説明

高アルコール量泡剤

アルコールと少なくとも1種の水溶性ポリマーとを有する発泡性水性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は比較的高濃度のアルコールを含む水性泡剤に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
パーソナルケア用途において、単純なアルコール(C1−C6),例えばエタノールおよびイソプロパノールは有効な殺菌剤として公知である。しかしこのようなアルコールは、皮膚に直接適用する場合急速に蒸発し、よってこれらの有効性が低下する。送達賦形剤として泡剤を用いてより長い接触時間を与える試み(すなわち手の殺菌剤として用いるために)がなされてきたが、アルコールは泡構造を崩壊させる。事実、単純なアルコールの濃度40%超では、従来の発泡界面活性剤は泡を形成できない。より複雑な抗菌性の泡剤が存在するが、比較的高濃度のアルコールを有する発泡性組成物の市場には満たされていないニーズがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
要約
一態様において、本発明は、50質量%超、好ましくは60質量%超のアルコール、および水溶性ポリマーを有する発泡性水性組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0004】
詳細な説明
一態様において、本発明は、50質量%超のアルコール、および水溶性ポリマーを有する発泡性水性組成物を提供する。特記がない限り、全てのパーセント%は組成物の総質量基準の質量単位である。
【0005】
「アルコール」は、美容上許容できるC1−C6アルコールを意味する。一態様において、アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、およびn−ヘキサノールのうち少なくとも1種である。一態様において、アルコールはアルコール類の混合物である。一態様において、アルコールは美容上許容可能である。「美容上許容可能」とは、パーソナルケア組成物において典型的に用いられる含有成分を意味し、パーソナルケア組成物中に典型的に見出される量で存在する場合の有害、皮膚刺激または不快な臭気の物質が本発明の部分として意図されないことを強調することを意図する。好ましい態様において、アルコールは、イソプロパノールまたはエタノールのうち少なくとも1種である。最も好ましい態様において、アルコールはエタノールである。
【0006】
一態様において、組成物は、60質量%超のアルコールを含む。一態様において、組成物は約65質量%のアルコールを含む。別の態様において、組成物は、65質量%超のアルコールを含む。アルコールは、約50質量%〜約90質量%、より好ましくは約55質量%〜約80質量%、および最も好ましくは約60質量%〜約70質量%で存在する。
【0007】
一態様において、泡剤はアルコール、水、および水溶性ポリマーから形成できる。他の態様において、組成物は界面活性剤を更に含む。界面活性剤は、カチオン性、アニオン性、ノニオン性、または両性であることができる。一態様において、界面活性剤は、約0.1〜約5質量%の量で存在する。
【0008】
一態様において、界面活性剤はフッ素化界面活性剤である。好ましい態様において、フッ素化界面活性剤はエトキシル化ノニオン性フルオロ界面活性剤である。1つのこのような好ましい界面活性剤は、ZONYL FSフルオロ界面活性剤(DuPontより)である。一態様において、フッ素化界面活性剤は、約0.01〜約5質量%、好ましくは約1.0〜約2.0質量%の量で存在する。
【0009】
一態様において、界面活性剤はシリコーン界面活性剤である。一態様において、界面活性剤はベタインである。一態様において、界面活性剤はミリスチン酸ナトリウムである。一態様において、界面活性剤はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。1つの好ましい界面活性剤はコカミドプロピルベタインである。
【0010】
界面活性剤をフッ素化界面活性剤に加えて使用できる。一態様において、追加の界面活性剤は約0.1〜約5.0質量%、好ましくは約4.0質量%の量で存在する。
【0011】
本発明の組成物における水溶性ポリマーは、アラビアガム、キサンタンガム、カラヤガム、トラガカントゴム、ガティ(ghatti)ゴム、グアーガム、滲出ゴム、海藻ゴム、種子ゴム、微生物ゴム、カラギナン、デキストラン、ゼラチン、アルギネート、ペクチン、スターチ、多糖、エチレンイミンのホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸、アクリルアミド、ビニルアルコール、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ビニルオキサゾゾリドン、ビニルメチルオキサゾリドン、エチレンスルホン酸、ビニルアミン、ビニルピリジン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、4級アミン置換ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、およびポリアルキレングリコールのうちの1種以上であることができる。一態様において、水溶性ポリマーは美容上許容可能である。一態様において、水溶性ポリマーはスターチまたはセルロース系ポリマー,例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよび4級化セルロース誘導体である。
【0012】
好ましい態様において、水溶性ポリマーはカチオン変性ヒドロキシエチルセルロースである。1つのこのような市販で入手可能なカチオン変性ヒドロキシエチルセルロースは、UCAR JR群(The Dow Chemical Companyより)であり、CTFA辞典において、トリメチルアンモニウム基で置換されたエポキシド(特にエピクロロヒドリン)と反応したヒドロキシエチルセルロースの4級アンモニウム化合物,窒素%=1.5〜2.2として定義されている。特に好ましいのはUCAR JR 125カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(The Dow Chemical Companyより)である。
【0013】
一態様において、水溶性ポリマーは、約0.01〜約3質量%の量、好ましくは約0.2〜約2質量%の量で存在する。
【0014】
幾つかの態様において、本発明の組成物の粘度は250cPs未満である。本発明の幾つかの態様において、組成物の粘度は50cPs未満である。
【0015】
他の任意の美容上許容可能な含有成分が、本発明のパーソナルケア組成物のために意図される。
【0016】
色素としては、水溶性色素、例えば硫酸銅、硫酸鉄、水溶性スルホポリエステル、ローダミン、天然色素,例えばカロテンおよびビート根液、メチレンブルー、カラメル、タートラジンのジナトリウム塩およびフスチン(fuschin)のジナトリウム塩、ならびにこれらの混合物が挙げられる。脂溶性色素もまた任意に使用できる。
【0017】
香料としては、心地良い香りを与える任意の成分が挙げられる。香料は一般的にアルデヒドまたはケトンであり、そしてしばしば天然物質の抽出によって得られるかまたは人工的に製造される油である。しばしば、香料は補助物質,例えば固定剤、増量剤、安定剤および溶媒を伴う。
【0018】
殺生物剤としては、抗菌剤、殺菌剤、防カビ剤、殺藻剤、殺カビ剤、消毒剤、防腐剤および殺虫剤が挙げられる。本発明の組成物は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼルトニウム、フェノール、およびトリクロサンから選択される殺生物剤を更に含むことができる。
【0019】
このような含有成分によって与えられる所望の特性を実現するために有効な任意の含有成分の量は当業者によって容易に決定できる。
【0020】
本発明は、より高いアルコール濃度レベルで水性溶液中の泡を形成する新規な方法を提供する。水性組成物中に水溶性ポリマーが存在する場合、アルコール含有組成物を発泡性に形成できることが見出される。多くの公知の手段、例えばアプリケーター等を利用して、特に手の殺菌剤の分野において水性組成物から泡を形成できる。
【0021】
このような殺菌剤製品において、組成物の粘度は通常250cPs未満であり、時には50cPs未満である。アプリケーターを介して組成物を皮膚に泡剤として適用できる。好ましい態様において、泡剤は少なくとも60質量%のエタノール、イソプロパノールまたはこれらの混合物を有する。本発明の組成物は、高濃度,すなわち少なくとも60質量%のアルコールを含み、泡は急速に乾燥することなく皮膚上に長時間留まることができるため、皮膚上のバクテリアおよび細菌を殺すという意図される目的を実現できる。本発明の組成物は、皮膚に適用された時点で薄いコーティングを形成する傾向も有する。この効果はアルコールの蒸発または乾燥を更に防ぐ。
【0022】
本発明の組成物は、医療分野における外科前消毒、皮膚の保護および洗浄剤、ペットのノーウォッシュ消毒洗剤、多目的泡殺菌洗剤、浴室泡殺菌洗剤、採鉱浮選(mining floatation)、他の一般的な洗浄および採鉱回収のための発泡アルコールの利用に使用することもできる。
【0023】
本発明は、殺菌発泡カーペット洗剤としての用途を見出すこともできる。スプレー技術での従来のカーペット洗浄は、カーペットを洗浄するためにより多くの体積の洗剤およびプロセス時間を必要とする。液体が、表面のみを湿潤させるよりもむしろカーペット裏張り内に染み込むためである。カーペット上の湿気が長引くと、カビおよびバクテリアの成長の原因になる場合がある。しかし、従来のスプレー技術と比べて、泡剤はポリマーバインダーの液体表面積および体積を増大させるため、該用途にはより少ない洗浄活性含有成分を用いる。
【0024】

以下の例は、例示の目的のみであって本発明の範囲の限定を意図しない。
【0025】
例1
本発明に係る例示の発泡性パーソナルケア組成物は、表1に示す成分を含む:
【0026】
【表1】

【0027】
表1で与えられる全ての数値は質量%である。
【0028】
UCARE JR 125カチオン性ヒドロキシエチルセルロースをエタノール中に分散させ、次いで水を添加して水和する。カチオン性ヒドロキシエチルセルロースを完全に溶解させた後、フルオロ界面活性剤、続いてコカミドプロピルベタインを添加する。
【0029】
例2(比較)
比較組成物は、表2に示す成分を含む:
【0030】
【表2】

【0031】
表1に示す全ての数値は質量%である。
【0032】
「フルオロ界面活性剤」「カチオン性ヒドロキシエチルセルロース」および「コカミドプロピルベタイン」は上の通りである。
【0033】
例3
本発明および比較の組成物は、例1および2において記載したものと実質的に同様の成分およびプロトコルを用いて調製した。6試料の各々を、従来のアプリケーターを備えるボトル内に入れた。比較バッチAおよびBに関し、アプリケーターを駆動させて水性組成物をボトル外にポンプ送りした場合に泡は観察されなかった。これに対し、本発明のバッチ1〜4に関しては濃厚クリーム状の泡が観察された。
【0034】
例4
本発明の組成物は、例1において記載したものと実質的に同様の成分およびプロトコルを用いて調製した。バッチ1〜4を、これらの粘度について試験した。
【0035】
粘度は、コーンおよびプレートの粘度計を用い、まず温度浴を25℃に設定し;そして次いで試料カップが平衡に到達するまで待って測定する。次いでコーンスピンドルCP−40を装置上に置く。次いで0.5ミリリットルの試料をカップ内の中央に置く。次いでカップを粘度計に接続し、そして試料を設定温度に到達させる(典型的には最大15分)。次いでモーターを始動させ、その速度を、トルク読みが10%から100%の間になるまで調整する。測定値が定常状態に到達した時点で、トルク%およびセンチポイズ(cP)の両者での粘度読みを記録できる。実質的にこの手順を用い、測定された粘度は:バッチ1=4.9cPs,バッチ2=4.7cPs,バッチ3=38cPs,およびバッチ4=207cPsであった。
【0036】
本発明は本明細書に具体的に開示および例示する態様に限定されないことが理解される。発明の種々の変更は当業者に明らかであろう。このような変化および変更は、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく行なうことができる。
【0037】
更に、各々の記載した範囲は、範囲の全ての組合せおよび副次の組合せ、更にこれに含まれる具体的な数を含む。加えて、本明細書において引用または記載する各特許、特許出願および刊行物の開示は参照によりその全部を本明細書に組入れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
50質量%超のアルコールと水溶性ポリマーとを含む、発泡性水性組成物。
【請求項2】
界面活性剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
界面活性剤がフッ素化界面活性剤である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
界面活性剤がエトキシル化ノニオン性フルオロ界面活性剤である、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
界面活性剤が約0.01〜約5質量%の量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
フッ素化界面活性剤が約1.0〜約2.0質量%の量で存在する、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項7】
アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤またはシリコーン界面活性剤の少なくとも1種を含む追加の界面活性剤を更に含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
追加の界面活性剤が、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、トリデセス硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、コカミドプロピルベタイン、アルカノールアミド、アルキルポリグルコシド、ジメチコン、シクロペンタシロキサン、またはアモジメチコンである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
追加の界面活性剤が約0.1〜約5.0質量%の量で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
追加の界面活性剤が約4.0質量%の量で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
アルコールが、エタノール、イソプロパノール、メタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、イソペンタノール、およびn−ヘキサノールの少なくとも1種である、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
アルコールが、エタノール、イソプロパノールまたはこれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
50質量%超のアルコールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
60質量%超のアルコールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
約65質量%のアルコールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
65質量%超のアルコールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
水溶性ポリマーが、アラビアガム、キサンタンガム、カラヤガム、トラガカントゴム、ガティゴム、グアーガム、滲出ゴム、海藻ゴム、種子ゴム、微生物ゴム、カラギナン、デキストラン、ゼラチン、アルギネート、ペクチン、スターチ、多糖、エチレンイミンのホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸、アクリルアミド、ビニルアルコール、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ビニルオキサゾゾリドン、ビニルメチルオキサゾリドン、エチレンスルホン酸、ビニルアミン、ビニルピリジン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、4級アミン置換ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、またはポリアルキレングリコールのうち少なくとも1種である、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
水溶性ポリマーがカチオン変性ヒドロキシエチルセルロースである、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
水溶性ポリマーが、約0.01〜約3質量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
水溶性ポリマーが、約0.2〜約2質量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
ヘキサデカノールを更に含む、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項22】
殺生物剤を更に含む、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項23】
水を更に含み、存在する水の量が30質量%未満である、請求項1に記載のパーソナルケア組成物。
【請求項24】
組成物の粘度が250cPs未満である、請求項1に記載の製品。
【請求項25】
フッ素化界面活性剤;
ベタイン界面活性剤;
60質量%超のC1−C6アルコール;および
カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース
を含む、手用殺菌剤。

【公表番号】特表2010−506007(P2010−506007A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531552(P2009−531552)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/080152
【国際公開番号】WO2008/067028
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【出願人】(309035981)
【出願人】(309035992)
【Fターム(参考)】