説明

高炉内原料レベル測定装置

【課題】電磁波を利用した高炉内原料レベル測定装置の校正を、高炉に装着したたまの状態で簡単に実施できるようにすること。
【解決手段】電磁波を発振部1から伝播管2を通して高炉B内に放射し、高炉内原料C上面からの反射波を受信することによって発振部1から高炉内原料C上面までの距離を測定する高炉内原料レベル測定装置Aにおいて、伝播管2から高炉Bの途中の箇所であって、発振部1から測定不能距離L以上離れた位置に校正用反射板3aを挿入・退避可能な機構を設ける。通常のレベル測定時には校正用反射板3aを退避させておき、校正時に校正用反射板3aを伝播管2から高炉Bの途中の箇所に挿入させて校正処理を行う。校正用反射板3aとしては、スライド式ゲート弁3のゲート板を用いる。スライド式ゲート弁3の開閉操作は遠隔操作で行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波を利用して高炉内の原料レベルを測定する高炉内原料レベル測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波、X線、マイクロ波といった電磁波を利用して距離や物体の厚さを測定する技術は従来周知であり(例えば特許文献1、2参照)、高炉においてもマイクロ波を利用した高炉内原料レベル測定装置が実用化されている。
【0003】
この高炉内原料レベル測定装置は、マイクロ波を発振部から高炉内に放射し、高炉内原料上面からの反射波を受信することによって発振部から高炉内原料上面までの距離を測定するものである。この高炉内原料レベル測定装置は、マイクロ波を利用しているため非接触での測定が可能であり、炉内粉塵等の影響も受けないため耐環境性にも優れているという利点がある。
【0004】
ただし、この高炉内原料レベル測定装置においては、測定結果の妥当性を判断するために定期的な校正が必要であり、従来は、測定装置本体を取り外し、別の場所で校正用反射板にマイクロ波を放射して実測の距離に基づき校正していた。
【0005】
しかし、このような従来の校正方法では、300〜400kgもある測定装置本体を取り外し、これを校正用の場所に移動するために吊り上げ、吊り下げを行うといった大掛かりな作業が必要であった。またこの校正作業には時間が掛かるために、高炉内原料レベルを継続的に監視したい操業中での実施は困難であり、休風中に実施しなければならないという制約があった。
【特許文献1】特開平5−272956号公報
【特許文献2】特開2004−301793号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、電磁波を利用した高炉内原料レベル測定装置の校正を、高炉に装着したたままの状態で簡単に実施できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電磁波を発振部から伝播管を通して高炉内に放射し、高炉内原料上面からの反射波を受信することによって発振部から高炉内原料上面までの距離を測定する高炉内原料レベル測定装置において、伝播管から高炉の途中の箇所であって、発振部から測定不能距離以上離れた位置に校正用反射板を挿入・退避可能な機構を設けたことを特徴とする。
【0008】
すなわち、本発明の高炉内原料レベル測定装置では、通常のレベル測定時には校正用反射板を退避させておき、校正時に校正用反射板を伝播管から高炉の途中の箇所に挿入させて校正処理を行う。
【0009】
校正用反射板としては、スライド式ゲート弁のゲート板を用いることができる。スライド式ゲート弁の開閉操作は遠隔操作で行うようにすることもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、伝播管から高炉の途中の箇所に校正用反射板を挿入・退避可能な機構を設けたので、高炉に装着したたままの状態で高炉の操業中に任意の時に校正を行うことができる。また、校正作業にあたっては、校正用反射板を伝播管から高炉の途中の箇所に挿入・退避させるという簡単な操作を行うだけで済むので、従来のように大掛かりな作業を伴うことなく極めて簡単に校正を行うことができる。したがって、校正のための要員の作業負荷を軽減できると共に、要員数も削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図に示す実施例に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
図1は、本発明の高炉内原料レベル測定装置の装着状態を示す縦断面図である。図1において、本発明の高炉内原料レベル測定装置Aは高炉Bの頂部近傍に装着されている。高炉内原料レベル測定装置Aはマイクロ波を放射する発振部1と、発振部1と高炉B内とを連通してマイクロ波の伝播経路となる伝播管2を備える。
【0013】
伝播管2と高炉Bの途中の箇所にはスライド式ゲート弁3が設けられ、そのゲート板3aが校正用反射板として挿入・退避可能な機構が設けられている。発振部1からゲート板3aまでの距離は、高炉内原料レベル測定装置Aの測定不能距離(不感帯)以上の距離L(例えば3m)とする。また、スライド式ゲート弁3の開閉操作は、操作制御盤4からの遠隔操作によって行うことができるようにしている。
【0014】
以上の構成において、通常のレベル測定時には、ゲート板3aを退避させておき、マイクロ波を発振部1から伝播管2を通して高炉B内に放射し、高炉内原料C上面からの反射波を受信することによって発振部1から高炉内原料C上面までの距離を測定する。
【0015】
校正時には、ゲート板3aを伝播管2内に挿入させ、ゲート板3aからの反射波を受信する。そして、発振部1からゲート板3aまでの距離の実測値に基づき校正処理を行う。
【0016】
以上のように、本発明によれば、高炉に装着したたままの状態で高炉の操業中に任意の時に校正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の高炉内原料レベル測定装置の装着状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0018】
A 本発明の高炉内原料レベル測定装置
B 高炉
C 高炉内原料
1 発振部
2 伝播管
3 スライド式ゲート弁
3a ゲート板
4 操作制御盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波を発振部から伝播管を通して高炉内に放射し、高炉内原料上面からの反射波を受信することによって発振部から高炉内原料上面までの距離を測定する高炉内原料レベル測定装置において、伝播管から高炉の途中の箇所であって、発振部から測定不能距離以上離れた位置に校正用反射板を挿入・退避可能な機構を設けたことを特徴とする高炉内原料レベル測定装置。
【請求項2】
校正用反射板として、スライド式ゲート弁のゲート板を用いた請求項1に記載の高炉内原料レベル測定装置。
【請求項3】
スライド式ゲート弁の開閉操作を遠隔操作で行うようにした請求項2に記載の高炉内原料レベル測定装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−257457(P2006−257457A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−73122(P2005−73122)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】