説明

高結晶化度オレフィン類の分散液

高結晶化度ポリオレフィンと少なくとも一種の分散剤を含有する分散液及びその製造方法を開示する。その分散液を使用する各種用途も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してオレフィン類の分散液に関する。
【背景技術】
【0002】
各種タイプの熱可塑性樹脂の水性分散液は当分野では公知であり、多種多様の分野で使用されている。例えば、水性分散液が、紙、繊維、木材、金属又はプラスチック成形製品などの基材の表面にコートされ次いで乾燥されると、形成された樹脂コーティングは、基材に、耐水性、耐油性、耐薬品性、耐食性及びヒートシール適性を付与する。水性媒体は、燃焼性などの公共災害、作業環境、扱いやすさなどの観点から、有機分散媒体と比べて有利である。
【0003】
熱可塑性樹脂の従来の水性分散液は、樹脂の原料である重合性モノマーを、分散剤の存在下、水性媒体中で乳化重合させるプロセス、又は溶融熱可塑性樹脂と水性媒体及び随意に分散剤とをせん断力を加えて混合するプロセスで製造されている。
【0004】
ポリオレフィンの分散液が出現するまで、ポリオレフィン類は、一般に押出プロセスと同時押出プロセスに限定されていたので、紙のコーティング、布のコーティングなどのコーティングプロセス、又は非常に薄い層、例えば15ミクロン未満の層には使用できなかった。
【0005】
性能が改善された新しいポリオレフィン分散液が提供されているが、有用なポリオレフィン分散液は、エチレンやプロピレンのエラストマーやプラストマーなどの低結晶化度のポリオレフィン分散液に限定されている。この種の代表的な水性分散液は米国特許出願公開第2005/0100754号に開示されており、これは本発明の譲受人に譲渡されている。また、高結晶化度のポリオレフィン類が水中に分散されているが、溶媒の存在が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、高結晶化度の熱可塑性ポリマー、特にオレフィンベースのポリマーから製造される分散液(dispersions)及び発泡体(foams)、好ましくは溶媒(solvents)を使用せずに調製される分散液が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの態様において、本明細書に開示されている実施形態は、少なくとも一種の高結晶化度熱可塑性物質(higher crystallinity thermoplastic)、少なくとも一種の分散剤、及び水を含有する水性分散液に関する。
【0008】
別の態様において、本明細書に開示さている実施形態は、(A)少なくとも一種の高結晶化度ポリオレフィンと、(B)少なくとも一種の安定剤とを溶融混練(melt kneading)して溶融混練生成物を製造し、その溶融混練生成物を水で希釈し、次いで、生成した混合物を溶融混練して分散液を製造するステップを含む水性分散液の製造方法に関する。
【0009】
別の態様において、本明細書に開示されている実施形態は、請求項1に記載の分散液を、空気又は他の不活性ガスと接触させてホイップ分散液(whipped dispersion)を調製し、そのホイップ分散液を基材に堆積させ、次にそのホイップ分散液を少なくとも一部分は乾燥して発泡体(foam)を形成させる方法であって、そのホイップ分散液は、分散されたポリマーの融点より低い温度で製造される方法に関する。
【0010】
別の態様において、本明細書に開示されている実施形態は、セルロースベースの組成物及び塗布されたコンパウンド(compound)を含有するセルロースベースの物品(article)であって、塗布されたコンパウンドが、塗布される時点で、高結晶化度のポリオレフィン及び少なくとも一種の分散剤を含有する水性分散液を含むセルロースベースの物品に関する。
【0011】
別の態様において、本明細書に開示されている実施形態は、繊維構造体に、高結晶化度のポリオレフィン及び少なくとも一種の分散剤を含む水性分散液を含有するコンパウンドを含浸させ、その含浸された繊維構造体から少なくとも一部分の水を除去するステップを含むプロセスで製造される物品に関する。
【0012】
別の態様において、本明細書に開示されている実施形態は、繊維の一部分と接触したコンパウンドを含有するコートされた繊維であって、そのコンパウンドが、接触する時点で、高結晶化度のポリオレフィンと少なくとも一種の分散剤を含む水性分散液とを含有し、繊維の直径が5〜35ミクロンの間の値であり、及び繊維上のコンパウンドのコーティング層の厚さが約0.1〜10ミクロンの間の範囲内である、コートされた繊維に関する。
【0013】
別の態様において、本明細書に開示されている実施形態は、高結晶化度のポリオレフィン、少なくとも一種の分散剤、ならびに着色剤及び磁性顔料からなる群から選択される少なくとも一種を含有する水性分散液から製造される粒子を含むトナー組成物であって、分散液の平均体積径粒径(average volume diameter particle size)が約0.3ミクロンから約8ミクロンまでであり、そして分散液が、部分的に乾燥されて、その液体レベル(liquid level)が分散液の液体レベルの少なくとも50%になって粒子を形成している、トナー組成物に関する。
【0014】
別の態様において、本明細書に開示されている実施形態は、高結晶化度のポリオレフィン、少なくとも一種の分散剤を含有する水性分散液を、基材に塗布し、分散液中の水の少なくとも一部分を除いて第一層(first layer)を形成させるステップを含む、基材上に層を形成する方法に関する。
【0015】
別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、i)高結晶化度ポリオレフィン及び少なくとも一種の分散剤を含む水性分散液を連続繊維にコートして熱可塑性のコートされた連続繊維ストランド(coated continuous fiber strands)を製造し、ii)その熱可塑性のコートされた連続繊維のストランドを加熱し、iii)その乾燥された熱可塑性のコートされた連続繊維のストランドを細断して、乾燥された長繊維濃縮体のペレットを製造し、次いでiv)乾燥された長繊維濃縮体ペレットを分離するステップを含む、繊維と熱可塑性樹脂を含む長繊維濃縮体の製造方法に関する。
【0016】
別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、i)高結晶化度ポリオレフィン及び少なくとも一種の分散剤を含む水性分散液を細断された長繊維にコートして、熱可塑性のコートされた細断繊維のペレットを製造し、ii)そのコートされた細断長繊維の濃縮体ペレットを加熱し、次いでiii)乾燥された長繊維濃縮体ペレットを分離するステップを含む、繊維と熱可塑性樹脂を含む長繊維濃縮体の製造方法に関する。
【0017】
本発明のその他の態様と利点は、以下の説明と添付した特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施形態を製造するのに使用される典型的な溶融押出装置の概略図である。
【0019】
【図2】図2は、本発明の実施形態に従って、本明細書に開示されている分散液の実施形態を製造するのに使用される典型的な溶融押出装置の概略図である。
【0020】
【図3A】図3Aは、図1の装置と類似の未修正(unmodified)溶融押出装置の作動を示すグラフであり、時間の経過とともに押出機の作動圧をグラフで示している。
【0021】
【図3B】図3Bは、図2の装置と類似の、本明細書に開示されている実施形態による修正(modified)溶融押出装置の作動を示すグラフであり、時間の経過とともに押出機の作動圧をグラフで示している。
【0022】
【図4】図4は、本明細書に開示されている実施形態による未修正の押出装置及び修正押出装置の中和剤供給速度(neutralizing agent feed rates)を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
用語「高結晶化度で熱可塑性の」、好ましくはポリオレフィンは、本明細書で使用する場合、結晶化度が少なくとも46%で、密度が好ましくは0.915g/cc以上の熱可塑性物質を意味する。本明細書で使用する場合、用語「低結晶化度で熱可塑性の」、好ましくはポリオレフィンは、密度に関係なく結晶化度が46%未満である熱可塑性物質を意味する。各種の実施形態において、高結晶化度のポリオレフィン類は、密度が、少なくとも0.920g/cc、少なくとも0.925g/cc、少なくとも0.930g/cc、少なくとも0.940g/cc、少なくとも0.945g/cc、少なくとも0.950g/cc、少なくとも0.955g/cc、少なくとも0.960g/cc又は少なくとも0.965g/ccであってもよい(密度はASTM D 792に従って測定する)。別の各種実施形態において、高結晶化度のポリオレフィン類は、結晶化度が、少なくとも49%、少なくとも50%、少なくとも52%、少なくとも56%、少なくとも62%、少なくとも65%、少なくとも69%、少なくとも72%、少なくとも75%、又は少なくとも78%であってもよい。好ましくは、この高結晶化度熱可塑性物質は、重量平均分子量Mが、例えば、いくつかの実施形態では、下限の15,000g/mole、30,000g/mole、好ましくは50,000g/moleから、上限の約5,000,000g/mole、好ましくは約2,500,000及び特に約1,000,000までであり、別の実施形態では、1000g/moleから1,000,000g/moleまでであり、他の実施形態では10,000g/moleから500,000g/moleまでであり、そしてさらに別の実施形態では10,000g/moleから300,000g/moleまでであってもよい。例えば、結晶化度が約55%以上でMが約15,000g/moleから約1,000,000g/moleまでのポリオレフィンポリマーが特に好ましい。
【0024】
本明細書に開示されている他の実施形態は、ポリマー分散液を製造する装置に関する。より具体的に述べると、本明細書に開示されている実施形態は、ポリオレフィンの分散液などのポリマー分散液を製造するのに有用な押出機又は押出システムに関する。別の態様で、本明細書に開示されている実施形態は、ポリマー分散液を製造する押出システムに有用な混練ディスク(kneading disk)に関する。本明細書の分散液製造装置は、水性(水ベースの分散媒体を含む)分散液又は非水性(油性の又は炭化水素ベースの分散媒体を含む)分散液を製造するのに使用できる。
【0025】
「ポリマー」は、同種又は異種にかかわらず、モノマーを重合させることによって製造される高分子(polymeric)化合物を意味する。この総称用語(generic term)の「ポリマー」は、用語「ホモポリマー」、「コポリマー」、「ターポリマー」及び「インターポリマー」も含んでいる。
【0026】
「インターポリマー」は、少なくとも二種のモノマーを重合させることによって製造されるポリマーを意味する。この総称用語「インターポリマー」は、用語「コポリマー(通常、二種のモノマーから製造されるポリマーを指すのに使用される)及び用語「ターポリマー」(通常、三種のモノマーから製造されるポリマーを指すのに使用される)も含んでいる。また用語「ターポリマー」は、四種以上のモノマーを重合させることによって製造されるポリマーも含んでいる。
【0027】
用語「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」及び「プロピレン/α−オレフィンインターポリマー」は、それぞれエチレン又はプロピレンを含有するポリマーを指し、これらは全ポリマーのモル分率の多数(majority)を占めている。いくつかの実施形態では、主モノマーが、全ポリマーの少なくとも50モル%を占め、別の実施形態では少なくとも60モル%を占め、別の実施形態では少なくとも70モル%を占め、さらに別の実施形態では少なくとも80モル%を占めてもよい。全ポリマーの残りの部分は少なくとも一種のコモノマーを含んでいる。いくつかの実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレンを約80モル%を超える含量で、及びα−オレフィンを約20モル%以下の含量で含有している。
【0028】
一つの態様において、本明細書に開示する実施形態は、密度が0.915g/ccより大である少なくとも一種のポリオレフィン、例えば、LDPEもしくはHDPEのホモポリマー、エチレン/αオレフィンのLLDPEもしくはHDPEコポリマー類、PPホモポリマー、PPのランダム及び耐衝撃性コポリマー類、プロピレン−エチレンコポリマー類、ならびに分散剤を含有する水性分散組成物に関する。
【0029】
より具体的に述べると、ポリエチレン成分を含む、選択されて開示された実施形態では、メルトインデックス(190℃におけるI)(メルトインデックスは、190℃/2.16kgの条件でASTM D 1238に従って測定する)が、0.5 dg/minから30 dg/minまでの範囲の値である。さらに、選択された実施形態において、分散組成物は、少なくとも一種類の界面活性剤、例えばPRIMACOR 5980Iを、3重量%から50重量%まで含有している。さらにまた、選択された実施形態において中和剤を使用し得る。具体的に述べると、KOH、NHOH及びNaOHを中和剤として使用し50%から100%まで中和するのに添加できる。選択された実施形態において、最終の固体濃度は、30重量%と60重量%の間の濃度でなければならない。
【0030】
本明細書に開示されている実施形態では、分散されているポリマーの少なくとも一種が高結晶化度のオレフィンである限り、複数のポリマーの混合物(mixtures)またはブレンド(blends)が含まれ得る。例えば、高結晶化度のオレフィンの分散液を低結晶化度のオレフィンの分散液と混合し得るということは、具体的に、本明細書の開示の範囲内にある。同様に、複数種の高結晶化度オレフィン及び/又は複数種の低結晶化度オレフィンは、互いに組み合わせて使用できる。
【0031】
ポリオレフィン類
【0032】
具体的実施形態において、熱可塑性ポリマー又は無極性熱可塑性ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、そのコポリマー類とその混合物、及びエチレン−プロピレン−ジエンターポリマーなどのポリオレフィンがある。いくつかの実施形態において、好ましいオレフィンポリマーとしては、米国特許第3,645,992号に記載されている均質ポリマー類;米国特許第4,076,698号に記載の高密度ポリエチレン(HDPE);均一に分枝して直鎖状のエチレン/αオレフィンコポリマー類;例えば米国特許第5,272,236号及び同第5,278,272号に開示されているプロセスによって製造できる(これら特許の開示事項は参照により本明細書に組み込まれるものである)、均一に分枝して実質的に直鎖状のエチレン/α−オレフィンポリマー類;ならびに低密度ポリエチレン(LDPE)などの高圧フリーラジカル重合で得られるエチレンポリマー類とコポリマー類がある。
【0033】
米国特許第6,566,446号、同第6,538,070号、同第6,448,341号、同第6,316,549号、同第6,111,023号、同第5,869,575号、同第5,844,045号又は同第5,677,383号に記載のポリマー組成物は、いくつかの実施形態にも適している。なお、これらの特許は全体として参照により本明細書に組み込まれるものである。勿論、ポリマーの混合物も使用できる。いくつかの実施形態では、その混合物は二種のチーグラー−ナッタポリマーを含んでいる。別の実施形態において、その混合物は、チーグラー−ナッタポリマーとメタロセンポリマーの混合物を含み得る。さらに別の実施形態では、本発明で使用されるポリマーが二種のメタロセンポリマーの混合物であってもよい。別の実施形態では、シングルサイト触媒から製造されるポリマーが使用され得る。さらに別の実施形態では、ブロックコポリマー又はマルチブロックコポリマーが本発明の実施形態で使用され得る。そのようなポリマーとしては、国際特許出願公開第2005/090427号(2004年3月7日付けで出願された米国特許出願第60/553,906号に優先権を有する)に記載され特許請求されているポリマーがある。
【0034】
したがって、選択された実施形態において、代表的なポリマーとしては、ポリプロピレン(耐衝撃性改質ポリプロピレン、アイソタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン及びランダムエチレン/プロピレンコポリマー類);各種タイプのポリエチレン(高圧フリーラジカルLDPE、チーグラーナッタLLDPEを含む);メタロセンPE(米国特許第6,545,088号、同第6,538,070号、同第6,566,446号、同第5,844,045号、同第5,869,575号及び同第6,448,341号に開示されている生成物ようなチーグラーナッタPEとメタロセンPEの反応体混合物(「in reactor」blend)である複数反応体PEを含む);エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレン/ビニルアルコールのコポリマー類;ポリスチレン;耐衝撃性改質ポリスチレン;ABS;スチレン/ブタジエンブロックコポリマー類及びその水素化誘導体(SBS及びSEBS)がある。
【0035】
いくつかの特定の実施形態において、ポリマーは、プロピレンベースのコポリマー又はインターポリマーである。いくつかの実施形態において、プロピレンベースのコポリマー又はインターポリマーは、実質的にアイソタクティックなプロピレンの配列を有することが特徴である。用語「実質的にアイソタクティックなプロピレンの配列」及び類似の用語は、その配列の13C NMRで測定したアイソタクティックトライアッド(isotactic triad)(mm)が、約0.85より大きく、好ましくは約0.90より大きく、より好ましくは約0.92より大きく、最も好ましくは約0.93より大きいことを意味する。アイソタクティックトライアッドは当分野で周知であり、例えば米国特許第5,504,172号及び国際特許出願公開第00/01745号に記載されており、13C NMRスペクトルで測定されるコポリマー分子の連鎖中のトライアッドユニットでアイソタクティック配列を示す。
【0036】
別の特定の実施形態では、その熱可塑性ポリマーはエチレン/酢酸ビニル(EVA)ベースのポリマーであってもよい。別の実施形態では、その熱可塑性ポリマーは、エチレン−アクリル酸メチル(EMA)ベースのポリマーであってもよい。別の特定の実施形態では、そのエチレン−αオレフィンコポリマーは、エチレン−ブテン、エチレン−ヘキセン又はエチレン−オクテンのコポリマー又はインターポリマーであってもよい。別の特定の実施形態では、プロピレン−αオレフィンコポリマーは、プロピレン−エチレン又はプロピレン−エチレン−ブテンのコポリマー又はインターポリマーであってもよい。
【0037】
別の実施形態で製造される分散液は、充填剤や添加剤を含有していることもある。さらに、本発明の実施形態は、以下に述べる、適切な密度及び/又は結晶化度を有するマルチブロックオレフィンインターポリマーを利用することもある。
【0038】
マルチブロックオレフィンインターポリマー
【0039】
上記のように、本明細書に開示される分散液の実施形態は、少なくとも一種のマルチブロックオレフィンインターポリマーを含み得るポリマー成分を含有し得る。下記定義によって、マルチブロックオレフィンインターポリマーをその他のオレフィンポリマーから区別する。
【0040】
用語「マルチブロックコポリマー」又は「セグメントコポリマー(segmented copolymer)」は、好ましくは直鎖状態で連結された二つ以上の化学的に異なる領域又はセグメント(「ブロック」と呼称する)を含むポリマー、すなわち側鎖もしくはグラフトの方式よりむしろ重合されるエチレン官能基の両端をつき合わせて連結されている化学的に異なる単位を含むポリマーを意味する。特定の実施形態では、そのブロックは、その中に組み込まれているコモノマーの量もしくはタイプ、密度、結晶化度の大きさ、ポリマーのそのような組成が原因と考えられる結晶の大きさ、タクチシチー(アイソタクティックもしくはシンジオタクティック)のタイプもしくは程度、領域の規則性もしくは不規則性、長い連鎖の分枝もしくは超分枝を含む分枝の量、均質性、又はその他の化学的もしくは物理的性質が異なる。
【0041】
マルチブロックコポリマーは、その製造プロセスが独特なものであるため、多分散性指数(PDI又はM/M)、ブロック長の分布及び/又はブロック数の分布が独特な分布であることが特徴である。より具体的に述べると、連続プロセスで製造される場合、そのポリマーの実施形態は、PDIが、約1.7から約8までの範囲内であり、別の実施形態では、約1.7から約3.5までであり、別の実施形態では、約1.7から約2.5までであり、そしてさらに別の実施形態では、約1.8から約2.5までもしくは約1.8から約2.1までであってもよい。バッチ又はセミバッチプロセスで製造される場合、ポリマーの実施形態は、PDIが、約1から約2.9までの範囲内であり、別の実施形態では約1.3から約2.5までであり、別の実施形態では約1.4から約2までであり、そしてさらに別の実施形態では約1.4から約1.8までであってもよい。
【0042】
マルチブロックオレフィンインターポリマーの一例は、エチレン/α−オレフィンブロックインターポリマーである。マルチブロックオレフィンインターポリマーのもう一つの例は、プロピレン/α−オレフィンインターポリマーである。以下の説明は、大部分のモノマーがエチレンであるインターポリマーに集中しているが、ポリマーの一般特性については、プロピレンベースのマルチブロックインターポリマーにも同様に当てはまる。
【0043】
エチレン/α−オレフィンマルチブロックインターポリマー(以後、「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」又はその変形と呼称する)は、エチレン及び一つ以上の共重合性α−オレフィンコモノマーを、重合された形態で含み、化学的性質もしくは物理的性質が異なる二つ以上の重合されたモノマー単位の複数の(すなわち2以上の)ブロックもしくはセグメントが特徴であり(ブロックインターポリマー)、好ましくはマルチブロックインターポリマーである。いくつかの実施形態において、マルチブロックインターポリマーは、下記式:
(AB)
(式中、nは少なくとも1であり、好ましくは1より大きい整数、例えば2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100又はそれより大きい整数であり、「A」は硬質のブロック又はセグメントを表し、そして「B」は軟質のブロック又はセグメントを表す)で表すことができる。好ましくは、AとBは、直鎖型で連結され、分枝型又は星型では連結されていない。「硬質」セグメントは、エチレンが、いくつかの実施形態では95重量%を超える量で存在し、別の実施形態では98重量%を超える量で存在する、重合された単位のブロックを意味する。換言すれば、硬質セグメント中のコモノマーの含有量は、いくつかの実施形態では、硬質セグメント全重量の5重量%未満であり、そして別の実施形態では、2重量%未満である。いくつかの実施形態では、硬質セグメントは、すべて又は実質的にすべてエチレンで構成されている。一方、「軟質」セグメントは、いくつかの実施形態では、コモノマーの含有量が軟質セグメントの全重量の5重量%を超える重合された単位のブロックを意味し、別の各種実施形態では、8重量%より大、10重量%より大又は15重量%より大である。軟質セグメント中のコモノマーの含有量は、いくつかの実施形態では20重量%より大であり、各種の別の実施形態では、25重量%より大、30重量%より大、35重量%より大、40重量%より大、45重量%より大、50重量%より大又は60重量%より大であってもよい。
【0044】
いくつかの実施形態で、AブロックとBブロックは、ポリマーの連鎖に沿ってランダムに分布している。換言すれば、ブロックコポリマーは下記のような構造ではない。
AAA−AA−BBB−BB
【0045】
別の実施形態では、ブロックコポリマーは、第三のブロックを含有していない。さらに別の実施形態では、AブロックもBブロックも、二種以上のセグメント(又はサブブロック)、例えばチップセグメントを含んでいない。
【0046】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、平均ブロック指数ABIが0より大で約1.0までの範囲内であり、分子量分布M/Mが約1.3より大きいことが特徴である。平均ブロック指数ASIは、5℃のインクリメントで20℃と110℃から行なった分離用TREF法(昇温溶離分別法)で得た各ポリマー画分のブロック指数(「BI」)の重量平均値である。すなわち
【数1】


(式中、BIは、分離用TREF法で得たエチレン/α−オレフィンインターポリマーのi番目の画分のブロック指数であり、wはi番目の画分の重量%値である)である。
【0047】
同様に、平均値の第二モーメントの平方根(以後、第二モーメント重量平均ブロック指数と呼称する)は以下のように定義できる。
【数2】

【0048】
各ポリマー画分のBIは二つの下記式の一方で定義される(二つの式は同じBI値を提供する)。
【数3】


上記式中、Tは、i番目の画分の分析用昇温溶離分別法(ATREF法)の溶離温度であり(好ましくはケルビンで表す)、Pはi番目の画分のエチレンのモル分率であり、下記のようにNMR又はIRで測定できる。PABは、全エチレン/α−オレフィンインターポリマーのエチレンのモル分率(分画する前)であり、これもNMR又はIRで測定できる。TとPは、ATREF法の溶離温度及び純「硬質セグメント」(インターポリマーの結晶セグメントを意味する)のエチレンのモル分率である。「硬質セグメント」の組成が不明のポリマーについて、又は近似値として、TとPの値は高密度ポリエチレンホモポリマーの値にしてある。
【0049】
ABは、マルチブロックインターポリマーと組成(エチレンのモル分率がPABである)及び分子量が同じランダムコポリマーのATREF法溶離温度である。TABは、下記式を利用して、エチレンのモル分率(NMRで測定)から計算できる。
LnPAB=α/TAB+β
上記式中、αとβは、多数の、広い組成のランダムコポリマーの十分に特徴付けられた分離用TREF法画分及び/又は狭い組成の十分に特徴付けられたランダムエチレンコポリマーを使用して、検定することによって測定できる二つの定数である。αとβは、機器ごとに変化することに留意すべきである。さらに、検量線を作成するため使用される分離用TREF法画分及び/又はランダムコポリマーの適切な分子量の範囲とコモノマーのタイプを利用して、対象のポリマー組成物で適切な検量曲線を作成する必要がある。僅かに分子量の影響がある。検量曲線が、類似の分子量の範囲から得られるときは、この影響はほとんど無視できる。いくつかの実施形態では、ランダムエチレンコポリマー及び/又はランダムコポリマーの分離用TREF法画分は下記の関係を満たす。
LnP=−237.83/TATREF+0.639
【0050】
上記検量式は、エチレンのモル分率Pと、狭い組成のランダムコポリマー及び/又は広い組成のランダムコポリマーの分離用TREF法画分の分析用TREF溶離温度TATREFとの関係を示している。Txoは、組成が同じでエチレンのモル分率がPであるランダムコポリマーのATREF法温度である。Txoは、LnP=α/Txo+βから計算できる。逆に、Pxoは、組成が同じでATREF法温度がTであるランダムコポリマーのエチレンのモル分率であり、Tは、Ln Pxo=α/T+βから計算できる。
【0051】
各分離用TREF法画分のブロック指数(BI)が得られたならば、全ポリマーに対する重量平均ブロック指数ABIが計算できる。いくつかの実施形態では、ABIはゼロより大であるが約0.4未満であるか又は約0.1から約0.3までである。別の実施形態では、ABIは約0.4より大で約1.0までである。ABIは、好ましくは、約0.4から約0.7までであり、約0.5から約0.7まで又は約0.6から約0.9までの範囲でなければならない。いくつかの実施形態では、ABIは、約0.3から約0.9まで、約0.3から約0.8まで又は約0.3から約0.7まで、約0.3から約0.6まで、約0.3から約0.5まで又は約0.3から約0.4までの範囲内である。別の実施形態では、ABIは、約0.4から約1.0まで、約0.5から約1.0まで又は約0.6から約1.0まで、約0.7から約1.0まで、約0.8から約1.0まで又は約0.9から約1.0までの範囲内である。
【0052】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーのもう一つの特徴は、そのエチレン/α−オレフィンインターポリマーが、分離用TREF法で得ることができ、ブロック指数が約0.1より大で約1.0までであり、分子量分布M/Mが約1.3より大きいポリマー画分を少なくとも一つ含有していることである。いくつかの実施形態では、そのポリマー画分は、ブロック指数が約0.6より大で約1.0まで、約0.7より大で約1.0まで、約0.8より大で約1.0まで又は約0.9より大で約1.0までである。別の実施形態では、そのポリマー画分は、ブロック指数が約0.1より大で約1.0まで、約0.2より大で約1.0まで、約0.3より大で約1.0まで、約0.4より大で約1.0まで又は約0.4より大で約1.0までである。さらに別の実施形態では、そのポリマー画分は、ブロック指数が約0.1より大で約0.5まで、約0.2より大で約0.5まで、約0.3より大で約0.5まで又は約0.4より大で約0.5までである。さらに別の実施形態では、そのポリマー画分は、ブロック指数が約0.2より大で約0.9まで、約0.3より大で約0.8まで、約0.4より大で約0.7まで又は約0.5より大で約0.6までである。
【0053】
平均ブロック指数と個々の画分のブロック指数に加えて、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、下記の特性の一つ以上を特徴とすることができる。
【0054】
一つの態様では、本発明の実施形態で使用されるエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、M/Mが約1.7から約3.5までで、少なくとも一つの融点T(℃)及び密度d(g/cm)を有し、これら変数の数値の関係は以下のとおりである。
>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)(いくつかの実施形態)、
≧−6288.1+13141(d)−6720.3(d)(別の実施形態)、及び
≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)(さらに別の実施形態)。
【0055】
密度が低下するにつれて融点が低下する従来のエチレン/α−オレフィンのランダムコポリマーと異なり、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、特に密度が約0.87g/ccと約0.95g/ccの間の値であるとき、密度とは実質的に無関係の融点を示す。例えば、そのようなポリマーの融点は、密度が0.875g/ccから約0.945g/ccまでの範囲内にあるとき、約110℃から約130℃までの範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、そのようなポリマーの融点は、密度が0.875g/ccから約0.945g/ccまでの範囲内にあるとき、約115℃から約125℃までの範囲内であり得る。
【0056】
別の態様で、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレンと一種以上のα−オレフィンを重合された形態で含有し、そして示差走査熱量測定法(「DSC」)の最高ピークの温度−結晶化分析分別法(「CRYSTAF」)の最高ピークの温度と定義されるΔT(℃)、融解熱ΔH(J/g)で特徴付けられ、ΔHが130J/gまでのとき、ΔTとΔHは下記の関係を満たしている。
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81(いくつかの実施形態)、
ΔT≧−0.1299(ΔH)+64.38(別の実施形態)、及び
ΔT≧−0.1299(ΔH)+65.95(さらに別の実施形態)。
さらに、ΔHが130J/gより大きいとき、ΔTは48℃以上である。CRYSTAFのピークは、累積ポリマー(cumulative polymer)の少なくとも5%を利用して測定され(すなわち、このピークは累積ポリマーの少なくとも5%を示すはずである)、そしてポリマーの5%未満が確認可能なCRYSTAFピークを有する場合は、CRYSTAF温度は30℃であり、そしてΔHは融解熱の数値(J/g)である。より好ましくは、最高のCRYSTAFピークは、少なくとも10%の累積ポリマーを含んでいる。
【0057】
さらに別の態様では、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、昇温溶離分別法(「TREF法」)を利用して分別した場合、40℃と130℃の間で溶離する分子画分を有してもよく、その画分は、コモノマーのモル含量が、同じ温度の範囲内で溶離するランダムエチレンインターポリマーの比較画分より高く、いくつかの実施形態では少なくとも5%高く、別の実施形態では少なくとも10%高いことが特徴であり、その比較ランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマーを含有し、ブロックインターポリマーの10%以内のメルトインデックス、密度及びコモノマーのモル含量(全ポリマーに対する)を有している。いくつかの実施形態では、比較インターポリマーのM/Mもブロックインターポリマーの10%以内であり及び/又は比較インターポリマーは、コモノマーの全含量がブロックインターポリマーの10重量%以内である。
【0058】
さらに別の態様で、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、その圧縮成形されたフィルムで測定される300%のストレインと1サイクルにおける弾性回復Re(%)で特徴付けられ、密度d(g/cm)を有し、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を有していないとき、Reとdの数値は下記の関係を満たしている。
Re>1481−1629(d)(いくつかの実施形態)、
Re≧1491−1629(d)(別の実施形態)、
Re≧1501−1629(d)(別の実施形態)、及び
Re≧1511−1629(d)(さらに別の実施形態)。
【0059】
いくつかの実施形態では、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、引張強さが10MPaを超え、別の実施形態では引張強さが11MPaより大であり、さらに別の実施形態では引張強さが13MPaより大であってもよい。いくつかの実施形態では、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、破断時伸びが、クロスヘッドの分離速度11cm/minにて、少なくとも600%であり、別の実施形態では、少なくとも700%であり、別の実施形態では、少なくとも800%であり、そしてさらに別の実施形態では、少なくとも900%であってもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、貯蔵弾性率比:G’(25℃)/G’(100℃)が1から50までであり、別の実施形態では1から20までであり、さらに別の実施形態では1から10までであってもよい。いくつかの実施形態では、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、70℃における圧縮永久歪は、80%未満であり、別の実施形態では70%未満であり、別の実施形態では60%未満でありそしてさらに別の実施形態では、圧縮永久歪は50%未満であり、40%未満であり、0%まで低下し得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、85℃における圧縮永久歪は、80%未満であり、別の実施形態では70%未満であり、別の実施形態では60%未満でありそしてさらに別の実施形態では、圧縮永久歪は50%未満であり、40%未満であり、0%まで低下し得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは融解熱が85J/g未満である。別の実施形態では、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、ペレットブロッキング強さが100pound/ft(4800Pa)以下であり、別の実施形態では、50lb/ft(2400Pa)以下であり、さらに別の実施形態では5lb/ft(240Pa)以下であり0lb/ft(0Pa)まで低くなり得る。
【0063】
別の実施形態では、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、重合された形態で、少なくとも50モル%のエチレンを含有し、70℃における圧縮永久歪が80%未満であり、別の実施形態では70%未満であり、別の実施形態では60%未満であり、そしてさらに別の実施形態では50%未満であり、40%未満であり及び0%まで低くなり得る。
【0064】
いくつかの実施形態で、本発明のマルチブロックコポリマーは、ポアソン分布よりむしろシュルツ−フローリー分布に適合したPDIを有してもよい。このコポリマーは、さらに、ブロックの多分散分布とブロックサイズの多分散分布の両方を有し、及びブロック長の最も確率の高い分布を有することを特徴とし得る。好ましいマルチブロックコポリマーは、端子ブロックを含むブロック又はセグメントを4個以上含有するコポリマーである。より好ましくは、このコポリマーは、端子ブロックを含むブロック又はセグメントを少なくとも5個、10個又は20個含有している。
【0065】
さらに、本発明のブロックインターポリマーは、追加の特徴又は特性を有し得る。一つの態様で、このインターポリマーは、好ましくは、重合した形態でエチレンと一個以上の共重合性コモノマーを含有し、化学的又は物理的特性が異なる2個以上の重合したモノマー単位の多数のブロック又はセグメント(ブロックされたインターポリマー)を特徴としており、最も好ましくはマルチブロックコポリマーであり、本発明のブロックインターポリマーは、TREF法を使って分画すると40℃と130℃の間で溶離する分子画分を有し、その画分は、コモノマーのモル含量が、同じ温度の範囲で溶離する比較ランダムエチレンインターポリマー画分より高く、いくつかの実施形態では少なくとも5%高く、別の実施形態では少なくとも10%高いことを特徴とし、その比較ランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマーを含有し、メルトインデックス、密度及びコモノマーのモル含有量(全ポリマーに対する)はブロックされたインターポリマーの10%以内である。比較インターポリマーのM/Mも、ブロックされたインターポリマーの10%以内であり及び/又はその比較インターポリマーが有するコモノマーの合計含量がブロックされたインターポリマーの10重量%以内であってもよい。
【0066】
コモノマーの含量は任意の適切な方法で測定できるが、核磁気共鳴(NMR)分光学に基づいた方法が好ましい。さらに、比較的広いTREF曲線を有するポリマー又はその混合物の場合、そのポリマーは最初、TREFを使って、溶離温度の範囲が10℃以下の各画分に分画される。すなわち各溶離画分の収集温度の範囲(window)は10℃以下である。この方法を利用すると、ブロックインターポリマーは、コモノマーのモル含量が、対応する比較インターポリマーの画分より高い画分を少なくとも一つ有している。
【0067】
コモノマーの含量は任意の適切な方法で測定できるが、核磁気共鳴(NMR)分光学に基づいた方法が好ましい。この方法を利用すると、ブロックされたインターポリマーは、コモノマーのモル含量が、対応する比較インターポリマーより高い。
【0068】
いくつかの実施形態では、エチレンと1−オクテンのインターポリマーの場合、そのブロックインターポリマーは、40℃と130℃の間で溶離するTREF法画分のコモノマー含量が、式(−0.2013)*T+20.07(式中、Tは、比較されるTREF法画分の℃で測定したピーク溶離温度の数値である)で表される量以上であってもよい。別の実施形態では、40℃と130℃の間で溶離するTREF法画分のコモノマー含量は、式(−0.2013)*T+21.07で表される量以上であってもよい。
【0069】
結晶化度が高いインターポリマーは、特に高い重量平均分子量Mを有してもよく、例えばいくつかの実施形態では、下限の15,000g/mol、30,000g/mol、好ましくは50,000g/molから上限の約5,000,000g/mol、好ましくは約2,500,000g/mol及び特に約1,000,000g/molまでであり、別の実施形態では、1,000g/molから1,000,000g/molまでであり、別の実施形態では、10,000g/molから500,000g/molまでであり、そしてさらに別の実施形態では、10,000g/molから300,000g/molまでである。例えば、結晶化度が約55%以上で、Mが約15,000から約1,000,000g/molまでのポリオレフィンポリマーが特に好ましい。特定の実施形態では、結晶化度の高いポリオレフィンを使用すると、そのエチレン/α−オレフィンポリマーの密度は、0.915g/cmから0.99g/cmまで又は0.925g/cmから0.97g/cmまでであってもよい。
【0070】
上記ポリマーの製造プロセスは、以下の特許出願すなわち、2004年3月17日付け出願の米国仮特許出願第60/553,906号、2005年3月17日付け出願の米国仮特許出願第60/662,937号、2005年3月17日付け出願の米国仮特許出願第60/662,939号、2005年3月17日付け出願の米国仮特許出願第60/662,938号、2005年3月17日付け出願の国際特許出願公開第2005/90425号、2005年3月17日付け出願の国際特許出願公開第2005/90427号、及び2005年3月17日付け出願の国際特許出願第PCT/US2005/008917号に開示されており、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0071】
分散剤
【0072】
本発明の実施形態では、安定な分散液又は乳濁液の生成を促進するため分散剤(又は安定剤)を使用する。選択された実施形態では、安定剤は、界面活性剤、ポリマー(先に詳述したベースポリマーとは異なる)又はその混合物であってもよい。特定の実施形態では、そのポリマーは極性ポリマーであり、コモノマー又はグラフトされたモノマーのような極性基を有してもよい。好ましい実施形態では、安定剤は、コモノマー又はグラフトされたモノマーのような極性基を有する、一種以上の極性ポリオレフィンを含有している。例えば、分散剤は、エチレン/α−β不飽和カルボン酸のコポリマーを含有してもよい。いくつかの実施形態では、エチレン/α−β不飽和カルボン酸のコポリマーは、エチレン−酸コポリマー、例えばエチレン−アクリル酸コポリマー又はエチレン−メタクリル酸コポリマーを含有してもよい。
【0073】
典型的なポリマーとしては、エチレン−アクリル酸(EAA)コポリマーとエチレン−メタクリル酸コポリマーがあり、例えば、PRIMACOR(登録商標)(The Dow Chemical Companyの登録商標)、NUCREL(商標)(E.I.DuPont deNemoursの商標)及びESCOR(商標)(ExxonMobilの商標)で入手できるもの、及び米国特許第4,599,392号、同第4,988,781号及び同第5,938,437号に記載されているものがある。なおこれら特許は全体として参照により本明細書に組み込まれるものである。他のポリマーとしては、エチレン−アクリル酸エチル(EEA)コポリマー、エチレン−メタクリル酸メチル(EMMA)及びエチレン−アクリル酸ブチル(EBA)がある。その他のエチレン−カルボン酸コポリマーも使用できる。当業者には、多数の他の有用なポリマーも使用できることが分かるであろう。
【0074】
使用できる他の界面活性剤としては、12−60個の炭素原子を有する長連鎖の脂肪酸又は脂肪酸塩がある。別の実施形態では、その長連鎖脂肪酸又は脂肪酸塩は12−40個の炭素原子を含有している。
【0075】
ポリマーの極性基が自然の状態で酸性又は塩基性であるとき、その安定化ポリマーは、中和剤で部分的に又は完全に中和して対応する塩を形成することができる。特定の実施形態では、長連鎖脂肪酸又はEAAなどの安定剤の中和は、モルベースで25%から200%までであり、別の実施形態では、モルベースで50%から110%までである。例えば、EAAの場合、中和剤は、塩基であり、例えば水酸化アンモニウム又は水酸化カリウムがある。他の中和剤としては、例えば水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムがある。配合された特定の組成物によって適切な中和剤を選択するということ及びこのような選択は当業者の知識の範囲内であるということは、当業者には分かっているであろう。
【0076】
本発明を実行するのに有用であり得る追加の界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、双性イオン界面活性剤又は非イオン界面活性剤がある。アニオン界面活性剤の例としては、スルフォネート類、カルボキシレート類及びホスフェート類がある。カチオン界面活性剤の例としては第四級アミン類がある。非イオン界面活性剤の例としては、エチレンオキシドを含有するブロックコポリマー類及びシリコーンの界面活性剤がある。本発明を実行するのに有用な界面活性剤は外部(external)界面活性剤又は内部(internal)界面活性剤であり得る。外部界面活性剤は、分散液を調製中に、ポリマーと化学的に反応するようにならない界面活性剤である。ここで有用な外部界面活性剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸の塩及びラウリルスルホン酸の塩がある。内部界面活性剤は、分散液を調製中に、ポリマーと化学的に反応するようになる界面活性剤である。ここで有用な内部部界面活性剤の例としては、2,2−ジメチロールプロピオン酸及びその塩がある。
【0077】
特定の実施形態では、分散剤又は安定剤は、使用されるベースポリマー(又はベースポリマーの混合物)の量に対してゼロ重量%より大で約60重量%までの範囲の量で使用できる。例えば、長連鎖の脂肪酸又はその塩は、ベースポリマーの量に対して0.5重量%から10重量%までの範囲の量で使用できる。別の実施形態では、エチレン−アクリル酸又はエチレン−メタクリル酸のコポリマーを、ポリマーに対して0.5重量%から60重量%までの量で使用できる。さらに別の実施形態では、スルホン酸の塩を、ベースポリマーの量に対して0.5重量%から10重量%までの量で使用できる。
【0078】
使用される安定剤のタイプと量は、その分散液を混合して製造されるセルロースベースの製品の最終性質に影響することがある。例えば、耐油脂性が改善された製品は、エチレン−アクリル酸コポリマー又はエチレン−メタクリル酸コポリマーをベースポリマーの合計量に対して約10重量%から約50重量%までの量で含有する界面活性剤パッケージに利用できる。類似の界面活性剤パッケージは、改善された強さ又は柔らかさが所望の最終性質であれば使用できる。別の例として、水や湿気に対する耐性が改善された製品は、ベースポリマーの合計量に対して、長連鎖脂肪酸を0.5重量%から5重量%まで、又はエチレン−アクリル酸コポリマーを10重量%から50重量%までの量で利用する界面活性剤パッケージに使用できる。別の実施形態では、界面活性剤又は安定剤の最低量はベースポリマーの合計量に対して少なくとも1重量%でなければならない。
【0079】
添加剤
【0080】
添加剤は、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の分散液に使用されるベースポリマー、分散剤又は充填剤とともに使用できる。例えば、添加剤としては、湿潤剤、界面活性剤、帯電防止剤、消泡剤、粘着防止剤、ワックス分散顔料、中和剤、増粘剤、相溶化剤、増白剤、流動性改良剤、殺生物剤、殺カビ剤、せん断安定剤、紫外線安定剤,摩擦係数改良剤及び当業者に公知の他の添加剤がある。
【0081】
例えば、本発明の配合物は、界面活性剤、発泡剤、分散剤、増粘剤、難燃剤、顔料、静電防止剤、強化用繊維、消泡剤、粘着防止剤、ワックス分散剤、酸化防止剤、中和剤、流動性改良剤、保存剤、殺生物剤、酸掃去剤、湿潤剤などを含有し得る。本発明の目的を達成するため場合によっては、他の成分が製造プロセス中又は製造プロセスの後の製品の安定性に、非常に有利な場合がある。
【0082】
さらに、本発明の実施形態は、随意に充填剤湿潤剤を含んでいる。充填剤湿潤剤は、一般に、充填剤とポリオレフィン分散液を一層適合させる働きがあり得る。有用な湿潤剤としては、リン酸塩、例えばヘキサメタリン酸ナトリウムがある。充填剤湿潤剤は、本発明の組成物に、充填剤の100重量部当たり少なくとも約0.5重量部の濃度で含有させることができる。
【0083】
さらに、本発明の実施形態は、増粘剤を随意に含有させることができる。増粘剤は、本発明において、低粘度の分散液の粘度を増大するのに有用であり得る。本発明を実行する際に使用するのに適切な増粘剤は、いずれも当分野では公知であるが、例えばポリアクリレートタイプ又はアソシエート非イオン性の増粘剤、例えば改質セルロースエーテル類がある。例えば、適切な増粘剤としては、ALCOGUM(商標)VEP−II(Alco Chemical Corporationの商標)、RHEOVIS(商標)及びVISCALEX(商標)(Ciba Geigyの商標)、UCAR(登録商標)Thickener 146又はETHOCEL(商標)もしくはMETHOCEL(商標)(The Dow Chemical Companyの商標)、ならびにPARAGUM(商標)241(ParaChem Southern,Inc.の商標)又はBERMACOL(商標)(Akzo Nobelの商標)又はAQUALON(商標)(Herculesの商標)又はACUSOL(登録商標)(Rohm and Haasの商標)がある。増粘剤は、所望の粘度の分散液を調製するのに必要などのような量でも使用できる。
【0084】
したがって、分散液の最終粘度は調節可能である。増粘剤は、充填剤の総量を含有する分散液に、通常の手段で添加して必要な粘度にすることができる。そのような分散液の粘度は、増粘剤の中程度の添加によって(ポリマー分散液100phrに対して4%までで好ましくは3%未満)、+3000cP(Brookfield spindle4,20rpm)に到達させることができる。上記のような出発ポリマー分散液は、充填剤や添加剤を配合する前の初期粘度は、20cPと1000cPの間の値である(spindle RV3を使用し50rpmで室温にて測定したBrookfield粘度)。分散液の出発粘度は、より好ましくは、約100cPと約600cPの間の値である。
【0085】
また、本発明の実施形態は、充填剤がポリマー/安定剤に添加されるときの安定性が特徴である。この場合、安定性とは、生成する水性オレフィン分散液の粘度の安定性を意味する。安定性を検査するため、粘度をある期間にわたって測定する。好ましくは、20℃で測定した粘度が、周囲温度で貯蔵したとき、24時間にわたって、元の粘度の±10%に保持されねばならない。
【0086】
充填剤
【0087】
本明細書に開示される分散液の実施形態は、その組成の一部として充填剤を含有し得る。ポリオレフィン分散液への適切な充填剤充填量は、ポリオレフィン100量部当たり約ゼロ量部から約600量部までの量である。特定の実施形態では、分散液への充填剤充填量は、ポリオレフィンと分散剤の混合量100量部当たり約ゼロ量部から約200量部までの充填剤量であってもよい。
【0088】
充填剤の材料としては、通常の充填剤、例えばミルドグラス、炭酸カルシウム、アルミニウム三水和物、タルク、三酸化アンチモン、フライアッシュ、クレー(例えばベントナイト又はカオリンのクレーなど)、二酸化チタン、ゼオライト類、粉末金属、有機もしくは無機の繊維(炭素繊維類、チッ化ケイ素繊維類を含む)、スチールワイヤもしくはスチールメッシュ及びナイロンもしくはポリエステルのコーディング、ナノサイズの粒子、粘着付与剤、パラフィン系もしくはナフテレン系油を含むエキステンダー油、その他の公知の充填剤がある。
【0089】
当業者は、上記リストが適切なポリマーの非包括的なリストであることは分かるであろう。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定されることが分かるであろう。
【0090】
分散液の配合物
【0091】
本明細書に開示される実施形態によって調製される分散液は、高結晶化度のポリオレフィンを含むベースポリマー及び少なくとも一種の極性ポリオレフィンを含有し得る分散剤を含有し得る。好ましい実施形態では、EAAを分散剤として使用する場合、ポリマー/EAAの比率は、好ましくは50:50と90:10の間の比率であり、そして脂肪酸の界面活性剤を分散剤として使用する場合、ポリマー/脂肪酸の比率は、好ましくは97:3と94:6の間の比率である。
【0092】
高結晶化度のポリオレフィンと分散剤については、いくつかの実施形態では、高結晶化度のポリオレフィンは、組成物中のベースポリマーと分散剤の合計量の約30重量%と約99重量%の間の量を占めてもよい。別の実施形態では、高結晶化度のポリオレフィンは、組成物中のベースポリマーと分散剤の合計量の約50%と約90%の間の量を占めている。さらに別の実施形態では、高結晶化度のポリオレフィンは、組成物中のベースポリマーと分散剤の合計量の約60%と約80%の間の量を占めている。
【0093】
高結晶化度のポリオレフィンは、水性分散液中に、約1重量%から約96重量%までの量で含まれている。いくつかの実施形態では、高結晶化度のポリオレフィンは、水性分散液中に、約10重量%から約80重量%までの量で含まれている。別の実施形態では、高結晶化度のポリオレフィンは、約20重量%から約70重量%までの量で存在し、さらに別の実施形態では、約30重量%から約60重量%までの量で存在している。
【0094】
本明細書に開示されている実施形態に従って調製される分散液は、高結晶化度のポリオレフィンを含み得るベースポリマー、少なくとも一種の低結晶化度のポリオレフィンを含み得る第二ポリマー成分、及び分散剤を含有し得る。いくつかの実施形態で、高結晶化度ポリオレフィンは、組成物中のベースポリマー、第二ポリマー及び分散剤の合計量の約30重量%から95重量%までを占めてもよい。高結晶化度のポリオレフィンは、別の実施形態では、約50重量%と約80重量%の間を占め、さらに別の実施形態では、約60重量%と約70重量%の間を占めてもよい。いくつかの実施形態で、第二ポリマー成分は、組成物中のベースポリマー、第二ポリマー及び分散剤の合計量の約1重量%から48重量%までを占めてもよい。第二ポリマー成分は、別の実施形態では、5重量%から30重量%までを占め、さらに別の実施形態では、10重量%から25重量%までを占めてもよい。
【0095】
高結晶化度ポリオレフィン分散液から得られる利益は、高結晶化度ポリオレフィンが、分散液中の少量成分として使用される場合でも実現できる。したがって、本明細書に開示される他の実施形態によって調製される分散液は、低結晶化度ポリオレフィンを含み得るベースポリマー、高結晶化度ポリオレフィンを含み得る第二ポリマー成分、及び分散剤を含有し得る。いくつかの実施形態では、そのベースポリマーは、組成物中のベースポリマー、高結晶化度ポリオレフィン及び分散剤の合計量の約30重量%から95重量%までを占めてもよい。別の実施形態では、ベースポリマーは約50重量%から約80重量%までを占め、さらに別の実施形態では、約60重量%から約70重量%までを占めてもよい。別の実施形態では、高結晶化度ポリオレフィン成分は、組成物中のベースポリマー、高結晶化度ポリオレフィン及び分散剤の合計量の約1重量%から48重量%までを占めてもよい。別の実施形態では、高結晶化度ポリオレフィン成分は、5重量%から30重量%までを占め、さらに別の実施形態では、10重量%から25重量%までを占めてもよい。
【0096】
充填剤については、一般に、ポリマー(ここではポリマーは、第二ポリマー(存在する場合)と混合した高結晶化度ポリオレフィン及び分散剤を意味する)100量部当たり約ゼロ量部より多い量から約1000量部までの量が使用される。選択された実施形態では、ポリマー100量部当たり約50量部と約250量部の間の量で使用される。別の選択された実施形態では、ポリマー100量部当たり約10量部と約500量部の間の量で使用される。さらに別の実施形態では、ポリマー100量部当たり約20量部と400量部の間の量で使用される。別の実施形態では、100量部当たり約0量部と約200量部の間の量で使用される。
【0097】
固体材料(高結晶化度ポリオレフィン+第二ポリマー(存在する場合)+分散剤)は、好ましくは水中に分散される。好ましい実施形態では、生成した分散液を中和するのに十分な中和剤を添加して、約4と約14の間のpH範囲を達成する。好ましい実施形態では、十分な塩基を添加して、pHを約6と約11の間に保持し、別の実施形態では、pHは約8と約10.5の間の値である。分散液の含水量は好ましくは、固体の含有量が約1容量%と約74容量%の間になるように制御される。別の実施形態では、固体の含有量は、約25容量%と約74容量%の間の量である。特定の実施形態では、固体の範囲は、約10重量%と約70重量%の間の量である。別の特定の実施形態では、固体の範囲は、約20重量%と約60重量%の間の量である。特に好ましい実施形態では、固体の範囲は、約30重量%と約55重量%の間の量である。
【0098】
本発明の実施形態によって調製される分散液は、平均粒径が約0.1ミクロンから約5.0ミクロンまでであることが特徴である。別の実施形態では、分散液は平均粒径が約0.5μmから約2.7μmまでである。別の実施形態では、約0.8μmから約1.2μmまでである。「平均粒径」は、本発明では、容積平均粒径を意味する。粒径を測定するために、例えばレーザー回折法が使用される。この説明における粒径は、分散液中のポリマーの直径を意味する。球形でないポリマー粒子の場合、粒子の直径は、その粒子の長軸と短軸の平均値である。粒径は、Beckman−Coulter LS230レーザー回折粒径分析器又はその他の適切な装置、例えばDOWM 102 E06Aで測定できる。
【0099】
この開示によって調製された分散液から得られるコーティングは、優れた防湿性、撥水性、耐油性と耐脂性、紙ならびにその他の天然及び合成の基材、例えば金属、木材、ガラス、合成繊維と合成フィルム及び織布と不織布などに対する熱接着性を示す。
【0100】
本明細書に開示されている水性分散液は、コーティング、泡として使用することができ、発泡体ならびに各種基材特に段ボール箱及びBOPPやポリエステルやポリアミドのフィルムなどのプラスチックフィルムを結合及び密封するのに使用する接着剤などの製品として使用できる。本発明の水性分散液は、塗工紙、板紙、壁紙又はその他のセルロースベースの製品に使用するコーティング又はインクの組成物の結合剤などの用途に使用できる。その水性分散液は、各種の方法、例えばスプレーコーティング、カーテンコーティング、ロールコーターもしくはグラビアコーターによるコーティング、ブラシコーティング又は浸漬によってコートできる。そのコーティングは、好ましくは、そのコートされた基材を、70℃−150℃にて1秒−300秒加熱することによって乾燥される。
【0101】
本明細書に開示されている添加剤組成物に混合できる水性分散液の例は、例えば、米国特許出願公開第2005/0100754号、同第2005/0192365号、国際特許出願公開第2005/021638号及び同第2005/021622号に開示されており、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0102】
本明細書に開示されている水性分散液から製造される発泡体のいくつかの実施形態は、80℃、20分間及び0.5psig(4.4kPag)という試験条件での下記定義の圧縮永久歪値が、80%未満であってもよい。別の実施形態では、発泡体は、圧縮永久歪が70%未満であり、別の実施形態では65%未満であり、さらに別の実施形態では60%未満であってもよい。
【0103】
本明細書に開示されている水性分散液から製造される発泡体のいくつかの実施形態は、80℃、20分間及び0.25psig(1.7kPag)という試験条件での下記定義の圧縮永久歪値が、70%未満であってもよい。別の実施形態では、発泡体は、圧縮永久歪が60%未満であり、別の実施形態では55%未満であり、さらに別の実施形態では50%未満であってもよい。
【0104】
本明細書に開示されている水性分散液から製造される発泡体のいくつかの実施形態は、80℃、20分間及び0.1psig(0.69kPag)という試験条件での下記定義の圧縮永久歪値が、60%未満であってもよい。別の実施形態では、発泡体は、圧縮永久歪が50%未満であり、別の実施形態では45%未満であり、さらに別の実施形態では40%未満であってもよい。
【0105】
分散液の調製(Forming the Dispersion)
【0106】
本発明の分散液は、当業者が知っているいくつかの方法で調製できる。選択された実施形態では、分散液は、例えば、国際特許出願公開第2005/021638号に記載の手順による方法を利用して調製できる。なおこの特許出願は全体として参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0107】
特定の実施形態で、高結晶化度ポリオレフィンと分散剤を、水と中和剤とともに溶融混練して分散液を調製できる。当業者は、その他の多種類の中和剤を使用できることは分かるであろう。いくつかの実施形態では、ベースポリマーと分散剤を混合した後、充填剤を添加できる。いくつかの実施形態では、分散液は、最初に希釈して、含水量を約1重量%から約3重量%までにし、続いてさらに希釈して、含水量を約25重量%より大きくする。
【0108】
当分野で公知の任意の溶融混練手段を使用できる。いくつかの実施形態では、混練機、BANBURY(登録商標)mixer、一軸スクリュー押出機又は多軸スクリュー押出機が使用される。本発明による分散液の製造プロセスは、特に限定されることはない。一つの好ましいプロセスは、例えば、米国特許第5,756,659号及び同第6,455,636号に従って、上記成分を溶融混練するステップを含むプロセスである。
【0109】
ここで図1を参照すると、ポリマー分散液を製造する押出装置の概略図が示されている。押出機1、例えば二軸スクリュー押出機が、圧力制御装置2、例えば、限定されないが圧力調節弁、背圧調節器、メルトポンプ、ギヤポンプなどに連結され得る。それぞれポンプ(図示していない)を具備する中和剤の貯槽3と初期水の貯槽4も設置され得る。所要量の中和剤と初期水がそれぞれ、中和剤の貯槽3と初期水の貯槽4から提供される。任意の適切なポンプを利用できるが、いくつかの実施形態では、圧力3480psig(240バール、24MPag)で所要の流量を提供するポンプを使用して、中和剤と初期水を押出機20に提供する。別の実施形態では、液体射出ポンプが、2900psig(200バール、20MPag)又は1930psig(133バール、13.3MPag)で必要な流量を提供する。いくつかの実施形態では、中和剤と初期水が予熱器で予熱される。
【0110】
例えば、ペレット、粉末、又はフレークの形状のポリマー樹脂が、フィーダー7から押出機1の入口8に供給され得、その押出機で、樹脂は溶融されすなわち混合される。分散剤は、一般に押出機に樹脂とともに添加されるが、二軸スクリュー押出機1に別個に供給することができる。その溶融樹脂を次に、押出機の混合輸送領域から乳化領域に送り、その領域で、初期量の水と中和剤を貯槽3と4から入口5を通じて添加する。その乳化された混合物は、さらに、押出機1の希釈及び冷却領域において、貯槽6から入口9を通じて追加の水で希釈される。一般に、分散液は、前記冷却領域において、含水量が少なくとも30重量%になるまで希釈される。
【0111】
いくつかの実施形態では、分散剤は水流に、追加して又は排他的に添加され得る。いくつかの実施形態では前記乳化された混合物を、さらに、押出機1の希釈及び冷却領域において、貯槽6から入口9を通じて追加の水で希釈する。一般に、分散液は、冷却領域で、含水量が少なくとも30重量%になるまで希釈される。さらに、その希釈混合物は、所望の希釈レベルが得られるまで、何回でも希釈できる。いくつかの実施形態では、水は二軸スクリュー押出機1中に添加されることなく、溶融樹脂が押出機から放出された後、その溶融樹脂を含む流れに添加される。
【0112】
ここで図2を参照すると、本明細書に開示されている実施形態で使用される押出システムの概略図が示されている。押出機30、例えば二軸スクリュー押出機が、押出機の排出圧を制御する制御弁32に連結されている。いくつかの実施形態では、制御弁32はVボール制御弁である。別の実施形態では、制御弁32はマイクロノッチVボール制御弁であってもよい。
【0113】
各々ポンプを備えている(図示していない)中和剤の貯槽34と初期分散媒体の貯槽36も設置されている。所望の量の中和剤と初期分散媒体がそれぞれ、中和剤の貯槽34と初期水の貯槽36から提供される。
【0114】
例えばペレット、粉末又はフレークの形状のポリマー樹脂が、押出機30のフィーダー37から入口38に供給され得る。分散剤は、一般に、押出機に樹脂とともに加えられるが、二軸スクリュー押出機30に別個に供給することもある。次いでそのポリマーと分散剤は、溶融及び混合されて、スクリュー40によって混合及び輸送領域42に輸送される。
【0115】
その溶融樹脂は、次に、押出機の混合及び輸送領域から高内相エマルジョン生成領域43(high internal phase emulsion creation zone)(本明細書では「HIPE領域」と呼称する)に送られる。そのHIPE領域において、初期量の分散媒体及び中和剤が、貯槽34と36から入口44を通じて添加される。
【0116】
HIPE領域43において、混合物成分の界面化学作用、中和剤の物質移動、ならびにスクリュー40によって行なわれる、応力、ひずみ及び経路の振動数を含む分布及び分散混合によって、分散液の粒径が形成される。
【0117】
その乳化混合物は、さらに、押出機30の希釈領域52の貯槽50から一つ以上の入口46、47、48を通じて追加の分散媒体で希釈され得る。一般に、分散液は、希釈領域52において、分散媒体が少なくとも30重量%になるまで希釈される。希釈領域52において、分散粒子のパッキングフラクション(packing fraction)及び混合物の粘度は低下する。例えば、粘度は、約10センチポワズから約10センチポワズまで低下し得る。
【0118】
冷却領域54が、押出機30の出口の近くのスクリュー40の末端の方に配置され得る。分散混合物と冷却媒体の間の熱交換(図示していない)を行なう冷却領域54を利用して、分散混合物を、分散媒体の沸点より低い温度まで冷却し得る。例えば、分散媒体が水であるとき、分散混合物は、約100℃より低い温度まで冷却され得る。分散混合物の温度を下げると、蒸発による分散媒体の望ましくない損失なしで混合物をさらに処理することができる。
【0119】
次に、その冷却された分散液を押出機30から出口56を通じて放出させ得る。出口56は、先に述べたように、制御弁32に連結され、押出機の排圧を制御し続ける。
【0120】
いくつかの実施形態では、スクリュー40及び押出機30の内部に、一つ以上の回転制限オリフィス(rotating restriction orifice)58がスクリュー40に沿って配置され得る。制御弁32に加えて、回転制限オリフィス58によって、分散液製造プロセスの安定性が改善され得る。別の実施形態では、回転しない制限オリフィス(図示していない)が使用され得る。
【0121】
いくつかの実施形態で、スクリュー40は、高度混合混練ディスク60も備え得る。この高度混合混練ディスク60に加えて、先に開示した押出装置の実施形態は自由体積の小さい混練ディスク62も備えており、このディスクは、押出機30を使って製造される分散液の容積重み付け(volume weighted)粒径分布を最小限にすることができる。
【0122】
押出装置の別の実施形態では、リバースエレメントを除いて望ましくない逆混合を防止し得る。さらに、いくつかの実施形態では、メルトシールを、HIPE領域の上流に直接配置し得る。
【0123】
図2に示されているように、HIPE領域43は長さを変えることができる。供給組成物(例えば、ポリマー、分散剤、中和剤など)によって、HIPE領域を長くしたり又は短くすることが望ましい場合がある。複数の分散媒体注入点46、47、48を設けて、必要に応じて、HIPE領域を延長したり又は短縮することができる。分散ポリマー粒子の粒径はHIPE領域で形成されるので、望ましい粒子径を得るには、適切に混合しなければならない。HIPE領域の長さを変えることができると、より広範囲のポリマーを単一の押出機で処理することができ、他の利点もあるが、とりわけプロセスの融通性が得られる。
【0124】
例えば、二軸スクリュー押出機のバレル、スクリュー及び希釈媒体の注入点は、脂肪酸の分散液を製造するとき、HIPE領域の長さ/直径(L/D)が少なくとも20であり、及びEEAの分散液を製造するとき、HIPE領域のL/Dが少なくとも16であってもよい。さらに、二軸スクリュー押出機のバレル、スクリュー及び希釈媒体の注入点は、脂肪酸の分散液を製造するとき、第一希釈領域のL/Dが少なくとも4であり、及びEEAの分散液を製造するとき、第一希釈領域のL/Dが少なくとも8であってもよい。
【0125】
上記装置は、分散液を製造するのに使用することができ、いくつかの実施形態では、そのポリマー供給量は約50lb/hから約2000lb/hまで(約22kg/hから約907kg/hまで)の範囲であってもよい。別の実施形態では、ポリマー供給量は約100から約1000lb/hまで(約45kg/hと約454kg/hの間の値)の範囲であってもよい。
【0126】
別の実施形態では、スクリュー回転数は、約300rpmから約1200rpmまでの範囲であってもよい。さらに別の実施形態では、押出機の吐出圧は、約300psigから約800psigまで(約21バールから約56バールまで)の範囲の圧力で維持され得る。
【0127】
上記押出装置は、ポリマー分散液を製造するのに使用できる。そのポリマー分散液は、いくつかの実施形態では、どの熱可塑性ポリマーからでも製造することができ、別の実施形態ではポリオレフィンから、そして別の実施形態では、エチレンベースのポリマー又はプロピレンベースのポリマーから製造できる。選択された実施形態では、上記押出装置は、エチレンベース及びプロピレンベースのポリマー、コポリマー、インターポリマー及びマルチブロックインターポリマーを含むポリオレフィン類の水性分散液を製造するのに有用であり得る。
【0128】
特に、ポリオレフィン分散液は、基材に塗布すると、耐水性と耐薬品性、ヒートシール適性、ポリオレフィン基材に対する接着性、低温可撓性を付与し得る。さらに、広範囲のポリオレフィン類が、広範囲の硬度と耐熱性を有する分散液とコーティングを製造するための原料を提供し得る。また、大部分のポリオレフィン類は、食品への直接接触を許容する各種の規定を満たしている。
【0129】
上記ポリオレフィン分散液の製造プロセスは、発泡やスプレー乾燥などの、発泡体、フィルム、コーティング、粉末及びその他の付加価値製品を作りだす下流の各種プロセスとともに実行できる。さらに、この分散液は、他のポリオレフィン系部材、例えば繊維及びフィルムと相乗効果を発揮し得る。
【0130】
特定の実施形態では、本発明の分散液を、泡の形状(form of foam)で利用するのが望ましい場合がある。泡を作る場合、分散液を泡立てることが好ましいことが多い。例えば、泡は、国際特許出願公開第2005/021622号に記載されているようにして製造できる。なおこの特許出願は全体として参照により本明細書に組み込まれるものである。この発明を実施する場合、気体を泡立剤(frothing agent)として使用することが好ましい。適切な泡立て剤の例としては、空気、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの気体及び/又はその混合物がある。空気を泡立て剤として使用することが特に好ましい。泡立て剤は、一般に、気体を液体中に、機械的に導入することによって導入されて泡を作成する。この方法は機械的泡立て方法として公知である。泡立てた分散液を調製する場合、OAKES、MONDO又はFIRESTONEの泡立て器などの装置を利用して、すべての成分を混合し次いでその混合物中に空気又は気体を混合することが好ましい。
【0131】
安定な泡を調製するのに有用な界面活性剤は、本明細書では、泡安定剤と呼称する。泡安定剤は、本発明を実行するのに有用である。当分野の当業者は、多くの泡安定剤を利用できることが分かっているであろう。泡安定剤としては、例えば、サルフェート類、サクシナメート(succinamate)類及びスルホサクシナメート類がある。
【実施例】
【0132】
高結晶化度ポリオレフィンの分散性を試験するため、多種類の分散液を配合してその特性を測定する。最初の試験として、安定剤としてEAAを使用し7種類の分散液を調製する。具体的に述べると、密度が約0.958g/cm(ASTM D−792)、メルトインデックスが13.5g/10min(125℃及び2.16kgにてASTM D1238に従って測定)、M/Mが約3.7及び融点が約77℃(走査速度約10℃/minにてDSCで測定)で、アクリル酸含量が20.5重量%の熱可塑性エチレン/アクリル酸コポリマー、ならびに市販されているPRIMACOR 5980I(米国ミシガン州ミッドランド所在のThe Dow Chemical Companyから市販されている)を安定剤として使用して、70/30のポリマー/安定剤混合物を調製する。
【0133】
ベースポリマーとしては、AFFINITY EG8150G(密度0.868g/cc、MI 0.5g/10min)、AFFINITY EG8100G(密度0.870g/cc、MI 1g/10min)、AFFINITY PL1280G(密度0.900g/cc、MI 6.00)、DOWLEX 2035(密度0.919g/cc、MI 6g/10min)、DOWLEX 2027G(密度0.941g/cc、MI 4g/10min)、エチレン/1−ヘキセンコポリマーDMDA−8907(密度0.952g/cc、MI 6.8g/10min)及びエチレン/ホモポリマーDMDA−8007(密度0.965g/cc、MI 8.3g/10min)(これらポリマーはすべて、Union Carbide Corp.及び/又は米国ミシガン州ミッドランド所在のThe Dow Chemical Companyから市販されている)を使用する。
【0134】
7種類の配合物の製造条件を以下の表1に列挙する。
【表1】

【0135】
上記分散液の配合物は、図2に記載したものと類似の押出装置を利用して製造する。当該7種の配合物のバレル/領域の温度制御条件を下記表2に示す。
【表2】

【0136】
前記7種の配合物の最終試験結果を下記表3に示す。
【表3】

【0137】
実施例8
【0138】
分散液を調製するため、メルトインデックスが約30g/10min(190℃、2.16kgでASTM D−1238に従って測定)及びDSC融点が約130℃(走査速度 約10℃/minにてDSCで測定)の、名称HDPE 30460Mで、The Dow Chemical Companyから入手できる高密度ポリエチレンホモポリマー100重量部を、商品名UNICID 350でBaker Petroliteから入手できる合成のC26平均カルボン酸6.4量部とともに、二軸スクリュー押出機中で速度4.5kg/hrにて、145℃で溶融混練する。
【0139】
水酸化カリウムの19重量%水溶液4.6重量部を、下流の注入ポートに0.2kg/hrの速度で(全混合物の4.1重量%の比率で)連続的に供給して前記溶融混練生成物に供給する。続いて、この水性分散液を、追加の水で、17kg/hrの速度で希釈した後、押出機から吐出させる。固体含量が21.9重量%でpHが12.2のこの得られた水性分散液は、Brookfield粘度が<75cP(RV1 spindle,22℃,20rpm)である。Coulter LS230光分散装置で測定した分散粒子の粒径は1.12ミクロンである。
【0140】
実施例9
【0141】
分散液を調製するため、メルトフローレートが約35g/10min(230℃、2.16kgでASTM D−1238に従って測定)及びDSC融点が約140℃(走査速度 約10℃/minにてDSCで測定)の、名称Dow 6D43 Polypropylene Resinで、The Dow Chemical Companyから入手できるランダムポリプロピレンコポリマー100重量部を、商品名UNICID 350でBaker Petroliteから入手できる合成のC26平均カルボン酸6.4量部とともに、二軸スクリュー押出機中で速度4.5kg/hrにて、165℃で溶融混練する。
【0142】
水酸化カリウムの16重量%水溶液4.8重量部を、下流の注入ポートに0.2kg/hrの速度で(全混合物の4.3重量%の比率で)連続的に供給して前記溶融混練生成物に供給する。続いて、この水性分散液を、追加の水で、7.2kg/hrの速度で希釈した後、押出機から吐出させる。固体含量が34.8重量%でpHが11.8のこの得られた水性分散液は、Brookfield粘度が<75cP(RV1 spindle,22℃,20rpm)である。Coulter LS230光分散装置で測定した分散粒子の粒径は0.61ミクロンである。
【0143】
実施例10
【0144】
分散液を調製するため、メルトフローレートが約35g/10min(230℃、2.16kgでASTM D−1238に従って測定)及びDSC融点が約140℃(走査速度 約10℃/minにてDSCで測定)の、名称Dow 6D43 Polypropylene Resinで、The Dow Chemical Companyから入手できるランダムポリプロピレンコポリマー100重量部を、密度が約0.958g/cm(ASTM D−792)、メルトインデックスが300g/10min(190℃及び2.16kgにてASTM D1238に従って測定)及び融点が約77℃(走査速度約10℃/minにてDSCで測定)でThe Dow Chemical Companyから市販されている、アクリル酸含量が20.5重量%の熱可塑性エチレン/アクリル酸コポリマー42.8重量部とともに、二軸スクリュー押出機中で速度4.5kg/hrにて、175℃で溶融混練する。
【0145】
水酸化カリウムの14重量%水溶液38.1重量部を、下流の注入ポートに1.7kg/hrの速度で(全混合物の21.0重量%の比率で)連続的に供給して前記溶融混練生成物に供給する。続いて、この水性分散液を、追加の水で、8.9kg/hrの速度で希釈した後、押出機から吐出させる。固体含量が39.4重量%でpHが11.1のこの得られた水性分散液は、Brookfield粘度が140cP(RV1 spindle,22℃,20rpm)である。Coulter LS230光分散装置で測定した分散粒子の粒径は0.97ミクロンである。
【0146】
押出機の例
【0147】
上記実施例1−7の分散液と類似の分散液を、図2に記載したものと類似の押出装置を使って製造する。その押出装置は、自己洗浄性マイクロノッチVボール制御弁、回転制限オリフィス及び上記高度混合混練ディスクを備えている。比較するため、押出機の作動を、図1に記載したものと同様に押出機の出口に、圧力を制御するための背圧調整器を有する未修正押出装置と比較する。これら二つの押出装置は、乳化領域もしくはHIPE領域及び第一希釈領域のL/Dが類似している。
【0148】
押出機の作動を比較した結果、修正押出装置(図2)の作動は、未修正押出装置と比較して著しく改善されている。図3aと3bを比較すると、押出機の吐出圧(DISCHARGE)、中和剤添加圧(IA−PSI)及び第一希釈領域圧(1STDILPSI)の差異は各々、修正押出装置の場合、低下しており、これはプロセスの安定性が改善されていることを示している。
【0149】
一つ以上のVボール制御弁、高度混合混練ディスク及び回転制限オリフィスを使用することによってプロセスの安定性が改善され、その結果、より安定した分散液の製品が得られる。例えば、上記修正を一つ以上実行することによって押出機の圧力制御が改善されるため、中和剤の供給速度が、図4に示すように一層安定している。
【0150】
高結晶化度ポリオレフィンの分散液から製造される高結晶化度ポリオレフィン発泡体は、多くの有用な特性を有し得る。また修正発泡体は本発明の範囲内にあり、例えば、米国仮特許出願第60/700,644号に開示されているような微小空洞を含有する熱可塑性発泡体を含み得る。その微小空洞を含有している添加剤としては、乳児や小児のおむつ、成人用失禁パンツ、女性用衛生パッド、家庭用清掃用具、ペット用尿吸収マット/パッド及びゴミ袋液体吸収パッドなどの製品に使う超吸収性ポリマー(SAP)などの物質がある。
【0151】
本発明は、高結晶化度ポリオレフィンの水性分散液を有利に提供する。本明細書に開示されている分散液から製造されるコーティング及び製品は、耐熱性が高く、高温における圧縮永久歪耐性が大でかつ各種の押出及び成形プロセスにおいて広い作動範囲を示す可能性があり、有利である。
【0152】
これらの分散液は、コーティング及び発泡体などの製品に利用できる。これら分散液の別の用途としては、各種の基材、特にダンボール箱及びプラスチックフィルム、例えば二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルム、ポリエステルフィルム及びポリアミドフィルムを結合及びシールするのに使う接着剤がある。さらに、これらの発泡体は、液体の吸収材及び分散層として、おむつ及び女性用衛生パッドを製造するのに使用できる。現在、そのようなおむつや女性用衛生パッドは、固く包装されている。本明細書に開示されている分散液から製造される発泡体は、40℃における圧縮永久歪が有意に低い可能性があるので、元の発泡体の厚さにほぼ完全に回復することができ、これは前記最終製品に対する要求条件である。
【0153】
別の態様で、高結晶化度ポリオレフィンを使って製造された分散液は、耐熱性が必要なコーティング又は接着剤として使用できる。多くの自動車向け用途では、60℃以上の温度における耐熱性が必要である。
【0154】
高結晶化度ポリオレフィン分散液を機械的に乳化することに加えて、異なる高結晶化度ポリオレフィンの混合物、及び高結晶化度ポリオレフィンと他のポリオレフィン及びプラスチックの混合物を製造して、紙又はガラスなどの特定の基材に対する接着性及び耐熱性などの特定の特性を高め、ポリオレフィンフィルムの耐摩耗性を改善して、より硬い物質を基材の上に堆積させることができる。
【0155】
本発明の別の実施形態では、高結晶化度ポリオレフィンの分散液を、他の分散液と組み合わせて使用して、混合分散液の製品を製造できる。
【0156】
上記用途に加えて、本明細書に記載されている高結晶化度ポリオレフィンの分散液は、他の多くの用途に有用であり得る。
【0157】
したがって、一用途において、高結晶化度ポリオレフィンの分散液は、水性ポリオレフィン分散液を含有するコンパウンドを含浸させて特性が改良された製品が得られるセルロースベースの製品、特に比体積が3cc/g未満の製品、例えば紙及び厚紙構造物に有用であり得る。各種の実施形態において、これらの製品は、耐油脂性が改善され、耐水性が改善され、摩擦係数、熱エンボス性、熱成形性が制御され、湿潤及び乾燥の強さが改善され、又はとりわけ柔らかさが改善され得る。このような方法と組成物は米国特許出願第60/750,466号に開示されている。なおこの特許出願は全体として参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0158】
したがって、一用途において、高結晶化度ポリオレフィンの分散液は、特に比体積が3cc/gm未満で、セルロースベースの組成物及び塗布されたコンパウンドを含有するセルロースベースの製品を提供するのに有用であり得る。その塗布されたコンパウンドは、塗布される時点では、高結晶化度ポリオレフィン及び少なくとも一種の分散剤を含有し得る。その製品は、暴露時間15秒にてKit試験を利用して測定して少なくとも9という耐油脂性値を有し得る。
【0159】
したがって、一用途において、触媒性直鎖マルチブロックオレフィンの分散液は、特に比体積が3cc/gm未満で、セルロースベースの組成物及び塗布されたコンパウンドを含有するセルロースベースの製品を提供するのに有用であり得る。その塗布されたコンパウンドは、塗布される時点では、高結晶化度ポリオレフィン及び少なくとも一種の分散剤を含有し得る。そのセルロースベースの製品は、Cobb試験によって測定して、約10g/m/120秒未満という耐水性値を有し得る。
【0160】
Kit試験:試料のkit値は、TAPPI T559cm−02を利用して測定できる。この試験は前記TAPPI試験に記載されているように、水平で実行した。この試験は、ボードの表面に別個の5滴の油を滴下して一定の時間(15秒)暴露した後、ボードを検査して、その紙が著しく暗色化するかどうかを確認するステップを含んでいる。高温で行なう修正Kit試験は、特に、他のエチレンベースランダムコポリマーに対して、エチレンベースブロックポリマーとして触媒性直鎖マルチブロックコポリマーを使って製造して堆積させた分散液を区別するのに有用であり得る。試験のこの高温は約80℃の高温であってもよいが、好ましくは約50℃で試験する。前記触媒性直鎖エチレンマルチブロックポリマー由来の堆積分散液を使って製造したフィルム層は、全エチレンポリマーの密度とメルトインデックスが類似していても、50℃におけるKit値が、ランダムエチレンポリマーベースの堆積分散液のKit値(やはり50℃における)より高い。
【0161】
Cobb試験:Cobb試験はASTM D3285−93に従って実施できる。暴露時間は2分間であった。この試験は、既知の容積の水(100ml)をボードの表面上の特定の面積(100cm)に注いで行なう。そのボードの重量を暴露の前後に測定し、次いでその差を、与えられた時間に吸収された水の単位面積当たりの重量として示すことができ、そのCobb値が低ければ低いほど、結果は良好である。高温で実施する修正Cobb試験は、高結晶化度ポリオレフィンを使用して製造して堆積させた分散液を識別するのに有用であり得る。試験するときのそのような高温は、約80℃ほどの高温であるが約50℃で試験することが好ましい。
【0162】
したがって、本明細書に開示されている実施形態は、一般に、「紙及び/又は板紙製品」(すなわちペーパータオル以外のもの)と呼称されるセルロースベースの組成物、例えば、新聞紙、未コート砕木パルプ、コート済み砕木パルプ、コート済み上質紙、未コート上質紙、包装紙と工業用紙、段ボール原紙、中しん原紙、再利用板紙、さらし板紙、筆記用紙、タイプ用紙、写真用紙(photo quality paper)、壁紙などに関連し得る。そのような組成物は、一般に、少なくとも一つのペーパーウエブから本発明に従って製造できる。
【0163】
例えば、一実施形態では、紙製品は、繊維の混合物から製造される単一層のペーパーウエブを含み得る。別の実施形態では、紙製品は、多層ペーパー(すなわち、層別された)ウエブを含み得る。さらに、紙製品は、単一プライ又は多プライの製品(例えば、2以上のペーパーウエブ)のものもあり、その1以上のパイルは本発明に従って製造されたペーパーウエブを含み得る。通常、本発明の紙製品の坪量は、約10g/mと約525g/mの間の値である。通常、本発明の実施形態による紙製品の比体積は約0.3g/ccと約2g/ccの間の値である。
【0164】
各種の材料のいずれかを使用して、本発明の紙製品を製造することができる。例えば、紙製品を製造するのに使用される材料としては、各種のパルプ化プロセスで製造される繊維、例えばクラフトパルプ、亜硫酸パルプ、サーモメカニカルパルプなどがある。
【0165】
本発明のプロセスに有用な抄紙用繊維としては、セルロースベースシートを製造するのに有用なことが知られているセルロース繊維がある。適切な繊維としては、未使用の針葉樹繊維と広葉樹繊維、草本繊維、二次(すなわち再利用)抄紙用繊維及びすべての比率のそれらの混合物がある。非セルロースの合成繊維も水性懸濁液に含有させることができる。抄紙用繊維は、任意の公知のパルプ化プロセスを使って木材から抽出することができ、クラフトパルプや亜硫酸ケミカルパルプがある。
【0166】
ペーパーウエブを製造するのに適切な繊維としては、限定されないが、草本繊維、例えば綿、マニラ麻、ケナフ、サバイグラス(sabai grass)、亜麻、エスパルトグラス、わら、ジュートヘンプ、バガス、トウワタの綿の繊維及びパイナップルの葉の繊維など、ならびに針葉樹繊維を含む、落葉性の針葉樹から得られる木材繊維、例えば北や南の針葉樹クラフト繊維、広葉樹繊維例えばユーカリ樹、かえで、カバの木及びアスペンなどの繊維を含む、天然又は合成のセルロース繊維がある。木材繊維は、高収率式又は低収率式で得ることができ、そしてクラフト法、亜硫酸法、高収率パルプ化法及びその他の公知のパルプ化法を含む、公知の方法でパルプ化することができる。オルガノソルブパルプ化法で製造された繊維も使用することができ、この繊維と方法は、1988年12月27日付けでLaamanenらに発行された米国特許第4,793,898号、1986年6月10日付けでChangらに発行された米国特許第4,594,130号及び米国特許第3,585,104号に開示されている。有用な繊維は、1997年1月21日付けでGordonらに発行された米国特許第5,595,628号で例示されるアントラキノンパルプ化法によって製造することもできる。
【0167】
一実施形態で、これら繊維の一部、例えば乾燥重量の50%以下又は乾燥重量の約5%から約30%までは、合成繊維、例えばレーヨン、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、二成分のシース−コア繊維、多成分のバインダー繊維などである。代表的なポリエチレン繊維は、Hercules,Inc.(米国、デラウェア州ウイルミントン所在)から入手できるPULPEX(登録商標)である。公知のどの漂白法も利用できる。合成セルロース繊維タイプのものとしては、すべての種類のレーヨン、及びその他のビスコース又は化学的に改質されたセルロースから誘導される繊維がある。化学的に処理された天然セルロース繊維、例えばマーセル化されたパルプ、化学的に硬化させたかもしくは架橋させた繊維又はスルホン化繊維も使用できる。抄紙用繊維を使用する際に優れた機械的特性を得るには、その繊維が、比較的損傷しておらず、かつほとんど精練されていないか又はごく僅かに精練されていることが望ましい。再生繊維は使用できるが、未使用繊維がその機械的特性及び汚染物が無いことから一般的に有用である。マーセル化繊維、再生セルロース繊維、微生物が産生するセルロース、レーヨン及びその他のセルロース材料もしくはセルロース誘導体も使用できる。適切な抄紙用繊維としては、再生繊維、未使用繊維又はその混合物がある。嵩高で圧縮特性が優れている特定の実施形態では、繊維は、Canadian Standard Freenessが少なくとも200であり、より具体的には少なくとも300であり、さらにより具体的には少なくとも400であり、そして最も具体的には少なくとも500である。その他のいくつかの実施形態では、繊維の乾燥重量の約90%までの部分が合成繊維であり得る。
【0168】
本明細書で開示されて使用できるその他の抄紙用繊維としては、ペーパーブローク繊維すなわち再生繊維(paper broke or recycled fibers)及び高収率繊維である。高収率パルプ繊維は、収率が約65%以上、より具体的には約75%以上、及びさらにより具体的には約75%から約95%までのパルプ化プロセスで製造される抄紙繊維である。収率は、最初の木材質量の%で表される、得られた加工繊維の量である。そのようなパルプ化プロセスとしては、さらしケミサーモメカニカルパルプ(BCTMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、圧力/圧力サーモメカニカルパルプ(PTMP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、サーモメカニカルケミカルパルプ(TMCP)、高収率亜硫酸パルプ及び高収率クラフトパルプがあり、これらはすべて、得られる繊維は高レベルのリグニンを含有している。高収率繊維は、乾燥状態と湿潤状態の両方で、典型的な化学的にパルプ化された繊維に比べて硬いことは周知である。
【0169】
いくつかの実施形態では、パルプ繊維は、平均繊維長が、長さ重み付け平均値で、1mmより大で詳しくは約2mmから5mmまでの針葉樹繊維を含み得る。そのような針葉樹繊維としては、限定されないが、北針葉樹、南針葉樹、アメリカスギ、赤杉、ツガ、マツ(例えば南マツ)、トウヒ(例えばクロトウヒ)、それらを組み合わせたものなどがある。本発明に適切な市販されている代表的パルプ繊維しては、Neenah Paper Inc.から、商標「LONGLAC−19」で入手できる繊維がある。
【0170】
いくつかの実施形態では、ユーカリ樹、カエデ、カバの木、アスペンなどの広葉樹の繊維も使用できる。特定の例では、ユーカリ樹繊維は、ウエブの柔らかさを増大させるために特に望ましい。ユーカリ樹繊維は白色度を高め、不透明度を増大し、及び紙の細孔構造を変化させて紙ウエブの吸上げ性能を増大し得る。さらに、再生材料から得られる二次繊維、例えば新聞紙、再生板紙及び事務所廃棄物などの発生源由来の繊維パルプなどを必要に応じて使用できる。さらに、マニラ麻、サバイグラス、トウワタの綿、パイナップルの葉などの他の天然繊維も本発明に使用できる。さらにいくつかの例では、合成繊維も利用できる。いくつかの適切な合成繊維としては、限定されないが、レーヨン繊維、エチレン−ビニルアルコールコポリマーの繊維、ポリオレフィン繊維、ポリエステルなどがある。
【0171】
すでに述べたように、本発明の紙製品は、一つ以上の紙ウエブから製造できる。その紙ウエブは単一層又は多層である。例えば、一実施形態では、紙製品は、繊維の混合物から製造される単層の紙ウエブ層を含んでいる。例えば、いくつかの例では、ユーカリ樹と針葉樹の繊維を均一に混合して単層の紙ウエブを製造することができる。
【0172】
別の実施形態では、紙製品は、各種の主要層を有する層別されたパルプ構成で製造されている多層紙ウエブを含み得る。例えば、一実施形態では、その紙製品は3層を含有し、その外側層の一方がユーカリ樹繊維を含有し、残りの2層が北針葉樹のクラフト繊維を含有している。別の実施形態では、一つの外側層と内側層がユーカリ樹繊維を含有し、残りの外側層が北針葉樹クラフト繊維を含有し得る。必要に応じて、これらの三つの主要層は各種タイプの繊維の混合物を含有してもよい。例えば、一実施形態では、外側層の一方がユーカリ樹繊維と北針葉樹クラフト繊維の混合物を含有し得る。しかし、多層紙ウエブは任意の数の層を含んでよく、そして各種タイプの繊維から製造できると解すべきである。例えば、一実施形態では、その多層紙ウエブは、二つだけの主要層を有する層別されたパルプ構成で製造できる。
【0173】
本発明によって、上記のような紙製品の各種特性を最適化することができる。例えば、強さ(例えば、湿潤引張強さ、乾燥引張強さ、引裂強さなど)、柔らかさ、リントレベル(lint level)、スラウレベル(slough level)などは、本発明によって最適化できる紙製品の特性の例である。しかし、上記特性は、すべてを、最適化する必要はないと解すべきである。例えば特定の用途では、柔らかさ以外の強さを増大させた紙製品を製造することが望ましいことがある。
【0174】
この点について、本発明の一実施形態では、紙製品の繊維の少なくとも一部分は、加水分解酵素で処理して強さを増大して、リントを減らすことができる。特に、加水分解酵素は、抄紙用繊維の表面又はその近くのセルロースの連鎖とランダムに反応して、繊維の一部分である繊維の表面に、シングルアルデヒド基を生成することができる。これらのアルデヒド基は、繊維が形成され、乾燥されてシートになると、他の繊維の暴露されたヒドキシル基と架橋結合する部位になって、シートの強さを増大する。さらに、繊維の表面又はその近くで顕著に、繊維のセルロースをランダムに切断又は加水分解することによって、繊維の細胞壁の内部の劣化は回避されるか又は最小限になる。その結果、これらの繊維だけで製造された紙製品又はこれらの繊維と未処理パルプ繊維の混合物から製造された紙製品は、乾燥引張強さ、湿潤引張強さ、引裂強さなどの強さの特性の増大を示す。
【0175】
本発明に有用なセルロースベース組成物の他の例としては、米国特許第6,837,970号、同第6,824,650号、同第6,863,940号及び米国特許出願公開第US20050192402号及び同第US20040149412号に開示されている組成物があり、これらの特許文献は各々、参照により本明細書に組み込まれるものである。本発明に従って製造されるセルロースウエブは、広範囲の用途、例えば紙と板紙の製品(すなわち紙タオル以外の製品)、新聞用紙、未コートの砕木パルプ、コート済み砕木パルプ、コート済み上質紙、未コート上質紙、包装用紙と工業用紙、段ボール原紙、中しん原紙、再利用板紙及びさらし板紙に使用できる。本発明によって製造されるウエブは、おむつ、衛生ナプキン、複合材料、成形紙製品、紙コップ、紙皿などに使用できる。本発明によって製造される材料は、各種の織物の用途にも利用することができ、特にセルロース材料と羊毛、ナイロン、絹又はその他のポリアミドもしくはタンパク質ベースの繊維の混合物で構成された織物ウエブに利用できる。
【0176】
紙製品は、天然及び合成の各種タイプの繊維を含み得る。一実施形態で、紙製品は広葉樹と針葉樹の繊維を含んでいる。製品を構成する個々のシートを含む紙製品中の広葉樹パルプの繊維/針葉樹パルプの繊維の全体的な比率は、広範囲に変化し得る。広葉樹パルプの繊維/針葉樹パルプの繊維の比率は、約9:1から約1:9までの範囲内であり、より具体的に述べると約9:1から約1:4までであり、そして最も具体的に述べると約9:1から約1:1までであってもよい。本発明の一実施形態では、広葉樹パルプ繊維と針葉樹パルプ繊維は、紙シートを作成する前に混合されてもよく、その結果、広葉樹パルプ繊維と針葉樹パルプ繊維はシートのz方向に均一に分布される。本発明の別の実施形態では、広葉樹パルプ繊維と針葉樹パルプ繊維を重層して、これらの繊維を、シートのz方向に不均一に分布させることができる。別の実施形態では、広葉樹パルプ繊維が紙製品及び/又はシートの外側層の少なくとも一つに配置されてもよく、内側層の少なくとも一つが針葉樹パルプ繊維を含有し得る。さらに別の実施形態では、紙製品は、未使用線維又は合成繊維を随意に含有する二次繊維すなわち再生繊維を含んでいる。
【0177】
さらに、合成繊維も本発明に利用できる。パルプ繊維に関する本明細書での考察には合成繊維が含まれるものと理解される。合成繊維を製造するのに使用できるいくつかの適切なポリマーとしては、限定されないが、ポリオレフィン類、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンなど;ポリエステル類、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(β−リンゴ酸)(PMLA)、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)、ポリ(ρ−ジオキサノン)(PDS)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(PHB)など;及びポリアミド類、例えばナイロンなどがある。限定されないが、セルロースエステル類;セルロースエーテル類;硝酸セルロース類;酢酸セルロース類;酢酸酪酸セルロース類;エチルセルロース;再生セルロース例えばビスコース、レーヨンなど;綿;亜麻;大麻;及びこれらの混合物を含む、合成又は天然のセルロースポリマーが、本発明に使用できる。合成繊維は、紙製品を構成する層及びシートの一つ又はすべてに含有され得る。
【0178】
セルロースベースの製品は、当業者に公知の各種プロセスで製造できる。成形部、プレス部、乾燥部及び製造される製品によっては随意にリールを備えた機械が構成される。プロセスステップの詳細な例と略図は、「Properties of Paper:An Introduction」 2ndedition W.Scott and J.Abbott ,TAPPI Press 1995に見られる。そのプロセスを簡潔に説明すると、一般に、パルプ繊維の薄い懸濁液が、ヘッドボックスによって供給され、通常の抄紙機のフォーミングファブリック上に、樋門を通じて、均一に分散させて堆積させる。通常の抄紙プロセスで典型的に使用されるパルプ繊維の懸濁液は、どのようなコンシステンシーにでも希釈することができる。例えば、その懸濁液は、水中に懸濁されたパルプ繊維を約0.01重量%から約1.5重量%まで含有し得る。水を、パルプ繊維の懸濁液から除いて、パルプ繊維の均一な層を形成させる。その他の抄紙プロセス、板紙製造プロセスなどは、本発明で利用できる。例えば、米国特許第6,423,183号に開示されているプロセスが使用できる。
【0179】
前記パルプ繊維は、任意の平均繊維長の長いパルプ、平均繊維長の短いパルプ又はその混合物である。その平均繊維長の長いパルプは、一般に、平均繊維長が約1.5mmから約6mmまでである。平均繊維長が長い代表的な木材パルプとしては、Neenah Paper Inc.から商標LONGLAC 19で入手できるものがある。
【0180】
平均繊維長の短いパルプとしては、例えば、特定の未使用広葉樹パルプ、及び例えば新聞紙、再生板紙及び事務所廃棄物などの発生源由来の二次(すなわち再生)繊維パルプがある。この平均繊維長の短いパルプは、一般に、平均繊維長が、約1.2mm未満であり例えば0.7mmから1.2mmまでである。
【0181】
平均繊維長の長いパルプと平均繊維長の短いパルプの混合物は、平均繊維長の短いパルプをかなりの比率で含有し得る。例えば、この混合物は、平均繊維長の短いパルプを約50重量%を超えた量で含有し、そして平均繊維長の長いパルプを約50重量%より少ない量で含有し得る。一つの代表的混合物は、約75重量%の平均繊維長の短いパルプと約25重量%の平均繊維長の長いパルプを含有している。
【0182】
本発明に使用されるパルプ繊維は、精練されていなくてもよく、又は各種の精練度まで叩解してもよい。少量の湿潤紙力増強樹脂及び/又は樹脂結合剤を添加して、強さ及び耐摩耗性を改善することができる。有用な結合剤及び湿潤紙力増強樹脂としては、例えば、Hercules Chemical Companyから入手できるKYMENE 557 H及びAmerican Cyanamid,Inc.から入手できるPAREZ 631がある。架橋剤及び/又は水和剤もパルプ混合物に添加できる。非常に目が粗い隙間の多い不織パルプ繊維ウエブが必要なとき、剥離剤をパルプ混合物に添加して水素結合度を低下させることができる。一つの代表的な剥離剤は、商品名QUAKER 2008で、米国ペンシルベニア州コンショホケン所在のQuaker Chemical Companyから入手できる。特定の剥離剤を、例えば複合体の1重量%から4重量%までの量で添加すると、静摩擦係数と動摩擦係数の測定値が低下し、そして複合体基布の連続フィラメントが豊富な側の耐摩耗性が改善されるようである。この剥離剤は、潤滑剤又は摩擦低下剤として働くと考えられる。
【0183】
本発明の開示内容に従って紙ウエブを処理するとき、高結晶化度ポリオレフィン分散液を含む添加組成物を、ウエブに局所的に塗布するか、又はウエブを製造するのに使用される繊維とプレミックスすることによってウエブ中に含浸させることができる。添加組成物は、局所に塗布するとき、ウエブが濡れているか又は乾燥しているときにウエブに塗布できる。一実施形態では、添加組成物は、クレーピング(creping)プロセス中、ウエブに局所的に塗布できる。例えば、一実施形態では、添加組成物は、ウエブ上に又は加熱された乾燥機ドラム上にスプレーしてウエブを乾燥機ドラムに接着させる。このウエブを、次に乾燥機ドラムからクレープ(crepe)させる。添加組成物をウエブに塗布し次いで乾燥機ドラムに接着させるとき、その組成物はウエブの表面積に均一に塗布するか又は特定のパターンで塗布することができる。
【0184】
紙ウエブに局所的に塗布するとき、添加組成物は、ウエブ上にスプレーされるか、ウエブ上に押し出されるか又はウエブ上にプリントされ得る。ウエブ上に押し出される場合、任意の適切な押出装置、例えばスロットコート押出機又はメルトブロンダイ(meltblown dye)押出機を使用できる。ウエブ上にプリントする場合は、任意の適切なプリント装置を使用できる。例えばインクジェットプリンター又はグラビアプリント装置を使用できる。
【0185】
前記分散液は抄紙プロセスのどの時点でも含浸させることができる。分散液をセルロースベース組成物に含浸させるプロセス中の時点は、以下に詳しく述べるように、セルロースベースの製品の所望の最終特性によって決まる。含浸させる時点としては、パルプを前処理するとき、プロセスの最後の湿潤しているときに補助塗布するとき、処理して乾燥後であるが抄紙機上にあるとき、及び処理後局所に塗布するときである。本発明の分散液は、参照して本明細書に組み込まれかつ当業者に公知である任意のいくつかの方法で、セルロースベースの構造体上又はその中に含浸させることができる。
【0186】
さらに別の用途では、本明細書の開示に従って調製される高結晶化度ポリオレフィンの分散液は、繊維構造体に含浸させるのに適している。特定のケースでは、そのような剛化組成物を含浸された繊維構造体は、適切な剛性、弾性、レジリエンス、接着性、トウボックスやカウンターなどの靴の補強材に利用される形状保持性を提供できる。適切な含浸法は米国特許出願第11/300,993号に開示されている。なおこの特許出願は全体として参照により本明細書に明確に組み込まれるものである。
【0187】
含浸の望ましい程度又は量は、繊維構造体の部分的な飽和から完全な飽和までの範囲であることは、当業者には分かるであろう。望ましい含浸度は、例えば、含浸される繊維の性質及び含浸物の性質を含む変数によって決まり得る。また当業者は、含浸された構造体の目的の最終特性によって、特定の成分(例えば、繊維及び分散液)及び処理のパラメータが選択されることが分かるであろう。
【0188】
さらに別の用途では、高結晶化度ポリオレフィンの分散液が、トナー組成物として有用であり得、この場合、着色剤及び磁気顔料からなる群から選択される少なくとも一つが分散液と共に使用され、そしてその分散液は、平均等体積球相当直径の粒径が約0.3ミクロンから約8.0ミクロンまでである。そのようなトナー組成物を配合する方法は、同時係属中で共に譲渡された2006年3月3日付けで出願された米国仮特許出願第60/779,126号で考察されている。なおこの特許出願は全体として参照により本明細書に明確に組み込まれるものである。
【0189】
簡潔に言えば、分散液を調製した後、その分散液の少なくとも一部分を取り出してトナー粒子を製造する。選択された実施形態では、実質的にすべての水を除去してベーストナー粒子を調製する。一実施形態では、分散液を、スプレー乾燥することによって乾燥する。当分野で公知であるように、スプレー乾燥は、液体のフィードバックを液滴のスプレー中に噴霧させて、その液滴を乾燥室中で熱風と接触させて実行する。そのスプレーは、一般に、ロータリー(ホイール)アトマイザー又はノズルアトマイザーで作製される。液滴からの水分の蒸発及び乾燥粒子の生成は、温度と風量を制御した条件下で行なう。粉末が、実質的に連続して乾燥室から放出される。操作条件と乾燥機の設計は、製品の乾燥特性と粉末の仕様に従って選択される。
【0190】
したがって、一実施形態では、分散液が、製造され、次いで別の場所へ輸送され、そこでスプレー乾燥などの処理後のプロセスを受けてトナーの粉末が調製される。
【0191】
選択された実施形態では、高温における流動性、帯電の安定性又は耐ブロッキング性などを改善するため、ベーストナー粒子に補助微細粒子を添加することが有利である。ベーストナー粒子の表面に固定されるこの補助微細粒子は、用途に対応して、各種の無機もしくは有機の微細粒子から適切に選択できる。
【0192】
無機の微細粒子としては、例えば、各種の炭化物、例えば炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭化ハフニウム、炭化バナジウム、炭化タンタル、炭化ニオブ、炭化タングステン、炭化クロム、炭化モリブデン及び炭化カルシウムなど;各種の窒化物、例えばチッ化ホウ素、チッ化チタン及びチッ化ジルコニウムなど;各種のホウ化物、例えばホウ化ジルコニウムなど;各種の酸化物、例えば酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化セリウム、シリカ及びコロイドシリカなど;各種のチタン酸塩化合物、例えばチタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム及びチタン酸ストロンチウムなど;リン酸塩化合物、例えばリン酸カルシウムなど;硫化物、例えば二硫化モリブデンなど;フッ化物、例えばフッ化マグネシウム及びフッ化炭素など;各種の金属セッケン、例えばステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸マグネシウムなど;タルク;ベントナイト;各種のカーボンブラックと導電性カーボンブラック;磁鉄鉱;ならびにフェライトが利用できる。有機の微細粒子としては、例えば、スチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂又はメラミン樹脂の微細粒子が使用できる。
【0193】
そのような補助微細粒子の中で、例えば、シリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、各種のカーボンブラック又は導電性カーボンブラックを使用することが特に好ましい。さらに、そのような補助微細粒子としては上記の無機又は有機の微細粒子があるが、その粒子の表面は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、シリコーン油、改質シリコーン油、シリコーンワニス、フッ素化シランカップリング剤、フッ素化シリコーン油又はアミノ基もしくは第四級アンモニウムベースを有するカップリング剤などの処理剤による疎水性処理などの表面処理によって処理される。そのような処理剤は、二種類以上の混合物として組み合わせて利用できる。
【0194】
補助微細粒子を、ベーストナー粒子に添加する方法として、Henschel mixerなどの高速撹拌機によって、これら粒子を添加し混合する方法が公知である。しかし、高温における耐ブロッキング性を改善するため、補助微細粒子を、ベーストナー粒子の表面に固定させる(fixed)ことが好ましい。本発明において、固定(fixing)とは、圧縮せん断応力を加えることができる装置(以後、圧縮せん断処理装置と呼称する)又はベーストナー粒子の表面を溶融もしくは軟化させることができる装置(以後、粒子表面溶融処理装置と呼称する)を利用して付加する方法を意味する。そのような固定処理によって、補助微細粒子は、ベーストナー粒子が実質的に微粉砕されることなく、ベーストナー粒子の表面にしっかりと固定することができ、その結果、高温における貯蔵中の耐ブロッキング性が改善されるので、連続してコピーしているときでも、コピー機又はプリンターの部品に融着しにくいトナーを製造できる。
【0195】
上記圧縮せん断処理装置は、ヘッド表面とヘッド表面、ヘッド表面と壁表面、又は壁表面と壁表面によって規定される狭い間隔を有するように構築されて、それら表面は間隔を維持しながら相互に移動できるので、処理される粒子は強制的にその間隔を通過させられて、圧縮応力とせん断応力が、粒子を実質的に微粉砕することなく、粒子の表面に加えられる。使用される圧縮せん断処理装置として、例えば、Hosokawa Micron K.K.製のメカノヒュージョン装置を挙げることができる。
【0196】
上記粒子表面溶融処理装置は、通常、ベーストナーの微細粒子と補助微細粒子の混合物を、例えば熱風流によって、少なくとも溶融開始温度まで瞬間的に加熱して、補助微細粒子を固定させるように構成されている。使用する粒子表面溶融処理装置として、Nippon Neumatic K.K.製の表面処理システムを採用できる。
【0197】
さらに別の用途では、高結晶化度ポリオレフィンを使用する分散液は、フィルム、接着剤、又は他のシーリング及び/又は包装の用途に有用であり得る。この特定の用途では、上記開示内容に従って配合された分散液を基材に塗布して利用される。当業者は、有用な基材であれば、どれでも使用できることは分かるであろう。特に、多様なポリマー基材を使用することができ、とりわけ、配向ポリマーを使用できる。そのような方法は、例えば米国特許出願公開第20050271888号に開示されている。なおこの出願は、全体として参照により本明細書に明確に組み込まれるものである。
【0198】
さらに別の用途では、高結晶化度ポリオレフィンを使用する分散液は、長繊維で強化した熱可塑性濃縮体を製造するのに有用であり得る。そのような濃縮体を製造する方法は、同時係属中で共に譲渡された代理人整理番号第64154号に開示されている。なおこの文書は全体として参照により本明細書に組み込まれるものである。
【0199】
本発明を、限られた数の実施形態について説明してきたが、この開示の恩恵にあずかっている当業者は、本明細書に開示されている発明の範囲から逸脱しない他の実施形態を考え出すことができることが分かるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【0200】
優先権の基礎にできるすべての文書は、援用が許される法制度に従って参照により本明細書に完全に組み込まれるものである。さらに、試験手順を含めて本明細書に引用されているすべての文書は、そのような開示が本発明の開示と一致している限り、援用が許される法制度にしたがって参照により本明細書に完全に組み込まれるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種の高結晶化度熱可塑性樹脂、
少なくとも一種の分散剤、及び

を含有する、水性分散液。
【請求項2】
熱可塑性物質がポリオレフィンである、請求項1に記載の分散液。
【請求項3】
熱可塑性物質の重量平均分子量Mが約15,000g/moleから約1,000,000g/moleまでである、請求項1に記載の分散液。
【請求項4】
平均体積径粒径が0マイクロメートルより大で約10マイクロメートルまでである分散された粒子を含有する、請求項1に記載の分散液。
【請求項5】
平均体積径粒径が1マイクロメートルから約5マイクロメートルまでである分散された粒子を含有する、請求項5に記載の分散液。
【請求項6】
分散された粒子を含有し、かつ平均固体含有量が0重量%より大で約80重量%までである、請求項1に記載の分散液。
【請求項7】
分散された粒子を含有し、かつ平均固体含有量が約40重量%から約60重量%までである、請求項6に記載の分散液。
【請求項8】
高結晶化度ポリオレフィンの結晶化度が約50重量%より大である、請求項1に記載の分散液。
【請求項9】
分散液のpHが約12より低い、請求項1に記載の分散液。
【請求項10】
分散剤が、少なくとも一種のエチレン/α−β不飽和カルボン酸コポリマーを含有している、請求項1に記載の分散液。
【請求項11】
ポリオレフィン対エチレン/α−β不飽和カルボン酸コポリマーの比率が50:50と90:10の間の値である、請求項10に記載の分散液。
【請求項12】
分散剤が脂肪酸を含有している、請求項1に記載の分散液。
【請求項13】
ポリマー対脂肪酸の比率が97:3と94:6の間の値である、請求項12に記載の分散液。
【請求項14】
(A)少なくとも一種の高結晶化度ポリオレフィンと(B)少なくとも一種の安低剤とを溶融混練して溶融混練生成物を製造し、
前記溶融混練生成物を水で希釈し、次いで、
生成した混合物を溶融混練して分散液を製造する
ステップを含む、水性分散液の製造方法。
【請求項15】
溶融混練するステップが、可変高内部相エマルジョン生成領域を含む押出装置で水性分散液を製造するステップを含み、さらに、押出装置の出口圧を、自己洗浄式マイクロノッチVボール制御弁によって制御するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項16】
請求項1に記載の分散液から製造した発泡体。
【請求項17】
85℃、20分間、圧力0.5psigにおける圧縮永久歪が70%未満である、請求項16に記載の発泡体。
【請求項18】
直径が約5マイクロメートルから約1000マイクロメートルまでの範囲の大きさである気泡を含有する、請求項16に記載の発泡体。
【請求項19】
気泡が連続気泡を含む、請求項18に記載の発泡体。
【請求項20】
分散液の粘度が、25℃において約50,000cP以下である、請求項16に記載の発泡体。
【請求項21】
請求項1に記載の分散液を空気又は他の不活性ガスと接触させてホィップ分散液を製造し、
前記ホィップ分散液を基材上に堆積させ、次いで
前記ホィップ分散液を少なくとも一部分乾燥して発泡体を製造し、前記ホィップ分散液が、分散されたポリマーの融点より低い温度で製造される
ステップを含む、発泡体製造方法。
【請求項22】
セルロースベース組成物、及び
塗布される時点で、高結晶化度ポリオレフィンと少なくとも一種の分散剤を含む水性分散液を含有する塗布されたコンパウンド
を含有する、セルロースベースの物品。
【請求項23】
高結晶化度ポリオレフィンと少なくとも一種の分散剤を含む水性分散液を含有するコンパウンドを、繊維構造体に含浸させ、
水の少なくとも一部分を、前記含浸された繊維構造体から除去する
ステップを含むプロセスで製造される、物品。
【請求項24】
繊維の一部と接触したコンパウンドを含有するコートされた繊維であって、前記コンパウンドが、接触の時点でi.高結晶化度ポリオレフィンとii.少なくとも一種の分散剤とを含む水性分散液を含有し、
前記繊維の直径が5ミクロンと35ミクロンの間の大きさであり、そして
繊維上のコンパウンドのコーティング層の厚さが約0.1ミクロンから10ミクロンまでである
コートされた繊維。
【請求項25】
繊維がガラスベースの繊維である、請求項24に記載のコートされた繊維。
【請求項26】
高結晶化度ポリオレフィン、少なくとも一種の分散剤、及び着色剤と磁気顔料からなる群から選択される少なくとも一種を含有する水性分散液から製造された粒子を含有するトナー組成物であって、前記分散液の平均体積径粒径が約0.3ミクロンから約8ミクロンまでであり、前記分散液は、その液体レベルが分散液の液体レベルの少なくとも50%になるように少なくとも一部分乾燥されて粒子を形成している、トナー組成物。
【請求項27】
高結晶化度ポリオレフィン及び少なくとも一種の分散剤を含有する水性分散液を基材に塗布し、
分散液中の水の少なくとも一部を除去して第一層を形成させる
ステップを含む、基材上に層を形成させる方法。
【請求項28】
基材が少なくとも一種の配向ポリマーで構成されている、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
基材が、繊維、マット、不織布、織布及び布地からなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
基材がカーペット裏地である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
基材が金属である、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
i 連続繊維を、高結晶化度ポリオレフィン及び少なくとも一種の分散剤を含有する水性分散液でコートして、熱可塑性のコートされた連続繊維のストランドを製造し、
ii 前記熱可塑性のコートされた連続繊維のストランドを加熱し、
iii 前記乾燥された熱可塑性のコートされた連続繊維のストランドを細断して、乾燥された長繊維濃縮体のペレットを製造し、次いで
iv 乾燥された長繊維濃縮体のペレットを分離する
ステップを含む、繊維と熱可塑性樹脂を含有する長繊維濃縮体の製造方法。
【請求項33】
i 細断された長繊維を、高結晶化度ポリオレフィン及び少なくとも一種の分散剤を含有する水性分散液でコートして、熱可塑性のコートされた細断繊維のペレットを製造し、
ii 前記コートされた細断長繊維濃縮体のペレットを加熱し、次いで
iii 乾燥された長繊維濃縮体のペレットを分離する
ステップを含む、繊維と熱可塑性樹脂を含有する長繊維濃縮体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−501764(P2011−501764A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527034(P2010−527034)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/076758
【国際公開番号】WO2009/045731
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】