説明

高温で開始される核酸増幅のための、化学修飾されたヌクレオシド5’−三リン酸

本明細書では、核酸を増幅するための方法および組成物が提供される。これらの方法は、核酸増幅反応における、3’置換ヌクレオシド5’−三リン酸、または3’置換終結プライマーの使用を伴う。特定の態様において、該方法は、核酸増幅において有用性をもたらす、3’置換NTPおよび/または3’置換終結プライマーを用いることにより達成される。好ましい実施形態において、該NTPおよび/またはプライマーは、3’位置において、エーテル、エステル、または炭酸エステルなど、特定の熱不安定性の化学基により置換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、核酸を複製するための方法および組成物が提供される。特定の具体的な態様および実施形態において、該方法および組成物は、ホットスタートによる核酸増幅を対象とする。
【背景技術】
【0002】
以下の説明は、読者の理解を補助する目的で提供される。提供される情報または引用される参考文献はいずれも、本発明における先行技術であるとは容認されない。
【0003】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)とは、おそらく、現代の分子生物学およびバイオテクノロジーにおいて最も広く用いられる方法であり、遺伝子検査、診断法、法医学、および生物兵器防衛に急速に応用されつつある(Kolmodin,L.A.ら、「Nucleic Acid Protocols Handbook」、569〜580頁(Rapley,R.編、Humana Press、2000年);Budowle,B.ら、Science、301巻、1852〜1853頁(2003年);Sato,Y.ら、Legal Medicine、5巻(増刊1号)、191〜193頁(2003年);Saldanha,J.ら、J.Medical Virol.、43巻、72〜76頁(1994年);Dahiya,R.ら、Biochemistry and Molecular Biology International、44巻、407〜415頁(1998年)およびElnifro,E.M.ら、Clin.Microbiol.Rev.、13巻、559〜570頁(2000年))。PCRは、米国特許第4,683,195号、および同第4,683,202号において説明されている。PCRによる増幅過程の各サイクルでは、複数のステップが行われることが典型的である。まず、2本鎖DNAの標的配列を、高温(約95℃)で熱変性させる。本明細書では、熱変性の最初の発生を「初期変性ステップ」と称する。この後、低温(約60℃)で、各鎖に対する合成オリゴヌクレオチドプライマーのアニーリングが行われる。次いで、高温(約70℃)で、2’−デオキシリボヌクレオシド5’−三リン酸(dNTP)を組み込み、ピロリン酸(PPi)を生成させる、熱的に安定で、マグネシウムイオンに依存するDNAポリメラーゼにより、これらの順方向および逆方向のオリゴヌクレオチドプライマーの各々を、これらの3’末端から伸長させる。
【0004】
PCRの有用性は、約10倍の標的増幅を迅速に提供するその能力のほか、オリゴヌクレオチドプライマーのハイブリダイゼーションの特異性に部分的に依存する、高度の特異性によっても駆動されている。したがって、オリゴヌクレオチドプライマーの配列および長さは、アニーリングに用いられる温度において、意図される標的配列だけにハイブリダイズするようにデザインされる。しかし、PCRによる増幅反応は、オリゴヌクレオチドプライマーのハイブリダイゼーションの特異性を確保するのに必要とされる温度範囲をはるかに下回る雰囲気室温において何分間または何時間もの間にわたり準備されることが典型的である。このような低厳密性の試料調製条件下において、また、プレPCRにおける初期変性ステップの後において、オリゴヌクレオチドプライマーは、他の配列に非特異的に結合する場合があり、潜在的には、望ましくない伸長産物の合成を開始し、これらが標的配列と共に増幅される可能性がある。プライマーに対して部分的な相補性を有する非特異的な標的配列の増幅、いわゆる「ミスプライミング」は、所望の標的配列の増幅と競合する可能性があり、とりわけ、低コピー数の標的の場合、所望の配列の増幅効率を著明に低下させうる(Chou,Q.ら、Nucleic Acids Res.、20巻、1717〜1723頁(1992年))。
【0005】
「プライマー二量体」の形成が、非特異的なハイブリダイゼーションの別の問題形態であり、これは、Chou,Q.らによれば、これといった介在配列なしに、互いの配列間で伸長した2本のオリゴヌクレオチドプライマーの増幅から生じる。これらの研究は、さらに、PCR時において、プライマー二量体が増幅されながらオリゴマー化して、オリゴヌクレオチドプライマーのアーチファクトの複雑な混合物をもたらす場合があり、それらの量および質は、低コピー数の増幅における特異的なPCR産物の収量と反比例して多様化することが多いことにも言及している。
【0006】
ミスプライミングおよびプライマー二量体の形成に起因する前述の問題には、PCRのすべての適用において遭遇しうるが、これらの問題は、血液感染性の感染作用物質(Saldanha,J.ら;Elnifro,E.M.ら)、生体に有害な微生物(Budowle,B.ら)、欠損性遺伝子または癌性遺伝子(Dahiya,R.ら)の検出、および法医学(Budowle,B.ら;Y.Satoら)に用いられる場合など、高感度の分析的PCRスキームにとって、特に難題でありうる。加えて、多重PCRでは、偽の増幅産物形成の可能性がますます高くなる(Markoulatos,P.ら、J.of Clin.Laboratory Analysis、16巻、47〜51頁(2002年))。逆転写酵素によるPCR(RT−PCR)において、標的RNA配列を検出するのに最も高感度の手段は、RTステップにおいて、遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドプライマーを用いることである(Zhang,J.ら、Biochem.J.、337巻、231〜241頁(1999年);Lekanne Deprez,R.H.ら、Analytical Biochem.、307巻、63〜69頁(2002年);Bustin,S.A.ら、J.of Biomolecular Techniques、15巻、155〜166頁(2004年))。「偽陰性」および「偽陽性」の重大で有害な帰結を避けるのに高度の特異性を必要とする、これら高感度の適用の場合、ミスプライミングおよびプライマー二量体形成に起因するアーチファクトを機能的に含まないアッセイを提供する試薬およびプロトコールを有することが極めて重要である。
【0007】
低厳密性条件下における、例えば、試料調製時の室温における、また、プレPCRによる初期変性ステップの後における、ミスプライミングおよびオリゴヌクレオチドプライマー二量体形成に起因する望ましくない増幅を損なうことを目的とする、いわゆる「ホットスタート」過程に基づいて非特異的な増幅を低下させるため、多くの一般的戦略が研究されている。その後、反応混合物が、高厳密性、すなわち、ポリメラーゼを介する、標的配列だけにハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーの伸長を「開始」させる「高」温に達したとき、増幅が開始される。したがって、プライマー/標的のハイブリダイゼーション条件の厳密性が特異性にとって最適である高温だけにおいて、温度により、オリゴヌクレオチドプライマーの酵素的伸長が誘発される。
【0008】
これらの「ホットスタート」のための一般的な戦略には、(1)試薬の混合を制御する、障壁剤または封鎖剤としての蝋など、温度感受性材料の使用(Chou,Q.ら;Tanzer,L.R.ら、Analytical Biochem.、273巻、307〜310頁(1999年));(2)DNAポリメラーゼの機能を阻害する、オリゴヌクレオチドアプタマー(Dang,C.ら、J.Mol.Biol.、264巻、268〜278頁(1996年))、または抗体(Eastlund,E.ら、LifeScience Quarterly、2巻、2〜5頁(2001年);Mizuguchi,H.ら、J.Biochem.(Tokyo)、126巻、762〜768頁(1999年))の使用;(3)付加されたピロリン酸(PPi)による抑制を除去する、ピロホスファターゼなど、第2の熱安定性酵素の使用(Clark,D.R.ら、国際特許出願第WO2002088387号);(4)AmpliTaq Gold(Moretti,T.ら、BioTechniques、25巻、716〜722頁(1998年);Saldanha,J.ら)における、シトラコン酸修飾されたリシンなど、加水分解において可逆的な試薬により化学修飾されたポリメラーゼ(Birch,D.E.ら、米国特許第5,773,258号)の使用;(5)競合配列など、低温のミスプライミングに拮抗する、オリゴヌクレオチドプライマー配列による構築物(Puskas,L.G.ら、Genome Research、5巻、309〜311頁(1995年))または「タッチアップ型およびループ組込み型オリゴヌクレオチドプライマー」(TULIPS−PCR)(Ailenberg,M.ら、BioTechniques、29巻、5号、1018〜1023頁(2000年))の使用;および(6)その3’端近傍において、(1つまたは複数の)ホスホトリエステルによるヌクレオチド間結合を含有する、化学修飾されたプライマー(すなわち、ホスホトリエステルプライマー)(Zon,G.ら、米国特許出願第20070281308号(2007年))の使用が含まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書では、核酸を複製するための方法および組成物が提供される。これらの方法は、温度依存的な核酸鋳型に依存する重合化反応における、ヌクレオシド5’−三リン酸(NTP)オリゴヌクレオチドプライマー、および酵素の使用を伴う。特定の態様において、方法は、核酸の複製において有用性をもたらす修飾NTPを用いることにより達成される。特に好ましい実施形態において、修飾NTPは、3’置換、すなわち、末端の3’位置におけるヒドロキシル基以外の基を有する。方法におけるこのようなNTPの使用は、核酸の増幅、特に、ホットスタートによる増幅を対象としうる。特定の実施形態において、NTPの3’置換は、PCRの初期変性ステップなど、高温における核酸複製の初期インキュベーション時間の前において、ポリメラーゼを介するオリゴヌクレオチドプライマーの伸長を損なう。特定の態様および実施形態では、核酸複製の初期変性ステップ、またはその後において、また、該当する場合は、その後の複製サイクルにおいて、本明細書で開示されるNTPの3’置換基が、開環の3’ヒドロキシル(3’−OH)基に転換される方法および組成物が提供される。
【0010】
一部の態様では、本明細書で開示される3’置換を有する複製反応に、少なくとも1つの修飾NTPが付加されるときに、核酸(例えば、DNA)が複製される方法が提供される。核酸複製の初期インキュベーション時間の前、すなわち、PCRの場合に80〜105℃、またRT−PCRの場合に42〜70℃など、核酸複製の初期変性温度となる前において、少なくとも1つの修飾NTPの3’置換は、ポリメラーゼを介するオリゴヌクレオチドのプライマー伸長を支援しない(例えば、一部の実施形態では、核酸ポリメラーゼが、非置換NTPまたは天然NTPを組み込んでこれを伸長させることは可能であるが、3’置換NTPを組み込んでこれを伸長させることは可能でないことが好ましい)か、これを損なうか、または防止することが好ましい。特定の好ましい実施形態において、3’置換は、核酸ポリメラーゼを介して、3’置換NTPがオリゴヌクレオチドプライマーと共に組み込まれることを損ない、これにより、該プライマーの3’伸長を防止する。この種の3’置換NTPは、「非基質NTP」を表す。他の特定の好ましい実施形態において、3’置換NTPは、オリゴヌクレオチドプライマーの3’端に組み込まれうるが、そこで、3’置換基は、任意のさらなる、核酸ポリメラーゼを介するオリゴヌクレオチドプライマーの伸長を損なう。この種の3’置換NTPは、「終結NTP」を表す。
【0011】
本明細書で説明される組成物および方法による修飾基に適する熱不安定性の保護基(例えば、3’置換、およびヌクレオチド間結合)は、オリゴヌクレオチドの合成過程における使用について、文献で説明されている。例えば、Grajkowskiら、Org.Lett.、3巻、1287〜1290頁(2001年);Wilk,A.ら、Tetrahedron Lett.、42巻、5635〜5439頁(2001年);Wilk,A.ら、J.Org.Chem.、67巻、6430〜6438頁(2002年);Cieslak,J.ら、J.Org.Chem.、68巻、10123〜10129頁(2003年);Cieslak,J.ら、J.Org.Chem.、69巻、2509〜2515頁(2004年);Beaucageら、米国特許第7,355,037号;およびBeaucageら、米国特許第6,762,298号を参照されたい。
【0012】
3’置換NTPおよびヌクレオシド二リン酸(NDP)の使用に基づく複数の適用が開発されている。Jengら、J.Supramol.Struct.、3巻、448〜468頁(1975年)は、3’−アリールアジドATP類似体の合成、およびミオシンATPアーゼの光親和性標識としてのそれらの使用について説明した。他のATPアーゼ系においても、類似の化合物が調製されて調べられた(Schaferら、FEBS Lett.、87巻、318〜322頁(1978年);Lunardiら、Biochemistry、20巻、473〜480頁(1981年))。Hiattら、米国特許第6,232,465号、およびこれにより参照される特許は、オリゴヌクレオチド合成において用いられるホスホジエステル結合を、鋳型に依存せず、酵素触媒により創出するための、3’保護されたヌクレオシド5’−三リン酸について説明している。ホスホジエステル結合の形成後、組み込まれるヌクレオチドの3’保護基を化学的に除去し、該オリゴヌクレオチドの合成を継続することができる。3’置換NTPの別の使用は、段階的合成による配列決定である。Cheeseman、米国特許第5,302,509号は、除去可能な蛍光標識を含有する3’修飾NTPによる、ポリヌクレオチドの配列決定について説明している。Metzkerら、Nucleic Acids Res.、22巻、4259〜4267頁(1994年)は、新たな配列決定戦略を開発するための重要な構成要素としての、UVにより除去可能な3’保護基を伴う修飾NTPの合成について説明している。同様の手法には、Juら、米国特許第6,664,079号;Meng,Q.ら、J.Org.Chem.、78巻、3248〜3252頁(2006年)およびBi,L.ら、J.Amer−Chem.Soc.、128巻、2542〜2543頁(2006年))により開発された、3’−O−アリルによる保護基および3’−O−メトキシメチルによる保護基を含有する、色素により標識されたNTPの使用が含まれる。3’−O−アリルによる保護基は、高温の中性水溶液中において、パラジウム触媒により除去することができる。他の特許もまた、除去可能な3’置換基を伴う3’置換dNTPの合成および使用について説明している。例えば、3’遮断基は、pH2をもたらす塩酸の添加(例えば、Tsien,R.Y、WO91/06678)により除去することもでき、メルカプトエタノールなどの還元剤の添加(例えば、Kwiatkowski,M.、米国特許第7,279,563号)により除去することもでき、トリス−(2−カルボキシエチル)ホスフィンの添加(例えば、Milton,J.ら、米国特許第7,414,116号)により除去することもできる。特定の3’置換基は、UV照射により除去することができる(例えば、Dowerら、WO92/10587)オリゴヌクレオチドについては、除去可能な3’置換基が説明されている(例えば、Bi,W.、WO08/016562(A2))。
【0013】
特定の態様では、本明細書でさらに説明される、式IAおよびIBで示される化学式を包含する組成物(すなわち、3’置換NTP)が提供される。関連する態様では、本明細書でさらに説明される、式IAおよびIBで示される化学式を包含する組成物を用いて、かつ/または式IAおよびIBで示される化学式を包含する3’置換NTPの組込みに由来する、少なくとも1つの単量体ユニットを包含するオリゴヌクレオチドを用いてDNAを複製する方法が提供される。
【0014】
本明細書で用いられる「非基質NTP」という用語は、オリゴヌクレオチドプライマーへの組込みが不可能である3’置換を有する3’置換NTPを指す(図1A)。本明細書で提供される方法および組成物による非基質NTPは、2つの状態を有する。非基質NTPは、3’置換基の存在に起因する不活性状態にあると、核酸ポリメラーゼの基質とならない(図1A)。95℃であることが多い初期変性温度に到達すると、熱的に誘導される、3’置換基の分子内転換および/または分子間転換により、または非修飾もしくは開環3’−OH基への3’置換基の転換をもたらす他の化学反応により、不活性の非基質NTPは、活性状態に転換されうる。非基質NTPのこの活性状態とは、非置換または開環の3’−OH基を保有し、核酸ポリメラーゼの基質でありえ、また、核酸複製を支援する、対応する天然NTPもしくは3’置換されないNTP、またはその機能的な誘導体である(図1および2)。特に好ましい実施形態において、3’置換基の部分的であるかまたは完全な転換は、約1〜120分間にわたる約95℃のインキュベーション時において生じる。一部の実施形態において、本明細書で開示される3’置換NTPは、試薬の混合を制御する、障壁剤または封鎖剤としての蝋など、温度感受性の材料の使用;DNAポリメラーゼの機能を阻害する、オリゴヌクレオチドアプタマーまたは抗体の使用;付加されたピロリン酸(PPi)による抑制を除去する、ピロホスファターゼなど、第2の熱安定性酵素の使用;シトラコン酸修飾されたリシンなど、加水分解において可逆的な試薬により化学修飾されたポリメラーゼの使用;競合配列など、低温のミスプライミングに拮抗する、オリゴヌクレオチドプライマー配列による構築物の使用;およびその3’端近傍において、(1つまたは複数の)ホスホトリエステルによるヌクレオチド間結合を含有する、化学修飾されたプライマー(すなわち、ホスホトリエステルプライマー)の使用など、当技術分野で知られる、1つまたは複数の、他のホットスタートによる方法および組成物と共に用いることができる。好ましい実施形態において、3’置換基の転換は温度に関して生じ、標準的なdNTPによる複製反応において通常用いられるもの以外の酵素、さらなる化学物質、または重合化反応条件の変更を必要としない。本明細書で提供される組成物および方法によるヌクレオシドおよびヌクレオチドのための異なる3’置換基は、例えば、Greene,T.W.およびWuts,P.G.M.、「Protective groups in organic synthesis」、John Wiley & Sons社(1999年)において説明されている。
【0015】
本明細書で用いられる「終結NTP」という用語は、オリゴヌクレオチドプライマーの3’端に組み込まれることが可能な3’置換NTPを指す(図1B)。終結NTPが組み込まれる結果として、終結プライマーが形成され、該プライマーのさらなる伸長が防止される。終結NTPは2つの状態を有し、いずれの状態においても、核酸ポリメラーゼの基質となる。終結NTPは、3’置換基の存在に起因する終結状態にある。プライマーの3’端に終結NTPを組み込む結果、(N+1)ヌクレオチドに伸長した終結プライマーが形成され、該プライマーのさらなる伸長が防止される(図1B)。95℃などの高温において、熱的に誘導される、3’置換基の分子内除去および/または分子間除去により、または非修飾3’−OH基もしくは開環3’−OH基への3’置換基の転換をもたらす他の化学反応により、終結NTPは、活性状態に変換されうる(図1B)。この状態において、終結NTPは、非置換または開環の3’−OH基を保有し、核酸ポリメラーゼの基質でありうる、対応する天然もしくは非置換のNTP、またはその機能的な誘導体に転換される。特に好ましい実施形態において、3’置換基の部分的であるかまたは完全な転換は、約1〜120分間にわたる約95℃のインキュベーション時において生じる。好ましい実施形態において、3’置換基の転換は温度に関して生じ、標準的なdNTPによる複製反応において通常用いられるもの以外の酵素、さらなる化学物質、または重合化反応条件の変更を必要としない。本明細書で提供される組成物および方法によるヌクレオシドおよびヌクレオチドのための異なる3’置換基は、例えば、Greene,T.W.らにおいて説明されている。
【0016】
核酸ポリメラーゼにより、終結NTPがプライマーの3’端に組み込まれる結果、終結NTPは、(N+1)ヌクレオチドに伸長したプライマーの一部となり、これを「終結プライマー」と称する。終結プライマーはさらなる伸長が不可能であり、95℃であることが多い高温に達するまで、その末端である、終結NTPの組込みに由来する最後尾の3’ヌクレオチドユニットにおける、3’置換基の存在に起因する「終結状態」にとどまる。終結プライマーのこの終結状態は、非基質NTPについて本明細書で定義される不活性状態と同等である。好ましい実施形態において、終結プライマーは、3’置換基の含有に加え、さらなる修飾、例えば、修飾された糖、塩基、(5’−3’)ヌクレオチド間結合、またはこれらの任意の組合せを伴う修飾ヌクレオシド残基を包含する。終結プライマーは、熱不安定性の3’置換基を含有することがより好ましい。高温(例えば、PCRの初期変性温度)に達すると、終結プライマーは、熱的に誘導され、3’置換基を除去する、分子内および/または分子間におけるフラグメント化により、伸長可能プライマーとなりうる(図1Bおよび2)。「伸長可能プライマー」は、非置換または開環の3’−OH基を保有し、核酸ポリメラーゼによる伸長が可能である。特に好ましい実施形態において、3’置換基の部分的であるかまたは完全な転換は、約95℃で約1〜120分間にわたるインキュベーション後において生じる。好ましい実施形態において、終結プライマーの3’置換基の転換は温度に関して生じ、標準的なdNTPによる複製において通常用いられるもの以外の酵素、さらなる化学物質、または重合化反応条件の変更を必要としない。
【0017】
好ましい実施形態において、NTP重合化反応において存在する、3’置換NTP、修飾NTP、非修飾NTP、またはこれらの組合せなど、該重合化反応混合物の1つまたは複数の成分は、検出可能な標識によって標識化することができる。したがって、複製後において、標的セグメントは、例えば、サイズ、質量、親和性捕捉、または色により同定されうる。検出可能な標識は、蛍光色素であることが好ましく、親和性捕捉標識は、ビオチンであることが好ましい。
【0018】
別の態様において、本明細書における方法および組成物は、1つまたは複数の修飾基を有するNTPを含めた、核酸複製のための3’置換NTPを提供する。3’置換NTPは、本明細書でさらに説明される、式IAおよびIBで示される1つまたは複数の化学構造を包含しうる。
【0019】
さらに別の態様において、本明細書における方法および組成物は、本明細書で開示される3’置換NTPを合成する方法を提供する。
【0020】
本明細書で説明される複製を実施するための3’置換NTPを包含するキットもまた提供される。例えば、キットは、ハウスキーピング遺伝子など、共通の複製標的のためのPCR試薬を含有しうる。3’置換NTPを含有するキットは、核酸複製用と明記された容器、核酸複製の実施についての指示書、ならびに/または、修飾プライマー、非修飾プライマー、修飾NTP(例えば、3’置換NTP)、非修飾NTP、核酸ポリメラーゼ、塩化マグネシウムまたは他の2価陽イオン(例えば、マグネシウムイオンおよびマンガンイオン)および反応緩衝液からなる群から選択される1つもしくは複数の試薬を包含しうる。一実施形態において、キットは、3’置換NTP、核酸ポリメラーゼ、および少なくとも1つのさらなる酵素(例えば、第2の核酸ポリメラーゼ、逆転写酵素、リガーゼ、または制限酵素)を包含し、少なくとも1つの(1つまたは複数の)さらなる酵素に適するさらなる緩衝液成分を包含しうる。キットは、2つ以上の核酸複製試薬を包含することが好ましく、好ましくは3つ以上、またより好ましくは4つ以上の複製試薬を包含する。3’置換NTPを含有するキットはまた、オリゴヌクレオチドプライマーも包含しうる。一実施形態において、オリゴヌクレオチドプライマーは修飾されており、例えば、ヌクレオチド間結合、ヌクレオシド糖、三リン酸鎖、および/またはヌクレオシド塩基における任意の置換または修飾を有する。キットは、核酸複製用と明記された容器、核酸複製の実施についての指示書、ならびに/またはdNTP、核酸ポリメラーゼ、マグネシウム、および反応緩衝液からなる群から選択される1つもしくは複数の試薬を包含しうる。
【0021】
本明細書で提供される、核酸を複製するための方法および組成物は、合成および/または天然のNTP、修飾オリゴヌクレオチドプライマー、非修飾オリゴヌクレオチドプライマー、ならびに核酸を伸長させるためのポリメラーゼを用いる適用において有用である。本明細書で提供される方法および組成物によるNTPは、単一の3’置換を有する可能性もあり、場合によって、さらなる修飾部位を有する可能性もある。
【0022】
本明細書で提供される方法および組成物による3’置換NTPは、著明な利点を有する。例えば、末端使用者は、非置換の標準的なNTPと共に既に用いられているものと同じ複製プロトコールおよび複製方法を用いることができる。本明細書で提供される方法および組成物による3’置換NTPは、既存の複製システムおよび複製試薬(各種のホットスタートによるPCR法を含めた)と適合的であり、さらなる酵素または試薬は必要とされないが、これらも用いることができる。標準的な化学的および酵素的な合成方法を用いて、本明細書で提供される方法および組成物による3’置換NTPを合成することができる。忠実度を必要とするポリメラーゼベースの複製適用を、本明細書で提供される方法および組成物による3’置換NTPと共に用いることができる。
【0023】
本明細書で用いられる「複製」、「増幅」、または「増幅する」という用語は、標的核酸をコピーし、これにより、選択された核酸配列のコピー数を増大させるための、当技術分野で知られる方法を指す。本明細書で提供される方法および組成物を伴う複製および増幅は、核酸ポリメラーゼによる伸長を伴う、3’置換NTPおよび/またはプライマーを用いうる。標的核酸の複製または増幅は、指数関数的な場合もあり、非直線的な場合もあり、直線的な場合もある。複製または増幅は、指数関数的または非直線的であることが好ましい。標的核酸は、DNAの場合もあり、RNAの場合もあり、cDNAの場合もあり、修飾核酸鋳型の場合もある。以下の本明細書で説明される例示的な方法はPCR増幅に関するが、当技術分野では、核酸を酵素的に増幅および複製するための、本明細書で提供される方法および組成物に適する他の多くの方法が知られている。例えば、他の酵素的な複製および増幅の方法には、等温法、ローリングサークル法、ホットスタートPCR、リアルタイムPCR、対立遺伝子特異的PCR、アセンブリーPCRまたはポリメラーゼサイクリングアセンブリー(PCA)、非対称的PCR、コロニーPCR、エマルジョンPCR、急速PCR、リアルタイムPCR、核酸ライゲーション、ギャップライゲーション連鎖反応(Gap LCR)、ライゲーション媒介PCR、多重ライゲーション依存型プローブ増幅(MLPA)、ギャップ伸長ライゲーションPCR(GEXL−PCR)、定量的PCR(Q−PCR)、定量的リアルタイムPCR(QRT−PCR)、多重PCR、ヘリカーゼ依存型増幅、配列間特異的(ISSR)PCR、インバースPCR、LATE−PCR(Linear−After−The−Exponential−PCR)、メチル化特異的PCR(MSP)、ネストPCR、重複伸長PCR、PAN−ACアッセイ、逆転写PCR(RT−PCR)、cDNA端の急速増幅(RACE PCR)、単一分子増幅PCR(SMA PCR)、TAIL−PCR(Thermal asymmetric interlaced PCR)、タッチダウンPCR、ロングPCR、核酸配列決定法(DNA配列決定法およびRNA配列決定法)、転写、逆転写、複製、DNAまたはRNAのライゲーション、および当技術分野で知られる他の核酸伸長反応が含まれる。当業者は、PCR法の代わりに、またこれらと共に、将来において開発される酵素的複製反応を含めた他の方法も用いることができる。例えば、Saiki、「Amplification of Genomic DNA」、PCR Protocols、Innisら編、カリフォルニア州、サンディエゴ、Academic Press社、13〜20頁(1990年);Wharamら、Nucleic Acids Res、29巻、11号、E54〜E54頁(2001年);Hafnerら、Biotechniques、30巻、4号、852〜6、858、860頁の各所(2001年);Ross,P.ら、国際特許出願第WO91/06678号;Kwiatkowski,M.、米国特許第US6,255,475号、同第US6309836号、および同第US6,639,088号、およびEP1218391;Anazawa,T.ら、米国特許第6242193号;Juら、米国特許第US6,664,079号;Tsien,R.Y.ら、国際特許出願第WO91/06678号;ならびにDowerら、国際特許出願第WO92/10587号を参照されたい。
【0024】
本明細書で用いられる「核酸」、「ヌクレオチド配列」、または「核酸配列」という用語は、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、またはこれらの任意のフラグメント、任意のリボもしくはデオキシリボ誘導体、ならびに天然および/または修飾のヌクレオチド残基およびヌクレオチド間結合を含有する、天然または合成の分子を指す。これらの表現はまた、1本鎖の場合もあり、2本鎖の場合もあり、3本鎖の場合もあり、4本鎖の場合もあり、また、センス鎖を表す場合もあり、アンチセンス鎖を表す場合もある、天然(例えば、ゲノム)由来もしくは合成由来のDNAもしくはRNA、または任意のDNA様物質もしくはRNA様物質も指す。DNA配列に関する「RNA同等物」は、窒素性塩基であるチミンのすべてまたは大半の発生がウラシルによって置換され、糖骨格が2’−デオキシリボースの代わりにリボースからなることを除き、基準のDNA配列と同じヌクレオチドの直鎖配列からなる。本明細書で提供される方法および組成物に適する、さらなる代替的な核酸骨格には、ホスホロチオエート、ホスホロセレノエート、アルキルホスホトリエステル、アリールホスホトリエステル、アルキルホスホン酸、アリールホスホン酸、ロックト核酸(LNA)およびペプチド核酸(PNA)、ならびにホスホボロン酸が含まれるがこれらに限定されない。本明細書で説明される方法では、RNAを用いることができ、かつ/または本明細書で説明される方法において用いられる逆転写により、これをcDNAに転換することができる。
【0025】
本明細書で用いられる「3’置換NTP」という用語は、3’位置において、開環ヒドロキシル基以外の化学的基を有するヌクレオシド5’−三リン酸を指す。3’置換NTPには、例えば、修飾糖、修飾塩基、もしくは修飾三リン酸鎖、または、例えば、本明細書でさらに説明される、式IAおよびIBにおいて示される修飾糖、修飾塩基、もしくは修飾三リン酸鎖の任意の組合せを含有するNTPが含まれる。このようなNTPの例は、例えば、「Nucleoside Triphosphates and Their Analogs:Chemistry,Biotechnology and Biological Applications」、Vaghefi,M.編、ボカラトン、Taylor and Francis社(2005年);Metzker,M.L.、Genome Research、15巻、1767〜1776頁(2005年)(およびこれらの参考文献)において見出すことができる。
【0026】
本明細書で用いられる「プライマー」、「オリゴヌクレオチド」、または「オリゴヌクレオチドプライマー」という用語は、通常1本鎖のリボポリヌクレオチドまたはデオキシリボポリヌクレオチドを指し、天然の場合もあり、合成の場合もあり、また通常、約5〜約50ヌクレオチド、より好ましくは約10〜約30ヌクレオチド、または、より好ましくは約15〜約25ヌクレオチドの配列を包含する。オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾基を含有しうる。オリゴヌクレオチドは、DNA、RNA、PNA、LNA、および/または他の修飾ヌクレオシドを包含しうる。当業者は、標的配列の複製に適切なプライマーをデザインおよび調製することが可能である。本明細書で提供される方法および組成物において用いられるプライマーのハイブリダイゼーション配列の長さは、ヌクレオチド配列の同一性、また、in vitroの核酸複製においてこれらの核酸がハイブリダイズされるかまたは用いられる温度を含めた、複数の因子に依存する。特定の配列同一性を有するプライマーのハイブリダイゼーション配列に好ましい長さを決定するのに必要な考慮点は、当業者によく知られている。例えば、短鎖核酸またはオリゴヌクレオチドの長さは、ハイブリダイゼーションの特異性または選択性と関連しうる。
【0027】
本明細書で用いられる「終結プライマー」という用語は、プライマーの3’端における、核酸ポリメラーゼを介する終結NTPの組込みにより組み込まれる、3’置換基を含有するプライマーまたはオリゴヌクレオチドプライマーを指す。本明細書で提供される方法および組成物による1つまたは複数のさらなる修飾基を包含しうる終結プライマーを、開環3’−OH基への3’置換基の転換前に伸長させることはできない。終結プライマーは、天然のヌクレオチド間ホスホジエステル結合、もしくはこれらの修飾、またはこれらの組合せを含有する、天然DNAヌクレオシドもしくは天然RNAヌクレオシド、修飾ヌクレオシド、またはヌクレオシド類似体を包含しうる。3’置換基は熱不安定性であり、複製反応媒体の温度が上昇すると、終結プライマーから解離する速度が上昇することが好ましい。
【0028】
本明細書で用いられる「伸長可能プライマー」という用語は、プライマーの3’端における、核酸ポリメラーゼを介するNTPの組込みにより伸長しうる、非修飾または開環の3’−OH基を含有するプライマーまたはオリゴヌクレオチドプライマーを指す。伸長可能プライマーは、オリジナルの開始プライマーの場合もあり、3’置換基が遊離の3’−OH基に転換された、変換終結プライマーの場合もある。
【0029】
本明細書で用いられる「3’置換基」という用語は、NTPまたはプライマーの3’位置における、非修飾または開環のヒドロキシル基(3’−OH)以外の化学的部分を指す。特定の実施形態において、化学的部分は、エーテル、エステル、またはカーボネートである。特定の好ましい実施形態において、3’置換基は、O−(p−トルエン)スルホネート;O−リン酸;O−硝酸;O−[4−メトキシ]テトラヒドロピラニル;O−[4−メトキシ]−テトラヒドロチオピラニル;O−テトラヒドロチオピラニル;O−[5−メチル]−テトラヒドロフラニル;O−[2−メチル,4−メトキシ]−テトラヒドロピラニル;O−[5−メチル]−テトラヒドロピラニル;O−テトラヒドロピラニル;O−テトラヒドロフラニル;O−フェノキシアセチル;O−メトキシアセチル;O−アセチル;O−C(O)−OCH;O−C(O)−CHCHCN;およびO−C(S)−OCHからなる群から選択される。一部の特に好ましい実施形態において、3’置換基は、O−メトキシテトラヒドロピラニル;O−テトラヒドロピラニル;およびO−テトラヒドロフラニルからなる群から選択される。
【0030】
本明細書で提供される方法および組成物による3’置換NTPは、オリゴヌクレオチドまたは核酸の伸長に対する有効性を有さないか、またはこれが低下することが好ましい。3’置換NTPが、その対応する3’置換されないNTPと比較して、複製反応における基質としての有効性が少なくとも50%低下する、その対応する3’置換されないNTPより、複製反応における基質としての有効性が好ましくは少なくとも60%低下する、好ましくは少なくとも70%低下する、より好ましくは少なくとも80%低下する、より好ましくは少なくとも90%低下する、より好ましくは少なくとも95%低下する、より好ましくは少なくとも99%低下する、また最も好ましくは少なくとも100%低下する場合に、伸長が損なわれると考えることが好ましい。当業者は、NTPの基質活性および有効性のレベルを容易に決定することができる。基質の有効性を決定する1つの方法を、実施例4で示す。特定の好ましい実施形態において、3’置換基は熱不安定性であり、複製反応媒体の温度が上昇すると、3’置換NTPから解離する速度が上昇する。
【0031】
NTPおよびオリゴヌクレオチドプライマーとの関連において本明細書で用いられる「3’非置換」、「天然」、または「非修飾」という用語は、修飾基を伴わないNTPおよびオリゴヌクレオチドプライマー、または修飾基を伴わないNTPもしくはオリゴヌクレオチドプライマーの機能的同等物を指す。
【0032】
3’置換基に加え、3’置換NTPまたは3’置換されたプライマーは、1つまたは複数のさらなる修飾基を含有しうる。本明細書で用いられる「修飾基」という用語は、リン酸部分、糖部分、三リン酸鎖部分、またはヌクレオシド塩基部分が含まれるがこれらに限定されない位置において、NTPまたはプライマーに結合しうる、任意の化学的部分を指す。NTPまたはプライマーの修飾基は、核酸複製過程に適合する任意の性質の基でありうる。修飾基は、酵素反応媒体の温度が上昇すると、修飾NTPまたは修飾プライマーから解離する速度が上昇する、不安定性基でありうる。一実施形態において、重合化反応において存在する修飾プライマーの修飾基は、例えば、米国特許出願第20070281308号において説明される結合などのヌクレオチド間結合において存在しうる。別の実施形態において、重合化反応において存在する修飾NTPまたは修飾プライマーの修飾基は、検出可能な標識でありうる。したがって、複製後において、標的セグメントは、サイズ、質量、親和性捕捉、および/または色により同定されうる。検出可能な標識は、蛍光色素であることが好ましく、親和性捕捉標識は、ビオチンであることが好ましい。
【0033】
オリゴヌクレオチドに関して本明細書で用いられる「末端」という用語は、オリゴヌクレオチドの3’端または5’端におけるヌクレオチドを指す。オリゴヌクレオチドの末端は、末端の6ヌクレオチドを包含することが好ましく、より好ましくは末端の5ヌクレオチド、より好ましくは末端の4ヌクレオチド、より好ましくは末端の3ヌクレオチド、より好ましくは末端の2ヌクレオチド、または、より好ましくは末端ヌクレオチドを包含する。
【0034】
本明細書で用いられる「転換する」、「解離する」、「解離」、または「フラグメント化」という用語は、NTPまたはプライマーからの、修飾基の除去または変換(例えば、3’置換基の除去による、または3’−OH基への3’置換基の変換による)を指す。修飾基の除去または変換は、例えば、3’置換基が、修飾分子部分から解離する場合のように部分的でもありえ、3’置換基が、修飾分子全体から解離する場合のように完全でもありうる。特定の好ましい実施形態において、3’位置における修飾基の除去または変換は、NTPまたはプライマーの3’位置における開環3’−OH基の形成をもたらす。修飾基の除去または変換は、分子内反応により生じる場合もあり、別の分子との反応により生じる場合もある。3’置換基の除去または変換は、3’置換NTPを活性状態に転換し、終結プライマーを伸長可能プライマーに転換することが好ましい。
【0035】
本明細書で用いられる「ヌクレオチド間結合」という用語は、オリゴヌクレオチドプライマーまたは核酸の2つのヌクレオシドを連結する1つまたは複数の結合を指し、これは、天然のホスホジエステル結合の場合もあり、修飾結合の場合もある。
【0036】
本明細書で用いられる「標的」、「標的核酸配列」、または「核酸標的」という用語は、同定されるヌクレオチド配列を指す。
【0037】
本明細書で用いられる「標識」または「検出可能な標識」という用語は、標識を検出することにより、分子が直接的または間接的に検出されうるように、分子と結合する場合もあり、他の形でこれと会合する場合もある、任意の化合物または化合物の組合せを指す。検出可能な標識は、放射性同位体(例えば、炭素、リン、ヨウ素、インジウム、硫黄、トリチウムなど)、質量同位体(例えば、H、C13、またはN15)、色素またはフルオロフォア(例えば、シアニン、フルオレセイン、またはロダミン)、ハプテン(例えば、ビオチン)、または直接的もしくは間接的に検出されうる他の任意の薬剤でありうる。標識化したNTPを、単位複製配列または他の重合化産物内に組み込んだ後には、標識を検出することができる。
【0038】
本明細書で用いられる「熱誘導」または「熱転換」という用語は、熱を加えて3’置換NTPの3’置換基を除去または変換し、これにより、核酸ポリメラーゼに適する基質を生成させる過程を指す。熱誘導または熱転換という用語はまた、伸長可能プライマーを生成する終結プライマーの3’置換基を除去または変換するように加熱し、これにより、終結プライマーを核酸ポリメラーゼの基質とする過程も指す。
【0039】
本明細書で用いられる「ホットスタート」という用語は、反応が、酵素に最適な伸長温度を上回る初期温度であることが好ましい所望の温度に達するまで、ポリメラーゼを介する核酸複製が損なわれる核酸複製反応を指す。ホットスタートによるPCR適用において、初期温度は、約80〜105℃、または少なくとも80℃、または少なくとも85℃、または少なくとも90℃、または約94℃、または約95℃、または約96℃、または約100℃に達する。好ましくは、「ホットスタート」PCRは、核酸ポリメラーゼおよび他のすべてのPCR成分が、初期変性ステップの前に添加されることを要請する。ホットスタートという用語は当技術分野でよく知られており、修飾ポリメラーゼ、ハイブリダイゼーションを損なう二次構造を伴うオリゴヌクレオチド、または伸長を損なう化学修飾を伴うオリゴヌクレオチド、および蝋など、温度感受性の障壁剤内に含有される試薬など、複製を損なう多くの方法が知られている。好ましい実施形態において、ホットスタートによる増幅は、熱誘導により、非基質NTP、終結NTP、または終結プライマーにおける3’置換基を、開環の3’−OH基に転換することにより誘発される。
【0040】
本明細書で用いられる「ミスプライミング」という用語は、核酸ポリメラーゼを介するプライマー伸長の非特異的な誘発を指す。特に、それは、プライマーに対してある程度の非相補性を有し、標的配列と共に増幅されうる望ましくない伸長産物の合成を誘発する可能性がある核酸配列に関する。
【0041】
NTPとの関連において本明細書で用いられる「不活性状態」または「不活性」という用語は、3’置換基を伴う非基質NTPを指す。一実施形態において、NTPに対する3’置換基の結合は、NTPを不活性とし、オリゴヌクレオチドプライマーへの3’置換NTPの組込みを損ない、これにより、核酸ポリメラーゼによる3’伸長を防止する(図1A)。終結NTPとの関連において本明細書で用いられる「終結状態」という用語は、プライマーの3’端に組み込まれ、N+1ヌクレオチドに伸長した伸長不可能なプライマー(すなわち、終結プライマー)を形成することが可能な、3’置換NTPを指す(図1B)。
【0042】
プライマーとの関連において本明細書で用いられる「終結状態」という用語は、その3’端において3’置換基を含有するプライマーを指す(図1B)。一実施形態において、プライマーの3’端への、3’置換された終結NTPの組込みは、該プライマーの伸長を一次的に終結させる。結果として得られる終結プライマーは、3’置換基が開環の3’−OH基に転換されるまで、核酸複製反応を支援せず、これをさらに伸長させることができない。
【0043】
NTPとの関連において本明細書で用いられる「活性状態」または「活性」という用語は、ポリメラーゼの基質でありうるNTPを指す。好ましくは、「活性」NTPは、3’置換を有さないか、または転換された3’置換基を含有する終結NTPでありうる。好ましくは、活性NTPは、非修飾の3’−OH基を有し、複製反応における核酸ポリメラーゼの基質として用いられうる。活性状態のNTPは、3’置換を有したことのないNTPの場合もあり、3’置換が転換されるか、除去されるか、または変換されたNTPの場合もある。
【0044】
本明細書で用いられる「(1つまたは複数の)プライマー二量体」という用語は、これといった介在配列なしに、互いの配列間でハイブリダイズした、2本の伸長したオリゴヌクレオチドプライマーの増幅から生じる、非特異的なオリゴヌクレオチドプライマーの(1つまたは複数の)伸長産物を指す。
【0045】
本明細書で用いられる「ハイブリダイズする」または「特異的にハイブリダイズする」という用語は、2本の相補的な核酸鎖が、適切な程度に厳密な条件下において互いにアニールする過程を指す。標的核酸に対するハイブリダイゼーションは、20〜100ヌクレオチドの長さであることが好ましい、プローブ長の核酸分子により実施されることが典型的であり、また好ましい。核酸のハイブリダイゼーション法は、当技術分野でよく知られている。例えば、Sambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、2版、ニューヨーク州、プレーンビュー、Cold Spring Harbor Press社(1989年);Ausubel,F.M.ら、「Current Protocols in Molecular Biology」、ニュージャージー州、セコーカス、John Wiley & Sons社(1994年)を参照されたい。
【0046】
本明細書で用いられる「厳密なハイブリダイゼーション条件」という用語は、完全に相補的でない2つの核酸のハイブリダイゼーションを許容しないハイブリダイゼーション条件を指す。
【0047】
本明細書で用いられる「試料」または「検査試料」という用語は、対象の核酸を包含すると考えられる任意の液体または固体の材料を指す。検査試料は、培養中の細胞もしくは組織試料など、任意の生物学的供給源(すなわち、生物学的試料)から得る場合もあり、化学合成される鋳型を含め、合成により作製する場合もある。
【0048】
オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド(すなわち、オリゴヌクレオチドプライマーまたは標的核酸などのヌクレオチド配列)との関連において本明細書で用いられる「相補体」、「相補的」、または「相補性」という用語は、ワトソン/クリックによる標準的な塩基対合則を指す。相補体配列はまた、DNA配列またはその相補体配列に相補的なDNA配列またはRNA配列の場合もあり、また、cDNAでもありうる。例えば、配列「5’−A−G−T−C−3’」は、配列「3’−T−C−A−G−5’」に対して相補的である。天然の核酸において一般に見出されないか、または化学合成される特定のヌクレオチドを、本明細書で説明される核酸に含めることができ、これらには、イノシン、7−デアザグアノシン、2’−O−メチルグアノシン、2’−フルオロ−2’−デオキシシチジン、ロックト核酸(LNA)、およびペプチド核酸(PNA)など、塩基および糖が修飾されたヌクレオシド、ヌクレオチド、および核酸が含まれるがこれらに限定されない。相補性は完全である必要がなく、安定的な二重鎖は、ミスマッチした塩基対、縮重ヌクレオチド、またはマッチしないヌクレオチドを含有しうる。核酸技術分野の当業者は、例えば、オリゴヌクレオチドの長さ、オリゴヌクレオチドの塩基組成および配列、ミスマッチ塩基対の発生、イオン強度、他のハイブリダイゼーション緩衝液の成分および条件を含めた多くの変数を経験的に考慮して、二重鎖の安定性を決定することができる。
【0049】
塩基対合則に従いマッチする2本の核酸鎖のヌクレオチド塩基がごく一部である場合、相補性は「部分的」でありうる。2本の核酸鎖のすべてのヌクレオチド塩基が塩基対合則に従いマッチする場合、相補性は完全または全体的でありうる。塩基対合則に従いマッチする2本の核酸鎖のヌクレオチド塩基が皆無である場合、相補性は不在でありうる。核酸鎖間における相補性の程度は、核酸鎖間におけるハイブリダイゼーションの効率および強度に対して著明な影響を及ぼす。これは、増幅反応のほか、核酸間における結合に依存する検出法においても特に重要である。該用語はまた、個々のヌクレオチドに関して、とりわけ、ポリヌクレオチドとの関連においても用いることができる。例えば、オリゴヌクレオチド内における特定のヌクレオチドは、該オリゴヌクレオチドの残りの部分と別の核酸鎖との間における相補性と対比した、またはこれと比較した、該核酸鎖内のヌクレオチドに対するその相補性、またはその欠如について言及されうる。
【0050】
本明細書で用いられる「実質的に相補的な」という用語は、厳密なハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする2つの配列を指す。当業者は、実質的に相補的な配列が、それらの全長にわたってハイブリダイズする必要がないことを理解するであろう。特に、実質的に相補的な配列は、厳密なハイブリダイゼーション条件下において標的配列にハイブリダイズする連続塩基配列に対して3’側または5’側に位置し、標的配列にはハイブリダイズしない連続塩基配列を含む。
【0051】
本明細書で用いられる「順方向プライマー」という用語は、一本鎖RNA、一本鎖DNA、または二本鎖DNAのアンチセンス鎖にアニールするオリゴヌクレオチドプライマーを指す。「逆方向プライマー」は、一本鎖RNA、一本鎖DNA、または二本鎖DNAのセンス鎖にアニールする。
【0052】
本明細書で用いられるオリゴヌクレオチドプライマーが核酸に対して「特異的」であるのは、オリゴヌクレオチドプライマーと該核酸とを整列させるとき、オリゴヌクレオチドプライマーのハイブリダイゼーション配列が、該核酸の一部と少なくとも50%の配列同一性を有する場合である。核酸に対して特異的なオリゴヌクレオチドプライマーとは、適切なハイブリダイゼーション条件および洗浄条件下において、対象の標的にハイブリダイズすることは可能であるが、対象でない核酸配列には実質的にハイブリダイズすることが可能でないオリゴヌクレオチドプライマーである。より高レベルの配列同一性が好ましく、これには、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、またより好ましくは100%の配列同一性が含まれる。
【0053】
本明細書で用いられる「ヌクレオシド」という用語には、天然の核酸中において見出されるヌクレオシド塩基およびフラノシドのすべての形態を含めた、すべての天然ヌクレオシドが含まれる。天然のヌクレオシド中において最も一般的に見出される塩基環は、プリン環およびピリミジン環である。天然のプリン環には、例えば、アデニン、グアニン、およびN−メチルアデニンが含まれる。天然のピリミジン環には、例えば、シトシン、チミン、および5−メチルシトシンが含まれる。天然のヌクレオシドには、例えば、アデノシン、グアノシン、シチジン、チミジン、ウリジン、イノシン、7−デアザグアノシン、7−メチルグアノシンのリボ誘導体および2’−デオキシリボ誘導体が含まれるがこれらに限定されない。
【0054】
本明細書で用いられる「ヌクレオシド類似体」、「修飾ヌクレオシド」、または「ヌクレオシド誘導体」という用語には、本明細書で説明される合成ヌクレオシドが含まれる。ヌクレオシド誘導体にはまた、保護基を伴うかまたは伴わない、修飾塩基部分および/または修飾糖部分を有するヌクレオシドも含まれる。このような類似体には、例えば、2’−デオキシ−2’−フルオロウリジン、2’−O−メチルウリジンなどが含まれる。本明細書で提供される化合物および方法には、このような塩基環およびそれらの合成類似体のほか、非天然のヘテロ環で置換された塩基糖、さらにまた、非環式の置換塩基糖も含まれる。さらに、ヌクレオシド誘導体には、他のプリン誘導体およびピリミジン誘導体、例えば、ハロゲン置換されたプリン(例えば、6−フルオロプリン)、ハロゲン置換されたピリミジン、N−エチルアデニン、N(アルキル)−シトシン、5−エチルシトシンなども含まれる。ヌクレオシドの誘導体および類似体は、米国特許第6,762,298号において説明される修飾など、多種多様な修飾を包含する。
【0055】
本明細書で用いられる「ユニバーサル塩基によるNTP」、「縮重塩基によるNTP」、「ユニバーサル塩基によるNTP類似体」、および「縮重塩基によるNTP類似体」という用語には、例えば、dATP、ATP、dTTP、dUTP、dCTP、CTP、dGTP、GTP、および他の具体的なNTPなど、任意の具体的なNTPに対する代替物として核酸ポリメラーゼにより認識可能であることが好ましい、人工的な塩基を伴うNTP類似体が含まれる。ユニバーサル塩基または縮重塩基を伴うNTPもまた用いることができ、例は、Loakes,D.、Nucleic Acids Res.、29巻、2437〜2447頁(2001年);Crey−Desbiolles,C.ら、Nucleic Acids Res.33巻、1532〜1543頁(2005年);Kincaid,K.ら、Nucleic Acids Res.、33巻、2620〜2628頁(2005年);Preparata,FP、Oliver,JS、J.Comput.Biol.、11巻、753〜765頁(2004年)およびHill,F.ら、Proc Natl Acad Sci U S A.、95巻、4258〜4263頁(1998年)において見出すことができる。
【0056】
本明細書で用いられる「修飾オリゴヌクレオチド」という用語には、例えば、修飾されたヌクレオシド、修飾されたヌクレオチド間結合を含有するか、または修飾されたヌクレオシドおよびヌクレオチド間結合の任意の組合せ(オリゴヌクレオチド鎖内に存在するのが天然ヌクレオシドだけであっても)を有するオリゴヌクレオチドが含まれる。オリゴヌクレオチドにおけるヌクレオチド間結合の修飾の例は、例えば、Waldnerら、Bioorg.Med.Chem.Letters、6巻、2363〜2366頁(1996年)において見出すことができる。修飾オリゴヌクレオチドの例は、ホスホロチオエート、ホスホトリエステルであり、オリゴヌクレオチドのメチルホスホン酸誘導体は、例えば、Stec,W.J.ら、Chem.Int.Ed.Engl.、33巻、709〜722頁(1994年);Lebedev,A.V.ら、Perspect.Drug Discov.Des.、4巻、17〜40頁(1996年)およびZonら、米国特許出願第20070281308号において見出すことができる。修飾オリゴヌクレオチドという用語は、3’末端のヌクレオチドにおいて3’置換を有するオリゴヌクレオチドを包含する。
【0057】
本明細書で用いられる「アシル」という用語は、−C(O)R基[式中、Rは、水素、低級アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリールなどである]を指す。
【0058】
本明細書で用いられる「置換アシル」という用語は、−C(O)Ra’基[式中、Ra’は、置換低級アルキル、置換シクロアルキル、置換ヘテロシクリル、置換アリール、置換ヘテロアリールなどである]を指す。
【0059】
本明細書で用いられる「アシルオキシ」という用語は、−OC(O)R基[式中、Rは、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリールなどである]を指す。
【0060】
本明細書で用いられる「アルカン」という用語は、炭素原子および水素原子を包含する有機化合物を指し、C−H結合を包含し、加えて、メタン以外のアルカンにおいてはC−C単結合も包含する。「アルカン」という用語には、1〜20個の炭素原子を有するアルカンなどの直鎖アルカンが含まれる。一部の実施形態において、アルカンには、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、およびオクタンなど、1〜8個の炭素原子を有するアルカンなどの直鎖アルカンが含まれる。「アルカン」という用語にはまた、1〜20個の炭素原子を有する分枝鎖アルカン、また、一部の実施形態においては、2−メチルプロパン、2,2−ジメチルプロパン、2−メチルブタン、2,3−ジメチルブタン、2,2−ジメチルブタン、2-メチルペンタン、3−メチルペンタン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、2,2−ジメチルペンタン、3,3−ジメチルペンタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,2−ジメチルヘキサン、2,3−ジメチルヘキサン、2,4−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、3,3−ジメチルヘキサン、3,4−ジメチルヘキサン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、4−メチルヘプタン、3−エチルペンタン、3−エチル−2−メチルペンタン、3−エチルヘキサンなどであるがこれらに限定されない、1〜8個の炭素原子を有する分枝鎖アルカンなどであるがこれらに限定されない分枝鎖アルカンも含まれる。アルカンのC−C結合またはC−H結合は、ヒドロキシル基、F、Cl、Br、またはIなどのハロゲン、スルフヒドリル基、またはアミン基など別の基に対する結合により置換することができる。このような基により置換されたアルカンは、それぞれ、ヒドロキシアルカン、フルオロアルカン、クロロアルカン、ブロモアルカン、ヨードアルカンなどのハロアルカン、メルカプトアルカン、およびアミノアルカンと呼ばれる。
【0061】
本明細書で用いられる「アルケニル」という用語は、1つまたは複数の二重結合を有し、別段に特定されない限り、約2〜約20個の炭素原子、好ましくは約2〜約10個の炭素原子、より好ましくは約2〜約8個の炭素原子、また最も好ましくは約2〜約6個の炭素原子を含有する、直鎖または分枝鎖のヒドロカルビルを指す。アルケニルラジカルの例には、ビニル、アリル、1,4−ブタジエニル、イソプロペニルなどが含まれる。
【0062】
本明細書で用いられる「アルケニルアリール」という用語は、アルケニル置換されたアリール基を指し、「置換アルケニルアリール」は、本明細書に記載の1個または複数個の置換基をさらに保有するアルケニルアリール基を指す。
【0063】
本明細書で用いられる「アルケニレン」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素間二重結合を有し、2〜20個の炭素原子、好ましくは2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子を含有することが典型的な、直鎖または分枝鎖の2価ヒドロカルビル基を指し、「置換アルケニレン」は、本明細書に記載の1個または複数個の置換基をさらに保有するアルケニレン基を指す。
【0064】
本明細書で用いられる「アルキル」という用語は、通常1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜8個の炭素原子の範囲にある炭化水素の単結合鎖を指し、例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどが含まれる。このようなアルキルラジカルの例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、オクチル、ドデカニルなどが含まれる。
【0065】
本明細書で用いられる「低級アルキル」という用語は、通常1〜6個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子の範囲にある炭化水素の直鎖または分枝鎖を指す。例には、エチル、プロピル、イソプロピルなどが含まれる。
【0066】
本明細書で用いられる「アルキレン」という用語は、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜15個の炭素原子を含有し、それに由来する2つの水素原子が、同じ炭素原子から奪われるか、または異なる炭素原子から奪われる、直鎖または分枝鎖の2価ヒドロカルビルを指す。アルキレンの例には、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)などが含まれるがこれらに限定されない。
【0067】
本明細書で用いられる「アルキニル」という用語は、1つまたは複数の三重結合を有し、約2〜20個の炭素原子、好ましくは約2〜10個の炭素原子、より好ましくは約2〜8個の炭素原子、また、最も好ましくは約2〜6個の炭素原子を含有する、直鎖または分枝鎖のヒドロカルビルを指す。アルキニルラジカルの例には、エチニル、プロピニル(プロパルギル)、ブチニルなどが含まれる。
【0068】
本明細書で用いられる「アルキニルアリール」という用語は、アルキニル置換されたアリール基を指し、「置換アルキニルアリール」は、本明細書に記載の1個または複数個の置換基をさらに保有するアルキニルアリール基を指す。
【0069】
本明細書で用いられる「アルコキシ」という用語は、−OR基[式中、Rは、本明細書で定義される、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、置換アラルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、または置換シクロヘテロアルキルである]を指す。
【0070】
本明細書で用いられる「低級アルコキシ」という用語は、−OR基[式中、Rは、低級アルキルである]を指す。
【0071】
本明細書で用いられる「アルキルアリール」という用語は、アルキル置換されたアリール基を指し、「置換アルキルアリール」は、本明細書に記載の1個または複数個の置換基をさらに保有するアルキルアリール基を指す。
【0072】
本明細書で用いられる「アルキルカルボニルアミノ」という用語は、−NRC(O)R基[式中、Rは、場合によって、置換アルキルであり、Rは水素またはアルキルである]を指す。
【0073】
本明細書で用いられる「アルキルスルフィニル」という用語は、−S(O)R基[式中、Rは、場合によって、置換アルキルである]を指す。
【0074】
本明細書で用いられる「アルキルスルホニル」という用語は、−S(O)基[式中、Rは、場合によって、置換アルキルである]を指す。
【0075】
本明細書で用いられる「アルキルスルホニルアミノ」という用語は、−NRS(O)基[式中、Rは、場合によって、置換アルキルであり、Rは水素またはアルキルである]を指す。
【0076】
本明細書で用いられる「アルキルチオ」という用語は、−S−R基[式中、Rはアルキルである]を指す。
【0077】
本明細書で用いられる「置換アルキルチオ」という用語は、−S−R基[式中、Rは置換アルキルである]を指す。
【0078】
本明細書で用いられる「アルキニレン」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素間三重結合を有し、約2〜12個の炭素原子、好ましくは約2〜8個の炭素原子を有することが典型的な、直鎖または分枝鎖の2価ヒドロカルビル基を指し、「置換アルキニレン」は、本明細書に記載の1個または複数個の置換基をさらに保有するアルキニレン基を指す。
【0079】
本明細書で用いられる「アミド」という用語は、−C(O)NRj’基[式中、RおよびRj’は独立に、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールである]を指す。
【0080】
本明細書で用いられる「置換アミド」という用語は、−C(O)NRk’基[式中、RおよびRk’は独立に、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールであるが、RおよびRk’のうちの少なくとも1つは水素ではない]を指す。窒素と組み合わされたRk’は、場合によって、置換ヘテロ環または置換ヘテロアリール環を形成しうる。
【0081】
本明細書で用いられる「アミジノ」という用語は、−C(=NR)NRm’m”基[式中、R、Rm’、およびRm”は、独立に、水素であるか、または場合によって、置換アルキル、アリール、もしくはヘテロアリールである]を指す。
【0082】
本明細書で用いられる「アミノ」または「アミン」という用語は、−NRn’基[式中、RおよびRn’は独立に、本明細書で定義される、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールでありうる]を指す。「2価アミン」とは、−NH−基を指す。「置換2価アミン」とは、−NR−基[式中、Rは、低級アルキル、置換低級アルキル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールである]を指す。
【0083】
本明細書で用いられる「置換アミノ」または「置換アミン」という用語は、−NRp’基[式中、RおよびRp’は独立に、水素、低級アルキル、置換低級アルキル、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールであるが、RおよびRp’のうちの少なくとも1つは水素ではない]を指す。窒素と組み合わされたRp’は、場合によって、置換ヘテロ環または置換ヘテロアリール環を形成しうる。
【0084】
本明細書で用いられる「アリールアルキニル」という用語は、アリール置換されたアルキニル基を指し、「置換アリールアルキニル」は、本明細書に記載の1個または複数個の置換基をさらに保有するアリールアルキニル基を指す。
【0085】
本明細書で用いられる「アラルキル」という用語は、その水素原子が、本明細書で定義されるアリールにより置換される、本明細書で定義されるアルキルを指す。アラルキルラジカルの例には、ベンジル、フェネチル、1−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、1−ナフチルプロピル、2−ナフチルプロピル、3−ナフチルプロピル、3−ナフチルブチルなどが含まれる。
【0086】
本明細書で用いられる「アロイル」という用語は、ベンゾイルなどのアリール−カルボニル分子種を指し、「置換アロイル」は、本明細書に記載の1個または複数個の置換基をさらに保有するアロイル基を指す。
【0087】
本明細書で用いられる「アリールアルキル」という用語は、アリール置換されたアルキル基を指し、「置換アリールアルキル」は、本明細書に記載の1個または複数個の置換基をさらに保有するアリールアルキル基を指す。
【0088】
本明細書において、単独、または組合せで用いられる「アリール」という用語は、場合によって、好ましくは環員が5〜7個、より好ましくは環員が5〜6個のシクロアルキルを伴い、かつ/または、場合によって、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アシルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、場合によって、アルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基により単置換または二重置換されたアミノ、アミジノ、場合によって、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはヘテロシクリル基により置換された尿素、場合によって、アルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基によりN−単置換またはN,N−二重置換されたアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノなど、1〜3個の基または置換基により置換される、フェニル、ナフチル、または融合芳香族ヘテロ環を指す。
【0089】
本明細書で用いられる「アリールカルボニルアミノ」という用語は、−NRC(O)R基[式中、Rは、水素もしくは低級アルキルまたはアルキルであり、Rは、場合によって置換アリールである]を指す。
【0090】
本明細書で用いられる「アリーレン」という用語は、6〜14個の炭素原子を有することが典型的な2価の芳香族基を指し、「置換アリーレン」とは本明細書に記載の1個または複数個の置換基をさらに有するアリーレン基を指す。
【0091】
本明細書で用いられる「アリールオキシ」という用語は、−OAr基[式中、Arは、アリール基、または置換アリール基である]を指す。
【0092】
本明細書で用いられる「アリールスルホニルアミノ」という用語は、−NRS(O)基[式中、Rは、水素もしくは低級アルキル、またはアルキルであり、Rは、場合によって置換アリールである]を指す。
【0093】
本明細書で用いられる「カルバメート基」という用語は、−O−C(O)−NR基[式中、各Rは、独立に、本明細書に記載のH、アルキル、置換アルキル、アリール、または置換アリールである]を指す。
【0094】
本明細書で用いられる「ジチオカルバメート基」という用語は、−S−C(S)−NR基[式中、各Rは、独立に、本明細書に記載のH、アルキル、置換アルキル、アリール、または置換アリールである]を指す。
【0095】
本明細書で用いられる「炭素環」という用語は、結合した炭素原子からなる単環または多重縮合環を有する、飽和基、不飽和基、または芳香族基を指す。(1個または複数個の)環は、場合によって、置換されていない、または例えば、ハロゲン、低級アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、ヘテロ環、ヘタリール、置換ヘタリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなどにより置換されていてもよい。
【0096】
本明細書で用いられる「シクロアルケニル」という用語は、3〜20個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの炭素−炭素間二重結合を有する環含有基を指し、「置換シクロアルケニル」は、本明細書で示される1個または複数個の置換基をさらに保有するシクロアルケニル基を指す。
【0097】
本明細書で用いられる「シクロアルキル」という用語は、3〜15個の炭素原子を含有する単環式または多環式のアルキル基を指し、「置換シクロアルキル」は、本明細書で示される1個または複数個の置換基をさらに保有するシクロアルキル基を指す。
【0098】
本明細書で用いられる「シクロアルキレン」という用語は、3〜12個の炭素原子を含有する2価環含有基を指し、「置換シクロアルキレン」は、本明細書で示される1個または複数個の置換基をさらに保有するシクロアルキレン基を指す。
【0099】
本明細書で用いられる「グアニジニル」という用語は、−N=C(NHを指し、「置換グアニジニル」は、−N=C(NR基[式中、各Rは、独立に、本明細書に記載のH、アルキル、置換アルキル、アリール、または置換アリールである]を指す。
【0100】
本明細書で用いられる「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、すべてのハロゲン、すなわち、クロロ(Cl)、フルオロ(F)、ブロモ(Br)およびヨード(I)を指す。
【0101】
本明細書で用いられる「ヘテロアリール」という用語は、独立にO基、S基、およびN基から選択され、また場合によって、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アシルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、場合によって、アルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基により単置換または二重置換されたアミノ、アミジノ、場合によって、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはヘテロシクリル基により置換された尿素、場合によって、アルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基によりN−単置換またはN,N−二重置換されたアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノなど、1〜3個の基または置換基により置換された、1個または複数個、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個、さらにより好ましくは1〜2個のヘテロ原子を含有する、5個もしくは6個の環原子を含有する単環式の芳香環構造、または8〜10個の原子を有する二環式の芳香族基を指す。ヘテロアリールはまた、スルフィニル、スルホニル、および三級環状窒素によるN−オキサイドなど、酸化されたSまたはNを包含することも意図する。安定的な芳香環が保持されるように、炭素原子または窒素原子が、ヘテロアリール環構造の結合点となる。ヘテロアリール基の例は、フタルイミド、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、キナゾリニル、プリニル、インドリル、キノリニル、ピリミジニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、チエニル、イソキサゾリル、オキサチアジアゾリル、イソチアゾリル、テトラゾリル、イミダゾリル、トリアジニル、フラニル、ベンゾフリル、インドリルなどである。置換ヘテロアリールは、安定的な化合物をもたらすのに結合可能な炭素または窒素に結合する置換基を含有する。
【0102】
本明細書で用いられる「置換ヘテロアリール」は、場合によって、例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヘタリール、置換ヘタリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなど、1つまたは複数の官能基により単置換または多重置換されたヘテロ環を指す。
【0103】
本明細書で用いられる「ヘテロアリールカルボニルアミノ」という用語は、−NRC(O)R基[式中、Rは、水素もしくは低級アルキルであり、Rは、場合によって置換アリールである]を指す。
【0104】
本明細書で用いられる「ヘテロアリールオキシ」という用語は、−OHet基[式中、Hetは、場合によって、置換ヘテロアリール基である]を指す。
【0105】
本明細書で用いられる「ヘテロアリールスルホニルアミノ」という用語は、−NRS(O)基[式中、Rは、水素もしくは低級アルキルであり、Rは、場合によって置換ヘテロアリールである]を指す。
【0106】
本明細書で用いられる「ヘテロ環」という用語は、単環(例えば、モルホリノ環、ピリジル環、またはフリル環)または多重縮合環(例えば、ナフトピリジル環、キノキサリル環、キノリニル環、インドリジニル環、またはベンゾ[b]チエニル環)を有し、炭素原子、および、場合によって、置換されていない、または例えば、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、アルキルチオ、アセチレン、アミノ、アミド、カルボキシル、ヒドロキシル、アリール、アリールオキシ、ヘテロ環、ヘタリール、置換ヘタリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルファミドなどにより置換されていてもよい、N、O、またはSなどの、少なくとも1個のヘテロ原子を環内に有する、飽和基、不飽和基、または芳香族基を指す。
【0107】
本明細書で用いられる「置換ヘテロ環」という用語は、安定的な化合物をもたらすのに結合可能な任意の点において結合する、場合によって、置換アルキル、場合によって、置換アルケニル、場合によって、置換アルキニル、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アシルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アミノ、アミド、アミジノ、場合によって、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、またはヘテロシクリル基により置換された尿素、場合によって、アルキル基、アリール基、またはヘテロアリール基によりN−単置換またはN,N−二重置換されたアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールカルボニルアミノ、アシル、カルボキシル、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヘタリール、置換ヘタリール、ニトロ、シアノ、チオール、スルホンアミド、およびオキソからなる群から選択される1個または複数個、例えば、1、2、または3個の置換基により置換されたヘテロ環を指す。
【0108】
本明細書で用いられる「ヒドロカルビル」という用語は、その骨格が炭素および水素だけを含む任意の有機ラジカルを指す。したがって、ヒドロカルビルは、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、アルケニルアリール、アリールアルキニル、アルキニルアリールなどを包含する。
【0109】
本明細書で用いられる「置換ヒドロカルビル」という用語は、ヒドロキシ、ヒドロカルビルオキシ、置換ヒドロカルビルオキシ、アルキルチオ、置換アルキルチオ、アリールチオ、置換アリールチオ、アミノ、アルキルアミノ、置換アルキルアミノ、カルボキシ、−C(S)SR、−C(O)SR、−C(S)NR[式中、各Rは、独立に、水素、アルキル、または置換アルキルである]、ニトロ、シアノ、ハロ、−SOMまたは−OSOM[式中、Mは、H、Na、K、Zn、Ca、またはメグルミンである]、グアニジニル、置換グアニジニル、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヒドロカルビルカルボニル、置換ヒドロカルビルカルボニル、ヒドロカルビルオキシカルボニル、置換ヒドロカルビルオキシカルボニル、ヒドロカルビルカルボニルオキシ、置換ヒドロカルビルカルボニルオキシ、アシル、アシルオキシ、ヘテロ環、置換ヘテロ環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールカルボニル、置換ヘテロアリールカルボニル、カルバモイル、モノアルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、カルバメート基、ジチオカルバメート基、アロイル、置換アロイル、オルガノスルホニル、置換オルガノスルホニル、オルガノスルフィニル、置換アルキルスルフィニル、アルキルスルホニルアミノ、置換アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、置換アリールスルホニルアミノ、スルホンアミド基、スルフリルなどから選択される1個または複数個の置換基をさらに保有する、上記で言及されたヒドロカルビル基のうちのいずれかを指し、これには、−O−、−S−、−NR−[式中、Rは、水素、アルキル、または置換アルキルである]、−C(O)−、−C(S)−、−C(=NR’)−、−C(=CR’)−[式中、R’は、アルキルまたは置換アルキルである]、−O−C(O)−、−O−C(O)−O−、−O−C(O)−NR−(または−NR-C(O)−O−)、−NR−C(O)−、−NR−C(O)−NR−、−S−C(O)−、−S−C(O)−O−、−S−C(O)−NR−、−O−S(O)−、−O−S(O)−O−、−O−S(O)−NR−、−O−S(O)−、−O−S(O)−O−、−O−S(O)−NR−、−O−NR−C(O)−、−O−NR−C(O)−O−、−O−NR−C(O)−NR−、−NR−O−C(O)−、−NR−O−C(O)−O−、−NR−O−C(O)−NR−、−O−NR−C(S)−、−O−NR−C(S)−O−、−O−NR−C(S)−NR−、−NR−O−C(S)−、−NR−O−C(S)−O−、−NR−O−C(S)−NR−、−O−C(S)−、−O−C(S)−O−、−O−C(S)−NR−(または−NR−C(S)−O−)、−NR−C(S)−、−NR-C(S)−NR−、−S−S(O)−、−S−S(O)−O−、−S−S(O)−NR−、−NR−O−S(O)−、−NR−O−S(O)−O−、−NR−O−S(O)−NR−、−NR−O−S(O)−、−NR−O−S(O)−O−、−NR−O−S(O)−NR−、−O−NR−S(O)−、−O−NR−S(O)−O−、−O−NR−S(O)−NR−、−O−NR−S(O)−O−、−O−NR−S(O)−NR−、−O−NR−S(O)−、−O−P(O)R−、−S−P(O)R−、または−NR−P(O)R−[式中、各Rは、独立に、水素、アルキル、または置換アルキルである]などのリンカー/スペーサー部分によりヒドロカルビル部分に結合された上記の基のうちの2つ以上が含まれる。
【0110】
本明細書で用いられる「ヒドロカルビルオキシ」という用語は、2〜20個の炭素原子を含有する−O−ヒドロカルビル基を指し、「置換ヒドロカルビルオキシ」は、本明細書で示される1個または複数個の置換基をさらに保有するヒドロカルビルオキシ基を指す。
【0111】
本明細書で用いられる「ヒドロカルビルカルボニル」という用語は、2〜20個の炭素原子を含有する−C(O)−ヒドロカルビル基を指し、「置換ヒドロカルビルカルボニル」は、本明細書で示される1個または複数個の置換基をさらに保有するヒドロカルビルカルボニル基を指す。
【0112】
本明細書で用いられる「ヒドロカルビルオキシカルボニル」という用語は、2〜20個の炭素原子を含有する−C(O)−O−ヒドロカルビルを指し、「置換ヒドロカルビルオキシカルボニル」は、本明細書で示される1個または複数個の置換基をさらに保有するヒドロカルビルオキシカルボニル基を指す。
【0113】
本明細書で用いられる「ヒドロカルビルカルボニルオキシ」という用語は、2〜20個の炭素原子を含有する−O−C(O)−ヒドロカルビル基を指し、「置換ヒドロカルビルカルボニルオキシ」は、本明細書で示される1個または複数個の置換基をさらに保有するヒドロカルビルカルボニルオキシ基を指す。
【0114】
本明細書で用いられる「ヒドロカルビレン」という用語は、その骨格が炭素および水素だけを含む任意の2価有機ラジカルを指す。したがって、ヒドロカルビレンは、アルキレン、シクロアルキレン、アルケニレン、シクロアルケニレン、アルキニレン、アリーレン、アルキルアリーレン、アリールアルキレン、アリールアルケニレン、アルケニルアリーレン、アリールアルキニレン、アルキニルアリーレンなどを包含し、「置換ヒドロカルビレン」は、本明細書で示される1個または複数個の置換基をさらに保有する、上記で言及されたヒドロカルビレン基のうちのいずれかを指す。
【0115】
本明細書で用いられる「ヒドロキシル」または「ヒドロキシ」という用語は、−OH基を指す。
【0116】
本明細書で用いられる「オルガノスルフィニル」という用語は、−S(O)−オルガノ基[式中、オルガノは、アルキル部分、アルコキシ部分、アルキルアミノ部分、およびアリール部分のほか、置換アルキル部分、置換アルコキシ部分、置換アルキルアミノ部分、および置換アリール部分も包含する]を指す。
【0117】
本明細書で用いられる「オルガノスルホニル」という用語は、−S(O)−オルガノ基[式中、オルガノは、アルキル部分、アルコキシ部分、およびアルキルアミノ部分のほか、置換アルキル部分、置換アルコキシ部分、および置換アルキルアミノ部分も包含する]を指す。
【0118】
本明細書で用いられる「オキソ」という用語は、結合される炭素に二重結合する酸素置換基を指す。
【0119】
本明細書で用いられる「スルフィニル」という用語は、−S(O)−基を指す。
【0120】
本明細書で用いられる「置換スルフィニル」という用語は、−S(O)R基[式中、Rは、低級アルキル、置換低級アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、置換ヘテロアラルキル、アラルキル、または置換アラルキルである]を指す。
【0121】
本明細書で用いられる「スルホニル」という用語は、−S(O)−基を指す。
【0122】
本明細書で用いられる「置換スルホニル」という用語は、−S(O)基[式中、Rは、低級アルキル、置換低級アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、置換ヘテロアラルキル、アラルキル、または置換アラルキルである]を指す。
【0123】
本明細書で用いられる「スルホニルアミノ」という用語は、−NRS(O)−基[式中、Rは、水素または低級アルキルである]を指す。
【0124】
本明細書で用いられる「置換スルホニルアミノ」という用語は、−NRS(O)基[式中、Rは、水素または低級アルキルであり、Rは、低級アルキル、置換低級アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、置換ヘテロアラルキル、アラルキル、または置換アラルキルである]を指す。
【0125】
本明細書で用いられる「スルフリル」という用語は、−S(O)−基を指す。
【0126】
数値との関連において本明細書で用いられる「およそ」および「約」という用語は、示される値の30%を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】ホットスタートによる活性化前において、核酸ポリメラーゼを介するプライマー伸長が、どのようにして3’置換dNTPにより損なわれるのかを示す2つの機構についての概略表示である。
【図2】熱誘導されるホットスタートによる活性化の例示的な図式についての概略表示である。「X」は、置換基を表す。図2Aは、非置換の活性状態3’−OHdNTPへの、3’−X基を含有する3’置換dNTPの転換を示す図である。図2Bは、非置換の伸長可能プライマーへの、3’−X置換基を含有する「終結プライマー」の転換を示す図である。
【図3】95℃のPCR緩衝液中において、3’置換dTTPからdTTPが形成されるときの動態を示す図である。
【図4】非加熱の3’置換dTTP(上図)およびあらかじめ加熱された3’置換dTTP(下図)を伴うプライマー伸長実験における、クレノウDNAポリメラーゼによる、3’−エーテルで置換されたdTTPの負荷組込みの結果を示す図である。
【図5】ラムダ系における複数の3’置換dTTP誘導体によるホットスタートPCR実験の結果:ゲル電気泳動解析(上図)および非標的産物に対する単位複製配列の比率についてのグラフ表示(下図)を示す図である。
【図6】HIV DNA系における複数の3’置換dTTP誘導体によるホットスタートPCR実験の結果:ゲル電気泳動解析(上図)および非標的産物に対する単位複製配列の比率についてのグラフ表示(下図)を示す図である。
【図7】ホットスタートPCRにより365bpのHIV−1フラグメントを増幅するときの効率に対する、3’−THFで置換されたdTTPおよびdATPの組合せ効果:ゲル電気泳動解析(上図)および非標的産物に対する単位複製配列の比率についてのグラフ表示(下図)を示す図である。
【図8】3’置換dNTPをホスホトリエステルプライマーと組み合わせて用いる、1試験管による、好ましいギャップ伸長ライゲーションPCR(GEXL−PCR)法についてのグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0128】
PCRなどの核酸複製反応は、(a)標的核酸に対するオリゴヌクレオチドプライマーのハイブリダイゼーションの後、(b)核酸ポリメラーゼを介するオリゴヌクレオチドへのヌクレオシド5’−三リン酸(NTP)の組込みによる、標的配列の少なくとも1つのコピー、好ましくは複数のコピーの形成を伴う。しかし、複製反応は、手順の有効性および精度、ならびに行われる可能性のある下流の手順に影響を及ぼす、ミスプライミングおよびプライマー二量体形成に起因する望ましくない産物をもたらすことが多い。多くの望ましくない産物は、試料調製時、および複製反応の初期温度の上昇(初期変性ステップ)時において生成される。
【0129】
本明細書における方法および組成物は、核酸複製のための、改善された方法および組成物を提供する。特定の態様において、方法および組成物は、温度に依存する核酸複製反応におけるNTPの使用を対象とする。他の態様において、核酸複製の過程は、好ましくは、糖の3’位置において、その存在により、望ましくない増幅産物の形成が損なわれる、熱を介して除去可能な修飾基を伴う、1つまたは複数の3’置換NTPを用いる。
【0130】
一態様において、本明細書では、3’位置における少なくとも1個の置換基を伴う、1個または複数個の修飾基を包含する、少なくとも1つの修飾NTPを使用する、核酸複製の方法が提供される。一部の好ましい実施形態において、3’位置における置換基は、複製反応の初期変性ステップにおいて、3’−OH基に転換されるか、またはNTPから解離する。例えば、初期変性ステップは、逆転写反応では、約42〜70℃で10〜100分間にわたって生じ、PCR反応では、約94℃、約95℃、約96℃、または約100℃で3〜30分間にわたって生じる。当業者であれば、本明細書で提供される3’置換NTPにより実施される複製適用に基づき初期変性ステップが生じる場合のパラメータを決定することができるであろう。
【0131】
好ましい実施形態において、本明細書における方法および組成物は、3’置換NTPを提供し、該NTPは、1つまたは複数の修飾基を保有し、少なくとも1つの修飾は、3’位置にある(すなわち、3’置換NTP)。1つの機構によれば、3’置換NTPは、非基質NTPであり、核酸ポリメラーゼにより基質として用いることができない(図1A)。したがって、3’置換NTPは、3’置換基が除去されるか、または他の形で遊離ヒドロキシル基に転換されるまでは、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに組み込まれない。第二の機構において、3’置換NTPは、終結NTPであり、核酸ポリメラーゼにより組み込まれて、3’位置において修飾ヌクレオシド1単位だけポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドプライマーを伸長させ、終結プライマーをもたらすことができる(図1B)。したがって、3’置換基が除去されるか、または他の形で遊離ヒドロキシル基に転換されて、伸長可能プライマーが生成されない限り、また、それまでは、終結プライマーのさらなる鎖伸長が防止される。したがって、NTPの3’置換は、約95℃で1〜120分間にわたることが好ましい、PCRの初期変性ステップの場合など、高温における複製の初期インキュベーション時間の前には、核酸ポリメラーゼを介するプライマーの伸長を損なう。所望の温度、例えば、高温に達すると、3’置換基を除去するか、または他の形で3’置換基を開環(すなわち、非修飾)の3’−ヒドロキシル基に転換する、熱により誘導される分子内および/または分子間におけるフラグメント化により、終結プライマーは、伸長可能プライマーとなる。開環の3’−ヒドロキシル基(3’−OH基)を保有する伸長可能プライマーは、核酸ポリメラーゼを介して効率的に伸長させることができる。
【0132】
3’−ヒドロキシル基への、本明細書で提供される3’置換基の部分的な転換(例えば、全修飾分子の一部からの)または完全な転換(例えば、全修飾分子からの)は、約95℃で、1〜120分以内、好ましくは1〜30分以内、好ましくは1〜15分以内、好ましくは1〜10分以内、より好ましくは1〜5分以内、また、より好ましくは1〜2分以内のインキュベーション後において生じることが好ましい。特定の実施形態において、3’置換NTPまたは終結プライマーの活性状態への転換は温度に関して生じ、酵素、さらなる化学物質、または重合化反応条件の変更を必要としないが、これらと共に用いることができる。特定の実施形態において、複製反応は、さらなる物質を包含しない。さらなる物質の例には、化合物および酵素が含まれるがこれらに限定されない。特定の実施形態において、複製反応に包含されないさらなる物質は、3’置換基を除去するのに当技術分野で用いられる試薬などの化学開裂試薬(例えば、高温の中性水溶液中におけるパラジウム触媒(例えば、Juら、米国特許第6,664,079号;Meng,Q.ら、J.Org.Chem.、78巻、3248〜3252頁(2006年)およびBi,L.ら、J.Amer.Chem.Soc.、128巻、2542〜2543頁(2006年)を参照されたい))、pH2をもたらす塩酸(例えば、Tsien,R.Y、WO91/06678を参照されたい)、メルカプトエタノールなどの還元剤(例えば、Kwiatkowski,M.、米国特許第7,279,563号を参照されたい)、またはトリス−(2−カルボキシエチル)ホスフィン(例えば、Milton,J.ら、米国特許第7,414,116号を参照されたい)である。特定の実施形態において、3’置換基の除去は、UV照射(例えば、Dowerら、WO92/10587を参照されたい)によらない。一部の実施形態において、複製反応は、3’置換基の化学開裂(例えば、開裂酵素による)を包含しない。他の実施形態において、複製反応は、さらなる物質を包含しない配列決定反応であり、好ましくは、複製反応に包含されないさらなる物質は、開裂剤である。他の一部の実施形態において、複製反応は、段階的合成による配列決定(例えば、標的配列の直線的複製)ではない。
【0133】
一態様において、本発明に従う3’置換NTPおよびそれらの誘導体は、式IA:
【0134】
【化1】

[式中、
nは、0または1であり、
Bは、置換もしくは非置換のプリンもしくはピリミジン、その任意のアザ誘導体もしくはデアザ誘導体、または核酸ポリメラーゼにより認識可能であることが好ましい、任意のNTP類似体による任意の「ユニバーサル塩基」もしくは「縮重塩基」から選択され;
Aは、O、S、Se、CR、およびNRからなる群から選択され;
Wは、O、S、Se、CR、およびNRからなる群から選択され;
各Rおよび各Rは、H、F、Cl、Br、I、OR、SR、SeR、NR、C(Y)R、ならびに置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、およびアラルキルからなる群から独立に選択され、
任意の置換基は各々、場合によって、1つまたは複数のヘテロ原子を含有する可能性があり;
各Rおよび各Rは、H、または置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、およびアラルキルからなる群から独立に選択され、
任意の置換基は各々、場合によって、1つまたは複数のヘテロ原子を含有する可能性があり;
各Rは、H、F、Cl、Br、OR、SR、SeR、NR、C(Y)R、ならびに置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、およびアラルキルからなる群から選択され、
任意の置換基は各々、場合によって、1つまたは複数のヘテロ原子を含有する可能性があり;
各Yは、O、S、Se、CR、およびNRからなる群から選択され;
、Z、およびZは各々、O、S、Se、CR、およびNRからなる群から独立に選択され;
およびZは各々、O、S、Se、O、CR、NR、およびC(Y)からなる群から独立に選択され;
は、O、S、Se、O、CR、NR、C(Y)、3’−O−オリゴヌクレオチジル残基、およびオリゴヌクレオチドプライマーからなる群から選択され;
nが0のとき、Zは、3’−O−オリゴヌクレオチジル残基、またはオリゴヌクレオチドプライマーであり、
nが1のとき、Zは、O、S、Se、O、CR、NR、またはC(Y)であり;
、Z、およびZは各々、H、F、OR、SR、SeR、NR、NROR、NR−NR、CN、N、(BH、およびC(Y)Rからなる群から独立に選択され;
は、H、F、OR、SR、SeR、NR、NROR、NR−NR、CN、N、(BH、C(Y)R、およびリン酸からなる群から選択され;
10は、O、S、およびSeからなる群から選択され;
は、陽イオンであり;
、X、X、X、およびXは、各々、R、NROR、NR−NR、CN、N、NO、NO、NCO、NCS、OCN、SCN、およびSSRからなる群から独立に選択され;
Rは、
【0135】
【化2】

からなる群から選択され、
Rは、場合によって、式IAで示されるNTP分子のX、X、X、X、X、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、A、W、またはB部分に対して、適切な原子または原子群を介して共有結合する可能性があり;
各Rは、炭酸を除く無機酸残基またはその誘導体からなる群から独立に選択され、該誘導体には、ハロゲン、スルホン酸、チオスルホン酸、セレノ硫酸、セレノスルホン酸、硫酸エステル、硫酸チオエステル、亜硫酸、スルフィン酸、スルフィンエステル、硝酸、亜硝酸、リン、セレニウム、およびホウ素を含有する酸が含まれうるがこれらに限定されず;
各R、各R、各R、および各R10は、水素、直鎖状または分枝鎖状であり、置換されていてもよい、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基からなる群から独立に選択され、
該ヒドロカルビルは、ハロ、オキソ、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アミド、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールオキシ、およびヘテロアリールからなる群から選択される少なくとも1個の置換基を包含していてもよい、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり;
各X、各X、各X、および各Xは、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケニルアリール、アルケニレン、アルキル、低級アルキル、アルキレン、アルキニル、アルキニルアリール、アルコキシ、低級アルコキシ、アルキルアリール、アルキルカルボニルアミノ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルチオ、アルキニレン、アミド、アミジノ、アミノ、アリールアルキニル、アラルキル、アロイル、アリールアルキル、アリール、アリールカルボニルアミノ、アリーレン、アリールオキシ、アリールスルホニルアミノ、カルバメート、ジチオカルバメート、シクロアルケニル、シクロアルキル、シクロアルキレン、グアニジニル、ハロ、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、ヘテロ環、ヘテロ環、ヒドロカルビル、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルカルボニル、ヒドロカルビルオキシカルボニル、ヒドロカルビルカルボニルオキシ、ヒドロカルビレン、オルガノスルフィニル、ヒドロキシル、オルガノスルフィニル、オルガノスルホニル、スルフィニル、スルホニル、スルホニルアミノ、およびスルフリルからなる任意の置換または非置換の基から独立に選択され;
各X10は、O、S、Se、NR11、N−OR11、およびCR1112からなる群から独立に選択され;
各R11および各R12は、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケニルアリール、アルケニレン、アルキル、低級アルキル、アルキレン、アルキニル、アルキニルアリール、アルコキシ、低級アルコキシ、アルキルアリール、アルキルカルボニルアミノ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルチオ、アルキニレン、アミド、アミジノ、アミノ、アリールアルキニル、アラルキル、アロイル、アリールアルキル、アリール、アリールカルボニルアミノ、アリーレン、アリールオキシ、アリールスルホニルアミノ、カルバメート、ジチオカルバメート、シクロアルケニル、シクロアルキル、シクロアルキレン、グアニジニル、ハロ、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、ヘテロ環、ヘテロ環、ヒドロカルビル、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルカルボニル、ヒドロカルビルオキシカルボニル、ヒドロカルビルカルボニルオキシ、ヒドロカルビレン、オルガノスルフィニル、ヒドロキシル、オルガノスルフィニル、オルガノスルホニル、スルフィニル、スルホニル、スルホニルアミノ、およびスルフリルからなる任意の置換または非置換の基から独立に選択され;
各Yは、O、S、Se、NR、N−OR、およびCRからなる群から独立に選択される]
の化合物を提供する。
【0136】
式IAの特定の実施形態において、Bは、チミン、シトシン、アデニン、グアニン、ウラシル、アミノアリルウラシル、7−デアザグアニン、7−デアザ−7−メチルグアニン、7−デアザ−7−ヨードグアニン、7−デアザ−7−アミノアリルグアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、7−デアザデニン、2,6−ジアミノプリン、5−ニトロシトシン、5−アミノアリルシトシン、5−(ビオチン−16)−シトシン、5−(フルオレセイン−11)−シトシン、4−メチルアミノ−シトシン、2−チオ−5−メチルウラシル、または4−チオ−5−メチルウラシルである。
【0137】
式IAの好ましい実施形態において、Bは、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、またはウラシルである。
【0138】
以下に示す通り、式IAの特定の実施形態において、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、およびZはOであり;ZおよびZはOHである。
【0139】
【化3】

【0140】
以下に示す通り、式IAの特定の実施形態において、AはNH、O、CH、またはSであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHである。
【0141】
【化4】

【0142】
以下に示す通り、式IAの特定の実施形態において、XはH、OH、F、CH、OCH、N、NH、またはNHCHであり;AはOであり;X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHである。
【0143】
【化5】

【0144】
以下に示す通り、式IAの特定の実施形態において、XはH、SH、CH、F、OCH、NH、またはNHCHであり;AはOであり;X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHである。
【0145】
【化6】

【0146】
以下に示す通り、式IAの特定の実施形態において、ZはOH、SH、BH、CH、OCH、またはOCHCHであり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、およびZはOHである。
【0147】
【化7】

【0148】
以下に示す通り、式IAの特定の実施形態において、ZはOまたはSであり;nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHである。
【0149】
【化8】

【0150】
以下に示す通り、式IAの特定の実施形態において、ZはSH、SCHCHCN、OH、F、OCH、OCHCH、OC、NHCH、NH、NHCHCHNH、NHCHCHCHCHCHCHNH、またはリン酸基であり;nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、およびZはOHである。
【0151】
【化9】

【0152】
以下に示す通り、式の特定の実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHである。
【0153】
【化10】

【0154】
式IAの特定の好ましい実施形態は、以下(上から下へ、左から右へ)の通りである。式IAの好ましい一実施形態において、nは1であり;AはSであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−(p−トルエン)スルホネートである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、およびXはHであり;XはO−CHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−(p−トルエン)スルホネートである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、およびXはHであり;X=CHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−(p−トルエン)スルホネートである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;ZはSHであり;Z、Z、およびZはOHであり;RはO−(p−トルエン)スルホネートである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;ZはSであり;RはO−(p−トルエン)スルホネートである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、およびZはOHであり;ZはSHであり;RはO−(p−トルエン)スルホネートである。
【0155】
【化11】

【0156】
式のさらにより好ましい実施形態は、以下の通りである。式IAの好ましい一実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−(p−トルエン)スルホネートである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−リン酸である。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−硝酸である。
【0157】
【化12】

【0158】
式IAの特定の好ましい実施形態は、以下(左から右へ、上から下へ)の通りである。式IAの好ましい一実施形態において、nは1であり;AはSであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−テトラヒドロフラニルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、およびXはHであり;XはO−CHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−テトラヒドロフラニルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、およびXはHであり;X=CHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−テトラヒドロフラニルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;ZはSHであり;Z、Z、およびZはOHであり;RはO−テトラヒドロフラニルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;ZはSであり;RはO−テトラヒドロフラニルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、およびZはOHであり;ZはSHであり;RはO−テトラヒドロフラニルである。
【0159】
【化13】

【0160】
式IAの特定の好ましい実施形態は、以下(左から右へ、上から下へ)の通りである。式IAの好ましい一実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−[4−メトキシ]−テトラヒドロピラニルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−テトラヒドロピラニルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−テトラヒドロフラニルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−[4−メトキシ]−テトラヒドロチオピラニルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−テトラヒドロチオピラニルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−[5−メチル]−テトラヒドロフラニルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−[2−メチル,4−メトキシ]−テトラヒドロピラニルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−[5−メチル]−テトラヒドロピラニルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−テトラヒドロチオフラニルである。
【0161】
【化14】

【0162】
式IAのさらにより好ましい実施形態は、以下の通りである。式IAの好ましい一実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−[4−メトキシ]−テトラヒドロピラニルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−テトラヒドロピラニルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−テトラヒドロフラニルである。
【0163】
【化15】

【0164】
式IAの特定の好ましい実施形態は、以下(左から右へ、上から下へ)の通りである。式IAの好ましい一実施形態において、nは1であり;AはSであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−フェノキシアセチルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、およびXはHであり;XはO−CHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−フェノキシアセチルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、およびXはHであり;XはCHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−フェノキシアセチルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、およびZはOHであり;ZはSHであり;RはO−フェノキシアセチルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;ZはSであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−フェノキシアセチルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、およびZはOHであり;ZはSHであり;RはO−フェノキシアセチルである。
【0165】
【化16】

【0166】
式IAのさらにより好ましい実施形態は、以下の通りである。式IAの好ましい一実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−フェノキシアセチルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−メトキシアセチルである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−アセチルである。
【0167】
【化17】

【0168】
式IAの特定の好ましい実施形態は、以下(上から下へ、左から右へ)の通りである。式IAの好ましい一実施形態において、nは1であり;AはSであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−C(O)−OCHである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、およびXはHであり;XはO−CHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−C(O)−OCHである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、およびXはHであり;XはCHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−C(O)−OCHである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;ZはSHであり;Z、Z、およびZはOHであり;RはO−C(O)−OCHである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;ZはSであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−C(O)−OCHである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、およびZはOHであり;ZはSHであり;RはO−C(O)−OCHである。
【0169】
【化18】

【0170】
式IAのさらにより好ましい実施形態は、以下の通りである。式IAの好ましい一実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−C(O)−OCHである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−C(O)−CHCHCNである。式IAの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;RはO−C(S)−OCHである。
【0171】
【化19】

【0172】
式IAの特定の実施形態において、Z、Z、Z、Z、Z、Z、P、およびPが存在しないように、nは0であり;Zは3’−O−オリゴヌクレオチジル残基、またはオリゴヌクレオチドプライマーであり、これにより、「終結プライマー」が提供される。
【0173】
一態様において、本発明に従う3’置換NTPおよびそれらの誘導体は、式IB:
【0174】
【化20】

[式中、
nは、0または1であり、
Bは、置換もしくは非置換のプリンもしくはピリミジン、その任意のアザ誘導体もしくはデアザ誘導体、または核酸ポリメラーゼにより認識可能であることが好ましい、任意のNTP類似体による任意の「ユニバーサル塩基」もしくは「縮重塩基」から選択され;
Aは、O、S、Se、CR、およびNRからなる群から選択され;
Wは、O、S、Se、CR、およびNRからなる群から選択され;
各Rおよび各Rは、H、F、Cl、Br、I、OR、SR、NR、C(Y)R、ならびに置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、およびアラルキルからなる群から独立に選択され、
任意の置換基は各々、場合によって、1つまたは複数のヘテロ原子を含有する可能性があり;
各Yは、O、S、Se、CR、およびNRからなる群から独立に選択され;
各Rおよび各Rは、H、または置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアラルキルからなる群から独立に選択され、
任意の置換基は各々、場合によって、1つまたは複数のヘテロ原子を含有する可能性があり;
各Rは、H、F、Cl、Br、OR、SR、NR、ならびに置換または非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアラルキルからなる群から独立に選択され、
任意の置換基は各々、場合によって、1つまたは複数のヘテロ原子を含有する可能性があり;
、Z、およびZは各々、O、S、Se、CR、およびNRからなる群から独立に選択され;
およびZは各々、O、S、Se、O、CR、NR、およびC(Y)からなる群から独立に選択され;
は、O、S、Se、O、CR、NR、C(Y)、3’−O−オリゴヌクレオチジル残基、およびオリゴヌクレオチドプライマーからなる群から選択され;
nが0のとき、Zは3’−O−オリゴヌクレオチジル残基、またはオリゴヌクレオチドプライマーであり、
nが1のとき、Zは、O、S、Se、O、CR、NR、またはC(Y)であり;
、Z、およびZは各々、H、F、OR、SR、SeR、NR、NROR、NR−NR、CN、N、(BH、およびC(Y)Rからなる群から独立に選択され;
は、H、F、OR、SR、SeR、NR、NROR、NR−NR、CN、N、(BH、C(Y)、およびリン酸からなる群から選択され;
は、陽イオンであり;
、X、X、およびXは各々、R、F、Cl、Br、I、OR、SR、SeR、NR、NROR、NR−NR、CN、N、C(Y)R、NO、CN、および SSRからなる群から独立に選択され;
は、O、S、Se、NR、N−OR、およびCRからなる群から選択され;
は、O、S、Se、NR、N−OR、CR、およびC(Y)からなる群から選択され;
各Rおよび各Rは、水素、また、直鎖状または分枝鎖状であり、置換されていてもよい、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基からなる群から独立に選択され、
該ヒドロカルビルは、ハロ、オキソ、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アミド、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールオキシ、およびヘテロアリールからなる群から選択される少なくとも1個の置換基を包含していてもよい、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり;
およびYは各々、場合によって、式IBで示されるNTP分子のX、X、X、X、X、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、A、W、またはB部分に対して、適切な原子または原子群を介して共有結合する可能性がある]
の化合物を提供する。
【0175】
式IBの特定の実施形態において、Bは、チミン、シトシン、アデニン、グアニン、ウラシル、アミノアリルウラシル、7−デアザグアニン、7−デアザ−7−メチルグアニン、7−デアザ−7−ヨードグアニン、7−デアザ−7−アミノアリルグアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、7−デアザデニン、2,6−ジアミノプリン、5−ニトロシトシン、5−アミノアリルシトシン、5−(ビオチン−16)−シトシン、5−(フルオレセイン−11)−シトシン、4−メチルアミノ−シトシン、および2−チオ−5−メチルウラシル、または4−チオ−5−メチルウラシルである。
【0176】
式IBの好ましい実施形態において、Bは、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、またはウラシルである。
【0177】
以下に示す通り、式IBの特定の実施形態において、AはNH、O、CH、またはSであり;X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、およびZはOであり;ZおよびZはOHである。
【0178】
【化21】

【0179】
以下に示す通り、式IBの特定の実施形態において、AはNH、O、CH、またはSであり;X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHである。
【0180】
【化22】

【0181】
以下に示す通り、式IBの特定の実施形態において、XはH、SH、CH、F、OCH、NH、またはNHCHであり;AはOであり;X、X、およびXはHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHである。
【0182】
【化23】

【0183】
以下に示す通り、式IBの特定の実施形態において、ZはOH、SH、BH、CH、OCH3、またはOCHCHであり;AはOであり;X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、およびZはOHである。
【0184】
【化24】

【0185】
以下に示す通り、式IBの特定の実施形態において、ZはOまたはSであり;nは1であり;AはOであり;X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHである。
【0186】
【化25】

【0187】
以下に示す通り、式IBの特定の実施形態において、ZはSH、SCHCHCN、OH、F、OCH、OCHCH、NHCH、NH、NHCHCHNH、NHCHCHCHCHCHCHNH、またはリン酸基であり;nは1であり;AはOであり;X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、およびZはOHである。
【0188】
【化26】

【0189】
以下に示す通り、式IBの特定の実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHである。
【0190】
【化27】

【0191】
式IBの特定の好ましい実施形態は、以下(左から右へ、上から下へ)の通りである。式IBの好ましい一実施形態において、nは1であり;AはSであり;X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;X、Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;YはC=Sである。式IBの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、およびXはHであり;XはCHであり;WはCHであり;X、Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;YはC=Sである。式IBの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;X、Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;ZはSHであり;Z、Z、およびZはOHであり;YはC=Sである。式IBの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;X、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;ZはSHであり;YはC=Sである。式IBの別の好ましい実施形態において、nは1であり;AはOであり;X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;X、Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、およびZはOHであり;ZはSHであり;YはC=Sである。
【0192】
【化28】

【0193】
式IBのさらにより好ましい実施形態は、以下の通りである。式IBの好ましい一実施形態において、nは1であり;X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;A、X、Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;YはC=Oである。式IBの別の好ましい実施形態において、nは1であり;X、X、X、およびXはHであり;WはCHであり;A、X、Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;YはC=Sである。式IBの別の好ましい実施形態において、nは1であり;X、X、X、およびXはHであり;XはSであり;WはCHであり;A、Z、Z、Z、Z、Z、およびZはOであり;Z、Z、Z、およびZはOHであり;YはC=Oである。
【0194】
【化29】

【0195】
式IBの特定の実施形態において、Z、Z、Z、Z、Z、Z、P、およびPが存在しないように、nは0であり;Zは3’−O−オリゴヌクレオチジル残基、またはオリゴヌクレオチドプライマーであり、これにより、「終結プライマー」が提供される。
【0196】
一態様において、本明細書における方法および組成物は、核酸を複製するための3’置換NTPを提供する。一部の実施形態において、3’置換NTPは、いずれの位置においても他の修飾基を有さない場合がある。他の実施形態において、3’置換NTPは、塩基、三リン酸鎖、糖、またはこれらの組合せにおける修飾など、さらなる修飾を含有する。3’置換NTPは、本明細書に記載の式IA〜IBの化学式を有しうる。好ましい実施形態において、3’置換NTPは、3’置換されたdTTP、dCTP、dATP、dGTP、またはdUTPである。
【0197】
別の態様において、本明細書では、本明細書でさらに説明される式IA〜IBで示される化学構造を有する、3’置換NTPを合成する方法が提供される。3’置換基を含めた修飾基は、既存の合成的方法または酵素的方法を用いることにより、NTPに組み込むことができる。本明細書で提供される方法および組成物による3’置換NTPは、当技術分野でよく知られる任意の方法により合成することができる。修飾NTPまたは非修飾NTPを合成する各種の方法についての包括的な概観が公表されている(Burgess,K.およびCook,D.、Chem.Rev.、100巻、2047〜2059頁(2000年);「Nucleoside Triphosphates and Their Analogs:Chemistry,Biotechnology and Biological Applications」、Vaghefi,M.編、ボカラトン、Taylor and Francis社(2005年))。3’置換NTPを合成および精製した後では、複数の異なる手順を用いて、構造および純度の点におけるNTPの許容可能性を決定することができる。このような手順の例は、核磁気共鳴分光分析法、質量分析法、蛍光分光分析法、紫外分光分析法、高速液体クロマトグラフィー法である。これらの手順は、当業者によく知られている。当技術分野において、分離、精製、および分析のために用いられる現行の方法は、本明細書で提供される方法および組成物による3’置換NTPにも同様に適用可能である。
【0198】
本明細書で提供される方法および組成物の目的を達成する任意の3’置換基を用いることができる。3’置換基は、3’置換NTPが用いられる複製反応条件下において、解離するか、除去可能であるか、または他の形で、開環のヒドロキシル基に転換される3’置換基であるものとする。他方、3’置換基は、周囲温度ではあまり急速に解離されないか、または開環の3’−OH基に転換されないものとする。3’置換基の喪失は、本明細書で提供される方法および組成物の利益を達成する使用者により制御可能であるものとする。NTPの3’位置における置換の種類および程度は一般に、NTPまたは終結プライマーの3’置換基の解離を制御するための上記のパラメータを達成する目的により経験的に決定される。一部の実施形態において、3’置換基から開環の3’−OH基への転換は部分的であり(例えば、3’置換基が、修飾(例えば、3’置換)分子の部分から解離する場合)、例えば、修飾NTP(例えば、3’置換基を伴うNTP)の少なくとも10%;または少なくとも20%;または少なくとも30%;または少なくとも40%;または少なくとも50%;または少なくとも60%;または少なくとも70%;または少なくとも80%;または少なくとも90%;または少なくとも95%;または少なくとも98%;または少なくとも99%が、非修飾NTP(例えば、3’−OHを伴うNTP)に転換される。一部の実施形態において、3’置換基の転換は、約0〜105℃;または約0〜100℃;または約20〜100℃;または約37〜100℃;または約50〜100℃;または約70〜100℃;または約45℃;または約50℃;または約55℃;または約60℃;または約65℃;または約70℃;または約75℃;または約 80℃;または約90℃;または約95℃;または約96℃;または約97℃;または約98℃;または約99℃;または約100℃の温度で生じる。一部の実施形態では、2つの異なる種類の3’置換NTPが用いられ、2つの異なる種類の3’置換NTPは、ほぼ同じ温度で転換される場合もあり、異なる温度で転換される場合もある。好ましい実施形態では、第1の3’置換NTPが、PCR反応の初期変性温度(約95℃)で転換され、第2の3’置換NTPが、逆転写酵素反応の初期変性温度(約50℃)で転換される。それらの転換特性に基づき3’置換基を選択することができれば、使用者には、同じ反応容器内において、異なる複製反応のための試薬を組み合わせることが可能となる(例えば、使用者は、各反応につき1つずつのプレミックスを調製する標準的な慣行の代わりに、2つの異なる反応に単一のプレミックスを調製しさえすればよいことになろう)。したがって、異なる各複製反応に対して選択的な3’置換NTPを用いることにより、単一の反応容器内において、複製反応の各種組合せを実施することができる。
【0199】
別の実施形態において、本明細書で提供される方法および組成物による3’置換NTPは、3’置換基、または、1つもしくは複数の修飾基を含めたNTP分子の他の任意の部分においてキラル原子を含有しうる。対掌性は、3’置換NTPの個々のジアステレオマーまたは該ジアステレオマーの混合物をもたらしうる。3’置換NTPは、ラセミ混合物またはジアステレオマー混合物の場合もあり、70%、または80%、または90%、または95%、または99%、または100%対掌的に純粋な化合物の場合もある。
【0200】
一部の複製反応では、複製反応におけるすべてのNTP分子が、3’置換基を含有するわけではない。不活性状態/終結状態の、または3’置換NTP、および3’置換されない活性NTP両方の混合物であっても、3’置換NTPを全く用いない場合と比較して、混合物集団内における複製の有効性および特異性が改善されることが好ましい。初期変性温度でのインキュベーションの前において、3’置換NTPは、全NTP分子の少なくとも25%、好ましくは全NTP分子の少なくとも50%、好ましくは全NTP分子の少なくとも75%、またより好ましくは全NTP分子の90%、好ましくは全NTP分子の少なくとも95%、好ましくは全NTP分子の少なくとも98%、より好ましくは全NTP分子の少なくとも99%、またより好ましくは全NTP分子の100%を占めることが好ましい。別の実施形態では、2、3、4種、またはすべての種類のNTPが、3’置換NTPでありうる。
【0201】
一実施形態において、複製反応におけるNTPのうち、3’置換体は1種だけであり、他のすべての種類のNTPは通常のNTP分子である。例えば、dATP、dTTP、dGTP、およびdCTPが複製反応におけるNTPの種類である場合、dATPだけが3’置換体であり、dTTP、dGTP、およびdCTPは通常のNTP分子である。別の実施形態では、2種以上のNTPが3’置換体である。別の実施形態では、3種以上のNTPが3’置換体である。別の実施形態では、4種以上のNTPが3’置換体である。
【0202】
別の実施形態では、複数種の3’置換NTPが、複製反応において存在しうる。複製反応では、3’置換NTPの混合物を用いることができる。一実施形態では、非基質NTPおよび終結NTPの混合物が、同じ複製反応において存在しうる。別の実施形態では、置換基の異なる3’置換NTPの混合物が、同じ複製反応において存在しうる。
【0203】
一態様において、本明細書で提供される方法および組成物は、熱を介して除去可能であるか、または開環の3’−ヒドロキシル基に転換可能な3’置換基により化学修飾されたヌクレオシドを提供する。このような修飾ヌクレオシドは、現行の合成法に適合する方法により、対応するNTPに転換することができる。任意のヌクレオシドに対応する3’置換NTPを調製することができる。これに対し、これもまた熱不安定性基を表す(しかし、3’置換基ではない)グリオキシル修飾(Bonnerら、米国特許出願第20030162199号)を添加しうるのは、NTPを含有するグアニンのヘテロ環塩基だけである。したがって、熱不安定性のグリオキシル修飾が1種類のNTPに制約されるのに対し、本明細書で提供される方法および組成物では、任意またはすべてのNTPが熱不安定性の3’置換基を有しうる。
【0204】
さらに別の態様において、本明細書では、本明細書に記載の3’置換NTPを用いる、鋳型に依存する核酸の合成方法が提供される。
【0205】
好熱菌(Taq)DNAポリメラーゼ、熱安定性ポリメラーゼのほか、DNA依存性DNAポリメラーゼ、RNA依存性DNAポリメラーゼ、DNA依存性RNAポリメラーゼ、およびRNA依存性RNAポリメラーゼを含めた、他のDNAポリメラーゼまたはRNAポリメラーゼも、本明細書で提供される方法および組成物と共に用いることができる。一部の実施形態において、複製反応は、核酸ポリメラーゼと、第2の核酸ポリメラーゼ、リガーゼ(例えば、DNAリガーゼ、RNAリガーゼ)、シンセターゼ、ヌクレアーゼ(例えば、核酸制限酵素、ホーミングエンドヌクレアーゼ、ニッキングエンドヌクレアーゼ)DNA修復タンパク質、メチルトランスフェラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、スルフリラーゼ、リコンビナーゼ、逆転写酵素、ヘリカーゼ、および当技術分野で知られる他の酵素を含めた、1つまたは複数のさらなる酵素とを包含する。
【0206】
本明細書で提供される方法および組成物の一態様は、現在用いられる複製手順または将来において開発されうる複製手順に適合する温度の熱を介して除去可能な3’置換基により3’置換された非基質NTPを提供する。3’置換基の存在は、核酸ポリメラーゼを介する3’置換NTPの組込みを損なう場合もあり、核酸ポリメラーゼによる3’置換NTPの認識を破壊する場合もあり、ポリメラーゼを介するプライマーの伸長を他の形で防止する場合もある(図1A)。NTPの3’置換基を3’−OH基に転換し、該NTPを活性状態に変換する、最適のホットスタート温度に複製反応が達するまで、核酸ポリメラーゼによりオリゴヌクレオチドプライマーが伸長することはない。その活性状態への3’置換NTPの転換は、PCRの初期変性ステップと符合することが好ましい。「ホットスタート」による、核酸複製反応のこの活性化は、低温におけるプライマー伸長を防止することにより、望ましくない複製産物の形成を著明に低下させる。
【0207】
本明細書で提供される方法および組成物の別の態様は、現在用いられる複製手順または将来において開発されうる複製手順に適合する温度の熱を介して除去可能であるか、または開環のヒドロキシル基に転換可能な3’置換基により3’置換された終結NTPを提供する。3’置換された終結NTPは、核酸ポリメラーゼによりプライマーの3’端に組み込まれ、終結プライマーを生成させる。終結プライマーは、終結状態にあり、核酸ポリメラーゼを介して伸長可能ではなく、これにより、望ましくない複製産物が形成されることを防止する。複製反応が、最適な高厳密性によるホットスタート温度に達すると、3’置換基が除去されるか、または開環の3’−OH基に転換される結果、終結プライマーは、核酸の複製に適合的な伸長可能プライマーに転換され、これをさらに伸長させることができる(図1B)。
【0208】
緩衝液中室温で安定的であることに加え、本明細書で開示される3’置換NTPは、複製反応混合物のクロマトグラフィー、沈殿、長期にわたる保存、および調製など、NTPの合成過程、分離過程、および精製過程の条件下においても安定的であることが好ましい。
【0209】
ここで、以下の非限定的な実施例を参照することにより、本明細書で提供される方法および組成物をさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0210】
3’置換された2’−デオキシリボヌクレオシドの調製
dTTPの3’置換体として、6個の基:テトラヒドロピラニル(THP)基、4−メトキシテトラヒドロピラニル(MTHP)基、テトラヒドロフラニル(THF)基、アセチル(Ac)基、メトキシアセチル(CHOAc)基、およびフェノキシアセチル(PhOAc)基を選択した。
【0211】
【化30】

【0212】
以下の通りの一般的な合成経路に従い、チミジンの3’−エーテル誘導体を合成した。まず、チミジンを、ピリジン中1.2等量の無水酢酸と反応させた。結果として得られる、3’−O−アセチルで置換されたチミジン、5’−O−アセチルで置換されたチミジン、および3’,5’−O−ビス−アセチルで置換されたチミジンの混合物を、シリカゲルクロマトグラフィーを用いて個々の化合物に分離した。単離された5’−O−アセチルチミジンを、ジオキサン中におけるp−トルエンスルホン酸の存在下において、2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、5,6−ジヒドロ−4−メトキシ−2H−ピランと5時間にわたり反応させた。その後、メタノール性アンモニアにより処理して5’−O−アセチル保護基を除去し、チミジンの3’−THF誘導体、3’−THP誘導体、または3’−MTHP誘導体をそれぞれ作製した。3’−THF−dTの合成と同様の手法を用いて、N−ベンゾイル−2’−デオキシアデノシン、およびN−ベンゾイル−2’−デオキシシチジンから出発して3’−THFで置換されたデオキシリボヌクレオシドであるdAおよびdCを調製し、上記のヌクレオシドを、ピリジン中における塩化ベンゾイルと反応させることにより、必要とされる5’−位置の保護を達成した。3’−THF−dTを合成するための、上記で概括した同じ一般的な合成経路を用いて、市販される5’−レブリニル−N−イソブチリル−2’−デオキシグアノシンから出発して、3’−THF−2’−デオキシグアノシンを合成した。
【0213】
以下の通りの別の一般的経路に従い、チミジンの3’−O−メトキシアセチルエステルおよび3’−O−フェノキシアセチルエステルを調製した。5’−DMT−チミジンを、ピリジン中における塩化メトキシアセチルまたはフェノキシ酢酸無水物により処理した後、酸によりDMT基を除去して、対応するチミジンの3’−エステル誘導体を形成させた。上記で具体的に述べた通り、シリカゲルクロマトグラフィーにより3’−O−アセチルチミジンを単離した。
【0214】
全体では、3’置換された2’−デオキシヌクレオシドが、全収量の12〜60%で単離された。
【実施例2】
【0215】
3’置換された2’−デオキシリボヌクレオシドの5’−三リン酸化
以下の通り、ルートヴィッヒ−エクスタイン手順(J.Org.Chem.、54巻、631〜635頁(1989年))に従い、3’−エーテルおよび3’−エステルで置換された2’−デオキシヌクレオシドから、3’置換された2’−デオキシヌクレオシド5’−三リン酸を調製した。
【0216】
3’置換された2’−デオキシヌクレオシドを、ジオキサン−ピリジン溶液中1.1等量の2−クロロ−4H−1,3,2−ベンゾジオキサホスホリン−4−オンと反応させた後、1.6等量のピロリン酸トリブチルアンモニウムと反応させ、その後、ヨウ素によるP(III)からP(V)への酸化を行い、最後に、含水重炭酸トリエチルアンモニウムにより処理した。結果として得られる3’置換dNTPを、陰イオン交換クロマトグラフィーおよび逆相クロマトグラフィーを組み合わせて単離および精製し、ナトリウム塩またはカリウム塩としての、純度98〜99%の3’置換dNTPを得た。合成された化合物の構造は、プロトンNMRおよびリンNMRならびに質量分析により確認された。
【実施例3】
【0217】
3’置換基を含有するdTTPが対応する天然dTTPに転換される場合の反応速度
20℃および95℃のPCR緩衝液(25℃でpH8.4、表1)中において、対応する非修飾dTTPへの3’置換dTTPの転換について調べた。インキュベートした混合物を、逆相HPLCおよび陰イオン交換HPLCを介して解析することにより、反応をモニタリングした。95℃における、結果として得られるdTTPの形成対時間を、図3に示す。95℃でのインキュベーションの2、10、および20分後における3’置換dTTPから形成されたdTTPの推定濃度を、表1に示す。
【0218】
室温(約20℃)のPCR緩衝液中では、3’−エーテルで置換されたすべてのdTTPが、少なくとも数日間にわたり安定的であった。室温でPCR緩衝液中60分以内のインキュベーションにおいて、dTTPの3’−エステル誘導体のうち、dTTPの3’−O[CHOAc]誘導体、および3’−O[PhOAc]誘導体が、それぞれ4%および10%の開裂を示したのに対し、dTTPの3’−O−[Ac]誘導体の場合、24時間のインキュベーション後において検出された3’−アセチル基の開裂は、6%に過ぎなかった。
【0219】
【表1】

【実施例4】
【0220】
プライマー伸長実験における、好熱菌(Taq)DNAポリメラーゼおよびクレノウDNAポリメラーゼを介する3’置換dTTPの組込み
プレアニールされたプライマー/鋳型二重体を、室温においてプライマー伸長させるクレノウ(エキソ)DNAポリメラーゼの能力を、50mM NaCl、10mMトリス−HCl(pH7.9)、10mM MgCl、1mM DTT、0.5単位の酵素、0.2mM dATP中、また、以下の3’置換dTTP誘導体:3’−THP−dTTP、3’−MTHP−dTTP、または3’−THF−dTTPのうちの1つの存在下において評価した(図4(上図))。組込み実験および伸長実験では、dTTPの3’置換誘導体(3’−THP−dTTP、3’−MTHP-dTTP、および3’−THF−dTTP)のうちのいずれもが、プライマー内には組み込まれない(「dTTPなし」の陰性対照と符合する)ことが見出された。3’置換されたdTTP誘導体が、クレノウ(エキソ)DNAポリメラーゼの基質ではなかったというこれらの知見は、図1Aで提起される機構と符合する。さらなる対照として、本発明者らは、95℃で40分間にわたるプレヒーティングステップ後において、上記の3’置換されたdTTP類似体のすべてが酵素の基質となり、非修飾dTTPと同様に挙動することも見出した(図4(下図))。これにより、プレヒーティングステップは、3’置換dTTPを、組込み反応および伸長反応に適するdTTPに転換することが確認される。
【0221】
3’−O−アセチル−dTTPにより、経時的な組込み/伸長実験を実施したところ、3’−O−アセチル−dTTPは、クレノウ(エキソ)DNAポリメラーゼの基質はないことが示されたが、これは、公表データ(Metzkerら、Nucleic Acids Res.、22巻、4259〜4267頁(1994年))と符合する。反応速度実験(実施例3)により、dTTPの3’−O−メトキシアセチル誘導体および3’−O−フェノキシアセチル誘導体は、伸長反応時において安定的でないことが示されたため、これらの3’置換基は被験対象としなかった。
【0222】
室温で25単位の酵素、および3’−THF−dTTPまたは3’−Ac−dTTPを用い、Taq DNAポリメラーゼについて伸長実験を反復した。いずれの3’置換されたdTTP誘導体もTaq DNAポリメラーゼの基質ではなかったので、結果は、クレノウ(エキソ)DNAポリメラーゼを用いて得られた結果と同様であった。
【0223】
プライマー伸長実験における3’−THF−dCTPのパフォーマンスもまた評価された。この類似体についてもたらされた結果が、3’−THF−dTTPの結果と同様であったことは、3’置換されたdATP誘導体およびdGTP誘導体が、クレノウ(エキソ)DNAポリメラーゼまたはTaq DNAポリメラーゼに適する基質ではないことを示唆する。
【実施例5】
【0224】
3’置換dTTPの存在下にあるPCR時のDNA鋳型不在下における非特異的増幅産物の形成
PCRパフォーマンスに対する3’置換NTPの効果を探索するため、鋳型不在下において、非特異的増幅産物の形成を促進するPCR条件を用いて実験を実施した。HIV−1 tat遺伝子の365bpフラグメント、またはラムダDNAの1.9kbフラグメントを標的とするオリゴヌクレオチドプライマーを用いた(表2)。いずれの系も、PCR時において、プライマー二量体を含めた、高レベルの非特異的増幅産物をもたらすことが知られている。増幅反応は、鋳型の不在下において実施された。各PCR混合物(50μL)は、順方向および逆方向のHIV−1プライマー(0.5μMずつ)、dATP、dCTP、およびdGTP(200μMずつ)、Taqポリメラーゼ(0.5単位)、1倍濃度のPCR緩衝液(表1に対するキャプションを参照されたい)およびヒトゲノムDNA(50ng)を含有した。dTTPの異なる3’誘導体を、200μMの最終濃度で、各反応物に添加した。PCRのサイクリングパラメータは、2分間にわたる95℃の初期ステップの後、40サイクルの[40秒間にわたる95℃;30秒間にわたる56℃;2分間にわたる72℃]に続き、7分間にわたる72℃を包含した。アガロースゲル電気泳動により、HIV DNA系中における約50塩基対のフラグメント、また、ラムダDNA系における約500塩基対のフラグメントとして、プライマー二量体を含めた非特異的増幅産物が検出された(図5(レーン5および6)および6(レーン6〜9))。
【0225】
3’置換されたdTTP誘導体(アセチル誘導体、フェノキシアセチル誘導体、テトラヒドロピラニル誘導体、メトキシテトラヒドロピラニル誘導体、およびテトラヒドロフラニル誘導体)を、上述の増幅系において調べた。全体として、アガロースゲル電気泳動データ(図5および6)の解析により、鋳型の不在下において3’置換dTTPを天然dTTPの代わりに用いた場合、PCRにおける非特異的増幅産物レベルが数倍低下することが明らかとなった。3’置換dTTPは、プライマー二量体を含めた非特異的増幅産物の蓄積を低下させた。
【0226】
【表2】

【実施例6】
【0227】
3’置換dNTPの存在下にあるPCR時における、DNA鋳型の存在下での非特異的増幅産物の形成
ラムダDNA系およびHIV−1DNA系(表2)には、鋳型の存在下において、プライマー二量体を含めた非特異的な増幅産物が容易に形成されるPCR条件が用いられた。これらの条件では、濃度1μMの順方向および逆方向両方のオリゴヌクレオチドプライマー、10コピーのHIV−1 DNA鋳型または10,000コピーのラムダDNA鋳型、0.2mMずつのdNTPまたは3’置換dNTP、および2.0mM MgClが用いられた。各混合物は、50ngのヒトゲノムDNAを含有した。熱サイクリングパラメータは、以下:2分間にわたる95℃の後、40サイクルの[40秒間にわたる95℃;30秒間にわたる56℃;2分間にわたる72℃]に続き、7分間にわたる72℃の通りであった。アガロースゲル電気泳動により、反応を解析した(図5および6)。
【0228】
すべての場合において、1つの3’置換されたdTTP誘導体による天然dTTPの置換は、4つの天然dNTPすべてを用いた対照のPCR反応と比較して、PCRのパフォーマンスを改善した(図5のレーン4および1〜3、ならびに図6のレーン1および3〜5を比較されたい)。ラムダ鋳型系およびHIV−1鋳型系の両方において、分析は、プライマー二量体を含めた非特異的増幅産物の量の低下を示しただけでなく、単位複製配列形成の対応する上昇も示した。dTTPの3’−THF誘導体および3’−PhOAc誘導体により、プライマー二量体を含めた非特異的産物に対する単位複製配列の比率がdTTPと比較して3〜8倍改善された(図5および6)のに対し、dTTPの3’−THF誘導体および3’−Ac誘導体では、全体的なPCRパフォーマンスは、天然dTTPによる場合ほど良好ではなかった(示さない)。
【0229】
1つ、2つ、3つ、または4つの3’−THF−dNTP(3’−THF−dATP、3’−dGTP、3’−THF−dCTP、および3’−THF−dTTPの群に由来する)による置換のすべての順列を、それらの天然対応物について、また、プライマー二量体形成の低減に対して結果としてもたらされる効果について検証した。一般に、3’−THF dNTPによるその天然dNTPの任意の単一の置換は、PCRパフォーマンスを改善することが判明した。したがって、3’−THF−dATP誘導体の場合、両方の非特異的増幅産物の大幅な減少、および特異的な単位複製配列形成の上昇が観察された(図7)。2つ以上のdNTPの3’−THF誘導体による天然dNTPの置換の組合せは、PCRパフォーマンスをさらに改善した。このようにして、dTTPおよびdATPに対する置換としての、3’−THF−dTTPおよび3’−THF−dATPの組合せは、HIV−1系における非特異的増幅産物をほぼ完全に消失させた(約10倍の改善、図7)。全体として、PCR混合物中における複数種の3’置換dNTPの使用と、単位複製配列作製の効率および特異性との間には強い相関関係が存在した。
【実施例7】
【0230】
3’置換dNTPによるリアルタイムの「ホットスタート」PCR
リアルタイムのPCR増幅における3’−THF dNTPのパフォーマンスを、病原体検出のための原型的実験として、ヒトゲノムDNAの存在下におけるモデルであるHIV−1系において検証した。特に、3通りに置換されたdNTPのセット(3’−THF−dATP、3’−THF−dCTP、および3’−THF−dTTP、ならびに非修飾dGTP)のパフォーマンスを、4つの非修飾dNTPすべてを含有するセットと比較した。単位複製配列の蓄積を反映するS字型の増幅プロットを検討したところ、3’−THF dNTPのデータセットの曲線の形は、非修飾の天然dNTPの対応する曲線よりはるかに急であることが判明した。曲線の形は、PCR増幅の効率が、3’−THF dNTPの存在下において、天然dNTPと比較してより良好であることの指標である(Ramakers C、Ruijter JM、Deprez RH、およびMoorman AF、Neurosci Lett.、339巻、62〜6頁(2003年))。さらに、鋳型コピーの投入数と、Ct値との間に良好な相関が存在すること(リアルタイムの実験において、3’置換dNTPを用いて信頼できるデータを発生させうることの指標)が判明した。
【実施例8】
【0231】
SNP検出アッセイに適用される「ホットスタート」による活性化法
疾患の感受性および/または薬剤の有効性に相関する遺伝子多型の同定は、診断法および治療剤開発の一助となるであろう。一塩基多型(SNP)を発見し、遺伝子型決定を行うための多くの手法が開発されている(例えば、Cozza,A.ら、BMC Genomics、2007年、8巻、10頁;Kwok,P.Y.、Annu Rev Genomics Hum Genet、2001年、2巻、235〜58頁を参照されたい)。SNPを発見する一部の市販化された手法には、Third Wave社によるInvader−Cleavase法(Allawi,H.T.ら、J Clin Microbiol、2006年、44巻、9号、3443〜7頁);Luminex社による懸濁ビーズアレイ法(Dunbar,S.A.、Clin Chim Acta、2006年、363巻、1〜2号、71〜82頁);Biotage社によるパイロシークエンシング法(Langaee,T.ら、Mutat Res、2005年、573巻、1〜2号、96〜102頁);Applied Biosystems社によるTaqMan法、およびSNPlex遺伝子型決定法(De la Vega,F.M.ら、Mutat Res、2005年、573巻、1〜2号、111〜35頁);ならびにRoche社によるCobas対立遺伝子特異的PCR法、および鋳型指向単一塩基伸長法(Chen,X.ら、Genome Res、1999年、9巻、5号、492〜8頁)など、多重化可能なプラットフォームが含まれる。Illumina社によるBeadArray−GoldenGate遺伝子型決定アッセイ(Shen,R.ら、Mutat Res、2005年、573巻、1〜2号、70〜82頁);Affymetrix社製GeneChipアレイ上における、ParAllele社によるMolecular Inversion Probeアッセイ(Matsuzakil,H.ら、Genome Res、2004年、14巻、3号、414〜25頁)およびPerlegen社製高密度アレイ上における遺伝子型決定法(Easton,D.F.ら、Nature、2007年、447巻、7148号、1087〜93頁)を含めた複数のハイスループットプラットフォームが存在し、その各々により、複数のSNP部位を同時に遺伝子型決定することが可能である。
【0232】
SNP検出の主要な困難の1つは、野生型配列と、対応する、点突然変異を含有する配列とを区別する頑健な手段を開発することの困難である。多くの有効な手法は、逐次的な各ステップにより検出の特異性がさらに改善される一連の連鎖反応における複数の酵素の使用を伴う。現行の多酵素によるSNP検出プロトコールの最も顕著な欠点の1つは、アッセイの中間段階において、反応産物を移送する試験管を開放し、かつ/または下流の酵素によるステップに必要とされる試薬および反応成分を添加する必要である。使用者による中間の介入ステップを軽減または廃止すれば、a)アッセイ効率が改善され、b)時間、費用が軽減され、c)試料操作時における技術的な過誤の可能性が軽減されるであろう。
【0233】
SNPを検出するための密閉型試験管フォーマットによるアッセイ改善の概略を、図8に示す。GEXL−PCRフォーマットにより、3’置換dNTP、および熱不安定性ホスホトリエステル修飾プライマーの有用性(Zon,Gら、米国特許出願第20070281308号)が、ギャップ充填反応(DNAポリメラーゼ)、ニック結合(DNAリガーゼ)、およびホットスタートPCR増幅と組み合わされる。この手法は、複数の企業(ParAllele社、Illumina社、Applied Biosystems社)により開発されたSNPアッセイの改変形を表す。1試験管フォーマットに可能となる重要な特徴は、低温のギャップ充填ステップとライゲーションステップに対するそれらの干渉なしに、下流のPCR増幅反応のためのすべての成分(酵素、dNTP、およびプライマー)を包含する能力である。特に、ギャップを充填するのに必要とされるdNTPを除くすべてのdNTPが、3’−THF dNTPにより置換される。加えて、熱不安定性ホスホトリエステルプライマーの修飾を用いて、ドナープローブ(5’−リン酸基を含有するライゲーションのためのオリゴヌクレオチド)のジップコード領域(ホスホトリエステルプライマーの3’末端配列に相補的なヌクレオチド配列)に結合する、ビオチニル化したホスホトリエステルプライマーの伸長が遮断される。低温(0〜20℃)において、ギャップ充填/伸長ステップ(ステップ2)およびニックシーリング/ライゲーションステップ(ステップ3)を実施することにより、ギャップへの不正確なdNTPの組込みの可能性、その後のライゲーション、またはビオチニル化したプライマーの制御不能な伸長を伴う、3’置換dNTPからの3’置換基の喪失など、望ましくない発生の可能性が大幅に低下する。熱活性化ステップ(ステップ4)では、3’置換dNTPの3’−THF基、およびプライマーのホスホトリエステル保護基が除去され、PCR増幅の開始と進行が可能となる。全体として、置換成分(3’置換dNTPおよびホスホトリエステルプライマー)を用いることにより、ステップ2および4の間の操作ステップの必要を廃することにより、SNP解析の材料を調製するためのより効率化された手法が可能となる。
【0234】
別段に定義されない限り、本明細書で用いられるすべての科学技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0235】
本明細書で例示的に説明される発明は、本明細書で具体的に開示されていない1つまたは複数のエレメント、1つまたは複数の限定の不在下において、適切に実施することができる。したがって、例えば、「含む」、「包含する」、「含有する」などの用語は、拡張的に、限定なしに読まれるものとする。加えて、本明細書で用いられる用語および表現は、説明のために用いられており、限定のためには用いられておらず、このような用語および表現の使用において、示され、また、説明される特徴の任意の同等物またはその一部を除外する意図はなく、特許請求される発明の範囲内においては、各種の変更が可能であると認識される。
【0236】
したがって、本発明は、本発明の好ましい実施形態および任意選択の特徴により具体的に開示されているが、本明細書で開示される本発明の改変、改善、および変更は、当業者により復元することができ、このような改変、改善、および変更は、本発明の範囲内にあるものと考えられることを理解されたい。本明細書で提供される材料、方法、および例は、好ましい実施形態を表し、例示的であり、また、本発明の範囲に対する限定として意図されるものではない。
【0237】
本明細書では、本発明を広範にわたり包括的に説明してきた。包括的な開示内に収まる、より狭義の種分類および亜属分類の各々もまた、本発明の部分を形成する。これには、削除される材料が本明細書で具体的に列挙されているかどうかに関わらず、属から任意の対象物を除去する条件または否定的限定を伴う、本発明の包括的説明が含まれる。
【0238】
加えて、本発明の特徴または態様が、マーカッシュ群との関係で説明される場合、当業者は、本発明がまた、マーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーの亜群との関係においても説明されていることを認めるであろう。
【0239】
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許適用、特許、および他の参考文献は、各々が参照により独立に組み込まれると仮定した場合と同じ程度に、参照によりその全体において本明細書に顕示的に組み込まれる。齟齬が生じた場合は、定義を含めた本明細書により裁定される。
【0240】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲において記載される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
核酸を複製する方法であって、
核酸を複製するステップ
を含み、
複製反応に添加される少なくとも1つのNTPが、熱不安定性の3’置換基を含む方法。
【請求項2】
3’置換NTPが、反応における核酸ポリメラーゼによる伸長を支援しないか、損なうか、または防止する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの3’置換NTPが、非基質NTPである、請求項1〜2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの3’置換NTPが、終結NTPである、請求項1〜2に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの3’置換NTPがオリゴヌクレオチドプライマーに組み込まれて終結プライマーが生ずる、請求項1〜4に記載の方法。
【請求項6】
3’置換基が、核酸複製時に開環の3’−ヒドロキシル基に転換される、請求項1〜5に記載の方法。
【請求項7】
3’置換基が、室温と核酸複製の初期変性温度との間で開環の3’−ヒドロキシル基に転換される、請求項1〜5に記載の方法。
【請求項8】
室温が約20℃である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
3’置換基が、核酸複製の初期変性ステップにおいて、開環の3’−ヒドロキシル基に転換される、請求項1〜5に記載の方法。
【請求項10】
転換が部分的である、請求項6〜9に記載の方法。
【請求項11】
転換が完全である、請求項6〜9に記載の方法。
【請求項12】
前記転換が、3’置換基を解離して、開環の3’−ヒドロキシル基を形成するのに十分な温度で生じる、請求項1〜11に記載の方法。
【請求項13】
前記3’置換基が、約0℃〜100℃の温度で開環の3’−ヒドロキシル基に転換される、請求項1〜12に記載の方法。
【請求項14】
前記3’置換基が、約37℃〜100℃の温度で開環の3’−ヒドロキシル基に転換される、請求項1〜12に記載の方法。
【請求項15】
前記3’置換基が、約50℃〜100℃の温度で開環の3’−ヒドロキシル基に転換される、請求項1〜12に記載の方法。
【請求項16】
前記3’置換基が、約70℃〜100℃の温度で開環の3’−ヒドロキシル基に転換される、請求項1〜12に記載の方法。
【請求項17】
前記3’置換基が、約50℃の温度で開環の3’−ヒドロキシル基に転換される、請求項1〜16に記載の方法。
【請求項18】
前記3’置換基が、約55℃の温度で開環の3’−ヒドロキシル基に転換される、請求項1〜16に記載の方法。
【請求項19】
前記3’置換基が、約65℃の温度で開環の3’−ヒドロキシル基に転換される、請求項1〜16に記載の方法。
【請求項20】
前記3’置換基が、約75℃の温度で開環の3’−ヒドロキシル基に転換される、請求項1〜16に記載の方法。
【請求項21】
前記3’置換基が、約80℃の温度で開環の3’−ヒドロキシル基に転換される、請求項1〜16に記載の方法。
【請求項22】
前記3’置換基が、約90℃の温度で開環の3’−ヒドロキシル基に転換される、請求項1〜16に記載の方法。
【請求項23】
前記3’置換基が、約95℃の温度で開環の3’−ヒドロキシル基に転換される、請求項1〜16に記載の方法。
【請求項24】
開環の3’−ヒドロキシル基への前記3’置換基の転換のt1/2が、約95℃で約1〜120分間である、請求項1〜16に記載の方法。
【請求項25】
開環の3’−ヒドロキシル基への前記3’置換基の転換のt1/2が、約95℃で約1〜5分間である、請求項1〜16に記載の方法。
【請求項26】
開環の3’−ヒドロキシル基への前記3’置換基の転換のt1/2が、約95℃で約5〜30分間である、請求項1〜16に記載の方法。
【請求項27】
開環の3’−ヒドロキシル基への前記3’置換基の転換のt1/2が、約50℃で約1〜10分間である、請求項1〜16に記載の方法。
【請求項28】
開環の3’−ヒドロキシル基への前記3’置換基の転換のt1/2が、約55℃で約10分間である、請求項1〜16に記載の方法。
【請求項29】
開環の3’−ヒドロキシル基への前記3’置換基の転換のt1/2が、約50℃で約1〜120分間である、請求項1〜16に記載の方法。
【請求項30】
増幅反応が、2つ以上の異なる3’置換基を伴う3’置換NTPを含む、請求項1〜29に記載の方法。
【請求項31】
異なる3’置換基が、異なる温度で開環の3’−ヒドロキシル基に転換される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
第1の3’置換基が、約50℃で開環の3’−ヒドロキシル基に転換され、第2の3’置換基が、約95℃で転換される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
核酸複製が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、対立遺伝子特異的PCR、アセンブリーPCRまたはポリメラーゼサイクリングアセンブリー(PCA)、非対称的PCR、コロニーPCR、エマルジョンPCR、急速PCR、ギャップ伸長ライゲーションPCR(GEXL−PCR)、ギャップライゲーション連鎖反応(Gap LCR)、ヘリカーゼ依存型増幅、ホットスタートPCR、配列間特異的(ISSR)PCR、インバースPCR、ライゲーション媒介PCR、LATE−PCR(Linear−After−The−Exponential−PCR)、メチル化特異的PCR(MSP)、多重ライゲーション依存型プローブ増幅(MLPA)、多重PCR、ネストPCR、重複伸長PCR、PAN−AC、定量的PCR(Q−PCR)、定量的リアルタイムPCR(QRT−PCR)、リアルタイムPCR、逆転写(RT)、cDNA端の急速増幅(RACE PCR)、単一分子増幅PCR(SMA PCR)、TAIL−PCR(Thermal asymmetric interlaced PCR)、タッチダウンPCR、ロングPCR、核酸ライゲーション、DNA配列決定法、または逆転写PCR(RT−PCR)である、請求項1〜32に記載の方法。
【請求項34】
核酸複製がPCRである、請求項1〜33に記載の方法。
【請求項35】
前記PCRがホットスタートPCRである、請求項1〜33に記載の方法。
【請求項36】
前記PCRがギャップ伸長ライゲーションPCR(GEXL−PCR)である、請求項1〜33に記載の方法。
【請求項37】
前記複製が逆転写(RT)である、請求項1〜33に記載の方法。
【請求項38】
核酸複製がDNA配列決定法である、請求項1〜33に記載の方法。
【請求項39】
前記DNA配列決定法が、段階的合成による配列決定によって行われない、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記DNA配列決定法が、さらなる化学開裂試薬を包含しない、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記DNA配列決定法が、ジデオキシNTP(ddNTP)の使用を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記DNA配列決定法が、ダイプライマー配列決定法によって行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記DNA配列決定法が、ダイターミネーター配列決定法によって行われる、請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記DNA配列決定法により、標的配列の直線的複製がもたらされる、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記DNA配列決定法により、標的配列の非直線的複製がもたらされる、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記DNA配列決定法により、標的配列の指数関数的複製がもたらされる、請求項38に記載の方法。
【請求項47】
核酸複製反応が、DNA依存性DNAポリメラーゼ、RNA依存性DNAポリメラーゼ、DNA依存性RNAポリメラーゼ、RNA依存性RNAポリメラーゼ、DNAリガーゼ、RNAリガーゼ、シンセターゼ、ヌクレアーゼ、およびレストリクターゼからなる群から選択される1つまたは複数の酵素を含む、請求項1〜46に記載の方法。
【請求項48】
核酸複製反応が、DNA依存性DNAポリメラーゼ、RNA依存性DNAポリメラーゼ、DNA依存性RNAポリメラーゼ、RNA依存性RNAポリメラーゼ、RNA依存性RNAポリメラーゼ、DNAリガーゼ、RNAリガーゼ、シンセターゼ、ヌクレアーゼ、およびレストリクターゼからなる群から選択される2つ以上の酵素を含む、請求項1〜46に記載の方法。
【請求項49】
前記核酸が、DNA、RNA、LNA、PNA、またはこれらの組合せである、請求項1〜48に記載の方法。
【請求項50】
前記核酸がDNAである、請求項1〜48に記載の方法。
【請求項51】
前記核酸がRNAである、請求項1〜48に記載の方法。
【請求項52】
前記NTPが、3’置換dATP、3’置換dTTP、3’置換dGTP、3’置換dCTP、および3’置換dUTPからなる群から選択される1つまたは複数の3’置換NTPである、請求項1〜51に記載の方法。
【請求項53】
前記NTPが、3’置換dATP、3’置換dTTP、3’置換dGTP、3’置換dCTP、および3’置換dUTPからなる群から選択される2つ以上の3’置換NTPである、請求項1〜51に記載の方法。
【請求項54】
前記NTPが、3’置換dATP、3’置換dTTP、3’置換dGTP、3’置換dCTP、および3’置換dUTPからなる群から選択される3つ以上の3’置換NTPである、請求項1〜51に記載の方法。
【請求項55】
前記NTPが、3’置換dATP、3’置換dTTP、3’置換dGTP、3’置換dCTP、および3’置換dUTPからなる群から選択される4つ以上の3’置換NTPである、請求項1〜51に記載の方法。
【請求項56】
前記3’置換NTPが、3’置換dATP、3’置換dTTP、3’置換dGTP、および3’置換dCTPを含む、請求項1〜51に記載の方法。
【請求項57】
前記3’置換NTPが、3’置換dATP、3’置換dUTP、3’置換dGTP、および3’置換dCTPを含む、請求項1〜51に記載の方法。
【請求項58】
前記3’置換NTPが、複製反応における全NTPの25%以下を占める、請求項1〜56に記載の方法。
【請求項59】
前記3’置換NTPが、複製反応における全NTPの25%以上を占める、請求項1〜56に記載の方法。
【請求項60】
前記3’置換NTPが、複製反応における全NTPの50%〜100%を占める、請求項1〜56に記載の方法。
【請求項61】
前記3’置換NTPが、複製反応における全NTPの75%以上を占める、請求項1〜56に記載の方法。
【請求項62】
前記3’置換NTPが、複製反応における全NTPの80%以上を占める、請求項1〜56に記載の方法。
【請求項63】
前記3’置換NTPが、複製反応における全NTPの90%以上を占める、請求項1〜56に記載の方法。
【請求項64】
前記3’置換NTPが、複製反応における全NTPの95%以上を占める、請求項1〜56に記載の方法。
【請求項65】
前記3’置換NTPが、複製反応における全NTPの100%を占める、請求項1〜56に記載の方法。
【請求項66】
前記3’置換NTPが、1つまたは複数のさらなる修飾基をさらに含む、請求項1〜56に記載の方法。
【請求項67】
前記1つまたは複数のさらなる修飾基が、糖、三リン酸鎖、または塩基から選択される位置にある、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記3’置換NTPが、検出可能な標識をさらに含む、請求項1〜67に記載の方法。
【請求項69】
前記検出可能な標識が、放射性同位体、質量同位体、フルオロフォア、またはハプテンである、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
3’置換NTPが、対掌的に純粋であるか、ラセミ混合物であるか、またはジアステレオマー混合物である、請求項1〜69に記載の方法。
【請求項71】
複製反応における3’置換NTPの存在により、対応する非置換NTPを用いる複製と比較して、非特異的産物の形成およびその後の複製が低下する、請求項1〜70に記載の方法。
【請求項72】
3’置換基が、O−[4−メトキシ]テトラヒドロピラニル;O−テトラヒドロピラニル;O−テトラヒドロフラニル;O−フェノキシアセチル;O−メトキシアセチル;O−アセチル;O−(p−トルエン)スルホネート;O−リン酸;O−硝酸;O−[4−メトキシ]−テトラヒドロチオピラニル;O−テトラヒドロチオピラニル;O−[5−メチル]−テトラヒドロフラニル;O−[2−メチル,4−メトキシ]−テトラヒドロピラニル;O−[5−メチル]−テトラヒドロピラニル;およびO−テトラヒドロチオフラニルからなる群から選択される、請求項1〜71に記載の方法。
【請求項73】
3’置換NTPおよびそれらの誘導体が、式IA:
【化1】

[式中、
nは、0または1であり、
Bは、置換もしくは非置換のプリンもしくはピリミジン、その任意のアザ誘導体もしくはデアザ誘導体、または任意のNTP類似体による任意の「ユニバーサル塩基」もしくは「縮重塩基」から選択され;
Aは、O、S、Se、CR、およびNRからなる群から選択され;
Wは、O、S、Se、CR、およびNRからなる群から選択され;
各Rおよび各Rは、H、F、Cl、Br、I、OR、SR、SeR、NR、C(Y)R、ならびに置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、およびアラルキルからなる群から独立に選択され、
任意の置換基は各々、場合によって、1つまたは複数のヘテロ原子を含有する可能性があり;
各Rおよび各Rは、H、または置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、およびアラルキルからなる群から独立に選択され、
任意の置換基は各々、場合によって、1つまたは複数のヘテロ原子を含有する可能性があり;
各Rは、H、F、Cl、Br、OR、SR、SeR、NR、C(Y)R、ならびに置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、およびアラルキルからなる群から選択され、
任意の置換基は各々、場合によって、1つまたは複数のヘテロ原子を含有する可能性があり;
各Yは、O、S、Se、CR、およびNRからなる群から選択され;
、Z、およびZは各々、O、S、Se、CR、およびNRからなる群から独立に選択され;
およびZは各々、O、S、Se、O、CR、NR、およびC(Y)からなる群から独立に選択され;
は、O、S、Se、O、CR、NR、C(Y)、3’−O−オリゴヌクレオチジル残基、およびオリゴヌクレオチドプライマーからなる群から選択され;
nが0のとき、Zは、3’−O−オリゴヌクレオチジル残基、またはオリゴヌクレオチドプライマーであり、
nが1のとき、Zは、O、S、Se、O、CR、NR、またはC(Y)であり;
、Z、およびZは各々、H、F、OR、SR、SeR、NR、NROR、NR−NR、CN、N、(BH、およびC(Y)Rからなる群から独立に選択され;
は、H、F、OR、SR、SeR、NR、NROR、NR−NR、CN、N、(BH、C(Y)R、およびリン酸からなる群から選択され;
10は、O、S、およびSeからなる群から選択され;
は、陽イオンであり;
、X、X、X、およびXは各々、R、NROR、NR−NR、CN、N、NO、NO、NCO、NCS、OCN、SCN、およびSSRからなる群から独立に選択され;
Rは、
【化2】

からなる群から選択され、
Rは、場合によって、式IAで示されるNTP分子のX、X、X、X、X、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、A、W、またはB部分に対して、適切な原子または原子群を介して共有結合する可能性があり;
各Rは、炭酸を除く無機酸残基またはその誘導体からなる群から独立に選択され、前記誘導体には、ハロゲン、スルホン酸、チオスルホン酸、セレノ硫酸、セレノスルホン酸、硫酸エステル、硫酸チオエステル、亜硫酸、スルフィン酸、スルフィンエステル、硝酸、亜硝酸、リン、セレニウム、およびホウ素を含有する酸が含まれうるがこれらに限定されず;
各R、各R、各R、および各R10は、水素、また、直鎖状または分枝鎖状であり、置換されていてもよい、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基からなる群から独立に選択され、
前記ヒドロカルビルは、ハロ、オキソ、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アミド、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールオキシ、およびヘテロアリールからなる群から選択される少なくとも1個の置換基を包含していてもよい、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり;
各X、各X、各X、および各Xは、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケニルアリール、アルケニレン、アルキル、低級アルキル、アルキレン、アルキニル、アルキニルアリール、アルコキシ、低級アルコキシ、アルキルアリール、アルキルカルボニルアミノ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルチオ、アルキニレン、アミド、アミジノ、アミノ、アリールアルキニル、アラルキル、アロイル、アリールアルキル、アリール、アリールカルボニルアミノ、アリーレン、アリールオキシ、アリールスルホニルアミノ、カルバメート、ジチオカルバメート、シクロアルケニル、シクロアルキル、シクロアルキレン、グアニジニル、ハロ、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、ヘテロ環、ヘテロ環、ヒドロカルビル、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルカルボニル、ヒドロカルビルオキシカルボニル、ヒドロカルビルカルボニルオキシ、ヒドロカルビレン、オルガノスルフィニル、ヒドロキシル、オルガノスルフィニル、オルガノスルホニル、スルフィニル、スルホニル、スルホニルアミノ、およびスルフリルからなる任意の置換または非置換の基から独立に選択され;
各X10は、O、S、Se、NR11、N−OR11、およびCR1112からなる群から独立に選択され;
各R11および各R12は、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケニルアリール、アルケニレン、アルキル、低級アルキル、アルキレン、アルキニル、アルキニルアリール、アルコキシ、低級アルコキシ、アルキルアリール、アルキルカルボニルアミノ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルチオ、アルキニレン、アミド、アミジノ、アミノ、アリールアルキニル、アラルキル、アロイル、アリールアルキル、アリール、アリールカルボニルアミノ、アリーレン、アリールオキシ、アリールスルホニルアミノ、カルバメート、ジチオカルバメート、シクロアルケニル、シクロアルキル、シクロアルキレン、グアニジニル、ハロ、ハロゲン、ヘテロアリール、ヘテロアリールカルボニルアミノ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールスルホニルアミノ、ヘテロ環、ヘテロ環、ヒドロカルビル、ヒドロカルビル、ヒドロカルビルカルボニル、ヒドロカルビルオキシカルボニル、ヒドロカルビルカルボニルオキシ、ヒドロカルビレン、オルガノスルフィニル、ヒドロキシル、オルガノスルフィニル、オルガノスルホニル、スルフィニル、スルホニル、スルホニルアミノ、およびスルフリルからなる任意の置換または非置換の基から独立に選択され;
各Yは、O、S、Se、NR、N−OR、およびCRからなる群から独立に選択される]
の構造を有する、請求項1〜72に記載の方法。
【請求項74】
、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、およびZがOであり;ZおよびZがOHである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
AがNH、O、CH、またはSであり;X、X、X、XおよびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHである、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
がH、OH、F、CH、OCH、N、NH、またはNHCHであり;AがOであり;X、X、XおよびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHである、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
がH、SH、CH、F、OCH、NH、またはNHCHであり;AがOであり;X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHである、請求項73に記載の方法。
【請求項78】
がOH、SH、BH、CH、OCH、またはOCHCHであり;AがOであり;X、X、X、XおよびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、およびZがOHである、請求項73に記載の方法。
【請求項79】
がOまたはSであり;nが1であり;AがOであり;X、X、X、XおよびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHである、請求項73に記載の方法。
【請求項80】
がSH、SCHCHCN、OH、F、OCH、OCHCH、OC、NHCH、NH、NHCHCHNH、NHCHCHCHCHCHCHNH、またはリン酸基であり;nが1であり;AがOであり;X、X、X、XおよびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、およびZがOHである、請求項73に記載の方法。
【請求項81】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHである、請求項73に記載の方法。
【請求項82】
nが1であり;AがSであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−(p−トルエン)スルホネートである、請求項73に記載の方法。
【請求項83】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、およびXがHであり;XがO−CHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−(p−トルエン)スルホネートである、請求項73に記載の方法。
【請求項84】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、およびXがHであり;X=CHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−(p−トルエン)スルホネートである、請求項73に記載の方法。
【請求項85】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;ZがSHであり;Z、Z、およびZがOHであり;RがO−(p−トルエン)スルホネートである、請求項73に記載の方法。
【請求項86】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;ZがSであり;RがO−(p−トルエン)スルホネートである、請求項73に記載の方法。
【請求項87】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、およびZがOHであり;ZがSHであり;RがO−(p−トルエン)スルホネートである、請求項73に記載の方法。
【請求項88】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−(p−トルエン)スルホネートである、請求項73に記載の方法。
【請求項89】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−リン酸である、請求項73に記載の方法。
【請求項90】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−硝酸である、請求項73に記載の方法。
【請求項91】
nが1であり;AがSであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−テトラヒドロフラニルである、請求項73に記載の方法。
【請求項92】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、およびXがHであり;XがO−CHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−テトラヒドロフラニルである、請求項73に記載の方法。
【請求項93】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、およびXがHであり;X=CHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−テトラヒドロフラニルである、請求項73に記載の方法。
【請求項94】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;ZがSHであり;Z、Z、およびZがOHであり;RがO−テトラヒドロフラニルである、請求項73に記載の方法。
【請求項95】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;ZがSであり;RがO−テトラヒドロフラニルである、請求項73に記載の方法。
【請求項96】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、およびZがOHであり;ZがSHであり;RがO−テトラヒドロフラニルである、請求項73に記載の方法。
【請求項97】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−[4−メトキシ]−テトラヒドロピラニルである、請求項73に記載の方法。
【請求項98】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−テトラヒドロピラニルである、請求項73に記載の方法。
【請求項99】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−テトラヒドロフラニルである、請求項73に記載の方法。
【請求項100】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−[4−メトキシ]−テトラヒドロチオピラニルである、請求項73に記載の方法。
【請求項101】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−テトラヒドロチオピラニルである、請求項73に記載の方法。
【請求項102】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−[5−メチル]−テトラヒドロフラニルである、請求項73に記載の方法。
【請求項103】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−[2−メチル,4−メトキシ]−テトラヒドロピラニルである、請求項73に記載の方法。
【請求項104】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−[5−メチル]−テトラヒドロピラニルである、請求項73に記載の方法。
【請求項105】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−テトラヒドロチオフラニルである、請求項73に記載の方法。
【請求項106】
nが1であり;AがSであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−フェノキシアセチルである、請求項73に記載の方法。
【請求項107】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、およびXがHであり;XがO−CHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−フェノキシアセチルである、請求項73に記載の方法。
【請求項108】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、およびXがHであり;XがCHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−フェノキシアセチルである、請求項73に記載の方法。
【請求項109】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、およびZがOHであり;ZがSHであり;RがO−フェノキシアセチルである、請求項73に記載の方法。
【請求項110】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;ZがSHであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−フェノキシアセチルである、請求項73に記載の方法。
【請求項111】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、およびZがOHであり;ZがSHであり;RがO−フェノキシアセチルである、請求項73に記載の方法。
【請求項112】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−フェノキシアセチルである、請求項73に記載の方法。
【請求項113】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−メトキシアセチルである、請求項73に記載の方法。
【請求項114】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−アセチルである、請求項73に記載の方法。
【請求項115】
nが1であり;AがSであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−C(O)−OCHである、請求項73に記載の方法。
【請求項116】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、およびXがHであり;XがO−CHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−C(O)-OCHである、請求項73に記載の方法。
【請求項117】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、およびXがHであり;XがCHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−C(O)−OCHである、請求項73に記載の方法。
【請求項118】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;ZがSHであり;Z、Z、およびZがOHであり;RがO−C(O)−OCHである、請求項73に記載の方法。
【請求項119】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;ZがSであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−C(O)−OCHである、請求項73に記載の方法。
【請求項120】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、およびZがOHであり;ZがSHであり;RがO−C(O)−OCHである、請求項73に記載の方法。
【請求項121】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−C(O)−OCHである、請求項73に記載の方法。
【請求項122】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−C(O)−CHCHCNである、請求項73に記載の方法。
【請求項123】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;RがO−C(S)−OCHである、請求項73に記載の方法。
【請求項124】
nが0であり;Zが3’−O−オリゴヌクレオチジル残基、または伸長したオリゴヌクレオチドプライマーである、請求項73に記載の方法。
【請求項125】
Bが、チミン、シトシン、アデニン、グアニン、ウラシル、アミノアリルウラシル、7−デアザグアニン、7−デアザ−7−メチルグアニン、7−デアザ−7−ヨードグアニン、7−デアザ−7−アミノアリルグアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、7−デアザデニン、2,6−ジアミノプリン、5−ニトロシトシン、5−アミノアリルシトシン、5−(ビオチン−16)−シトシン、5−(フルオレセイン−11)−シトシン、4−メチルアミノ−シトシン、2−チオ−5−メチルウラシル、または4−チオ−5−メチルウラシルである、請求項73〜124に記載の方法。
【請求項126】
Bが、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、またはウラシルである、請求項73〜124に記載の方法。
【請求項127】
3’置換NTPおよびそれらの誘導体が、式IB:
【化3】

[式中、
nは、0または1であり、
Bは、置換もしくは非置換のプリンもしくはピリミジン、その任意のアザ誘導体もしくはデアザ誘導体、または任意のNTP類似体による任意の「ユニバーサル塩基」もしくは「縮重塩基」から選択され;
Aは、O、S、Se、CR、およびNRからなる群から選択され;
Wは、O、S、Se、CR、およびNRからなる群から選択され;
各Rおよび各Rは、H、F、Cl、Br、I、OR、SR、NR、C(Y)R、ならびに置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、およびアラルキルからなる群から独立に選択され、
任意の置換基は各々、場合によって、1つまたは複数のヘテロ原子を含有する可能性があり;
各Yは、O、S、Se、CR、およびNRからなる群から独立に選択され;
各Rおよび各Rは、H、または置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアラルキルからなる群から独立に選択され、
任意の置換基は各々、場合によって、1つまたは複数のヘテロ原子を含有する可能性があり;
各Rは、H、F、Cl、Br、OR、SR、NR、ならびに置換または非置換のアルキル、置換または非置換のアルケニル、置換または非置換のアルキニル、置換または非置換のアリール、および置換または非置換のアラルキルからなる群から選択され、
任意の置換基は各々、場合によって、1つまたは複数のヘテロ原子を含有する可能性があり;
、Z、およびZは各々、O、S、Se、CR、およびNRからなる群から独立に選択され;
およびZは各々、O、S、Se、O、CR、NR、およびC(Y)からなる群から独立に選択され;
は、O、S、Se、O、CR、NR、C(Y)、3’−O−オリゴヌクレオチジル残基、およびオリゴヌクレオチドプライマーからなる群から選択され;
nが0のとき、Zは、3’−O−オリゴヌクレオチジル残基、またはオリゴヌクレオチドプライマーであり、
nが1のとき、Zは、O、S、Se、O、CR、NR、またはC(Y)であり;
、Z、およびZは各々、H、F、OR、SR、SeR、NR、NROR、NR−NR、CN、N、(BH、およびC(Y)Rからなる群から独立に選択され;
は、H、F、OR、SR、SeR、NR、NROR、NR−NR、CN、N、(BH、C(Y)およびリン酸からなる群から選択され;
は、陽イオンであり;
、X、X、およびXは各々、R、F、Cl、Br、I、OR、SR、SeR、NR、NROR、NR−NR、CN、N、C(Y)R、NO、CN、および SSRからなる群から独立に選択され;
は、O、S、Se、NR、N−OR、およびCRからなる群から選択され;
は、O、S、Se、NR、N−OR、CR、およびC(Y)からなる群から選択され;
各Rおよび各Rは、水素、また、直鎖状または分枝鎖状であり、置換されていてもよい、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基からなる群から独立に選択され、
前記ヒドロカルビルは、ハロ、オキソ、ヒドロキシル、アルコキシ、アミノ、アミド、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールオキシ、およびヘテロアリールからなる群から選択される少なくとも1個の置換基を包含していてもよい、アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり;
およびYは各々、場合によって、式IBで示されるNTP分子のX、X、X、X、X、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、Z、A、W、またはB部分に対して、適切な原子または原子群を介して共有結合する可能性がある]
の構造を有する、請求項1〜72に記載の方法。
【請求項128】
AがNH、O、CH、またはSであり;X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、およびZがOであり;ZおよびZがOHである、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
AがNH、O、CH、またはSであり;X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHである、請求項127に記載の方法。
【請求項130】
がH、SH、CH、F、OCH、NH、またはNHCHであり;AがOであり;X、X、およびXがHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHである、請求項127に記載の方法。
【請求項131】
がOH、SH、BH、CH、OCH3、またはOCHCHであり;AがOであり;X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、およびZがOHである、請求項127に記載の方法。
【請求項132】
がOまたはSであり;nが1であり;AがOであり;X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHである、請求項127に記載の方法。
【請求項133】
がSH、SCHCHCN、OH、F、OCH、OCHCH、NHCH、NH、NHCHCHNH、NHCHCHCHCHCHCHNH、またはリン酸基であり;nが1であり;AがOであり;X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、およびZがOHである、請求項127に記載の方法。
【請求項134】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHである、請求項127に記載の方法。
【請求項135】
nが1であり;AがSであり;X、X、X、およびXはHであり;WがCHであり;X、Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;YがC=Sである、請求項127に記載の方法。
【請求項136】
nが1であり;AがOであり;X、X、およびXがHであり;XがCHであり;WがCHであり;X、Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;YがC=Sである、請求項127に記載の方法。
【請求項137】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;X、Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;ZがSHであり;Z、Z、およびZがOHであり;YがC=Sである、請求項127に記載の方法。
【請求項138】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;X、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;ZがSHであり;YがC=Sである、請求項127に記載の方法。
【請求項139】
nが1であり;AがOであり;X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;X、Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、およびZがOHであり;ZがSHであり;YがC=Sである、請求項127に記載の方法。
【請求項140】
nが1であり;X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;A、X、Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;YがC=Oである、請求項127に記載の方法。
【請求項141】
nが1であり;X、X、X、およびXがHであり;WがCHであり;A、X、Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;YがC=Sである、請求項127に記載の方法。
【請求項142】
nが1であり;X、X、X、およびXがHであり;XがSであり;WがCHであり;A、Z、Z、Z、Z、Z、およびZがOであり;Z、Z、Z、およびZがOHであり;YがC=Oである、請求項127に記載の方法。
【請求項143】
nが0であり;Zが3’−O−オリゴヌクレオチジル残基、またはオリゴヌクレオチドプライマーである、請求項127に記載の方法。
【請求項144】
Bが、チミン、シトシン、アデニン、グアニン、ウラシル、アミノアリルウラシル、7−デアザグアニン、7−デアザ−7−メチルグアニン、7−デアザ−7−ヨードグアニン、7−デアザ−7−アミノアリルグアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、7−デアザデニン、2,6−ジアミノプリン、5−ニトロシトシン、5−アミノアリルシトシン、5−(ビオチン−16)−シトシン、5−(フルオレセイン−11)−シトシン、4−メチルアミノ−シトシン、および2−チオ−5−メチルウラシル、または4−チオ−5−メチルウラシルである、請求項127〜143に記載の方法。
【請求項145】
Bが、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、またはウラシルである、請求項127〜144に記載の方法。
【請求項146】
Bが、核酸ポリメラーゼにより認識可能である、請求項73〜145に記載の方法。
【請求項147】
請求項1〜146に記載の、1つまたは複数の3’置換NTPを含む、核酸を増幅するためのキット。
【請求項148】
前記1つまたは複数の3’置換NTPを用いて前記方法を実施するための指示書、核酸複製用と明記された容器、非修飾dNTP、修飾NTP、核酸ポリメラーゼ、塩化マグネシウムまたは他の2価陽イオン、および反応緩衝液からなる群から選択される1つまたは複数をさらに含む、請求項147に記載のキット。
【請求項149】
核酸ポリメラーゼ、および1つまたは複数のさらなる酵素を含む、請求項148に記載のキット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−521646(P2011−521646A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511732(P2011−511732)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/044910
【国際公開番号】WO2009/151921
【国際公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【出願人】(508353008)トリリンク バイオテクノロジーズ (3)
【Fターム(参考)】