影響を示す。マウス(n=20)に処理等を施した後、BMDおよび体重を測定した。
【図21】Wnt刺激ベータカテニン活性の阻害に対するEnzoM01およびIC15の影響を示す図である。
【図22】EnzoM14およびEnzoM15の両方によるWnt刺激ベータカテニン活性の阻害を示す図である。
【図23】EnzoM02(図23A)およびEnzoM03(図23B)によるWntシグナル伝達活性のDkk1阻害の反転を示す図である。
【図24】異なる細胞密度、すなわち(A)500細胞/ウェル、(B)1000細胞/ウェルおよび(C)2000細胞/ウェルにおけるPC−3腫瘍細胞の生存度に対する3つの化合物の影響を示す図である。
【図25】(A及びB)異なる腫瘍細胞系におけるベータカテニン生成に対するEnzoM01の影響を示す。
【図26】高カロリーの餌が与えられたマウスにおける糖代謝に対するEnzoM01(図26A)、IC15(図26B)およびIIIC3(図26C)の影響を示す図である。
【図27】高カロリーの餌が与えられたマウスにおけるトリグリセリドおよびコレステロールの血清値に対する(図27A)EnzoM01および(図27B)IC15の影響を示す図である。
【図28】db/dbマウスにおけるグルコース(図28A)およびインシュリン(図28B)値に対するIIIC3の影響を示す図である。
【図29】第2(赤色)および第3(青色)の領域の結合部位におけるアミノ酸の比較を示す図である。共通のアミノ酸を黒色で示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の範囲は、添付の請求項によってのみ限定されるため、本明細書に用いられている用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図しない。
【0023】
ある範囲の値が示される場合には、各介在値は、その範囲およびその指定範囲内の任意の他の指定または介在値の上限と下限の間において、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、下限の単位の10分の1まで本発明に包括される。これらのより小さい範囲の上限および下限をより小さい範囲に独立して含めることができることも、指定範囲における任意の具体的に除外される範囲を条件として、本発明の範囲内に包括される。指定範囲がそれらの限界値の一方または双方を含む場合には、それらの含まれる限界値のいずれかまたは双方を除外する範囲も本発明に含まれる。
【0024】
特に規定のない限り、本明細書に用いられている技術用語および科学用語はすべて、本発明が属する技術分野の当業者に広く理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等のあらゆる方法および材料を本発明の実施または試験に使用することもできるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。
【0025】
本明細書および添付の請求項に用いられているように、単数形の「a」、「and」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さなければ、複数のものを含むことに留意すべきである。
【0026】
本発明は、細胞に提供されると、骨形成または骨リモデリングの刺激、増強、阻害または調節に関与する共受容体の領域に見られる部位または腔と結合、相互作用または適合する化合物を同定した。これらの受容体は、LRP5受容体、LRP6受容体、フリズルド受容体、またはLRP5もしくはLRP6(LRP5/6)受容体系に関与する任意の他の受容体を含む。LRP5およびLRP6は、カノニカルWnt系にどのように関与するかに関して幾つもの共有の特徴があるため、一般に文献ではLRP5/6と称する。LRP5およびLRP6は、アミノ酸レベルで70%の相同性を共有する。LRP5に結合する能力について選択された化合物の多くは、LRP6受容体とも相互作用できることが予想される。フリズルド受容体は、Wnt活性を増強または低下させるように機能するWnt結合部位であるCRDを含む領域を有する共受容体である。
【0027】
LRP5およびLRP6受容体は、YWTD反復領域を含む。概して、LRP5およびLRP6受容体のYWTD反復領域を含む部分は、類似の構造体がこれらの領域の各々によって形成されるのに十分なアミノ酸相同体を互いに共有するが、形成されたポケットの寸法の一部が異なり、タンパク質/タンパク質相互作用に重要である可能性が高いアミノ酸の一部に差がある程の相違点を有する。特定の実施形態において、本発明の方法および/または組成物に使用される化合物は、LRP5および/またはLRP6受容体の第3のYWTD領域と相互作用または結合する。当該化合物は、他のYWTD領域に結合することが可能であっても、なくてもよい。特定の実施形態において、該化合物は、LRP5および/またはLRP6受容体の第1および第2のYWTD領域に結合することができる。
【0028】
これらの化合物のいくつかは、DkkおよびLRP5相互作用を妨げることができる。他の化合物は、WntのLRP5/6に対する結合を阻害することによってWntシグナル伝達を阻害する。本明細書の以下に記載するように、本発明は、また、Dkkとクレミン、LEF/TCF−1とベータカテニン、Wntとフリズルドの相互作用を調節する化合物を同定した。本発明の化合物は、細胞に存在せず、外部供給源に由来する非天然または外来化合物である。それらは、受容体と結合して事象を開始することができる作用物質であるアゴニスト、受容体と結合してアゴニストの効果を阻害する作用物質であるアンタゴニスト、ならびにアゴニストおよびアンタゴニストの両方の特性を有する、すなわちときには作用を引き起こし、ときには例えばアゴニストの効果を低下させることによって作用を阻害する部分アゴニストを含む。これらの化合物のいくつかは、親和性、あるいは薬物または化合物が受容体結合部位に引きつけられる程度を高めることもできる。
【0029】
候補化合物の同定
本発明の組成物および方法に使用される化合物を、本明細書に記載のスクリーニング方法を用いて同定する。
LRP5の特定の領域と相互作用する化合物のスクリーニング。
LRP5の領域IIIを鋳型として使用する化合物のスクリーニング。
【0030】
バーチャルスクリーニング
具体的な実施形態において、UNITY(商標)プログラム(Tripos,Inc.)を使用して、LRP5のYWTD反復領域の領域III上の腔に適合することが可能な化学化合物について、国立癌研究所(NCI)データベース(http://129.43.27.140/ncidb2)をスクリーニングすることができる。このデータベースは、自由に検索可能であり、250251個の小さな化学化合物の座標を含む。検索質問(search query)は、0.3Åの許容誤差を有するR764およびE721、ならびに腔に向かってTrp781から3.2Å離れた1.0Åの許容誤差を有する疎水性の中心で構成されるように設計されている。化合物の柔軟性を考慮して、UNITY(商標)プログラムにおける定方向Tweakアルゴリズムは、構造的に柔軟な高速の三次元検索に対応する(21)。
【0031】
次いで、UNITY(商標)プログラムを使用して得られた候補化合物を、リガンドを迅速かつ柔軟にタンパク質結合部位にドッキングさせる(44)、エネルギー最小化のためのFlexX(商標)プログラム(Tripos,Inc.)(17)を使用してDkk1結合表面にドッキングさせる。Dkk1の認識に重要であることが示された残基E721、W864、Y719、R764、D877、F888、G782、W781およびM891(図7A)を考慮に入れて計算する。ドッキング手順に続いて、Cscore(商標)プログラムを使用して、Dkk1結合ポケットに結合するそれらの想定される能力に基づいて化合物のランク付けを行う。Cscore(商標)は、タンパク質−リガンド複合体の個々のスコアリング機能がどの程度十分に果たされたかに基づいて相対的なコンセンサススコアを生成する(8)。次いで、Cscore(商標)に最終的なマニュアル目視検査を施す。
【0032】
生物学的アッセイ
Dkk−1結合アッセイ
同定された化合物を、当該技術分野で知られている方法によって、例えば、Dkk−APPアッセイ(実施例および(69)参照)によって、LRP−5に対するDkk−1の結合に影響を与えるそれらの能力についてスクリーニングすることができる。
【0033】
Wnt活性
同定された化合物をWnt活性についてスクリーニングすることもできる。LRP5の第2および第3の領域がWntシグナル伝達に必要とされ、これらの領域は、恐らくはWnt分子と直接相互作用する。これらの領域は、高度なアミノ酸配列相同体を共有するため、第3の領域に結合するある特定の化合物は、第1の2つの領域にも結合して、潜在的にWnt活性を阻害できることが考えられる。該化合物を1)基本(basal)レポータ活性阻害;2)Wnt活性阻害;および3)Wnt活性のDkk媒介阻害の反転について調べることができる。
【0034】
骨形成アッセイ
インビトロまたはインビボ骨形成アッセイを用いて、同定された化合物を試験することができる。
【0035】
(a)インビトロアッセイ
Wntは、培養された骨芽細胞の増殖および分化を刺激し、Dkkは、この過程を阻害する。したがって、これらの化合物は、骨形成を増加させる。これを鉱化の調査、またはBSP、オステオカルシンおよびコラーゲンの発現を含む骨形成マーカの発現によってモニタリングすることができる。
【0036】
(b)インビボアッセイ
インビボのこれらの化合物の効果についての試験を実施して、該化合物がインビボで骨形成を増加させるかどうかを判定することができる。様々な化合物投与物を頭蓋冠の外表面および骨髄腔に注入することができる。骨形成の増加を組織学的に、およびpQCT、DNXおよびX線ラジオオートグラフィーの使用を介して調べることができる。
【0037】
ベータカテニンレベルアッセイ
サイトゾルβ−カテニンは、Wntシグナル伝達によって安定化される。これらの化合物のWntシグナル伝達に対する影響を、得られたβ−カテニンレベルによって調べることができる。
【0038】
LRP5/6のPPPSP部位のリン酸化
Wntは、LRP5の細胞内領域におけるPPPSPモチーフでのLRP5のリン酸化を刺激することが最近発見された(49)。実施例に記載され、当該技術分野で知られているように、リン酸化PSPPPに特異的な抗体を得て、Wnt活性を調べるのに使用することができる(49)。
【0039】
LRP5の領域IIを鋳型として使用する化合物のスクリーニング
バーチャルスクリーニング
上記のように、相同性モデリングを用いて、この領域の構造を推定することができる。実施例に記載するように、部位指向性突然変異誘発を用いて、Wntシグナル伝達に必要とされる残基を特定する。上記の方法を用いて、バーチャルスクリーニング方法をこのWntシグナル伝達表面に適用する。領域IIは、Wntシグナル伝達に関与するため、領域IIを鋳型として使用して同定された化合物は、Wntシグナル伝達を増加させるか、またはWntシグナル伝達を減少させることができる。領域IIおよび領域IIIは、相同であるため、バーチャルスクリーニングを用いて同定された化合物は、1)Dkk結合を増加させる;2)Dkk結合を減少させる;3)Dkkアンタゴニズムを増加させる;および/または4)Dkkアンタゴニズムを減少させることができる。
【0040】
生物学的アッセイ
上記の生物学的アッセイを用いて化合物を試験する。上記の方法を用いて、Wnt活性を増加または減少させる化合物を同定する。上記のアッセイを用いて、Dkk1結合を増強または阻害する化合物を確認する。上記のアッセイを用いて、Dkk1アンタゴニズムを増強または阻害する化合物を確認する。
【0041】
LRP5の領域Iを鋳型として使用することによる化合物のスクリーニング
バーチャルスクリーニング
上記のように、相同性モデリングを用いて、この領域の構造を推定することができる。図2に記載するように、部位指向性突然変異誘発を用いて、Mesd結合および機能に必要とされる残基を特定する。実施例5.1(A)に記載の方法を用いて、バーチャルスクリーニング方法をこのMesd結合表面に適用する。領域Iは、Mesd機能に関与するため、領域Iを鋳型として使用して同定された化合物は、細胞表面に対するLRP5の提供を増加または減少させることによって、Wntシグナル伝達を増加または減少させ、および/またはDkkアンタゴニズムを増加または減少させることができる。領域Iおよび領域IIは、相同であるため、バーチャルスクリーニングを用いて同定された化合物は、Wntシグナル伝達を増加または減少させることができる。領域Iおよび領域IIIは、相同であるため、バーチャルスクリーニングを用いて同定された化合物は、1)Dkk結合を増加させる;2)Dkk結合を減少させる;3)Dkkアンタゴニズムを増加させる;および/または4)Dkkアンタゴニズムを減少させることができる。
【0042】
生物学的アッセイ
上記の方法を用いて、Wnt活性を増加または減少させる化合物を同定する。実施例5.1に記載のアッセイを用いた特定の実施形態において、Dkk1結合およびアンタゴニズムを増強または阻害する化合物を確認することができる。図2に示されるアッセイを用いて、Mesd機能に影響を与える化合物を確認する。
【0043】
LRP5の他の領域と相互作用する化合物のスクリーニング
本明細書の上記に記載されているLRPの細胞外部分の3つの領域は、バーチャルスクリーニングのための候補になる唯一の潜在的な部位ではない。例えば、LRP5の細胞外部分にも存在するEGF反復部は、タンパク質/タンパク質相互作用のための結合部位である可能性が高く、本発明の方法に使用され得る。また、LRP5の細胞内部分は、潜在的な目標部位でもある、タンパク質相互作用に関与する部位を有することが知られている。
【0044】
フリズルド受容体のCRDと相互作用する化合物のスクリーニング
Wntは、フリズルドファミリーの膜貫通受容体を通じてシグナル伝達を行う。このフリズルド受容体は、数回にわたって細胞膜を通過する。フリズルドのN末端細胞外領域上に位置する保存されたシステインリッチ領域(CRD)は、Wnt結合部位として作用する。分泌されたフリズルド関連タンパク質Frzb−1は、CRDを含み、Wntシグナル伝達発現のアンタゴニストとして機能する。
【0045】
マウスからのフリズルド8および分泌されたフリズルド関連タンパク質3のCRDの結晶構造が確認された(12)。Wnt結合部位をWnt結合および変異アッセイによって確認することができる。
【0046】
バーチャルスクリーニング
上記のバーチャルスクリーニング方法を用いて、CRDと相互作用してWntシグナル伝達経路を調節する潜在的な化合物をスクリーニングする。マウスタンパク質からの既知のCRD構造を鋳型として使用して、相同性モデルを作成する。他のフリズルドファミリーメンバーまたはヒトフリズルドタンパク質CRD領域に対する相同性モデルを作成する。CRD−Wnt相互作用に関与する構造およびアミノ酸に基づいて、エネルギー最小化方法を用いて、各化合物の生物活性をさらに試験するために化合物をスクリーニングした。より高い生物活性を示すものについては、同様の構造的照会を用いて、さらなる候補化合物を同定した。
【0047】
生物学的アッセイ
Wnt結合アッセイを用いて、フリズルドタンパク質のCRD領域に対する化合物の影響をスクリーニングすることができる。CRDペプチド(またはフリズルドタンパク質)が、検出可能なマーカ(例えば、Myc標識)で細胞の表面に発現した。該化合物およびWntアルカリリン酸塩融合タンパク質(例えば、Wnt8−AP)を含む培地を使用した。インキュベーション後、免疫−組織化学染色を用いて結合を確認した。
【0048】
候補化合物がWnt結合に対する影響を示すと、上記の他の生物学的アッセイを適用して、Wntシグナル伝達に対する各化合物の影響を測定する(27、38、12)。
【0049】
LRP6と相互作用する化合物のスクリーニング
LRP5およびLRP6は、それらがカノニカルWnt系にどのように関与するかに関して幾つもの共有する特徴があるため、文献では一般にLRP5/6と称する。したがって、LRP5に結合する能力について選択された化合物の多くもLRP6と相互作用できるはずである。しかし、LRP5およびLRP6は、アミノ酸レベルで70%の相同性を共有するにすぎない。したがって、LRP6の配列を鋳型として使用して、LRP5の場合と同様にしてWnt系の作動体を同定して、本発明の方法で使用される化合物を得ることができる。LRP6の第1、第2および第3のYWTD反復領域を、化合物のバーチャルライブラリーの相互作用を予測するための選択的部位として使用することができる。次に、LRP6に対する結合について選択された化合物の多くがLRP5と相互作用することも可能であると予想される。
【0050】
Dkkと相互作用する化合物のスクリーニング
バーチャルスクリーニング
Dkk1の構造を解明し、本明細書の実施例に記載されているように、変異を利用してクレメンおよびLRP5/6に対するその相互作用表面を特定することができる。上記の方法に従ってバーチャルスクリーニングを実施する。化合物は、LRP5またはクレメンに対するDkkの結合を増加または減少させるか、あるいはWntのDkk媒介阻害を増加または減少させることがわかる。
【0051】
生物学的アッセイ
LRP5に対するDkkの結合を増加または減少させる化合物を上記のように確認する。クレメンに対するDkkの結合を増加または減少させる化合物を、LRP5の代わりにクレメンで細胞をトランスフェクションすることを除いて上記のように確認する。特定の実施形態において、Dkkアンタゴニズムを増加または減少させる化合物を実施例5.1に記載されるように確認することができる。
【0052】
ディシブルド(DSL)領域と相互作用する化合物のスクリーニング
細胞質ディシブルド(DSL)タンパク質は、Wntフリズルド受容体複合物によって活性化される。それらは、カノニカルおよび非カノニカルWntシグナル伝達経路の両方において不可欠である。DSLタンパク質は、N末端DIX領域、中央PDZ領域およびC末端DEP領域で構成される。これらの3つの保存領域は、それぞれ異なるタンパク質と関連することによって、それぞれ異なる経路で機能する。
【0053】
DIX領域は、ホモダインとして存在し、主に螺旋形の構造体を形成する。これは、パルス電界傾斜NMR試験を用いて測定された。DIX領域は、インビボのアクティング張力繊維および細胞質ベシクルに対するターゲッティングを媒介する。それによって、Wntシグナル伝達の分岐点を表すことができる。カノニカルWntシグナル伝達を通じてのβ−カテニンの安定化は、DSLの膜ターゲッティングを含む。マウスDv12におけるLees58、Ser59およびMet60は、アクティング相互作用に強く関与する。Lees68およびGlue69は、細胞質ベシクルの位置確認に重要である。
【0054】
PDZ領域は、いくつかの分子と相互作用し、カノニカルおよび非カノニカルWnt経路の両方に重要な役割を果たす。三次元のXenopus PDZ領域構造が確認された(7)。化学シフト摂動NMR分光分析および結合アッセイの使用を通じて、フリズルドの保存モチーフKTXXXWとマウスDvl1のPDZ領域との間に直接的な相互作用が存在する。これにより、結合領域を確認することが可能になる(57)。
【0055】
DSLタンパク質のDEP領域は、Wnt経路におけるDvlの下流の作動体タンパク質にシグナルを伝達する。ディシブルドのDEP領域は、哺乳動物細胞におけるβ−カテニン活性のアップレギュレーションおよびLef−1媒介転写の刺激に必要とされる。マウスDvl1DEP領域の構造が確認された(Wongら)。Lys434、Asp445およびAsp448は、タンパク質−タンパク質相互作用に重要な役割を果たすこと、それらの変異Wnt−1がLef−1活性化を誘発したことが示された。
【0056】
バーチャルスクリーニング
DIX領域の機能的残基および二次構造が確認されたため、既存のタンパク質領域のスクリーニングは、三次構造構成および潜在的な候補についての情報を提供することができ、それに対するシミュレーションは、結合分析のための候補化合物を生成することができる。結合に影響を与える候補化合物を分析することができ、新しい類似化合物群を生物学的にアッセイすることができる。
【0057】
PDZおよびDEPの三次元構造が知られているため、上記の方法に類似したバーチャルスクリーニング法を用いることができる。この構造を鋳型として使用して、ヒトタンパク質領域または他の類似の機能的タンパク質領域に対する相同性モデルを作成することができる。特定の機能に関与する構造およびアミノ酸に基づいて、エネルギー最小化方法を用いて化合物をスクリーニングすることができる。各化合物の生物活性を試験することができる。高い生物活性を示す化合物については、類似の構造的質問を用いてより多くの候補化合物を見いだすことができ、生物活性をさらにアッセイすることになる。
【0058】
生物学的アッセイ
アクチン結合領域に対するアクチン結合阻害アッセイ、およびXnr3またはSiamois発現量をDIX領域ベシクルの位置確認に用いることができる。化合物処理後に、標識DIXを含む組立ベクターを細胞にトランスフェクションすることができる。次いで、免疫蛍光染色を用いて、アクチン結合阻害を確認することができる。RT−PCRを用いて、ベシクル位置確認のためのXnr3またはSiamois量の検出を行うことができる。
【0059】
インビトロ結合アッセイをPDZ領域の初期スクリーニングに用いることができる。DvlのPDZ領域に結合するペプチド(例えば、Drp C末端領域)を使用することができる。ビーズに結合した精製標識ペプチドをPDZ領域および各化合物と混合し、インキュベーション後、抗体を使用して、結合した化合物を検出することができる。各化合物の結合効率効果を測定することができる。
【0060】
カノニカルWnt経路に影響を与える化合物をスクリーニングするために、その領域に対してルシフェラーゼアッセイを用いることができる。細胞にDvl領域をトランスフェクションすることができる。これらの細胞が化合物とともにインキュベートされると、Wnt/β−カテニン活性化ルシフェラーゼ活性をアッセイすることによって、各化合物の効果を測定することができる。
【0061】
次いで、化合物をそれらの構造に基づいて分類し、同定された化合物をさらにスクリーニングする。タンパク質結合に影響を与える候補化合物が同定されると、上記の他の生物学的アッセイを用いて、各化合物のWntシグナル伝達に対する影響を測定することができる(57、6、58、55および7)。
【0062】
β−カテニンと相互作用する化合物のスクリーニング
β−カテニンは、Wntシグナルの核内への伝達を媒介することによって、目標遺伝子を活性化させる。Wntシグナルは、β−カテニン分解を防止して、β−カテニンが蓄積し、続いて核に転位して、タンパク質のTcf/LEFファミリーのメンバーと転写性活性化複合体を形成することを可能にする。
【0063】
β−カテニン、ならびにそれがアキシン、Lef、TCFおよびいくつかの他のタンパク質と形成する複合体の結晶構造が解明された。この情報を、カノニカルWntシグナル伝達を調節する化合物のスクリーニングに使用することができる。
【0064】
β−カテニンは、APC、LEF/TCF、E−カドヘリンおよびコンダクチン/アキシンに対する結合部位であるN末端アルマジロ反復部を含む。すべての結合部位は、β−カテニンのアルマジロ反復単位3〜8に位置する。それらの因子の結合は、溝を占有するため、他の競合するβ−カテニンパートナーの同時結合を妨げる。
【0065】
バーチャルスクリーニング
上記のバーチャルスクリーニングと類似の改造手法を、結合に対するβ−カテニン相互作用について化合物を同定するのに用いることができる。β−カテニンを鋳型として使用して、異なる種からのβ−カテニンの相同性モデルを生成することができる。LEF/TCF、アキシンおよびAPCとの相互作用に関与する構造および重要アミノ酸に基づいて、エネルギー最小化方法を用いて化合物をスクリーニングして、候補化合物群を生成することができる。上記すべてのタンパク質がβ−カテニン上の同様の位置を占有するため、生物学的アッセイを各化合物のスクリーニングに用いるときに、すべての4つの相互作用を試験する。初期の生物活性に基づいて、効果的な化合物の構造を分析し、同様の方法を用いて新しい化合物群を試験する。さらなる生物学的アッセイを実施して、最も効果的な化合物を同定することができる。
【0066】
生物学的アッセイ
すべてのβ−カテニンパートナーが同様の位置を占有するため、インビトロ翻訳およびタンパク質結合アッセイを用いて、各化合物の効果を測定することができる。標識β−カテニン、TCF、APC、LEFまたはアキシン構造体をインビトロで転写および翻訳することができる。それらが該化合物とともにインキュベートされると、免疫ブロット法を用いて結合を検出することができる。
【0067】
Wnt結合に影響を与える化合物が同定されると、セクション5.1(B)に記載されている他の生物学的アッセイを用いて、Wntシグナル伝達に対する各化合物の影響を測定することができる(52、43、16、59および11)。
【0068】
LEF−1/TCF転写因子と相互作用する化合物のスクリーニング
リンパ系エンハンサー結合因子(LEF)は、調節核タンパク質複合体の組立および機能において構造的役割を果たすDNA結合タンパク質である。それは、高移動グループ(HMG)領域を通じて特異的なヌクレオチド配列を認識する。TCR−α遺伝子エンハンサーからの最適結合部位を含む15塩基対オリゴヌクレオチド二重鎖と複合したマウスLEF−1のHMG領域の溶液構造が解明された。
【0069】
バーチャルスクリーニング
上記のバーチャルスクリーニングと類似した手法を用いて、HMG−オリゴヌクレオチド結合と相互作用することによって、遺伝子発現調節の活性に影響を与える潜在的な化合物をスクリーニングすることができる。該構造に基づいて、HMG領域を含むタンパク質は、それらが結合するDNAを屈曲させる。DNA屈曲または結合能力に影響を与える任意の化合物は、遺伝子発現の調節に対して影響を有する。既知の構造を鋳型として使用して、異なる種についてのLEF HMG領域に対する相同性モデルを作成することができる。HMG−オリゴ相互作用に関与する構造およびアミノ酸に基づいて、エネルギー最小化方法を用いて、化合物をスクリーニングすることができる。屈曲を強行する、または屈曲を妨げることができる化合物を選択する。DNA結合活性を用いて、化合物をスクリーニングする。はるかに高いまたははるかに低い生物活性を示す化合物については、同様の構造的質問を用いて、さらなる候補化合物を同定することができる。
【0070】
生物学的アッセイ
DNA結合アッセイを用いて、化合物をスクリーニングすることができる。オリゴヌクレオチドおよびHMG領域を化合物とともにインキュベートする。ゲル遅延アッセイを用いて、DNA結合を測定する。結合の実験を均一に13C標識されたNMRで改造して、領域屈曲を分析することができる。LEF制御遺伝子調節は、直接影響されるため、化合物の効果を検出するためにルシフェラーゼアッセイを用いてもよい。タンパク質結合に影響を与える化合物が同定されると、他の生物学的アッセイを用いて、Wntシグナル伝達に対する各化合物の影響を測定することができる(33)。
【0071】
ライブラリーのバーチャルスクリーニングを実施する上で、ライブラリーそのものが物理的ライブラリー(NCIライブラリーのスクリーニングに代表される)であり得るか、またはバーチャルライブラリー(化合物Enz1〜Enz72を含む実施例6に代表される)であり得ることが理解される。ライブラリーは、対象となるタンパク質目標と相互作用し、別のタンパク質とのその相互作用に影響を与えることができるあらゆる化合物で構成され得る。当該化合物の例としては、有機分子、ペプチドおよび核酸を挙げることができるが、それらに限定されない。該ペプチドとしては、ランダムな性質のペプチドのライブラリー、アミノ酸の置換可能系列、対象となるタンパク質に対する抗体の断片、および対象となるタンパク質と相互作用するタンパク質の断片を挙げることができるが、それらに限定されない。該核酸としては、アプタマーおよびタンパク質結合配列のライブラリーを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0072】
より効果的な化合物を見いだすための構造比較の使用
化合物の効果の知識は、初期化合物のコア構造に追加される基が異なる新規の類似体または化合物のファミリーの有意義な設計をも可能にする。特定の実施形態で得られる新規の化合物は、LRP5またはLRP6に対するタンパク質の結合を調節する。本明細書に用いられるように、「調節(modulate)」は、LRP5またはLRP6、好ましくはLRP5またはLRP6のYWTD反復領域へのタンパク質の結合および/または結合安定性を増強するまたは妨げることを指す。タンパク質としては、Dkkファミリーのメンバー、Wntファミリーのメンバー、スクレロスチンまたはPA受容体(例えば、TEM8またはCMG2)を挙げることができるが、それらに限定されない。
【0073】
例えば、NCI8642(IIIC3とも称する)は、以下の構造を有する。
【化9】
【0074】
コア構造を保持し、様々な置換が生じ得る場所を示して、この化合物の類似体のファミリーについての一般式は、以下(I)の通りであり得る。
【化10】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。特定の実施形態において、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13は、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアルアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6は、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの組合せを形成することができる。R11およびR12を含むアミン基の窒素が荷電する場合は、R15をさらに含み、R15は、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13について前述した通りである。特定の実施形態において、該化合物は、構造(VIII)を有する。
【化11】
(式中、R13は、直鎖状または分枝状アルキル基あるいは置換または非置換のシクロアルキル基である)。最も具体的な実施形態において、R13は、直鎖状または分枝状C2〜4基である。別の特定の実施形態において、R13は、シクロアルキルC3〜8基である。
【0075】
さらに環構造を保持し、上記構造に示されるカルボキシル基またはエステル基に対する置換を可能にすることによってこのコア化合物を一般化して、以下のような一連の他の類似体についての式(II)を得ることができる。
【化12】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【0076】
特定の実施形態において、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アラルアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6は、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの組合せを形成することができる。
【0077】
特定の実施形態において、該化合物は、構造(VII)を有する。
【化13】
(式中、R13およびR14は、それぞれ独立して、Hあるいは直鎖状または分枝状アルキル基である)。より具体的な実施形態において、R13およびR14は、独立して、Hあるいは直鎖状または分枝状C1〜5直鎖状または分枝状アルキル基である。最も具体的な実施形態において、R13はHであり、R14は、CH3基(Enz M14)であり;R13およびR14は、CH3基(EnzM15)であり;R13は、CH3基であり、R14は、C(CH3)3(EnzM25)であり;R13はHであり、R14は、(CH2)2CH(CH3)2(EnzM35)であり;R13はHであり、R11およびR12は、CH3基であり、R14は、CH2CH(CH3)(CH2CH3)(EnzM39)である。
【0078】
(VII)に包括される化合物は、
(a)ガロシアニンとガロシアニン上のCOOH基を脱離基で置き換えるための試剤とを反応させること;
(b)工程(a)で得られた化合物とアルキルアミンとを反応させて、前記化合物(VII)を得ること
によって得ることができる。
【0079】
本発明は、さらに、構造(VI)を有する新規の化合物を指向する。
【化14】
(式中、R15は、直鎖状または分枝状アルキル基である)。特定の実施形態において、R15は、直鎖状または分枝状C1〜5アルキル基である。最も具体的な実施形態において、R15は、メチル基(EnzM01)であり;R15は、エチル基(EnzM02)であり;R15は、プロピル基(EnzM03)であり;R15は、CH2C(CH3)3(EnzM12)である。
【0080】
この化合物を前記化合物の形成を促進する条件下でガロシアニンとハロゲン化アルキルを反応させることによって得ることができる。
【0081】
同様にして、IC15およびIC5を出発点として使用して、対象となり得る一連の化合物を設計することができる。
【化15】
【0082】
既に述べたように、これらの2つの化合物における共通のアントラ−9,10−キノン構造をUNITY(商標)による二次スクリーニングに使用した後に、FlexX(商標)とドッキングさせ、生物学的アッセイを行った。これにより、Wnt活性に対する影響を実証するIIC8、IIC10、IIC18およびIIC19(いずれもアントラ−9,10−キノンを共有する)の同定が行われた。したがって、この場合、類似体のファミリーは、一般構造(III)を有する。
【化16】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。好ましい実施形態において、R1、R2、R3、R4、R6、R6、R7、R8は、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アラルアルキル基、置換アラルアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R2およびR3、R3およびR4、R5およびR6、R6およびR7、R7およびR8は、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの組合せを形成することができる。
【0083】
本発明は、IIC15(構造を以下に示す)がWnt調節に対して興味のある影響を示した、上記の二次スクリーニングに基づき得た化合物のファミリーをさらに提供する。
【化17】
【0084】
この化合物と共通の構造的要素を共有し、Wnt活性に対する影響を示す他の化合物は、構造が表IVに示されるIIC1、IIC2、IIC7およびIIIC10である。
【0085】
したがって、本発明は、構造(IV)を有する化合物を提供する。
【化18】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。具体的な実施形態において、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10は、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R2およびR3、R4およびR5、R3およびR4、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10は、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの組合せを形成することができる。
【0086】
これらのコア構造の芳香族環上のR基を互いに縮合させて、より複雑な環構造を形成できることに留意されたい。したがって、例えば、R2およびR3の炭素鎖を互いに結合させて、構造(V)を有する一連の化合物を得ることが可能である。
【化19】
(式中、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R4、R5、R6、R7またはR8、R9、R10、R11、R12、R9、R13の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。具体的な実施形態において、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14は、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR13、R13およびR14、R14およびR4、R4およびR5、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10は、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの組合せを形成することができる。
【0087】
この構造を共有する試験化合物の例は、上記のIIC1およびIIC2である。
【0088】
以上に開示したコア化合物を組み合わせて、上記の様々なコア化合物の様々な相互作用点に及ぶアマルガムである化合物を形成することができる。例えば、Wnt活性に影響を与えることが示されたIC13は、互いに結合したIII成分の2つを有し、それらの間の結合とともに、IV成分から誘導された類似構造体をも含む。このハイブリッド分子の構造を以下に示す。
【化20】
【0089】
Wntシグナル伝達経路の他のタンパク質表面目標
薬理学的化合物の投与によって影響され得るタンパク質/タンパク質相互作用に関係するWntシグナル伝達経路に関与する多くのタンパク質が存在する。LRP5/6および/またはカノニカルおよび非カノニカルWnt経路におけるタンパク質/タンパク質相互作用に関係する様々なタンパク質の例が多くの参考文献(82、68、83、81、84、85、86および87)に記載されている。このグループの所定の目標タンパク質については、目標タンパク質と相互作用する様々な異なるタンパク質が存在し得る。これらの結合パートナーは、目標タンパク質上の異なる部位に結合することができるか、あるいは2つの異なる結合パートナーは、目標タンパク質上の同一部位または重複部位を共有することができる。本発明の方法を適用して各相互作用対に関与し、当業者に知られている任意の手段によって適切な構造および領域を同定することができる。これらの手段としては、目標タンパク質の様々な部分(例えば、細胞外および細胞内領域)を含むクローンを構築し、相互作用タンパク質パートナーの様々な欠失変異体との結合について試験すること;目標タンパク質をランダム変異させ、Wnt活性またはいくつかの他の生物マーカに対する影響を測定した後、興味のある変異体のシークエンシングを行うこと;アラニンスキャニングで、選択された相互作用対のタンパク質/タンパク質相互作用の機能に関与する重要アミノ酸を同定し、目標タンパク質の様々な欠失変異体を構築し、Wnt活性またはいくつかの他の生物マーカに影響を与えるそれらの能力を測定すること;目標タンパク質の欠失変異体のAP融合型を構築すること;類似タンパク質を使用して、タンパク質構造のモデルを作成すること;ペプチドライブラリーを使用して、特定の目標に結合するペプチド配列を確認すること;X線結晶構造解析およびNMR分析を挙げることができるが、それらに限定されない。上述のように、これらの構造および部位の多くは、当該技術分野で知られており、目標タンパク質上の特定の部位をバーチャルスクリーニングのために選択し、様々な手段によってアッセイすることができる。他のタンパク質/タンパク質相互作用については、相互作用の存在が知られているが、特定の部位は、上記の手段のいずれかによるさらなる調査を必要とする。タンパク質目標および相互作用タンパク質に対するそれらの結合部位の例が以下に示され、それらの例としては、以下のものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0090】
【表1】
【0091】
タンパク質/タンパク質相互作用において、相互作用に関係する各構成成分上の部位が存在するため、いずれの表面は、バーチャルスクリーニングのための潜在的な目標として機能することができる。この手法によって達成される少なくとも2つの利点が存在する。第1に、Dkk/LRP反応に影響を与える化合物の潜在的な薬物類が、Dkkに対する親和性によって同定された化合物のまったく新しいファミリーを含めることによって広げられる。第2に、シグナル生成に関与するタンパク質の結合領域が多価性になる傾向がある。例えば、LRP5/6上の結合領域は、目的および効果に差があるいくつかの異なるタンパク質によって使用される。本例に関して、Dkkは、LRP5/6の第2および第3の領域に結合することができるが(79)、スクレロスチンが第1および第2のLRP5/6領域に結合できること(80)およびこれらの領域の一方が、アントラクスの毒性効果に対する結合部位として機能すること(81)も最近示された。
【0092】
したがって、特定の薬物がLRP5/6受容体上の単一部位に導かれる場合も、その部位に結合する薬物に影響され得るDkk以外の幾つもの異なるシグナル生成タンパク質が存在し得る。これらの効果も有益であり得るか、あるいは中立的、またはさらに有害であるため、治療用途の化合物の使用に影響を与え得る。同じように、Dkk上の対応するLRP5/6結合部位が目標として選択される場合は、やはりこの部位を使用する様々な他のタンパク質/タンパク質相互作用が存在し得る。そのように、この部位に結合する薬物が同定されると、Dkk上のLRP/Dkk結合部位に対する結合について選択された薬物に影響され得る特定のタンパク質は、LRP5/6上のLRP/Dkk結合部位に対する結合について選択された薬物に影響されるものと異なるタンパク質群を表すことができる。
【0093】
Wnt/Dkk反応の他の側面を目標とすることに加えて、先述の方法に対する潜在的な候補として、Wntシグナル伝達に関与する他のタンパク質/タンパク質相互作用についても記載された。同様にして、それらは、上記に利点のいくつかを達成する。例えば、目標としてLRP5/6の代わりにDkkを選択することと同様に、異なるタンパク質目標の使用は、Wntシグナル伝達経路に影響を与えることができるまったく異なる化合物の集合体の発見を可能にするはずである。この場合、同じ効果(Wntシグナル伝達に対する影響)を達成することが可能であるが、経路の異なる部分が影響される。タンパク質/タンパク質相互作用の各パートナーが薬物発見の候補である場合に二重の発見プログラムを実施できることも理解されたい。第2に、先に述べたように、ある特定のタンパク質/タンパク質相互作用に影響を与える化合物も、必ずしも主要な目標でなかった他のタンパク質/タンパク質相互作用に影響を与える可能性が高い。したがって、Wntシグナル伝達経路のいくつかのメンバーは、所望の効果を達成する上で他のメンバーより特異的であり得ることを証明し得る。先に指定した特定のタンパク質/タンパク質相互作用に加えて、Wntシグナル伝達のためのタンパク質/タンパク質相互作用に関係するすべてのタンパク質が、潜在的に、本発明の手順を実施するための候補になり得ることを理解されたい。これらのタンパク質目標は、カノニカルおよび非カノニカルシグナル伝達経路の両方に関与することができ、あるいはそれらを一方または他方の経路に制限することができる。
【0094】
上述のように、本発明の組成物および方法に使用される化合物を使用して、病態生理学的過程を調節することができる。本明細書に定義されるように、「調節」は、特定の過程の量または速度を変化させること、過程を調整すること、あるいは適正な基準または割合に調整または維持することを含むが、それに限定されない。
【0095】
カノニカルまたは非カノニカルWntシグナル伝達経路に影響されるか、または依存する多くの系に本発明を適用することができる。これらは、Wntシグナル伝達経路の変化または欠陥によって引き起こされる疾患または状態であってもよく、Wnt活性の調整によって、これらの疾患または状態を緩和することができる。あるいは、Wnt活性自体についての問題によって引き起こされない疾患または状態が存在し得るが、Wnt活性の操作によって治癒または治療効果を達成することができる。いずれも引用により本明細書に組み入れられる米国特許出願第20050196349号、米国特許出願第20050261181号および米国特許出願第20060030523号に既に記載されているように、Wntシグナル伝達系の操作によって有益な効果を提供できる応用例としては、骨形成およびリモデリングに影響を与えること、ならびに腫瘍および異常成長を治療することを挙げることができるが、それらに限定されない。
【0096】
上述のように、本発明により同定された化合物は、腫瘍および異常成長の治癒または防止手段に応用され得る。骨細胞または骨組織の腫瘍または異常成長がこれらの化合物の目標になり得ることが先述の記載から理解されるであろうが、Wnt活性は、より広範にわたり、他の細胞および組織の異常成長における要因である。第1のWnt遺伝子が単離されたときに、それは、原腫瘍遺伝子(proto-oncogene)であると考えられ(92)、マウス乳房ウィルスがこの部位に組み込まれると腫瘍を生じさせる傾向があるため、「int−1」と命名されたことを指摘しなけければならない。それが「Wnt」と再命名されたのは、胚発育におけるこの遺伝子のファミリーの役割が明らかになったわずか数年後であった(39)。Wnt経路に関与する遺伝子は、広範な組織に発現されるため、Wnt経路発現の変化に関連する極めて多様な異なる腫瘍型と同等に関連する。加えて、癌の特定の種類に応じて異なる効果がある。例えば、Wnt5Aは、造血細胞における腫瘍サプレッサーになり得る(93)一方、Wnt5Aは、黒色腫における運動性および侵襲性を促進することによって、転移にある役割を有することができる(94)という証拠が示された。Wnt経路の相互作用および腫瘍形成または腫瘍維持、ならびにこれらの効果が見られる多くの種類の癌に関する検討(引用参考文献95、96、97、66、98および99参照)。Wntの癌に対する影響と骨成長の制御との連関は、骨癌に限定される現象ではない。本質的に血液癌である多発性骨髄腫も骨成長に間接的な影響を及ぼし、脆弱性の増大が該疾患の特徴の1つである。この後者の影響は、骨髄腫細胞におけるWnt阻害薬Dkk(100)およびsFRP−2(101)の量の増加に起因することが判明した。
【0097】
Wnt経路シグナル伝達系の変化に関連する疾患状態は、腫瘍または異常骨成長のみに限定されない。Wntシグナル伝達系のメンバーの発現に関与する遺伝子における遺伝子欠陥は、様々な器官および系における欠陥を示す。同一の遺伝子についても、特定の部位またはさらには特定の変異が、欠陥の特定の表現型発現に影響を与えることが可能である。先に記載したように、LRP5におけるある変異は、骨成長の増加をもたらし、他の変異は、骨成長の減少をもたらす。いくつかの遺伝子疾患は、Wntシグナル伝達系の構成成分における欠陥に影響される発育過程に関連する可能性が高い。例えば、LRP5またはFZD4における変異は、網膜の血管新生の欠如を特徴とする家族性浸出性硝子体網膜症をもたらし得る(102)。より過激な場合は、Wnt3の欠陥によって引き起こされる第四肢と呼ばれる状態において、完全な肢形成不良が生じる(103)。他の遺伝子変異は、本質的に後胚性である恒常的過程におけるWntシグナル伝達の役割に影響を与え得る。例えば、骨量の増加または減少ならびに腫瘍形成事象をもたらす欠陥は、進行中の出産後過程である。しかし、上記のように、これらは、Wntシグナル伝達に影響される唯一の恒常的過程でない。糖尿病に影響を与えるWnt経路遺伝子における変異の可能性は、LRP5の両複製物が不足したマウスからの結果によって既に示された。これらのマウスは、骨粗鬆症に対する潜在的なモデルの背景で既に引用されたが、この系統は、血清コレステロール値の増加および耐糖応答の顕著な低下を含む他の表現型特性も示すことがさらなる研究によって示された(20)。LRP5遺伝子は、糖尿病に関連していたIDDM4領域に近いため、最初に特定され、複製されたので、後者の結果は、驚くべきことではない(18)。加えて、異型接合状態および同型接合状態の危険率がそれぞれ1.45および2.41である、TCF7L2遺伝子(以前はTCF4と呼ばれていた)に対立遺伝子を有する個体における2型糖尿病の発達の確率の増加が最近の研究(104)によって示された。Wntシグナル伝達系の様々なメンバーに関連することが判明した他の疾患または状態としては、多嚢胞性腎疾患(105)、腎線維症(106)、肺線維症(107)、侵襲性線維腫症(108)および統合失調症(109)が挙げられる(Wntシグナル伝達経路と疾患の関係に関する詳細については、引用参考文献63および66参照)。
【0098】
そのように、Wntシグナル伝達の変化によって引き起こされるか、あるいは特定の疾患または状態の存在の結果としてWntシグナル伝達の差を示すあらゆる疾患過程には、本発明の使用を通じて同定された化合物を使用できる。
【0099】
本発明の方法に使用される化合物は、Mesd−LRP5相互作用を調節、特に減弱させて、細胞表面に存在するLRP5受容体の減少をもたらすことで、骨形成または骨リモデリングを通じて骨密度を増加させることができる。
【0100】
Dkkは、LRP5受容体の第3の領域と結合、または相互作用すると、Wntアンタゴニストとして作用する。Dkk−LRP5相互作用を阻害して、骨形成またはリモデリングを促進する化合物が同定された。以下の実施例に記載するように、1つの化合物、NCI366218(IIC8)は、組織培養モデルにおいて、骨芽細胞分化を刺激することが判明した。WntおよびDkkは間葉幹細胞の成長および分化を調節することが示された。骨形成の調節、ならびに造血性幹細胞の発育および分化のための間葉幹細胞調節剤として機能する化合物が同定された。
【0101】
Wntは、造血性幹細胞の成長および分化を調節することが示された。骨形成の調節、ならびにインビボおよびインビトロの幹細胞の増殖および拡大のための造血性幹細胞調節剤として機能する化合物が同定された。
【0102】
組成物
本発明の方法に使用される化合物を組成物、特に医薬組成物に製剤化することができる。当該組成物は、典型的には、薬学的に許容し得る担体または賦形剤に製剤化された、および/または該担体または賦形剤とともに製剤化された本発明の代謝中間体の約0.1から90重量%を含有する。医薬製剤化は、十分に確立された技術分野であり、Gennaro(編)、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Lippincott、Williams & Wilkins(2000);Anselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第7版、Lippincott Williams & Wilkins(1999);およびKibbe(編)、Handbook of Pharmaceutical Excipients American Pharmaceutical Association、第3版(2000)にさらに記載されている。
【0103】
手短に述べると、本発明の医薬組成物の製剤化は、投与のために選択された経路に依存する。本発明に利用される医薬組成物を、経口、静脈内、筋肉内、皮下、吸入、鞘内、心室内、経粘膜、経皮、鼻内、腹腔内および肺内を含む経腸および非経口経路の両方を含む様々な経路によって投与することができる。医薬組成物は、本発明の1つ以上の作用物質を含むことができる。
【0104】
経口剤形を患者が消化するための錠剤、丸剤、糖剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤および懸濁剤等として製剤化することができる。経口投与のための組成物の固体製剤は、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖;トウモロコシ、小麦、米、ジャガイモまたは他の植物からのデンプン;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースまたは微結晶セルロースなどのセルロース;アラビアゴムおよびトラガカントゴムを含むゴム;ゼラチンおよびコラーゲンなどのタンパク質;カオリン、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウムなどの無機物;ならびにアカシアおよびアルギン酸などの他の物質などの炭水化物またはタンパク質充填剤などの好適な担体または賦形剤を含有することができる。架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、またはアルギン酸ナトリウム等のその塩、微結晶セルロース、トウモロコシデンプン、グリコール酸ナトリウムデンプンおよびアルギン酸などの崩壊および/または溶解を促進する物質を添加することができる。使用できる錠剤結合剤としては、アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン(Povidon(商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、デンプンおよびエチルセルロースが挙げられる。使用できる潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリコーン液、タルク、蝋、油およびコロイダルシリカが挙げられる。先述のものを含む充填剤、崩壊および/または溶解を促進する物質、錠剤結合剤および潤滑剤を単独で、または組み合わせて使用することができる。固体経口剤形は、全体的に均一である必要がない。例えば、糖剤のコアは、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有することもできる高濃度糖溶液などの好適なコーティングと併用され得る。
【0105】
本発明の経口剤形は、ゼラチンで構成された押込嵌め(push-fit)カプセル剤、ならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどのコーティング剤で構成された密封軟カプセル剤を含む。押込嵌めカプセル剤は、ラクトースまたはデンプンなどの充填剤または結合剤、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、ならびに任意に安定剤と混合された活性成分を含有することができる。軟質カプセル剤において、活性化合物を、脂肪油、液体、または安定剤を含む、または含まない液体ポリエチレングリコールに溶解または懸濁させることができる。また、製品同定のために、または活性化合物の量、すなわち投与量を特徴づけるために染料または顔料を錠剤または糖剤コーティングに添加することができる。
【0106】
経口(経腸)投与のための医薬組成物の液体製剤は、水または他の水性媒体で調製され、メチルセルロース、アルギン酸塩、トラガカント、ペクチン、ケルギン(kelgin)、カラゲナン、アカシア、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールなどの様々な懸濁剤を含有することができる。液体製剤は、活性化合物とともに、湿潤剤、甘味料ならびに着色料および香料を含有する溶液、エマルジョン、シロップおよびエリキシルを含むこともできる。
【0107】
本発明の医薬組成物を非経口投与のために製剤化することもできる。非経口投与のための製剤は、水性または非水性等張性無菌注射液または懸濁液の形であり得る。
【0108】
静脈内注射では、本発明の化合物の水溶性形態を、5%デキストロース(「D5」)、生理緩衝食塩水、0.9%食塩水、ハンクス液またはリンガー液などの生理的に許容し得る液体媒体で製剤化するか、あるいは凍結乾燥物として提供される場合は、当該液体媒体と混合する。静脈内製剤は、限定することなく、カルシウム、ヒト血清アルブミン、クエン酸塩、酢酸塩、塩化カルシウム、炭酸塩および他の塩を含む担体、賦形剤または安定剤を含むことができる。
【0109】
筋肉内製剤、例えば、本発明の化合物の好適な可溶性の塩の形の無菌製剤を注射用水、0.9%食塩水または5%グルコース溶液などの医薬賦形剤に溶解させ、投与することができる。あるいは、該化合物の好適な不溶性の形を長鎖脂肪酸のエステル(例えば、オレイン酸エチル)、ゴマ油などの脂肪油、トリグリセリドまたはリポソームなどの水性ベースまたは薬学的に許容し得る油ベースの懸濁物として調製し、投与することができる。
【0110】
該組成物の非経口製剤は、植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール等)などの様々な担体を含有することができる。
【0111】
水性注射懸濁物は、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトールまたはデキストランなどの、懸濁物の粘度を高める物質を含有することもできる。非脂質性ポリカチオンアミノポリマーを送達に使用することもできる。所望により、該懸濁物は、好適な安定剤、または高濃度の溶液の調製を可能にするために化合物の溶解性を高める作用物質を含有することもできる。
【0112】
本発明の医薬組成物を、注射可能な長期堆積を可能にするように製剤化することもできる。ポリアクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に該化合物のマイクロカプセル材料を形成することによって注射可能なデポー剤を製造することができる。薬物のポリマーに対する比率および採用される特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射可能製剤は、体組織と相溶性を有するミクロエマルジョンに薬物を閉じ込めることによっても調製される。
【0113】
吸入製剤を容易に製剤化することもできる。吸入については、様々な粉末および液体製剤を調製することができる。エアロゾル製剤については、該化合物または該化合物の塩の形の無菌製剤を計量投与吸入剤などの吸入剤およびネブライザに使用できる。エアロゾル化された形は、呼吸障害を治療するのに特に有用であり得る。
【0114】
あるいは、本発明の化合物は、送達時に適切な薬学的に許容し得る担体での再構成するための粉末形態であり得る。
【0115】
本発明の医薬組成物における医薬として活性な化合物を、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸およびコハク酸を含むが、それらに限定されない様々な酸の塩として提供することができる。塩は、対応する遊離塩基の形より水性溶媒または他のプロトン性溶媒に溶解しやすい。
【0116】
医薬組成物を調製した後、それらを適切な容器に梱包し、指定した状態の治療について標識する。
【0117】
活性化合物は、意図する目的を達成するのに有効な量で存在することになる。有効投与量の決定は、当業者の能力の範囲内に十分おさまる。
【0118】
本発明に使用される化合物の治療有効投与量を、最初に細胞培養アッセイなどのインビトロ試験を行い、続いてモデル動物、通常はマウス、ラット、ウサギ、イヌまたはブタにおけるアッセイを行うことによって推定することができる。動物モデルを使用して、最初の好ましい濃度範囲および投与経路を決定することができる。
【0119】
例えば、ED50(集団の50%において治療有効な投与量)およびLD50(集団の50%に対して致死的な投与量)を動物モデル系の1つ以上の細胞培養で決定することができる。毒性効果の治療効果に対する投与量比は、LD50/ED50で表現することができる治療指数である。大きな治療指数を示す医薬組成物が好ましい。
【0120】
細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトにおける使用に対する最初の投与量範囲を策定するのに使用され、好ましくは、毒性をほとんどまたはまったく有さないED50を含む循環濃度の範囲を提供する。投与後、または連続的な投与の間において、活性薬の循環濃度は、採用される剤形、患者の感受性および投与経路等の当該技術分野で良く知られている薬物動態学的因子に応じて、この範囲内で変動する。
【0121】
正確な投与量は、治療を必要とする対象に特異的な因子に鑑みて、熟練者によって決定されることになる。熟練者が考慮できる要因としては、疾患状態の重度、対象の身体の健康状態、年齢、体重、対象の性別、食習慣、投与の時間および頻度、薬物の組合せ、反応感度、ならびに治療に対する耐性/応答が挙げられる。長時間作用する医薬組成物を、特定の製剤の半減期およびクリアランス速度に応じて、3から4日毎、毎週または2週間に1回投与することができる。
【0122】
通常の投与量は、投与経路に応じて、約1gの全投与量まで0.1から100000マイクログラムの範囲で変化してもよい。特定の実施形態において、日投与量は、患者の体重1kg当たり約0.01mgから30mg(例えば、1mg/kgから5mg/kg)である。所望される場合は、医薬製剤を1日当たり複数の投与量で投与して、所望の全日投与量を達成することができる。
【0123】
医薬技術分野の当業者に知られている従来の方法を用いて、本発明の医薬製剤を患者に投与することができる。本発明の医薬組成物を単独で、または他の治療薬または治療介入と組み合わせて投与することができる。具体的には、本発明の組成物は、本発明の複数の作用物質をさらに含むことができる。前述の方法のいずれかによる疾患の治療は、制御性細胞、免疫制御性細胞またはNKT細胞の数または機能を変化させる。この変化は、細胞の数または機能の低下、阻害または減少を包括する。この阻害は、CD1d分子からの活性化要素の競合的置換によって生じ得る。変化は、細胞の数または機能の刺激または増加を含むこともできる。この刺激は、CD1d分子からの活性化要素の結合の増加によって生じ得る。
【0124】
相乗効果および間接的な効果
生物学的アッセイで試験すると、LRP5/6に対する結合部についてバーチャルスクリーニングによって選択された化合物は、a)Lef活性;b)Wntによるlef活性の増強;およびc)DkkによるWnt増強の抑制(表Iに見られる)に対する様々な影響を示した。したがって、本発明の組成物は、対象における病態生理学的過程を調節する2つ以上の化合物を含んでもよい。
【0125】
小分子のタンパク質に対する結合は、タンパク質の構造を変化させることができることが良く知られている。例えば、基質を有するタンパク質および基質を有さないタンパク質の構造を調べて、結合部位および酵素の触媒機構に関する詳細を解明するために、多くの結晶解析調査を実施した。したがって、化合物の結合は、その活性を増強するまたはその活性を低下させることができるようにタンパク質の構造を変化させることができるということが容易に理解できるだけでなく、構造が変化しても活性自体が影響され得ないことが理解できる。しかし、小分子が結合したタンパク質は、その分子を有さないタンパク質と同じでないことがわかる。したがって、特定の目標タンパク質に結合することが可能であるが非天然タンパク質に影響を与えなかった小分子は、それが異なるコンホメーションにされた場合に目標タンパク質に影響を与え得る。同一のタンパク質目標に結合した2つの異なる化合物の組合せは、系の挙動を変化させることが既に示された1つの分子および単独で使用された場合に影響を示さなかった第2の分子からなっていてもよく、あるいはいずれも単独で活性を示さない2つのタンパク質からなる可能性がある。次いで、個々の化合物を試験するのに使用される同じアッセイ、すなわちLef活性の変化、Wntの存在に対するLef活性の応答(Wnt活性化)、DkkによるWntの阻害に対する応答、および最後にLRP5およびDkk−APの親和性の変化についてのアッセイを、存在する両化合物を用いる既に記載のアッセイに用いることができる。ガロシアニンまたはエンゾM01などの化合物が、LRP5/6に対する結合について選択された他の化合物の存在下で使用される一連の反応を実施することができる。一方、化合物の様々な組合せのマトリックスを実施するより広範な調査を採用することができる。
【0126】
本発明のさらなる態様は、2つ以上の薬理剤の混合物の投与の相補効果または相乗効果を利用することである。別の可能性は、より低い投与量での組合せで、通常の投与量の薬物の1つと同じ治療効果を提供できる2つ以上の薬物についてである。この方法の利点は、薬物の費用を低減することがあるか、より低い投与量の使用によって望ましくない副作用が低減され得ることであり得る。
【実施例】
【0127】
材料および方法
細胞培養、トランスフェクション、CMの調製およびルシフェラーゼアッセイ
ヒト胚腎臓細胞(HEK)系A293Tおよびマウス線維芽細胞系NIH3T3を維持し、前述のようにトランスフェクションした(1)。前骨芽細胞系2T3およびMC3T3を、10%FCSを含有するa−MEMで培養した。ルシフェラーゼアッセイでは、24ウェルプレートにおける細胞を5×104細胞/ウェル個で接種し、製造元の指示通りにリポフェクタミンプラス(Invitrogen、カリフォルニア州)を使用して1ウェル当たり0.5μgのDNAでトランスフェクションした。DNA濃度をトランスフェクション毎に等しくするために、LacZプラスミドを通常使用した。細胞抽出物をトランスフェクションから24時間後に回収した。既に記載されているようにルシフェラーゼアッセイを実施した(1、2)。発光強度をGFPの蛍光強度に対して規準化した。CMを含有するDkk1−APを調製するために、HEK細胞を4×105個/ウェルで6つのウェルプレートに接種し、1μgのDNA/ウェルでトランスフェクションした。CMをトランスフェクションから48時間後に回収した。
【0128】
発現プラスミドの構築および突然変異誘発
高適合熱安定性DNAポリメラーゼPfu Ultra(Stratagene、カリフォルニア州)を使用して、ヒトLRP5、LRP6、マウスWnt1、Dkk1およびDkk2の野生型および変異形をPCRによって生成した。HAまたはFlagエピトープ標識を全長および変異体分子のC末端に導入した。CMVプロモータによってこれらの分子の発現を導いた。LEF−1レポータ遺伝子構造を外部供給源(3)から得た。
【0129】
Dkk1−AP結合アッセイおよび免疫沈降アッセイ
24ウェルプレートにおけるHEK細胞をLRP5およびその変異体でトランスフェクションした。1日後、細胞を低温洗浄緩衝液(BSAおよびNaN3を含有するHBBS)で洗浄し、マウスDkk1−AP調整培地とともに2時間にわたって氷上でインキュベートした。次いで、細胞を洗浄緩衝液で3回洗浄し、溶解させた。溶解物を65℃で10分間加熱し、Tropix発光APアッセイキットを使用してそれらのAP活性を測定した。既に記載されているように免疫沈降アッセイを実施した(4)。
【0130】
細胞表面タンパク質のビオチン化
HEK細胞をLacZ、LRP5およびLRP5G171V発現プラスミドトランスフェクションした。細胞に氷冷PBS中0.5mg/mlスルホ−NHS−ビオチン(Pierce)を標識し、洗浄し、既に記載されているように溶解させた(5)。細胞溶解物を抗HA抗体およびA/Gアガロースタンパク質で免疫沈降させた。
【0131】
一次骨芽細胞培養
生後3カ月のマウスからの骨髄間質(BMS)骨芽細胞培養物を既に記載されているように生成した(6)。10nMのデキサメタソン、8mMのβ−グリセロホスフェートおよび50ug/mlのアスコルビン酸の存在下で、骨形成分化するように細胞を誘発した。培地を2日毎に変えた。
【0132】
相同性モデリング
スイス−プロット/TrEMBLデータベース(登録名Q9UP66(8))から得た配列を使用して、LRP5の第3のYWTD−EGF領域の相同性モデルをICM(Molsoft L.L.C.、La Jolla、カリフォルニア州)で構築した。LDL受容体(低密度リポタンパク質)YWTD−EGF領域(PDBコード1IJQ(9))を鋳型として選択した。
【0133】
バーチャルスクリーニング
UNITY(商標)(Tripos,Inc.)プログラムを使用して、Glu456とともに末端に6つのプロペラで形成された腔に適合することが可能な化学化合物について国立癌研究所(NCI)データベースをスクリーニングした。次いで、エネルギー最小化のために、FlexX(商標)プログラム(Tripos,Inc.)を使用して、候補化合物をLRP5領域のDkk1結合腔にドッキングした(10)。計算において最も高い結合親和性を示す化学化合物を、さらなる実験的試験に向けて、国立癌研究所、癌治療診断部(Division of Cancer Treatment and Diagnosis)、開発治療薬プログラム(Development Therapeutics Program)、薬物合成および化学課(Drug Synthesis & Chemistry Branch)から入手した。生化学アッセイの結果に基づいて第2回および第3回目のスクリーニングを実施した。
【0134】
骨に対する化合物の影響の評価
IIIC3をDMSOに溶解させ、1:1000に希釈して0.44mg/mlの濃度でPBSに含めた。頭蓋冠の局部注射では、既に記載されている注射方法(74、75)を用いて、15マイクロリットルのIIIC3(0.22mg/Kg/日)、対照媒体または正の対照(b−FGF、12.5ug/Kg/日)を生後4週間のCD−1マウスの頭蓋冠の右側の皮下組織に5日間にわたって1日3回注射した。最初の注射から22日後に頭蓋冠を回収し、切出しのために固定した。全身投与では、IIIC3(3mg/Kg/d)および対照媒体を生後2カ月のC57B1マウス(n=19)に7日間にわたって1日1回腹腔内注射した。マウスを3週間安静にし、処理を1回繰り返した。最後の注射から3週間後に、マウスに麻酔をかけ、PIXImus小動物DXAシステム(GE−Lunar、Madison、ウィスコンシン州)を使用して、全大腿および全身骨鉱物含有量(BMC;グラム)ならびに骨面積(平方センチメートル)を測定し、BMDを計算した。全身測定では頭を除外した。これらのマウスの重量も同時に測定した。
【0135】
Wnt活性レポータ遺伝子アッセイ
アッセイを既に記載されているように実施した(30、78)。手短に述べると、24ウェルプレートにおける細胞を5×104個/ウェルで接種し、製造元の指示通りに、リポフェクタミンプラス(Invitrogen、カリフォルニア州)を使用して、1ウェル当たり0.1mgのGFP、0.025ugのLEF−1、0.075ugのLEFルシフェラーゼレポータ遺伝子および0.3ugのLacZでトランスフェクションした。トランスフェクションから24時間後に化合物および調整培地を添加した。6時間後、細胞抽出物を回収し、ルシフェラーゼアッセイを実施した。発光強度をGFPの蛍光強度に対して規準化した。
【0136】
実施例1:LRP5の欠失変異体
1組のPCRプライマーを設計し、PCR反応を実施し、PCR断片をベクターにサブクローン化していくつかのLRP5欠失変異体を生成した。第3および第4の領域(残基646から1198)の欠失は、LRP5R12をもたらし、第1および第2の領域(残基1から646)の欠失は、LRP5R34をもたらし、第3の領域(残基947から1198)の欠失は、LRP5R124をもたらした(図1A)。
【0137】
実施例2:LRP5の領域IはMesd媒介LRP5機能に不可欠である
実施例2.1 LRP5の第1の領域におけるG171V変異は、LRP5輸送を妨げる
LRP5とMsedの相互作用
図2Aに示されるように、HEK細胞を発現プラスミドでトランスフェクションした。1日後、細胞を溶解させ、抗Flag抗体を使用して免疫沈降を実施した。MesdをFlag標識し、すべてのLRP5分子をHA標識した。それらの結果により、領域IのG171V変異は、LRP5とMesd(図2A、レーン1および3)およびR12とMesd(図2B、レーン1および2)の両方の相互作用を妨げるのに対して、領域IIIのE721変異は、相互作用に対する影響を示さない(図2A、レーン2および3)ことが示された。
【0138】
LRP5変異体は、細胞表面に効率的に発現しない
図2Bおよび図2Cに示されるように、HEK細胞をMesdプラスミドおよび発現プラスミドでトランスフェクションした。R12TGV、R12T、R1−4およびR1−4GV(GV)は、細胞培養培地で分泌する膜貫通領域が欠如したLRP5変異体であるAP融合タンパク質である。1日後、調整培地(CM)を回収し、高速で遠心した。上清を抗HA抗体によって免疫沈降させる(図2C)か、またはAPアッセイに使用した(図2D)。また、細胞をSDS−PAGE試料緩衝液に溶解させ、ウェスタンブロット法によって分析した(図2CおよびDの下面)。それらの結果により、G171V変異は、LRP5の細胞表面への発現を減弱させることが示される。
【0139】
細胞表面のLRP5レベルの評価
HEK細胞をLacZ、野生型HA−LRP5またはHA−LRP5G171V発現プラスミドでトランスフェクションした。細胞表面をビオチン化し、LRP5分子を抗HA抗体で沈降させた後に、ストレプトアビジン西洋ワサビペロキシダーゼ(SA−HRP)を使用して、ウェスタン分析によって細胞表面のLRP5分子のレベルを検出した(図2E上面)。免疫複合体におけるLRP5のレベルを下面に示す。これらの結果は、D171V変異体の細胞表面の発現の減少を示す。
【0140】
実施例2.2 LRP5G171Vは、同時発現Wntの活性のDkk1媒介阻害を受けにくい
カノニカルWntシグナル伝達活性に対するG171V変異の影響
図3Aに示すように、HEK細胞を、LEF−1発現プラスミド、LEF−1ルシフェラーゼレポータプラスミドおよびGFP発現プラスミドとともに、プラスミドでトランスフェクションされた。1日後、細胞を溶解させた。材料および方法に記載されているように、溶解した細胞のGFPレベルおよびルシフェラーゼ活性を測定し、GFPレベルに対して規準化した。LacZがトランスフェクションされた細胞による活性を100%として、対照を確定した。LRP5タンパク質に担持されるHA標識に特異的な抗体、または抗LRP6抗体を使用して、LRP5、LRP5G171V、LRP6およびLRP6G158Vの発現を検出した(図3A)。それらの結果により、HBM G171V変異は、野生型(Wt)LRP5(LRP5Wt)と比較してそれ自体のLEF−1依存転写活性の増加、または同時発現Wntのためのシグナル変換の増加をもたらさなかったことが示される。LEF−1は、カノニカルWntシグナル伝達経路の下流目標転写因子である。ルシフェラーゼレポータ遺伝子アッセイによって測定されるその活性は、カノニカルWnt活性を測定するのに広く使用されてきた(12、20)。したがって、LRP5G171Vは、Wntシグナル伝達を変換する上で本質的に活性でも、より強力でもない。驚いたことには、LRP6上の対応する変異、すなわち残基G−158に対するVal残基の置換によって、それがWnt−1と相乗的に作用することが不可能になり(図3A)、恐らくは受容体を不活性した。
【0141】
同時発現Wnt1によって刺激されたカノニカルシグナル伝達活性に対するG171V変異の影響
図3Bに示されるように、LRP5WtまたはLRP5G171Vの存在下でHEK細胞をLEFレポータ、Wnt−1、Dkk1およびクレメンのプラスミドでトランスフェクションした。ヒトHEK細胞をLacZでトランスフェクションし、LRP5またはLRP5G171Vの存在下でDkk1、クレメン1およびWnt1で同時トランスフェクションした。クレメン1およびDKK1の両方の存在下で、Wntは、LRP5Wtを発現するHEK細胞よりLRP5G171Vを発現するHEK細胞においてより高い活性を示した(図3B)。これらの結果により、LRP5G171Vは、Dkk1の存在下で野生型より多くのシグナルを変換することが示される。その差が多プラスミドトランスフェクションの結果でないことを確認するために、Dkk1、クレミン1およびLRP5のタンパク質発現(図3)を調べた。自己分泌Wnt1活性のDkk媒介阻害に対する抵抗の増加という同様の結果が、NIH3T3細胞ならびに2つの骨芽様細胞系、MC3T3および2T3にも観察された。
【0142】
実施例2.3.Dkk1−APのLRP5およびLRP5変異体に対する結合
図4に示されるように、HEK細胞をMesdプラスミドおよびLRP5プラスミドでトランスフェクションし、Dkk1−APを発現するHEK細胞から調製されたCMとともに氷上でインキュベートした。材料および方法に記載されているように、AP活性を随意単位(AU)で測定した。Wtおよび変異体LRP5分子の発現を図4Bに示す。これらの結果により、LRP5G171V変異体を発現する細胞は、LRP5Wtを発現するものより低い見かけのDkk結合を示すことが示され(図4A)、図2に示す細胞表面上のより少ないLRP5G171Vと一致する。
【0143】
実施例3:LRP5の領域IIがWnt活性に必要とされる
図5に示されるように、HEK細胞をLEF活性レポータプラスミドおよび発現プラスミドでトランスフェクションした。発現プラスミドLRP5R494QおよびLRP5G479Vは、点突然変異をそれらの第2の領域に有するLRP5レポータである。1日後、細胞を溶解させた。材料および方法に記載されているように、溶解した細胞のGFPレベルおよびルシフェラーゼ活性を測定し、GFPレベルに対して規準化した。図5は、LRP5R494QおよびLRP5G479VがLRP5Wtと比較してWntシグナル伝達を無効にできることを示す。これらの結果は、領域IIがWnt活性に必要とされることを示す。
【0144】
実施例4:領域IIIがDkk媒介阻害に必要とされる
実施例4.1 領域IIIの分析
LRP5 G171Vは、Dkk1媒介阻害を受けにくいかということを説明するための有力な仮説は、変異がLRP5とDkk1の相互作用を妨げ得るということであった。G171を含有する第1のYWTD反復領域が、Dkk1媒介アンタゴニズムに必要とされると仮定するのが合理的である。この仮説を試験するために、2つのLRP5欠失変異体、すなわち第3および第4のYWTD反復領域が欠失したLRP5R12ならびに第1および第2のYWTD反復領域が欠失したLRP5R34を生成した(図1)。Dkk1媒介阻害に必要とされる配列をさらに明示するために、第3のYWTD反復領域が欠失したさらなるLRP5変異体、すなわちLRP5R124を生成した。
【0145】
領域IIIの機能分析
図6Aに示されているように、HEK細胞にLEF活性レポータプラスミド、クレメン1プラスミドおよび発現プラスミドをトランスフェクションした。WtLRP5およびその変異体分子の発現を図6Bに示した。その結果により、LRP5R12またはLRP5R124は、Wnt刺激LEF−1活性を依然として増強できるが、LRP5R34はできないこと(図6A)が示され、LRP5R12またはLRP5R124はWnt共受容体機能を保持することが示唆される。しかし、LRP5R12またはLRP5R124が存在すると、Dkk1は、Wntシグナル伝達を阻害することができない(図6A)。これは、領域IIIがDkk1媒介阻害に必要とされることを示唆するものである。
【0146】
LRP5およびLRP5変異体に対するDKK1−APの結合
図6Cに示されているように、HEK細胞をMesdプラスミドおよびLRP5プラスミドでトランスフェクションし、Dkk1−APを発現するHEK細胞から調製されたCMとともに氷上でインキュベートした。材料および方法に記載されているように、AP活性を随意単位で測定した。Wtおよび変異体LRP5分子の発現を図6Cの右面に示す。これらの結果により、LRP5R34は、Dkk1結合部位を含み、R34におけるE721がDkk1結合に必要とされることが示される(図6C)。
【0147】
実施例4.2.Dkk阻害に必要とされる領域III上の相互作用表面上のアミノ酸残基の同定
本明細書に記載するように、YWTD反復領域全体の欠失は、LRP5における全体構造変化を引き起こし得るため、Dkk1媒介阻害を妨げ得るこの領域における点突然変異を生成させた。
【0148】
相互作用表面III上のAla置換変異の概略図
領域IIIの空間充填モデルをLDL受容体YWTD反復領域の構造に基づいて推定した(13)。スイス−プロット/TrEMBLデータベース(登録名Q9UP66[18])から得られた配列を使用して、Dkk1の領域IIIの相同性モデルをICM(Molsoft L.L.C.、La Jolla、カリフォルニア州)で構築した。低密度リポタンパク質(LDL)受容体YWTD−EGF領域(PDBコード1IJQ(22))を鋳型として選択した。三次元構造に基づいて、Ala置換変異を領域IIIの表面上に含む19個のLRP5変異体を生成した(図7A)。Dkk1媒介阻害に抵抗するこれらの変異体LRP5タンパク質の能力を測定し、それを図7Aに示す。それらの変異体のうちの9つは、Dkk1媒介阻害に対する(5%を超える)感受性の変化を示し、同一表面上に局在する変異を含んでいた(図7A)。
【0149】
LRP5のWnt共受容体活性に対する代表的な点突然変異の影響
図7Bに示されているように、HEK細胞をLEF活性レポータプラスミド、クレメン1プラスミドおよび発現プラスミドでトランスフェクションした。Wtおよび変異体LRP5分子の発現を下面に示す。19の変異のうち、E721変異が、Dkk1媒介阻害に対して最大の影響を示し、W781、そしてY719がそれに続いた(図7B)。
【0150】
第1および第2のYWTD反復領域(それぞれD111およびD418)におけるE721対応残基の変異は、Dkk媒介阻害に対する感受性を有意に変化させなかった。Dkk1媒介阻害に対する抵抗性を有するすべての変異体は、Dkk2媒介阻害に対しても抵抗性を有していた。このすべてのデータは、第3のYWTD反復領域がDkk媒介阻害に必要とされるという結論を裏づけるものである。
【0151】
第3のYWTD反復領域がDkk媒介阻害に必要であることに対する明確な説明は、この領域がDkk1結合を引き起こすことである。HEK細胞の表面に発現されたLRP5に対するDkk1−AP融合タンパク質の直接的な結合を測定した(23)。
【0152】
実施例5:LRP5の特定領域と相互作用する化合物のスクリーニング
実施例5.1(A)領域IIIを鋳型として使用する化合物のスクリーニング
バーチャルスクリーニング
UNITY(商標)プログラム(Tripos,Inc.)を使用して、領域III上の腔に適合することが可能な化学化合物について、国立癌研究所(NCI)データベース(http://129.43.27.140/ncidb2)をスクリーニングした。このデータベースは、自由に検索可能であり、250251個の小化学化合物の座標を含む。検索質問は、0.3Åの許容誤差を有するR764およびE721、ならびに腔に向かってTrp781から3.2Å離れた1.0Åの許容誤差を有する疎水性の中心で構築されるように設計された。化合物の柔軟性を考慮して、構造的に柔軟な高速の三次元検索を可能にするUNITY(商標)プログラムにおける定方向Tweakアルゴリズム(21)を適用した。
【0153】
次いで、UNITY(商標)プログラムを使用して得られた候補化合物を、リガンドを迅速かつ柔軟にタンパク質結合部位にドッキングさせる(44)、エネルギー最小化のためのFlexX(商標)プログラム(Tripos,Inc.)(17)を使用してDkk1結合表面にドッキングさせた。Dkk1の認識に重要であることが示された残基E721、W864、Y719、R764、D877、F888、G782、W781およびM891(図7A)を考慮に入れて計算した。ドッキング手順に続いて、Cscore(商標)プログラムを使用して、Dkk1結合ポケットに結合するそれらの想定される能力に基づいて化合物のランク付けを行った。Cscore(商標)は、タンパク質−リガンド複合体の個々のスコアリング機能がどの程度十分に果たされたかに基づいて相対的なコンセンサススコアを生成した(8)。次いで、Cscore(商標)に最終的なマニュアル目視検査を施した。最大のコンセンサススコアを有する40個の化合物がNCIから要求されたが、入手不能により17個しか得られなかった。次いで、これらの化合物にDkk−1結合アッセイを施した。これらの化合物のうちの3つが、LRP−5に対するDkk1の結合に影響を与えることが判明した。NCI106164(IC14とも称する)(図8A)Dkk1結合を32%阻害し、NCI39914(IC13とも称する)(図8B)およびNCI660224(IC5とも称する)(図8C)は、Dkk1結合をそれぞれ645%および275%刺激した。NCI39914およびNCI660224の刺激効果は、これらの化合物と、第3の領域のDkk1結合腔との相互作用の増強に起因し得る。この増強は、Dkk1とLRP5の相互作用表面の間に存在する間隙の架橋に起因し得る。アントラ−9,10−キノン(図9A)は、化合物NCI39914(IC13)およびNCI660224(IC5)の間の共通の下部構造であるため、アントラ−9,10−キノンは、LRP5との結合相互作用において重要な役割を果たすことができる。アントラ−9,10−キノンと類似した、NCIデータベースに見いだされる化合物の二次元検索を、UNITY(商標)プログラムの類似性検索アルゴリズムを用いて実施した。次いで、既に記載されているように、ヒットしたものをFlexX(商標)プログラムとドッキングさせた。最高のスコアを有する25個の化合物をNCIから入手し、試験した。化合物NCI657566(図9B)およびNCI366218(図10A)は、Wntシグナル伝達のDkk1媒介阻害を反転させることが可能であった。図9Cに示されるNCI366218誘導鋳型を使用して新しい二次元類似性検索を実施し、13個の候補化合物を同定した。NCI8642(図10B)は、Wntシグナル伝達のDkk媒介阻害の反転およびLRP5に対するDkk1の結合の破壊に最良の化合物であることが、(以下に記載する)生物学的アッセイによって示された。
【0154】
生物学的アッセイ
生物学的アッセイを用いて、バーチャルスクリーニングによって同定された化合物をスクリーニングした。
【0155】
Dkk−1結合アッセイ
第1の2つの領域が欠如した全長LRP5またはLRP5R34変異体を発現するHEK細胞に対するDkk1−APの結合を実施例2に記載されるように実施した(図4)。17個の化合物の第1のバッチを、全長LRP5に対するDkk1の結合の阻害について最初にスクリーニングした。NCI106164(IC14)は、Dkk1結合に対する68%の阻害効果を示し、NCI39914(IC5)およびNCI660224(IC3)は、Dkk1結合をそれぞれ654%および276%刺激した(表I参照)ことに留意すべきである。IC5およびIC13による結合の増強については、効果は、これらの対称性分子による受容体上で示されるオリゴマー化またはアロステリック効果の結果であり得る。重要なことは、IC5、IC13(図8B)およびIC15(図8C)がいずれもアントラ−9,10−キノンコア構造を含み、キノン構造は、分子が腔と相互作用するための基本的な相互作用力を提供できることが示唆される。Dkk相互作用腔におけるいくつかの芳香族アミノ酸残基の存在が、この考え方を裏づけている。
【0156】
【表2】
【0157】
【表3】
【0158】
【表4】
【0159】
表IIおよび表III
NIH3T3細胞をWnt活性ルシフェラーゼレポータ遺伝子でトランスフェクションした。翌日、化合物を2mg/mlでDMSOに溶解させ、20ug/mlに希釈して、組織培地(基本培地)、Wnt3a(Wnt)を含む培地、またはWnt3aおよびDkk1(Wnt+Dkk)の両方を含む培地に含めた。化合物を含まないDMSOを対照とした。6時間後、細胞を溶解させ、ルシフェラーゼアッセイを用いてWnt活性を測定した。示されるデータは、パーセントの基本活性である。Wnt活性に影響を与えずに100%を超えるDkk阻害の反転を示す化合物を赤色で示す。
【0160】
Wnt活性アッセイ
LRP5の第2および第3の領域がWntシグナル伝達に必要とされ、これらの領域は、恐らくWnt分子と直接相互作用する。これらの領域は、高度なアミノ酸配列相同性を共有するため、第3の領域に結合する特定の化合物は第1の2つの領域にも結合し、Wnt活性の阻害を引き起こすことができることが見込まれる。化合物の第2のバッチを、最初にWnt活性アッセイを用いてスクリーニングし、続いてDkk阻害を反転させる化合物がLRP5に対するDkk結合を阻害したことを確認するための結合アッセイを用いてスクリーニングした。表IIに示されるように、第2のバッチからの25個の化合物を、Wnt活性アッセイを用いてスクリーニングした。具体的には、NIH3T3細胞をWnt活性ルシフェラーゼレポータ遺伝子でトランスフェクションした。翌日、それらの化合物を2mg/mlでDMSOに溶解させ、20ug/mlに希釈して、Wn3a(Wnt)を含む組織培地(B基本)またはWnt3aおよびDkk1の両方(Wnt+Dkk)を含む培地に含めた。いずれの化合物も含まないDMSOは対照としての機能を果たす。6時間後、細胞を溶解させ、ルシフェラーゼアッセイを用いてWnt活性を測定した。示されるデータは、パーセントの基本活性である。それらの化合物を1)基本レポータ活性阻害、2)Wnt活性阻害および3)Wnt活性のDkk媒介阻害の反転について調べた。表IIに示されるように、25個の化合物のうちの17個が、30%を超える割合でWnt活性を阻害することが判明した。2つの化合物、すなわちNCI366218およびNCI657566は、Wnt活性に影響を与えずにWntシグナル伝達のDkk1媒介阻害を反転させることが判明した。
【0161】
どの化合物がDkk媒介阻害を反転させるかを判定するために、バーチャルスクリーニングを用いて第3のバッチの化合物を同定した。13個の化合物を同定し、Wnt活性スクリーニングを施した。表IIIに示されるように、3つの化合物が、Wnt活性を著しく阻害することが判明し、1つの化合物(NCI8642)がDkk媒介阻害を有意に反転させた。
【0162】
図11および図12に示されるように、Wnt活性アッセイおよびDkk結合アッセイによって、NCI8642およびNCI366218の両方の特性をさらに調べた。NCI8642は、Dkk媒介阻害の反転により効果的であった。NCI8642は、また、NCI366218より有効濃度の範囲が広かった。両化合物は、高濃度でWnt阻害を示し始めた。両化合物は、全長LRP5、および第1の2つの領域が欠如したLRP5 R34変異体に対するDkk1−APの結合を阻害したため、Dkk1とLRP5の相互作用を破壊することによってDkk媒介阻害を反転させた。NCI8642は、Dkk1結合の阻害においてNCI366218より効果的であり、Wntシグナル伝達に対するDkk媒介アンタゴニズムの反転の効果が増加したことと一致することが示された。
【0163】
骨形成アッセイ
Wntは、培養された骨芽細胞の増殖および分化を刺激し、Dkkは、この過程を阻害する。したがって、これらの化合物は、骨形成を増加させる。これを、鉱化の調査、またはBSP、オステオカルシンおよびコラーゲンの発現を含む骨形成マーカの発現によってモニタリングすることができる。2.3Kb CollA1プロモータによって導かれるGFPの発現もモニタリングした。図13は、NCI366218がGFP発現を刺激することを示し、骨芽細胞の分化の増加を示唆する。図14は、NCI366218が鉱化を刺激することを示す。NCI366218は、頭蓋冠臓器培養において骨形成をも刺激する。
【0164】
実施例5.1(B)領域IIIを鋳型として使用する化合物のスクリーニング
この腔に潜在的に結合することが可能である化学化合物について、国立癌研究所(NCI)データベース(http://129.43.27.140/ncidb2)のさらなるバーチャルスクリーニングを実施した。このデータベースは、250251個の小(M.W.<1000Da)化学化合物の座標を含む。0.3Åの許容誤差を有するLRP5残基Glu721およびArg764、ならびに腔に向かってLRP5残基Trp780(69)から3.2Å離れた1.0Åの許容誤差を有する疎水性の中心で構成される検索質問を用いて、プログラムUNITY(Tripos,Inc.)で最初のスクリーニングを実施した(図17A)。化合物の柔軟性を考慮に入れるために、高速かつ構造的に柔軟な3D検索(21)を可能にするプログラムUNITYにおける指向性Tweakアルゴリズムを適用した。
【0165】
次いで、リガンドを迅速かつ柔軟にタンパク質結合部位にドッキングすることができるプログラムFlexX(Tripos,Inc.)を使用して、UNITYスクリーニングによる候補化合物(〜2000)をDKK1結合表面にドッキングさせた(72、73)。DKK1結合に関与することが示されたLRP残基Glu721、Trp863、Tyr719、Arg764、Asp887、Phe888、Gly781、Trp780およびMet890(69)を計算に含めた。ドッキング手順後に、プログラムCscoreを用いて、化合物をDkk1結合ポケットに対するそれらの想定される結合親和性に基づいてランク付けした。Cscoreは、タンパク質−リガンド複合体の個々のスコアリング機能がどの程度十分に果たされるかに基づいて相対的なコンセンサススコアを生成する。次いで、Cscoreの結果に最終的な目視検査を施した。
【0166】
最高のコンセンサススコアを有する17個の化合物をさらに試験した(化合物IC1〜IC17、表IV)。これらの化合物にDkk−1結合競合アッセイおよびWnt活性アッセイを施した。具体的には、NIH3T3細胞をWnt活性ルシフェラーゼレポータ遺伝子でトランスフェクションした。翌日、2mg/mlでDMSOに溶解させ、20ug/mlでPBSに希釈した化合物を組織培地(基本)、Wnt3a(Wnt)またはWnt3aおよびDkk1の両方(Wnt+Dkk)を含む培地中に添加した。対照は、同量のDMSOを含む。6時間後、細胞を溶解させ、Wnt活性をルシフェラーゼアッセイによって測定した。10個の化合物が、基本レポータ遺伝子活性に有意に影響を与えずにWnt刺激レポータ遺伝子活性の50%超の阻害を示した(表IV)。これらの10個の化合物のうち、4つの化合物は、細胞表面に発現されたLRP5に対するDkkアルカリホスファターゼ(AP)の結合に影響を与えた。IC14およびIC15は、30パーセントを超える阻害を示したのに対して、驚いたことには、IC5およびIC13は、結合の刺激を示した(表IV)。Wnt活性の阻害は、恐らくはWnt分子との直接的な相互作用を通じて、Wnt結合に関係していることが示された第1の2つのYWTD反復領域に対する化合物の結合に起因し得る(35、36、47)。重要なことは、IC5、IC13(図17B)およびIC15(図17C)は、いずれもアントラ−9,10−キノンコア構造を含み、キノン構造は、分子が腔と相互作用するための基本的な相互作用力を提供できることが示唆される。Dkk相互作用腔におけるいくつかの芳香族アミノ酸残基の存在は、この考え方を裏づけるものである。
【0167】
【表5】
【0168】
【表6】
【0169】
【表7】
【0170】
【表8】
【0171】
【表9】
【0172】
【表10】
【0173】
【表11】
【0174】
【表12】
【0175】
【表13】
【0176】
キノンコア構造は、相互作用に寄与できると仮定して、UNITYプログラムの類似性検索アルゴリズムを使用して、NCIデータベースにおけるアントラ−9,10−キノンに類似する化合物について第2回目のバーチャルスクリーニングおよび2D検索を実施した。次いで、ヒットしたものを既に記載されているようにFlexXとドッキングさせた。次いで、高得点が付けられた7つの化合物をNCIから入手し、生物学的アッセイで試験した。化合物IIC8(図17D)を、Wntシグナル伝達のDkk媒介阻害を反転させるその能力について同定した(表V)。
【0177】
アントラ−9,10−キノン系化合物に加えて、第1のバーチャルスクリーニングによりそれらのスコア41〜80にランク付けされたさらなる17個の化合物を入手した。これらの17個の化合物の試験により、それらのうちの9つがWntシグナル伝達を50%以上阻害することが明らかになった(表IVにおける陰影部の化合物)。重要なことは、IIC15(図17E)およびIIC24(図17F)を含む、このスクリーニングからの化合物のうちの4つは、Wntシグナル伝達をそれ自体有意に阻害せずに、Wntシグナル伝達のDkk媒介阻害を反転させる多少の能力を示した(表IV)。IIC15およびIIC24を鋳型として使用して2D類似性検索を実施し、13個のさらなる候補化合物をWnt活性アッセイのために入手した(表VIおよびVII)。IIC24系化合物の1つであるIIIC3(図17G)は、Wntシグナル伝達のDkk媒介阻害の非常に強力なアンタゴニストであることが判明した(表VII)。
【0178】
Wnt活性アッセイおよびDkk結合アッセイでIIC8化合物およびIIIC3化合物の両方の特性をさらに調べた。IIIC3は、IIC8よりDkk阻害の反転に効果的であり、広い有効濃度範囲を有する(図18A、B)。IIC8は、およそのEC50が10μMのマイクロモル濃度でDkk媒介阻害の反転を開始したのに対して、IIIC3は、EC50が約2μMの1μM未満の濃度でDkk阻害の反転を開始した。両化合物は、高濃度でWntシグナル伝達を阻害すると思われた。この阻害効果は、Wntシグナル伝達に必要とされる第1の2つのYWTD反復領域に対する化合物の低親和性に起因し得る。両化合物は、野生型LRP5(図18C)、および第1の2つのYWTD反復領域が欠如しているが、Dkk結合領域を保持するLRP5変異体(図18D)に対するDkk1−APの結合を阻害したため(69)、DKK1とLRPの相互作用を破壊することによってDkk阻害を反転させる可能性が最も高いと結論づけることが合理的である。加えて、IIIC3は、Dkk1結合の阻害においてIIC8より効果的であり、それは、Wntシグナル伝達に対するDkk媒介アンタゴニズムのその反転における効果が増加したことと一致する。また、LRP5に対するDkk1の結合を阻止するためのこれらの化合物のIC50値(約1μM(IIIC3の場合)および10μM(IIC8の場合))は、これらの化合物がDkk阻害を反転させるためのEC50値と類似しており、これらの化合物は、DkkとLRPの相互作用を破壊することによってDkk阻害を反転させるという結論が裏づけられる。
【0179】
化合物の機能および構造関係をより深く理解するために、Wnt阻害化合物を再調査した。試験を行った54個の化合物のうち、それらのほぼ半分(74)が20μg/mlでWnt3aの50%を超える阻害を示した(表IV〜VII)。最も強力なWnt阻害薬は、IC15(図17C)。IC15は、Wnt3a活性を阻害するための約0.5μMのIC50値を有する(図19A)。この値は、Dkkアンタゴニズムに必要とされる領域である第3のYWTD EGF反復領域に対するDkkの結合を阻害するためのIC50値(5μM)の約10分の1である(図19A)。対照的に、Wntを阻害するのに必要とされるIIIC3の濃度は、Dkkの結合を阻害するのに必要とされる濃度の少なくとも10倍であり、IIIC3がDkkの結合を阻害するためのIC50値およびDkk阻害を反転するためのIC50値は、類似している(図18)。これらの結論は、第2および第3のYWTD反復領域に対するIIIC3およびIC15の結合の分子モデリング分析によってさらに裏づけされる。LRP5の第2および第3のYWTD反復領域は、高度なアミノ酸配列相同性(41%の同一性)を共有するが、これら2つの領域のリガンド結合腔に大きな差がある(図29)。第2の領域上の腔は、第3の領域上の腔より大きいが、第3の領域の腔の方が深い(図19B、C)。したがって、IIIC3より大きいIC15は、より良好に第2の領域の腔に合うことができるのに対して、IIIC3は、第3の領域の腔により良好に適合することができると予想するのは妥当である。実際、FlexXドッキングモデルにおいて、IIIC3は、第3の領域の腔に十分に適合する(図3B)のに対して、IC15は、第2の領域の腔に完璧に適合する(図19C)。IIIC3複合構造において、第3の領域が第2の領域で置換されると、結合したIIIC3は、Glu721、Tyr719、Leu823およびPhe888を含む目標残基との多くの接触を失うことになる(図19D)。一方、第2の領域がIC15複合体において第3の領域で置換されると、第3の領域上の残基、例えばLeu823およびPhe888は、結合したIC15と衝突することになる(図19E)。
【0180】
次に、最も強力なDkkアンタゴニスト化合物IIIC3がマウスにおける骨形成を刺激し得るかどうかを判断した。該化合物を局部的骨形成モデルで試験した。IIIC3をDMSOに溶解させ、1:1000に希釈して0.44mg/mlの濃度でPBSに含めた。既に記載されている注射方法(74、75)を用いて、15マイクロリットルのIIIC3(0.22mg/Kg/日)、対照媒体または正の対照(b−FGF、12.5μg/Kg/日)を生後4週間のCD−1マウスの頭蓋冠の右側の皮下組織に5日間にわたって1日3回注射した。最初の注射から22日後に頭蓋冠を回収し、切出しのために固定した。図19に示されるように、b−FGFおよびIIIC3処理頭蓋冠の両方に新しい骨が見いだされた。IIIC3は、骨形成を刺激する上でFGFと同程度に強力であると思われた(図19B)。全身骨形成アッセイにおける化合物の効果を評価するために、C57B1マウス(生後8週間)にIIIC3および対照媒体を腹腔内注射した。IIIC3が注射されたマウスには、対照と比較して、大腿および全身骨鉱物密度の両方に有意な増加(大腿についての2%および全体での2.5%の増加)が観察され(図19C、D)、体重の有意な増加(7.1%、図19E)を伴っていた。これらの結果により、骨形成を増加させるための潜在的な治療目標としてのLRP/Dkk相互作用がさらに確認され、これらのDkkアンタゴニストは、骨粗鬆症を治療するためのアナボリック治療薬へとさらに発展するための好適な誘導化合物になり得ることが実証された。
【0181】
タンパク質−タンパク質相互作用は、小分子化合物による破壊が困難であると一般に考えられている。この調査において、構造生物学と計算と生物学的アッセイとを組み合わせて、Dkk−LRP5相互作用を効率的に破壊できる小分子化合物を同定するスクリーニング手法を用いた。鋳型を用いずに目標の推定構造のみに基づいて、化学物質に対する新規の初期バーチャルスクリーニングを実施した。単に54個の化合物の物理的スクリーニングから化合物を同定することができ、連続的な回数のスクリーニングによって、以前行われたものより良好な化合物が得られた。加えて、計算は、腔に適合する化合物を単に同定することを可能にするだけでなく、2つの類似の腔を区別する、すなわちLRP5の第1の2つのYWTD反復領域から第3のYWTD反復領域を区別することができる化合物を導く。その手法は、骨粗鬆症および癌を治療するための治療薬に発展する大きな潜在性を示した強力なDkkおよびWntアンタゴニスト化合物を同定することを可能にした。加えて、これらの化合物は、Wntシグナル伝達における治療目標検証および基本的研究のための有用なツールを提供する。
【0182】
実施例6:新しい変異体を設計するためのコア化合物としてのIIIC3の使用
上述のように、Wnt活性に作用するIIIC3(NCI8642)の能力は、この鋳型上のR基を変えることで、Wnt活性に影響を与えることもできる他の分子の同定を可能にするコアモデルを設計するのにそれを使用することを可能にする。したがって、IIIC3のように、R1、R3、R4およびR6が水素であり、R8がヒドロキシル基であった場合は、以下のモデル化合物(VIII)の残留位置でより限定された一連の化合物を製造することが可能であった。
【化21】
【0183】
このシリーズを開始するために、IIIC3のようにR11およびR12がメチル基であり、R13がヒドロキシル基であり、アミン基が四級化されて構造(VI)を与える一連の化合物を設計した。
【化22】
【0184】
直鎖状アルカンおよび分枝状アルカンの両方を使用して、この化合物におけるR15の変化に向けて一連の置換基を設計した。得られた化合物(EnzoM01〜EnzoM12)の構造を既に記載されているように走査して、それらの結合の確率についてのスコアを得る。EnzoM01〜EnzoM12に使用された特定の置換基のリストならびに得られたCscoreレーティングを以下に示す。
【0185】
【表14】
【0186】
別の手法において、NCI8642のカルボキシル基をカルボキサミド基で置換して、一般構造(VII)を有する一連の化合物を生成する。
【化23】
【0187】
この一連の化合物(EnzoM13〜EnzoM41)に使用された特定の置換基のリストならびに得られたスコアを以下に示す。
【0188】
【表15】
【0189】
別の一連の化合物において、カルボキシル基をエステル化して、構造(VIII)を与える。
【化24】
【0190】
様々な基で一連の化合物(EnzoM42〜EnzoM70)を設計した。これらの置換基およびcScoreを以下に示す。
【0191】
【表16】
【0192】
【表17】
【0193】
【表18】
【0194】
コア分子上のちょうど3つの部位に作られた様々な置換基は、単一分子を合成しなくてもバーチャルスクリーニングによって試験することができる多数の候補を生成できることが分かる。また、この一連の化合物を既に記載されている同じバーチャルスクリーニングプログラムで試験すると、70個の化合物のうち44個が5のcScore値を与えた。これは、これらの分子を設計するのに使用された化合物IIIC3が4の相対的cScoreレーティングを有していたにすぎないため、新しい化合物を設計する上でのバーチャル置換技術の能力を実証するものである。
【0195】
実施例7:スコアの改良
先の実施例において高いcScoreを達成した化合物はいずれも試験の候補であるが、効果的である可能性が最も高い化合物を合成し、試験することがより効率的であろう。5のレーティング(最高の潜在的cScore)を有する化合物が極めて多かったため、それらの化合物を分類するために異なる基準を用いなければならない。cScoreを計算する上で、様々な要素スコアを集約して、最終的なレーティングを達成する。NCIライブラリーの最初のスクリーニングにおいて、鋳型化合物であるNCI18642(IIIC3)は、これらのメンバーの1つの最高のレーティング、すなわちFR−スコアを示した。そのように、このメンバースコアを用いて、5のcScoreを有するコア化合物の様々な類似体のランク付けを行った。このようにして検索した場合に、44個の候補のうちの7個が、最初のNCI18642より高いスコアが付けられた。これらの化合物に対する値(ならびにIIIC3に対する値)を以下の表XIに示す。
【0196】
【表19】
【0197】
このアプローチでも、生物学的アッセイで合成および試験する価値のある有望な候補を同定するバーチャルライブラリーをスクリーニングする能力が示される。それらのランキングがより高いために、当該候補がコア構造を定めた最初の化合物より強力であることを証明できる可能性がある。
【0198】
実施例8:実施例7から選択された化合物の合成
上記のバーチャルスクリーニング工程によって選択された化合物の合成を当該技術分野で知られているいくつかの手段によって実施することができる。例えば、類似化合物を取り、1つ以上の置換工程によって化学基を置換することによってこれらの化合物を作ることができる。この例において、IIIC3(NCI18642)は、ガロシアニンとして商業的に入手可能であり、多くの置換の出発点として機能することができる。あるいは、所望の化合物の前駆体を適切なR基で合成し、互いに結合させて、生物学的アッセイで試験する候補を合成することができる。
【0199】
(A)EnzoM15の合成
6.02gのガロシアニン(塩酸塩を含まない)を40mlのDMFに溶解させた溶液に対して、6.62gのテトラフルオロホウ酸スクシンイミド−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムを添加した後、6.96mlのジイソプロピルエチルアミンを添加し、室温で終夜攪拌した。DMFを除去した後、残渣を10mlの無水THFに再懸濁させ、次いでTMF中10mlの2Mジメチルアミンを添加した。該混合物を50〜60℃で5時間加熱した。製造物を、シリカゲルを使用したカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2/1%MeOH)で精製して、(以下に示す)0.8g(収率12%)のEnzoM15を得た。
【化25】
【0200】
(B)EnzoM14の合成
EnzoM15の合成に使用したジメチルアミンの代わりに100mlのメチルアミンを使用したことを除いては、基本的にEnzoM15について記載したようにEnzoM14の合成を実施した。加熱工程も5時間から終夜に延長した。シリカゲルによる精製を上記のように実施して、(以下に示す)0.75g(収率12%)のEnzoM14を得た。
【化26】
【0201】
(C)EnzoM01の合成
工程1.ヨウ化メチルの合成
攪拌磁石を備えた三口フラスコに温度計、分液漏斗、ならびに下方蒸留のためのコンデンサセットおよび氷水浴に維持された受取りフラスコに接続された小さい分留塔を装着した。800g(4.8モル)のヨウ化カリウムを430mlの水に溶解させることによって溶液を調製し、これをフラスコに添加した。次いで、60gの炭酸カルシウムを添加し、該混合物を攪拌しながら60〜65℃に加熱した。温度を60〜65℃に維持し、次いで2時間にわたって分液漏斗を通じて630g(473ml、5モル)の「実用」硫酸メチルを徐々に添加した。ヨウ化メチル製造物が受取りフラスコに流入する蒸留を維持するように、炭酸カルシウムの添加速度を維持した。すべての炭酸カルシウムを添加した後、約40分間にわたって温度を65〜70℃まで昇温させて、ヨウ化メチルの蒸留を完了させた。製造物を少量の水残渣から分離し、次いで製造物を無水塩化カルシウムで乾燥させた後、塩化メチルを乾燥した蒸留フラスコ内にデカントした。数滴のヨウ化カリウムを添加し、製造物を水浴から蒸留した。再蒸留された製造物は、615〜640gの収量(収率90〜94%)を示し、41〜43℃の沸点を有していた。
【0202】
工程2.ガロシアニンへのメチル基の添加
(塩化物を含まない)1.5gのガロシアニンを1000mlフラスコ中500mlのDMFに溶解させた。該混合物を30℃で1時間攪拌し、次いで上記の工程で調製した10mlのヨウ化メチルを添加した。次いで、該溶液を72時間にわたって攪拌しながら加熱および還流させ、コンデンサ管をバルーンで密閉し、さらなる10mlのヨウ化メチルを12時間毎に添加した。次いで、THFを80℃で蒸留除去した。残留する固体(EnzoM01)は、約98%の収率を示した。
【0203】
(塩化物を含まない)100mg(0.33ミリモル)のガロシアニンと、50mlのメタノールと、38μl(0.33ミリモル)の2,6−ルチジンと、0.5mlのヨウ化メチルとの混合物を、攪拌機を備えた圧力容器に入れた。該混合物を攪拌し、約100℃で4日間加熱した。真空中で濃縮した後、残渣を5mlのエタノールで洗浄した。濾過して91mgの固体製造物を得た。EnzoM01の構造を以下に示す。
【化27】
【0204】
(D)EnzoM02の合成
EnzoM01は、興味のある結果(以下の実施例に示される結果)を示したため、FR−スコアが最初のIIIC3より低い関連化合物EnzoM02をも合成および生物学的試験のために選択した。化合物EnzoM02は、四級窒素上のメチル基の1つがエチル基になっていることを除いては、EnzoM01と基本的に類似している。そのため、四級化がヨウ化メチルの代わりにヨウ化エチルで生じ、より小規模で実施されたことを除いては、基本的にEnzoM1について記載したようにEnzoM02を製造した。(塩化物を含まない)100mg(0.33ミリモル)のガロシアニンと、50mlのメタノールと、38μl(0.33ミリモル)の2,6−ルチジンと、0.5mlのヨウ化メチルとの混合物を、攪拌機を備えた圧力容器に入れた。該混合物を攪拌し、約100℃で4日間加熱した。真空中で濃縮した後、残渣を5mlのエタノールで洗浄した。濾過製造物の収量は134mgであり、EnzoM02の構造を以下に示す。
【化28】
【0205】
(E)EnzoM03の合成
EnzoM01に関連する別の化合物EnzoM03(ただし、FR−スコアがIIIC3より低いという点でEnzoM02に類似する)を合成のために選択した。化合物EnzoM03は、四級窒素上のメチル基の代わりにプロピル基を有することによってEnzoM01と異なる。そのため、四級化がヨウ化エチルの代わりにヨウ化プロピルで生じることを除いては、基本的にEnzoM02について記載したように化合物EnzoM03を製造した。濾過製造物の収量は、138mgであり、EnzoM03の構造を以下に示す。
【化29】
【0206】
実施例9:実施例8で合成された化合物の試験
実施例8で記載した化合物の合成後に、それらをWnt活性およびDkk阻害に対する影響について既に記載されているように試験した。また、これまでのスクリーニングは、アッセイにおける試験化合物の単一濃度を使用していた。本実施例では少数の化合物を試験していたため、各試験化合物に対する様々な異なる入力をWnt活性に対して同時に試験することが可能であった。様々な濃度のEnzoM01の結果を図21に示し、比較として、IC15による滴定も含める。それは、EnzoM01およびIC15の両方に見られ、Wnt活性に対する影響に対して投与量応答が存在する。しかし、IC15に見られるのと同じWnt活性の阻害のレベルが、およそ15分の1のEnzoM01の投与量においてみられる。より高いレベルのEnzoM01(8.33μM以上)においては、Wnt活性に対する影響が変化し、恐らくはこの薬物に対するより複雑な応答が示唆されることも見られる。この特定のEnzoM01調製物のHPLC分析により、それが、より高い投与量における要因にもなり得る少量の未反応ガロシアニンで汚染されていることも示された。
【0207】
図22に、EnzoM14およびEnzoM15についての結果を示す。この実験において、EnzoM14は、Wnt活性の低下に対する投与量応答を示すのに対して、EnzoM15は、6.1μM後により急激な応答を示す。これらの化合物は、Wnt活性のDkk媒介阻害に明らかな影響を与えないこともわかる。
【0208】
図23に、各化合物について基本的に類似の結果を伴うEnzoM02およびEnzoM03についての結果を示す。この実験に用いた濃度では、Wnt活性そのものに対する影響が非常にわずかであった。しかし、用いられた最大濃度(6μMおよび30μM)では、これらの化合物は、Wnt活性に対するDkkの影響を減少させる能力を実証した。
【0209】
実施例10:腫瘍細胞系の生存度に対する様々な化合物の影響
上述のように、Wnt経路は、癌の成長および進行に関連づけられてきた。Wnt活性に影響を洗えることが発見された化合物のうちの3つ(IC15、IIIC3およびEnzoM01)を、インビトロで成長する腫瘍細胞系(PC−3)に適用した。
【0210】
10%FBSが補給されたハムF12培地を含む96ウェルプレート内にPC−3腫瘍細胞をA)500個/ウェル;B)1000個/ウェル;およびC)2000個/ウェルで接種した。様々な量のIC15、IIIC3またはEnzoM01(最終10μM、20μMまたは80μM)を培地に添加し、10日間成長を続けた。培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、次いで20%細胞タイタ96アクエアスワンソルーションリージェント(Promega、Madison、ウィスコンシン州)を含むRPMI培地(フェノールレッドを含まない)とともに4時間インキュベートした。次いで、製造元の指示に従って、細胞増殖を吸収によって測定した。このアッセイの結果を図24に示す。これらの化合物の存在は、実験の終了時に存在する生存PC−3細胞の数に大きな影響を有すると思われたが、薬物の効果は、最初の接種密度に依存していた。最も低い密度(500個/ウェル)において、IIIC3およびEnzoM01は、10μMで生存細胞の数の減少を示し、IC15は、20μMで効果を示した。1000個/ウェルの試料において、IIIC3およびEnzoM01は、10μMレベルで生存細胞の数のそれぞれ10%および15%の低下を示し、20μMレベルでおよそ50%の低下を示すのに対して、IC15は、試験した最大濃度、すなわち80μMでのみ低下を示す。試験された最大細胞密度(2000個/ウェル)において、すべての3つの化合物が、存在する試験化合物の20μMを超えるレベルで細胞毒性を実証した。結論として、本実施例により、a)LRP5/6に結合し、b)Wnt活性に影響を与える能力について選択された3つの異なる化合物は、癌細胞系の増殖能力を低下させることが可能であることが実証される。
【0211】
実施例11:β−カテニン活性に対する影響
タンパク質β−カテニンは、Wnt経路の主要な下流目標であると考えられる。腫瘍に由来するいくつかの細胞系は、通常の細胞と比較してβ−カテニンのレベルが高いことが既に注目されていた。実際、β−カテニン活性を直接調節するapc(腺腫様ポリープ症)遺伝子における様々な変異および欠失が結腸癌の発生と強く関連づけられてきた。例えば、apc遺伝子に欠陥を有するように遺伝子操作されたマウス系統(「多発性腸新生物形成」または「min」系統)を予め遺伝子的に処理して、加齢するにつれて多数の腸腫瘍を発生するようにする。
【0212】
ELISAアッセイで測定されるβ−カテニンの発現に対するEnzoM01の影響について、いくつかの異なる腫瘍細胞系を試験した。腫瘍系を異なる腫瘍型、すなわち卵巣癌(PA−1)、前立腺癌(PC−3)、乳癌(HTB−24およびHTB26)および結腸癌(Lys174T)から導いた。
【0213】
A)細胞成長
以上に列記した様々な細胞系を約70%の集密度まで成長させ、次いで様々な量のEnzoM01を添加し、16時間インキュベートした。培地を除去し、細胞を収穫し、細胞溶解物をELISAアッセイに使用してβカテニンを測定した。
【0214】
B)ELISAアッセイ
96ウェルプレートのウェルに炭酸ナトリウム中捕捉抗体の抗β−カテニンモノクロナル抗体(BD Bioscience、カリフォルニア州San Diego)を4℃にてpH9.0で終夜コーティングした。翌日、ウェルをTBST(0.02%のTween20を含むトリス緩衝生理食塩水)で1回洗浄し、1%BSA遮断溶液とともに室温で1時間インキュベートした。ウェルをTBSTで1回洗浄し、細胞溶解物を添加し、室温で1時間インキュベートした。次いで、抗β−カテニンポリクロナル抗体(BD Bioscience、カリフォルニア州San Diego)とともにウェルを室温で45分間インキュベートした。ウェルをTBSTで3回洗浄し、次いでペロキシダーゼ共役抗ウサギIgG二次抗体(Cell Signaling Technology、Danvers、マサチューセッツ州)を各ウェルに添加し、25分間インキュベートした。ウェルをTBSTで3回洗浄し、スーパーシグナルウェストピコ安定過酸化物溶液(Pierce Biochemicals、Rockford、イリノイ州)の1:1混合物とともにインキュベートすることによって蛍光を発生させた。
【0215】
C)結果
この実験の結果を図25Aに示す。LS174Tにおけるβ−カテニンの固有のレベルは、他の細胞系と比較してはるかに高いこと、および使用投与量におけるEnzoM01によるLS174Tに対する投与量応答効果がわずかであるが存在し、投与量が増加するに従ってβ−カテニン活性が徐々に高くなることがわかる。しかし、この細胞系ではβ−カテニンの活性が非常に高いため、β−カテニン活性の固有のレベルがはるかに低い他の細胞系に対する影響を不明瞭にする。よって、図25Bにおいて省略されているLS174Tデータとともにこのデータも提示する。乳癌細胞系HTB−26およびHTB24ならびに前立腺癌細胞系PC−3ではβ−カテニンレベルに実質的に変化がなかったが、EnzoM01のより高い投与量において卵巣細胞系PA1にβ−カテニンレベルが選択的に低下したことがわかる。EnzoM01のIC50値は、20〜40μMの範囲であった。
【0216】
実施例12:腫瘍誘発および進行に対する様々な化合物の影響
結腸腫瘍の誘発および進行に対する食餌性の影響に関する調査において、apcmin/+マウスは、特定の食餌性サプリメント、β−グルコシルセラミドの存在または不在に応答することが示された(110)。この系統のマウスにおける自然発生的な腫瘍の頻度または大きさに影響を与える試薬の能力は、生きた動物における癌の誘発および進行に影響を与える上でのそれらの潜在性について既に同定された化合物のいくつかを試験する機会を提供する。
【0217】
LRP5上の選択部位に結合する確率について、化合物IC15およびIIIC3をバーチャルスクリーニング法で同定した。これらの化合物の両方をいくつかのグループのapcmin/+マウスに投与し、腫瘍の大きさおよび頻度を後の時点で測定した。
【0218】
A)試験マウスの処理
これら2つの化合物のインビボでの効果を調べるために、生後8〜9週間のC57BL/6JAPC(min+)/JをJackson Laboratories(Bar Harbor、メイン州)から入手した。54日間にわたってマウスに通常の食餌を与え、それから36日間にわたって高脂肪食餌に切り換えた。この時点で、マウスに1mlの容量の媒体、625μMのIIIC3または42μMのIC15を90日間にわたって1日おきに注射した。処理期間の終了時に、マウスを殺し、それらの腸を取り出した後、メチレンブルーで染色して、腸における発生腫瘍の数および大きさを定量した。
【0219】
B)結果
様々な大きさの腫瘍の数を以下の表XIIに示す。
【0220】
【表20】
【0221】
これらの化合物の両方が、全体的な腫瘍の数を減少させたことがわかる。試験動物における平均腫瘍数は、対照では59.4であり、IIIC3およびIC15で処理された動物ではそれぞれ31.67および38.33にすぎなかった。これは、これらの化合物で処理した後に47%および36%低下したことを示す。これらの化合物の効果は、より大きい腫瘍より、より小さい腫瘍に対してより顕著に思われることもわかる。これにより、これらの化合物は、発生を遅らせるものの、腫瘍が確定されると進行に対する影響は小さいことが示唆され得るが、他の説明も可能である。
【0222】
実施例13:高カロリーの食餌が与えられたマウスにおけるグルコース、インシュリン、トリグリセリドおよびコレステロールのレベルに対する様々な化合物の効果
既に述べたように、LRP5/6は、Wntシグナル伝達経路において、通常のコレステロールおよびグルコース代謝のモジュレーションを含む多くの役割を果たすことが示された。1グループのC57BL/6Jマウスに、最初に、5日間にわたって通常のカロリーの食餌を与え、その後終夜絶食させ、次いでLifescanグルコメーター(Johnson & Johnson)を使用して血糖値をアッセイした。次いで、10日間にわたってそれらの動物に高カロリーの食餌を与え、その間異なる濃度のEnzoM01、IC15およびIIIC3(EnzoM01については0.02、0.06および0.30mg/kg/日、IC15については0.2、0.6および3.0mg/kg/日、ならびにIIIC3については0.5、2.0および8.0mg/kg/日)を同時に投与した。最終日に、動物を終夜絶食させ、次いで血糖値を測定した。
【0223】
結果
10日間にわたって高カロリーの食餌を給餌した後、対照のマウスは、約30%の血清糖値の増加を示した。図26において、すべての3つの化合物は、血糖値を様々な程度まで様々に低下させたことがわかる。使用した最も高い濃度において、IIIC3およびIC15の両方は、通常の生理的血清値の10%以内まで血糖値を戻したのに対して、EnzoM01での治療は、0.02mg/kg/日の濃度において最も効果的であった。これらの結果は、3つのすべての化合物が、低血糖症を誘発することなく低血糖症のマウスを正常の血糖値に戻すことが可能であることを実証するものである。加えて、血液試料はまた、コレステロールおよびトリグリセリドレベルに関して分析された。これは、試料を患者の試料の場合と同じように測定する臨床研究室(Enzo Laboratories、Farmingdale、ニューヨーク州)に血清試料を提出することによって実施された。図27Aに見られるように、EnzoM01はおよび(図27Bにおいて)IC15は、トリグリセリドレベルを低下させるのに効果的であった。使用された濃度において、EnzoM01は、コレステロールを低下させるのにも効果的であったことも図27Aからわかる。
【0224】
実施例14:糖尿病マウスの処理
これらの化合物が、高カロリーの食餌を給仕された正常なマウスに与える影響を調べるのに加えて、明らかに糖尿病およびインシュリン抵抗性のdb/dbマウス(Jackson Laboratories、Bar Harbor、メイン州)をIIIC3によって治療することで試験した。該db/dbマウスは、高レプチン症であり、一部に、食物摂取の調節および体重の調節に有意な役割を果たす長形レプチン受容体における機能的欠陥により、肥満および重度の2型糖尿病を発生させる(111、112)。
【0225】
糖尿病の傾向のあるマウスに12日間にわたって高カロリーの食餌を与え、その間それらに7mg/kg/日のIIIC3を同時に投与した。この処理の終了時に、マウスを12時間絶食させ、耐糖試験のために1g/kgのグルコースのIP注射剤を投与した。注射後の様々な時間において、グルコースを既に記載されているように測定し、インシュリンをインシュリンウルトラセンシティブEIA(ALPCO Diagnostics、Salem、ニューハンプシャー州)によって測定することで血液中のグルコースおよびインシュリンの濃度を分析した。図28Aに見られるように、IIIC3で処理したマウスは、グルコース処理の能力の向上を示した。この効果は、また、血漿インシュリン値の有意な低下と平行していた(図28B)。
【0226】
本明細書に開示されている特定の実施形態は、本発明のいくつかの態様の実例であることを意図するため、本明細書に記載され、請求されている発明は、それらの実施形態によって範囲が限定されるものではない。あらゆる同等の実施形態が、本発明の範囲内に含まれることを意図する。実際、本明細書に示され、記載されているものに加えて、本発明の様々な変更が、先述の説明から当業者に明らかになるであろう。当該変更も添付の特許請求の範囲内に含まれることを意図する。
【0227】
その開示内容が全面的に引用により組み入れられる様々な参考文献が本明細書に引用されている。
【0228】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
病態生理学的過程を調節することを必要とする対象において病態生理学的過程を調節する方法であって、前記病態生理学的過程が、糖代謝、コレステロール代謝、脂質代謝、トリグリセリド代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成または任意の骨関連活性を含み、前記対象に以下の構造(I)を有する化合物を前記病態生理学的過程を調節するのに有効な量で投与することを含む方法
【化1】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項2】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R11およびR12を含むアミン基の窒素が、荷電しており、R15をさらに含み、R15は、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13について前述した通りである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記病態生理学的活性が、骨関連活性である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記骨関連活性が、骨形成、骨リモデリング、骨芽細胞分化、破骨細胞分化、骨芽細胞生存、破骨細胞生存、骨芽細胞活性または破骨細胞活性を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記腫瘍形成が、卵巣腫瘍形成、前立腺腫瘍形成または結腸腫瘍形成を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記投与が、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に対するタンパク質の結合を調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記結合の部位が、LRP5またはLRP6のYWTD反復領域である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記タンパク質が、Dkkファミリーのメンバーである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記タンパク質が、Wntファミリーのメンバーである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記タンパク質が、スクレロスチンである、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記タンパク質が、PA受容体である、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記PA受容体が、TEM8またはCMG2を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11、R12およびR15が、CH3基である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R15が、エチル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R15が、プロピル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R15が、CH2C(CH3)3を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常の治療を必要とする対象における骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するための方法であって、前記対象に構造(I)を有する化合物を前記骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するのに有効な量で投与することを含む方法
【化2】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項20】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
R11およびR12を含むアミン基の窒素が、荷電しており、R15をさらに含み、R15は、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13について前述した通りである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患の治療を必要とする対象における糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患を治療するための方法であって、前記対象に構造(I)を有する化合物を前記糖尿病、高血糖症または代謝疾患を治療するのに有効な量で投与することを含む方法
【化3】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項23】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
R11およびR12を含むアミン基の窒素が、荷電しており、R15をさらに含み、R15は、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13について前述した通りである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
病態生理学的過程の調節を必要とする対象における病態生理学的過程を調節する方法であって、前記病態生理学的過程が、糖代謝、コレステロール代謝、脂質代謝、トリグリセリド代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成または任意の骨関連活性を含み、前記対象に構造(II)を有する化合物を前記病態生理学的過程を調節するのに有効な量で投与することを含む方法
【化4】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項26】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記病態生理学的活性が、骨関連活性である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記骨関連活性が、骨形成、骨リモデリング、骨芽細胞分化、破骨細胞分化、骨芽細胞生存、破骨細胞生存、骨芽細胞活性または破骨細胞活性を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記腫瘍形成が、卵巣腫瘍形成、前立腺腫瘍形成または結腸腫瘍形成を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記投与が、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に対するタンパク質の結合を調節する、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記結合の部位が、LRP5またはLRP6のYWTD反復領域である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記タンパク質が、Dkkファミリーのメンバーである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記タンパク質が、Wntファミリーのメンバーである、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記タンパク質が、スクレロスチンである、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記タンパク質が、PA受容体である、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記PA受容体が、TEM8またはCMG2を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11、R12およびR14が、CH3基である、請求項25に記載の方法。
【請求項38】
R1、R3、R4およびR6が、Hであり、R11、R12、R13およびR14が、CH3基である、請求項25に記載の方法。
【請求項39】
R1、R3、R4およびR6が、Hであり、R11、R12およびR13が、CH3基であり、R14が、C(CH3)3である、請求項25に記載の方法。
【請求項40】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R14が、(CH2)2CH(CH3)2である、請求項25に記載の方法。
【請求項41】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R14が、CH2CH(CH3)(CH2CH3)である、請求項25に記載の方法。
【請求項42】
骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常の治療を必要とする対象における骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するための方法であって、前記対象に構造(II)を有する化合物を前記骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を調節するのに有効な量で投与することを含む方法
【化5】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項43】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患の治療を必要とする対象における糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患を治療するための方法であって、前記対象に構造(II)を有する化合物を前記糖尿病、高血糖症または代謝疾患を調節するのに有効な量で投与することを含む方法
【化6】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項45】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または換前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
病態生理学的過程の調節を必要とする対象における病態生理学的過程を調節する方法であって、前記病態生理学的過程が、糖代謝、コレステロール代謝、脂質代謝、トリグリセリド代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成または任意の骨関連活性を含み、前記対象に構造(III)を有する化合物を前記病態生理学的過程を調節するのに有効な量で投与することを含む方法
【化7】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項47】
R1、R2、R3、R4、R6、R6、R7、R8が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R3およびR4、R2およびR3、R5およびR6、R6およびR7ならびにR7およびR8が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記病態生理学的過程活性が、骨関連活性である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記骨関連活性が、骨形成、骨リモデリング、骨芽細胞分化、破骨細胞分化、骨芽細胞生存、破骨細胞生存、骨芽細胞活性または破骨細胞活性を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記腫瘍形成が、卵巣腫瘍形成、前立腺腫瘍形成または結腸腫瘍形成を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記投与が、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に対するタンパク質の結合を調節する、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記結合の部位が、LRP5またはLRP6のYWTD反復領域である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記タンパク質が、Dkkファミリーのメンバーである、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記タンパク質が、Wntファミリーのメンバーである、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記タンパク質が、スクレロスチンである、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記タンパク質が、PA受容体である、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記PA受容体が、TEM8またはCMG2を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常の治療を必要とする対象における骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療する方法であって、前記対象に構造(III)を有する化合物を前記対象における骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するのに有効な量で投与することを含む方法
【化8】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項59】
R1、R2、R3、R4、R6、R6、R7、R8が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R3およびR4、R2およびR3、R5およびR6、R6およびR7ならびにR7およびR8が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患の治療を必要とする対象における糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患を治療するための方法であって、前記対象に構造(III)を有する化合物を前記糖尿病、高血糖症または代謝疾患を治療するのに有効な量で投与することを含む方法
【化9】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項61】
R1、R2、R3、R4、R6、R6、R7、R8が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R3およびR4、R2およびR3、R5およびR6、R6およびR7ならびにR7およびR8が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
病態生理学的過程の調節を必要とする対象における病態生理学的過程を調節する方法であって、前記病態生理学的過程が、糖代謝、コレステロール代謝、脂質代謝、トリグリセリド代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成または任意の骨関連活性を含み、前記対象に構造(IV)を有する化合物を前記病態生理学的過程を調節するのに有効な量で投与することを含む方法
【化10】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項63】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アラルアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R2およびR3、R4およびR5、R3およびR4、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記病態生理学的活性が、骨関連活性である、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記骨関連活性が、骨形成、骨リモデリング、骨芽細胞分化、破骨細胞分化、骨芽細胞生存、破骨細胞生存、骨芽細胞活性または破骨細胞活性を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記腫瘍形成が、卵巣腫瘍形成、前立腺腫瘍形成または結腸腫瘍形成を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記投与が、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に対するタンパク質の結合を調節する、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
前記結合の部位が、LRP5のYWTD反復領域である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記タンパク質が、Dkkファミリーのメンバーである、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記タンパク質が、Wntファミリーのメンバーである、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記タンパク質が、スクレロスチンである、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
前記タンパク質が、PA受容体である、請求項67に記載の方法。
【請求項73】
前記PA受容体が、TEM8またはCMG2を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常の治療を必要とする対象における骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するための方法であって、前記対象に構造(IV)を有する化合物を前記骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するのに有効な量で投与することを含む方法。
【化11】
【請求項75】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アラルアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R2およびR3、R4およびR5、R3およびR4、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患の治療を必要とする対象における糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患を治療するための方法であって、前記対象に構造(IV)を有する化合物を前記糖尿病、高血糖症または代謝疾患を治療するのに有効な量で投与することを含む方法。
【化12】
【請求項77】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アラルアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R2およびR3、R4およびR5、R3およびR4、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
病態生理学的過程の調節を必要とする対象における病態生理学的過程を調節する方法であって、前記病態生理学的過程が、糖代謝、コレステロール代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成または任意の骨関連活性を含み、前記対象に構造(V)を有する化合物を前記病態生理学的過程を調節するのに有効な量で投与することを含む方法
【化13】
(式中、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項79】
R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR13、R13およびR14、R14およびR4、R4およびR5、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記病態生理学的活性が、骨関連活性である、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記骨関連活性が、骨形成、骨リモデリング、骨芽細胞分化、破骨細胞分化、骨芽細胞生存、破骨細胞生存、骨芽細胞活性または破骨細胞活性を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記腫瘍形成が、卵巣腫瘍形成、前立腺腫瘍形成または結腸腫瘍形成を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項83】
前記投与が、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に対するタンパク質の結合を調節する、請求項78に記載の方法。
【請求項84】
前記結合の部位が、LRP5またはLRP6のYWTD反復領域である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記タンパク質が、Dkkファミリーのメンバーである、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
前記タンパク質が、Wntファミリーのメンバーである、請求項83に記載の方法。
【請求項87】
前記タンパク質が、スクレロスチンである、請求項83に記載の方法。
【請求項88】
前記タンパク質が、PA受容体である、請求項83に記載の方法。
【請求項89】
前記PA受容体が、TEM8またはCMG2を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常の治療を必要とする対象における骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するための方法であって、前記対象に構造(V)を有する化合物を前記骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するのに有効な量で投与することを含む方法
【化14】
(式中、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項91】
R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR13、R13およびR14、R14およびR4、R4およびR5、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患の治療を必要とする対象における糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患を治療するための方法であって、前記対象に構造(V)を有する化合物を前記糖尿病、高血糖症または代謝疾患を治療するのに有効な量で投与することを含む方法
【化15】
(式中、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項93】
R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR13、R13およびR14、R14およびR4、R4およびR5、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
病態生理学的活性を調節するための組成物であって、前記病態生理学的活性が、糖代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成または任意の骨関連活性を含み、構造(I)を有する化合物を含む組成物
【化16】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11またはR12の少なくとも1つは、水素原子であり、R13は、水素原子以外の原子を含み、R1、R3、R4、R6、R8、R11またはR12の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項95】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項94に記載の組成物。
【請求項96】
R11およびR12を含むアミン基の窒素が、荷電しており、R15をさらに含み、R15は、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13について前述した通りである、請求項95に記載の組成物。
【請求項97】
骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するための組成物であって、構造(I)を有する化合物を含む組成物
【化17】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11またはR12の少なくとも1つは、水素原子であり、R13は、水素原子以外の原子を含み、R1、R3、R4、R6、R8、R11またはR12の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項98】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項97に記載の組成物。
【請求項99】
R11およびR12を含むアミン基の窒素が、荷電しており、R15をさらに含み、R15は、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13について前述した通りである、請求項98に記載の組成物。
【請求項100】
高血糖症、糖尿病または任意の代謝疾患を治療するための組成物であって、構造(I)を有する化合物を含む組成物
【化18】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11またはR12の少なくとも1つは、水素原子であり、R13は、水素原子以外の原子を含み、R1、R3、R4、R6、R8、R11またはR12の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項101】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項100に記載の組成物。
【請求項102】
R11およびR12を含むアミン基の窒素が、荷電しており、R15をさらに含み、R15は、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13について前述した通りである、請求項101に記載の組成物。
【請求項103】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11、R12およびR15が、CH3基である、請求項94、97または100のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項104】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R15が、エチル基である、請求項94、97または100のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項105】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R15が、プロピル基である、請求項94、97または100のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項106】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R15が、CH2C(CH3)3を含む、請求項94、97または100のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項107】
病態生理学的活性を調節するための組成物であって、前記病態生理学的活性が、糖代謝、コレステロール代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成または任意の骨関連活性を含み、構造(II)を有する化合物を含む組成物
【化19】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項108】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項107に記載の組成物。
【請求項109】
骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するための組成物であって、構造(II)を有する化合物を含む組成物
【化20】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項110】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項109に記載の組成物。
【請求項111】
糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患を治療するための組成物であって、構造(II)を有する化合物を含む組成物
【化21】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項112】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項111に記載の組成物。
【請求項113】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11、R12およびR14が、CH3基である、請求項107、109または111のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項114】
R1、R3、R4およびR6が、Hであり、R11、R12、R13およびR14が、CH3基である、請求項107、109または111のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項115】
R1、R3、R4およびR6が、Hであり、R11、R12およびR13が、CH3基であり、R14が、C(CH3)3である、請求項107、109または111のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項116】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R14が、(CH2)2CH(CH3)2である、請求項107、109または111のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項117】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R14が、CH2CH(CH3)(CH2CH3)である、請求項107、109または111のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項118】
病態生理学的活性を調節するための組成物であって、前記病態生理学的活性が、糖代謝、コレステロール代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成または任意の骨関連活性を含み、構造(III)を有する化合物を含む組成物
【化22】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項119】
R1、R2、R3、R4、R6、R6、R7、R8が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R3およびR4、R2およびR3、R5およびR6、R6およびR7ならびにR7およびR8が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項118に記載の組成物。
【請求項120】
骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するための組成物であって、構造(III)を有する化合物を含む組成物
【化23】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項121】
R1、R2、R3、R4、R6、R6、R7、R8が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R3およびR4、R2およびR3、R5およびR6、R6およびR7ならびにR7およびR8が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項120に記載の組成物。
【請求項122】
糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患を治療するための組成物であって、構造(III)を有する化合物を含む組成物
【化24】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項123】
R1、R2、R3、R4、R6、R6、R7、R8が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R3およびR4、R2およびR3、R5およびR6、R6およびR7ならびにR7およびR8は、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項122に記載の組成物。
【請求項124】
病態生理学的活性を調節するための組成物であって、前記病態生理学的活性が、糖代謝、コレステロール代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成および骨関連活性を含み、構造(IV)を有する化合物を含む組成物
【化25】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項125】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R2およびR3、R4およびR5、R3およびR4、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項124に記載の組成物。
【請求項126】
骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するための組成物であって、構造(IV)を有する化合物を含む組成物
【化26】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項127】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R2およびR3、R4およびR5、R3およびR4、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項126に記載の組成物。
【請求項128】
糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患を治療するための組成物であって、構造(IV)を有する化合物を含む組成物
【化27】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項129】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R2およびR3、R4およびR5、R3およびR4、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項128に記載の組成物。
【請求項130】
病態生理学的活性を調節するための組成物であって、前記病態生理学的活性が、糖代謝、コレステロール代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成または任意の骨関連活性を含み、構造(V)を有する化合物を含む組成物
【化28】
(式中、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項131】
R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR13、R13およびR14、R14およびR4、R4およびR5、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項130に記載の組成物。
【請求項132】
骨疾患、骨折、骨傷害または骨異常を治療するための組成物であって、構造(V)を有する化合物を含む組成物
【化29】
(式中、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項133】
R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR13、R13およびR14、R14およびR4、R4およびR5、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項132に記載の組成物。
【請求項134】
糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患を治療するための組成物であって、構造(V)を有する化合物を含む組成物
【化30】
(式中、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項135】
R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR13、R13およびR14、R14およびR4、R4およびR5、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項134に記載の組成物。
【請求項136】
構造(VI)を有する単離された化合物
【化31】
(R15は、直鎖状または分枝状アルキル基である)。
【請求項137】
R15が、直鎖状または分枝状C1〜5アルキル基である、請求項136に記載の化合物。
【請求項138】
R15が、メチル基である、請求項136に記載の組成物。
【請求項139】
R15が、エチル基である、請求項136に記載の組成物。
【請求項140】
R15が、プロピル基である、請求項136に記載の組成物。
【請求項141】
R15が、CH2C(CH3)3である、請求項136に記載の組成物。
【請求項142】
請求項136に記載の化合物を得るための方法であって、前記化合物の形成を促進する条件下でガロシアニンとハロゲン化アルキルとを反応させることを含む方法。
【請求項143】
請求項136に記載の化合物を含む組成物。
【請求項144】
構造(VII)を有する化合物
【化32】
(式中、R13およびR14は、それぞれ独立して、Hあるいは直鎖状または分枝状アルキル基である)。
【請求項145】
R13およびR14が、独立して、Hあるいは直鎖状または分枝状のC1〜5直鎖状または分枝状アルキル基である、請求項144に記載の化合物。
【請求項146】
R13が、Hであり、R14が、CH3基である、請求項144に記載の化合物。
【請求項147】
R13およびR14が、CH3基である、請求項144に記載の化合物。
【請求項148】
R13が、CH3基であり、R14が、C(CH3)3である、請求項144に記載の化合物。
【請求項149】
R13が、Hであり、R14が、(CH2)2CH(CH3)2である、請求項144に記載の化合物。
【請求項150】
R13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R14が、CH2CH(CH3)(CH2CH3)である、請求項144に記載の化合物。
【請求項151】
請求項144に記載の化合物を得るための方法であって、
(a)ガロシアニンとCOOH基を脱離基で置き換えるための試剤とを反応させて、中間体を得ること、および
(b)工程(a)で得た化合物とアルキルアミンとを反応させて、前記化合物を得ることを含む方法。
【請求項152】
請求項144に記載の化合物を含む組成物。
【請求項153】
構造(VIII)を有する単離された化合物
【化33】
(式中、R13は、直鎖状または分枝状アルキル基あるいは置換または非置換のシクロアルキル基である)。
【請求項154】
R13が、直鎖状または分枝状C2〜4基である、請求項153に記載の単離された化合物。
【請求項155】
R13が、シクロアルキルC3〜8基である、請求項153に記載の単離された化合物。
【請求項156】
請求項153に記載の化合物を含む組成物。
【請求項157】
LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に対するタンパク質の結合を妨げる化合物を同定するための方法であって、
(a)LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に結合する化合物を同定すること、および
(b)(a)で同定された化合物が、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に対するタンパク質の結合を調節するかどうかを判定することを含む方法。
【請求項158】
前記化合物が、小分子、タンパク質ペプチド、ポリペプチド、環式分子、複素環式有機分子、核酸、脂質、荷電脂質、極性脂質、無極性脂質、糖、糖タンパク質、糖脂質、リポタンパク質、化学物質、あるいは複素環式有機分子、核酸、脂質、荷電脂質、極性脂質、無極性脂質、糖、糖タンパク質、糖脂質、リポタンパク質または化学物質を含む化合物の断片である、請求項157に記載の方法。
【請求項159】
工程(a)における前記化合物が、
(a)UNITYプログラムを使用して、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFの腔または結合部位に適合する化合物をスクリーニングすること、
(b)Flexxプログラムを使用して、前記化合物を該腔にドッキングさせること、および
(c)Cscoreプログラムを使用して、最も結合親和性の高い化合物を同定することによって同定される、請求項157に記載の方法。
【請求項160】
LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質または受容体に対するタンパク質の結合を妨げる化合物を同定するための方法であって、
(a)Wntシグナル伝達を調節する化合物を同定すること、および
(b)(a)で同定された化合物が、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に結合するかどうかを判定することを含む方法。
【請求項161】
(a)Wntシグナル伝達経路の一部である対象となるタンパク質の構造を決定する工程、
(b)前記対象となるタンパク質の変異分析を実施する工程であって、前記分析は、前記対象となるタンパク質がWnt経路に関与する第2のタンパク質と相互作用する結合腔を定める工程、
(c)化合物のライブラリーのバーチャルスクリーニングを実施して、該化合物の前記腔に対する潜在的な結合親和性を評価する工程、
(d)特定の好ましい化合物をそれらの結合親和性に基づいて同定する工程、
(e)前記好ましい化合物の存在によって引き起こされるWnt活性の変化を測定するWnt依存性生物学的アッセイで前記好ましい化合物を試験する工程、および
(f)前記生物学的アッセイに基づいて試験された前記好ましい化合物から1つ以上の化合物を選択して、組成物を形成する工程
によって選択される、組成物。
【請求項162】
前記タンパク質が、カノニカルWntシグナル経路に関与する、請求項161に記載の組成物。
【請求項163】
前記タンパク質が、非カノニカルWntシグナル経路に関与する、請求項161に記載の組成物。
【請求項164】
前記構造決定の工程が、X線結晶構造解析、前記タンパク質もしくは前記タンパク質の一部に結合されたリガンドを用いたX線結晶構造解析、NMR分光写真法、ペプチドマッピング、アラニン走査、変異分析、その構造が既知の関連タンパク質との類比、または前述したものの任意の組合せを含む、請求項161に記載の組成物。
【請求項165】
前記選択された化合物が、前記生物学的アッセイにおいてWnt活性の増加を示した、請求項161に記載の組成物。
【請求項166】
前記選択された化合物が、前記生物学的アッセイにおいてWnt活性の低下を示した、請求項161に記載の組成物。
【請求項167】
前記第2のタンパク質に対して前記好ましい化合物の親和性を測定する別のアッセイが実施される、請求項161に記載の組成物。
【請求項168】
前記ライブラリーが、バーチャルライブラリーであり、前記化合物が、前記バーチャルスクリーニング工程の後に合成される、請求項161に記載の組成物。
【請求項169】
前記化合物のライブラリーが、有機化合物、ペプチド、核酸、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項161に記載の組成物。
【請求項170】
前記ペプチドライブラリーが、ランダムペプチド、一連の置換ペプチド、前記対象となるタンパク質に結合する抗体の断片、前記第2のタンパク質の断片、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項169に記載の組成物。
【請求項171】
前記核酸が、アプタマーまたはタンパク質結合配列を含む、請求項169に記載の組成物。
【請求項172】
前記対象となるタンパク質が、Dkkファミリーのメンバー、Wntファミリーのメンバー、LRP5、LRP6、クレメン、アキシン、ディシブルド、フリズルド、GSK3、ベータ−カテニン、LEF−1またはMesdである、請求項161に記載の組成物。
【請求項173】
前記第2のタンパク質が、Dkkファミリーのメンバー、Wntファミリーのメンバー、LRP5、LRP6、クレメン、アキシン、ディシブルド、フリズルド、GSK3、ベータ−カテニン、LEF−1またはMesdである、請求項161に記載の組成物。
【請求項174】
(a)Wntシグナル伝達経路の一部である対象となるタンパク質の構造を決定する工程、
(b)前記対象となるタンパク質の変異分析を実施する工程であって、前記分析は、前記対象となるタンパク質がWnt経路に関与する第2のタンパク質と相互作用する結合腔を定める工程、
(c)化合物のライブラリーのバーチャルスクリーニングを実施して、該化合物の前記腔に対する潜在的な結合親和性を評価する工程、
(d)特定の好ましい化合物をそれらの結合親和性に基づいて同定する工程、
(e)前記好ましい化合物の存在によって引き起こされるWnt活性の変化を測定するWnt依存性生物学的アッセイで前記好ましい化合物を試験する工程、および
(f)前記生物学的アッセイに基づいて試験された前記好ましい化合物から1つ以上の化合物を選択して、組成物を形成する工程
によって選択される、組成物。
【請求項175】
前記タンパク質が、カノニカルWntシグナル経路に関与する、請求項174に記載の組成物。
【請求項176】
前記タンパク質が、非カノニカルWntシグナル経路に関与する、請求項174に記載の組成物。
【請求項177】
前記構造決定の工程が、X線結晶構造解析、前記タンパク質もしくは前記タンパク質の一部に結合されたリガンドを用いたX線結晶構造解析、NMR分光写真法、ペプチドマッピング、アラニン走査、変異分析、その構造が既知の関連タンパク質との類比、または前述したものの任意の組合せを含む、請求項174に記載の組成物。
【請求項178】
前記選択された化合物が、前記生物学的アッセイにおいてWnt活性の増加を示した、請求項174に記載の組成物。
【請求項179】
前記選択された化合物が、前記生物学的アッセイにおいてWnt活性の低下を示した、請求項174に記載の組成物。
【請求項180】
前記第2のタンパク質に対して前記好ましい化合物の親和性を測定する別のアッセイが実施される、請求項174に記載の組成物。
【請求項181】
前記ライブラリーが、バーチャルライブラリーであり、前記化合物が、前記バーチャルスクリーニング工程の後に合成される、請求項174に記載の組成物。
【請求項182】
前記化合物のライブラリーが、有機化合物、ペプチド、核酸、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項174に記載の組成物。
【請求項183】
前記ペプチドライブラリーが、ランダムペプチド、一連の置換ペプチド、前記対象となるタンパク質に結合する抗体の断片、前記第2のタンパク質の断片、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項182に記載の組成物。
【請求項184】
前記核酸が、アプタマーまたはタンパク質結合配列を含む、請求項182に記載の組成物。
【請求項185】
前記対象となるタンパク質が、Dkkファミリーのメンバー、Wntファミリーのメンバー、LRP5、LRP6、クレメン、アキシン、ディシブルド、フリズルド、GSK3、ベータ−カテニン、LEF−1またはMesdである、請求項174に記載の組成物。
【請求項186】
前記第2のタンパク質が、Dkkファミリーのメンバー、Wntファミリーのメンバー、LRP5、LRP6、クレメン、アキシン、ディシブルド、フリズルド、GSK3、ベータ−カテニン、LEF−1またはMesdである、請求項174に記載の組成物。
【請求項1】
病態生理学的過程を調節することを必要とする対象において病態生理学的過程を調節する方法であって、前記病態生理学的過程が、糖代謝、コレステロール代謝、脂質代謝、トリグリセリド代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成または任意の骨関連活性を含み、前記対象に以下の構造(I)を有する化合物を前記病態生理学的過程を調節するのに有効な量で投与することを含む方法
【化1】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項2】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R11およびR12を含むアミン基の窒素が、荷電しており、R15をさらに含み、R15は、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13について前述した通りである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記病態生理学的活性が、骨関連活性である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記骨関連活性が、骨形成、骨リモデリング、骨芽細胞分化、破骨細胞分化、骨芽細胞生存、破骨細胞生存、骨芽細胞活性または破骨細胞活性を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記腫瘍形成が、卵巣腫瘍形成、前立腺腫瘍形成または結腸腫瘍形成を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記投与が、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に対するタンパク質の結合を調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記結合の部位が、LRP5またはLRP6のYWTD反復領域である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記タンパク質が、Dkkファミリーのメンバーである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記タンパク質が、Wntファミリーのメンバーである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記タンパク質が、スクレロスチンである、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記タンパク質が、PA受容体である、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記PA受容体が、TEM8またはCMG2を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11、R12およびR15が、CH3基である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R15が、エチル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R15が、プロピル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R15が、CH2C(CH3)3を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常の治療を必要とする対象における骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するための方法であって、前記対象に構造(I)を有する化合物を前記骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するのに有効な量で投与することを含む方法
【化2】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項20】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
R11およびR12を含むアミン基の窒素が、荷電しており、R15をさらに含み、R15は、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13について前述した通りである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患の治療を必要とする対象における糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患を治療するための方法であって、前記対象に構造(I)を有する化合物を前記糖尿病、高血糖症または代謝疾患を治療するのに有効な量で投与することを含む方法
【化3】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12またはR13の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項23】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
R11およびR12を含むアミン基の窒素が、荷電しており、R15をさらに含み、R15は、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13について前述した通りである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
病態生理学的過程の調節を必要とする対象における病態生理学的過程を調節する方法であって、前記病態生理学的過程が、糖代謝、コレステロール代謝、脂質代謝、トリグリセリド代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成または任意の骨関連活性を含み、前記対象に構造(II)を有する化合物を前記病態生理学的過程を調節するのに有効な量で投与することを含む方法
【化4】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項26】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記病態生理学的活性が、骨関連活性である、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記骨関連活性が、骨形成、骨リモデリング、骨芽細胞分化、破骨細胞分化、骨芽細胞生存、破骨細胞生存、骨芽細胞活性または破骨細胞活性を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記腫瘍形成が、卵巣腫瘍形成、前立腺腫瘍形成または結腸腫瘍形成を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記投与が、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に対するタンパク質の結合を調節する、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記結合の部位が、LRP5またはLRP6のYWTD反復領域である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記タンパク質が、Dkkファミリーのメンバーである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記タンパク質が、Wntファミリーのメンバーである、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記タンパク質が、スクレロスチンである、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記タンパク質が、PA受容体である、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記PA受容体が、TEM8またはCMG2を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11、R12およびR14が、CH3基である、請求項25に記載の方法。
【請求項38】
R1、R3、R4およびR6が、Hであり、R11、R12、R13およびR14が、CH3基である、請求項25に記載の方法。
【請求項39】
R1、R3、R4およびR6が、Hであり、R11、R12およびR13が、CH3基であり、R14が、C(CH3)3である、請求項25に記載の方法。
【請求項40】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R14が、(CH2)2CH(CH3)2である、請求項25に記載の方法。
【請求項41】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R14が、CH2CH(CH3)(CH2CH3)である、請求項25に記載の方法。
【請求項42】
骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常の治療を必要とする対象における骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するための方法であって、前記対象に構造(II)を有する化合物を前記骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を調節するのに有効な量で投与することを含む方法
【化5】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項43】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患の治療を必要とする対象における糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患を治療するための方法であって、前記対象に構造(II)を有する化合物を前記糖尿病、高血糖症または代謝疾患を調節するのに有効な量で投与することを含む方法
【化6】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項45】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または換前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
病態生理学的過程の調節を必要とする対象における病態生理学的過程を調節する方法であって、前記病態生理学的過程が、糖代謝、コレステロール代謝、脂質代謝、トリグリセリド代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成または任意の骨関連活性を含み、前記対象に構造(III)を有する化合物を前記病態生理学的過程を調節するのに有効な量で投与することを含む方法
【化7】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項47】
R1、R2、R3、R4、R6、R6、R7、R8が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R3およびR4、R2およびR3、R5およびR6、R6およびR7ならびにR7およびR8が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記病態生理学的過程活性が、骨関連活性である、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記骨関連活性が、骨形成、骨リモデリング、骨芽細胞分化、破骨細胞分化、骨芽細胞生存、破骨細胞生存、骨芽細胞活性または破骨細胞活性を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記腫瘍形成が、卵巣腫瘍形成、前立腺腫瘍形成または結腸腫瘍形成を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記投与が、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に対するタンパク質の結合を調節する、請求項46に記載の方法。
【請求項52】
前記結合の部位が、LRP5またはLRP6のYWTD反復領域である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記タンパク質が、Dkkファミリーのメンバーである、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記タンパク質が、Wntファミリーのメンバーである、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記タンパク質が、スクレロスチンである、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記タンパク質が、PA受容体である、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記PA受容体が、TEM8またはCMG2を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常の治療を必要とする対象における骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療する方法であって、前記対象に構造(III)を有する化合物を前記対象における骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するのに有効な量で投与することを含む方法
【化8】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項59】
R1、R2、R3、R4、R6、R6、R7、R8が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R3およびR4、R2およびR3、R5およびR6、R6およびR7ならびにR7およびR8が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患の治療を必要とする対象における糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患を治療するための方法であって、前記対象に構造(III)を有する化合物を前記糖尿病、高血糖症または代謝疾患を治療するのに有効な量で投与することを含む方法
【化9】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項61】
R1、R2、R3、R4、R6、R6、R7、R8が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R3およびR4、R2およびR3、R5およびR6、R6およびR7ならびにR7およびR8が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
病態生理学的過程の調節を必要とする対象における病態生理学的過程を調節する方法であって、前記病態生理学的過程が、糖代謝、コレステロール代謝、脂質代謝、トリグリセリド代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成または任意の骨関連活性を含み、前記対象に構造(IV)を有する化合物を前記病態生理学的過程を調節するのに有効な量で投与することを含む方法
【化10】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項63】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アラルアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R2およびR3、R4およびR5、R3およびR4、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記病態生理学的活性が、骨関連活性である、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記骨関連活性が、骨形成、骨リモデリング、骨芽細胞分化、破骨細胞分化、骨芽細胞生存、破骨細胞生存、骨芽細胞活性または破骨細胞活性を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記腫瘍形成が、卵巣腫瘍形成、前立腺腫瘍形成または結腸腫瘍形成を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記投与が、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に対するタンパク質の結合を調節する、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
前記結合の部位が、LRP5のYWTD反復領域である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記タンパク質が、Dkkファミリーのメンバーである、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記タンパク質が、Wntファミリーのメンバーである、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記タンパク質が、スクレロスチンである、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
前記タンパク質が、PA受容体である、請求項67に記載の方法。
【請求項73】
前記PA受容体が、TEM8またはCMG2を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常の治療を必要とする対象における骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するための方法であって、前記対象に構造(IV)を有する化合物を前記骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するのに有効な量で投与することを含む方法。
【化11】
【請求項75】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アラルアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R2およびR3、R4およびR5、R3およびR4、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患の治療を必要とする対象における糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患を治療するための方法であって、前記対象に構造(IV)を有する化合物を前記糖尿病、高血糖症または代謝疾患を治療するのに有効な量で投与することを含む方法。
【化12】
【請求項77】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アラルアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R2およびR3、R4およびR5、R3およびR4、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
病態生理学的過程の調節を必要とする対象における病態生理学的過程を調節する方法であって、前記病態生理学的過程が、糖代謝、コレステロール代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成または任意の骨関連活性を含み、前記対象に構造(V)を有する化合物を前記病態生理学的過程を調節するのに有効な量で投与することを含む方法
【化13】
(式中、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項79】
R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR13、R13およびR14、R14およびR4、R4およびR5、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記病態生理学的活性が、骨関連活性である、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記骨関連活性が、骨形成、骨リモデリング、骨芽細胞分化、破骨細胞分化、骨芽細胞生存、破骨細胞生存、骨芽細胞活性または破骨細胞活性を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記腫瘍形成が、卵巣腫瘍形成、前立腺腫瘍形成または結腸腫瘍形成を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項83】
前記投与が、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に対するタンパク質の結合を調節する、請求項78に記載の方法。
【請求項84】
前記結合の部位が、LRP5またはLRP6のYWTD反復領域である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記タンパク質が、Dkkファミリーのメンバーである、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
前記タンパク質が、Wntファミリーのメンバーである、請求項83に記載の方法。
【請求項87】
前記タンパク質が、スクレロスチンである、請求項83に記載の方法。
【請求項88】
前記タンパク質が、PA受容体である、請求項83に記載の方法。
【請求項89】
前記PA受容体が、TEM8またはCMG2を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常の治療を必要とする対象における骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するための方法であって、前記対象に構造(V)を有する化合物を前記骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するのに有効な量で投与することを含む方法
【化14】
(式中、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項91】
R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR13、R13およびR14、R14およびR4、R4およびR5、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患の治療を必要とする対象における糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患を治療するための方法であって、前記対象に構造(V)を有する化合物を前記糖尿病、高血糖症または代謝疾患を治療するのに有効な量で投与することを含む方法
【化15】
(式中、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項93】
R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR13、R13およびR14、R14およびR4、R4およびR5、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
病態生理学的活性を調節するための組成物であって、前記病態生理学的活性が、糖代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成または任意の骨関連活性を含み、構造(I)を有する化合物を含む組成物
【化16】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11またはR12の少なくとも1つは、水素原子であり、R13は、水素原子以外の原子を含み、R1、R3、R4、R6、R8、R11またはR12の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項95】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項94に記載の組成物。
【請求項96】
R11およびR12を含むアミン基の窒素が、荷電しており、R15をさらに含み、R15は、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13について前述した通りである、請求項95に記載の組成物。
【請求項97】
骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するための組成物であって、構造(I)を有する化合物を含む組成物
【化17】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11またはR12の少なくとも1つは、水素原子であり、R13は、水素原子以外の原子を含み、R1、R3、R4、R6、R8、R11またはR12の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項98】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項97に記載の組成物。
【請求項99】
R11およびR12を含むアミン基の窒素が、荷電しており、R15をさらに含み、R15は、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13について前述した通りである、請求項98に記載の組成物。
【請求項100】
高血糖症、糖尿病または任意の代謝疾患を治療するための組成物であって、構造(I)を有する化合物を含む組成物
【化18】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11またはR12の少なくとも1つは、水素原子であり、R13は、水素原子以外の原子を含み、R1、R3、R4、R6、R8、R11またはR12の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項101】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項100に記載の組成物。
【請求項102】
R11およびR12を含むアミン基の窒素が、荷電しており、R15をさらに含み、R15は、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12およびR13について前述した通りである、請求項101に記載の組成物。
【請求項103】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11、R12およびR15が、CH3基である、請求項94、97または100のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項104】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R15が、エチル基である、請求項94、97または100のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項105】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R15が、プロピル基である、請求項94、97または100のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項106】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R15が、CH2C(CH3)3を含む、請求項94、97または100のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項107】
病態生理学的活性を調節するための組成物であって、前記病態生理学的活性が、糖代謝、コレステロール代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成または任意の骨関連活性を含み、構造(II)を有する化合物を含む組成物
【化19】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項108】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項107に記載の組成物。
【請求項109】
骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するための組成物であって、構造(II)を有する化合物を含む組成物
【化20】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項110】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項109に記載の組成物。
【請求項111】
糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患を治療するための組成物であって、構造(II)を有する化合物を含む組成物
【化21】
(式中、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項112】
R1、R3、R4、R6、R8、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR3、R3およびR4、R13およびR6が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項111に記載の組成物。
【請求項113】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11、R12およびR14が、CH3基である、請求項107、109または111のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項114】
R1、R3、R4およびR6が、Hであり、R11、R12、R13およびR14が、CH3基である、請求項107、109または111のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項115】
R1、R3、R4およびR6が、Hであり、R11、R12およびR13が、CH3基であり、R14が、C(CH3)3である、請求項107、109または111のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項116】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R14が、(CH2)2CH(CH3)2である、請求項107、109または111のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項117】
R1、R3、R4、R6およびR13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R14が、CH2CH(CH3)(CH2CH3)である、請求項107、109または111のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項118】
病態生理学的活性を調節するための組成物であって、前記病態生理学的活性が、糖代謝、コレステロール代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成または任意の骨関連活性を含み、構造(III)を有する化合物を含む組成物
【化22】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項119】
R1、R2、R3、R4、R6、R6、R7、R8が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R3およびR4、R2およびR3、R5およびR6、R6およびR7ならびにR7およびR8が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項118に記載の組成物。
【請求項120】
骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するための組成物であって、構造(III)を有する化合物を含む組成物
【化23】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項121】
R1、R2、R3、R4、R6、R6、R7、R8が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R3およびR4、R2およびR3、R5およびR6、R6およびR7ならびにR7およびR8が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項120に記載の組成物。
【請求項122】
糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患を治療するための組成物であって、構造(III)を有する化合物を含む組成物
【化24】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7またはR8の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項123】
R1、R2、R3、R4、R6、R6、R7、R8が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R3およびR4、R2およびR3、R5およびR6、R6およびR7ならびにR7およびR8は、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項122に記載の組成物。
【請求項124】
病態生理学的活性を調節するための組成物であって、前記病態生理学的活性が、糖代謝、コレステロール代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成および骨関連活性を含み、構造(IV)を有する化合物を含む組成物
【化25】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項125】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R2およびR3、R4およびR5、R3およびR4、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項124に記載の組成物。
【請求項126】
骨折、骨疾患、骨傷害または骨異常を治療するための組成物であって、構造(IV)を有する化合物を含む組成物
【化26】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項127】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R2およびR3、R4およびR5、R3およびR4、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項126に記載の組成物。
【請求項128】
糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患を治療するための組成物であって、構造(IV)を有する化合物を含む組成物
【化27】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項129】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9またはR10が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR2、R2およびR3、R4およびR5、R3およびR4、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項128に記載の組成物。
【請求項130】
病態生理学的活性を調節するための組成物であって、前記病態生理学的活性が、糖代謝、コレステロール代謝、脂質生成、腫瘍形成、神経形成または任意の骨関連活性を含み、構造(V)を有する化合物を含む組成物
【化28】
(式中、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項131】
R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR13、R13およびR14、R14およびR4、R4およびR5、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項130に記載の組成物。
【請求項132】
骨疾患、骨折、骨傷害または骨異常を治療するための組成物であって、構造(V)を有する化合物を含む組成物
【化29】
(式中、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項133】
R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR13、R13およびR14、R14およびR4、R4およびR5、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項132に記載の組成物。
【請求項134】
糖尿病、高血糖症または任意の代謝疾患を治療するための組成物であって、構造(V)を有する化合物を含む組成物
【化30】
(式中、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子であり、R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13またはR14の少なくとも1つは、水素原子以外の原子を含む)。
【請求項135】
R1、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13およびR14が、独立して、水素、酸素、ヒドロキシ、ハロゲン、直鎖状または分枝状(C1〜C16)アルキル基、直鎖状または分枝状(C1〜C16)置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、複素環式基、置換複素環式基、アリールアルキル基、置換アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、置換ヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アルケン基、置換アルケン基、アシル基、アミン基、アミド基、硝酸塩、硝酸エステル、カルボキシル基、カルボキシルエステル、硫化物、スルホキシド、スルホン酸塩、スルホン酸エステル、スルホン、スルホンアミド、リン酸塩、リン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスホン酸エステル、ホスファミド、ホスホラミド、チオリン酸塩、チオリン酸エステル、チオホスホン酸塩あるいはチオホスホン酸エステルを含み、R1およびR11、R11およびR12、R12およびR13、R13およびR14、R14およびR4、R4およびR5、R6およびR7、R7およびR8、R8およびR9ならびにR9およびR10が、独立して、互いに縮合して、1つ以上の環または前述したものの任意の組合せを形成することができる、請求項134に記載の組成物。
【請求項136】
構造(VI)を有する単離された化合物
【化31】
(R15は、直鎖状または分枝状アルキル基である)。
【請求項137】
R15が、直鎖状または分枝状C1〜5アルキル基である、請求項136に記載の化合物。
【請求項138】
R15が、メチル基である、請求項136に記載の組成物。
【請求項139】
R15が、エチル基である、請求項136に記載の組成物。
【請求項140】
R15が、プロピル基である、請求項136に記載の組成物。
【請求項141】
R15が、CH2C(CH3)3である、請求項136に記載の組成物。
【請求項142】
請求項136に記載の化合物を得るための方法であって、前記化合物の形成を促進する条件下でガロシアニンとハロゲン化アルキルとを反応させることを含む方法。
【請求項143】
請求項136に記載の化合物を含む組成物。
【請求項144】
構造(VII)を有する化合物
【化32】
(式中、R13およびR14は、それぞれ独立して、Hあるいは直鎖状または分枝状アルキル基である)。
【請求項145】
R13およびR14が、独立して、Hあるいは直鎖状または分枝状のC1〜5直鎖状または分枝状アルキル基である、請求項144に記載の化合物。
【請求項146】
R13が、Hであり、R14が、CH3基である、請求項144に記載の化合物。
【請求項147】
R13およびR14が、CH3基である、請求項144に記載の化合物。
【請求項148】
R13が、CH3基であり、R14が、C(CH3)3である、請求項144に記載の化合物。
【請求項149】
R13が、Hであり、R14が、(CH2)2CH(CH3)2である、請求項144に記載の化合物。
【請求項150】
R13が、Hであり、R11およびR12が、CH3基であり、R14が、CH2CH(CH3)(CH2CH3)である、請求項144に記載の化合物。
【請求項151】
請求項144に記載の化合物を得るための方法であって、
(a)ガロシアニンとCOOH基を脱離基で置き換えるための試剤とを反応させて、中間体を得ること、および
(b)工程(a)で得た化合物とアルキルアミンとを反応させて、前記化合物を得ることを含む方法。
【請求項152】
請求項144に記載の化合物を含む組成物。
【請求項153】
構造(VIII)を有する単離された化合物
【化33】
(式中、R13は、直鎖状または分枝状アルキル基あるいは置換または非置換のシクロアルキル基である)。
【請求項154】
R13が、直鎖状または分枝状C2〜4基である、請求項153に記載の単離された化合物。
【請求項155】
R13が、シクロアルキルC3〜8基である、請求項153に記載の単離された化合物。
【請求項156】
請求項153に記載の化合物を含む組成物。
【請求項157】
LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に対するタンパク質の結合を妨げる化合物を同定するための方法であって、
(a)LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に結合する化合物を同定すること、および
(b)(a)で同定された化合物が、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に対するタンパク質の結合を調節するかどうかを判定することを含む方法。
【請求項158】
前記化合物が、小分子、タンパク質ペプチド、ポリペプチド、環式分子、複素環式有機分子、核酸、脂質、荷電脂質、極性脂質、無極性脂質、糖、糖タンパク質、糖脂質、リポタンパク質、化学物質、あるいは複素環式有機分子、核酸、脂質、荷電脂質、極性脂質、無極性脂質、糖、糖タンパク質、糖脂質、リポタンパク質または化学物質を含む化合物の断片である、請求項157に記載の方法。
【請求項159】
工程(a)における前記化合物が、
(a)UNITYプログラムを使用して、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFの腔または結合部位に適合する化合物をスクリーニングすること、
(b)Flexxプログラムを使用して、前記化合物を該腔にドッキングさせること、および
(c)Cscoreプログラムを使用して、最も結合親和性の高い化合物を同定することによって同定される、請求項157に記載の方法。
【請求項160】
LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質または受容体に対するタンパク質の結合を妨げる化合物を同定するための方法であって、
(a)Wntシグナル伝達を調節する化合物を同定すること、および
(b)(a)で同定された化合物が、LRP5、LRP6、Wnt、Dkk、フリズルド、ディシブルド、ベータ−カテニンまたはLEF−1/TCFタンパク質に結合するかどうかを判定することを含む方法。
【請求項161】
(a)Wntシグナル伝達経路の一部である対象となるタンパク質の構造を決定する工程、
(b)前記対象となるタンパク質の変異分析を実施する工程であって、前記分析は、前記対象となるタンパク質がWnt経路に関与する第2のタンパク質と相互作用する結合腔を定める工程、
(c)化合物のライブラリーのバーチャルスクリーニングを実施して、該化合物の前記腔に対する潜在的な結合親和性を評価する工程、
(d)特定の好ましい化合物をそれらの結合親和性に基づいて同定する工程、
(e)前記好ましい化合物の存在によって引き起こされるWnt活性の変化を測定するWnt依存性生物学的アッセイで前記好ましい化合物を試験する工程、および
(f)前記生物学的アッセイに基づいて試験された前記好ましい化合物から1つ以上の化合物を選択して、組成物を形成する工程
によって選択される、組成物。
【請求項162】
前記タンパク質が、カノニカルWntシグナル経路に関与する、請求項161に記載の組成物。
【請求項163】
前記タンパク質が、非カノニカルWntシグナル経路に関与する、請求項161に記載の組成物。
【請求項164】
前記構造決定の工程が、X線結晶構造解析、前記タンパク質もしくは前記タンパク質の一部に結合されたリガンドを用いたX線結晶構造解析、NMR分光写真法、ペプチドマッピング、アラニン走査、変異分析、その構造が既知の関連タンパク質との類比、または前述したものの任意の組合せを含む、請求項161に記載の組成物。
【請求項165】
前記選択された化合物が、前記生物学的アッセイにおいてWnt活性の増加を示した、請求項161に記載の組成物。
【請求項166】
前記選択された化合物が、前記生物学的アッセイにおいてWnt活性の低下を示した、請求項161に記載の組成物。
【請求項167】
前記第2のタンパク質に対して前記好ましい化合物の親和性を測定する別のアッセイが実施される、請求項161に記載の組成物。
【請求項168】
前記ライブラリーが、バーチャルライブラリーであり、前記化合物が、前記バーチャルスクリーニング工程の後に合成される、請求項161に記載の組成物。
【請求項169】
前記化合物のライブラリーが、有機化合物、ペプチド、核酸、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項161に記載の組成物。
【請求項170】
前記ペプチドライブラリーが、ランダムペプチド、一連の置換ペプチド、前記対象となるタンパク質に結合する抗体の断片、前記第2のタンパク質の断片、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項169に記載の組成物。
【請求項171】
前記核酸が、アプタマーまたはタンパク質結合配列を含む、請求項169に記載の組成物。
【請求項172】
前記対象となるタンパク質が、Dkkファミリーのメンバー、Wntファミリーのメンバー、LRP5、LRP6、クレメン、アキシン、ディシブルド、フリズルド、GSK3、ベータ−カテニン、LEF−1またはMesdである、請求項161に記載の組成物。
【請求項173】
前記第2のタンパク質が、Dkkファミリーのメンバー、Wntファミリーのメンバー、LRP5、LRP6、クレメン、アキシン、ディシブルド、フリズルド、GSK3、ベータ−カテニン、LEF−1またはMesdである、請求項161に記載の組成物。
【請求項174】
(a)Wntシグナル伝達経路の一部である対象となるタンパク質の構造を決定する工程、
(b)前記対象となるタンパク質の変異分析を実施する工程であって、前記分析は、前記対象となるタンパク質がWnt経路に関与する第2のタンパク質と相互作用する結合腔を定める工程、
(c)化合物のライブラリーのバーチャルスクリーニングを実施して、該化合物の前記腔に対する潜在的な結合親和性を評価する工程、
(d)特定の好ましい化合物をそれらの結合親和性に基づいて同定する工程、
(e)前記好ましい化合物の存在によって引き起こされるWnt活性の変化を測定するWnt依存性生物学的アッセイで前記好ましい化合物を試験する工程、および
(f)前記生物学的アッセイに基づいて試験された前記好ましい化合物から1つ以上の化合物を選択して、組成物を形成する工程
によって選択される、組成物。
【請求項175】
前記タンパク質が、カノニカルWntシグナル経路に関与する、請求項174に記載の組成物。
【請求項176】
前記タンパク質が、非カノニカルWntシグナル経路に関与する、請求項174に記載の組成物。
【請求項177】
前記構造決定の工程が、X線結晶構造解析、前記タンパク質もしくは前記タンパク質の一部に結合されたリガンドを用いたX線結晶構造解析、NMR分光写真法、ペプチドマッピング、アラニン走査、変異分析、その構造が既知の関連タンパク質との類比、または前述したものの任意の組合せを含む、請求項174に記載の組成物。
【請求項178】
前記選択された化合物が、前記生物学的アッセイにおいてWnt活性の増加を示した、請求項174に記載の組成物。
【請求項179】
前記選択された化合物が、前記生物学的アッセイにおいてWnt活性の低下を示した、請求項174に記載の組成物。
【請求項180】
前記第2のタンパク質に対して前記好ましい化合物の親和性を測定する別のアッセイが実施される、請求項174に記載の組成物。
【請求項181】
前記ライブラリーが、バーチャルライブラリーであり、前記化合物が、前記バーチャルスクリーニング工程の後に合成される、請求項174に記載の組成物。
【請求項182】
前記化合物のライブラリーが、有機化合物、ペプチド、核酸、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項174に記載の組成物。
【請求項183】
前記ペプチドライブラリーが、ランダムペプチド、一連の置換ペプチド、前記対象となるタンパク質に結合する抗体の断片、前記第2のタンパク質の断片、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項182に記載の組成物。
【請求項184】
前記核酸が、アプタマーまたはタンパク質結合配列を含む、請求項182に記載の組成物。
【請求項185】
前記対象となるタンパク質が、Dkkファミリーのメンバー、Wntファミリーのメンバー、LRP5、LRP6、クレメン、アキシン、ディシブルド、フリズルド、GSK3、ベータ−カテニン、LEF−1またはMesdである、請求項174に記載の組成物。
【請求項186】
前記第2のタンパク質が、Dkkファミリーのメンバー、Wntファミリーのメンバー、LRP5、LRP6、クレメン、アキシン、ディシブルド、フリズルド、GSK3、ベータ−カテニン、LEF−1またはMesdである、請求項174に記載の組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
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【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公表番号】特表2010−537950(P2010−537950A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511151(P2010−511151)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/018928
【国際公開番号】WO2009/035430
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(500334070)エンゾー セラピューティクス, インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】Enzo Therapeutics, Inc.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/018928
【国際公開番号】WO2009/035430
【国際公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(500334070)エンゾー セラピューティクス, インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】Enzo Therapeutics, Inc.
【Fターム(参考)】
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