説明

(メタ)アクリル樹脂硬化体からなる封止材

【課題】ポットライフが長い封止材料から形成可能であり、強度、ガスバリア性、透明性、耐熱性のすべてを満足する封止材を提供すること。
【解決手段】分岐を有してもよい炭素鎖状高分子化合物である(メタ)アクリル系樹脂の分子鎖が、分子間エステル結合および/または分子間エーテル結合により三次元架橋構造を形成して結合されていることを特徴とする(メタ)アクリル樹脂硬化体からなる封止材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリル系樹脂の分子同士が特定の結合により結合してなる樹脂硬化体からなる封止材に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードは、LED(Light Emitting Diode)とも呼ばれ、順方向に電圧を加えた際に発光する半導体素子のことである。LEDは白熱電球に比べて寿命が長く、消費電力が低いなどの利点から、蛍光灯や電球に替わる光源として期待され、多くの検討がなされている。
【0003】
このようなLEDは、一般的には、図2に示すように、リードフレーム101上にLEDチップ102がマウントされ、金ワイヤ103で配線が行われており、そして封止によるケース104が形成されている、という構造を取っている。
【0004】
この封止は、LEDチップの外部衝撃からの保護、電極・配線・リフレクターの酸化防止などのために行われる。このような目的の達成のため、封止に用いる封止材料には、その硬化物が、充分な強度、ガスバリア性、LEDの光を透過させる透明性、さらにLEDは発光する際に発熱するため、耐熱性などを有していることが求められる。
【0005】
このような特性が求められる封止材料として、従来ビスフェノール型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂が用いられていた。しかしながら、LEDが紫外線を発光する場合には、前記エポキシ樹脂中のベンゼン環が紫外線を吸収してしまう。またベンゼン環を有することから、前記エポキシ樹脂には、耐光性および耐熱性にも問題がある。
【0006】
そこで、ビスフェノール型エポキシ樹脂を水添し、芳香環を脂環に変換したエポキシ樹脂が、LEDの封止樹脂として提案されている(特許文献1および2参照)。しかしながら、ビスフェノール型水添エポキシ樹脂は常温で固体であるために、封止材料としての取り扱い性に劣る。また、脂環構造を有するエポキシ樹脂は、透明性には優れるが、その硬化物の強度に問題があることに加え、人体への影響が指摘されるものも多く、必ずしも封止材用途として適しているとは言えない。
【0007】
一方、特定のシリコーン樹脂を封止材料として用いることも提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、シリコーン樹脂の硬化物はガスバリア性が低く、酸素などがLED素子へ及ぼす影響が大きい。また、シリコーン樹脂の硬化速度は非常に遅く、6時間という長時間でも完全に硬化が進行せず、100〜120℃といった高温にさらされた場合には二次硬化がおこり、前記硬化物にクラックが発生する恐れがある。
【0008】
なお、特許文献4および5には、水酸基を含むアクリルモノマーとカルボキシル基を含むアクリルモノマーとをモノマー成分として含むアクリル系共重合体と、着色剤とを含有するインクジェット用インクが開示されている。
【0009】
具体的には、特許文献4の実施例1では、2−ヒドロキシエチルメタクリレート75重量%と、アクリル酸15重量%と、メタクリル酸メチル10重量%とからなるアクリル系共重合体、ならびに着色剤を含むインクが調製され、該インクをインクジェットにより吐出し、220℃、60分間の熱処理を行い、インクを硬化させている。
【0010】
また特許文献5の実施例1では、2−ヒドロキシエチルメタクリレート70gおよびメ
タクリル酸30gを共重合させて得られた共重合体と、着色剤とを含むインクが調製され、該インクをインクジェットにより吐出し、180℃で30分間加熱硬化させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−12896号公報
【特許文献2】特開2005−120357号公報
【特許文献3】特開2004−186168号公報
【特許文献4】特開2001−154009号公報
【特許文献5】特開2001−316423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上説明したように、強度、ガスバリア性、透明性、耐熱性のすべてを満足する硬化物(封止材)を形成する封止材料は開発されていないのが現状である。
【0013】
また、以上説明した封止材料には、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂以外に、それら樹脂の硬化反応を促進する硬化促進剤、硬化剤または付加反応触媒(以下、これらをまとめて「硬化触媒」ともいう)が含まれており、これらは常温でも多少ながらその機能を発揮するため、前記封止材料は、保存している間に硬化してしまう。そのため、上記封止材料には、ポットライフが短いという問題もある。
【0014】
そこで本発明は、ポットライフが長い封止材料から形成可能であり、強度、ガスバリア性、透明性、耐熱性のすべてを満足する封止材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、分岐を有してもよい炭素鎖状高分子化合物である(メタ)アクリル系樹脂の分子鎖が、分子間エステル結合および/または分子間エーテル結合により三次元架橋構造を形成して結合されていることを特徴とする(メタ)アクリル樹脂硬化体からなる封止材である。
【0016】
すなわち本発明者は、(メタ)アクリル系樹脂の分子鎖同士が、分子間エステル結合および/または分子間エーテル結合により結合して、三次元架橋構造を形成して結合された硬化体が、上記の条件のすべてを満たすことを見出したのである。
【0017】
前記(メタ)アクリル樹脂硬化体の原料となる前記(メタ)アクリル系樹脂は、ヒドロキシル基を有している。
【0018】
また、前記(メタ)アクリル系樹脂がカルボキシル基を有していると、前記分子間エステル結合を有する(メタ)アクリル樹脂硬化体が得られる。
【0019】
前記(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量は、500〜20000であることが好ましい。
【0020】
また、前記(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価が10〜380mgKOH/gであり、酸価が5〜150mgKOH/gであることも好ましい。
【0021】
前記(メタ)アクリル系樹脂のより具体的な例としては、下記一般式(1)で表わされる(メタ)アクリレートに由来する構造単位(1a)を有し、下記一般式(2)で表わされる(メタ)アクリレートに由来する構造単位(2a)、下記一般式(3)で表わされる
モノマーに由来する構造単位(3a)、下記一般式(4)で表わされるモノマーに由来する構造単位(4a)および下記一般式(5)で表わされるモノマーに由来する構造単位(5a)からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位を有してもよい(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる:
【0022】
【化1】

【0023】
(一般式(1)において、R1は水素またはメチル基であり、R2は水素または炭素数1〜3のアルキル基であり、R3は水素または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは単結合
または炭素数3〜7の環状アルキル基であり、lは0〜9の整数であり、mは0〜9の整数であり、nは1〜14の整数である(ただしlとmがともに0であることはない)。);
【0024】
【化2】

【0025】
(一般式(2)において、R4は水素またはメチル基であり、R5は水素、カルボキシフェニルオキシカルボニルエチル基またはカルボキシシクロヘキシルオキシカルボニルエチル基である。);
【0026】
【化3】

【0027】
(一般式(3)において、R6は水素または炭素数1〜4のアルキル基であり、R7は水素またはメチル基である。);
【0028】
【化4】

【0029】
(一般式(4)において、R8は炭素数1〜4のアルキル基である。);
【0030】
【化5】

【0031】
(一般式(5)において、R9は水素またはメチル基であり、R10は炭素数1〜8のアル
キル基、ベンジル基またはシクロヘキシル基である。)。
【0032】
前記(メタ)アクリル系樹脂は、前記構造単位(1a)を3〜100重量%、前記構造単位(2a)を0〜30重量%、前記構造単位(3a)を0〜30重量%、前記構造単位(4a)を0〜30重量%および前記構造単位(5a)を0〜97重量%含むことが好ましい。
【0033】
前記一般式(1)において、R2が水素であり、Xが単結合であり、lが2〜4の整数
であり、mが0であり、かつnが1であるか、R2が水素であり、R3が炭素数1もしくは2のアルキル基であり、Xが単結合であり、かつl、mおよびnが1であるか、あるいは、R2およびR3が水素であり、Xがシクロヘキシル基であり、かつlおよびmが1であることが好ましい。
【0034】
このような本発明の封止材は、強度、ガスバリア性、透明性、耐熱性のすべてに優れているため、光半導体の封止用途に特に好適である。このような光半導体が前記封止材により封止されてなる光半導体パッケージも、本発明の範囲に含まれる。
【0035】
前記光半導体は、LEDであることが特に好ましい。
【発明の効果】
【0036】
本発明の封止材は、ポットライフの長い材料から形成可能であり、また透明性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、2分子の(メタ)アクリル系樹脂分子鎖が、一つの分子間エステル結合および一つの分子間エーテル結合により結合されている様子を示す模式図である。
【図2】図2は、LEDの一般的な構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0039】
[本発明の封止材]
本発明の封止材は、上記特定の(メタ)アクリル樹脂硬化体からなり、強度、ガスバリア性、透明性、耐熱性のすべてを満足しており、しかもポットライフの長い封止材料から形成可能である。以下、この(メタ)アクリル樹脂硬化体について説明する。
【0040】
<(メタ)アクリル樹脂硬化体>
前記(メタ)アクリル樹脂硬化体において、該硬化体を構成する上記(メタ)アクリル系樹脂の分子鎖どうしをつなぐ、分子間エーテル結合は、二つの(メタ)アクリル系樹脂分子鎖が有するヒドロキシル基同士が反応することにより形成される。また分子間エステル結合は、(メタ)アクリル系樹脂分子がカルボキシル基を有している場合に、一つのアクリル系樹脂分子のカルボキシル基と、別のアクリル系樹脂分子のヒドロキシル基とが反応することにより形成される。図1は、2分子の(メタ)アクリル系樹脂分子鎖が、一つの分子間エステル結合および一つの分子間エーテル結合により結合されている様子を示す模式図である。
【0041】
本発明の封止材を構成する(メタ)アクリル樹脂硬化体においては、前記分子間エーテル結合のみが形成されていてもよいし、前記分子間エステル結合のみが形成されていてもよいし、両者が形成されていてもよい。またその結合の形成量の比に特に制限はない。
【0042】
このような分子間結合は、(メタ)アクリル系樹脂分子鎖1分子対1分子の間のみに形成されるのではなく、通常3以上の複数の分子の間で形成され、結果として複数の分子が分子間エステル結合および/または分子間エーテル結合によって三次元的に複雑に絡み合った架橋構造を形成している樹脂硬化体となる。
【0043】
上記(メタ)アクリル樹脂硬化体を形成する(メタ)アクリル系樹脂は、封止材料としての取り扱い性、および硬化して充分な強度を有する硬化物(封止材)を形成する観点から、重量平均分子量が500〜20000であることが好ましく、1000〜10000
であることがより好ましい。なお、本明細書において重量平均分子量とは、GPCにより測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量を指す。
【0044】
また重量平均分子量が上記の範囲であると、前記(メタ)アクリル系樹脂の25〜100℃における粘度は、通常3〜10000Pa・sの範囲内になり、液状または半固形状であり、封止材料としての取り扱い性に優れる。なお、本明細書において粘度は、株式会社トキメック製BM型粘度計を用いて測定した粘度を指す。
【0045】
そして、上記(メタ)アクリル樹脂硬化体からなる本発明の封止材が高い耐熱性を有するためには、前記(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価が10〜380mgKOH/gであり、酸価が5〜150mgKOH/gであることが好ましく、水酸基価が10〜150mgKOH/gであり、酸価が5〜80mgKOH/gであることがより好ましい。
【0046】
このような本発明の封止材を構成する(メタ)アクリル樹脂硬化体の形成原料たる上記(メタ)アクリル系樹脂の好ましい例としては、下記一般式(1)で表わされる(メタ)アクリレートに由来する構造単位(1a)を有し、下記一般式(2)で表わされる(メタ)アクリレートに由来する構造単位(2a)、下記一般式(3)で表わされるモノマーに由来する構造単位(3a)、下記一般式(4)で表わされるモノマーに由来する構造単位(4a)および下記一般式(5)で表わされるモノマーに由来する構造単位(5a)からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位を有してもよい(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。
【0047】
【化6】

【0048】
一般式(1)において、R1は水素またはメチル基であり、R2は水素または炭素数1〜3のアルキル基であり、R3は水素または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは単結合
または炭素数3〜7の環状アルキル基であり、lは0〜9の整数であり、mは0〜9の整数であり、nは1〜14の整数である。
【0049】
本発明の封止材の耐候性の観点からは、上記一般式(1)において、R2が水素であり
、Xが単結合であり、lが2〜4の整数であり、mが0であり、かつnが1であるか、R2が水素であり、R3が炭素数1もしくは2のアルキル基であり、Xが単結合であり、かつl、mおよびnが1であるか、あるいは、R2およびR3が水素であり、Xがシクロヘキシル基であり、かつlおよびmが1であることが好ましい。
【0050】
【化7】

【0051】
一般式(2)において、R4は水素またはメチル基であり、R5は水素、カルボキシフェニルオキシカルボニルエチル基またはカルボキシシクロヘキシルオキシカルボニルエチル基である。
【0052】
本発明の封止材の耐候性の観点から、上記一般式(2)において、R5が水素であるこ
とが好ましい。
【0053】
【化8】

【0054】
一般式(3)において、R6は水素または炭素数1〜4のアルキル基であり、R7は水素またはメチル基である。
【0055】
一般式(3)で表わされるモノマーの入手コストの観点から、上記一般式(3)において、R6が水素であることが好ましい。
【0056】
【化9】

【0057】
一般式(4)において、R8は炭素数1〜4のアルキル基である。
【0058】
一般式(4)で表わされるモノマーの入手コストの観点から、上記一般式(4)において、R8はメチル基であることが好ましい。
【0059】
【化10】

【0060】
一般式(5)において、R9は水素またはメチル基であり、R10は炭素数1〜8のアル
キル基、ベンジル基またはシクロヘキシル基である。
【0061】
さらに、耐候性および硬化性の観点から、前記(メタ)アクリル系樹脂が、前記構造単位(1a)を3〜100重量%、前記構造単位(2a)を0〜30重量%、前記構造単位(3a)を0〜30重量%、前記構造単位(4a)を0〜30重量%および前記構造単位(5a)を0〜97重量%含むことが好ましく、
前記(メタ)アクリル系樹脂が、前記構造単位(1a)を3〜50重量%、前記構造単位(2a)を2〜10重量%、前記構造単位(3a)を0〜5重量%、前記構造単位(4a)を0〜5重量%および前記構造単位(5a)を50〜97重量%含むことがより好ましい。
【0062】
このような(メタ)アクリル系樹脂を合成する重合反応については後述するが、当該重合反応においては、各重合原料(モノマー)の有する水酸基およびカルボキシル基は反応することなく、形成された(メタ)アクリル系樹脂中にそのままの形態で存在している。そしてそれらの基が分子間エステル結合/および分子間エーテル結合を形成することにより、本発明の封止材を構成する(メタ)アクリル樹脂硬化体が得られる。
【0063】
以上説明した、本発明の封止材を構成する(メタ)アクリル樹脂硬化体は、単一組成の(メタ)アクリル系樹脂から形成してもよいし、異なる組成の(メタ)アクリル系樹脂を複数混合して使用し、これらの分子鎖の間で分子間エステル結合および/または分子間エーテル結合を形成させてもよい。
【0064】
前記(メタ)アクリル樹脂硬化体を形成するに際しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記(メタ)アクリル系樹脂に、その他の樹脂成分を混合して硬化体を形成させてもよい。そのようなその他の樹脂の例として、前記アクリル系樹脂以外のカルボキシル基を含むアクリル系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリグリセリン、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、グリコール、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、クエン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、およびそれらの無水物が挙げられる。
【0065】
また、前記(メタ)アクリル樹脂硬化体を形成するに際しては、本発明の封止材により封止される光半導体の発光波長の調整・変更を目的として、前記(メタ)アクリル系樹脂に蛍光体や着色材を混合してもよい。前記蛍光体の例としては、イットリウム、ガリウム、ガーネット系のYAG系蛍光体、ZnS系蛍光体、Y22S系蛍光体、赤色発光蛍光体、青色発光蛍光体および緑色発光蛍光体が挙げられる。前記着色材の例としては、有機顔料、有機染料および無機顔料が挙げられる。
【0066】
さらに、前記(メタ)アクリル樹脂硬化体の屈折率調整、線膨張率調整、機械強度向上等の目的で、前記(メタ)アクリル樹脂硬化体を形成するに際して、前記(メタ)アクリル系樹脂に無機粒子を混合してもよい。前記無機粒子の例としては、シリカ、アルミナ、セリア、ジルコニア、酸化チタン、硫酸バリウム、タルク、窒化珪素、炭化珪素、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、スメクタイト、モンモリロナイトおよびガラス粉末が挙げられる。
【0067】
<(メタ)アクリル樹脂硬化体からなる封止材>
本発明の封止材は、以上説明した(メタ)アクリル樹脂硬化体からなる。すなわち、後述するが、本発明の封止材は、前記の(メタ)アクリル系樹脂中に存在する水酸基およびカルボキシル基が分子間エステル結合および/または分子間エーテル結合を形成し、それにより三次元架橋構造を形成しており、三次元架橋の形成のために、イソシアネート化合物やエポキシ化合物等の架橋剤を使用していない。このため、本発明の封止材は、従来封止材料として使用されていたエポキシ樹脂やシリコーン樹脂の硬化物よりも、強度、ガスバリア性、透明性および耐熱性に優れる。
【0068】
ガスバリア性に優れるのは、本発明の(メタ)アクリル樹脂硬化体において、(メタ)アクリル系樹脂が分子間力によって、側鎖等を有するエポキシ樹脂やシリコーン樹脂に比べて、より隙間なく密に結合しているからである。
【0069】
耐熱性に優れるのは、本発明の(メタ)アクリル樹脂硬化体において、前記のように(メタ)アクリル系樹脂が密に結合していることに加え、分子間エステル結合および/または分子間エーテル結合が、多少の熱によっては切断されないからである。
【0070】
このように種々の特性に優れた(メタ)アクリル樹脂硬化体からなる本発明の封止材は、光半導体などを封止するのに好適に用いられる。
【0071】
特に、本発明の封止材は、光半導体の封止材に求められる、強度、ガスバリア性、透明性および耐熱性のすべてに優れるため、光半導体を封止する用途に好適である。
【0072】
本明細書において光半導体とは、LED、CCD、c−MOSイメージセンサーなどのことを指す。本発明の封止材の特性が最大限に発揮されることから、前記光半導体としては、LEDが特に好ましい。
【0073】
また上記の封止の方法に特に制限はなく、(メタ)アクリル樹脂硬化体となる(メタ)アクリル系樹脂、または必要に応じてこれに上記の他の樹脂成分などを混合したものによって、たとえばポッティング、ホットメルト、射出成型、粉末成型、溶液塗布等により素子(被封止物)を被覆し、加熱硬化を行うなどの方法により、封止を行うことができる。光半導体を本発明の封止材で封止すれば、光半導体パッケージが得られる。
【0074】
[(メタ)アクリル樹脂硬化体の製造方法]
<(メタ)アクリル系樹脂>
本発明の封止材を構成する(メタ)アクリル樹脂硬化体となる(メタ)アクリル系樹脂は、分岐を有してもよい炭素鎖状高分子化合物であり、分子鎖どうしが分子間エステル結合および/または分子間エーテル結合を形成することができれば、特に制限されない。前記(メタ)アクリル系樹脂として好ましいものは、上述の<(メタ)アクリル樹脂硬化体>の箇所で説明したとおりである。
【0075】
このような(メタ)アクリル系樹脂は、常法によって製造可能である。たとえば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、イソプロピルアルコールなどの反応溶媒中で、通常反応圧力0.1〜0.4MPa、通常反応温度0〜120℃、通常反応時間3〜8時間で、(メタ)アクリル系樹脂の原料となるモノマーを重合させることによって、前記(メタ)アクリル系樹脂が得られる。当該重合反応においては、通常はアゾ開始剤および過酸化物などの重合開始剤を用いる。
【0076】
このような条件の反応では、モノマーが有する水酸基同士がエーテル結合を形成する反応、および水酸基とカルボキシル基とが反応してエステル結合を形成する反応は起きず、前記反応により得られる(メタ)アクリル系樹脂においては、前記水酸基およびカルボキシル基がそのままの状態で存在している。
【0077】
(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量の調整方法は公知であり、たとえば反応時間、反応温度、モノマー濃度、連鎖移動剤量を調整することによって、前記重量平均分子量を上述の好ましい範囲内とすることができる。
【0078】
(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価および酸価は、重合反応に使用するモノマーの種類および使用量を調整することによって、調整が可能である。たとえば上記一般式(1)で表わされる(メタ)アクリレートなどの、ヒドロキシル基を有するモノマーの使用量を増やすことによって、(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価を大きくすることができ、(メタ)アクリル酸などのカルボキシル基を有するモノマーの使用量を増やすことによって、(メタ)アクリル系樹脂の酸価を大きくすることができる。
【0079】
(メタ)アクリル系樹脂の合成に用いることができるモノマーとしては、上記の一般式(1)〜(5)で表わされるモノマーのほかに、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸およびシクロヘキシルマレイミドが挙げられる。
【0080】
<(メタ)アクリル系樹脂硬化体>
たとえば上記のようにして製造された(メタ)アクリル系樹脂から反応溶媒を除去した後、この(メタ)アクリル系樹脂を通常150〜300℃で、好ましくは180〜280℃、より好ましくは200〜250℃という高温で、通常15〜300分、好ましくは30〜180分加熱することにより、(メタ)アクリル系樹脂の分子鎖同士の間で、ヒドロキシル基とヒドロキシル基、またはヒドロキシル基とカルボキシル基とが反応して、それぞれ分子間エーテル結合または分子間エステル結合が形成され、三次元架橋構造が形成され、硬化し、(メタ)アクリル樹脂硬化体が得られる。100℃程度の加熱では、分子間エーテル結合および分子間エステル結合は、形成されない。
【0081】
[発明が解決しようとする課題]でも述べたように、特許文献1〜3に記載の封止材料には、当該封止材料を硬化させるため、硬化促進剤、硬化剤または付加反応触媒(硬化触媒)が含まれており、これらは常温でも多少ながらその機能を発揮するため、前記封止材料は、保存している間に硬化してしまい、ポットライフが短いという問題があった。さらに、硬化した硬化物(封止材)中に前記硬化促進剤、硬化剤または付加反応触媒が残存し、封止材が望まない着色を起こし、その透過率が低下するといった問題点がある。
【0082】
これに対して、本発明の封止材を構成する(メタ)アクリル樹脂硬化体を形成する反応は、単純に加熱をすることのみによって実施可能であるため、イソシアネート化合物やエポキシ化合物といった架橋剤、硬化促進剤などの硬化触媒が不要であり、上記のような従来技術に伴う問題点が解決されている。
【0083】
すなわち本発明の封止材は、ポットライフの長い封止材料から形成可能であり、かつその形成に際して硬化触媒を用いないため、保存安定性が低い、望まない着色を起こすといった問題点も有していない。
【0084】
このような本発明の封止材は、強度、ガスバリア性、透明性および耐熱性のすべてに優れ、前述のように、たとえば光半導体を封止する用途に好適である。
【実施例】
【0085】
[実施例1]
攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却器を備えた容量1リットルのフラスコに、酢酸エチル400gを加え、78℃まで温度を上昇させ、メチルアクリレート92g、2−ヒドロキシエチルアクリレート5g、アクリル酸3g、アゾ開始剤V−601(ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート))5gを2時間かけて等速に滴下した。
【0086】
その後同じ温度で3時間撹拌し、重合を完了させた。酢酸エチルを留去し、重量平均分子量10000、25℃における粘度1200Pa・s、不揮発分99.5%、酸価23mgKOH/g、水酸基価24mgKOH/gのアクリル系樹脂(1)を得た。なお、粘度の測定は、株式会社トキメック製BM型粘度計を用いて行った。
【0087】
前記アクリル系樹脂(1)について、23℃におけるポットライフの測定を行った。結果を下記表1に示す。なお、測定は、23℃で一定時間保存した後の粘度変化を測定することにより行い、粘度が50%増加するまでの時間をポットライフとした。
【0088】
前記アクリル系樹脂(1)を、無アルカリガラスで作成した内径25mm、高さ1mmの円筒形の型に流し込み、200℃で2時間加熱硬化し、膜厚1mmのアクリル樹脂硬化体(A)を得た。
【0089】
このアクリル樹脂硬化体(A)について、全光線透過率を測定した。結果を下記表1に示す。また全光線透過率の測定には、ヘーズメーターHM−150型(株式会社村上色彩技術研究所製)を用いた。
【0090】
[実施例2]
攪拌機、窒素導入管、温度計および環流冷却器を備えた容量1リットルのフラスコに、酢酸エチル400gを加え、78℃まで温度を上昇させ、ベンジルアクリレート92g、2-ヒドロ
キシエチルアクリレート5g、アクリル酸3gおよびアゾ開始剤(V-601)5gを2時間かけて等速に滴下した。
【0091】
その後同じ温度で3時間撹拌し、重合を完了させた。酢酸エチルを留去し、重量平均分
子量10000,25℃における粘度1500Pa・s,不揮発分99.5%, 酸価23mgKOH/g, 水
酸基価24mgKOH/gのアクリル系樹脂(2)を得た。このアクリル系樹脂(2)について、実施
例1と同様にして23℃におけるポットライフの測定を行った。結果を下記表1に示す。
【0092】
前記アクリル樹脂(2)を無アルカリガラスで作成した内径25mm, 高さ1mmの円筒型の型
に流し込み、200℃で2時間加熱硬化し、膜厚1mmのアクリル樹脂硬化体(B)を得た。
【0093】
このアクリル樹脂硬化体(B)について、実施例1と同様に全光線透過率の測定を行った。結果を下記表1に示す。
【0094】
[実施例3]
攪拌機、窒素導入管、温度計および環流冷却器を備えた容量1リットルのフラスコに、酢酸エチル400gを加え、78℃まで温度を上昇させ、メチルメタクリレート92g、2-ヒドロ
キシエチルメタクリレート5g、メタクリル酸3gおよびアゾ開始剤(V-601)5gを2時間かけて等速に滴下した。
【0095】
その後同温度で3時間撹拌し、重合を完了させた。酢酸エチルを留去し、重量平均分子
量10000,100℃における粘度100Pa・s,不揮発分99.5%, 酸価20mgKOH/g, 水酸基価22mgKOH/gのメタクリル系樹脂(3)を得た。このメタクリル系樹脂(3)について、実施例
1と同様にして23℃におけるポットライフの測定を行った。結果を下記表1に示す。
【0096】
前記メタクリル系樹脂(3)を無アルカリガラスで作成した内径25mm, 高さ1mmの円筒型
の型に流し込み、200℃で2時間加熱硬化し、膜厚1mmのメタクリル樹脂硬化体(C)を得た

【0097】
このメタクリル樹脂硬化体(C)について、実施例1と同様にして全光線透過率の測定を
行った。結果を下記表1に示す。
【0098】
[実施例4]
攪拌機、窒素導入管、温度計および環流冷却器を備えた容量1リットルのフラスコに、メチルアクリレート92g、2-ヒドロキシエチルアクリレート5gおよびアクリル酸3gを加え
、15分窒素置換を行った。2-メルカプトエタノールを9g添加し、70℃まで温度を上昇させた。
【0099】
その後同温度で3時間撹拌し、重合を完了させ、重量平均分子量2000,25℃における粘度100Pa・s,不揮発分99.7%, 酸価19mgKOH/g,水酸基価75mgKOH/gのアクリル系樹脂(4)を
得た。このアクリル系樹脂(4)について、実施例1と同様にして23℃におけるポットライ
フの測定を行った。結果を下記表1に示す。
【0100】
前記アクリル樹脂(4)を無アルカリガラスで作成した内径25mm, 高さ1mmの円筒型の型
に流し込み、200℃で2時間加熱硬化し、膜厚1mmのアクリル樹脂硬化体(D)を得た。
【0101】
このアクリル樹脂硬化体(D)について、実施例1と同様にして全光線透過率の測定を行
った。結果を下記表1に示す。
【0102】
[実施例5]
攪拌機、窒素導入管、温度計および還流冷却器を備えた容量1リットルのフラスコに、酢酸エチル400gを加え、30分間窒素置換を行い、78℃まで温度を上昇させ、ブチルアクリレート10g、2−ヒドロキシエチルアクリレート80g、アクリル酸10g、アゾ開始剤(V−601)5gを2時間かけて等速に滴下した。
【0103】
その後同じ温度で3時間撹拌し、重合を完了させた。酢酸エチルを留去し、重量平均分子量12000、25℃における粘度180Pa・s、不揮発分99.8%、酸価78mgKOH/g、水酸基価340mgKOH/gのアクリル系樹脂(5)を得た。このアクリル系樹脂(5)について、実施例1と同様にして、23℃におけるポットライフの測定を行った。結果を下記表1に示す。
【0104】
前記アクリル系樹脂(5)を、無アルカリガラスで作成した内径25mm、高さ1mmの円筒形の型に流し込み、200℃で1時間加熱硬化し、膜厚1mmのアクリル樹脂硬化体(E)を得た。
【0105】
このアクリル樹脂硬化体(E)について、実施例1と同様にして、全光線透過率の測定を行った。結果を下記表1に示す。
【0106】
[実施例6]
東亜合成製ARUFON (UH-2012)を溶剤留去し、重量平均分子量6000、25℃における粘度1500Pa・s、不揮発分99.5%、酸価6mgKOH/g、水酸基価96mgKOH/gのアクリル系樹脂(6)を得た。このアクリル系樹脂(6)について、実施例1と同様にして、23℃におけるポットライフの測定を行った。結果を下記表1に示す。
【0107】
前記アクリル系樹脂(6)を無アルカリガラスで作成した内径25mm、高さ1mmの円筒形の型に流し込み、200℃で2時間加熱硬化し、膜厚1mmのアクリル樹脂硬化体(F)を得た。
【0108】
このアクリル樹脂硬化体(F)について、実施例1と同様にして、全光線透過率の測定を行った。結果を下記表1に示す。
【0109】
[実施例7]
東亞合成社製ARUFON(UH-2041),(重量平均分子量2500,25℃における粘度12Pa・s, 不揮発分98.5%,水酸基価120mgKOH/g)と東亞合成社製ARUFON(UC-3510), (重量平均分子量2000,25℃における粘度5Pa・s,不揮発分99.0%, 酸価70mgKOH/g)とを10gずつ混合し、アクリル系樹脂(7)を得た。このアクリル系樹脂(7)について、実施例1と同様にして23℃に
おけるポットライフの測定を行った。結果を下記表1に示す。
【0110】
前記アクリル系樹脂(7)を無アルカリガラスで作成した内径25mm, 高さ1mmの円筒型の
型に流し込み、200℃で2時間加熱硬化し、膜厚1mmのアクリル樹脂硬化体(G)を得た。
【0111】
このアクリル樹脂硬化体(G)について、実施例1と同様にして全光線透過率の測定を行
った。結果を下記表1に示す。
【0112】
[比較例1]
前記アクリル系樹脂(6)100gにイソシアネート系硬化剤TPA-100(旭化成ケミカルズ社製)を10g加え、アクリル組成物(1)を得た。
【0113】
このアクリル組成物(1)について、実施例1と同様にして23℃におけるポットライフの
測定を行った。結果を下記表1に示す。
【0114】
前記アクリル組成物(1)を無アルカリガラスで作成した内径25mm, 高さ1mmの円筒型の
型に流し込み、80℃で1時間加熱して1次硬化させた後、100℃で5時間加熱して2次硬化さ
せ、膜厚1mmのアクリル樹脂硬化体(H)を得た。
【0115】
このアクリル樹脂硬化体(H)について、実施例1と同様にして全光線透過率の測定を行った。結果を下記表1に示す。
【0116】
[比較例2]
前記東亞合成社製ARUFON(UC-3510)10gにダイセル化学社製脂環式エポキシ樹脂(3、4-エ
ポキシシクロヘキセニルメチル-3、'4'-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート)を5g
加え、アクリル組成物(2)を得た。
【0117】
このアクリル組成物(2)について、実施例1と同様にして23℃におけるポットライフの
測定を行った。結果を下記表1に示す。
【0118】
前記アクリル組成物(2)を無アルカリガラスで作成した内径25mm, 高さ1mmの円筒型の
型に流し込み、80℃で1時間加熱して1次硬化させた後、100℃で5時間加熱して2次硬化さ
せ、膜厚1mmのアクリル樹脂硬化体(I)を得た。
【0119】
このアクリル樹脂硬化体(I)について、実施例1と同様に全光線透過率の測定を行った。結果を下記表1に示す。
【0120】
[比較例3]
信越化学社製シリコーンSCR−1016Aおよびシリコーン混合物SCR−1016B(ともに変性シリコーンレジンである)を100gずつ混合し、得られた混合物を無アルカリガラスで作成した内径25mm、高さ1mmの円筒形の型に流し込み、100℃で1時間加熱することで一次硬化させた。その後、さらに150℃で5時間加熱することで二次硬化させ、シリコーン樹脂硬化体(J)を得た。
【0121】
このシリコーン樹脂硬化体(J)について、実施例1と同様にして、全光線透過率の測定を行った。結果を下記表1に示す。
【0122】
[比較例4]
信越化学社製シリコーンKER−2500Aおよびシリコーン混合物KER−2500B(ともにメチルシリコンゴムである)を100gずつ混合し、得られた混合物を無アルカリガラスで作成した内径25mm、高さ1mmの円筒形の型に流し込み、100℃で1時間加熱することで一次硬化させた。その後、さらに150℃で2時間加熱することで二次硬化させ、シリコーン樹脂硬化体(K)を得た。
【0123】
このシリコーン樹脂硬化体(K)について、実施例1と同様にして、全光線透過率の測定を行った。結果を下記表1に示す。
【0124】
【表1】

【0125】
表1から明らかなように、本発明の封止材を構成する特定の(メタ)アクリル樹脂硬化体は、ポットライフの長い封止材料から形成可能であり、透明性に優れている。
【0126】
一方硬化剤を含む封止材料を使用した比較例1で製造されたアクリル樹脂硬化体(H)においては、加熱温度が低いためにアクリル系樹脂(6)の分子鎖の間で分子間エーテル結合または分子間エステル結合は形成されておらず、イソシアネート系硬化剤による架橋構造が形成されている。
【0127】
そしてそのようなアクリル樹脂硬化体(H)の形成原料である比較例1の封止材料は、硬化剤を含有しているため、ポットライフが短い。
【0128】
次に、本発明の封止材を構成するアクリル樹脂硬化体を形成し得るアクリル系樹脂、および脂環式エポキシの混合物である封止材料を用いた比較例2では、加熱温度が低いために、アクリル系樹脂の分子鎖の間で分子間エーテル結合または分子間エステル結合は形成されておらず、また前記封止材料のポットライフは短い。
【0129】
さらに、シリコーン樹脂を使用した封止材料である比較例3および4は、ポットライフが短く、またシリコーン樹脂硬化体は、透明性が本発明の封止材に比べて若干低い。
【産業上の利用可能性】
【0130】
以上説明したように、本発明の封止材は、ポットライフの長い材料から形成可能であり、強度、ガスバリア性、透明性、耐熱性といった特性に優れており、たとえば光半導体の封止用途に好適である。
【符号の説明】
【0131】
12 (メタ)アクリル系樹脂分子鎖
14 (メタ)アクリル系樹脂分子鎖
100 LED
101 リードフレーム
102 LEDチップ
103 金ワイヤ
104 ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐を有してもよい炭素鎖状高分子化合物である(メタ)アクリル系樹脂の分子鎖が、分子間エステル結合および/または分子間エーテル結合により三次元架橋構造を形成して結合されていることを特徴とする(メタ)アクリル樹脂硬化体からなる封止材。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル系樹脂が、ヒドロキシル基を有することを特徴とする請求項1に記載の封止材。
【請求項3】
前記(メタ)アクリル系樹脂が、さらにカルボキシル基を有することを特徴とする請求項2に記載の封止材。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量が、500〜20000であることを特徴とする請求項2または3に記載の封止材。
【請求項5】
前記(メタ)アクリル系樹脂の水酸基価が10〜380mgKOH/gであり、酸価が5〜150mgKOH/gであることを特徴とする請求項3または4に記載の封止材。
【請求項6】
前記(メタ)アクリル系樹脂が、下記一般式(1)で表わされる(メタ)アクリレートに由来する構造単位(1a)を有し、
下記一般式(2)で表わされる(メタ)アクリレートに由来する構造単位(2a)、下記一般式(3)で表わされるモノマーに由来する構造単位(3a)、下記一般式(4)で表わされるモノマーに由来する構造単位(4a)および下記一般式(5)で表わされるモノマーに由来する構造単位(5a)からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位を有してもよい
(メタ)アクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の封止材:
【化1】

(一般式(1)において、R1は水素またはメチル基であり、R2は水素または炭素数1〜3のアルキル基であり、R3は水素または炭素数1〜3のアルキル基であり、Xは単結合
または炭素数3〜7の環状アルキル基であり、lは0〜9の整数であり、mは0〜9の整数であり、nは1〜14の整数である(ただしlとmがともに0であることはない)。);
【化2】

(一般式(2)において、R4は水素またはメチル基であり、R5は水素、カルボキシフェニルオキシカルボニルエチル基またはカルボキシシクロヘキシルオキシカルボニルエチル基である。);
【化3】

(一般式(3)において、R6は水素または炭素数1〜4のアルキル基であり、R7は水素またはメチル基である。);
【化4】

(一般式(4)において、R8は炭素数1〜4のアルキル基である。);
【化5】

(一般式(5)において、R9は水素またはメチル基であり、R10は炭素数1〜8のアル
キル基、ベンジル基またはシクロヘキシル基である。)。
【請求項7】
前記(メタ)アクリル系樹脂が、前記構造単位(1a)を3〜100重量%、前記構造単位(2a)を0〜30重量%、前記構造単位(3a)を0〜30重量%、前記構造単位(4a)を0〜30重量%および前記構造単位(5a)を0〜97重量%含むことを特徴とする請求項6に記載の封止材。
【請求項8】
前記一般式(1)において、
2が水素であり、Xが単結合であり、lが2〜4の整数であり、mが0であり、かつ
nが1であるか、
2が水素であり、R3が炭素数1もしくは2のアルキル基であり、Xが単結合であり、かつl、mおよびnが1であるか、あるいは、
2およびR3が水素であり、Xがシクロヘキシル基であり、かつlおよびmが1であることを特徴とする請求項6または7に記載の封止材。
【請求項9】
光半導体が、請求項1〜8のいずれかに記載の封止材により封止されてなる光半導体パッケージ。
【請求項10】
前記光半導体が、LEDであることを特徴とする請求項9に記載の光半導体パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−94090(P2011−94090A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−252212(P2009−252212)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【出願人】(000202350)綜研化学株式会社 (135)
【Fターム(参考)】