説明

高分子安定剤を含む抗菌性組成物

ヨウ化物アニオン及びチオシアナートアニオン、過ヨウ素酸及び窒素及び/又はリン含有ポリマーを含む抗菌性組成物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヨウ化物アニオン及びチオシアナートアニオン、過ヨウ素酸及び窒素及び/又はリン含有重合体を含む抗菌性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヨウ化物アニオン及びチオシアナートアニオンを、ペルオキシダーゼ、過酸化物(ペルオキシド)ドナー、D−グルコース又はオキシドリダクターゼ酵素などの他の成分と共に含む抗菌性組成物は公知である。即ち、特許文献1(WO91/11105)、特許文献2(WO95/26137)、又は特許文献3(WO00/01237)に開示されている。
【0003】
ヨウ化物アニオン及びチオシアナートアニオンを含む組成物の代替物として、公知の酸化剤及び電子受容体である過ヨウ素酸を基礎とする抗菌性組成物が知られている。例えば、特許文献4(DE−A−4301277)には、過ヨウ素酸及び/又はオルト過ヨウ素酸を、ミルクの貯蔵及び搬送用コンテナーの殺菌に使用し、その際の処理を、コンテナーの内側表面に、0.1〜5質量%の過ヨウ素酸又はオルト過ヨウ素酸の水溶液を、室温で、2〜20秒間、施すことにより行うことが記載されている。
【0004】
特許文献5(EP−A−0726357)には、アニオン性パルプ及び紙の処理流において、加水分解発酵性バクテリアによる揮発性脂肪酸の生成及び蓄積を阻害する方法が開示されている。この方法では、水素の存在がモニターされ、殺菌剤及び電子受容体の少なくとも一方が添加される。電子受容体の存在及び微生物の阻害が必要な場合には、(パラ)過ヨウ素酸ナトリウムが推薦されている。
【0005】
特許文献6(WO02/54872)には、ヨウ化物及びチオシアナートアニオンの混合物、及び過ヨウ素酸又はその塩を含む抗菌性液体組成物が開示されている。この組成物は、さらに任意に、ペルオキシダーゼ、特にラクトペルオキシダーゼを含んでいる。これらの組成物は、殺菌剤、例えばウイルス及び胞子を殺す殺菌剤又は消毒剤として使用することができる。この組成物のラクトペルオキシダーゼの機能は、組成物の品質保持期間及び長期有効性を向上させることで、特に特定の用途ではそうである。
【0006】
しかしながら、酵素は、この目的を達成する方法としては高価すぎる。さらに、場合によっては、酵素の使用は、その触媒活性のために、処方中の特定成分に損傷を与える虞がある。例えば、過酸化水素は、ペルオキシダーゼで破壊されるであろう。
【0007】
【特許文献1】WO91/11105
【特許文献2】WO95/26137
【特許文献3】WO00/01237
【特許文献4】DE−A−4301277
【特許文献5】EP−A−0726357
【特許文献6】WO02/54872
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の解決すべき課題は、ペルオキシダーゼ及びオキシドリダクターゼ酵素等の酵素を、より廉価で、損傷をほとんど与えることのない代替物と置換することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、窒素及び/又はリン基を含む合成重合体又は共重合体がこの目的を達成することが見いだされた。重合体を含まない溶液、及びこのような基を含まない重合体を含む溶液に比べて、上記重合体を用いた場合に、品質保持期間及び長期有効性が顕著に向上する。
【0010】
従って、一側面に従い、本発明は、
(1)ヨウ化物アニオン及びチオシアナートアニオンの混合物;
(2)過ヨウ素酸又はその塩;及び
(3)少なくとも下記の単位:
(a)1〜100質量%の、少なくとも1種の窒素及び/又はリン含有基を含むモノエチレン性不飽和モノマー、
(b)0〜99質量%の、少なくとも1種の酸性基を含むモノエチレン性不飽和コモノマー、
(c)0〜99質量%の、少なくとも1種の別のコモノマー、及び
(d)0〜5質量%の架橋コモノマー、
を含む少なくとも1種の重合体又は共重合体;
を含む抗菌性組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の別の態様として、このような組成物を殺菌剤(microbicide)(例、殺菌剤若しくは消毒剤、又は防腐剤)として使用する方法、及びバクテリア、イースト菌、菌類(fungi)、ウイルス、又は胞子を、これらを上記組成物と接触させることにより、殺す又は抑制する方法を挙げることができる。
【0012】
本発明に関し、特に以下の点を述べることができる:
成分(1)として、本発明の抗菌性組成物は、ヨウ化物アニオン及びチオシアナートアニオンの混合物を含んでいる。アニオンは、その塩として提供される。好適なカチオンとしては、アルカリ金属カチオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、アルカリ土類金属カチオンを挙げることができる。ヨウ化物は、HIとして提供することもできる。好ましくは、アニオンは、K塩又はNa塩として提供される。
【0013】
本発明を具体化する組成物において、ヨウ化物:チオシアナートアニオンの質量比は、好ましくは0.1:1〜50:1、さらに好ましくは0.2:1〜20:1、そして最も好ましくは1:1〜3:1である(上限、下限値も含めて)。
【0014】
成分(2)として、抗菌性組成物は、過ヨウ素酸又はその塩を含んでいる。
【0015】
過ヨウ素酸[CAS RN 10450−60−9]、時々オルト過ヨウ素酸と呼ばれ、下記の式を有する:
【0016】
【化1】

【0017】
過ヨウ素酸の塩の好適なカチオンとしては、アルカリ金属イオン(例、Li+、Na+又はK+)、アルカリ土類金属イオン(例、Mg2+又はCo2+)、アンモニウム及びアルキルアンモニウムカチオン(例、NH3+、NH22+、NHR3+及びNR4+;但し、Rは、独立して有機残基、好ましくはC1〜C10−アルキル残基、又はアリールアルキル残基を表す)を挙げることができる。
【0018】
成分(3)として、抗菌性組成物は、上記定義した重合体又は共重合体を含んでいる。
【0019】
好適な、窒素含有基を有するモノエチレン性不飽和モノマー(a)の例としては、窒素含有アクリル酸誘導体、例えばアクリルアミド、N−置換されたH−アクリルアミド、又は窒素含有アクリル酸エステル、例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート、N−ビニルアミド、例えばN−ビニルホルムアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルプロピオンアミド及びN−ビニルプロピオンアミドを挙げることができる。さらに好適なモノマーは、ラクタム環に5〜13個の炭素原子を含むN−ビニルイミダゾール及びN−ビニルラクタムである。例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルブチルロラクタム、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルバレロラクタム及びN−ビニルラウロラクタムである。
【0020】
モノマー単位は、重合後変性することもできる。N−含有基が加水分解可能な場合、その基は加水分解されるであろう。
【0021】
リン含有基を有する好適なモノマーの例としては、ビニルホスホン酸エステルを挙げることができる。
【0022】
これらのモノマー(a)の少なくとも1種が成分として使用される。即ち、得られる重合体は、単独重合体である。しかしながら、重合体は、少なくとも二種の異なるモノマー(a)、或いは少なくとも1種のモノマー(a)と少なくとも1種の別のモノマー(b)及び/又は(c)の共重合体であることが好ましい。
【0023】
2種のモノマー(a)の好ましい組合せとしては、ビニルイミダゾール及びN−ビニルピロリドンを挙げることができる。
【0024】
重合体中のモノマー(a)の量は、重合体の合計質量に対して1〜100質量%である。その量は、5〜100質量%が好ましく、さらに10〜60質量%が好ましく、そして15〜50質量%が最も好ましい。
【0025】
コモノマー(b)は、少なくとも1個の酸性基又はその誘導体(例、塩又は無水物)を含むことができる。酸性基の例としては、−COOH基、亜リン酸基、リン酸基又はスルホン酸基を挙げることができる。
【0026】
好適な成分(b)の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、又は亜リン酸モノビニルエステル、或いは亜リン酸モノアリルエステルを挙げることができる。
【0027】
好ましいモノマー(b)は、アクリル酸、メタクリル酸及びマレイン酸である。コモノマー(b)は、0〜99%の量で存在し得る。その量は、0〜95%が好ましく、さらに20〜70%が好ましく、25〜65%が最も好ましい。
【0028】
2種の異なるタイプのコモノマー(c)を使用することができる。第1の種類としては、(a)及び(b)とは異なる、即ち窒素又はリン含有基又は酸性基を含まないが、同じ重合技術で(a)及び(b)と共重合し得るモノエチレン性不飽和モノマーを挙げることができる。
【0029】
好適な例としては、オレフィン、例えばエチレン又はプロピレン、芳香族ビニルモノマー、例えばスチレン、ビニルアルコール又はそのエステル、例えば酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニル、或いはアクリル酸又はメタクリル酸のエステルを挙げることができる。
【0030】
コモノマー(c)の第2の種類は、エチレン性不飽和基を含まず、このためこのようなコモノマーは同じ重合技術で(a)及び(b)と共重合することができない。このようなコモノマー(c)の例としては、ポリエーテルの形成に好適なモノマー、特にアルキレンオキシド(例、エチレンオキシド、プロピレンオキシド又はブチレンオキシド)、又は1,ω−ジアルコール(例、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール)又は環状エーテル(例、THF)を挙げることができる。
【0031】
好ましいコモノマー(c)としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール及び1,4−ブタンジオールを挙げることができる。
【0032】
コモノマー(c)は、0〜99%、好ましくは0〜75%、さらに好ましくは20〜70%、そして最も好ましくは20〜60%の量で存在し得る。
【0033】
上記モノマーの重合体及び共重合体は、当該技術者に公知のいかなる重合技術によって作製しても良い。好ましくは、重合を、成分(a)、任意に(b)そして任意に第1の種類のモノマー(c)をフリーラジカル重合させることにより実施される。重合は、溶液、分散、懸濁、乳化又はバルクにおいて行うことができる。好適な条件は当該技術者には公知である。
【0034】
第2の種類のモノマー(c)を使用する場合、2種の異なる重合技術を使用しなければならない。まず、ポリエーテルを、上記モノマー(c)を用いて、例えばカチオン重合又は重縮合により形成する。好ましいポリエーテルはポリエチレンオキシドである。第2段階で、モノマー(a)及び任意に(b)を、ポリエーテルの存在下にフリーラジカル重合により重合させる。このような条件下で、グラフト重合体が形成する。この技術の詳細は、例えばEP−A1136254及びその中に記載された文献に開示されている。勿論、(a)及び任意のモノマー(b)の鎖、及びモノマー(c)の鎖は、当該技術者の他の公知技術により一緒に結合させることができる。
【0035】
重合体は、化合物(d)として、さらに架橋剤を含むことができる;しかしながら、過剰の架橋は避けるべきである。たとえ存在しても、架橋剤の量は、5質量%を超えない、好ましくは3質量%以下、最も好ましくは2質量%以下とすべきである。好適な架橋剤の例としては、2個以上のエチレン性不飽和基(共役でない)を有するモノマー、例えばブタンジオールジ(メタ)アクリレート、又はヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0036】
本発明で使用される重合体の特性は、当該技術者の、モノマー(a)及び任意に(b)及び/又は(c)及び/又は(d)の量及び性質の選択の仕方により影響を受け得る。水溶性重合体、又は油溶性重合体を得ることが可能である。
【0037】
本発明では、水溶性、又は少なくとも水分散性の重合体を使用することが好ましい。
【0038】
本発明の抗菌性組成物は、それ自体で使用することができ、又は別の成分溶液を組み合わせて/混合して使用することができる。成分を激しく混合した後、直接、保護すべき媒体に付与することが好ましいであろう。
【0039】
しかしながら、組成物を、ペースト、エマルジョン、溶液に処方すること、或いは固体キャリヤに付けることが好ましいはずである。
【0040】
組成物は、液体組成物であることが好ましく、また組成物が水を含んでいることも好ましい。
【0041】
水含有組成物は、好適な溶剤混合物中に全ての成分を溶解した溶液であっても良い。好ましくは、好適な溶剤混合物は、少なくとも50質量%の、さらに好ましくは少なくとも80質量%の水を含み、最も好ましくは溶剤が水のみであることである。溶剤混合物の付加成分は、水と相溶性の良い有機溶剤であろう。好適な成分の例としては、モノアルコール(例、メタノール、エタノール、1−プロパノール又は2−プロパノール)、ジアルコール(例、エチレングリコール又は1,4−ブタンジオール)、及びポリエーテルアルコール(例、ジエチレングリコール)を挙げることができる。
【0042】
組成物はまた、界面活性剤又は乳化剤を含むことができ、これにより組成物は水中油型エマルジョン又は界面活性剤型溶液となる。
【0043】
組成物は、さらなる添加剤及び助剤、例えば染料(色素)、耐食防止剤、塩、香料、消泡剤、界面活性剤、乳化剤又はキーラント(chelants)を含むこともできる。
【0044】
組成物は、他の活性物質、例えばアジピン酸、安息香酸、ビフェニル−2−オル、ブロノポール(bronopol)、次亜塩素酸カルシウム、セチルピリジウムクロリド、クロロクレゾール、クロロキシレノール、D−グルコン酸とN,N”−ビス(4−クロロフェニル)−3,12−ジイミノ−2,4,11,13−テトラアザテトラデカンジアミジン(2:1)との化合物、2,2−ジブロモ−2−シアノアセトアミド、エタノール、ホルムアミド、ギ酸、グルタルアルデヒド、ヘキサ−2,4−ジエン酸、過酸化水素、ヨウ素、1−フェノキシプロパン−2−オル及び2−フェノキシプロパノール、L−(+)−乳酸、オリゴ−(2−(2−エトキシ)エトキシエチルグアニジウムクロリド)、ペンタカリウムビス(ペルオキシモノスルファート)ビス(スルファート)、過酢酸、2−フェノキシエタノール、オルトフタルアルデヒド、6−(フタルイミド)ペルオキシヘキサン酸、ポリ(ヘキサメチレンジアミングアニジウムクロリド)、(E,E)−ヘキサ−2,4−ジエン酸カリウム、プロパン−1−オル、プロパン−2−オル、4級アンモニウム化合物{例、ベンジル−アルキルジメチルアンモニウムクロリド、[2−[[2−[(2−カルボキシエチル)(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エチル]アミノ]−2−オキシエチル]ココ(coco)アルキルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジル−C12-14−アルキルジメチルアンモニウムクロリド、ベンジル−C12-16−アルキルジメチルアンモニウムクロリド、ベンジル−C12-18−アルキルジメチルアンモニウムクロリド、C12-14−アルキル[(エチルフェニル)メチル]ジメチルアンモニウムクロリド、n−C10-16−アルキルトリメチレンジアミンとクロロ酢酸との反応生成物、ジ−C8-10−アルキルジメチルアンモニウムクロリド、ジアルキル(C8-18)ジメチルアンモニウム化合物、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジウムクロリド、グルタミン酸とN−(C12-14−アルキル)プロピレンジアミンとの反応生成物、サリチル酸、塩化銀又は他の銀塩、ナトリウム2−ビフェニラート、ナトリウムジクロロイソシアヌラート二水和物、ナトリウムジクロロ−s−トリアジントリオン、次亜塩素酸ナトリウム、ナトリウムp−クロロ−m−クレゾラート、ナトリウムトシルクロロアミド、と組合せて使用することができる。
【0045】
好ましい組合せ生成物(化合物)は、クロロクレゾール、クロロキシレノール、エタノール、ホルムアルデヒド、ギ酸、グルタルアルデヒド、過酸化水素、1−フェノキシプロパン−2−オル及び2−フェノキシプロパノール、2−フェノキシエタノール、オルトフタルアルデヒド、ポリヘキサメチレンビグアニド(biguanide)、プロパン−1−オル、プロパン−2−オル又は上述の4級アンモニウム化合物である。
【0046】
本発明を具体化する組成物は、殺菌剤、例えば防腐剤、殺菌剤、消毒剤として使用することができる。
【0047】
特に、本発明を具体化する組成物は、バクテリア、イースト菌、菌類(fungi)、ウイルス、又は胞子(例、バチルス胞子)を殺すのに特に有効である。
【0048】
付与する一般的な濃度は下記の通りである:
【0049】
【表1】

【0050】
勿論、濃縮物として、組成物を処方し、使用前にそれを希釈することも可能である。成分を、別々の濃縮物として処方しても良い。同様に、濃縮物又は成分濃縮物を、上述の濃度に調製し、保護すべき媒体(培地)に添加することもできる。
【0051】
組成物のpHは、1〜8でも良いが、好ましくは6.0未満、特に低いpHが好ましい。組成物は遊離の過ヨウ素酸を含んでいても良い。しかしながら、組成物は、代わりとして、或いは追加的に、アルカリ金属、特にナトリウム、その塩を含んでも良い。pHは、好適な緩衝システム(液)を用いて調節することができる。
【0052】
組成物を使用することができる適用分野は、皮膚殺菌剤;抗菌石鹸;日焼け止め;医療機器の消毒;スイミング・プール等の処理;空調処理;人間の使用設備の汚物(衛生)処理(sanitation);ケミカルトイレ(の処理);汚水/廃棄物、病院の感染性廃棄物及び土壌又は他の物質の処理;洗濯;動物の住居/小屋/機械類/履き物、孵化場、輸送手段の消毒;養殖(の消毒);食品加工工場の床、壁及び装置(の消毒);又は無菌包装材料の製造である。
【0053】
組成物を、殺菌剤(例えば上述の防腐剤、殺菌剤、消毒剤)として使用することに加えて、本発明を具体化する抗殺菌性組成物は、有効な、抗ウイルス性、抗バクテリア性、抗糸状菌類、及び/又は抗イースト活性が必要な広い種類の生成物(製品)の活性成分を提供することができる。
【0054】
このような製品の例としては:
a)防臭剤、例えば、ローション形態の外用用;
b)抗菌性皮膚洗浄、例えば、ローション形態;
c)ざそう(ニキビ)抑制剤、例えば、ローション又はクリーム形態;
d)抗水虫剤、例えば、ローション形態;
e)ふけ防止剤、例えば、シャンプー又はローション形態;
f)歯科用薬剤、例えば、一般の口腔衛生(特に抗歯垢性を有する)に好適な口洗浄、及び練り歯磨き、チューインガム及びトローチ剤等のデントリファイス(dentrifices);
g)含浸材料、例えば、創傷包帯、縫合及びデンタルフロス;
h)調合薬、例えば、傷洗浄薬及び熱傷処置、下痢止め剤(anti-diarrhoeal agent)、及びカンジダ菌及び白癬菌感染症等の感染症処理に好適な薬剤;
i)眼科用薬剤、例えば洗眼剤及び/又はコンタクトレンズの殺菌;及び
j)滅菌剤、例えばベビーボトル、及び外科又は歯科用器具用
を挙げることができる。
【0055】
別の側面として、本発明は、ウイルス又は胞子を前記定義された組成物と接触させることにより、これらを殺す又は抑制する方法を提供する。
【0056】
本発明の組成物は、保護すべき対象、例えば、医療機器等を組成物で処理することにより、使用することができる。これは、例えば、対象を溶液に浸漬し、或いは対象に溶液を噴霧することにより行うことができる。
【0057】
さらに、組成物は保護すべき媒体(培地)に付与(添加)することができる。後者の場合、全ての成分の溶液を使用することができるが、勿論、成分を別々に添加することも可能である;即ち、複数種の塩及び1種の重合体の溶液。本発明においては、保護すべき媒体(培地)に全ての成分が存在していること必要である。
【0058】
本発明の態様を下記の実施例により詳しく説明する。
【実施例】
【0059】
全ての実施例及び比較例について、NaSCN、NaI及び過ヨウ素酸の水溶液を使用した(pH3.8)
全てのサンプルの濃度は、0.9ミリモル/L(リットル)の過ヨウ素酸塩、0.4ミリモル/Lのヨウ素、及び0.6ミリモル/Lのチオシアナートであった。
【0060】
これらの各溶液に対して、表1に示された濃度の重合体を、添加した。比較のため、1サンプルを重合体無しとした。
【0061】
表1にまとめた実施例は、全ての成分を水に溶解して必要な濃度とした。溶液を環境温度に保管し、表1に記載の保管期間で試験した。試験手順は、保管溶液のサンプルを取り出し、表1に記載の有機体に接種して行った。溶液と接触した時間が5分間になった後に、有機体の5対数(log)の減少が示され得る場合、溶液は陽性結果の試験基準を満たしている。
【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
記号(key);
+: 合格。混合物を1ヶ月保管後、5分間で、黒色アスペルギルス(アスペルギルス・ニガー)及び大腸菌(エシュリキア・コイル)を少なくとも5対数(log)減少させる。
【0065】
−: 不合格。混合物を1ヶ月保管後、5分間で、黒色アスペルギルス(アスペルギルス・ニガー)及び大腸菌(エシュリキア・コイル)を5対数(log)未満減少させる。
【0066】
実施例及び比較例は、N−又はP−含有基を含む重合体の使用により、安定性及び長期活性を顕著に向上させることを明確に示している。このように基を持たない重合体はこのような効果を示さない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)ヨウ化物アニオン及びチオシアナートアニオンの混合物;
(2)過ヨウ素酸又はその塩;及び
(3)下記の単位:
(a)5〜100質量%の、少なくとも1種の窒素及び/又はリン含有基を含むモノエチレン性不飽和モノマー、
(b)0〜5質量%の、少なくとも1種の酸性基を含むモノエチレン性不飽和コモノマー、
(c)0〜75質量%の、少なくとも1種の別のコモノマー、及び
(d)0〜5質量%の架橋コモノマー、
を含む少なくとも1種の重合体又は共重合体;
を含む抗菌性組成物。
【請求項2】
共重合体の単位の量が、
(a)10〜60質量%、
(b)20〜70質量%、
(c)0〜70質量%、及び
(d)0〜5質量%、
である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物が液体組成物である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物の溶剤が水を含む請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
溶液の成分の濃度が、
0.01〜100ミリモル/Lの過ヨウ素酸又はその塩、
0.005〜50ミリモル/Lのヨウ化物イオン、
0.005〜50ミリモル/Lのチオシアナートイオン、及び
0.005〜10質量%の重合体又は共重合体、
である請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項6】
組成物がさらに別の殺菌活性化合物を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
組成物が、さらに界面活性剤又は乳化剤を含み、そして液体組成物が水中油型エマルジョン又は界面活性剤型溶液である請求項3〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物を、
皮膚殺菌剤;抗菌石鹸;日焼け止め;医療機器の消毒;スイミング・プール等の処理;空調処理;人間の使用設備の汚物処理;ケミカルトイレ;汚水/廃棄物、病院の感染性廃棄物及び土壌、又は他の物質の処理;洗濯;動物の住居/小屋/機械類/履き物、孵化場、輸送手段の消毒;養殖;食品加工工場の床、壁及び装置;又は無菌包装材料の製造のために、殺菌剤として使用する方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物を、防臭剤、抗菌性皮膚洗浄、ざそう抑制剤、抗水虫剤;ふけ防止剤、歯科用薬剤、含浸材料、眼科用薬剤、又は滅菌剤における活性成分として使用する方法。

【公表番号】特表2007−513109(P2007−513109A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541873(P2006−541873)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013606
【国際公開番号】WO2005/053398
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】