説明

1−ベンジルインドール誘導体、並びにそれらの用途

【課題】従来の血管内皮増殖因子抗体もしくは阻害剤よりも強い血管新生阻害活性を示す新規HIF−1α活性阻害剤を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)


(式中、XおよびYはそれぞれ独立していてもよく、水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、またはベンジルオキシ基を示し、Zは水素原子または低級アシル基を示し、Arは置換基を1〜3個有していてもよいアリール基もしくはヘテロアリール基を示す。)で表される1−ベンジルインドール誘導体を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HIF−1α活性を阻害する1−ベンジルインドール誘導体、並びにそれらの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
血管新生阻害剤は、血管新生に起因する疾患、および血管の新生を必要とする疾患に対する治療薬として、近年注目されている。例えば、そのような疾患の一例として、加齢性黄斑変性症(AMD:Age−related Macular Degeneration)が挙げられる。AMDは、加齢に伴う黄斑の変化によって引き起こされる疾患で高齢者の失明原因の一つとなっている。特に、脈絡膜から発生する新生血管を伴う滲出型のAMDにおいては急激な視力低下を伴うことが多く、病態の改善にはこの血管新生を抑制することが重要であることがわかっている(非特許文献1)。主な治療としては、光線力学的療法(PDT:Photo Dynamic Therapy)がある。すなわち、光感受性物質ベルテポルフィンを静脈注射し、薬剤が脈絡膜新生血管に集積させた後、レーザーでベルテポルフィンを光活性化して、脈絡膜新生血管を退縮させる治療が行われている。また近年、AMDの治療薬として血管新生因子の一つである血管内皮増殖因子(VEGF:Vascular Endothelial Growth Factor)に対する抗体(Lucentis)やアプタマー(Macugen)が認可され、臨床で効果を示すようになってきている。しかし、PDTは行える施設が限られることや、費用が高額であること、更には、抗VEGF抗体やアプタマーについてもいずれも高分子製剤であり高額な医療費を必要とすること、などの問題点を抱えており、効果的に血管新生を抑制できる低分子化合物が望まれている。その他、癌疾患領域においても、癌が成長するために必要な血管新生を抑制するという治療法は大きな期待を集めており、これまでのところ抗VEGF抗体(Avastin)が認可され、治療薬として応用されている。
【0003】
しかし最近になって、転写因子であるHIF−1α (Hypoxia−inducing Factor−1α)が、VEGFを始めとする複数の血管新生因子の発現を誘導することが明らかになってきた(非特許文献2−5)。このHIF−1αは、通常の酸素濃度では、HIFプロリルハイドロキシラーゼによって酸化された後、速やかに分解されるため検出できないが、癌組織などの低酸素状態ではこの酸化が起きないため、VEGFなどの血管新生因子を強力に転写活性化する。(非特許文献6、7)。このため、VEGFを始めとする複数の血管新生因子の発現を誘導するHIF−1αの阻害剤は、新たな血管新生の阻害活性を有する薬剤として期待されるようになってきた。
【0004】
HIF−1α活性阻害剤としては非特許文献8に記載されているYC−1が知られている。この化合物は部分構造として1−ベンジルインドール骨格を有するが、インドール環3位の置換基が本発明化合物とは異なるものである。
【0005】
その他には、特許文献1、2に報告されている化合物が類似化合物として知られている。しかしながら、特許文献1の化合物群は、インドール環3位の置換基が異なり、ヒドロキシメチル基および低級アシルオキシメチル基に関する記載がなく、用途はEP3受容体を介したプロスタグランジン関連の疾患の治療であり、HIF−1α阻害作用に関する記載もない。
【0006】
特許文献2の化合物群は、インドール環の1位、3位もしくは7位にベンゾイル基もしくはフェノキシ基を有する化合物であり、本発明の骨格とは異なるものである。また、これらの化合物群の薬理作用として、チューブリン重合阻害剤活性による血管新生に関する作用が開示されているが、HIF−1αに対する作用については何ら記載されていない。
【0007】
さらには、特許文献3には本特許の骨格でインドール環3位にカルボニル基およびヒドロキシメチル基を有する化合物群(下記一般式(3)においてAr2がメチル基を1個有しているフェニル基である化合物、1−(2,4−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール及び1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドールを含む)のRas阻害作用と、それに起因する細胞増殖抑制作用が示されているが、HIF−1αに対する作用については何ら記載がない。
【0008】
特許文献4には抗真菌及び抗寄生虫活性を有するインドール誘導体が記載されているが、HIF−1αに対する作用については記載がない。
【0009】
非特許文献9には、5−クロロ−1−(4−クロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール、5−フルオロ−1−(4−クロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール及び下記一般式(3)においてAr2がハロゲン原子を1個有しているフェニル基である化合物であって抗リーシュマニア活性を有するものが記載されているが、HIF−1αに対する作用については記載がない。非特許文献10には1−(3−メトキシベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール、非特許文献11には抗菌活性を有する1−(2,4−ジフルオロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドールが記載されているが、HIF−1αに対する作用については記載がない。
【0010】
【非特許文献1】Can.J.Ophthamol.,40,p.352(2005).
【非特許文献2】Mol.Cell.Biol.,16,p.4604(1996).
【非特許文献3】Genes Dev.,14,p.34(2000).
【非特許文献4】Proc.Natl.Acad.Sci.USA,99,p.10423(2002).
【非特許文献5】Blood,107,p.2705(2006).
【非特許文献6】Nature,399,p.271(1999).
【非特許文献7】Science,292,p.468(2001).
【非特許文献8】J.Natl.Cancer Inst.,95,p.498(2003).
【非特許文献9】J.Enzyme Inhibit Med.Chem.,19,p.451(2004).
【非特許文献10】J.Indian Chem.Soc.,76,p.601(1999).
【非特許文献11】Eur.J.Med.Chem.,38,p.75−87(2003).
【0011】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0079520号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0267108号明細書
【特許文献3】国際公開第2007/062399号パンフレット
【特許文献4】特表2004−509886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、新規のHIF−1α活性阻害剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決するため合成化合物について種々検索した結果、1−ベンジルインドール誘導体がHIF−1α阻害活性を有することを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明は
一般式(1)
【0015】
【化1】

【0016】
(式中、XおよびYはそれぞれ独立していてもよく、水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、またはベンジルオキシ基を示し、Zは水素原子または低級アシル基を示し、Arは低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、及びフェニル基からなる群から選ばれる置換基を1〜3個有していてもよいアリール基もしくはヘテロアリール基を示す。)で表される1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤、
(2)一般式(1)において、XおよびYのどちらか一方が水素原子である前記(1)に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤、
(3)一般式(1)において、Zが水素原子である前記(2)に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤、
(4)一般式(1)において、XおよびYのどちらか一方が水素原子であり、他方が水素原子、低級アルキル基またはハロゲン原子である前記(3)に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤、
(5)一般式(1)において、XおよびYのどちらか一方が水素原子であり、他方が水素原子、メチル基またはフッ素原子である前記(4)に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤、
(6)一般式(1)において、Arが塩素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシ基及びフェニル基からなる群から選ばれる置換基を1〜2個有していてもよいアリール基である前記(5)に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、または薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤、
(7)一般式(1)において、Arが3,4−ジクロロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ビフェニル基である前記(6)に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤、
(8)一般式(1)において、XおよびYのどちらも水素原子である前記(7)に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤、
(9)一般式(1)において、Zが低級アシル基である前記(2)に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤、
(10)一般式(1)において、Zがアセチル基である前記(9)に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤、
(11)一般式(1)において、XおよびYのどちらか一方が水素原子であり、他方が水素原子またはメチル基である前記(10)に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤、
(12)一般式(1)において、XおよびYがどちらも水素原子であり、Arがハロゲン原子を1〜2個有していてもよいフェニル基であるである前記(11)に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤、
(13)一般式(2)
【0017】
【化2】

【0018】
(式中、Y1は低級アルキル基、フッ素原子、塩素原子、低級アルコキシ基、またはベンジルオキシ基を示し、Ar1はヘテロアリール基、または低級アルキル基、フェニル基、ハロゲン原子及び低級アルコキシ基からなる群から選ばれる置換基を1〜2個有していてもよいアリール基を示す。但し、Ar1が4−クロロフェニル基であり、Y1が5−塩素原子もしくは5−フッ素原子の組み合わせの化合物、およびAr1がフェニル基であり、Y1が5−メトキシ基の組み合わせの化合物は除く。)で表される1−ベンジル−3−(ヒドロキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩、
(14)一般式(2)において、Y1がメチル基、フッ素原子、メトキシ基もしくはベンジルオキシ基である前記(13)に記載の1−ベンジル−3−(ヒドロキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩、
(15)一般式(2)において、Ar1がメチル基、フッ素原子、塩素原子またはメトキシ基を1〜2個有していてもよいアリール基、またはピリジル基である前記(14)に記載の1−ベンジル−3−(ヒドロキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩、
(16)一般式(2)において、Y1が5−メチル基、4−メチル基、7−メチル基、5−フッ素原子、6−フッ素原子、5−メトキシ基もしくは6−メトキシ基であり、Ar1が3,4−ジクロロフェニル基である前記(15)に記載の1−ベンジル−3(ヒドロキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩、
(17)一般式(3)
【0019】
【化3】

【0020】
(式中、Ar2はヘテロアリール基、または低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基及びフェニル基からなる群から選ばれる置換基を1〜2個有しているアリール基を示す。但し、Ar2がハロゲン原子もしくはメチル基を1個有しているフェニル基、3−メトキシフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、および3,5−ジフルオロフェニル基である化合物は除く。)で表される1−ベンジル−3−(ヒドロキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩、
(18)一般式(3)において、Ar2がピリジル基、またはメチル基、フッ素原子、及び塩素原子からなる群から選ばれる置換基を2個有するフェニル基、4−メトキシ基もしくは4−フェニル基を有するフェニル基である前記(17)に記載の1−ベンジル−3−(ヒドロキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩、
(19)一般式(3)において、Ar2が2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、4−メトキシフェニル基もしくは4−ビフェニル基である前記(18)に記載の1−ベンジル−3−(ヒドロキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩。
(20)一般式(4)
【0021】
【化4】

【0022】
(式中、Y3は水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、またはベンジルオキシ基を示し、Z3は低級アシル基を示し、Ar3は低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、フェニル基からなる組み合わせの置換基を1〜3個有していてもよいアリール基、またはヘテロアリール基を示す。)で表される1−ベンジル−3−(低級アシルオキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩。
(21)一般式(4)において、Z3がアセチル基である前記(20)に記載の1−ベンジル−3−(低級アシルオキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩、
(22)一般式(4)において、Y3が水素原子である前記(21)に記載の1−ベンジル−3−(低級アシルオキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩、
(23)一般式(4)において、Ar3がピリジル基または塩素原子を1〜2個有していてもよいフェニル基である請求項22に記載の1−ベンジル−3−(低級アシルオキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩、
(24)前記(20)に記載の3−アセトキシメチル−1−(3,4−ジクロロベンジル)インドール、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩、
【0023】
(25)前記(1)〜(12)のいずれか一項に記載の化合物またはその水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする血管新生阻害剤、
(26)前記(1)〜(12)のいずれか一項に記載の化合物またはその水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする加齢黄斑変性症治療剤、
に関する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、1−ベンジルインドール誘導体がHIF−1α阻害活性を有することが明らかになり、抗血管新生阻害剤および新生血管型加齢性黄斑変性症治療剤としての臨床応用が期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明において、低級アルキル基とは炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を示し、例えばメチル基、エチル基,n−プロピル基、イソプロピル基、ジメチルプロピル基、イソブチル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n-ヘキシル基等を挙げることができる。これらのうち、好ましい基としてはメチル基を挙げることができる。
【0026】
本発明において、アリール基とは炭素数6〜14の芳香族炭化水素基を示し、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等を挙げることができる。これらのうち、好ましい基としてはフェニル基、ナフチル基を挙げることができる。また、更に好ましい基としてフェニル基を挙げることができる。
【0027】
本発明において、ヘテロアリール基とはヘテロ原子として窒素原子、酸素原子または硫黄原子を同一または異なるヘテロ原子として1〜4個含む複素芳香族を示し、例えばフリル基、チエニル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピリジル基、インドリル基、チアゾリル基、フラザニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、キノキサリル基等を挙げることができる。これらのうち、好ましい基としてピリジル基を挙げることができる。
【0028】
本発明において、低級アルコキシ基とは低級アルキルオキシ基のことで低級アルキル基は前述の通り、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を示し、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等を挙げることができる。これらのうち、好ましい基としてはメトキシ基を挙げることができる。
【0029】
本発明において、ハロゲン原子とはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を示す。これらのうち、好ましい原子としてはフッ素原子、塩素原子を挙げることができる。
【0030】
本発明化合物の薬理学的に許容し得る水和物としては、水分子1分子以上と会合又は結合した状態のものが挙げられる。また、本発明化合物の水和物には、上記本発明化合物の薬理学的に許容しうる塩の水和物も含まれる。
【0031】
本発明化合物の薬理学的に許容し得る溶媒和物としては、例えば、エタノールもしくはプロパノール等のアルコール系溶媒、酢酸等の有機酸、酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフランもしくはジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルスルホキシド等の溶媒和物が挙げられる。溶媒和物は非毒性かつ水溶性であることが好ましい。また、本発明化合物の溶媒和物には、上記本発明化合物の薬理学的に許容しうる塩の溶媒和物も含まれる。
【0032】
本発明化合物の薬理学的に許容し得る塩としては、塩酸、硫酸等の鉱酸との塩、酢酸、安息香酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機酸との塩などが挙げられる。これらの塩は常法に従って製造することができる。
【0033】
一般式(1)で表される化合物としては、以下のような化合物が挙げられる。
(1)1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
(2)1−(2−クロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
(3)1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−ヒドロキシメチル−5−メチルインドール
(4)1−(3,4−ジフルオロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
(5)1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−ヒドロキシメチル−4−メチルインドール
(6)1−(3,4−ジクロロベンジル)−6−フルオロ−3−(ヒドロキシメチル)インドール
(7)1−(2−ナフチルメチル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
(8)1−ベンジル−3−(ヒドロキシメチル)インドール
(9)1−(4−クロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
(10)1−(3−クロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
【0034】
(11)3−(ヒドロキシメチル)−1−(2−ピリジルメチル)インドール
(12)1−(3,4−ジメチルベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
(13)3−ヒドロキシメチル−1−(4−メトキシベンジル)インドール
(14)1−(4−ビフェニルメチル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
(15)1−(3,4−ジクロロベンジル)−5−フルオロ−3−(ヒドロキシメチル)インドール
(16)1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−ヒドロキシメチル−7−メチルインドール
(17)1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−ヒドロキシメチル−6−メトキシインドール
(18)3−ヒドロキシメチル−1−(3−ピリジルメチル)インドール
(19)1−(2,3−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
(20)3−ヒドロキシメチル−1−(4−ピリジルメチル)インドール
【0035】
(21)1−(2,5−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
(22)6−ベンジルオキシ−1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
(23)1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−ヒドロキシメチル−5−メトキシインドール
(24)5−ベンジルオキシ−1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
(25)4−ベンジルオキシ−1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
(26)7−ベンジルオキシ−1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
(27)1−(2,6−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
(28)5−ベンジルオキシ−1−(4−tert−ブチルベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
【0036】
(29)3−アセトキシメチル−1−(3,4−ジクロロベンジル)インドール
(30)3−アセトキシメチル−1−ベンジルインドール
(31)3−アセトキシメチル−1−(3,4−ジクロロベンジル)−5−メチルインドール
(32)3−アセトキシメチル−1−(3,4−ジフルオロベンジル)インドール
【0037】
本発明の1−ベンジルインドール誘導体は特許文献4の方法に従って、下記一般式(5)の化合物から合成することができる。なお、一般式(5)で表される化合物は、市場から容易に入手できる。すなわち、下記一般式(5)
【0038】
【化5】

(式中、XおよびYは前記に記載の通りである。)で表される化合物に、Ar−CH2−Q(QはCl、Br、OSO2CH3、OSO2Phなどの脱離基を示す)を1〜5当量、好ましくは1〜2当量を加えて、塩基性条件化で反応させることにより、
【0039】
【化6】

(式中、X、Y、Arは前記に記載の通りである。)で表される化合物を得ることができる。続いて、この化合物を水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤によってアルデヒド基を水酸基へ還元することにより、下記一般式(1)
【0040】
【化7】

(式中、X、Y、Arは前記に記載の通りであり、Zは水素原子を示す。)で表される本発明の1−ベンジルインドール誘導体を得ることができる。更には一般式(1)のZが低級アシル基である化合物群は、Zが水酸基である化合物群を塩基性条件下、対応する酸無水物もしくは酸塩化物等の低級アシル化剤で処理することにより、所望の誘導体へ導くことができる。
【0041】
なお、5−メトキシ−1−ベンジル−3−(ヒドロキシメチル)インドール及び1−(3,5−ジフルオロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドールは化合物ライブラリーより入手可能である。
【0042】
上記の各合成法により得た反応混合物から目的物を単離および精製するには、常法による溶媒抽出、濃縮、結晶化、蒸留、懸濁精製、各種クロマトグラフィーなどを、必要に応じて用いることができる。
【0043】
本発明の1−ベンジルインドール誘導体は、例えば、血管新生阻害剤、加齢黄斑変性症治療剤等の医薬品として使用する場合の製剤化および投与方法は従来公知の種々の方法が適用できる。すなわち、投与方法としては例えば注射(皮下注、静注、動注等)、経口又は直腸投与等が可能である。
【0044】
製剤化の際に本発明の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩に悪影響を与えない限り、医薬用に用いられる種々の医薬用添加剤、すなわち、担体やその他の助剤、例えば安定剤、防腐剤、無痛化剤、乳化剤等を使用してもよい。製剤において、1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、または薬理学的に許容される塩の含量は製剤形態等により広範囲に変えることが可能であり、一般には0.01〜100%(重量)、好ましくは0.1〜70%(重量)含有する。経口剤の場合には添加剤と共に錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、ドライシロップ剤等の形態で用いられる。カプセル剤、錠剤、顆粒、散剤は一般に5〜100%(重量)、好ましくは25〜98%(重量)の有効成分を含む。
【0045】
本発明の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩の投与量は適応症、症状、投与方法等により異なるが、成人1人1日あたり0.01〜800mg程度である。
【実施例】
【0046】
次に実施例として本発明化合物の合成例及び薬理実験例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、以下で室温とは10〜30℃を示す。また、LCMSは島津製作所製LCMS2010Aにて分析し、LCはカラムにInertsil ODS−3(φ2.1×100mm)を用い、溶出液Aに0.1%ギ酸水溶液、溶出液Bにアセトニトリルをそれぞれ用い、LCMS(A)では溶出液Bの濃度が20(0min)−90%(5.5min)−90%(6.5min)−20%(6.51min)−20%(10min)のグラジエントで流速0.3mL/minで溶出、LCMS(B)では溶出液Bの濃度が60(0min)−90%(5.5min)−90%(6.5min)−60%(6.51min)−60%(10min)のグラジエントで流速0.3mL/minで溶出、LCMS(C)では溶出液Bの濃度が5(0min)−90%(5.5min)−90%(6.5min)−5%(6.51min)−5%(10min)のグラジエントで流速0.3mL/minで溶出した。保持時間(Rt)はUV検出器までの時間とし、MSはESI(Positive)モードで測定した。
【0047】
実施例1
1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドールの合成
1−(3,4−ジクロロベンジル)インドール−3−アルデヒドの合成(第1工程)
インドール−3−アルデヒド(7.26g、50.0mmol)に炭酸セシウム(32.58g、100mmol)およびアセトニトリル(100mL)を加え、2時間加熱還流した。この溶液に3,4−ジクロロベンジルクロリド(10.77g、55.0mmol)をアセトニトリル(10mL)に溶解した溶液を加え、1時間加熱還流した。
反応終了後、反応液の溶媒を減圧下溜去し、水(200mL)を加えた後、ジクロロメタン(150mL)で3回抽出した。抽出した有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧下溜去することにより、結晶を得た。この結晶をジクロロメタン−n−ヘキサン(1:3)混合液で洗浄することにより、淡褐色の目的物(13.00g)を収率85.5%で得た。
【0048】
1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドールの合成(第2工程)
第1工程で得られた1−(3,4−ジクロロベンジル)インドール−3−アルデヒド(6.08g、20.0mmol)をテトラヒドロフラン(30mL)−メタノール(10mL)混合液に溶解した溶液に、室温下、水素化ホウ素ナトリウム(0.83g、21.9mmol)を加え、同温にて1時間攪拌した。
反応終了後、アセトン(5mL)を加え、10分間攪拌した後、溶媒を減圧下溜去することにより無色結晶(6.40g)を得た。この結晶をジクロロメタン(80mL)に溶解した後、n−ヘキサン(160mL)を加えて再結晶することにより、無色結晶の目的物(3.92g)を収率64.0%で得た。
【0049】
1H−NMR(CDCl3,ppm):7.76(1H,d,J=7.5Hz)、7.35(1H,d,J=8.2Hz)、7.17−7.25(4H,m)、7.10(1H,s)、6.90(1H,dd,J=8.2,1.8Hz)、5.23(2H,s)、4.88(2H,d,J=5.5Hz)、1.54(2H,t,J=5.5Hz).
LCMS(A):Rt=6.690min,m/z:288(M−H2O+H)+
【0050】
実施例2
1−(2−クロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドールの合成
1−(2−クロロベンジル)インドール−3−アルデヒドの合成(第1工程)
インドール−3−アルデヒド(1.45g、9.99mmol)に炭酸セシウム(6.52g、20.0mmol)およびアセトニトリル(20mL)を加え、2時間加熱還流した。この溶液に2−クロロベンジルクロリド(1.78g、11.1mmol)を加え、1時間加熱還流した。
反応終了後、反応液の溶媒を減圧下溜去し、水を加えた後、ジクロロメタンで3回抽出した。抽出した有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧下溜去することにより、結晶を得た。この結晶をアセトニトリルで洗浄後、ジクロロメタン−n−ヘキサンで再結晶することにより、淡褐色の目的物(1.77g)を収率66%で得た。
【0051】
1−(2−クロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドールの合成(第2工程)
第1工程で得られた1−(2−クロロベンジル)インドール−3−アルデヒド(1.50g、5.56mmol)をテトラヒドロフラン(8mL)−メタノール(2mL)混合液に溶解した溶液に、室温下、水素化ホウ素ナトリウム(0.23g、6.08mmol)を加え、同温にて1.5時間攪拌した。
反応終了後、アセトン(1mL)を加え、10分間攪拌した。溶媒を減圧下溜去した後、することによりオイルを得た。このオイルに水を加えた後、ジクロロメタンで3回抽出した。抽出した有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、溶媒を減圧下溜去することにより、結晶(1.55g)を得た。この結晶をジエチルエーテル−n−ヘキサン(1:2)で洗浄することにより、無色結晶の目的物(1.35g)を収率89%で得た。
【0052】
1H−NMR(CDCl3,ppm):7.76(1H,d,J=7.7Hz)、7.41(1H,dd,J=7.9,1.0Hz)、7.17−7.25(6H,m)、6.66(1H,dd,J=7.7,0.6Hz)、5.38(2H,s)、4.89(2H,d,J=5.3Hz)、1.52(2H,t,J=5.3Hz).
LCMS(A):Rt=6.384min,m/z:254(M−H2O+H)+
【0053】
以下に示す実施例3〜28の化合物の合成は、実施例1の化合物の合成法に準じて行い、第1工程のインドール−3−アルデヒドの代わりに対応する置換基を有する化合物に、さらに3,4−ジクロロベンジルクロリドの代わりに対応するベンジルクロリドを用いて実施した。実施例3〜28について得られた各々の化合物の理化学的性質を以下に示す。
【0054】
実施例3
1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−ヒドロキシメチル−5−メチルインドール
LCMS(A):Rt=7.229min,m/z:302(M−H2O+H)+
【0055】
実施例4
1−(3,4−ジフルオロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
LCMS(B):Rt=2.491min,m/z:256(M−H2O+H)+
【0056】
実施例5
1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−ヒドロキシメチル−4−メチルインドール
LCMS(A):Rt=7.135min,m/z:302(M−H2O+H)+
【0057】
実施例6
1−(3,4−ジクロロベンジル)−6−フルオロ−3−(ヒドロキシメチル)インドール
LCMS(A):Rt=6.954min,m/z:306(M−H2O+H)+
【0058】
実施例7
1−(2−ナフチルメチル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
LCMS(A):Rt=6.622min,m/z:270(M−H2O+H)+
【0059】
実施例8
1−ベンジル−3−(ヒドロキシメチル)インドール
LCMS(A):Rt=5.990min,m/z:220(M−H2O+H)+
【0060】
実施例9
1−(4−クロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
LCMS(A):Rt=6.368min,m/z:254(M−H2O+H)+
【0061】
実施例10
1−(3−クロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
LCMS(A):Rt=6.311min,m/z:254(M−H2O+H)+
【0062】
実施例11
3−(ヒドロキシメチル)−1−(2−ピリジルメチル)インドール
LCMS(C):Rt=4.815min,m/z:239(M+H)+
【0063】
実施例12
1−(3,4−ジメチルベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
LCMS(B):Rt=3.275min,m/z:248(M−H2O+H)+
【0064】
実施例13
3−ヒドロキシメチル−1−(4−メトキシベンジル)インドール
LCMS(B):Rt=2.240min,m/z:250(M−H2O+H)+
【0065】
実施例14
1−(4−ビフェニルメチル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
LCMS(A):Rt=3.864min,m/z:296(M−H2O+H)+
【0066】
実施例15
1−(3,4−ジクロロベンジル)−5−フルオロ−3−(ヒドロキシメチル)インドール
LCMS(A):Rt=6.917min,m/z:306(M−H2O+H)+
【0067】
実施例16
1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−ヒドロキシメチル−7−メチルインドール
LCMS(A):Rt=7.148min,m/z:302(M−H2O+H)+
【0068】
実施例17
1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−ヒドロキシメチル−6−メトキシインドール
LCMS(A):Rt=6.738min,m/z:318(M−H2O+H)+
【0069】
実施例18
3−ヒドロキシメチル−1−(3−ピリジルメチル)インドール
LCMS(C):Rt=3.933min,m/z:239(M+H)+
【0070】
実施例19
1−(2,3−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
LCMS(A):Rt=6.854min,m/z:288(M−H2O+H)+
【0071】
実施例20
3−ヒドロキシメチル−1−(4−ピリジルメチル)インドール
LCMS(C):Rt=3.724min,m/z:239(M+H)+
【0072】
実施例21
1−(2,5−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
LCMS(A):Rt=6.757min,m/z:288(M−H2O+H)+
【0073】
実施例22
6−ベンジルオキシ−1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
LCMS(A):Rt=7.581min,m/z:394(M−H2O+H)+
【0074】
実施例23
1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−ヒドロキシメチル−5−メトキシインドール
LCMS(A):Rt=6.732min,m/z:318(M−H2O+H)+
【0075】
実施例24
5−ベンジルオキシ−1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
LCMS(A):Rt=7.671min,m/z:394(M−H2O+H)+
【0076】
実施例25
4−ベンジルオキシ−1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
LCMS(A):Rt=7.841min,m/z:394(M−H2O+H)+
【0077】
実施例26
7−ベンジルオキシ−1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
LCMS(A):Rt=7.815min,m/z:394(M−H2O+H)+
【0078】
実施例27
1−(2,6−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
LCMS(A):Rt=6.647min,m/z:288(M−H2O+H)+
【0079】
実施例28
5−ベンジルオキシ−1−(4−tert−ブチルベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール
LCMS(B):Rt=4.371min,m/z:276(M−H2O+H)+
【0080】
実施例29
3−アセトキシメチル−1−(3,4−ジクロロベンジル)インドールの合成
実施例1で得られた1−(3,4−ジクロロベンジル)−3−(ヒドロキシメチル)インドール(153mg、0.500mmol)をピリジン(0.5mL)に溶解した溶液に、無水酢酸(1.0mL、10.6mmol)を加え、室温で終夜攪拌した。
反応終了後、反応液にトルエンを加え、減圧下で溶媒および無水酢酸を溜去した。残渣に水を加えた後、酢酸エチルで抽出した。抽出した有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下溜去し、オイルを得た。このオイルをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、無色の目的物(71.3mg)を収率41%で得た。
LCMS(A):Rt=5.337min,m/z:288(M−CH3COOH+H)+
【0081】
試験例1
HIF−1α依存的転写活性阻害作用
(1−1)HIF−1α依存的転写を測定するためのレポーターベクターの作成
HIF−1α依存的転写を測定するために、HIF−1α応答配列として知られるVEGF−A(vascular endothelial growth factor−A)遺伝子上流に存在する47bpのHRE(Hypoxia Responsible Element)配列を用いることとした。
【0082】
配列表の配列番号1、2に示されるHREオリゴヌクレオチド(Molecular and Cellular Biology,16(9),p.4604−4613(1996))を合成(オペロンバイオテクノロジーズ社に依頼)し、100μMとなるように蒸留水で希釈した。
【0083】
これらを各1μLずつ混合し、95℃で5分間加熱した後、室温に戻しアニーリングさせた。導入するベクターとしては、pBluescriptKS(+)ベクター(東洋紡績社製)を用いた。pBluescriptKS(+)ベクターを制限酵素EcoRV(東洋紡績社製)で切断後、エタノール沈殿した。次に、このDNAを70%エタノールで洗浄し、TE溶液(10mM トリス−塩酸(pH8)、1mM EDTA)に溶解した。このDNAとアニーリングさせたHREオリゴヌクレオチドとをモル比が1:100となるように混合し、DNAライゲーションキット(宝酒造社製)を用いて接続した。以下このプラスミドをpBSKS(+)/HREベクターと表記する。
【0084】
続いて、pBSKS(+)/HREベクターを制限酵素SacI(東洋紡績社製)及びXhoI(東洋紡績社製)で切断した後、0.8%アガロース電気泳動により分画した。HRE配列を含む断片を抽出し、精製した(以下HRE/SacI,XhoIと表記する)。精製には、EASYTRAP(宝酒造社製)を用いた。導入するベクターとしては、ルシフェラーゼレポーターベクターであるpGL3−promoterベクター(プロメガ社製)のBamHIサイトに選択用マーカーであるネオマイシン耐性遺伝子を導入したpGL3−neo−promoterベクターを用いた。pGL3−neo−promoterベクターをSacI及びXhoIで切断した後、1μLのエビアルカリホスファターゼ(宝酒造社製)を加え、37℃、30分間保温することにより末端を脱リン酸化した。続いて、65℃、15分間保温し、酵素を失活させた後、20μgのグリコーゲンを加え、エタノール沈殿することによりDNAを回収した。次に、このDNAを70%エタノールで洗浄したのち、TE溶液に溶解した。このDNA溶液を、0.8%アガロース電気泳動により分画し、抽出、精製した(以下pGL3−neo−promoter/SacI,XhoI(SAP)と表記する)。精製にはEASYTRAPを用いた。続いて、HRE/SacI,XhoIとpGL3−neo−promoter/SacI,XhoI(SAP)とをDNAライゲーションキットを用いて接続した。以下、このベクターをpGL3−neo−promoter/HREと表記する。
【0085】
(1−2)レポーターベクターを保持する細胞株の取得
次に、上記レポーターベクターを保持する細胞の取得ならびに機能評価を以下の方法に従って行った。
100万個のHCT−116細胞を直径60mmの培養ディッシュに散布した。メディウムは10%牛胎児血清(Moregate社製)を添加したRPMI1640培地(イワキ社製)(以下RPMI/10%FBSと表記する)を用いた。これらを、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて24時間培養した後、メディウムをOPTI−MEM(ギブコ社製)に置換した。続いて、pGL3−neo−promoter/HREベクター2μgを導入した。プラスミドの導入はリポフェクトアミン試薬(インビトロジェン社製)を用いて行った。すなわち、プラスミド溶液に125μLのOPTI−MEM(ギブコ社製)と12μLのリポフェクトアミン試薬を加え、良く攪拌した後、室温にて15分間保温した。これを上記の手順で培養したHCT−116細胞株に投与し、穏やかに混和後、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて、3時間培養し、プラスミドを取り込ませた。続いてメディウムをRPMI1640/10%FBSに置換し、5%二酸化炭素の存在下、37℃にて、21時間培養した。引き続いて、この細胞をトリプシン処理によりディッシュからはがし、直径100mmの培養ディッシュに散布した。37℃にて、2日間培養した後、選択用薬剤として、1.2mg/mLのジェネティシン(インビトロジェン社製)を添加した。培地を3日おきに交換しつつ、上記条件にてさらに2週間培養することによって、プラスミド中の遺伝子が細胞内遺伝子中に導入され、ジェネティシン耐性となった細胞を選択した。この細胞株中にはpGL3−neo−promoter/HREが導入されていると考えられる。
【0086】
ディッシュ上でコロニーを形成した細胞群を複数単離し、24穴の培養ディッシュに散布し、培養を継続した。これらクローンは、低酸素刺激及び低酸素ミミック刺激(The EMBO Journal 17(22) pp.6573−6586、1998)に対してルシフェラーゼ活性の増大を示すことが期待できる。次にこれらクローンの2,2’−dipyridylに対する反応性を以下の手順により検討した。1ウエルあたり各クローン化細胞1万個を96ウエルプレートに散布した。メディウムはRPMI1640/10%FBSを用いた。これらを5%二酸化炭素存在下、37℃にて2日間培養した後、100μMの2,2’−dipyridylを処理して、37℃にて8時間培養した。続いて、これらの細胞について、そのルシフェラーゼ活性を測定することによって、低酸素ミミック刺激によるルシフェラーゼの活性化が認められるかどうか検討した。すなわち、各ウエルのメディウムを除去後、50μLの溶解液(25mM トリス−塩酸(pH7.8)、2mM ジチオトレイトール、2mM CDTA、10% グリセロール、0.2% TritonX−100)を添加した後、室温にて15分間保温した。この細胞溶解液を20μL分取し、基質液(20mM トリシン−水酸化ナトリウム(pH7.8)、1.07mM 塩基性炭酸マグネシウム、2.67mM 硫酸マグネシウム、0.1mM EDTA、33.3mM ジチオトレイトール、270μM コエンザイムA、470μM ルシフェリン、530μM アデノシン三リン酸)50μLを添加した後、ルミノメーター(パーキンエルマー社製)にてその化学発光強度を測定した。2,2’−dipyridyl刺激によって有意にルシフェラーゼ活性の上昇を示すクローンを選択し、以下の評価に用いた。以下、HCT−116/HRE cl.9と表記する。
【0087】
(1−3)HIF−1α依存的転写活性阻害作用の検討
1万個のHCT116/HRE cl.9細胞を50μLの培地とともに96穴 プレートに散布した。メディウムはRPMI1640/10%FBSを用いた。これらを5%二酸化炭素存在下、37℃にて4日間培養した後、各ウエルに150μLのメディウムを添加し、さらに10μLの化合物を処理した。続いて、これら細胞を酸素濃度調節機能付のインキュベーター(池本理化工業社製)へ入れ、酸素濃度を1%に低下させ、5%二酸化炭素存在下、37℃にて8時間培養した。各ウエルのメディウムを除去後、上記と同様の方法で、細胞中のルシフェラーゼ活性を測定することにより、HIF−1α依存的な転写活性に対する阻害作用を見た。本発明の化合物によるHIF−1α依存的な転写活性に対する阻害作用を表1に示す。
【0088】
表1 ベンジルインドール誘導体のHIF−1α依存的転写活性阻害作用
化合物 IC50(μM)
実施例1 0.015
実施例2 0.097
実施例3 0.035
実施例4 0.009
実施例5 0.010
実施例5 0.010
実施例7 0.014
実施例8 0.017
実施例9 0.013
実施例10 0.013
実施例11 0.024
実施例12 0.025
実施例13 0.033
実施例14 0.037
実施例15 0.067
実施例16 0.077
実施例17 0.11
実施例18 0.11
実施例19 0.14
実施例20 0.14
実施例21 0.33
実施例22 0.31
実施例23 1.2
実施例29 0.017
【0089】
以上のように、本発明の1−ベンジルインドール誘導体は、HIF−1α依存的な転写活性を強く阻害することが明らかになった。
【0090】
試験例2
HIF−1α安定化阻害作用の検討
(2−1)HIF−1α蛋白質画分の調製
50万個のHep3B細胞を直径60mmの培養ディッシュに散布した。メディウムはRPMI/10%FBSを用いた。5%二酸化炭素の存在下、37℃にて終夜培養した後、実施例1及び実施例2の化合物をそれぞれ0.32μM〜10μMまでを処理し、さらに16時間培養した。続いて、酸素濃度調節機能付のインキュベーターに移し、酸素濃度を1%に低下させ、2時間培養することによってHIF−1αを安定化させた。その後、細胞を取り出してメディウムを吸引除去し、さらに1mLの氷冷したPhosphate Buffered Saline(PBS(−))を加え、細胞を洗浄した。続いて、1mLの氷冷PBS(−)を加えた後、スクレイパーで細胞をエッペンドルフチューブに回収した。小型遠心機を用い、7000rpmで1分間、4℃にて遠心することで、細胞を沈殿させた。上清を吸引除去後、100μLの細胞溶解液(0.5M ショ糖、15mM トリス−塩酸(pH7.5)、60mM 塩化カリウム、0.25mM EDTA、 0.125mM EGTA、1mM ジチオトレイトール、1mM フェニルメチルスルホニルフルオライド、0.4% Nonidet P−40)を加え、氷上に5分間静置することで細胞を溶解させた。その後、小型遠心機を用い、3000rpmで10分間、4℃にて遠心することで、粗核画分を沈殿させ、上清を除去した。沈殿した粗核画分に30μLの核蛋白質抽出用溶液(50mM トリス−塩酸(pH6.5)、2% 硫酸ドデシルナトリウム(SDS))を加え、プローブ式のソニケーターを用いて、超音波破砕を行った。続いて、小型遠心機を用い、15000rpmで30分間、4℃にて遠心することで、核抽出液を上清に回収した。蛋白質濃度をBCAプロテインアッセイキット(ピアス社製)を用いて測定した。
【0091】
(2−2)ウエスタンブロッティングを用いたHIF−1α蛋白質量の定量
各15μgの蛋白質をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分画した。アクリルアミドの濃度は10%とした。泳動したゲルはミニトランスブロットセルブロッティング装置(バイオラッド社製)を用いて、PVDF膜に転写した。続いて蛋白質が転写されたPVDF膜を、5%のスキムミルクを含むTBS−T溶液(10mM トリス−塩酸(pH7.5)、150mM 塩化ナトリウム、0.05% Tween20)中で室温にて30分間穏やかに振とうすることでブロッキングを行った。
【0092】
引き続いて、1次抗体との反応を行った。5%のスキムミルクを含むTBS−T溶液で1000倍希釈した抗HIF−1α抗体(NB100−123:Novus社製)とPVDF膜を4℃にて終夜、穏やかに振とうしながら反応した。抗体液を除去した後、5%のスキムミルクを含むTBS−T溶液で3回の洗浄を行い(室温にて10分間、10分間、5分間)、非特異的な抗体を除去した。続いて2次抗体との反応を行った。5%のスキムミルクを含むTBS−T溶液で2000倍希釈したHorseradish Peroxidase(HRP)結合抗マウスIgG抗体(NA931V GEヘルスケア社製)を加え、室温で2時間穏やかに振とうしながら反応した。抗体液を除去した後、5%のスキムミルクを含むTBS溶液で3回の洗浄を行い(室温にて10分間、10分間、5分間)、非特異的な抗体を除去した。引き続いて、ECLウエスタンブロッティング検出試薬(GEヘルスケア社製)を用い、抗HIF−1α抗体と反応した蛋白質のバンドを検出した。薬剤処理による細胞内HIF−1α蛋白質量の変化を見積もることによって、低酸素依存的なHIF−1α安定化阻害作用を評価した。
【0093】
図1に示すように、通常の酸素濃度下(NORMOXIA)では検出されないHIF−1αの蛋白質量は酸素濃度1%、2時間培養(HYPOXIA)により増加した。これは、低酸素において、HIF−1αの分解が抑制されたためと考えられる。一方、実施例1及び実施例2の化合物のいずれもHYPOXIAにおいて濃度依存的にHIF−1αの蛋白質量を減少させた。従って、実施例1及び実施例2の化合物は低酸素によるHIF−1αの分解を抑制し、HIF−1αの安定化を阻害していることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明のHIF−1α活性阻害剤はHIF−1α依存的転写活性阻害作用を有し、低酸素下におけるHIF−1αの安定化を阻害することから、HIF−1αが発現を制御するVEGF等の血管新生因子の発現を抑制することが可能である。従って、本発明のHIF−1α活性阻害剤は血管新生に起因する疾患の治療に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明のHIF−1α活性阻害剤によるHIF−1αの安定化阻害作用を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
1レーン:通常の酸素濃度下(NORMOXIA)におけるHep3B細胞のHIF−1αの発現を示す。
2レーン:酸素濃度1%、2時間培養(HYPOXIA)におけるHep3B細胞のHIF−1αの発現を示す。
3レーン:HYPOXIA処理後、実施例1の化合物を0.32μM処理したHep3B細胞のHIF−1αの発現を示す。
4レーン:HYPOXIA処理後、実施例1の化合物を1μM処理したHep3B細胞のHIF−1αの発現を示す。
5レーン:HYPOXIA処理後、実施例1の化合物を3.16μM処理したHep3B細胞のHIF−1αの発現を示す。
6レーン:HYPOXIA処理後、実施例1の化合物を10μM処理したHep3B細胞のHIF−1αの発現を示す。
7レーン:HYPOXIA処理後、実施例2の化合物を0.32μM処理したHep3B細胞のHIF−1αの発現を示す。
8レーン:HYPOXIA処理後、実施例2の化合物を1μM処理したHep3B細胞のHIF−1αの発現を示す。
9レーン:HYPOXIA処理後、実施例2の化合物を3.16μM処理したHep3B細胞のHIF−1αの発現を示す。
10レーン:HYPOXIA処理後、実施例2の化合物を10μM処理したHep3B細胞のHIF−1αの発現を示す
【配列表フリーテキスト】
【0097】
配列表の配列番号:1はHRE(Hypoxia Responsible Element)配列を含むオリゴヌクレオチドを表す
配列表の配列番号:2は配列番号:1に相補的なオリゴヌクレオチドを表す

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

(式中、XおよびYはそれぞれ独立していてもよく、水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、またはベンジルオキシ基を示し、Zは水素原子または低級アシル基を示し、Arは低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、及びフェニル基からなる群から選ばれる置換基を1〜3個有していてもよいアリール基もしくはヘテロアリール基を示す。)で表される1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤。
【請求項2】
一般式(1)において、XおよびYのどちらか一方が水素原子である請求項1に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤。
【請求項3】
一般式(1)において、Zが水素原子である請求項2に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤。
【請求項4】
一般式(1)において、XおよびYのどちらか一方が水素原子であり、他方が水素原子、低級アルキル基またはハロゲン原子である請求項3に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤。
【請求項5】
一般式(1)において、XおよびYのどちらか一方が水素原子であり、他方が水素原子、メチル基またはフッ素原子である請求項4に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤。
【請求項6】
一般式(1)において、Arが塩素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシ基及びフェニル基からなる群から選ばれる置換基を1〜2個有していてもよいアリール基である請求項5に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、または薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤。
【請求項7】
一般式(1)において、Arが3,4−ジクロロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ビフェニル基である請求項6に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤。
【請求項8】
一般式(1)において、XおよびYのどちらも水素原子である請求項7に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤。
【請求項9】
一般式(1)において、Zが低級アシル基である請求項2に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤。
【請求項10】
一般式(1)において、Zがアセチル基である請求項9に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤。
【請求項11】
一般式(1)において、XおよびYのどちらか一方が水素原子であり、他方が水素原子またはメチル基である請求項10に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤。
【請求項12】
一般式(1)において、XおよびYがどちらも水素原子であり、Arがハロゲン原子を1〜2個有していてもよいフェニル基であるである請求項11に記載の1−ベンジルインドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とするHIF−1α活性阻害剤。
【請求項13】
一般式(2)
【化2】

(式中、Y1は低級アルキル基、フッ素原子、塩素原子、低級アルコキシ基、またはベンジルオキシ基を示し、Ar1はヘテロアリール基、または低級アルキル基、フェニル基、ハロゲン原子及び低級アルコキシ基からなる群から選ばれる置換基を1〜2個有していてもよいアリール基を示す。但し、Ar1が4−クロロフェニル基であり、Y1が5−塩素原子もしくは5−フッ素原子の組み合わせの化合物、およびAr1がフェニル基であり、Y1が5−メトキシ基の組み合わせの化合物は除く。)で表される1−ベンジル−3−(ヒドロキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項14】
一般式(2)において、Y1がメチル基、フッ素原子、メトキシ基もしくはベンジルオキシ基である請求項13に記載の1−ベンジル−3−(ヒドロキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項15】
一般式(2)において、Ar1がメチル基、フッ素原子、塩素原子またはメトキシ基を1〜2個有していてもよいアリール基、またはピリジル基である請求項14に記載の1−ベンジル−3−(ヒドロキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項16】
一般式(2)において、Y1が5−メチル基、4−メチル基、7−メチル基、5−フッ素原子、6−フッ素原子、5−メトキシ基もしくは6−メトキシ基であり、Ar1が3,4−ジクロロフェニル基である請求項15に記載の1−ベンジル−3(ヒドロキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項17】
一般式(3)
【化3】

(式中、Ar2はヘテロアリール基、または低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基及びフェニル基からなる群から選ばれる置換基を1〜2個有しているアリール基を示す。但し、Ar2がハロゲン原子もしくはメチル基を1個有しているフェニル基、3−メトキシフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、および3,5−ジフルオロフェニル基である化合物は除く。)で表される1−ベンジル−3−(ヒドロキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項18】
一般式(3)において、Ar2がピリジル基、またはメチル基、フッ素原子、及び塩素原子からなる群から選ばれる置換基を2個有するフェニル基、4−メトキシ基もしくは4−フェニル基を有するフェニル基である請求項17に記載の1−ベンジル−3−(ヒドロキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項19】
一般式(3)において、Ar2が2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、4−メトキシフェニル基もしくは4−ビフェニル基である請求項18に記載の1−ベンジル−3−(ヒドロキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項20】
一般式(4)
【化4】

(式中、Y3は水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、またはベンジルオキシ基を示し、Z3は低級アシル基を示し、Ar3は低級アルキル基、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、フェニル基からなる組み合わせの置換基を1〜3個有していてもよいアリール基、またはヘテロアリール基を示す。)で表される1−ベンジル−3−(低級アシルオキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項21】
一般式(4)において、Z3がアセチル基である請求項20に記載の1−ベンジル−3−(低級アシルオキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項22】
一般式(4)において、Y3が水素原子である請求項21に記載の1−ベンジル−3−(低級アシルオキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項23】
一般式(4)において、Ar3がピリジル基または塩素原子を1〜2個有していてもよいフェニル基である請求項22に記載の1−ベンジル−3−(低級アシルオキシメチル)インドール誘導体、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項24】
請求項20に記載の3−アセトキシメチル−1−(3,4−ジクロロベンジル)インドール、その水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩。
【請求項25】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物またはその水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする血管新生阻害剤。
【請求項26】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物またはその水和物、その溶媒和物、またはその薬理学的に許容される塩を有効成分とする加齢黄斑変性症治療剤。

【図1】
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【公開番号】特開2009−91326(P2009−91326A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−265526(P2007−265526)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】