説明

高透明性を有する三次元物品を製造するための光硬化型樹脂組成物

本発明は、(i)ポリグリシジルエポキシ化合物を含むカチオン硬化型成分、(ii)フリーラジカル活性成分、(iii)カチオン性光開始剤、(v)フリーラジカル光開始剤、および場合によっては(iv)1つ以上の随意の成分を含む、低粘度光硬化型組成物を提供する。ラピッドプロトタイピング法を用いて、この光硬化型組成物を硬化して、優れた機械的性質を有する無色透明な三次元物品を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
なし
連邦政府により資金援助を受けた研究開発に関する記述
なし
【0002】
本発明は、高透明性を有し、また無色でもある立体リソグラフィーによる三次元物品の製造に特に好適な低粘度光硬化型組成物と、無色透明な硬化物品と無色透明な硬化三次元賦型物品それ自身の製造方法に関する。特に、本発明は、優れた機械的性質と耐水性を有する無色透明な硬化した三次元賦型物品が製造される低粘度光硬化型組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
液体をベースとする固体像形成法、例えば立体リソグラフィーは、光成形性液体を薄層として表面に塗布し、液体が固化するように化学線照射に露光する方法である。引き続いて、光成形性液体の新らしい薄層を前の液体層または前に固化した区分上に被覆する。次に、新らしい層を像にしたがって露光して、部分を像にしたがって固化させ、新しい硬化領域の部分と前に硬化した領域の部分の間に接着を生じさせる。それぞれの像様の露光は、光硬化物体に関する断面に関連した形状であり、すべての層を被覆し、すべての露光を完結したときに、一体の光硬化物体を取り囲む液体組成物から取り出すことができる。
【0004】
在来のハイブリッド組成物(カチオン硬化型およびフリーラジカル硬化型化合物の両方を含む組成物)から立体リソグラフィーにより製作される三次元物品は、低透明性を有する傾向がある。特に、このような物品はヘイズを帯び、ならびに/もしくは高着色であることがある。このヘイズは、多分、カチオン硬化型化合物とフリーラジカル硬化型化合物の混和性が不良であり、異なる反応速度により強調されることが原因の一部である。
【0005】
(特許文献1)は、改善された透明性を有する三次元物品を生じる輻射線硬化型ハイブリッド組成物を開示している。このハイブリッド組成物は、特定のアクリレート、特にエリスリトールヘキサアクリレートと組み合わされた、脂環式エポキシと低分子量ポリTHFを含有する。(特許文献2)もエポキシ成分がグリシジルエポキシ化合物を殆どもしくは全く含有しない、高透明性三次元物品を生成する光硬化型ハイブリッド組成物を開示している。
【0006】
【特許文献1】米国特許第6,811,937号
【特許文献2】(特許文献2)WO05045523
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、無色透明であり、また高い強度と耐水性を含む、優れた機械的性質を長期間維持し、種々の用途で使用可能な三次元物品を硬化時に生じる、炭素および水素含有量が高く、アンチモン含有量が低い、もしくはゼロである、改善された光硬化型ハイブリッド組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ポリグリシジルエポキシ化合物を含む、約35−80重量%のカチオン硬化型成分、約5−60重量%のフリーラジカル活性成分、約0.1−10重量%のカチオン
性光開始剤、0.01−10重量%のフリーラジカル光開始剤、および1つ以上の随意の成分を含有し、重量でのパーセントが光硬化型組成物の全重量を基準とするものである、低粘度光硬化型組成物を提供する。
【0009】
一つの態様においては、本発明は、
(a)少なくとも1つのポリグリシジルエポキシ化合物と場合によっては少なくとも1つのオキセタンを含むカチオン硬化型成分;
(b)少なくとも1つのエトキシル化もしくはプロポキシル化ポリ(メタ)アクリレートまたはそれらの混合物と、場合によっては非芳香族ポリ(メタ)アクリレート
を含む、フリーラジカル活性成分;
(c)アンチモンを含まないカチオン性光開始剤;
(d)フリーラジカル光開始剤;および
(e)1つ以上の随意の成分
を含有し、
硬化後光硬化型組成物が高い強度を有する、無色透明な物品を生じる光硬化型組成物を提供する。一つの態様においては、成分a)は、縮合していてもよく、もしくは縮合していなくてもよい、水素化芳香族および/または多環状の脂肪族基を含有するポリグリシジル化合物である。
【0010】
本発明の光硬化型組成物は、組成物の層を基材または表面上に形成し、露光領域中の層の実質的な硬化を引き起こし、像形成された断面を形成するのに充分な強度の化学線照射に層を像様に露光することにより急速硬化可能である。次に、光硬化型組成物の第2の層を前に像形成された断面上に形成し、充分な強度の化学線照射に露光して、第2の層の実質的な硬化を引き起こし、前に像形成された断面への接着を引き起こし得る。種々の用途で使用可能な寸法的に精確な三次元物品を積み上げにより作製する目的で、これを充分な回数繰り返し得る。
【0011】
本発明の詳細を理解し、良好に評価するためには、次の本発明の詳細な説明を添付の図面と一緒に参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ガラスと、比較の光硬化型組成物と本発明の光硬化型組成物から製造される硬化物品に対して行われた色測定を示すグラフである。
【図2】ガラスと、比較の光硬化型組成物と本発明の光硬化型組成物から製造される硬化物品に対して行われた色測定を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の光硬化型組成物は、無色透明で、改善された機械的性質を有し、さらには経時的に卓越した安定性を呈する、三次元物品、フィルムまたは被膜を生じる低粘度光硬化型組成物である。「透明」とは、物品、フィルムまたは被膜が透明であり、したがって後方に置かれた物体がはっきりと見えるように、物品、フィルムまたは被膜がその物質を通して光線を透過する能力を有するという意味である。かすんで見える、もしくは曇って見える硬化物品、フィルムまたは被膜は透明でない。「無色」とは、本発明の光硬化型組成物から製造される物品、フィルムまたは被膜が色を持たず、物品、フィルムまたは被膜のインチ厚さ当り70未満の黄色度指数(ASTM D1925にしたがって測定して)を有するという意味である。70以上の黄色度指数/インチ厚さを有する物品、フィルムまたは被膜は無色ではない。
【0014】
カチオン硬化型成分
第1の必須成分として、本発明の光硬化型組成物は、光硬化型組成物の全重量基準で約
35−80重量%の、好ましくは約40−70重量%のカチオン硬化型成分を含む。カチオン硬化型成分は、カチオンにより開始される開環機構により、もしくはその結果として反応して、ポリマー網目を形成する能力のある官能基を有することを特徴とする少なくとも1つのカチオン硬化型化合物を包含する。このような官能基の例は、オキシラン(エポキシド)−、オキセタン−、テトラヒドロフラン−、およびラクトン環を化合物中に含む。このような化合物は、脂肪族、芳香族、脂環式(縮合環系を含む)、アリール脂環式、水素化芳香族もしくはヘテロ環構造を有し得、ならびにこれらは環基を側鎖基として含有し得、もしくは官能基は脂環式環もしくはヘテロ環系の一部を形成することができる。カチオン硬化型化合物は、二官能性、三官能性であり得るか、もしくは3個より多いカチオン硬化型基を含有し得る。
【0015】
カチオン硬化型成分は、単一の液体カチオン硬化型化合物、液体カチオン硬化型化合物の組み合わせ物、または1つ以上の液体カチオン硬化型化合物と液体中に可溶性である、1つ以上の固体カチオン硬化型化合物の組み合わせ物を含み得る。
【0016】
一つの態様においては、カチオン硬化型化合物は1つ以上のエポキシ含有化合物を含む。このようなエポキシ含有化合物の例は、ポリグリシジルエポキシ化合物、非グリシジルエポキシ化合物、エポキシクレゾールノボラックおよびエポキシフェノールノボラック化合物を含む。
【0017】
ポリグリシジルエポキシ化合物は、ポリグリシジルエーテル、ポリ(β−メチルグリシジル)エーテル、ポリグリシジルエステルまたはポリ(β−メチルグリシジル)エステルであり得る。ポリグリシジルエーテル、ポリ(β−メチルグリシジル)エーテル、ポリグリシジルエステル、およびポリ(β−メチルグリシジル)エステルの合成および例は、参照によりこの明細書に組み込まれている、米国特許第5,972,563号に開示されている。例えば、少なくとも1つの遊離のアルコール型ヒドロキシル基および/またはフェノール系ヒドロキシル基を有する化合物と好適に置換されたエピクロロヒドリンとをアルカリ性条件下で反応させるか、もしくは酸性触媒の存在において反応させ、続いてアルカリ処理を行うことにより、エーテルを取得し得る。アルコールは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコールおよび高級ポリ(オキシエチレン)グリコール、プロパン−1,2−ジオールまたはポリ(オキシプロピレン)グリコール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,4,6−トリオール、グリセロール、1,1,1−トリメチロールプロパン、ビス−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、およびソルビトールなどの鎖状アルコールであり得る。しかしながら、好適なグリシジルエーテルは、1,3−もしくは1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシシクロ−ヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンまたは1,1−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキセ−3−エンなどの脂環式アルコールからも取得され得るか、もしくはN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリンまたはp,p’−ビス(2−ヒドロキシエチルアミノ)ジフェニルメタンなどの芳香族環を有し得る。
【0018】
ポリグリシジルエーテルまたはポリ(β−メチルグリシジル)エーテルの特に重要な代表的なものは、単環式フェノール、例えばレゾルシノールまたはヒドロキノン、多環状フェノール、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)S(ビスフェノールS)、アルコキシル化ビスフェノールA、FもしくはS、トリオール延長ビスフェノールA、FもしくはS、臭素化ビスフェノールA、FもしくはS、水素化ビスフェノールA、FもしくはS、フェノールおよび、フェノールノボラックおよびクレゾールノボラックなど、酸性条件下で得られるフェノールまたはクレゾール
とホルムアルデヒドとの縮合生成物であるペンダント基もしくは鎖付きのフェノールのグリシジルエーテル、もしくはシロキサンジグリシジルをベースとするものである。このような化合物の水素化物が極めて好ましい。
【0019】
ポリグリシジルエステルとポリ(β−メチルグリシジル)エステルは、エピクロロヒドリンまたはグリセロールジクロロヒドリンまたはβ−メチルエピクロロヒドリンとポリカルボン酸化合物とを反応させることにより製造され得る。この反応は塩基の存在において便法として行われる。ポリカルボン酸化合物は、例えばグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸または二量化もしくは三量化リノール酸であり得る。しかしながら、同様に、脂環式ポリカルボン酸、例えばテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸または4−メチルヘキサヒドロフタル酸を使用することも可能である。例えば、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸またはピロメリット酸などの芳香族ポリカルボン酸を使用することも可能であり、あるいは例えばトリメリット酸とポリオール、例えばグリセロールまたは2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのカルボキシル−末端付加物が使用され得る。
【0020】
もう一つの態様においては、エポキシ含有化合物は非グリシジルエポキシ化合物である。非グリシジルエポキシ化合物は構造的に線状、分岐型もしくは環状であり得る。例えば、エポキシド基が脂環式環もしくはヘテロ環系の一部を形成する1つ以上のエポキシド化合物が包含され得る。他の例は、少なくとも1つのケイ素原子を含有する基に直接的もしくは間接的に結合する、少なくとも1つのエポキシシクロヘキシル基付きのエポキシ含有化合物を包含する。例は、参照によりこの明細書に組み込まれている、米国特許第5,639,413号に開示されている。なお他の例は、1個以上のシクロヘキセンオキシド基を含有するエポキシドと、1つ以上のシクロペンテンオキシド基を含有するエポキシドを包含する。好ましくは、カチオン硬化型成分の非グリシジルエポキシ化合物の含有量はゼロであるか、もしくは低い。
【0021】
特に好適な非グリシジルエポキシ化合物は、エポキシド基が脂環式環もしくはヘテロ環系の一部を形成する、次の二官能性非グリシジルエポキシド化合物を包含する:ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、1,2−ビス(2,3−エポキシシクロペンチルオキシ)エタン、3,4−エポキシシクロヘキシル−メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチル−シクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ヘキサンジオエート、ジ(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ヘキサンジオエート、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エタンジオールジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンジエポキシドまたは2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−1,3−ジオキサン、および2,2’−ビス−(3,4−エポキシ−シクロヘキシル)−プロパン。エステル基を持たないこれらの化合物が特に好ましい。
【0022】
もう一つの態様においては、カチオン硬化型化合物はポリ(N−グリシジル)化合物またはポリ(S−グリシジル)化合物である。ポリ(N−グリシジル)化合物は、例えばエピクロロヒドリンと少なくとも2個のアミン水素原子を含有するアミンとの反応生成物を脱塩化水素することにより取得可能である。これらのアミンは、例えばn−ブチルアミン、アニリン、トルイジン、m−キシリレンジアミン、ビス(4−アミノフェニル)メタンまたはビス(4−メチルアミノフェニル)メタンであり得る。ポリ(N−グリシジル)化合物の他の例は、エチレンウレアまたは1,3−プロピレンウレアなどのシクロアルキレンウレアのN,N’−ジグリシジル誘導体と、5,5−ジメチルヒダントインなどのヒダントインのN,N’−ジグリシジル誘導体を包含する。ポリ(S−グリシジル)化合物の
例は、ジチオール、例えばエタン−1,2−ジチオールまたはビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテルから誘導されるジ−S−グリシジル誘導体である。
【0023】
1,2−エポキシド基が異なるヘテロ原子もしくは官能基に結合したエポキシ含有化合物を使用することも可能である。これらの化合物の例は、4−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体、サリシル酸のグリシジルエーテル/グリシジルエステル、N−グリシジル−N’−(2−グリシジルオキシプロピル)−5,5−ジメチルヒダントインまたは2−グリシジルオキシ−1,3−ビス(5,5−ジメチル−1−グリシジルヒダントイン−3−イル)プロパンを包含する。
【0024】
ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、リモネンモノオキシド、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル9,10−エポキシステアレート、および1,2−ビス(2,3−エポキシ−2−メチルプロポキシ)エタンなどの、他のエポキシド誘導体が使用され得る。
【0025】
上述のものなどのエポキシ含有化合物の液体の予備反応された付加物をエポキシ樹脂用の硬化剤と共に使用することも考えられる。もちろん、液体もしくは固体エポキシ樹脂の液体混合物をこの新規な組成物中で使用することも可能である。
【0026】
次のものは、本発明での使用に好適な市販のエポキシ含有化合物の例である:Uvacure(登録商標)1500(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,−4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、UCB Chemicals Corpから入手可能);Epalloy(登録商標)5000(エポキシ化水素化ビスフェノールA、CVC Specialties Chemicals,Inc.から入手可能)Heloxy(登録商標)48(トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、Resolution Performance Products LLCから入手可能);Heloxy(登録商標)107(シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、Resolution Performance Products LLCから入手可能);独自開発の脂環式エポキシドである、Uvacure(登録商標)1501および1502、独自開発のポリオールとブレンドされた脂環式エポキシドである、Uvacure(登録商標)1530−1534、(メタ)アクリル不飽和を有する独自開発の脂環式エポキシドである、Uvacure(登録商標)1561とUvacure(登録商標)1562(すべてUCB Chemicals Corp.から入手可能);すべて3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである、Cyracure(登録商標)UVR−6100、−6105、−6107、および−6110、Cyracure(登録商標)UVR−6128、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート(すべてDow Chemical Co.から入手可能);DER332、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(Dow Chemical Co.から入手可能);Araldite(登録商標)CY179、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートおよびAraldite(登録商標)PY284、ジグリシジルヘキサヒドロフタレートポリマー(Huntsman Advanced Materials Americas.Inc.から入手可能);Celoxide(登録商標)2021、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、Celoxide(登録商標)2021P、3’,4’−エポキシシクロヘキサンメチル−3’−4’−エポキシシクロヘキシル−カルボキシレート、Celoxide(登録商標)2081、3’,4’−エポキシシクロヘキサンメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート変成カプロラクトン、Celoxide(登録商標)2083、Celoxide(登録商標)2085、Celoxide(登録商標)2000、Ce
loxide(登録商標)3000、Epolead GT−300、Epolead GT−302、Epolead GT−400、Epolead401、Epolead403(すべてDaicel Chemical Industries Co.,Ltd.から入手可能)DCA、脂環式エポキシ(Asahi Denka Co.Ltdから入手可能);およびE1、グリシジル基により官能基化された2,2−ジメチロールプロピオン酸の重縮合により得られるエポキシハイパー分岐型ポリマー(Perstorp
ABから入手可能)。
【0027】
もう一つの態様においては、カチオン硬化型化合物はオキセタン化合物である。次の化合物は、本発明で使用され得る化合物中に1個のオキセタン環を有するオキセタン化合物の例として示される:3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−(メタ)アリルオキシメチル−3−エチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、4−フルオロ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、4−メトキシ−[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル、イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンタジエン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなど。使用に好適なオキセタン化合物の他の例は、トリメチレンオキシド、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、3,3−[1,4−フェニレン−ビス(メチレンオキシメチレン)]−ビス(3−エチルオキセタン)、3−エチル−3−ヒドロキシメチル−オキセタン、およびビス−[(1−エチル(3−オキセタニル)メチル)]エーテルを包含する。
【0028】
本発明で使用され得る化合物中に2個以上のオキセタン環を有する化合物の例は、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ペンタエリスリトール
トリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変成ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変成ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変成ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変成ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変成水素化ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変成水素化ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変成ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルなどを包含する。
【0029】
上記の化合物のうちで、オキセタン化合物は1−10個の、好ましくは1−4個の、なおさらに好ましくは1個のオキセタン環を化合物中に有することが好ましい。特に、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,2−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エタン、およびトリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテルが好ましくは使用される。市販のオキセタン化合物は、Cyracure(登録商標)UVR6000(Dow Chemical Co.から入手可能)、およびAron Oxetane
OXT−101、OXT−121、OXT−211、OXT−212、OXT−221、OXT−610、およびOX−SQ(Toagosei Co.Ltd.から入手可能)を包含する。
【0030】
カチオン硬化型化合物は、環状エーテル化合物、環状ラクトン化合物、環状アセタール化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルトエステル化合物またはビニルエーテル化合物でもあり得る。
【0031】
さらには、上記のように、本発明のカチオン硬化型成分が上述のカチオン硬化型化合物の2つ以上の一つまたは混合物を包含するということは可能である。
【0032】
一つの態様において、カチオン硬化型成分は1つ以上のポリグリシジルエポキシ化合物を包含する。好ましくは、ポリグリシジルエポキシ化合物は、水素化芳香族化合物、例えば水素化フェノール、メチルフェノールまたはジフェノールアルカンなどの水素化フェノール系化合物から誘導される水素化芳香族ポリグリシジル化合物である。このように、ポリグリシジルエポキシ化合物は、水素化ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカンまたは2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導され得る。もう一つの態様においては、ポリグリシジルエポキシ化合物は、少なくとも2の平均エポキシ官能基数と、100と500の間のエポキシ当量(EEW)を有する水素化ビスフェノールエポキシ含有化合物である。ポリグリシジルエポキシ化合物は、光硬化型組成物の全重量基準で少なくとも約35重量%の、さらに好ましくは少なくとも約40重量%の、なおさらに好ましくは少なくとも約45重量%の量で光硬化型組成物中に存在し得る。さらにもう一つの態様においては、ポリグリシジルエポキシ化合物は、光硬化型組成物の全重量基準で多くとも約80重量%の、さらに好ましくは多くとも約70重量%の、なおさらに好ましくは多くとも約55重量%の量で光硬化型組成物中に存在し得る。なおさらなる態様においては、ポリグリシジルエポキシ化合物は、光硬化型組成物の全重量基準で約35−80重量
%の、好ましくは約40−60重量%の、なおさらに好ましくは約45−55重量%の範囲で光硬化型組成物中に存在し得る。
【0033】
もう一つの態様においては、光硬化型組成物中に存在するオキセタンの量が光硬化型組成物の全重量基準で少なくとも約5重量%、さらに好ましくは少なくとも約10重量%、なおさらに好ましくは少なくとも約15重量%となるように、カチオン硬化型成分は、1つ以上のオキセタン化合物をさらに含む。なおもう一つの態様においては、オキセタン化合物は、光硬化型組成物の全重量基準で多くとも約40重量%の、さらに好ましくは多くとも約30重量%の、なおさらに好ましくは多くとも約25重量%の量で光硬化型組成物中に存在し得る。なおさらなる態様においては、オキセタン化合物は、光硬化型組成物の全重量基準で約0.01−40重量%の、さらに好ましくは0.1−25重量%の、なおさらに好ましくは約0.5−15重量%の範囲で光硬化型組成物中に存在し得る。なおもう一つの態様においては、オキセタン化合物は、光硬化型組成物の全重量基準で約5−30重量%の範囲で存在し得る。
【0034】
もう一つの態様においては、カチオン硬化型成分は、約1重量%未満の、好ましくは約0.5重量%未満の、なおさらに好ましくは約0.1重量%未満の非グリシジルエポキシ化合物を含有する。なおもう一つの態様においては、カチオン硬化型成分は非グリシジルエポキシ化合物を含有しない。
【0035】
フリーラジカル活性成分
第2の必須の成分として、本発明の光硬化型組成物は、光硬化型組成物の全重量基準で少なくとも約5重量%から約60重量%の、好ましくは20重量%以上で約40重量%未満の、さらに好ましくは25重量%以上で約40重量%未満の量でフリーラジカル活性成分を含む。フリーラジカル活性成分は、フリーラジカル重合を開始する能力のある開始剤の存在において活性化される少なくとも1つのフリーラジカル活性化合物を含んで、フリーラジカル活性官能基を担持する他の化合物との反応に使用可能である。
【0036】
フリーラジカル活性化合物の例は、(メタ)アクリレート基を有する化合物など、1つ以上のエチレン型不飽和基を有する化合物を包含する。「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレートまたはそれらの混合物を指し、1つの化合物に1個のエチレン型不飽和結合を含有する単官能性モノマーと、1つの化合物に2個以上の不飽和結合を含有する多官能性モノマーを包含する。
【0037】
一つの態様において、(メタ)アクリレートは単官能性モノマーである。単官能性モノマーの例は、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、テトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリド
ン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレートとメチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレート、およびこれらの混合物を包含する。
【0038】
市販の単官能性モノマーの例は、SR313A、313B、および313D(Sartomer Co.Inc.から入手可能なC12−C14アルキル(メタ)アクリレート)と、Ciba(登録商標)Ageflex FM6(Ciba Specialty Chemicalsから入手可能なn−ヘキシル(メタ)アクリレート)を包含する。
【0039】
もう一つの態様においては、(メタ)アクリレートは2個以上の官能基数を有する多官能性もしくはポリ(メタ)アクリレートである。ポリ(メタ)アクリレートの例は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメチレンジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変成トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変成トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変成トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、EO変成ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変成ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変成水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変成水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変成ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、およびこれらの混合物を包含する。しかしながら、ポリ(メタ)アクリレートは、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレートまたはジペンタエリスリトール(メタ)アクリレートではない。「ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート」および「ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート」は、メタクリル酸とアルコールペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールとを反応させることにより製造されたアルコールのアクリレート、(メタ)アクリレート、またはそれらの混合物である。
【0040】
極めて好ましい多官能性(メタ)アクリレートは、EO変成トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変成トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、EO変成ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変成ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変成水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変成水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変成ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、EO変成水素化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、およびこれらの混合物である。次のものは市販のポリ(メタ)アクリレートの例である:Sartomer Co.Inc.から入手可能な、SR238(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート);SR350(トリメチロールプロパントリメタクリレート);SR351(トリメチロールプロパントリアクリレート);SR367(テトラメチロールメタンテトラメタクリレート);SR368(トリス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート);SR454(エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート);SR499(エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート);SR833S(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート);SR9003(プロポキシル化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート)。
【0041】
市販のアクリレートのさらなる例は、Kayarad(登録商標)R−526(ヘキサンジオン酸、ビス[2,2−ジメチル−3−[(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]プロピル]エステル)、SR247(ネオペンチルグリコールジアクリレート)、SR06(トリプロピレングリコールジアクリレート)、Kayarad(登録商標)R−551(ビスフェノールAポリエチレングリコールジエーテルジアクリレート)、Kayarad(登録商標)R−712(2,2’−メチレンビス[p−フェニレンポリ(オキシ−エチレン)オキシ]ジエチルジアクリレート)、Kayarad(登録商標)R−604(2−プロペン酸、[2−[1,1−ジメチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)オキシ]エチル]−5−エチル−1,3−ジオキサン−5−イル]−メチルエステル)、Kayarad(登録商標)R−684(ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート)、GPO−303(ポリエチレングリコールジメタクリレート)、Kayarad(登録商標)THE−330(エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート)、DPHA−2H、DPHA−2C、Kayarad(登録商標)D−310(DPHA)、Kayarad(登録商標)D−330(DPHA)、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、Kayarad(登録商標)T−1420(ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート)、Kayarad(登録商標)T−2020(ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート)、TPA−2040、TPA−320、TPA−330;R−011、R−300、R−205(メタクリル酸、亜鉛塩、SR634と同一)(Nippon Kayaku Co.,Ltd.から入手可能);Aronix M−210、M−220、M−233、M−240、M−215、M−305、M−309、M−310、M−315、M−325、M−400、M−6200、M−6400(Toagosei Chemical Industry Co,Ltd.から入手可能);ライトアクリレートBP−4EA、BP−4PA、BP−2EA、BP−2PA、DCP−A(Kyoeisha Chemical Industry Co.,Ltd.から入手可能);New Frontier BPE−4、TEICA、BR−42M、GX−8345(Daichi Kogyo Seiyaku Co.,Ltd.から入手可能);ASF−400(Nippon Steel Chemical Co.から入手可能);Ripoxy SP−1506、SP−1507、SP−1509、VR−77、SP−4010、SP−4060(Showa High Polymer Co.,Ltd.から入手可能);NKエステルA−BPE−4(Shin−Nakamura Chemical Industry Co.,Ltd.から入手可能);SA−1002(Mitsubishi Chemical Co.,Ltd.から入手可能);Viscoat−195、Viscoat−230、Viscoat−260、Viscoat−310、Viscoat−214HP、Viscoat−295、Viscoat−300、Viscoat−360、Viscoat−GPT、Viscoat−400、Viscoat−700、Viscoat−540、Viscoat−3000、Viscoat−3700(Osaka Organic Chemical Industry Co.,Ltd.から入手可能)を包含する。
【0042】
フリーラジカル活性化合物はエポキシ官能基化化合物でもあり得る。このようなエポキシ官能基化された化合物は、周知の手段により、例えば、ジ−もしくはポリ−エポキシドと1当量以上のエチレン型不飽和カルボン酸とを反応させることにより取得され得る。こ
のような化合物の例は、UVR−6105と1等量のメタクリル酸との反応生成物である。エポキシおよびフリーラジカル活性官能基を有する市販の化合物は、Daicel Chemical Industries Ltd.,Japanから入手可能なCyclomer M−100、M−101、A−200、およびA−400などの「Cyclomer」シリーズと、UCB Chemical Corp.から入手可能なEbecryl−3605および−3700を包含する。
【0043】
本発明のフリーラジカル活性成分が上述のフリーラジカル活性化合物の混合物を含むことは可能である。しかしながら、フリーラジカル活性成分は、好ましくは芳香族フリーラジカル活性成分ではない。このように、もう一つの態様においては、フリーラジカル活性成分は芳香族フリーラジカル活性成分ではないが、その代わりに水素化芳香族フリーラジカル活性成分である。
【0044】
一つの態様においては、フリーラジカル活性成分はエトキシル化もしくはプロポキシル化ポリ(メタ)アクリレートまたはそれらの混合物を包含する。光硬化型組成物は、光硬化型組成物の全重量基準で少なくとも5重量%の、さらに好ましくは少なくとも10重量%の、なおさらに好ましくは少なくとも20重量%のエトキシル化もしくはプロポキシル化ポリ(メタ)アクリレートまたはそれらの混合物を含有し得る。もう一つの態様においては、光硬化型組成物は、光硬化型組成物の全重量基準で多くとも約60重量%の、さらに好ましくは多くとも約45重量%の、なおさらに好ましくは多くとも約40重量%のエトキシル化もしくはプロポキシル化ポリ(メタ)アクリレートを包含する。さらなるもう一つの態様においては、エトキシル化もしくはプロポキシル化ポリ(メタ)アクリレートは、光硬化型組成物の全重量基準で約5−60重量%の、さらに好ましくは約10−40重量%の、なおさらに好ましくは約15−25重量%の範囲で光硬化型組成物中に存在する。
【0045】
もう一つの態様においては、フリーラジカル活性成分は、1つ以上の非芳香族ポリ(メタ)アクリレート、好ましくは脂環式アクリレートとの組み合わせで、エトキシル化もしくはプロポキシル化ポリ(メタ)アクリレートまたはそれらの混合物を含む。エトキシル化もしくはプロポキシル化ポリ(メタ)アクリレートまたはそれらの混合物プラス非芳香族ポリ(メタ)アクリレートの量は、少なくとも40重量%の、さらに好ましくは少なくとも50重量%の、なおさらに好ましくは少なくとも約60重量%のフリーラジカル活性成分がエトキシル化もしくはプロポキシル化ポリ(メタ)アクリレートまたはそれらの混合物であるように選択される。
【0046】
カチオン性光開始剤
第3の必須の成分として、本発明の光硬化型組成物は、光硬化型組成物の全重量基準で約0.1−10重量%のカチオン性光開始剤を含む。
【0047】
カチオン性光開始剤は、化学線照射への露光時にエポキシ含有化合物などのカチオン性硬化型成分の反応を開始させる、任意の好適なタイプの光開始剤であり得る。カチオン性光開始剤の例は、弱求核性のアニオンを含むオニウム塩を包含する。他の例は、ハロニウム塩、ヨードシル塩またはスルホニウム塩、スルホキソニウム塩またはジアゾニウム塩またはメタロセン塩を包含する。
【0048】
一つの態様において、カチオン性光開始剤はアンチモンを含まないカチオン性光開始剤である。驚くべきことには、アンチモンを含まないカチオン性光開始剤を本発明の光硬化型組成物中で使用することによって、アンチモンカチオン性光開始剤を含有する光硬化型組成物に類似の硬化速度を有し、極めて改善された機械的性質を有する非毒性の物品を硬化時に生じる非毒性の光硬化型組成物が得られるということを見出した。また驚くべきこ
とには、上述の水素化フェノール系化合物とポリ(メタ)アクリレートから誘導されるものなどの既知の緩反応性のポリグリシジルエポキシ化合物は、アンチモンを含まないカチオン性光開始剤と合体されると、無色透明な最終硬化物体中で良好な硬化感度、高精度、および機械的性質の良好なバランスを有する光硬化型組成物を生じるということが判明した。
【0049】
アンチモンを含まないカチオン性光開始剤は、弱求核性のアニオンを含むオニウム塩、例えばハロニウム塩、ヨードシル塩、スルホニウム塩、スルホキソニウム塩、ジアゾニウム塩、ピリリウム塩またはピリジニウム塩を含む、カチオン性光重合の開始に慣用されるものから選択され得る。メタロセン塩も光開始剤として好適である。オニウム塩およびメタロセン塩光開始剤は、参照によりこの明細書に組み込まれている、米国特許第3,708,296号;J.V.Crivello,「Photoinitiated Cationic Polymerization」,UV Curing:Science & Technology(S.P.Pappas,ed.,Technology Marketing Corp.1978)、およびJ.V.Crivello and K.Dietliker,「Photoinitiators for Cationic Polymerization」,Chemistry and Technology of UV & EV Formulation for Coatings,Inks & Paints 327−478(P.K.Oldring、ed.,SITA Technology Ltd 1991)に述べられている。
【0050】
アンチモンを含まないカチオン性光開始剤は、米国特許第6,863,701号に述べられ、参照によりこの明細書に組み込まれているジアルキルフェニルアシルスルホニウム塩でもあり得る。これらのアンチモンを含まないカチオン性光開始剤は、一般式A(CAOH)を有する。式中、Aは、各々場合によっては1つ以上の電子供与基により置換されている、フェニル、多環状のアリール、および多環状のヘテロアリールから選択され、AおよびAは、水素、アルキル、アリール、アルキルアリール、置換アルキル、置換アリール、および置換アルキルアリールから独立に選択され、nは1から10までの整数である。
【0051】
好ましいアンチモンを含まないカチオン性光開始剤は、式(I)
【0052】
【化1】

【0053】
(式中、
、R、およびRは、各々それぞれ独立に非置換であるか、もしくは好適な基により置換されているC6−18アリールであり、
Qはホウ素またはリンであり、
Xはハロゲン原子であり、ならびに
mはQの原子価プラス1に相当する整数である)
化合物である。C6−18アリールの例は、フェニル、ナフチル、アントリル、およびフェナントリルである。好適な基は、アルキル、好ましくはメチル、エチル、n−プロピル
、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、または種々のペンチルもしくはヘキシル異性体などのC1−6アルキル、アルコキシ、好ましくはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、またはヘキシルオキシなどのC1−6アルコキシ、アルキルチオ、好ましくはメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオ、ペンチルチオ、またはヘキシルチオなどのC1−6アルキルチオ、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素などのハロゲン、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、またはフェニルチオなどのアリールチオを包含する。好ましいQX基はBFおよびPFを包含する。使用に好適なQX基のさらなる例は、ペルフルオロフェニルボレート、例えばテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボレートである。
【0054】
市販のアンチモンを含まないカチオン性光開始剤の例は、(1)(i)Cyracure(登録商標)UVI−6992(Dow Chemical Co.)、CPI6992(Aceto Corp.)、Esacure(登録商標)1064(Lamberti s.p.a.)、およびOmnicat432(IGM Resins B.V.)を包含する、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩(チオおよびビス塩の混合物)である、ヘキサフルオロホスフェート(PF)塩;(ii)トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩(ビス塩)である、SP−55(Asahi
Denka Co.Ltd.)、Degacure KI85(Degussa Corp.)、およびSarCat KI−85(Sartomer Co.Inc.から入手可能);(iii)SP−150(Asahi Denka Co.Ltd.)ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ)−フェニル]スルフィドビス−ヘキサフルオロホスフェート;(iv)Esacure(登録商標)1187(Lamberti s.p.a.)変成スルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩;(v)クメニルシクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、Irgacure(登録商標)261(Ciba Specialty Chemicals)、ナフタレニルシクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、ベンジルシクロペンタジエニル鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート、シクロペンタジエニルカルバゾール鉄(II)ヘキサフルオロホスフェートを含むメタロセン塩;(vi)UV1242ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(Deuteron)、UV2257ビス(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(Deuteron)、およびOmnicat 440(IGM Resins B.V.)、Irgacure(登録商標)250(Ciba Specialty Chemicals)(4−メチルフェニル)(4−(2−メチルプロピル)フェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートを含むヨードニウム塩;(vii)Omnicat 550(IGM Resins B.V.)10−ビフェニル−4−イル−2−イソプロピル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−10iumヘキサフルオロホスフェート、Omnicat 650(IGM Resins B.V.)10−ビフェニル−4−イル−2−イソプロピル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−10iumヘキサフルオロホスフェートとポリオールとの付加物を含むチオキサンテン塩;および(2)Rhodorsil 2074(Rhodia)(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを含むペンタフルオロフェニルボレート塩を包含する。アンチモンを含まないカチオン性光開始剤は、1つのアンチモンを含まないカチオン性光開始剤または2つ以上のアンチモンを含まないカチオン性光開始剤の混合物を含有し得る。
【0055】
光硬化型組成物中のアンチモンを含まないカチオン性光開始剤の比率は、光硬化型組成物の全重量基準で少なくとも約0.1重量%、好ましくは少なくとも約1重量%、なおさらに好ましくは少なくとも約3.5重量%であり得る。もう一つの態様においては、アンチモンを含まないカチオン性光開始剤は、光硬化型組成物の全重量基準で多くとも約10重量%、さらに好ましくは多くとも約8重量%、なおさらに好ましくは多くとも約7重量%で存在する。さらなるもう一つの態様においては、アンチモンを含まないカチオン性光
開始剤は、光硬化型組成物の全重量基準で約0.1−10重量%の、好ましくは約0.5−8重量%の、さらに好ましくは約2−7重量%の範囲で存在する
【0056】
フリーラジカル光開始剤
本発明の光硬化型組成物は、光硬化型組成物の全重量基準で0.01−10重量%の、好ましくは約1−5重量%のフリーラジカル光開始剤も含む。フリーラジカル光開始剤は、ラジカル光重合の開始に慣用されるものから選択され得る。フリーラジカル光開始剤の例は、ベンゾイン、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテルなどのベンゾインエーテル、およびベンゾインアセテート;アセトフェノン、例えばアセトフェノン、2,2−ジメトキシアセトフェノン、および1,1−ジクロロアセトフェノン;ベンジルケタール、例えばベンジルジメチルケタールおよびベンジルジエチルケタール;アントラキノン、例えば2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tertブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、および2−アミルアントラキノン;トリフェニルホスフィン;ベンゾイルホスフィンオキシド、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキシド(Luzirin TPO);ビスアシルホスフィンオキシド;ベンゾフェノン、例えばベンゾフェノンおよび4,4’−ビス(N,N’−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン;チオキサントンおよびキサントン;アクリジン誘導体;フェナジン誘導体;キノキサリン誘導体;1−フェニル−1,2−プロパンジオン2−O−ベンゾイルオキシム;4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−プロピル)ケトン(Irgacure(登録商標)2959);1−アミノフェニルケトンまたは1−ヒドロキシフェニルケトン、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシイソプロピルフェニルケトン、フェニル1−ヒドロキシイソプロピルケトン、および4−イソプロピルフェニル1−ヒドロキシイソプロピルケトンを包含する。
【0057】
好ましくは、フリーラジカル光開始剤はシクロヘキシルフェニルケトンである。さらに好ましくは、シクロヘキシルフェニルケトンは1−ヒドロキシフェニルケトンである。最も好ましくは、1−ヒドロキシフェニルケトンは、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、例えばIrgacure(登録商標)184である。フリーラジカル光開始剤は、1つのフリーラジカル光開始剤または2つ以上のフリーラジカル光開始剤を含み得る。
【0058】
本発明の光硬化型組成物中のフリーラジカル光開始剤の比率は、光硬化型組成物の全重量基準で、約0.01−10重量%、さらに好ましくは約0.2−8重量%、なおさらに好ましくは約1−5重量%であり得る。もう一つの態様においては、フリーラジカル光開始剤は、フリーラジカル光開始剤:アンチモンを含まないカチオン性光開始剤の約1:8の、好ましくは約2:5重量部の量で存在する。
【0059】
随意の成分
本発明の光硬化型組成物は、光硬化型組成物の全重量基準で0−40重量%の、好ましくは約0.0001−40重量%の1つ以上の随意の成分も含み得る。
【0060】
随意の成分は、強化剤、例えば相分離性ゴムタイプまたはコアシェルタイプの反応性および/または非反応性強化剤であり得る。しかしながら、強化剤はこの明細書で述べられている光硬化型組成物と適合性でなければならず、この光硬化型組成物から製造される最終硬化物体が透明であるように、例えば700nm未満、好ましくは400nm未満、さらに好ましくは50nm未満の極めて小さいドメインを有しなければならない。
【0061】
このように、一つの態様においては、光硬化型組成物に添加され得る強化剤は、架橋エラストマーコアと反応性基を有するシェルを有する反応性粒子を包含する。反応性粒子は
、参照によりこの明細書に組み込まれている、米国特許第4,853,434号で開示されている方法により製造され得る。この特許は、繊維補強プラスチック、構造用接着剤、積層プラスチックの製造、およびラッカーのアニーリングにおいて有用な反応性粒子を開示している。
【0062】
反応性粒子のコアは、ポリシロキサン、ポリブタジエン、ポリブタジエン−コ−スチレン、アミン末端ポリブタジエン、メタクリレート化ポリブタジエン、アルキルアクリレート、ポリオルガノシロキサン、ゴム、ポリ(エチレングリコール)変成ウレタンアクリレート、ポリウレタンアクリレートポリカーボネート、PTFEまたは他のエラストマー材料からなり得る。一つの態様においては、架橋されたコアはポリシロキサンからなり得る。もう一つの態様においては、ポリシロキサンコアは、ジアルキルシロキサン繰り返し単位を含み得、アルキルがC1−6アルキルである架橋ポリオルガノシロキサンゴムである。さらにもう一つの態様においては、ポリシロキサンコアはジメチルシロキサン繰り返し単位を含む。
【0063】
反応性基を含有するシェルは、ポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル)、ポリ(アクリロニトリル)、ポリ(カルボキシ−官能基化PMMA−コ−スチレン)、ポリスチレン−コ−ブチルアクリレート、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート−コ−マレイン酸無水物)、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル)、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート−コ−スチレン)、ポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル)、変成ビニルエステル、エポキシ、PMMA、ポリグリシジルメタクリレート−コ−アクリロニトリル、ポリ(シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリ(メチルメタクリレート−コ−グリシジルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート−コ−アクリロニトリル−コ−ジビニルベンゼン)などの熱可塑性樹脂からなり得る。
【0064】
シェルの反応性基は、エポキシ基、オキセタン基、エチレン型不飽和基、および/またはヒドロキシ基であり得る。一つの態様においては、反応性基は、オキシラン、グリシジル、ビニルエステル、ビニルエーテル、アクリレート基、およびこれらの混合物であり得る。
【0065】
反応性粒子は、好ましくは約0.01−50μmの、さらに好ましくは約0.1−5μmの、なおさらに好ましくは約0.1から約3μmの平均粒子直径を有する。透明であるためには、粒子は、理想的には200nm未満、好ましくは50nm未満である。市販されている反応性粒子の例は、Albidur EP2240、ビスフェノールAエポキシ樹脂中のシリコーン−エポキシ粒子;Albidur VE3320、ビスフェノールビニルエステル中のシリコーン−ビニルエステル粒子;およびAlbidur EP5340、脂環式エポキシ樹脂中のシリコーン−エポキシ粒子(すべてHanse Chemieから入手可能)を包含する。
【0066】
一つの態様においては、反応性粒子は、反応性粒子と、例えばエポキシもしくはエチレン型不飽和基を含有する反応性液体媒体、好ましくは水素化液体媒体の混合物とし光硬化型組成物に添加される。このように、反応性オルガノシロキサン粒子は、Albidur
EP2240に対してはビスフェノールAグリシジルエーテル中に、Albidur VE3320に対してはビスフェノールAビニルエステル中に、ならびにAlbidur
EP5340に対しては脂環式エポキシド中に分散され得る。
【0067】
光硬化型組成物に添加される反応性粒子の量は、カチオン硬化型成分およびフリーラジカル活性成分に依って変えられ得る。存在する場合には、光硬化型組成物は、光硬化型組成物の全重量基準で少なくとも約0.5重量%、さらに好ましくは少なくとも約1重量%
、なおさらに好ましくは少なくとも約1.5重量%の反応性粒子を含有し得る。もう一つの態様においては、存在する反応性粒子は、光硬化型組成物の全重量基準で多くとも約40重量%、さらに好ましくは多くとも約15重量%、なおさらに好ましくは多くとも約10重量%である。さらにもう一つの態様においては、反応性粒子は、光硬化型組成物の全重量基準で約0.01−40重量%の、好ましくは約0.5−15重量%の、なおさらに好ましくは約1−5重量%の反応性粒子の範囲で存在する。
【0068】
反応性粒子に加えて、もしくはそれに代わって光硬化型組成物に添加され得る他の強化剤は、1つ以上のヒドロキシル含有化合物を包含する。ヒドロキシル含有化合物は、少なくとも1個の、さらに好ましくは少なくとも2個の官能基数を有し、硬化反応を阻害するいかなる基も含まない。ヒドロキシル含有化合物は、脂肪族もしくは芳香族ヒドロキシル含有化合物であり得る。例は、ポリエーテルポリオール、ヒドロキシルおよびヒドロキシル/エポキシ官能基化ポリブタジエン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリカプロラクトンジオールおよびトリオール、エチレン/ブチレンポリオール、およびモノヒドロキシル官能性モノマーを包含する。
【0069】
一つの態様においては、ヒドロキシル含有化合物はポリテトラメチレンエーテルグリコール(「ポリTHF」)である。ポリTHFは、好ましくは約250から約2500の分子量を有し、ヒドロキシ、エポキシもしくはエチレン型不飽和基末端であり得る。市販のポリTHFは、公称の分子量1000の線状ジオールである、Polymeg(登録商標)ポリTHF、例えばPolymeg(登録商標)1000(Penn Specialty Chemicals)を包含する。もう一つの態様においては、ヒドロキシル官能性化合物は、カプロラクトンをベースとするオリゴ−もしくはポリエステル、例えばトリメチロールプロパン−カプロラクトントリエステルであるTone(登録商標)301(Dow Chemical Co.)である。
【0070】
存在する場合には、光硬化型組成物に添加され得るヒドロキシル含有化合物の全量は、一般に、光硬化型組成物の全重量基準で約0.01−40重量%、好ましくは約0.5−20重量%であり得る。
【0071】
本発明の光硬化型組成物は、他の随意の成分、例えば、染料、安定剤、変成剤、発泡防止剤、レベリング剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、顔料、充填剤、およびこれらの組み合わせ物も含み得る。
【0072】
光硬化型組成物中に組み込まれ得る染料は、可溶性染料化合物、例えば、ジアリールメタンおよびトリアリールメタン染料、ローダミン染料、アゾ染料、チアゾール染料、アントラキノン染料、およびサフラニン染料である。染料は、光硬化型組成物が光硬化型組成物の全重量基準で約0.0001−0.1重量%の、好ましくは約0.005−0.05重量%の染料を含有するような量で光硬化型組成物に直接に添加されるか、もしくは光硬化型組成物の他の成分と混合され得る。
【0073】
使用時の粘度上昇を防止するために光硬化型組成物に添加され得る安定剤は、ブチル化ヒドロキシトルエン(「BHT」)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、ヒンダードアミン、例えばベンジルジメチルアミン(「BDMA」)、N,N−ジメチルベンジルアミン、およびホウ素錯体を包含する。使用される場合には、安定剤は、光硬化型組成物の全重量基準で約0.001%から約5重量%を占め得る。
【0074】
本発明の光硬化型組成物は、例えば、個別の成分を予備混合し、次にこれらの予備混合物を混合することにより、もしくは攪拌された容器などの慣用の器具を用いて、全成分を一緒に混合することにより、既知の方法で製造可能である。一つの態様において、混合は
、光の存在しない状態で、所望ならば約30℃から約60℃までの範囲の若干高い温度で行われる。さらには、光硬化型組成物は、50−1000cpsの、好ましくは70−700cpsの範囲の25℃での粘度を有することが望ましい。
【0075】
一つの態様において、本発明の光硬化型組成物は、約35−80重量%のカチオン硬化型成分、約5−60重量%のフリーラジカル活性成分、約0.1−10重量%のカチオン性光開始剤、0.01−10重量%のフリーラジカル光開始剤、および0−40重量%の1つ以上の随意の成分を混合することにより製造される。ここで、重量%は光硬化型組成物の全重量を基準とする。もう一つの態様においては、本発明の光硬化型組成物は、水素化芳香族ポリグリシジル化合物を含む約30−55重量%のカチオン硬化型成分、約5−25重量%の1個のオキセタン環を有するオキセタン化合物、約5−60重量%のフリーラジカル活性成分、約0.1−10重量%のカチオン性光開始剤、0.01−10重量%のフリーラジカル光開始剤、および0−40重量%の1つ以上の随意の成分を混合することにより製造される。ここで、重量%は光硬化型組成物の全重量を基準とする。なおもう一つの態様においては、光硬化型組成物は、ポリグリシジルエポキシ化合物およびオキセタン化合物を含む、約45−70重量%のカチオン硬化型成分、1つ以上のエトキシル化および/またはプロポキシル化ポリ(メタ)アクリレートおよび脂環式ポリ(メタ)アクリレートを含み、エトキシル化および/またはプロポキシル化ポリ(メタ)アクリレートの量がフリーラジカル活性成分の全重量基準で少なくとも40重量%である、25重量%以上ないし約40重量%のフリーラジカル活性成分、約0.5−8重量%のアンチモンを含まないカチオン性光開始剤、約0.5−4重量%のフリーラジカル光開始剤、および0−40重量%の1つ以上の随意成分を混合することにより製造される。ここで、重量%は光硬化型組成物の全重量を基準とする。
【0076】
この新規な光硬化型組成物は、化学線、例えば電子ビームX線、UVもしくはVIS光、好ましくは280−650nmの波長範囲の放射線照射により重合可能である。HeCd、アルゴンまたは窒素のレーザービームと、金属蒸気およびNdYAGレーザーも特に好適である。本発明は、現行のレーザーまたは立体リソグラフィーに使用されるように開発中の種々のタイプのレーザー、例えば固体アルゴンイオンレーザーなどに拡張される。当業者ならば、それぞれの選択される光源に対して、適切な光開始剤を選択すること、および適切な場合には、増感を行うことが必要であるということを認識している。重合対象の組成物の中への放射線の透過深さと、また操作速度も光開始剤の吸収係数と濃度に直接に比例しているということが認識されてきた。立体リソグラフィーにおいては、最大数のフリーラジカルもしくはカチオン種を形成し、重合対象の組成物の中への放射線の透過深さを最大にすることが可能な光開始剤を使用することが好ましい。
【0077】
本発明の光硬化型組成物は、放射線による重合時、無色透明な物品、フィルムまたは被膜を生じるということが好ましい。
【0078】
光硬化型組成物は、後硬化装置中での1.5時間の後硬化後、次の性質の少なくとも1つを有する光硬化物体を生じるということも好ましい:
(i)引っ張り弾性率(MPa);少なくとも2000
(ii)破断伸び(%);少なくとも7
(iii)引っ張り強度(MPa);少なくとも35
(iv)曲げ弾性率(MPa);少なくとも1000、好ましくは1600−2600
(v)曲げ強度(MPa);少なくとも50
(vi)ノッチ付きアイゾット衝撃(ft−lbs/in);少なくとも0.5、好ましくは0.66−0.86。
【0079】
本発明のさらなる局面は、光硬化型組成物の第1の層を形成すること;像形成された領
域で第1の層を硬化させるのに充分な化学線照射に第1の層をモデルのそれぞれの断面層に対応するパターンで露光すること;硬化した第1の層上に光硬化型組成物の第2の層を形成すること;像形成された領域で第2の層を硬化させるのに充分な化学線照射に第2の層をモデルのそれぞれの断面層に対応するパターンで露光すること;および前の2つの段階を繰り返して、連続層を所望のように形成し、三次元物品を形成することにより、物品のモデルにしたがって三次元物品を逐次的な断面層で製造するための方法を包含する。これらの物品は、種々の用途、例えば、化粧品業界、自動車業界、航空機業界、および消費者業界で使用可能である。例えば、三次元物品は、容器、ヘッドライト、シェードまたは装飾用物体として使用され得る。
【0080】
原理的に、本発明の方法の実施にはいかなる光造形機も使用され得る。光造形装置は、種々のメーカーから市販されている。表Iは、3D Systems Corp.(Valencia,Calif.)から入手可能な市販の光造形装置の例を掲げる。
【0081】
【表1】

【0082】
最も好ましくは、本発明の光硬化型組成物から三次元物品を製造するための立体リソグラフィーは、組成物の表面を作製して、第1の層を形成し、次にZephyr(登録商標)再被覆機(3D Systems Corp.,Valencia,Calif.)またはその同等品により三次元物品の第1の層と各連続した層を再被覆することを包含する。
【0083】
驚くべきことには、本発明の光硬化型組成物が酸素に対する高い炭素および水素含有量を有することを特徴とする場合には、このような組成物から製造される最終硬化物体は、優れた性質と透明性を呈するということが判った。このように、本発明のさらなる局面は、カチオン硬化型成分、フリーラジカル活性成分、カチオン性光開始剤、好ましくはアンチモンを含まないカチオン性光開始剤、フリーラジカル光開始剤、および場合によっては1つ以上の他の随意の成分を含有し、カチオン硬化型成分プラスフリーラジカル活性成分に対する炭素:水素:酸素の原子比(「C:H:O比」)が少なくとも3.0:3.75:1、好ましくは少なくとも約3.5:5:1であるように、光硬化型組成物内のカチオン硬化型成分とフリーラジカル活性成分の量がなされている光硬化型組成物に関する。驚くべきことには、光硬化型組成物内に含有されるカチオン硬化型およびフリーラジカル活性成分が先行の刊行物に述べられているものよりも高い疎水性の性格を有するような、C:H:O比を生じる場合には、光硬化型組成物は、強度、靭性、可撓性、寸法精度、耐久性、安定性、および改善された耐水性の優れたバランスを有する無色透明な三次元物品を急速レーザー硬化下で生じるということが見出された。
【0084】
本発明の光硬化型組成物は、好ましくは立体リソグラフィーで使用されるが、三次元インキジェット印刷または他の三次元物品を製造するためのラピッドプロトタイピング法でも使用され得る。
【0085】
インキジェット印刷においては、光硬化型組成物の連続的な液滴を基材上の標的とされた場所に塗布し(例えば、圧電型インキジェット印刷ヘッドなどのインキジェット印刷ヘッドを用いて)、組成物を硬化し、所望の形状の三次元物品を積み上げにより作製するために、液滴を電磁放射線に露光することにより照射する。液滴を、コンピューターファイル、例えばCADファイルに保存されている所望の形状にしたがって堆積される。基材は、紙、テキスタイル、タイル、印刷版、壁紙、プラスチックまたはペーストを包含し得る。数層を形成した後ならびに/もしくは全層を形成した後に、光硬化型組成物をピクセルごと、ラインごと、層ごとに電磁照射線に露光し得る。使用される電磁照射線は、UV光、マイクロウエーブ照射線、可視光、レーザービームまたは他の類似の光源であり得る。この明細書で述べられている光硬化型組成物から誘導されるジェット堆積型組成物は、分散された有機、無機、セラミックもしくは金属ナノ粒子も含有し得る。例は、ナノシリケート、ナノクレイ、ナノマイカ、ナノ構造化された有機ポリマー、ナノアルミネートホイスカー、ナノ金もしくは銀コロイドを包含する。
【0086】
別法としては、本発明の光硬化型組成物を粉末上に堆積することが可能である。粉末を基材上に薄層として拡げ、光硬化型組成物を所望の場所に所望のパターンで粉末上にジェット堆積し得る。次に、光硬化型組成物をUV光に露光することにより、パターンを硬化し得る。次に、粉末のさらなる層を第1の層の表面に置き、この方法を繰り返して、三次元物品を積み上げにより作製し得る。三次元物品を積み上げにより作製した後で、いかなる未硬化の粉末も除去し得る。非硬化粉末を除去した後で、最終加熱および/または照射線硬化を三次元物品に用意し得る。それゆえ、光硬化型組成物は粉末と充分に一体化される。粉末は、ジェット堆積された光硬化型組成物と反応性もしくは非反応性であり得る。好ましくは、ジェット堆積された光硬化型組成物は、粉末を部分的もしくは全部溶解して、次に電磁照射線、例えば、UV照射線により硬化可能な粘稠で非流動性の複合堆積物を生じる。
【0087】
もう一つの態様においては、粉末は、光硬化型組成物と反応することができるか、もしくは光硬化型組成物により促進されて、それ自身と反応する反応性成分を含有する。粉末は、有機金属ポリマー、オリゴマーまたはモノマーを含有し得る。例は、ポリアクリル酸、ポリ(アクリロニトリル−コ−ブタジエン、ポリ(アリルアミン)、官能性アクリレート基を持つポリアクリル樹脂、ポリブタジエン、エポキシ官能基化ブタジエン、ポリ(グリシジル(メタ)アクリレート)、ポリTHF、ポリカプロラクトンジオール、HEMA、HEA、スチレン−マレイン酸無水物などのマレイン酸無水物ポリマー、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール、ポリ(4−ビニルフェノール)、これらの化合物のコポリマー/ブレンド、およびエポキシ、ビニルエーテル、アクリレート/メタクリレート、ヒドロキシ、アミンもしくはビニル部分により末端キャップされたこれらの化合物のいずれでも包含する。粉末は、有機もしくは無機充填剤、顔料、ナノ粒子、染料、および/または界面活性剤をさらに含有し得る。
【実施例】
【0088】
立体リソグラフィー装置により三次元物品を製造するための一般的な方法は次のとおりである。光硬化型組成物を約30℃での光造形装置での使用に設計されたバットに入れる。全体であれ、予め決められたパターンにしたがったものであれ、組成物の表面をUV/VIS光源により照射して、照射領域中で所望の厚さの層を硬化し、固化する。光硬化型組成物の新しい層を固化層上に形成する。新しい層を表面全体にわたって、もしくは予め決められたパターンで同様に照射する。新しく固化した層は下地の固化層に接着する。多数の固化層のグリーンモデルを生じるまで、層形成段階と照射段階を繰り返す。
【0089】
「グリーンモデル」は、層形成と光硬化を行い、通常、層が完全に硬化されない立体リ
ソグラフィーにより初期に形成される三次元物品である。このことによって、さらに硬化した場合一緒に結合することにより、連続層が良好に接着することが可能となる。「グリーン強度」は、弾性率、歪み、強度、硬度、および層間接着を含む、グリーンモデルの機械的性能に対する一般的な用語である。例えば、曲げ弾性率(ASTM D790)、引っ張り性質(ASTMD638)またはノッチ付きアイゾット衝撃(ASTM D256)を測定することにより、グリーン強度を示し得る。低グリーン強度を有する物品は、それ自身の重量下で変形するか、もしくは硬化時に垂れ下がるか、潰れることもある。
【0090】
次に、グリーンモデルをトリプロピレングリコールモノメチルエーテル(「TPM」)中で洗浄し、引き続いて水ですすぎ、圧縮空気で乾燥する。次に、乾燥したグリーンモデルを後硬化装置(「PCA」)中で約60−90分間UV輻射線により後硬化する。「後硬化」は、グリーンモデルを反応させて、部分硬化層をさらに硬化する工程である。熱、化学線照射またはその両方に暴露することにより、グリーンモデルを後硬化し得る。
【0091】
表II−IVに実施例1−16と記した各光硬化型組成物の成分を示す。表II−IV中の数字は、光硬化型組成物の全重量基準の各成分の重量パーセントを指す。表Vは、表II−IV中の商品名に対するさらなる内容情報を提供する。
【0092】
光硬化型組成物中のカチオン硬化型成分およびフリーラジカル活性成分に対するエポキシ、アクリレート、およびオキセタン含有量基準で、C:H:O比の計算値も提供する。それゆえ、このC:H:O比は、組成物中に含有される光開始剤または他の成分基準のものでない。これらの計算の実施においては、各エポキシ、アクリレート、およびオキセタンに対する炭素、水素、および酸素量を求め、対応する重量パーセントを掛け、積算する。次に、炭素積算量および水素積算量を酸素積算量により割ることにより、C:H:O比を求めた。例えば、実施例3の光硬化型組成物に対しては、表IIに示す。
【0093】
【表2】

【0094】
【表3】

【0095】
【表4】

【0096】
【表5】

【0097】
【表6】

【0098】
成分を合体し、混合物が均質な光硬化型組成物となるまで、室温で混合することにより実施例1−17を作製した。次に、三次元物品をSLA350もしくはSLA7000光造形機のいずれかで光硬化型組成物から作製した。加工後、部分硬化物品を清浄化し、乾燥し、次に1.5時間後硬化して、樹脂を完全硬化した。次に、試験物品を23℃、50%相対湿度で3−5日間コンディショニングした。
【0099】
物品の機械的性質を次のASTM標準にしたがって測定した:引っ張り性質(破断伸び、強度、弾性率)D638;曲げ性質(最大強度、弾性率)D790;およびノッチ付きアイゾット衝撃(衝撃強度)D256。
【0100】
ビック・ガードナー色度球分光光度計および25分アパーチュアを用いて、黄色度指数(YI)測定をASTM D1925にしたがって行った。測定を行う前に較正およびブランク(空気)測定を行い、分光光度計から記録した。YIを硬化物品の厚さ(インチで表した)で割ることにより、YI/インチ厚さを計算した。
【0101】
4mm厚の硬化物品を目視検査し、硬化物品をヘーズ(H)または透明(T)と品質付けすることにより、
透明度を評価した。
【0102】
下記の表VI−VIIIに結果を示す。
【0103】
【表7】

【0104】
【表8】

【0105】
【表9】

【0106】
実施例2、16、およびガラスについて色測定も行った。これらの測定に使用したカラースケールはCIELAB系(L*a*b)であった。円筒の軸が0−100%の範囲の明度変数L*であり、半径がクロマティクス変数a*およびb*である円筒座標系としてCIELAB系に対する尺度を視覚化することができる。変数a*は緑(マイナス)・赤(プラス)軸であり、変数b*は青(マイナス)・黄(プラス)軸である。
【0107】
これらの色測定に使用される装置はMinolta CM−2500d分光光度計装置であった。アパーチュアの直径は10mmであった。実施例2および16の固体試料を12mm×12mm×5mmの寸法を有するように積み上げにより作製した。4mm厚のガラス板をガラス試料として使用した。ゼロおよび白色較正の後、Xeフラッシュ光源のすべてのUV成分を含む照明により測定を行った。表IXと図1−2に結果を示す。これらの結果は、本発明の光硬化型組成物から作製される実施例16がガラスと同じように透明であり、同一の色レベルであることを示す。
【0108】
【表10】

【0109】
本発明の種々の態様の製造および使用を上記に詳細に述べてきたが、本発明が広範で多様な特定の文脈で具現化可能な多数の適用可能な本発明の概念を提供するということは認識されるべきである。この明細書で述べられている具体的な態様は、本発明を製造および使用する特定の方法を単に例示するのみであり、本発明の範囲を限定するものでない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリグリシジルエポキシ化合物を含む、35−80重量%のカチオン硬化型成分;(b)エトキシル化および/またはプロポキシル化ポリ(メタ)アクリレートを含む、5−60重量%のフリーラジカル活性成分;
(c)0.1−10重量%のアンチモンを含まないカチオン性光開始剤;
(d)0.01−10重量%のフリーラジカル光開始剤;および
(e)0−40重量%の1つ以上の随意の成分
を含んでなり、
重量でのパーセントが光硬化型組成物の全重量を基準とするものであり、硬化後光硬化型組成物が透明であり、70未満の黄色度指数/インチ厚さと、少なくとも1000MPaの曲げ弾性率を有する光硬化型組成物。
【請求項2】
カチオン硬化型成分とフリーラジカル活性成分が少なくとも3.0:3.75:1のC:H:O比を生じる、請求項1に記載の光硬化型組成物。
【請求項3】
C:H:O比が少なくとも3.5:5.0:1である、請求項2に記載の光硬化型組成物。
【請求項4】
ポリ(メタ)アクリレートが非芳香族ポリ(メタ)アクリレートをさらに含んでなる、請求項2に記載の光硬化型組成物。
【請求項5】
ポリ(メタ)アクリレートが脂環式ポリ(メタ)アクリレートである、請求項4に記載の光硬化型組成物。
【請求項6】
アンチモンを含まないカチオン性光開始剤が式(I)
【化1】

(式中、R、R、およびRは、各々それぞれ独立に非置換であるか、もしくはC1−6アルキル;C1−6アルコキシ;C1−6アルキルチオ;ハロゲン;アミノ基;シアノ基;ニトロ基;およびアリールチオからなる群から選択される基により置換されているC6−18アリールであり;
Qはホウ素またはリンであり;
Xはハロゲン原子であり;ならびに
mはQの原子価プラス1に相当する整数である)
である、請求項1に記載の光硬化型組成物。
【請求項7】
ポリグリシジルエポキシ化合物が水素化ビスフェノールエポキシ含有化合物を含んでなる、請求項1に記載の光硬化型組成物。
【請求項8】
カチオン硬化型成分がオキセタン化合物をさらに含んでなる、請求項7に記載の光硬化型組成物。
【請求項9】
カチオン性光開始剤がトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート塩である、請求項1に記載の光硬化型組成物。
【請求項10】
(a)1つ以上のエポキシ含有化合物と1つ以上のオキセタン化合物を含む、40−70重量%のカチオン硬化型成分;
(b)(i)少なくとも1つのエトキシル化もしくはプロポキシル化ポリ(メタ)アクリレートまたはそれらの混合物、および
(ii)非芳香族ポリ(メタ)アクリレート
を含む、15−60重量%のフリーラジカル活性成分;
(c)0.1−10重量%のアンチモンを含まないカチオン性光開始剤;
(d)0.1−10重量%のフリーラジカル光開始剤;
(e)0−40重量%の1つ以上の随意の成分
を含み、
エトキシル化もしくはプロポキシル化ポリ(メタ)アクリレートまたはそれらの混合物の量がフリーラジカル活性成分の全量の40重量%以上であり、化学線照射への露光および場合によっては熱による硬化後、光硬化型組成物が70未満の黄色度指数/インチ厚さを有する、光硬化型組成物。
【請求項11】
カチオン硬化型成分とフリーラジカル活性成分が少なくとも3.0:3.75:1のC:H:O比を生じる、請求項10に記載の光硬化型組成物。
【請求項12】
C:H:O比が少なくとも3.5:5.0:1である、請求項11に記載の光硬化型組成物。
【請求項13】
カチオン硬化型成分が水素化ビスフェノールエポキシ含有化合物を含んでなる、請求項10に記載の光硬化型組成物。
【請求項14】
(a)請求項1に記載の光硬化型組成物の第1の層を表面上に形成すること;
(b)露光領域中の層の実質的な硬化を引き起こすのに充分な強度の化学線照射に層を画像様に露光して、像形成された断面を形成すること;
(c)請求項1に記載の組成物の第2の層を以前に露光した像形成された断面上に形成すること;
(d)露光領域中の第2の層の実質的な硬化と、以前に露光した像形成された断面への接着を引き起こすのに充分な強度の化学線照射に段階(c)からの第2の層を像様に露光して、さらなる像形成された断面を形成すること;および
(e)三次元物品を積み上げにより作製するために、段階(c)および(d)を充分な回数繰り返すこと
を含んでなる、無色の三次元物品を製造する方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法にしたがって製造される、医療用三次元物品。
【請求項16】
物品が容器、ヘッドライト、シェードまたは装飾用物体である、請求項15に記載の三次元物品。
【請求項17】
(a)コンピューターファイル上に保存された所望の形状にしたがって請求項1に記載の光硬化型組成物の連続した液滴を基材上の標的とされる場所に塗布し;
(b)液滴を電磁照射線に露光して、露光領域中の液滴を硬化し;
(c)三次元物品を積み上げにより作製するために、段階(a)および(b)を充分な回数繰り返す
段階を含んでなる、インキジェット印刷により三次元物品を製造する方法。
【請求項18】
基材が紙、テキスタイル、タイル、印刷版、壁紙、プラスチック、粉末またはペーストを含んでなる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
数層を形成した後ならびに/もしくは全層を形成した後に、光硬化型組成物がピクセルごと、ラインごと、層ごとに電磁照射線に露光される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
使用される電磁照射線がUV光、マイクロウエーブ照射線、可視光またはレーザービームである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
(a)水素化芳香族ポリグリシジルエポキシ化合物を含む、30−55重量%のカチオン硬化型成分;
(b)エトキシル化および/またはプロポキシル化ポリ(メタ)アクリレートを含む、5−60重量%のフリーラジカル活性成分;
(c)0.1−10重量%のアンチモンを含まないカチオン性光開始剤;
(d)0.01−10重量%のフリーラジカル光開始剤;および
(e)0−40重量%の1つ以上の随意の成分;
(f)5−25%の1個のオキセタン環を有するオキセタン化合物
を含み、
重量でのパーセントが光硬化型組成物の全重量を基準とするものであり、光硬化型組成物のC:H:O比が少なくとも3.0:3.75:1であり、硬化後光硬化型組成物が透明であり、70未満の黄色度指数/インチ厚さと少なくとも1000MPaの曲げ弾性率を有するものである、光硬化型組成物。
【請求項22】
C:H:O比が少なくとも3.5:5.0:1である、請求項21に記載の光硬化型組成物。

【公表番号】特表2011−509313(P2011−509313A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535087(P2010−535087)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/084332
【国際公開番号】WO2009/070500
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(509282365)ハンツマン・アドバンスド・マテリアルズ・アメリカズ・エルエルシー (7)
【Fターム(参考)】