説明

高温ガスセンサおよび排気ガスにおけるその使用

流体の流れ中のガスの量を検出する方法は、音波(AW)センサ(110)を第一の共鳴周波数で作動させることを含む。AWセンサは第一のガス吸収層(122)に連結された高温安定圧電プレート(112)を含む。少なくとも約500℃の温度にて、ガス成分を有する流体の流れを第一のガス吸収層と組み合わせることもまた含まれる。AWセンサの少なくとも1つの共鳴周波数が検出される。流体の流れ中のガスの量は、共鳴周波数を第一のガス吸収層に吸収されたガスの量に相関付けることにより検出される。流体の流れ中のガスの量を検出するセンサ(110)は、第一のガス吸収層(122)、第一のガス吸収層に連結された高温安定圧電プレート(112)、および高温安定圧電プレートに連結されたコントローラ(120)を含む。コントローラは、第一のガス吸収層に吸収されたガスの量に相関する高温安定圧電プレートの共鳴周波数を測定するために高温安定圧電プレートに連結され、ここで流体の流れ中のガスの量が検出される。高温安定圧電プレートは、AlN、GaN、Al1-xGaxN(0≦x≦1)、GaPO4、AlPO4、および例えばCa2Ga2Ge4SiO14、La3Ga5SiO14、La3Ga5.5Nb0.5O14、La3Ga5.5Ta0.5O14のCa2Ga2Ge4SiO14の結晶構造を有する物質からなる群より選択される少なくとも1つの物質で形成される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
高温ガスセンサ
(関連出願)
本出願は、2004年4月20日付の米国特許出願第10/828,096号の継続出願であって、この出願にもとづく優先権を主張し、上記出願の全教示が、参照により本明細書に援用される。
【0002】
(政府の支援)
本発明は、NSFによって与えられた付与番号DMR‐0228787による政府の支援のもとでなされたものである。政府は、本発明について或る一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
様々な種、例えば気体種の量(例えば、濃度あるいは時間に対する濃度変化の割合)の測定が望まれる多数の高温流体流プロセスが、存在している。特定の用途としては、典型的には気体のプロセスであるが化学反応プロセス、例えば石油または他の化学供給原料からの炭化水素類の、例えば熱分解またはクラッキングが挙げられる。他の用途としては、例えば炉、ボイラー、バーナー、などといった例えば外燃機関、例えば4ストロークエンジン、2ストロークエンジン、ディーゼルエンジン、などといった例えば内燃機関、ならびに例えばジェットエンジン、ガスタービン、などといったタービンエンジンなど、燃焼プロセスにおけるガス流が挙げられる。
【0004】
例えば、高温に対応できるNOxセンサが、道路車両、オフロード車両(例えば、建設機材)、および発電設備からのNOxの排出を測定するために必要とされる。NOxは、NOおよびNO2の一方または両方を含みうるが、有害な粒子状物質、地表レベルオゾンおよび他のスモッグ形成汚染物質、ならびに酸性雨を生み出す大気反応において重要な役割を果たしており、米国および欧州において、NOx排出レベルを大きく減少させることに注力する法規の焦点である。堅固なNOxセンサが、業界において強く望まれている。
【0005】
そのようなガスを検出するため、例えば質量分析法、高温ワイヤ検出器、光学分光法、コート付き微量天秤への吸着、など、多数の技法が存在している。しかしながら、例えば質量分析法は、内燃機関におけるガスの大規模測定には複雑すぎかつ脆弱すぎる可能性があり、光学分光法は、燃焼プロセスにおいて生成される粒子状物質によって不明瞭となる可能性があり、コート付き微量天秤への吸着は、高温およびガス濃度の大きな変化には不適合であるなど、これらの技法は、すべての用途に容易に適用できるわけではない。
【0006】
(発明の概要)
本明細書において、高温の流体流中のガスの量を測定するための方法、センサ、およびシステムを開示する。
【0007】
流体流中のガスの量を検出する方法は、音波(AW)センサを第1の共鳴周波数で動作させることを含む。AWセンサは、第1のガス吸収層に連結させた高温安定圧電プレートを備えている。さらに、ガス成分を含む流体流を少なくとも約500℃の温度で第1のガス吸収層に組み合わせることが含まれる。AWセンサの少なくとも1つの共鳴周波数が検出される。流体流中のガスの量が、この共鳴周波数を第1のガス吸収層に吸収されたガスの量に相関付けることによって、検出される。
【0008】
流体流中のガスの量を検出するためのセンサは、第1のガス吸収層、第1のガス吸収層に連結させた高温安定圧電プレート、および高温安定圧電プレートに連結させたコントローラを備えている。コントローラは、高温安定圧電プレートに連結させられ、第1のガス吸収層によって吸収されたガスの量に相関する高温安定圧電プレートの共鳴周波数を測定し、これにより流体流中のガスの量を検出する。高温安定圧電プレートは、AlN、GaN、Al1−xGaxN(0≦x≦1)、GaPO4、AlPO4、および例えばCa2Ga2Ge4SiO14、La3Ga5SiO14、La3Ga5.5Nb0.5O14、La3Ga5.5Ta0.5O14、などといったCa2Ga2Ge4SiO14の結晶構造を有する材料からなる群から選択される少なくとも1つの材料で形成される。
【0009】
流体流中のガス成分の量を検出する方法は、金属炭酸塩を含む第1のガス吸収層に連結させた圧電プレートを備える音波(AW)センサを、第1の共鳴周波数で動作させること、ガス成分を有する流体流を第1のガス吸収層に組み合わせること、およびAWセンサの少なくとも1つの共鳴周波数を検出することを含み、この共鳴周波数は、第1のガス吸収層に吸収されたガスの量に相関付け得、これによって流体流中のガスの量を検出する。本発明のいくつかの態様においては、圧電プレートが、AlN、GaN、Al1−xGaxN(0≦x≦1)、GaPO4、AlPO4、石英、LiNbO3、Li2B4O7、ZnO、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、LiTaO3、およびCa2Ga2Ge4SiO14の結晶構造を有する材料からなる群から選択される1つ以上の材料で形成される。
【0010】
流体流中のガスの量を検出するための音波(AW)センサは、金属炭酸塩を含む第1のガス吸収層、第1のガス吸収層に連結させた圧電プレート、および圧電プレートへと連結させたコントローラを備え、コントローラが、第1のガス吸収層によって吸収されたガスの量と相関する圧電プレートの共鳴周波数(resonant frequency piezoelectric plate)を測定することで、流体流中のガスの量を検出する。本発明のいくつかの態様においては、圧電プレートが、AlN、GaN、Al1−xGaxN(0≦x≦1)、GaPO4、AlPO4、石英、LiNbO3、Li2B4O7、ZnO、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、LiTaO3、およびCa2Ga2Ge4SiO14の結晶構造を有する材料からなる群から選択される1つ以上の材料で形成される。
【0011】
本発明は、高温の流体流中のガスの量を測定するための従来からの圧電天秤の使用および公知の方法の使用の両者に対して、いくつかの利点を提供する。
【0012】
例えば、高温圧電天秤を使用することによって、高温のガスのその場での測定が可能になる。本発明の種々の態様において設けられる圧電材料は、石英などのより伝統的な圧電材料に比べ、はるかに広い温度範囲にわたって安定である。したがって、これらの材料を、高温の流体流中のガスの量の変化を正確に測定するために使用することができ、例えば本発明の種々の態様を、温度が少なくとも約500℃である内燃機関の排気流中の例えばNOxなどのガス成分を、高い信頼性で正確に測定するために使用することができる、
【0013】
ガス吸収層を使用することで、特定のガスを他のガスに対して特定的に吸収することが可能になる。また、ガス吸収層は、ガス吸着層と比べてはるかに大量のガスを吸収することができるため、より幅広い範囲のガス濃度を容易に測定することができる。さらに、本発明のいくつかの態様においては、周波数の測定結果および電気複素インピーダンスの測定結果に相関付けられたガスの量を、比較することができる。以上の特徴によって、優れたセンサ感度または信号対雑音比をもたらすことができる。
【0014】
このように、本発明の種々の態様においては、一例を挙げれば希薄(Lean)NOxトラップ(LNT)との連結において、例えば内燃機関の排気流中のNOxの検出を可能にする高温でのガスの検出が提供される。希薄NOxトラップ(LNT)は、NOx中のNOをNO2へと予め酸化(preoxidizing)して、NOxをトラップに保存することによって機能する。トラップが飽和したとき、保存されたNOx(NO2)が、エンジンをリッチバーン(rich burn)運転へと切り換えることによって浄化され、それによりNOxをN2へと還元する。エンジンの効率的な運転のためには、リッチバーン運転を、トラップを浄化するために必要なときに限定することが望まれる。本発明のNOxセンサは、内燃機関のNOx排出を効果的に抑制するためのLNTシステムにおいて必要な高温でのNOxの検出をもたらすことができる。
【0015】
本発明の他の態様においては、例えばNOxをアンモニアでN2へと還元するための選択触媒還元(SCR)システムとの組み合わせにおいて、内燃機関(例えば、ディーゼルエンジン)の排気中でアンモニアが検出される。SCRシステムは、ディーゼルエンジンにおいて使用可能であり、NOxをN2に還元する。本発明の高温アンモニアセンサは、過剰なアンモニアを大気へと放出することなくNOxを還元するために充分な量のアンモニアが導入されるよう、アンモニア計量投与ユニット(典型的には、アンモニアの前駆体として尿素を注入する)へと必要なフィードバックをもたらすことができる。これは、エンジンのより効率的な運転をもたらすことができるとともに、有毒なアンモニアの排出を最小限にすることができる。
【0016】
これらの利点および他の利点が、以下の説明からさらに明らかになるであろう。
【0017】
(発明の詳細な説明)
以下で、本発明の好ましい態様を説明する。
【0018】
図1は、電極114を接触させた高温安定圧電プレート112を備える音波(AW)センサ110を示す。図示のとおり、電極114/115が、高温安定圧電プレート112の両面に接している。リード118/119は、電極114をコントローラ120に接続している。ガス吸収層122は、高温安定圧電プレート112の表面に連結させられている。本発明の他の態様においては、電極114が、当業者にとって明らかであり得る他の配置構成にてAWセンサに接してもよい。本発明のいくつかの態様においては、随意による電極124およびリード126が電極115およびリード119とともに、コントローラ120をガス吸収層122へと接続しており、例えば電気複素インピーダンスなど、共鳴周波数へと相関付けることが可能な層122の電気的特性を測定できる。
【0019】
センサ110における共鳴周波数を測定するため、コントローラ120は、電極114へと交流電圧を印加して圧電材料の結晶構造内の原子を振動させることができるインピーダンス機能を有する。さらに、コントローラ120は、周波数の関数として圧電材料の電気アドミッタンスを測定することができる。本発明のいくつかの態様においては、交流電圧をもたらすために別個の電圧源を使用することができる。
【0020】
アドミッタンス信号の振幅は、圧電材料内の振動の振幅についての知らせをもたらす。任意の所与の温度において、振動の振幅は、電圧源の周波数の関数として変化する。アドミッタンスが最大となる周波数が、「共鳴周波数」である。共鳴周波数において、圧電材料の原子が、最大の振幅で振動する。対照的に、アドミッタンスが最小である(したがって、振動の振幅が最小である)周波数は、「反共鳴周波数」として知られている。
【0021】
AWセンサの共鳴周波数は、部分的には、天秤の寸法の関数でありうる。本発明の好ましい態様においては、圧電天秤の寸法が、約10MHZの共鳴周波数を生み出すように選択される。典型的には、電極114が、鍵穴形状に形作られ、白金で形成される。
【0022】
コントローラ120は、周波数のシフトを測定するために「受動(passive)」法にてインピーダンスを測定できる。あるいは、周波数のシフトを測定するために「能動(active)」法を使用してもよい。市販の装置において通常実行されている能動法は、電子フィードバック回路において周波数判定装置として共鳴器を使用する。図1の装置において典型的に使用される受動法は、インピーダンスの実部および虚部など、より詳細な情報を得ることができる。能動法および能動法と受動法の比較についてのさらなる検討が、Precision Frequency Control、Vol. 2、Chapter 8:「Bulk‐Acoustic‐Wave Oscillators」47(1985)、およびA. Bund.らの「Validation of the Frequency Shift of Thickness‐Shear‐Mode Resonators in Liquids‐‐Determination of the Activation Energy of Viscosity」、101 Ber. Bunsenges. Phys. Chem.(No.12)1960‐62(1997)に提示されており、この両文献の教示は、その全体が参照によって本明細書に援用される。
【0023】
ガスがガス吸収層122に吸収され、あるいはガス吸収層122から放出されるときに、センサ110の共鳴または反共鳴周波数を測定することができる。これらの測定は、固定された温度において行なうことができ、あるいはセンサ110(および、例えばセンサによってガス、例えば内燃機関の排気流を検出できるシステム)が温度の変化に直面しているときに行なうことができる。ガスが吸収されるにつれ、センサ110の共鳴および反共鳴周波数が低下しうる。反対に、ガスがセンサ110から離れるにつれて、共鳴および反共鳴周波数が上昇しうる。高温安定圧電プレート112がランガサイト(La3Ga5SiO14)を含む場合、典型的には反共鳴周波数(共鳴周波数ではなく)が、特性周波数として利用される。なぜならば、インピーダンスの虚部のゼロ交差における傾きが、共鳴周波数のそれに比べて急峻であるためである。次いで、結果として検出されたガスの量の変化を、反共鳴または共鳴周波数の変化の関数として測定することができる。
【0024】
本発明のいくつかの態様においては、電極124およびリード126がコントローラ120をガス吸収層122に連結しているとき、コントローラ120が、電極124および電極115にまたがって或る周波数範囲にわたって交流電圧を印加できる第2のインピーダンス機能を有しており、これによってガス吸収層122内の荷電キャリアに周期的な変位を生じさせ、例えば複素電気インピーダンスなど、層122の共鳴周波数に相関する電気特性を測定することができる。この値を、例えば層122がゼオライトを含む本発明のいくつかの態様において、層122によって吸収されたガスの量に相関付けることができ、流体流中のガスの量を検出することができる。本発明の他の態様においては、両方のガス測定モードを比較することができ、例えば、層122のインピーダンスによって検出されたガスの量と、センサ110の共鳴周波数によって検出されたガスの量とを、比較することができる。これは、例えば、一方の測定モードの故障の場合のバックアップの測定の提供、信号対雑音比の改善、例えば一方の測定モードにおける温度関連のドリフトの補正といった誤差の補正、などを可能にできる。例えば、両方の測定モードを使用することによって、同じ温度に保たれるがガスを吸収してはならない第2のAWセンサを使用する必要なく、単一のセンサにおいて温度補正を備えることを可能にできる。
【0025】
本明細書の種々の態様のそれぞれにおいて、温度補正のための方法および装置が、一般的には使用される。例えば、本発明のいくつかの態様において、第2のセンサはガスを吸収してはならず、つまりガス成分との接触を物理的に禁じられる、あるいはガス吸収層を欠いてもよい以外は、AWセンサ110と同じ温度において使用され得る。AWセンサ110および第2のセンサが同じ温度にあるため、それらの間の共鳴周波数の相違を、AWセンサ110に吸収されたガスの量へと、温度の変化と独立に相関付けることができ、これによって温度の変化が補正される。例えば、Tullerらの米国特許第6,370,955号;Tuller, HLおよび Fritze, Hの「Langasite for high temperature bulk acoustic wave applications」、App. Phys. Lett.、78、(2001)、976‐977;Tullerらの「High temperature nanobalance sensor based on langasite」、Sensors and Actuators、B 76、(2001)、103‐107;Tullerらの「Operational limits of langasite high temperature nanobalances」、J. Euro. Ceramic Soc.、21、(2001)、1473‐1477を参照されたい。これらの文献の全教示は、参照によって本明細書に取り入れられたものとする。
【0026】
本発明の他の態様においては、AWセンサ110の共鳴周波数の複数の高調波、例えば1次および3次の高調波を測定する。異なる高調波は、温度の変化に対して異なって応答しうるため、各高調波の温度変化に対する依存性を測定すべく較正試験を行なうことができ、したがってガスの吸収の最中の種々の高調波の測定結果を較正試験と比較して、温度の変化を補正することができる。例えば、Fritze, H;Seh, H;Schneider, O;Tuller, HL; Borchardt, G;「Thin Film Stoichiometry Determination by High Temperature Microbalance Technique」、Materials Research Society Symposium - Proceedings、v 756、181‐186(2003);およびFritze, H;Schneider, O;Seh, H;Tuller, HL;Borchardt, G;「High temperature bulk acoustic wave properties of langasite」、Physical Chemistry and Chemical Physics 5、5207‐5214(2003)を参照されたい。以上の文献の全教示は、参照によって本明細書に取り入れられたものとする。
【0027】
本発明のいくつかの態様においては、例えば電極124およびリード126がコントローラ120をガス吸収層122に連結しており、コントローラ120が、電極124および電極115にまたがって或る周波数範囲にわたって交流電圧を印加できる第2のインピーダンス機能を有していて、ガス吸収層122内の荷電キャリアに周期的な変位を生じさせ、例えば複素電気インピーダンスなど、層122の共鳴周波数に相関する電気特性を測定することができるときに、層122のインピーダンスによって検出したガスの量とセンサ110の共鳴周波数によって検出したガスの量とを比較することによって、温度補正をもたらすことができる。例えば、両方の測定モードを使用することによって、同じ温度に保たれるがガスを吸収してはならない第2のAWセンサを使用する必要なく、単一のセンサにおいて温度の変化を補正することが可能になる。圧電プレート112の共鳴周波数およびガス吸収層122の電気複素インピーダンスの異なる温度依存性をそれぞれ、較正試験において測定することができ、それら異なる温度依存性を、共鳴周波数または電気複素インピーダンスのさらなる測定結果を温度変化について補正すべく使用することができる。
【0028】
例えば高温安定圧電プレート112のために適切な高温圧電材料としては、とくには500℃を超える温度であるが、コントローラに応答して共鳴すべく高められた温度においても安定かつ充分に抵抗性に保たれるバルクの単結晶形態の圧電材料が挙げられる。適切に安定な圧電材料は、好ましくは、温度の変化によって結晶構造に破壊的な変化が生じないよう、ただ1つの固相しか有さない材料である。単結晶の使用の代案として、適切な圧電材料のマルチ(multiple)単結晶フィルムまたはテクスチャ処理(textured)多結晶フィルムを、積構造を形成すべく成長および積層させることができる。典型的には、圧電材料は、それが動作する環境において非反応性であってよく、高温においてその化学成分の損失または獲得、例えば酸素の獲得またはLa3Ga5SiO14からの損失があってはならない。
【0029】
適切な高温圧電材料としては、例えば、Ca2Ga2Ge4SiO14結晶構造形式の材料(例えば、この構造を有し、随意により別の化学式を有する)、(2)GaPO4およびAlPO4などのリン酸塩、または本発明のいくつかの態様においてはAlPO4、および本発明の他の態様においてはGaPO4、ならびに(3)例えばAlN、GaN、およびAl1−xGaxN(xは1を含まない1までの値)の種類といったAl1−xGaxN(0≦x≦1)系列の材料、本発明のいくつかの態様においては、Al1−xGaxNの種類が使用され(0<x≦1)である、を挙げることができる。
【0030】
本発明における高温使用に適したCa2Ga2Ge4SiO14結晶構造形式の具体的メンバーとしては、ランガサイト(La3Ga5SiO14)、La3Ga5.5Nb0.5O14、およびLa3Ga5.5Ta0.5O14が挙げられる。本発明のいくつかの態様においては、約1470℃の融点に至るまで典型的にはいかなる相転移も受けることがないため、ランガサイトが使用される。さらには、ランガサイトはそのままで、最大750℃まで、バルク振動を呈するように励起させることができる。純粋なランガサイトの使用は、一般的には、例えばきわめて高い温度における導電ロスによって制約されうるが、純粋なランガサイトの導電性は、ランガサイトが電圧が加えられたときにもはや有効に共鳴できないレベルまで高めることができる。ランガサイトにおけるそのような導電ロスは、ランガサイトの抵抗率を高めて、さらに高い温度での使用を可能にすることができるドーパントを添加することによって、補正することができる。
【0031】
したがって、本発明の種々の態様においては、プレート112の高温圧電材料は、AlN、GaN、Al1−xGaxN(0≦x≦1)、GaPO4、AlPO4、および例えばCa2Ga2Ge4SiO14、La3Ga5SiO14、La3Ga5.5Nb0.5O14、La3Ga5.5Ta0.5O14、などといったCa2Ga2Ge4SiO14の結晶構造を有する材料からなる群から選択された少なくとも1つの材料で形成され、さらに典型的には、AlN、Al1−xGaxN(0<x≦1)、AlPO4、Ca2Ga2Ge4SiO14、La3Ga5SiO14、La3Ga5.5Nb0.5O14、およびLa3Ga5.5Ta0.5O14からなる群から選択された少なくとも1つの材料で形成される。
【0032】
本発明の他の態様においては、プレート112の高温圧電材料は、GaN、Al1−xGaxN(0<x≦1)、GaPO4、AlPO4、およびCa2Ga2Ge4SiO14の結晶構造を有する材料からなる群から選択された少なくとも1つの材料で形成され、いくつかの態様においては、GaPO4およびAlPO4からなる群から選択された少なくとも1つの材料で形成され、他の態様においては、GaN、Al1−xGaxN(0<x≦1)、およびCa2Ga2Ge4SiO14の結晶構造を有する材料からなる群から選択された少なくとも1つの材料で形成され、他の態様においては、Ca2Ga2Ge4SiO14の結晶構造を有する材料からなる群から選択された少なくとも1つの材料で形成される。本発明のいくつかの態様においては、プレート112の高温圧電材料は、Ca2Ga2Ge4SiO14、La3Ga5SiO14、La3Ga5.5Nb0.5O14、およびLa3Ga5.5Ta0.5O14からなる群から選択された少なくとも1つの材料で形成される。本発明のいくつかの態様においては、プレート112の高温圧電材料が、La3Ga5SiO14である。
【0033】
したがって、本発明のいくつかの態様においては、高温安定圧電プレートが、約5気圧(atm)〜約10−22atmの酸素分圧範囲および約−40℃〜900℃の温度範囲において単結晶相として安定である。本発明の他の態様においては、高温安定圧電プレートが、約−30℃〜約650℃の温度範囲において単結晶相として安定である。
【0034】
室温用途における従来からの圧電材料の使用と対照的に、本発明の本態様の高温圧電センサは、高温において典型的には無視できないバルク抵抗率Rpを有する。なぜならば、Rpが、共鳴信号を減衰させるべく、高められた温度において充分に小さくなりうるためである。したがって、Rpに対する高温の影響を補正するための方法および回路が開発されており、本発明の本態様の任意のいずれかにおいて使用することが可能である。例えば、参照によってその全教示が本明細書に援用されるTullerらの米国特許第6,370,955号を参照されたい。
【0035】
ガス吸収層122は、ガスを優先的に吸収する物質の厚い膜である。ガス吸収層において、該層によるガスの吸収に適した条件のもとで、該層に接しているガスは、層の表面に吸収される量に比べ、層内に実質上吸収される。本明細書において使用されるとき、「吸収」するとは、例えばガス吸収層の、固体の物理的境界の内側に分子(例えば、アンモニア、NOx、など)を包含することを意味する。本明細書において使用されるとき、「吸着された」分子とは、固体の物理的な外表面に接している分子であり、例えば固体が立方体である場合には、吸着されたガスは、該立方体の表面に接しているガス分子からなる。一般的には、層内に吸収されたガスの量対層外で吸着されたガスの量の比は、約100:1、典型的には約500:1、および好ましくは2000:1である。「厚い膜」、例えばガス吸収層は、上記したガス吸収/吸着比を可能にするため、ガスに対して曝露される表面積と比べて充分な内容積を有する膜である。したがって、本発明の本態様のガス吸収層は、ガス吸着層、例えばガス等を吸着する半導体酸化物の薄膜とは異なるものである。一般に厚い膜は、約106cm2:1cm3未満、典型的には約5×106cm2:1cm3未満、好ましくは約1×107cm2:1cm3未満の表面積対体積比を有する。
【0036】
吸収層によって吸収されたガスは、層と化学結合を形成し得、例えば共有結合またはイオン結合を形成し、例えばNOxガスは、炭酸バリウムと反応して硝酸バリウムを形成し得、SOxガスは、炭酸バリウムと反応して硫酸バリウム等を形成し得る。吸収層によって吸収されたガスはまた、非共有相互作用によって層中に含まれ得、例えばナノ細孔内に含まれ、例えばアンモニアがゼオライトのガス吸収層のナノ細孔(例えば、直径が約0.1nm〜約10nm)に含まれ得る。
【0037】
したがって、ガス吸収層は、ガスのための吸収剤であり、かつ適切な条件のもとで熱的に安定である任意の物質を含み得、例えば本発明のいくつかの態様において、第一のガス吸収層は、金属の炭酸塩およびゼオライトからなる群から選択される1つ以上の物質を含む。
【0038】
例えばNO、NO2、SO2、SO3、など、例えばNOxおよびSOxの酸性ガスのための適切な物質として、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムの炭酸塩などの金属炭酸塩、および当該分野において公知の他の金属炭酸塩が挙げられ得る。本発明のいくつかの態様において、NOxの吸収に使用される層は炭酸バリウムである。本発明の種々の態様においては、この段落に記載される物質を、ミクロ多孔性層(例えばゼオライトのナノ細孔とは異なる)として形成することができ、例えばガス吸収層はミクロ構造、例えば約200nm〜約3000nm、典型的には約200nm〜約1000nm、さらに典型的には約400nm〜800nmの平均直径を有するミクロ細孔の規則的なミクロ構造を有し得る。実施例1を参照されたい。
【0039】
ガス吸収層は、典型的には反応的にガスを吸収するガス吸収層であって、例えば金属炭酸塩を含む層であるが、随意により、例えば白金、パラジウム、ルテニウムなど、例えば金属、金属酸化物、金属錯体などの触媒を含み得る。例えば、炭酸バリウムの層が、白金触媒を含むことができる。例えば、Kim, YW;Sun, J;Kolmanovsky, I;Koncsol, JA;「Phenomenological control oriented lean NOxtrap model」. SAE Technical Paper Series(2003‐01‐1164)(2003)を参照されたい、その全教示が本明細書中に参照によって援用される。
【0040】
本発明の他の態様において、目的の任意のガスの吸収に適した物質としては、目的のガスの吸収に適切な細孔サイズを有するゼオライトが挙げられる。本明細書において使用されるとき、「ゼオライト」とは、詳しく規定されたナノ細孔(先の段落のミクロ細孔とは異なる)構造、例えば約0.1nm(ナノメートル)〜約10nmの範囲である狭く分布したナノ細孔サイズを有する多次元相互接続チャネル構造を有する、ゼオライトおよびゼオライト様結晶性固体、典型的にはアルミノケイ酸塩を含む。本発明のいくつかの態様において、第一のガス吸収層122はゼオライトを含み、該ゼオライトは、例えば、リンデ型(Linde Type)A、ゼオライトβ、NaX、NaA、NaY、ZSM‐5、H‐ZSM‐5、ソーダ沸石、菱沸石、ソーダライト、ホージャサイト、モルデナイト、MCM‐41、MCM‐48、およびMCM‐50から選択し得る。適切なナノ細孔サイズは、当業者であれば、吸収しようとするガスに基づいて決定し得、例えば本発明のいくつかの態様において、アンモニアの吸収のために、約0.5nm〜約0.6nmのナノ細孔サイズが使用される。他のガスのために適した物質としては、所望のガスまたは複数のガスの吸収に適したナノ細孔サイズを有するナノ多孔性物質、例えばゼオライトを挙げることができる。
【0041】
典型的には、ガス吸収層は、それが接する他のセンサ材料(例えば、高温安定圧電プレート112、電極114、など)に関して、化学的に適合性があってもよく、または化学的に適合性があるように作製することができる。例えば、本発明のいくつかの態様において、化学的に適合性がある層は、それらの化学的性質により、化学反応、化学的な種の移動(species migration)、または他の熱化学的な経年変化(aging)もしくは分解過程に対して安定である。本発明の他の態様においては、皮膜層もしくは拡散層またはバリアはインサイチュに形成され得るか、または別に(otherwise)反応し得る層間に位置するセンサの製作中にそれらが利用され得る。
【0042】
図2A、2B、および2Cは、流体の流れ210に接触させたセンサ110を示す。流体の流れは、典型的には少なくとも約500℃の温度、さらに典型的には少なくとも約600℃の温度で、センサに連結される。本発明のいくつかの態様において、流体の流れは燃焼過程、例えば炉、ボイラー、バーナー等の外部燃焼器からの排気流(exhaust stream)であるか、または本発明の他の態様において、例えば4ストロークエンジン、2ストロークエンジン、ディーゼルエンジン等の内燃機関からの排気流である。本発明のさらに他の態様において、流体の流れはタービンエンジン、例えばジェットエンジン、ガスタービン等の排気流である。本発明のいくつかの態様において、化学反応過程のガス成分、典型的にはガス状が測定され、例えば流体の流れは、例えば石油精製における炭化水素の「クラッキング」など、種々の化学供給原料からの化学物質の熱分解またはクラッキングのガス流であり得る。典型的には、流体の流れは、内燃機関、例えばガソリン4ストロークエンジンまたはディーゼルエンジンの排気流である。
【0043】
図2Aは、ガス・トラップ212(例えば、YW;Kim, J; Sun, I; Kolmanovsky, J; Koncsol, SAE Technical Paper Series, 2003‐01‐1164(2003)に記載の希薄(lean)NOxトラップ(LNT)を参照されたい、その全教示は本明細書中に参照によって援用される)と連動して作動するセンサを示す。流体の流れ210は、ガス・トラップ212に連結させられており、それは第2のガス吸収層を含むことによって流体の流れからのガスの少なくとも一部を除去する。LNTトラップは、典型的には、NOxの少なくとも一部のNOをNO2へと変換できる白金触媒214を含むか、または該白金触媒214と協働して機能する。図2Aに示されるように、センサ110は、典型的には、流体の流れ210の流れの方向に関してトラップ212の下流に位置しており、流体の流れがガス・トラップ212と連結した後の流体の流れ210中のガスの残量を検出する。したがって、トラップ212のガス吸収層がガスで飽和したとき、センサ110に接するガスの濃度が上昇し、コントローラ120はセンサ110におけるこの上昇ガス信号と、トラップ212における飽和したガスの状態とを相関付けることができる。本発明の他の態様において、エンジンの運転特性についての知識をトラップの吸収特性と連動させて使用することで、センサ状態の機能としてのトラップ状態のモデルを作製し得、センサ110をトラップ212に関して流れ210上の他の位置に配置することができる。例えば、本発明の種々の態様において、センサ110を、流体の流れ210の方向に関してトラップ212と並列に配置し得(図2B)るか、またはセンサ110を、流体の流れ210の方向に関してトラップ212の上流に直列に配置し得る(図2C)。
【0044】
図3では、本発明のさらなる態様において、例えば第一のガス吸収層122が炭酸バリウムであり、検出されるガスがNOxであり、流体の流れが内燃機関310からの排気流210である場合、該方法が、NOxの残量をトラップ212における飽和NOxトラップ状態または非飽和NOxトラップ状態に相関付けることを含む。さらに、本発明の一態様の範囲内には、非飽和のNOxトラップ状態を検出する際、エンジン310を(例えば、コントローラ120の指示にて)リーンバーン(lean burn)モードで運転し、リーンバーン状態から得られる少なくとも一部のNOxをトラップ212へと吸収すること;および、飽和したNOxトラップ状態を検出する際、エンジンをリッチバーン(rich burn)モードで運転し、トラップに吸収された少なくとも一部のNOxのトラップ212を浄化し、浄化された少なくとも一部のNOxをN2へと還元すること、が含まれている。
【0045】
図4は、検出されるガスがアンモニアであり、例えばガス吸収層122が、典型的には、約0.5nm〜約0.6nmの細孔サイズを有するゼオライトである本発明の態様を示す。例えば、NOxを発生するいくつかの燃焼システムにおいて、アンモニア供給(例えば、気体もしくは液体アンモニア、またはエンジンにおいてアンモニアを形成し得る例えば尿素等の前駆体の供給源)インジェクターを有する選択接触還元(SCR)システム410を使用することができる。典型的には、SCR410が、尿素を供給として導入し、これが分解されてアンモニアを形成し、次いでアンモニアが、NOxをN2へと還元すべくNOxと反応し得る。例えば、本発明のいくつかの態様として、流体の流れ中に約2パーツ・パー・ミリオン(ppm)〜約100ppmのアンモニアを検出すること;該アンモニアの量を、流体の流れ210中で少なくとも一部のNOxをN2へと選択的に触媒によって還元し得るアンモニアの量と比較すること;および流体の流れ210中で少なくとも一部のNOxをN2へと選択的に触媒によって還元し得るアンモニアの量に対応するアンモニア供給、例えば尿素の量を注入すること、を含む。コントローラ120が、SCR410に連結されて、例えばSCR410と電子通信し、そこで適切な量のアンモニア供給、例えば尿素を注入することができる。
【0046】
図5は、内燃機関310の排気流210中のNOx成分の量を検出するための本発明のAWセンサ110の態様を示しており、約1×107cm2:1cm3未満の表面積対体積比を有する第一の炭酸バリウム層122;第一の炭酸バリウム層122に連結されたLa3Ga5SiO14高温安定圧電プレート112;および高温安定圧電プレート112の共鳴周波数を第一の炭酸バリウム層122によって吸収されたNOxの量に相関付ける、La3Ga5SiO14高温安定圧電プレート112に連結されたコントローラ120を含み、これにより内燃機関310の排気流210中のNOxの量を検出する。本発明の他の態様において、内燃機関(例えば、エンジン310)からの排気流(例えば、流れ210)中のNOxの量を検出する方法として、音波(AW)センサ(例えば、AWセンサ110)を共鳴周波数で作動させること、ここで音波(AW)センサは炭酸バリウム層(例えば、層122)に連結されたLa3Ga5SiO14高温安定圧電プレート(例えば、プレート112)を有する;NOx成分を含む排気流を少なくとも約500℃の温度で炭酸バリウム層と組み合わせ、それによりNOx成分の少なくとも一部を炭酸バリウム層と反応させて硝酸バリウムを形成すること;高温安定圧電プレートの少なくとも1つの共鳴周波数を検出すること;および該共鳴周波数を反応によって硝酸バリウムを形成するNOxの量に相関付け、それにより排気流中のNOxの量を検出すること、を含む。
【0047】
図6は、内燃機関310の排気流210中のNOxをN2へと還元するためのシステム610を示す。システム610は、約1×107cm2:1cm3未満の表面積対体積比を有する第一の炭酸バリウム層122、および第一の炭酸バリウム層122に連結されたLa3Ga5SiO14高温安定圧電プレート112を有するNOxセンサ110;NOxトラップ212が第2の炭酸バリウム層612を含み、NOxセンサが内燃機関310からの排気流210の流れの方向に関してNOxトラップの下流に位置する、NOxセンサ110と直列に連結されたNOxトラップ212;およびコントローラ120を含む。コントローラ120は、La3Ga5SiO14高温安定圧電プレート112に連結され、高温安定圧電プレートの共鳴周波数を検出するとともに、内燃機関310と電子通信して、リーンバーンモードおよびリッチバーンモードで作動するようにエンジンを指示する。それによって、内燃機関310の排気流210中で、少なくとも一部のNOxがN2へと還元される。本発明の他の態様において、内燃機関(例えば、エンジン310)の排気流(例えば、流れ210)中でNOxをN2へと還元する方法として、NOx成分を含む排気流を内燃機関から音波(AW)NOxセンサ(例えば、センサ110)と直列に連結されたNOxトラップ(例えば、トラップ212)へと導き(direct)、それによって、NOx成分の少なくとも一部を炭酸バリウムと反応させて硝酸バリウムを形成すること、を含む。該トラップは、第2の炭酸バリウム層(例えば、層612)を含み;排気流の流れに関してトラップの下流に位置しているAWセンサが、第一の炭酸バリウム層に連結されたLa3Ga5SiO14高温安定圧電プレート(例えば、プレート112)を含む。さらに、本発明の範囲内には、高温安定圧電プレートの少なくとも1つの共鳴周波数を検出すること;共鳴周波数を第一の炭酸バリウム層に吸収されたNOxの量に相関付け、それにより飽和したNOxトラップ状態および非飽和のNOxトラップ状態を検出すること;非飽和のNOxトラップ状態を検出する際、エンジンをリーンバーンモードで運転し、それによりリーンバーン状態から得られる少なくとも一部のNOxを第2の炭酸バリウム層と反応させて硝酸バリウムを形成すること;ならびに飽和したNOxトラップ状態を検出する際、エンジンをリッチバーンモードで運転し、それにより硝酸バリウムの少なくとも一部の炭酸バリウム層(例えば、層122および612)を浄化してNOxを放出し、放出された少なくとも一部のNOxをN2へと還元すること、が含まれる。
【0048】
図7は、ディーゼルエンジン712の排気流210中のアンモニア成分の量を検出するシステム710を示す。システム710は、約1×107cm2:1cm3未満の表面積対体積比、および約0.5nm〜約0.6nmの細孔サイズを有するゼオライトを有するゼオライトガス吸収層122;ゼオライトガス吸収層122に連結されたLa3Ga5SiO14高温安定圧電プレート112;およびコントローラ120を含むセンサ110を有する。コントローラ120は、ゼオライトガス吸収層122に吸収されたアンモニアの量に相関するLa3Ga5SiO14高温安定圧電プレート112の少なくとも1つの共鳴周波数を測定すべく連結されており、コントローラ120は、ゼオライトガス吸収層に吸収されたアンモニアの量に相関するゼオライトガス吸収層の少なくとも1つの電気複素インピーダンスを測定すべく連結されており、これによって内燃機関の排気流中のアンモニア成分の量を検出する。本発明の他の態様においては、コントローラ120が、エンジン712に連結された選択触媒還元システム(SCR)の尿素注入システム714と電子通信する。本発明のいくつかの態様において、内燃機関(例えば、ディーゼルエンジン712)からの排気流(例えば、流れ210)中のアンモニアの量を検出する方法として、音波(AW)センサ(例えば、センサ110)を共鳴周波数で作動させること、ここで該AWセンサはゼオライトガス吸収層(例えば、層122)に連結されたLa3Ga5SiO14高温安定圧電プレート(例えば、プレート112)を有し、該ゼオライトは約0.5nm〜0.6nmの細孔サイズを有する;アンモニア成分を含む排気流を少なくとも約500℃の温度でゼオライトガス吸収層と組み合わせ、それにより少なくとも一部のアンモニアをゼオライトガス吸収層へと吸収すること;高温安定圧電プレートの少なくとも1つの共鳴周波数を検出して、該共鳴周波数をゼオライトガス吸収層に吸収されたアンモニアの量に相関付けること;ゼオライトガス吸収層の電気複素インピーダンスを検出して、該電気複素インピーダンスをゼオライトガス吸収層に吸収されたアンモニアの量に相関付けること、ならびに周波数および電気複素インピーダンスによるゼオライトガス吸収層に吸収されたアンモニアの量を比較し、それにより排気流中のアンモニアの量を検出すること、を含む。本発明の他の態様として、排気流中のアンモニアの量を、排気流中の少なくとも一部のNOxをN2へと選択的に触媒によって還元し得るアンモニアの量と比較すること;および排気流中で少なくとも一部のNOxをN2へと選択的に触媒によって還元し得るアンモニアの量に対応する量の尿素を(例えば、SCRシステム714で)注入すること、を含む。
【0049】
本発明のいくつかの態様において、例えば任意の上記の高温安定圧電物質、ならびにまた、例えば石英、LiNbO3、Li2B4O7、ZnO、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、およびLiTaO3といった任意の「従来からの圧電物質」である、任意の圧電物質から作られた圧電プレートが、金属炭酸塩のガス吸収層に連結される。したがって、本明細書において使用されるとき、本発明のいくつかの態様において、「高温安定」として明記されない圧電プレートに使用される「圧電物質」には、「高温安定圧電物質」および「従来からの圧電物質」の両者が含まれ、例えば「圧電物質」として、AlN、GaN、Al1−xGaxN(0≦x≦1)、GaPO4、AlPO4、および例えばCa2Ga2Ge4SiO14、La3Ga5SiO14、La3Ga5.5Nb0.5O14、La3Ga5.5Ta0.5O14、などといったCa2Ga2Ge4SiO14の結晶構造を有する物質;ならびに石英、LiNbO3、Li2B4O7、ZnO、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、およびLiTaO3が挙げられる。
【0050】
したがって、本発明の種々の態様において、流体の流れの中のガス成分の量を検出する方法は、音波(AW)センサを第一の共鳴周波数で作動させる工程、該音波センサは第一のガス吸収層に連結された圧電プレートを含み、該ガス吸収層は金属炭酸塩を含む;ガス成分を有する流体の流れを第一のガス吸収層に組み合わせる工程;およびAWセンサの少なくとも1つの共鳴周波数を検出する工程を含み、ここで該共鳴周波数を第一のガス吸収層に吸収されたガスの量に相関付けられ得、それにより流体の流れ中のガスの量を検出することができる。いくつかの態様において、圧電プレートは、AlN、GaN、Al1−xGaxN(0≦x≦1)、GaPO4、AlPO4、石英、LiNbO3、Li2B4O7、ZnO、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、LiTaO3、およびCa2Ga2Ge4SiO14の結晶構造を有する物質からなる群より選択される1つ以上の物質で形成される。典型的には、第一のガス吸収層は、約1×107cm2:1cm3未満の表面積対体積の比を有し;または第一のガス吸収層は、少なくとも約2000:1のガス吸収/吸着比を有し;または第一のガス吸収層は、直径が約200nm〜約3000nmのミクロ細孔の規則正しいミクロ構造を有する。流体の流れは、外燃プロセスからの排気流、熱分解プロセスにおけるガス流、および内燃機関からの排気流からなる群より選択される。典型的には、流体の流れは、内燃機関からの排気流である。一般に、第一のガス吸収層は、炭酸バリウムを含む。
【0051】
本発明の種々の態様において、流体の流れの中のガスの量を検出するための音波(AW)センサは、金属炭酸塩を含む第一のガス吸収層;第一のガス吸収層に連結された圧電プレート;および圧電プレートに連結されたコントローラを備えており、第一のガス吸収層によって吸収されたガスの量と相関する圧電プレートの共鳴周波数を測定し、これにより流体の流れ中のガスの量が検出される。いくつかの態様において、圧電プレートは、AlN、GaN、Al1−xGaxN(0≦x≦1)、GaPO4、AlPO4、石英、LiNbO3、Li2B4O7、ZnO、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、LiTaO3、およびCa2Ga2Ge4SiO14の結晶構造を有する物質からなる群より選択される1つ以上の物質で形成される。一般的には、第一のガス吸収層は、約1×107cm2:1cm3未満の表面積対体積の比を有し;または第一のガス吸収層は、少なくとも約2000:1のガス吸収/吸着比を有し;または第一のガス吸収層は、直径が約200nm〜約3000nmのミクロ細孔の規則正しいミクロ構造を有する。AWセンサを、外燃プロセスからの排気流、熱分解プロセスにおけるガス流、および内燃機関からの排気流からなる群より選択される流体の流れに連結させ得、典型的には内燃機関からの排気流に連結させることができる。本発明の種々の態様においては、第一のガス吸収層が炭酸バリウムを含む。
【0052】
本発明のいくつかの態様において、流体の流れの中のガス成分の量を検出する方法は、音波(AW)センサを第一の共鳴周波数で作動させる工程、該音波センサは第一のガス吸収層に連結された圧電プレートを含み、該ガス吸収層は金属炭酸塩またはゼオライトを含む;ガス成分を有する流体の流れを第一のガス吸収層に組み合わせる工程;AWセンサの少なくとも1つの共鳴周波数を検出する工程;およびガス吸収層の少なくとも1つの電気複素インピーダンス値を検出する工程を含み、ここで共鳴周波数を第一のガス吸収層に吸収されたガスの量に相関付け得、かつガス吸収層の電気複素インピーダンス値を第一のガス吸収層によって吸収されたガスの量に相関付け得、これによって流体の流れ中のガスの量が検出される。
【0053】
本発明のいくつかの態様において、流体の流れの中のガスの量を検出するための音波(AW)センサは、金属炭酸塩またはゼオライトを含む第一のガス吸収層;第一のガス吸収層に連結された圧電プレート;およびコントローラを備えている。コントローラが、圧電プレートに連結され、第一のガス吸収層によって吸収されたガスの量に相関する圧電プレートの共鳴周波数を測定するとともに、ガス吸収層に連結され、第一のガス吸収層によって吸収されたガスの量に相関する電気複素インピーダンス値を測定し、これによって流体の流れ中のガスの量が検出される。
【実施例】
【0054】
例証
本発明を、以下の実施例によってさらに説明する。しかしながら、この実施例は、本発明の特定の側面を具体的に説明するかもしれないが、あくまで例証を主たる目的とするものであり、より広い側面における本発明がこの実施例に限定されるものと解釈してはならないことを、理解すべきである。
【0055】
実施例1:石英/炭酸バリウムセンサによるNOxの検出
全教示が本明細書中に参照によって援用されるSasahara, K;Hyodo, T;Shimizu, Y;Egashira, M;J. European Ceramic Soc., 24, 1961‐1967,(2001)に記載の方法を適用することにより、炭酸バリウムの層を石英AWセンサの表面に堆積させた。簡単に述べると、炭酸バリウムの膜を、PMMAテンプレート技法を使用して堆積させた。約0.2gのPMMAミクロスフェア(直径800nmまたは400nm、Soken Chem. & Eng. Co., Ltd.)を、10mlの脱イオン水に分散させ、この懸濁液をピペットによって圧電センサ上へと滴下し、室温で乾燥させた。2M酢酸バリウム水溶液の前駆体溶液を、室温にて、減圧下で、PMMAミクロスフェアへと浸透させた。その後、得られた膜を400℃にて2時間の熱処理に供し、熱分解によるPMMAミクロスフェアを除去し、ミクロ多孔性炭酸バリウム枠組み(framework)を得た。走査型電子顕微鏡により、得られた炭酸バリウム層がほぼPMMAテンプレート(template)ミクロスフェアのサイズのミクロ細孔の規則的なミクロ構造を有する(図8A、400nm;図8B、800nm)こと、および層の厚さが約2μmであることが明らかになった。X線回折によって、該層が単相の炭酸バリウムであることを確認した。これらの層が、ガスセンサの用途に望ましいとされ得る十分に規定されたミクロ構造および高度なミクロ多孔性を呈することが、観察された。
【0056】
共鳴センサを、ブランクの(blank)参照センサと一緒にセンサ・ホルダに設置し、次いで炉内に挿入した。約50℃刻みで約250℃から約400℃までの温度を、検討用として選択し、センサの近くに位置した熱電対で記録した。ガス組成を、質量流量コントローラを使用し、100ppmのNO2/Ar、純粋なAr、およびCO/CO2ガス混合物の流量を変化させることによって制御した。共鳴周波数を、ネットワーク分析器(Agilent E5100A, Agilent, Palo Alto, CA)の内蔵式フィッティング・ルーチン(fitting routine)(4要素の等価回路モデル)を使用して得た。読み取りを、Labview(National Instruments, Dallas, TX)ソフトウェアを使用してほぼ15秒ごとに取得した。試験の際に、センサを15分間Ar中で平衡させ、100ppmのNO2/Arに対し30分間暴露し、50%のCO/CO2混合物においてさらなる30分で還元し、最終的にArで15分間洗浄した。
【0057】
100ppmのNO2への暴露および続く再生(recovery)の後、BaCO3膜(400nmのPMMAテンプレートから製作される)で被覆されたセンサのf0(センサと参照との間の周波数の差(f0=fs−fref)として定義される)の変化を、図9に示す。
【0058】
CO/CO2導入の際の完全な再生と共に、NO2に対する感度が300℃以上の温度に対して観察される。15、45、および75分付近の大きな変動は、ガスの切り換えによってもたらされた。
【0059】
ランガサイトまたは本明細書中に提示された他の高温安定圧電プレート物質を使用するセンサは、Tuller,HLおよびFritze,H, 「Langasite for high temperature bulk acoustic wave applications」, App. Phys. Lett., 78, (2001), 976‐977;Tullerら,「High temperature nanobalance sensor based on langasite,」,Sensors and Actuators, B 76, (2001), 103‐107;Tullerら,「Operational limits of langasite high temperature nanobalances,」, J. Euro. Ceramic Soc., 21,(2001), 1473‐1477に記載の方法によって組み立てられ得る。これらの文献の全教示は、本明細書中に参照として含まれる。高温安定圧電プレートおよびガス吸収層、例えば炭酸バリウム、の組み合わせは、炭酸バリウムを石英AWセンサに連結させるための上記の方法によって、達成され得る。
【0060】
均等物
本発明を、本発明の好ましい態様を参照しつつ詳しく示し、かつ記載したが、添付の特許請求の範囲によって包含される本発明の範囲から逸脱することなく、形態および詳細における種々の変更があり得ることを、当業者によって理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
本発明の以上の目的、特徴、および利点、ならびに他の目的、特徴、および利点が、添付の図面に示される本発明の好ましい態様についての以下のさらに詳しい説明から、明らかになるであろう。添付の図面においては、種々の図面の全体を通して、同様の参照符号が同じ部分を指し示している。図面は必ずしも比例尺ではなく、本発明の原理を示すために誇張がなされている場合もある。
【0062】
【図1】図1は、本発明の方法において使用される音波(AW)センサ110の一態様を示しており、ガス吸収層122に連結させ、さらにコントローラ120に電気的に連結させた高温安定圧電プレート112を備える。
【図2A】図2A、2B、および2Cは、流体流中のガス成分の量を本発明の方法の一態様によって測定できるよう、AWセンサ110が例えば内燃機関からの排気流である流体流210に接触させられている本発明の態様を示す。 図2Aは、ガス・トラップ212(例えば、希薄NOxトラップ(LNT))と協働して動作するセンサ110を示しており、センサ110が流体流210の流れの方向に関してトラップ212の下流に直列に位置する。
【図2B】図2Bは、流体流210の方向に関してトラップ212と並列であるセンサ110を示す。
【図2C】図2Cは、流体流210の方向に関してトラップ212の上流に直列であるセンサ110を示す。
【図3】図3は、内燃機関310と協働する図2Aのシステムを示しており、例えば流体流210がエンジン310からの排気流である。
【図4】図4は、センサ110が選択触媒還元システム410に連結させられてなる本発明の態様を示す。
【図5】図5は、本発明の方法の一態様において内燃機関310に連結させたLNT212と協働してNOxを検出するためのシステム510の一態様を示す。
【図6】図6は、本発明の方法の一態様においてLNT212と協働して内燃機関310の排気流210中のNOxをN2へと還元するためのシステム610の一態様を示す。
【図7】図7は、本発明の方法の一態様において尿素インジェクター714と協働してディーゼルエンジン712の排気流210中のアンモニア成分の量を検出するためのセンサ710を示す。
【図8】図8Aおよび8Bは、400nm(図8A)または800nm(図8B)のポリメチルメタアクリレート(PMMA)ミクロスフェアをテンプレートとして製作したミクロ多孔炭酸バリウム層の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図9】図9は、炭酸バリウム(400nmのPMMAミクロスフェアをテンプレートとして製作した)でコートされた圧電センサの、種々の温度でのNO2に対する応答のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1のガス吸収層に連結した高温安定圧電プレートを含む音波(AW)センサを、第一の共鳴周波数で作動させること、
b)ガス成分を有する流体の流れを、最低でも約500℃の温度で、第1のガス吸収層と合わせること、および
c)AWセンサの少なくとも一つの共鳴周波数を検出すること
の工程を含み、ここで共鳴周波数は第1のガス吸収層の中の吸収されたガスの量と相関し得え、それにより流体の流れの中のガスの量を検出する、流体の流れの中のガス成分の量の検出方法。
【請求項2】
流体の流れが最低でも約600℃の温度である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
高温安定圧電プレートがAlN、GaN、Al1-xGaxN(O≦x≦1)、GaPO4、AlPO4、およびCa2Ga2Ge4SiO14の結晶構造を有する物質からなる群より選択される一つ以上の物質で形成される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
高温安定圧電プレートがAlN、Al1-xGaxN(0<x≦1)、AlPO4、Ca2Ga2Ge4SiO14、La3Ga5SiO14、La3Ga5.5Nb0.5O14、およびLa3Ga5.5Ta0.5O14からなる群より選択される一つ以上の物質で形成される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
高温安定圧電プレートがLa3Ga5SiO14から本質的になる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
第1のガス吸収層が金属炭酸塩およびゼオライトからなる群より選択される一つ以上の物質を含む、請求項4記載の方法。
【請求項7】
第1のガス吸収層が約1x107cm2:1cm3未満の表面積対体積の比を有する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
第1のガス吸収層が少なくとも約2000:1のガス吸収/吸着比を有する、請求項6記載の方法。
【請求項9】
第1のガス吸収層が直径約200 nm〜約3000 nmのミクロ細孔の規則正しい微細構造を有する、請求項6記載の方法。
【請求項10】
流体の流れが外燃プロセスからの排気流である、請求項6記載の方法。
【請求項11】
流体の流れが熱分解プロセスにおけるガス流である、請求項6記載の方法。
【請求項12】
流体の流れが内燃機関からの排気流である、請求項6記載の方法。
【請求項13】
a)流体の流れと第2のガス吸収層を含むガストラップとを合わせ、それにより流体の流れからガスの少なくとも一部を除去すること、および
b)流体の流れとガストラップとを合わせた後、流体の流れの中のガスの残存量を検出すること
を含む、ガストラップと合わさったガスの検出をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
第1のガス吸収層が炭酸バリウムを含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
流体の流れの中の検出されるガスがNOxである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
a)NOxの残存量と飽和NOxトラップ状態または不飽和NOxトラップ状態とを相関させること、
b)不飽和NOxトラップ状態検出時にリーンバーン様式(lean burn mode)でエンジンを作動させ、それによりリーンバーン状態から生じる少なくとも一部分のNOxをNOxトラップに吸収すること、および
c)飽和NOxトラップ状態検出時にリッチバーン様式(rich burn mode)でエンジンを作動させ、それによりトラップ中で吸収された少なくとも一部分のNOxのトラップを浄化し、少なくとも一部分の浄化されたNOxをN2に還元すること
をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
第1のガス吸収層が、リンデ型(Linde Type)A、ゼオライトβ、NaX、NaA、NaY、ZSM-5、H-ZSM-5、ソーダ沸石、菱沸石、ソーダライト、ホージャサイト、モルデナイト、MCM-41、MCM-48、およびMCM-50から選択されるゼオライトを含む、請求項12記載の方法。
【請求項18】
第1のガス吸収層の少なくとも1つの電気複素インピーダンスを検出し、第1のガス吸収層の少なくとも1つの電気複素インピーダンスと吸収されたガスの量とを相関させ、それにより流体の流れの中のガスの量を検出することをさらに含む、AWセンサに少なくとも2つの電極が適用される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
高温安定圧電プレート、および第1のガス吸収層の電気複素インピーダンスの双方の周波数から検出されたガスの量を比較することをさらに含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
検出されたガスがアンモニアである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
a)流体の流れの中の約2パーツ・パー・ミリオン(ppm)〜約100 ppmのアンモニアを検出すること
b)アンモニアの量と、流体の流れの中の、少なくとも一部分のNOxをN2に選択的に触媒作用により還元するアンモニアの量とを比較すること、および
c)流体の流れの中の、少なくとも一部分のNOxをN2に選択的に触媒作用により還元するアンモニアの量に相当する量の尿素を注入すること
をさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
a)第1のガス吸収層、
b)AlN、GaN、Al1-xGaxN(0≦x≦1)、GaPO4、AlPO4、およびCa2Ga2Ge4SiO14の結晶構造を有する物質からなる群より選択される少なくとも1つの物質を含む、第1のガス吸収層に連結した高温安定圧電プレート、ならびに
c)第1のガス吸収層によって吸収されたガスの量と相関する高温安定圧電プレートにおける共鳴周波数を測定するための高温安定圧電プレートに連結したコントローラ
を含み、それによって流体の流れの中のガスの量が検出される、流体の流れの中のガスの量を検出するための、音波(AW)センサ。
【請求項23】
高温安定圧電プレートが、AlN、Al1-xGaxN(0<x≦1)、AlPO4、Ca2Ga2Ge4SiO14、La3Ga5SiO14、La3Ga5.5Nb0.5O14、およびLa3Ga5.5Ta0.5O14からなる群より選択される、請求項22記載のAWセンサ。
【請求項24】
第1のガス吸収層が少なくとも約2000:1のガス吸収/吸着比を有する、請求項23記載のAWセンサ。
【請求項25】
第1のガス吸収層が約1x107cm2:1cm3未満の表面積対体積の比を有する、請求項23記載のAWセンサ。
【請求項26】
第1のガス吸収層が直径約200 nm〜約1000 nmのミクロ細孔の規則正しい微細構造を有する、請求項23記載のAWセンサ。
【請求項27】
高温安定圧電プレートが、約5気圧(atm)〜約10-22atmの酸素分圧範囲、および約-40℃〜約900℃の温度範囲で単結晶相として安定である、請求項24記載のAWセンサ。
【請求項28】
高温安定圧電プレートが、約-30℃〜約650℃の温度範囲で単結晶相として安定である、請求項27記載のAWセンサ。
【請求項29】
高温安定圧電プレートが、La3Ga5SiO14から本質的になる、請求項27記載のAWセンサ。
【請求項30】
第1のガス吸収層が、金属炭酸塩およびゼオライトからなる群より選択される一つ以上の物質を含む、請求項29記載のAWセンサ。
【請求項31】
外燃プロセスからの排気流と流体でつながっている(in fluid communication)、請求項30記載のAWセンサ。
【請求項32】
熱分解プロセスにおけるガス流と流体でつながっている、請求項30記載のAWセンサ。
【請求項33】
内燃機関からの排気流と流体でつながっている、請求項30記載のAWセンサ。
【請求項34】
ガストラップと連結し、トラップが第2のガス吸収層を含む、請求項33記載のAWセンサ。
【請求項35】
第1のガス吸収層が炭酸バリウムを含む、請求項34記載のAWセンサ。
【請求項36】
ガストラップに並列である、請求項35記載のAWセンサ。
【請求項37】
ガストラップと直列であり、排気流の流れ方向について、トラップの上流に位置する、請求項35記載のAWセンサ。
【請求項38】
ガストラップと直列であり、排気流の流れ方向についてトラップの下流に位置している、請求項35記載のAWセンサ。
【請求項39】
コントローラが内燃機関と電子通信し、AWセンサによって排気流の中の検出されたガスの量に応じてリーンバーン様式、またはリッチバーン様式でエンジンを作動させる、請求項38記載のAWセンサ。
【請求項40】
第1のガス吸収層が、リンデ型(Linde Type)A、ゼオライトβ、NaX、NaA、NaY、ZSM-5、H-ZSM-5、ソーダ沸石、菱沸石、ソーダライト、ホージャサイト、モルデナイト、MCM-41、MCM-48、およびMCM-50から選択されるゼオライトを含む、請求項39記載のAWセンサ。
【請求項41】
コントローラが第一のガス吸収層に連結され、第一のガス吸収層に吸収されたガスの量と相関しているガス吸収層の少なくとも1つの電気複素インピーダンス値を測定し、それにより流体の流れの中のガスの量が検出される、請求項40記載のAWセンサー。
【請求項42】
コントローラが、高温安定圧電プレートの周波数、および第一のガス吸収層の電気複素インピーダンスの双方から検出されたガスの量を比較する、請求項41記載のAWセンサー。
【請求項43】
ゼオライトが約0.5 nm〜約0.6 nmのナノ細孔サイズを有する、請求項42記載のAWセンサー。
【請求項44】
コントローラが内燃機関に連結した選択触媒還元(SCR)尿素注入システムと電子通信している、請求項43記載のAWセンサー。
【請求項45】
a)炭酸バリウム層に連結したLa3Ga5SiO14高温安定圧電プレートを有する音波(AW)センサーを共鳴周波数で作動させること
b)NOx成分を含む排気流を炭酸バリウム層と最低でも約500℃の温度で合わせ、それによりNOx成分の少なくとも一部分を炭酸バリウム層と反応させ、硝酸バリウムを形成すること
c)高温安定圧電プレートの少なくとも一つの共鳴周波数を検出すること、および
d)共鳴周波数と、反応して硝酸バリウムを形成したNOxの量とを相関させること
を含み、それにより排気流中のNOxの量を検出する、内燃機関からの排気流中のNOxの量を検出する方法。
【請求項46】
a) 内燃機関からのNOx成分を含む排気流を、音波(AW)NOxセンサに直列に連結されたNOxトラップへ導き、それによりNOx成分の少なくとも一部が炭酸バリウムと反応して硝酸バリウムを形成すること、ここで;
i)該トラップが第二の炭酸バリウム層を含む;および
ii)排気流の流れ方向に関してトラップの下流に位置するAWセンサが、第一の炭酸バリウム層に連結されたLa3Ga5SiO14高温安定圧電プレートを含む;
b) 高温安定圧電プレートの少なくとも1つの共鳴周波数を検出すること;
c) 共鳴周波数を第一の炭酸バリウム層に吸収されたNOxの量に相関付けること、それにより飽和NOxトラップ状態および非飽和NOxトラップ状態を検出すること;
d) 非飽和NOxトラップ状態を検出する際、リーンバーン様式でエンジンを作動させ、それによりリーンバーン状態から得られる少なくとも一部のNOxが第二の炭酸バリウム層と反応して硝酸バリウムを形成すること;ならびに
e) 飽和NOxトラップ状態を検出する際、リッチバーン様式でエンジンを作動させ、それにより硝酸バリウムの少なくとも一部の炭酸バリウム層を浄化してNOxを放出し、少なくとも一部の放出されたNOxをN2へ還元すること
を含む、内燃機関の排気流におけるNOxのN2への還元方法。
【請求項47】
a) 約0.5nm〜約0.6nm間のナノ細孔サイズを有するゼオライトガス吸収層に連結されたLa3Ga5SiO14高温安定圧電プレートを有する音波(AW)センサを、共鳴周波数で作動させること;
b) アンモニア成分を含む排気流を、少なくとも約500℃の温度でゼオライトガス吸収層と組み合わせ、それにより少なくとも一部のアンモニアがゼオライトガス吸収層に吸収されること;
c) 高温安定圧電プレートの少なくとも1つの共鳴周波数を検出し、該共鳴周波数をゼオライトガス吸収層に吸収されたアンモニアの量に相関付けること;
d) ゼオライトガス吸収層の電気複素インピーダンスを検出し、該電気複素インピーダンスをゼオライトガス吸収層に吸収されたアンモニアの量に相関付けること、ならびに
e) 周波数および電気複素インピーダンスにより、ゼオライトガス吸収層に吸収されたアンモニアの量を比較し、それにより排気流のアンモニアの量を検出すること
を含む、内燃機関からの排気流中のアンモニアの量を検出する方法。
【請求項48】
a) 排気流中のアンモニアの量と、排気流中の少なくとも一部のNOxをN2へと選択的に触媒によって還元し得るアンモニアの量とを比較すること;および
b) 排気流中で少なくとも一部のNOxをN2へと選択的に触媒によって還元し得るアンモニアの量に対応する量の尿素を注入すること
をさらに含む、請求項47記載の方法。
【請求項49】
a) 約1x107cm2:1cm3未満の表面積対体積の比を有する第一の炭酸バリウム層;
b) 第一の炭酸バリウム層に連結されたLa3Ga5SiO14高温安定圧電プレート;および
c) 高温安定圧電プレートの共鳴周波数を第1の炭酸バリウム層によって吸収されたNOxの量に相関付ける、La3Ga5SiO14高温安定圧電プレートに連結されたコントローラ
を含み、ここで内燃機関の排気流中のNOxの量が検出される、内燃機関の排気流中のNOx成分の量を検出するための音波(AW)センサ。
【請求項50】
a) 約1x107cm2:1cm3未満の表面積対体積の比を有する第一の炭酸バリウム層を含む音波(AW)NOxセンサ、および第一の炭酸バリウム層に連結されたLa3Ga5SiO14高温安定圧電プレート;
b) NOxトラップが第2の炭酸バリウム層を含み、AW NOxセンサが内燃機関からの排気流の流れの方向に関してNOxトラップの下流に位置する、AW NOxセンサと直列に連結されたNOxトラップ;および
c) i) La3Ga5SiO14高温安定圧電プレートに連結され、高温安定圧電プレートの共鳴周波数を検出し;かつ
ii) 内燃機関と電気通信して、エンジンをリーンバーン様式およびリッチバーン様式で作動するように指示するコントローラ
を含み、ここで内燃機関の排気流中の少なくとも一部のNOxがN2へと還元される、内燃機関の排気流中のNOxをN2へと還元するシステム。
【請求項51】
a) 約1x107cm2:1cm3未満の表面積対体積の比を有し、ゼオライトが約0.5nm〜約0.6nmのナノ細孔サイズを有するゼオライトガス吸収層;
b) ゼオライトガス吸収層に連結されたLa3Ga5SiO14高温安定圧電プレート;および
c) i) ゼオライトガス吸収層に吸収されたアンモニアの量に相関するLa3Ga5SiO14高温安定圧電プレートの少なくとも1つの共鳴周波数を測定するために連結され;かつ
ii) ゼオライトガス吸収層に吸収されたアンモニアの量に相関するゼオライトガス吸収層の少なくとも1つの電気複素インピーダンスを測定するために連結されたコントローラ
を含み、ここで内燃機関の排気流中のアンモニア成分の量が検出される、内燃機関の排気流中のアンモニア成分の量を検出するための音波(AW)センサ。
【請求項52】
該コントローラが、内燃機関に連結された選択触媒還元(SCR)尿素注入システムと電子通信する、請求項51記載のAWセンサ。
【請求項53】
a) 金属炭酸塩を含む第一のガス吸収層に連結された圧電プレートを含む音波(AW)センサを、第一の共鳴周波数で作動させる工程;
b) ガス成分を有する流体の流れを第一のガス吸収層と組み合わせる工程;および
c) AWセンサの少なくとも1つの共鳴周波数を検出する工程
を含み、ここで共鳴周波数を第1のガス吸収層に吸収されたガスの量に相関付け得、それにより流体の流れ中のガスの量を検出する、流体の流れ中のガス成分の量を検出する方法。
【請求項54】
圧電プレートが、AlN、GaN、Al1-xGaxN(0≦x≦1)、GaPO4、AlPO4、石英、LiNbO3、Li2B4O7、ZnO、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、LiTaO3、およびCa2Ga2Ge4SiO14の結晶構造を有する物質からなる群より選択される1つ以上の物質で形成される、請求項53記載の方法。
【請求項55】
第一のガス吸収層が約1x107cm2:1cm3未満の表面積対体積の比を有する、請求項54記載の方法。
【請求項56】
第一のガス吸収層が少なくとも約2000:1のガス吸収/吸着比を有する、請求項54記載の方法。
【請求項57】
第一のガス吸収層が直径約200nm〜約3000nmのミクロ細孔の規則正しい微細構造を有する、請求項54記載の方法。
【請求項58】
流体の流れが外燃プロセスからの排気流、熱分解プロセスにおけるガス流、および内燃機関からの排気流からなる群より選択される、請求項55記載の方法。
【請求項59】
流体の流れが内燃機関からの排気流である、請求項58記載の方法。
【請求項60】
第一のガス吸収層が炭酸バリウムを含む、請求項59記載の方法。
【請求項61】
a) 金属炭酸塩を含む第一のガス吸収層;
b) 第一のガス吸収層に連結された圧電プレート;および
c) 第一のガス吸収層によって吸収されたガスの量と相関する圧電プレートの共鳴周波数(resonant frequency piezoelectric plate)を測定するために圧電プレートに連結されたコントローラ
を含み、ここで流体の流れ中のガスの量が検出される、流体の流れ中のガスの量を検出するための音波(AW)センサ。
【請求項62】
圧電プレートが、AlN、GaN、Al1-xGaxN(0≦x≦1)、GaPO4、AlPO4、石英、LiNbO3、Li2B4O7、ZnO、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、LiTaO3、およびCa2Ga2Ge4SiO14の結晶構造を有する物質からなる群より選択される1つ以上の物質で形成される、請求項61記載のAWセンサ。
【請求項63】
第一のガス吸収層が約1x107cm2:1cm3未満の表面積対体積の比を有する、請求項62記載のAWセンサ。
【請求項64】
第一のガス吸収層が少なくとも約2000:1のガス吸収/吸着比を有する、請求項62記載のAWセンサ。
【請求項65】
第一のガス吸収層が直径約200nm〜約3000nmのミクロ細孔の規則正しい微細構造を有する、請求項62記載のAWセンサ。
【請求項66】
外燃プロセスからの排気流、熱分解プロセスにおけるガス流、および内燃機関からの排気流からなる群より選択される流体の流れに連結される、請求項63記載のAWセンサ。
【請求項67】
流体の流れが内燃機関からの排気流である、請求項66記載のAWセンサ。
【請求項68】
第一のガス吸収層が炭酸バリウムを含む、請求項67記載のAWセンサ。
【請求項69】
a) 金属炭酸塩またはゼオライトを含む第一のガス吸収層に連結された圧電プレートを含む音波(AW)センサを、第一の共鳴周波数で作動させる工程;
b) ガス成分を有する流体の流れを第一のガス吸収層と組み合わせる工程;
c) AWセンサの少なくとも1つの共鳴周波数を検出する工程;および
d) ガス吸収層の少なくとも1つの電気複素インピーダンス値を検出する工程
を含み、ここで共鳴周波数を第1のガス吸収層に吸収されたガスの量に相関付け得、かつガス吸収層の電気複素インピーダンス値を第一のガス吸収層に吸収されたガスの量に相関付け得、それにより流体の流れ中のガスの量を検出する、流体の流れ中のガス成分の量を検出する方法。
【請求項70】
a) 金属炭酸塩またはゼオライトを含む第一のガス吸収層;
b) 第一のガス吸収層に連結された圧電プレート;
c) i) 第一のガス吸収層によって吸収されたガスの量と相関する圧電プレートの共鳴周波数を測定するために圧電プレートに連結され;かつ
ii) 第一のガス吸収層によって吸収されたガスの量と相関する電気複素インピーダンス値を測定するためにガス吸収層に連結されたコントローラ
を含み、ここで流体の流れ中のガスの量が検出される、流体の流れ中のガスの量を検出するための音波(AW)センサ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−533995(P2007−533995A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509531(P2007−509531)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/012957
【国際公開番号】WO2006/046964
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ・インスティテュート・オブ・テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】