説明

高分子量の立体的な基へ抱合された核酸アプタマー

本発明は、標的分子に対する及び、アプタマー抱合体に対して結合する場合に標的分子によって標的分子結合パートナーに対する結合又は標的分子結合パートナーとの相互作用の阻害を亢進又は容易にする可溶性高分子量の立体的な基に対する特異的な親和性を有する核酸配列を含む立体的に増強されたアンタゴニストアプタマー抱合体を作製及び使用するための組成物及び方法を提供する。本発明は、荷電分子を生物学的活性分子へ結合し、生物学的活性分子をイオン泳動によって送達することによる、生物学的活性分子の眼内送達のための方法及び製剤も提供する。高分子量中性部分へ共役される生物学的活性分子のイオン泳動は、高分子量中性部分を匹敵する大きさの荷電分子と置換することによって増強される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2004年4月13日に出願した米国仮出願第60/561,601号の、及び2005年3月4日に出願した米国仮出願第60/658,819号の利点を請求する。前述の出願の全体の教示は、本明細書に参照によって組み込まれる。
【0002】
(本発明の分野)
本発明は、アプタマー又は核酸リガンドに関する。特に、本発明は、タンパク質結合対、特に(血管新生又は血管形成と関連したタンパク質結合対などの)疾病又は疾患の治療において標的にされるかもしれないタンパク質結合対を標的にするアプタマーの1つ以上のアンタゴニスト特性を増強又は増大するための方法に関する。本発明は、荷電分子を生物学的活性分子へ結合し、生物学的活性分子をイオン泳動によって送達することによる、生物学的活性分子の眼内送達のための方法及び製剤にも関する。
【背景技術】
【0003】
アプタマー又は核酸リガンドは、古典的なワトソン−クリック塩基対以外の相互作用を通じて、分子、特にタンパク質へ特異的に結合する核酸分子である。ファージディスプレイ又はモノクローナル抗体(MAb)によって生じるペプチドと同様、アプタマーは選択された標的へ特異的に結合でき、それにより、アプタマーの標的の機能する能力を遮断する。特定の標的をターゲットにするための適切なアプタマー配列は、SELEX(試験管内進化法)と呼ばれるプロセスを使用する無作為配列オリゴヌクレオチドのプールから開始する試験管内選抜プロセスを使用して解明できる。SELEXは、いずれかの標的に対する適切な結合親和性及び特異性を有する特異的な配列について迅速にオリゴヌクレオチドの莫大な数がスクリーニングされる組み合わせ化学方法論である。このプロセスを使用して、特定の標的に特異的な新規のアプタマー核酸リガンドが作製される。このようなアプタマーは、特定に選択された標的へ結合する特異的な3次元構造を採用する。典型的なアプタマーは10kDaないし15kDaの大きさ(30ヌクレオチドないし45ヌクレオチド)であり、ナノモルを下回る親和性でその標的を結合し、密接に関連した標的に対して識別する(例、同一遺伝子ファミリー由来の他のタンパク質を典型的に結合しないであろう。)。一連の構造研究は、抗体/抗原複合体において親和性及び特異性を駆動する結合相互作用(水素結合、静電気的相補性、疎水性接触、立体的排除、等)の同一タイプをアプタマーが使用できることを示してきた。一度、特定の標的へ結合するための適切なアプタマー配列が解明されると、治療用アプタマーは、SELEXプロセスとは無関係に大量に直接化学的に合成されてもよい。
【0004】
例えば、VEGF(血管内皮増殖因子)の作用を遮断する拮抗性VEGFアプタマー阻害剤が開発されてきた。抗VEGFアプタマーは、ヒトGVEGFの165kDa分子種へ高い親和性で結合する小さな安定性のあるRNA様分子である。このようなVEGFアプタマーは、乾癬、眼の疾患、コラーゲン循環器疾患及び新生物性疾患を含む血管形成を包含する多様な疾病におけるVEGFリガンドの役割によって広範囲の臨床上の有用性を有する。一般にSELEXプロセス、特にVEGFアプタマー及び製剤は、例えば米国特許第5,270,163号、第5,475,096号、第5,696,249号、第5,670,637号、第5,811,533号、第5,817,785号、第5,849,479号、第5,859,228号、第5,958,691号、第6,011,020号、第6,051,698号、第6,147,204号、第6,168,778号、第6,426,335号、及び第6,696,252号に記載されており、それらの各々の内容は本明細書に参照によって明確に組み込まれる。
【0005】
アプタマーの高分子量の非免疫原性及び親油性化合物との複合体が記載されてきた。例えば、米国特許第6,011,020号は、アプタマーの安定性などの薬物動態学的特性を改善するために(つまり、アプタマーの生体内循環半減期を亢進させるために)、高分子量の非免疫原性及び親油性化合物を有するアプタマー複合体を形成することを開示する。さらに、米国特許第6,051,698号は、血管内皮増殖因子(VEGF)に対する特異的親和性を有するアプタマーの高分子量の非免疫原性複合体を開示する。多様な生物学的標的へ結合する高親和性のアプタマーの選抜、及びこのようなアプタマーの生体内での安定性を増強する修飾は記載されてきたが、このようなアプタマーのアンタゴニスト特性を増強するための組成物及び方法は、アプタマー技術の実際の治療上の可能性を増大させる上で有用であろう。
【0006】
眼には解剖学的、生理学的及び生化学的に、眼の組織を外来物質に対して不浸透性にさせるいくつもの防御遮蔽があるため、眼への薬物送達は興味深い。活性因子を眼へ投与するために使用される技術には、全身性経路、眼内注入、眼の周りへの注入、眼内インプラント、及び局所適用が含まれる。このような侵襲性眼内投与は、患者に不快感を与え、時には恐怖感を与え、一方で永久的な組織損傷の危険性があるため、好ましくない。
【0007】
点眼剤などの処方における局所的に適用される薬物の眼の生物学的利用能は非常に乏しい。眼における薬物の吸収は、眼の適切な機能を確実にするいくつかの保護的なメカニズムによって、及び例えば浸み込ませた溶液の排水、流涙、涙の蒸発、結膜の吸収、角膜の浸透性の乏しさ、涙中のタンパク質による結合、及び代謝などの非保護的吸収/吸着といった他の付随した因子によって著しく制限されている。
【0008】
送達のための代替的なアプローチには、原位での活性化されたゲルを形成する系、粘液接着製剤、眼内浸透増強剤及び眼内挿入物が含まれる。原位での活性化されたゲルを形成する系は、眼における設置に際して粘性増加を経験する液体担体であり、したがって角膜前保持に適する。粘性におけるこのような変化は、温度、pH又は電解質組成における変化によって惹起できる。粘液接着性剤は、結膜のムチンへの非共有結合を介して接着するポリマーを含有する担体であり、したがってムチンの代謝回転がポリマーの放出を生じるまで、製剤の角膜前組織との接触を確実にする。眼への浸透増強剤は主として、細胞膜を破壊し投与量依存的方法で細胞溶解を生じることによって上層の細胞の浸透性を増強させるために角膜へ適用される表面活性剤である。眼内挿入物は、結膜嚢に置かれ、比較的低速で薬物を送達するよう企図された固体デバイスである。あるこのようなデバイスは、Alza社製のOcusert(R)であり、共重合体でできた2つの徐放性膜によって封鎖される薬物貯蔵体からなる拡散ユニットである。M.F.Saettoneは、眼の送達へ傾注した絶え間ない努力の概説を提供する。(「眼内薬物送達における進展及び問題」、Business Briefing: Pharmatech,Future Drug Delivery,2002,167−171)。
【0009】
イオン泳動は、イオン性分子を生物学的組織へと導入する局所的な電流を使用する薬物送達プロセスである。イオン泳動は、電気輸送、イオン性薬物投与、イオン療法(iontotherapy)、及び起電性薬物投与(EMDA)とも呼ばれる。イオン泳動は、組織を通じての生物学的活性分子の「オンデマンド式」送達を提供する。
【0010】
しかしながら、高分子量PEGの生物学的活性分子への結合は、生物学的活性分子のイオン泳動送達を妨害する可能性がある。PEGの分子量のサイズ制約及び複雑性がイオン泳動送達の実用性を制限することがありうる。それゆえ、結合した生物学的活性分子を送達し、永久的な組織損傷及び患者の不快感を生じることなく眼の保護的な遮蔽を回避する、簡便で患者に優しい方法が入手できていないままである。前述の問題に関して、生物学的活性分子のイオン泳動による送達を増強するための方法及び製剤についての必要性がある。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、可溶性高分子量の立体的な基のアプタマーへの付加がアプタマーの本質的なアンタゴニスト特性を増大させるという知見に一部基づいている。特に、本発明は、抗VEGFのペグ化した形態が、ペグ化していないアプタマーの形態を上回るVEGF受容体(VEGFR)のアンタゴニスト活性を拡大したという知見に関する。さらに、特定の理論又は作用のメカニズムに対して本発明を制限せずに、アプタマーの立体的な増強から生じる拡大したアンタゴニスト活性の原理は、タンパク質間の相互作用(リガンド及びその受容体などの結合パートナーとのあるタンパク質の相互作用を遮断する作用)の混乱に影響するアプタマーへ一般的に適用可能である。
【0012】
したがってある態様において、本発明は、可溶性高分子量の立体的な基がアプタマーの少なくとも1つのアンタゴニスト特性を増大させる、アプタマーを可溶性高分子量の立体的な基へ、アプタマーに沿ったいずれかの位置で結合することによってリガンド又はその受容体へ指向するアプタマーのアンタゴニスト特性を増大させる方法を提供する。
【0013】
より広い態様において、立体的に増強したアプタマーは、第二タンパク質と相互作用するタンパク質を標的にし、可溶性高分子量の立体的な基へのアプタマー配列の結合は結果的に、タンパク質の第二タンパク質(つまり、標的タンパク質の結合パートナー)との相互作用を妨害するアプタマーの能力における増大を生じる。立体的に増強されるアプタマーはそれゆえ、標的タンパク質へ指向するアプタマーのアンタゴニスト特性を増大させる。
【0014】
別の態様において、リガンドが複数の受容体へ結合し、リガンド結合アプタマーが複数の受容体の少なくとも1つのリガンド依存性活性化を効果的に拮抗することに失敗する、リガンド結合アプタマーの受容体アンタゴニスト範囲を増大させる方法を提供する。この態様において、本発明の方法は、アプタマーを可溶性高分子量の立体的な基へ結合するために提供し、それにより、可溶性高分子量の立体的な基へ結合する場合、アプタマーはアプタマー核酸配列が単独では効果的には拮抗しない1つ以上の受容体のリガンド依存性活性化を効果的に拮抗する。
【0015】
関連した態様において、本発明は、受容体が複数のリガンドへ結合し、受容体結合アプタマーが複数のリガンドの少なくとも1つのリガンド依存性活性化を効果的に拮抗するのに失敗する場合の受容体結合アプタマーのリガンドアンタゴニスト範囲を増大させる方法を提供する。この態様において、本発明の方法は、アプタマーを可溶性高分子量の立体的な基へ結合するために提供し、それにより、可溶性高分子量の立体的な基へ結合する場合、アプタマーは、アプタマー単独によってさもなくば効果的には拮抗しない1つ以上のリガンドのリガンド依存性活性化を効果的に拮抗する。
【0016】
ある実施態様において、可溶性高分子量の立体的な基はデキストランである。 他の実施態様において、可溶性高分子量の立体的な基はポリエチレングリコールである。さらに他の特に有用な実施態様において、可溶性高分子量の立体的な基は、多糖類、グリコサミノグリカン、ヒアルロナン、アルギン酸塩、ポリエステル、(プルロニック(Pluronic)(R)などの)高分子量ポリオキシアルキレンエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアクリル酸塩、ポリオール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ無水物(polyanhydride)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、セルロース誘導体、キトサン、ポリアルデヒド、又はポリエーテルであってもよい。特定の実施態様において、ポリエステル基は、共ブロック重合体のポリエステル基であってもよい。他の実施態様において、アルギン酸基は、ナトリウム又はカルシウムなどの陽イオン性対イオンを有する塩として提供される陰イオン性アルギン酸基であってもよい。さらなる実施態様において、ポリアルデヒド基は、合成的に派生されるか又はオリゴ糖の酸化によって得られるかのいずれかであってもよい。特に有用な実施態様において、可溶性高分子量の立体的な基は、約20kDaないし約100kDaの分子量を有するポリマー組成物である。
【0017】
本発明の前述の態様の特に有用な実施態様において、アプタマーはVEGF−Aへ指向される。他の特定の実施態様において、アプタマーはFlk/KDR(VEGFR−2)、Flt−1(VEGFR−1)、又はFlt−4(VEGFR−3)などのVEGF受容体へ指向される。さらなる実施態様において、アプタマーは、ニューロピリン(例、ニューロピリン−1又はニューロピリン−2)などのVEGF共受容体へ指向される。さらに他の実施態様において、アプタマーによって標的にされるVEGF共受容体は、V3インテグリン又はVE−カドヘリンである。
【0018】
さらなる実施態様において、アプタマーはいずれかの公知のリガンド又はその受容体へ指向される。本発明のさらに有用な実施態様において、アプタマーはICAM−1又はそれの結合するLFA−1などの接着分子へ指向される。本発明の立体的に増強されるアプタマー抱合体による標的化のためのリガンド及び/又はそれらの受容体の例には、それらに制限を加えるものではないが、TGF、PDGF、IGF、及びFGFが含まれる。標的化のためのさらなるリガンド及び/又はそれらの受容体には、サイトカイン、リンホカイン、成長因子、又はM−CSF、GM−CSF、TNF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IFN、TNF0、TNF1、TNF2、G−CSF、Meg−CSF、GM−CSFなどの他の造血因子、トロンボポエチン、幹細胞因子、及びエリスロポエチン、肝細胞成長因子/NK1又はアンジオポエチンAng−1、Ang−2、Ang−4、Ang−Yなどの血管新生を調節する因子、及び又はヒトアンジオポエチン様ポリペプチド、及び/又は血管内皮増殖因子(VEGF)が含まれる。本発明の組成物で標的化するための特定の他の因子には、アンジオゲニン、骨形態形成タンパク質−1などのBMP、骨形態形成タンパク質受容体IA及びIBなどの骨形態形成タンパク質受容体、神経栄養因子、走化性因子、CD3、CD4、CD8、CD19及びCD20などのCDタンパク質、エリスロポエチン、骨誘導因子、免疫毒素、骨形態形成タンパク質(BMP)、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γなどのインターフェロン、M−CSF、GM−CSF、G−CSFなどのコロニー刺激因子(CSF)、インターロイキン(IL)−1ないしIL−10などのIL、スーパーオキシドジスムターゼ、T細胞受容体、表面膜タンパク質、崩壊加速因子、例えばエイズ外被の一部などのウィルス抗原、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレシン、調節タンパク質、CD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA−4及びVCAMなどのインテグリン、HER2、HER3、及びHER4受容体などの腫瘍関連抗原、及び前述のポリペプチドのいずれかの断片、組み合わせ及び/又は変異体が含まれる。
【0019】
本発明にはさらに、Ellingtonほかによって提供されるアプタマーデータベースに集積されるものなどの例えばリガンド又はその受容体を標的にする公知のアプタマー核酸配列のいずれかを含む組成物が含まれる(Lee JF,Hesselberth JR,Meyers LA,Ellington AD「アプタマーデータベース」Nucleic Acids Research,2004,1月1日号;32(データベース号): D95−D100)。
【0020】
本発明のある有用な実施態様において、高分子量の立体的な基は、アプタマー配列の5’末端で、又はアプタマー配列の3’末端で、又は5’末端以外の又は3’末端以外の位置でアプタマーへ結合されてもよい。高分子量の立体的な基へ結合するための適切な内部アプタマー配列位置(つまり、5’末端以外又は3’末端以外の位置)の例には、アプタマー核酸配列の1つ以上の塩基上の環外アミノ基、1つ以上のピリミジンヌクレオチドの5の位置、1つ以上のプリンヌクレオチドの8の位置、リン酸塩の1つ以上のヒドロキシル基、1つ以上のリボース基の1つ以上のヒドロキシル基が含まれる。
【0021】
別の態様において、本発明は、VEGFアプタマーの受容体アンタゴニスト範囲を増大させる方法を提供する。この態様において、最初のVEGFアプタマーは、VEGFへ結合するが、少なくとも1つのVEGF受容体のVEGF依存性活性化を効果的に拮抗するのに失敗する核酸配列である。本発明のこの態様によって、VEGFアプタマーは可溶性高分子量の立体的な基へ結合し、それにより結果として生じるVEGFアプタマー抱合体はVEGFアプタマーが効果的に拮抗するのに最初に失敗する少なくとも1つのVEGF受容体のVEGF依存性活性化を効果的に拮抗し、それによりVEGFアプタマーの受容体アンタゴニスト範囲は増大する。
【0022】
関連した態様において、本発明は、VEGFアプタマーのリガンドアンタゴニスト範囲を増大させる方法を提供する。この態様において、最初のVEGFアプタマーは、VEGFへ結合するが、少なくとも1つのVEGFリガンドによってVEGF依存性活性化を効果的に拮抗するのに失敗する核酸配列である。本発明のこの態様によって、VEGFRアプタマーは可溶性高分子量の立体的な基へ結合し、それにより結果として生じるVEGFRアプタマー抱合体はVEGFRアプタマーが拮抗するのに最初に失敗する少なくとも1つのVEGFリガンドによってVEGFR依存性活性化を効果的に拮抗し、それによりVEGFRアプタマーのリガンドアンタゴニスト範囲は増大する。
【0023】
別の態様において、本発明は、対応する結合していないアプタマーよりも標的に及ぼす強いアンタゴニスト効果を有するアプタマー抱合体を同定する方法を提供する。本発明のこの態様において、標的は、リガンド又はリガンドの受容体であってもよい。方法には一般に、アプタマーの5’末端で、3’末端で、又は必要に応じて1つ以上の非5’末端位置又は1つ以上の非3’末端位置で可溶性高分子量の立体的な基へ独立して結合される複数のアプタマー抱合体を提供する段階が含まれる。次に、これらの異別に結合されるアプタマーの各々をリガンド及びリガンドの受容体と接触させ、各アプタマー抱合体の存在におけるリガンド/受容体結合又はリガンド依存性受容体活性化の量を、アプタマー抱合体のない場合におけるリガンド/受容体結合又はリガンド依存性受容体活性化の量と比較する。次に、リガンド/受容体結合又はリガンド依存性受容体活性化を阻害する最大の能力を有する特定のアプタマー抱合体を選抜する。それにより、方法は、リガンド/受容体標的に及ぼすアンタゴニスト効果の増強したアプタマー抱合体を同定する。
【0024】
別の態様において、本発明は、リガンド又は受容体上の結合部位から離れた部位の活性を阻害する方法を提供する。この態様において、本発明は、アプタマーの結合部位から離れた部位の活性を阻害する方法を提供する。ある実施態様において、本発明は、可溶性高分子量の立体的な基をアプタマーへ結合することによってリガンド上のアプタマーの結合部位に対して遠位のリガンド上の部位の活性を阻害する方法を提供する。アプタマーは、リガンドの活性部位近くの領域にあるリガンドへ結合してもよい。アプタマーへの可溶性高分子量の立体的な基の付加は、隣接する活性部位を越えてアプタマーの到達が伸展し、それによりリガンドの活性を遮断する。
【0025】
別の態様において、本発明は、リガンド又は受容体上の結合部位から離れた部位のリガンド又は受容体の結合を阻害する方法を提供する。この態様において、本発明は、アプタマーの結合部位から離れた部位の結合を阻害する方法を提供する。ある実施態様において、本発明は、可溶性高分子量の立体的な基をアプタマーへ結合することによってリガンド上のアプタマーの結合部位に対して遠位のリガンド上の部位への標的タンパク質の結合を阻害する方法を提供する。アプタマーは、リガンドの受容体結合部位近くの領域にあるリガンドへ結合してもよい。アプタマーへの可溶性高分子量の立体的な基の付加は、隣接する受容体結合部位を越えてアプタマーの到達が伸展し、それにより受容体へ結合するリガンドの能力を遮断する。
【0026】
別の態様において、本発明は、標的タンパク質が、生理学的pHで全体的な正の電荷によって特徴付けられる塩基性ドメインと同様、生理学的pHで全体的な負の電荷によって特徴付けられる酸性ドメインを有する場合の、結合パートナーへの標的タンパク質の結合を阻害する方法を提供する。本発明のこの態様において、結合パートナーは標的タンパク質の酸性ドメインを通じて結合し、結合パートナーへの標的タンパク質の結合は、標的タンパク質の酸性ドメインへの結合パートナーの結合を立体的に妨げる可溶性高分子量の立体的な基及び標的タンパク質の塩基性ドメインへ結合するアプタマー核酸配列を含む立体的に増強されたアプタマー抱合体と標的タンパク質を接触させることによって阻害される。
【0027】
本発明は、ポリエチレングリコール(PEG)の大きさ及び中性電荷がペグ化された生物学的活性分子のイオン泳動送達を有意に制限するという発見に一部基づいてもいる。出願者は、中性PEGを荷電分子と置換することがイオン泳動送達を増強することも発見した。本発明は、荷電分子を生物学的活性分子へ結合することによって、生物学的活性分子のイオン泳動を増強する方法に関する。
【0028】
したがって、別の態様において、本発明は、a)生物学的活性分子荷電抱合体を形成するよう生物学的活性分子へ荷電分子を結合する段階と、b)生物アッセイのある分子荷電抱合体を眼へ、イオン泳動を使用して送達する段階とを含む、生物学的活性分子を眼へ送達する方法に関する。
【0029】
ある実施態様において、荷電分子は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルデキストラン(CMD)又はキトサンなどの高電荷密度ポリマーを含み、生物学的活性分子はアプタマーなどの核酸である。
【0030】
別の態様において、本発明は、生物学的活性分子を眼へイオン泳動で送達するのに有用な製剤に関する。製剤は、荷電分子へ結合した生物学的活性分子を含む。ある実施態様において、製剤は、CMC、CMD又はキトサンなどの高電荷密度ポリマーへ結合したアプタマーなどの核酸を含む。
【0031】
本発明のイオン泳動送達方法及び製剤は、いくつもの利点を有する。CMC又はキトサンなどの高度に荷電したポリマーは、生物学的活性分子の滞在時間延長剤及びイオン泳動促進剤の両者として作用する。それゆえ、荷電分子はそれらのPEG対応物の循環時間の延長を保存しながら、イオン泳動送達を促進する。CMC及びキトサンなどの荷電分子は、多様な分子量において入手可能であり、結合化学特性の確立された広く受容される生体適合性分子である(Biocompatible Polymers,Metals and Composites,M.Szycher,Technomic Publishing Co.,Lancaster,PA,1983を参照してほしく、本明細書によってその全体が参照によって組み込まれる。)。本発明のイオン泳動送達方法及び組成物は、患者の快適性を考慮し、永久的な組織損傷を回避しながら、非侵襲的な眼の治療を提供する。
【0032】
(本発明の詳細な記述)
本明細書に記載の特許及び科学的文献は、当業者にとって入手可能な知識を確立する。本明細書で引用されるすべての発行された特許、特許出願、刊行された外国出願、及びGenBankデータベース配列を含む刊行された参考資料は、それらの全体が参照によって組み込まれるよう各々が特異的に及び個々に示された場合と同程度まで参照によって組み込まれる。
【0033】
一般
本発明は、アンタゴニスト活性を増大させたアプタマー及び、タンパク質−タンパク質相互作用に関与する標的タンパク質を結合する部位特異的アプタマーのアンタゴニスト活性の範囲を増大させるための方法を提供する。本発明は、SELEX方法論の本来の制限、及び一般には、塩基性領域がタンパク質機能に決定的であるかどうかに関わらず、核酸アプタマーのホスホジエステル主鎖によって運搬される高い負の電荷が結果的に、標的となったタンパク質の正に荷電した領域(つまり、塩基性アミノ酸であるアルギニン、リジン及びヒスチジンにおいて豊富である標的タンパク質の領域)へ結合するアプタマー配列の優先的選抜を生じるアプタマーデザインを指向する(例、Paborskyほか(1993)J.Biol.Chem.268: 20808−20811を参照)。
【0034】
アプタマーは、高い特異性及び親和性、生物学的有効性、及び優れた薬物動態学的特性を含む治療剤として使用するための望ましい特徴の多くを有する。さらに、アプタマーはしばしば、抗体及び他のタンパク質生物製剤にわたって特異的な競合性のある利点を提供する。これらには例えば次のものが含まれる。すなわち、
(1)速度及び調節: アプタマーは完全な試験管内プロセスにおいて作製される。試験管内選抜によって、アプタマーの特異性及び親和性は厳密に調節でき、毒性標的及び非免疫原性標的の両者に対するリードをなすことができる。
【0035】
(2)毒性及び免疫原性: 1クラスとしてのアプタマーはほとんど又は全く毒性も免疫原性も示さない。アプタマーの高レベルのラット又はマーモットの慢性的な投与(1日につき10mg/kgを90日間)において、臨床的、細胞上の、又は生化学的測定のいずれによっても毒性は観察されない。多くのモノクローナル抗体の有効性が抗体自体に対する免疫反応によって重度に制限されるのに対し、アプタマーに対して抗体を誘発することは極めて困難である(最もありそうな理由は、アプタマーがI MHCを介してT細胞によって呈示できず、免疫反応は一般に核酸断片を認識しないよう訓練されているからである。)。
【0036】
(3)投与: すべての現在認可されている抗体治療剤が静脈内注入によって(典型的には2時間ないし4時間かけて)投与されるのに対し、アプタマーは皮下注射によって投与できる。この差異は比較的低い可溶性に主としてよるものであり、したがってたいていの治療用MAbに多量の容積が必要であることによるものである。可溶性が良好であること(150mg/ml超)及び比較的低分子量(アプタマー:10kDaないし50kDa; 抗体:150kDa)であることから、アプタマーの週ごとの投与量は、0.5ml未満の容積における注入によって送達される。皮下投与を介するアプタマーの生物学的利用能は、サルの研究において80%超である(Tuckerほか(1999)J.Chromatogr.B.Biomed.Sci.Appl.732: 203−212)。
【0037】
(4)拡張性及び経費: アプタマーは化学的に合成され、結果的に製造需要に見合うのに必要なだけ迅速に拡張できる。製造を拡張する上での困難はいくつかの生物製剤の有効性を現に制限しており(例、イブレル(Ebrel)、レミケード)、大規模タンパク質製造プラントの資本経費は膨大である(例、1,000,000ドル、Immunex社)であるのに対し、単一の大規模合成装置は1年当たり100kg以上のオリゴヌクレオチドを製造でき、要する初期投資は比較的大きくない(例、20,000ドル未満、Avecia社)。キログラム規模でのアプタマー合成のための商品の最新の経費は、500ドル/gと概算され、非常に最適化された抗体に対する経費に匹敵する。プロセス開発におけるたゆまぬ改善は、5年で1g当たり100ドル未満まで商品の経費を低下させると期待される。
【0038】
(5)安定性: アプタマーは化学的に強い。アプタマーは、熱、変性剤等への暴露後の活性を回復するのに本質的に適しており、凍結乾燥した粉末として室温で長期間(1年超)保存できる。対照的に、抗体は冷蔵保存しなければならない。
【0039】
定義
本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、以下に別段の定義がなければ、当業者によって共通して理解されるのと同一の意味を有するよう企図され、本明細書で採用される技術に対する参照は、本分野で共通して理解される技術を指すよう企図され、それには、技術又は当業者に明白であろう等価の若しくは後に開発された技術の置換に関する多様性が含まれる。本発明である対象事項をより明確かつ簡潔に記載するため、以下の定義が本明細書及び付加される請求項において使用される特定の用語について提供される。
【0040】
本明細書で「約」という語は、大まかに又はおおよその領域にあるほぼを意味するよう示される。「約」という後が数字の範囲とともに使用される場合、示される数値を上回り及び下回る境界を拡大することによってその範囲を修正する。一般に、「約」という語は、20%の分散によって記載される値を上回り及び下回って数値を修正するよう使用される。
【0041】
「アルギン酸塩」という語は、褐色藻類(褐色の海草、例、カリフォルニアジャイアントケルプ(マクロシスティスプリフェラ))において生じる親水性の多糖類を指し、α1−4−結合したα−L−グロピラノシルロン酸残基の配列、β−4−結合したβ−D−マンオピラノシルロン酸残基の配列、及び両ウロン酸が交互になっている配列において生じる配列の断続性構造を有する。
【0042】
「陰イオン」という語は、負の電荷を有する原子又は分子を指す。
【0043】
本明細書で使用されるように、「アンタゴニスト」という語は、アプタマーへ適用される場合、標的タンパク質の結合パートナーとの相互作用を混乱させる能力を指し、標的タンパク質の結合パートナーとの相互作用は、標的タンパク質の生物学的機能に関与する。したがって、アプタマーアゴニストは標的タンパク質の生物学的機能を阻害するよう典型的に機能するであろう。しかしながら、例えば標的タンパク質が阻害因子タンパク質結合パートナーと相互作用する場合、アプタマーアンタゴニストは標的タンパク質のその阻害剤との相互作用を混乱させるかもしれず、それにより阻害因子タンパク質によってさもなくば阻害される標的タンパク質の生物学的機能の活性化に影響を及ぼすかもしれない。それゆえ、本発明のアプタマーアンタゴニストは、標的タンパク質の生物学的機能を典型的に阻害するであろう一方で、アプタマーアンタゴニストは標的の生物学的機能を活性化するよう機能するかもしれない。
【0044】
本明細書で使用されるように、「拮抗範囲」という語は、生物学的活性分子の拮抗作用を増大又は付加することを指す。例えば、アンタゴニストがすでに拮抗できたであろう補充性の1つ以上のさらなるリガンド/受容体相互作用をアンタゴニストが拮抗できる場合、アンタゴニストの「拮抗範囲」は増大する。拮抗範囲は、立体的な抱合体の付加によって増大するかもしれない。ある実施態様において、範囲は結合した部分の直鎖状の及び/又はすい力学的体積によって決定される。
【0045】
本明細書で使用されるように、「アプタマー」という語は、非共有結合性の物理的相互作用を介して(タンパク質などの)非ポリヌクレオチド分子に対する選択的な結合親和性を有するいずれかのポリヌクレオチド又はその塩を意味する。アプタマーは、抗体のそのエピトープに対する結合に類似した方法でリガンドへ結合するポリヌクレオチドである。標的分子は興味の対象のいずれかの分子でありうる。非ポリヌクレオチド分子の例はタンパク質である。アプタマーは、タンパク質のリガンド結合ドメインへ結合するのに使用でき、それにより自然発生するリガンドのタンパク質との相互作用を防止する。本発明のアプタマーは、アプタマーを適切な高分子量の立体的な基へ結合することによって、本明細書に記載されるように必要に応じて修飾される。
【0046】
「生物学的活性分子」、「生物学的活性部分」又は「生物学的活性因子」は、以下に制限を加えるものではないが、ウィルス、バクテリア、菌、植物、動物、及びヒトを含む生物学的生物体のいずれかの物理的特性又は生化学的特性に影響を及ぼしうるいずれかの物質でありうる。生物学的活性分子には、ヒト又は他の動物における疾病の診断、治療緩和、治療、又は予防のために、又はさもなくばヒト又は動物の身体的又は精神的健康を増強するよう企図されるいずれかの物質を含むことができる。生物学的活性分子の例には、以下に制限されるものではないが、核酸、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、RNA、DNA、siRNA、アプタマー、抗体、ペプチド、タンパク質、酵素及びポルフィリン、小分子薬物が含まれる。他の生物学的活性分子には、以下に制限されるものではないが、染色剤、脂質、細胞、ウィルス、リポソーム、微粒子及びミセルが含まれる。抗体の例には、以下に制限されるものではないが、VEGF抗体ベバシズマブ(bevacizumab)(アバスチン(Avastin)(R))及びラニズマブ(ranizumab)(ルセンティス(Lucentis)(R))が含まれる。アプタマーの例には、以下に制限されるものではないが、ペガプタニブ(pegaptanib)(マクゲン(Macugen)(R))が含まれる。ポルフィリンの例には、以下に制限されるものではないが、ベルテポルフィン(verteporfin)(ビスジン(Visudine)(R))が含まれる。ステロイドの例には、以下に制限されるものではないが、アネコルタブ(anecortave)(レターネ(Retaane)(R))が含まれる。本発明とともに使用するのに適した生物学的活性分子のクラスには、以下に制限されるものではないが、抗生物質、殺菌剤、抗ウィルス剤、抗感染剤、抗炎症剤、抗腫瘍剤、抗チューブリン剤、心臓循環器系剤、抗不安剤、ホルモン、成長因子、ステロイド剤、及びそれらの類似物が含まれる。
【0047】
「陽イオン」という語は、正の電荷を有する原子又は分子を指す。
【0048】
本明細書で使用される「荷電分子」又は「荷電部分」という語は、形式電荷を有するいずれかの部分又は分子を指す。荷電分子は、その本質的な構造の性質によって、又は別の原子とのその共有結合の結果として、永久的に荷電されてもよい。荷電分子は、例えば薬物送達中に存在する環境などの周囲の環境の存在するpH条件の性質による形式電荷を有してもよい。分子における電荷は、正(陽イオン性)又は負(陰イオン性)のいずれかであってもよい。荷電分子は、正の電荷又は負の電荷のみを含むことができる。荷電分子は、正の電荷及び負の電荷の両者の組み合わせも含むことができる。特定の実施態様において、荷電分子は正味の陰イオン性電荷を有する。正の電荷を荷電分子へ付与する化学基には、いかに制限されるものではないが、アミノ含有化合物などのイオン化可能な窒素原子が含まれる。負の電荷を荷電分子へ付与する化学基には、以下に制限されるものではないが、カルボン酸基、硫酸基、スルホン酸基又はリン酸基が含まれる。
【0049】
荷電分子又は生物学的活性分子荷電抱合体は、必要に応じて1つ以上の「対イオン」によって付随される。荷電分子又は生物学的活性分子荷電抱合体に付随する対イオンは、荷電分子の一部であると考慮されてもよい。荷電した両分子及び結果として生じる生物学的活性分子荷電抱合体についての対イオンは、医薬的に許容可能な塩を生じてもよい。適切な陰イオン性対イオンには、以下に限定されるものではないが、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、コハク酸塩、及びそれらの類似物が含まれる。適切な陽イオン性対イオンには、以下に限定されるものではないが、Na、K、Mg2+、Ca2+、NH及び有機アミン陽イオンが含まれる。有機アミン陽イオンには、以下に限定されるものではないが、テトラアルキルアンモニウム陽イオン及び水素イオンとともに四級アンモニウム陽イオンを形成する有機アミンが含まれる。四級アンモニウム陽イオンを形成できる有機アミンの例には、以下に制限されるものではないが、一有機アミン及び二有機アミン、モノアミノ酸及びジアミノ酸、並びにモノアミノ酸エステル及びジアミノ酸エステル、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、グルカミン、N−メチルグルカミン、2−(4−イミダゾリル)エチルアミン、グルコサミン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、トリプトファン、ピペラジン、ピペリジン、トロメタミン、6’−メトキシ−シンコナン(cinchonan)−9−オール、シンコナン(cinchonan)−9−オール、ピラゾール、ピリジン、テトラサイクリン、イミダゾール、アデノシン、べラパミル及びモルフォリンが含まれる。
【0050】
「共重合体」という語は、モノマーの2種類以上から生成されるポリマーを指す。
【0051】
「共有結合」という語は、2つの原子が電子一対を共有する場合に生じる原子の結合を指す。
【0052】
「電流」という語は、荷電した粒子の移動による電気のコンダクタンスを指す。「電流」及び「電気流」という語は、包括的であって排他的ではないよう企図される。ある実施態様において、電流は「直流電流」、「直流」又は「定常電流」である。別の実施態様において、電流は「交流」「交互になる電気流」「直流相殺を有する交流」「直流相殺を有する交流」「パルス化した交流」又は「パルス化した直流」である。
【0053】
「デンドロン(dendron)」という語は、デンドリマー構造の半分を表す分子を指す。デンドロン(dendron)は、デンドリマー中心の半分の上に、又はデンドリマーの構築後のデンドリマー中心の開裂によって典型的に構築される。デンドロン(dendron)は、単量体及び表面修飾のいずれかの組み合わせから構成されてもよい。有用な単量体の例には、以下に制限されるものではないが、ポリアミドアミン(PAMAM)が含まれる。有用な表面修飾の例には、以下に制限されるものではないが、陽イオン性アンモニウム修飾、N−アシル修飾及びN−カルボキシメチル修飾が含まれる。代替的な表面修飾によって、広く異別の特性が可能になる。例えば、デンドロン(dendron)は、多価陰イオン性、多価陽イオン性、疎水性又は親水性であってもよい。デンドロン(dendron)は、単量体の精確な数及び表面修飾基がデンドロン(dendron)の発生によって決定されるよう合目的であってもよい(G1、G2、G3、G4、G5、及びG6はそれぞれ4、8、16、32、64、及び128の基を有する)。1:1の化学量論でのデンドロン(dendron)−生物学的活性分子の抱合体の構築はシスタミン中心を含有するデンドリマーにおけるジスルフィドの還元によって達成されてもよい。この還元は、単一のチオール反応基を含有するよう修飾されたいずれかの生物学的活性分子へ結合されてもよい単一の直交するスルフィドリル機能性の形成を生じる。このことは、アミン含有の生物学的活性分子を、ある末端にあるアミン反応基及びその他の末端にあるチオール反応基を含有する二機能性リンカーと反応させることによって達成されてもよい。ジスルフィドを含有する樹状ポリマー及び樹状ポリマー抱合体の例は、米国特許第6,020,457号に見られ、それはその全体において本明細書に参照によって組み込まれる。
【0054】
「イオン泳動」という語は、組織などの遮蔽へまたは遮蔽を通じてのイオン化可能な分子又は荷電分子の電流による輸送を指す。例えば、アース電極を身体のほかのどこかに設置して電流回路を完了しながら薬物と同一の電荷を運搬する電極を使用して薬物を組織へ適用することによるイオン泳動によって身体にある組織へと運搬されてもよい。イオン泳動電流は、組織内のイオンが適用される電位の結果として輸送される場合、組織内で確立される。荷電した化合物は、反対の極性の電極へ結合され、同様の極性の電極によってパルス化される。結果として、この方法による化合物輸送は、化合物の適用される電位及び電気泳動による移動度に直接関連する。イオン泳動は、イオン泳動送達、電気輸送、イオン水動態(iontohydrokinesis)、イオン性薬物投与、イオン療法(iontotherapy)、及び起電性薬物投与(EMDA)とも呼ばれてもよい。
【0055】
「伸長」という語は、組成物(例、高分子量ポリマー組成物)が引っ張ることによって引き伸ばされる場合に達成される長さを指す。伸長は、元の長さによって除された引き伸ばしの後の長さとして典型的に表される。
【0056】
「ゲル」という語は、溶媒の多量を吸収した架橋したポリマーを指す。架橋したポリマーは、それらが溶媒を吸収する場合、相当典型的に膨潤する。
【0057】
「グリコサミノグリカン」という語は、アミノ単糖類残基(例、アミノヘキソースから派生した多様な多糖類のいずれか)の実質的な割合を含有するいずれかのグリカン(つまり、多糖類)を指す。
【0058】
「水力学的体積」とは、ポリマーコイルが溶液中にある場合にポリマーコイルが占有する体積を指す。ポリマーの「水力学的体積」は、ポリマーの分子量及びポリマーが溶媒といかに十分に相互作用するかによって変動しうる。例えば、PEGのいずれの酸化エチレン繰り返し単位も、2ないし3の水分子を結合することが公知である。水力学的体積は分子半径の単位において測定されてもよい。
【0059】
「水素結合」という語は、電気陰性原子へ結合した水素原子と、通常別の文市場にある電気陰性原子との非常に強力な引力を指す。例えば、1個の水分子上の水素原子は、別の水分子上の酸素原子へ非常に強くひきつけられる。
【0060】
「イオン」という語は、正又は負の電荷を有する原子又は分子を指す。
【0061】
本明細書において使用される「イオン泳動デバイス」という語は、生物学的活性分子の対象へのイオン泳動送達に適したデバイス又は装置を指す。このようなイオン泳動デバイスは本分野で周知であり、「イオン泳動デバイス」又は「電気輸送デバイス」とも呼ばれる。
【0062】
本明細書で使用される「非ペプチドポリマー」という語は、アミノ酸残基の実質的に存在しないオリゴマーを指す。
【0063】
本明細書で使用される「非核酸ポリマー」という語は、ヌクレオチド残基の実質的に存在しないオリゴマーを指す。
【0064】
「眼の送達」及び「眼内送達」は、生物学的活性分子などの化合物の眼の組織又は流体への送達を指す。「眼のイオン泳動」は、眼の組織又は流体へのイオン泳動送達を指す。いずれの眼の組織又は流体もイオン泳動を使用して治療できる。眼の組織及び流体には、例えば硝子体、結膜、角膜、強膜、虹彩、水晶体、毛様体、脈絡膜、網膜及び視覚神経などの眼の周りにあるものが含まれる。
【0065】
「加水分解的に安定な」又は「加水分解できない」結合又は連結という語は、水中で実質的に安定であり、水と実質的には反応しない結合又は連結を指すよう、本明細書で使用される。例えば、加水分解的に安定な連結は、延長した期間、生理学的条件の下で反応しない。
【0066】
「生理学的に安定な」結合又は連結という語は、生体内開裂又は加水分解に対して実質液に安定であるが、他の試験管内因子の存在においても安定であるかもしれない結合又は連結を指すよう本明細書で使用される。生理学的に安定した結合又は連結は加水分解的に安定であり、患者の細胞、器官、皮膚、膜又は身体内のほかのどこかにおける生理学的プロセスに対して安定である。
【0067】
「生理学的に開裂可能な」結合は、生体内で開裂又は加水分解されるが、試験管内の他のものによっても開裂されるかもしれない結合である。生理学的開裂は化学的又は酵素的であってもよい。生理学的開裂は、患者の細胞、器官、皮膚、膜又は身体内のほかのどこかにおける生理学的プロセスによって生じてもよい。
【0068】
「エステラーゼ耐性」又は「エステラーゼに対して安定な」結合又は連結は、エステラーゼの存在において安定である。
【0069】
「ポリヌクレオチド」及び「オリゴヌクレオチド」という語は、適切な条件(例、pH、温度、溶媒、イオン強度、電場強度)下で相補的な又は実質的に相補的な配列の自然発生する核酸に対する選択的な結合親和性を有する共有結合されたヌクレオシド又は修飾されたヌクレオシドの配列を含むいずれかの分子を包含するよう意図される。ポリヌクレオチドには、修飾されたヌクレオシド又はヌクレオシド間結合を有する核酸アナログと同様に自然発生する核酸、及び結合または検出を容易にするリンカーまたは検出可能な標識で修飾された分子が含まれる。
【0070】
本明細書で使用されるように、「ヌクレオシド」という語は、自然発生するリボヌクレオシド又はデオキシリボヌクレオシド、すなわちアデノシン、シトシン、グアノシン、チモシン又はウラシルのいずれかを意味する。
【0071】
「修飾されたヌクレオチド」又は「修飾されたヌクレオシド」又は「修飾された塩基」という語は、リボ核酸(つまり、A、C、G及びU)及びデオキシリボ核酸(つまり、A、C、G及びT)において生じる標準的な塩基、糖及び/又はリン酸主鎖化学構造のバリエーションを指す。例えば、Gは2’−メトキシグアニル酸を表し、Aは2’−メトキシアデニル酸を表し、Cは2’−フルオロシチジル酸を表し、Uは2’−フルオロウリジル酸を表し、Aはリボアデニル酸を表す。アプタマーには、シトシン又は、5−メチルシトシン、4−アセチルシトシン、3−メチルシトシン、5−ヒドロキシメチルシトシン、2−チオシトシン、5−ハロシトシン(例、5−フルオロシトシン、5−ブロモシトシン、5−クロロシトシン、及び5−ヨードシトシン)、5−プロピニルシトシン、6−アゾシトシン、5−トリフルオロメチルシトシン、N4−エタノシトシン、フェノキサジンシチジン、フェノチアジンシチジン、カルバゾールシチジン又はピリドインドールシチジンを含む、いずれかのシトシン関連塩基が含まれる。アプタマーにはさらに、グアニン、又は6−メチルグアニン、1−メチルグアニン、2,2−ジメチルグアニン、2−メチルグアニン、7−メチルグアニン、2−プロピルグアニン、6−プロピルグアニン、8−ハログアニン(例、8−フルオログアニン、8−ブロモグアニン、8−クロログアニン、及び8−ヨードグアニン)、8−アミノグアニン、8−スルフヒドリルグアニン、8−チオアルキルグアニン、8−ヒドロキシルグアニン、7−メチルグアニン、8−アザグアニン、7−デアザグアニン又は3−デアザグアニンを含むいずれかのグアニン関連塩基が含まれる。アプタマーにはさらに、アデニン又は、6−メチルアデニン、N6−イソペンテニルアデニン、N6−メチルアデニン、1−メチルアデニン、2−メチルアデニン、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン、8−ハロアデニン(例、8−フルオロアデニン、8−ブロモアデニン、8−クロロアデニン、及び8−ヨードアデニン)、8−アミノアデニン、8−スルフヒドリルアデニン、8−チオアルキルアデニン、8−ヒドロキシルアデニン、7−メチルアデニン、2−ハロアデニン(例、2−フルオロアデニン、2−ブロモアデニン、2−クロロアデニン、及び2−ヨードアデニン)、2−アミノアデニン、8−アザアデニン、7−デアザアデニン又は3−デアザアデニンを含むいずれかのアデニン関連塩基が含まれる。又含まれるのはウラシル又は、5−ハロウラシル(例、5−フルオロウラシル、5−ブロモウラシル、5−クロロウラシル、5−ヨードウラシル)、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウラシル、5−カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、1−メチル偽ウラシル、5−メトキシアミノメチル−2−チオウラシル、5’−メトキシカルボニルメチルウラシル、5−メトキシウラシル、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、4−チオウラシル、5−メチルウラシル、ウラシル−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル−5−オキシ酢酸、偽ウラシル、5−メチル−2−チオウラシル、2−チオウラシル、3−(3−アミノ−3−N−2−カルボキシプロピル)ウラシル、5−メチルアミノメチルウラシル、5−プロピニルウラシル、6−アゾウラシル、又は4−チオウラシルを含むいずれかのウラシル関連塩基である。本分野で公知の他の修飾された塩基変異体の例には、以下の制限されるものではないが、37C.F.R第1.822章1ページに列挙されるものが含まれ、例えば、4−アセチルシチジン、5−(カルボキシヒドロキシルメチル)ウリジン、2’−メトキシシチジン、5−カルボキシメチルアミノメチル−2−チオウリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウリジン、ジヒドロウリジン、2’−O−メチル偽ウリジン、β−D−ガラクトシルクエノシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデノシン、1−メチルアデノシン、1−メチル偽ウリジン、1−メチルグアノシン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアノシン、2−メチルアデノシン、2−メチルグアノシン、3−メチルシチジン、5−メチルシチジン、N6−メチルアデノシン、7−メチルグアノシン、5−メチルアミノメチルウリジン、5−メトキシアミノメチル−2−チオウリジン、β−D−マンノシルクエノシン、5−メトキシカルボニルメチルウリジン、5−メトキシウリジン、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデノシン、N−((9−β−D−リボフラノシル−2−メチルチオプリン−6−イル)カルバモイル)スレオニン、N−((9−β−D−リボフラノシルプリン−6−イル)N−メチル−カルバモイル)スレオニン、ウリジン−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウリジン−5−オキシ酢酸(v)、wyブトキオシン、pseudoウリジン、クエノシン、2−チオシチジン、5−メチル−2−チオウリジン、2−チオウリジン、4−チオウリジン、5−メチルウリジン、N−((9−β−D−リボフラノシルプリン−6−イル)カルバモイル)スレオニン、2’−O−メチル−5−メチルウリジン、2’−O−メチルウリジン、wyブトシン、3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ウリジンが含まれる。ヌクレオチドには、米国特許第3,687,808号、第3,687,808号、第4,845,205号、第5,130,302号、第5,134,066号、第5,175,273号、第5,367,066号、第5,432,272号、第5,457,187号、第5,459,255号、第5,484,908号、第5,502,177号、第5,525,711号、第5,552,540号、第5,587,469号、第5,594,121号、第5,596,091号、第5,614,617号、第5,645,985号、第5,830,653号、第5,763,588号、第6,005,096号、及び第5,681,941号に記載の修飾された核酸塩基のいずれかも含まれる。本分野で公知の修飾されたヌクレオシド及びヌクレオチド糖主鎖変異体の例には、以下に制限されるものではないが、例えば、F、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SO、CH、ONO、NO、N、NH、OCHCHOCH、O(CHON(CH、OCHOCHN(CH、O(C1−10アルキル)、O(C2−10アルケニル)、O(C2−10アルキニル)、S(C1−10アルキニル)、S(C2−10アルケニル)、S(C2−10アルキニル)、NH(C1−10アルキル)、NH(C2−10アルケニル)、NH(C2−10アルキニル)、及びO−アルキル−O−アルキルなどの2’リボシル置換体を有するものが含まれる。望ましい2’リボシル置換体には、2’−メトキシ(2’−OCH)、2’−アミノプロポキシ(2’OCHCHCHNH)、2’−アリル(2’−CH−CH=CH)、2’−O−アリル(2’−O−CH−CH=CH)、2’−アミノ(2’−NH)、及び2’−フルオロ(2’−F)が含まれる。2’−置換体は、アラビノ(上)位置又はリボ(下)位置にあってもよい。
【0072】
本明細書に示されるように、「5’−5’逆転したヌクレオチドキャップ」という語は、以下に示される第一ヌクレオチドの5’位置とオリゴヌクレオチドの5’末端との間のホスホジエステル結合を介したオリゴヌクレオチドの5’末端へ共有結合される第一ヌクレオチドを意味する。
【0073】
【化1】

【0074】
「3’−3’逆転したヌクレオチドキャップ」という語は、以下に示される第一ヌクレオチドの3’位置とオリゴヌクレオチドの3’末端との間のホスホジエステル結合を介したオリゴヌクレオチドの3’末端へ共有結合される最後のヌクレオチドを意味する。
【0075】
【化2】

【0076】
アプタマー組成物には、以下に制限されるものではないが、5’−5’逆転したヌクレオチドキャップ構造を有するもの、3’−3’逆転したヌクレオチドキャップ構造を有するもの、及びアプタマー末端で5’−5’逆転したヌクレオチドキャップ構造及び3’−3’逆転したヌクレオチドキャップ構造の両者を有するものが含まれてもよい。
【0077】
「抗VEGFアプタマー」は、VEGFへ結合し、VEGFの活性を阻害するポリヌクレオチドアプタマーを包含するよう意図される。このような抗VDGFアプタマーは、RNAアプタマー、DNAアプタマー又は混合した(つまり、RNA及びDNAの両者の)組成物を有するアプタマーであってもよい。このようなアプタマーは公知の方法を使用して同定できる。例えば、試験管内進化法又はSELEX法は、全体において参考文献により本明細書に組み込まれる米国特許第5,475,096号及び第5,270,163号に記載されるように使用できる。抗VEGFアプタマーには、米国特許第6,168,778号、第6,051,698号、第5,859,228号、及び第6,426,335号に記載される配列が含まれ、それらの特許の各々は、その全体において本明細書に参照によって組み込まれる。配列は、5’−5’逆転したキャップ及び/又は3’−3’逆転したキャップを含むよう修飾できる(その全体において本明細書に参照によって組み込まれるAdamis,A.P.ほか、刊行された出願第WO2005/014814号を参照。)。
【0078】
本発明の適切な抗VEGFアプタマーには、ヌクレオチド配列GAAGAAUUGG(配列番号4)、又はヌクレオチド配列UUGGACGC(配列番号5)、又はヌクレオチド配列GUGAAUGC(配列番号6)が含まれる。
【0079】
抗VEGFアプタマーの例には、以下に制限されるものではないが、
(i)配列CGGAAUCAGUGAAUGCUUAUACAUCCG(その全体において本明細書に参照によって組み込まれる米国特許第6,051,698号に記載される配列番号7)を有する抗VEGFアプタマー。各C、G、A、及びUはそれぞれ、自然に発生するヌクレオチドであるシチジン、グアニジン、アデニン、及びウリジン、又はそれに対応する修飾されたヌクレオチドを表し、及び好ましくは、
(ii)配列
(配列番号8)
を有する抗VEGFアプタマーが含まれる。
【0080】
キャッピングされた抗VEGFアプタマーの例は、配列X−5’−5’−CGGAAUCAGUGAAUGCUUAUACAUCCG−3’−3’−X(配列番号9)を有し、各C、G、A、及びUはそれぞれ、自然に発生するヌクレオチドであるシチジン、グアニン、アデニン、及びウリジン、又はそれに対応する修飾されたヌクレオチドを表し、X−5’−5’−は、アプタマーの5’末端をキャッピングする逆転したヌクレオチドであり、3’−3’−Xは、アプタマーの3’末端をキャッピングする逆転したヌクレオチドであり、残余ヌクレオチド又は修飾されたヌクレオチドは5’−3’ホスホジエステル結合を介して連続して結合される。いくつかの実施態様において、キャピングされた抗VEGFアプタマーの各ヌクレオチドは各々、(リボ核酸(RNA)に対する標準である)−OH、又は(デオキシリボ核酸(DNA)に対する標準である)−Hなどの2’リボシル置換を抱える。他の実施態様において、2’リボシル位置は、O(C1−10アルキル)、O(C1−10アルケニル)、F、N、又はNH置換体と置換される。
【0081】
さらにより特定の制限のない例において、5’−5’キャッピングされた抗VEGFアプタマーは構造
−5’−5’−C3’−3’−T
(配列番号1)
を有してもよく、式中、「G」は2’−メトキシグアニル酸を表し、「A」は2’−メトキシアデニル酸を表し、「C」は2’−フルオロシチジル酸を表し、「U」は2’−フルオロウリジル酸を表し、「A」はリボアデニル酸を表し、「T」はデオキシリボチミジル酸を表す(本明細書にその全体において参照によって組み込まれるAdamis,A.P.ほか、刊行された出願第WO2005/014814号を参照)。
【0082】
「抗PDGFアプタマー」は、PDGFへ結合し、PDGFの活性を阻害するポリヌクレオチドアプタマーを包含するよう意図される。このようなアプタマーは公知の方法を使用して同定できる。例えば、試験管内進化法又はSELEX法は、前述のように使用できる。
【0083】
抗PDGFアプタマーには、米国特許第5,668,264号、第5,674,685号、第5,723,594号、第6,229,002号、第6,582,918号、及び第6,699,843号に記載された配列が含まれ、本発明にしたがって、5’−5’逆転したキャップ及び/又は3’−3’逆転したキャップ及び/又は可溶性高分子量の立体的な基による修飾で修飾できる。
【0084】
抗PDGFアプタマーの例には、以下に制限されるものではないが、
(i)位置6、20及び30で2’−フルオロ−2’−デオキシウリジンを有し、位置8、21、28、及び29で2’−フルオロ−2’−デオキシシチジンを有し、位置9、15、17、及び31で2’−O−メチル−2’−デオキシグアノシンを有し、位置22で2’−O−メチル−2’−デオキシアデノシンを有し、位置10及び23にある「N」でヘキサエチレン−グリコールホスホラミダイトを有し、位置32で逆転した向きT(つまり、3’−3’結合される。)を有する配列CAGGCUACGNCGTAGAGCAUCANTGATCCUGT(その全体において本明細書に参照によって組み込まれる米国特許第6,582,918号由来の配列番号10)を有するペグ化した抗PDGFアプタマーである、ARC−127(Archemix社、Cambridge、MA)、及び、
(ii)位置8のCでO−メチル−2−デオキシシチジンを、位置9、17及び31のGで2−O−メチル−2−デオキシグアノシンを、位置22のAで2−O−メチル−2−デオキシアデノシンを、位置30で2−O−メチル−2−デオキシウリジンを、位置6及び20のUで2−フルオロ−2−デオキシウリジンを、位置21、28及び29のCで2−フルオロ−2−デオキシシチジンを、位置10及び23のNでペンタエチレングリコールホスホラミダイトスペーサーを、位置32で逆転した向きT(つまり、3’−3’結合される。)を有するCAGGCUACGNCGTAGAGCAUCANTGATCCUGT(その全体において本明細書に参照によって組み込まれる米国特許第5,723,594号由来の配列番号11)が含まれる。
【0085】
「抗ICAMアプタマー」は、ICAMへ結合し、ICAMの活性を阻害するポリヌクレオチドアプタマーを包含するよう意図される。このようなアプタマーは公知の方法を使用して同定できる。例えば、試験管内進化法又はSELEX法は、前述のように使用できる。
【0086】
別段の記載がなければ、「又は」という語は本明細書において「及び/又は」の包括的な感覚で使用され、「いずれか/又は」の排他的な感覚では使用されない。
【0087】
本明細書で使用されるように、「増大」及び「低下」という語はそれぞれ、統計的に有意な増大(つまり、p<0.1)及び統計的に有意な低下(つまり、p<0.1)を意味する。
【0088】
本明細書で使用される変数についての数の範囲の詳説は、本明細書が範囲内の値のいずれかに等しい変数で実施されてもよいことを意味するよう企図される。したがって、本質的に離散した変数について、変数は、範囲の終点を含む数の範囲内のいずれかの整数値に等しくありうる。同様に、本質的に連続する変数について、変数は、範囲の終点を含む数の範囲内のいずれかの実際の値に等しくありうる。
【0089】
「ICAM」又は「細胞間接着分子」という語は、免疫グロブリンスーパーファミリーのいくつものI型膜糖タンパク質のいずれかを指す。ICAMは、LFA−1とともに標的細胞への白血球接着のためのリガンドとして作用する。LFA−1/ICAM相互作用は、多くの細胞タイプ間の接着を仲介する。ICAMの3つのサブクラスがある。ICAM−1(CD54)は、90kDaないし115kDaの分子量を有し(図4(A)参照)、線維芽細胞、ケラチノサイト、及び軟骨細胞と同様、B細胞及びT細胞、内皮細胞、上皮細胞、及び樹状細胞において発現する。それらは、γインターフェロン、インターロイキン−1β、及び腫瘍壊死因子−αを含むサイトカインによって12時間ないし24時間で誘導可能である。ICAM−1の例には、532個のアミノ酸のICA1_HUMAN(57.76kDa)が含まれる。ICAM−2(CD102)は、約55kDaないし65kDaの分子量を有し、内皮細胞、いくつかのリンパ球、単球及び樹状細胞で構成的に発現する。ICAM−2の例には、275個のアミノ酸のICA2_HUMAN(30.62kDa)が含まれる。ICAM−3(CD50)は、116kDaないし140kDaの分子量を有し、単球、顆粒球及びリンパ球において構成的に発現する。生理学的刺激に際し、ICAM−3は迅速かつ一過性にセリン残基でリン酸化される。ICAM−3の例には、547個のアミノ酸のICA3_HUMAN(59.32kDa)が含まれる。
【0090】
本明細書で使用される「オリゴマー」という語は、その分子量がポリマーを考慮されるには小さすぎるポリマーを指す。オリゴマーは典型的に、数百の分子量を有するが、ポリマーは典型的に、数千以上の分子量を有する。
【0091】
「オリゴヌクレオチド」という語は、自然発生する塩基、糖及び糖間(主鎖)結合からなるヌクレオチド又はヌクレオシド単量体のオリゴマー又はポリマーを指す。語には、同様に機能する自然には発生しない単量体又はその一部を含む修飾された又は置換されたオリゴマーも含まれる。置換されたオリゴマーの組み込みは、細胞内取り込みの増強又はヌクレアーゼ抵抗性の亢進を含む因子に基づいており、本分野で周知のように選択される。全体的なオリゴヌクレオチド又はそのたったの一部は、置換されたオリゴマーを含有してもよい。
【0092】
「ポリエチレングリコール」又は「PEG」という語は、nが3を超える一般式H(OCHCHOHのいずれかのポリマーを指す。ある実施態様において、nは約4ないし約4000である。別の実施態様において、nは約20ないし約2000である。ある実施態様において、nは約450である。ある実施態様において、PEGは約800ダルトン(Da)ないし約100,000Daの分子量を有する。さらなる実施態様において、ポリエチレングリコールは20kDa PEG、40kDa PEG、又は80kDa PEGである。ポリエチレングリコールの平均的な相対分子量は時々、接尾数によって示される。例えば、4000ダルトン(Da)の分子量を有するPEGは、「ポリエチレングリコール4000」と呼ばれてもよい。PEGにより結合した生成物は、ペグ化した生成物と呼ばれてもよい。
【0093】
「ランダムコイル」という語は、それが溶液中にある場合のポリマー分子の形状を指し、それ自体一直線に伸ばされているよりもむしろ、それ自体後ろに折りたたまれる。このようなランダムコイルは、ポリマーと溶媒との分子間力が溶媒分子自体の間の力及びポリマー鎖セグメント間の力と等しい場合に形成する。
【0094】
「立体障害」という語は、ある分子実体(例、タンパク質)の別の分子実体(例、相互作用するタンパク質)との結合又は相互作用の制限又は防止を指す。「立体障害」という語には、立体的な基における原子又は基のサイズ及び/又は空間的な配置によってアプタマーの標的タンパク質の標的タンパク質の結合パートナー(例、その受容体とのリガンド)との結合を制限又は防止する上で、可溶性高分子量の立体的な基を有する立体的に増強されたアプタマーの効果が含まれる。
【0095】
「離れた部位」又は「アプタマー結合部位から離れている部位」は、アプタマー結合部位に対して近位又は遠位であってもよい。離れた部位は、アプタマー結合部位に近接するか、重なるか、結合部位のそばにあるか、又は離れていてもよい。
【0096】
アプタマー核酸組成物
標的分子の多様性へ結合するアプタマー核酸配列は簡単に作製される。本発明のアプタマー核酸配列は、RNAの完全に又はRNAの部分的に、DNAの完全に又は部分的に、及び/又は他のヌクレオチドアナログから構成できる。アプタマーは、SELEX(試験管内進化法)として公知の生体内又は試験管内(最も典型的には試験管内)選抜技術を採用することによって、特定のリガンドを結合するよう典型的に開発されている。アプタマーを作製する方法は、例えばEllington及びSzostak(1990)Nature 346: 818、Tuerk及びGold(1990)Science 249: 505、米国特許第5,582,981号、PCT出願第WO00/20040号、米国特許第5,270,163号、Lorsch及びSzostak(1994)Biochem.33: 973、Mannironiほか(1997)Biochem.36: 9726、Blind(1999)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 96: 3606−3610、Huizenga及びSzostak(1995)Biochem.34: 656−665、PCT出願第WO99/54506号、第WO99/27133号、及び第WO97/42317号、及び米国特許第5,756,291号に記載される。
【0097】
一般に、それらの最も基本的な形態において、RNAアプタマーを同定するための試験管内選抜技術は、無作為化されるか又は変異誘発される少なくともある領域を含有する望ましい長さのDNA分子の大きなプールをまず調製することを包含する。例えば、アプタマー選抜のための共通のオリゴヌクレオチドプールは、PCRプライマーの結合に有用な定義された配列の約15ヌクレオチド長ないし25ヌクレオチド長の領域によって両端で隣接した20ないし100の無作為化したヌクレオチドの領域を含有してもよいであろう。オリゴヌクレオチドプールは、標準的なPCR技術を使用して増幅される。次に、DNAプールは試験管内で転写される。次に、RNA転写産物は、アフィニティクロマトグラフィーへ供される。転写産物は、標的リガンドが固定されたカラムを通じて最も典型的に通過するか又は磁気ビーズ又はその類似物と接触する。リガンドへ結合するプールにあるRNA分子はカラム又はビーズへ保持され、その間、結合していない配列は洗い流される。次に、リガンドを結合するRNA分子は逆転写され、(通常溶出後)PCRによって再度増幅される。次に、選択されたプールの配列は、選抜の同一タイプの別の回を通じて置かれる。典型的に、選択されたプールの配列は、選抜手段の総計約3回ないし10回の繰り返しを通じて置かれる。次に、cDNAは、標的リガンドのためのアプタマーとして作用できるRNA分子の配列を同定するため、標準的な手段を使用して増幅され、クローン化され、配列決定される。
【0098】
本発明における使用のために、アプタマーは、正常な生理学的条件を模擬する塩濃度及び温度の存在下でリガンド結合のために選抜されてもよい。一度アプタマー配列がうまく同定されると、アプタマーはさらに、変異誘発したアプタマー配列を含むオリゴヌクレオチドのプールから開始する選抜のさらなる回を実施することによって最適化されてもよい。
【0099】
アプタマーがまだ入手可能かどうかに関係なく、当業者は適切なリガンドを一般に選択できる。たいていの場合において、当業者による選択の小さな有機分子を結合するアプタマーが得られうる。試験管内選抜プロセスの独特の性質によって、構造のどんなタイプが望ましいリガンドを結合するかもしれないかに関する先行知識の完全な不足にもかかわらず望ましいリガンドを結合する適切なアプタマーを単離できる。
【0100】
アプタマー及び会合したリガンドについての結合定数は、例えば、リガンドが銭アプタマーへ結合するよう機能し、リガンドの投与の際に得られるリガンドの濃度で望ましい効果を有するようである。生体内での使用のために、例えば結合定数は、血清又は(眼の硝子体流体などの)他の組織において達成できるリガンドの濃度を下回って結合が生じるようであるべきである。例えば、生体内での使用に必要なリガンド濃度は、生物体に及ぼす望ましくない効果を有することができるであろう濃度も下回る。
【0101】
アプタマー核酸配列は、RNA、DNA及び混合した組成物を含むことに加えて修飾されてもよい。例えば、特定の修飾されたヌクレオチドは、改善された生体内安定性又は改善された送達特徴など、ヌクレオチドを含有する高親和性核酸リガンド上での改善された特徴を付与できる。このような修飾の例には、リボース及び/又はリン酸塩及び/又は塩基の位置にある化学的な置換が含まれる。修飾されたヌクレオチドを含有する、SELEXにより同定される核酸リガンドは、ピリミジンの5’位置及び2’位置で化学的に修飾されるヌクレオチド誘導体を含有するオリゴヌクレオチドを記載する「修飾されたヌクレオチドを含有する高親和性核酸リガンド」という表題の米国特許第5,660,985号に記載される。前述の米国特許第5,637,459号は、2’−アミノ(2’−NH)、2’−フルオロ(2’−F)、及び/又は2’−O−メチル(2’−OMe)で修飾された1つ以上のヌクレオチドを含有する非常に特異的な核酸リガンドを記載する。「分子内核親和性求核性置換による公知の及び新規の2’修飾されたヌクレオシドの調製の新規の方法」という表題の1994年6月22に出願された米国出願シリアル番号第08/264,029号は、多様な2’−修飾されたピリミジンを含有するオリゴヌクレオチドを記載する。
【0102】
本発明のアプタマー核酸配列はさらに、「指数関数的な濃縮によるリガンドの系統的な進化:キメラSELEX」という表題の米国特許第5,637,459号、及び「指数関数的な濃縮によるリガンドの系統的な進化:配合されたSELEX」という表題の米国特許第5,683,867号にそれぞれ記載される他の選択されたオリゴヌクレオチド及び/又は非オリゴヌクレオチド機能的単位と組み合わされてもよい。
【0103】
アンタゴニストアプタマー標的
本発明は、アプタマー、特に1つ以上の結合パートナーへの多様な生物標的のいずれかの結合を阻害するよう機能する1つ以上の可溶性高分子量の立体的な基へ結合する特に立体的に増強したアプタマーを提供する。アプタマーはそれにより生物標的のアンタゴニストとして機能する。たいていの場合において、標的/結合パートナーの相互作用の混乱は、標的タンパク質の1つ以上の生物機能を阻害するよう機能するであろう。しかしながら、特定の場合において、結合パートナーが標的の生物機能を阻害するよう機能する場合、立体的に増強したアプタマーアンタゴニストは標的タンパク質の生物機能を活性化してもよい。したがって、本発明の「アンタゴニスト」アプタマー抱合体は、例えば(シグナル伝達リガンドポリペプチドなどの)標的タンパク質と、その結合パートナー(細胞表面受容体タンパク質など)の1つ以上との結合の機能的な「アンタゴニスト」である。
【0104】
例えば、VEGFアプタマーは、乾癬、眼の疾患、コラーゲン循環器疾患及び新生物性疾患を含む血管形成を包含する多様な疾病におけるVEGFの役割によって広範囲の臨床上の有用性を有する。
【0105】
VEGFリガンドは、VEGF遺伝子の代替的なスプライシングの結果として4つの形態(VEGF−121、VEGF−165、VEGF−189、VEGF−206)において生じる(Houckほか(1991)Mol.Endocrin.5: 1806−1814; Tischerほか(1991)J.Biol.Chem.266: 11947−11954)。2つのより小さな形態は拡散可能であるのに対し、より大きな2つの形態はヘパリンに対するその高い親和性の結果として、細胞膜へ主として局在したままである。VEGF−165もヘパリンへ結合し、最も豊富な形態である。ヘパリンへ結合しない唯一の形態であるVEGF−121は、より低い分裂能(Keytほか(1996)J.Biol.Chem.271: 7788−7795)と同様、VEGF受容体に対するより低い親和性を有するようである(Gitay−Gorenほか(1996)J.Biol.Chem.271: 5519−5523)。VEGFの生物効果は、発現が内皮由来の細胞に非常に制限される2つのチロシンキナーゼ受容体(それぞれVEGF−R1及びVEGF−R2としても公知のFlt−1及びFlk−1/KDR)によって仲介される(de Vriesほか(1992)Science 255: 989−991; Millauerほか(1993)Cell 72: 835−846; Termanほか(1991)Oncogene 6: 519−524)。両機能的状態の発現が高い親和性結合に必要である一方で、内皮細胞における走化性及び分裂促進的シグナル伝達は主としてKDR受容体を通じて生じるようである(Parkほか(1994)J.Biol.Chem.269: 25646−25654; Seetharamほか(1995)Oncogene 10: 135−147; Waltenbergerほか(1994)J.Biol.Chem.26988−26995)。血管の発達のためのVEGF及びVEGF受容体の重要性は、VEGF遺伝子に対する単一の対立遺伝子(Carmelietほか(1996)Nature 380: 435−439; Ferraraほか(1996)Nature 380: 439−442)又はFlt−1(VEGF−R1)遺伝子(Fongほか(1995)Nature 376: 66−70)若しくはFlk−1/KDR(VEGF−R2)遺伝子(Shalabyほか(1995)Nature 376: 62−66)の両対立遺伝子を欠失するマウスにおいて最近示されている。各場合において、血管形成における明確な異常性は胚死亡率を生じることが観察された。
【0106】
VEGFは、事実上すべての腫瘍細胞によって変動する量で産生及び分泌される(Brownほか(1997)Regulation of Angiogenesis(Goldberg及びRosen編)Birkhauser、Basel、pp.233−269)。VEGF及びその受容体が腫瘍成長に関与するという直接的な証拠は、ヌードマウスにおけるヒト腫瘍xenograftの成長がVEGFに対する抗体を中和すること(Kimほか(1993)Nature 362: 841−844)によって、優位抑制型VEGF受容体flk−1の発現(Millauerほか(1996)Cancer Res.56: 1615−1620; Millauerほか(1994)Nature 367: 576−579)によって、Flk−1チロシンキナーゼ活性の低分子量阻害剤(Strawnほか(1996)Cancer Res.56: 3540−3545)によって、又はVEGFmRNAに対するアンチセンス配列の発現(Salehほか(1996)Cancer Res.56: 393−401)によって阻害できることを示すことによって最近得られた。重要なことに、腫瘍の転移の発症は、VEGFアンタゴニストによって劇的に低下することも発見された(Claffeyほか(1996)Cancer Res.56: 172−181)。
【0107】
したがって、VEGFのアプタマーアンタゴニストは、血管新生を包含する疾病の治療において有用である。例えば、VEGFアンタゴニストは、老年者集団におけるその他の疾病よりもより重度の展望を生じる脈絡膜血管新生(CNV)の存在によって特徴付けられる進行性疾患である新生血管の加齢関連黄斑変性症(AMD)を治療するために使用されてきた(Csakyほか(2003)Ophthalmol.110: 880−881)。
【0108】
VEGF阻害剤の1つのタイプは、核酸ベースのVEGFリガンドtermedアプタマーである。アプタマーは、特異的な3時限構造を採用する核酸の化学的に合成された短鎖であり、試験管内進化法(SELEX)と呼ばれる試験管内選抜のプロセスを通じて特定の標的に対する親和性について選抜される。SELEXは、いずれかの標的に対する適切な結合親和性及び特異性を有する特異的な配列について迅速にオリゴヌクレオチドの莫大な数がスクリーニングされる組み合わせ化学方法論である。このプロセスを使用して、特定の標的に特異的な新規のアプタマー核酸リガンドが作製されてもよい。
【0109】
VEGFの作用を遮断するVEGFアプタマー阻害剤が開発されてきた。これらの抗VEGFアプタマーは、ヒトGVEGFの165kDa分子種へ高い親和性で結合する小さな安定性のあるRNA様分子である。このようなVEGFアプタマーは、乾癬、眼の疾患、コラーゲン循環器疾患及び新生物性疾患を含む血管形成を包含する多様な疾病におけるVEGFリガンドの役割によって広範囲の臨床上の有用性を有する。一般にSELEXプロセス、特にVEGFアプタマー及び製剤は、例えば米国特許第5,270,163号、第5,475,096号、第5,696,249号、第5,670,637号、第5,811,533号、第5,817,785号、第5,849,479号、第5,859,228号、第5,958,691号、第6,011,020号、第6,061,698号、第6,147,204号、第6,168,778号、第6,426,335号、及び第6,696,252号に記載されており、それらの各々の内容は本明細書に参照によって特に組み込まれる。
【0110】
多様な他の生物標的を標的とする多くの他のアプタマー配列が開発されてきた。例えば、サイトカイン(米国特許第6,028,186号参照)、7回膜貫通型Gタンパク質共役受容体(米国特許第6,682,886号参照)、DNAポリメラーゼ(米国特許第5,693,502号、第5,763,173号、第5,874,557号、及び第6,020,130号参照)、補体系タンパク質(米国特許第6,395,888号及び第6,566,343号参照)、レクチン(米国特許第5,780,228号、第6,001,988号、第6,280,932号、及び第6,544,959号参照)、インテグリン(米国特許第6,331,394号参照)、及び肝細胞成長因子/散乱係数(HGF/SP)又はその受容体(c−met)(米国特許第6,344,321号参照)と同様、PDGF(米国特許第5,668,264号、第5,674,685号、第5,723,594号、第6,229,002号、第6,582,918号、及び第6,699,843号参照)、塩基性FGF(米国特許第5,459,015号及び第5,639,868号参照)、CD40(米国特許第6,171,795号参照)、TGFβ(米国特許第6,124,449号、第6,346,611号、及び第6,713,616号参照)、CD4(米国特許第5,869,641号)、絨毛性ゴナドトロピンホルモン(米国特許第5,837,456号及び第5,849,890号参照)、HKGF(米国特許第5,731,424号、第5,731,144号、第5,837,834号、及び第5,846,713号参照)、ICP4(米国特許第5,795,721号)、HIV逆転写酵素(米国特許第5,786,462号参照)、HIVインテグラーゼ(米国特許第5,587,468号及び第5,756,287号参照)、HIV−gag(米国特許第5,726,017号参照)、HIV−tat(米国特許第5,637,461号参照)、HIV−RT及びHIV−rev(米国特許第5,496,938号及び5,503,978号)、HIVヌクレオカプシド(米国特許第5,635,615号及び第5,654,151号)、好中球エラスターゼ(米国特許第5,472,841号及び第5,734,034号)、IgE(米国特許第5,629,155号及び第5,686,592号)、タキキニンP物質(米国特許第5,637,682号及び第5,648,214号)、分泌性ホスホリパーゼA2(米国特許第5,622,828号参照)、トロンビン(米国特許第5,476,766号参照)、腸ホスファターゼ(米国特許第6,280,943号、第6,387,635号、及び第6,673,553号参照)、テネイシン−C(米国特許第6,232,071号及び第6,596,491号参照)を標的にするアプタマー配列が開発されてきた。これらの配列及び他のアプタマーの配列は本発明において組み込まれうる。望ましい生物標的を標的にするなおより多くのアプタマーは、SELEXベースの方法論の適応性をおそらく付与される。
【0111】
他の有用なアプタマー標的には、以下に制限されるものではないが、NF−κB、RRE、TAR、HIV−1のgp120、HIV−1、MAPキナーゼ、アミロイド原線維、オノスタチンM(Onostatin M)(OSM)、E2F、アンジオポエチン−2、凝固因子IXa、Ras誘導性Raf活性化タンパク質、ヌクレオカプシド、チューブリン、C型肝炎ウィルス(HCV)、及びスパイゲルマー(spiegelmer)(鏡像ヌクレオチド)が含まれる。
【0112】
本発明の特に有用なアプタマー標的には接着分子及びそれらのリガンドが含まれ、その多くは細胞連絡を容易にし、本発明の方法及び組成物に特に従う大きな多領域の細胞外領域を有する。接着分子には、セレクチン(例、L−セレクチン(硫酸化GlyCAM−1、CD34、及びMAdCAM−1へ結合するCD62L))、E−セレクチン(CD62E)及びP−セレクチン(CD62P)、インテグリン(例、ICAMであるICAM−1、ICAM−2及びICAM−3へ結合するLFA−1(CD11a)及びICAM−1、X因子、iC3b及びフィブリノーゲンへ結合するCD11b)、MAG(ミエリン結合糖タンパク質)、MOG(ミエリン−オリゴデンドロサイト糖タンパク質)、及びNCAM−1(CD56)などの神経特異的IgCAMを含むタンパク質の免疫グロブリン(Ig)スーパーファミリー、(LFA−1へ結合する)ICAM−1(CD54)(前述参照)、ICAM−2(CD102)、ICAM−3(CD50)、及び(ヒアルロニン、アンキリン、フィブロネクチンMIP1β及びオステオポンチンへ結合する)CD44、並びに(カドヘリンE(1)、N(2)、BR(12)、P(3)、R(4)等及びデスモコリン1などのデスモコリンなどの)カドヘリンが含まれる。
【0113】
アプタマーは、診断上の使用(例、ヒト赤血球細胞ゴーストの認識、癌細胞診断における親細胞から分化した細胞の識別)のために開発されてもよい。例えば、アプタマーはタンパク質、代謝産物、アミノ酸、及びヌクレオチドなど(例、コレラ毒素及びブドウ球菌性エンテロトキシン)の分子を特異的に標的にしてもよい。
【0114】
立体的な基
本発明は、可溶性で、標的特異的アプタマー核酸配列と共役してもよい高分子量の立体的な基を提供する。立体的な基の共役は、アプタマー核酸の5’末端及びアプタマー核酸の3’末端を通じてであってもよく、又は5’末端ないし3’末端のアプタマー核酸配列に沿ったいずれかの位置を通じてであってもよい。例えば、高分子量の立体的な基は、アプタマー核酸配列の塩基の環外アミノ基にあるアプタマー、ピリミジンヌクレオチドの5の位置、プリンヌクレオチドの8の位置、リン酸塩のヒドロキシル基、又はリボース基のヒドロキシル基と共役してもよい。高分子量の立体的な基をこれらの多様な位置にあるアプタマー核酸配列へ化学的に結合するための手段は本分野で公知であり、及び/又は以下に例証される。
【0115】
適切な高分子量の立体的な基には一般に、アプタマー結合標的とその結合パートナーとの相互作用に立体的に干渉するのに十分な水力学的体積を有するいずれかの可溶性高分子量化合物が含まれる。例には、ポリマー、ゲル形成化合物、及びそれらに類似物が含まれるが、それらには限定されない。適切な高分子量の立体的な基には、ポリマーネットワーク間に浸透すること及びポリマーネットワーク内に浸透することが含まれうる。
【0116】
特定の可溶性高分子量の立体的な基の最適な特徴は、本明細書に教示された手段並びに本明細書に教示された方法及び組成物を使用して決定されてもよい。最適な立体的ポリマーを決定するための方法には、実施例8ないし実施例12として本明細書に記載の阻害アッセイが含まれる。
【0117】
あるいは、可溶性高分子量の立体的な基の流体力学的半径を測定するために動的光散乱を使用できる。流体力学的半径と有効性との相関は、間接的な有効性の測定結果を提供するかもしれない。
【0118】
本発明の特に有用な立体的な基の例には、以下に制限されるものではないが、グリコサミノグリカン、ヒアルロナン、及びアルギン酸塩などの多糖類、ポリエステル、(プルロニック(Pluronic)(R)などの)高分子量ポリオキシアルキレンエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアクリル酸塩、ポリオール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ無水物、カルボキシメチルセルロース、他のセルロース誘導体、キトサン、ポリアルデヒド又はポリエーテルが含まれる。
【0119】
有用な立体的な基は、水又は生理学的溶液中で可溶性であろう。ある実施態様において、立体的な基は少なくとも1mg/mlの水溶解性を有する。別の実施態様において、立体的な基は少なくとも10mg/mlの水溶解性を有する。別の実施態様において、立体的な基は少なくとも100mg/mlの水溶解性を有する。
【0120】
有用な立体的な基は、約800Daないし約3,000,000Daの範囲の分子量を有し、及び/又は立体的な障害を提供するために(例えば、リガンドとその受容体などの、アンタゴニストアプタマー標的と標的結合パートナーとの結合を遮断するために)十分なサイズの水力学的体積を有するであろう。ある実施態様において、立体的な基は、約20キロダルトン(kDa)ないし約1000kDaの分子量を有する。別の実施態様において、立体的な基は、約5kDaないし約100kDaの分子量を有する。ある特定の実施態様において、立体的な基は約20kDaの分子量を有する。別の特定の実施態様において、立体的な基は約40kDaの分子量を有する。別の特定の実施態様において、立体的な基は約80kDaの分子量を有する。
【0121】
ある実施態様において、立体的な基は、約0.5ナノメーター(nm)ないし約1000nmの範囲の水力学的体積を有する。別の実施態様において、立体的な基は、約1ナノメーター(nm)ないし約10nmの範囲の水力学的体積を有する。ある特定の実施態様において、立体的な基は約2nmの水力学的体積を有する。別の特定の実施態様において、立体的な基は約4nmの水力学的体積を有する。別の特定の実施態様において、立体的な基は約8nmの水力学的体積を有する。
【0122】
ある実施態様において、可溶性高分子量の立体的な基はポリエーテルポリオールである。好ましい実施態様において、可溶性高分子量の立体的な基はポリエチレングリコール(PEG)である。PEGは、遊離ヒドロキシル基を有してもよいか、又はアルキル化されてもよい。好ましい実施態様において、アプタマーへ結合していないPEGの末端はメトキシ基を有する(mPEG)。
【0123】
別の実施態様において、可溶性高分子量の立体的な基は多糖類である。ある実施態様において、可溶性高分子量の立体的な基はデキストランである。デキストランは、直鎖又は分岐鎖であってもよい。ある実施態様において、デキストランはカルボキシメチルデキストラン(CMDex)である。
【0124】
別の実施態様において、可溶性高分子量の立体的な基はセルロース誘導体である。別の実施態様において、可溶性高分子量の立体的な基はカルボキシメチルセルロース(CMC)である。デキストランのアナログであるCMC及びその還元末端は、共役におけるシッフ塩基化学による生物学的活性化合物のアミン基への共役のために入手可能である。別の実施態様において、可溶性高分子量の立体的な基はポリグリコサミンである。別の実施態様において、可溶性高分子量の立体的な基はキトサンである。
【0125】
多糖類は、還元的アミノ化によってアプタマーの末端でアミンへ結合されてもよい。アルデヒド又はヘミアセタール機能性などの還元性末端を含有する多糖類は、二次アミン結合を生じるために還元的アミノ化によって一次アミン含有アプタマーへ共役されてもよい。あるいは、アプタマーは、アプタマーとヒドラジン又はヒドラジン機能性との間に共有結合が存在するよう修飾されてもよい。イミンの、これらのアミン当量のいずれかによる形成は、従来のイミンに相対的な加水分解に対して安定化する抱合体を提供する。ヒドラジン又はヒドラジン共役は、還元的アミノ化がリンカーの長さによって制限される場合に有用である。例えば、ヒドラジン又はヒドラジン共役は、かさ高い部分及び高電子密度巨大分子部分の各々の反応基が互いに引き付けられることができながら、リンカーがかさ高い部分及び高電子密度巨大分子部分を分離するのに必要とされる場合、特に有用である。オリゴヌクレオチドアミンとヒドラジン又はヒドラジドとの間のリンカーは、立体的な自由度の余分を測定してもよい。ヒドラジン又はヒドラジドから生じるイミンは、さらなる還元又はアミン様結合を生じるために還元されることなく使用されてもよい。
【0126】
別の実施態様において、可溶性高分子量の立体的な基はポリアルデヒドである。さらなる実施態様において、ポリアルデヒド基は、合成的に派生されるか又はオリゴ糖の酸化によって得られるかのいずれかであってもよい。
【0127】
別の実施態様において、可溶性高分子量の立体的な基はアルギン酸塩である。好ましい実施態様において、アルギン酸基は、ナトリウム又はカルシウムなどの陽イオン性対イオンを有する塩として提供される陰イオン性アルギン酸基であってもよい。
【0128】
別の実施態様において、可溶性高分子量の立体的な基はポリエステルである。特定の実施態様において、ポリエステル基は、共ブロック重合体のポリエステル基であってもよい。
【0129】
別の実施態様において、可溶性高分子量の立体的な基は、ポリ乳酸(PLA)又はポリ乳酸共グリコリド(glycolide)(PLGA)である。適切なPLGA基及びPLGA基を共役するための方法は、J.H.Jeongほか、Bioconjugate Chemistry 2001,12,917−923; J.E.Ohほか、Journal of Controlled Release 1999,57,269−280及びJ.E.Ohほか、米国特許第6,589,548号に見られ、各々の内容はその全体において本明細書で参照によって組み込まれる。
【0130】
別の実施態様において、高分子量の立体的な基はデンドロン(dendron)である。デンドロン(dendron)は、モノマー及び表面修飾のいずれかの組み合わせから構成されてもよい。有用な単量体の例には、以下に制限されるものではないが、ポリアミドアミン(PAMAM)が含まれる。有用な表面修飾の例には、以下に制限されるものではないが、陽イオン性アンモニウム、N−アシル及びN−カルボキシメチル基が含まれる。デンドロン(dendron)は、多価陰イオン性、多価陽イオン性、疎水性又は親水性であってもよい。ある特定の実施態様において、デンドロン(dendron)は約1個ないし約256個の表面修飾基を有する。別の特定の実施態様において、デンドロン(dendron)は、約4、8、16、32、64又は128個の表面修飾基を有する。デンドロン(dendron)及びデンドリマー共役技術の例は米国特許第5,714,166号に見られ、それはその全体において本明細書に参照によって組み込まれる。デンドロン(dendron)をアプタマーへ共役するための一般的な合成スキームは図15に示される。
【0131】
別の実施態様において、可溶性高分子量の立体的な基はウシ血清アルブミン(BSA)である。BSA上の遊離チオールの存在は、ある末端にチオール反応基を、その他の末端にアミン反応基を含有する二機能性リンカーを採用することによって、アミン含有アプタマーの共役を可能にする。BSAをアプタマーへ共役するための一般的な合成スキームは図14に示される。二機能性リンカーをアプタマーへ共役するための一般的な合成スキームは図16に示される。
【0132】
他の特に有用な実施態様において、可溶性高分子量の立体的な基は、グリコサミノグリカン、ヒアルロナン、ヒアルロン酸(HA)、アルギン酸塩、(プルロニック(Pluronic)(R)などの)高分子量ポリオキシアルキレンエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ無水物(polyanhydride)、ポリエーテル又はポリカプロラクトンであってもよい。
【0133】
荷電された分子
本発明は、標的特異的アプタマー核酸配列などの生物学的活性分子へ共役されてもよい大きく荷電分子を提供する。荷電分子は、本分野で周知のいずれかの適切な電荷分子でありうる。好ましくは荷電分子は陰イオン荷電した又は陽イオン荷電したポリマー又は多価電解質である。荷電分子を生物学的活性分子へ化学的に結合させるための手段は、本分野で公知であるか及び/又は以下に例証される。
【0134】
陰イオンポリマーの例には、以下に制限されるものではないが、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリルアミド、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カラゲナン、硫酸セルロース、硫酸デキストラン/デキストリン、ポリ(スルホン酸ナフタレン)、ポリ(スチレン−4−スルホン酸)及びポリ(4−スチレンスルホン酸共マレイン酸)が含まれる。
【0135】
陽イオンポリマーの例には、以下に制限されるものではないが、キトサン、ポリグルコサミン、ポリリジン、ポリグルタミン酸塩、ポリビニルアミン、2−(ジエチルアミノ)エタノール(DEAE)、スペルミン及びプトレシンなどのアミンを含むポリマー、及び他のポリアミンが含まれる。
【0136】
「多価電解質」という語は、荷電された(負に荷電された、正に荷電された、または双性イオン性の)、又は荷電させられることのできるいずれかの分子、イオン又は粒子、有機物又は無機物を記載するよう使用される。多価電解質は、少なくとも1つの、好ましくは2つ以上の荷電した基を有する。「多価電解質」という語には、異別の多価電解質又は異別の分子量分布を有する同様の多価電解質の混合物も含まれる。「電解質」は、単一の分子又は分子の凝集体であってもよい。多価電解質が粒子状である場合、つまり、複数の分子凝集体からなる場合、粒子は多孔性又は非多孔性であることができ、例えばミセル(陽イオン性又は陰イオン性)又はリポソーム(陽イオン性又は陰イオン性)などの巨大分子構造であってもよい。多か電解質は、陽イオン性多価電解質、陰イオン性多価電解質、両性多価電解質及びそれらの混合物からなる群から選択できる。
【0137】
多価電解質は、四級アンモニウム、スルホニウム、ホスホニウム、カルボン酸塩、スルホン酸塩及びリン酸塩からなる群から選択される1つ以上のイオン基を含むポリマー主鎖を典型的に含むことができる。
【0138】
このような多価電解質化合物に適した主鎖構造の例には、以下に制限されるものではないが、アクリルアミド、付加ポリマー(例、ポリスチレン)、オリゴ糖及び多糖類(例、アガロース、デキストラン、セルロース)、ポリアミン及びポリカルボン酸塩、ポリエチレン、ポリイミン、ポリスチレン、及びそれらの混合物が含まれる。
【0139】
陽イオン性多価電解質は、四級アンモニウムなどの1つ以上のイオン基、貯蔵溶液pHで荷電した一次、二次、又は三次アミン、貯蔵溶液pHで荷電した複素環式化合物、スルホニウム基、又はホスホニウム基を典型的に含有する。
【0140】
陰イオン性多価電解質は、カルボン酸基、スルホン酸基及びリン酸基などの1つ以上のイオン基を典型的に含有する。
【0141】
さらに、これらのカテゴリーのうちの2つ以上の特徴を有する多価電解質も本発明の方法において使用されてもよい。例えば、ポリアクリルアミドなどの化合物の部分的な加水分解は、アミド基(非イオン性)及びカルボン酸基(陰イオン性)の両者を有する両性多価電解質を生じる。
【0142】
陽イオン性多価電解質の例には、以下に制限されるものではないが、ポリビニルアルコールなどの付加ポリマー及び、ポリ(ビニル4−アルキルピリジニウム)、ポリ(ビニルベンジルトリメチル−1アンモニウム)及びポリビニルイミンなどの他のポリビニル化合物、アミノ化スチレン、コレスチラミン、ポリエチレンイミンなどのポリイミン、アミノ化多糖類、特にデキストラン(例、炭酸デキストラン及びDEAEデキストラン)などの架橋された多糖類、及びそれらの混合物が含まれる。
【0143】
陰イオン性多価電解質の例には、以下に制限されるものではないが、メタンプロパンスルホン酸アクリルアミド(ポリ−AMPS)、ポリ(N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルメタクリルアミド)及びアクリルアミドの他の陰イオン共重合体などのアクリルアミド、アルキン酸塩及びアルギン酸、アクリル酸塩及びメタクリル酸塩の誘導体のホモポリマー及び共重合体などの付加ポリマー(例、エチルメタクリル酸ヒドロキシル(ポリ−HEMA)、ポリ(2−メタクリル酸DEAE)リン酸)、及びポリ(ポリアクリル酸ナトリウムなどの塩を含むアクリル酸エチル共マレイン酸無水物共酢酸ビニル)ナトリウム、ポリスチレン(例、スルホン酸ポリスチレン、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリスチレンナトリウムスルホン酸ナトリウム(「NaPSS」)、ポリ(無水マレイン酸共スチレン)2−ブトキシエチルエステル、アンモニウム塩)、並びに、遊離ヒドロキシル機能性を有するそれらのエステル及びアミド、ヒアルロン酸塩、陰イオン的に荷電したシクロデキストランなどのオリゴ糖(例、スルホブチルエーテル、β−シクロデキストラン)、ペクチン酸、ポリアクリル酸(例、ポリ(アクリル酸doエチレン)ナトリウム)、多糖類、デキストラン(例、スルホン酸デキストラン及びヘパリン)などの特に架橋した多糖類、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルホスホン酸、及びそれらの混合物が含まれる。
【0144】
多価電解質として使用するのに適した他の材料には、以下に制限されるものではないが、ヘパリン及びヘパリン誘導体、陰イオン性及び陽イオン性の両者のリポソーム、陰イオン性及び陽イオン性の両者のミセル、ポリビニルピリジンなどのポリアミン、クロロスルホン酸化ポリエチレン、ポリ(4−t−ブチルフェノール共酸化エチレン共ホルムアルデヒド)リン酸、エチル硫酸ポリエチレンアミノステアラミド、ポリ(エチレン共アクリル酸イソブチル共メタクリル酸)カリウム、ポリ(エチレン共アクリル酸イソブチル共メタクリル酸)ナトリウム、ポリ(エチレン共アクリル酸イソブチル共メタクリル酸)ナトリウム亜鉛、ポリ(エチレン共アクリル酸イソブチル共メタクリル酸)亜鉛、ポリ(エチレン共メタクリル酸共酢酸ビニル)カリウム、ポリエチレンイミン、及びポリ(酸化エチレン共ホルムアルデヒド共4−ノニルフェノール)リン酸、アガロース、セルロース(例、ベンゾイル化ナフトイル化ジエチルアミノエチル(DEAE)セルロース、ベンジルDEAEセルロース、トリエチルアミノエチル(TEAE)セルロース、カルボキシメチルセルロース、リン酸セルロース、DEAEセルロース、エピクロロヒドリントリエタノールアミンセルロース、オキシセルロース、スルホキシエチルセルロース及びQAEセルロース)、デンプン、及びそれらの類似物などの架橋された多糖類を含む多糖類、及びそれらの混合物が含まれる。
【0145】
当業者は、「高電荷密度ポリマー」という語の意味を理解するであろう。本明細書で使用される「高電荷密度ポリマー」は、実質的に高い電荷密度を有するよう本分野で典型的に認識されるポリマーを指す。ある実施態様において、高電荷密度ポリマーは、約1ミリ当量/グラム(meq/g)ないし約20meq/gの範囲の電荷密度を有してもよい。別の実施態様において、高電荷密度ポリマーは、少なくとも5meq/gの電荷密度を有する。別の実施態様において、高電荷密度ポリマーは、少なくとも10meq/gの電荷密度を有する。
【0146】
高分子量の立体的な基は、アプタマー上のいずれかの位置でアプタマーへ結合されてもよい。本発明のある有用な実施態様において、高分子量の立体的な基は、アプタマー配列の5’末端で、又はアプタマー配列の3’末端で、又は5’末端又は3’末端以外の位置でアプタマーへ結合されてもよい。高分子量の立体的な基へ結合するための適切な内部アプタマー配列位置(つまり、5’末端以外又は3’末端以外の位置)の例には、アプタマー核酸配列の1つ以上の塩基上の環外アミノ基、1つ以上のピリミジンヌクレオチドの5の位置、1つ以上のプリンヌクレオチドの8の位置、リン酸塩の1つ以上のヒドロキシル基、又は1つ以上のリボース基の1つ以上のヒドロキシル基が含まれる。
【0147】
本発明は、対応する結合していないアプタマーよりも標的に及ぼす強いアンタゴニスト効果を有するアプタマー抱合体を同定する方法を提供する。本発明には一般に次の段階が含まれる。すなわち、
a)可溶性高分子量の立体的な基へ独立して結合した複数のアプタマー抱合体を提供する段階、
b)これら異別に共役されるアプタマーの各々を独立してリガンド及びリガンドの受容体と接触させる段階、
c)各アプタマー抱合体の存在下でのリガンド/受容体結合又はリガンド依存性受容体活性化の量を、アプタマー抱合体の不在下でのリガンド/受容体結合又はリガンド依存性受容体活性化の量と比較する段階
である。
【0148】
次に、リガンド/受容体結合又はリガンド依存性受容体活性化を阻害する最大の能力を有する特定のアプタマー抱合体を選抜する。それにより、方法は、リガンド/受容体標的に及ぼすアンタゴニスト効果の増強したアプタマー抱合体を同定する。
【0149】
ある実施態様において、標的がリガンド又はリガンドの受容体である、標的に及ぼすアンタゴニスト効果の増強したアプタマー抱合体を同定する方法は、アプタマーの5’末端で、3’末端で、及び1つ以上の5’末端以外又は3’末端以外の位置で、約20kDaないし約100kDaの分子量を有し、多糖類、グリコサミノグリカン、ヒアルロナン、アルギン酸塩、ポリエステル、高分子量ポリオキシアルキレンエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアクリル酸塩、ポリオール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ無水物、カルボキシメチルセルロース、セルロース誘導体、キトサン、ポリアルデヒド、及びポリエーテルからなる群から選択される可溶性高分子量の立体的な基へ独立して結合された複数のアプタマー抱合体を提供する段階、アプタマー抱合体の各々をリガンド又はリガンドの受容体と接触させる段階、リガンド/受容体結合又はリガンド依存性受容体活性化の量を検出する段階、リガンド/受容体結合又はリガンド依存性受容体活性化を阻害する最大の能力を有し、対応する共役していないアプタマーよりもリガンド/受容体標的に及ぼす強いアンタゴニスト効果を有するアプタマー抱合体を選抜する段階を含む。
【0150】
特定の理論又は作用のメカニズムに対して本発明を制限せずに、アプタマーの立体的な増強から生じるアンタゴニスト活性の拡大の原理は、タンパク質−タンパク質間の相互作用(例、リガンド及びその受容体などの結合パートナーとのあるタンパク質の相互作用を遮断する作用)の混乱に影響するアプタマーへ一般的に適用可能である。
【0151】
作用の第一メカニズムにおいて、アプタマーへの可溶性高分子量の立体的な基の付加は、個別の受容体結合部位を越えてアプタマーの到達が伸展でき、それにより受容体へ結合するリガンドの能力を遮断する。
【0152】
アプタマーは、リガンドの受容体結合部位に対して近くの、隣接した、近位の又は遠位の領域にあるリガンドへ結合してもよい。アプタマーへの可溶性高分子量の立体的な基の付加は、隣接する受容体結合部位を越えてアプタマーの到達が伸展し、それにより受容体へ結合するリガンドの能力を遮断する。アプタマーのこのような立体的な増強の例は図9に示されている。図9は、可溶性高分子量の立体的な基(5)が受容体結合部位(4)を越えて伸展する場合の受容体結合部位(4)に隣接する部位(3)でリガンド(2)へ結合する可溶性高分子量の立体的な基(5)へ抱合されたアプタマー(1)を示す。高分子量の立体的な基(5)は、受容体(7)のリガンド結合部位(6)へ結合するリガンド(2)の受容体結合部位(4)の能力を妨害する。
【0153】
類似した方法で、アプタマーは、リガンド結合受容体のリガンド結合部位に対して近くの、隣接した、近位の又は遠位の領域にあるリガンド結合受容体へ結合してもよい。アプタマーへの可溶性高分子量の立体的な基の付加は、隣接するリガンド結合部位を越えてアプタマーの到達を伸展させ、それによりリガンドへ結合する受容体の能力を遮断する。アプタマーのこのような立体的な増強の例は図10に示されている。図10は、可溶性高分子量の立体的な基(5)がリガンド結合部位(6)を越えて伸展する場合のリガンド結合部位(6)に隣接する部位(3)で受容体(7)へ結合する可溶性高分子量の立体的な基(5)へ抱合されたアプタマー(1)を示す。高分子量の立体的な基(5)は、受容体(7)のリガンド結合部位(6)へ結合するリガンド(2)の受容体結合部位(4)の能力を妨害する。
【0154】
本発明のある態様において、標的タンパク質が、生理学的pHで全体的な正の電荷によって特徴付けられる塩基性ドメインと同様、生理学的pHで全体的な負の電荷によって特徴付けられる酸性ドメインを有する場合の、結合パートナーへの標的タンパク質の結合を阻害する。本発明のこの態様において、結合パートナーは標的タンパク質の酸性ドメインを通じて結合し、結合パートナーへの標的タンパク質の結合は、標的タンパク質の酸性ドメインへの結合パートナーの結合を立体的に妨げる可溶性高分子量の立体的な基及び標的タンパク質の塩基性ドメインへ結合するアプタマー核酸配列を含む立体的に増強されたアプタマー抱合体と標的タンパク質を接触させることによって阻害され、それにより結合パートナーへの標的タンパク質の結合は阻害される。図11は、リガンド(左)の塩基性領域へ結合するアプタマーがリガンド受容体(右)へのリガンド結合を効果的に遮断するよう立体的に増強される、立体的に増強されるリガンドアプタマーアンタゴニストのデザインの模式的な表示である。
【0155】
作用の第二メカニズムにおいて、アプタマーへの可溶性高分子量の立体的な基の付加は、リガンドにおけるアロステリック効果を誘発できる。可溶性高分子量の立体的な基はリガンドの高次構造を変化させてもよく、それによりリガンドのその受容体への結合活性を変化してもよい。複数の結合部位を有するリガンドの場合において、アロステリック効果は協調した挙動を生じうる。
【0156】
可溶性高分子量の立体的な基へ抱合されたVEGFアプタマーの活性を、VEGFR−1(Flt−1)阻害アッセイによって決定した。アッセイの結果を図4ないし図8に示す。結果は、ペガプタニブ(Pegaptanib)(図1にその構造が示されるEYE−001、MacI)などの立体的に増強したVEGFアプタマー抱合体が、EYE−002(図2にその構造が示されるMacII)などの増強されていないVEGFアプタマーよりもVEGF結合を阻害する上で非常により効果的であることを示す。
【0157】
5’ペグ化したアプタマーの化学構造の例を図1に示す。多様な5’ペグ化したVEGFアプタマー抱合体を使用するアッセイの結果のグラフ呈示を図4に示す。立体的に増強したVEGFアプタマーの有効性は、添加された可溶性高分子量の立体的な基の分子量と相関した。図4に示されるアッセイは多様な分子量の分岐鎖PEGを比較した。例えば、2つの20kDaPEGユニット(20K/20K分岐鎖)を有する抱合体を、5kDaPEG(5K/5K分岐鎖)を有する抱合体と比較した。図4に示されるアッセイは多様な分子量の直鎖PEGを比較した。例えば、30kDaのPEG(30K直鎖)を有する抱合体を10kDaのPEG(10K直鎖)を有する抱合体と比較した。有意に、抱合していないPEG単独(コントロール)は、これらの可溶性高分子量の立体的な基がVEGF−Flt−1結合に直接的には影響しないが、立体的な基が抱合されたVEGFアプタマーを通じて作用することを示す、Flt−1へのVEGFの結合を阻害しなかった。
【0158】
デキストランにより共役されたアプタマーの化学構造の例を図12に示す。デキストラン−VEGFアプタマー抱合体の活性を、VEGFR−1(Flt−1)阻害アッセイにより決定した。アッセイ結果のグラフ呈示を図5に示す。図4に示されるアッセイは多様な分子量のデキストランも比較した。例えば、70kDaのデキストラン(70Kデキストラン)を有する抱合体を10kDaのデキストラン(10Kデキストラン)を有する抱合体と比較した。有意なことに、共役していないデキストラン単独(コントロール)は、これらの可溶性高分子量の立体的な基がVEGF/Flt−1結合に直接的には影響しないが、立体的な基が共役されたVEGFアプタマーを通じて作用することを示す、Flt−1へのVEGFの結合を阻害しなかった。
【0159】
CMCにより共役されたアプタマーの化学構造の例を図13に示す。CMC−VEGFアプタマー抱合体の活性を、VEGFR−1(Flt−1)阻害アッセイにより決定した。アッセイの結果を図6に図示する。顕著に、共役していないCMC単独(コントロール)は、これらの可溶性高分子量の立体的な基がVEGF/Flt−1結合に直接的には影響しないが、立体的な基が共役されたVEGFアプタマーを通じて作用することを示す、Flt−1へのVEGFの結合を阻害しなかった。
【0160】
図7は、多様な分子量及び分子半径(水力学的体積)のPEG部分を有する多様なペグ化したVEGFアプタマー抱合体を使用するVEGFR−1(Flt−1)阻害アッセイの結果を示す。立体的に増強したVEGFアプタマー抱合体の有効性は、付加された可溶性高分子量の立体的な基の分子量とも相関した。立体的に増強したVEGFアプタマー抱合体の有効性は、付加された可溶性高分子量の立体的な基の分子半径(水力学的体積)とも相関した。
【0161】
図8は、多様な3’ペグ化したVEGFアプタマー抱合体を使用するVEGFR−1(Flt−1)阻害アッセイの結果を示す。VEGFアプタマーの3’末端へPEGを抱合することは、増強されていないVEGFアプタマーよりもVEGF結合を阻害する上でより効果的であることを示した。結果は、可溶性高分子量の立体的な基がアプタマーの多様な位置に置かれてもよいことも示した。
【0162】
本発明は、a)荷電分子を生物学的活性分子荷電抱合体を形成する生物学的活性分子へ結合させる段階と、b)生物学的活性分子荷電抱合体を眼へ、イオン泳動を使用して送達する段階とを含む、生物学的活性分子を眼へ送達する方法も提供する。
【0163】
本発明は、生物学的活性分子を眼へイオン泳動で送達するのに有用な製剤にも関する。製剤は、荷電分子へ結合した生物学的活性分子を含む。ある実施態様において、製剤は、荷電分子へ抱合された生物学的活性分子と、イオン泳動送達に適した担体とを含む。
【0164】
イオン泳動送達に適したいずれかの担体は、本発明において使用できる。適切な担体の例には、以下に制限されるものではないが、米国特許第6,154,671号、第6,319,240号、第6,539,251号、第6,579,276号、第6,697,668号、第6,728,573号、第6,801,804号及び第6,553,255号、米国特許出願第2004/0167459号、第2004/0071761号及び第2003/0065305号及び刊行された出願第WO2004/105864号及び第WO2004/052252号に見られうるものが含まれ、それらの各々の内容はそれらの全体において本明細書に参照によって組み込まれる。
【0165】
ある態様において、荷電分子は加水分解的に安定した結合によって生物学的活性分子へ結合される。
【0166】
別の態様において、荷電分子は荷電したポリマーを含む。ある実施態様において、荷電したポリマーは多価電解質である。ある実施態様において、荷電したポリマーは高電荷密度ポリマーである。別の実施態様において、電荷したポリマーは、約1ミリ当量/グラム(meq/g)ないし約20meq/gの範囲の電荷密度を含む高電荷密度ポリマーである。別の実施態様において、荷電したポリマーは少なくとも10meq/gの電荷を含む高電荷密度ポリマーである。
【0167】
ある実施態様において、荷電したポリマーは陽イオンポリマーである。特定の実施態様において、陽イオンポリマーはキトサンである。
【0168】
ある実施態様において、荷電したポリマーは陰イオンポリマーである。特定の実施態様において、陰イオンポリマーはカルボキシメチルセルロース(CMC)である。
【0169】
別の態様において、生物学的活性分子は核酸である。ある実施態様において、核酸は、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、siRNA、アプタマー又はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドの概説は、A.Mesmaekerほか(本明細書によってその全体において参考文献により組み込まれる「アンチセンスオリゴヌクレオチド」、Acc.Chem.Res.1995、28、366−374)によって提供される。
【0170】
ある特定の実施態様において、生物学的活性分子はアプタマーである。別の実施態様において、生物学的活性分子は抗VEGFアプタマーである。別の実施態様において、生物学的活性分子は抗VEGFアプタマーであるEYE−002であり、構造
−5’−5’−C3’−3’−T
(配列番号1)
を有し、式中、「G」は2’−メトキシグアニル酸を表し、「A」は2’−メトキシアデニル酸を表し、「C」は2’−フルオロシチジル酸を表し、「U」は2’−フルオロウリジル酸を表し、「A」はリボアデニル酸を表し、「T」はデオキシリボチミジル酸を表す(その全体において本明細書に参照によって組み込まれるAdamis,A.P.ほか、刊行された出願第WO2005/014814号を参照。)。
【0171】
第一の例において、本発明は、a)生物学的活性分子荷電抱合体を形成するよう生物学的活性分子へ荷電分子を加水分解的に安定した結合によって結合する段階と、b)生物学的活性分子荷電抱合体を眼へ、イオン泳動を使用して送達する段階とを含む、生物学的活性分子を眼へ送達する方法に関する。
【0172】
第二の例において、本発明は、a)核酸荷電抱合体を形成する核酸へ非核酸ポリマーを結合する段階と、b)核酸荷電抱合体を眼へ、イオン泳動を使用して送達する段階とを含む、核酸を眼へ送達する方法に関する。
【0173】
第三の例において、本発明は、a)陰イオン性高電荷密度ポリマーを加水分解的に安定した結合によってアプタマーへ結合する段階と、b)アプタマーによって荷電された抱合体を眼へ、イオン泳動を使用して送達する段階とを含む、アプタマーを眼へ送達する方法に関する。
【0174】
第四の例において、本発明は、a)カルボキシメチルセルロース部分又はキトサン部分を抗VEGFアプタマーへ結合して、抗VEGFアプタマー荷電抱合体を形成する段階と、b)抗VEGFアプタマーによって荷電された抱合体を眼へ、イオン泳動を使用して送達する段階とを含む、抗VEGFアプタマーを眼へ送達する方法に関する。
【0175】
あるいは、本発明は、眼のイオン泳動を増強させる方法に関する。高分子量中性部分へ共役される生物学的活性分子のイオン泳動送達は、高分子量中性部分を匹敵する大きさの荷電分子と置換することによって増強される。例えば、5kDaないし100kDaのペグ化したアプタマーのイオン泳動を増強する方法は、カルボキシメチルセルロース又はキトサンなどの5kDaないし100kDaの高電荷密度ポリマーの替わりにポリエチレングリコールを使用することを含む。
【0176】
生物学的活性因子荷電部分の抱合体間の結合は、延長した時間、試験管内及び生体内で安定であるべきである。さらに、結合は、イオン泳動送達中などの電流の適用に際して安定であるべきである。イオン泳動において使用するための抱合体は、電流の適用に際して安定である生理学的に安定な結合を有するべきである。例えば、イオン泳動投与のために企図される生物活性因子荷電部分の抱合体について、抱合体は、適切な送達担体における溶解、イオン送達デバイスにおける設置、及び電流の適用に関する整合性を維持すべきである。
【0177】
いずれかの適切な電流密度は、本発明の方法において使用されてもよい。ある実施態様において、電流密度は約0.01mA/cmないし約5mA/cmで調整可能である。別の実施態様において、電流密度は約0.1mA/cmないし約5mA/cmで調整可能である。別の実施態様において、電流密度は約0.8mA/cmないし約5mA/cmで調整可能である。ある実施態様において、電流は約1μAないし約1000μAの範囲で適用される。好ましい実施態様において、電流は約4分間適用される約400μA(1.2mA/cmの密度での0.12クーロンの電荷)である。
【0178】
いずれかの適切な電位は、本発明の方法において使用されてもよい。ある実施態様において、電流は約1Vないし約75Vの範囲の電位で送達される。ある実施態様において、電流は約1.5Vないし約9Vの範囲の、好ましくは約2Vないし約8Vの範囲の電位で送達される。
【0179】
いずれかの適切なイオン泳動デバイスは本発明において使用されてもよい。生物学的活性分子の治療レベルを送達できるいくつもの眼のイオン泳動デバイスは公知である。典型的なクーロンにより調節される眼のイオン泳動デバイスは、1)患者の眼へ適用できる活性製剤、例えば生物学的活性分子の貯蔵器、2)貯蔵器に配置される少なくとも1つの能動電極、3)受動電極及び4)電流発生装置を含む。典型的に、ある能動電極は、角膜周辺にある眼の組織に面するよう配置される表面電極である。このようなイオン泳動デバイスによって、外来治療を実施できる。
【0180】
眼と接触した貯蔵器の表面積の範囲によって、イオン泳動デバイスは、局在化した電荷密度システム又は拡散電荷密度システムを使用して必要に応じて作動される。
【0181】
本発明において有用なイオン泳動デバイス及び技術の例は本明細書に提供される。
【0182】
Optis France,S.A.によって開発されるアイゲート(R)は2つの部分、すなわち再利用可能なマイクロ発生装置及び使い捨て可能な眼用アプリケーターを含む。使い捨て可能な眼用アプリケーターは、薬物を保持する内側リング、及び、電流が薬物を眼、特に脈絡膜及び網膜へ送達するよう通される伝導性リングを含有する。再利用可能なマイクロ発生装置は、自動調節特性とともに動力を電池で付与され、戻り電極として使用される前頭パッチへ接続される。アプリケーターはそのチューブ、(薬物をアプリケーターへ注入する)シリンジ及び(マイクロ発生装置へ接続されるリード)を有し、滅菌され、ブリスターへと密閉され、その全体は使い捨て可能である。イオン泳動デバイス及びアイゲート(R)と関連する技術は例えば、米国特許第6,154,671号及び公開された出願第WO2004/105864号、及び第WO2004/052252号において記載され、各々の内容はそれらの全体において本明細書に参照によって組み込まれる。
【0183】
Iomed社によって開発されたオキュフォア(R)は薬物アプリケーター、散発性電極、及び電子イオン泳動投与量調節器を含む。薬物アプリケーターは、銀−塩化銀インク伝導部品、薬物製剤を吸収するヒドロゲルパッド、投与量調節器へ伝導性部品を接続するための小さな柔軟性のあるワイヤを含有する小さなシリコーンシェルである。薬物パッドは、使用直前に薬物溶液で水和され、アプリケーターは下まぶたの下で眼の強膜上に設置される(「オキュフォア(R)」: その内容が本明細書にその全体において参考文献により組み込まれる「眼内薬物送達の未来」Fischer,G.A.ほか、Drug Delivery Technology,2002,2(5),50−52を参照。)。オキュフォア(R)と関連するイオン泳動デバイスは、例えば米国特許第6,319,240号、第6,539,251号、第6,579,276号、第6,697,668号、及び第6,728,573号に記載される。各々の内容は本明細書にその全体において参照によって組み込まれる。
【0184】
Aciont社によって開発されたビジレックス(R)は、ユーザーに優しいアプリケーター、投与量調節器、及び接続ワイヤからなる。デバイスは、眼の適用のためにデザインされ、ソフトウェア及びアルゴリズム調節部品及び互いに安全性を最適化する多重電極モニターシステムを含有する。アプリケーターは、眼の湾曲へ適合させながら、下部窩へと快適に滑り込む。細く柔軟なワイヤは、アプリケーターを電流調節器へ接続する。戻り電極は、選択的な薬物輸送及び流量増強によって従来のイオン泳動システムを越えて薬物輸送有効性を亢進する膜も含む電気回路ビジュレックス(R)システムを完成させるため、身体のほかのどこかに位置どられる。外来性の非薬物イオンの輸送を排除することは、薬物イオンを、強膜組織を流れる電流の一次担体にする(その内容が、本明細書にその全体において参照によって組み込まれる「ビジュレックス(R):効果的な眼の後部の非侵襲的治療剤のための応用イオン泳動」、Hastings,M.S.ほか、Drug Delivery Technology,2004,4(3),53−57を参照。)。ビジュレックス(R)に関するイオン流動装置及び技術は例えば、米国特許第6,801,804号及び6,553,255号並びに米国特許出願第2004/0167459号、2004/0071761号及び2003/0065305号に記載されており、各内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0185】
他の眼のイオン泳動システムは、J.Ashookほか(Ceramatec社)による刊行された出願第WO03/0339622号、M.S.Robertsほか(University of Queensland)による米国特許第6,001,088号、及びDombほかによる米国特許第6,442,423号に記載される。(Hadasit Medical Research Services and Development Limited及びYissum Research development company of the Hebrew university of Jerusalem)各々の内容はその全部において本明細書に参考文献により組み込まれる。
【0186】
眼のイオン泳動の文献概説には、「眼のイオン泳動」、Hill,J.M.ほか、Drugs and the Pharmaceutical Sciences (1993),58,331−354、及び「眼の薬物送達におけるイオン泳動の役割」、Sarraf,Dほか、Journal of Ocular Pharmacology (1994),10(1),69−81が含まれる。各内容はその全体において本明細書に参照によって組み込まれる。
【0187】
生物学的活性分子は、本分野で公知のいずれかの適切な手段によって荷電分子へ結合されてもよい。電荷分子は、活性機能基によって生物学的活性分子へ結合できる。生物学的活性分子と反応するのに適した活性機能基には、以下に制限されるものではないが、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、硫酸基、リン酸基、ケト基及びアルデヒド基が含まれる。
【0188】
別の態様において、本発明は、イオン泳動送達に有用な生物学的活性分子荷電抱合体組成物に関する。
【0189】
ある実施態様において、生物学的活性分子荷電抱合体は、式
CMC−NH−(CH−C(配列番号12)
を有する。
【0190】
別の実施態様において、生物学的活性分子荷電抱合体は、式
キトサン−NH−(CH−C(配列番号13)
を有する。
【0191】
(実施例)
以下の実施例は、本発明の特定の有用な実施態様及び態様を説明するよう機能し、その範囲を制限するとして解釈されるべきではない。代替的な材料及び方法は同様の結果を得るために利用できる。
【実施例1】
【0192】
VEGFアプタマーの5’−PEG抱合体の調製
手段は、40kDaPEG/アプタマー抱合体の調製によって説明される。5’アミノアプタマー(57吸光度)の溶液をエッペンドルフチューブへ転移し、固体へと凍結乾燥させた。残りを30μlのホウ酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH8.5)へと再度溶解した。PEG NHSエステルの溶液(1.1当量、30μlアセトニトリル中の11mg)を前述のアプタマー溶液へ添加した。結果として生じる混合物を十分にボルテックスし、室温で一晩インキュベートした。反応を、2.5ml容積まで水を添加することによって停止させた。SEC HPLCによる材料の分析は、アプタマー(10.23分)が、抱合体に属するより長い保持時間(7.2分、75%)を有する別の種に変換されたことを示す。
【0193】
混合物を標準的な脱塩カラム(Pharmacia PD−10カラム)で脱塩した。脱塩した材料(3.5ml)を紫外線(9.5吸光度/ml)により定量し、粗生成物としての乾燥粉末へと濃縮した。固体を水(0.5ml)中に再懸濁し、結果として生じるストックを精製するまで−20℃の冷凍庫に保存した。抱合体の単離を、SEC HPLCを使用してこの溶液(典型的に約5吸光度)の一定分量を注入することによって達成した。精製した抱合体を生じるため、抱合体に対応する溶出された材料を回収し、回転真空機で濃縮し、脱塩した。生成物の同一性を認証するため、生成物を最終的にHPLC及びMSにより分析した。
【実施例2】
【0194】
VEGFアプタマーの5’−デキストラン抱合体の調製
手段を、40kDaデキストラン/アプタマー抱合体を作製することによって説明する。アミノアプタマー(28.6吸光度)の一定分量を乾燥粉末になるよう凍結乾燥し、100μlの0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に再度溶解した。この溶液へ添加したのは40kDaデキストラン(4当量、20mg)及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(10当量超、8mg)であった。材料すべてが溶解するまで溶液をボルテックスした後、60℃で一晩インキュベートした。次に、溶液を0.5mlの0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に取り込んだ。HPLC(SEC)分析は、材料がアプタマー(10.8分)及び抱合体(9.6分、幅広のピーク、35%)の混合物であることを示した。幅広のピークは、デキストラン抱合体が異別の大きさの抱合体の幅広い分布を有することを示す。材料をPD−10カラムによって脱塩し、脱塩した材料を冷凍庫(−20℃)で精製するまで保存した。
【0195】
前述に調製した試料の一定分量を注入することによって、精製をSECカラム(Showdex KW 803)上で実施した。抱合体に対応する画分(大気温、9.6分)を回収した。プールした画分を濃縮した後、NAP−10カラムで脱塩し、最終的な精製された材料を生じた。抱合体の同一性を、紫外線検出及び放射線同位体検出の両者でSEC HPLC(室温、9.6分)によって認証した。
【実施例3】
【0196】
VEGFアプタマーの5’−CMC抱合体の調製
VEGFアプタマーの5’−CMC抱合体を作製するため、デキストラン抱合体(実施例2参照)を作成するのに使用されるものと同様の手段を使用した。5’−アミノVEGFアプタマー(28吸光度)をエッペンドルフチューブ中で固体残渣になるまで凍結乾燥し、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0、100μl)中に溶解した。このため、添加したのは20mg(3.2当量)のCMCであった。CMCの分子量は約50kDaであった。次に、水のさらなる一定分量(100μl)を添加してCMCポリマーを可溶化し、濃厚な粘性のある溶液を生じた。最終的に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(8mg)を添加した。60℃で一晩撹拌した後、反応を、水(約2ml)で希釈し水中で(3回)透析することによって停止させ、粗抱合材料を生じた。SEC HPLCは、抱合された生成物の存在を示した(5.8分ないし8.3分)。抱合体に対応する画分を回収して脱遠視、機能検査のための試料を生じた。抱合体は、IE HPLC上の非常に幅広のピークとして現れ、材料が多価陰イオン性ポリマーであるという事実を反映する。
【実施例4】
【0197】
VEGFアプタマーの3’−PEG抱合体の調製
3’アミノアプタマー(57吸光度)の溶液をエッペンドルフチューブへ転移し、固体へと凍結乾燥させた。残基を90μlのホウ酸ナトリウム緩衝液(0.1M、pH8.5)へと再度溶解した。ポリエチレングリコール−N−ヒドロキシスクシンイミド(PEG−NHS)エステルの溶液(1.1当量、30μlアセトニトリル)を前述のアプタマー溶液へ添加した。結果として生じる混合物を十分にボルテックスし、室温で一晩インキュベートした。反応を、2.5ml容積まで水を添加することによって停止させた。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)HPLCによる材料の分析は、アプタマーが、抱合体に属するより非常に長い保持時間を有する別の種に変換されたことを示す。
【0198】
混合物を標準的な脱塩カラム(Pharmacia PD−10カラム)で脱塩した。脱塩した材料(3.5ml)を紫外線により定量し、粗生成物としての乾燥粉末へと濃縮した。固体を水(0.5ml)中に再懸濁し、結果として生じるストックを精製するまで−20℃の冷凍庫に保存した。抱合体の単離を、SEC HPLCを使用してこの溶液(典型的に約5吸光度)の一定分量を注入することによって実施した。精製した抱合体を生じるため、抱合体に対応する溶出された材料を回収し、回転真空機で濃縮し、脱塩した。生成物の同一性を認証するため、生成物を最終的にHPLC及びMSにより分析した。
【実施例5】
【0199】
アミン含有アプタマーの二機能性リンカーへの共役
ホスホジエステル結合によって5’末端へ結合されるヘキシルアミンリンカーを含有する28マーのオリゴヌクレオチド(配列番号8)の1.30μモルをホウ酸緩衝液(100mM、pH8.5)の200μlに溶解し、アセトニトリルの200l中のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル含有二機能性リンカー(8.0μモル)の溶液を室温で添加した。結果として生じる反応混合物を室温で18時間振盪させた後、脱イオン水で3mlへ希釈し、1kDa膜に対して3520×gで4時間撹拌しながら透析した。結果として生じる濃縮物を3mlまで再度希釈し、2回目の撹拌しながらの透析を実施した。次に、結果として生じる濃縮物を凍結乾燥し、逆相HPLCクロマトグラフィー(Hamilton PRP−1、C18)及びMALDI−MSによって修飾を査定した。二機能性リンカー(6−マレイミドカプロン酸;スクシンイミジル−2−(t−ブトキシカルボニルヒドラジノ)酢酸;N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオン酸)をMolecular Biosciences; Boulder,COから購入した。アプタマーへの二機能性リンカーの共役を表す一般的な合成スキームを図16に示す。
【実施例6】
【0200】
BSAへのアプタマーの共役
ウシ血清アルブミン(BSA)の、チオール反応性二機能リンカーで修飾しておいたアプタマー(配列番号8)への共役を、リン酸緩衝液(0.1M Na2PO3、0.15M NaCl、pH7.7)中で実施した。BSA溶液(692μl、40mg/ml)をアプタマー抱合体(300μl中の300nM)の溶液へ添加し、大気温で4時間室温にて振盪した。反応混合物を分析し、さらなる処理なしで逆相HPLC(Waters Deltapak,C18)上での精製へ供した。BSAをSigma−Aldrichから購入した。
【実施例7】
【0201】
デンドロン(dendron)へのアプタマーの共役
デンドリマーの溶液(G6、シスタミン中心、NHAc表面;Sigma−Aldrichから商業的に入手可能)をメタノールに溶解した(50μl中2.1mg)後、リン酸緩衝液(0.1M NaPO、0.15M NaCl、pH7.7)の50μl中のトリスカルボキシエチルホスフィン(50mg)で処理し、大気温で30分振盪した。アプタマー(チオール反応性二機能リンカー(3.0mg)で修飾された配列番号8)の溶液を、アプタマーをリン酸緩衝液(0.1M NaPO、0.15M NaCl、pH7.7)の100μlへ添加することによって調製した。次に、アプタマー溶液をデンドリマー溶液へ添加し、生じた溶液を室温で1時間撹拌した。溶液を凍結乾燥し、生成物を特徴づけ、サイズ排除クロマトグラフィー(順にShodex KW−803及びKW−804)によって精製した。
【実施例8】
【0202】
立体的に増強したICAM、PDGF及びVEGFアンタゴニストアプタマー
KDR/FLK−1(VEGF−R2)、FLT−1(VEGF−R1)及びVEGF共受容体ニューロピリンへのVEGFの結合を阻害する立体的に増強したVEGFアプタマーの能力を次に様に査定する。立体的に増強されたアプタマーによる結合の阻害を、増強されていないアプタマーによる阻害と比較する。
【0203】
LFA−1への結合を阻害する立体的に増強したICAM−1アプタマーの能力も同様の手段を使用して検討する。PDGF受容体−β(PDGFR−β)に対するPDGFの結合を阻害する立体的に増強したPDGFアプタマーの能力も同様の手段を使用して検討する。
【実施例9】
【0204】
受容体プレートコーティング
結合実験の各セットについて、96穴アイソプレートの1行(12穴)を使用する。12穴の各々をまず、PBSの100マイクロリットル(μl)中の抗ヒトIgG1Fc断片特異的抗体の2ピコモル(300ナノグラム(ng))で、4℃で一晩コーティングする。翌日、各ウェルに結合するタンパク質を、Super Blockブロッキング緩衝液の300μlを使用して室温で各回5分で3回洗浄することによってブロックする。次に、各ウェルを室温で2回、結合緩衝液(1mM塩化カルシウム、1mM塩化マグネシウム、0.01%HSA、pH7.4を有するPBS)の300μlで洗浄する。KDR/Fcについて、結合緩衝液の100μl中のキメラ受容体の0.25ピコモル(85ng)を最初の11穴へと添加するのに対し、12番目のウェルは背景コントロールウェルとしてヒトICAM−1/Fcキメラタンパク質の0.5ピコモル(118ng)を受容する。Flt−1/Fcについて、各結合緩衝液の100μl中のキメラ受容体の0.125ピコモル(30.8ng)を最初の11穴へと添加するのに対し、背景コントロールウェル(12番)はヒトICAM−1/Fcキメラタンパク質の0.5ピコモル(118ng)を受容する。ニューロピリン−1/Fcについて、結合緩衝液の100μl中のキメラ受容体の0.2ピコモル(48ng)を12穴すべてへ添加する。キメラ受容体及びヒトICAM−1/Fcタンパク質を、各ウェル中の固定した抗ヒトIgG1Fc断片特異的抗体へ室温で2時間ないし3時間結合することによってウェルへと捕捉する。遊離キメラ受容体及びヒトICAM−1/Fcタンパク質を除去するため、各ウェルを結合緩衝液の300μlを使用して室温で洗浄する。
【実施例10】
【0205】
125I−VEGF165−ペガプタニブ(Pegaptanib)結合混合物の調製
1μM(又は2μM)ないし0.512ピコモラー(pM)(又は1.024pM)の範囲のペガプタニブ(Pegaptanib)(チューブ1番ないし10番)の10個の5倍希釈物の1セットを各々、総計各100μl終容積における穿孔していない1.5mlμ微量遠心チューブ中の結合緩衝液(1mM塩化カルシウム、1mM塩化マグネシウム、0.01%HAS、pH7.4を有するPBS)中の125I−VEGF165の約0.01μCiと混合する。チューブ11番及び12番について、125I−VEGF165のたったの0.01μCiをいずれのペガプタニブ(Pegaptanib)もなしで添加し、それらはそれぞれポジティブコントロール及び背景コントロールである。12本のチューブすべてを(KDR及びFlt−1について)37℃又は(ニューロピリン−1について)室温で15分ないし20分インキュベートし、平衡に達するまでペガプタニブ(Pegaptanib)をVEGFへ結合させる。次に、各チューブからの100μlの結合混合物を、受容体によりコーティングしたアイソプレート上の対応するウェルへ適用する。プレートを結合平衡が生じるまで37℃で(KDR用及びFlt−1用)又は室温で(ニューロピリン−1用)2時間ないし3時間インキュベートする。プレートを室温で、0.05%トゥイーン20入り(KDR用及びニューロピリン−1用)またはなし(Flt−1用)の結合緩衝液の300μl/ウェルで4回洗浄する。プレートを約10分間空気乾燥し、シンチレーション液の約200μlを各ウェルへ添加する。各ウェルの放射能活性をシンチレーション計数により決定する。
【0206】
実験のネガティブコントロールについて、ペガプタニブ(Pegaptanib)について前述の段階すべての後、結合アッセイにおいてペガプタニブ(Pegaptanib)を置換するためにポリエチレングリコール分子量40,000(40kDaPEG)を同一モル濃度で使用する。
【実施例11】
【0207】
VEGF受容体結合の50%阻害(IC50)についての効果的な濃度の決定
ウェルにおける125I−VEGF165:受容体結合比を、ウェル(1番ないし11番)上に保持される計数の数から背景(ウェル12番)を差し引いたものを、最大結合(ポジティブコントロール、ウェル11番)から背景(ウェル12番)を差し引いたものによって除するものとして計算する。異別のペガプタニブ(pegaptanib)濃度での結果として生じる結合比を、グラフパッドPRISMプログラム(1部位競合)による非線形回帰を使用することによって分析し、結果として生じる曲線を使用して、VEGF165への受容体結合を阻害する上でのペガプタニブ(pegaptanib)の最大半量阻害(IC50)を決定する。PEGを使用する実験のネガティブコントロールからのデータを同一方法によって分析する。
【実施例12】
【0208】
VEGF−R1(Flt−1)の比較阻害
VEGF−R1(Flt−1)へのVEGF結合を阻害する立体的に増強されたVEGFアプタマー抱合体の能力を、立体的に増強されていないVEGFアプタマー抱合体の能力と比較した。結果を図4、図5、図6、図7及び図8に示す。結果は、ペガプタニブ(Pegaptanib)(図1にその構造が示されるEYE−001、MacI)などの立体的に増強したVEGFアプタマー抱合体が、EYE−002(図2にその構造が示されるMacII)などの増強されていないVEGFアプタマーよりもVEGF結合を阻害する上で非常により効果的であることを示す。さらに、立体的に増強したVEGFアプタマー抱合体の有効性は、添加した可溶性高分子量の立体的な基の分子量と相関した(20K/20K分岐を5K/5K分岐と、及び30K直鎖を10K直鎖と比較する。)。立体的に増強したVEGFアプタマー抱合体の有効性は、付加された可溶性高分子量の立体的な基の分子半径(水力学的体積)とも相関した。有意なことに、抱合していないPEG、デキストラン又はCMC単独も、これらの可溶性高分子量の立体的な基はVEGF/Flt−1結合に直接的には影響しないが、立体的な基が抱合されたVEGFアプタマーを通じて作用することを示す。
【0209】
VEGFアプタマーの3’末端へPEGを共役することが、増強されていないVEGFアプタマーよりもVEGF結合を阻害する上でより効果的であったことを示す結果は、可溶性高分子量の立体的な基がアプタマー上の多様な位置に存在するかもしれないことを示した。
【実施例13】
【0210】
ICAM−1の立体的に増強したアプタマーアンタゴニストのデザイン
ICAM−1は細胞間接着分子である。ICAM−1は単回膜貫通タンパク質であり、内皮細胞及び特定の血球細胞タイプに主として存在する5個のIg様細胞外ドメインを有する。ICAM−1は、接着受容体のインテグリンファミリーに属する2つの十分に認識された受容体LFA−1及びMac−1を有する。ICAM−1のドメイン1は、LFA−1相互作用ドメインであり、たいていの薬物開発アプローチの焦点である。しかしながら、ICAM−1のこのドメインは非常に酸性であり(4.5ないし5のpI)、したがってICAM−1へ直接結合することによってICAM−1/LFA−1相互作用を直接遮断できるアプタマー配列について選抜すること又はさもなくばアプタマー配列をデザインすることは困難である。対照的に、ICAM−1の隣接するドメイン2は非常に塩基性であり(pI8ないしpI9.5)、したがってより影響を受けやすいアプタマー結合領域である(図3(A)及び図11の左を参照。)。
【0211】
したがって、ICAM−1の塩基性ドメイン2を、ICAM−1のこの領域に対する高い親和性で結合するアプタマー配列を選抜するのに使用する。次に、高分子量の可溶性の立体的な基をアプタマーへ添加して、LFA−1とICAM−1の隣接するドメイン1との相互作用の立体的な阻害に影響を及ぼす(図11、右)。アプタマーは、高分子量の立体的な基が、ICAM−1の酸性LFA−1結合ドメインを遮断させるであろうアプタマーの端へ結合する一方、足場又はアンカーとして機能する。
【実施例14】
【0212】
カルボキシメチルセルロースへ抱合された抗VEGFアプタマーのイオン泳動
クーロンにより調節されるイオン泳動(CCI)システムであるイオン泳動は、OPTIS Franceによってデザインされる薬物送達デバイスを使用して実施できる(その全体において本明細書に参照によって各々組み込まれる米国特許第6,154,671号、及びOptisによる第WO02/083184号を参照。)。眼のカップの形態の容器を、経角質強膜(transcorneoscleral)イオン泳動を可能にするようデザインする。白金電極を容器の底へ置き、2つのシリコーンチューブを側部に設置する。カルボキシメチルセルロースへ抱合された抗VEGFアプタマーを含むイオン泳動製剤を容器へ添加する。塩類溶液を注入するため1本のチューブを使用し、その他は気泡を吸引するのに使用する。CCI電子ユニットは2,500マイクロアンペア(μA)まで600秒間送達できる。聴覚視覚警報は、生成物の較正され調節された送達を確実にする電子回路における各混乱を示す。イオン泳動処理を使用して進行するため、カルボキシメチルセルロースへ抱合された抗VEGFアプタマーを含むイオン泳動製剤を含有するCCI眼用カップを眼に設置し、もう片方の電極を対象と接触して維持する。
【実施例15】
【0213】
カルボキシメチルセルロースへ抱合された抗VEGFアプタマーのイオン泳動
カルボキシメチルセルロースへ抱合された抗VEGFアプタマーのイオン泳動送達を、塩化銀コーティングした銀ホイル電流分配部品で裏打ちされた180μlのシリコーン受容器シェル、接続器リード線、及び抗VEGFアプタマー抱合体が投与される、ヒドロゲルにより浸漬されるポリビニルアセタルマトリクスの単一層からなる眼用ウサギ眼アプリケーター(IOMED社、Salt Lake City,UT)を使用して実施する。アプリケーターの接触表面積は0.54cmである。アプリケーターを、角膜強膜接合部から1mmないし2mm遠位の前側縁を有する角膜縁のところの上位窩におけるニュージーランドシロウサギ(3kgないし3.5kg)の右眼における強膜上に置く。直流陽極イオン泳動を、PhoresorII(R)PM700(IOMED社、Salt Lake City,UT)電源を使用して2mA、3mA、及び4mAで20分間、各アプリケーターを使用して実施する。受動的イオン泳動(0mAで20分間)をコントロールとして使用する。
【0214】
本明細書で引用されるすべての特許、特許出願、及び刊行された参考文献は、それらの全体において本明細書に参照によって組み込まれる。
【0215】
均等物
当業者は、定型的な実験操作に過ぎない操作を用いて、本明細書に具体的に記載されている具体的な実施形態に対して多数の均等物を認識し、又は想到することが可能であろう。このような均等物は、以下に記載されている請求項の範囲に包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0216】
【図1】図1は、ペグ化したVEGFアンタゴニストアプタマーEYE001(Macugen(R)、ペガプタニブ(pegaptanib))の化学構造の模式的な表示である。
【図2】図2は、5’−5’キャップしたVEGFアンタゴニストアプタマーEYE002(つまり、MacII、配列番号1)の化学構造の模式的な表示である。
【図3A】図3Aは、GenBank受入番号AAA52709(配列番号2)に対応するヒト細胞間接着分子−1(ICAM−1)前駆体のポリペプチド配列の模式的な表示である。27のアミノ酸(a.a.)のN末端シグナルペプチドの配列は陰影を付され、成熟ペプチド(a.a.28ないし532)における塩基性アミノ酸残基は太字で示され、成熟ペプチドにおける酸性アミノ酸残基は下線を付されて示されている。
【図3B−1】図3Bは、GenBank受入番号J03132(配列番号3)に対応するヒトICAM−1をコード化する核酸配列のヌクレオチド配列の模式的な表示である。ICAM−1前駆体タンパク質の開いた読み枠の開始コドン及び終止コドンは下線を付されている。
【図3B−2】図3Bは、GenBank受入番号J03132(配列番号3)に対応するヒトICAM−1をコード化する核酸配列のヌクレオチド配列の模式的な表示である。ICAM−1前駆体タンパク質の開いた読み枠の開始コドン及び終止コドンは下線を付されている。
【図4】図4は、多様な5’ペグ化したVEGFアプタマー抱合体を使用するVEGFR−1(Flt−1)阻害アッセイの結果のグラフ表示である。
【図5】図5は、多様なデキストラン−VEGFアプタマー抱合体を使用するVEGFR−1(Flt−1)阻害アッセイの結果のグラフ表示である。
【図6】図6は、多様なカルボキシメチルセルロース(CMC)−VEGFアプタマー抱合体を使用するVEGFR−1(Flt−1)阻害アッセイの結果のグラフ表示である。
【図7】図7は、多様な分子量及び分子半径(水力学的体積)のPEG分子を有する多様なペグ化したVEGFアプタマー抱合体を使用するVEGFR−1(Flt−1)阻害アッセイの結果のグラフ表示である。
【図8】図8は、多様な3’ペグ化したVEGFアプタマー抱合体を使用するVEGFR−1(Flt−1)阻害アッセイの結果のグラフ表示である。
【図9】図9は、リガンドへ結合し、それによりリガンド及び受容体の相互作用を阻害する、立体的に増強されたアプタマーの模式的な表示である。
【図10】図10は、受容体へ結合し、それによりリガンド及び受容体の相互作用を阻害する、立体的に増強されたアプタマーの模式的な表示である。
【図11】図11は、ICAM(左)の塩基性領域へ結合するアプタマーがICAM受容体LFA−1(右)へのICAM結合を効果的に遮断するよう立体的に増強される、立体的に増強されるICAMアプタマーアンタゴニストのデザインの模式的な表示である。
【図12】図12は、デキストランにより結合されたアプタマーの一般的な化学構造の模式的な表示である。
【図13】図13は、カルボキシメチルセルロースにより結合されたアプタマーの一般的な化学構造の模式的な表示である。
【図14】図14は、BSAをアプタマーへ結合するための一般的な合成方法の模式的な表示である。
【図15】図15は、デンドロン(dendron)をアプタマーへ結合するための一般的な合成方法の模式的な表示である。
【図16】図16は、二機能性リンカーをアプタマーへ結合するための一般的な合成方法の模式的な表示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リガンド上のアプタマー結合部位から離れた部位の活性を阻害する方法であって、
アプタマーを可溶性高分子量の立体的な基へ結合することを含み、前記可溶性高分子量の立体的な基が、前記リガンド上の前記アプタマー結合部位から離れた部位の活性を阻害する、前記方法。
【請求項2】
可溶性高分子分子量の立体的な基が多糖類、グリコサミノグリカン、ヒアルロナン、アルギン酸塩、ポリエステル、高分子量ポリオキシアルキレンエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアクリル酸塩、ポリオール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ無水物(polyanhydride)、デンドロン(dendron)、デキストラン、セルロース、セルロース誘導体、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデキストラン、キトサン、ポリアルデヒド、ポリ乳酸共グリコリド(polylactide−co−glycolide)、及びポリエーテルからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
可溶性高分子量の立体的な基がデキストラン又はその誘導体である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
可溶性高分子量の立体的な基がポリエチレングリコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
可溶性高分子量の立体的な基が、800Daないし3,000,000Daの分子量を有するポリマー組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
可溶性高分子量の立体的な基が、20kDaないし1,000kDaの分子量を有するポリマー組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
可溶性高分子量の立体的な基が、20kDaないし100kDaの分子量を有するポリマー組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
可溶性高分子量の立体的な基が、約20kDaの分子量を有するポリマー組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
可溶性高分子量の立体的な基が、約40kDaの分子量を有するポリマー組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
可溶性高分子量の立体的な基が、約80kDaの分子量を有するポリマー組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
可溶性高分子量の立体的な基が、1nmないし10nmの流体力学的半径を有するポリマー組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
可溶性高分子量の立体的な基が、約4nmの流体力学的半径を有するポリマー組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
可溶性高分子量の立体的な基が、約6nmの流体力学的半径を有するポリマー組成物である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
アプタマーが、成長因子、血管内皮増殖因子(VEGF)、TGF、TGFβ、PDGF、IGF、FGF、サイトカイン、リンホカイン、造血因子、M−CSR、GM−CSF、TNF、インターロイキン、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IFN、TNF0、TNF1、TNF2、G−CSF、Meg−CSF、GM−CSF、トロンボポエチン、幹細胞因子、エリスロポエチン、肝細胞成長因子/NK1、血管新生因子、アンジオポエチン、Ang−1、Ang−2、Ang−4、Ang−Y、ヒトアンギオポエチン様ポリペプチド、アンジオゲニン、形態形成タンパク質−1、骨形態形成タンパク質受容体、骨形態形成タンパク質受容体IA、骨形態形成タンパク質受容体IB、神経栄養因子、走化性因子、CDタンパク質、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、エリスロポエチン、骨誘導因子、免疫毒素、骨形態形成タンパク質(BMP)、インターフェロン、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、コロニー刺激因子(CSF)、M−CSF、GM−CSF、G−CSF、スーパーオキシドジスムターゼ、T細胞受容体、表面膜タンパク質、崩壊加速因子、ウィルス抗原、エイズ外被の一部、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレシン、調節タンパク質、インテグリン、CD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA−4、VCAM、腫瘍関連抗原、HER2、HER3、及びHER4受容体、又はそれらの断片若しくは変異体からなる群から選択されるリガンド又はその受容体へと指向される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
アプタマーがVEGF−Aへ指向される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
アプタマーがVEGF−165へ指向される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
アプタマーがVEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、及びVEGF−Eからなる群から選択されるVEGFリガンドへ指向される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
アプタマーがVEGF受容体へ指向される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
VEGF受容体がFlk−1/KDR(VEGFR−2)である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
VEGF受容体がFlt−1(VEGFR−1)である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
VEGF受容体がFlt−4/(VEGFR−3)である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
アプタマーがVEGF共受容体へ指向される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
VEGF共受容体がニューロピリン−1又はニューロピリン−2である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
VEGF共受容体がαVB3インテグリン又はVE−カドヘリンである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
アプタマーがICAM−1へ指向される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
アプタマーがLFA−1へ指向される、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
アプタマーが配列
(配列番号8)
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
アプタマー結合部位から離れた部位が前記アプタマー結合部位に対して遠位の部位である、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
アプタマー結合部位から離れた部位が前記アプタマー結合部位に対して近位の部位である、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
アプタマー結合部位から離れた部位が負に荷電するか又は中性であり、前記アプタマー結合部位が正に荷電する、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
リガンド結合アプタマーの受容体アンタゴニスト範囲を増大させる方法(前記リガンドは複数の受容体へ結合し、リガンド結合アプタマーは前記複数の受容体の少なくとも1つのリガンド依存性活性化を効果的に拮抗することができない。)であって、
アダプタマーを可溶性高分子量の立体的な基に結合することを含む(前記アダプタマーは、前記可溶性高分子量の立体的な基へ結合された場合に、アダプタマー単独によっては効果的に拮抗されない少なくとも1つの受容体のリガンド依存性活性化を効果的に拮抗する。)、前記方法。
【請求項32】
可溶性高分子分子量の立体的な基が多糖類、グリコサミノグリカン、ヒアルロナン、アルギン酸塩、ポリエステル、高分子量ポリオキシアルキレンエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアクリル酸塩、ポリオール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ無水物(polyanhydride)、デンドロン(dendron)、デキストラン、セルロース、セルロース誘導体、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルデキストラン、キトサン、ポリアルデヒド及びポリエーテルからなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
可溶性高分子量の立体的な基がデキストラン又はその誘導体である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
可溶性高分子量の立体的な基がポリエチレングリコールである、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
可溶性高分子量の立体的な基が、800Daないし3,000,000Daの分子量を有するポリマー組成物である、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
可溶性高分子量の立体的な基が、20kDaないし1,000kDaの分子量を有するポリマー組成物である、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
可溶性高分子量の立体的な基が、20kDaないし100kDaの分子量を有するポリマー組成物である、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
可溶性高分子量の立体的な基が、約20kDaの分子量を有するポリマー組成物である、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
可溶性高分子量の立体的な基が、約40kDaの分子量を有するポリマー組成物である、請求項31に記載の方法。
【請求項40】
可溶性高分子量の立体的な基が、約80kDaの分子量を有するポリマー組成物である、請求項31に記載の方法。
【請求項41】
可溶性高分子量の立体的な基が、1nmないし10nmの流体力学的半径を有するポリマー組成物である、請求項31に記載の方法。
【請求項42】
可溶性高分子量の立体的な基が、約4nmの流体力学的半径を有するポリマー組成物である、請求項31に記載の方法。
【請求項43】
可溶性高分子量の立体的な基が、約6nmの流体力学的半径を有するポリマー組成物である、請求項31に記載の方法。
【請求項44】
アプタマーが、成長因子、血管内皮増殖因子(VEGF)、TGF、TGFβ、PDGF、IGF、FGF、サイトカイン、リンホカイン、造血因子、M−CSR、GM−CSF、TNF、インターロイキン、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IFN、TNF0、TNF1、TNF2、G−CSF、Meg−CSF、GM−CSF、トロンボポエチン、幹細胞因子、エリスロポエチン、肝細胞成長因子/NK1、血管新生因子、アンジオポエチン、Ang−1、Ang−2、Ang−4、Ang−Y、ヒトアンギオポエチン様ポリペプチド、アンジオゲニン、形態形成タンパク質−1、骨形態形成タンパク質受容体、骨形態形成タンパク質受容体IA、骨形態形成タンパク質受容体IB、神経栄養因子、走化性因子、CDタンパク質、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、エリスロポエチン、骨誘導因子、免疫毒素、骨形態形成タンパク質(BMP)、インターフェロン、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、コロニー刺激因子(CSF)、M−CSF、GM−CSF、G−CSF、スーパーオキシドジスムターゼ、T細胞受容体、表面膜タンパク質、崩壊加速因子、ウィルス抗原、エイズ外被の一部、輸送タンパク質、ホーミング受容体、アドレシン、調節タンパク質、インテグリン、CD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA−4、VCAM、腫瘍関連抗原、HER2、HER3、及びHER4受容体、又はそれらの断片若しくは変異体からなる群から選択されるリガンド又はその受容体へと指向される、請求項31に記載の方法。
【請求項45】
アプタマーがVEGF−Aへ指向される、請求項31に記載の方法。
【請求項46】
アプタマーがVEGF−165へ指向される、請求項31に記載の方法。
【請求項47】
アプタマーがVEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、及びVEGF−Eからなる群から選択されるVEGFリガンドへ指向される、請求項31に記載の方法。
【請求項48】
アプタマーがVEGF受容体へ指向される、請求項31に記載の方法。
【請求項49】
VEGF受容体がFlk−1/KDR(VEGFR−2)である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
VEGF受容体がFlt−1(VEGFR−1)である、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
VEGF受容体がFlt−4/(VEGFR−3)である、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
アプタマーがVEGF共受容体へ指向される、請求項31に記載の方法。
【請求項53】
VEGF共受容体がニューロピリン−1又はニューロピリン−2である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
VEGF共受容体がαVB3インテグリン又はVE−カドヘリンである、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
アプタマーがICAM−1へ指向される、請求項31に記載の方法。
【請求項56】
アプタマーがLFA−1へ指向される、請求項31に記載の方法。
【請求項57】
アプタマーが配列
(配列番号8)
を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項58】
受容体結合アプタマーのリガンドアンタゴニスト範囲を増大させる方法(前記受容体は複数のリガンドへ結合し、受容体結合アプタマーは前記複数のリガンドの少なくとも1つのリガンド依存性活性化を効果的に拮抗できない。)であって、
アプタマーを可溶性高分子量の立体的な基へ結合することを含む(前記アダプタマーは、前記可溶性高分子量の立体的な基へ結合された場合に、アプタマー単独によっては効果的に拮抗されない少なくとも1つの受容体のリガンド依存性活性化を効果的に拮抗する。)、前記方法。
【請求項59】
VEGFアプタマーの受容体アンタゴニスト範囲を増大させる方法であって、
VEGFへ結合するが、少なくとも1つのVEGF受容体のVEGF依存的活性化を効果的に拮抗できないVEGFアプタマーを提供し、結果として生じるVEGFアプタマー抱合体が少なくとも1つのVEGF受容体のVEGF依存性活性化を効果的に拮抗するように、前記VEGFアプタマーを可溶性高分子量の立体的な基へ結合することにより前記VEGFアプタマーの受容体アンタゴニスト範囲を増大させることを含む、前記方法。
【請求項60】
VEGFRアプタマーのリガンドアンタゴニスト範囲を増大させる方法であって、
VEGFRへ結合するが、少なくとも1つのVEGFリガンドによるリガンド依存的活性化を効果的に拮抗できないVEGFRアプタマーを提供し、結果として生じるVEGFRアプタマー抱合体が少なくとも1つのVEGFリガンドによってVEGFR依存性活性化を効果的に拮抗するように、前記VEGFRアプタマーを可溶性高分子量の立体的な基へ結合することにより前記VEGFRアプタマーの受容体アンタゴニスト範囲を増大させることを含む、前記方法。
【請求項61】
第二のタンパク質と相互作用するタンパク質を標的にするアプタマーのアンタゴニスト特性を増大させる方法であって、
可溶性高分子量の立体的な基にアプタマーを結合することを含む(前記可溶性高分子量の立体的な基はタンパク質の第二タンパク質との相互作用を崩壊させるアプタマーの能力を増大させる。)、前記方法。
【請求項62】
リガンドの受容体に対する結合を阻害するための方法(前記リガンドの受容体結合部位は負に荷電し、前記リガンド上のアプタマー結合部位は正に荷電する。)であって、
アプタマー抱合体を形成するように可溶性高分子量の立体的な基へアプタマーを結合する段階を含み、前記アプタマーがリガンド上の正に荷電したアプタマー結合部位へ結合し、前記可溶性高分子量の立体的な基がリガンドの負に荷電した受容体結合部位への受容体の結合を阻害する、前記方法。
【請求項63】
受容体が細胞間接着分子(ICAM)である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
受容体がICAM−1である、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
対応する抱合していないアプタマーよりも標的に及ぼす強いアンタゴニスト効果を有するアプタマー抱合体を同定する方法(標的はリガンド又はリガンドの受容体である。)であって、
アプタマーの5’末端及び3’末端で、場合により、1つ以上の非5’末端位置又は非3’末端位置で可溶性高分子量の立体的な基へ独立して結合される複数のアプタマー抱合体を提供し、
アプタマー抱合体をそれぞれ独立して前記リガンド及びリガンドの受容体と接触させ、リガンド/受容体結合又はリガンド依存性受容体活性化の量を検出し、
リガンド/受容体結合又はリガンド依存性受容体活性化を阻害する最も大きな能力を有するアプタマー抱合体を選抜することにより、対応する抱合していないアプタマーよりもリガンド/受容体標的に及ぼす強いアンタゴニスト効果を有するアプタマー抱合体を同定することを含む、前記方法。
【請求項66】
標的に及ぼすアンタゴニスト効果の増大したアプタマー抱合体を同定する方法(標的はリガンド又はリガンドの受容体である。)であって、
アプタマーの5’末端、3’末端及び1つ以上の非5’末端又は非3’末端の位置で可溶性高分子量の立体的な基(前記可溶性高分子量の立体的な基は20kDaないし100kDaの分子量を有し、多糖類、グリコサミノグリカン、ヒアルロナン、アルギン酸塩、ポリエステル、高分子量ポリオキシアルキレンエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアクリル酸塩、ポリオール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ無水物(polyanhydride)、カルボキシメチルセルロース、セルロース誘導体、キトサン、ポリアルデヒド、及びポリエーテルからなる群から選択される。)へ独立して結合される、複数のアプタマー抱合体を提供し、
各アプタマー抱合体を独立して前記リガンド及び前記リガンドの受容体と接触させ、
リガンド/受容体結合又はリガンド依存性受容体活性化の量を検出し、
リガンド/受容体結合又はリガンド依存性受容体活性化を阻害する最大の能力を有するアプタマー抱合体を選抜することを含み、前記アプタマー抱合体が対応する結合していないアプタマーよりもリガンド/受容体標的に及ぼす強いアンタゴニスト効果を有する、前記方法。
【請求項67】
アプタマーが抗VEGFアプタマーであり、高分子量の立体的な基がデキストラン、CMC、BSA、PLGA又はデンドロン(dendron)である、高分子量の立体的な基へ結合したアプタマーを含む化合物。
【請求項68】
アプタマーが配列
(配列番号8)
を含む、請求項67の化合物。
【請求項69】
a)荷電分子を、加水分解的に安定な結合によって、生物活性分子に結合して、生物活性分子荷電抱合体を形成する段階、及び
b)前記生物活性分子荷電抱合体を、イオン泳動を使用して眼に送達する段階
を含む、生物学的活性分子を眼へ送達する方法。
【請求項70】
荷電分子が陰イオン性である、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
荷電分子が陽イオン性である、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
荷電分子が多価電解質である、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
荷電分子がデンドロン(dendron)である、請求項69に記載の方法。
【請求項74】
荷電分子が陰イオン性に荷電したポリマーである、請求項69に記載の方法。
【請求項75】
荷電分子が、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルデキストラン(CMD)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ポリアクリルアミド、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カラゲナン、硫酸セルロース、硫酸デキストラン/デキストリン、ポリ(スルホン酸ナフタレン)、ポリ(スチレン−4−スルホン酸)及びポリ(4−スチレンスルホン酸共マレイン酸)からなる群から選択される、請求項69に記載の方法。
【請求項76】
荷電分子が陽イオン性に荷電したポリマーである、請求項69に記載の方法。
【請求項77】
荷電分子がポリアミン、キトサン、ポリグルコサミン、ポリリジン、ポリグルタミン酸塩、ポリビニルアミン、2-(ジエチルアミノ)エタノール(DEAE)、スペルミン及びプトレシンなどのアミンを含むポリマーからなる群から選択される、請求項69に記載の方法。
【請求項78】
荷電分子が、800Daないし3,000,000Daの分子量を有するポリマー組成物である、請求項69に記載の方法。
【請求項79】
荷電分子が、20kDaないし1000kDaの分子量を有するポリマー組成物である、請求項69に記載の方法。
【請求項80】
荷電分子が、20kDaないし100kDaの分子量を有するポリマー組成物である、請求項69に記載の方法。
【請求項81】
荷電分子が、約20kDaの分子量を有するポリマー組成物である、請求項69に記載の方法。
【請求項82】
荷電分子が、約40kDaの分子量を有するポリマー組成物である、請求項69に記載の方法。
【請求項83】
荷電分子が、約80kDaの分子量を有するポリマー組成物である、請求項69に記載の方法。
【請求項84】
生物学的活性分子が核酸、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、RNA、DNA、siRNA、アプタマー、抗体、ペプチド、タンパク質、酵素ポルフィリン、及び小分子薬物からなる群から選択される、請求項69に記載の方法。
【請求項85】
生物学的活性分子がアプタマーである、請求項69に記載の方法。
【請求項86】
アプタマーが成長因子、VEGF、TGFβ、PDGF及びICAM、又はそれらの断片若しくは変異体からなる群から選択されるリガンド又はその受容体へ指向される、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
アプタマーがVEGF−Aへ指向される、請求項85に記載の方法。
【請求項88】
アプタマーがVEGF−165へ指向される、請求項85に記載の方法。
【請求項89】
アプタマーが配列
(配列番号8)
を含む、請求項85に記載の方法。
【請求項90】
a)非核酸ポリマーを、核酸荷電抱合体を形成する核酸へ結合する段階、及び
b)前記核酸荷電抱合体を眼へ、イオン泳動を使用して送達する段階
を含む、核酸を眼へ送達する方法。
【請求項91】
非核酸ポリマーが多価電解質である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
荷電分子がデンドロン(dendron)である、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
非核酸ポリマーが陰イオン荷電ポリマーである、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
非核酸ポリマーが、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ポリアクリルアミド、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カラゲナン、硫酸セルロース、硫酸デキストラン/デキストリン、ポリ(スルホン酸ナフタレン)、ポリ(スチレン−4−スルホン酸)及びポリ(4−スチレンスルホン酸共マレイン酸)からなる群から選択される、請求項90に記載の方法。
【請求項95】
非核酸ポリマーが陽イオン荷電ポリマーである、請求項90に記載の方法。
【請求項96】
荷電分子がポリアミン、キトサン、ポリグルコサミン、ポリリジン、ポリグルタミン酸塩、ポリビニルアミン、2-(ジエチルアミノ)エタノール(DEAE)、スペルミン及びプトレシンなどのアミンを含むポリマーからなる群から選択される、請求項90に記載の方法。
【請求項97】
陽イオン荷電ポリマーが、800Daないし3,000,000Daの分子量を有する、請求項90に記載の方法。
【請求項98】
陽イオン荷電ポリマーが、20Daないし1000Daの分子量を有する、請求項90に記載の方法。
【請求項99】
陽イオン荷電ポリマーが、20Daないし100Daの分子量を有する、請求項90に記載の方法。
【請求項100】
陽イオン荷電ポリマーが、約20kDaの分子量を有する、請求項90に記載の方法。
【請求項101】
陽イオン荷電ポリマーが、約40kDaの分子量を有する、請求項90に記載の方法。
【請求項102】
陽イオン荷電ポリマーが、約80kDaの分子量を有する、請求項90に記載の方法。
【請求項103】
核酸がアプタマーである、請求項90に記載の方法。
【請求項104】
アプタマーが成長因子、VEGF、TGFβ、PDGF及びICAM、又はそれらの断片若しくは変異体からなる群から選択されるリガンド又はその受容体へ指向される、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
アプタマーがVEGF−Aへ指向される、請求項103に記載の方法。
【請求項106】
アプタマーがVEGF−165へ指向される、請求項103に記載の方法。
【請求項107】
アプタマーが配列
(配列番号8)
を含む、請求項103に記載の方法。
【請求項108】
a)陰イオン性高電荷密度ポリマーをアプタマーへ、加水分解的に安定な結合によって結合し、アプタマー荷電抱合体を形成する段階、及び
b)前記アプタマー荷電抱合体を眼へ、イオン泳動を使用して送達する段階
を含む、アプタマーを眼へ送達する方法。
【請求項109】
陰イオン性高電荷密度ポリマーが、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルデキストラン(CMD)、ポリアクリルアミド、ウシ血清アルブミン(BSA)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カラゲナン、硫酸セルロース、硫酸デキストラン/デキストリン、ポリ(スルホン酸ナフタレン)、ポリ(スチレン−4−スルホン酸)及びポリ(4−スチレンスルホン酸共マレイン酸)からなる群から選択される、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
陰イオン性高電荷密度ポリマーが少なくとも5meq/gの電荷密度の電荷密度を有する、請求項108に記載の方法。
【請求項111】
陰イオン性高電荷密度ポリマーが少なくとも10meq/gの電荷密度を有する、請求項108に記載の方法。
【請求項112】
陰イオン性高電荷密度ポリマーが少なくとも1meq/gないし20meq/gの電荷密度を有する、請求項108に記載の方法。
【請求項113】
陰イオン性高電荷密度ポリマーが、800Daないし3,000,000Daの分子量を有する、請求項108に記載の方法。
【請求項114】
陰イオン性高電荷密度ポリマーが、20kDaないし1000kDaの分子量を有する、請求項108に記載の方法。
【請求項115】
陰イオン性高電荷密度ポリマーが、20kDaないし100kDaの分子量を有する、請求項108に記載の方法。
【請求項116】
陰イオン性高電荷密度ポリマーが、20kDaの分子量を有する、請求項108に記載の方法。
【請求項117】
陰イオン性高電荷密度ポリマーが、約40kDaの分子量を有する、請求項108に記載の方法。
【請求項118】
陰イオン性高電荷密度ポリマーが、約80kDaの分子量を有する、請求項108に記載の方法。
【請求項119】
アプタマーが成長因子、VEGF、TGFβ、PDGF及びICAM、又はそれらの断片若しくは変異体から選択されるリガンド又はその受容体へ指向される、請求項108に記載の方法。
【請求項120】
アプタマーがVEGF−Aへ指向される、請求項108に記載の方法。
【請求項121】
アプタマーがVEGF−165へ指向される、請求項108に記載の方法。
【請求項122】
アプタマーが配列
(配列番号8)
を含む、請求項108に記載の方法。
【請求項123】
a)カルボキシメチルセルロース部分又はカルボキシメチルデキストラン部分を抗VEGFアプタマーへ結合し、抗VEGFアプタマー荷電抱合体を形成する段階、及び
b)抗VEGFアプタマー荷電抱合体を眼へ、イオン泳動を使用して送達する段階
を含む、抗VEGFアプタマーを眼へ送達する方法。
【請求項124】
抗VEGFアプタマーがVEGF−Aへ指向される、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
抗VEGFアプタマーがVEGF−165へ指向される、請求項123に記載の方法。
【請求項126】
抗VEGFアプタマーが配列
(配列番号8)
を含む、請求項123に記載の方法。
【請求項127】
荷電分子へ結合したアプタマーを含む化合物。
【請求項128】
アプタマーが抗VEGFアプタマーである、請求項127の化合物。
【請求項129】
抗VEGFアプタマーがVEGF−Aへ指向される、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
抗VEGFアプタマーがVEGF−165へ指向される、請求項128に記載の方法。
【請求項131】
抗VEGFアプタマーが配列
(配列番号8)
を含む、請求項128に記載の方法。
【請求項132】
荷電分子が、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルデキストラン(CMD)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ポリアクリルアミド、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、カラゲナン、硫酸セルロース、硫酸デキストラン/デキストリン、ポリ(スルホン酸ナフタレン)、ポリ(スチレン−4−スルホン酸)及びポリ(4−スチレンスルホン酸共マレイン酸)からなる群から選択される、請求項127に記載の方法。
【請求項133】
荷電分子がCMCである、請求項127に記載の方法。
【請求項134】
荷電分子がCMDである、請求項127に記載の方法。
【請求項135】
荷電分子が加水分解的に安定した結合によって生物学的活性分子へ結合される生物学的活性分子荷電抱合体と、イオン泳動送達に適した担体とを含む、生物学的活性分子を眼へ送達するための組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B−1】
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【図3B−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2007−532662(P2007−532662A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508487(P2007−508487)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/012469
【国際公開番号】WO2005/110489
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(506064913)(オーエスアイ)アイテツク・インコーポレーテツド (10)
【Fターム(参考)】