説明

高密度ポリマー組成物、その製造方法、及びそれから作製した耐圧性パイプ

本発明はパイプを作製するために適したポリマー組成物に関する。この組成物は、エチレンと4〜10個の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィンとのマルチモードコポリマーを含み、前記マルチモードエチレンコポリマーは937〜950kg/m3の密度、0.3〜3.0g/10分のメルトインデックスMFR5、0.1〜2.0g/10分のメルトインデックスMFR2及び2〜30の剪断減粘指数SHI2.7/210を有している。加えて、マルチモードコポリマーは、(A)成分(A)及び(B)の合計量に基づいて30〜70重量%のエチレンホモポリマー及びエチレンと4〜10個の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィンとのコポリマーから選択され、5000〜100000g/モルの重量平均分子量及び960〜977kg/m3の密度を有する低分子量エチレンポリマー、及び(B)成分(A)及び(B)の合計量に基づいて30〜70重量%の100000〜1000000g/モルの重量平均分子量及び890〜929kg/m3の密度を有するエチレンと4〜10個の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィンとの高分子量コポリマーを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパイプを作製するためのポリマー組成物に関する。特に、本発明は、良好な機械的特性を有し、加圧下で流体を輸送するために有用な可撓性パイプを作製するためのポリマー組成物に関する。加えて、本発明は、ポリマー組成物から作製したパイプ及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレン製パイプは、例えば家屋及び都市配水において水またはガスを輸送する際に普及しつつある。良好な機械的特性及び耐圧能のために、高密度または中密度を有するポリエチレンがそのようなパイプでしばしば使用されている。特に、約947〜953kg/m3の密度を有するマルチモードポリエチレンから作製したパイプは次第に普及しつつある。このようなパイプ及びその作製に適したポリマー組成物は、特に国際公開第00/01765号、国際公開第00/22040号、欧州特許出願公開第739937号、欧州特許出願公開第1141118号、欧州特許出願公開第1041113号、欧州特許出願公開第1330490号及び欧州特許出願公開第1425344号に開示されている。係属中の欧州特許出願第06020872.5号は2モード(bimodal)ポリエチレンから作製され、940〜947kg/m3の密度を有する可撓性耐圧性パイプを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第00/01765号
【特許文献2】国際公開第00/22040号
【特許文献3】欧州特許出願公開第739937号
【特許文献4】欧州特許出願公開第1141118号
【特許文献5】欧州特許出願公開第1041113号
【特許文献6】欧州特許出願公開第1330490号
【特許文献7】欧州特許出願公開第1425344号
【特許文献8】欧州特許出願公開第1574549号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記パイプは、HDPE材料から作製したパイプがある用途で好ましいコイルに巻き取ることができるほど十分な可撓性を有していないという欠点を有している。可撓性パイプは線状低密度ポリエチレンから作製され、特に欧州特許出願公開第1574549号に開示されている。しかしながら、このパイプは、しばしば高圧下で水またはガスを輸送するために使用するパイプに必要とされる十分な機械的特性を欠いている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来技術の組成物及びパイプの欠点は本発明のポリマー組成物及び該組成物から作製したパイプにより解決される。特に、ポリマー組成物は、該組成物から作製したパイプを簡単に曲げたり、ぐるぐる巻いたりできるように可撓性である。加えて、このパイプは圧力パイプ用途において使用できる十分な機械的強度を有している。特に、材料はPE100品質認定を満たしている。
【0006】
1つの態様から分かるように、本発明はエチレンと4〜10個の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィンとのマルチモードコポリマーを含むポリマー組成物であって、マルチモードエチレンコポリマーが937〜950kg/m3の密度、0.3〜3.0g/10分のメルトインデックスMFR5、0.1〜2.0g/10分のメルトインデックスMFR2、及び2〜30の剪断減粘指数(shear thinning index)SHI2.7/210を有する前記ポリマー組成物を提供する。
【0007】
別の態様から分かるように、本発明はエチレンと4〜10個の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィンとのマルチモードコポリマーを含むポリマー組成物から作製したパイプであって、マルチモードエチレンコポリマーが937〜950kg/m3の密度、0.3〜3.0g/10分のメルトインデックスMFR5、0.1〜2.0g/10分のメルトインデックスMFR2及び2〜30の剪断減粘指数SHI2.7/210を有する前記パイプを提供する。
【0008】
更に別の態様から分かるように、本発明は、
(i) 第1の重合ゾーンにおける第1の重合ステップで、エチレン、水素及び場合により4〜10個の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィンをシングルサイト重合触媒の存在下で重合して、5000〜100000g/モルの重量平均分子量及び960〜977kg/m3の密度を有する低分子量成分(A)を形成するステップ、
(ii) 第2の重合ゾーンにおける第2の重合ステップで、エチレン、4〜10個の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィン及び場合により水素をシングルサイト重合触媒の存在下で重合して、100000〜1000000g/モルの重量平均分子量及び890〜929kg/m3の密度を有する高分子量成分(B)を形成するステップ
を含むポリマー組成物の製造方法を提供し、前記第1の重合ステップ及び第2の重合ステップは任意の順序で実施され得、後続のステップは前のステップで製造されたポリマーの存在下で実施され、成分(A)及び(B)はそれぞれ、成分(A)及び(B)の合計量に基づいて30〜70%及び70〜30%の量で存在しており、マルチモードエチレンコポリマーは937〜950kg/m3の密度、0.3〜3.0g/10分のメルトインデックスMFR5、0.1〜2.0g/10分のメルトインデックスMFR2及び2〜30の剪断減粘指数SHI2.7/210を有している。
【0009】
更なる態様から分かるように、本発明は、エチレンと4〜10個の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィンとのマルチモードコポリマーを含むポリマー組成物であって、マルチモードエチレンコポリマーが937〜950kg/m3の密度、0.3〜3.0g/10分のメルトインデックスMFR5、0.1〜2.0g/10分のメルトインデックスMFR2及び2〜30の剪断減粘指数SHI2.7/210を有する前記組成物のパイプを作製するための使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】CTL測定のための試験片の寸法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明、その好ましい実施形態及びその作用効果を以下により詳細に記載する。
【0012】
マルチモードエチレンポリマー
マルチモードエチレンコポリマーはエチレンと4〜10個の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィンとのコポリマーである。このコポリマーは937〜950kg/m3、好ましくは937〜945kg/m3の密度を有している。加えて、このコポリマーは0.3〜3.0g/10分、好ましくは0.5〜2.0g/10分、より好ましくは0.6〜1.5g/10分のメルトインデックスMFR5を有している。更に、このコポリマーは0.1〜2.0g/10分、好ましくは0.2〜1.0g/10分、より好ましくは0.2〜0.7g/10分のメルトインデックスMFR2を有している。加えて、このコポリマーは2〜30、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜15の剪断減粘指数SHI2.7/210を有している。
【0013】
マルチモードエチレンコポリマーは、好ましくは80000〜250000g/モル、より好ましくは100000〜250000g/モル、特に120000〜220000g/モルの重量平均分子量を有している。加えて、このコポリマーは、好ましくは5000〜40000g/モル、より好ましくは8000〜25000g/モルの数平均分子量を有している。更に、このコポリマーは、好ましくは5〜20、より好ましくは8〜20の重量平均分子量/数平均分子量の比Mw/Mnを有している。
【0014】
好ましくは、マルチモードエチレンコポリマーは低分子量エチレンポリマー成分(A)及び高分子量エチレンコポリマー成分(B)を含む。特に、組成物は好ましくは30〜70%、より好ましくは35〜50%の低分子量ポリマー(A)を含有している。加えて、組成物は好ましくは70〜30重量%、より好ましくは65〜50%のコポリマー(B)を含有している。%の数字は成分(A)及び(B)の合計重量基準である。成分(A)及び(B)を以下により詳細に説明する。
【0015】
低分子量ポリマー成分(A)は、エチレンホモポリマーまたはエチレンと4〜10個の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィンとのコポリマーである。成分(A)は好ましくは5000〜100000g/モル、より好ましくは10000〜100000g/モル、特に好ましくは15000〜80000g/モル、特に15000〜50000g/モルの重量平均分子量Mwを有している。好ましくは、成分(A)は20〜1500g/10分のメルトインデックスMFR2を有している。更に、成分(A)は好ましくは2〜5.0の重量平均分子量/数平均分子量の比を有する狭い分子量分布を有している。更に、成分(A)は好ましくは960〜977kg/m3の密度を有している。特に好ましくは、低分子量エチレンポリマー(A)はエチレンホモポリマーである。
【0016】
高分子量ポリマー成分(B)は、エチレンと4〜10個の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィンとのコポリマーである。成分(B)は好ましくは100000〜1000000g/モル、より好ましくは150000〜500000g/モルの重量平均分子量Mwを有している。好ましくは、成分(B)は0.001〜0.3g/10分のメルトインデックスMFR2を有している。更に、成分(B)は好ましくは2〜3.5の重量平均分子量/数平均分子量の比を有する狭い分子量分布を有している。更に、成分(B)は好ましくは890〜929kg/m3、より好ましくは900〜925kg/m3、特に900〜922kg/m3の密度を有している。
【0017】
エチレンホモポリマーは、実質的にエチレン単位から構成されているポリマーを意味する。プロセス流が少量の他の重合可能な物質を不純物として有していることがあり得るので、ホモポリマーが少量のエチレン以外の単位を含んでいることがある。そのような単位の含量は0.2モル%未満、好ましくは0.1モル%未満でなければならない。
【0018】
エチレンと4〜10個の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィンとのコポリマーは、大部分のエチレン単位を有し、実質的にエチレン及び4〜10個の炭素原子を有するα-オレフィンから誘導される単位から構成されているコポリマーを意味する。プロセス流が少量の他の重合可能な物質を不純物として有していることがあり得るので、コポリマーが少量のエチレン及び4〜10個の炭素原子を有するα-オレフィン以外の物質を含んでいることがある。そのような単位の含量は0.2モル%未満、好ましくは0.1モル%未満でなければならない。
【0019】
低分子量ポリマー成分(A)及び高分子量ポリマー成分(B)は、各画分及び混合物が特定成分について上記した要件を満たしているならば、2つ以上の異なるポリマー画分の混合物であってもよい。
【0020】
マルチモードエチレンコポリマーが微量の他のポリマー(例えば、プレポリマー)を含んでいてもよい。そのようなポリマーの量はマルチモードエチレンコポリマーの5重量%、好ましくは2重量%を超えてはならない。
【0021】
重合方法
マルチモードエチレンコポリマーは、典型的にはシングルサイト触媒の存在下で多段階重合方法で製造される。
【0022】
多段階重合方法では、エチレン及び4〜10個の炭素原子を有するα-オレフィンを少なくとも2つの重合段階を含む方法で重合する。各重合段階を別の反応器において実施してもよいが、1つの反応器において少なくとも2つの別個の重合ゾーンで実施してもよい。多段階重合方法を少なくとも2つのカスケード重合段階で実施することが好ましい。
【0023】
触媒
重合は典型的にはシングルサイト重合触媒の存在下で実施する。好ましくは、シングルサイト触媒はメタロセン触媒である。前記触媒はシクロペンタジエニル、インデニルまたはフルオレニルリガンドを含有する遷移金属化合物を含む。触媒が基、好ましくはケイ素及び/または炭素原子を含有する基により架橋されていてもよい2つのシクロペンタジエニル、インデニルまたはフルオレニルリガンドを含有していることが好ましい。更に、リガンドは置換基、例えばアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、シリル基、シロキシ基、アルコキシ基等を有していてもよい。適当なメタロセン化合物は当業界で公知であり、特に国際公開第97/28170号、国際公開第98/32776号、国際公開第99/61489号、国際公開第03/010208号、国際公開第03/051934号、国際公開第03/051514号、国際公開第2004/085499号、欧州特許出願公開第1752462号及び欧州特許出願公開第1739103号に開示されている。
【0024】
メタロセン化合物は十分に高い分子量を有するポリエチレンを製造することができなければならない。特に、遷移金属原子としてハフニウムを有するメタロセン化合物、またはインデニルまたはテトラヒドロインデニルタイプのリガンドを含むメタロセン化合物がしばしば所望特性を有していることが判明した。
【0025】
適当なメタロセン化合物の1例は、遷移金属としてジルコニウム、チタンまたはハフニウム、及びシロキシ置換基を含むインデニル構造を有する1つ以上のリガンドを有するメタロセン化合物類、例えば[エチレンビス(3,7-ジ(トリ-イソプロピルシロキシ)インデン-1-イル)]ジルコニウムジクロリド(rac及びmesoの両方)、[エチレンビス(4,7-ジ(トリ-イソプロピルシロキシ)インデン-1-イル)]ジルコニウムジクロリド(rac及びmesoの両方)、[エチレンビス(5-tert-ブチルジメチルシロキシ)インデン-1-イル)]ジルコニウムジクロリド(rac及びmesoの両方)、ビス(5-tert-ブチルジメチルシロキシ)インデン-1-イル)ジルコニウムジクロリド、[ジメチルシリレネンビス(5-tert-ブチルジメチルシロキシ)インデン-1-イル)]ジルコニウムジクロリド(rac及びmesoの両方)、(N-tert-ブチルアミド)(ジメチル)(η5-インデン-4-イルオキシ)シランチタニウムジクロリド及び[エチレンビス(2-(tert-ブチルジメチルシロキシ)インデン-1-イル)]ジルコニウムジクロリド(rac及びmesoの両方)である。
【0026】
別の例は、遷移金属原子としてハフニウムを有し且つシクロペンタジエニルタイプのリガンドを有するメタロセン化合物類、例えばビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ジベンジルハフニウム、ジメチルシリレネンビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド(rac及びmesoの両方)及びビス[1,2,4-トリ(エチル)シクロペンタジエニル]ハフニウムジクロリドである。
【0027】
更に別の例は、テトラヒドロインデニルリガンドを有するメタロセン化合物類、例えばビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリドである。
【0028】
シングルサイト触媒は典型的には活性化剤も含む。通常使用される活性化剤はアルモキサン化合物、例えばメチルアルモキサン(MAO)、テトライソブチルアルモキサン(TIBAO)またはヘキサイソブチルアルモキサン(HIBAO)である。米国特許出願公開第2007/049711号に開示されているようなホウ素活性化剤も使用され得る。上記した活性化剤を単独で使用しても、例えばアルキルアルミニウム(例えば、トリエチルアルミニウムまたはトリイソブチルアルミニウム)と一緒に使用してもよい。
【0029】
触媒を担持させることが好ましい。担体は無機酸化物担体(例えば、シリカ、アルミナまたはチタニア)または高分子担体(例えば、スチレンまたはジビニルベンゼンを含むポリマー)を含めた任意の粒状担体であり得る。
【0030】
触媒は固化アルモキサン上のメタロセン化合物を含んでいても、または乳化固化方法に従って製造される固体触媒であってもよい。前記触媒は、特に欧州特許出願公開第1539775号または国際公開第03/051934号に開示されている。
【0031】
重合
マルチモードエチレンコポリマーは当業界で公知の適当な重合方法で製造され得る。重合ゾーンにエチレン、場合により不活性希釈剤、場合により水素及び/またはコモノマーを導入する。低分子量エチレンポリマー成分は第1の重合ゾーンにおいて、高分子量エチレンコポリマー成分は第2の重合ゾーンにおいて製造される。第1の重合ゾーン及び第2の重合ゾーンは任意の順序で結合され得、すなわち第1の重合ゾーンを第2の重合ゾーンに先行させても、または第2の重合ゾーンを第1の重合ゾーンに先行させても、或いはこれらの重合ゾーンを平行して結合させてもよい。しかしながら、重合ゾーンをカスケードモードで操作することが好ましい。重合ゾーンをスラリー、溶液または気相条件、或いはその組合せで操作してもよい。適当な反応器の構成は、特に国際公開第92/12182号、欧州特許出願公開第369436号、欧州特許出願公開第503791号、欧州特許出願公開第881237号及び国際公開第96/18662号に開示されている。重合ゾーンが1つの反応器システム内に配置されている方法の例は国際公開第99/03902号、欧州特許出願公開第782587号及び欧州特許出願公開第1633466号に開示されている。
【0032】
前の重合段階の反応物質をポリマーから除去した後、そのポリマーをその後の重合段階に導入することがしばしば好ましい。これをポリマーを1つの重合段階から別の重合段階に移すときに実施することが好ましい。適当な方法は、特に欧州特許出願公開第1415999号及び国際公開第00/26258号に開示されている。
【0033】
重合ゾーンにおける重合はスラリーで実施し得る。この場合、重合中に形成されたポリマー粒子は、粒子内に断片化及び分散された触媒と一緒に、流体炭化水素中に懸濁している。スラリーを攪拌すると、反応物質を流体から粒子に移すことができる。
【0034】
重合は通常不活性希釈剤、典型的には炭化水素希釈剤、例えばメタン、エタン、プロパン、n-ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等、またはその混合物中で行う。好ましくは、希釈剤は低沸点を有する1〜4個の炭素原子を有する炭化水素または前記炭化水素の混合物である。特に好ましい希釈剤は、微量のメタン、エタン及び/またはブタンを含有し得るプロパンである。
【0035】
スラリーの流体相中のエチレン含量は2〜約50モル%、好ましくは約3〜約20モル%、特に約5〜約15モル%であり得る。エチレン濃度が高い利点は触媒の生産性が向上することであるが、エチレン濃度を高くすると濃度が低かった場合よりも多くのエチレンを再循環させなければならないという欠点がある。
【0036】
スラリー重合における温度は、典型的には50〜115℃、好ましくは60〜110℃、特に70〜100℃である。圧力は1〜150バール、好ましくは10〜100バールである。
【0037】
スラリー重合はスラリー重合のために使用される公知の反応器において実施され得る。前記反応器には連続攪拌式タンク反応器及びループ反応器が含まれる。重合をループ反応器において実施することが特に好ましい。そのような反応器では、スラリーは循環ポンプを用いることにより閉鎖パイプに沿って高速度で循環する。ループ反応器は通常当業界で公知であり、その例は例えば米国特許出願公開第4582816号、米国特許出願公開第3405109号、米国特許出願公開第3324093号、欧州特許出願公開第479186号及び米国特許出願公開第5391654号に挙げられている。
【0038】
時には、スラリー重合を流体混合物の臨界温度及び圧力を超えて実施するのが有利である。前記操作は米国特許出願公開第5391654号に記載されている。その操作において、温度は典型的には85〜110℃、好ましくは90〜105℃であり、圧力は40〜150バール、好ましくは50〜100バールである。
【0039】
スラリーは反応器から連続的または断続的に抜取られ得る。断続的に抜取る好ましい方法では、濃縮されたスラリーのバッチを反応器から抜取る前にスラリーを濃縮するセトリングレグを使用する。セトリングレグの使用は、特に米国特許出願公開第3374211号、米国特許出願公開第3242150号及び欧州特許出願公開第1310295号に開示されている。連続的抜取りは、特に欧州特許出願公開第891990号、欧州特許出願公開第1415999号、欧州特許出願公開第1591460号及び国際公開第2007/025640号に開示されている。連続抜取りを欧州特許出願公開第1310295号及び欧州特許出願公開第1591460号に開示されているような適当な濃縮方法と組み合わせることが有利である。
【0040】
低分子量エチレンポリマーをスラリー重合段階で生成するならば、反応相中の水素/エチレンのモル比が0.1〜1.0モル/キロモル、好ましくは0.2〜0.7モル/キロモルであるように水素をスラリー反応器に添加する。次いで、反応相中のコモノマー/エチレンのモル比が150モル/キロモルを超えない、好ましくは50モル/キロモルを超えないようにコモノマーもスラリー重合段階に導入する。スラリー重合段階にコモノマーを導入しないことが特に好ましい。
【0041】
高分子量エチレンポリマーをスラリー重合段階で生成するならば、反応相中の水素/エチレンのモル比が多くとも0.1モル/キロモル、好ましくは0.01〜0.07モル/キロモルであるように水素をスラリー反応器に添加する。スラリー重合段階に水素を導入しないことが特に好ましい。コモノマー/エチレンのモル比が50〜200モル/キロモル、好ましくは70〜120モル/キロモルであるようにコモノマーをスラリー重合段階に導入する。
【0042】
重合は気相中でも実施され得る。流動床気相反応器では、オレフィンを重合触媒の存在下で上昇ガス流中で重合する。反応器は典型的には活性触媒を含有している成長ポリマー粒子を含む流動床を流動化グリッドの上に配置して含む。
【0043】
ポリマー床をオレフィンモノマー、場合によりコモノマー、場合により連鎖成長調節剤または連鎖移動剤(例えば、水素)、及び場合により不活性ガスを含む流動化ガスを用いて流動化する。流動化ガスを反応器の底部にある入口チャンバに導入する。ガス流が入口チャンバの断面表面域に均一に分布されるように、入口パイプに当業界で公知(例えば、米国特許出願公開第4933149号及び欧州特許出願公開第684871号)のように分流エレメントを備えてもよい。
【0044】
入口チャンバから、ガス流を流動化グリッドを介して流動床に上昇させる。流動化グリッドの目的は、ガス流を床の断面域を介して均一に分割することである。時には、流動化グリッドは国際公開第2005/087361号に開示されているようにガス流を反応器壁に沿って掃引させるように配置してもよい。他のタイプの流動化グリッドは、特に米国特許出願公開第4578879号、欧州特許出願公開第600414号及び欧州特許出願公開第721798号に開示されている。概要はGeldart and Bayens:The Design of Distributors for Gas-fluidized Beds,Powder Technology,Vol.42,1985に記載されている。
【0045】
流動化ガスを流動床中に通過させる。流動化ガスの空塔速度は、そうでなければ流動化が生じないので、流動床中に含まれる粒子の最小流動化速度よりも高くなければならない。一方、ガスの速度は、そうでなければ全床が流動化ガスと同伴されるので、空気輸送の開始速度より遅くなければならない。最小流動化速度及び空気輸送の開始速度は、粒子特性が一般的なエンジニアリング方式を用いることにより公知であるときには計算され得る。概要は、特にGeldart:Gas Fluidization Technology,J.Wiley & Sons,1986に記載されている。
【0046】
流動化ガスを活性触媒を含有している床と接触させたら、ガスの反応性成分(例えば、モノマー及び連鎖移動剤)は触媒の存在下で反応し、ポリマー生成物を生成する。同時に、ガスを反応熱により加熱される。
【0047】
未反応の流動化ガスは反応器の上部から除去され、反応熱を除去するために熱交換機で冷却される。ガスは、反応のために床が加熱されるのを防ぐために床の温度よりも低い温度まで冷却される。ガスの一部が凝縮する温度までガスを冷却することも可能である。液滴が反応ゾーンに入ると、これらは蒸発する。この場合蒸発熱は反応熱の除去に寄与する。こうした種類の操作は凝縮モードと呼ばれ、その変法は特に国際公開第2007/025640号、米国特許出願公開第4543399号、欧州特許出願公開第699213号及び国際公開第94/25495号に開示されている。欧州特許出願公開第696293号に開示されているように、リサイクルガス流に凝縮剤を添加することも可能である。凝縮剤は非重合性成分、例えばn-ペンタン、イソペンタン、n-ブタンまたはイソブテンであり、これらは冷却器において少なくとも部分的に凝縮される。
【0048】
次いで、ガスを圧縮し、反応器の入口チャンバに再循環させる。反応器に戻す前に、反応及び生成物の抜取りにより生ずるロスを補償するために新しい反応物質を流動化ガス流に導入する。通常、流動化ガスの組成を分析し、組成を一定に保つようにガス成分を導入することは公知である。実際の組成は生成物の所望特性及び重合に使用した触媒により決まる。
【0049】
触媒はいろいろな方法で反応器に連続的または断続的に導入し得る。特に、国際公開第01/05845号及び欧州特許出願公開第499759号が前記方法を開示している。気相反応器が反応器カスケードの一部の場合には、触媒は通常前の重合段階からのポリマー粒子内に分散されている。ポリマー粒子を欧州特許出願公開第1415999号及び国際公開第00/26258号に開示されているように気相反応器に導入してもよい。
【0050】
ポリマー生成物は気相反応器から連続的または断続的に抜取られ得る。これらの方法の組合せを使用してもよい。連続抜取りは、特に国際公開第00/29452号に開示されている。断続的抜取りは、特に米国特許出願公開第4621952号、欧州特許出願公開第188125号、欧州特許出願公開第250169号及び欧州特許出願公開第579426号に開示されている。
【0051】
気相反応器の上部は所謂解放ゾーンを含み得る。そのゾーンでは、ガス速度を遅くし、流動化ガスと一緒に床から運ばれた粒子を床に再沈降させるために反応器の直径が大きくなっている。
【0052】
床レベルは当業界で公知の各種技術により観察され得る。例えば、反応器の底部と床の特定の高さ間の差圧を反応器の全長にわたって記録し、床レベルを差圧値に基づいて計算し得る。この計算により、時間平均レベルが得られる。超音波センサーまたは放射性センサーを使用することも可能である。これらの方法を用いると、瞬間レベルが得られ得る。勿論、このレベルを時間で平均化すると時間平均床レベルが得られ得る。
【0053】
所要により、静電防止剤を気相反応器に導入してもよい。適当な静電防止剤及びその使用方法は、特に米国特許出願公開第5026795号、米国特許出願公開第4803251号、米国特許出願公開第4532311号、米国特許出願公開第4855370号及び欧州特許出願公開第560035号に開示されている。静電防止剤は通常極性化合物であり、特に水、ケトン、アルデヒド及びアルコールが含まれる。
【0054】
反応器に流動床内での混合を促進するために攪拌機を含めてもよい。適当な攪拌機のデザインの例は欧州特許出願公開第707513号に挙げられている。
【0055】
低分子量エチレンポリマーが気相重合段階で生成されるならば、水素/エチレンのモル比が0.5〜1.5モル/キロモル、好ましくは0.7〜1.3モル/キロモルであるように水素を気相反応器に添加する。次いで、コモノマー/エチレンのモル比が20モル/キロモルを超えない、好ましくは15モル/キロモルを超えないようにコモノマーを気相重合段階に導入してもよい。気相重合段階にコモノマーを導入しないことが特に好ましい。
【0056】
高分子量エチレンポリマーが気相重合段階で生成されるならば、水素/エチレンのモル比が多くとも0.4モル/キロモル、好ましくは多くとも0.3モル/キロモルであるように水素を気相反応器に添加する。気相重合段階に水素を導入しないことが特に好ましい。コモノマー/エチレンのモル比が5〜50モル/キロモルであるようにコモノマーを気相重合段階に導入する。
【0057】
ポリマー組成物
ポリマー組成物は、マルチモードエチレンコポリマーに加えて、当業界で公知の添加剤、充填剤及び補助剤を含む。追加ポリマー、例えば添加剤マスターバッチのキャリヤーポリマーを含有させてもよい。好ましくは、ポリマー組成物は組成物の全重量に基づいて少なくとも50重量%、好ましくは80〜100重量%、より好ましくは85〜100重量%のマルチモードエチレンコポリマーを含む。
【0058】
適当な抗酸化剤及び安定化剤は、例えば立体障害フェノール、ホスフェートまたはホスホナイト(phosphonite)、硫黄含有抗酸化剤、アルキルラジカルスカベンジャー、芳香族アミン、ヒンダードアミン安定化剤、並びに上記した群の2つ以上からの化合物を含む混合物である。
【0059】
適当な立体障害フェノールの例は、特に2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(例えば、DegussaからIonol CPの商標で販売されている)、ペンタエリトリチル-テトラキス(3-(3',5'-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート(例えば、Ciba Specialty ChemicalsよりIrganox 1010の商標で販売されている)、オクタデシル-3-3(3',5'-ジ-tert-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(例えば、Ciba Specialty ChemicalsよりIrganox 1076の商標で販売されている)及び2,5,7,8-テトラメチル-2(4',8',12'-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オール(例えば、BASFよりAlpha-Tocopherolの商標で販売されている)である。
【0060】
ホスフェート及びホスホナイトの例は、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(例えば、Ciba Specialty Chemicalsよりlrgafos 168の商標で販売されている)、テトラキス-(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4'-ビフェニレン-ジ-ホスホナイト(例えば、Ciba Specialty Chemicalsよりlrgafos P-EPQの商標で販売されている)及びトリス-(ノニルフェニル)ホスフェート(例えば、Dover Chemicalより Doverphos HiPure 4の商標で販売されている)である。
【0061】
硫黄含有抗酸化剤の例は、ジラウリルチオジプロピオネート(例えば、Ciba Specialty ChemicalsよりIrganox PS 800の商標で販売されている)及びジステアリルチオジプロピオネート(例えば、ChemturaよりLowinox DSTDBの商標で販売されている)である。
【0062】
窒素含有抗酸化剤の例は、4,4'-ビス(1,1'-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(例えば、ChemturaよりNaugard 445の商標で販売されている)、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンのポリマー(例えば、ChemturaよりNaugard EL-17の商標で販売されている)、p-(p-トルエン-スルホニルアミド)-ジフェニルアミン(例えば、ChemturaよりNaugard SAの商標で販売されている)及びN,N'-ジフェニル-p-フェニレンジアミン(例えば、ChemturaよりNaugard Jの商標で販売されている)である。
【0063】
市販されている抗酸化剤とプロセス安定化剤の混合物、例えばCiba-Geigyより市販されているIrganox B225、Irganox B215及びIrganox B561も利用可能である。
【0064】
適当な酸スカベンジャーは、例えばステアリン酸金属(例えば、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸亜鉛)である。これらは当業界で通常公知の量で、典型的には500〜10000ppm、好ましくは500〜5000ppmの量で使用される。
【0065】
カーボンブラックは通常使用されている顔料であり、これはUV遮断剤としても作用する。典型的には、カーボンブラックは0.5〜5重量%、好ましくは1.5〜3.0重量%の量で使用される。カーボンブラックを、特定量のポリマー、好ましくは高密度ポリエチレン(HDPE)と予め混合されているマスターバッチとして添加することが好ましい。適当なマスターバッチは、特にCabot Corporationより販売されているHD4394及びPoly Plast Mullerより販売されているPPM1805である。酸化チタンもUV遮断剤として使用され得る。
【0066】
マルチモードエチレンコポリマーを含む組成物が高い衝撃強度を有していることが好ましい。よって、この組成物は0℃で好ましくは少なくとも20kJ/m2、より好ましくは少なくとも30kJ/m2、特に少なくとも35kJ/m2、または更に少なくとも40kJ/m2のシャルピー衝撃強度を有している。典型的な値は約40〜約70kJ/m2であり得る。
【0067】
パイプ及びパイプ作製
本発明のパイプは、上記したポリマー組成物から当業界で公知の方法に従って作製される。よって、1つの好ましい方法によれば、ポリマー組成物を環状ダイを介して所望の内径に押出し、その後ポリマー組成物を冷却する。
【0068】
パイプ押出機は好ましくは比較的低温で操作され、よって、過剰の発熱は避けるべきである。15超、好ましくは少なくとも20、特に少なくとも25の高い長さ/直径比のL/Dを有する押出機が好ましい。現在の押出機は典型的には約30〜35のL/D比を有している。
【0069】
ポリマー溶融物をエンド-またはサイドフィード構成として配置され得る環状ダイを介して押出す。サイドフィードダイはしばしば押出機の軸と平行な軸を備えており、押出機に接続して直角に回転しなければならない。サイドフィードダイの利点は、マンドレルがダイを介して伸びており、これにより例えばマンドレルへの冷却水パイプの接近が容易になり得ることである。
【0070】
プラスチック溶融物がダイを離れたら、正確な直径に校正する。1つの方法では、押出物を金属チューブ(校正スリーブ)に進める。プラスチックがチューブの壁に押し当てられるように押出物の内部が加圧される。ジャケットを用いるかまたはその上に冷水を通すことによりチューブを冷却する。
【0071】
別の方法によれば、水冷した延伸部をダイマンドレルの端部に取り付ける。延伸部はダイマンドレルから断熱されており、ダイマンドレルを介して循環している水により冷却される。パイプの形状を決定し、冷却中に形状を保持するマンドレル上に押出物が引き寄せられる。冷却水は冷却のために外側のパイプ表面上を流れている。
【0072】
更に別の方法によれば、ダイを離れた押出物を中央に有孔部分を有するチューブに進める。パイプをサイジングチャンバの壁に対して保持すべく孔を介して僅かの減圧する。
【0073】
サイジング後、パイプを典型的には約5m以上の長さを有する水浴において冷却する。
【0074】
本発明のパイプは、EN 12201及びEN 1555、或いはISO 4427及びISO 4437で規定されており、ISO 9080に従って評価されるPE100規格の要件を満たしている。
【実施例】
【0075】
[方法]
メルトインデックス
メルトフローレート(MFR)はISO 1133に従って測定し、g/10分で示す。
【0076】
MFRはポリマーの溶融粘度の指標である。MFRはPEの場合190℃で測定する。メルトフローレートを測定する際の負荷を通常下付き文字として示す。例えば、MFR2は2.16kgの負荷(条件D)下で測定し、MFR5は5kgの負荷(条件T)下で測定し、MFR21は21.6kgの負荷(条件G)下で測定する。
【0077】
量FRR(流量比)は分子量分布の指標であり、異なる負荷での流量の比を表す。よって、FRR21/2はMFR21/MFR2の値を表す。
【0078】
密度
ポリマーの密度はISO 1183/1872-2Bに従って測定した。
【0079】
本発明の目的では、混合物の密度を
【数1】

【0080】
(式中、ρbは混合物の密度であり、
wiは混合物中の成分“i”の重量分率であり、
ρiは成分“i”の密度である)
に従って成分の密度から計算することができる。
【0081】
分子量
Mw、Mn及びMWDは以下の方法に従ってゲル透過クロマトグラフィー(GPC)により測定する。
【0082】
重量平均分子量Mw及び分子量分布(MWD=Mw/Mn;Mnは数平均分子量であり、Mwは重量平均分子量である)はISO 16014-4:2003及びASTM D 6474-99に従って測定する。屈折率検出器及びオンライン粘度計を備えたWaters GPCV2000計器をTosoh Bioscience製2×GMHXL-HT及び1×G7000HXL-HT TSKゲルカラム、溶媒としての1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB、250mg/Lの2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールで安定化させた)と共に140℃、1mL/分の一定流量で使用した。1分析あたり209.5μLのサンプル溶液を注入した。カラム設定を1〜12000kg/モルの範囲の少なくとも15個の狭いMWDポリスチレン(PS)標準を用いる一般的検量を用いて(ISO 16014-2:2003に従って)校正した。ASTM D 6474-99に記載されているようにマルク-ホウインク定数を使用した。サンプルはすべて0.5〜4.0mgのポリマーを4mL(140℃で)の安定化TCB(移動相と同じ)中に溶解し、GPC計器にサプリングする前に常に優しく攪拌しながら160℃の最高温度で最長3時間維持することにより調製した。
【0083】
当業界では公知のように、混合物の重量平均分子量は、その成分の分子量が公知ならば
【数2】

【0084】
(式中、Mwbは混合物の重量平均分子量であり、
wiは混合物中の成分“i”の重量分率であり、
Mwiは成分“i”の重量平均分子量である)
に従って計算することができる。
【0085】
数平均分子量は混合法則
【数3】

【0086】
(式中、Mnbは混合物の重量平均分子量であり、
wiは混合物中の成分“i”の重量分率であり、
Mniは成分“i”の重量平均分子量である)
を用いて計算することができる。
【0087】
コモノマー含量
コモノマー含量は、Nicolet Magna 550 IR分光計とNicolet Omnic FTIRソフトウェアを用いてフーリエ変換赤外分光法(FTIR)測定に基づく公知の方法で測定した。
【0088】
約220〜250μmの厚さを有するフィルムをサンプルから圧縮成形した。コモノマー含量が公知の校正サンプルから類似のフィルムを作成した。厚さはフィルムの少なくとも5点から求めた。次いで、反射を排除するためにフィルムをサンドペーパーで擦った。汚染を避けるためにフィルムを素手で触らなかった。各サンプル及び校正サンプル毎に、少なくとも2枚のフィルムを作成した。フィルムはペレットからGraceby Specacフィルムプレスを使用して、150℃で、3+2分間の予熱時間、1分間の圧縮時間及び4〜5分間の冷却時間を用いることによりプレスした。非常に高い分子量のサンプルの場合には、予熱時間を延長させたり温度を上昇させてもよい。
【0089】
コモノマー含量は約1378cm-1の波数での吸光度から求めた。校正サンプル中に使用したコモノマーはサンプル中に存在するコモノマーと同じであった。分析は2cm-1の分解能、4000〜400cm-1の波数スパン及び128の掃引数を用いて実施した。各フィルムから少なくとも2つのスペクトルを得た。
【0090】
コモノマー含量は1430〜1100cm-1の波数範囲のスペクトルから求めた。吸光度は所謂短基線及び/または長基線を選択することによりピークの高さとして測定する。短基線は最小ポイントを通して約1410〜1320cm-1で引き、長基線は約1410〜1220cm-1で引く。校正は各基線タイプ毎に特に実施しなければならない。また、未知サンプルのコモノー含量は校正サンプルのコモノマー含量の範囲内でなければならない。
【0091】
校正サンプルから直線を次のように得る:
【数4】

【0092】
(式中、Ciは校正サンプルiのコモノマー含量であり、
A1378,iはサンプルiの約1378cm-1での吸光度であり、
siは校正サンプルiから作成したフィルムの厚さであり、
kは(回帰分析により得た)校正線の勾配であり、
bは(回帰分析により得た)校正線の切片である)。
【0093】
こうして得たパラメーターk及びbを用いることにより、サンプルのコモノマー含量は
【数5】

【0094】
(式中、Cxは未知サンプルのコモノマー含量であり、
A1378,xは未知サンプルの約1378cm-1での吸光度であり、
sxは未知サンプルから作成したフィルムの厚さであり、
kは上記校正サンプルから得た校正線の勾配であり、
bは校正サンプルから得た校正線の切片である)
から得た。
【0095】
レオロジー
剪断減粘指数SHI及び粘度のようなレオロジーパラメーターは、ATSM 1440-95に従って直径25mmのプレート及び1.8mmの間隙のプレート-プレート配置を用いて窒素雰囲気下190℃で圧縮成形サンプルに対してレオメーター、好ましくはAnton Paar Physica MCR 300レオメーターを用いて測定する。振動剪断実験は0.05〜300rad/sの振動数でひずみの線形粘度範囲内で実施する(ISO 6721-1)。一桁あたり5つの測定ポイントとした。方法は国際公開第00/22040号に詳細に記載されている。
【0096】
貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G")、複素弾性率(G*)及び複素粘度(η*)の値は振動数(ω)の関数として得た。η100を100rad/sの振動数での複素粘度についての略語として使用する。
【0097】
MWDに相関し、Mwに依存しない剪断減粘指数(SHI)は、Heino(“Rheological characterization of polyethylene fractions”,Heino,E.L.,Lehtinen,A.,Tanner J.,Seppala,J.,Neste Oy,Porvoo,Finland,Theor.Appl.Rheol.,Proc.Int.Congr.Rheol.,11th(1992),1,360-362及び“The influence of molecular structure on some rheological properties of polyethylene”,Heino,E.L.,Borealis Polymers Oy,Porvoo,Finland,Annual Transactions of the Nordic Rheology Society,1995)に従って計算した。
【0098】
SHI値は、複素弾性率の所与値での複素粘度を計算し、2つの粘度の比を計算することにより得られ得る。例えば、2.7kPa及び210kPaの複素弾性率の値を用い、η*(2.7kPa)及びη*(210kPa)をそれぞれ2.7kPa及び210kPaの複素弾性率の一定値で得る。次いで、剪断減粘指数SHI2.7/210は2つの粘度η*(2.7kPa)及びη*(210kPa)の比、すなわちη(2.7)/η(210)として定義される。
【0099】
低値の振動数で複素粘度を直接測定することが常に実際的ではない。この値は、0.126rad/sの振動数まで下げて測定を実施し、対数スケールで複素粘度対振動数のプロットを作成し、振動数の最低値に相当する5つのポイントを通る最適ラインを引き、このラインから粘度値を読むことにより外挿することができる。
【0100】
シャルピー衝撃強度
シャルピー衝撃強度は、0℃でVノッチ付きサンプルに対して条件1eAでISO 179-1:2000に従って測定した。
【0101】
試験片は、4mmの厚さを有する多目的タイプB(ISO 3167)の圧縮成形サンプルであった。平均冷却速度は15K/分(ISO 1872-2)であった。
【0102】
CTL
CTLはISO 6252:1992と同様の方法を用いることにより次のように測定した。
【0103】
サンプルは、全長が125〜130mmであり、その端部での幅が21±0.5mmのプラックを180℃及び10MPaの圧力でプレスすることにより作成した。次いで、プラックを取付具において90mmの両ホルダーの中心距離及び10mmの孔直径の2つの側面上で正確な大きさに破砕する。プラックの中央部分は30±0.5mmの平行長さ、9±0.5mmの幅及び6±0.5mmの厚さを有している。次いで、2.5mmの深さのフロントノッチをノッチング機(PENT-NOTCHER,Norman Brown engineering)に取り付けたレザーブレードを用いて0.2mm/分のノッチング速度でサンプルにカットする。2つの残りの側面上に、0.8mmの側溝をカットし、これらの溝はノッチと同一平面上になければならない。ノッチを形成した後、サンプルを23±1℃及び50%の相対湿度で少なくとも48時間コンディショニングした。次いで、サンプルを、活性溶液(脱イオン水中IGEPAL CO-730の10%溶液,化学物質:2-(4-ノニル-フェノキシ)エタノール)が60℃の温度で保持されている試験チャンバ中に入れる。サンプルに約5MPaの初期応力に相当するおもりを負荷し、破損時に自動タイマーを切断する。少なくとも2回の測定の平均を報告する。
【0104】
サンプル及びサンプルに適用したノッチを図1に示す。図1中、
A:試験片の全長=125〜130mm、
B:ホルダーの中心点間の距離=90mm、
C:端部での試験片の幅=21±0.5mm、
D:孔直径=10mm、
E:側溝=0.8mm、
F:プラックの厚さ=6±0.2mm、
G:狭い平行部分の幅=9±0.5mm、
H:主ノッチ=2.5±0.02mm>
試験片の狭い部分の長さは30±0.5mmであった。
【0105】
製造例1
触媒の製造
錯体の調製:
重合例で使用した触媒錯体は、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジベンジル(n-BuCp)2Hf(CH2Ph)2であり、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド(Witcoより供給)から出発して国際公開第2005/002744号の「触媒製造例2」に従って製造した。
【0106】
活性化触媒系:
触媒は、メタロセン化合物としてビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド(80.3mg)の代わりに上で製造したビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジベンジル(98.4mg)を使用した以外は、国際公開第03/051934号の実施例4に従って製造した。
【0107】
重合
2dm3容量のBuchiオートクレーブ反応器を60℃に加熱し、まず乾燥窒素、次いでエチレンをパージした。モレキュラーシーブ酸化銅触媒を含有している触媒床中に通すことにより水分及び酸素を除去したプロパン(440ml)を反応器に導入した。次いで、上記に従って製造した重合触媒(約115mg)を反応器に導入した。エチレン及び10g/hの1-ヘキセンを反応器に供給することにより反応を開始した。反応器中の圧力は、エチレンの分圧が4バールであるように24.5バールに設定した。重合で消費された量を補償するためにエチレン及び1-ヘキセンを供給することにより圧力を一定に保った。水素は供給しなかった。重合を151分間進行させた後、炭化水素をガス抜きし、ポリマーを回収し、乾燥し、分析した。
【0108】
製造例2
触媒の製造
メタロセン錯体の調製:
重合例で使用した触媒錯体は、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジベンジル(n-BuCp)2Hf(CH2Ph)2であり、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド(Witcoより供給)から出発して国際公開第2005/002744号の「触媒製造例2」に従って製造した。
【0109】
触媒は、メタロセン錯体溶液が添加されている160L容量のバッチ反応器において製造した。混合速度は反応中は40rpmであり、乾燥中は20rpmであった。反応前に反応器にトルエンを注意深くフラッシュし、シリカを添加した後窒素をパージした。
【0110】
活性化触媒系:
まず、活性化シリカ(市販されている20μmの平均粒度を有するシリカ担体XPO2485A、供給業者:Grace)(10.0kg)を室温で乾燥トルエン(21.7kg)中にスラリー化した。次いで、シリカスラリーをトルエン中30重量%のメチルアルモキサン(MAO,Albemarleより供給)(14.8kg)に3時間かけて添加した。その後、MAO/シリカ混合物を79℃に6時間加熱した後、再び室温まで冷却した。
【0111】
生じた溶液をトルエン中67.9重量%の(n-BuCp)2Hf(CH2Ph)2(0.33kg)と室温で8時間反応させた。
【0112】
触媒を窒素パージ下、50℃で5.5時間乾燥した。
【0113】
得られた触媒は200のAl/Hfモル比、0.44重量%のHf濃度及び13.2重量%のAl濃度を有していた。
【0114】
重合
2dm3容量のBuchiオートクレーブ反応器を50℃に加熱し、まず乾燥窒素、次いでエチレンをパージした。モレキュラーシーブ酸化銅触媒を含有している触媒床中に通すことにより水分及び酸素を除去したプロパン(440ml)を反応器に導入した。次いで、上記に従って製造した重合触媒(約200mg)を反応器に導入した。エチレン及び0.12g/hの1-ヘキセンを反応器に供給することにより反応を開始した。反応器中の圧力は、エチレンの分圧が8バールであるように24.8バールに設定した。重合で消費された量を補償するためにエチレン及び1-ヘキセンを供給することにより圧力を一定に保った。水素は供給しなかった。重合を270分間進行させた後、炭化水素をガス抜きし、ポリマーを回収し、乾燥し、分析した。
【0115】
製造例3
条件を表1に示す通りとした以外は、製造例2の手順を繰り返した。
【0116】
製造例4
500dm3容量のループ反応器を温度85℃及び圧力60バールで操作した。反応器にプロパン、エチレン、水素および製造例2の活性化触媒系のセクションに従って製造した重合触媒を導入した。ループ反応器にコモノマーは導入しなかった。ポリマーを連続的に回収し、乾燥し、分析した。データを表2に示す。
【0117】
製造例5
水素供給量を変えた以外は、製造例4の手順を繰り返した。データを表2に示す。
【表1】

【表2】

【0118】
実施例1
製造例3のポリマー(152.4g)を、Rollerエレメントを有するBrabender 350 EミキサーにおいてIrganox B-225(0.6g)及びステアリン酸カルシウム(0.6g)と一緒に製造例5のポリマー(147.6g)と温度190℃で6分間混合した。スクリュー速度は40RPMであった。生じた混合物の特性を表3に示す。
【0119】
実施例2
製造例2のポリマー(179g)を、Rollerエレメントを有するBrabender 350 EミキサーにおいてIrganox B-225(0.6g)及びステアリン酸カルシウム(0.6g)と一緒に製造例5のポリマー(100g)及び製造例4のポリマー(20g)と温度190℃で6分間混合した。スクリュー速度は40RPMであった。生じた混合物の特性を表3に示す。
【0120】
実施例3
製造例1のポリマー(180g)を、Rollerエレメントを有するBrabender 350 EミキサーにおいてIrganox B-225(0.6g)及びステアリン酸カルシウム(0.6g)と一緒に製造例4のポリマー(120g)と温度190℃で6分間混合した。スクリュー速度は40RPMであった。生じた混合物の特性を表3に示す。
【0121】
比較例1
温度40℃及び圧力63バールで操作されている50dm3容量のループ反応器にエチレン(1.2kg/h)、プロパン希釈剤、水素及び重合触媒を導入した。固体触媒成分は米国パサデナに所在のEngelhard Corporationが製造し、Lynx 200の商標で販売されている市販製品(現在、BASFより供給)であった。固体成分を、Al/Tiのモル比が30〜100であるようにトリエチルアルミニウム補助触媒と一緒に使用した。生じたエチレンホモポリマーは3.5g/10分のMFR5を有していた。
【0122】
ループ反応器からのスラリーを、95℃及び57バールで操作されており、追加のエチレン、プロパン及び水素が導入される500dm3容量の第2のループ反応器に導入した。生じたエチレンホモポリマーは300g/10分のMFR2を有していた。スラリーをフラッシュ容器に抜取り、ここからポリマーを85℃及び20バールで操作されており、追加のエチレン、1-ブテンコモノマー及び水素が導入される気相反応器に移した。最終ポリマーを添加剤と混合し、押出した。ポリマーは0.29g/10分のMFR5、9.9g/10分のMFR21及び948kg/m3の密度を有していた。製造スプリット(プレポリメライザー/ループ/気相)は1/50/49であった。
【0123】
比較例2
50dm3容量のループ反応器に32kg/hのプロパン、8.3g/hの水素及びエチレンを導入した。操作温度は60℃、操作圧力は61バールであった。反応器からスラリーを取り出し、500dm3容量のループ反応器に移した。反応器を85℃及び圧力58バールで操作した。欧州特許第1462464号に開示されているように製造したシングルサイト触媒をループ反応器に29g/minの速度で連続供給した。ポリマー生成速度が35kg/hであり、ポリマーのMFR2が110g/10minであり、ポリマーの密度が939kg/m3であるように追加のエチレン、1-ブテン、プロパン希釈剤及び水素を連続的に反応器に導入した。
【0124】
スラリーを反応器からフラッシュ段階に連続的に抜取り、ここで炭化水素をポリマーから除去した。次いで、ポリマーを気相反応器に移し、この反応器において重合を継続させた。反応器を温度80℃及び圧力20バールで操作した。ポリマー生成速度が34kg/hである条件が得られるようにエチレン、水素及び1-ヘキセンを反応器に供給した。触媒の生産性は2.4kg/g-触媒であった。
【0125】
スラリー(反応器2)及び気相(反応器3)反応器において生成されたポリマー量の比は51/49であった。
【0126】
次いで、ポリマーをステアリン酸カルシウム(1500ppm)及びIrganox B225(3000ppm)とコンパウンドした。最終化合物は937kg/m3の密度を有していた。
【0127】
樹脂のデータを表3に示す。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンと4〜10個の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィンとのマルチモードコポリマーを含むポリマー組成物であって、マルチモードエチレンコポリマーが937〜950kg/m3の密度、0.3〜3.0g/10分のメルトインデックスMFR5、0.1〜2.0g/10分のメルトインデックスMFR2、及び2〜30の剪断減粘指数SHI2.7/210を有する前記ポリマー組成物。
【請求項2】
0.5〜2.0g/10分、好ましくは0.6〜1.5g/10分のメルトインデックスMFR5及び0.2〜1.0g/10分、好ましくは0.2〜0.7g/10分のメルトインデックスMFR2を有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
マルチモードエチレンコポリマーが3〜20、好ましくは3〜15のSHI2.7/210を有する、請求項1または2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
マルチモードコポリマーが
(A)成分(A)及び(B)の合計量に基づいて、30〜70重量%のエチレンホモポリマー及びエチレンと4〜10個の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィンとのコポリマーから選択され、5000〜100000g/モル、好ましくは10000〜100000g/モル、より好ましくは15000〜80000g/モルの重量平均分子量及び960〜977kg/m3の密度を有する低分子量エチレンポリマー;並びに
(B)成分(A)及び(B)の合計量に基づいて、30〜70重量%の100000〜1000000g/モル、好ましくは150000〜500000g/モルの重量平均分子量及び890〜929kg/m3の密度を有する、エチレンと4〜10個の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィンとの高分子量コポリマー
を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
低分子量エチレンポリマー(A)がエチレンホモポリマーであり、高分子量エチレンコポリマー(B)が900〜925kg/m3、好ましくは900〜922kg/m3の密度を有する、請求項4に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
高分子量コポリマー(B)がエチレンと6〜8個の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィンとのコポリマーである、請求項4または5に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
エチレンの高分子量コポリマー及び低分子量エチレンホモ-またはコポリマーが、エチレンをメタロセン触媒及びメタロセン触媒に対する活性化剤の存在下で重合することにより得ることができる、請求項4〜6のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
ポリマー組成物が、4mmの厚さを有するISO 3167で規定されるタイプBの圧縮成形試験片から条件1eAによりVノッチ付きサンプルに対してISO 179-1:2000に従って0℃で測定して、少なくとも30kJ/m2、好ましくは少なくとも35kJ/m2、特に少なくとも40kJ/m2のシャルピー衝撃強度を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
(i) 第1の重合ゾーンにおける第1の重合ステップで、エチレン、水素及び場合により4〜10個の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィンをシングルサイト重合触媒の存在下で重合して、5000〜100000g/モルの重量平均分子量及び960〜977kg/m3の密度を有する低分子量成分(A)を形成するステップ、
(ii) 第2の重合ゾーンにおける第2の重合ステップで、エチレン、4〜10個の炭素原子を有する1種以上のα-オレフィン及び場合により水素をシングルサイト重合触媒の存在下で重合して、100000〜1000000g/モルの重量平均分子量及び890〜929kg/m3の密度を有する高分子量成分(B)を形成するステップ
を含み、前記第1の重合ステップ及び第2の重合ステップは任意の順序で実施され得、後続のステップは前のステップで製造されたポリマーの存在下で実施され、成分(A)及び(B)はそれぞれ、成分(A)及び(B)の合計量に基づいて30〜70%及び70〜30%の量で存在する、請求項5〜8のいずれか1項に記載のポリマー組成物の製造方法。
【請求項10】
触媒がメタロセン化合物及び活性化剤化合物を含むシングルサイト触媒である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
活性化剤化合物がアルモキサン、好ましくはメチルアルモキサンである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
メタロセン化合物が[エチレンビス(3,7-ジ(トリ-イソプロピルシロキシ)インデン-1-イル)]ジルコニウムジクロリド、[エチレンビス(4,7-ジ(トリ-イソプロピルシロキシ)インデン-1-イル)]ジルコニウムジクロリド、[エチレンビス(5-tert-ブチルジメチルシロキシ)インデン-1-イル)]ジルコニウムジクロリド、ビス(5-tert-ブチルジメチルシロキシ)インデン-1-イル)ジルコニウムジクロリド、[ジメチルシリレネンビス(5-tert-ブチルジメチルシロキシ)インデン-1-イル)]ジルコニウムジクロリド、(N-tert-ブチルアミド)(ジメチル)(η5-インデン-4-イルオキシ)シランチタニウムジクロリド、[エチレンビス(2-(tert-ブチルジメチルシロキシ)インデン-1-イル)]ジルコニウムジクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジベンジル、ジメチルシリレネンビス(n-ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス[1,2,4-トリ(エチル)シクロペンタジエニル]ハフニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド及びジメチルシリレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリドからなる群から選択される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(i)においてエチレンをホモ重合し、ステップ(ii)においてエチレンを6〜8個の炭素原子を有する少なくとも1種のα-オレフィンコモノマーと共重合する、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物を含むパイプ。
【請求項15】
パイプを作るための、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリマー組成物の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2011−520006(P2011−520006A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507943(P2011−507943)
【出願日】平成21年5月25日(2009.5.25)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056307
【国際公開番号】WO2009/147022
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(510295778)ボーリアリス アーゲー (1)
【Fターム(参考)】