説明

高活性アントラサイクリン系抗生物質の誘導体、該誘導体の製造及び応用

本発明は抗癌活性を有するアントラサイクリン系抗生物質の誘導体、即ち式(I)に示す化合物に関する。本発明に係るアントラサイクリン系抗生物質の誘導体は、細胞レベルにおいてアドリアマイシン、ダウノルビシン等従来の薬物と同等以上の活性を有するとともに、アドリアマイシンよりも良い動物における耐性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗癌活性を有するアントラサイクリン系抗生物質の誘導体、その製造方法、並びに腫瘍又は癌の治療薬の製造における応用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アントラサイクリン系抗生物質、特にドキソルビシン(doxorubicin)及びダウノルビシン(daunorubicin)は、広く使われる抗癌剤である。ドキソルビシンは多くの実体腫瘍、例えば肝癌、胃癌、乳腺癌、肺癌、卵巣癌及び各種の白血病に対して、著しい治療効果を有する。また、ダウノルビシンは白血病の治療に最も効果的な薬物である。しかし、それによる骨髄抑制、心毒性及び消化管副作用などの副作用が際立つため、これらの薬物の臨床的応用はある程度制限を受けている。従来、自然分離或は人工合成によって、それらの誘導物が数百種ほど得られ、活性が高く毒性の低い新世代の抗癌剤の開発が期待されている。Attila A.Nagy等により合成したアドリアマイシン誘導体 2-ピロリンドキソルビシンアドリアマイシン(AN-201)は、細胞レベルにおいて、活性がドキソルビシンの300〜1000倍となっているが、AN-201の毒性が大きすぎるため、マウス移植腫瘍の疾病モデルにおいて、最大耐性量で抗腫瘍活性が確認されなかった。
【発明の概要】
【0003】
本発明は抗癌活性を有するアントラサイクリン系抗生物質の誘導体に関するものである。本発明に係るアントラサイクリン系抗生物質の誘導体は、細胞レベルにおいてアドリアマイシン、ダウノルビシン等の従来の薬物と同等以上の活性を有するとともに、アドリアマイシン、ダウノルビシンとよりも望ましい動物における耐性を有する。
【0004】
本発明は式(I)に示される化合物及びその塩又は溶媒和物を提供する。


その中、
R1はH、C1-4炭化水素基又はOC1-4炭化水素基を示し、
R2はH又はOR6を示し、ここで、R6はH、C(O)R8、ペプチド鎖、C(O)NH2、C(O)NR8R9、C(O)Ar-R27、C(O)(C2-4アルキレン基)COOHまたは式(II)に示される化合物を示し、R8、R9はそれぞれH、C1-6炭化水素基を示し、若しくはNR8R9としてピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル又はモルホリン-1-イルを示し、Arは芳香環又は複素環式芳香族環を示し、R27は0〜5個の同じ又は異なるF、Cl、NO2、CN、OH、SH、COOH、NH2、NR8R9、C1-6炭化水素基、OC1-6炭化水素基、OC(O)C1-6炭化水素基、C(O)OC1-6炭化水素基、SC1-6炭化水素基、S(O)C1-6炭化水素基又はS(O)2C1-6炭化水素基を示し、ペプチド鎖は単一の天然アミノ酸、非天然アミノ酸、又は2〜4個の天然アミノ酸及び/又は非天然アミノ酸からなるペプチド鎖を示し、
WはO又はNHを示し、
R3はH、F、OC1-4炭化水素基又はC1-4炭化水素基を示し、
R4はH、F、C1-4炭化水素基又はOR7を示し、ここで、R7はH、2-ピラニル又はR6を示し、
R5は式(III)に示される化合物、式(IV)に示される化合物、式(V)に示される化合物又はマレイミド基を示し、
nは1又は2を示し、
XとYはそれぞれC=O又はCR21R22を示し、
QはCH又はNを示し、
R10、R11、R12、R13、R15、R16はそれぞれH、F、Cl、CN、NO2、NH2、OH、C(O)OC1-4炭化水素基、OC(O)C1-4炭化水素基、OC1-4炭化水素基、C1-4炭化水素基、SC1-6炭化水素基、S(O)C1-6炭化水素基、S(O)2C1-6炭化水素基、(C0-4アルキレン基)Ar-R27又はNR8R9を示し、
R21、R22はそれぞれH又はC1-4炭化水素基を示す。
【0005】
本発明に記載のC1-4炭化水素基は、直鎖の飽和又は不飽和炭化水素基でもよく、分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素基でもよく、且つ0〜4個の同じ又は異なる置換基、例えばF、Cl、CN、OH、NO2、COOH、C1-4炭化水素基、NHC(O)C1-6炭化水素基、NHC(O)Ar-R27又はNR8R9により置換されてもよい。R8、R9はそれぞれH、C1-6炭化水素基を示し、若しくはNR8R9としてピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル又はモルホリン-1-イルを示す。
【0006】
本発明に記載のC2-4アルキレン基は、直鎖の飽和又は不飽和アルキレン基でもよく、分岐鎖の飽和又は不飽和アルキレン基でもよく、且つ0〜3個の同じ又は異なる置換基、例えばF、Cl、CN、OH、NO2、COOH、C1-4炭化水素基、NHC(O)C1-6炭化水素基、NHC(O)Ar-R27又はNR8R9により置換されてもよい。R8、R9はそれぞれH、C1-6炭化水素基を示し、若しくはNR8R9としてピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル又はモルホリン-1-イルを示す。
【0007】
本発明に記載のC0-4アルキレン基は、直鎖の飽和又は不飽和アルキレン基でもよく、分岐鎖の飽和又は不飽和アルキレン基でもよく、且つ0〜3個の同じ又は異なる置換基、例えばF、Cl、CN、OH、NO2、COOH、C1-4炭化水素基、NHC(O)C1-6炭化水素基、NHC(O)Ar-R27又はNR8R9により置換されてもよい。R8、R9はそれぞれH、C1-6炭化水素基を示し、若しくはNR8R9としてピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル又はモルホリン-1-イルを示す。
【0008】
本発明に記載のC1-6炭化水素基は、直鎖の飽和又は不飽和炭化水素基でもよく、分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素基でもよく、且つ0〜4個の同じ又は異なる置換基、例えばF、Cl、CN、OH、NO2、COOH、C1-4炭化水素基、NHC(O)C1-6炭化水素基、NHC(O)Ar-R27又はNR8R9により置換されてもよい。R8、R9はそれぞれH、C1-6炭化水素基を示し、若しくはNR8R9としてピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル又はモルホリン-1-イルを示す。
【0009】
本発明に記載の芳香環又は複素環式芳香族環は、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環、ピロール環、チオフェン環、フラン環、ピリミジン環又はピラジン環を示す。
【0010】
腫瘍又は癌の治療薬の製造に適する式(I)に示される化合物はR1がH、CH3又はOCH3を示す化合物であり、
最も腫瘍又は癌の治療薬の製造に適する式(I)に示される化合物はR1がH又はOCH3を示す化合物である。
【0011】
腫瘍又は癌の治療薬の製造に適する式(I)に示される化合物はR2がH又はOR6を示す化合物である。ここで、R6がH、グリシル基、アラニル基、バリル基、ロイシル基、イソロイシル基、フェニルアラニ基、セリル基、スレオニル基、チロシル基、リシル基、2-N,N-ジメチルアミノアセチル基、2-N,N-ジエチルアミノアセチル基、2-ピペリジンアセチル基、2-モルホリンアセチル基、2,2-ジメチルグリシル基、2,2-ジメチル-2-メチルアミノアセチル基、2,2-ジメチル-2-(N,N-ジメチルアミノ)アセチル基、2,2-ジメチル-2-エチルアミノアセチル基、2,2-ジメチル-2-(N,N-ジエチルアミノ)アセチル基、2,2-ジメチル-2-(N,N-ジプロピルアミノ)アセチル基、2,2-ジメチル-2-ピペリジンアセチル基、2,2-ジメチル-2-ピロリンアセチル基、2,2-ジメチル-2-モルホリンアセチル基、2,2-ジメチル-2-(N-メチル-N-エチルアミノ)アセチル基、2-フェニルグリシル基、2-フェニル-2-メチルアミノアセチル基、2-フェニル-2-(N,N-ジメチルアミノ)アセチル基、2-フェニル-2-エチルアミノアセチル基、2-フェニル-2-(N,N-ジエチルアミノ)アセチル、2-フェニル-2-(ジプロピルアミノ)アセチル基、2-フェニル-2-ピペリジンアセチル基、2-フェニル-2-ピロリンアセチル基、2-フェニル-2-モルホリンアセチル基、2-フェニル-2-(N-メチル-N-エチルアミノ)アセチル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタノイル基、3-メチルアミノプロピオニル基、3-エチルアミノプロピオニル基、3- N,N-ジメチルアミノプロピオニル基、3- N,N-ジエチルプロピオニル基、3-ピペリジンプロピオニル基、3-ピロリジンプロピオニル基、3-モルホリンプロピオニル基、N-グリシルグリシル基、N-アラニルグリシル基、N-バリルグリシル基、N-セリルグリシル基、N-グリシルアラニル基、N-アラニルアラニル基、N-バリルアラニル基、N-セリルアラニル基、N-グリシルバリル基、N-アラニルバリル基、N-バリルバリル基、N-セリルバリル基、コハク酸モノエステル基、(3-ニトロ-2-カルボキシル)安息香酸エステル基、(2-カルボキシル)安息香酸エステル基、(2,4-ジカルボキシル)安息香酸エステル基、(3,4,5,6-テトラフッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステル基、(2-カルボキシル-6-フッ素)安息香酸エステル基又は(3-フッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステル基を示す。
より腫瘍又は癌の治療薬の製造に適する式(I)に示される化合物はR2がH又はOR6を示す化合物である。ここで、R6がH、グリシル基、アラニル基、バリル基、ロイシル基、イソロイシル基、フェニルアラニ基、セリル基、スレオニル基、チロシル基、リシル基、2-N,N-ジメチルアミノアセチル基、2-N,N-ジエチルアミノアセチル基、2-ピペリジンアセチル基、2-モルホリンアセチル基、2,2-ジメチルグリシル基、2-フェニルグリシル基、3-メチルアミノプロピオニル基、3-エチルアミノプロピオニル基、コハク酸モノエステル基、(3-ニトロ-2-カルボキシル)安息香酸エステル基、(2-カルボキシル)安息香酸エステル基、(2,4-ジカルボキシル)安息香酸エステル基、(3,4,5,6-テトラフッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステル基、(2-カルボキシル-6-フッ素)安息香酸エステル基又は(3-フッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステルを示す。
最も腫瘍又は癌の治療薬の製造に適する式(I)に示される化合物はR2がH又はOR6を示す化合物である。ここで、R6はH、グリシル基、アラニル基、バリル基、ロイシル基、イソロイシル基、フェニルアラニ基、セリル基、スレオニル基、チロシル基、リシル基、2-N,N-ジメチルアミノアセチル基、2-N,N-ジエチルアミノアセチル基、2-ピペリジンアセチル基、2-モルホリンアセチル基、2,2-ジメチルグリシル基、2-フェニルグリシル基、コハク酸モノエステル基、(3-ニトロ-2-カルボキシル)安息香酸エステル基、(2-カルボキシル)安息香酸エステル基、(2,4-ジカルボキシル)安息香酸エステル基、(3,4,5,6-テトラフッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステル基、(2-カルボキシル-6-フッ素)安息香酸エステル基又は(3-フッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステルを示す。
【0012】
腫瘍又は癌の治療薬の製造に適する式(I)に示される化合物はWがO又はNHを示す化合物であり、
最も腫瘍又は癌の治療薬の製造に適する式(I)に示される化合物はWがOを示す化合物である。
【0013】
腫瘍又は癌の治療薬の製造に適する式(I)に示される化合物はR3がH、F、CH3、CH2CH3、OCH3又はOCH2CH3を示す化合物であり、
より腫瘍又は癌の治療薬の製造に適する式(I)に示される化合物は、R3がH、CH3又はOCH3を示す化合物であり、
最も腫瘍又は癌の治療薬の製造に適する式(I)に示される化合物は、R3がCH3を示す化合物である。
【0014】
腫瘍又は癌の治療薬の製造に適する式(I)に示される化合物は、R4がH、F、OH、CH3、OCH3、2-ピラニル、コハク酸モノエステル、(3-ニトロ-2-カルボキシル)安息香酸エステル基、(2-カルボキシル)安息香酸エステル基、(2,4-ジカルボキシル)安息香酸エステル基、(3,4,5,6-テトラフッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステル基、(2-カルボキシル-6-フッ素)安息香酸エステル基又は(3-フッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステルを示す化合物であり、
より腫瘍又は癌の治療薬の製造に適する式(I)に示される化合物は、R4がOH、OCH3、2-ピラニル又はコハク酸モノエステルを示す化合物であり、
最も腫瘍又は癌の治療薬の製造に適する式(I)に示される化合物は、R4がOH、2-ピラニル又はコハク酸モノエステルを示す化合物である。
【0015】
腫瘍又は癌の治療薬の製造に適する式(I)に示される化合物は、R5がピロール-1-イル、スクシンイミド基、グルタルイミド基、ブチロラクタム-1-イル、バレロラクタム-1-イル、3-メチル-ピロール-1-イル、3-メトキシ-ピロール-1-イル、3-メチル-スクシンイミド基、3-メトキシ-スクシンイミド基、3-メチル-グルタルイミド基、3-メトキシ-グルタルイミド基、3-メチル-ブチロラクタム-1-イル、3-メトキシブチロラクタム-1-イル、3-メチル-バレロラクタム-1-イル、3-メトキシ-バレロラクタム-1-イル、4-メチル-バレロラクタム-1-イル、4-メトキシ-バレロラクタム-1-イル、ベンゾスクシンイミド-1-イル、ピロロスクシンイミド-1-イルを示す化合物であり、
最も腫瘍又は癌の治療薬の製造に適する式(I)に示される化合物は、R5がピロール-1-イル、スクシンイミド基、グルタルイミド基、ブチロラクタム-1-イル、バレロラクタム-1-イルを示す化合物である。
【0016】
明細書に記載されていないが、構造式から確認できる、若しくは、R型又はS型と記される、本発明に係るキラル中心を有する化合物は、R型、S型又はこれらの混合物であってもいい
【0017】
なお、明細書において開示される化合物のプロドラッグ、その塩又は活性代謝物も本発明の範囲に含まれる。
【0018】
本発明は、式(I)に示される化合物の重要な中間体の式(VI)に示される化合物を製造するための製造方法を開示する。第一の製造方法としては、


式(VII)に示される化合物におけるR1、R3、R4及びWが示すグループは、式(I)に示される化合物におけるR1、R3、R4及びWが示すグループと同一であり、R20はH又はOHを示し、
式(VI)に示される化合物におけるR1、R3、R4、R5及びWが示すグループは、式(I)に示される化合物におけるR1、R3、R4、R5及びWが示すグループと同一であり、R20はH又はOHを示し、
式(VIII)に示される化合物におけるR16は、式(V)に示される化合物におけるR16が示すグループと同一であり、R21及びR22はそれぞれH又はC1-4炭化水素基を示す。
【0019】
本発明に記載の式(VII)に示される化合物の塩は、式(VII)に示される化合物が、塩酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、メチルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸又はp-トルエンスルホン酸の一種或は一種以上の混合物と形成される塩を示す
【0020】
式(VII)に示される化合物又はその塩が酸性及び/又はアルカリ性試薬の存在下で上記式(VIII)に示される化合物と反応して、式(VI)に示される化合物が得られる。その中、酸性試薬は、塩酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、メチルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸又はリンゴ酸から選ばれる一種或は一種以上の混合物である。前記酸性試薬の使用量は、式(VII)に示される化合物の0.05〜500倍(モル量)であり、望ましくは式(VII)に示される化合物の0.2〜50倍(モル量)であり、より望ましくは式(VII)に示される化合物の0.7〜5倍(モル量)である。前記アルカリ性試薬は炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、酪酸ナトリウム、酪酸カリウム、琥珀酸ナトリウム、琥珀酸カリウム、ペンタン酸ナトリウム、ペンタン酸カリウム、グルタル酸ナトリウム、グルタル酸カリウム、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、4(ピロリジン-1-イル)ピペリジン、ピペリジン又はN-メチルモルホリンから選ばれる一種或は一種以上の混合物である。アルカリ性試薬の使用量は、式(VII)に示される化合物の0.05〜500倍(モル量)であり、望ましくは式(VII)に示される化合物の0.2〜50倍(モル量)であり、より望ましくは式(VII)に示される化合物の0.7〜5倍(モル量)である。反応の温度は-20〜150℃であり、望ましくは-10〜100℃であり、より望ましくは-10〜80℃である。反応は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エタノール、メタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、N,N-ジエチルホルムアミド、1,2-ジクロロエタン、アセトニトリル、水又は式(VIII)に示される化合物の一種又は多種の溶媒の混合液において行われる。必要に応じて、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、4(ピロリジン-1-イル)ピペリジン、ピペリジン又はN-メチルモルホリン等の有機塩基を触媒としてもよい。触媒としての有機塩基の使用量は、(VII)に示される化合物のモル量の0.01〜2倍であり、望ましくは(VII)に示される化合物のモル量の0.05〜0.2倍である。式(VII)に示される化合物又はその塩と式(VIII)に示される化合物との仕込みモル比は1:0.1〜1:10000であり、望ましくは1:0.5〜1:1000であり、より望ましくは1:1〜1:500である。
【0021】
本発明に係る式(VI)に示される化合物の第二の製造方法としては、


その中、
式(IX)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13及びnが示すグループは、式(III)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13及びnが示すグループと同一であり、
式(X)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13及びnが示すグループは、式(III)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13及びnが示すグループと同一であり、
式(X)に示される化合物におけるR1、R3、R4及びWが示すグループは、式(VII)に示される化合物におけるR1、R3、R4及びWが示すグループと同一あり、
R20はH又はOHを示す。
【0022】
式(VII)に示される化合物又はその塩は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、1,2-ジクロロエタン、アセトン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル又は水の一種或は一種以上の混合液において、式(IX)に示される化合物と反応して式(X)に示される化合物が得られる。反応中に、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、4-ジエチルアミノピリジン又は、4-(ピロリジン-1-イル)-ピリジンの一種或は一種以上の混合物を触媒として加えてもよいが、加えなくてもよい。触媒の使用量は、式(VII)に示される化合物のモル量の0.01〜10倍であり、望ましくは式(VII)に示される化合物のモル量の0.02〜5倍であり、より望ましくは式(VII)に示される化合物のモル量の0.05〜1倍である。また、反応中に、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-メチルピリジン、N-エチルピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、4-ジエチルアミノピリジン、4-(ピロリジン-1-イル)-ピリジン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの一種或は一種以上の混合物を酸結合剤(deacid reagent)として添加してもよい。酸結合剤の使用量は、式(VII)に示される化合物のモル量の0.4〜20倍であり、望ましくは式(VII)に示される化合物のモル量の0.8〜10倍であり、より望ましくは式(VII)に示される化合物のモル量の1〜5倍である。反応温度は-20〜100℃であり、望ましくは-10〜80℃であり、より望ましくは-5〜80℃である。式(IX)に示される化合物又はその塩と式(VII)に示される化合物との仕込みモル比は1:0.1〜1:10であり、望ましくは1:0.5〜1:5であり、より望ましくは1:0.8〜1:3である。
【0023】
式(X)に示される化合物が、脱水剤の作用下で反応して式(VI)に示される化合物が得られる。ここで、前記脱水剤はDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)、EDC HCL(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)、CDI(N,N'-カルボニルジイミダゾール)又はDIC(N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド)から選ばれる。脱水剤の使用量は式(X)に示される化合物のモル量の0.1〜10倍であり、望ましくは式(X)に示される化合物のモル量の0.5〜5倍であり、より望ましくは式(X)に示される化合物のモル量の1〜3倍である。反応温度は-10〜120℃であり、望ましくは0〜100℃であり、より望ましくは0〜80℃である。反応は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、酢酸エチル、酢酸メチルプロピオン酸エチルプロピオン酸メチル、アセトン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド又はアセトニトリルの一種或は一種以上の混合液において行われる。
【0024】
本発明に係る式(VI)に示される化合物の第三の製造方法としては、


その中、
式(XI)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13、R21、R22及びnが示すグループは、式(III)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13、R21、R22及びnが示すグループと同一であり、
UはCl、Br、I、OTs(p-トルエンスルホン酸エステル)又はOMs(メタンスルホン酸エステル)を示し、
TはF、Cl、Br、OSu、OBt又はOAtを示し
式(XIII)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13、R21、R22、n及びUが示すグループは、式(XI)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13、R21、R22、n及びUが示すグループと同一であり、
式(XIII)に示される化合物におけるR1、R3、R4、R20及びWが示すグループは、式(VII)に示される化合物におけるR1、R3、R4、R20及びWが示すグループと同一である。
【0025】
式(VII)に示される化合物又はその塩が、アルカリの作用下で、式(XI)に示される化合物と反応して式(XIII)に示される化合物が得られる。ここで、前記アルカリは、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、4-ジエチルアミノピリジン、4-(ピロリジン-1-イル)-ピリジン、N-メチルモルホリン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムから選ばれる一種或は一種以上の混合物である。アルカリの使用量は式(VII)に示される化合物又はその塩のモル量の0.5〜10倍であり、望ましくは式(VII)に示される化合物又はその塩のモル量の0.8〜7倍であり、より望ましくは式(VII)に示される化合物又はその塩のモル量の1〜5倍である。反応は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、アセトン、酢酸エチル、イソプロパノール、酢酸メチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、アセトニトリル、エタノール、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、エタノール又はプロパノールの一種或は一種以上の混合液において行われる。反応温度は-20〜120℃であり、望ましくは-10〜100℃であり、より望ましくは0〜80℃である。式(VII)に示される化合物又はその塩と式(XI)に示される化合物との仕込みモル比は1:0.2〜1:10であり、望ましくは1:0.5〜1:5であり、より望ましくは1:0.8〜1:3である。
【0026】
式(XIII)に示される化合物は、アルカリ性試薬の作用下で反応して式(VI)に示される化合物が得られる。前記アルカリ性試薬は、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、4-ジエチルアミノピリジン、4-(ピロリジン-1-イル)-ピリジン、N-メチルモルホリン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、リチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド又はナトリウムヘキサメチルジシラジドから選ばれる一種或は一種以上の混合物である。アルカリの使用量は式(XIII)に示される化合物又はその塩のモル量の0.5〜3倍であり、望ましくは式(XIII)に示される化合物又はその塩のモル量の0.8〜2倍であり、より望ましくは式(XIII)に示される化合物又はその塩のモル量の1〜1.5倍である。反応は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、アセトン、酢酸エチル、イソプロパノール、酢酸メチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル又はエチレングリコールジエチルエーテルの一種或は一種以上の混合液において行われる。反応温度は-20〜120℃であり、望ましくは-10〜100℃であり、より望ましくは0〜80℃である。
【0027】
本発明に係る式(VI)に示される化合物の第四の製造方法としては、


そのうち、式(XIV)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13、R21、R22及びnが示すグループは、式(III)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13、R21、R22及びnが示すグループと同一である。
【0028】
式(XIV)に示される化合物が、アルカリ性試薬及び/又は酸性試薬の作用下で、式(VII)に示される化合物又はその塩と反応して式(VI)に示される化合物が得られる。ここで、前記アルカリ性試薬は、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウムから選ばれる一種或は一種以上の混合物である。アルカリの使用量は式(VII)に示される化合物又はその塩のモル量の0.5〜10倍であり、望ましくは式(VII)に示される化合物又はその塩のモル量の0.8〜5倍であり、より望ましくは式(VII)に示される化合物又はその塩のモル量の1〜3倍である。ここで、前記酸性試薬は、塩酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、メチルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸又はリンゴ酸から選ばれる一種或は一種以上の混合物である。前記酸性試薬の使用量は式(VII)に示される化合物の0.05〜500倍(モル量)であり、望ましくは式(VII)に示される化合物0.2〜50倍(モル量)であり、より望ましくは式(VII)に示される化合物0.7〜5倍(モル量)でありる。反応は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸メチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドの一種又は一種以上の混合液において行われる。反応温度は-20〜100℃であり、望ましくは-10〜80℃であり、より望ましくは0〜50℃である。
【0029】
本発明に係る式(VI)に示される化合物の第五の製造方法としては、


その中、
式(XV)におけるR15とQが示すグループは、式(IV)におけるR15和Qが示すグループと同一である。式(XVI)におけるR15とQが示すグループは、式(IV)におけるR15和Qが示すグループと同一であり、式(XVI)における中R1、R3、R4、R20及びWが示すグループは、式(VII)に示される化合物におけるR1、R3、R4、R20及びWが示すグループと同じである。式(XVII)におけるR15とQが示すグループは、式(IV)におけるR15とQが示すグループと同一であり、式(XVII)におけるR1、R3、R4、R20及びWが示すグループは、式(VII)に示される化合物におけるR1、R3、R4、R20及びWが示すグループと同一である。
【0030】
式(VII)に示される化合物又はその塩が、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、1,2-ジクロロエタン、アセトン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル又は水の一種又は一種以上の混合液において、式(XV)に示される化合物と反応して、式(XVI)又は(XVII)に示される化合物が得られる。反応中に、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、4-ジエチルアミノピリジン又は4-(ピロリジン-1-イル)-ピリジンの一種又は一種以上の混合物を触媒として加えてもよいが、加えなくてもよい。触媒の使用量は式(VII)に示される化合物のモル量の0.01〜10倍であり、望ましくは式(VII)に示される化合物のモル量の0.02〜5倍であり、より望ましくは式(VII)に示される化合物のモル量の0.05〜1倍である。反応中に、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、4-ジメチルアミノピリジン、4-ジエチルアミノピリジン、4-(ピロリジン-1-イル)-ピリジン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの一種又は一種以上の混合剤を酸結合剤として加えてもよい。酸結合剤の使用量は式(VII)に示される化合物のモル量の0.4〜20倍であり、望ましくは式(VII)に示される化合物のモル量の0.8〜10倍であり、より望ましくは式(VII)に示される化合物のモル量の1〜5倍である。反応温度が-20〜100℃であり、望ましくは-10〜80℃であり、より望ましくは0〜80℃である。式(VII)に示される化合物又はその塩と式(XV)に示される化合物との仕込みモル比が1:0.2〜1:10であり、望ましくは1:0.5〜1:5であり、より望ましくは1:0.8〜1:3である。
【0031】
式(XVI)又は式(XVII)に示される化合物が、脱水剤の作用下で反応して式(VI)に示される化合物が得られる。その中、前記脱水剤はDCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)、EDC HCL(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩)、CDI(N,N'-カルボニルジイミダゾール)又はDIC(N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド)から選ばれる。脱水剤の使用量が式(XVI)又は式(XVII)に示される化合物のモル量の0.1〜10倍であり、望ましくは式(XVI)又は式(XVII)に示される化合物のモル量の0.5〜5倍であり、より望ましくは式(XVI)又は式(XVII)に示される化合物のモル量の1〜3倍である。反応温度が-10〜120℃であり、望ましくは0〜100℃であり、より望ましくは20〜100℃である。反応は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、酢酸エチル、酢酸メチルプロピオン酸エチルプロピオン酸メチル、アセトン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド又はアセトニトリルの一種或は一種以上の混合液において行われる。反応中に、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、4-ジエチルアミノピリジン又は4-(ピロリジン-1-イル)-ピリジンの一種又は一種以上の混合物を触媒として加えてもよい。触媒の使用量が式(XVI)又は式(XVII)に示される化合物のモル量の0.01〜1倍であり、望ましくは式(XVI)又は式(XVII)に示される化合物のモル量の0.02〜0.8倍であり、より望ましくは式(XVI)又は式(XVII)に示される化合物のモル量の0.03〜0.5倍である。
【0032】
本発明に係る式(VI)に示される化合物の第六の製造方法としては、


そのうち、式(XX)に示される化合物におけるR15、X、YとQが示すグループは、式(IV)に示される化合物におけるR15、X、YとQが示すグループと同一であり、式(XX)に示される化合物におけるUがCl、Br、OMs (メタンスルホン酸エステル)又はOTs(p-トルエンスルホン酸エステル)を示す。
【0033】
式(VII)に示される化合物又はその塩は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、1,2-ジクロロエタン、アセトン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル又は水の一種或は一種以上の混合液において、アルカリの作用下で、式(XX)に示される化合物と反応して、式(VI)に示される化合物が得られる。反応中に、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、4-ジエチルアミノピリジン又は4-(ピロリジン-1-イル)-ピリジンの一種又は一種以上の混合物を触媒として加えてもよいが、加えなくてもよい。触媒の使用量が式(VII)に示される化合物のモル量の0.01〜10倍であり、望ましくは式(VII)に示される化合物のモル量の0.02〜5倍であり、より望ましくは式(VII)に示される化合物のモル量の0.05〜1倍である。反応中に加えられるアルカリは、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、4-ジメチルアミノピリジン、4-ジエチルアミノピリジン、4-(ピロリジン-1-イル)-ピリジン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの一種又は一種以上の混合物が含まれるが、これらに限らない。反応中に加えるアルカリの使用量が式(VII)に示される化合物のモル量の0.4〜20倍であり、望ましくは式(VII)に示される化合物のモル量の0.8〜10倍であり、より望ましくは式(VII)に示される化合物のモル量の1〜5倍である。反応温度が-20〜100℃であり、望ましくは-10〜80℃であり、より望ましくは0〜80℃である。式(VII)に示される化合物又はその塩と式(XX)に示される化合物との仕込みモル比が1:0.2〜1:10であり、望ましくは1:0.5〜1:5であり、より望ましくは1:0.8〜1:3である。
【0034】
本発明に係る式(I)に示される化合物の第一の製造方法としては、
R20がOHを示す場合における式(VI)に示される化合物を、R8COOH、ペプチド鎖、HOOC-Ar-R27、式(IX)に示される化合物、式(XV)に示される化合物又は式(XXI)に示される化合物と反応して式(I)に示される化合物が得らる。

【0035】
その中、
R8COOHにおけるR8はH又はC1-6炭化水素基を示し、
式(XXI)に示される化合物におけるR8とR26はそれぞれH又はC1-6炭化水素基を示し、
Arは芳香環又は複素環式芳香族環を示し、
R27は0〜5の同じ又は異なるF、Cl、NO2、CN、OH、SH、COOH、NH2、NR8R9、C1-6炭化水素基、OC1-6炭化水素基、OC(O)C1-6炭化水素基、C(O)OC1-6炭化水素基、SC1-6炭化水素基、S(O)C1-6炭化水素基又はS(O)2C1-6炭化水素基を示す。ペプチド鎖は遊離カルボキシル基を有し、N末端には、0〜2の同じ又は異なるC1-6炭化水素基を有し、若しくは、Fmoc、Boc、CBZ、TrまたはAllocから選ばれるアミノ基の保護基を有する。
【0036】
反応中に、DCC、EDC HCL、CDI又はDICの一種又は一種以上の混合物から選ばれる縮合剤を加えてもよい。縮合剤の使用量が式(VI)に示される化合物のモル量の0.1〜10倍であり、望ましくは式(VI)に示される化合物のモル量の0.5〜5倍であり、より望ましくは式(VI)に示される化合物のモル量の1〜3倍である。反応温度が-10〜120℃であり、望ましくは0〜100℃であり、より望ましくは20〜100℃である。反応は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、アセトン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド又はアセトニトリルの一種或は一種以上の混合液において行われる。反応中に、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、4-ジエチルアミノピリジン又は4-(ピロリジン-1-イル)-ピリジンの一種又は一種以上の混合物を触媒として加えてもよいが、加えなくても良い。触媒の使用量が式(VI)に示される化合物のモル量の0.01〜10倍であり、望ましくは式(VI)に示される化合物のモル量の0.02〜5倍であり、より望ましくは式(VI)に示される化合物のモル量の0.05〜1倍である。式(VI)に示される化合物とR8COOH、ペプチド鎖、HOOC-Ar-R27又は式(XXI)に示される化合物との仕込みモル比が1:0.2〜1:10であり、望ましくは1:0.5〜1:7であり、より望ましくは1:0.8〜1:5である。必要に応じて、アルカリを酸結合剤として加えてもいい。反応中に加えられるアルカリは、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、4-ジメチルアミノピリジン、4-ジエチルアミノピリジン、4-(ピロリジン-1-イル)-ピリジン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの一種又は一種以上の混合物が含まれるが、これらに限らない。反応中に加えられるアルカリの使用量が式(VI)に示される化合物のモル量の0.4〜20倍であり、望ましくは式(VI)に示される化合物のモル量の0.8〜10倍であり、より望ましくは式(VI)に示される化合物のモル量の1〜5倍である。
【0037】
式(VI)に示される化合物が、N端に保護基を有するペプチド鎖と反応して物が得られ、当業者に使われる常用の脱保護反応を経て、所望の化合物が得られる。即ち、FmocがNH3、アミノエタノール、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピリジン、ピペラジン又はDBUにより除去されることができ、Boc又はTrが塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、メチルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸またはHClにより除去されることができる。
【0038】
本発明に係る式(I)に示される化合物の第二の製造方法としては、
R20がOHを示す場合における式(VI)に示される化合物をR8NCOと反応して式(I)に示される化合物が得られる。R8がC1-6炭化水素基を示す。式(VI)に示される化合物とR8NCOとの仕込み比が1:0.5〜1:5であり、望ましくは1:0.7〜1:2であり、より望ましくは1:0.8〜1:1.5である。反応中に、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、4-ジメチルアミノピリジン、4-ジエチルアミノピリジン又は4-(ピロリジン-1-イル)-ピリジンのような第3級アミンの一種又は一種以上の混合物を加えてよい。第3級アミンの添加量が式(VI)に示される化合物のモル量の0.5〜10倍であり、望ましくは式(VI)に示される化合物のモル量の0.5〜7倍であり、より望ましくは式(VI)に示される化合物のモル量の0.5〜3倍である。反応中に、触媒として4-ジメチルアミノピリジン、4-ジエチルアミノピリジン又は4-(ピロリジン-1-イル)-ピリジンの一種又は一種以上の混合物を加えても(加えなくても)よい。触媒の添加量が式(VI)に示される化合物のモル量の0.01〜1倍であり、望ましくは式(VI)に示される化合物のモル量の0.02〜0.8倍であり、より望ましくは式(VI)に示される化合物のモル量の0.05〜0.3倍である。反応温度が-10〜120℃であり、望ましくは0〜100℃であり、より望ましくは0〜100℃である。反応は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、アセトン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド又はアセトニトリルの一種又は一種以上の混合液において行われる。
【0039】
本発明に係る式(I)に示される化合物の第三の製造方法としては、
R20がOHを示す場合における式(VI)に示される化合物をホスゲン、ジホスゲン又はトリホスゲンと反応させてから更にR8NCOを投入して反応して式(I)に示される化合物が得られる。式(VI)に示される化合物とホスゲン、ジホスゲン又はトリホスゲンとの仕込みモル比が1:0.5〜1:5であり、望ましくは1:0.7〜1:3であり、より望ましくは1:0.9〜1:2である。式(VI)に示される化合物とHNR8R9との仕込みモル比が1:0.5〜1:5であり、望ましくは1:0.7〜1:3であり、より望ましくは1:0.9〜1:2である。
【0040】
反応中に、酸結合剤として炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、第3級アミン例えばトリエチルアミン、トリメチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、4-ジメチルアミノピリジン、4-ジエチルアミノピリジン又は4-(ピロリジン-1-イル)-ピリジンの一種又は一種以上の混合物を加えてもよい。酸結合剤の添加量が式(VI)に示される化合物のモル量の1〜20倍であり、望ましくは式(VI)に示される化合物のモル量の1.5〜15倍であり、より望ましくは式(VI)に示される化合物のモル量の2〜10倍である。反応中に、触媒として4-ジメチルアミノピリジン、4-ジエチルアミノピリジン又は4-(ピロリジン-1-イル)-ピリジンの一種又は一種以上の混合物を加えても(加えなくても)よい。触媒の添加量が式(VI)に示される化合物のモル量の0.01〜1倍であり、望ましくは式(VI)に示される化合物のモル量の0.02〜0.8倍であり、より望ましくは式(VI)に示される化合物のモル量の0.05〜0.3倍である。反応温度が-100〜120℃であり、望ましくは-78〜100℃であり、より望ましくは-78〜80℃である。反応は、ジクロロメタン、トリクロロメタン、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、アセトン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド又はアセトニトリルの一種又は一種以上の混合液において行われる。
【0041】
式(I)に示される化合物は、癌又は腫瘍の治療薬の製造に用いられ、その中、前記癌には腸癌、肝癌、胃癌、乳腺癌、肺癌、腎臓癌、子宮頸癌、膵臓癌、卵巣癌、前立腺癌、神経膠腫、リンパ癌、皮膚癌、色素性腫瘍、甲状腺癌、多発性骨髄腫又は白血病が含まれるが、これらに限らない。
【0042】
式(I)に示される化合物から製造する、癌又は腫瘍の治療薬は、適切な他の種類の抗癌剤、例えばパクリタキセル系抗癌剤、カンプトセシン系抗癌剤、ビンブラスチン系抗癌剤、シクロホスファミド、5-フルオロウラシル、サリドマイド、シスプラチン、Revlimid、tarceva、Irresa、Gleveec等の一種或は多種と併用することができ、併用の場合には、順次に投与してもよいが、同時に投与してもよい。
【0043】
式(I)に示される化合物から製造する、癌又は腫瘍の治療薬の剤形は薬物の投与方式に決定され、例えば胃腸管投与、静脈点滴注射、腹腔内投与、真皮内投与、筋肉内投与、鼻内投与又は局所投与等の投与方式がある。選ばれる剤形では、式(I)に示される化合物が含まれる以外に、該剤形の製造に必要な適切な薬物担体、例えば充填剤、溶媒、希釈剤、着色剤及び/又は結合剤等を含有できる。
【0044】
式(I)に示される化合物から製造する、癌又は腫瘍の治療薬の好ましい剤形は注射用剤形であり、剤形として粉針、凍結乾燥粉針、水針、乳剤又は懸濁剤が含まれるが、これらに限らない。
略語:
Su:スクシンイミド基
Bt:ベンゾトリアゾール-1-イル
At:7-アザベンゾトリアゾール-1-イル
Fmoc:フルオレニルメトキシカルボニル基
Boc:tert-ブトキシカルボニル基
CBZ:ベンゾイルオキシカルボニル基
Tr:トリメチルフェニル
Alloc:アリルオキシ ホルミル基
DBU:1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデク-7-エン
【実施例】
【0045】
[実施例1]
3'-ピロールアドリアマイシン
1Lの三口フラスコにアドリアマイシン(Doxorubicin)塩酸塩3.076gを加え、蒸留水300mlと1,2-ジクロロエタン300ml、2,5-ジメトキシテトラヒドロフラン30mlと氷酢酸6mlを加える。アルゴンガスの保護下で、45分間還流して反応が完了する。反応液を室温に冷却し、アイスウォーター200mlに入れ、静置・分液させる。有機相を飽和食塩水で一回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過・回転乾燥させ、
アイスバスにおいて、攪拌しながら水相に5%炭酸水素ナトリウム100mlを加え、クロロホルムで抽出し(50ml×3)、クロロホルム層を集めて、飽和食塩水100mlでクロロホルム層を一回洗浄し、ろ過・回転にて溶媒を除去し、得られる粗品と上述によって得られる粗品を併合し、カラムクロマトグラフィーにて精製し、クロロホルム、メタノール=35:1で溶出させ、製品2.95gが得られる。MS:592(M-1)
【0046】
同様な方法により、実施例2〜実施例6に示される化合物を合成する。
【0047】
[実施例2]
3'-ピロール-5-イミノダウノマイシン、MS:576(M-1)。
【0048】
[実施例3]
3'-ピロール-イダルビシン、MS:547(M-1)。
【0049】
[実施例4]
3'-ピロール-エソルビシン、MS:577(M-1)。
【0050】
[実施例5]
3'-ピロールドキソルビシン、MS:577(M-1)。
【0051】
[実施例6]
3'-ピロール-4'-(ピラン-2-イル)アドリアマイシン、MS:677(M-1)。
【0052】
[実施例7]
3'-スクシンイミドアドリアマイシン
50mlの一口丸底フラスコにアドリアマイシン塩酸塩100mgを加え、DMF 3mlで溶解させ、63μlDIEA(ジイソプロピルエチルアミン)とDMAP(4-ジメチルアミノピリジン)2mgを加えて10分間攪拌し、無水コハク酸21mgを加え、アルゴンガスの保護下で室温にて1時間攪拌させる。反応液を回転乾燥させ、残留する物質に蒸留水20mlとクロロホルム10mlを加え、抽濾、ろ過ケーキが得られる。得られるろ過ケーキを乾燥させ、18mgを取って50mlの一口フラスコに入れ、ジクロロメタン5ml(分子篩乾燥)、トリエチルアミン12μl(分子篩乾燥)を加え、更に塩化シアヌル69mlを加え、室温にて攪拌しながら宵越しする。反応液にジクロロメタン20mlを加え、20mlの水で一回洗浄し、得られる全ての有機相を20mlの食塩水で一回洗浄し、溶媒を回転・除去し、粗品が得られる。薄層をクロマトグラフィーにて精製し、クロロホルム、メタノール=22:1で現像させ、所望の化合物が得られる。MS:624(M-1)。
【0053】
同様な方法により、実施例8〜実施例11に示される化合物を合成する。
【0054】
[実施例8]
3'-グルタルイミドアドリアマイシン、MS:1296(2M+H2O)。
【0055】
[実施例9]
3'-cis-ブテンジイミドアドリアマイシン、MS:623(M)。
【0056】
[実施例10]
3'-(ピロロ-(2,3)スクシンイミド)アドリアマイシン、MS:722(M+EtOH)。
【0057】
[実施例11]
3'-(ベンゾ-(2,3)スクシンイミド)アドリアマイシン、MS:1345(2M)。
【0058】
[実施例12]
3'-ブチロラクタムアドリアマイシン
アドリアマイシン塩酸塩10mgを取ってDMF 5ml(無水)に溶解させ、アイスバスで0〜5℃に冷却させ、ジイソプロピルエチルアミン7mgを加えて10分間を攪拌し、4-クロロブチリルクロリド2.4mgを加え、30分間反応する。アイスバスにおいて、反応液に100mlの水を加え、クロロホルムで三回抽出し(5ml×3)、クロロホルム層を集めて、飽和食塩水で一回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過・回転にて溶媒を除去する。薄層クロマトグラフィーにて精製し、クロロホルム、メタノール=95:5で現像させる。得られた製品8mgをDMF 3ml(無水)に溶解させ、アルゴンを通して、アイスバスで-5〜0℃に冷却させ、水素化ナトリウム0.3mgを加えて24時間攪拌する。反応終了後、50mlの水を加え、クロロホルムで三回抽出し(5ml×3)、クロロホルム層を集めて、飽和食塩水で一回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過・回転にて溶媒を除去する。薄層クロマトグラフィーにて精製し、クロロホルム、メタノール=30:1で現像させ、製品6mgが得られ、MS:611。
【0059】
[実施例13]
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-コハク酸モノエステル
50mlの一口フラスコに3'-ピロールアドリアマイシン845gを加え、クロロホルム20mlで溶解させ、アルゴン雰囲気下で-10℃まで冷却し、DMAP704mgと無水コハク酸570mgを加え、攪拌しながら宵越しする。反応終了後、反応液にクロロホルム300mlを加え、5%クエン酸水溶液100mlで一回洗浄し、飽和食塩水100mlで一回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過・回転乾燥させ、粗品が得られる。カラムクロマトグラフィーにて精製し、クロロホルム:メタノール:氷酢酸=475:25:5で溶出して製品238mgが得られ、MS:692(M-1)。
【0060】
同様な方法により、実施例14〜実施例25に示される化合物を合成する。
【0061】
[実施例14]
3'-ピロール-エソルビシン-14-酸素-コハク酸モノエステル、MS:676(M-1)。
【0062】
[実施例15]
3'-ピロール-4'-(ピラン-2-イル)アドリアマイシン-14-酸素-コハク酸モノエステル、MS:776(M-1)。
【0063】
[実施例16]
3'-スクシンイミドアドリアマイシン-14-酸素-コハク酸モノエステル、MS:724(M-1)。
【0064】
[実施例17]
3'-グルタルイミドアドリアマイシン-14-酸素-コハク酸モノエステル、MS:738(M-1)。
【0065】
[実施例18]
3'-cis-ブテンジイミドアドリアマイシン-14-酸素-コハク酸モノエステル、MS:722(M-1)。
【0066】
[実施例19]
3'-(ピロロ-(2,3)スクシンイミド)アドリアマイシン-14-酸素-コハク酸モノエステル、MS:773(M-1)。
【0067】
[実施例20]
3'-(ベンゾ-(2,3)スクシンイミド)アドリアマイシン-14-酸素-コハク酸モノエステル、MS:772(M-1)。
【0068】
[実施例21]
3'-ピロールアドリアマイシン-14,4'-酸素-ジコハク酸モノエステル、MS:792(M-1)。
【0069】
[実施例22]
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-cis-ブテン二酸モノエステル、MS:690(M-1)。
【0070】
[実施例23]
3'-ピロールアドリアマイシン-14,4'-酸素-ジ-cis-ブテン二酸モノエステル、MS:788(M-1)。
【0071】
[実施例24]
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-グルタル酸モノエステル、MS:730(M+Na)。
【0072】
[実施例25]
3'-ピロールアドリアマイシン-14,4'-酸素-ジグルタル酸モノエステルMS:820(M-1)。
【0073】
[実施例26]
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-(3-ニトロ-2-カルボキシル)安息香酸エステル
50mlの一口フラスコに3'-ピロールアドリアマイシン50mgを加え、クロロホルム2.5mlで溶解させ、アルゴン雰囲気下で-5℃まで冷却し、DMAP42mgと3-ニトロ無水フタル酸65mgを加え、攪拌しながら宵越しする。反応終了後、反応液にクロロホルム150mlを加え、5%クエン酸100mlで一回洗浄し、飽和食塩水100mlで有機相を一回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過・回転乾燥させ、薄層クロマトグラフィーにて精製し、クロロホルム:メタノール:氷酢酸=450:50:5で溶出し、所望の化合物が得られる。MS:785(M-1)。
【0074】
同様な方法により、実施例27〜実施例37に示される化合物を合成する。
【0075】
[実施例27]
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-(3-フッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステル、MS:785(M-1)。
【0076】
[実施例28]
3'-ピロールアドリアマイシン-14,4'-酸素-ジ(3-フッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステル、MS:925。
【0077】
[実施例29]
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-(2-カルボキシル-6-フッ素)安息香酸エステル、MS:785(M-1)。
【0078】
[実施例30]
3'-ピロールアドリアマイシン-14,4'-酸素-ジ(6-フッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステル、MS:925。
【0079】
[実施例31]
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-(3,4,5,6-テトラフッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステル、MS:812(M-1)。
【0080】
[実施例32]
3'-ピロールアドリアマイシン-14,4'-酸素-ジ(3,4,5,6-テトラフッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステル、MS:1033(M)。
【0081】
[実施例33]
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-(2,4-ジカルボキシル)安息香酸エステル基、MS:784(M-1)。
【0082】
[実施例34]
3'-ピロールアドリアマイシン-14,4'-酸素-ジ(2,4-ジカルボキシル)安息香酸エステル、MS:978(M)。
【0083】
[実施例35]
3'-ピロールアドリアマイシン-14,4'-酸素-ジ(2-カルボキシル)安息香酸エステル、MS:889(M)。
【0084】
[実施例36]
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-(3-カルボキシル)ピリジン-2-ギ酸エステル、MS:741(M-1)。
【0085】
[実施例37]
3'-ピロールアドリアマイシン-14,4'-酸素-(3-ニトロ-2-カルボキシル)ジ安息香酸エステル、MS:978(M-1)。
【0086】
[実施例38]
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-アラニンエステル塩酸塩
50mlの一口フラスコに3'-ピロールアドリアマイシン59.3mgとジクロロメタン10ml(分子篩乾燥)を加え、アルゴン雰囲気下で攪拌し、Boc-アラニン63mg、EDC HCl 38mgとDMA12mgを加える。反応終了後、ジクロロメタン50mlを加え、100mlの水で洗浄し、ジクロロメタンで水層を一回逆抽出し、有機相を集め、得られる有機相を飽和食塩水100mlで一回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過・回転乾燥させ、薄層クロマトグラフィーにて精製し、クロロホルム:メタノール=35:1で現像させ、製品43mgが得られる。得られる化合物をテトラヒドロフラン(再蒸留)1mlで溶解させ、アルゴンガスを流し、温度を-5℃に降下し、塩化水素のエチルエーテル溶液1mlを加え、室温にて2時間攪拌する。ろ過して、ろ過ケーキをエチルエーテルで三回洗い流し、所望の化合物が得られる。
【0087】
同様な方法により、実施例39〜実施例53に示される化合物を合成する。
【0088】
[実施例39]
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-バリンエステル塩酸塩、
【0089】
[実施例40]
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-グリシンエステル塩酸塩、
【0090】
[実施例41]
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-ロイシンエステル塩酸塩、
【0091】
[実施例42]
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-(2,2-ジメチル)グリシンエステル塩酸塩、
【0092】
[実施例43]
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-(2-フェニル)グリシンエステル塩酸塩、
【0093】
[実施例44]
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-ジエチルアミノアセテート、
【0094】
[実施例45]
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-モルホリンアセテート、
【0095】
[実施例46]
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-(N-グリシル)バリンエステル塩酸塩、
【0096】
[実施例47]
3'-ピロール-エソルビシン-14-グリシンエステル塩酸塩、
【0097】
[実施例48]
3'-ピロール-4'-(ピラン-2-イル)アドリアマイシン-14-酸素-グリシンエステル塩酸塩、
【0098】
[実施例49]
3'-スクシンイミドアドリアマイシン-14-酸素-グリシンエステル塩酸塩、
【0099】
[実施例50]
3'-グルタルイミドアドリアマイシン-14-酸素-グリシンエステル塩酸塩、
【0100】
[実施例51]
3'-cis-ブテンジイミドアドリアマイシン-14-酸素-グリシンエステル塩酸塩、
【0101】
[実施例52]
3'-(ピロロ-(2,3)スクシンイミド)アドリアマイシン-14-酸素-グリシンエステル塩酸塩、
【0102】
[実施例53]
3'-(ベンゾ-(2,3)スクシンイミド)アドリアマイシン-14-酸素-グリシンエステル塩酸塩、または
【0103】
[実施例54]
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-β-アラニンエステル塩酸塩
【0104】
[細胞毒性の測定(MTS Assay)]
1.細胞株及び試薬
MCF-7、人乳腺癌細胞株、
HCT-8、人結腸癌細胞株、
HEPG-2、人肝癌細胞株、
A549、人肺癌細胞株、
LOVO、人結腸癌細胞株、
RPMI 1460培養液、MTT、ブルーテトラゾリウム、DMSO、ジメチルスルホキシド、96穴細胞培養プレート、
抗腫瘍化合物(天津和美生物技術有限公司より合成)、
陽性対照薬-アドリアマイシン(浙江海正薬業株式有限公)。
【0105】
2.細胞生長抑制の活性の測定
(1) 細胞培養及び薬物処理、
細胞を10%ウシ胎仔血清を含むRPMI 1640細胞培養液(ペニシリン、ストレプトマイシンをそれぞれ100ku/L補充する)に接種し、培養プレートを37℃にて5%CO2を含有する細胞培養器に放置し、2〜3日ごとに液を一回交換し、0.25%トリプシンで消化し、継代及び細胞収集を行う。
【0106】
10%ウシ胎仔血清を含むRPMI 1640細胞培養液を用いて、対数増殖期の細胞を所定濃度の細胞懸濁液に製造し、穴ごとに3000〜5000個細胞/100μlがあるように、細胞懸濁液を96穴プレートに入れ、24時間培養した後、穴にそれぞれ異なる濃度の試料100μlを加え、濃度ごとに四つの平行穴がある。72時間〜120時間培養した後、脱離液を捨てて、穴にそれぞれ新たに調製した0.5mg/ml MTTの無血清培養液100μlを入れ、37℃にて4時間培養して脱離液を捨てる。200μlのDMSOによりホルマザンを溶解させ、軽く15分間振動した後、マイクロプレートリーダーにて570 nmの測定周波数、450 nmの参照周波数で光吸収値を(OD-値)を測定する。
【0107】
(2) データ処理、
データはx±sで表示され、
抑制率=(対象群OD-値−投与群OD-値)/対象群OD-値×100%、
最大抑制率IMAXと半有効濃度(IC50)を用いて抗癌効果を表示する。MicroCal Originソルトでグラフを作り、ならびに該ソルトにおける四パラメータLogisticプログラムで、腫瘍細胞生長に対する適合供試品の抑制曲線を作り、腫瘍細胞増殖を抑制する半有効濃度(IC50、μg/ml)が求める。
【0108】
(3) 結果
供試品の暴露濃度が0.001μg/ml、0.003μg/ml、0.009μg/ml、0.027μg/ml、0.082μg/ml、0.247μg/ml、0.741μg/ml、2.222μg/ml、6.667μg/ml、20μg/mlであり、
アドリアマイシン(陽性薬)の暴露濃度が1.25μg/ml、5μg/ml、20μg/mlである。96穴プレートにおいて、穴ごとに3000〜5000個細胞を接種し、濃度ごとに四つの平行穴がある。表1には、1μMの濃度で化合物のLovo細胞に対する生長抑制率を示し、表2には、化合物の多種腫瘍細胞の抑制活性を示し、表3には、異なる濃度で化合物のMCF-7人乳腺癌細胞増殖に対する抑制率を示す。





【0109】
アドリアマイシンの活性と比較して、供試化合物の活性は同等又は少しよいであり、且つ多種の人腫瘍細胞株、例えば人結腸癌LOVO、人乳腺癌MCF-7、結腸癌HCT-8、肝癌HEPG-2、肺癌A549細胞系に対して、比較的強い生長抑制作用を有する。
【0110】
[実施例1のマウス体内のMTD試験報告]
実験目的、基礎的に実施例1のマウス体内の毒性を考察する。
実験動物、昆明種のマウス20±2g、中国医学科学院放射医学研究所動物飼育室から購入、動物許免許書番号SCXK(津)2005-0001
実験薬物、実施例1
薬物溶液の調製、0.5体積%のDMSOを渦巻溶解させた後5体積%のRH40(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油)を加え、均一に渦巻混合させた後生理食塩水で定容する。
【0111】
実験方案、
(1)一回投与、9匹の健康な昆明種のマウス(体重、20±2g)を選び、ブランク群(2匹)、20mg/kg(6匹)及び30 mg/kg(1匹)という三つの群に分ける。投与群に対して尾静脈投与の方式で一回に20mg/kg、30 mg/kgの実施例1を投与し、ブランク群に対して相応体積の溶媒を投与して参照する。投与後、マウスの1時間以内の行為、反射及び自発活動を観察し、その後、毎日マウスの体重を記録する。投与停止後、14日観察して解剖し、主な臓器には明らかな異常があるかどうかを観察する。
【0112】
(2)数回投与、12匹の健康な昆明種のマウス(体重、20±2g)を選び、ブランク群(1匹)、10mg/kg(5匹)という二つの群に分ける。投与群に対して、三日間ごとに尾静脈投与の方式で一回10mg/kgの供試薬物を投与し、ブランク群に対して相応体積の溶媒を投与して参照し、各群に対して五回投与し、毎回投与後、マウスの1時間以内の行為、反射及び自発活動を観察し、毎日マウスの体重を記録する。投与停止後、一周間正常に飼養した後、解剖して、主な臓器には明らかな異常があるかどうかを観察する。
【0113】
実験結果、
1、死亡率、
(1)一回投与、死亡が確認されなかった。
(2)数回投与、死亡が確認されなかった。
2、体重変化、
(1)一回投与、投与したマウスの体重はいずれも増大の傾向を呈し、且つ体表には異常がなかった。
(2)数回投与、投与したマウスの体重の増大は緩やかであり、体表には異常がなかった。。
【0114】
マウスでは、供試化合物の最大耐性量(MTD)がアドリアマイシンより(MTD、8〜12mg/kg)少なくとも5倍以上高いである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】


(その中、
R1はH、C1-4炭化水素基又はOC1-4炭化水素基を示し、
R2はH又はOR6を示し、ここで、R6はH、C(O)R8、ペプチド鎖、C(O)NH2、C(O)NR8R9、C(O)Ar-R27、C(O)(C2-4アルキレン基)COOHまたは式(II)に示される化合物を示し、R8、R9はそれぞれH、C1-6炭化水素基を示し、若しくはNR8R9としてピロリジン-1-イル、ピペリジン-1-イル又はモルホリン-1-イルを示し、Arは芳香環又は複素環式芳香族環を示し、R27は0〜5個の同じ又は異なるF、Cl、NO2、CN、OH、SH、COOH、NH2、NR8R9、C1-6炭化水素基、OC1-6炭化水素基、OC(O)C1-6炭化水素基、C(O)OC1-6炭化水素基、SC1-6炭化水素基、S(O)C1-6炭化水素基又はS(O)2C1-6炭化水素基を示し、ペプチド鎖は単一の天然アミノ酸、非天然アミノ酸、又は2〜4個の天然アミノ酸及び/又は非天然アミノ酸からなるペプチド鎖を示し、
WはO又はNHを示し、
R3はH、F、OC1-4炭化水素基又はC1-4炭化水素基、
R4はH、F、C1-4炭化水素基又はOR7を示し、ここで、R7はH、2-ピラニル又はR6を示し、
R5は式(III)に示される化合物、式(IV)に示される化合物、式(V)に示される化合物又はマレイミドを示し、
nは1又は2を示し、
XとYはそれぞれC=O又はCR21R22を示し、
QはCH又はNを示し、
R10、R11、R12、R13、R15、R16はそれぞれH、F、Cl、CN、NO2、NH2、OH、C(O)OC1-4炭化水素基、OC(O)C1-4炭化水素基、OC1-4炭化水素基、C1-4炭化水素基、SC1-6炭化水素基、S(O)C1-6炭化水素基、S(O)2C1-6炭化水素基又はNR8R9を示し、
R21、R22はそれぞれH又はC1-4炭化水素基を示す。)
上記式(I)に示される化合物、この化合物の製造方法並びにこの化合物の抗癌剤製造における応用。
【請求項2】
R1はH、OH又はOCH3を示すことを特徴とする請求項1に記載の式(I)に示される化合物。
【請求項3】
WはOを示すことを特徴とする請求項1に記載の式(I)に示される化合物。
【請求項4】
R2はH、OH、コハク酸モノエステル基、グルタル酸モノエステル基、ブテン二酸モノエステル基、(3-ニトロ-2-カルボキシル)安息香酸エステル基、(3-フッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステル基、(2-カルボキシル-6-フッ素)安息香酸エステル基、(3,4,5,6-テトラフッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステル基、(2,4-ジカルボキシル)安息香酸エステル基、(2-カルボキシル)安息香酸エステル基、(3-カルボキシル)ピリジン-2-ギ酸エステル基、アラニンエステル基、バリンエステル基、グリシンエステル基、ロイシンエステル基、(2,2-ジメチル)グリシンエステル基、(2-フェニル)グリシンエステル基、2-ジエチルアミノアセテート基、2-モルホリンアセテート基又は(N-グリシル)バリンエステル基を示すことを特徴とする請求項1に記載の式(I)に示される化合物。
【請求項5】
R3はH又はCH3を示すことを特徴とする請求項1に記載の式(I)に示される化合物。
【請求項6】
R4はH、F、OH、OCH3、2-ピラニル基、コハク酸モノエステル基、(3-ニトロ-2-カルボキシル)安息香酸エステル基、(2-カルボキシル)安息香酸エステル基、(2,4-ジカルボキシル)安息香酸エステル基、(3,4,5,6-テトラフッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステル基、(2-カルボキシル-6-フッ素)安息香酸エステル基、(3-フッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステル基を示すことを特徴とする請求項1に記載の式(I)に示される化合物。
【請求項7】
R5はピロール-1-イル、スクシンイミド基、グルタルイミド基、ブチロラクタム-1-イル、バレロラクタム-1-イル、フタルイミド基又はピリジンフタルイミド基を示すことを特徴とする請求項1に記載の式(I)に示される化合物。
【請求項8】
前記化合物は
3'-ピロールアドリアマイシン、
3'-ピロール-5-イミノダウノマイシン、
3'-ピロール-イダルビシン、
3'-ピロール-エソルビシン、
3'-ピロールドキソルビシン、
3'-ピロール-4'-(ピラン-2-イル)アドリアマイシン、
3'-スクシンイミドアドリアマイシン、
3'-グルタルイミドアドリアマイシン、
3'-cis-ブテンジイミドアドリアマイシン、
3'-(ピロロ-(2,3)スクシンイミド)アドリアマイシン、
3'-(ベンゾ-(2,3)スクシンイミド)アドリアマイシン、
3'-ブチロラクタムアドリアマイシン、
3'-ピロール-エソルビシン-14-酸素-コハク酸モノエステル、
3'-ピロール-4'-(ピラン-2-イル)アドリアマイシン-14-酸素-コハク酸モノエステル、
3'-スクシンイミドアドリアマイシン-14-酸素-コハク酸モノエステル、
3'-グルタルイミドアドリアマイシン-14-酸素-コハク酸モノエステル、
3'-cis-ブテンジイミドアドリアマイシン-14-酸素-コハク酸モノエステル、
3'-(ピロロ-(2,3)スクシンイミド)アドリアマイシン-14-酸素-コハク酸モノエステル、
3'-(ベンゾ-(2,3)スクシンイミド)アドリアマイシン-14-酸素-コハク酸モノエステル、
3'-ピロールアドリアマイシン-14,4'-酸素-ジコハク酸モノエステル、
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-cis-ブテン二酸モノエステル、
3'-ピロールアドリアマイシン-14,4'-酸素-ジ-cis-ブテン二酸モノエステル、
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-グルタル酸モノエステル、
3'-ピロールアドリアマイシン-14,4'-酸素-ジグルタル酸モノエステル、
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-(3-ニトロ-2-カルボキシル)安息香酸エステル、
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-(3-フッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステル、
3'-ピロールアドリアマイシン-14,4'-酸素-ジ(3-フッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステル、
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-(2-カルボキシル-6-フッ素)安息香酸エステル、
3'-ピロールアドリアマイシン-14,4'-酸素-ジ(6-フッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステル、
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-(3,4,5,6-テトラフッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステル、
3'-ピロールアドリアマイシン-14,4'-酸素-ジ(3,4,5,6-テトラフッ素-2-カルボキシル)安息香酸エステル、
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-(2,4-ジカルボキシル)安息香酸エステル基、
3'-ピロールアドリアマイシン-14,4'-酸素-ジ(2,4-ジカルボキシル)安息香酸エステル、
3'-ピロールアドリアマイシン-14,4'-酸素-ジ(2-カルボキシル)安息香酸エステル、
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-(3-カルボキシル)ピリジン-2-ギ酸エステル、
3'-ピロールアドリアマイシン-14,4'-酸素-(3-ニトロ-2-カルボキシル)ジ安息香酸エステル、
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-アラニンエステル塩酸塩、
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-バリンエステル塩酸塩、
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-グリシンエステル塩酸塩、
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-ロイシンエステル塩酸塩、
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-(2,2-ジメチル)グリシンエステル塩酸塩、
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-(2-フェニル)グリシンエステル塩酸塩、
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-ジエチルアミノアセテート、
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-モルホリンアセテート、
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-(N-グリシル)バリンエステル塩酸塩、
3'-ピロール-エソルビシン-14-グリシンエステル塩酸塩、
3'-ピロール-4'-(ピラン-2-イル)アドリアマイシン-14-酸素-グリシンエステル塩酸塩、
3'-スクシンイミドアドリアマイシン-14-酸素-グリシンエステル塩酸塩、
3'-グルタルイミドアドリアマイシン-14-酸素-グリシンエステル塩酸塩、
3'-cis-ブテンジイミドアドリアマイシン-14-酸素-グリシンエステル塩酸塩、
3'-(ピロロ-(2,3)スクシンイミド)アドリアマイシン-14-酸素-グリシンエステル塩酸塩、
3'-(ベンゾ-(2,3)スクシンイミド)アドリアマイシン-14-酸素-グリシンエステル塩酸塩、または
3'-ピロールアドリアマイシン-14-酸素-β-アラニンエステル塩酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の式(I)に示される化合物。
【請求項9】
請求項1に記載の式(I)に示される化合物の製造方法であって、




式(VII)に示される化合物におけるR1、R3、R4及びWが示すグループは、請求項1に記載の式(I)に示される化合物におけるR1、R3、R4及びWが示すグループと同一であり、R20はH又はOHを示し、
式(VI)に示される化合物におけるR1、R3、R4、R5及びWが示すグループは、請求項1に記載の式(I)に示される化合物におけるR1、R3、R4、R5及びWが示すグループと同一であり、R20はH又はOHを示し、
式(VIII)に示される化合物におけるR16が示すグループは、請求項1に記載の式(V)に示される化合物におけるR16が示すグループと同一であり、R21及びR22はそれぞれH又はC1-4炭化水素基を示し、
式(VII)に示される化合物又はその塩が、酸性及び/又はアルカリ性試薬の存在下で、上記式(VIII)に示される化合物と反応して式(VI)に示される化合物が得られ、
R20がOHを示す場合における式(VI)に示される化合物が、R8COOH、ペプチド鎖、HOOC-Ar-R27、式(IX)に示される化合物、式(XV)に示される化合物、式(XXI)に示される化合物又はR8NCOと反応して式(I)に示される化合物が得られ、
ここで、
R8COOHにおけるR8はC1-6炭化水素基を示し、式(XXI)に示される化合物におけるR8とR26はそれぞれH又はC1-6炭化水素基を示し、Arは芳香環又は複素環式芳香族環を示し、R27は0〜5の同じ又は異なるF、Cl、NO2、CN、OH、SH、COOH、NH2、NR8R9、C1-6炭化水素基、OC1-6炭化水素基、OC(O)C1-6炭化水素基、C(O)OC1-6炭化水素基、SC1-6炭化水素基、S(O)C1-6炭化水素基又はS(O)2C1-6炭化水素基を示し、
ペプチド鎖は遊離カルボキシル基を有し、N末端には、0〜2の同じ又は異なるC1-6炭化水素基を有し、若しくは、Fmoc、Boc、CBZ、TrまたはAllocから選ばれるアミノ基の保護基を有することを特徴とする製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の式(I)に示される化合物の製造方法であって、


式(IX)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13及びnが示すグループは、請求項1に記載の式(III)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13及びnが示すグループと同一であり
式(X)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13及びnが示すグループは、請求項1に記載の式(III)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13及びnが示すグループと同一であり
式(X)に示される化合物におけるR1、R3、R4及びWが示すグループは、請求項9に記載の式(VII)に示される化合物におけるR1、R3、R4及びWが示すグループと同一あり、R20はH又はOHを示し、
式(VII)に示される化合物又はその塩が式(IX)に示される化合物と反応して式(X)に示される化合物が得られ
式(X)に示される化合物が、脱水剤の作用下で反応して式(VI)に示される化合物が得られ、
R20がOHを示す場合における式(VI)に示される化合物が、R8COOH、ペプチド鎖、HOOC-Ar-R27、式(IX)に示される化合物、式(XV)に示される化合物、式(XXI)に示される化合物又はR8NCOと反応して式(I)に示される化合物が得られ、
ここで、
R8COOHにおけるR8はC1-6炭化水素基を示し、
式(XXI)に示される化合物におけるR8とR26はそれぞれH又はC1-6炭化水素基を示し、
Arは芳香環又は複素環式芳香族環を示し、
R27は0〜5の同じ又は異なるF、Cl、NO2、CN、OH、SH、COOH、NH2、NR8R9、C1-6炭化水素基、OC1-6炭化水素基、OC(O)C1-6炭化水素基、C(O)OC1-6炭化水素基、SC1-6炭化水素基、S(O)C1-6炭化水素基又はS(O)2C1-6炭化水素基を示し、
ペプチド鎖は遊離カルボキシル基を有し、N末端には、0〜2の同じ又は異なるC1-6炭化水素基、或いは、Fmoc、Boc、CBZ、TrまたはAllocから選ばれるアミノ基の保護基を有することを特徴とする製造方法。
【請求項11】
請求項1に記載の式(I)に示される化合物の製造方法であって、


式(XI)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13、R21、R22及びnが示すグループは、請求項1に記載の式(III)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13、R21、R22及びnが示すグループと同一であり、
UはCl、Br、I、OTs(p-トルエンスルホン酸エステル)又はOMs(メタンスルホン酸エステル)を示し、
TはF、Cl、Br、OSu、OBt又はOAtを示し
式(XIII)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13、R21、R22、n及びUが示すグループは、式(XI)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13、R21、R22、n及びUが示すグループと同一であり、
式(XIII)に示される化合物におけるR1、R3、R4、R20及びWが示すグループは、請求項9に記載の式(VII)に示される化合物におけるR1、R3、R4、R20及びWが示すグループと同一であり、
式(VII)に示される化合物又はその塩が、式(XI)に示される化合物と、アルカリの作用下で反応して式(XIII)に示される化合物が得られ、
(XIII)に示される化合物がアルカリ性試薬の作用下で反応して式(VI)に示される化合物が得られ、
R20がOHを示す場合における式(VI)に示される化合物が、R8COOH、ペプチド鎖、HOOC-Ar-R27、式(IX)に示される化合物、式(XV)に示される化合物、式(XXI)に示される化合物又はR8NCOと反応して式(I)に示される化合物が得られ、
ここで、
R8COOHにおけるR8はC1-6炭化水素基を示し、
式(XXI)に示される化合物におけるR8とR26はそれぞれH又はC1-6炭化水素基を示し、
Arは芳香環又は複素環式芳香族環を示し、
R27は0〜5の同じ又は異なるF、Cl、NO2、CN、OH、SH、COOH、NH2、NR8R9、C1-6炭化水素基、OC1-6炭化水素基、OC(O)C1-6炭化水素基、C(O)OC1-6炭化水素基、SC1-6炭化水素基、S(O)C1-6炭化水素基又はS(O)2C1-6炭化水素基を示し、
ペプチド鎖は遊離カルボキシル基を有し、N末端には、0〜2の同じ又は異なるC1-6炭化水素基を有し、或いは、Fmoc、Boc、CBZ、TrまたはAllocから選ばれるアミノ基の保護基を有することを特徴とする製造方法。
【請求項12】
請求項1に記載の式(I)に示される化合物の製造方法であって、


式(XIV)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13、R21、R22及びnが示すグループは、請求項1に記載の式(III)に示される化合物におけるR10、R11、R12、R13、R21、R22及びnが示すグループと同一であり、
式(XIV)に示される化合物が請求項9に記載の式(VII)に示される化合物又はその塩とアルカリ性試薬及び/又は酸性試薬の作用下で反応して請求項9に記載の式(VI)に示される化合物が得られ、
R20がOHを示す場合における式(VI)に示される化合物が、R8COOH、ペプチド鎖、HOOC-Ar-R27、式(IX)に示される化合物、式(XV)に示される化合物、式(XXI)に示される化合物又はR8NCOと反応して式(I)に示される化合物が得られ、
ここで、
R8COOHにおけるR8はC1-6炭化水素基を示し、
式(XXI)に示される化合物におけるR8とR26はそれぞれH又はC1-6炭化水素基を示し、
Arは芳香環又は複素環式芳香族環を示し、
R27は0〜5の同じ又は異なるF、Cl、NO2、CN、OH、SH、COOH、NH2、NR8R9、C1-6炭化水素基、OC1-6炭化水素基、OC(O)C1-6炭化水素基、C(O)OC1-6炭化水素基、SC1-6炭化水素基、S(O)C1-6炭化水素基又はS(O)2C1-6炭化水素基を示し、
ペプチド鎖は遊離カルボキシル基を有し、N末端には、0〜2の同じ又は異なるC1-6炭化水素基、或いは、Fmoc、Boc、CBZ、TrまたはAllocから選ばれるアミノ基の保護基を有することを特徴とする製造方法。
【請求項13】
請求項1に記載の式(I)に示される化合物を製造する製造方法であって、




式(XV)におけるR15とQが示すグループは、請求項1に記載の式(IV)におけるR15和Qが示すグループと同一であり、
式(XVI)におけるR15とQが示すグループは、請求項1に記載の式(IV)におけるR15和Qが示すグループと同一であり、
式(XVI)における中R1、R3、R4、R20及びWが示すグループは、請求項9に記載の式(VII)に示される化合物におけるR1、R3、R4、R20及びWが示すグループと同じであり、
式(XVII)におけるR15とQが示すグループは、請求項1に記載の式(IV)におけるR15とQが示すグループと同一であり、
式(XVII)におけるR1、R3、R4、R20及びWが示すグループは、請求項9における式(VII)に示される化合物におけるR1、R3、R4、R20及びWが示すグループと同一であり、
式(VII)に示される化合物又はその塩が、式(XV)に示される化合物と反応して式(XVI)或は(XVII)に示される化合物が得られ、
式(XVI)或は(XVII)に示される化合物が脱水剤の作用下で反応して式(VI)に示される化合物が得られ、
R20がOHを示す場合における式(VI)に示される化合物が、R8COOH、ペプチド鎖、HOOC-Ar-R27、式(IX)に示される化合物、式(XV)に示される化合物、式(XXI)に示される化合物又はR8NCOと反応して式(I)に示される化合物が得られ、
ここで、
R8COOHにおけるR8はC1-6炭化水素基を示し、
式(XXI)に示される化合物におけるR8とR26はそれぞれH又はC1-6炭化水素基を示し、
Arは芳香環又は複素環式芳香族環を示し、
R27は0〜5の同じ又は異なるF、Cl、NO2、CN、OH、SH、COOH、NH2、NR8R9、C1-6炭化水素基、OC1-6炭化水素基、OC(O)C1-6炭化水素基、C(O)OC1-6炭化水素基、SC1-6炭化水素基、S(O)C1-6炭化水素基又はS(O)2C1-6炭化水素基を示し、
ペプチド鎖は遊離カルボキシル基を有し、N末端には、0〜2の同じ又は異なるC1-6炭化水素基、或いは、Fmoc、Boc、CBZ、TrまたはAllocから選ばれるアミノ基の保護基を有することを特徴とする製造方法。
【請求項14】
細胞増殖異常疾患剤の製造において、式(I)に示される化合物及びその塩又は溶媒和物の応用であることを特徴とする薬物の活性成分としての、請求項1における式(I)に示される化合物及びその塩又は溶媒和物の応用
【請求項15】
前記細胞増殖異常疾患は腫瘍又は癌であることを特徴をする請求項14に記載の応用。
【請求項16】
前記細胞増殖異常疾患は肝癌、胃癌、乳腺癌、肺癌、腸癌、卵巣癌、膵臓癌、頭頸部癌、子宮頸癌、腎臓癌、黒色腫、前立腺癌、神経膠腫、各種の白血病、リンパ癌或は多発性骨髄腫であることを特徴とする請求項14に記載の応用。
【請求項17】
少なくとも1種の式(I)に示される化合物と適切な製剤副原料により、腫瘍又は癌の治療に用いる製剤を製造することを特徴をする腫瘍又は癌の治療薬の調製における、請求項1における式(I)に示される化合物の応用。
【請求項18】
前記製剤は注射用製剤であることを特徴をする請求項17に記載の応用。
【請求項19】
前記注射用製剤は粉末注射剤、凍結乾燥粉末注射剤、水針剤、乳剤又は懸濁剤であることを特徴とする請求項17に記載の応用。
【請求項20】
前記腫瘍又は癌は肝癌、胃癌、乳腺癌、肺癌、腸癌、卵巣癌、膵臓癌、頭頸部癌、子宮頸癌、腎臓癌、黒色腫、前立腺癌、神経膠腫、各種の白血病、リンパ癌或は多発性骨髄腫であることを特徴とする請求項17に記載の応用。

【公表番号】特表2011−516507(P2011−516507A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503328(P2011−503328)
【出願日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際出願番号】PCT/CN2009/000385
【国際公開番号】WO2009/124468
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(507328405)天津和美生物技▲術▼有限公司 (12)
【出願人】(510270247)ティアンジン ミシェル サイ−テック デベロップメント カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】