説明

高圧発生装置および画像形成装置

【課題】出力電圧制御を高精度に行う簡素で低価格な高圧発生装置を提供する。
【解決手段】昇圧トランス228の入力端に、所要の振幅およびデューティのパルス電圧を供給する駆動手段と、昇圧トランスの出力端に接続された、整流素子とコンデンサの直列回路と、昇圧トランスの出力端と前記コンデンサの共通接続点に一端が接続された第一の抵抗回路と、整流素子とコンデンサの共通接続点に一端が接続された第二の抵抗回路と、昇圧トランスの出力端と整流素子の共通接続点に接続された第一の出力端と、第一の抵抗回路の他端および前記第二の抵抗回路の他端に接続された第二の出力端と、コンデンサ230の両端間の電圧に応じて駆動手段におけるパルス電圧の振幅を制御し、第一の出力端と第二の出力端間に発生する交流電圧を制御する第一の制御手段と、を備えた高圧発生装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した画像形成装置に好適な高圧発生装置に関し、特にその構成の簡素化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置は、感光ドラムを一様に帯電させるための電圧を発生する帯電電圧発生回路や、感光ドラム上に形成された静電潜像にトナーを現像させ可視化するための電圧を発生する現像電圧発生回路等の高圧発生装置を備えている。
【0003】
これら高圧発生装置は、DC電圧にAC電圧を重畳した高電圧を発生させるために複雑な回路構成となっており高価である。そこで、例えば特許文献1では、AC電圧を生成する昇圧トランスの出力をダイオードとコンデンサにより整流し、それを抵抗によって分圧してDC電圧を生成することで、DC電圧発生用の昇圧トランスを削除し、回路構成の簡素化およびコストダウンを図っている。
【0004】
図5は、前記特許文献1の提案を発展させた高圧発生装置の一例であり、AC電圧、DC電圧の出力値がそれぞれ一定となるようフィードバック制御を行うことで、高精度な出力電圧制御が可能な構成になっている。
/ACD端子は不図示のCPUから高圧発生装置の駆動、停止を指示する信号が入力される。/ACD端子がHighレベルの場合、トランジスタ202がONするとオペアンプ207によりトランジスタ212がOFFされ、昇圧トランス228への電圧供給が遮断されて高圧発生装置の動作は停止する。/ACD端子がLowレベルになると、トランジスタ202はOFFする。このため高圧発生装置は動作を開始し、後述するフィードバック制御によって出力のOUT端子に発生するAC電圧値(ACバイアス)が一定となるように昇圧トランス228への入力電圧Vinを変化させる。
ACCLK端子にはACバイアスを発生させるためのパルス信号(ACCLK信号)が不図示のCPUから入力される。例えば周波数2KHz、デューティ50%固定の方形波が入力される。ACCLK信号はトランジスタ216とトランジスタ217からなるプッシュ/プル回路によりpp値Vinのパルス信号に増幅され、さらに昇圧トランス228により高電圧のパルス電圧(ACバイアス)に昇圧される。昇圧トランス228の2次側に発生するACバイアスはトランスの巻線比に応じて出力pp値Vppにまで昇圧される。Vppは例えば1.5KVppになる。
【0005】
昇圧トランス228のAC出力電圧Vppはダイオード229およびコンデンサ230からなる整流回路によって整流され、コンデンサ230に整流蓄積された電圧を分圧することでDC電圧(DCバイアス)が生成される。図中コンデンサ230の左端の電圧値をDCバイアス値Vdcとすると、高圧発生装置の出力端子OUTには、DCバイアスVdcを中心値としてpp値VppのACバイアスが重畳された高電圧が出力される。この出力電圧が帯電ローラや現像スリーブへ供給される。
【0006】
次に、ACバイアスのフィードバック制御について説明する。ここでは、ACバイアスをある固定値で一定に制御する場合について説明する。出力端子OUTに発生する出力電圧のDC成分はコンデンサ501によって取り除かれ、AC成分がダイオード502とダイオード503によって整流される。片側整流されたAC成分の電流は抵抗504とコンデンサ505により電圧変換およびピークホールドされる。この電圧値は出力のACバイアスのpp値に比例するので、これをフィードバックしてオペアンプ207の−端子に接続する。オペアンプ207は抵抗203と抵抗204とで分圧された所定電圧と、出力ACバイアスがフィーバックされた−端子とが同電位になるようにトランジスタ212を制御して昇圧トランス228への入力電圧Vinを調整する。これにより、出力ACバイアス値のVppがある固定値で一定になるよう制御される。
【0007】
次にDCバイアスの制御について説明する。ここでは、DCバイアスは数段階の設定値があり、それぞれ画像形成装置のプリント条件に応じてその中の一つの設定値が選択され、その値で一定に制御される場合について説明する。前記のように、ACバイアスをダイオード229およびコンデンサ230によって整流することでDCバイアスを生成している。コンデンサ230の両端にかかる電圧Vcは昇圧トランス228の出力電圧VppをACCLK信号のデューティ(Duty[%])倍したものになるので、
Vc=Vpp×Duty/100 ・・・・・式(1)
となり、Vpp一定、Duty固定であるのでVcも一定値となる。また、コンデンサ230の両端にはコンデンサ230に蓄積された電荷を放電するため抵抗235と抵抗236が接続される。DCバイアスはコンデンサ230両端にかかる電圧とコンデンサ230に接続される抵抗の分圧比により決まる。コンデンサ230の左端とGND間の抵抗成分の合計値をRl、コンデンサ230の右端とGND間の抵抗成分の合計値をRrとすると、コンデンサ230の左端の電圧であるDCバイアス値Vdcは、
Vdc=Vc×Rl/(Rl+Rr) ・・・・・式(2)
で表される。ここで、Rlは抵抗235が支配的であり、ほぼ固定値となる。一方、Rrは抵抗236とトランジスタ237との合成抵抗により決まる。つまり、トランジスタ237に流れる電流を制御することで合成抵抗Rrの値を調整することができる。これにより、DCバイアスVdcの制御が可能となる。
【0008】
トランジスタ237の制御はDCCNT信号により行う。DCCNT信号は周波数固定のPWM信号である。DCCNT信号のPWMデューティに比例した電圧値とDCバイアスVdcとの分圧値が一定となるようにオペアンプ257がトランジスタ237に流れる電流を制御する。CPU内には予めDCCNT信号のPWMデューティとDCバイアスVdcとの関係が記憶されており、DCバイアス値を決めればDCCNT信号のPWMデューティが一意に決定し、それをCPUから出力することでDCバイアスVdcが一定になるよう制御される。
【特許文献1】特開平11−184221号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら前記従来例では、ACバイアスのフィードバックを行うためにコンデンサ501、ダイオード502、503に高耐圧の部品を使用する必要があり、コストアップの要因となってしまう。
【0010】
本発明は、このような状況のもとでなされたもので、出力電圧制御を高精度に行う、簡素で低価格な高圧発生装置、およびこの高圧発生装置を備えた画像形成装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明では、高圧発生装置と画像形成装置を次の(1)、(2)のとおりに構成する。
【0012】
(1)昇圧トランスと、
前記昇圧トランスの入力端に、所要の振幅およびデューティのパルス電圧を供給する駆動手段と、
前記昇圧トランスの出力端に接続された、整流素子とコンデンサの直列回路と、
前記昇圧トランスの出力端と前記コンデンサの共通接続点に一端が接続された第一の抵抗回路と、
前記整流素子とコンデンサの共通接続点に一端が接続された第二の抵抗回路と、
前記昇圧トランスの出力端と前記整流素子の共通接続点に接続された第一の出力端と、
前記第一の抵抗回路の他端および前記第二の抵抗回路の他端に接続された第二の出力端と、
前記コンデンサの両端間の電圧に応じて前記駆動手段におけるパルス電圧の振幅を制御し、前記第一の出力端と前記第二の出力端間に発生する交流電圧を制御する第一の制御手段と、
を備えた高圧発生装置。
【0013】
(2)感光ドラムを備え、
請求項1ないし4のいずれかに記載の高圧発生装置を、前記感光ドラムを一様に帯電させるための電圧を発生する帯電電圧発生回路、前記感光ドラム上に形成された静電潜像にトナーを付着させ現像させるための電圧を発生する現像電圧発生回路の少なくとも1つに用いた画像形成装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡素で低価格な高圧発生装置および画像形成装置を提供することができる。
【0015】
詳しくは、請求項1に係る発明によれば、出力電圧の検出のために、高耐圧で高価な部品を使用する必要がなく、コストダウンを図ることができる。
請求項2または3に係る発明によれば、簡素な回路構成で出力の直流成分を制御することができる。
請求項4に係る発明によれば、DCバイアス生成のための抵抗を差動増幅回路の抵抗としても共用することで、回路構成の簡素化とコストダウンを図ることができる。
請求項5に係る発明によれば、安価な構成の高圧発生装置を備えることで画像形成装置のコストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、実施例1である“画像形成装置”の構成を示す断面図である。本実施例は、プリンタの例である。
図1において、給紙カセット101に積載された記録紙はピックアップローラ102によって1枚だけ給紙カセット101から送出され、給紙ローラ103、搬送ローラ104によってレジストローラ105に向けて搬送される。さらに記録紙は、レジストローラ105によって所定のタイミングでプロセスカートリッジ106へ搬送される。プロセスカートリッジ106は、帯電手段、現像手段、クリーニング手段、および電子写真感光体である感光ドラム114で一体的に構成されており、下記のように電子写真プロセスの一連の処理によって未定着トナー像が記録紙上に形成される。
【0018】
帯電手段は、帯電電圧発生回路により帯電ローラ107へ高圧を供給し、感光ドラム114表面を一様に帯電させる。像露光手段であるスキャナユニット108は、レーザダイオード109から画像信号に基づいてレーザ光が出射され、回転するポリゴンミラー110および反射ミラー111によって感光ドラム114表面を主走査方向に走査する。また、感光ドラム114の回転により副走査方向にスキャンして、感光ドラム114の表面上に2次元の潜像を形成する。現像手段は、現像剤であるトナーを収容する現像容器112を備え、現像容器112の開口部で感光ドラム114に対向した位置に現像スリーブ113が配置されている。現像スリーブ113には現像電圧発生手段から所定の現像電圧が印加され、現像スリーブ113から感光ドラム114へトナーを移動、付着させ、感光ドラム114上の潜像を現像してトナー像として可視化する。転写手段は転写ローラ115にトナーと逆極性の高圧を転写電圧発生手段により印加することで、感光ドラム114上のトナー像を記録紙へと転写する。転写されず感光ドラム114上に残ったトナーはクリーニングブレード116により廃トナー容器117に回収され、表面をクリーニングされた感光ドラム114は再び次の画像形成プロセスに入る。
【0019】
続いて、トナー像が転写された記録紙は定着装置118に搬送される。定着装置118は加熱手段であるセラミックヒータ119を内蔵する定着フィルム120と、定着フィルム120を挟んでセラミックヒータ119と圧接している加圧ローラ121が設けられる。これら定着フィルム120、加圧ローラ121とのニップを通過することにより記録紙は加熱加圧処理され、記録紙上の未定着トナー像が記録紙に定着される。記録紙はさらに定着排紙ローラ122、排紙ローラ123によってプリンタ本体外に排出され、一枚のプリント動作を終了する。これら一連のプリント動作は不図示のCPUにより制御されている。
帯電電圧発生手段や現像電圧発生手段はDCバイアスにACバイアスを重畳した高電圧を発生させる。
【0020】
図2に本実施例における高電圧発生回路の回路構成を示す。図中、前記従来例と同様の箇所は同じ番号を付し、その説明は省略する。
本実施例における回路の特徴は、ACバイアスのフィードバックを出力端子からではなく、DCバイアス(請求項の直流電圧に相当)生成のための整流用コンデンサ両端の電圧からフィードバックすることである。ACバイアスの生成方手法については前記従来例と同様であり説明を省略する。また、ACバイアスからDCバイアスを生成する手法も従来例と同様である。昇圧トランス228から出力されるACバイアスのpp値をVpp、ACCLK信号のデューティをDuty[%]とした場合、コンデンサ230の両端電圧Vcは、前記従来例の式(1)と同様に、
Vc=Vpp×Duty/100 ・・・・・式(3)
となる。ここではデューティを50%固定であるとすると、
Vc=Vpp×0.5 ・・・・・式(4)
となる。つまり、ACCLK信号のデューティが一定であればVcはVppのみに比例し、Vcを検出すればVppも自動的に判明する。そこで、コンデンサ230の両端電圧Vcを差動増幅回路を用いて検出し、それをフィードバックすることでACバイアスの制御を行う。さらに本実施例では部品点数の削減を図るため、差動増幅回路を構成するオペアンプ262の−端子に接続される抵抗235はDCバイアスを生成する抵抗を共通して使用する。一方、コンデンサ230の右端には抵抗235と同じ抵抗値の抵抗260を接続し、抵抗263と同じ抵抗値の抵抗261との分圧値をオペアンプ262の+端子に入力する。
【0021】
これらオペアンプ262、抵抗235、263,260,261により差動増幅回路が構成され、その出力値Vsは、
Vs=Vc×R263/R235 ・・・・・式(5)
で表され、式(4)より、
Vs=Vpp×0.5×R263/R235 ・・・・・式(6)
となる。R235は抵抗235と抵抗260の抵抗値、R263は抵抗263と抵抗261の抵抗値とする。上式(5)、(6)より、この差動増幅回路の出力Vsはコンデンサ230の両端電圧Vcと比例する。つまりACバイアスのpp値Vppと比例するので、この値Vsをフィードバックし、それが一定となるようにオペアンプ207およびトランジスタ212によってトランスへの入力電圧Vinを変化させる。これにより、ACバイアス値Vppを一定に制御することが可能となる。
【0022】
一方、DCバイアスの制御は、コンデンサ230の右端の合成抵抗Rrに差動増幅回路の抵抗260と抵抗261が加わる以外は前記従来例と同様の手法で制御することができる。
【0023】
ここで念のため、請求項の用語とこれに相当する実施例の部材等との関係を、請求項の用語に部材等の番号を付す形で示す。昇圧トランス228、前記昇圧トランスの入力端310、311、所要の振幅およびデューティのパルス電圧を供給する駆動手段/ACDないし212、ACCLKないし216、217。前記昇圧トランスの出力端312、313、整流素子229とコンデンサ230の直列回路、前記昇圧トランスの出力端と前記コンデンサの共通接続点313、第一の抵抗回路235、251、250、256、前記整流素子とコンデンサの共通接続点314。第二の抵抗回路236、237、260、261、前記昇圧トランスの出力端と前記整流素子の共通接続点312、第一の出力端315、
前記第一の抵抗回路の他端および前記第二の抵抗回路の他端316に接続された第二の出力端316。前記コンデンサの両端間の電圧に応じて前記駆動手段におけるパルス電圧の振幅を制御し、前記第一の出力端と前記第二の出力端間に発生する交流電圧を制御する第一の制御手段262、207。第一の抵抗回路の一端313、第二の抵抗回路の一端314、第二の抵抗回路の抵抗値をトランジスタ237で変更、第二の制御手段DCCNTないし237。
【0024】
以上説明したように、本実施例によれば、ACバイアスの出力制御のフィードバック回路として、ACバイアスからDCバイアスを生成するための整流用コンデンサの両端の電圧を差動増幅回路により検出し、それをフィードバックする回路を用いている。このフィードバック回路によりACバイアスの出力電圧制御を行うことで、高耐圧の部品を使用することなく、安価なフィードバック回路によってACバイアスの出力電圧の制御を行うことが可能となる。
【実施例2】
【0025】
実施例2である“画像形成装置”について説明する。本実施例のハードウエア構成は、高圧発生回路を除いて前記実施例1と同様であり、その説明は省略する。
【0026】
本実施例では、高圧発生装置において、DCバイアス値の制御をACバイアスを生成するためのパルス信号ACCLK信号のデューティ値を変化させて行うことで、前記実施例1に対してより簡素な回路構成とすることを特徴とする。
【0027】
図3に本実施例における高圧発生装置の回路構成を示す。前記従来例および実施例1と同様の箇所には同じ番号を付し、その説明は省略する。本実施例では、DCバイアスを調整するためのトランジスタ237(図2)を削除し、さらにDCバイアスを生成するための抵抗を差動増幅回路の抵抗としても使用することで、回路構成の簡素化とコストダウンを図っている。
【0028】
まず、DCバイアスVdcの制御について説明する。DCバイアスVdcはコンデンサ230の両端の電圧Vc、コンデンサ230の左端とGND間の合成抵抗成分をRl、コンデンサ230右端とGND間の合成抵抗成分をRrとすると、前記従来例の式(2)と同様に、
Vdc=Vc×Rl/(Rl+Rr) ・・・・・式(7)
となる。また、コンデンサ230の両端電圧VcはACバイアスVppとACCLK信号のデューティ(Duty[%])とで決まり、式(3)と同じく、
Vc=Vpp×Duty/100 ・・・・・式(8)
となる。前記2式(7)、(8)よりVdcは、
Vdc=Vpp×Duty×Rl/(Rl+Rr) ・・・・・式(9)
となり、ACバイアスVppが一定の場合、Dutyの値によってDCバイアスVdcの値が一意に決まるので、CPUがDuty値を変化させることで制御が可能となる。
【0029】
次に、ACバイアスVppの制御について説明する。差動増幅回路の出力Vsは、式(5)と同様に、
Vs=Vc×R263/R235 ・・・・・式(10)
となり、これと式(8)から、
Vs=Vpp×Duty/100×R263/R235 ・・・・・式(11)
となる。Dutyの値は式(9)よりVdcの値より一意に決まるので、Vppの値を一定に保つにはVsの電圧値を一定になるように制御すればよい。図3の回路において、差動増幅回路の出力Vsをフィードバックとしてオペアンプ207の−端子に入力するとともに、CPUのA/Dポートに入力する。CPUは、検出したVsの値に応じて、CPUのD/Aポートに接続されたACCNT信号の電圧値Vrefを変化させる。オペアンプ207は、ACCNT信号の電圧値Vrefと差動増幅回路の出力値Vsとが一致するようトランジスタ212を介して昇圧トランス228への入力電圧Vinを変化させることで、ACバイアスVppを一定に制御している。
【0030】
図4に本実施例における制御のフローチャートを示す。まず、プリント条件からDCバイアスの電圧値Vdc0を設定する(ステップS401)。次に、ACバイアス値Vppは固定なので式(9)よりVdc0を出力するのに必要なACCLK信号のデューティ値Duty0を算出する(ステップS402)。ACCLK信号のデューティが決まったら、式(11)によりACバイアスを出力した際に差動増幅回路から出力される電圧値Vs0を算出する(ステップS403)。算出したVs0がフィードバックされてくるはずなので、CPUから出力するACCNT信号の電圧値VrefをVs0に設定し(ステップS404)、ACCNT信号およびACCLK信号を出力して高圧発生装置を動作させる(ステップS405)。高圧出力発生後、CPUにて差動増幅回路の出力値Vsを読み込む(ステップS406)。Vsが当初の設定値Vs0通りであれば(ステップS407でYES)、予め決まっていたACバイアスVppの値が正常に出力されているので、再びステップS406へ戻る。読み込んだVsの値がVs0より大きい場合(ステップS408)、ACバイアスVppの値が予定より大きくなっていると判断し、ACCNT信号の電圧Vrefを予め決められた所定値だけ小さくし(ステップS409)、ACバイアスVppを小さくする。また、読み込んだVsの値がVs0より小さい場合(ステップS408)、ACバイアスの値が予定より小さいと判断し、ACCNT信号の電圧Vrefを予め決められた所定値だけ大きくし(ステップS410)、ACバイアスVppを大きくする。
【0031】
このように、ACバイアスを整流してDCバイアスを生成するためのコンデンサの両端電圧を差動増幅回路で検出してフィードバックを行い、また、DCバイアス生成回路の一部と差動増幅回路の一部を共用し、さらにDCバイアス生成回路からDCバイアス値を制御するトランジスタを削除し、ACバイアスを生成するためのパルス信号のデューティを変化させてDCバイアス値を制御することで、回路構成の簡素化とコストダウンを行っている。
【0032】
ここで念のため、請求項の用語とこれに相当する実施例の部材等との関係を、請求項の用語に部材等の番号を付す形で示す。第三の制御手段ACCLKないし223、216、217。
【0033】
以上説明したように、本実施例によれば、DCバイアス値の制御を、ACCLK信号のデューティ値を変化させて行うことで、前記実施例1に対してより簡素な回路構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施例1である画像形成装置の概略構成を示す断面図
【図2】実施例1における高圧発生装置の回路図
【図3】実施例2における高圧発生装置の回路図
【図4】実施例2における制御のフローチャート
【図5】従来の高圧発生装置の回路図
【符号の説明】
【0035】
228 昇圧トランス
229 ダイオード
230 コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇圧トランスと、
前記昇圧トランスの入力端に、所要の振幅およびデューティのパルス電圧を供給する駆動手段と、
前記昇圧トランスの出力端に接続された、整流素子とコンデンサの直列回路と、
前記昇圧トランスの出力端と前記コンデンサの共通接続点に一端が接続された第一の抵抗回路と、
前記整流素子とコンデンサの共通接続点に一端が接続された第二の抵抗回路と、
前記昇圧トランスの出力端と前記整流素子の共通接続点に接続された第一の出力端と、
前記第一の抵抗回路の他端および前記第二の抵抗回路の他端に接続された第二の出力端と、
前記コンデンサの両端間の電圧に応じて前記駆動手段におけるパルス電圧の振幅を制御し、前記第一の出力端と前記第二の出力端間に発生する交流電圧を制御する第一の制御手段と、
を備えたことを特徴とする高圧発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の高圧発生装置において、
前記第二の抵抗回路の抵抗値を変更し、前記第一の出力端と前記第二の出力端間に発生する直流電圧を制御する第二の制御手段を備えたことを特徴とする高圧発生装置。
【請求項3】
請求項1に記載の高圧発生装置において、
前記駆動手段におけるデューティを変更し、前記第一の出力端と前記第二の出力端間に発生する直流電圧を制御する第三の制御手段を備えたことを特徴とする高圧発生装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の高圧発生装置において、
前記コンデンサの両端間の電圧を取り出し前記駆動手段へフィードバックする差動増幅回路を備え、前記第一の抵抗回路および前記第二の抵抗回路の少なくとも1つの抵抗を、前記差動増幅回路の抵抗としたことを特徴とする高圧発生装置。
【請求項5】
感光ドラムを備え、
請求項1ないし4のいずれかに記載の高圧発生装置を、前記感光ドラムを一様に帯電させるための電圧を発生する帯電電圧発生回路、前記感光ドラム上に形成された静電潜像にトナーを付着させ現像させるための電圧を発生する現像電圧発生回路の少なくとも1つに用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−230691(P2009−230691A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78391(P2008−78391)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】