説明

高血圧症予防・改善・治療剤

【解決手段】 次の成分(a)及び(b):(a)クロロゲン酸、カフェ酸又はフェルラ酸が少なくとも0.01重量%、(b)過酸化水素を含み、成分(a)及び(b)の含有重量比率(b)/(a)が0〜0.003である植物抽出物を含有する食品。
【効果】 優れた血圧降下作用、血圧上昇抑制作用と安全性を有し、生活習慣病の予防に有効で、高血圧症予防・改善・治療効果、体脂肪抑制効果のある食品及び医薬に関する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生活習慣病、特に、優れた血圧降下作用、血圧上昇抑制作用と安全性を有し、高血圧症予防・改善・治療効果、体脂肪抑制効果のある食品及び医薬品に関する。
【0002】
【従来の技術】生活習慣病とは、高血圧や肥満に関連する高脂血症およびその合併症に関連する症状をいう。特に、高血圧は、その症状としては、要注意の領域から病的な治療が必要な領域領域まで、幅広く分布していることが知られている。高血圧の治療には、神経因子による調節系に作用する各種神経遮断薬、液性因子に関わる調節系に作用するACE阻害薬、AT受容体拮抗薬、血管内皮由来物質による調節系に関わるCa拮抗薬、腎臓での体液調節系に関わる降圧利尿薬などの医薬品が挙げられ、これらは主として医療機関において、重症の高血圧患者に使用される。しかし、医薬品は、有効性に関しては満足できる反面少なからず存在する副作用のため患者にかかる負担は大きい。
【0003】一方で、食餌療法、運動療法、飲酒・喫煙の制限などの生活改善による一般療法が、軽症を含む正常高値高血圧者から重症な高血圧者に広く適用されている。一般療法の重要性の認識の高まりに伴い、特に食生活の改善が重要であるといわれ続けている。血圧降下作用を有する食品は、数多く、従来から食品由来の血圧降下素材の探索がさかんに行われ、その有効成分の分離・同定が数多く行われている。
【0004】このような状況において、上述の医薬品をできるだけ使わない予防・改善・治療方法はますます高い要求となっている。このうち食餌療法は特に重要であるため、血圧降下作用や血圧上昇抑制作用を有する食品の探索はさかんに行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、血圧降下作用を有すると言われる食品あるいはその有効成分は、その有効性や摂取回数、摂取するときの味が必ずしも満足の行くものではない場合が多く、また、血圧降下効果が発現されるまでに要する時間も長期間を要するものが多い。高血圧の予防あるいは改善に有用な植物、食品由来成分としては、クロロゲン酸、カフェ酸及びフェルラ酸に高い血圧降下作用を有し、医薬品、食品の形態とするのに好適であることを見出してきた(特願2000−230463、特願2000−238039、特願2001−169261)。クロロゲン酸、カフェ酸及びフェルラ酸は天然物中に含有する成分として知られている。しかしながら、クロロゲン酸等を多量に含むコーヒー飲料等では、血圧降下の効果を十分に認めることができなかった。また、食品に、精製したクロロゲン酸を添加しても、製品により、安定した血圧降下の効果を得ることが困難であった。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、クロロゲン酸等を含有するコーヒー等の食品について、血圧降下効果と食品の成分との関連について検討した結果、食品中の過酸化水素が血圧降下の効果を阻害していることを見出した。過酸化水素自体は、食品添加物としては、製品中に配合することはできないが、過酸化水素は天然素材を利用した緑茶やコーヒーなどの清涼飲料、乳製品にも含まれ、また、特に、焼き菓子類に多く含まれていることが知られている(食品衛生47,7,29-60,1997)。過酸化水素は食品、飲料や医薬品の形態にする際に加熱を伴う処理をすると生成することが知られている。特に、コーヒーについては、焙煎条件により変化することが報告されている。(「コーヒー焙煎の化学と技術」中林敏郎ら、弘学出版(1995))。本発明の目的は、過酸化水素の生成、又は、除去によりを過酸化水素濃度を低減することによりクロロゲン酸、カフェ酸及びフェルラ酸に高い抗高血圧作用を発現させる食品、高血圧症予防・改善・治療剤及び体脂肪抑制剤を提供することにある。
【0007】すなわち、本発明は、次の成分(a)及び(b):(a)クロロゲン酸、カフェ酸又はフェルラ酸が少なくとも0.01重量%、(b)過酸化水素を含み、成分(a)及び(b)の含有重量比率(b)/(a)が0〜0.003である植物抽出物を含有する食品を提供するものである。また、本発明は、次の成分(a)及び(b):(a)クロロゲン酸、カフェ酸又はフェルラ酸が少なくとも0.01重量%、(b)過酸化水素を含み、成分(a)及び(b)の含有重量比率(b)/(a)が0〜0.003である植物抽出物を含有する高血圧予防・改善・治療剤を提供するものである。また、本発明は、次の成分(a)及び(b):(a)クロロゲン酸、カフェ酸又はフェルラ酸が少なくとも0.01重量%(b)過酸化水素を含み、成分(a)及び(b)の含有重量比率(b)/(a)が0〜0.003である植物抽出物を含有する体脂肪抑制剤を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で使用する植物抽出物としては、例えば、コーヒー、リンゴ、ブドウ、タマネギ、ダイコン、レモン、センキュウ、トウキ、マツ、オウレン、ウコン、アギ、カンショ、ヒマワリの葉、ヒマワリの種子、モロヘイヤ、トウモロコシ、大麦、小麦、コメ等が好ましく、特にコメが好ましい。ここで、コメとは、イネ科イネ(Oryza sativa LINNE)の種実等の生又は乾燥物が挙げられ、更に好ましくは、コーヒー、リンゴ、ブドウ等が挙げられる。特に、コーヒー豆抽出物は、コーヒーの木の果実のコーヒー豆からの抽出物であり、コーヒーの木の種類としては、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種、アラブスタ種いずれでもよい。
【0009】植物からの有効成分の抽出法は、溶剤抽出、超臨界抽出等の方法が挙げられるが、コーヒー豆から抽出した抽出物をイオン交換樹脂等で処理して成分調整(例えば特開平4−145048号公報、特開平4−145049号公報等)してもよい。溶剤抽出する場合の抽出溶剤としては、水及び親水性有機溶剤が挙げられ、親水性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン等が例示される。抽出溶剤としては、含水率5重量%(以下単に%と記載する)以上の含水親水性有機溶媒が好ましく、含水エタノールがよい。
【0010】本発明の食品には、これらの成分のほか多糖類、脂質、タンパク質、カフェイン、ミネラル、脂肪酸等の各種物質を含有する。(a)クロロゲン酸、カフェ酸又はフェルラ酸は少なくとも0.01重量%(以下単に%と記載する)含有するが、好ましくは0.01から10%、更に好ましくは0.02〜5%、特に0.05〜1%の範囲で含有するのが好ましい。(b)過酸化水素は、(a)と(b)の含有重量比率(b)/(a)が0〜0.003であるが、好ましくは0〜0.002、更に好ましくは0〜0.0005、特に0〜0.0002の範囲で含有するのが、高血圧症の予防・改善・治療効果の点、また食した場合のえぐ味、収斂味を伴った酸味による香味の点から好ましい。更に(b)過酸化水素の含有量は、好ましくは0〜0.0005%、より好ましくは0〜0.0002%、更に好ましくは0〜0.0001%、特に好ましくは0〜0.00005%、最も0%が好ましい。成分(a)と成分(b)は、植物からの抽出操作の前又は後において、過酸化水素除去又は含量低減化処理を行うことにより得られた抽出物を用いるのが好ましい。この範囲となるような調整は、クロロゲン酸等の成分(a)を添加したり、水による低温抽出、溶剤抽出、超臨界抽出、低温殺菌等によって過酸化水素の生成を抑制したり、過酸化水素分解酵素(カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ)、過酸化水素分解触媒等の市販の過酸化水素分解剤により処理し成分調整してもよい。特に、植物の抽出物を過酸化水素分解剤で処理したものが好ましい。
【0011】クロロゲン酸としては、キナ酸の3位、4位及び5位の水酸基の1個又は2個にカフェー酸がエステル結合したものが挙げられ、具体的には、キナ酸の3位の水酸基にカフェー酸がエステル結合した3−カフェイルキナ酸(クロロゲン酸)、キナ酸の5位の水酸基にカフェー酸がエステル結合した5−カフェイルキナ酸、キナ酸の4位の水酸基にカフェー酸がエステル結合した4−カフェイルキナ酸(クリプトクロロゲン酸)、キナ酸の3、4位及び5位の水酸基のうち2つの水酸基にカフェ酸がエステル結合したイソクロロゲン酸類(例えば、3,5−カフェイルキナ酸等)等が挙げられる。クロロゲン酸にはこれらの塩も包含される。
【0012】クロロゲン酸の塩としては、薬学上許容される塩であれば特に限定されず、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられ、天然物中ではクロロゲン酸は塩としても存在している。
【0013】本発明の高血圧予防・改善・治療剤には、上記成分だけでなく、他の血圧降下剤(例えば、α遮断薬、β遮断薬、αβ遮断薬、ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、Caブロッカー、利尿薬、向精神薬等);各種ビタミン類(例えば、ビタミンA、ビタミンB1、B2、B6、B12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE等);血圧降下作用を有する他の活性成分〔生理活性物質(例えば、α−リノレン酸、EPA、DHA等のω3系高度不飽和脂肪酸、又はこれらを構成脂肪酸とするトリグリセリド等、茶ポリフェノールのカテキン及びその重合体、そばポリフェノールのルチン等)、レイシ、イチョウ、タイソウ、オウセイ、ケツメイシ、シイタケ、ラカンカ、キクカ、ヤーコン葉、クワ葉、バナバ葉、センポウ、シャゼンシ等〕等を配合することもできる。
【0014】本発明の体脂肪抑制には、上記成分だけでなく、体脂肪抑制効果が知られている茶ポリフェノール類、大豆フラバノール、ヨモギポリフェノール等の植物ポリフェノール類又はそのエキス、糖吸収抑制効果を有するデキストラン類、脂肪やコレステロールの吸収を阻害するジグリセリド類、特に高度不飽和ジグリセリド等が挙げられる。
【0015】本発明の高血圧予防・改善・治療剤、体脂肪抑制剤を医薬とする場合には、上記成分に薬学的に許容される担体を添加して、経口用の組成物とすることができる。経口用組成物としては、錠剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤、散剤、カプセル剤(硬カプセル剤及び軟カプセル剤を含む)、トローチ剤、チュアブル剤、液剤(ドリンク剤)などが挙げられる。
【0016】本発明の食品には、生活習慣病の予防用用の食品として有用で、有効成分の他に慣用の食品添加物を加えた飲料、醤油、牛乳、ヨーグルト、味噌等の液状又は乳状又はペースト状食品;ゼリー、グミ等の半固形状食品;ガム、豆腐、サプリメント等の固形状食品;あるいは粉末状食品等いかなる形態でもよい。
【0017】本発明に用いる高血圧症の予防・改善・治療剤、体脂肪抑制剤の成人(体重60kg)1日あたりの有効投与量は、クロロゲン酸換算にて1日に、5〜5000mgとすることが好ましく、特に、10〜500mgとすることが好ましい。ここで、クロロゲン酸換算とは、液体クロマトグラフ法によって同定されるモノカフェイルキナ酸、ジカフェイルキナ酸の全量をいう。
【0018】
【実施例】実施例1〜3 血圧降下評価(a)使用動物12週齢の雄性自然発症高血圧ラット(SHR)を、予備的に7日間連続で市販ラット用非観式血圧測定装置(ソフトロン社製)を用いて血圧測定することにより、血圧測定操作に十分ならさせた後、評価試験を開始した。ラットはすべて室温25±1℃、湿度55±10%RH、照明時間12時間(午前7時〜午後7時)の条件下(ラット区域内飼育室)で飼育した。
【0019】(b)投与方法及び投与量対照区では、生理食塩水を用いた。実施例1ではコーヒー豆抽出物(長谷川香料(株)製、食品添加物)100重量部にカタラーゼ(和光純薬社製)1重量部を加えて、25℃で5時間攪拌処理して、過酸化水素濃度を低減させたもの、比較例1では、コーヒー豆抽出物(長谷川香料(株)製、食品添加物)を使用した。実施例2では、市販のインスタントコーヒーを実施例1と同様にしてカタラーゼ処理して過酸化水素濃度を低減させたもの、比較例2では、市販のインスタントコーヒーを使用した。実施例3では、実施例1の処理物を更にカタラーゼ処理して過酸化水素を除いたもの、また、比較例3では、これに過酸化水素(関東化学社製)を添加した。それぞれのサンプルを生理食塩水で希釈して、投与サンプルとした。クロロゲン酸単独の効果から、体重換算した飲料中での濃度を表1に示す。各群中のクロロゲン酸の測定はUV検出器付きの高速液体クロマトグラフィにより、過酸化水素の測定は酸素電極法を用いて行った。投与方法は、経口投与とし、金属製胃ゾンデを用いて強制的に投与した。投与量は、5mL/匹とした。
【0020】(c)試験方法一夜絶食したSHRを1群6匹を使用した。経口投与前と6、12、24時間後の尾動脈の収縮期血圧を測定した。
【0021】(d)統計学的処理方法得られた測定結果は、平均値及び標準誤差(SE)で表してStudent's t-testをした。
【0022】
【表1】


【0023】表1に各試験群における測定結果を、投与前を基準とした血圧変化率%で示す。実施例と比較例の対比から、過酸化水素を除去したサンプルにおいて、血圧降下の効果が認められた。
【0024】実施例4 粉末食品ブドウ糖47.4%、アラビアガム10%、デキストリン36%、クエン酸2%、ビタミンC1%、コーヒー豆抽出物(長谷川香料(株)製のコーヒ抽出物を実施例1と同様にカタラーゼ処理したもの)3.6%に水を添加して溶解させる。この溶液をスプレードライヤーで噴霧乾燥し、得られた粉末に香料(レモンフレーバー)を適量加え、均一混合した後10g分包にし、高血圧の予防・改善・治療を目的とした水や湯に溶かして飲用摂取することが可能な粉末食品を得た。過酸化水素の濃度は0.0003%であった。1週間の被験者(10名)の連用試験で平均5mmHgの血圧降下が確認できた。
【0025】実施例5 錠菓無水血漿ブドウ糖76.4%、フロストシュガー9%、粉末オレンジ香料4.5%、グアーガム2%、アスコルビン酸2.5%、クエン酸(結晶)1.5%、コーヒー豆抽出物(実施例4と同一物)3.6%、ショ糖脂肪酸エステル(HLB20)0.5%、色素適量を均一混合し、常法により15mmφの径を有する2gの錠剤を打錠し、風味良好な高血圧の予防・改善・治療を目的とした錠菓を得た。過酸化水素の濃度は0.0004%であった。1月間の被験者(10名)の連用試験で平均体重減少0.5kg、内臓脂肪(CT法)平均7%の減少が認められた。
【0026】実施例6 小麦粉食品(カップケーキ)
薄力粉100g、鶏卵100g、砂糖110g、ショートニング35g、マーガリン35g、ベーキングパウダー2.5g、洋酒6.0g、コーヒー豆抽出物(実施例4と同一物)3.6g、水適量の組成からなる生地を用いてカップケーキを調製した後、10個の型に分け、常法により焼成、製造し、風味良好な高血圧の予防・改善・治療を目的としたカップケーキを得た。過酸化水素の濃度は0.00045%であった。2月間の連用試験において、血圧由来の頭痛、肩コリ等が減少することが、被験者とのインタビューから判明した。
【0027】実施例7 ゼリー食品カラギーナンとローカストビーンガムの混合ゲル化剤0.65%、グレープフルーツの50%の濃縮果汁5.0%、クエン酸0.05%、ビタミンC0.05%、コーヒー豆抽出物(実施例4と同一物)1.8%を混合し、これに水を加えて100%に調整し、65℃で溶解した。更に少量のグレープフルーツフレーバーを添加して85℃で5分間保持して殺菌処理後、100mLの容器に分注した。8時間静置して徐冷しながら5℃に冷却して、ゲル化させ、口に含んだ時に口溶け性が良好で、果実風味を有し食感良好な高血圧の予防・改善・治療を目的としたゼリー食品を得た。過酸化水素の濃度は0.0001%であった。夏場における2月間の連用試験で血圧降下作用が認められた。
【0028】実施例8 清涼飲料水果糖ブドウ糖液糖13%、クエン酸0.3%、アスコルビン酸0.03%、クエン酸ナトリウム0.02%、香料(ライムフレーバー)0.1%、コーヒー豆抽出物(実施例4と同一物)に水を加えて溶解し、5リットルの飲料を調製した。溶液は、100mLをガラスビン容器に分注し、常法により殺菌を行い風味良好な高血圧の予防・改善・治療を目的とした清涼飲料水を得た。過酸化水素の濃度は0.00015%であった。コーヒー抽出物については、クロロゲン酸換算で、ラットの場合には、50mg/kgと200mg/kg、ヒトの場合には、6mg/ヒト・日と70mg/ヒト・日に調製し、連用試験を行なった。ラットの血圧の変化とヒトの血圧降下率を表2、3に示す。ラットでは、50mg/kgで、ヒトでは、70mg/ヒト・日で効果が確認できた。このことから、500mLのペット飲料を調製した場合、0.01%の配合で効果があらわれた。
【0029】
【表2】


【0030】
【表3】


【0031】実施例9 無糖飲料市販無糖飲料として、ウーロン茶(サントリー株式会社製)500mLにコーヒー豆抽出物(実施例4と同一物)360mgを添加溶解後、常法にて殺菌し、風味良好な高血圧の予防・改善・治療を目的とした無糖飲料を得た。過酸化水素の濃度は0.00008%であった。連用により、高血圧由来の不快感の減少が確認された。
【0032】実施例10 ビタミン内服液タウリン800mg、ショ糖11000mg、カラメル50mg、安息香酸ナトリウム30mg、ビタミンB1硝酸塩5mg、ビタミンB2 20mg、ビタミンB6 20mg、ビタミンC 2000mg、ビタミンE 100mg、ビタミンD3 2000I.U.、ニコチン酸アミド20mg、コーヒー豆抽出物(実施例4と同一物)360mgを適量の精製水に加えて溶解し、リン酸水溶液でpH3に調節した後更に精製水を加えて全量を50mLとした。これを80℃で30分滅菌して、保存による成分変化もなく、味、香味にもすぐれていた高血圧の予防・改善・治療を目的とした飲料を得た。過酸化水素の濃度は0.00024%であった。2月間のヒト(20名)の連用試験でウエスト回りが平均1.05cmの減少が認められた。
【0033】実施例11 チュアブル錠剤ビタミンB1硝酸塩、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンCからなるミックスビタミン製剤15%、フロストシュガー59.6%、デキストリン20.9%、ショ糖エステル3%、ヒドロキシプロピルセルロース1.0%、香料0.5%の組成からなるチュアブル錠剤用粉末99重量部に3.6重量部のコーヒー豆抽出物(実施例4と同一物)を添加し、1錠あたり0.2gの錠剤を常法にて打錠し、1回当たり5錠摂取する味、香味にもすぐれた高血圧の予防・改善・治療を目的としたチュアブル錠剤を得た。過酸化水素の濃度は0.00026%であった。生活習慣病と認定された被験者に2月間の連用を行った結果、20%の被験者が高脂血症の改善、40%の被験者が血圧降下作用を認めた。
【0034】実施例12 醤油市販減塩醤油(キッコーマン株式会社製減塩醤油100重量部)に1.8重量部のコーヒー豆抽出物(実施例4と同一物)を添加し、溶解、殺菌した。本醤油は、コーヒー豆抽出物添加前の減塩醤油と比較して、風味、色ともに問題がなく、通常の醤油と同様に1日当たりの使用量が約20gの高血圧の予防・改善・治療を目的としたコーヒー豆抽出物減塩醤油を得た。過酸化水素の濃度は0.0003%であった。高血圧症といわれる被験者に2週間連用した結果、高血圧剤との併用によっても血圧降下効果が50%の被験者において確認された。
【0035】
【発明の効果】優れた血圧降下作用、血圧上昇抑制作用と安全性を有し、生活習慣病の予防に有効で、高血圧症予防・改善・治療効果、体脂肪抑制効果のある食品及び医薬に関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 次の成分(a)及び(b):(a)クロロゲン酸、カフェ酸又はフェルラ酸が少なくとも0.01重量%、(b)過酸化水素を含み、成分(a)及び(b)の含有重量比率(b)/(a)が0〜0.003である植物抽出物を含有する食品。
【請求項2】 食品が生活習慣病予防用食品である請求項1記載の食品。
【請求項3】 次の成分(a)及び(b):(a)クロロゲン酸、カフェ酸又はフェルラ酸が少なくとも0.01重量%、(b)過酸化水素を含み、成分(a)及び(b)の含有重量比率(b)/(a)が0〜0.003である植物抽出物を含有する高血圧予防・改善・治療剤
【請求項4】 次の成分(a)及び(b):(a)クロロゲン酸、カフェ酸又はフェルラ酸が少なくとも0.01重量%、(b)過酸化水素を含み、成分(a)及び(b)の含有重量比率(b)/(a)が0〜0.003である植物抽出物を含有する体脂肪抑制剤

【公開番号】特開2003−81824(P2003−81824A)
【公開日】平成15年3月19日(2003.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−270936(P2001−270936)
【出願日】平成13年9月6日(2001.9.6)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】